第8回和歌山県人権施策推進審議会議事録

第8回和歌山県人権施策推進審議会議事録

第8回和歌山県人権施策推進審議会
日 時 平成15年3月27日(木曜日) 13時~15時半
場 所 和歌山市 アバローム紀の国
議 題

(1)外国人の人権に関する現状と課題について
(2)その他

出席委員

稲垣委員 大畠委員 谷口委員 橘委員 月山委員 辻委員 都村委員 中川委員
中谷委員 中村委員 西委員 村田溥委員 村田恭委員 柳瀬委員 吉澤委員

配布資料

(1)『和歌山県国際交流推進指針』和歌山県
(2)『和歌山県国際協力推進指針』和歌山県

内 容

委 員

外国人の人権の現状と課題につきまして、まず人権室から説明を行い、引き続き関係課から説明を頂きます。その後委員からの御質問、御意見を賜りたいと思いますので、よろしくお願いします。

事務局

外国人の人権につきましては、それぞれの課室において、色々な取組の中で課題解決を行っており、人権室から総括的な説明を行いますので、よろしくお願いします。

経済はもちろんのこと、社会活動や文化活動といった様々な分野における国際化が進み、世界各地で活躍する日本人が増えているように、色々な理由により、わが国を訪れ、またわが国で生活をするようになった外国人は、年々増加しています。

このことは、和歌山県も例外ではなく、海外から和歌山県へ訪れる観光客の宿泊人数は、関西国際空港が開港した平成6年以降、概ね増加をたどり、平成5年に約1万5千人だった宿泊者は、平成13年度には約6万3千人にまで増えています。

また、本県の在住外国人数は、最新統計であります平成13年度末現在で67国、7,176人となっておりまして、内訳で見ますと、韓国又は朝鮮国籍の方が3,787人、中国国籍が1,032人、フィリピン国籍が870人、タイ国籍が332人、ブラジル国籍が299人、アメリカ国籍が180人が、主な出身国籍別となっております。これは、平成元年に比べ1,767人、約33%も増加しており、学校や職場といった限られた場所や空間だけではなく、広く地域社会における日常生活の様々な場面で、外国人と接する機会が増えてきているところです。

特に、1980年代のバブル期頃からの「きつい、きたない、きけん」といった「3K」と言われる就労分野で、日本人の青年たちが働きたがらないという慢性的な労働者不足が起こり、日系人労働者の受入が急速に進むとともに、就労資格を持たずに日本に来て就労を行うという不法就労者も、多くなったと言われています。この3K労働分野については、バブル崩壊後も働き手が簡単に集まらないという状態が続いており、日本と経済力に格差のある国々からの外国人労働力の進出の受け皿となっています。

こうした様々な理由により、日本を訪れる、また日本で生活する外国人の増加に伴い、言葉や文化、生活習慣や価値観の違いなど、外国人と地域住民との相互理解の不足による誤解やトラブルが発生し、外国人を偏見視するといったことも見受けられるようになりました。

歴史発展の過程で、朝鮮半島を通じ、大陸から日本へ文化や文明が入ってきたことは、有名な史実です。京都の嵯峨野や太秦における製陶、養蚕、機織(はたおり)、土木工事や、灌漑工事により稲作を可能にしたことなど、旧来の技術水準を一気に飛躍させる文化や文明を運んできた彼らは、渡来人と呼ばれ、平安京の大内裏(だいだいり)に邸宅を許されるものを始め、全体的には、一定の土地を与えられるなどの待遇がされていたと言われています。

異民族への蔑視感が現れたのは、元寇あたりからではないかと言われています。蒙古襲来という外国からの恐怖とともに、神風、神国思想が人々の間に広まることになり、他国への拒否感と、蔑視感が生まれてきたのではないかと言うことです。

近世の江戸幕府下での、朝鮮通信使への友好接遇が、行われていましたが、外交への対応は、幕府が自らではなく、一大名が行うことを許すという形で行われていたことや、将軍への面会も臣下の礼をとる「四拝礼(しはいのれい)」を強制したように、決して対等な友好関係にあったとは思えません。

現在、国内には、多くの韓国・朝鮮籍の方が住んでいます。

過去の日本の朝鮮半島への植民地支配により、多くの韓国・朝鮮人の方が、色々な形や理由で日本へ移住することになり、軍需産業や当時の主要なエネルギー産業である炭坑、ダムや鉄道工事等の土木産業への従事を行いました。

これらの人たちは、昭和27年4月28日の「サンフランシスコ講和条約」の発効と、それに伴う諸法規の制定等により、日本国籍を喪失することになり、暫定的に日本に在留する者とされました。

昭和40年6月22日の「日韓基本条約」の締結を受けた、昭和41年1月17日の「日韓法的地位協定」により、「韓国」籍の人に永住権が与えられ、昭和57年1月1日の「出入国管理及び難民認定法」の改正により、「朝鮮」籍の人にも永住権が与えられました。さらに、平成3年11月1日の「出入国管理特例法」の制定により、在日韓国・朝鮮人の方の永住資格が法的にも一本化し、無条件に永住が許可されるという特別永住権が設けられることになりました。

その後、平成12年4月の「外国人登録法」の改正により、全ての外国人に対する指紋押捺義務がなくなり、特別永住者の外国人登録証明書の不携帯が刑事罰(罰金)から行政罰(過料)になり、登録証明書の切替が7年、他の永住者は5年と延長されました。

しかし、16才での市町村役場への外国人登録の義務や外国人登録証の携帯義務が残されるなど、制度目的の是非を含め、外国人登録制度のあり方の見直しについて、色々な議論がなされています。

1980年代以降は、日本と途上国との経済格差や、途上国自体の経済的な破綻により、途上国の労働者が職を求めて先進工業国へ移動、また日本国内でも3K職場を中心にした労働力不足を背景にして等、多くの外国人労働者が、様々な方法により日本の労働市場に流入しました。

外国人が日本に在留する場合は、原則として、在留するための資格が必要となります。そのうち就労が認められている在留資格は、入管法で定められていますが、それ以外の資格要件で在留している人や、観光などの短期滞在資格で日本に来たまま在留資格を得ないで、在留を続けている人たちの中で、就労を行っている人がいると言われています。

これらの在留資格を持たないで就労している人たちに対しては、欧米等で行われているような、労働者の滞在を合法化することのできる国内法規がありませんので、不法滞在、不法就労者として、存在し続けることになります。

また、平成2年6月に入管法が改正され、日系人労働者の受入が認められるようになりました。彼ら、彼女らは、日本での就労に際して、制限を設けられていません。家族とともに来日している人たちも多く、関東や東海の自動車関連の企業で働いている人が多くいると言うことは聞いております。

これら新たに日本に滞在するようになったニューカマーと呼ばれる人々の比率が、従前は大きく占めていた在日韓国・朝鮮籍の方を上回るなど、日本社会も多民族化が顕著となり、在日韓国・朝鮮人問題としてだけではなく、幅広く在日外国人問題として、考え、取り組んでいかなければならない課題となってきています。

外国人の人権については、最高裁判所は、昭和25年12月28日に「人として当然享有する人権は不法入国者であっても享有することができる」、昭和53年10月4日に「憲法第3章の基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民をその対象にしていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ」との認識を示しています。

また、日本の労働法令は、日本国内における労働者の全てに関してが対象となっており、日本人であるとないとに関わらず、不法就労であるとないとに関わらず、適用されるとされています。

つまり、たとえ不法滞在者の就労であっても、最低賃金法、労働基準法、労働保険法等の法令によって、労働行為は保護、保障しなければなりません。

しかしながら、不法滞在者を始め日本で働く外国人労働者については、これら適法に適用されなければならない労働法令が、適切に適用されていない場合があり、また不法滞在が発覚する等の様々な理由により、権利の救済を申し立てることもできずにいる人が存在すると言われています。

わが国では、昭和54年6月21日に「国際人権規約A規約」及び「B規約」を批准し、平成7年12月20日に「人種差別撤廃条約」を批准しました。これらの精神を基本にして、外国人に関する国内法制度についても、様々な取組や見直しが進められてきているところです。

しかし一方で、生活保護の対象者や国民健康保険の加入条件など、在留資格の有無で、権利の享受に明確な差異が見られ、その結果、不法就労者などその狭間に居る外国人労働者が、病気や外傷の際に、病院での治療が受けにくいという、生命や健康に深刻な影響を受ける事態も生じています。

また近年では、在日外国人の住民参政権や地方公務員への採用に当たっての制約のほか、外国人が、入浴施設での利用拒否や、飲食店等への入店拒否、さらに外国人を見ては疑えといった風評被害などの問題も発生しています。

