平成11年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時四分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十六番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 一般質問も、私を含めて二人となりました。議長のお許しをいただいて、これから質問したいと思います。
 まず最初に、二期目再選をされました西口知事、本当におめでとうございます。会派を代表してお祝いを申し上げます。
 県民の圧倒的な支持を得たのは、数多くの四年間の実績とあなたの誠実な人柄が示されていますが、その中でも大きな理由として私は、南紀のすばらしい自然、歴史、文化を持っているふるさと和歌山県を世界の和歌山県として発信をした南紀熊野体験博の取り組みであったと感じています。
 知事就任あいさつで、二十一世紀は和歌山県の時代になると力強く言われました。まさに私も、南紀熊野を中心に、この精神で二十一世紀の時代を先取りした和歌山県にしていかなくてはならないと思います。
 世界の動きも、先日行われました世界貿易機関閣僚会議にもあらわれましたが、経済至上主義のアメリカ追随型からヨーロッパが目指している福祉環境国家の方向に世界の流れは変わってきたと私は感じています。
 私は、昨年の九月定例会で、南紀熊野を世界遺産に登録し、世界遺産の地域にふさわしい南紀のふるさとづくりについて提言をしましたが、今、各地域で、すばらしい資源を生かそうという多様なふるさとづくりの機運が広がっています。この六月定例会においてもふるさとづくりの提言をしたところですが、地域住民と一緒になり、その実現に向けて取り組んでいます。そしてまた、現場を歩き、南紀における地域住民の声を聞く中で、新しいふるさとづくりの点検や新しい取り組みが芽生えてきています。こうした県民の声を今議会でも訴えてまいります。
 南紀熊野体験博後のふるさとづくり、つまり世界遺産の地域にふさわしいふるさとづくりの視点で三点に絞って質問、提言をしてまいりますので、県当局の誠意ある、心のこもった答弁をお願いするものであります。
 まず最初に、コンピューター二〇〇〇年問題について質問してまいります。
 この問題については今までにも、また今県議会においても同僚の議員の方々が質問されていますので、私は重複を避け、前置きも質問もポイントを絞って県当局の見解を賜りたいと思います。
 コンピューター二〇〇〇年問題について早くから国を挙げて取り組んできたのがアメリカであります。アメリカでは、大統領諮問委員会が二〇〇〇年問題地域ディスカッションを推進する全国的なキャンペーンを行っています。地方自治体のほか、電力会社、病院など社会サービス事業を行っている事業者が地域ディスカッションに参加し、病院は本当に大丈夫なのかといった身近な議論をリードできるように支援をしています。
 私自身も、南紀で入院をしている患者さんを見舞いに行ったとき、二〇〇〇年問題が言われているが日常的な問題で心配がある、手術はできるのか、酸素呼吸はできるのか、行政が私たちにどう知らせてくれるのかと聞かれました。和歌山県や市町村でもその対策を行政広報では報じていると思いますが、アメリカのように、行政と県民が協議をしながら、パニックを起こさず落ちついた事前の共同対策はとられているのでしょうか。
 地域の病院や介護施設でコンピューターがとまれば、生命にかかわります。火事の際、警報システムが作動しなければ、消防自動車は現場に駆けつけることはできません。地域内の信号機が狂えば、交通の混乱は必至です。スーパーやコンビニのレジで故障が続発するかもしれません。地域の活力である中小企業の対応も大事であります。
 東海村の臨海事故では、核施設が集中している自治体でそれなりの対策を行っていたと考えられますが、住民と企業、自治体のコンセンサスが不十分なため住民への対応がおくれました。事故が起こったとき、行政と住民が一体となった事故対策、危機管理対策の必要性を痛感いたしました。つまり行政が、二〇〇〇年問題に限らず、日常的な危機管理を県民とどう共有していくかが大変重要なポイントであると私は思います。
