平成11年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(堀本隆男議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 六番堀本隆男君。
  〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 議長のお許しをいただいて、本議会のしんがり役を務めさせていただきます。
 圧勝での二期目西口県政のご就任、心からお喜び申し上げます。
 西口知事を信頼し、西口知事以外に人なしと立候補を切望する多くの皆さんの願いにこたえるため、ご自身のお体が知事の座を全うできるかどうか真剣に悩まれ、二十一世紀の和歌山づくりのかけ橋役は自分が背負わなければならないと決断された真摯な姿が県民の皆さんの共感を呼んだのであります。まことにおめでとうございます。厳しい和歌山県の現状と未来──議会も県民も一丸となって知事を助け、住みよく、夢の多い県づくりに邁進したいと思うところであります。
 そして現在、串本町大島は大島架橋の完成で観光客が増加しており、これも県当局のお力添えのおかげであり、県政史上最大の紀南PR作戦・南紀熊野体験博の効果も大きく、改めてお礼を申し上げるところであります。
 さらに、私個人として、知事のキャッチフレーズ「「真」の心と勇気を持って全力で挑戦する」は、いつも私の心を鼓舞します。これは、私の政治行動の規範となりました。確かに、このような人こそが元気な和歌山を実現してくれます。
 さて、質問に入ります。余り触れたくない問題でありますが、避けて通れない問題としてお尋ねいたします。
 ご承知のとおり、来年一月一日から政治資金規正法が改正され、会社、労働組合、職員団体、その他の団体は政治活動に関する寄附をしてはならないこととなりました。地方自治体の長や地方議員も例外ではありません。私ども県議会議員の資金管理団体は、ピンチであります。国会議員のように政党の助成金のない地方議員は個人献金のみに頼らざるを得ず、甚だ厳しい現状であります。たちまち政治活動資金の不足に陥り、後援会会報や近況報告書など、印刷・郵送ができなくなるのであります。法律改正は賛成であります。しかし、激変緩和措置が必要だと考えます。既に政治資金パーティーを開こうとか、企業にお願いして、政治資金ではなく相談役または顧問、コンサルタントとしての手当に切りかえていただくとか、そのことのよしあしは別として、新たな問題も生じそうであります。
 また、私個人の政治活動の経験から出た希望として、個人の行う政治資金の寄附は、でき得る限り税制上の優遇措置をお願いいたしたい。平成十一年十二月末で切れる期限の延長と所得控除の率を三〇%から五〇%に引き上げていただきたい。個人献金を通じて政治への関心を高め、有望な政治家を育てる風土の醸成が不可欠であります。さらに、県議会議員の職は著しく専門職となっており、広い調査活動が必要であります。議員に政策立案能力が求められておりますが、こうした現状からして、事務職員一名の設置を法制化していただきたいのであります。
 そこで、選挙管理委員会委員長にお尋ねいたしたいのでありますが、いわゆる企業、団体等の寄附の禁止の「企業」とは、法第二十一条では「会社」と明記されているので、これは株式会社、有限会社、合資会社、合名会社の四つに限定されるのかどうか。法人化されていない企業、例えば小売業、サービス業、建設業などは法による会社ではなく、A商会、B組と看板にあっても、それらの方が個人の名前でする寄附は、個人の名前でする限り個人寄附となるのかどうか。個人の寄附の制限額は百五十万円でありますが、そうなのかどうか。
