令和7年9月和歌山県議会福祉環境委員会会議記録


令和7年9月和歌山県議会福祉環境委員会会議記録

 

1 日時  令和7年9月22日(月)午前9時59分~午前11時42分

2 場所  第2委員会室

3 出席者 委員長   北山慎一

      副委員長  中尾友紀

      委員    濱口太史、堀 龍雄、尾﨑太郎、中西 徹、奥村規子

      欠席委員  なし

      委員外議員 なし 

概  要
   午前9時59分開会
    ●北山委員長
     ◎開会宣告 挨拶
     ◎報告事項 委員の欠席なし
     ◎傍聴協議 1件
     ◎撮影許可 4件
     ◎議  事 議案1件継続審査を要する所管事務調査8件
     ◎審査順序宣告 環境生活部、共生社会推進部、福祉保健部の順に審査
     ◎環境生活部審査宣告
     ◎所管事務に対する説明要請
    ●湯川環境生活部長説明
    ●北山委員長
     ◎所管事務に対する一般質問宣告

 

  Q 奥村委員 
   横断歩道での車の一時停止について、和歌山では、子供が横断歩道を渡ろうとしても、あまり車が止まってくれない印象がある。その

  指導の現状について、説明してほしい。

  A 笠松県民生活課長
   信号機のない横断歩道等についての自動車の一時停止率は、令和6年にJAFが実施した調査において、和歌山県では36.2%となってお

  り、全国平均の53%を下回っている状態であり、全国でワースト5位という状況である。
   それに対して、現在、秋の交通安全運動の期間であるが、各季の取組の中での啓発や、小学校での交通安全教室などで、サイン+サン

  クス運動という、横断歩道を渡るときには手を挙げて、運転者に渡る意思を伝え、止まってくれたら、「ありがとう」と会釈などで伝える

  運動にも取り組んでいるところである。

  要望 奥村委員
   運転者に対する啓発なども、事故を減らすために、引き続き力を入れてもらいたい。

  Q 奥村委員
   水道管について、国土交通省が下水道の老朽化の調査で1年以内に早急に対策が必要な箇所の割合を発表したが、水道管の老朽化に

  ついて、せんだって発生した西浜での事故等も含めて、現状と取組について教えてほしい。

  A 岡本生活衛生課長
   老朽化の現状については、本県の上水道管の法定耐用年数40年を超えた管路延長は、令和5年3月末現在で、全管路延長7596キロ

  メートルのうち1893キロメートルであり、約24.9%となっている。全国平均が23.6%であり、若干全国よりも進んでいる状況である。

   今後、老朽化はますます進んでいくことが見込まれるため、計画的に更新を実施する方向で進めていかなければいけない。
   水道事業は住民に必要不可欠な生活インフラであり、本県では県営水道はなく、市町村が水道事業を独立採算で行っている。前提とし

