平成11年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成十一年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
 平成十一年十二月十三日(月曜日)午前十時開議
  第一 議案第百二十号から議案第百四十六号まで、並びに報第四号(質疑・委員会付託)
  第二 一般質問
  第三 請願付託の件
会議に付した事件
   一 議案第百二十号から議案第百四十六号まで、並びに報第四号(質疑・委員会付託)
   二 一般質問
   三 請願付託の件
   四 休会決定の件
出席議員(四十七人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       松   本   泰   造
     五  番       阪   部   菊   雄
     六  番       堀   本   隆   男
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       大   沢   広 太 郎
     十二 番       木   下   善   之
     十三 番       宇 治 田   栄   蔵
     十四 番       尾   崎   要   二
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       谷   本   龍   哉
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       永   井   佑   治
     二十 番       谷       洋   一
     二十一番       小   川       武
     二十二番       高   瀬   勝   助
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       山   下   直   也
     二十六番       玉   置   公   良
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       野 見 山       海
     二十九番       吉   井   和   視
     三十 番       向   井   嘉 久 藏
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       江   上   柳   助
     三十四番       金   田       眞
     三十五番       森       正   樹
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       新   田   和   弘
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       大   江   康   弘
     四十一番       高   田   由   一
     四十二番       中   山       豊
     四十三番       飯   田   敬   文
     四十四番       鶴   田   至   弘
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       村   岡   キ ミ 子
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         西   口       勇
     副知事        高   瀬   芳   彦
     出納長        中   山   次   郎
     理事         藤   谷   茂   樹
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     生活文化部長     大   井       光
     福祉保健部長     小   西       悟
     商工労働部長     上   山   義   彦
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       白   井   保   世
     教育委員会委員長   目   黒   威   徳
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   高   垣       宏
     警察本部長      樋   口   建   史
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     宮   市   武   彦