 さて、去る十一月十八日、高速自動車国道紀南延長促進議員連盟では町田亘会長の提唱で役員研修会を開催し、講師には建設省道路企画課長谷口博昭氏をお招きいたしました。氏は和歌山市紀三井寺の出身で、キャリア組のトップを走る将来の重鎮と目されている方であります。講演テーマは、「次世代の暮らしと道」でありました。話は、最近の建設省の方針に触れ、「一、地域戦略プラン、二、予備費、三、二次補正の三点セットに力点を置いている」とのこと。「特に地域戦略プランは大変重要だ。なぜなら、小渕総理が並々ならぬ力の入れようだ。この政策には必ず予算が裏づけされる。その辺をよく把握し、これを逃さないようにすることが肝心だ。和歌山県は他府県に比べ少ないように思う。県の振興局も加え、本庁で十分に論議されたかどうか。皆さんも了知しておられたかどうか。地域戦略プランは、短期ではなく、長期の見通しに立った政策の展開とその主な柱を実現するようにしないと地域ごとの特色が出せなくなる。県庁挙げて地域戦略プランの実現に努めてほしい。十二年度から予算と計画とはリンケージする。本県は積極的に推す必要あり」とのことであります。そのほかに、「道路特定財源については、建設大臣が先頭に立って守る。他の環境対策予算は別途考える」とのこと、また平成十二年度概算要求については、「小渕総理の経済新生特別枠の関係もあり、党が仕切ることとなる。道路全般では一・〇四%の伸び、高速道路は一・〇七%、地域高規格道路は一・一三%と高い。その他経済新生特別枠や用地先行取得制度の活用は自治省が後押ししている」とのこと、さらに中央省庁再編のことでは、「補助金的なものは地方整備局で見るようになる」こと等の話がありました。そして、次世代の暮らしと道について、「道は暮らしそのもの。二十一世紀の国土グランドデザインでは、東西三千キロメートルの日本を四つの国土軸を中心に整備を進める。紀淡連絡道路も、紀伊半島を一周する近畿自動車道紀勢線も、京奈和道路も、しっかりと整備が進められる。後世に残るきちんとしたインフラの整備は、地方とか都市とかではなく、国土の基本的骨格基盤は整備を進めなければならない」、また世界経済の現状について、アダム・スミスの国富論やケインズの経済理論も引用し、「行き過ぎたグローバルエコノミーは挫折するのではないか」、最後に「地域連携が町、国を変える。和歌山県内は、和歌山市、御坊市、田辺市が連携して──だんご三兄弟ではありませんが──大阪圏に対抗していかなければならないと思う。三市のパートナーシップを高めることが大切だ。今、曼陀羅の心が問い直されている。富山県利賀村にチベットの高僧が来られて曼陀羅を描かれ、村人の感動を呼んでいるとのこと。生きとし生けるものに通じる心がある。ナショナルディフェンスとしても、哲学をもって行政、政治を行っていかねばならないのではないか。それにしても、和歌山県はもっと公共事業を展開されるがよろしかろう。運輸省や建設省、中でも道路関係は谷口に言ってくれれば懸命に頑張って取るから遠慮せずに来てください」と、講演は大きな拍手で終わりました。さすが将来の次官候補だけに聞かせるものがある。県の道路関係幹部も同席され、感激しておりました。
 さて、私の質問はここから始まります。
 なぜ谷口課長が、本県はもっと公共事業を国から獲得することに力を入れないといけないと言われたのか、帰ってから資料を調べてみました。「日経地域情報」第三百二十九号十月十八日付で、各都道府県における県内総生産(GDP)に占める建設事業の割合が搭載してあります。国のデータの公表がおくれており、若干古いデータでの比較と断ってありますが、平成三年から五年の分、平成六年から八年の分と、各三年ごとに表出してあります。これを見ますと、県の公共工事依存度は三・九%、全国第三十位と、中間に位置しております。つまり、建設王国ではないのであります。最も公共工事の比率の高い県は一位高知、二位新潟、そして最も低いのは一位東京、二位大阪であります。しかし、この表を見て私は失望しました。公共工事の絶対額がこの六年間を通じて四十三位なのであります。和歌山県より人口の少ない県は八県あります。いずれの県も、公共工事の施行額が本県より多い。それだけインフラの整備が進められているということです。これらの県と毎年格差がつけられて、積み重ねた五年分の格差は膨大な額になり、南紀熊野体験博へ来られた他府県の方々から、和歌山県の道はよくないねと指摘されるのも無理のない話なのであります。不便さにならされて鈍感になっている我々を見る思いであります。
 念のためと思って建設省監修の「公共工事着工統計年度報」平成十年度版を見ました。本県の公共工事施行額は全国最下位、一千百六十一億円であります。全国で人口が最も少ない鳥取県でも一千四百十六億円と、本県より二百五十億円多い工事をこなしている。原因はどこにあるのか。土木部は財政当局に予算要求を控え過ぎているのではないか、財政当局が他の予算を優先しているのではないか、土木部が建設省から事業をもらえないためなのか。総務部長及び土木部長に原因をお尋ねいたします。