  て市町村が水道事業を担っているが、県としても、昨今の頻発化する自然災害への備えとして、老朽化プラス耐震化に向けて、市町村の

  底上げをしていかなければならないこともあり、国の補助制度やDX技術を活用した漏水調査等の新技術の横断的な情報提供や、市町村

  等と共に国の助成制度の採択要件の緩和や補助率の引上げを引き続き国に要望していきたい。

  要望 奥村委員
   老朽化対策を行う市町村も大変な状況であり、県としても財政的なことも含めた十分な支援をよろしくお願いする。

  Q 奥村委員
   紀伊半島三県のツキノワグマの頭数が400頭以上になったということを聞いたが、それに関して私は、例えば熊というと、昨年亡く

  なった和歌山城動物園のベニーであったり、童謡にも歌われたりしているような、子供たちに親しまれてきた動物だと思っている。

   愛護という立場から質問するが、ツキノワグマ管理計画を作成し、捕獲することについて、県民にどのように周知していくのか、子

  供たちへのそういった思いも含めて説明をしてほしい。熊の居場所がなくなってきたことが問題なのか、環境の変化などいろいろなこと

  も含めて、なぜこのようなことになっているのかを説明することが必要だと思うが、どのように考えるか。

  A 松尾自然環境課長
   ツキノワグマ第二種特定鳥獣管理計画において、人間と熊のすみ分けを図る目的でゾーニングを計画している。また、育成不良の人工

  林については、広葉樹林化を行うことで、生物多様性が豊かな森となるよう整備を行っている。これにより、奥山の生息環境は改善され

  ると考えている。なお、人の生活圏に熊が出没した場合、原因となる誘引物質を特定、除去するなどの指導を行っている。
   県民に対しての周知は、県ホームページ等で熊に出会った時の対応などを周知しているので、さらにこれをバージョンアップしていき

  たい。

  Q 奥村委員 
   子供たちの思いも含めて、教育委員会や保育所なども含めて、熊の生態や、自然の変化、食べ物がなくなっていることの原因などを

  一緒に考えられるような形で周知してもらいたいと思うが、その点についてはどう考えるか。

  A 松尾自然環境課長
   現在は人的被害の防止を最優先に考えており、町なかに出てきた個体については有害捕獲という形で考えている。ただ、奥山に生息

  している熊については、特に捕殺等を考えていないので、そのような啓発をしていきたい。

  要望 奥村委員
   丁寧な対応をお願いする。

  Q 奥村委員 
   コスモパーク加太の太陽光発電所設置計画の説明会に行ってきた。
   環境白書には、地域住民への十分な説明を行った上で、事業計画についての知事の認定を受けることを義務づけているとあるが、この

  「地域住民への十分な説明」という点をどう考えたらよいのか、この点を事業者にはしっかりと対応していただかなければならない。
   説明会では、加太の住民を対象にしているので、質問は控えてくださいと言われた。
   また、説明会開催の周知が、加太の住民の方に十分行き渡っておらず、知らないという人もかなり多かったようで、2日間開催された

  が、参加者は合わせて三十数人だったらしい。県条例の「十分な説明を行った上で」とは、具体的にどのようなことを言っているのか。

  A 石井環境管理課長
   コスモパーク加太の太陽光発電事業については、県太陽光条例の事前協議の手続きを本年5月に終了しており、現時点で本申請には

  至っていない。
   この事業は和歌山市の太陽光条例の許可も必要で、市条例、県条例及び固定価格買取制度に基づく説明会を兼ねた形で開催している

  と聞いている。
   また、説明会の開催形式については、基本的には地元和歌山市及び連合自治会と協議したとも聞いている。説明の中身に関しては、

  県条例で詳細に求めておらず、なるべく広い範囲に知らしめるようお願いしている。今回の事業についても住民に広く分かっていただ

  けるような説明会をするように指導している。

  要望 奥村委員 
   加太は、和歌山市民の方々に親しまれている場所だと思うので、住民の思いや意見も丁寧に聞いてもらいたい。
   今後県条例の申請がされた時には、その点も含めて慎重な審査をお願いする。

  Q 堀委員
   県は、2050年までにカーボンニュートラルを目指しているということであり、J-クレジットについても進めていけばよいと考える

  が、実施している自治体はあるのか。

  A 竹中脱炭素政策課長
   県内自治体の取組事例は把握していないが、県としては取組を推進しているところである。
   補足説明になるが、J-クレジット制度は非常に手続が複雑で、認証するまでに2、3年の時間がかかる。J-クレジットは、二酸化

  炭素の削減分を認証して、その削減分を取引するというものである。全体で見れば、二酸化炭素が減るかというと減っていない。

  ただし、今後、事業者がカーボンニュートラルの取組を世界から求められる中で、排出量をJ-クレジットで購入することにより、削

  減したことになるこの取組は必要になってくると考える。

  Q 堀委員
   こうした取組に対して、一番の指導力となるのが市町だと思うが、市町や事業者に対して、推進する支援策はあるのか。

  A 竹中脱炭素政策課長
   現状において、支援策の予算はない。
   脱炭素の分野は広い。森林クレジットに関しては、森林林業局が担当しており、この取組はこれから強化する段階であると理解