このような状況の中、これまで日本人だけを対象としてきた制度や考え方を見直し、地域で暮らす外国人も同じ地域の一員であるとして迎え入れることのできる開かれた地域社会づくりを進め、全ての人が同じ人間として人権や人格を尊重し合い、異なる文化や考え方を認め合うことが、大変重要になってきています。

このため、本県では、国際化の進展に総合的に対応し、県民の国際理解を深め、幅広い分野での国際交流の推進と国際交流を通した地域の活性化を図るため、平成3年に「和歌山県国際交流推進指針」を、平成8年に国際協力事業をさらに推進するために「和歌山県国際協力推進指針」を策定し、積極的に国際化施策を実施してきたところですが、両指針の目標年である平成13年が終了し、新たに今後の本県の国際化に向けての方針を定めるため、両指針を一本化し、「和歌山県国際化推進指針」を策定したところです。

この推進指針と、平成10年8月策定の「人権教育のための国連10年和歌山県行動計画」との2つの視点に基づき、外国人にも住みやすい社会の実現を目指し、国際化に取り組んでいるところです。

基本的には、外国の文化や風習・歴史について正しい理解と認識を深め、理解不足から生じる差別や偏見の払拭を図ること、人種、民族、国籍に関わらず、個人として尊重し合い、手を携えて生きる社会を形成すること、という二点をもとに事業を行っているところであり、具体的な対策としましては、平成2年に地域国際化の中核組織として設立され、現在和歌山ビッグ愛8階にあります「財団法人和歌山県国際交流協会」とともに、相互理解を深めるための青少年や家族を対象とした国際理解講座、在住外国人のための生活ガイドブックの作成、生活情報誌の発行や外国人生活相談の実施、海外技術研修員や留学生の受入、国際交流ボランティアの育成、国際協力事業団(JICA)の受入事業協力などを実施しております。

平成14年度は、ワールドカップサッカー大会の日韓開催や日韓国民交流年でありましたので、特に外国人との関わりの中で偏見や差別が生じないよう県内市町村、団体等約250箇所へ、平成14年6月7日付け文書「国際化時代を迎えて」を送付するなど、啓発等の依頼を行うとともに、国際理解研究会などNPO団体等との連携による国際理解講座や、韓国理解講座や韓国語講座の開催等に努めてまいりました。

また、外国人の生活相談としては、平成14年度は、14年12月末現在で10ケ国籍の77件がありましたが、情報の提供、留学、在留資格等の相談内容が主なものでした。

県では、今後さらに、県民一人ひとりが国際社会に対する認識を深め、異なる価値観を理解し、人権を守り尊重する意識や行動力を養うとともに、諸外国の人々の生活や文化について理解ができる県民はもちろん外国人が参加しやすい研修会や交流イベントの開催などを、考えていかなければならないと思っています。

また、日本人と外国人の生活習慣の違いによるトラブルを防ぐため、滞在や地域での生活に当たって、お互いが守るべきマナーやルールを学べる機会の創設に努めなければならないと考えています。

学校教育における外国語教育の振興や国際理解教育、多文化教育の推進に努めるとともに、外国人の子女が日本人同様に学校教育を受ける権利を保障するとともに、それぞれの民族の文化や習慣を守り育てることのできる教育環境の醸成に配慮していく必要性もあると考えております。

外国人が地域社会で安心して暮らすことができるよう、日常生活に必要な知識や情報の提供、関係機関との連携による相談体制の強化、日本語学習機会の拡充など、生活環境の充実に努め、また、外国人が地域社会にとけ込むことができるよう、住民との交流機会の拡大や、各種行政施策への外国人の意見・ニーズの反映に努めなければならないと考えております。

地域に暮らす外国人が、外国人であることを理由に不合理な差別や不便を被ることのないよう、外国人の人権に配慮した施策の推進に取り組んでいかなければならないと考えております。

公務員試験の受験資格への国籍条項については、「地方公務員法」には、国籍に関する規定はありませんが、総務省の「公務員の任用に関する基本原則として、公権力の行使又は公の意思の形成への参画にたずさわる公務員となるためには、日本国籍が必要である。」という見解を基に、県では国籍条項を設けているところですが、それぞれの職種について、「公権力の行使又は公の意思の形成への参画」に該当する職種であるかの見極めを行い、既に、県における52の職種の内、33の職種において、国籍条項を撤廃したところであります。今後引き続き、国や他府県の動向を踏まえながら、関係機関と十分協議の上、それぞれの職種を個別に検討し、適正な対応をしてまいります。

また平成7年2月28日に最高裁判所において、永住者等に地方選挙権を付与することは憲法の許容範囲であると判決で示しているところですが、外国人の地方選挙権の行使については、国における法的な整備も必要であることから、国や他府県の動向などを見極めながら、適切に対応していきたいと考えています。

また、多くの観光客が、県内を安全に、自由に訪れることができるように、主要な外国語を併記した観光案内板や交通関係の案内・標示板等の整備や、公共施設だけではなくホテルやデパートを含めた主な施設での統一されたピクトグラム(標識や案内の絵文字)の使用の促進を図ってまいりたいと考えております。

さらに、地震や津波等の災害時には、在日外国人はもとより、地域で生活する住民が地域での罹災者の一次的な救援活動者となれるような、連絡網や体制を整備し、全ての住民が誤った情報を受け取ったり、正しい情報を受け取れないことにより不安になることのないような地域社会づくりを行っていかなければならないと考えております。

外国人の人権については、人権施策推進審議会の設置を契機に、ようやく庁内の体制や窓口等、組織的に取り組む体制が整備されつつあります。今後は、人権室や関係各課が一致協力して、強力に取り組んでいかなければならないと考えておりますが、本審議会において、御指導、御提言を頂きたいと考えておりますので、よろしくお願いします。

事務局

文化国際課でございます。この3月に新しい国際化指針ができましたので、経過を報告させて頂きます。

本県の国際交流の大きな流れといたしましては、全国でも有数の移住県でございますので、従来からはやはり移住施策が行われていました。そしてまた、日中国交回復による中国との交流姉妹提携による国際交流がございました。

そうした中、国際交流にも理念をということで、昭和60年代頃から当時の自治省が国際室を設置し、人づくり、環境づくり、姉妹交流促進の理念により、全国的に国際化を推進しました。その理念を持った交流と言うことで、本県でも平成3年3月に着手し、その理念による国際交流推進指針を定めました。これは全国同じ様な形の指針になります。

また、平成2年11月、自治省から全国の都道府県に一つずつ交流協会を設置するという方針により、本県におきましても和歌山県国際交流協会を設立しました。

それから本県の場合、関西国際空港の開港というのが非常に大きな事であり、それが平成6年でございました。平成8年には、国際協力という考えが出てきました。平成8年3月、国際交流指針ができてから5年目になるわけですけれども、国際協力指針をつくりました。今後は、国際交流だけでなく国際協力という考えにより、姉妹都市交流を進めました。国際協力を通した国際交流を進めていこうという流れでありました。

いずれにいたしましても、それは平成13年、2001年を目標年次として定めており、本来でしたら平成13年度が終了して、平成14年度から新しい形のもの、これまでのものを総括して新しいものをつくるのが良いのですが、色々な混沌とした状況もございましたので、少し遅れましたけれども、国際交流と国際協力を一つにした「和歌山県国際化推進指針」を、この3月11日に定めました。

その中の基本的方針のキーワードは、従来からございますけれども、人づくり、基盤づくり、環境づくり、ネットワークづくり、それから国際協力の推進でございます。それぞれのキーワードに基づきまして、施策を起こしました。

一つ目の国際化を狙う人づくりの関係では、国際理解教育の推進、国際交流を推進するリーダーの育成、ボランティアの育成等の施策を定めています。

二つ目の国際化の基盤づくりにつきましては、友好姉妹提携国との関係強化、海外県人会との連携強化、国際交流センターの活用、国際関係情報の提供、在関西領事館等との連携強化、あるいは帰国研修員との連携強化、国際化協会との連携による情報収集活動の施策を定めています。

3つ目といたしましては、外国人を受け入れる環境づくりを定めています。4つ目は国際交流ネットワークづくりという形で、これは特に今回の国際化推進指針で取り上げたところでありますけれども、やはり民間の国際交流グループとの連携をこれから推し進める必要があると思われます。

国際協力推進では、これまで以上に研修生、あるいは留学生受入促進、留学生支援、それからODAの資金による外務省関連の国際協力事業団(JICA)の国際協力の推進という形での取組を行っております。