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       新   谷   哲   朗
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       佐   竹   欣   司
     議事課副課長     井   田   光   三
     議事班長       松   谷   秋   男
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       西   野   光   彦
     調査課長       湯   川       忠
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課速記技師    保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百二十号から議案第百四十六号まで、並びに報第四号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百二十号から議案第百四十六号まで、並びに知事専決処分報告報第四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。 十七番谷本龍哉君。
  〔谷本龍哉君、登壇〕(拍手)
○谷本龍哉君 皆さん、おはようございます。
 自由民主党県議団和歌山市選挙区選出の谷本龍哉でございます。一般質問二日目の坂本議員、三日目の小原議員に続き、今議会三人目の初登壇でございます。小原議員ほど紅顔の美少年ではありませんが、よろしくお願いいたします。
 今春の総選挙以来、初めて質問に立たせていただきますが、諸先輩方が築いてこられた和歌山県議会の伝統の重みと代弁者として選んでいただいた県民の皆様に対する責任の大きさを、今この場に立って改めて実感しております。新人の初舞台でございますので、至らぬ点は広い心でお許しくださいますよう、どうかよろしくお願い申し上げます。
 質問に入る前に、一言だけ知事にお祝いを申し上げたいと思います。去る十月三十一日の知事選におかれましては、得票数、投票率ともに前回を上回り、見事二選を果たされましたこと、心より喜び申し上げます。どうもおめでとうございます。
 西口知事の和歌山県と和歌山県民を思う熱い気持ちが、選挙を通じてひしひしと伝わってまいりました。和歌山のために戦い抜くんだという、その強い気持ちのままに、世紀をまたぐこれからの四年間、新たなる挑戦の県政を推し進めていただきたいと思います。私も、最年少、微力ながら、知事が目指す二十一世紀の和歌山づくりに全力で取り組んでまいりたいと思います。
 それでは、通告に従いまして、質問に入らせていただきます。
 第一問は、県都和歌山市の治安問題についてであります。
 本県の平成十年中の刑法犯罪の認知件数は二万一千三百二件と初めて二万件を突破し、過去最悪となりました。人口十万人当たりの発生件数で見ると千九百四十二件で、福岡、大阪、東京、千葉に次いで全国で第五位と大都市並みの件数でございます。また、人口規模が同等の富山県、香川県などと比べますと、犯罪の発生件数は倍以上になっております。本県の治安は、決してよいとは言えない状況にあります。そして特に、人口の偏りの問題もありますが、県都である和歌山市、その中でも和歌山の玄関口でもあり顔である和歌山駅周辺から県下最大の歓楽街である新内周辺にかけて犯罪が急増しております。もしこのままの状態を放置すれば、和歌山県のイメージを損なうだけでなく、経済活動、教育、そして最も大切な安心で安全な県民の生活に大きな悪影響を及ぼすことになるのではないでしょうか。
 ここに、犯罪の減少に取り組み、大成功した例が一つあります。それは、九〇年代初めまで犯罪都市の代名詞にまでなっていたニューヨークであります。ニューヨークと言いますと、今でも危険な町だと思われている方が多いと思いますが、実際にはそうではありません。ニューヨーク市は、現在のジュリアーニ市長が就任して以来、犯罪の減少に積極的に取り組み、九三年から九八年の六年間の間に犯罪を四六%減少させました。犯罪発生率で言いますと、全米には二百十七市があるんですが、その中で百六十六番目となり、また百万人以上の大都市の中では最下位であります。今では、全米で最も安全な大都市と呼ばれております。この最も危険な都市から最も安全な都市へと変貌を遂げたニューヨークが犯罪防止の柱に据えたのが割れ窓理論──ブロークンウインドー、割れた窓の理論という考え方です。簡単に説明しますと、ビルの割れた窓をそのままに放置しておくと、監視の目が届かないと思って無法者が次々に窓を割り、それがやがて大きな犯罪へとつながっていく。つまり、無秩序で雑然とした環境をそのまま放置しておきますと、人々のモラルが低下し、犯罪が増加する。だから、環境を整えて人々のルールを守る意識を高めれば、小さな犯罪が減り、それが大きな犯罪の防止につながるという理論でございます。ニューヨークは、この理論に基づいて、行政、住民、警察、経済団体、ボランティア団体等が協力し合って安全で清潔な町づくりに挑戦し、見事成功をおさめました。犯罪が減少し、流入人口がふえ、経済の活性化へとつながっております。