 もちろん、この「公共工事着工統計年度報」には国、公団、県、市町村なども含まれており、県のみを責めているわけではありません。しかし、トータルでインフラの整備がおくれれば、それだけ県民にとっては不利であります。産業基盤は、インフラの整備とともに進みます。地域経済、地域産業にとって企業誘致や企業立地が進まないことは致命傷であります。県道の道路改良率も、ワーストのグループに入っています。これでは元気の出しようがない。財政難でできないと回答されることがしばしばあります。財源がないという理由で公共工事はやらなくてもよいものでありましょうか。和歌山県は、これまでの予算の使い方をもっと検討しなければならなかったのではないでしょうか。谷口博昭課長の指導も踏まえ、全国最下位の公共事業予算の向上をぜひ図っていただきたい。どうも、土木部にエネルギーが足りないように思われる。もっとパワーを出してほしい。
 最近、大変うわさになっている単行図書「建設崩壊」を読んでみました。著者の山崎裕司氏は京大土木工学部卒で、みずからも建設会社で工事課長、取締役を経て、現在、建設経営コンサルタントのシステムズの代表取締役であり、ほかに建設経営に関する著書が多い。氏の提案は大胆であります。「二十一世紀初頭から建設業は衰退する。特に公共事業は、予算が大きく減少する。日本の国家予算も、公共事業のためにこれ以上の赤字国債を出せないぎりぎりの状態になった。ピーク時の建設業は九十兆円であったが、今は六十兆円産業。あと数年後には二十兆円の規模へと激減する」と予測しております。「既に大手・中堅ゼネコンの倒産、合併が相次いでおり、建設業はこのことを認識し、今から覚悟と対策を立てなければならない。今日、日本の建設産業の抜本的改革を促しているのは平成七年策定の建設産業政策大綱である」とし、政策大綱のあらましには、一、国民の不信、特に建設産業の非競争性、不透明性に対するもの、二、新しい競争の時代の構造と将来像、特に新しい入札・契約の枠組み、三、建設産業の基本方向、特に不良不適格業者の徹底排除等を示しております。そもそもこの政策大綱ができたのも、金丸事件、宮城、水戸の汚職事件やその他の多くの談合疑惑が背景にあり、加えてグローバルスタンダードの市場で外国企業の進出を迎えており、建設産業の改革は当然であると警鐘を鳴らしているのであります。「かつて日本の建設行政は建設産業サイドであったが、これからは真の発注者である納税者サイドの建設行政、つまりよいものを安く提供する方向に移行するのは時代の大きな流れである。しかし、この改革で全部の建設業がだめになるのではない。高度な経営能力と技術力を持つ会社は必ず生き残る」、そして「二十一世紀の目玉は、欧米に比べレベルの低い日本の住宅をスペース、質ともに一段とハイクオリティーの住宅に建てかえる、その需要を大きく伸ばすことである」と結んでおります。氏は、建設産業のナビゲーターと言えると思います。実に教えられることの多い本でありますが、私がこの本の中で注目いたしましたのは、徳島県と埼玉県の入札制度が再々取り上げられていることであります。そこで、早速両県に赴き、この点について伺ってまいりました。
 埼玉県は人口六百八十万人、東京のベッドタウンとして膨張しております。平成十一年度予算は一兆八千億円、投資的経費は三千八百億円、このうち県単独事業は二千百十七億円で、県予算に占める比率は一一・七%と高い。浦和駅におりて思い出したのは、前知事時代に起こった埼玉県土曜会事件であります。一流建設企業六十余社が取り仕切ってきた談合を、目に余るものがあるとして公正取引委員会が調査に入り、政財界を揺るがす事件となり、新聞で大きく報じられていたことであります。