  している。

  Q 堀委員
   バイオマス発電などからバイオ炭が出ると思うが、これをうまく活用し農家が利用できないかと考えている。農家がバイオ炭を畑

  にまき、土壌改良剤になると聞いた。農家がJ-クレジットを使って、農業をするような指導はあるのか。

  A 竹中脱炭素政策課長
   そうした指導は把握していない。

  要望 堀委員
   JAを通じて行うことになると思うが、農家が取り組むことにより肥料の費用が下がり生産費も下がると思うので、バイオ炭の理解

  が深まるよう指導をお願いする。

    ●北山委員長
     ◎所管事務に対する一般質問終了宣告
     ◎環境生活部審査終了宣告
     ◎休憩宣告
   午前10時32分休憩

   午前10時34分再開
    ●北山委員長
     ◎再開宣告
     ◎共生社会推進部審査宣告
     ◎所管事務に対する説明要請
    ●島本共生社会推進部長説明
    ●北山委員長
     ◎所管事務に対する一般質問宣告

  Q 奥村委員
   「人権を考える強調月間」が11月11日から12月10日までということで、街頭啓発などの取組をこれまでも実施してきたが、人権意識の

  高揚や変化につながる取組として、今年度実施する特徴的なものや、さらに深めるようなものがあれば教えてほしい。
   ジェンダーの問題について、世界的にも、日本としても意識が向上しており、DVの根絶が必要だと思う。
   ストーカーによって命を失うような事件があり、非常に危機感を持つが、そういったことが起こらないような環境づくりについて、

  どのように取り組んでいるのか。また、DVの状況についてはどうか。

  A 山田人権施策推進課長
   県としては、様々な人権問題の解決には、県民一人ひとりが正しく人権問題を自らの課題として捉えて、人権を尊重する必要性を正し

  く理解し、日常生活の中で他人の人権にも十分配慮した行動が取れるということが重要だと考えている。
   強調月間に関しては、今年度特にというものはないが、人権啓発の工夫としては、単に聴講するだけの事業ではなく、啓発の効果をさ

  らに高めるために、知識習得だけではなく、年齢や発達段階に応じた参加体験型の人権啓発活動を行っている。
   例えば、今年度は、障害のある人の人権に関して、就労支援事業所の方々と県民の方々の交流イベントを予定しており、そのほかには、

  年齢層や発達段階に応じた啓発として、子供の人権に関して、感性が発達する幼児期に、思いやりやいたわりの心を育み人権を尊重でき

  る子供を育てる「人権感覚を育てよう」プログラムを作成しており、各幼稚園、保育所、認定こども園等を訪問して、このプログラムを

  実践することとしている。

  A 鈴木多様な生き方支援課長
   DVの相談状況について、令和6年度に県DV相談支援センターで対応した相談件数は470件で、女性が453件、男性が17件であり、令和

  元年度の587件と比較すると減少傾向である。
   県としては、DVが起こらない環境づくりのための直接的な取組ではないが、これまでも高等学校での出前講座やセミナー開催、県民の

