第11回和歌山県人権施策推進審議会議事録

第11回和歌山県人権施策推進審議会議事録

第11回和歌山県人権施策推進審議会
日 時 平成15年7月30日(木曜日) 13時~15時半
場 所 和歌山市 アバローム紀の国
議 題

(1)各分科会の協議内容について(中間報告)
(2)その他

出席委員

稲垣委員 大畠委員 橘委員 谷口委員 月山委員 辻委員 都村委員
中川委員 中谷委員 村田恭委員 村田溥委員 吉澤委員

配布資料

(1)『和歌山県人権施策基本方針分野別施策(中間案)』
(2)『人権侵害事件に係る差別事件処理について(案)』
(3)『人権侵害事件における加害者、被害者等への対応について(案)』
(4)『差別事件処理体制について』
(5)『差別事件の参考処理方法(市町村)』
(6)『「人権に関する県民意識調査」実施概要』
(7)『人権施策推進審議会の審議に関わっての要請』

内 容

委 員

本日は、分科会のご審議の結果の中間報告につきまして、ご審議を賜ります。その後、人権侵害事件の救済や意識調査の進行状況、民間団体から審議会に対して出された要望につきましても、各委員のご意見を頂戴したいと考えております。

なお、中間報告の審議は、各分科会毎に、報告が20分、審議が20分の計40分間、三つの分科会で、2時間ぐらいと予定しております。

それでは、第1分科会からご説明願います。

委 員

第1分科会では、資料にございますように、「女性の人権」、「障害者の人権」、「さまざまな人権」の3分野について、検討しました。内容等の細かい点につきましては、お目通し頂いていると思いますので、基本的な認識等についてご説明します。その後、ご意見等を頂きたいと思います。

まず、女性の人権ですけれども、議論の中では、例えば、男性との比較のようなことが、しばしば出てきました。その意味では、性別にとらわれずに、一人の人間として人権が尊重される社会づくりが目標であり、そのための男女共同参画社会への取組と考えました。それから女性の人権に対する侵害という問題は、人権に対する認識が深まる中で生じている問題であるとの認識のもと、まとめさせて頂いております。ですから、男性を基準として、男性とは異なるという形にしないように配慮をしたつもりです。もしかすると内容には、軽重があるかもしれません。全体の中で調整をしていただければと思っております。

次に、障害者の人権について説明させて頂きます。

例えば障害者には「身体障害」「知的障害」「精神障害」と色々な障害がありますが、それぞれの取組の経緯や内容については違いがあるように思います。

ここでは、個別に個々の障害という形での記述はしておりません。ただ、精神障害者につきましては、人権侵害の問題はかなり大きな問題としてあると思います。また、福祉等に精神障害者問題が入ってきたのも、最近だということもあります。その意味で侵害に対する取組が、緒につきつつあるという現状を考えて、精神障害者については、少し重みを置いて扱っております。この認識についてもご意見を頂きたいと思います。

それから呼称についてですが、「障害のある人」それから「障害者」のどちらにするかということも議論になりました。多くの法が障害者という形で記載されておりますので、それに合わせています。ただ、障害者と障害者以外という場合には、「障害のある人、ない人」という記述をさせて頂いております。

それから、後から気づいたことですが、障害児教育が今後は特別支援教育という形で行われ、対象範囲も少し広がりつつある中で、やはり県の計画において触れておく方が良いのではという印象を持っております。

教育問題が子どもの人権の中で取り上げられているのであれば、そこでも良いと思いますが、そのことについてもご意見を頂きたいと思います。

それから、さまざまな人権でございますが、どういう形でまとめるかということについて議論をいたしました。大きな項目として、「刑を終えて出所した人」、「野宿生活者」、「性同一性障害者」、「プライバシーの侵害」、「環境問題」の5つを項目立てしています。和歌山県の現状の中で、項目立てをした方が良いと思うものを取り上げています。もちろん、その他のその他というものもございます。例えば、アイヌの人々の人権問題、中国残留孤児やその家族の人権問題、あるいは遺伝子工学の進展に伴うさまざまな問題といったものを項目として取り上げる必要がある場合は、議論をする必要があると思っております。

また、刑を終えて出所した人の問題ですが、それに限定しないで、被疑者・被告人・受刑者も含めて扱っておりますし、プライバシー侵害についても、インターネットにおける差別事件や個人情報の流布なども含めています。そのような意味では、表題以上の内容を持たせて検討、あるいは取り上げております。

また、環境問題を一つの項目として取り上げていますが、環境問題というのは、環境が人権問題と非常に多くの部分で影響を持っているというか、ある意味では社会の基礎部分を形成するという意味から、場合によっては総論部分で取り上げて頂いた方が良い課題であるということも議論をいたしました。環境問題の議論をしていきますと、色々なところと関わって参ります。

つまり、人権が尊重される社会の基礎部分として、環境問題を取り上げるのであれば、総論で触れて頂いた方が全体を覆うという意味で良いのかなという議論もいたしております。

最後に、専門用語等の扱いや語句の統一等については、全体に関わることですから、その辺の意見も出たということだけを報告をさせて頂きます。

細かい部分については、お目通し頂いた中でのご意見を頂ければと思いますので非常に大まかな枠組というか、認識の問題という形で説明させて頂きました。

委 員

ありがとうございました。

第1分科会からご説明を頂きましたが、ご自由にご質問等を賜りたいと思います。

委 員

これだけまとめらて、非常にご苦労さまでした。

ただ、さまざまな人権につきましては、少し問題があると思います。つまり、5つを項目立てし、少しずつ一般論的に書くことが、施策であるのかという問題です。一つ一つを非常に簡潔に書かなくてはいけないことですが、それを項目として5、6つを並べた形で、審議会の答申とするには疑問があります。これは場合によっては、相当の議論をしなければならない。以前にも言いましたが、「行政の方針は何でも書いてある。」としておかなければならないと思います。そういう意味では、さまざまな人権も書く必要があるかもしれません。

例えば、プライバシーの侵害は非常に重要な問題で、各個人の遺伝情報が最大のプライバシーと言われています。遺伝情報が分かると、実にあらゆるところで大きな障害が起こります。新しい段階でのプライバシーは遺伝情報のことに触れないと、十分にプライバシーの侵害に触れたことにならないのではという問題があります。しかし、非常に難しい問題であり、十分に記述しきれない。遺伝子治療や遺伝子診断など、さまざまな問題もあります。

それから、環境問題も取り上げることは良いと思いますが、非常に一般論となっています。しかし、和歌山県では、例えば橋本のダイオキシン問題といった非常に重大な問題が起こっています。そういう問題に対し、県がどう対応したかという問題などがあります。

今、環境問題で我々の生活に非常に関係があるのは、ゴミをゼロにするというゼロ・エミッションの問題です。これは、各個人や各家庭の生活にまで関わる問題で、環境問題の突破口としては、取り組みやすい切り口ではないかと思います。地球温暖化と言っても非常に漠然としており、なかなか取り組みにくいわけです。ゼロ・エミッションの問題から、そういう環境までを取り上げるのなら、一般論は決して間違いだと思いませんが、一般論すぎるのではないか。あえて人権施策として取り上げる意味があるのかどうかという問題です。

それから遺伝子工学という言葉に、かなり引っかかります。遺伝子問題の技術的なごく一部を、遺伝子工学と言うと思います。もし、包括的に言えば、先端医療技術とかいう形になるのではないでしょうか。人工中絶の問題は、遺伝子工学に当然入るのではないし、それから、先端医療技術には、再生医療とか、たくさんあります。単に遺伝子工学ということだけに絞ると、医療と人権の問題のごく一部だけを取り上げることにしかならないと思います。

公権力による人権侵害については、ほとんど特別に取り上げていないという問題があります。刑務所での受刑者の人権問題が抜けています。しかし、それは大問題です。刑務所について言えば、それが大問題になるはずです。取り上げないか、それとも取り上げるのなら、具体化するのか、どちらかしかないと思います。ぜひ審議会で色々と議論をして頂きたいと思います。

それから、女性の人権の問題は、あらゆる方向からあらゆる生活、経済、社会の場面についての女性の人権を取り上げており良いのですが、重点がない。教育啓発をさまざまな面から取り上げていると思いますが、今の日本の現状では、決して男女同権が確立していると思いません。この状況をどこで突破していくかという問題があります。ポジティブアクションという問題を取り上げ、公職や議会に積極的に女性を登用することが、一つの突破口になるのではないかと考えます。そういう施策は見あたりませんが、県の施策でできることだと思います。県の条例を作って討議をすれば可能な方策であり、男女共同参画社会の突破口になり得ます。アメリカのアファーマティブアクションでは、黒人少数民族、マイノリティ、女性がその対象です。女性については、積極的に登用することが言われております。

障害者の呼称については、例えば精神障害者の場合、「精神の障害のある人々」となり、文章が冗長になります。この言葉使いは、検討の必要があります。ただ、英語ではピープル・ウイズ・ディアビリティーズとなり、障害のある人々という言葉です。障害のある人々という表現ですが、ここで全部を障害のある人と書き換えると、文章が冗長になるということと、また障害者という言葉にどれだけ差別的なニュアンスがあるかないかという点が大事ですが、障害者自身にとっても差別的な語感がなければ、障害者で良いのではないかという意見です。

委 員

ありがとうございます。

「障害者」との呼称については、色々ございますが、平成14年に国が出した障害者基本計画でも、障害者という言葉を使っており、その意味では、統一的に表現しても良いと思います。ただ、先程申し上げたように、障害者と健常者に分けることには問題がありますので、そのときだけ「障害のある人ない人」という書き方で通してございます。

それから女性の問題について、どこにウエイトを置くかについては、十分に議論できていない部分でございます。総花的というご指摘はそのとおりと思います。全体的にどこにウエイトを置くのか置かないのかというのは、審議会としてどうするかという議論の中で、方向性が決まってくる問題ではないかと認識をしています。

それから、その他の人権については、確かにご指摘のとおり、あるものを取り上げ、あるものを取り上げないという選択が非常に難しい。場合によると、項目でなく全体を文章化するという方法もあると思いますが、その場合でもその他という括りにすると深く踏み込めない。一つ一つ大きく取り上げるのも、全体が非常に大きなものになってしまう。その中で、第1分科会では、こういう案をまとめをさせて頂きました。方向性を示していただければ、議論はさせて頂くつもりでございます。