次に、国際交流指針を掲げました平成3年から、その目標年度の平成13年までにおける、国際交流の進展のバロメーターという形のものを幾つか御紹介いたします。まず、パスポートの発行件数は、平成3年の場合、27,317件、平成13年では31,691件になってございます。ただ、パスポート発給のピークは平成8年でございまして、47,558件になっております。これは関西空港の開港の要素が大きいわけでございますけれども、47,558件から現在の31,691件に減っているということは、パスポートがいわゆる10年旅券というものになったことによります自然減が原因と思われます。

それから出国者数につきましては、平成3年の51,194人から、平成12年では112,193人と倍増しております。外国人観光客数は先程、宿泊者の説明もございましたが、日帰り者を含めた総数は、平成3年には19,861人、平成13年度では222,864人となってございます。外国人登録事務、先程平成3年には5,647人、平成13年には7,176人と説明して頂きましたけれども、本日、取りまとめたばかりなのですけれども、平成14年末の数字では、少し外国人の登録された人が減ってございます。200人程減っておりまして、平成14年12月末現在で6,965人になってございます。主に韓国又は朝鮮の人の登録が大体200人程減っている様でございます。中国は若干増えております。おそらく色々な条件があると思いますけれども、韓国、朝鮮の人の場合、帰化される人もございますし、そういう形で減っておられるのではないかという部分もあると思います。

それから、姉妹都市の提携数は、平成3年の場合、県市町村を含めまして、4市4町が15の提携先と提携したのですが、平成13年は24の提携先がございます。外国人の留学生につきましては、本県は全国的に見て高等教育機関が少ないことがあり、平成3年は33人でしたが、平成13年は103人となり、ようやく3桁台になりました。

因みに全国数は、平成3年は45,066人、平成13年は78,812人であり、いかに和歌山県の留学生の数が少ないということがわかります。それから本県における外国語、特に英語教育の大きな役割といたしまして、外国青年招致事業で外国人の英語指導助手を招致しています。県立高校や中学校で活躍しております外国人の招致の実績から申しますと、平成3年は37人、平成13年は約90人とお伺いしております。全国的に見ましたら平成3年には2,876人、平成13年には拡大して6,159人の方が招致され、全国で活躍されております。

先程少し触れましたけれども、民間の国際交流の団体というものが出てまいりまして、色々規模とかがあるのですけれども、特に私どもの方で把握させて頂いている中では、本県の場合、48団体の方々に色々御協力頂いています。

以上が国際化推進指針の作成に伴う経過と状況です。

委 員

それでは、委員の先生方から御質問、御意見を賜りたいと思います。

この外国人、私たちはいわゆる外国人の国籍というものを基準にするように思いますが、特に問題になってくるのはどちらかといえば、外国人の国籍というものを基準したものよりももっと広い意味における民族的、人種差別的な意味におけるところのものを考えていった方が良いのではないかと思います。

ただ、そうすると非常に間口、問題点が広くなりすぎるかも知れませんが、韓国朝鮮人問題一つに捉えましても、やはり国籍の問題というよりももっと広い意味があるのではないか、問題意識というのがあるのではないかと思いますので、できればそういう点も含めまして先生方の御質問、御意見等を賜りたいと思います。

委 員 1994年に国連で人権教育のための国連10年ということを決議され、1995年から2004年がそういう年になっておりますけれども、それに対応して和歌山県では何か行動計画といったものを策定されてましたでしょうか。
事務局 和歌山県でも、平成10年に和歌山県行動計画を策定してございます。
委 員 18ページに、行動計画として外国の文化や風習・歴史について正しい理解と認識を深め理解不足から生じる差別や偏見の払拭に努めようとなっているのですが、具体的にはどのような啓発を行ってられるのか教えて頂きたいのですが。
事務局

国際理解講座ということで文化の理解という形のものを中心にしております。財団法人の和歌山県国際交流協会の事業でございます。例えばこの平成14年でしたら新宮市の方で青少年国際交流セミナーという形で、フランス、アメリカ、メキシコの理解講座というものを開催してございます。

それから例えば昨年来からの日韓間の職員交流がございましたので、韓国関連の国際理解講座として韓国、あるいは、フランス、メキシコとかの国際講座を開催してございます。

委 員 人種、民族、国籍の違いを超え、個人として尊重し合い、共に生きる地域社会の形成。これに対してはどのような取組をなされていますか。
事務局 これもやはり国際講座のものになるのですが、国際交流団体やNPOとの共催でワークショップを開催してございます。昨年の場合は3月にしてございます。
委 員

本日は外国人の人権についてがメインテーマです。国際交流については、それはそれで論じたら良いものです。幾らでも論じる課題があります。ただ外国人の人権ということのテーマとして、国際交流ばかりとなると、少し論点がはずれるのではないかと思います。

それで文化国際課の説明も、国際交流の場合もありますが、外国人の人権に関する具体的な施策についても若干は説明されてました。しかし、それは文章になってないです。国際交流の今までの資料を出されて、実際にある問題を口頭で少し説明するということでは論議にならないわけです。そういうやり方をしたら、皆が外国人の人権問題を論議せずに、本来の議題からはずれるという印象を持ってしまいます。

また、前にも言いました人種差別撤廃条約が外国人の人権では、実は、非常に重要なのです。このことはほとんど述べられていない。そのことが非常に不思議なのです。和歌山県の行政では、人種差別撤廃条約をどのように認識しているか、その点もはなはだ疑問です。

少しだけいいますと、人種差別には非常に勢いがあります。外国人の人権もまさにそのものずばりです。一つ自治体で大事なのは、国と自治体にその認識があるかどうかわかりませんが、自治体は少なくとも1996年、国が、できて30年落ちで人種差別撤廃条約を批准した以上、やはり憲法その次が条約なのです。日本の法律があり、この重要な人種差別撤廃条約で、国と自治体に人種差別撤廃についての義務を課しているのに、そのことについても一言も触れてない。

それでもう一つは、必要があったら立法措置を講じると書いてある。そのことについても全然触れていない。総じて人種差別ではなく、人権についての現状というところで、つまり人権を論じる前提として、どのように日本で外国人が人権侵害を受けているかということをもう少し説明してもらいたい。和歌山県の事例は少ないかも知れませんが。全国でも良いから、そういう点をきちんと触れて、そのために各人権を保障するためにどういう措置を講じるのか。また、これから講じていくのか。

実はこの外国人の人権を問題にする場合に、人種差別撤廃条約に4つか5つ大原則を書いています。その辺はやはり認識のずれというのを非常に感じます。取り敢えず人種差別撤廃条約についてどのような認識を持っているのかをお聞きしたいと思います。

委 員

やはり外国人というこの国というものを基準にした国籍を問題とする差別も必要だろうと思いますが、それよりももっと深いところ、特に日本の国のその非常な偏見、それからこの条約というイメージで捉えた問題の把握、また、人種差別撤廃条約ということだと思います。

これについてはまさに先程もおっしゃられた様に、憲法につぐ重要な地位を持った条約です。それに基づいてそれが出たことによって、県の方として、どのような施策を講じたかということをお聞きしたいと言うことですが。

おそらく事務局側としましても、先生方の御意見を聞きたい、述べて頂きたいと言うことだと思います。特に人種差別撤廃条約と言うものを基にして特別な取組等をされたという経緯があれば説明して頂けますか。

事務局 外国人といえば、県としては交流を中心にしてきました。各関係課が人権に深く関わっていくようになったのは、この審議会の議論が始めってからです。皆さまの御意見を伺って取り組んでいきたいと思います。
委 員

同和委員会、同和室がなくなり新たに人権室が出来ました。この人権室が県庁全体においてどの程度の地位を占めているのか。果たしてどこまで認知されているのか、認知の程度さえ疑問に思います。

そういうことから全庁的にやはり人権室というものが、その全ての地方自治における中心において、人権室の存在というものを全庁的に認めさせたい。そういうことがこの委員会の一つの目的です。

そういうことからして、非常に事務局の方も一生懸命勉強してることは間違いないので、御指導を賜りたいと思います。

委 員

批准して8年になります。8年間何をしてたかと言いますと厳しくなりますが、取り敢えず人種差別撤廃条約を簡単でも良いですから勉強して下さい。特に第1部、第1条、第2条を勉強して下さい。そしてどのように認識をするか。認識が変わったか。

それから、我々も皆もそうですが、やはり行政以外の人は色々と活動しています。そういう民間の活動とどれだけ連携しているか。一体のものとして推進しないと、県が突つかれ、巻き込まれてどうしようもないです。その点を取り敢えず論議に入る前に申しておきます。