  友、街頭啓発などにより、県のDV相談支援センターでの支援について周知啓発を行い、DV被害を受けた場合にはためらわず相談するよう

  取り組んでいる。

  要望 奥村委員
   DVをする側への対応や対策が不十分に思われるため、人権週間や人権に関する月間などの中で何か取り組めることがあればよいと思

  うので、よろしくお願いする。

  Q 中西委員
   児童虐待の現状について聞きたい。児童虐待相談件数は、令和6年度は前年度より少し減ったようだが、令和4年度や令和5年度は件

  数が増えていたのではないか。

  A 田甫こども支援課長
   令和5年度から令和6年度にかけては減ったが、平成28年度から令和5年度までは8年連続で増加していた。

  Q 中西委員
   件数が減少することはよい状況であるが、その原因分析はしているのか。

  A 田甫こども支援課長
   虐待種別は、令和5年度から令和6年度にかけて心理的虐待が最も減少しており、相談経路別では、警察経由の相談件数の減少が大き

  かった。子供の面前で行われるDVは、心理的虐待として警察から児童相談所に通告されており、その件数減少が全体の件数減少の要因に

  なったと考える。
   また、市町村で設置しているこども家庭センターなど、児童相談所以外の身近な相談先が増えたことも影響していると考える。
   しかし、件数が減少したとはいえ、児童虐待相談件数は依然として2000件を超える高水準で推移しているため、引き続き児童虐待防止

  に力を入れて取り組んでいきたい。

  Q 中西委員
   児童相談所虐待対応ダイヤル「189」は全国につながるのか。

  A 田甫こども支援課長
   「189」は全国の児童相談所共通の相談ダイヤルであり、和歌山県内でかければ和歌山県内の児童相談所につながる仕組みとなってい

  る。

    ●北山委員長
     ◎所管事務に対する一般質問終了宣告
     ◎共生社会推進部審査終了宣告
     ◎休憩宣告
   午前10時49分休憩

   午前10時51分再開
    ●北山委員長
     ◎再開宣告
     ◎福祉保健部審査宣告
     ◎議案等に対する説明要請
    ●𠮷野福祉保健部長説明
    ●北山委員長
     ◎議案に対する質疑及び一般質問宣告

  Q 中西委員
   ドクターヘリについて、ヒラタ学園における整備士不足により、10月に5日間程度ドクターヘリの運航が停止するということである

  が、昨年の実績として、大体どのくらいドクターヘリが運航されているか教えてほしい。

  A 石田医務課長
   昨年度のドクターヘリの運航実績は、一年間で547回である。

  Q 中西委員
   547回というのは結構な数である。関西広域連合において、近隣の府県との応援体制はあるものの、これまでにも停止した期間が

  あったと思うが、どうか。

  A 石田医務課長
   停止した期間はあった。

  Q 中西委員
   県立医科大学が5日間ほど運航を停止するということで、他県からの応援体制により対応するとのことである。ドクターヘリは緊急

  を要するために使用されるものであるが、仮に、大阪府、奈良県、徳島県や三重県などの近隣から応援で来るとすれば、時間的には、

  県立医科大学からと比較して、どのくらいの差があるか。

  A 石田医務課長
   大阪大学のドクターヘリの場合、大体20分から30分程度である。

  Q 中西委員
   そうなると、救急車のほうが早いかもしれないということになる。
   この整備士不足については、他県も同じ状況かと思うが、どうか。また、ヒラタ学園に代わる業者はあるのか。