委 員 他に、ご質問・ご意見等ございませんか。
委 員 さまざまな人権のところですが、おっしゃったように最初はこれぐらいかなと思いながら項目立てをしました。しかし、拝見しますと、一つ一つの分量を多くして、分野別として個別に扱うべき問題という感じがします。特に、和歌山県の場合は自然と人間との共生をメインテーマとしているので、環境問題はむしろ正面から一つの項目として、取り上げた方が良いと感じます。プライバシーも性同一性障害もホームレスについても、今、非常に大きな問題として、社会問題化してきているということですが、特に和歌山県の場合は環境問題が非常に大きい。さまざまな人権となれば、何となく分量的に軽くなります。だから、さまざまな人権というこの部分については、委員がおっしゃったように、もっと大きくできないのかと思います。人権全体を考えるときに、それぞれの特徴を上げながら記述することに対し疑問に思ってきています。先程、お話があったように、全てが人権という観点からはつながっている問題と言えます。国連10年の場合でも、何となく行政の所管の在り方に習ったのかと思わないでもない。分野別の切り口で分けるのなら、刑を終えた人あるいはホームレスの人という形で、項目を増やしていく。あるいは、別の分け方をして、女性も障害者も子どもも環境の中でという意味での分け方をする。個別性はあまり強調せずに、共通不変の人権というような形で、つまり憲法第13条のように、個人の尊厳を大事にする視点を持つ。その個人の尊厳を女性の問題で傷を付けられた、子どもの問題で傷ついたというような形でいくならば、個別性の部分もさることながら、人権の共通性の部分の方が求められているのではないか思います。あまり小さく分けて、それに深く入ってしまうと、逆に全体を見失なわないかと思います。個別に分けるならば、さまざまな人権という名前ではなく、一つ一つを項目立てしても、他府県がどうであろうと、和歌山県の場合、かえってユニークで良いのではないか。確かに中途半端な形で終わり、その他という一括りの中にそれが出てくるような部分があるので、考えないといけない点と思っています。
委 員 ただ、我々は分野を一定のものに定め、その状態を基にしてスタートしているわけで、今までの過程の中でこの分け方が正しいかどうかというのは別にして、やはり分野別という形で進んでいかなければならないと思います。その点は、第1分科会でご検討を願ったことが基本になるだろうと思います。ただ、環境の問題については、総論的なところで強く触れていく、取り上げていく必要もあるのかもしれません。委員が先程からおっしゃったのも恐らくそういうことだと思います。
委 員 総論を強化して、それでカバーできるなら、基本的に総論部分でという意見ですが、総論部分を2、3回かけて討議すれば、各論との共通部分が明らかになり、各論の中で削るということが逆に出てくるかもしれない。ですから、今後の審議会は、総論をいかにつくるかということが重要だと思います。ただ、どうするかという点は、審議会でかなり真剣に討議しないといけません。始めからそういうことで進んできて、意見も突然ですから。
委 員 私も第1分科会の委員として、お話をさせてもらったのですが、その中で環境問題の扱いについては困りました。人権という観点から環境問題を扱うのは、大きすぎるのではないかということで、かなりの時間を費やしました。今、総論部分でまとめようと言われましたが、環境問題を総論という形に当てはめてしまえば、総論イコール理念という形になってしまい、具体的にどうするのかという分科会で討議することが置き去りになるのではないかと思います。このことについては時間をかけていく必要がある思います。今のお話を聞きながら、第1分科会で議論しながら進めていく中で置き去りにした部分は、ご指摘を受けたと思いながらお聞きしておりました。
委 員 確かに、環境問題として取り上げた場合、施策に入っていくときに、どの立場からということが非常に問題かもしれません。
委 員 橋本の環境問題等についても色々と意見が出まして、かなりの時間を割いたのですが、まだまだ議論しなければいけないという思いでおります。
委 員 環境問題を、もしこういう形で扱うのなら、生活環境というふうに頭に何か付ける必要があるかもしれません。そうすると、限定されるが、まとめやすい。理念的なものを含めて、総論では環境問題の大切さということに触れて頂き、ここでは少し限定的に問題を取り上げるということもあるのかなと思います。
委 員 実は、私、環境問題と人権ということで、本を1冊書いているのですが、環境問題と人権というのは、そのくらい色々な問題があり、本当は扱いにくいです。それで、人間と自然に対する根本的なこれは難しい哲学、もの凄く難しい問題なのですが、そのことを抜きに環境問題は本当は論じられないわけです。例えば、人間が環境を汚染したのではないかという意見がありますが、今後それを回復して、人間と自然の共生を成しとげるのにはどうしたらいいかというのは難しい問題で、ある人によれば人類の滅亡ということにまでなる。環境問題は、それくらい深く大きな問題であり、本当は、総論部分で環境問題は人権と非常に深い関係があるということだけを指摘し、もし本当に取り上げるのなら、別途20ページも30ページもかけた文章としてまとめるべきだと思います。
委 員 先程、障害児について意見がありましたが、障害のある人の成長段階に応じて、障害児であり、壮年を過ごし、そして加齢すると高齢者問題と重なってくる部分がありますが、その間を切れ目のないような配慮が必要ではないでしょうか。障害児は、子どもの問題である、あるいは別に高齢者の問題があるということではなく、障害を持っているということにおける成長段階における色々な人権問題との意識を持ち、切れ目のないような捉え方に気を付けて頂きたいと思います。
委 員

障害者の人権について、今もご指摘があった教育ですが、これだけ読むと、いわゆる統合教育との関係で、個別教育というか分離教育を意識しているようにも読めるのです。読み方によると、統合教育ではなく、障害児は障害児として分離して教育するというような読み方に読めなくもない。色々、議論があるところですが、どういう議論でこういう表現になったのかということが良く分からないので、いわゆる統合教育というのか、あるいは個別の希望に応じて、普通学級なり一般の学校で、共に学んでいこうということになるでしょうか。この表現を読んだときに、どうなのかなというのが若干引っかかった点であります。

それからもう一つは、同じく障害者の人権で、「ノーマライゼーション」の定義は書いてありますが、「リハビリテーション」については定義が書いていません。県民が読んだときに、「リハビリテーション」と言って分かるのでしょうか。私も、この審議会で障害者の人権を勉強したときに、「リハビリテーション」について勉強させて頂きました。「ノーマライゼーション」は以前から知っていましたが、「リハビリテーション」は、この審議会で勉強しました。「リハビリテーション」という言葉を説明なしに示すのは難しくないでしょうか。あと、「社会的入院」も何なのかというのが県民が読んで分かるでしょうか。一般の人を対象にした文章であれば、定義を書くか、あるいは前後で分かるようにした方が良いと思います。

それから、さまざまな人権については、先程から議論されていますが、私は環境問題は総論で少し触れるか、あるいは詳しくするかのどちらかだと考えています。また、刑を終えて出所した人のところで、被疑者、被告人の部分の表現が気にかかります。「被告人には国選弁護権や迅速な裁判を受ける権利などが保障されています。」とありますが、「国選弁護権がある」のは、現在の制度がそうだというだけのことであり、それから「迅速な裁判を受ける権利などが保障されています。」というのは、逆に拙速裁判ですぐ簡単に有罪にしてしまうということもある。丁寧に争うべき事件は争うという機会を保障すべきでないかと思うこともあります。今の司法改革の流れは、とにかく早くということで「みな有罪にしてしまえ。」というような風潮が見られる。迅速な裁判を受ける権利を、そういう形で入れることには非常に抵抗があります。どちらにしても「被疑者、被告人はこうです。」というのは「そうである」と書いてあるだけで、果たしてさまざまな人権として、この中に盛り込むような話なのかどうか検討する必要があります。

それから野宿生活者についても現状を書いた後に、「地域における野宿生活者の実情に応じ、必要な取組を図ります。」とありますが、必要な取組は何かということが問題ではないかと思っています。しかし、それで良いとも思いますし、それはさまざまな人権をどう取り上げるかとの兼ね合いになるので、検討して頂いたらと思っております。

委 員

障害者の教育の問題については、先程も触れましたが、障害児教育についてここではきちんと受け止めていません。これをどこかで示す必要があると思います。統合教育かどうかについては議論のあるところですが、確かに就学指導システムも変わり、障害施行令22条3の別表にある障害者規定も変わり、色々と変化がございます。先程申し上げた、特別支援教育という言い方は、通常学級の中で、学習障害や注意欠陥・多動性障害、高機能自閉症を持った児童を教育するという文脈の中で、軽度障害児もそこで教育をしながら、特別支援学級みたいなものを別に作っていこうという考え方が、最近示されていますので、そのことを織り込んでいく必要があると思います。

それから、今の盲学校・聾学校、それから養護学校等についても地域のセンター的役割というのが非常に強調されていて、そこで教育を受ける子もいれば、そこの先生方が地域の学校の障害児教育を指導していくという方向も考えなくてはいけないという方針が出されています。それは言葉としては特別支援教育ということで理解ができますが、それを盛り込みたいと思ってます。そうすると、先生がおっしゃることは解消できると思っております。

用語は、多分、他の分野でも出てくるだろうと思います。障害者の問題では「ノーマライゼーション」は説明ができるから文章に含めようということになっています。「リハビリテーション」や「社会的入院」といった用語の説明は、どこかでしなくてはいけない。どの程度説明するのかは、全体のバランスの中で処理していかざる得ないかと思います。文章の中で説明できるようであれば、そこで説明しますが、そういう意味で外しています。

委 員 さまざまな人権の中の「刑を終えて出所した人」という項目の中で、被疑者、被告人や受刑者について、何も触れなくて良いのかということで、このような文言が入ったわけですが、これだけを読んでみますと、被告人には国選弁護権や迅速な裁判を受ける権利が憲法上保障されているけれども、実質はそうではないということを書かないと意味がないと気づきました。書いているのは、そういう意味です。
委 員 用語の説明についてですが、用語の説明も事務局任せではなく、審議会で良いかどうかということについても一緒に討議できるような形で進めたい。例えば「リハビリテーション」の定義も、WHOが20年程前に出した定義があり、恐らくそれを「トータル・リハビリテーション」と呼んでいるのかも分かりませんが、きちんとした形で検討していく。特に、女性の人権は読んでいくと、一般的に片仮名が多い。それで少し意図的に見せてもらっていたのですが、この案は非常に片仮名が少ない。片仮名だけで女性の人権を語れる程、片仮名ばかりが出て、現実にはみんなが理解できない。それを片仮名のままで受け入れるのかどうかというところまで来ているとしたら、県民の方に見て頂くときには、文章からは専門用語をできるだけ排除しなければいけない。説明そのものも分かる形で説明する必要がある。本文へは、必要でない片仮名を排除しておくことが必要だが、本当に必要な場合には用語の説明自体を審議をしたものでないといけない。特に、こういったところは、事務局任せにしてしまい、突然(注)が出てくるだけでということになるので、どのような形であれ、全員に分かるような形を取ることが必要と思いました。
委 員 例えば、「社会的入院」について、委員に色々教えて頂いている間に、「社会的入院」が和歌山の場合非常に多いことや、人権につながる非常に大きな問題だということを認識しました。「社会的入院」という言葉一つを取っても、それ自身が人権につながる大きな問題だと思いますし、そういう意味では用語の取り扱いについては、十分注意しなければいけないと思います。ともに作りながら、啓発的な意味合いを持ち得ないようなものになる恐れがあるかと思います。
委 員 具体的な話になりますが、「社会的入院」という言葉に関しては、これを載せてしまうと、この用語を肯定したことになると思います。「社会的入院」を今の社会福祉や医療の現場では、なくしていこうということが大前提にあり、「ノーマライゼーション」、「リハビリテーション」の推進となっています。この用語をこう使うのではなく、必要あれば「その介護のためやむなく入院している」とかにすべきではないかと思います。
委 員 「社会的入院」は、国も、障害者基本計画の中で、「全国に7万2千人の社会的入院」という言葉を使っています。「社会的入院」というのは、精神科病院の中で入院している人が、病気は治っているのに、地域に帰りたくても帰れない。家に引き取られない。また、地域での受け皿としての社会施設がないということで、「社会的入院」ということを言っています。ですから、これも用語説明のようなものを作っていく中で、理解を得た上で進めていかないと、その意味が分からなくなるという思いがします。
委 員 「社会的入院」に関して、法的に使用されていることはご説明頂いたとおりだと思いますが、この行為自体をなくしていこうという動きを私達が作っていくのであれば、それが専門用語であるということで詳細に説明して良いのだろうかということの議論が十分にされるべきことではないかと思います。恐らく分科会では、検討の結果、法的、公的に使われている専門用語であるということで載せているのではないかと思いますが、それがあたかも専門的な言葉であるということで容認されるという時期は、過ぎていかなくてはならないと思っています。
委 員 当然のこととして使っている用語は、一つの典型的な言葉となっているので、使った方が手短に表現できるという点はあるかと思いますが、それを使うことが将来のために良いかどうかについては、多いに検討しなければいけないと思います。
委 員 今の問題を含め、用語については、一度議論する必要があると思います。文章の中で説明できる、あるいは別の文章に変えることができる部分があるかもしれない。そうではなく、専門用語を使った方が分かりやすいということもあるでしょう。それは、最終の整理で検討し直さないといけないと思います。
委 員