委 員

我々が考えるのは国際交流の一つの面を捉えても、やはり人種差別撤廃条約がどのように反映されているかと言うことが非常に重要なことだと思います。各課が色々施策を講じる中で、人権室が人権の面からこれをチェックしていくという機能を特に果たして頂きたい。

従って人権室というものを非常に強化する必要がある。このようなことが我々の希望するところです。そのような面から、外国人の問題、人権の問題を捉える時に、人種差別撤廃条約と言うものをなしにしては語られないはずだと思います。

その第1条の中で厳密な意味での外国人というものは、この人種差別撤廃条約から撤去しないということ。撤去しないという言い方があてはまらないかも知れませんが。この条約から外国人というものをどのように位置付けしていくかと言うことが、具体的な施策を行っていく上で非常に重要な点だと思います。そこの基本理念をもう少し勉強して欲しいという感じがします。

委 員

今の御指摘のおっしゃる通りと思いますが、少し具体的に御質問した方が良いという気がします。

例えば本日の資料の推進指針の6ページに外国人への相談事業等の拡大というのがあります。国際交流センターで定期的に相談窓口を開催されていますが、実際にどのような相談がどの程度あるか、もし把握できてたら教え頂きたい。その中で人権に関わる問題とそうでない問題があるのかないのか、そこも含めてテーマは一点です。

それからもう一つは、教育に関わるものとして、外国人の方の子弟の学校教育がどうなっているのか。現状が少し把握しにくいです。その辺もできれば障害児というところまで行かなくても、本当はそこまで行きたいのですが、取り敢えず一般の学校教育の中で、外国人姉弟の教育の御指導がきちんとできているかできていないか、もし解れかれば教えて頂きたい。

事務局

相談関係では、先程の説明の中では12月末でしたが、最終2月末現在の数字では83件です。

主な内容は情報提供で、これは具体的には生活情報の提供という程度のものになると思います。あと出入国関係、それから留学関係ですが、いわゆる人権に関わるものというのは大変数が少なく、直接的なものはないと思います。出入国関係とそれから若干の労働就職の問題がありますが、直接外国人に関するのは、良いか悪いかは別といたしましてあまりないのが現状です。

委 員 情報提供的な役割が大きい。
事務局 そうです。例えば労働の問題に対しても、やはり専門のところへの交通整理的なところが多いのが実態です。若干の国籍というものがありますが、どちらかといえば悩み相談的なレベルです。
委 員 今おっしゃった83件は、日本人の相談も含めてでしょうか。
事務局 はい、含めてです。
委 員 日本人の人が留学する場合の情報提供とかも含まれているのですか。
事務局 それももちろんあります。外国人の方だけで来る場合と一緒に来られる場合の違いもあります。
委 員

今、話のあった様に、外国人の人権について真正面からこんな形で話を仕始めたのはやはり条例ができて、そしてこの審議会ができて始めてではないかと思います。

今、国際交流というのは対外的な形での国と国、あるいは人と物、始めからいわれてるのですが、そういう形での交流の拡大化、円滑化である程度の、その中には人権という様な考え方があまり含まれていない形で、市町村どこでもそうですが、交流課みたいな形であるのは全部そういう姉妹都市提携の形の場合であって、本来の形という人権を含まれた形がなかったです。

先程から話に出ている、この人権教育のための国連10年が、和歌山県で平成10年8月に行動計画がつくられました。各市町村を委員の内の一人だったので、回らせて頂きましたが、どこともやはり外国人の人権という形のものが、例えば在日韓国朝鮮人の人権でさえ、行政が取り扱うということがほとんどない。人権と言えば同和問題だけでやって来ている様な状況で、その中に一つの分野として外国人というところを書かれているから、だからそのような形で初めてそこにあるから何かしょうかというようなことです。

ただ県の方も何もないわけでなくて、県の助成事業の中に外国の人たちとの交流、在住している外国人との交流というのが県の助成事業であって、その中で例えばある街ある町では、その町に在日朝鮮人がおられるということで1年間交流した結果、言語、文学、文化を中心にして伝統文化なんかを受け入れる中で、その方々の悩み、あるいは喜びを体験しながら人権問題と捉えて、最終同和問題とつないでいったのですが、そのような形で幾つか行われてございましたが、この人権教育の国連10年というこのテーマの名前さえ市町村の職員の中で、ほとんど知れられていなかったし、今もいないのと違うか。8年も経っておきながらそういうふうに思います。研修に行って初めて聞いたというような形の者が多いです。

だから和歌山県のこの課の作り方でも文化国際課とかあるが、外国人課とか、外国人の人権に関する課はなかったということで、先程、室長がここをスタートとしてやっていくのだと言うこと、本当にそれは正直なところの話、そんな形で考えていく中で言うと、この今がスタートということになると思います。

例えばその人権の問題でも、例えばどの辺を我々として考えなければいけないか、特にこの国際規約とか条約というものと、県民のという、非常にこの遠い様な考え方で皆が思っていたのと違うのかなと思います。

先程から言われている人種差別撤廃条約という問題、県民の和歌山県に在住する外国人の人権というのは考えるだけで、非常にこの離れた様な考え方の中に今まで行政側が皆立っていたのと違うかなと思います。そのようなもので一人ひとり県民の問題として今度はきちんとする。例えば外国人と言った場合にも、在日韓国朝鮮人の人やその他の定住の外国人まで幅を広げていって、移民や難民である人の色々のこれからの問題について、これからそこに視点をきちんと当てて欲しいと思います。

委 員

今、思い出したことがありました。今から5、6年程前に起こったことなのですが、今、我々も本当にその国際条約というものと県民とか市民レベルで外国人の人権というものをどれだけ真剣に考えていたのかということをすごく反省させられる出来事が、実はありました。

実は、私は、BPWという働く女性たちの自立を目指すというか、地位の向上とか男女共生とかいうことを色々目指している会のメンバーの一人です。

男女雇用機会均等法ができてしばらくした頃になるわけですけれども、和歌山に住んでいらっしゃる外国人の女性の方が、夜、街を自転車で走っていて暴漢に襲われたということがあったのです。それでその人がその事実にとても憤慨をして、どこかに言っていきたいのだけど、どこに言えば良いかわからない。誰もまた聞いてもらえない。日本語がしゃべれないと言うことで、とても何か憤慨していると言うことを聞いた私たちの会のメンバーが一度みんなでその彼女の話を聞こうと言うことになり、彼女に会の例会に来てもらいました。通訳の方が付いて来られましたが、色々何か服の上からかゆいところを掻くような私たちもすごくもどかしい思いで、彼女の本当に痛いことがどれだけ伝わったのか、とても何か内容が内容で通訳が若い男性の方だったものですから、本当に私たちがどれだけ知り得たのかなって疑問に思いました。

ただ本当に彼女のその怒りを静めることにはほとんどならなかったなと言うことだけは、今でも鮮明に覚えています。印象としては彼女は非常にその日本という国は安全な国だと思って私は来ているのという思いと、一人の外国人の人権を守ってもらえないという様な怒りともどかしさみたいなのをすごく私は感じ取ったのです。私たちの会も何もしてあげることができなかった。口に出しては言わないのですけれども、雰囲気としては白人でとても綺麗な方で、その頃今よりずっと何ていうか、外国の方で夏でしたから露出度の結構高いお洋服を着ていたというような状態もあって、どうもそういうあたり一連の中で彼女をみんなが見ていた、興味深く見ていたという事実もその裏側にあって、多分、それは彼女が気付いたのではないかという様なことありました。それを今、鮮明に思い出しました。

本当にたった一人の和歌山に来てどんな活動されてたのか私も今、思い出せないのですけれども、何か国際交流を目指しておられた方のように今、印象に残っているので、その役に立とうという思いで来られた女性だっだと思います。その彼女に私たちメンバーも含めて、彼女の悔しい思いを理解できなかったし、自分は人権を守られなかったという思いで帰国されたのではないかというのを今、本当に久しぶりに思い出しながら聞かせて頂いておりました。

委 員

私、今まででしたら障害者の人権あるいは高齢者の人権、女性の人権というような枠しかなかったのですが、この審議会に入れて頂くことによって外国人の人権に気が付きました。

同和というものは、意識が子供の頃から身に付いていました。私たちの年代は外国人の方に話し掛けれれたりこちらから話し掛けたり、なかなか躊躇します。

そういうことでこの機会に、やはり外国人の人権を守るというようなスタンスがあれば、まず、相手を知れるということが大事なのです。自分自身そう思います。風俗、習慣、主義主張違います。そういうふうな気持ちに立ってこそ、本当に打ち解けて交流できる、そういう意味で県も色々なそういう交流ということで進められるということの話がありましたが、この交流も特定の人ではなく、幅広くするということを検討して頂きたい。