 繰り返しますが、和歌山市は県都であり、和歌山県の玄関口でもあります。そのイメージは、和歌山県全体のイメージにもつながります。ニューヨークの例、割れ窓理論が必ずしもすべて和歌山に当てはまるとは思いませんが、二十一世紀に向けて、安全で快適な和歌山づくりを進める上で、犯罪の減少は早急に取り組むべき重要な問題ではないでしょうか。ただ、警察にすべてを任せるというのではなく、県、市、住民、関係機関、そして警察が協力し合って、犯罪が起こりにくい環境づくりに総合的に取り組んでいくべきではないかと考えます。
 そこで、お尋ねします。
 県都和歌山市の治安問題について、特に犯罪減少に向けての関係各機関との連携強化について、知事はどのようにお考えですか。その見解をお伺いいたします。
 次に、警察本部長に三点お尋ねいたします。
 一点目は、和歌山市内の犯罪発生の現状と認識、犯罪防止、犯罪減少のための現在と今後の対策についてお聞かせください。
 二点目は、犯罪の増加と関連の深い少年非行の現状とその防止のための対策についてお聞かせください。
 最後に三点目は、去る十二月一日に和歌山駅・アロチ周辺の環境浄化を考える会が開催されたと聞いておりますが、その内容と今後の取り組みについてお聞かせください。
 以上、よろしくお願いいたします。
 次に第二問は、第一問とも関連しますが、犯罪被害者支援の問題についてであります。
 犯罪被害者は、長い間、忘れられた存在、刑事司法からも社会からも顧みられることのない、声なき人々と言われてまいりました。現在の法制度の中では、犯罪の加害者については憲法などで細かく人権が守られていますが、一方の被害者については刑事訴訟法などにも一行も明確な規定がありません。犯罪被害者は、犯罪から直接的な被害を受けるだけでなく、捜査、裁判、報道等の過程においても、精神的ダメージ、ストレスなど、二次的被害、三次的被害を受けることが多い状況にあります。しかしながら、その救済、保護の体制づくりは大変おくれていると言わざるを得ません。
 国においては、昭和四十九年の三菱重工ビル爆破事件を契機として、昭和五十五年に犯罪被害者給付制度が制定され、昨年、本県で発生した毒物カレー事件においても同制度が適用されました。しかしながら、この制度の適用は、被害者が死亡した場合や重度の障害が残った場合に限定され、最も必要と思われる医療費の補償もなく、また最高額も一件当たり一千三百万円までとなっております。昭和五十六年の同法の施行以来、十八年間で対象者の合計は四千百七十八名、支給された合計額が九十三億円、これを一年に直しますと平均で対象者は二百三十二名、そして一件当たり平均二百二十万円にすぎません。また、民間におきまして被害者の精神的被害の回復のためのカウンセリングなどを行っております被害者援助団体は、全国でわずか十三団体しかございません。
 一方、他国の例を見ますと、イギリスでは一件当たり最高一億円の被害者補償があり、四百七十の組織に一万六千人のボランティアを抱えております。またアメリカでは、七千を超える支援プログラムがあり、年間十一万人に対して総額三百億円の補償をしております。国情の違いがあるといえ、その差は余りにも大きいと言えます。
 本年十月二十六日、臼井法務大臣は、法制審議会に対しまして犯罪被害者保護のための具体的な法整備を諮問いたしました。また、日本弁護士連合会は、犯罪被害者の権利や国や自治体の責任を明記した犯罪被害者基本法の要綱案を発表いたしました。地方におきましても、埼玉県の嵐山町で町犯罪被害者等支援条例が制定され、その内容は、単なる給付金の支給から一歩踏み込んで、犯罪被害者の精神的支援、相談に応じる町職員の育成などを条文に盛り込んでおります。
 このように、犯罪被害者支援の体制づくりは少しずつ動き始めてはいます。しかしながら、犯罪は待ってはくれません。いつ、どこで、だれが犯罪被害者となるかわからないのです。他人事ではありません。そして、今現在この時点においても、孤立したままの犯罪被害者が存在し、その人たちは、みずから手を挙げ、声を出すことのできない声なき弱者なのです。私は、国の法制化や政策決定を待つのではなく、一刻も早く地方独自の具体策を練り、精神的、経済的に犯罪被害者を支援していくシステムをつくり上げるべきだと考えます。
 そこで、警察本部長にお尋ねいたします。
 平成九年に結成されました和歌山県被害者対策連絡協議会の現在の活動状況と今後の取り組み、及び地域ネットワークの構築状況についてお聞かせください。