今のお話について、問題を変革しようとしているということを含め、用語の説明の中で書き込むということも、どうだろうかと思います。

例えばバリアフリーという言葉の説明で言えば、今は、ユニバーサルデザインというようなこと、総合的にやろうということも提唱されていると用語の中で説明できる。

専門用語の使用については、二つの流れがあり、一つは、専門用語を積極的に使用し、分からないから勉強するのが良いという流れと、出来るだけ、インフォームドコンセントを納得診療というふうに言い変えた方が良いという流れがあると思います。中を取るようですが、用語説明の中でも、多少の疑問や提言、現状を示すことができる用語解説があれば良いと思います。

委 員

第1分科会からご説明頂きました。熱心にご作成頂きました報告、補足的にご説明頂いた事項、それから各委員から出た意見をまとめて、どう活かしていくかということは、後でお諮りしたいと思います。

今日は中間報告ということでございますので、第2分科会に移らせて頂きたいと思います。よろしくお願いします。

委 員

第2分科会は各テーマ毎に座長を決めて討議しましたので、報告も3人で行います。

同和問題は、私が座長になって、事務局と共同で作った文章であります。

趣旨としては、行政が発表した文章の範囲内で、少なくとも私が良いだろうと思う範囲の文章になっております。

だから、そういう意味では、いわゆる行政、つまり国、県が発表した文章の大枠からは決して外れておりません。

ただ、同和問題というと、同対審答申が良く言われますが、そうではなく、同対審の30数年の実績を得て出された地対協意見具申というのがあり、実はこれは非常に重要な文書なのです。その要点を少し説明しますと、つまり、一つは、差別のある限り同和行政は続くということです。もう一つ、注目すべきことは、前文に「同和問題を含めて人権問題を解決することは国際的な責務である。」と、非常に積極的に定義しているところです。それから、もう一つは、人権侵害の被害の救済という問題に、かなり重点を置いているということです。

大体、これの下敷きになる考え方は、人権侵害の問題を総合的に施策としてするためには、一つは、教育啓発が重要であるということです。これは、いずれにしても基本です。

それから悪質な差別については、例えば、障害者基本法の中に差別禁止の原則を盛り込んだというふうに、差別を法的に規制するということです。法律で禁止できない差別もたくさんありますけれども、それはともかく、法的規制をすれば、これは明らかに国の意思として、また、社会の意思として許されがたいことだということが非常に明確になります。

それともう一つは、やはり、人権侵害の被害救済です。この三つが揃わないと、人権の確立といいますか、人権の被害を救えないという考えが前提にあります。

もう一つ言えば、特別措置です。特別措置とは、国際的には非常に認められていて、重要です。どうしても、一般の施策では解決ができないときに、特別措置を行うというのは、今、私が申し上げた三つの施策にプラスされるわけです。究極目標は、結局、共生の社会、人と人との共生、人と自然との共生ということです。そういうことが、全体の人権であると思っております。

それはともかく、特に同和問題には結婚差別と就職差別、それから今までほとんど触れられてこなかった土地差別があります。この基礎にあるもの、なぜ、その解決が遅れているのかというのは、結婚・就職・土地差別、どの問題にも市民の非常に強い忌避意識があるということです。そして、法的規制の問題も若干必要だということに触れてきていると同時に、被害の救済、人権救済を非常に大きく捉えています。

だから、今や人権救済は、県及び国の行政の一つの人権問題の中心課題になっているという点を、非常に、はっきりした方が良いのです。これは同和問題に限りません。多分、色々な人権侵害の問題、全部、そういうことになると思います。

土地差別ということは、実は非常にたくさんあるのです。私も若干、事例を知っていますけれども、これはほとんど、公式に取り上げていないわけです。事務局とも色々討議をしまして、やはり、今の段階では、少し飛躍し過ぎているので、地区の土地に対する差別という問題があるということの指摘に留めております。大体、全体的な内容は、そういうふうなことになっています。以上です。

委 員

子どもの人権は私の担当です。

分科会の議論としては、出来るだけ抽象的、総花的な記述を避けて、ある程度、ポイントを絞ってすればどうかという議論が出まして、一つは、やはり今、一番問題になっている児童虐待、今後も恐らく、増加していって問題になるであろう児童虐待というところに焦点を置いて、それの原因といいますか、どうしてそうなっているのかという分析と、それに対する対策についてある程度、具体的に述べるということをしています。

それから二つ目は、子どもの人権を論ずる際の基本的な視点としては、やはり、児童の権利に関する条約に書かれていますように、子どもも権利行使主体だということと、子どもの最善の利益を確保するために、子どもには意見表明権があるということです。これは、ご承知のとおり、大人の人権の中にはありません。子どもの意見表明権は、子どもの独特な権利として規定されてまして、子どもの成長を保障するための権利です。同時に、その表現を変えれば、子どもの参加、あるいは参画という点があります。その辺の基本的な視点をはっきりと置いて、議論していこうという、そういう二つのポイントを置いて、論述をしています。

現状と課題では、その辺の二つのポイントについて触れています。なお、最近、問題になっています少年非行の問題、それから子どもが被害者になる事件が非常に増えていますので、その辺の最近の新しい論点についても、あくまで子どもの人権という観点から触れているということです。

基本的な方向についても、同様に、子どもが大人と同じ人権の共有主体であって、子どもには意見表明権と参加する権利があるということを基本的な視点に置いて、問題に取り組んでいこうということにしています。

次に基本的な取組ですけれども、先程の二つのポイントに添って、まず、一つ目は児童虐待への取組を書いています。これも、どうしても抽象的な議論になるのですけれども、私自身は、「教育啓発をする」と書いてしまうと、それで全部終わって、かつ、それで何でもしてしまったようなアリバイ的な文章になると思っていますので、出来るだけ、「教育啓発をする」ということだけで終わらせるのではなくて、具体的なことを書きたいと思っていましたので、児童虐待に対応するために、例えば「児童福祉司とか、心理判定員などの専門職員の増員を図る」とか、「保護者へのカウンセリングを充実させる」とかの具体的な表現で、県がこれから子どもの人権について取り組むべき方針を打ち出したつもりです。

それから、単に児童虐待が起きてからの対応だけではなくて、その防止のためにどうするのかということと、児童虐待を受けた子ども達を含めた児童養護施設に入る子ども達のケアという意味での児童養護施設での人権擁護ということも書いています。

それから、児童虐待の防止にもなり、少年非行の防止にもなるという意味で、幼児期・乳幼児期からの子育てについて何が大事かという観点から、子育てに関する問題点をどのようにクリアしていくのかということでの幾つかの対応や取組について、ある程度、具体的に書いています。

家庭内の子育て以外、例えば、学校や地域の場面での子どもの人権の侵害に対して、どのように対応、あるいは、どのような取組が必要かということで、学校や地域での問題点、それに対しての具体的な対策・対応について、幾つかの項目を上げて書いています。

最後に子どもの人権救済機関の設置ということですが、子どもは大人と違って、自分が被害者になったときに、どこに、どのように相談をすれば良いのかが分かりません。大人であれば、「警察に言う」「どこに言えば良い」「どこに相談をすれば良い」というのが、ある程度、自分で判断が付くのですけれど、子どもの場合は、それができないということで、子ども独特のそういう問題があろうということで、この点については、今後の取組の中の課題として、子どものための人権救済機関の設置も含めて何らかの対応が必要となるという意味で、本当は「設置をする」と書きたいところですが、そこまで書けないので、「検討する」としています。以上です。

委 員

続きまして、ハンセン病、HIV感染者等の人権についてにつきまして、ご説明申し上げます。

始めに、2月の第7回審議会だったと思うのですが、その席でも、かなり、表題についてもご意見が出されました。だから今回も私共は、内容の協議の前に、分野として取り上げる範囲について、色々、審議会の雰囲気も踏まえながら考えました。

結論といたしましては、範囲を広げると取り上げる内容が多くなり過ぎて、焦点がぼやけてしまう。そして、患者とか医療を全般、あるいは難病とするのであれば、それぞれの分野での現状や課題などについてより的確に押さえる必要があり、やはり、本分科会では、より焦点を絞った、特定の病について取り上げる方が良いだろうと結論付けて進みました。

まず、ハンセン病につきましては、「県は救らい県として、独自の取組を行ってきた。」、「国や地方行政の誤った政策により、偏見や差別が全国的に広がった。」、「このような誤りに対しては、平成8年、平成13年の判決以来、行政が謝罪を行い被害者の名誉挽回や社会復帰が進められているが、偏見や差別の解消、あるいは、社会復帰のためには残された課題は多くて、更に取組を進める必要がある。」、「特に患者だけではなく、家族にまで厳しい差別が及んだことから、患者は社会からの隔離に加え、家族からも遠ざけられるという厳しい二重の偏見にさらされていて、そして、それは現在も完全に解消されたかどうかは難しいのではないか。」という意見が出されました。

それから二つ目のHIV感染者につきましては、「世界的には感染者が増加の傾向にある。」、「日本では、薬害により感染者が表面化した。」、「もう、死病であるというような誤った知識により、大きな差別が発生した。」、「現在では、かなり色々な知識が広がって来ているけれども、逆に、性行為による感染がほとんどになって、特に若者の感染者が多くなっている。」、先程、女性の人権のところでも触れられていましたが、「そういう性感染の一つとして、あるいは母子感染というようなことまで、考えを及ぼしていかなくてはならないのではないか。」、そういう意味で、「若い人への教育、啓発が今、非常に急がれているのではないか。」という意見が出されました。

それから三つ目のその他の感染症につきましては、広がりというか、言外のものも入れなければならないということで、ハンセン病、HIV感染者の後ろへ“等”という字を入れさせて頂きました。そういうことで、その他の感染症では医療技術の進歩により、過去においてさまざまな感染症が克服されて来たが、輸入感染症など、新たな感染症への懸念も常にあるのではないかということを話し合いました。

それから4つ目の難病につきましては、法的に指定されるということがありますが、これも病気の困難さに加えて、ときには偏見や差別が存在するということや難病の定義ということも法的という意味であるけれども、やはり、そこには人権という視点を忘れてはならないということを話し合いました。

そして、基本的方向あるいは、その次の取組については、やはり、発生の予防、それから患者の人権を尊重するということを基本にしなければならないのは、当然でございます。そして、それには三つの柱というものを持って、施策を推進していかなくてはならないのではないかということです。

その一つは、正しい知識・理解の普及・啓発によって、疾病の発生予防に力を入れなければならない。それと共に、誤った知識による差別や偏見の防止のための普及、啓発、教育活動に力を入れなければならないということです。