  A 石田医務課長
   今回の運航停止については、本県のみならず関西広域連合の全てが対象となっている。また、運航会社としては、ヒラタ学園以外にも

  他の業者はある。

  Q 中西委員
   他の業者があるということだが、その業者との協力体制は、契約などの関係で難しいのか。

  A 石田医務課長
   契約の関係というよりも、ドクターヘリについては、関西広域連合の中で応援体制を構築しているため、基本的に運航を停止した場合

  は、関西広域連合の他の府県からの応援で対応することになる。
   また、今のところ、ヒラタ学園が他の業者に協力を求めたことはないと聞いている。

  Q 奥村委員
   議案第128号の権利の放棄について、本人が亡くなって、債権放棄もされたという話であったが、かなりの高額になっている中で、

  ケースワーカーなどが関わったりするのだと思うが、どういう関わりをされたのか教えてほしい。それを今後に生かしていかなければな

  らないと思うが、どうか。

  A 小林社会福祉課長
   議案第128号の債権放棄の件については、生活保護を受給中に仕事をしており、その収入を正しく申告しておらず、約400万円を不正受

  給したということで返還が必要となっていた。一部は返済されたものの、完済前に亡くなったということで、2名の相続人に請求すること

  になったが、どちらも相続放棄をしたということで、債権放棄を行うこととなった。亡くなった債務者は、亡くなるまで生活保護を受給し

  ていたので、主にケースワーカーが介護等の支援をしていた。

  Q 奥村委員
   今後、ケースワーカーとの関わりの中で、早期にそういったことが防げるとか、いろいろできることもあるのではないかと思ったので、

  質問した。
   次に、先ほど部長から説明があった中で、特に医療福祉介護について質問する。米について、5キロで4,000円余りとか5,000円近くする

  など、値段が下がらない。そういった物価高騰がずっと続いているという大変な状況の中で、健康被害にもいろいろと影響があり、高齢者

  の方への医療福祉介護が総合的に役割を発揮することが非常に大事だと思う。
   物価高騰によって、いろいろと影響を受けるということが全般的に起こっている中で、県としては総合的に、物価高騰対策の県民の命や

  暮らしを守るという複合的な機能が必要ではないかと思うが、保健福祉という観点から、県民への支援の在り方について教えてほしい。

  A 小林社会福祉課長
   いろいろなお困りごとを抱えた世帯に対する効果的な支援制度として、生活困窮者自立支援制度がある。同制度に基づいて、各市部、

  各郡部の福祉事務所に民生委員・児童委員や社会福祉協議会、地域包括支援センターといった様々な分野の支援組織などと連携して支

  援会議というものを設けている。
   さらに、生活困窮者の相談に応じる相談支援員を設置しており、地域で生活に困っているというような相談が上がってきたときは、相談

  支援員が対応して、様々な分野の支援機関と連携して支援するという制度になっている。

  Q 奥村委員
   相談があって、効果的にそれぞれの分野の人たちが関わって、支援会議がなされているということだが、各振興局で実態としてどのよう

  に取り組まれているのか。

  A 小林社会福祉課長
   例えば民生委員・児童委員がその地域で困っている方からの相談を受けたときは、町村役場を通じて県の振興局の相談支援員に情

  報が集約されることとなる。相談が寄せられた時点で振興局の相談支援員は、相談のあった家に出向いて話を聞くこととなる。その上

  で、内容に応じて連携している様々な支援団体や支援機関につないで、その方にとって、その時点でどのような支援策を採るのが最適なの

  か協議をして対応していくこととなる。生活に困窮して生活費もないというような場合であれば、生活保護への適用も検討されるし、介護

  であれば包括支援センターなどに関わってもらうといったように、相談内容によって、様々な機関が役割に応じて関わることになる。

  Q 奥村委員
   困っているということが確認できれば、支援に当たる仕組みがあることは分かった。しかし、事前に困っていることが確認できていない

  方で、物価高騰で生活に困窮しており、例えば食事を1日2回にしていたり、入浴するのを隔日や3日に1回にしたりするなど、節約する

  生活を強いられている方が非常に多い。そういった中で、物価高の状況でどうやって大変な状況を乗り越えていこうとしているかについて

  も、県は実態の把握をしてもらいたい。困っているということを言い出しづらい世帯も多いのではないかと思う。先ほど説明のあった仕組

  みでは、救い切れない状況も出てくるのではないかと思っている。
   最近、国勢調査が始まったので、この機会に、気になっていた人や今まで気づかなかった人など、見守り協力員だけに任せてしまうので