 また、民間のボランティア団体である紀の国被害者支援センターについてでありますが、全国に十三しかない被害者支援団体の一つであり、全国で五番目に立ち上げたということで、他府県に比べ早い対応であり、またボランティアの方々には大変頑張っていただいておりますが、現在の運営時間が平日午後一時から午後四時の三時間、木曜日のみ午後六時から午後九時の三時間だけと、まだまだ十分な体制とは言えない状況であります。この紀の国被害者支援センターに対する支援、連携の状況と今後の展望についてお聞かせください。
 そして最後に、これは要望でございますが、犯罪被害者支援問題は警察の管轄の問題であることはよくわかっておりますが、多岐の分野にわたる問題を内包しておりますので、行政としても何らかの対応を研究、検討していただきたいと、知事にお願い申し上げます。
 次に第三問は、産業廃棄物の県内処理と公共関与についてであります。
 この論点については、向井議員、原議員、村岡議員から既に関連の質問がございました。一部重なる点もありますが、ご了承ください。
 産業廃棄物というと、一般的には不法投棄や不法処理、最終処分場の建設をめぐるトラブル等、マイナスのイメージがクローズアップされがちですが、人間が産業活動を続ける限り産業廃棄物は必ず排出され、この問題を避けて通ることはできません。向井議員が質問されました橋本の問題のような事件を再発させないためにも、産業廃棄物を適正で円滑に処理する体制をつくり、それを維持することは、地域の産業活動を安定的に続けていく上で不可欠であり、また自然環境を守っていく上でも重要なことであります。
 和歌山県におきましては、平成九年に策定されました和歌山県産業廃棄物の越境移動に関する指導要綱に基づき、「持ち込ませない」、「持ち出さない」とする県内処理を原則としております。しかし、公共関与処理の主力であった財団法人和歌山環境保全公社が平成八年七月までで埋め立てを終了したために、現在、最終処分が可能な管理型最終処分場は県内に設置されておりません。その後、引き続き完成した大阪湾広域臨海環境整備センターのフェニックス和歌山基地が産業廃棄物を受け入れ、泉大津沖処分場に処分しております。しかしながら、広域的、長期的、安定的に県内処理の原則を進めていくためには、県内に公共関与による広域的な地域廃棄物処理センター及び管理型最終処分場の確保が必要ではないかと考えます。
 そこで、生活文化部長にお尋ねいたします。
 「持ち込ませない」、「持ち出さない」に係る産業廃棄物の越境移動の現状についてどのように把握されておりますか、お聞かせください。
 次に、県内処理の原則に対し、公共機関は当然にその模範を示すべき立場にあると考えますが、公共機関が出す産業廃棄物、特に公立病院の医療廃棄物等の処理状況はどのようになっておりますか、お聞かせください。
 最後に、公共関与による中間処理センター、最終処分場確保の将来展望についてお聞かせください。
 以上、よろしくお願いいたします。
 最後に第四問ですが、和歌山市内の道路網の整備についてでございます。
 この問題につきましては、既に今までたくさんの議員の方々が何度も質問を行っております。しかし、あえて繰り返し質問させていただきたいと思います。なぜなら、この問題は和歌山県にとってそれほど重要で、急ぐべき問題であるからです。
 都市にとっての道路というのは、人間の体に例えてみれば、血液を運ぶ血管のようなものでございます。その血管がところどころで流れが悪くなったり、詰まったりするような状況では、筋肉も発達しませんし、また体も元気になりません。和歌山市は県都でありますから、いわば和歌山県の心臓部でございます。その心臓の血のめぐりが悪ければ、体全体も元気になれるわけがございません。西口知事が掲げる元気わかやまを実現していくためには、和歌山市内道路網の整備が急務であると考えます。
 我が県出身の偉大な経済人であります松下幸之助さんは、かつて経営の三要素を次のように言われました。一つ目は、将来に対する夢、ビジョンを明確に持つこと、二つ目は、それに至る道筋を具体的に確立すること、そして三つ目は、それらを前提としてきょう何をなすべきか、あす何をなすべきかが明確であること。この三点は経営の真髄であるとともに、今、政治や行政において最も必要とされている要素でもあると思います。
