令和7年9月和歌山県議会建設委員会会議記録


令和7年9月和歌山県議会建設委員会会議記録

 

1 日時   令和7年9月22日(月)午前9時59分~午前11時23分
2 場所   第5委員会室
3 出席者  委員長   佐藤武治
       副委員長  上山寿示
       委員    鈴木太雄、吉井和視、中村裕一、片桐章浩、川畑哲哉
       欠席委員  なし
       委員外議員 なし
4 概要
   午前9時59分開会
    ●佐藤委員長
     ◎開会宣告 挨拶
     ◎報告事項 委員の欠席なし
     ◎傍聴協議 なし
     ◎撮影許可 3件
     ◎議  事 議案8件継続審査を要する所管事務調査5件
     ◎県土整備部審査宣告
     ◎議案等に対する説明要請
    ●小浪県土整備部長説明
    ●佐藤委員長
     ◎議案に対する質疑及び一般質問宣告

  Q 川畑委員
   今年3月19日に記者発表された入札制度の一部見直しの中で、過去4年間の工事成績の平均値の評価、総合評価落札方式評価項目

  一部見直しについてというところでいくつか確認する。
   現行制度が時折当てものだと言われているような側面があるということは我々も聞き及んでおり、認識をしているところであるが、

  この改正に着手する背景について具体的にどのような課題があると考えているか。
  A 貴志技術調査課長
   この見直しに至る背景としては、2年前に建設業協会の一部の支部からこの評価項目で評価の差が生じず、技術者の能力が適切に

  評価されていないとの指摘があり見直しに着手した。
   検討の結果、土木一式工事のAランクでは、平均値が直近で78.7点という状況であり、満点の1点加点となる評価ライン75点を超

  えている状況であり、技術者の能力を適切に評価できていないという状況が分かったため、評価点の引上げが必要であると考えた。

  Q 川畑委員
   記者会見のときの資料を見ているが、工事成績は年々上昇傾向という言葉があり、直近の4年間の平均値は77.4点になっている。

   令和5年度は確かに78.6点ということだと思うが、その前の4年間は、平成28年から令和元年までの平均値が78.5点になっている。
   直近10年でみると77.81点ということなので、直近4年間の平均点でみると、ちょっと下がっているというか、目いっぱい表現しても

  横ばいぐらいかと思うが、それでもこのタイミングで改正を進めるのか。

  A 貴志技術調査課長
   委員の言われるようにここ数年は横ばい状態ということだが、やはり今現状で平均値が75点を超えているという状況である。
   業者の皆様いろいろ意見があるのは承知しているが、現状適切に評価できていないという状況であり、昨年の建設業協会との意見交

  換の中で、2年後をめどに評価の見直しを行うことを前もって周知している。  
   それに併せて、工事成績が低い業者や受注できていない業者がいるので、過去の工事成績にかかわらず受注件数が少ないほど総合評

  価で有利になる入札制度として、企業チャレンジモデルを来年の改定に先立ち今年度から実施している。これによって技術者の工事成

  績向上の機会を確保できていると考え、来年6月からの見直しについて各建設業協会の支部とこれから意見交換していきたいと考えて

  いる。

  Q 川畑委員
   80点に上げるということだが、切りがいい数字で理解できるが、近年の平均値の流れを見ていると、79点とか細かく刻むという考え

  もあるかと思う。80点に引き上げ、2年の猶予を作ったということだが、県内事業者はそれについていけると現場の肌感覚として持って

  いるか。

  A 貴志技術調査課長
   現状の平均点が78.7点というところから、少しそれよりも高い80点ということで設定している。
   土木一式のAランク業者においては92%で75点以上というところから、80点に上げても大きな支障にはつながらないと感じている。