 二〇〇〇年問題をこの問題だけに終わらせるのではなく、今後予測されるさまざまな問題に対応するため、県民、企業、自治体の危機管理対策の策定が必要であります。そのためにも、第一点目は、県としての対策はどうなのか。第二点目は、県当局が現在コンセンサスを持つさまざまな組織の代表に呼びかけ、二〇〇〇年問題の交流会を開催するなど、県民と行政との一体化を進める必要があると思うがどうか。第三点目は、例えば備蓄の食料が必要な人に行き渡るためには地域組織の整備が欠かせません。私は以前から県議会で、みずからの命はみずから守る、自分の地域は自分で守るという県民の自覚、自主防災組織の早期確立を訴えてまいりました。県当局も平成十三年をめどに県下五〇%の確立を目指していると聞いていますが、これでは大変遅いと思います。市町村の対応のおくれもあると思いますが、これこそ県が思い切り市町村を指導し、県としての計画を早め、予算もふやし、早急に取り組まれたいと思いますが、どうか。
 以上三点についてお尋ねし、コンピューター二〇〇〇年問題についての質問を終わります。
 続いて、介護保険制度導入に当たり、五年先、十年先を見越した和歌山県の高齢者福祉について質問をしてまいります。
 いよいよ介護保険制度が来年四月一日からスタートすることになりました。県及び市町村においては大変なご苦労が続いているものと思います。本県は全国に比べ高齢化が十年先行している県であり、言いかえれば全国より十年先を行く高齢者福祉先進県としての取り組みが問われていると思います。二〇〇〇年には二〇一〇年のことをしている、他県よりも十年、どこが進んでいるのか、どこが違うのか意識をした取り組みが必要であると私は思います。
 私は、この議会に向けて、県外は鳥取、徳島、宮城県などの取り組みを調査するとともに、県内とりわけ南紀の高齢者の現場の声を聞きながら調査をしてまいりました。これからの五年先、十年先の福祉施策を考えたならば、私は次の三つのことを和歌山県として先取りをして取り組むことが大変重要になってくると思います。
 一つ目は、予防福祉であります。高齢者で言えば、介護予防に力を入れることであり、つまり元気なお年寄りをふやすことであります。
 福祉事業について、私は三つの柱があると考えています。それは、施設福祉と在宅福祉、それから予防福祉であります。今までの福祉サービスは、施設福祉と在宅福祉を車の両輪として走ってきましたが、これからは予防福祉に力を入れていくべきであると考えています。つまり高齢者では、要介護の前にある自立ができる人たちにサービスを提供するということであります。
 介護予防をどう構築していくか、要介護状態になる前の保健予防活動や生きがい、健康づくり対策などを充実していくことが大きな課題になってきていると思います。例えば、プールやリラクセーション浴槽、リハビリ施設などを使った健康介護の新しい介護予防づくりといったこともあろうかと思います。また、元気な高齢者や障害者が働く場の確保も、大事な生きがい対策であります。高齢者や軽度障害者は、働く場所があれば生きがいを持ち、健康であることにみずからにも努力することになり、ひいては介護予防へとつながっていきます。先頭を歩いてこそ道ができる、そうした気概でぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 二つ目は、在宅介護における介護する側の精神的、肉体的問題の解消施策であります。
 先般、家族介護については必要に応じ介護給付金が支給されることになりましたが、介護者の精神的、肉体的問題は解消できないと思います。これらを解消するためには、今後必要数を見込んだ施設を建設するとともに、ヘルパー等を確保していく必要があります。ただし、高齢化のピーク後などを考えた場合、いたずらに施設やヘルパーをふやすことには問題があると思います。高齢になっても住みなれた家庭で過ごすことが理想ですが、在宅介護を完全にサポートすることは不可能であり、介護者の精神的、肉体的問題を解消しない限り、今後社会問題が生じるのは明らかであると思います。ただ、人に預けっぱなしにすることをあしきものと考える県民も多いと思われますので、要介護者と介護者が自宅を離れ、いっときを過ごせる総合的な施設を設けることが望ましいと考えます。つまり、高齢者や障害者及びその介護に携わる人たちがゆっくりと過ごせるような総合的な施設を設置することが、高齢化社会に向けて、またお互いが尊重して生きていく社会をつくるためにぜひとも必要であると思うのであります。