そして二つ目には、良質かつ適切な医療の提供、患者の人権を尊重した医療の提供です。病院のたらい回しなどが良く報じられることもありますが、そういうことは絶対にあってはならない。それから疾病の克服を目指した研究の推進、インフォームド・コンセントの普及については、単に医師等などからの適切な説明という意味ではなくて、患者が納得の上で、治療内容を選択、決定できなくてはならないという具体的な現場での取組を進めるようなことが必要だという意見も出されました。

そして、三つ目の相談・支援体制の整備では、患者の在宅療養の支援、医療機関の確保、患者の家族への支援としました。同和問題のときでも、救済と言うところまでいかないと本当ではないということもありましたが、今回は、支援というまとめをさせて頂きました。以上でございます。

委 員

はい。ありがとうございました。

それぞれの委員から非常に詳しいご説明を頂きましたけれども、順繰りに、まず、同和問題について、ご意見があればお聞かせ頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

委員:同和問題のところで出てきます、いわゆる「土地に対する差別」ということですが、今までの同和問題を語っていく中でいうと、割合に使われていない用語であり、その内容を理解していただけるかどうかということがあります。

つまり、「土地差別」というような形で書いた場合に、特に、全体の中でいうと用語なり、内容なりについて新しいことなので、内容を理解していただけるかどうかということです。私は同じ分科会でしたので、分科会の中ではその内容は分かっているのですが、このような形の表現のままでよろしいのかどうかということをお聞きしたいと思います。

委 員 土地に対する差別ということで、今、良く問題になるのは、「土地によって価格などが違ってくることもある。」あるいは、「地区指定による色々な弊害がある。」ということです。
この「土地差別」というときの土地とは、どのようなことを概念にして言われているのでしょうか。
委 員 端的に言えば、同和地区ということです。
委 員 地区ということですか。特に、行政が行った地区指定の指定ということを言われているのでしょうか。
委 員

地域の人々は、大体、同和地区だと知っているのですが、申請しないところもありますから、行政の対象にならなかった場合もあります。歴史的には同和地区なのですけれども、色々な事情で申請しないところがありますが、周りの人は、知っているのではないかと思います。要するに忌避なので、はっきり言えば、「向こうはあのようなところだ。買っても値上がりはしない。」、また、「間違って買ったら売るときに売れない。」ということです。

それから地価の統計を見ますと、ここが大きく下がっているのです。

一般の値段で買うのは、何かの事情で行政が買うときだけです。行政が差別をしたら駄目なので、一般の人と同じ評価額で買うと思います。

しかし、なぜか土地に関わる差別と言うことは問題になっていないのです。和歌山県の文書でも見たことがありません。国もほとんどないです。しかも、いわゆる運動団体でも、あまり問題にしていませんでしたが、最近、問題にしてきています。

委 員 おっしゃっている中身は良く分かりますが、それを「土地に対する差別」という言葉、もしくは、「土地差別」という言葉だけでは、多分、理解してもらえないと思います。先程のご報告の中で、「このことにあまり踏む込むと・・・。」というご趣旨のことをおっしゃったようにも思うのですが、どこかで調整して頂いて、ある程度、中身をご説明した方がよろしいのではないでしょうか。
委 員 実は、もう少し詳しく書いてあったのですけれども、県は乗り気でなく、できれば削除して欲しいという気持ちでした。削除することは具合が悪いので、一行か二行を書いたということです。やはり、これは調整をする必要があります。確かに、この一行では分かりにくいです。
委 員 要するに実態調査をしていないということでしょう。実態調査として統計を取っているわけでもなく、現実に、同和地区の価格は幾らで、隣の価格は幾らであるという数字的なものが出ていないということです。
委 員

それは、調査をすれば良いのではないかと言っているのですが、あまり乗り気でないみたいです。調査も難しい面があるのですが。恐らく、不動産業者の聞き取りを相当しなくてはならない。本当のところ業者も正直に言うかどうか分かりません。また、どのような項目・方法ということは、かなり難しい。その筋の専門家が行ったことはありますけれども、聞いて研究しないといけない。

本当は、「このような問題があって実態調査から始めるべきである。」ぐらいの表現にすべきなのですが、やはり、県の施策ですから、現状から大きく飛躍するというのも、私もどうかと思いますので、できれば、そのような問題を示唆するか、削除するかのどちらでも良いと思います。

委 員

土地差別という表現は色々な受け取り方があります。実際、土地差別という表現で、ここに書くということについては、一応、わからないこともないですが、何を言わんとするためにこのような表現をされたのですか。

例えば、実態調査をすることについてでも、するべきだという意見もあれば、してもどれだけの意味があるかということの異論もあります。はっきり言って、何を意図して土地差別という表現をされたのかを、良く掴みにくいということなのですが。

委 員

外国などで部落マイノリティの話をしますと、土地と人、つまり「特定の親から生まれたということか。」、それとも「特定の土地に生まれたということなのか。」と念を押しにくる部分があるのです。そうだと言わざるを得ない部分で、特定の親から生まれて、それを世襲するという制度を作って、ずっと下へ行くから、やはり、特定の親から生まれたということが一つあります。

それから、それは割合にマイノリティの形で、日本では、それをずっと分かって頂いていますが、特定の地域にというのは、そうでありながら、割合語られないできています。特定の地域だから、そこに生まれ育った人、それから、そこに昔生まれて育って、途中どこかへ抜け出したとしても、その生まれた土地という形の差別が、忌避の形で付きまとっていきます。

だから、その土地自体の地価も安いという形のものは、ずっと続いているが、あまり、土地というようなことは言わないです。部落マイノリティという、こういう地域差別という言葉は、そのまま使って出てくるのですが、その土地の問題というのは、あらゆる本に出てくる中からいうと初めての言葉かもしれません。

だから、そのような形のところを、現実に必要な部分をどのようにして分かって頂くための表現としていくかということかなと思います。

委 員 例えば、結婚差別とか就職差別とかいうのは、血の問題、土地の問題から発生した現象を捉えて言っているわけです。土地差別は、土地の価格とかの現象をさして言われているご意見もありますけれども、先程から伺っていれば、そうでもないような感じがします。この結婚差別、就職差別、並びに土地差別と並列的に並べる場合に、誤解が生じるのではないのかという感じがします。これは私の間違いでしょうか。
委 員

近畿大学の奥田教授が、「土地差別に関する研究」という本の中で、土地差別という言葉を使っています。

例えば、大阪のある村に古い碑が建っていまして、その碑には、「この部落の人は、その碑から外へ出たらいけない。」と書いてあるわけです。

それから私は、インドの問題を随分、研究しました。インドの不可触民というのが、一定の地域に住んでいるのです。その地域の対極、200mのところにバラモンの村がありますが、そことの交流は、一生ないのです。だから結局、インドを見ると非常に良く分かるのですけれども、社会的な差別が地域の差別として、まさに土地差別として、厳然として存在しているということです。

日本の場合は、話題にしないし、一般の人は分かりません。実際問題、普通に歩いていたら、家が綺麗になっており分かりませんが、やはりそういう土地の売買になると出てくるのです。何となしに出てくるのです。知らない人が行って、これは非常に安いから、買おうといって、調べるわけです。すると、そこが部落の土地だと分かります。だから買わないとなるわけです。

そのことが、初めて出てきているので、少し、複雑でやっかいです。ただ、私としては、少しでも出しておきたいという気はあるのですけれども、初めての問題ですから、いずれにしても色々と問題が起こると思います。

委 員

どのような表現がふさわしいのかは、分かりませんけれど、現実に町名変更という際、つまり、旧何々が新何々という広い範囲に町名が一つになる場合に、「旧何々と同じ町名になることは反対である。」、最終的には「地価が下がる。」とかいう問題があるのです。飛び地登録みたいに一カ所だけ違う町名になってしまったということもあります。

人口密集地では、区画がもっと整理されて、町名も変わっていくときに、「町名変更に反対する。」、要するに「旧差別された地域と同じ町名になることを拒否する。」という現状が既にありますから、何かの形で記述されるというのは、私は良いのではないかなと思います。現に、凄い問題が起きているところがありますから、それは大切であると思いますが、どのような表現が良いのかは、まだ少し、勉強不足です。

委 員

このような考え方を取り入れていくことが、やはり必要だという、ご意見ですね。

他に何か。

委 員 私の素朴な疑問なのですけれども、「少子高齢化を踏まえた健康増進や衛生についての普及・啓発や食生活習慣の改善指導など、地域住民の健康の保持及び増進に努めます。」とあります。私は、初めてこのことを知ったのですが、増進するということですから、現に、色々と積極的に食生活から改善されるということだと思いますが、もし私がこの当事者でしたら、「お節介なこと止めてよ。」という思いをふとしました。私の見解の相違なのかもしれませんが、これこそ、差別ではなかろうかと思うのです。健常者と障害者と地区の方と、どのように違うのかをお聞きしたいと思います。以上です。
事務局 生活習慣の改善指導という表現は聞きようによりますと、非常に低次元な表現になるかも分かりませんけれども、健康の保持増進ということは、まず、食べ物からしかないのです。病気の予防、自分の健康は自分で守るという第一の方法は、食生活の改善から取り組むより他はないと考えているのです。そのようなことで、従来からこのような表現で書いてきていますが、今の時期、この表現で良いのかという疑問も、確かに事務局で持ちました。しかし、やはり、健康を守るという観点で、一番大事なのは、食生活を重視するということで、これは同和地区の人だけに限ったことではなしに一般的に言われていることですが。
委 員 そこのところが今のご意見だと思うのですが。
委 員 健康の状況について課題があるということで、今のところ来ていますので、なお、一層このようなことに気を付けるべきであるという観点で、この文章を残しましたけれども、この時期、このようなことまで、強調しなくても良いのではというご意見を頂きましたので、もう一度検討したいと思います。
委 員

他に、ございませんか。今のご意見については、分科会としても考えるということでお願いします。

次の子どもの人権について、ご質問、ご意見等を賜りたいと思います。

委 員 子どもの人権について、分科会では、問題を二つ三つに絞りましたが、その点について、何か問題があるのではないかという点のご指摘があれば、特にありがたいと思います。
委 員

基本的には、このようなことなのかなと思います。例えば、児童虐待への取組は、確かに、現代的に非常に大きな課題ではあるけれども、これだけなのかなというのはあります。

だから、今の問題としてこのような問題があり、それに対して一定のことをしなくてはいけない。これを一つのサンプルと捉えるのか、あるいは県として、ここに非常に力を入れていくのかという辺が、少し、どうなのかなと思います。

それから、もう一つは、他との絡みで言うと、非常に具体的なのですが、ただ、例えば、虐待防止云々ということに対して、児童相談所の人を増やしたから、それで解決するという問題でもなかろうという、感じはしなくもないです。職員の質的な向上も当然あるでしょうし、あるいは、多様な人材を活用してということもあるでしょう。そういう意味で言うと、あまり具体的に書き過ぎてしまうと、「これだけですか」みたいなことで、受け取られる感じがします。そのような感じが、幾つかあります。例えば、心理療法担当職員の配置ですが、これも必要なのは分かりますが、これで終わる問題ではないだろうと感じます。その意味で、具体性ということと、大きな施策の方向ということとの関連が、少し気になりました。

委 員

ある意味からすれば、もう少し方向性といいますか、一般化した捉え方、あるいは、打ち出し方ということが考えられないかというご意見ですけれども、その点についての分科会としてのご検討の結果を教えていただければと思いますが。

委員:おっしゃるとおりで、この審議会が出す方針の趣旨からして、基本的な取組ですから、例えば、児童相談所のレベルで言えば、「児童相談所の体制を強化する」になると思うのです。そうすれば、一番、良いわけです。

