第10回和歌山県人権施策推進審議会議事録

第10回和歌山県人権施策推進審議会議事録

第10回和歌山県人権施策推進審議会
日 時 平成15年5月30日(金曜日) 13時~15時半
場 所 和歌山市 アバローム紀の国
議 題

(1)「人権問題に関する県民意識調査」について
(2)分科会の運営について

出席委員

橘委員 谷口委員 月山委員 辻委員 中川委員 中谷委員 西委員
村田恭委員 柳瀬委員 吉澤委員

配布資料

(1)『意識調査全般にたいする各委員の意見一覧』
(2)『各項目にたいする各委員の意見一覧』
(3)『和歌山県人権施策推進審議会分科会の所管事項(案)』
(4)『人権に関する県民意識調査の概要』
(5)『人権に関する県民意識調査質問項目(案)』

内 容

委 員

本日は、人権問題に関する県民の意識調査と分科会の運営についてのご審議をお願いすることとなっておりますが、分科会の運営についてのご審議につきましては、3つの分科会に分かれてそれぞれの会場で行います。

それでは、議題1の県民の意識調査の審議に入らせていただきます。

なお、意識調査案について各委員から事前にご意見等をお伺いしていると思いますので、そのことを踏まえまして、事務局から説明をお願いします。

事務局

それでは、事務局から、県民意識調査の説明をさせていただきます。

まず最初に調査の目的でございますけれども、県民の意識の現状を把握し、今後の人権行政の推進や人権施策基本方針策定のための参考資料にいたしたいと考えております。また、本調査の実施を通じまして、啓発も行えるのではないかと考えてございます。

なお、位置付けですけれども、さまざまな人権に関する意識を本格的に調査するものとしましては、今回が初めてでございます。出来るだけ多くの課題について、県民の意識を知りたいという気持ちを持っております。

次に、調査の仕方、あるいは考え方ですけれども、郵送により実施したいと思います。平成14年に本県で行った類似の調査の回収率は、34.8パーセントでございました。他府県でも同様の調査で行っており、郵送による調査の回収率は、38から64パーセントという数字が出てございます。このことから考えますと、今回の調査の予想回収率は35パーセントから、良くて50パーセントぐらいと見ています。

なお、統計的には、回答数は400程度あれば良いと言われていますが、精度を上げるため、大体1,000の標本数を確保したいと考えてございます。よって、20歳以上の県民の方から3,000人を無作為に抽出して、調査を実施したいと考えてございます。

設問につきましては、出来るだけ多くの課題について聞きたいのですけれども、回収率を確保するためには、設問数を絞る必要があります。

また、設問は、「人権全般に関する設問」と行動計画で取り上げられている「重要課題中心の設問」に分けて作ってございます。

なお、レイアウトにつきましては、既に国や他府県で調査をしておりますので、それらを参考としながら事務局で案を作成させていただきます。

それでは、「人権問題に対する県民の意識調査」について、設問別に説明をさせていただきます。

全般的な人権の中では、県民の人権についての現状認識を把握することが基本的事項と考え、「人権について守られていると思う」「教育啓発は充分と思う」「意識が高くなっていると思う」の3点を問うことにしました。

次に、さまざまな課題について県民の重要視度を把握するため、行動計画での重要課題や最近関心が高まっている課題を列挙して問うこととしました。

次に、人権侵害の経験を把握するため、その有無、内容、対応の状況を問うこととしました。

次に、人権啓発センターの存在や活動内容を知ってもらうという意味と同時にセンターにおける啓発活動に対するニーズを把握するため、それぞれの活動についての関心を問うこととしております。

それから分野別人権につきましては、各2問を設定しております。前問の方では、それぞれの分野ごとにどのような人権上の問題があるか、または考えるかを把握すると同時に、問題となるような状況を選択肢として多数用意し、意識調査を読むことにより回答者の啓発に繋がるものといたしました。

また、後問の方では、それぞれの分野ごとに、人権が守られるために必要と考える取組を聞くことにより、課題ごとの行政ニーズを把握したいと考え、設問してございます。

それから回答者個人に関する設問でございますけれども、各設問について性別・年齢・職業・地域別のクロス集計を行いたいと考えてございます。それぞれの属性における傾向性を知ることにより、今後の効果的な啓発方法を検討するための参考にしたいと思います。以上でございます。

委 員 今、事務局から説明をいただきましたが、意識調査全般につきまして、ご意見等よろしくお願いします。
委 員

無作為に3,000名の方を対象にして、できれば比較的高い回収率ということになりますと、例えば、私たちは割合、文字を読むということに慣れていますけれども、そうではない対象の方もかなり居られる可能性があります。これだけの文字を読み通すというのは、かなり大変なことであると思います。もう一つは学歴等を全然考慮していない可能性があります。場合によると、全部にルビを振る方が良いかもしれないということもあります。

また、調査の回収率を高めようと思えば、なるべく分かりやすく、しかも、設問数を少なくしてというのが多分、原則なのですけれども、せっかくの調査だから、色々と同時に聞きたいということは、わかります。けれども、その意味では、30パーセントを越えるのか越えないのか、しかも、返送されても使えないデータが出て来てきますから、そういうものを考慮に入れた時に、どうなのかなという印象を持ちました。

委 員 今の点はいかがでしょうか。事務局としては、他府県の例なども参考にされたわけですが、今のご意見はもっともなことであり、我々とすれば最初から最後まで読むことは大変だと思います。
事務局