 衆議院議長から転じられた土屋知事は、自来、粛々として入札・契約制度の改革を進め、実現してまいっております。公共工事のコスト縮減と入札手続の透明性を高めることを最大の目標にしております。主な改革事項を挙げますと、県が発注する建設工事等(設計、調査測量等)の入札の一般公開、設計金額の事前公表、予定価格等の事後公表、最低制限価格制度及び低入札価格調査制度の運用、談合情報の対応と暴力団対策の強化(県警とタイアップして)、格付の公表、つまり経営事項審査結果の公表と入札参加資格業者の格付の公表、発注工事の公表と入札、市町村等との入札参加資格審査の合同受け付けで、こうした努力の結果、平成十年の落札率は施行額によって異なりますが、おおむね九四・五%から九六・一%の間であり、透明性、コスト縮減とも、まずまずであるとのことであります。帰りに多くの資料をいただき、事務方の大変な努力を教えられると同時に、二千百億円の県単独事業の五%は百五億円になると気づき、一般財源として相当な事業ができる、土屋知事は大した方だと思いました。
 徳島県に伺う前に、県議会同和対策特別委員会の県外調査では、北海道立ウタリ総合センターでアイヌ文化史等を勉強してまいりました。たまたま宿泊したホテルで読んだ北海道新聞の夕刊では、一面トップに「予定価格公表し入札再開」の見出しが躍り、上川支庁で起こった農業土木談合疑惑事件で公正取引委員会の立入検査後ストップしていた入札を再開したと報じておりました。翌日の朝日新聞でも大きく取り上げられ、官製談合疑惑、予定価格の九九%台という不自然な高額落札として注視されている中、道内の支庁では初めて事前に予定価格を全面公開し、透明性を高めるなどの改善策を導入し、その結果九五%から九一%と低い価格で落札した、道では総務部長をトップとする入札手続等調査委員会が発足し、堀達也知事はこれと並行して特別職をトップに有識者も交えた検討組織を早急に設置し、全庁的な入札制度の見直しを進める方針を明らかにしたと報じておりました。関連した記事で、「道庁天下り六百人」という見出しや、技監制度の廃止を決定していながら実行していない、技術職のトップとして発注業務の事実上の責任者となり、入札や指名登録業者の情報が集中する仕組みになって問題視されていた等の記事が書かれてありました。
 次に徳島県では、県の公共工事執行に伴う入札契約事務のあらましを伺った後、こちらから質問させていただきました。「あなたの県では昨年度に設計金額の事前公開、予定価格の事前公開に踏み切られましたが、その背景と成果を教えてほしい」と。これに対し、「原則は、県発注工事の一層の透明性、競争の確保を図り、限られた公共事業予算を効率的に執行することにあり、県入札制度検討委員会の検討を重ねた上での結論であります。建設省とも協議しました」とのことでありました。背景については、雑談として聞いてほしいということで、「一昨年、関係職員が偽計による入札妨害罪で取り調べを受けた。当時、公共工事をめぐる建設業者の設計金額及び予定価格を知ろうとする圧力が異常な空気となって流れ、本庁、出先機関とも入札執行直近日は大変悩まされ、仕事に支障を及ぼした。この渦に巻き込まれ、多くの優秀な職員が県庁を去った。有望な政治家があたら将来をふいにした。これ以上放置できないとするトップの判断で改革に踏み切った」とのこと。ことし、大阪府議会議員が同じ公共工事の競争入札妨害とあっせん収賄などで三人も逮捕されたこと、その都度職員が傷ついたこと。大阪だけに限らず、システムを改めない限り事件はなくならないと決断されたようであります。
 「この制度に移行するに当たっては、県議会には全員のご同意をいただいた。市町村長においても異存はなく、現在三分の一の自治体が実施している。一般県民とマスコミには評価されたが、建設業界のごく一部で渋ってはいた。しかし、県の決定であれば仕方がないということで意識改革が進んだ。成果は、担当職員が大変明るくなったこと、前向きに仕事をするようになったこと。反面、落札率は思ったほど下がらなかった。平均で九五%程度であった。地元企業の下請は、実際は予定価格の七五%から八〇%で行われており、入札制度検討委員会では、一年間の経過を見て、本年度は制度をさらに改めた。設計金額の事前公開と最低制限価格の事前公開です。最低制限価格の事前公開は、都道府県では初めてです。東大阪市や徳島市、その他の自治体では実施されているが、徳島県の本年六月以降の落札率は七八%から八〇%と大きく下がった。ほとんどが最低制限価格に応札するため、くじ引きで落札者を決めている。工事の品質は全く落ちていないので、執行部は満足に近い。何よりも大きな成果は、予算が大きく浮いたことです。仮に公共事業を一千億円とすると、二百億円が浮くことになる。これをすべて再び公共事業に回し、国から事業をもらう。県単独事業四百億円とすると、八十億円近く浮くことになる。これは、財政当局の方で他の予算に回している。その分、職員の超勤が多くなるが、できる限りコンサルに設計、監督の委託を行っている。さらに、警察本部から一名出向をお願いし、トラブル防止に努めている」とのこと。