ただ、「児童相談所の体制を強化する」とすると、「そしたら何なのよ。」、つまり、本気になって県がその問題に取り組むとしたら、一体、それは何なのよということになるかと思うのです。今のご意見のとおり、数だけ増やせば良いわけでは、決してないのです。

ただ、一般的、全国レベルでの児童相談所の体制強化としては、「専門職を増員する」と、「児童虐待対応専門班みたいな、独立した部署を設ける」という二つの流れがあります。両方を行っているところもあるのですけれども、和歌山県の規模から言うと、児童虐待対応専門班を設ける程でもないけれども、今、一番不足しているのは、人員的なものなのです。児童虐待は、ここ1、2年だけの問題ではなかろう、決してここ当面ということでなくて、今後も児童虐待は増えるだろうということです。そうだとすると、児童相談所の体制強化としては、そういうことかなということで書いてありますし、その辺は、書き方の問題で、先程のご意見のようなことは十分あろうかと思いますので、それは、どちらが良いかということで、ご指摘を頂ければ良いかなという気がします。

ただ、先程、申し上げましたように、せっかく、県がそういう書面を出して、方向性を打ち出す以上は、ある程度、それが具体化して実現するところにつなげる必要性もあると思うので、そういう意味で、意識して書けるところは書いているという趣旨でございます。

委 員 子どもの現状を捉える場合に、飛躍的に児童虐待が増えています。社会の子どもをめぐる状況を一番、象徴的に捉えるには、やはり、この問題を取り上げた方が、現状の分析としては、適切であるという問題意識で討議しました。
委 員 サンプルかなという言い方をしたのは、そういう意味で、子どもの人権問題は、これが全てということではありません。一つのサンプルとして取り上げたときに、こういう対応があり、それが虐待そのもの以外の子どもの色々な問題についても、こういう形で対応できます、ということが見えないといけません。これだけを取り上げてしまうという格好にならないかということです。その意味で「一つのサンプルでしょうね。」という言い方をさせて頂いたのですけれども。
委 員

子どもの方で、最後の人権救済のところを一つだけお聞きしますけれども、「第三者機関の設置が必要となります。」とありますが、この第三者機関の設置とはどういうものを指されるのか、ご説明ください。

それから、「この動向を踏まえながら県においても関係機関と連携した迅速な対応に努めます。」ということとの関係もあるのかなと思うのですが、その辺りのご説明をお願いします。

委 員

今、他の都道府県で、二つの動きがあります。

一つは、子どもの人権オンブズパーソンというような第三者機関の制度を設けて、県とか市町村レベルで何人かのオンブズパーソンを委嘱して、そこが被害の相談を受け付けて、調査をして、勧告とかをしていくというシステムを導入している都道府県です。

もう一つは、子どもの人権擁護委員という、これも、いわゆる国レベルの人権擁護委員とは別に、例えば、東京都もあると思いますけれども、子どもの人権擁護委員というのを委嘱して、そこが同じように相談を受け付けて、勧告したりということを行ったりしているところです。そういう動きが、今、全国の都道府県や市町村レベルではあります。

それは、先程、申し上げたように、子どもの人権を侵害するケースというのは、色々な場面があって、例えば学校もあるし、養護施設もあるし、色々な場面があって、公権力との絡みでも出てくるので、そういう意味で、人権オンブズパーソンとか、子どもの人権擁護委員みたいな、県なり市町村が委嘱する外部の委員からなる第三者機関があります。実際、動きは広がっているので、どれが良いかということは別として、そういうような制度を考える必要があるのではないかという意味でございます。

委 員 先程のご質問は、法務局の人権擁護委員会の中にもあるということをおっしゃっているのですか。その点をご意見として、触れて頂いたらどうでしょうか。
委 員

相談窓口というのは、色々あると思うのですが、勧告までできるというところは、少ないかなと思うのです。だから、第三者機関が勧告、あるいは斡旋、仲裁をどこまでできるかという問題があろうと思います。今、国の方の人権擁護法案で議論されるところにも、第三者機関がどこまでの権限があって、どこまでするかということがあるわけです。

また、事務局の体制とか、色々な問題が出てくると思うのですけども、これも非常に難しい問題なのです。ただ、今、どの程度のどういうものを頭に置いておられるのかということで、子どもの人権オンブズパーソンとかも、どういうような概念のものを考えておられるというのはあれですけれども、これは、これからの問題で、難しい問題だと思います。

委 員 そういうことを検討するというレベルです。
委 員

法務局の人権擁護委員会が、子どもの人権専門委員会をつくっておられます。その点について、もし、ご披露されるならと思ったのですけれども、良いですか。

良ければ、次のハンセン病、HIVについて、ご意見等がございましたら、承りたいと思います。

委 員

難病と名のつくものは百幾つかあるらしいですが、国が認定されているのは非常に少ないという状況の中で、難病の当事者の方は非常に苦しんでいるということです。

また、やはり偏見があって、人権差別ということがあって、ここの内容等々を見ますと、確かに文言的にはあがっているのですけれども、もう少し、和歌山県でも難病等々の会をつくられて非常に頑張っておられる団体もあるので、そういった方々の思いを入れるためにも、もう少し、具体的に取り入れたら良いのかなという思いがしました。

また、分科会で、色々ご検討を願いたいということで、実は、難病の代表の方から、色々とそのような意見を聞きまして、ふと、今、先程の説明を聞きながら思ったものですから、よろしくお願いしたいと思います。以上です。

委 員

この点につきましても、かなりの時間を割いて、絞るかどうかということで、意見を色々と交わしたのですが、法的に指定されている病気や難病の一つずつについて、もっと、検討しなければならないかとか、かえって漏れることが出てくるとか、そういうことがございました。今のご意見、また、承って、持ち帰って検討したいと思います。
委 員

お願いします。

次に、第3分科会のご説明を承りたいと思いますが、第3分科会はどうでしょうか。分科会の座長から、どなたが説明するということをおっしゃっていただけますか。

委 員

第2分科会と同様で、分野別に担当して作りましたので、それぞれで説明させて頂きたいと思います。

高齢者の人権からお願いします。

委 員

分科会の議論を経まして、事務局案に主に3点について強調というか、追加という形でさせて頂きました。

1点目は、民間NPO法人等との協働についての強調ということです。

2点目は、高齢者自身にも理解、自分達がまだ何らかの形で社会に貢献をできるのではないかというような意識を深めていこうという、そういう啓発をしていかなければならないのではという議論がございまして、その文章が追加されております。

3点目は、痴呆性高齢者のケア、処遇に対する施策という部分が、事務局案からは特に特定されておりませんでしたので、それを追加させて頂いたということが主なポイントでございます。内容的には、出来るだけ具体的に、少しでも積極的にというような形で、表現をさせて頂きました。

今、申し上げました点を具体的に見ていきますと、基本的方向の中の「さらに、手助けが必要となった状態であっても・・・」というところで、「みんなで支え合う体制つくりをNPO・ボランティア団体と連携しながら進めていく必要もある。」という標記がございます。

基本的なとりくみの中におきましては、「高齢者の人権尊重と意識の啓発」の中の2点目、「高齢者は生き生きと暮らし、社会に貢献することを望まれているため、老人クラブ等における人権学習や啓発活動への取組を推進し、高齢者自身の人権意識の高揚を図ります。」という表現でございます。これは高齢者は保護されるものであるという受動的な考え方だけではないというところから脱却するために、まだまだ元気な多くの高齢者の方々が意識を高めて頂こうということも、非常に重要な部分ではないかということで、追加させて頂いております。

それから、「痴呆性高齢者に対する総合的な施策の推進」ということで、この部分が特に事務局案からは強調されておりませんでしたので、この部分を全て追加をさせて頂きました。さらに、続きまして、「地域ケア体制の構築とボランティア等による取組の促進」、これは強調した点の最初に上げました、民間団体・NPO法人等とのネットワークづくり、協働が不可欠であろうという部分をこのように、表現をさせて頂いたということでございます。

一応、そういった点でございますが、一つ議論になったところを最後に上げさせて頂きますと、現状と課題に、現時点の中間報告の中では、「高齢者の方々がもつ豊富な経験と知識が社会の貴重な財産として活かされ、すべての高齢者が社会を構成する一員として尊重されることが大切です。」という表現のみになっているのですが、もう一カ所、実は最初の案のところでは、「高齢者は貴重な財産であるというか、社会的貢献をなされてきた方であるからこそ、今後も」というような表現がもう一点あったということでございます。それが繰り返し表現されるということは、人権という視点から捉えますと、人は必ずしも社会に貢献したから、その人は、貴重な存在として尊重されなければならないということではないはずだという理解の基に、あまり社会貢献ばかりが強調されてはいけないのではないかということで、これを一文だけに削らさせて頂いたという経緯がございます。以上です。

委 員 次は外国人の人権についてお願いします。
委 員

外国人に関する人権施策基本方針は、国際交流の視点ではなく、外国人の人権という本来の目的に添った内容のものを記述するように心がけました。そして、外国人にとっては、日常生活に関わる生活問題が同時に人権問題となってしまうことが多いので、外国語での情報提供の充実等により、地域社会において日本人と同等のサービスが受けられるようにという配慮をいたしました。そして、最後の「今後も」というところからですが、「多様な文化と人権を尊重することにより、外国人に対する偏見や差別を解消し、外国籍県民も地域の社会の一員として安心して生活できる社会を構築していく必要があります。」と、環境づくりということを最後に課題としてあげております。

基本的方向の中で、私の入れて頂きたかったところは、「外国人からの意見を聴きながら」という、外国人の県政等への参画という部分です。しかしながら、基本的な取組の中では、まだ具体的に上がっておりませんので、これはもう一度、どこかに入れる、どういうふうにして入れていただけるのかと検討する問題です。

それから、色々な生活問題の相談窓口に専門スタッフを配置するという、外国人の相談に対してトータルな相談を受けられる専門スタッフの配置という取組が必要だと思っております。

もう一つは、やはり仕事の場を平等にという国籍条項、県の職員とか、公務員への採用の条件のところでの国籍条項の件ですけれども、個人的には、もう少し前向きに、早急に国籍の必要性を再検討して、真に必要な職種を除いて、早急に国籍条項を撤廃する必要があるというような考えを持っていたのですけれども、現状といたしましては、検討し、対処するという表現になっております。特に国籍条項について、先生方のご意見をお伺いしたいと思っております。

よろしくお願いいたします。

委 員 最後に、犯罪被害者とその家族の人権についてお願いします。
委 員

犯罪被害者とその家族の問題ですけれども、現状と課題においては、被害者そのものの人権と、それから直接受ける生命、身体、財産上の直接的な被害の問題、それ以外に精神的ショック、失職・転職などによる経済的困窮、捜査や裁判の過程における精神的・時間的負担などの二次的被害があって、それに苦しめられている、そういう精神的な被害が深刻だという現状です。

それについて、最近、国の方においては、被害者救済のための法律をここに列挙していますけれども、制定され、施行されています。しかし、それだけでは、もちろん、足りないので、「深刻な状況にあり、被害者の人権に配慮した取組が必要です。」というのは、いわば和歌山県としても、被害者の人権に配慮した取組が必要だという趣旨です。

そういった現状と課題から基本的方向は自ずと出てくるのであって、県民の認識、被害者の現状や支援の必要性についての認識をもっと深めてもらうということ。それから、直接、被害者に関わる警察や行政職員においても、高い人権意識による被害者の視点に立った対応をして頂くということも必要であると思います。