 五年先、十年先を見据えた高齢者福祉先進県の提言をしてまいりましたが、最後に、今まで述べました総合的な福祉エリアの具体的な提案をしたいと思います。
 高齢者や軽度障害者も入所ができ、また介護を行っていた健常者もいっときの静養をし、さらに高齢者や軽度障害者も程度に応じて働くことも可能で、それにより生産も行える全国で初めての総合的な福祉エリアを実現したいと私は考えています。前々から県当局に提言をしてまいりましたが、福祉の人材を指導育成できる福祉大学院大学や臨床心理センターなどをこの南紀の地につくり、これを核にした地域づくりが有効であると考えます。
 南紀には、世界に誇るすばらしい自然、歴史、文化があります。とりわけ、黒潮流れるすばらしい海があります。今こそ海の恩恵を最大限に利用すべきときであると言えます。
 例えば、海の恩恵を最大限に利用して、人間の健康を増進させる海洋療法施設を設置し、予防介護や静養施設としたり、また海水からのミネラル豊富な自然の塩や高ミネラル水等をつくるなど、高齢者、軽度障害者の就労の場づくりとしてこの南紀につくることを検討してみてはどうか。また、外国人だけの長期滞在型リハビリテーション施設をつくることによって、このことが世界を視野に入れた観光にもなり、地場産業の振興にも大きく貢献していくものであると思いますが、当局に提言をするものであります。独自の企画と政治によって新しい和歌山県が一つの国となり、外国と直接取引をする時代に入ったと、私は思います。
 以上、私の五年先、十年先を見越した和歌山県の高齢者、障害者福祉と南紀における総合的な福祉エリア構想について提言をいたしましたが、知事及び担当部長の見解を求めるものであります。
 続いて、紀勢本線を中心とした在来鉄道の整備推進について質問をしてまいります。
 まず第一点目は、二十一世紀的な発想の転換が図られる中でのミニ新幹線フリーゲージトレイン導入の必要性の是非についてであります。
 一九九九年、列車は五百五十二キロで走り、そして情報通信網の飛躍的な発展により世界のどことでも携帯電話で話せるようになりました。しかし、欧米に追いつけ追い越せと走り続けてきた私たち日本人は、二十世紀の初めのころに生まれてきた人々に比べてより多くの選択の対象を持ち、より自由になり、より幸せになっているのかと、ふと考えるときもあります。モラルが崩れ、人の心が荒廃し、混乱してしまった社会から次々と問題が噴き出す中で、私たちはやっと速さや便利さだけでは幸せになれないことに気づき始めたと思います。
 最近、JRが上野から札幌間に新しい個室の寝台列車を導入したところ、四万円から五万円という高値と十七時間という所要時間にもかかわらず、大人気を博しているそうであります。リニアモーターカーの開発など、より速く走ることに重点を置いてきたJRですが、この寝台列車の人気は、私たちがゆとりという価値観に気づき始めているあかしであると思います。
 「時は金なり」ということわざにもありますように、確かに移動時間の短縮は私たちの生活に幾つものメリットをもたらしました。しかし同時に、そこには急ぐゆえに失われるものが必ずあるもので、技術を競うだけでなく、心や時間のゆとりとのバランスを重視する二十一世紀的発想の転換を図ることが今求められているのではないでしょうか。すばらしい自然、歴史、文化を持った南紀熊野の地を世界に発信した和歌山県としては、このことを重要視した施策に今後取り組んでいく必要があると私は思います。
 そこで、県が政府要望として取り上げていますミニ新幹線フリーゲージトレイン導入について質問いたします。
 私は、紀勢本線の利便性の向上についてはもっと改善されるべきだと思いますが、この問題については慎重に検討する立場に立っています。以下、三点について県当局の見解を賜りたいと思います。
 第一は、鉄道整備における県知事としての二十一世紀的発想の転換についての認識はどうなのか。
 第二は、このミニ新幹線フリーゲージトレイン導入により、県も含めた地方自治体の財政負担はどうなるのか。例えば平成九年に、手法は違うと思いますが、秋田ミニ新幹線の導入における事業費用は全体で約九百六十六億円、そのうち国の負担は約百二十二億五千万円、県の負担は、秋田県が約二百十三億二千五百万円、岩手県が約二十四億五千万円、JRの負担が約六百五億七千五百万円と聞いています。また、どの程度時間が短縮されるのか、二十一世紀的発想への転換が図られる中で果たして県民がこうしたことを本当に望んでいるのかどうか、その調査結果などの裏づけはどうなのか、今後の取り組みも含めて明らかにされたいと思います。
