○和歌山県遊泳者等の事故防止に関する条例
平成5年10月25日
条例第40号
和歌山県遊泳者等の事故防止に関する条例をここに公布する。
和歌山県遊泳者等の事故防止に関する条例
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 海水浴場(第3条―第9条)
第3章 海域等レジャー事業(第10条―第13条)
第4章 催物の開催(第14条)
第5章 危険行為及び迷惑行為の禁止等(第15条―第18条)
第6章 公安委員会等の措置(第19条・第20条)
第7章 雑則(第21条)
第8章 罰則(第22条―第25条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、海域等におけるスポーツ、レクリエーション等に伴う事故を防止し、もって遊泳者等の生命、身体及び財産の保護を図ることを目的とする。
(1) 海域等 海域、池及び河川並びにこれらに接続する岸をいう。
(2) 遊泳者等 海域等において、遊泳、潜水、釣り等をし、又はプレジャーボートを利用している者、漁船、漁具その他漁業施設で漁業に従事している者及び工事現場等で作業に従事している者をいう。
(3) 海水浴場 特定の海域において遊泳しようとする者の利便に供するための施設を設けることにより、通常公衆が遊泳のために利用することのできるものとして、環境を整備した場合における当該特定の海域及びこれに接続する海浜の区域をいう。
(4) 船舶等 水上輸送の用に供する船舟類並びにセールボード及びサーフボードをいう。
(5) プレジャーボート スポーツ又はレクリエーションの用に供するモーターボート、水上オートバイ、ヨット、セールボード、サーフボードその他の船舶等をいい、手こぎボート及び足こぎボートを除く。
(6) 潜水者 潜水器具を用い、ボンべからの給気を受けて水中に潜る者をいう。
(7) プレジャーボー卜提供業 海域等又は公安委員会規則で定める区域において、人の需要に応じてプレジャーボートを賃貸その他の方法により利用させる事業をいう。
(8) マリーナ業 海域等又は公安委員会規則で定める区域において、人の需要に応じてプレジャーボートを係留し、又は保管する事業をいう。
(9) 潜水案内業 潜水者を海域に案内し、潜水させる事業をいう。
第2章 海水浴場
(開設の届出)
第3条 海水浴場を公衆の利用に供しようとする者は、あらかじめ、次の事項を書面により公安委員会に届け出なければならない。
(1) 氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)
(2) 海水浴場の名称
(3) 海水浴場の区域
(4) 海水浴場の区域のうち遊泳に適すると認められる区域(以下「遊泳場」という。)
(5) 海水浴場を公衆の利用に供する期間
(6) 海水浴場に設ける施設及び設備の概要
(7) 海水浴場における水難事故の防止その他遊泳者の安全のために採る措置の概要
(国の機関等の特例)
第5条 国の機関又は地方公共団体(以下「国の機関等」という。)が海水浴場を公衆の利用に供しようとするときは、第3条の規定による届出を要しない。
(1) 遊泳場を浮標、立標、旗等で明確に標示するとともに、海水浴場の区域及び遊泳危険箇所を看板、立札等により明示すること。
(2) 海水浴場内の見やすい場所に遊泳上の遵守事項を記載した看板を掲示し、又は当該遵守事項を放送設備により放送する等必要な広報を行うこと。
(3) 救命浮輪、ロープ、救命ボートその他の救命用具を備えること。
(4) 水難救助を行うために必要な知識及び能力を有する者を置くこと。
(5) さめの出没が予想されるときは、侵入防止網の敷設、監視の強化又は遊泳禁止の広報を行うこと。
2 海水浴場開設者は、監視台、救護所、放送設備及び非常連絡用電話の整備に努めなければならない。
3 海水浴場開設者は、当該海水浴場において水難事故が発生したことを知ったときは、直ちに警察官に通報しなければならない。
2 公安委員会は、遊泳区域を指定した場合において、その必要がなくなったと認めるときは、遊泳区域の指定を解除するものとする。
3 公安委員会は、遊泳区域を指定する場合には、その旨を公示しなければならない。遊泳区域の指定を解除する場合も、同様とする。
4 遊泳区域の指定は、公安委員会規則で定めるところにより、標識を設置して行わなければならない。
5 何人も、みだりに前項の標識を移動し、又は損壊してはならない。
(遊泳区域への乗入れ等の禁止)