 以上、三県における入札・契約制度の改革状況の報告であります。
 平成十年二月に開かれた中央建設業審議会の建議書はさらに改革され、新しい時代の大きなステップとして高く評価されております。
 そこで、知事にお尋ねいたします。本県も、仄聞するところ、入札制度の改革を検討中と伺っておりますが、いつごろから、どんな内容、特に設計金額及び予定価格等で実施されるのか、お考えをお伺いいたします。
 私は、本県の公共事業をふやす視点、その他の施策を展開する視点、そして県の財源の不足状況を踏まえますと、徳島県方式が望ましいと考えられます。建設企業者にとってはまことに厳しい改革になると思われますが、本県財政の危機的状況を見るとき、ぜひご検討賜りたいのであります。
 土木部長にお尋ねいたします。入札指名のランクについて、九月の本会議で、Sの格付が少ないとする意見が先輩議員から出されておりましたが、私も同感であります。寡占が生む弊害も考察すべきと思います。例えば、ある町の県工事全体のうち、Sなるがゆえに約七〇%近くを独占している実態を他の業者から指摘されました。さらに、会計検査院の検査官がS企業ばかりの契約書を見て、ほかに業者がいないのかと質問されていたとするうわさすら流れております。Sの等級の企業数について建設省から指示がなされているのかどうか、経営事項審査の公表についての考えをお尋ねいたします。
 また、私どもに寄せられる苦情の中に、県の格付審査に疑問を呈する業者がおります。ランク三、ランク四とかに格付されている業者が自分の会社にユンボ一つ、シャベル一つ置かないで入札だけをとり、直ちに下請に出すことを業としている業者がいる。これを建設業として認定している県の考え方がわからない。県は今後の経営事項審査でどう対応されるのか、お尋ねいたします。
 次に、私が六月県議会本会議で質問いたしました串本浅海養殖場の四門の通水門倒壊事故の原因について、いまだ回答がなされておりません。私は、県の設計ミスか、工事の施工ミスか、その他の原因かとお尋ねしました。答弁では調査中とありましたが、その後、工事は八〇%完成しているとのこと。四門の修復に係る予算は増額したのか、工事施工業者の負担か、災害復旧工事なのか、お尋ねいたします。
 次に、総務部長及び財政当局に要望を申し上げたい。
 先日、平成十二年度予算編成の基本的な考え方と要求基準についての財政課長名の通知をいただいた。本県財政は未曾有の危機的状況にあり、ご理解を賜りたいとのこと。先般八月十二日、配達証明つきで送付のあった財政運営プログラムとともに、厳しさは十分にわかりました。その上で、若干の疑問を申し上げたい。その一つは、知事選での公約についてどのように考えておられるのか。選挙公報の「元気わかやま」のプロジェクトの数は多く、また大変重い。二つ目は、新しい全総計画に盛り込まれた地域連携軸の展開をどう実現していくのか。国の行っている施策の例を入手しましたが、各分野の施策は膨大であります。これらへの取り組みのおくれが二十一世紀和歌山創造に大きく影響します。
 申し上げたいことは、県庁の各課長、出先機関、市町村でも、県に財源がないので新しい事業や夢のある事業にとても手が出ない、財政が厳しくて要求ができないと財政当局の威令が徹底しており、テリブルにすら感じます。明らかに不戦敗宣言をしております。戦意喪失であります。私が要望したいのは、通達は通達として、激変する社会経済に即応して大スピードをもって大胆に変革するには、運用面で柔軟に対応してほしいということであります。
 白浜空港跡地への航空工学系大学構想は、紀南にとって初の大学であり、紀南地域の人々に大きな夢を抱かせております。大学と地元の交流で地域の知的水準の向上が期待され、学生や教員の定住による地域経済への波及効果も大きいと予測されているわけで、地域の誇りともなるのであります。構想推進はぜひ進められるよう、要望いたします。