そのために、そういった被害者を総合的に支援するものとして、相談機関、支援関係の民間団体等との相互の連携が必要です。この辺りは抽象的な表現で、先程の意見からすると、少し、具体性に欠けるのではないかという面もあるかもしれませんが、基本方針ですので、抽象的な表現になっております。

次に今後の取組についてですが、私としては、「もう少し、詳しく書きたいな。」と、今、思っております。全体の構成ですけれども、何ページぐらいで仕上げるのか。今日の結果を見ておりましたら、私の方が2枚で一番少ないので、もう少し増やしても良いのではないか。できれば少し具体的な言葉も付け加えたら良いのではないかという感想を持っております。

この被害者の人権というのは、最近は色々取り上げられていますけれども、先程の子どもの人権の児童虐待、あるいは女性の人権のセクシャルハラスメント、DV、そういったような問題と、そういう面での被害者に対してどういうふうに救済をするのかというところで、関わりがあると思います。

最近の犯罪の特徴ですけれども、いわば家庭内の問題、家庭内での暴行や傷害といった事件が良く発生しております。児童虐待というのは一つのそれであり、また、セクシャルハラスメント、DVもそういったものですけれども、児童虐待は典型的な家庭内の暴行、障害ですが、男女関係の間での暴行障害、これがDVといったものであります。それ以外にも金銭的なトラブルがあって、それが起因する暴行傷害が良く新聞紙上、発生しております。こういった最近、良く発生している事件を和歌山県内でも、なるべく、発生してから「110番だ。」ということもありますけれども、できれば、発生を未然に防止する方策、それもあった方が良いのではないかなと。ある意味では、非常に大事なことではなかろうかと思います。被害者の人権として、そういうところまで、踏み込んで良いのかどうか。やはり、書くべきかなと今日の皆さんの意見を聞いていて、思っております。

従来、警察や検察庁は、民事不介入の原則、あるいは家庭には立ち入らない、夫婦者には立ち入らないという問題、あるいはストーカー行為でも、一定のところまでしかやらないというような問題もあったかと思うのですが、それが最近は徐々に、踏み込んでいくべきだという方向になってきていると思います。

また、そういうことによって、犯罪による被害の発生を未然に防止することにもなろうかなとも思います。色々と書いていなかったことまで、言ってしまったのですけれども、そういったようなことも含めて、ページ数が2枚では少ないと思うので、もう少し増やしても良いのではないかと考えております。以上です。

委 員

第3分科会で取り上げられている高齢者以下の三つの課題につきまして、各委員のご意見、あるいはまた、報告者に対する質問等がございましたら、どうぞ、おっしゃって頂きたいと思います。

高齢者、それから外国人、犯罪被害者、これの取り上げ方の問題も含めまして、どうぞ。

順番に行った方が良ければ、まず最初に高齢者の方から伺いましょうか。

取り上げ方を含めまして、あるいは取り上げる範囲を含めて、どうぞ、ご意見を賜りたいと思います。

委 員 特にご意見がないようですので、次に、外国人の問題について、各委員のご意見を賜りたいと思います。
委 員 質問なのですが、参政権の問題は取り上げないのですか。国政の参政権は難しい制度もあると思うのですけれども、地方の自治体の参政権は取り上げている自治体もあるのではないかと思うのですが。これは県だけでやろうと思えば、条例をつくればできる問題ですから、その辺はどうなのでしょう。質問なのですが理由を伺いたいと思います。
委 員 取り上げたいと思っているのですけれども、国籍条項のところでも、検討するというだけの最初の回答でしたので、踏め込めないかなと思ってしまったわけです。
委 員 知事に対する施策の提言ですから、何も必ずそれが通るという保証はないわけで、少なくとも、その問題は、施策としては知事に対して提言するという形で書くべきであると私は思いますが、事務局は何か理由があるのですか。
委 員 今回は提言のみではなくて、両方で共同して最終のものを作るというふうに伺いましたので、事務局のご意見、現場がどうかということを配慮しないといけないかなと思いました。
委 員 事務局の意見を聞いているわけですが、どういうふうに。
事務局 これを書いていく中で、一応、事務局が素案として先に書かさせて頂いているわけなのですけれども、その時点で、担当課と協議をしています。その担当課との意見調整の中では、そこまでは、出てこなかったということになります。
委 員 参政権は基本的人権です。いずれにしたって、政治に対する参加権で、これは基本的人権です。それをあえて落とすというのは感覚的にも大問題だと思います。
委 員

これは、どこで意見を尋ねられたのか知りませんけれども、職種に関わらずということでしょうか。行政職、一般職、あるいは、そういうところに関わらず、全面的にという意味なのでしょうか。

人事委員会の内部でもこういうことについては、検討しなくてはならないという意見が、無くはないのではないですか。

事務局 徐々にですけれども、人事委員会も検討して進めて来てございまして、今、まだ残っているのが、一般行政職と警察官、これだけがまだ残っています。それについても検討して欲しいという話の中での記述になっております。
委 員 33職種だったと思うので、もう少し残っているのではないのでしょうか。確か、52職種の内の33職種だったと思います。
事務局

今、一般行政職と警察職と申し上げましたのは、代表的なものでということで、申し上げました。現実的には50数種の職種があると聞いていまして、その中で、これまでにも検討してきた結果として、30数職種において、国籍条項をなくしてきているという、現状はそういうことです。

人事委員会、あるいは、採用決定権者側との検討もこれまでにも行ってきてますし、今後とも検討していくということには変わりがないのですけれども、この段階で完全撤廃といったところまでの記述が、今の段階では難しいなといった状況で、こういう表現に今のところなっております。

委 員 確か、平成14年からは変わっていないと思います。今年の採用の方も日本国籍を有する者のみというホームページでの応募になっております。
委 員 第3分科会とすれば、やはり人種差別撤廃条約の基本理念に立って、出来る限り国籍条項の撤廃に向けて、もっと積極的に動いていくべきだと、そういうふうなお考えだったわけですか。
委 員 はい。そうです。
委 員

その面が文章から出てきていないのですが、全体として、もうちょっと前に出てきても良いのではないかと思うのです。外国人の問題を考えるときには、一つは国籍条項という言葉そのものは別として、そこに住んでいる人達でもって、そこの地域をつくっていくのだという形の方が、今、中心になって来ています。地球市民みたいな考え方の方が中心になってきています。

だから、その上に立って、国籍みたいなものよりは、もっとここに住んでいる人達の自治を拡大していこうよという考え方が地方自治の中で、むしろ実験的な形であったとしても、望まれて、それが国へ波及していくという考え方の方が良いのと違うかなと思います。

そういう意味からすれば、条例段階でこそ、そういった積極的な発言なり、あるいは在り方みたいなものが、ここで表明していけるのではないか。

一つ上の外国人の適正な雇用の促進の部分も含めて、もっと広く、能力のある人を採用していくという形の、それぞれの場にそれぞれの役割を持った人をということを中心に考えていったらどうかというのが、この人権全般の中で言えることだろうと思います。現実、例えば、行政を心配するとしたら、そう書けば、書いているのではないかと言うことで、何かの形の意見が出てくるということですが、ここであるのは、その対応の問題ではなしに、むしろ、もっと大きな形で条例の中で、理念を打ち上げていくという側の流れを、せっかく、第3分科会でお作りになっているのであれば、そのままの形で出していったって、知事に見て貰ってどうか、それで良いのならそれで良いとなるのではないかと思うのですが、このままでは、現状追認、あるいは、もう少し遅れて一歩後ろをついていくぐらいにしかならないと思います。

委 員 何か所管課の意向というか、現状を肯定していくという感じが受けられます。
委 員

もう一つ、難しい問題をついでに言いますと、難民の問題です。このことは、全然、取り上げていませんけれども、難民の取り扱いが、その国の人権方針のかなりの軽重を問われるのです。難民をどう扱うかという問題に対する認識が全然ないのかどうかは知りませんけれども、難民問題は非常に重要なのです。

中国の日本大使館に逃げ込んだことでも、あのような取り扱いをしたので、日本は非難されています。入った者をそこで引きずり出しているのですから。それはともかく、今後、難民問題は、北朝鮮の問題がどうなるか分かりませんけれども、はっきり言って、色々な事情でかなりたくさん入ってくるのではないか。その場合に、難民に対する方針をどのようにやっていいか分かりませんではすまないと思います。

それから外国人という言葉も、つまり一番広い意味では、日本に来た人は全部外国籍で、日本に来た人の全部が日本にいる外国人です。一定の定住外国人、それも1年住むか、2年住むか、3年住むかははっきりしませんけれども、いずれにしても、地域社会ということをはっきりする。全て、国の方を向いて、国は何も決めないから、「難民なんかは、ほっとけ」となっては、甚だ和歌山県としての人権に対する見識が問われると思うのです。だから、難民の問題も、どういうふうにすべきかどうかぐらいは検討してください。

委 員

県が難民の問題を取り扱うのは難しいと思いますけれども、一応、そういうふうなご意見もあるということです。

次に犯罪被害者の点につきまして、何かご意見がありませんか。

委 員

もっと、お書き頂いても良いと思います。現実、例の夏祭りの毒物混入事件以来、特に犯罪被害者の事柄については、県民に認知されてきています。例えば、平成10年に刑を終えた人という項目を人権教育の国連10年の和歌山県の行動計画に書いたときには、まだ、刑を終えた人が中心であって、犯罪被害者についてということの提案を申し上げたのですが、どなたもそれについては項目として取り上げることには同意してくださらなかったという経緯がありました。

しかし、ここ数年で、非常にこの問題を大きく取り上げて頂くということになりましたけれども、まだまだ、この問題については、大きく取り上げていくべきものであります。そして、現実に社会意識の変革がなかったならば、この問題は解決しないという部分があって、それは、それぞれの分野からそれぞれでたくさんお書き頂くということに、期待しているということです。

細々ですが、民間運動団体として頑張ってきていますので、そことも協調しながら行っていくということでお願いできたらと思います。

委 員

マスコミ報道の関係なのですけれど、今回の原稿では、ストレス、不快感、心理的被害と書いてあるのですけれども、もう一つ、プライバシー侵害があると思うのです。マスコミの過剰な取材報道について書かれているのは、現状と課題のところと、取組の2カ所ですけれども、プライバシー侵害の観点を入れる必要がないのかどうかということです。

もう一つ気になったのは、「マスコミの過剰な取材・報道による心理的被害については自主規制による対応への理解を求めるとともに、メディアを通して犯罪の現状や問題点が周知されることによる被害抑止効果にも期待します。」と書いてあるのですけれども、これを素直に読むと、ある程度、報道されるのも仕方がないという、そういうプラスもあるのだから、多少は我慢をしてというような観点が含まれているように読めるのです。むしろ、犯罪被害者の人権という項目で書くのだから、被害抑止効果云々よりも、今、問題になっているのは、マスコミが被害者の名前や家族関係やどのような生活をしているなどまで根掘り葉掘り細かく書いたり、どこかで問題になっていたように、遺体が自宅へ帰ってきたのに報道人がたくさん殺到していて、家族の方がその棺を家の中に入れることさえままならなかったという過剰な取材の方が問題なのであって、被害抑止効果に期待するというような観点をここに入れるのはどうかなという気がしました。