確かにおっしゃるとおりでございまして、回収率を高めようと思えば、分量を少なくすることも必要だと思います。実は、当初はもっと設問数が多くありましたが、小委員会で協議を重ね、半分くらいになりました。

ただ、「レイアウトをどうする。カナを打つ。見やすくする。答えやすくする。」等につきましては、今後、取り組んでまいります。実際に調査を実施する時には、調査会社へ委託をします。まだ、業者名は決まっていないのですけれども、調査会社なので、ノウハウは持っていると考えてございます。出来るだけ分かりやすく答えていただけるような、レイアウトを考えていきたいと思っております。

委 員 例えば、個々の人権については、並び方の問題があります。つまり、もしかしたら前の方で嫌になって、後ろの方は答えないで、ここまでで良いかというのが出てくる可能性があります。ですから、全部を答えていただくのか、この中のいくつかを選んで答えてもらうのかという方法も、場合によってはあるかも知れませんけれども、その辺も含めて、要するに答えやすいようにはどうすれば良いかという工夫は、業者にお願いするということですので、ある程度はできると思いますけれども、充分にご考慮願います。
事務局 どの設問から並べるかについても協議をしました。どのように並べても、それなりの理由があると思い、一応、国の行動計画の順番に沿った形を取ってございます。国の行動計画にない項目もありますけれども、その項目については、ある程度、関連のある項目としています。なお、国の行動計画は対象人口を基準とし、多いものから並べています。
委 員 その辺のことも業者に十分に話をして、どのような方法が一番良いかということを検討しながら行うのが良いと思います。
委 員

今のご意見と同じような考え方なのですが、見せていただいて実にここまで良くまとめていただいて1年間の我々の審議も活かしていただいているようで、すごく感動しました。

一方、自分でもアンケートを郵送された身になって答えるという気持ちで考えますと、行政が行うアンケートには、本当に神経を使うといいますか、受け取る側も、「学生が卒論の材料にするから協力してほしい。コマーシャルの調査である。あるいはマスコミの色々な調査」とかとは違う気持ちがあると思います。やはり、行政が行う時は、ものすごく慎重の上にも慎重さがいるのではないかということをまず考えました。

そして、それにはできるだけ柔らかくというか、断定的な問いかけをされると、やはり、無作為な3,000人の中には、色々な人も居るでしょうし、顔の見えないことというのは本当に、結果として笑い話に済むかも知れませんが、慎重に慎重を重ね、あらゆるケースを想定し、あらゆる質問があった場合にも対応できるような心構えが要るのだろうと思いました。

また、先程、調査実施前の色々な市町村への会議の時にお知らせするとお聞きしましたので大丈夫だと思いますが、そういう意味で「意識調査をします。ご協力下さい。」という導入のあいさつ文も付けられると思うのですが、その辺もよろしくということと、やはり、こういう人権とか同和ということは、和歌山は本当に誇っても良い歴史があるので、他府県はどうであれ、我々として、独自の回収率の目途も聞かせていただいておりますので、そこを中心に意識調査に徹底するのであれば、なるべく記述的な要素とか、あるいは実態調査と重なるようなことを行った方が深みがあって良いのかも分からないけど、欲張って結局、回収率を落とすことにならないかなとか、そういうことを思いました。

事務局

導入文につきましては、まだ、作成していませんので、本日は、提示させていただけないのですけれども、確かに付けさせていただきます。これについては、かなり神経を使っていきたいと、調査会社と打ち合わせをした上で、作っていきたいと思っています。

次に、広報につきましても、まず、各市町村の主管課長会議がこの10日にあり、その中で協力依頼をします。また、県の広報室を通じまして、県政記者クラブへ調査をするという意味合いの資料提供を、開始前に行いたいと思っております。また、回収率を上げるという意味では、誰が返送して、誰が返送していないというのが分からないのですが、一応、締め切り日に合わせまして、お願いしますという催促と礼状を兼ねたようなものを出していきたいと思います。出来るだけ慎重に行っていきたいと思っています。

委 員 アンケートの目的が啓発ということであれば、ネガティブな質問項目は、おかしいかなと思いますが、アンケートの目的が県民の人権についての意識調査ということであれば、ネガティブな選択項目を入れるべきというか、そうしないと正直な人権の意識調査にはならないのではないかなと思いました。具体的に申しますと、各分野ごとの人権の質問の最初は、いずれも人権上特に関心があるのはどのようなことですかということです。勿論、その中に特に関心のあるものはないという項目もあるのですけれども、それ以外に一つネガティブな、その問題は解決済みだとか、表現はともかくとして、ネガティブな回答をできる選択肢を入れておいた方が、そういうのも含めた中で、選択をしたということが明らかになるので、アンケートとしては良いのではないかと思った次第です。以上です。
事務局

ネガティブな項目というのは、例えば、女性の場合は、「男女はそれぞれ違うのだから性別や役割でも異なる。」、子どもの場合は、「学校での体罰は、指導のためにもやむを得ない。」、外国人の人権であれば、「国籍を持たない場合、ある程度、人権を制限されることがあっても仕方がない。」というようなことですか。