 私は、六月議会で提言いたしました潮岬地先での海洋深層水のポンプアップ施設と研究機関の設置について、その実現を強く望んでいるものであります。潮岬は本県でも最も適地と見込まれていることと、深層水について、その後多くの新聞、週刊誌でその不思議な効用と大きな需要増加が取り上げられております。七月以降、串本町内の有志の方々十人で高知県室戸岬へ参りました。製塩工場、ミネラルウオーター工場、化粧品工場が次々と立ち上がり、深層水研究所では各種の実験が行われ、新たに二基目のポンプアップ予定地での立て坑の工事現場も見てまいりました。高知県海洋深層水対策室長の、未来にかけた気力十分な話も伺いました。九月には大阪市で海洋深層水商品展示会があり、橋本高知県知事がトップセールスで参り、京阪神の販売事業者五百人余の前で熱心に売り込んでおりました。串本町からも十人ほど参加させてもらいました。つまり、高知県はベンチャービジネスの支援に懸命であります。高地県民以外には深層水は分けない、地域資源の活用こそ地場産業が永続して栄える条件であると。このことは定説であります。
 私ども町内の有志は、役場の幹部を交え、たびたび検討会を持っております。潮岬周辺の海底地図やポンプの設置場所等も、深層水採掘に専門の知識を有する大手企業に来てもらい、勉強を続けております。私どもにとって大変心強いことは、参議院議員の世耕弘成先生も以前から深層水の勉強をされており、いろいろな資料をいただいた上、「平成十二年度の科学技術庁の深海調査費の概算要求に和歌山県が今名乗りを上げないと。たとえ数百万円の調査費でも、つけてもらえると後年度の調査につなげる。研究調査の成否は別としてともかく調査を始めないことには」と、アドバイスをいただきました。串本町も町民も前向きであります。
 農林水産部長にお尋ねします。県では、その後、研究チームを組まれているようでありますが、その状況と国への予算要求についてどのように対応しておられるのか、承りたいのであります。
 農林水産業センサスを見るまでもなく、本県水産業はピンチにあります。カツオ漁を初めとする一本釣り、タイ養殖業など、倒産に瀕しております。県では本年度事業でパヤオ(浮き魚礁)三基投入の予算化をしてくれました。ありがとうございます。事業開始はいつごろになりますか。漁業者の切なる要望でありますが、これを来年度も三基投入していただきたい。水産庁では、こうした先端浮き魚礁についてどう考えておられるのか、お伺いいたします。
 政治家は、たえずその地域の将来ビジョンをスケッチし、その夢の実現化を県民に示すべきであると、ふるさとの大先輩から教えられました。私は、二十一世紀の紀南について、次のようなラフスケッチを描きました。高速道路と地域高規格道路が張りめぐらされ、JRの複線高速化が完了し、航空路の路線化が実現するころ、大学は白浜町と新宮市に、海は本県の大資源であり、串本には一大海洋資源研究所が設置される、観光産業は総合産業として発展し、新しい文化デザインの発信基地とともに世界的な滞在型観光地になる、さらに暖かさと澄んだ空気、美しい水を求め、多くの高齢者が集まり、福祉産業も発展すると考えられ、多自然居住地の優等生につくり上げる強い志向が我々政治家に求められていると考えておりますと、先輩にお答えいたしました。
 至らぬ私の発言内容が多くの方々に差しさわりがあるかもしれませんが、真に県勢の発展を願う気持ちから出たものと、どうぞご容赦賜りたいのであります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 堀本議員にお答えをいたします。
 入札制度の改善につきましては、本県でも、公共事業の透明性を一層高めるために平成十年八月から予定価格の事後公表を行ってございます。また、一定の基準額を下回る入札を排除する最低制限価格制度から、内容を審査して落札を決定する低入札価格調査制度の適用を拡大するなど、入札制度の改善を行ってきたところでございます。今後、入札制度につきましては、さらに透明性、客観性、競争性を確保しながら不正が起きにくいシステムとすることが最も重要でありますので、議員のご提言の予定価格もしくは設計金額の事前公表を実施したいと考えてございまして、できるだけ早期に入札・契約制度検討委員会において検討させたいと考えてございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 県は公共事業の施行量をもっとふやせないかというご質問にお答えいたします。