それから、私は素人なので分からないのですけれども、現状と課題のところに、「トラウマやPTSDの症状など」と書いてあるのですけれども、これは、トラウマとPTSDというのは、こういうふうに並列的に並べて良いものかということです。PTSDというのは、一応、一つの疾病みたいに捉えられています。心的外傷後ストレス障害ということで、病名としても付けられます。それとトラウマと並列的に書いて良いのかどうかということです。

委 員 今の2点について、何かご意見はございませんか。
委 員

プライバシー侵害のプライバシーという文言が、確かに、入っていなかったように思いますので、これは当然、入れるべきであると思います。

それからトラウマを字引で引いたのですけれど、良く使われている言葉なので、並列にしました。

委 員 字句の問題については、並列的に扱うこと自身の問題もあるでしょうし、用語の問題でもあるでしょうから、検討をお願いします。
委 員 それと先程、お話があった夏祭りの事件についても、和歌山の大変な事件だったので、その事も少し取り上げた方が良いのかなと思いましたが、どうでしょうか。
委 員

各地において、色々な形の犯罪被害者の問題があって、例えば、神戸とか長崎の場合は少年というような形に出てきたり、あるいは交通事故によって、一方的な形で被害者の保護者に対して、「何もなかった。」というふうな形から言っていくと、和歌山の場合は典型的に、あの事件のときの被害者というのは大きいから、私は書いて頂いて良いと思います。

和歌山カレー事件というと、カレーの会社の社長が、カレーという言葉が出てくると売り上げが今でも落ちるという話で、だから私は、和歌山と言わないで。和歌山の評価が下がるからと言って、夏祭り毒物事件と言うと何か分からないものになったりということがありますけれども、やはり、具体的に書いて頂いても良いと思います。

先程からお話があるように、犯罪被害者からいうと具体的に幾つかのお願いしたい部分の相手が分かっています。

例えば、1としては警察の心ない応対や調査の方法、2としては出版、マスメディアの問題、3としては地域社会での好奇な目、4としては企業、会社の人達の励ましとか、かえって「頑張れ」という言葉、それから家族というように、具体的に幾つかの自分達の意欲をそいだり、人権を侵害されているのではないかという相手方の部分をずうっと書いた形で来ている。現実に、夏祭り毒物混入事件のときには、誰もがお手伝いもできなかったという問題もあって、「何をして欲しかったのよ。」とこう言うと、「買い物に言って来てきてくれる代わりの人さえいなかった。」という部分があったりして、市民のこの問題に対する理解というようなものはまだまだ低いというので、ここでやはり、そういう意味での理解を高めるという大きな役割を果たして貰えれば、凄く、この問題は進展すると思います。

委 員 先程の文言の問題ですけれど、トラウマ、PTSDをわざわざ書く必要がなくて、「二次的被害に苦しめられている場合もあり、精神的被害は深刻です。」というように、前の文章に続ければ良いと思います。症状を問題にしているわけではないのでしょう。
委 員

用語の点につきましては、ご検討をお願いします。

今日、頂きましたご意見につきまして、事務局でも色々と検討をしたいと思いますし、あるいは、最終的な報告を頂く次回の審議会が10月1日ということになっておりますので、それまでにもう一度、小委員会、各分科会を開いて頂く必要があるかどうかについては、どうでしょうか。

できれば、10月1日の1週間ぐらい前までに、一度、各分科会を開いて頂くような予定を立てて頂いて、事務局の方を通じて、その必要がなければ、それで良いと思いますが、各分科会でもう一度、検討する必要があるという事であれば、各分科会において、それぞれの期日をご設定頂いたらどうかと思いますが、事務局は、この点について、どうでしょうか。

事務局

短い時間の中、大変ご協力を頂き、ありがとうございます。

只今の意見ですが、事務局としましては、早急に出された問題点をまとめて、各分科会の項目毎の座長と事務局が協議をさせて頂きます。そして、開く必要があるところについては、開きたいと思いますが、どうでしょうか。

委 員 各分科会を開くということであるとすれば、その期日を早目にお決め頂いた方が、分科会の委員とすれば、ありがたいのでないかと思いますが。
事務局 各分科会とも日程は既に頂いています。
委 員 全責任を持つのは事務局でも良いのですが、各委員から出た意見を小委員会を開いて、検討する必要があると思います。
委 員 例えば、先程、出てきたその他の扱いや環境問題とかは、結構、大きな問題があるので、その辺は小委員会で少し方向を定めて頂きたいと思います。分科会だけでも、出された細かいことについての議論はできるのですけれども、かなり大きな問題もあるので、小委員会を開いて頂いて、一つの方向というか、まとめをして頂いて返して頂いた方が議論はしやすいのかなと思います。
委 員

今、各分科会でお考えになっておられるのは、大体、総論はどうするのかということだと思います。総論の取り上げ方の如何によって、分野別の取り上げ方も違ってくるということをお考えだと思います。そうだとすれば、一応、総論が出来上がるという意味は、叩き台的なものでも、各分科会にお示しできるというようなこと、その後に分科会を開いていただけるということですか。

そうであるとすれば、一応、事務局が、総論部分について小委員会での検討を踏まえた上で、改めて、各分科会にお願いするということにしたいと思いますが、ご了承いただけますでしょうか。

委 員 それと、検討する中で、専門用語やカタカナ用語についての共通認識をもつということについては、どのように進めていくのですか。その辺も確認をしたいので、お願いします。
委 員 委員はどのようにお考えでしょうか。
委 員 これは大事ですので、何かの形でしないといけないと思います。小委員会でするのが良いのかどうかは分かりませんけれども、それを専門的にする一つの窓口、あるいは検討会を設置して頂いた方が良いと思います。
事務局 問題のあるところの説明、用語の説明などにつきまして、あるいは、今日、意見が出された踏み込み方の差も含めて、どちらかと言いましたら事務局としましても、小委員会で一度全体を審議して頂き、大体のレベルを同じにして一つの文にしたいと思ってございます。できましたら事務局からも、それはよろしくお願いしたいと思うのですけれども。
委 員

色々な意見が出てきたものを含めて可能な修正をし、さらに、総論部分も加えて、全体を見せて頂く中で、もう一度、検討する部分は検討するという方がもしかするとやりやすいのかもしれません。文言等についても、その中でということで。

ですから、その辺は最後の最後できちんと修正していけば良いという感じがします。

委 員

色々な問題を含めて、どう扱うかということも含めて、小委員会で検討をしていった方が良いと思います。

特に、さまざまな人権については、かなり基本方針に関わりますので、どのように取り上げるかという小委員会案でも結構ですから、今度、全体の会議のときに提示をして頂きたいと思います。今の段階では、書いた方が良いという意見と、書かない方が良いという意見の両方があるみたいですが、かなり難しいです。

あと、総論の枠組はやはり、一応、決める必要があります。総論との関係で、分科会で修正を若干やらないといけない部分が、多分出てきます。総論と各論の整合性がないといけませんから。

語句の解説は最終段階でも全体を統一的に見てやればできるのではないかと思いますけれども。

委 員 基本的に、今と同じ意見です。ただ、今日のお話を聞いていますと、外国人の関係と犯罪被害者の関係は、他の分野と少し違って、今日頂いた案をさらに、もう一度、先に検討して頂いた方が良いのかなという気がします。小委員会の前に、そちらの修正案みたいなものを頂きたいという気がします。
委 員

出来る限り、そういうことで進めて頂きたいと思います。

ほぼ先程からのご意見は、小委員会でも、事務局でも、把握ができていると思いますけれども、できましたら、そういうふうな方向でお進め願いたいと思います。

そうしたら非常に時間が過ぎて、申し訳ございませんけれども、各分科会でご検討頂きました中間案につきましてのご審議は、この程度で、今日は終わらせて頂きます。

最初に申し上げましたように、事務局から審議会にお諮りすることがございますので、事務局から説明をお願いします。

事務局

大変、時間を押しているところ申し訳ございませんが、簡単に説明させて頂きます。

現状、差別事件処理につきましては、国において、人権擁護推進審議会の答申、人権侵害の被害者の救済に係る答申を受けて、国会で人権擁護法案の審議が行なわれていますが、7月28日で今国会が閉会いたしまして、4度目の継続審議になったことを法務省に確認してございます。

そうした中で、国において、人権侵害が起こったときの対応というのは、まだ、はっきりとは決まっておりません。一方、県におきましては、平成13年度まで同和委員会が同和問題の処理を中心にやって頂いていたのですが、解散をいたしましたので、その後、国において法的制度が整うまでは、行政が中心になって、その間を暫定的にしていかなければならないということで、今、行政で行っております。

また、今までは同和問題だけの処理であったのですが、広く人権問題への広がりを持った全ての人権問題について何か事件が起こったときに、行政を中心に取り組んでいくという考え方を出してございます。

平成14年2月27日付けの福祉保健部長通知で市町村長あてにお願いした文書の説明を簡単にしますと、まず、取り組む差別事件を書いてございます。処理方法については、各市町村の責任において行ってくださいと、複数の市町村にまたがる場合も、協力してやってくださいということでございます。しかし、広域性があって、市町村だけで取り組むのが難しいようなものについては、県で取り組みますということでございます。

県として取り組む場合は、県の中に差別事件処理対策会議を編成して、その差別事件が起こった場合の処理について、取り組んでいきますということに、現在、なっているのですが、ここで問題になりますのは、今まで同和問題については、同和委員会の先生方に相談して行ってきたのですけれども、今、行政だけでするということになりますと、行政側の一方的な判断で行ってしまいますので、果たして、公平性が保てるのかとか、その処理について十分な県民の理解が得られるのかということでございます。

そういった中で、より適正な事件の処理を行っていくためには、人権問題に対する識見の非常に深い方々の第三者の意見をお伺いしながら行っていくのが、公正な処理ができるのではないのかということで考えてございます。現実に処理を行うのは、行政が行うわけですが、識見の高い先生方にご意見を伺いながら深めていくということを考えてございます。その仮称でございますが、人権侵害事件対策委員会というものを立ち上げて、ご相談しながら、行っていきたいと考えてございます。

まず、起こったことが差別性がある案件なのかどうかという判断もお伺いしたいし、もし、差別性があるということでありましたら、その性格とか、分析についてのご意見を頂くとともに、その課題を掘り起こして、今後、どのように取り組んでいくのかということも、ご意見をお伺いしたいと思ってございます。

具体的に、その委員会を立ち上げるのに当たりましても、別に委員会を立ち上げますと、審議会が県としての条例設置の人権に係る委員会としては最高の位置づけでございますので、もう一つつくりますと、その委員会との位置づけに色々と出てくる場合もございますので、できれば、審議会の中の小委員会の5名の委員で、その処理委員会を立ち上げて頂いて、発生した事件の案件によりまして、小委員会以外の審議会の委員も委員に加わって頂く中で、ご意見を頂戴したいということを県として考えてございます。こういった案につきまして、先日、開いて頂きました小委員会で、大筋で了解頂きましたので、今後、県としても、そういったことで要綱の作成作業に入って参りたいと思いますが、案件によりましては、小委員会以外の委員の方々にも参画して頂くということもございますので、そういった場合には、よろしくお願いしたいということの報告でございます。よろしくお願いします。