 第三は、ミニ新幹線フリーゲージトレインによる騒音によって人家に対する被害や農産物、家畜などに被害が出る可能性もあり、沿線住民の生活環境を著しく阻害するものであれば慎重に検討していただきたい。私は、便利性を優先するよりもふるさとの国土保全を優先していくことがこれからの公共交通機関のすべてに言えることだと思いますが、どうなのか。
 以上、三点について当局の見解を求めます。
 第二点目は、二十一世紀の時代に逆行するトイレなし列車の導入についてであります。
 南北に長い本県では、鉄道網の整備とりわけ紀勢本線は緊急の課題であります。先般閉幕しました南紀熊野体験博は、南紀のすばらしい自然、歴史、文化を世界にアピールし、鉄道を通じての旅客需要も増加してまいりました。南紀における鉄道の利用は、全国よりも十年先を行く高齢化社会の生活手段として活用され、とりわけ普通列車は通勤通学の生活列車に、また高齢者の福祉列車にと幅広く利用されております。ところが、平成十一年十月のダイヤ改正において──ちょうど知事選挙の前でありますけれども、新宮から紀伊田辺間で一六五系及び一一三系にかわり一〇五系車両が投入をされ、一日上下線を合わせて三十三本のほとんどの列車にトイレがない状態となり、沿線地域住民から怒りの声が上がっています。この車両は、ちょうど大阪の環状線で走っている、短時間で行けるような列車で、このトイレなし列車がこの新宮から田辺の間に導入をされたということでございます。串本、すさみ駅ホーム上にトイレを設置していますが、こうした対策は改善策になるはずがありません。
 沿線住民の皆さんから、快適に安心して乗車でき、利用できるという一番大事な事柄が無視をされ、公共交通の原点である安全、快適、安心という基本的なことが欠落をしている、生活の手段として利用している高齢者が多い地域であり、高齢者や障害者に優しい福祉の町づくりにふさわしい施策の必要性が叫ばれている今の時代に逆行している、南紀熊野体験博によって南紀の自然をゆっくり楽しみながら普通列車で旅をする人がふえてきているのにかかわらず、これではせっかくの成功がマイナスになる、このような声が上がっています。
 こうした声の中で、行政監察局もJR西日本に対し実態調査を実施したと聞いています。県としても、十一月十一日付の企画部長名で要望書を出していることは承知していますが、一向に改善の動きが見えてきません。時代に逆行するようなトイレなしの列車導入の質問をする私としても、大変むなしくなってきます。こうしたことを早急に改善されるよう、以下質問をしてまいります。
 第一点は、今回のトイレなしの列車導入は赤字路線のリストラ策の一つなのか、トイレをつけることとつけないことによって合理化がどれほど進むのか、明らかにされたいと思います。
 第二点目は、生活路線という重要な意味を持っていますが、高齢者にとってトイレが近いということ、それに対しどれだけ高齢者への配慮をしているのか、公共交通機関であればあるほど弱者への配慮が必要だと思うがどうなのか、県行政の考え方、今後の対応について見解を賜りたい。
 続いて第三点目は、鉄道施設のバリアフリー化についてであります。
 高齢者や障害者の方が公共鉄道機関を容易に利用できるようにするため、運輸省が検討していた交通機関の、仮称・バリアフリー法案が去る十一月三十日に発表されました。和歌山県においても福祉のまちづくり条例が制定をされ、障害者や高齢者の皆さんが自由に行動や活動ができるように社会参加の機会を阻むさまざまな障壁を取り除き、安全で快適に暮らせる町づくりを推進されています。こうした中で、県内の公共交通機関の駅施設におけるエレベーター、エスカレーター等の整備、プラットホームと車両との段差の解消、障害者トイレの設置、案内設備の改善などについての整備状況と今後の取り組みについて明らかにされたいと思います。
 二十一世紀は和歌山県の時代になると知事は力強く言われました。鉄道における福祉対策もバリアフリー対策も世界に胸が張れる、そういった意気込みも含めまして、私の質問に対しての答弁を求めて第一回目の質問を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 玉置議員にお答えをいたします。