実は単純な質問したいのですが、和歌山にも結構6,900人の方が、就労の目的また留学の目的というので来られます。就労の目的ということで、3Kというと、非常にその誰でも嫌がるものしか仕事をがないということですが、この就労に付くその窓口はどこなのか。どのように相談し、そして就労に付くか。そういうことについて教えて欲しい。

それと、こういう不景気な時期ですから一般の企業でリストラ等々されていますが、今、人権を守る上において、やはり先程のありました外国人のピッキングとか、あるいは留学生がお金がなくて凶悪な強盗に走る、これを守っていかないと、どんどん何かマスメディアによって、片言の日本語を使って金、金という形で、マスコミ報道されて、これはすごく、何か事件が起こったら外国人やという印象になりつつあります。これを早く予防しないと本当に同和以上、障害者以上に差別をつくっていくというように目に見えておりますので、やはり人権を守りながら彼らの安全を守る、これ県民、住民の安全を守るというその両方の視点に立っていかないとただ単に人権を守るでは、少し不十分と言いますか、その思いがしました。本当に大変な問題との思いを認識しました。以上です。

事務局 労働管理一般、もちろん労働事業とかはその方の所管になるので、県だけではないのですが、例えば研修等で良く聞くのは、縫製業へ研修で来られる方とか、あるいは農協関係で研修されて、1年近くおられるという、そういう場合の研修等による窓口は、県の方は商工労働部でしています。農林関連でもしています。本来的には、やはり労基局とか国の方の形の対応になってるのが実態だと思います。
委 員

今までの話の中で出てきました基本的に人権が侵害されるというところで、和歌山でも結構フィリピンの方の数が多いのですが、人権が侵害された状況に置かれた場合、特別な言語、いわゆる英語、韓国、朝鮮語、例えばフィリピンであればタガログ語であるとか、そういう言語に対処できる救済についてはどうですか。

日本人で英語が通じないために外国で誤解を生んだということもあります。国際相談窓口ですので、常駐していなくても、例えば侵害という事例が起きた時、夜であれ、昼であれこの方に連絡をすれば通訳として問題の解決に対する対処ができるという様なことは、県ではなさっておりますか。何ケ国語ぐらいの対処をされていますか。

在住、要するに県内在住でなくても、他府県でも良いわけです。電話ででも良い。そういう連絡を取って、言語の障害をまずなくすることができるかという対策はどの位取っておられるかということでお聞きします。

事務局

県の国際交流センターには中国語、スペイン語、フランス語、英語は大体、対応できることになっています。希少言語の場合は、県警に通訳センターというのがあり、そちらの方でも対応することができます。

ただ、限界というのがございます。国際交流センターの方では45人のボランティアという形でしていますが、やはりそう多くはないのが実態でございます。

委 員 フィリピンの方に関してはどうですか。
事務局 フィリピンの場合は今、対応言語の資料は持っていませんが、おそらく県警通訳センターの方にはあると聞いております。タガログ語です。
委 員 これから警察へ行くのではなくて、国際結婚における問題が生じた場合、相談に行くことが、結構、現実としてフィリピンの方に多いのです。その場合はどうですか。
事務局 国際交流センターの窓口相談で話を聞いて、そこで対応できる英語とかの言語でしたらそれでします。もしそれが叶わない時は何らかの手段でそれに対応できる様な形を探して、解決していく様な形には持っていきたいとそういう形で対応しています。
委 員

今、出ています基本的人権とか差別であるとかいうのは、世界で共通言語と言われている英語を理解できないこととなっております。風俗なんかに勤める方で英語ができない。タガロク語しかできないという方が結構います。結婚、婚姻まで至らなくても、内縁関係にある方は、大変人権が侵害される可能性が多いと思います。結構、現実には正規の手続きで、正規の職場に付いていない人の方が、より人権を侵害されるのではないかというように私は思います。

できましたら県警の通訳という様な形ではなく他府県でも結構です。本当にフィリピンの方で女性問題でセンターへ逃げ込むというのは、多くは行政ではなく、宗教関係のシェルターに多く逃げ込む方が多いのです。そういう場面に遭遇しうるということを考えて、これから前向きに検討して、絶えずそういう現実を理解して頂きたいと思います。

行政の中で正規にというのではなく、ちまたで問題が起きてるということは多分、皆さま生活者としてご存じかと思いますので、そういう場面に遭遇しうるということをきちんと把握して、守っていくべきものがあるという認識をまず最初に持って頂きたい。最初の問題である言語というものを守っていきたいと思います。

事務局

センターとかで外国人の受入をしているのは一応、在住外国人であります。いわゆる正規で入って来られた方を想定していくところがございます。

ですから本当に困ってるのが、不法滞在そういう形で入って来られた方であるのは重々わかりますが、不法に入って来られた方の場合、極端な言い方をしましたら、私どもはそういうことを知れば、本来、告発しなければならない立場であると思います。実際そのようなことをするかどうかは別ですが。

あるいは本当に緊急に困っている場合は、もちろんそれに対応するのですけれども、元々、対象とさせて頂いてるところは、日本に正式にと言いますか、入国が認められて来られてる方を対象に行っていることが、現実的と言いますか、実態でございまして、不法滞在している方のためにという形の体制にはなっておりません。

委 員

具体的にあるいは基本的かもわからないですが、一番始めに申しました様に、文化国際課が今後、人権問題をもっと視野に入れた形、人権侵害が要するに、それが定住外国人、あるいは気楽に和歌山県に足を踏み入れた方々、全ての人権を守ろうという形で、人権というところに文化国際課の仕事が広がっていくのでしょうか。

この8ページの指針に人権という言葉が出てくるのは3ページに1箇所出て来るだけです。おそらく文化国際課の中では具体的な人権侵害が今後あった場合、先程言った窓口がどこにあるのかというと、和歌山県に一つしかない。どなたも今までの形で行くと文化国際課というのはそれ違うと言うぐらいで終わりになってしまうのと違うか。

しかし、これからは文化国際課と、もちろん人権室との対応をしながらですが、文化国際課がそれぞれの具体的な人権侵害が一つ、もう一つは先程話があった様な形のこの外国人であるとか、東南アジア系であるとかという形のステレオタイプという様なこの犯罪の報道の仕方とか。あるいは警察の取組、それによってどんどん悪い方になる。

この間、大阪であった事件で覆面をして金借りに銀行に行った。捕まえたら笑い話みたいな話です。10万円を出したら、「もっとあるやろう。」と言って、あと「神棚にある。」と言うと、「神棚どこ。」、神棚を知っている東南アジアの人はないのと違うかという話で、捕まえて覆面を脱いだら大阪人だったというようなことです。それでも何となくみんな我々の報道する外国人の、東南アジア系の言葉が出てくる。そのような形のステレオタイプを防ぐという予防の人権を守り育てるという部分を含めて、文化国際課のやらなければいけない範囲が広がってくるということをお考え頂きたい。

先程の相談窓口ですが、単にその不法滞在だからどうこうではなくて、外国人がここに居たらおそらく一番大きな問題が起こるのは、外国人であればあるほど人権侵害であると思います。その時に言葉も通じないではダメです。和歌山県全体としては出来るだけボランティアの電話組織でも構わない。和歌山県にたった一人でもその国の言葉を話せる人との何かのネットワークを取りながら、お願いするという様な組織つくりみたいなものが、人権を考える時に必要と思います。

これからそのような形で文化国際課が、幅を広げながら人権に視点を当てた様な行政をやって頂けるかどうか。外国人だけの問題ではなく、人権をこのような形で広げていくと非常に不備な点が各分野から出て来る気がします。

委 員

先程から出ている不法滞在者の人権はどうかと言うことです。どうなのでしょうか。不法滞在者だから、まず、告発だ、逮捕だということになるのか。

それ以前にまず、一人の人間としての人権を保障しなければいけないということなのか。そのところが若干問題ではないでしょうか。

委 員

本当に不法滞在で国外退去になるかどうかという問題、最終的には、入管、決定は法務省の判断になるのですけれども、しかし現状では、特に日本の入管の取扱いなり、法務省の判断については問題として指摘されています。

地方自治体の行政のあり方として、不法滞在だからというように行政の方で一律に先に判断してしまい、本来、正規に入国して正規に滞在している人と不法滞在者等と区別するという取扱い自体は、おかしいのだろうと思います。

最終的に入管とか、法務省とかで別途判断されるのは、国の行政の判断として行われば良いので、少なくとも地方自治体において、地方自治体に住まいを置かれてる外国人が、何らかの形で困っている。