このことにつきましては、審議会でご討議をお願いしたいと思います。

委 員

今、例に挙げられたような項目が、どうだろうかということですけれども、意識調査の観点からすれば、そのような項目があっても良いように思います。

質問の形式が、難しいかも知れませんけれども。

委 員 ネガティブな項目が必要であるということについては、ご異論がないのではないかと思います。ただ、そのようなことを考えているのかということで、回答者の方、あるいは、内容を知った人から反発を受けないような形というものを充分に考える必要があります。全体の意識調査ですから、そのようなことが必要と思われますけれども、特に懸念されるところがありますか。
事務局 当初は、ネガティブな項目も必要であると考えましたけれども、啓発も兼ねるという意味合いの部分でどうかなと考えました。また、分からないという項目を入れたことは、否定的な意味合いもあったわけですけれども、分からないということと、否定的なこととは、意味合いが違うということで、このことは、審議会にご意見を伺いたいと思います。
委 員 「分からない、そう思わない」という意見については、我々はもっと内容が必要です。例えば賛成や反対よりも、一番問題になるのは、分からないという人の問題意識の内容です。
委 員

項目について、「思う、思わない、どちらとも言えない」という聞き方もあります。その場合には各項目について、全部を答えてもらわないといけません。そうするとネガティブな項目の答えも出て来ると思います。

おそらく、いくつかを選んで下さいという項目にネガティブを入れる方法と、あらかじめ意見をいくつか並べておき、それについてどのように思うかを聞く方法では、出てくる結果が違ってくると思います。どちらの方法を取るかは、おそらくテクニックの問題がありますから、業者と相談して上手い方法を考えてもらったら良いと思います。

委 員

先程、事務局から言われたような例は、それ程、抵抗なく回答できるのかも知れません。

事務局の方で特に懸念されることはどういうところなのですか。

事務局 ネガティブな項目の回答をどのように活かせるかということです。実際、そのように回答する人も当然、出てくるということは想定できます。過去の他府県の例を見ますと、その項目を選択された割合は低いので、この低い部分を押さえる必要があるのかどうかということもあります。
委 員 先程、言われた役割分担の問題について、やはり、必要だと思っている人は多くはないと予想されます。しかし、統計として残しておくということも、ある意味では必要ではないでしょうか。
事務局 このことにつきましては、事務局も例を挙げただけですので、再度検討し、小委員会と相談させていただきたいと思います。
委 員

ご審議を賜る方法といたしまして、設問順に行う方が良いかと思いますけれども、各設問につきましても、各委員から事前にご意見を賜っておりますので、そのことを中心にご審議を賜りたいと思います。

まず、「人権についての考えを問う設問」について、ご意見はございませんか。

委 員

人権課題を問う設問では、問いの形式が大事な点です。人権問題として大切であるとか、重要であるとかは、基本的には聞くことではありません。

また、施策の内容についても、半分ぐらいしか知らないとなると、何を聞くかではなくて、知っていることを言いなさいということと一緒になります。特に大切ということは、問題意識としてはかなりあると思います。人権というものは、「活動力がある。何々が大事である。ある人はどうなのか。」に問題があるのではないと思いますので、どこに関心を持つかという尋ね方が良いと思います。

次に、人権侵害を問う設問で、「人権侵害や差別を受けましたか。」という表現があるのですが、人権侵害の中に差別、いじめ、虐待があるわけです。だから言葉を分けるのではなく、人権侵害(差別、虐待)などという表現に、是非、訂正すべきだと思います。

また、人権についての基本的認識を問う設問が必要です。つまり、その人の人権とは何だろうかを問う設問がありません。どのような意識を回答者が持っているかを聞くことができれば、提案することも考えられます。

今、基本的人権について、「法律で制約されるべきものか、されないものか。」ということの認識が、非常に大事なことです。そのことに関して言えば、人権侵害に対する救済のことは一つも書いていない。つまり、「人権の救済について何が中心になるか。何を救済するのか。どのように救済するのか。」は、一つも出ていない。だから少なくとも人権救済についての説明が何らかの形で必要と思います。

委 員

全般的な人権についての調査という意味だと思うのですけれども、「全般的な人権とは何だろう。」と思います。全般的な人権という言葉があるのでしょうか。

また、このアンケートを通して、県民の理解を深めるということからすれば、「幸せに暮らす権利、すなわち人権を持っています。」というところを「人権は、憲法に保障されています。」とする方が良いのではないかと思いました。

そして、答える立場からというと、「守られていると思いますか。」と問いかけてくれた方が、「守られている。」と断定的に問いかけられるよりも答えやすいと思います。

また、大切ということを選んで自分でをする時に、をしなかったものは「どうでもいい。大切でない」と思われたら困るなとかも感じました。

次に、「あなたは、ここ数年間に、自分の人権が侵害されたことや差別を受けたことがありますか。」という問3につきましては、随分、答えるのに長い間考えました。実態調査ではないのですが、もし今、差別を受けていると出てきた場合は、少し、追跡もするような責任を私だったら感じるということを思ったりしました。せめて、「侵害(差別を)受けたと感じた。」とか、「受けたと思ったことがありますか。」という方が書きやすいと思いました。

それから「人権侵害を受けた時にどうしましたか。」の問いの選択項目に、「相手に抗議した。」とありますが、間接的にあるいは直接的に抗議したのかがわかりにくいです。

とにかくこの問いについては、私は消極的でございます。もし、どうしても置かれるのならば、「されたと感じた。」とかとして入れていただいた方が答える側も答えやすいのではないかと思います。。