 議員ご指摘の「公共工事着工統計年報」は、全公共機関発注工事の年間出来高三千万円未満の建設業者が調査対象から除かれているなどの条件下でまとめられたもので、年間工事出来高の評価についてはさらなる分析が必要であると考えております。
 なお、平成十年度予算における本県土木部の普通建設事業費総額は全国第三十九位となっておりますが、人口一人当たりでは第十五位に位置しており、本県土木部の予算額は全国並みと認識してございます。
 今般の地域戦略プラン予算の要望につきましては、市町村が連携して策定した計画に基づいた道路整備等を、また第二次補正予算では景気回復と生活基盤の充実を図るため積極的な予算要望を行ったところでございます。
 厳しい財政状況ではございますが、今後とも国や公団の事業の導入を図りながら、市町村ともども新時代を支える基盤づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 続きまして、入札契約制度の改善の二点目、経営事項審査結果の公表と入札参加資格業者の格付の公表その他についてでございます。
 Sランクの設定については、県内業者が県外大手業者と共同企業体を組んで高度な技術を学び習得することにより技術力の向上を図ることを目的とし、施工能力等を総合的に考慮して、県の判断で設定しております。またランクの公表につきましては、透明性を高めるといった観点から検討してまいりたいと考えております。
 建設業の許可につきましては、建設業に関する経営経験者を有していること、二番目に常勤の技術者を有していること、三番目に請負契約を履行するために足りる財産的基礎を有していることなどの要件を厳正に審査の上、行っております。また等級については、経営規模、経営状況、技術力、社会性等の経営事項審査による客観点数等に基づき設定しております。
 なお、来年度からの経営事項審査につきましては、技術者の雇用保険または社会保険の加入状況によりその常勤性を確認するなど、より一層厳正に審査してまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 公共事業の施行量の確保並びに財政の弾力的運用についてでございます。
 予算編成における公共事業の取り扱いにつきましては、道路整備を初めとした社会資本整備の推進を図る観点から、かねてよりシーリングといった要求段階からの制約は設けてございませんし、平成十二年度当初予算編成においても同様の取り扱いとしたところでございます。
 ただ、地方財政を取り巻く環境には非常に厳しいものがございまして、本県財政も例外ではございません。基金依存型からの脱却等、財政健全化に向け、財政運営プログラムを策定して取り組んでいるところでありまして、聖域なくすべての事業について見直しする必要があることから、投資的経費についても総事業量の抑制は避けられないものと考えてございます。
 しかしながら、道路整備を初めとした県民生活に密着した社会資本整備の推進は本県にとっても重要な課題でございますので、公共工事のコスト縮減等に積極的に取り組むことにより可能な限り事業量を確保するとともに、緊急性、必要性の高い事業への重点的、効率的な財源配分を行い、投資効率のよい予算の編成に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 堀本議員の、串本浅海養殖場の通水口倒壊事故の原因につきましてお答え申し上げます。
 串本浅海養殖場における通水口四門の倒壊原因につきましては、その解明に努めましたところ、通水ブロックの全体構造設計を精査した結果、安全性は確保されておりましたが、漁業者との協定に従って工事を中断していた期間中の一方向でなく、複雑で圧力の強い不規則波によるものと結論を得ております。また、修復に係る予算は増額をもって対応いたしました。
 次に、海洋深層水への取り組み状況についてでございます。
 議員より六月議会でご提案を受けまして、その後、庁内関係担当者による検討会を開催してまいりました。その結果、本県での深層水への取り組みに際しては、先行している、ほかにない特徴づけが必要であるため、まず水深千メートル付近での試験採水を行い、基礎的な調査研究を行うことが不可欠との結論に達し、関係部局間で連携を図りながら調査研究を進めていくこととなってございます。