  Q 川畑委員
   おいおい他のランクや舗装工事業等の他の工事を対象としていくか。

  A 貴志技術調査課長
   現状では他のBランクや専門工事の点数は平均が75点未満ということもあり、直ちに点数を見直す必要はないと考えている。

  要望 川畑委員
   まちづくりを進めていく上で地元の業者にいろんな協力をいただいて成り立っていっていると思う。私としては、屋号数は一定数保た

  れるべきと思っている。
   その上で、エリアごとや検査員ごとで評価点数の濃淡が出るようなことのないようになお一層取り組んでもらいたい。
   もう一点は、この20年くらいいろんな社会要請があったことは承知しているが、現場の技術者や事業者とこれまで以上に直接対応する

  機会づくりに注力してよく話を聞いてもらいたい。

  Q 片桐委員
   災害防止のための道路問題で、道路にかかっている樹木の事前伐採を進めている県もあると聞いている。和歌山県道が樹木倒壊で塞

  がれるとインフラ設備の復旧の支障になり、樹木を取り除かないと道路状況によっては復旧まで数日、過去の例によると1週間以上か

  かったこともあるので、災害に備えて道路が塞がる危険性がある場合は事前伐採が必要だと思うが、それに関する考えはあるか。

  A 児玉道路保全課長
   事前伐採の取組については、三重県庁の林務部局が所管し、伐採の必要な場所を市町村が抽出し、電力事業者、市町村、県が費用を分

  担して実施しているものである。
   本県では、平成30年9月の台風第21号において、広範囲で倒木による断線等が生じ、復旧まで時間を要したことから、県と関西電力

  送配電株式会社の間で、事業者に代わり県が倒木の除去を行えるよう協定を締結している。
   委員指摘の事前伐採の取組については、三重県の取組状況や全国の動向などを踏まえ研究していきたい。

  要望 片桐委員
   災害が起きてから道路が塞がってしまうと被害状況が拡大し、コストがかかってくることから、事前に伐採できるところは事前伐採を研

  究するとの答弁だったので、ぜひお願いする。
  Q 片桐委員
   JR和歌山駅周辺の再整備の状況について、今年度、もともとは基本計画までと聞いていたところ、少し遅れているようであるが、その後

  の状況はどうか。

  A 前山都市住宅局長
   JR和歌山駅周辺の再整備の現状について、これまでの取組としては、昨年度、県、和歌山市、JR西日本で「和歌山駅まち空間活性化基

  本構想」を策定し、7月に和歌山市のほうで公表されたところである。
   今年度は、和歌山市において、再整備の方針の具体化や再整備による効果検証等を行うこととしており、このほど、公募型プロポーザル

  による受託候補者が決まったところである。
   今後は、これらの検討結果等を踏まえ、関係者との合意形成を進めていくことになるが、引き続き、県としても、和歌山県の玄関口にふ

  さわしい拠点の実現に向け、主体である和歌山市と共に取り組んでいく。

  要望 片桐委員
   地元の期待感は非常に高いため、ぜひよい計画とスピード感を持って、お願いできればと思う。

  Q 片桐委員
   ようやく秋らしくなってきたところだが、今年の夏の酷暑日が非常に多く、現場の作業が大変だったと認識している。特に建設工事や

  道路工事に関する昼間の作業は、身体の危険を感じながら従事した人がいたという意見をいくつか聞いている。もはや日本の気温は常に

  これくらいだと来年も考えたほうがいいので、対策が必要だと思う。建設や道路工事など現場作業に従事する方々の健康管理や安全施工

  のために、夏の酷暑日が予想される週間の作業を見合わせることや現場作業を休みにすること、あるいは比較的長い目の休憩時間を確

  保することなどが必要だと思うが、県土整備部の考え方についてはどうか。

  A 貴志技術調査課長
   委員指摘のとおり、夏場の建設現場では長い目の休憩時間を取るなどしている。
   県においては、工期に6月から9月の期間を含む工事においては、過去の猛暑日日数を考慮し、通常より長い工期で発注している。
   また、受注者が日除けテントやミストファンなど熱中症対策を行った場合は、その費用を計上できることとしており、受注者が適切に