以上、答える側に立って、述べさせていただきました。

委 員

「大切と考えるか。」は、「関心がある。」という尋ね方の方が良いと思います。

それと、人権侵害と差別ということについてもご意見のとおりであり、差別も正に人権侵害の一つの形態だと思いますから、これもご指摘のように、訂正するということで良いと思います。

委 員 問3ですけれども、ここでいう、「あなた」は、つまり個人なのかどうか。あなたの周りも含むと、結構、答えやすいし、あるいは事象としては、例えば、自分ではないけれども子どもであるということもあり得るわけです。その時に、「あなた」としてしまうと、非常に限定されてしまいますから、「あなた、もしくはあなたの周辺で」とかでも良いと思うのですが、限定する必要があるのですか。
事務局 今のご意見ですが、一応、「あなたは」に絞りたいです。「周辺」を入れますと、少し範囲が不明確になるという気がしますので、あくまでも、「あなたは」でお願いいたします。
委 員 そうすると、子どもの障害者は出てこないということになりますが。
事務局 そうです。そこが一番辛いのです。
委 員 親御さんが答えるということもあり得るわけですが、ここでは、「自分の子どもがいじめを受けたとか。自分の子どもが障害者です。」ということは、出てこなくなります。
事務局 言うとおりです。子どもの調査ができないのかという意見も以前の検討段階でありましたが、含まれないという考え方になります。
委 員 今の問題ですけれども、「あなたの」というように限定する方が良いのか。それとも、そうではなくて「自分の周辺を含めて」というようなことの方が良いのかという点ですが、ご意見があればどうぞ。
委 員 ここで、「あなたは」が自分のことを言っている意味は、「隣の人が何かをされていることを見たとか、道でたまたま、そういうのを目撃したとか」というものではなくて、自分の身に起こったという意味ですから、多分、自分の子どもが侵害されたのは、この主旨からすれば、この中に入れても良いのではないかと思うのです。その辺をもう少し、表現をあまり限定しないような形にすれば良いと思います。見聞きしたものは何でも入るということではないということをはっきりとすれば良いのではないでしょうか。
委 員

同意見です。問3の「あなたは」を「ここ数年間に自分や家族の」とすれば良いと思うのです。家族といえば、人によりますけれども、普通は同居している家族のことをイメージするので、逆にその範囲で良いと思います。親戚までを入れなくても良いと思うので、「自分や家族の人権が侵害されたことがありますか。」という問いで、問3は統一すれば良いと思います。

それから、基本的認識を問う設問は難しすぎて、私は答えられません。逆に言いますと、難しすぎて答える意欲を無くすのではないかというような気がします。そこまで、このアンケートで求める必要があるのかなという気がします。

また、どういうことを救済というかについては、人によって受け取り方がさまざまで、私自身は、「どこに相談したか」とか「どうしたか」という問いがあるので、むしろそれで良いと思います。「救済を受けましたか」と問うと、それでは、救済とは何かという話になると思います。

委 員 まず、最初の「あなたは」と限定するか、それともある程度広げた形で捉まえるかは、どうですか。
委 員 「あなたはここ数年間に自分や自分の家族の人権が侵害された」ということで、良いと思います。
委 員

人権侵害も自分と自分の家族だけではないと思います。周りで起こる人権侵害も黙って見ていたら良いかという問題もあります。

「あなた、あなたの周辺で」というと、もう少し広がりますけれども、範囲が確かに難しいです。

委 員 ある程度、範囲を広げるということを考えてはどうかという意見が強いですが、事務局はどうですか。
事務局 家族までを含めるように訂正したいと思います。
委 員

また、人権についての基本的認識を問う設問の追加に関してですが、以前に事務局の案で「人権は重要なものであるか」という設問がありました。これはあまりにも設問の仕方がどうかということで、削ったのですけれども、狙いとするところは、同じではないかと思うのです。基本的人権は何者にも阻害されるべきものではないという観念が徹底しているかどうかということだと思うのです。そのような尋ね方が必要であると思うのです。

私も基本的人権は、法律によって云々ということは別としまして、現在の世界の情勢を見たところで、権力や法律によってと言いますか、多数によって何でも侵害されるというような情勢が見受けられますし、そのようなことを是認することが良いのかどうかということが、やはり、問題だと思いますので、何らかの形で今、言われたようなことにつきまして活かすように設問の形式を考えるのが良いと思います。

委 員 設問形式で問うということ、あるいは前文で述べることもできます。また、設問の主旨にそういうものを含めておくということも、あり得るかもしれない。そこは検討していただきたいと思います。
委 員

この点につきましては、事務局で何らかの形で残すことを検討するということで、お願いします。

やはり、今の世界の情勢を考えれば、基本的人権がそんなに簡単に覆されて良いのかなということを強く感じていると思います。

先程の救済についてご意見はありませんか。

委 員 新たな項目を立てるよりも、「人権侵害を受けた結果はどうなったかということについて、差し支えがなければ記入して下さい」ということを追加してはどうですか。
委 員 救済という言葉の意味ですけれども、法律でいうところの特別救済ということに限定して考えるのか。それとも相談というものも、一つの救済方法ではないかという考えで、含めるということからすれば、特別救済だけを救済というのではないのです。個別的な救済は、相談の中でも十分に行うことができますし、一般啓発、個別啓発の中での救済こそ本当の意味での救済ではないかというご意見もあろうかと思いますが、その点についてはどうですか。
委 員