 会派を代表してのご祝辞、ありがとうございました。
 まず、急速な高齢化が進む本県にあって、これからの五年先、十年先を見据えた福祉施策を進めるに当たり、議員から貴重なご提言をいただきまして、まことにありがとうございました。ご指摘のような、全国に先駆けた取り組みという視点が大変大事だと思ってございます。また、高齢者や障害者の方々が安心して保健サービスを受けられるだけではなくて、生きがいを持って働き、自立した生活を送ることができるような総合的な町づくりという視点も大変重要だと思ってございます。
 議員ご提案の総合的な福祉エリアという考え方につきましては、私も前に太陽の街構想を発表させていただきましたけれども、こういうことも参考にさせていただきながら、今後「共に生きる安心のまちづくり」を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、在来鉄道の整備の問題であります。
 二十一世紀は、人々がこれまで以上に心のゆとりと安らぎを求める社会になると考えております。今、全国的に肌で自然を感じることができるトロッコ列車、あるいはゆったりとした寝台列車などが注目されていることも、そのあらわれだと存じております。また一方で、早く着くという到着時間の短縮などが鉄道の利便性向上に対する県民の要望として存在することも事実でございます。
 私は、南紀熊野体験博に合わせて運行された「きのくにシーサイド号」のように和歌山の海や自然を堪能させる列車、あるいは和歌山─新宮間で二十分の時間短縮を実現したオーシャンアロー号のような早く着く列車など、さまざまな列車が鉄道事業者によって運行されることを望んでおるわけでございまして、県といたしましては、議員ご提言の趣旨を踏まえ、長期総合計画に掲げている「ゆとりと充実」を念頭に、その時代における社会のさまざまな価値観を考慮しながら鉄道整備を図ってまいりたいと考えてございます。
 細部につきましては、企画部長から答弁させていただきます。
○議長(下川俊樹君) 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) コンピューター二〇〇〇年問題についてお答えいたします。
 県としての対策についてでございますが、本年六月にコンピュータ西暦二〇〇〇年問題対策本部を設置いたしまして、行政事務や地域の問題が発生した場合の対応をまとめた危機管理計画第一版を八月に、年末年始の連絡、待機体制をまとめた第二版を十一月三十日に策定したところでございます。
 年末年始においては、万一の事態が生じた場合でも危機管理計画に基づき迅速かつ的確な対応を行うとともに、県民に冷静に対応していただけるよう正確な情報を迅速に提供してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) まず、コンピューター二〇〇〇年問題に係る県民参加の交流会など、県民と行政との一体化についてのご質問でございます。
 コンピューター西暦二〇〇〇年問題への対応は、議員お話しのように、行政のみならず県民の方々がこの問題を十分理解し、万一の事態に備えるという意識を高めていくことが重要であると認識してございます。
 県といたしましては、広報紙やテレビ、ラジオ等を通じた情報提供を行い、県民に二〇〇〇年問題に対する意識を高めていただくとともに相談窓口を設ける等の対応を行っているところでございますが、議員お話しの趣旨を踏まえ、年末年始に向けて引き続き県民への広報に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、フリーゲージトレインの導入についての三点のご質問でございます。
 県におきましては、平成四年度から平成九年度にかけて、技術的課題や高速化による効果など、各種の観点からの調査を行ってまいりました。平成六年度の調査結果によれば、事業費については、新大阪駅から在来線へ列車をおろすためのアプローチ及びそのための新線建設、在来線の曲線改良、駅構内の改良、短絡線の建設等によって総事業費二千七百五十九億円、東京─新宮間で約七十分の時間短縮が図れるという調査結果が出てございます。ただし平成六年度の調査でございますので、平成八年度に紀勢本線高速化事業を実施し、曲線改良、駅構内の改良等が既に行われているところもございますので、現在では状況が少し変わっているかと考えてございます。