  熱中症対策できるよう努めている。
   これに加えて、今年6月1日の労働安全衛生規則の改正を受けて、受注者に対して、熱中症が生じた場合の報告体制の整備、措置手順

  の作成、また下請を含め、従事者全員に周知することが義務付けられたことから、パンフレットなどを配布して周知しているところであ

  る。
   引き続き、下請業者や交通誘導警備員も含めて、現場全体で熱中症対策に取り組むよう、受注者に対して周知徹底していく。

  要望 片桐委員
   規則改正によるものなど説明もしてもらい、元請は守っていると思うが、その下はどうしても真面目なので、きっちり仕上げないとい

  けないという意識が働く現場の方もいる。事故の発生や健康を損ねると何にもならないので、ぜひ来年に向けてさらに徹底できるよう

  要望しておく。

  Q 中村委員
   部長の説明において、漁港建設費の箇所で「3連動地震による被災後の早期復旧・復興につなげるための防波堤改良に要する経費」と

  あるが、日本語的には「3連動地震による被害軽減及び早期復旧・復興」という表現ではないのか。わざわざ「被災後の早期復旧・復興

  につなげる」という表現にしているのは何か意味があるのか。

  A 赤松港湾漁港整備課長
   防波堤の耐震ということであり、防波堤が津波等により粘り強く壊れないように改良を進めているところである。壊れないことに

  よって被害軽減につながるという趣旨である。

  Q 中村委員
   毎回質問していることだが、御坊市、美浜町の一部を守るために津波対策をお願いしてきて、高潮対策として西川河口の堤防のかさ上

  げを実施することになっているが、その進捗状況についてどうか。

  A 赤松港湾漁港整備課長
   西川河口の高潮対策については、昨年度に海岸保全基本計画に位置づけ、今年度は海岸保全区域の指定に向けた業務を進めている

  ところである。

  Q 中村委員
   当該業務はいつ頃終了するのか。

  A 赤松港湾漁港整備課長
   今年度中の完了を目標として取り組んでいるところである。

  Q 中村委員
   来年度は何を行うのか。

  A 赤松港湾漁港整備課長
   来年度以降は設計等を発注していきたいと考えている。

  要望 中村委員
   早期の取組をよろしくお願いする。

  Q 中村委員
   御坊市内に熊野川(いやがわ)という二級河川があり、平成の初め頃に用地買収をしているが、いまだに工事がされていないのはなぜ

  か。

  A 千野河川課長
     工事がされていない熊野川の上流区域については、現在下流で河川整備を進めており、上流側は当時、熊野地区の御坊工業団地の

  開発の関係で、現在の公営企業課と調整して話を進めていたが、近年、特段開発が進んでいないということもあり、河川管理者とし

  ては下流の方から整備を進めているという状況である。

  要望 中村委員
   今、熊野川の下流でやっていることはありがたいことであるが、その工事が始まる前は何年も予算がついていなかったわけで、ずっと

  下流をやるから上流は遅くなるという理屈は通らないと思う。
   それから、よく監査委員の監査を見ていると、早く土地を買ったのであれば、効果を早く発現するために行為をしなさいという箇所

  がよくあるので、それから言うと早くやるべきだと思っている。この問題の箇所というのは昭和から平成にかけて御坊第一工業団地を造

  成するという目的で、一部の南熊野川はわざわざ準用河川にして企業局が河川整備を実施したと、そんなこともあった。
   最終的に工業団地の用地買収、最後に判こを押してくれた人は平成6年だったので、バブルがはじけて結局その後塩漬けにしておか