非常に広い意味での相談といえば、「どうしてくれるのですか。」ということもあれば、「こうしたらよろしい。そうしたら救われますよ。」というようなことにもなります。

もう少し厳密に言えば、相談というのは、救済の段階を含まないと思うのです。やはり、救済ということは、今度、人権擁護法案みたいな一定の法律なり、条例なりのバックアップがあって成り立つものであり、現在は過程の途中です。人権擁護法案が通れば何らかの救済は出ると思うのです。この内容は、名誉毀損、損害賠償、相手への謝罪などですが、色々と救済はあると思うのです。ただ、問題意識としては、やはり日本国憲法で、「人権を侵すべからず、永久の権利」と書いてあります。しかし、侵されたらどうするのかとは、一つも書いていないので、日本国憲法といえども、不備な点はあります。当然、相談を受けた方とかが、法律なり、相談なり、色々な点でカバーしなくてなならない責務があると思うのです。そこが全然、空白なので、僕は救済の問題を出しているわけです。ただ、どのような内容が救済になるのか、どこに救済を頼むのかという問題は、人権擁護法案が通れば、もう少し、明白にになると思います。非常に日本の法律体系や人権擁護体系が不備だと思うのですけれども、そういうことを言っても仕方がないのです。全体として我々がそういう段階ですから、それを外しても構いませんが、問題意識的には、そういうものを持つべきだということです。

委 員

問題意識としてはそういうことなのですけれども、現在の救済制度からすると、救済を受けたことがあるかというところまで、設問を出すのはどうかと思います。

例えば、今でも、人権審判の申し立てをする、あるいは弁護士会に救済の申し立てをする、人権擁護機関に申し立てをすることはできますので、人権侵害を受けた時にどうしましたかという中に、そのような手続もされたかどうかを選択肢の中に入れておくのはどうですか。

委 員 市民感覚では相談というと窓口のような感じがします。相談して、それから次にどうするのかというのが、むしろ専門的な問題であるのですが、私たちは支障があった時には、相談に行きます。そういう意味ではそれでいいのかなという感じがします。
委 員

人権救済という場合に、今後、法案が通るかどうかは別にしまして、法案が予定しているところの救済とは、非常に厳格的な言葉であり、事実、良いか悪いかは別にしまして、非常に救済の分野というものが限定されています。

従って、我々の方でも、法によるところの救済だけに任しても良いのかどうかということがありますが、一方、条例で法以上に強制力の伴った救済方法などが許されるのかどうかという法律上の非常に大きな問題もあります。従って、法案が通るということを予想した場合の救済は、非常に限定されたものにならざるを得ないので、それを補足するためには、どのような方法を取るかということで、事務局と小委員会でも色々と議論しているわけですけれども、その救済を法案が示しているところの特別救済という意味に限定した場合には、非常に難しい問題が出てくるということがございます。そのような意味で、ここのところは一応、相談という言葉の中に救済を含めたことだと思うのですが、事務局は何かその点について、お考えがありますか。

事務局

事務局でも、議論させていただいたのですけれども、人権相談と人権救済の違いが一般的に理解されているかということが一つあります。。

よって、事務局案の中には、何々に相談したという項目が多くなっています。相談した次の過程で、救済になったか、救済になっていないか、どうなったかということに至っていくと思いますので、もし、入れるのでしたら、「あなたはその後、結果としてどうなりましたか」と入れるのが良いと思います。

委 員 この件につきましては、一般の人が答えるとすれば、相談までで良いと思います。相談に行った結果、アドバイスを受けて、実際に動き出す必要があれば動き出すというところまでを含めて、普通は相談と受け取るのではないかと思いますので、このままで良いと思います。
委 員

救済については、今後、どのように取り組んでいくかが重要であると思います。

それでは、次の女性の人権についてご意見はございませんか。

委 員 「リプロダクティブヘルス/ライツ」、訳すると、「性と生殖に関する健康と権利」になりますが、この女性の自己決定権という問題にほとんど触れていないです。事務局に問題意識があるかどうかは良く分かりませんけれども、そのことについて、何らかの形で、反映すべきです。
委 員 例えば、どのような文言になるのかをおしゃっていただければ、具体的に分かりやすいと思います。
委 員 実際問題としては、「リプロダクティブヘルス/ライツ」という言葉が出てこないと、設問ができないと思います。しかしそうすると、非常に設問が難しくなるので、私もどうかなと思いますけれども、ただ、問題意識的には、女性の自己決定権という人権問題は、非常に応対が手遅れになるということなのです。そして後で、政策や、施策が色々と取り上げられます。
委 員

項目の中にどのような形で取り入れるかということは難しいと思いますが、今のご意見を、事務局と小委員会で検討させていただきます。

次に、子どもの人権につきまして、ご意見をお願いします。

委 員

概ね、これで良いのかも知れませんが、ただ、子どもの人権の中には、成人に成長する権利、つまり、成長する中で、権利として教育・教養を習得し、一人前になるということを社会的に保障されなければならないという権利があると思うのです。その点から見ると社会的に一人前の人間になるためには、基礎学力が徹底的に必要だと思うのです。今の教育で不足しているのは基礎学力です。これは色々なデータで示されているわけです。だから、子どもの成長する権利の一環として、いかに子どもの基礎学力を保障するかという点が、子どもの権利に対する政策や取組として、非常に重要な点になるのではないかと思うのです。それが中心です。

