今年度は、紀淡海峡周辺地域における交流・連携資源を発掘し、それを活かす方法として、「ガーデンアイランドに活かす」、「歩ける橋の必要性」、「実物を見せるリアリティ」、「オープンミュージアムの創造」、「ラーニングリゾートの実現」等を提示した。
そこで、今後の課題として考えたい点がひとつある。それは、第3回研究会の公開研究会の講演で橋爪紳也氏が指摘していた「『個性』という『没個性』からの逸脱」についてである。近年のどの地域でも「地域の個性」を強調している、実際のところはどこでも同じようなものができあがっている。本研究会においても、地域資源を活かすことを提起するなかで、安易に考察すると、そうした失敗につながりかねない。橋爪氏は、そうならない方法論として、「新しい概念・方法論を持て。『得意技』を持て、これまでにない『異種交配』、例のない試みこそ新たな『個性』」と述べている。つまり、個性とは、本研究でいう「地域交流資源」というよりも、むしろその資源の新たな活かし方に、見い出されるべきものと考えられる。
本年度は、この「資源」を発掘したわけであるが、今後、具体的に地域交流資源を活かした地域整備を考える際には、単なるオープンミュージアムの発想などの延長線上にたつのではなく、新たな個性をもった技「手法」の導入を検討していかなくてはならないであろう。
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