 翻って和歌山市内の道路網整備の状況を見てみますと、市内の都市計画道路四十路線のうち三十五路線が昭和四十年に計画決定されたものであります。私が生まれたのが昭和四十一年ですので、ほとんどの道路が私の生まれる前に計画されたものということになります。しかしながら、そのうち改良済みで完成しているものは、わずか四路線しかございません。具体化の道筋としては、余りにも遅い歩みと言わざるを得ません。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 知事が県内二時間交通圏構想を掲げ、政策を推進していただいたおかげで、湯浅御坊道路の開通、国道三百十一号の全線改良等、県内道路網の整備は飛躍的に進んでおります。そして、二期県政における基本政策であるプロジェクト21の中でも、県内二時間、域内六十分行動圏の確立が掲げられております。これらの政策が非常に重要であることは言うまでもなく、これからもさらに意欲的に取り組んでいただきたいと思いますが、これに加えてぜひ県都和歌山市内三十分構想を策定していただきたいと思います。現在の和歌山市内においては、時間帯、方向、天候が悪ければ移動に一時間以上かかることが当たり前のように起こっております。そして、このことが経済活動にも非常に大きな悪影響を与えております。和歌山市内三十分構想というビジョンの策定、その具体的な道筋の明確化について、知事の見解をお聞かせください。
 次に、土木部長にお伺いします。
 和歌山市内の道路の中には、同一路線上で県の管轄と市の管轄が部分的に混在している路線が少なくありません。例えば、現在整備中の西脇山口線においても、大谷・平井地区は県の管轄、栄谷地区は市の管轄となっております。たとえ、大谷・平井地区が早期に完成したとしても、それに呼応するように栄谷地区が完成しなければ西脇山口線の利便性、経済効率などは大きく失われてしまいます。このような状況を見る中で、市内の道路整備を総合的な視野に立って効率的に進めていくためには、和歌山県と和歌山市が常に協議、協力しながら道路整備を進めていくことが不可欠であると考えます。そのためには、個別、路線別に事務レベルでただ話し合うというのではなく、市内全体の道路整備を政策的、総合的に議論していく県市の常設協議機関の設置が必要ではないかと考えますが、このことについて土木部長の見解をお聞かせください。
 道路問題は多岐にわたりますが、今回は総論的問題のみとさせていただき、各論についてはまた次回機会を得ました折に質問させていただきたいと思います。
 以上をもちまして、私の第一問目を終了させていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの谷本龍哉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 谷本議員にお答えをいたします。
 ご祝辞ありがとうございました。
 ただいま、県都和歌山市の治安問題に対する思いをお聞きいたしまして、谷本議員同様、犯罪を減少させなければならないとの思いは、私も全く同感でございます。私は、県民が明るく生き生きと暮らせる、犯罪のない活気に満ちた町づくりを目指しているところでございます。犯罪を防ぎ、県民生活の安定を図ることを目的として、従来より私が会長を務める暴力団追放県民センター、あるいは薬物乱用対策推進本部などが主体となりまして県民運動に取り組んでいるところでございます。
 和歌山市における犯罪の発生状況を見るとき、議員のお話にございましたように、ニューヨーク市が見事によみがえりつつあるという例のように、犯罪を減少させるためには、警察による厳正な取り締まりとあわせて、警察と行政、議会、関係団体、地域等が緊密な連携を図るとともに、市民一人一人の意識を高めて、小さな犯罪の防止から地道に継続して取り組む必要があると思ってございます。そうした意味からも、各種の団体が一堂に会して、先般開催された和歌山駅・アロチ周辺の環境浄化を考える会において環境浄化に向けた論議が始められたことは非常に意義深いことと思ってございます。当会の一員でもある県といたしましても、最大限の支援をしてまいりたいと考えてございます。
 今後とも県民総ぐるみで、犯罪のない、安全で快適な明るい町づくりを目指して取り組んでまいりたいと考えてございます。
 ご要望のございました被害者支援につきましても、十分承っておきたいと考えております。
 次に、県都和歌山市の基盤となる道路整備につきましては特に重要であると、私も認識してございます。市内三十分構想というご提案もいただきましたけれども、今後とも和歌山市内の特に都市計画道路につきましては、積極的に整備を進めていく必要があると考えてございます。私も、常々そのことを強く思っておるわけでございます。
 和歌山市域の道路整備のビジョンといたしましては、市内外周部の環状道路、放射道路、及び環状道路の内部を構成する東西、南北の幹線道路から成る和歌山都市圏幹線道路計画がございますけれども、和歌山市域は、おおよそ南北が十五キロ、東西が二十キロございまして、これらの道路整備が進めば市内をおおよそ三十分で行き来できるようになるものと考えてございます。
 具体的な整備の道筋といたしましては、こうしたネットワークの中から、建設省、県、市で役割分担をしながら、現在、紀の川断面、あるいはJR紀勢本線との横断部等の必要性の高い区間から整備をしてございます。