  はなく、行政も含めた様々な観点からの気づきの情報が集まるようなシステムにはならないのか。

  A 小林社会福祉課長
   相談に来られない、声を上げられないような困窮している方への支援については、自治会が見守るというような形で取り組んでいる地

  域もある。その見守りの中で、自治会や民生委員・児童委員などが巡回して何らかの問題に気づいたときは、生活状態や健康状態も含め

  た情報を福祉事務所に共有してもらい対応していくことになる。ただ、見守り活動というのは市町村が中心になって行うようになっており、

  地域によって、見守り活動や巡回などの頻度にはばらつきがある。県としては市町村に対し、民生委員・児童委員や自治会など地域の方々

  で連携し、見守り活動や巡回といった支援体制をつくっていくよう、呼びかけを行っているところである。

  要望 奥村委員
   高齢者が安心して、住みたいところに住み続けられるように、実際それが行き届くようによろしくお願いする。

  Q 奥村委員
   医療提供体制について、物価高騰という状況の中で、公的病院の経営状況については、県立医科大学も含めて大変な赤字になってい

  るとのことだが、今後どのようにしていくのか。

  A 石田医務課長
   県内の病院の経営は苦しいという状況にあるが、その理由としては、物価の上昇に合わせて診療報酬が上がっていないということがあ

  る。診療報酬に関しては、「社会経済情勢を適切に反映した診療報酬となるような改定を行うことや、物価や賃金の上昇に応じて適切に

  診療報酬をスライドさせる仕組みを導入すること」などの要望を全国知事会から行っているところである。
   診療報酬は2年に1度の改定となるため、ほかにできることとして、各地域において、例えば小児医療や周産期、救急などの地域医療

  提供体制を維持していくために、各病院の連携を強化すること、病床数のダウンサイジングや必要な医療機能への転換など、地域での

  医療機関同士の話合いを、県として支援していきたいと考えている。

  Q 奥村委員
   連携していくことは非常に大切なことだと思う。ただ、連携することと併せて、医療需要に応じて病床数を適切に決めていくことも

  大切である。結果的に病床数が減ることはあるだろうが、病床数の削減は地域の需要によって決められるもので、一律に削減することを

  目的としたものではないというのが、これまでの考え方だと思う。
   具体的に、この地域の需要をどのように反映させて、病床数を決定しているのか。

  A 石田医務課長
   病床数の適正化については、各医療圏域において調整会議があり、医療機関や医師会等が入って話合いを行っている。
   和歌山県全体では、急性期病床が余っていて、回復期病床が少ない状況となっているため、圏域ごとに、回復期病床が少ないのであれ

  ば急性期病床からの転換を促すなど、具体的な話合いを行っているところである。

  Q 奥村委員
   12月に閉院する病院があると聞いて、そこの住民の方は不安に感じている。県民のそういった意見も反映させる調整会議ということか。

  A 石田医務課長
   病院がなくなれば、それだけの病床もなくなるということなので、その患者がどこに行くかというのは、在宅医療も含めて各地域での

  話合いによると考えている。

  Q 奥村委員 
   医療を計画していく上で、住民の方の意見が反映される仕組みになっているということか。

  A 石田医務課長
   調整会議自体は、具体的に住民と直接話し合う場ではないが、各医療機関が入院状況や患者の状況を見ながら病院を経営しているの

  で、各医療機関を通して地域の状況が分かるようになっている。
   また、調整会議には保健所が参加しており、各地域の医療の状況を把握している。

  Q 奥村委員 
   保健行政として、保健所は地域の医療需要等を把握しているということか。

  A 石田医務課長
   そのとおりである。

  要望 奥村委員 
   地域の住民にとっては、医療が身近なところにあるというのが大切なことであるため、保健所を通して、ぜひ住民の意見を反映させて

  ほしい。
   また、診療報酬が上がれば自己負担も上がるということなので、医療にかかりづらくなってしまう可能性がある。最近、外来の患者が

  少なくなってきていると一般病院の方から聞くこともある。
   経済状況や様々な要因で医療機関に行けないとなると、命に非常に関わってくることなので、ぜひとも現状をつかんでもらいたい。