  ないと仕方がないというような状況もあったが、近年経済安保法のこともあり、国内に投資が回帰しており、私も肌感覚で工業団地を

  見に来てくれるという人も現に出てきているので、買ってくれたら直すではなく、先にいつ買ってもらっても自分の所の造成がすぐに出

  来るように県であらかじめ出来るような所はぜひやっていただきたいと要望する。

  Q 中村委員
   土木建築職員の採用状況について伺う。建築職は採用できているようだが、土木職は相変わらず厳しい状況と聞いている。来年度の

  採用試験の実施状況はどうか。

  A 福田県土整備政策課長
   人員確保の現況について、全ての採用試験は終わっていないが、現時点で建築職は募集予定人数4名に対して4名に合格通知を、

  土木職は、昨年度までの累積も含めた募集予定人数37名に対して、現時点で16名に合格通知を送付している。

  Q 中村委員
   振興局建設部の職員は忙しく、大変である。和歌山県では県職員は人気の職種だが、土木職と獣医師職が集まらないと聞いている。

   何か応募してもらえるような対応はしているか。

  A 福田県土整備政策課長
   年齢制限の緩和など、採用試験の対象を拡げている。また、魅力発信として、仕事内容や実際の業務の様子、職場の雰囲気などを

  YouTubeで流し、受験者に知ってもらえるよう取り組んでいる。

  Q 中村委員
   私も建設委員会3年目であり、この質問を3回以上しているが、集まってこない原因として、県内に土木職を養成する学校、和歌山

  高専や和歌山大学に似たようなコースはあるが、これが圧倒的に少ない。役所は今ようやく人が足りないと大騒ぎしているが、建設業

  界は有効求人倍率が全体で1を切っているときから、5倍ほど足りていない状況が何十年も続いており、業界から困ったという声を聞

  いている。現に和歌山県内の受注金額は、他府県に比べ個人請負が圧倒的に多い。これは技術者の不足に起因していると思う。大手、

  中小の企業だと優秀な人材が集まってくるし、土木や建築の技術についても民間のほうが進むと思うが、和歌山県は人がおらず悪循環

  になっていると思うので、ぜひ、県土整備部も当事者として、土木職の養成をするような働きかけをしてほしい。12月定例会に提案

  予定の新総合計画には、地域で必要とされる人材を高校で育成するといった記載があるが、高校や大学で必要な学科をつくっていく

  といったことをしないと、いつまでたっても足りないと嘆くだけになり意味がないので、ぜひとも働きかけをやっていただくようにお

  願いしたいが、部長、着任されて間もないが何か一言あるか。人が足りないことに対し努力していると思うが、私は学校をつくらな

  いといけないと考えている。

  A 小浪県土整備部長
   委員指摘のとおり、土木建築含め業界全体としてどうやって人材を確保するか、他の業界他の自治体に行かないようにするか、他

  からどう集めるかというのを、業界との対話の中でしっかり考えることが大事だと思うので、引き続き指導をお願いする。

  Q 中村委員
   能登半島地震の教訓については、これまで質問したことがあるが、昨年の夏に能登半島を調査した際、のと里山海道が寸断されて

  いる状況は聞いていたが、実際行ってみると、のと里山海道の盛土部分が全て破壊されていた。
   和歌山県でも能登半島地震を教訓として、県土整備部が対策と指針を示しており、ぜひ取り組んでほしいが、全ての箇所を補強す

  るのは難しいので、壊れたらすぐに直すこと、直すためには資機材はあらかじめ用意しておくこと、損壊した箇所があれば迂回路を

  示し、道路啓開については、建設業界や建設会社と契約しているが、緊急輸送道路以外についても、準備が必要であるがどうか。

  A 児玉道路保全課長
   大規模災害時の道路啓開については、県だけではなく、建設業界、国、市町村を含めて、道路啓開協議会等を設け、緊急輸送道路

  のどの箇所を啓開していくかということを議論し、大規模災害時の初動体制等の取決めをしているところである。

  Q 中村委員
   道路啓開というと、瓦礫などを取り除くというイメージになるが、盛土が崩れたようなものも啓開になるのか。

  A 児玉道路保全課長
   倒木の処理や盛土の崩壊も対象である。
   緊急車両や自衛隊車両などが通行できるよう、土のうを設置したり、仮盛土をしたりすることも道路啓開である。