 お尋ねの地方自治体の財政負担につきましては、現在では事業手法が未定で負担がどうなるかわかりませんが、県といたしましても、できるだけ地元に負担のかからないように、国において財政的支援制度を創設していただくよう要望しております。
 また、県民が望んでいるかとのご質問でございますが、これまで県で意識調査を行ったことはございませんが、本年六月に紀勢本線沿線の三十八市町村で組織している紀勢本線活性化促進協議会において、フリーゲージトレインの導入促進について決議されております。
 今後の取り組みでございますが、現在国で行われているフリーゲージトレインの技術開発、新幹線直通運転化事業調査の動向を見きめながら、並行して、県内各方面との協力のもと、国等関係機関へ要望活動を行っていき、また自然環境との調和などを考慮しつつフリーゲージトレイン導入に向けて取り組んでまいります。
 次に、フリーゲージトレイン導入により新たに騒音被害や振動被害が起こり、自然環境や生活環境などに著しい被害が出るのではないかとのご指摘でございますが、フリーゲージトレインは、新幹線区間を走るときは新幹線と同じ速度で走りますが、在来線区間に入りますと在来線の速度で走りますので、議員ご心配の新たな騒音被害や振動被害などについては発生しないものと考えております。
 続きまして、トイレなしの列車に関するご質問でございます。
 まず合理化関係でございますが、JR西日本によりますと、紀伊田辺─新宮間の乗車人員は年々減少しているため経営状況は厳しいとのことであります。しかしながら、公共交通機関の使命として列車本数を確保することを最優先と考え、輸送費の低減可能な今回の車両を導入したと聞いてございます。
 次に、高齢者等への配慮でございます。
 県といたしましても、議員ご指摘のとおり、公共交通機関は高齢者等への配慮が必要であると認識してございます。そのため、トイレなしの車両の問題につきましては、利用者にとって切実な問題であると考え、以前からJR西日本に対し改善するよう再三要望活動を行ってまいりました。その結果、本年五月のダイヤ改正から、紀勢本線の和歌山─紀伊田辺間のすべての列車がトイレつき車両に改善されました。しかしながら本年十月のダイヤ改正から、紀勢本線の紀伊田辺─新宮間に多くのトイレなし列車が導入されました。JR西日本によりますと、トイレの問題については、ホーム上へトイレを設置するとともにダイヤ調整などで対応しているとのことであります。
 いずれにいたしましても、県といたしましては、本年十一月、トイレつき車両を運行するようJR西日本和歌山支社長あて要望書を提出するなどの働きかけを行っておりますが、JR西日本本社に対しても早急に要望活動を行う予定でございます。
 次に、議員ご指摘のエレベーター、エスカレーターの設置や障害者用トイレの整備など、いわゆる鉄道バリアフリー化施設の整備でございます。
 県内にありますJRと南海電鉄の百十九の鉄道駅におきまして、エレベーターやエスカレーターを設置している駅は五駅、障害者用トイレを設置している駅は九駅でございます。また、車両とプラットホームとの段差につきましては、紀勢本線、和歌山線の多くの駅で段差がございます。案内設備の整備につきましては、一部の駅を除き、誘導ブロック等の整備ができている状況でございます。
 県といたしましては、以前から福祉のまちづくり条例に基づいてJR西日本に対し、JR和歌山駅を初めとする県内主要駅へのエレベーター等の設置、段差の解消など、積極的に要望を行ってまいりました。また、より一層JRに対し働きかけを行うため、今年度、和歌山市と共同で、JR和歌山駅とJR紀伊駅を対象としてエレベーター、エスカレーター等の整備構想の作成と概算事業費の算出などを目的に調査を行っているところでございます。
 鉄道施設のバリアフリー化につきましては、国での法制化の動きもありますし、国の補助金制度の対象になるものもございますので、それらを活用しながらJR等に要望するなど、今後も積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 自主防災組織の早期確立についてのお尋ねでございます。