それが人権に関わることだということであれば、まず何を置いても人権を侵害されてる状態を救済するというか、回復するというところに主眼を置いて対応すべきであって、そのことは不法滞在者であろうが、正規に滞在しているのであろうが関係ないと思います。

弁護士として関わる時にしばしばあるのは、一つは、実際の交通相談であるのですけれども、不法滞在であるがゆえに、例えば交通事故で被害にあっても、損害賠償の請求をきちんとできないのです。交通事故で被害があった。それで警察に届けたら、まず損害賠償なによりも不法滞在者ということになる。もう一つ、同じように不法就労の時に問題があるのは、労災です。これも不法滞在で不法就労だからきちんと労災補償を受けられないのです。

だから大怪我をして、指を切断するような事故にあっても、そのまま病院の治療費ぐらいは、雇い主さんで見させてもらうけれども、それ以上は補償を受けられない。それ以上の補償という様なことを言えば、もちろん、解雇される。解雇されたとしても訴えていくところがないというような問題が実際、法律相談のレベルでもあるわけです。

それからいうと、もちろん、限界があるにしても、正規の滞在、不法滞在の関係なしに、とにかく外国人が困った時に、人権に関わった時に、相談を受けられる様な窓口というのが少なくとも県の方で一つ、二つぐらいはやはり欲しい。それは先程言われたように色々な言語にも即座に対応できるようなネットワークをつくった上で設けている。

それは安心してと言うのはちょっとおかしな言い方かも知れませんけれども、そこへ相談に行ったからと言って即、そこから警察に連絡が行くことがない。そういう意味では安心して相談に来て下さいという様な窓口なり、体制なりをつくって、それを一般の外国人にそういうような窓口があるということがわかるような広報活動をすると言うことは、最低限県のスタンスとしては必要だろうというのは一つ思います。

それからもう一点少し違う話ですけど、地方自治体である県として外国人の人権の問題を議論するのであれば、私はやはり国籍条項の問題議論を抜きにしてできないと思います。

それは色々議論があり、他の都道府県の対応が良いかどうかの問題ももちろんあるのはわかっています。それは良いかどうかは別として、だけど少なくともそのものまさに地方自治体自体が外国人であるということがゆえに採用のところで差別するという、まさにそういうことが、区別するというのが良いかどうか自治体のまさに当事者の問題であるわけですから、やはり議論するのであれば、その問題の議論は避けて通るべきでないのではないか。議論をして踏まえた上で、対応を考えた方が良いのではないかと思っています。

委 員

私が一番最初にこの人権で外国人の問題を扱うという時に、一番最初に感じたのが、在日の方たちのことだったのです。

確かに色々な国の人たちが入って来て、短期ないしは、長期で日本に滞在する人たちの問題ももちろん、国籍条項という大きな問題があるのですが、丁度、北朝鮮の拉致という問題が絡んで、たまたま、人権に関わるようになった時にそういうのがあり、随分色々なところで朝鮮人民学校とかいう韓国系でないところの学校の生徒たちが随分ひどい目にあった。何かあまり表に出てこない様に思うのですが、そういう問題自体がどの程度和歌山県内で起こっていて、何も不都合がなかったのかどうか一つお聞きしたいと思います。

また、人種差別撤廃条約のことがこの行動計画にも出ておりますし、色々出ている中で一番触れるのが日本の国内では在日の方たちではないかなという気がしております。

委 員 今、在日の問題が提示されましたけれども、何かこれにつきまして話されることございますか。
委 員

人種差別撤廃条約の話が出ましたが、外国人問題はほとんど日常で起こっていると思います。新聞などを見ると、1年間に100も200もあります。本当は我々実は外国人問題に接触しているのだと思います。

しかし、外国人問題として我々が捉えられないということは、やはり外国人の問題に対する関心が薄いのではないかと思いますので、随分ひどい。

例えば、外国人問題は非常に多いのです。指紋押捺のことでも、昔は、堂々と取っているわけです。一部かも知れないけれど、外国人は入浴お断りということもあります。人権侵害の考え方というのは、一応公式には差別、虐待、いじめ等々です。つまり差別の範囲が非常に広いのではないかと思います。

ただ、日本人なら当然それを問題にされないのに外国人だと問題にされるということ、ある意味では差別があります。だから人権侵害になる。

例えば、あまり所得税法を良く知りませんが、税法には国籍差別はないのでしょう。他の法ではすぐに日本人国籍を持つかとなるのに税金だけはない。そのようなこともやはり差別的な問題です。

立法上の問題としては、自分たちは日本人と同じように住民として税金を払っているのに、我々にはいわゆる参政、投票権がない。国籍問題は人権問題として非常に大きな問題です。全ての人権宣言はあらゆる国のあらゆる人の人権なのです。日本憲法は日本国民を表す。どこを見ても日本国民なのです。日本最高法規により日本国民はいわゆる基本的人権を保障される。現実には日本国民でないものは保障しなくても良いと間違って解釈される。本当は日本の国は日本人の基本的人権を守る責任があるというだけであって、そのこと自体は日本国以外の人間は守らなくて良いということは、一つも明記していないと思います。

しかし現実は往々にして日本国民の人権を守ろうとすると、外国人がはずれてしまいます。そういう我々の感覚が今、外国人問題の起点にあると思います。部落差別もそうです。結局、異なった意識だと思います。我々と違う生き方だから、同じことしても同じことではないとか、あるいはおかしいと。そういう差別の意識の問題もあると思います。日常的に外国人問題、外国人人権に関わる問題は、司法を中心に注意して見てますと非常に沢山書いている。目に触れます。それがまるで我々が周りに外国人がいないから、外国人の人権問題はないと。これ一つの錯覚と思います。

さらにこれから日本は少子高齢化です。どうしても外国人の労働者が日本に入って来ざるを得ない。統計では何十万人も必要になる。そのような日本の経済的状況下を見ても、やはり、外国人を受け入れる色々な条件を常にきちんとしておく必要がある。外国人を快く住ませる様な経済的、社会的条件などをつくっておかなければならない。

もっと、さし詰まって言えば、イラク問題や北朝鮮問題など難民が日本にどっと来る可能性があります。和歌山県の自治体にそういうことを考えなさいとは申しませんけれども、やはり、きちんと踏まえた上で、やはり、そういう場合、そういう難民がどうなるのか。不法入国者として対処するのか。何万も何十万も来たらどうしようもない話になる。そういう場合には人権的にどうですか。

それから第一、不法というこの直結が僕は非常に仮構的だと思います。例えば条例一つ変えると、法律一つ変えると変わることは、非常に沢山あります。そのこと自体が不法なことはほとんどなく、その時の社会的、法律的条件によって不法であったり、なかったりします。人権が法律的にある時は不法であったり、なかったり、本来的にはおかしいのです。その時、条例や法律は、変える様に検討すべきと思います。

委 員

この問題は色々な見方、ある意味では難しいかも知れません。不法滞在者の問題でも、色々なレベルがあると思います。不法滞在者であっても、人権を尊重されるというレベルがあるというのは理解できます。

ただ、やはり不法滞在ということによる不利益が出てきても、やはり仕方がない場合も多々あると思います。行政のような公のところで、そのような違法の人の制度があるということに抵抗がある気がします。その他の例えば弁護士であるとか民間団体とかがそのような人の相談にのるということは必要と思いますが、行政がそこまですることには、少し抵抗があります。

委 員

今の御意見に対する反論です。先程、申し上げたのは相談に来る時に、不法滞在か正規の滞在かとかを確認して、あなたは在留資格があるのですか、あるいは外国人登録されてるのですか、とそういうことを相談の前提として確認して、それで在留資格がないのであればダメです。ここはそのような相談を受けてませんとか。それでは警察に連絡しないといけません。そのような対応をすべきではない。つまり不法であるとか、正規であるとかを相談窓口の方で判断して、それによって対応を変えるようなことはすべきではないと言ってるわけです。

ですから、不法滞在を堂々と認めて、県が認めて、それでそれを認めた上で何かしなさいということを申し上げてるわけではないのです。あくまで人権の救済の窓口、外国人の方に対する救済の窓口というレベルで考えたら、来る人も滞在資格であるかどうかということを前提にしないで、窓口を設ける。

例えば在留者は、在留資格の延長に行かなくてはいけない。しかし、その時何かの事情で行けなかったらそれで切れるのです。それで在留資格を失うということがあるわけです。それはまたその内、手続きをすれば救済できるのですが、それで不法になることがある。その時に本当にどうすれば良いのですかといった時に、いや、この場合はこういう手続きがありますとか、これでしたら、こういう専門の相談機関があるからそこへ行きなさい。ここではそこまでの手続きができないけど、そのような相談機関があります。あるいはあなたの言語でしたら、こういう言語の通訳の人があるからそこであなたの相談をした上で、また在留のことであればこういう相談があります。というようなアドバイスです。