  Q 中村委員
   瓦礫を取り除くのは重機で対応できるが、盛土が損壊したところの復旧は土砂や資材などがいると思うが、現在の啓開計画には、

  資機材のことも盛り込まれているのか。

  A 児玉道路保全課長
   大規模災害に備え、備蓄している資機材については、建設会社が備蓄しているもの、県が備蓄しているもの、国が備蓄している

  ものなど、各主体が備蓄している。
   被災状況に合わせて、適切な資材を投入することになる。

  Q 中村委員
   南海地震であれば、人が何十万人も被災し、道路も多く損壊するので、他府県から資材を搬入するのが困難である。和歌山県内

  は県内で、各自治体は各自治体で自己完結できるような準備が必要であると思う。
   少なくとも緊急輸送道路は復旧できるだけの資機材として、民間は資機材が流通し流動的である中、その備蓄を確保するような

  具体的な提携ができているのか。半分くらいはできるというようなざっくりとしたものでもよいが、何%くらいできるのか。

  A 児玉道路保全課長
   大規模災害時、どの場所がどの程度被災するかという規模感は明確でないが、委員の質問にある盛土に関しては、本県の道路は

  山を切り盛土をして構築された箇所が多いことから、土などは現場にある程度の材料はある。
   また、能登半島地震では、砕石不足が問題になったが、川の砂利なども含め実際に被災状況にあわせて資材をどう活用するかに

  ついては、国とも議論をしているところである。

  要望 中村委員
   地震が発生した際に、困ったということがないように対策をお願いする。

  Q 鈴木委員
   田辺の事業において、文里湾横断道路をやり始めてしばらくたつため、進捗状況と今後の見通しについて教えてもらいたい。

  A 岸岡道路建設課長
   文里湾横断道路については、令和2年度に事業化し、これまでに現地測量や地質調査、道路詳細設計、橋梁詳細設計が完了し、

  現在、用地取得や路側工を進めている。
   今年度は、引き続き用地取得を推進するとともに、関係漁協との補償契約後、橋梁下部工事の施工に必要となる仮桟橋工に着

  手する。
   本事業は、県土の強靱化に資するとともに、経済・観光・生活を支える重要なものであり、本年6月に閣議決定された「第1次

  国土強靱化実施中期計画」に関連する予算措置も含め、様々な機会を通じて予算を確保し、1日も早い完成を目指し、事業を推

  進していく。

  Q 鈴木委員
   以前に工事費等の事業に係る費用を聞いており、例えば年間に何十億円かつけると想定し、計算しても十数年かかると思われる。

  もっとかかるかもしれない。
  生活用道路や観光用道路、緊急を要する救急用道路になる路線であるため、事業を進める上で、今後加速化していくための予算の

  確保が必要ではないかと考えている。その点について道路局長に教えてもらいたい。

  A 上柏道路局長
   道路をはじめとする社会基盤の整備を推進するためには、県全体における予算の増額が必要不可欠である。本年8月には、知事

  が国土交通省や国土強靱化施策を担う内閣官房、県選出国会議員に対して国土強靱化の推進について要望活動を行ったところであ

  る。
   予算の増額に関しては財政当局との協議が必要となるが、県土整備部としては、事業を加速するために必要な予算の確保に向け、

  引き続き国に対して働きかけていく。

  要望 鈴木委員
   ぜひよろしくお願いしたい。
  Q 鈴木委員
   空き家対策について教えてもらいたい。実は私も空き家を抱えている。
   皆さんも同じような悩みがあるのではないか。
   部長の説明にあったように「活用や処分が進むよう啓発に努め、状況に応じた対策を総合的に推進してまいります。」ということ

  だが、活用できる部分については、しっかり活用することは当たり前のことである。
   しかし活用できないものが、なかなか解体に踏み込めない理由の一つに、建物があったほうが、固定資産税が安いままである。

  これが非常に大きい。和歌山県だけの話でなく全国的な話である。
   田辺市中辺路町は、ここ数年前までは空き家だらけだったと聞いているが、今、民泊を行うのにどんどん改修をされており、これ