 ご指摘のとおり、自分たちの町は自分たちで守るという自主防災組織の育成強化は緊急な課題であるという認識に立ちまして、市町村防災担当課長会議等を通じて市町村の指導を実施してございます。
 なお、組織率向上のため、平成九年度に市町村等への指導のため自主防災リーダーマニュアルの作成、また平成十年度より自主防災資機材の購入に対する補助制度の創設、さらには平成十一年度よりリーダーの育成研修の実施など、積極的に取り組んでまいっているところでございます。
 県といたしましては、市町村や住民の皆様のご理解やご協力等の課題はございますが、自主防災組織の早期確立が図られますよう、市町村の実情などを聞き、計画の前倒しに向けてさまざまな工夫を凝らしながら強く指導してまいりたいと考えてございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 介護保険制度導入に当たっての五年先、十年先を見越した和歌山県の高齢者福祉についてお答えをいたします。
 一つ目の議員ご提言についてでありますが、進展する高齢化の中にあって、高齢者ができる限り介護を要する状態になることなく健康で生き生きとした生活を送れるように支援すること、いわゆる介護予防対策を推進していくことは非常に重要なことと考えております。こうしたことから、高齢者や障害者の自立を促進するため、働く場の確保や生きがい対策としてのスポーツや文化活動の振興を図ってまいります。
 また、老人保健事業の一層の促進による壮年期からの健康の増進や地域に密着したリハビリテーション体制の普及等を図り、生活習慣病や寝たきり予防の対策を推進してまいります。
 次に二つ目の提言でありますが、介護者の高齢化、介護の女性への依存傾向等、要介護者を抱える家族の心身の負担は非常に重くなってきているところであります。こうした状況を踏まえ、介護を社会全体で支え合うという理念のもと、介護保険制度がいよいよ来年四月からスタートいたします。
 家族介護の支援策としてはショートステイ等の利用を促進してまいりますが、こうした介護保険サービスに加え、さらに家庭の実情に応じた家族支援を積極的に推進するため、家族介護教室や家族介護者交流等の実施を検討してまいります。
 議員ご提言の趣旨も含め、二十一世紀初頭の長寿社会の将来像をにらんだ政策目標のもと、総合的な介護予防対策や家族への支援等、重点的に実施すべき施策を盛り込む方向で、平成十二年度から平成十六年度を計画期間とする新たな和歌山県老人保健福祉計画を本年度中に策定する予定としております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十六番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁、ありがとうございました。
 まず、二〇〇〇年問題についてであります。
 県民の方々がこの問題を十分理解し、万一の事態に備えるという意識を高めていくことが重要、そして年末年始に向けて、私が指摘させていただいた趣旨を踏まえて取り組んでいくと、そういう答弁がございました。地域において県民と行政との話し合いを通して地域対策を示すことが、私は大変重要であると思います。時間は余りありませんが、取り組みの強化を要望しておきたいと思います。
 それと、自主防災組織であります。早期確立が図られるよう計画の前倒しに向けて取り組むとの決意をいただきました。この組織が確立されれば、地域での住民参加による防災とか危機管理対策はぐんと進むと思います。
 実は、一〇〇%組織化されている静岡の方にも数年前に実態調査に行ってまいりましたけれども、安心できるふるさとづくりというのは、やっぱり自主防災組織がかなめになっているような気がいたしました。ぜひともよろしくお願いいたします。
 そして、年末年始に待機されます県職の皆さん方には大変ご苦労でございますけれども、県民のためにもよろしくお願いをしておきたいと思います。
 続きまして、和歌山県の高齢者福祉について。
 前向きな答弁をいただきました。どうか、五年先、十年先を見越した取り組みの中に私の提言を生かしてほしいと思います。
 それで、質問した別の角度から二つだけ要望しておきたいと思います。