あとは、親の子どもに対する虐待の問題が、施策に取り上げられていないようです。特に、一般的な虐待と同時に、今、親の子どもに対する虐待が非常に大きな問題になっています。それは特記して、書いても良いのではないかと思います。

委 員 私も同意見で言おうと思っていたのですけれども、児童虐待に対する取組が入っていません。ただ、児童虐待に対する取組を、どのように入れるかは難しいです。例えば、「親に対する育児相談」とか、「カウンセリングの機会をできるだけ確保する必要がある」とかがありますが、あくまでも取組の一つであり、児童虐待に対する取組として、正にこれであるという取組が何になるかは、非常に難しいです。ただ、この中に入っていないのは、そのとおりだと思います。
委 員

委員の方で案を考えていただきますようお願いします。

次に、高齢者の人権の方ではどうでしょうか。

委 員 高齢者の人権について特になければ、障害のある人の人権についてはいかがでしょうか。
委 員 障害のある人の人権を守るための施策の設問を見ますと、回答者としては、行政がどれだけ本気で施策をするのかなという感じを持ちます。つまり、非常に総花的にある事を全て書かれているわけで、県の重点施策がこれであるという点が、全然、ないわけです。極めて、総花的になっており、実際に全ての施策を実施するためには、莫大な費用が要ります。それで良いのでしょうか。
委 員

今の段階ではやむを得ないと思います。審議会が審議を進めて、一定の方針が出て、施策を実施し、その後にどうなったかということは、本当は必要かも知れません。しかし、それはあとの問題です。

それから県として、こういうところに重点を置きますというのは、今度、出て来ることです。今の段階では無理と思います。

委 員

基本方針づくりのための一つの資料の段階ですからご了承いただきたいと思います。

次の同和問題についてのご意見はどうですか。

委 員

重要な欠陥というか、つまり、土地差別の問題が出ていません。はっきり言って、実際問題、どこでも出ていないのです。

土地差別、つまり、同和地区の地価が地区外よりもずっと安いのです。それから地価だけでなく、家賃もそうです。僕はいくつも友達にそのような話を聞きます。その中の話の一つですが、ある人が家賃の安いところを探していまして、同和地区に安いところがありました。その人には偏見がないので同和地区とかは、どうでも良いわけですが、その人は同和問題を知らなかったわけで、「これが同和問題かと思った。」と言うのです。

また、ものすごく安い出物があって、知らないで見に行き、何で安いのかを良く考えてみたら、そこが同和地区であったとかも聞きます。

結局、同和問題で難しいのは、結婚差別、就職差別、土地差別なのです。家を建てたり、道路を整備するなどのハードの問題はある程度片づきますが、この3つに共通するのは何かというと、結局、部落の人々に対する忌避意識、排除意識です。これは非常に難しい。だから差別意識の分析ということになってしまうのです。

実は、私が同和問題の中で最も知りたいことは、そのような忌避意識、排除意識がどの程度まで広まっていて、どの位の深さがあるかということと、同和地区とその周辺の人々の意識、また、遠く離れた人々の差別意識がどれだけ違うのかということですが、その調査は非常に難しいのだろうと思います。

だから、それを推定できる調査もできるかどうか分かりませんが、本格的に同和問題の調査をするのであれば、そのことも必要です。設問も研究して、特別にする必要があると思うのですが、差別意識の程度を聞くわけですから、この調査は非常に難しいと思うので、問題意識だけを申し上げておきます。

ただ、事務局に質問ですが、項目に「同和問題について、誰もが自由に意見交換できる環境づくりをすすめる。」とあります。これは、誰がどういう形で、自由に意見を交換できる場をつくるのですか。そのためには、何をすれば良いかということは、あまり、行政の文章を見る限り出てきません。

私の推測ですが、どうしてこの項目が出てきたかというと、地対協の意見具申の中に「同和問題を自由に討論できる場がない」という形で色々と出てくるからです。

けれども、この設問は非常に誤解を招くと思うのです。具体的に誰がどうするのですか。例えば行政の施策としてはどのようにされるのですか。もっとはっきりと言えば、差別をする人と差別を受けた人の両方が入るのかという問題が一つあります。もっと大きな問題は、実は、「同和が怖い。しかも差別糾弾が非常に厳しい。」という一般の世論がある中で、誰でも自由に意見交換をできたら良いという願望は分かるのですが、この環境をどうして創るかということです。本当のことを言えば、基本的に同和問題の解決しかないのです。このように考えるとこの項目は要らないと思います。これは意味がないです。

それからもう一つ、「同和問題のことや差別のことなどを口に出さないで、そっとしておけば自然になくなる。」という項目も施策ではないです。そっとしておけば自然になくなるということであって、どうするかということは全然、出てこないわけです。黙っていれば自然になくなるという意見が書いてあるだけで、これは行政がする方策ではないです。行政としては、方策でなければ放っておけば良いとなります。だから、ただ誤解を招くのではないかと私としては思います。以上です。

委 員

ある意味では先程から言われているネガティブな質問形式とも思います。

また、「地域の人々がお互いに理解を深め、交流を広める。」は、地対協の最後の意見具申を受けての話でしょうけれども、誰がするのかとか、どのような方法でするのかとなってくれば、事務局の答えは、「皆ですよ」となるかも知れませんが、特に事務局は、どうですか。