  はいい事例である。
   しかし、活用したくても使う用途がない空き家について、解体したいという相談が私のところに何件かあり、市に対応をお願いす

  ることになるが、なかなか難しい。このことについては、どのような要望がいいのか整理できていないが、国への要望や県としての

  取組をしっかり考えていかないと解体がなかなか進まない実情がある。
   台風や地震によって崩れそうな空き家は、市町村の職員が所有者に対して「解体しませんか」とお願いしているが、なかなか進ま

  ないのが現状ではないか。
   そのことについて、答えられる範疇で県の考え方を聞かせてほしい。
   もう一つ加えていえば、例えば避難路沿いに空き家があり解体したいができない方が結構多いと認識をしている。避難路を指定

  しても、空き家が崩れれば避難路にならないため、何か特化するような対策を推し進める必要もあるのではないか。

  A 矢代建築住宅課長
   委員から質問のあった空き家対策については、空家法を活用しながら各市町村が除却並びに活用などの対策を進めているところ

  である。
   固定資産税について、特定空家等に指定されれば、そのまま空き家を残しておくと除却後の税と同じになる仕組みとなっており、

  除却し跡地の活用を促している。
   また、「空家等対策推進協議会」を県、市町村、専門家で組織し、一緒になってどうすれば除却が進むのか検討を行っていると

  ころである。
   あと避難路沿いの除却について、避難路に特化した制度は今のところないが、市町村と共に今後、研究していきたい。

  Q 鈴木委員
   本当にぜひ2点目の避難路については、研究をしていただきたい。避難路沿いの空き家については、違う角度からこのアプロー

  チが必要だと思う。
   特定空家等については、税制上、除却後と変わらなくなるという話であったが、特定空家等の指定はハードルが高いのではな

  いか。

  A 矢代建築住宅課長
   特定空家等の指定について、市町村で対応が異なるが、判断基準については県の空家等対策推進協議会で、マニュアルを策定し

  ており、それに基づいて市町村が指定しやすくなるように進めている。
   また要請があれば、県の職員が、市町村と一緒になって、現地で調査も行っている。

  要望 鈴木委員
   空き家の持ち主に対して啓発を行い、しっかりと考えてもらい、活用か処分を行ってもらう。また処分がどうしてもできない環

  境もあると思うため、処分がしやすくなるような方法も考えてもらえればと思うので、引き続きお願いする。
  Q 吉井委員
   県土木職のOBに聞くと、最近仕事がなくなったと聞く。私が原因を聞くと、予算の組み方に問題があるのではと、あなた方の