第8条 何人も、前条第1項の規定により公安委員会が指定した遊泳区域に船舶等(手こぎのゴムボートその他の人の身体に接触した場合に危害を及ばすおそれのないものを除く。)を乗り入れ、又は引き入れてはならない。ただし、次の場合は、この限りでない。
(1) 水難救助に従事する場合
(2) 国の機関等が水難事故の防止、海域等の管理その他行政目的を達成するため必要な場合
(3) 海水浴場開設者が当該海水浴場における水難事故を防止するため必要な場合
(危険な器具の携帯の禁止)
第9条 何人も、海水浴場において、正当な理由がないのに、水中銃、もりその他人の身体に危害を及ぼすおそれのある危険な器具を携帯してはならない。
第3章 海域等レジャー事業
(事業の届出)
第10条 プレジャーボート提供業、マリーナ業又は潜水案内業(以下「海域等レジャー事業」という。)を営もうとする者は、あらかじめ、次の事項を書面により公安委員会に届け出なければならない。
(1) 氏名及び住所(法人にあっては、名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)
(2) 事業に係る施設及び設備を設け、又は保管する場所
(3) 事業を開始しようとする日(一定の期間に限り事業を営もうとする者にあっては、その期間)
(4) 事業の内容
(5) 水難事故を防止し、遊泳者等の安全を図るために採る措置の概要
(1) 事業を営む場所の見やすい箇所に第18条に規定するプレジャーボート利用上の遵守事項を記載した看板を掲示し、これをプレジャーボート提供業者の事業の用に供するプレジャーボートを利用する者又はマリーナ業者が係留し、若しくは保管するプレジャーボートを航行させる者(以下「プレジャーボー卜利用者」という。)に遵守させること。
(2) 事業を営む場所に救命浮輪、ロープ、救命ボートその他の救命用具を備えること。
(3) 安全な航行のため必要な気象及び海象に関する情報並びに海水浴場、漁具、漁業施設及び工事現場の位置その他の情報をプレジャーボー卜利用者に提供すること。
(4) 航行中に水難事故を起こしたときは、直ちに適切な措置を講じるとともに、その旨を警察官又はプレジャーボー卜提供業者若しくはマリーナ業者に通報するようプレジャーボー卜利用者を指導すること。
2 プレジャーボー卜提供業者及びマリーナ業者は、プレジャーボー卜利用者に係る水難事故が発生したことを知ったときは、直ちに警察官に通報しなければならない。
3 プレジャーボー卜提供業者は、前2項に定めるもののほか、次の措置を採らなければならない。
(1) 強風、高波、霧等の状況から航行に危険があると認めるときは、プレジャーボートを利用させないこと。
(2) プレジャーボート利用者が当該プレジャーボートを操縦することができる資格を有するかどうかを確認し、当該資格を有しない者には利用させないこと。
(3) プレジャーボート利用者が酒に酔った状態その他正常な利用ができないおそれのある状態であると認められるときは、プレジャーボートを利用させないこと。
4 マリーナ業者は、前項各号に定める措置を採るように努めなければならない。
(1) 事業を営む場所ごとに、潜水者を案内し、指導する者(以下「ガイドダイバー」という。)の名簿及び潜水者の名簿を備え、これにガイドダイバー及び潜水者の氏名、住所その他公安委員会規則で定める事項を記載すること。
(2) 事業を営む場所又は潜水者を案内する船舶の見やすい箇所に潜水上の遵守事項を記載した看板を掲示し、これを潜水者に遵守させること。
(3) 事業を営む場所又は潜水者を案内する船舶に救命浮輪、ロープ、救命ボートその他の救命用具を備えること。
(4) 潜水器具の事前点検を確実に行うこと。
(5) 潜水者が酒に酔った状態その他正常な潜水ができないおそれのある状態であると認められるときは、潜水させないこと。
(6) 潜水技術の未熟その他の理由により、安全な潜水を行うことができないと認めるときは、潜水させないこと。
(7) 有害な海洋生物が生息する海域その他の危険な海域では、潜水させないこと。
2 潜水案内業者は、潜水者に係る水難事故が発生したことを知ったときは、直ちに警察官に通報しなければならない。
第4章 催物の開催
(催物の開催の届出等)
第14条 海域等において、公衆を集め、観覧させる目的で花火大会、水泳競技、ヨット競争その他の催物(以下「催物」という。)を開催しようとする者は、あらかじめ、次の事項を書面により当該催物を開催する場所を管轄する警察署長(以下「警察署長」という。)に届け出なければならない。