  Q 奥村委員
   病院を訪問すると、看護師不足の問題で、看護師を紹介してもらうために非常に高額の紹介料が必要で大変という話を聞いた。学生に

  奨学金を出して確保するということになっても、専門学校が閉校して大学に行く方が多くなる中で、4年間で大体700万円が必要という

  ことも聞く。半数の人が経済的な困難も抱えているということも聞いているが、奨学金貸与の人数や金額も現状に合わせてぜひ再考して

  ほしい。そういった面も含めて学生の生活実態を把握してもらいたいと思うが、どうか。

  A 石田医務課長
   学生の生活実態までは把握していないが、県では、県内に就職し、5年間働けば免除するという修学資金の貸付けも行っており、そ

  ういった取組も含めた県内就職率が約7割の状況である。できるだけ和歌山の学校を出た方は和歌山の病院で働いてほしいので、修学

  資金の見直しを検討していきたい。

  Q 奥村委員
   介護事業所の介護報酬について、処遇改善ということで介護職員1人当たり5万4,000円の支援を進めてきていると思うが、他産業

  と比べてまだまだ改善されていないということを耳にする。実際、現状はどうなっているか。

  A 川村介護サービス指導課長
   令和7年3月に開催された社会保障審議会介護給付分科会の資料によれば、介護職員と全産業平均を比較すると、介護職員の賞与

  込み給与が月額8万3,000円低い状況にある。
   介護職員の処遇改善については、国において、これまで数次にわたる見直しや措置が行われており、最近は、総合経済対策に基づき、

  常勤介護職員1人当たり年額5万4,000円相当の支援を実施した。令和6年度の介護報酬改定においても、介護職員の処遇改善に関す

  る加算も含めて見直しがなされてきた。
   県としては、全国知事会などを通じて、介護職員の処遇改善に関し、国において必要な措置が講じられるよう強く要望しているとこ

  ろである。

  要望 奥村委員
   まだまだ全産業と比べて介護職員の賃金が低い状況にあるということだが、賃金が引き上がる仕組みについても課題があるのではな

  いかと考えている。ぜひ、改善を進めてもらいたい。

  Q 堀委員
   今年の7月に紀北分院の東館が新しく完成したことにより、リハビリテーションが充実し、地域住民も非常に喜んでいる。さらに、

  今後、アイセンターや脊椎センターを設置していくとのことだが、これら以外にも予定している医療体制充実の取組はあるか。

  A 末松県立医科大学事務局次長(病院担当)
   眼科、整形外科の充実に加え、耳鼻科の新設も今進めているところである。
   新しく東館もでき、地域の期待も高まっているところであり、これを契機に、患者にますます利用してもらえるように取り組んで

  いきたい。

  Q 堀委員
   紀北分院は、地域の中核の医療機関である。一方、ほかにも市町には地域の医療機関がある。今後、これら地域の医療機関との関係

  強化はどのように考えているか。

  A 末松県立医科大学事務局次長(病院担当)
   新しく完成した東館では、リハビリテーションを提供していく。ぜひ、他の地域の医療機関から患者を紹介してもらい、多くの方に

  利用してもらえるように取り組んでいきたい。

  Q 堀委員
   紀北分院は、紀北地域にとって、なくてはならない病院である。そして、他の地域の医療機関も含め、共に充実していかなければな

  らない。その中で、今後の紀北分院の在り方としては、他の地域の医療機関では提供できない医療を提供することが考えられる。

  その点について、どのように考えているか。

  A 末松県立医科大学事務局次長(病院担当)
   紀北分院は、地域の病院であり、大学の附属病院でもある。整形外科などにおいて、より高度な手術や特色のある医療の提供を、

  併せて進めていきたい。

  要望 堀委員
   本当に、その地域の方々が安心して診察してもらえる医療体制をつくってもらいたい。

  Q 堀委員
   今年7月に、厚生労働省から障害福祉課長が着任したと聞いた。これまで国家公務員として様々な問題を解決し、尽力してきた

  と思うが、和歌山県に来て感じたことを聞きたい。

  A 冨安障害福祉課長
   地方自治体での勤務を強く希望していたので、和歌山県で勤務できることを非常にうれしく感じている。
   着任以降、事業所や市町村の方々と意見交換をさせていただき、地域ごとの状況や様々な資源の状況も違う中で、サービスの確