  OB、元幹部が言っていた。じっくり聞いてみると、前知事は当初予算で幅広い予算を組まなかった。賢いやりくりと言うが、

  補正予算でたくさんもらおうとするから、当初を控えたとOBは言うが、これについて聞きたい。

  A 福田県土整備政策課長
   当初予算の組み方については、現在、財政当局で検討中である。これまでの状況を踏まえ、国への予算要望に当たって、通年で

  必要な予算を確保できるように、財政当局と協議を行っている。

  Q 吉井委員
   ということは、必要な予算は要求しているということか。

  A 福田県土整備政策課長
   その通りである。

  Q 吉井委員
   令和5年度と6年度を比較すると当初予算は一緒であると聞いた。6年度は道路予算が半分になっている。補正を含めたトー

  タルで140億円減っていると聞いた。それはなぜかと聞いている。補正予算がつかないのはなぜか。前知事は賢いやりくりと言っ

  ていたが、賢いやりくりとは補正でたくさんもらって県負担が少ないようにすることである。だからあなた方のOBはもっと当初

  で組まないと、国は予算をつけてくれないと言っている。部長、その点についてどうか。

  A 小浪県土整備部長
   令和8年度の予算については、現在、財政当局と調整中である。また、本年6月に第1次国土強靱化実施中期計画が閣議決定

  された。これを受け、これまで県独自で進めてきた強靱化の取組も含め、幅広く実施中期計画に基づく事業として、多くの取組

  が位置づけられるように検討しているところである。

  要望 吉井委員
   とにかく、国から交付金をたくさんもらえるよう努力してもらいたい。業者はみんな、口を開けば仕事がない仕事がないと言って

  いる。測量設計の会社もそうである。測量設計の会社が言うのだから、後の仕事、工事はもちろんない。そういうことであるので、

  よろしくお願いしたい。

  Q 吉井委員
   県の監査委員をやっており、知事に総評を申し上げた際、県政の柱に脱炭素や観光行政という柱があり、脱炭素に関して、環境生活

  部だけで実施していたが、県土整備部でも実施しておかなければならないと話した。  
   県土整備部の脱炭素の柱をどのように考えているのか。

  A 貴志技術調査課長
   県土整備部における脱炭素については、炭素を閉じ込めている木材を公共工事の中で利用していく、また、木を切って使用し、植え

  て、育てるという森林資源の循環につなげていくことが重要と考えている。

  Q 吉井委員
   平成22年に木材利用促進法ができ、建築以外にも土木工事で木材を優先して使うという法律ができている。私は常々、土木に木材

  利用ということを言っている。
   ある議員が、あまりそのようなことを言うと一部の業者のことばかり言っていると誤解されると言われたが、私は二十数年前から森

  づくりから始まり、脱炭素に取り組んでおりライフワークとしている。
   8月12日に三重県の津市に行き、和歌山県産の木製ガードレールが二百数十メートル、美杉町で施工されているので見学に行った。

  清水町や日高川町のような山間のところで狭い道から急に広がった道をつくっており、和歌山県産の木製ガードレールが使われていた。
   なぜ、三重県で和歌山県の木製ガードレールが使われているのか。