委 員 大体、それで良いと思いますけれども、ただ、これは報告として伺っておくということです。それから、もう一つ、責任はどこにあるのですか。実際問題としては、差別事件処理というのは、非常に難しいです。
事務局 行政が行っていくということですので、責任は行政にございます。
委 員 基本的には行政が責任を持つということですね。審議会が関わる。小委員会が関わってくださって結構ですが、それは、あくまでも参考意見です。行政がきちんと責任を持ってください。
事務局 先生方のご意見をお伺いしないまでも、行政が今、やらざるを得ない状況でございますので、さらに、先生方のご意見を頂きながら、公正な処理に取り組んで参りたいと思います。
委 員 人権擁護委員会、擁護法も大分時間がかかるかもしれませんから、長期に渡るということで、小委員会も覚悟して頂かないと。そう簡単に通るとは思いません。
委 員

この委員会は、国の方がどのような組織になるかということ、また、どういうふうな権限を持つかということとの兼ね合いで、小委員会で色々と検討したところ、場合によっては調査一つにしたところで、ある程度、権限を持つというふうなことからすれば、条例化ということまで進まなければいけない場合もあるだろうということも考えたりするわけですけれども、なかなか国の方針が決まっておりませんし、そういうふうなところを見ながら、将来の条例化ということを目指していこうということで、本当に今のご意見のように、「大分、時間がかかるぞ。」ということ、確かにそうかもしれませんけれども、県の方へ持ち込まれる事件というのは、果たして、どのくらいであるかということからして、一応、県とすれば、行政の方で責任を持って、差別事件の処理をする。ただ、差別性の有無とか、あるいはまた、どのような方法でという、また分析の方法、その他について、一応の意見を聞くということで、その場合には5名の小委員会ということだけではなくて、それぞれの分野の審議会の専門の委員も委員会の委員に加わって頂くということでございます。

そういうことでございますので、そのときには、是非とも、委員をお引き受け願いたいということが事務局のお願いだということだと思います。その点は、そういうことで、次の報告をお願いします。

事務局

次に、5月にご協議を頂きました「人権に関する県民意識調査」ですけれども、この委託先が決まりました。東京都に本社がある『サーべイリサーチセンター』というところです。ここは栃木県、群馬県、埼玉県、静岡県、岐阜県等、実際に調査を行ってきたところです。

現在、市町村の選挙人名簿の閲覧準備に入りかけております。それと調査表の発送時期は、この8月の下旬から9月の初めぐらいという見込みでございます。

広報関係につきましては、県民の友の8月号に既に載せまして、あと、テレビ・ラジオでの告知は8月中旬~下旬にかけて順次行っていきたいと考えてございます。

それから記者発表は8月の初めに行います。市町村への周知依頼文書の発送も8月の初めに、もう既に声はかけているのですけれども、始める直前にもう一度、文書が行くということでお願いをしていますので、これを出していきたいと思います。

委 員 次に民間団体からの要望がございました。その点についても、ご報告願いたいと思います。
事務局

続けてご報告させて頂きます。

民間団体からの要望についてですが、これは民間団体から審議会会長あてに出されてきました要請文でございます。

まず、1点目としましては、「実態調査を行い、科学的な根拠に基づいた審議を進めて頂きたい。」という要請でございます。

2点目としましては、「当事者の声を聴いて頂きたい。それぞれの団体、女性であれば女性、障害者であれば障害者、そういった当事者の団体の声を聴く機会をつくって頂きたい。」という申し出がございます。事務局としましては、これにつきましては、常にオープンで開催してきている審議会等でもございますので、このことにつきましては、「審議会の全員の委員にお配りしてお答えします」ということを言ってございます。

委 員 当事者の意見や思いを述べたりする機会を作ってくださいという申し出についての事務局の考えはどうなのですか。
事務局 事務局としましては、やはり、団体の数が多いので、ある一定の線を引いた上で、対応していきたい。だから県下的な組織を持つ団体に限って、それもできれば分科会毎で、担当の団体の意見を聞いていただけたら一番ありがたいと思うのです。かなり時間が要りますので、全員が集まって聴いて頂くということではなしに、分科会で何とかお願いができないかなと思ってございます。
委 員

反対です。分科会で聴くというのは、反対です。そうすると、その声を分科会以外の人は知らないわけです。だから、基本的には、こういう審議会は公開で、もちろんインターネットにも出ているのでしょう。それはそれで良いのですが、そういう関係者の意見を基本的には聴くべきなのです。ただ、そのときに、色々な事情があった場合、なぜ、聴けないかを説明しなくては駄目です。

それともう一つは、文書による意見の提示は求めることができると思います。今のは文書による一般的、総括的な要望でしょう。もう少し具体的にこういうものはこうであるというのも当然提出することができるわけですから。だけど、やはり、こういう審議会の必要上、1回は聴かなくてはならないのかと思います。審議会を1回ぐらい潰して、2時間で一人10分~15分でも良いですから、しゃべってもらう機会を持つべきだと思います。

そうしないと事務局が何でも衝立になって、結局、事務局が審議会の道を塞いでいるのではないかということになってしまいます。そういうことで言えば、審議会の中で、「これはこういう問題があったから、基本的に絞るべきだとか。文書を付けたとか。」ということを審議会が決めることの方が事務局にとっても良いのです。その事務局が始めからしなくてもよろしいといったら、それはどういうことになるのですか。考え方が非公開的です。

事務局 そういうつもりではないのですけれども、例えば、障害者の団体を一つ取ってみますと、身障連盟、手をつなぐ親の会、父母の会、自閉症児親の会。
委 員 そういう事実を言っているのではないのです。基本的に聴くべきだと言っているのです。方法については、具体的に検討したら良いです。逆に色々な団体が何十とあるから聴けないとそうなるでしょう。それだったら。
事務局

時間的な問題を言っているだけで、聴くべきだというのは、事務局が言っているのです。

だから、聴く方法として、分科会で聴いたらどうかということです。

委 員 無理です。分科会というのは三つあって、それぞれの関係者が聴くだけで、他のことが分からないではないですか。意見を聴くというのは、全体が聴くことで、分科会が聴いても仕方がないのです。
事務局 ただ、全体で聴く場合には、例えば、団体を絞っていくにしましても、かなり団体数が多くなり、聴く時間も多く要します。その辺のご議論をお願いしたいと思います。
委 員

今、例えば、15分でもというようなことのお言葉もあり、一応、場合によって、書面なら書面ということの追加的な意見としてというようなことでも、そのような場を持つことも必要ではないかというご意見ではないかと思われます。

先程のようなご意見があるということを踏まえた上で、事務局としても、遅れてきているけれども、これからでも聴いた方が良いという意見ですか。

そのような意見であるとすれば、そのような意見について、先程の意見も合わせて、検討してはどうですか。どのような団体とかも絞り込みながら、その所要時間等も検討して、また、方法も書面も含めてということにするかどうかも含めて聞くということで、検討するようにしませんか。

今、委員が言われるのは、出来る限り・・・。

委 員

私は、原則的に聴くべきだというのです。私の意見ではないです。審議会として、そういう態度をまず決めるべきだということです。

方法については、事務局と十分に相談すれば良いのです。そうしないと私の意見だけになるのではないですか。

委 員 今ここで、多数決で決めると言うよりも。
委 員 そういうことを言っているのではない。反対のご意見があるのであれば、聞けば良いということです。
委 員 今、すぐに決めるよりも、事務局で検討して、例えばこのような団体が幾つあってということ、具体的な事も考えて案を出して貰った方が良いのではないのですか。
委 員 それで良いですけれども、基本的にはやはり、公開という原則に基づいて、色々な具体案をつくって貰わないと、色々な技術的に難点があるから駄目だということになります。
事務局 事務局としましては、審議会で意見を聴くということを決めていただければ、具体策を考えさせて頂きたいと思います。
委 員

ただ、本当に聴くというのであれば、各分科会で原稿をまとめる前にするべき話で、原稿がまとまった段階になって、どこかの団体から一つ出てきたから、これから聴くというのだったら、これは本末転倒だと思うのです。パブリックコメント、パブリックオピニヨンを出して貰うこと自体は構わないし、出てきた要望はどんどん審議会の全体の委員に流すべきだと思うし、そのためにインターネットを通じて公開もしているので、それはそれで、行っていると思うのです。

ただ、今になって、どこかの団体から出てきたから、それではもう一度、全部の団体に声を掛けて、絞って意見を聴くかというのだったら、今までしていたのは、何で、これから小委員会でまとめるのは何かと、10月1日に全体に意見を出すのは何かという話になるので、それだと全部、やり直さなくてはいけないと私は思います。だから、コメントを出して貰うとか、ペーパーで詳しい要望を出して貰うこと自体は構わないと思いますし、それは、どんどんやれば良いと思うけれども、今から個別に意見聴取するというのは、私はどうかなと思います。するのであれば、もう一度、一からやり直すべきです。

委 員

だから一応、今日のところはこのような申し出もあるのだから、その後の方向、どのような位置づけにするかということが問題だと思いますけれども、最初に私は言ったと思うのです。

意識調査をすることとパブリックコメントを求めること、これを前にするか、後でするかということを最初に言ったつもりです。そのときには、是非ともこれをやらなくてはいけないということではなかったと思います。だから、そういうことからすれば、今、これからすることの位置づけということを考えれば、十分、方法とか、範囲とか、そういうところについて、事務局としても検討して、具体的な方法について、各委員にまた、改めて、お諮りするということにしませんか。

そういうことで、どうでしょうか。ご了承、願いたいと思いますが。

要するに結論を出す以前、10月1日までにということにするか。それ以前ということにするかも。

各分科会でも検討される機会がおありだということですから。

委 員

いつまでも分科会を引きずらずに、もう、分科会は終わりにしてください。一応、分科会は中間報告で終わりです。

ただ、今日の討議の中で、若干、反映することは、これはこれで、何らかの討議をすれば良いと思いますけれども。いつまでも引きずって、事があることに、これは分科会ですとなれば、叶わないです。審議会の運営も成り立ちません。時限立法的には、大体、終わりです。

また、何も絶対公聴をすると言っているわけではない。方法については、会長と事務局に任せます。ただ、少なくともやはり、文書を出してまで言おうという意欲のあるところは、当然、文書が出てくるでしょうから、それは阻止すべきではないと思います。

委 員 そういう点についての今後の進め方については、私の方でも事務局と相談して、委員の意のあるところを汲み取っていきたいと思いますので、その点はお任せ頂きたいと思います。
委 員 いつまでも分科会を引きずるのは、本当のところかないません。ただ今度は、総論に入り、もちろん、色々と私も意見を述べますので、少しは変えても良いと思いますけれども、もう分科会は基本的に終わりにしてください。今後は、小委員会と事務局と審議会で対応するべきです。
委 員 確かに、分科会にはご苦労を頂いて申し訳ないと思いますけれども、もう少し、ご協力を頂きたいと思います。少なくとも10月1日ぐらいまでは、お願いしたいと思いますが、事務局はどうですか。
事務局 スケジュールも、そのくらいの目途になっております。
委 員 それでは他に何かありますか。
事務局 実は、民間団体から知事あてにも要請文が来てございます。内容につきましては、「実態調査の件と市町村が人権問題に取り組むための環境整備をせよ。」ということでございますが、非常に重大な案件でございます。特に実態調査の件につきましては、審議会の会長あての案件と非常によく似た案件でございますし、県としても審議会のご意見と歩調を合わせるといいますか、十分尊重した上で、回答して参りたいと思いますので、参考に知事あての文も付けさせて頂きました。このことにつきましても、各委員のご意見を拝聴しながら回答して参りたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
委 員

他に、特にございませんか。

特にご意見がございませんようでしたら、今日はこれで終わらせて頂きたいと思います。どうも、長時間ありがとうございました。

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