  保や障害者の生活の維持に精一杯取り組んでいる姿を見てきた。
   障害者差別の解消や障害福祉サービスが将来にわたって確保できるように、関係者の意見を聞きつつ、職員と共に尽力していき

  たい。

  Q 堀委員
   様々なことを経験したと思う。今までであれば100歩200歩歩けば電車に乗れたが、和歌山県はそうではないので、そういう移動

  の面で不便さは感じていないか。

  A 冨安障害福祉課長
   県内全域を回る中で、南のほうでは交通の確保、例えば事業所まで1時間ぐらいかかってしまう、また、働く人の確保が難しい

  というような声も聞いている。
   私自身、直前は介護報酬等の担当をしており、中山間地域のサービスをどのように確保するのか、国全体の課題だと感じていた。

  人口減少により地域で働く人も減っており、サービスをどのように確保していくかについては、現場の方の意見も聞きながら取り

  組んでいきたい。

  Q 中尾副委員長
   マイナ保険証について教えてほしい。マイナンバーカードと健康保険証の一体化ということで、現行の健康保険証が使えなくな

  るが、有効期限はいつまでか。

  A 前坂国民健康保険課長
   国民健康保険や後期高齢者医療制度等、全ての公的医療保険について、本年12月1日が現行の健康保険証の有効期限となって

  いる。

  Q 中尾副委員長
   国民健康保険の場合は、去年12月2日に健康保険証の新規発行が終了したと思うが、それ以前に発行されたものについては、

  今年の12月1日までの1年間有効という理解でよいか。

  A 前坂国民健康保険課長
   健康保険証の有効期限については、発行している各保険者がそれぞれ定めている。例えば、共済組合のような、いわゆる被用

  者保険であれば、期限等の定めがないため、最長の今年12月1日までが有効期限となっている。
   一方で、市町村国民健康保険においては、各市町村で有効期限を定めており、短い市町村では、既に期限が過ぎているが、今年

  の3月31日までというところもある。全国的に見ると、今年の7月31日を有効期限と定めている市町村が一番多い。
   以上のように、健康保険証の有効期限は各保険者において決定しているという状況である。

  Q 中尾副委員長
   健康保険証の有効期限が切れた後の対応はどうなっているか。

  A 前坂国民健康保険課長
   健康保険証の有効期限が切れた後は、マイナンバーカードを使ったマイナ保険証で医療を受けるという仕組みが基本となる。

  その一方で、マイナ保険証を持っていない方については、資格確認書が発行されることになっている。いずれにしても、医療機関

  を受診する際に、従前と変わりなく安心して受診してもらえる仕組みとなっている。

  Q 中尾副委員長
   マイナ保険証を持っていない方については、資格確認書が自動的に発行されるのか。

  A 前坂国民健康保険課長
   マイナ保険証を持っていない方については、申請によらず資格確認書が発行されることになる。

  Q 中尾副委員長
   スマートフォンなどにも保険証が登録できるようになっているが、そのような保険証にも県立医科大学は対応できているのか。

  A 末松県立医科大学事務局次長(病院担当)
   現在、スマートフォンに登録された保険証の読み取りについては、システム事業者と検討している。現行のシステムでは、既に

  設置済みの23台のマイナンバーカードの読み取り機械に対応しており、さらにシステムに負担がかからない方策を検討していると

  ころである。

    ●北山委員長
     ◎議案に対する質疑及び一般質問終了宣告
     ◎議案に対する採決宣告
     ◎議案第128号については、全会一致で原案可決
     ◎福祉保健部審査終了宣告
     ◎継続審査を要する所管事務調査宣告 異議なし(件名表のとおり)
     ◎県外調査について、令和7年10月9日から10月10日までの日程で実施することを報告
     ◎閉会宣告
   午前11時42分閉会
 

 

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