事務局

「同和問題のことや差別のことなどを口に出さないで、そっとしておけば自然になくなる。」という項目は、先程言われた、ネガティブな設問に活かしていきたいと思います。

また、「地域の人々がお互いに理解を深め、交流を広める。」については、確かに問うのは良いのですけれども、環境づくりを進めるとなれば大変なことです。意見具申では、隣保館などを通じて、近隣の人々との交流の場をつくっていくとあり、この項目も良いと思い入れましたけれども、外した方が良いのでしたら、外します。

委 員 先程の委員のご心配のところも十分に考えながら、事務局と小委員会で検討しますが、このような項目を入れておくこと自身に意味があることもあります。ただ、委員が懸念されるところを我々も頭においとかなくてはいけない。
委 員

例えば、「誰がどのようにするのか。特に行政はどうするのか。」などの公開質問が出てきた場合、答えようがないと思います。

それから、えせ同和行為と言葉だけがあるのですが、実際の被害はどうなのですか。えせ同和行為で被害を受けたケースを調べたことがありますか。

事務局 相談件数があるだけです。
委 員

えせ同和の関係で、まとめたものはありますか。

私たちも顧問先の自治体から相談を受けることがあります。ところがそれが県の方へ全然、届いていない。だから、どこで止まっているのか、どうして止まるのかという感じがします。集計は出ていませんか。

事務局 相談があった分については、全て受付をしております。それで、どのような回答をしたかもありますので、それを見れば、件数は分かりますが、被害額は分かりません。最近、5万円ぐらいの高額図書を買ってほしいというような相談が結構あります。
委 員 「えせ同和行為が横行している。」という表現なので、沢山あるのではないのですか。横行ということは、かなりあるという意味です。少ないなら横行とは書かないです。
委 員

横行という言葉は、何かの文章にあることはあるのですけれども、一度、事務局で考えていただけますか。

次に外国人の人権についてですが、外国人を国籍ということを中心にした外国人をいうのか、それとも人種差別撤廃条約というようなものを念頭に置いた、広い意味における外国人という捉え方での外国人をいうのかについてはどうですか。

委 員 普通はこういう形で外国人とは言わないのではないのですか。日本人以外は全て外国人です。外国人の人権というと、「完全にあります。」ということしか答えがないわけです。問題は、日本に住んでいる外国人です。だから、在日とか、定住とかの言い方になりますが、どのような外国人であるかは、限定しておく必要があります。結局、設問は、定住外国人は未だ十分に人権が保障されていないということを色々な項目に分けて、質問するということになると思います。
委 員 単純に日本に居住する外国人に関する事柄というぐらいにして、あとは、回答者の判断や考えに任せるのが良いと思います。限定するということは分かりますが、限定するとしても、日本に居住する外国人ということで、観光に来た外国人は含まれないだろうと思いますが、定住外国人というと一定の定住という言葉には、入管法上の問題、永住許可との関係、在日韓国朝鮮人の方々のこともあり、かえって限定されないと思います。
委 員

この外国人ということでも小委員会で色々とお話が出まして、それぞれ受け取った側の意見が出ると、統計的にあまり意味がないものになるだろうと思いつつ、限定せずに終わっています。限定することの難しさということがあります。

また、「定住外国人に対し、選挙権がないなど人権が制限されている」という項目だけ、なぜか定住外国人と書いてありますが、なかなか良いアイデアがなくて、このようになっています。

委 員 この項目にだけ定住と入れたのは、外国人に選挙権がないのはある意味で普通であるが、定住外国人にないのはどうかという意味です。つまり、観光旅行に来た外国人に選挙権がないのが当たり前であるということからすると、ここだけは入れようとなりました。他の項目については、どのような外国人を指しているのかは、回答者のイメージに任せるということです。
委 員

日本に居住する外国人という大きな括りの中で、各回答者に任せるという方向で検討願います。

次のHIV感染者やかつてハンセン病を病んだ人、難病の人に関する人権について、どうですか。

委 員

今、日本で若者を中心にエイズがすごく増えています。その問題意識が少し、欠落しているのではないかという気がします。世界的にもものすごく増えて、何千万という人がいて、エイズで死ぬ人が数百万というような話です。幸い日本はまだ、非常に少ないのですが。

以前は血液製剤でエイズがうつりましたが、今は若者の中のセクシャルインターコース、性行為でうつるのです。その点の基本的知識が不足する中では、いくらでもエイズが若者に蔓延します。エイズは握手くらいしても全然うつらない。大部分は、いわゆるセクシャルインターコースで初めてうつります。今、エイズの問題に関して、そのような警告を出さないと、若者に蔓延します。私はその点に多いに危機意識を持っています。

また、ハンセン病については、日本政府は随分とひどいこと、つまり、何十年もハンセン病に対する隔離政策をしてきました。自らの罪だと思います。それをどのように反省しているのか、もっと聞きたいのです。

このようなことばかり言っていますが、ただ、若者の間のエイズの蔓延について、特に若者の人権を守る重大な対策が要るのではないかと思います。

委 員

今のHIV、ハンセン病の意見ですが、内容的にはやはり、各分科会の方で取り上げるべき事項だと思います。

取り敢えずは、このアンケートに関連してお願いします。

委員:項目に「本人に十分な説明もないままに、隔離など一方的な医療行為が行われる。」とありますが、法改正後はありません。今は、絶対に駄目です。「行われた」これは確かですが、「行われる」というのはどうかと思います。