 一つは、要介護者と介護者が一緒に安心して泊まれる介護体制の整った旅館とか観光地づくりがこれから大変重要になってくるのではないかと私は思います。ホームヘルパーの資格を持った社員づくりとか施設の整備など、できれば県として観光地などとの話し合いをお願いしたい。
 もう一つは、来年四月から介護保険制度がスタートいたします。私は、子供たちの学校教育の中にもこのことを学ばせていくことが大変重要であると思っております。教育長、ご検討いただいて、よろしくお願いしておきたいと思います。
 最後に、紀勢本線を中心とした鉄道の整備推進についてであります。
 県議会で私が提言をさせていただいた「紀州路快速」の大阪、京橋の乗り入れの実現はしていただきました。このほかにも幾つか改善をされてきておりますけれども、今回質問をさせていただいたミニ新幹線フリーゲージトレイン導入における地方自治体の財政負担については、ただいま当局の方から、平成六年度という古い調査結果でありますけれども、全体で二千七百五十億円ものお金がかかる、そして、事業手法が未定であるためどのくらいの負担になるかというのは今の段階ではわからないと、そういう答弁がありました。
 ちなみに、私もよう乗ってくるのですが、オーシャンアロー号の導入のときはどうなったかということもいろいろと地元で聞いております。ちょっと紹介をさせていただいたら、オーシャンアロー号は、総事業費が六十五億六千万円で、車両費を除いた地上設備費というのがありますけれども、そのうち地方自治体の負担が十二億八千万円であったと聞いています。それ以外に民間の負担も、JRを除き七億六千万円で、なかなかすんなりお金が集まらなかったと聞いております。
 こうした財政負担はどうなっていくのか。そして、県民のアンケート調査はやっていないということでありますけれども、私自身の反省も含めまして、もっと県民の意識のアンケートをとりながら調査をしていくということが大変大事だと思っております。そして、総合的な観点での取り組みを要請しておきたいと思います。
 きょうもマスコミの方々が見えておりますけれども、時代に逆行するトイレなし列車について、マスコミも世論を上げてもらって書いてほしいと思うんです。十月というのは、ちょうど知事選挙の前に導入をされたということであったんですけれども、知事も恐らく知らなかったんではないかと思います。早急にJR西日本に対し再度要望活動を行うという答弁をいただきました。
 高齢社会になりますと、トイレの近い人が多くなります。また、最近この問題で県政報告をしておりますと、聞いたんですけれども、腎臓とか肝臓とか心臓の薬として利尿剤というのを服用している方々が多いらしいです。トイレが大変心配で外出もままならない、そこにまたトイレなしの列車だったら大変困るというようなことも聞きました。
 そして、これは聞いただけですからわかりませんけれども、紀南の方は近い将来ワンマンカーになっていくと。そういううわさを聞く中では、ホーム上へトイレを設置したということで改善になるはずがないと私は思うんです。時代は、バス会社一つとっても、いわゆる高齢者の方々を乗せていく旅行のバスにはトイレつきのバスが導入されておるわけです。この不名誉を一日も早く解決をしていただきたいと思います。
 南紀熊野体験博を機に世界に発信をした和歌山県として、鉄道においての福祉対策、そしてバリアフリー対策も、世界に胸を張れるようにしていこうではありませんか。そのことが、知事が言われた、二十一世紀は和歌山県の時代になるということにつながるのだと私は思います。
 日本の政治の流れは、地方分権という中で、私はこのようにとらえております。国から地方に住民がお金を引っ張ってくる時代はもう終わろうとしておる、独自の企画と政治によって新しい和歌山県が一つの国となって、西口首相と外国と直接取引をする時代に入ったのではないかと思うわけです。世界の人々がこの和歌山へ来て交流していただいて、そして栄えていくと。南紀の地域にふさわしいふるさとづくりに知事が先頭になって取り組んでいただきたいし、私も微力ではございますけれども、一緒になって取り組んでいくことをお誓い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。

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