  A 貴志技術調査課長
   三重県においては木製ガードレールを発注する際、建て込み方法や経済性を勘案して検討していると聞いている。結果として、構造

  物上に設置する木製ガードレールの場合は、和歌山県の県内開発建設技術である製品が使われており、土中に設置する場合は、スパン

  が4メートルとなるので、他県で開発された製品が使われていることが多いようである。

  Q 吉井委員
   仕様書で構造物上であれば、和歌山県で使われている木製ガードレールを使用することを前提として載っているのではないか。

  A 貴志技術調査課長
   三重県においては、和歌山県が木材利用マニュアルをつくっているように、公共土木施設の県産木材利用基準を策定しており、その

  基準の中で土中の場合と構造物の場合の図面が例示されている。

  Q 吉井委員
   どのような図面が載っているのか。

  A 貴志技術調査課長
   構造物上は和歌山県の県内開発建設技術の図面、土中用は他県産の図面の2種類が基準の中で例示されている。

  要望 吉井委員
   美杉町は杉が多いので三重県産の材料が使われていると思うが、和歌山県産の技術を使っているのであれば、県として礼を言うか、

  支援をする形で協力していくのが当然だと思う。そのようなことを考えてもらいたい。他府県でも和歌山県産の木製ガードレールが使

  われているので礼を言いたい。
   これからも脱炭素ということで林業を盛んにするために県の整備計画に盛り込むことを要望する。

  Q 吉井委員
   材料が高くなったという話を盛んに業者が言う。3割、4割高くなったという話がある。県は、その見直しを頻繁にしてくれている

  と思うが追いついているか。

  A 貴志技術調査課長
   県では、資材高騰している市場の実態を県工事の予定価格に速やかに反映させるために、毎月発行されている物価資料の最新の単価

  を用いることに加え、物価資料では県内の地域の実勢価格を適切に反映しきれていない材料等について、県独自の調査を行い設計単価

  を見直しているところである。よって、建設資材の高騰といった市場の動向を適切に反映した予定価格になっているものと考えている。

  要望 吉井委員
   万博で和歌山県の木製ガードレールが展示されていたが、環境省の提案でネイチャーポジティブの関係でトークが近くあるみたいだ。

  木製ガードレールもそうだが、ほかの木材の利用についても提案すると私に言ってきた。そういうことが世界に発信する万博で行われ

  るので県も見に行くことを要望する。

  Q 上山副委員長    
   日常生活の中でセンターラインなど区画線が消えており、支障を来していると県民の声をよく聞く。道路の管理体制、対策について

  聞きたい。

  A 児玉道路保全課長
   道路の路面標示については、横断歩道、停止線、黄色のセンターラインなど交通規制を伴うものは、公安委員会が設置している。
   道路管理者は、白色の中央線や外側線などの区画線を設置している。
   県が管理する区画線の修繕については、職員によるパトロールや利用者からの通報に基づき修繕を行っている。
   舗装の損傷が激しい場合は、舗装の打ち替えに併せて区画線の更新を行っている。
   県としては、通行の安全確保の観点から、必要な予算を確保し、適正な維持管理に引き続き努めていく。

  要望 上山副委員長
   県民の声は日常生活の中でも大変有意義なところがある。徹底した管理体制をお願いする。

  Q 佐藤委員長
   私から一つ、分かっていれば教えてもらいたい。部長から冒頭の説明において、国道168号の新宮市相賀トンネルが先日開通されたとの

  ことである。一方で、フッ素及びヒ素が予想以上に含まれていることが発覚し、現在工事を中止しているトンネルがあると思う。当該箇

  所について、先日新聞報道で若者広場へ盛土を行う旨が記載されており、住民説明の中ではかなり反対があったという報道がなされてい

  たが、現状、それらの意見を含め今後の見通しについて、可能な範囲で説明してもらいたい。

  A 岸岡道路建設課長
   国道168号相賀高田工区の仮称2号トンネルにおいて、全延長の約1割を掘削したところ、継続的に環境基準を超過するフッ素やヒ素が

  検出され、このまま工事を継続して処分を続けると、膨大な工事費の増額が見込まれるため、令和5年11月にトンネルの掘削を休止した

  ところである。
   環境基準を超過する土砂の処分については、コスト縮減の観点から、近隣において盛土材として活用することが有効な手段の一つと考

  えられることから、現在受入地の検討を行っているところである。その際、洪水時の避難場所として地元からかさ上げ要望のある日足

  地区の若者広場について、受入候補地の一つとして新宮市から提案をいただき、今後検討を進めるにあたり、地元説明会を開催したとこ

  ろである。
   説明会において、いろいろな意見があったことは承知しているが、先ほど申し上げたとおり、新宮市から、洪水時の避難場所としてかさ

  上げしてほしいという、地元からの要望があるという話も聞いていることから、引き続き新宮市と協議を行い、今後の方針を検討していく

  とともに、状況に応じて再度説明会を開催するなど、地元に対しては丁寧な説明に努めたいと考えている。

  要望 佐藤委員長
   相賀トンネルは、19日に供用したばかりで、まだ私自身、走ってはいないが、たまに北山村に行く際、この道路を利用している。これ

  は、かなり便利になったという気がしている。また現在工事が止まっている部分についても、結構な距離があるトンネルと聞いており、

  住民が利用するときにはかなり便利になるので、説明会では厳しい意見もあったようだが、それについても、新宮市としっかり相談及び

  協議を行いながら、理解を得られる方向で、進められればと感じている。一つその点よろしくお願いしたい。

    ●佐藤委員長
     ◎議案に対する質疑及び一般質問終了宣告
     ◎議案に対する採決宣告
     ◎議案第120号、議案第127号及び議案第130号から議案第135号までについては、全会一致で原案可決
     ◎県土整備部審査終了宣告
     ◎継続審査を要する所管事務調査宣告 異議なし(件名表のとおり)
     ◎市町村から当委員会へ寄せられた計169項目の陳情について、今後、県としての意見を取りまとめ、12月の当委員会で報告後、

      各市町村に回答することを

      報告
     ◎県内外調査について、令和7年10月15日から10月17日までの日程で実施することを報告
     ◎閉会宣告
   午前11時23分閉会
 

 

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