次に、「医療施設や療養環境が十分でない。」とありますが、これもありません。現在は十分です。

ただ、「病気についての理解や認識が十分でない。」ということは確かです。なぜかと言いますと、この委員になった以降でも、海南で3回、美浜町、金屋町、医大と講演を行いました。しかし、その中で、本当に病気を知っている人は、ほとんどいませんでした。

感染して発病するまでで言いますと、大体、乳幼児に感染して、10歳から15、6歳までが一番、発生しやすいのです。例えば10人の乳幼児に感染して、どれくらいの子が発病するといえば、1人あるいは2人あれば多い方です。それぐらい発生が少ないのですが、そのことを知らないのです。そのようなことですから、やはり、理解や認識が十分でないということは言えます。

それから「患者の社会復帰は困難である。」ということですが、症状を、昔は結節、斑紋、神経の3つに分けていました。その内の結節では、手が不自由になったり、鼻骨に良く菌が集まりますので、いわゆる鼻が馬の鞍のようになります。そういった患者さんが「もう、菌がない。大丈夫だ。」と言っても、そのような容貌になりますと、これはもう社会復帰が困難です。ですから、そのような患者さんは現在でも、家に帰っていません。むしろ、差別で一番強いのは、家族ですので、「お前は、二度と帰ってくるな。もう向こうで居ててくれ。」とこういうことをはっきりと言っているようです。

この前、ハンセン病についての講演の時に、患者の家族の方が質問に立ちまして、「もう患者のことについては分かりましたけれども、家族の人権ということを県ではどのようにお考えですか。」ということを聞かれました。「県では、そのようなことは全て、僕のところに任せてもらっているから、色々あったら僕のところに相談に来て下さい。」と言ったら、「分かりました。」と言うことでしたが、やはり、家族の偏見が一番強いです。ですから県にも相談に行かないということで、例えば、「和歌浦健康相談所へ尋ねていく時に、やはり、住所とか、姓名を言わないといけませんか。」と聞かれたのです。

また、今までに来た人で、こういう人がいました。6年か7年前に家族に患者が居て、あそこはライ筋だとその当時、言われていた家族の人ですが、たまたま、手にアザができ、そこに斑紋が出ていました。見たら、これは紫斑病の種類でした。

委 員 取り敢えずは、意識調査の範囲内でお願いします。今、ご披露いただいております経験や知識は、この後、分科会に移りますので、その分科会で、お願いできませんでしょうか。
委 員

分かりました。

そういうことですので、大体のことは、これで良いと思うのですけれども、もっと詳しいことは、分科会でお話をさせていただきます。

委 員 アンケート自身については、特にご異論、ご意見はございませんか。
委 員 結構だと思います。
委 員

また、あとで、お気づきのところがありましたら、事務局におっしゃっていただきましたらと思います。他に各委員の方、ご意見はございませんでしょうか。

それでは次の「犯罪被害者について」と「回答者に関すること」は、同時にご意見を承りたいと思います。

なお、犯罪被害者等の人権について、このようにまで大きく取り上げなくてはいけないかどうかということ、それと同時に各項目については、どうだろうかという点で、ご意見を賜りたいと思います。

委 員 どの程度の集計をされるのですか。全部だとすると、大変なことになると思いますが。重点を置かれるということですか。
事務局 回答者個人に関する項目については、全部を集計していきたいと思います。
委 員 そうすると大きな進展になります。年齢でも6つの区分けがあります。男女別、年齢別、職業別もあります。
事務局 確かにそうなのですけれども、今回は、分析までは行いません。現状を把握するという形のいわゆるクロス集計を行います。
委 員

他にありませんか。

なければ、最後の自由な意見は、書いていただければ良いということですか。(はい)

それでは、このアンケートについての各委員のご意見を十分に反映して、もう一度、事務局で検討してもらうということにして、この議題は終わりたいと思います。

次に、議題2の分科会の運営について、事務局の説明をお願いします。

委 員

分科会委員の選任につきましては、1月24日開催の第6回審議会におきまして、ご承認をいただいておりますので、これから3つの分科会に分かれて、分科会の運営についてそれぞれ審議をしていただくわけでございますけれども、その前に、分科会が所管する分野の変更案について、ご審議いただきたいと思います。

現在は、第1分科会が「その他の人権」を担当し、第3分科会が「刑を終えて出所した人及び犯罪被害者等の人権」を担当することとなっております。

しかし、前回の4月23日開催の第9回審議会の意見にもありましたように、対極的なものを一緒にするのはどうかということもありまして、「刑を終えて出所した人の人権」を「その他の人権」に含めて第1分科会が担当し、第3分科会は、「犯罪被害者とその家族の人権」を担当していただきたいと思います。

なお、分科会の運営についてでございますけれども、このあと、それぞれの会場に分かれて、お願いするわけでございますけれども、一つには座長の選任、それから分科会の進め方の決定をしていただきたいと思います。

それから、50日位の間に3回の分科会を開かなければならないということになりますので、日程の調整もよろしくお願いします。

委 員

この審議会で委員のご了解を得なければならないということは、この「刑を終えて出所した人の人権」と、「犯罪被害者とその家族の人権」を2つに分けるということですが、ご了解をお願いできますか。


【異議なし】

委 員

ありがとうございます。

それでは各分科会に分かれて、ご審議賜りたいと思います。

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