そのようなことをできる窓口が少なくとも必要であって、決して堂々と不在滞在を認めるとか認めないとか、そういうレベルで申し上げてるわけではないのです。

委 員

今言われた問題ですけれども、この間、緒方貞子さんがテレビの中で、今、日本の総労働人口が14才から65才までで8,500万人ぐらいいる。30年経つと高齢社会が進み少子化が進むから8,500万人の労働人口が5,500万人ぐらいになるであろう。その時日本はどんな不況でどんな形の省力化しても、6,500万人ぐらいの労働人口が必要だとしたら、1,000万人ぐらいの人手が足りなくなる。その時は必ず外国の人たちの手を借りざるを得ない。

そんな形であるのに、日本は今、外国人に対して壁をつくる形でやっている次第です。全て不法という名の下に、例えば企業が適当な形で安い給料で使いながら、一方では、移民、難民、その他の国から年間4万人ぐらい受け入れて欲しいという思わず参加したいというような要望を拒絶する。そのかわり定年を延ばしてでも労働人口を増やす。そういう鎖国的な国では、これからは社会の一員として生きていけない。好きであろうと嫌いであろうと、共に生きていく社会をつくらなければいけないというのが締めの言葉です。

それを考えてみたら、不法の段階でと良く言われるけれども、その不法自体、日本が無理につくったような法律の中で、それもある部分については、最低の賃金で企業は生きていける、それこそ、つくりあげられた形です。それを持ってあまりこの県がそちらへ向かって法律を解釈していく。やはり心に傷を持つ者については、県がやはり行政といえども、救急救命センターであって良いと思います。

だから少なくともその人たちの人権をまず守るという部分があり、その次に何かがあって、接して欲しいし、そのところの後押しを他のところではなく文化国際課が人権問題も含めて真正面から担当してもらうということでなければいけないと思うのです。県の各所管のパート自身が何となく人権とそうでないところみたいな形の分け方は今後一切、止めて欲しいのです。全てのところに人権がある。全ての課の中で人権は考えられるのだということを全てのところで考えて頂いて、自らの所管の中でその担当分野の中で、どう人権を尊重していくかということをもう一回考え直していくというか。これは推進指針です。職員の人たちのこれからの生き方そのものをこの中に含まれる指針づくりということをお考え頂いた中で周知徹底して欲しい。

委 員

不法滞在者の方に付き論議する焦点は、一つは法律を重視するか、その外国人の方を擁護するか、それにつきると思います。なかなか杓子定規にいけない世界情勢だと思います。結論から申しますと私の意見はケースバイケースで対応するということが大事なことなのです。

とにかく、先日、北朝鮮から脱北されて、中国の学校の中に隠れたということがありました。本来ならば即、手順を踏んで北朝鮮に帰させるという様な定義なのですが、ご存じのように北朝鮮に帰れば強制収容所で、後は死かと。これは大変な人権問題であり、堅い中国でも法を曲げて人を守るという方向になっております。やはり、そのような国際社会的な支援の立場に立つ。例え不法滞在になっても、いずれはまた母国へ帰るのです。そのような中で、日本に行って良かった、日本人が良い対応してくれたとなれば、PRになる。そういった意味で、やはり色々な意味で、国際的な反響をするのです。

やはり基本的には人を大事にすることによって和歌山県も国際化を目指す。そういうような視野に立つということをして、出来るだけ法律を重視云々ということをあまり全面的に出さないようにお願いしたいと思います。

委 員

1点目は今、討論されております色々な社会の諸問題、これはやはり見て見ぬふりをするというのは許されない。ケースバイケースでできるところから一歩一歩していくということをお願いしたい。そして、やはり大事なことはネットワークづくりというお話がありましたが、例えば弁護士の方、あるいは行政の方あるいは民間で、色々な形で携えて人権問題として具体的に根気強く解決していかなければならない。常に光を当てるという努力を忘れてはいけないと考えました。

2点目として同和教育が非常にやりやすくなったのは、国際交流を盛んに行われるようになったからいうことがあります。外国旅行をしてきて、日本人がヨーロッパに行ったらどのような存在であるかとか、あるいはどういう視線で見られるかとか、そういうことを実感することによって、何と小さなことで騒いでいたのかということも多かったりします。

そういうことから広い視野とか、あるいは国際的なものの見方、あの森鴎外でさえ、小説の中で、主人公である明治の有為の青年がヨーロッパへ出たとき、(黄色人種であることを意識して)「我が黄(き)なる面(おもて)に・・」と言っています。

その後日本人が色々な努力で現在のところに来て、外国人を受け入れ、今、人権問題として考えるには、共に生きるという視点が大切だと思います。歴史的にも日本人は外国のものを学び、それを自分たちのものとして取り入れ生かしていくということをしてきています。

だから国際交流の大切さは言うまでもなく、入ってきた方にも日本の社会を理解し変わって頂く。受け入れた私たちも、文化の違いを学び理解しようと努力し変わっていかなくてはダメだと思います。先程の言語の問題など具体的な取組も大事だと思います。

委 員

先程、入国問題については、色々な意見が出まして、大体認識が一致しているかなと思います。結局、抵抗を感じるという面、私もわかる様に思います。

ただ、先程いわれた様にケースバイケースだと言うことに帰着すると思いますが、一番問題になるのは不法入国についての入国の目的、いきさつ、経緯です。一律には申しにくい問題ですが、ケースバイケースで対応しなければならないと言う点は大体共通の認識だと思います。

次に相談窓口の問題ですが、まず外国人の問題は言語の障害を取り除くというか、通訳の問題が非常に現実問題としては大事であると思います。どこの課で扱うにしても、まず、その外国人の意図するところ、あるいは気持ち、それを理解するということがまず前提ですので、通訳という点での問題がないようにまずすべきであると思います。

それから相談窓口、そこでは、何をするかというと結局、一番主な役割は、適切な機関を紹介するということであると思います。話を聞いてそこでアドバイスをし、解決をするという問題ではなく、これについてはこういう機関に行かれたら良いとか、あるいはこういう方法がありますとか、色々そういう適切な機関の紹介になると思います。

そういう意味でも単なる滞在期間が越えただけの違法性の比較的少ない場合とか、あるいはその不法滞在でない正規の入国者である人の場合、相談内容によってもその紹介する場所や機関が変わって来ると思います。

それから先程、問題に出てました国際交流の問題と外国人の人権の関係ですけれども、和歌山県国内行動計画を読み直しても確かに外国人の人権、言わば先程の様な差別撤廃条約的な感覚、そういう認識というのはあまり見えないです。確かにそういうところの関係をこれから扱うとして、どこでするかという問題、人権室、あるいは文化国際課なのか。人権の問題といっても、先程から色々出ている外国人の労働者の問題、国籍の問題、難民の問題や差別、虐待など色々な種類の人権問題があります。それを文化国際課で全部カバーすることは到底できない。それは基本的にはやはり人権室と思います。先程の人権の問題は、どこの課であれ、当然、その課に関係したことについて、人権問題に根ざした行政が必要であり、どの行政も人権を扱う場合、少なくとも人権を十分理解していることが必要と思います。相談窓口は色々ありますが、それらの相談窓口間の交流も深め、なるべく相談者に適した相談窓口を紹介するというようなことで対応したら良いと思います。

委 員

和歌山県の人権啓発の手引をご覧頂きたいのですが。45ページに外国人の人権、第4節 外国人の人権Q&Aが2問書いてあります。

1問目は「国籍」による区別は「人種差別撤廃条約」の対象となりますかという質問で、答えは「なりません。」と書いてあります。但し、云々とありますが。

これは国籍条項というのは、非常に人権問題を考える上で大事なことで、国籍条項や差別について色々議論があると思いますが、そういう設問の出し方は、何か和歌山県は国籍による区別を現在していますが、それは別に人種差別撤廃条約の対象となるのとは違うという理由の言い訳をしているような気がします。直接的な設問をここにあげてあるのは、ちょっと他のクエスチョンと比べて、何か変だというふうに感じます。

もう一つのクエスチョンは、「外国人の生活上の悩みを相談できるところはどこにありますか」です。ここの中では人権のじの字も出てこない。第4節の表題の外国人の人権のQ&A。1問目は人権の対象にはなりません。2問目は人権相談は別にしていません。やはり行政当局の認識というか、取組の仕方を、それに対応する認識がやはり希薄かなという感じをしております。