(1) 氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)
(2) 催物を開催する場所及び日時
(3) 催物の内容
(4) 水難事故の防止その他観覧者の安全のために採る措置の概要
第5章 危険行為及び迷惑行為の禁止等
(プレジャーボー卜等による危険行為の禁止)
第15条 何人も、海域等において、みだりに船舶等又は自動車若しくは原動機付自転者を疾走させ、急転回させる等により、遊泳者等に危険を生じさせるような行為をしてはならない。
(多数の人が遊泳する海域等における危険行為の禁止)
第16条 何人も、多数の人が遊泳する海域等において、次の行為をしてはならない。
(1) 遊泳者に抱きつき、押さえる等遊泳に危険な行為をすること。
(2) 遊泳者に危険を生じさせるような方法で、電波等を利用して遠隔操作を行う遊具を使用すること。
(迷惑行為の禁止)
第17条 何人も、海域等において、正当な理由がないのに、次の行為をしてはならない。
(1) 船舶等又は自動車若しくは原動機付自転車を、遊泳者等に急接近させ、その直近を周回させる等により、遊泳者等に現に行っている行為を中断させ、その場から立ち退かせる等の迷惑をかける行為をすること。
(プレジャーボート操船者の遵守事項)
第18条 プレジャーボートを操船する者は、法令に定めるもののほか、次の事項を遵守しなければならない。
(1) 出航前に、気象及び海象の状況が安全な航行に支障がないことを確認すること。
(2) 酒に酔った状態その他正常な操船ができないおそれのある状態で操船しないこと。
(3) 漁具、漁業施設、工事現場等がある場合又は遊泳者等がいる場合は、減速し、又は接近しない等の安全な方法で航行すること。
(4) 水産動植物を採捕する者(以下「遊漁者」という。)を磯等に渡す場合には、遊漁者の安全を図るため気象及び海象、磯等の地形その他の状況を把握するとともに、遊漁者の動向に応じた操船をすること。
2 推進機関を用いて航行するプレジャーボートを操船し、ゴムボート、水上スキー、パラセールその他これらに類する物に人を乗せてけん引する者は、前項に定める事項を遵守するほか、その者に救命胴衣を着用させるとともに、見張り要員を配置しなければならない。
3 プレジャーボー卜利用者は、プレジャーボート提供業者又はマリーナ業者の指導及び助言に従わなければならない。
4 プレジャーボートを操船する者は、航行中に水難事故を起こしたときは、直ちに適切な措置を講じるとともに、その旨を警察官(プレジャーボート利用者にあっては、警察官又はプレジャーボート提供業者若しくはマリーナ業者)に通報しなければならない。
第6章 公安委員会等の措置
(指示)
第19条 公安委員会は、海水浴場開設者及び海域等レジャー事業者(プレジャーボート提供業者、マリーナ業者及び潜水案内業者をいう。以下同じ。)に対し、水難事故を防止し、遊泳者等の安全を図るために必要な措置を採ることを指示することができる。
(海域等の調査等)
第20条 公安委員会は、水難事故を防止し、遊泳者等の安全を図るため、海域等の状況について必要な調査を行うものとする。
2 公安委員会は、前項の規定による調査を行った場合において、必要があると認めるときは、その調査の結果を海水浴場開設者及び海域等レジャー事業者に通知するものとする。
第7章 雑則
第8章 罰則
第22条 第7条第5項の規定に違反した者は、3月以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
第23条 次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。
(1) 第15条の規定に違反した者
(2) 第19条第3項の規定による警察官の指示に従わなかった者
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から起算して3月を経過した日から施行する。
(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部改正)
4 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和38年和歌山県条例第28号)の一部を次のように改正する。
第9条を削り、第10条第1項中「第6条、第7条又は第9条」を「第6条又は第7条」に改め、同条を第9条とする。