 なお、今後の取り組みにつきましては、企画部、農林水産部、商工労働部の関係各課に加え、水産を初めとする関連分野の研究機関の担当者で構成するワーキンググループにおきまして、基礎的な調査結果を踏まえ、関係部局等と協議しながら国への要望等を検討してまいりたいと考えてございます。
 次に中層式浮き魚礁についてでございますが、漁業者並びに関係機関との協議が整いましたので、試験礁を平成十二年一月下旬ごろに熊野灘海域一基、紀伊水道外域二基の計三基を設置する予定であります。設置後は、二年間にわたりその効果について調査を実施することとしてございます。
 平成十三年度からスタートする水産庁所管の次期沿岸漁場整備開発事業の中に、新しく中層式浮き魚礁設置事業が組み入れられると聞いておりますので、県としても事業採択に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 選挙管理委員会委員長谷口庄一君。
  〔谷口庄一君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(谷口庄一君) 政治資金規正法の改正についてお答えをいたします。
 ご質問にありました企業、団体からの資金管理団体への寄附の制限につきましては、現在、政治資金規正法改正法案が国会に上程され、審議中であると承知をいたしております。ご質問の点につきましては、現行の政治資金規正法の解釈で申し上げます。
 企業、団体の寄附の制限に言う「企業」の解釈につきましては、お尋ねがありましたとおり、株式会社、有限会社、合資会社、合名会社の四種類の会社が該当いたします。また、法人化されていない個人企業につきましては、その個人企業が複数人で共同して事業を行っている等の特段の事情がない限り、個人からの寄附と判断されると思われますが、当該個人企業が寄附の制限の対象となる団体としての性格を有しているかどうかにつきましては、個別具体の実態に応じて判断されるものと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 六番堀本隆男君。
○堀本隆男君 ただいまは知事から入札に係る予定価格の事前公表について、実施したいと考えておりますとご検討のご答弁をいただき、まことにありがとうございました。
 さて、山上憶良の歌に、「憶良らは今は罷らむ子泣くらむそれその母も我を待つらむぞ」──一般には酒の場でつくったとされておりますが、おなかをすかして待っている家族のもとへ早く帰ってやりたいという思いが切々と出ております。
 ことしの紀南の海は不漁で、泣きました。ドラム缶一本をたいて走りまくっても一本のカツオも釣れないで帰る一家のあるじの気持ちは切なく、涙の出る毎日だと言っております。
 農林水産委員会の県外調査で沖縄県糸満漁協を見てまいりましたが、一漁協で十二基のパヤオを持ち、年間水揚げは約三億から四億円で、もはやパヤオなしの漁業は考えられないと言っております。貧窮にあえぐ紀南の漁業者は口をそろえて、来年もパヤオを入れてほしいと願っております。どうぞ、当局の皆さん、この気持ちを酌んでやっていただきたいのであります。要望でございます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
  【日程第三 請願付託の件】
○議長(下川俊樹君) 次に日程第三、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 お諮りいたします。十二月十四日、十五日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、十二月十四日、十五日は休会とすることに決定いたしました。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次会は、十二月十六日再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十七分散会

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