委 員

将来、外国人の人権の問題を担当して頂く部会といいますか、小委員会におきまして、このようなところを訂正して頂きたいと思います。人権問題としての冊子の中で、このような取り上げ方をしているのは、大きな間違いと思われます。人権の問題というのは、まず、最初です。色々施策のまず基本であると思われます。

この前、精神障害者の問題について色々問題がありました。やはり人権の問題というのは、まず基本だというようなことです。例えば、入院患者さんがおしっこをする時に、おしっこをしているのが見えるような状況の下において、とられている。また、あるいは入院患者が逃げていけないように、忍び返しを内の方へ向かってしているということです。

私たち弁護士からすれば、この取調中の被疑者が、朝から晩まで留置場の中で全部握られているという取り調べ、おしっこするところからご飯つくるところから入浴するところから全部、そういう中において果たして人権の保障というものがあるのだろうか。供述することの任意性があるのだろうかということから出発した場合に、今の精神障害者に対する治療の問題、法の上では自傷疑いの恐れがあるというようなことで書いてあります。

また、ある医院長さんが、「もし、おしっこしておる時に首でも吊られたらどうします。あるいは、他の人を傷つけるような恐れのあるような人が逃げられたらどうします。」こんなことを聞かれました。

自傷疑いについての恐れというのは、それをはずしたところで、あるいは、また、精神障害者に対する治療ということが必要であったところで、出発点は何か。逃げたらいけない、あるいは、おしっこしているところを見せびらかしているぞと。そういうふうな非人間的な状況の下において、治療というものに賛成されるかどうか。

まず人間として認めて初めて、自傷疑いの恐れのないような環境ができてくるのです。何か目的の捉え方というものを、まず、出発点に置きどころというものを何か我々からすればピントがはずれるというふうな感じがされるわけです。

従って先程から言われているように交流センターという県庁内だけの一つの課。そして、それが果たして機能しうるかどうか。これは別の問題としまして、どこかで、やはり役割を果たすべき課が必要ではなかろうか。民間に委ねてということを先程いわれました。確かに民間で果たしてそのような機能するところが今の段階であるかといえば、見あたらないわけです。

だから、その点は、行政の指導の下においてしなければいけない。ことに国の団体、あるいは自治体の団体、それぞれが一つの役割を分担すべきなのです。国がしないところは、自治体がカバーするようにして、民間で機能しえないことは、行政の下で指導し、交流すべきと思われる。そのあたりについて検討して頂きたいと思います。

お願いとしまして、各課は人権というものを基本にして、ここから出発しなければ、県民、国民にとって、人権という点において満たされた思いがしない。再びしたところで、満たされた県民にとって、やはり、本当にありがとうというような感じがしないと思います。その点、御留意願いたいと思います。

委 員

結局は、既成の概念であるとか。あるいは、今まで関連としてやってきた社会意識も含めて、今、これが取り直されている時期だということです。

特に、今、和歌山市の看護専門学校の学生たちを教育している立場なのですが、卒業のレポートを書かせて、それで、面接という形でしているのですが、若い子の感覚というのは、非常にこのいわゆる人権感覚をのんだような形で、その中に先程おっしゃた在日の子たちも何人かいる。

この学生たちの考え方というのは、男子学生の場合、日本の女性との恋愛が進み結婚となった時に、自分が在日であるということにおそらくその女性の親から反対を受けるであろう。その反対を受けられたらどうしたら良いのだろうかというのをずっと思い続けてます。この看護専門学校に入ったのも、看護士という仕事は、国籍に関わらず、資格を取れる。看護士になれるというような部分がありますので、それを目指してやっていく。一生懸命やって良い看護士になれたとしたら、その相手の親達も反対をしないでおいてくれるであろうといって、今、不安一杯で生きているというようなこのレポートがありました。

これは在日の問題というのは、先程あったその水面下に一杯あるのではないかなと。そのとおりで、まだまだ沢山の問題があるのであろうと思います。

それからその男の看護士のことで、看護の実習に行ったら、その病院では、男の看護士であるから女性の患者さんの世話をあまりさせない、特に排泄なんかの時はさせない。それをその男の子たちは非常に疑問に思っているのです。どうして、看護士になった以上は男も女もない。頭の中には、男のお医者さんが診ているわけです。婦人科であるとか、そのようなところでも、男のお医者さんばかりで、それで女性の患者さんが沢山いるのに、どうして、男の看護士を許しておきながら、女性の患者さんの看護はできない。

また、患者の方が男性の看護士だからいやと本当に言うのかどうかという。始めから相手とされていないというのは、男性自身の人権侵害と違いますかという形で、一生懸命訴えようとしている。そういう意味からすれば我々が持っているような何かその既成の概念みたいなものは、どこかできちんと断ち切っていく。もう一回自分自身を、行政共々見直していく。そういうことをしていきたい。

委 員 やはり、一番欠点というものは、実際は幼稚なことかも知れませんが、世界人権宣言、国際人権規約がまず基本なのです。その基本を忘れて色々施策をしても、何か魂を抜いたような姿にしかならないといつも思います。その点を審議会、先生方にお願いしたいと思います。
委 員 定住する外国人が今度の計画になりますので、生活者である外国人の視点に経った施策、本当に痛感しております。医療、教育、情報提供、住居、生活基盤の整備、外国人が利用できる生活基盤の整備についての行動計画をつくるという表現を入れて、具体的な目標をはっきりさせて、進んでいかなければならないと思います。少し漠然としたものがランクされていますが、もう少し具体的なものが必要だと思います。
委 員 シェルターのことと関連しますけれども、結局、実態実情把握がきちんとできてない。どのようなシステムをつくるのかということをしなければ、まさに何か頭の上で実態がないので、勘違いしてしまいます。
委 員

通訳が先程必要であるとか。紹介の窓口の運用の話もありましたけど、通訳にしても、ボランティアではとても対応できない。例えば、緊急手術する場合などでも、付き添って24時間も何日も続くような、また、お医者さんと全部知識の振替ができなければならないことが、本当に必要になります。私も行くこともあります。

医療、また他の障害の場合もそうですが、そこにその窓口があるとしても、それでは、そこまでどのようにして行くのか。それでそちらでも通訳が必要になってきますので、どうしたらそのサービスが受けられるのかという、その過程が今のところ大事と思います。建物の表示のことも考えていますけれども、それではそこへどうして行くのかというその辺の本当に生活者としての情報の提供が必要となってきています。痛感しております。

委 員

協力推進指針は、生活の国際化・ボーダーレス化ということでスタートされています。まさしくこれは若い世代を中心に本当にインターネットを前提にしたボーダーレス化が進んでいると私自身も若者と接するたびに思います。

ところが一方では、そのシステムや条例や法律といった意味では、まだまだその実態の生活レベルには、かなり遅れているというのが今の現状と思います。今、起きている戦争などを見ますと、本当でしたら考えられないことも起こっています。

私自身は、外国人の人権侵害に対しての取組が、もっともっと和歌山で進めるべきであると思いますし、その中で、今日の資料の中にピッキング窃盗団にご用心というのがありました。これは外国人の人権侵害に当るのだろういうことで、おそらく提示された資料だと思うのですが、これは審議会用の資料ですか。

事務局 はい。
委 員

現実としてこのようなことが行われている。少しでもある。目に触れるような資料として出てくるということは、非常に人権教育の分野に置いては、重要と思います。

きっと、阻害されてて、今の言葉は県警の中では当たり前ではないかというように本来でしたら思われていたかも知れない。外国人の方というのは、マイノリティということになると思いますが、マイノリティも県に行けば何とかなる、そうなればますます良い県になるのではないかと本当に思いますし、そのための具体的な取組を先生方もおっしゃってますようにますます推進して頂きたい。

委 員 前の人権教育の国連10年の和歌山県行動計画をつくる時も、外国人については、一つは個別に外国人を対象、囲みながらいくかという話がありました。先程から話の出ている、例えば1に、在日朝鮮人、韓国人の問題を外国人の中に捉える。2として定住している外国人。3として、短期に滞在している。4としては、難民、移民であるとかという形で、色々考えてみたのですが、力不足でそこまで行けずに結局は、もっとふわっとした形で待遇の違いを見つけて、そして文化を見たりしながらいく。一番入り口のところ、行政のところで、止まってしまったような気がします。この人権教育の国連10年の和歌山県の行動計画を参考にして頂く時には、そのような経過がありました。入り口だけ、総論だけでほぼ終わってしまっているような気がします。
委 員 色々審議会の御意見、まだまだ沢山あると思いますけれども、時間の関係もございますので、この程度で今日は閉めさせて頂きたいと思います。

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