 今後、早期に整備をするためには、多くの議員からもお話がございましたが、用地取得の促進を図るための工夫、人員の強化なども含めてでありますけれども、さらに建設省、県、市の連携、予算のいろいろな工夫をする等、多様化を図りながら進めてまいりたいと考えてございます。私も、市内の道路整備の進まないことに一番歯がゆい思いをしている一人でございますけれども、今後ともこうした道路整備の考え方を県民の方々にも、よりわかりやすい言葉でPRをしていき、同時にご協力をいただくようにお願いしたいと思っております。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 谷本議員ご質問の廃棄物問題に関する三点についてお答えいたします。
 まず一点目の越境移動の現状についてでございますが、県では平成九年六月に和歌山県産業廃棄物の越境移動に関する指導要綱を定め、県外からの廃棄物の持ち込みについて規制をしているところでございます。
 この要綱では、産業廃棄物の搬入については原則的に禁止いたしておりますけれども、例外的措置といたしまして、次の要件を満たす場合に限り搬入を認めた事例がございます。その一つは、要綱施行時点で排出事業者と処分についての契約を既に締結している場合、二つ目は、持ち帰り産業廃棄物として、県内の建設業者等が他府県で工事等を行った際に発生するもので、その近くに適切な処分場がない場合、三つ目が、県内において有効利用のための処分が行われる場合でございます。これらのいずれの場合につきましても、事前に知事の承認を受けなければならないこととしてございます。
 なお、承認の件数につきましては、平成九年度は三百十九件、十年度は四十九件、十一年度は十一月末現在で二十四件となってございます。また、事前協議があったもののうち二件を不承認としてございます。なお、産業廃棄物の県外からの搬入量は平成八年度の約四十六万トンに対しまして、平成九年度では約十六万トンと減少してございます。
 続きまして二点目の、公立病院の医療廃棄物の処理状況についてでございますが、県立の病院である県立医大附属病院、紀北分院及び五稜病院につきましては、和歌山市内の中間処理業者において焼却処理されてございます。また、他の公立病院におきましても、ほとんどが和歌山市内で焼却処理されてございます。今後、さらに県内で処理するよう指導してまいりたいと考えてございます。
 最後に、三点目の公共関与についてお答えいたします。
 産業廃棄物は排出事業者にその処理責任がございますが、中小企業の多い本県におきましては何らかの公共関与が必要と認識してございます。その方式、取り扱い産業廃棄物の種類、処理の方法、採算性等につきまして、今後実現に向けて検討してまいる考えでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 和歌山市内の道路整備を総合的に検討する県市の常設協議機関の設置についてお答えいたします。
 現在、市内の道路の整備については、必要に応じて関係者との協議会を設けており、その一例として和歌山北バイパス事業調整連絡会があり、建設省和歌山工事事務所長、和歌山市助役、県土木部長などが構成メンバーとなって、その時々の問題点について協議しております。また、将来の道路網構想や整備のあり方等、その時々の必要なテーマについて、県市だけでなく建設省等国の機関を含めた委員会を設置しておりまして、これまでも県市連携して整備の課題を協議しております。
 市内の道路整備をより一層円滑に進めるためには、今後とも県市の連携が重要であり、そのための常設機関の設置について今後和歌山市と協議してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 警察本部長樋口建史君。
  〔樋口建史君、登壇〕
○警察本部長(樋口建史君) 一点目の、和歌山市内の犯罪情勢とその対策についてであります。
 議員ご指摘のとおりであります。県都和歌山市の治安情勢は、残念ながら大変憂慮すべき状況にあります。これまた議員ご指摘のとおりでありますけれども、昨年の都道府県別犯罪発生率を比較してみますと、これは人口十万人当たりの刑法犯の認知件数ですが、本県はワースト五位であります。人口約百九万五千人の和歌山県が、東京、大阪などの大都会と肩を並べるほどの犯罪発生率であるという背景には、和歌山市の治安情勢の悪化が非常に大きく影響しているわけであります。
 和歌山市だけをとらえてみますと、実に犯罪発生率全国一の福岡県をさらに数的に上回っておる状況です。同規模の都市である高松市、金沢市あたりと比べてみますと、二倍以上といった状況です。ことしも、十月末現在の和歌山市の犯罪発生状況は、昨年に比べてさらに悪くなっておりまして、刑法犯の認知件数は率で一五%増、件数で千三百件増の九千八百件余りとなっております。和歌山市のこの数字は、県全体の五三%を占めております。特に殺人、強盗といった凶悪犯だけを見てみますと、市内の数は県全体の約六〇%であります。こういった意味で、犯罪の質、量ともに悪化している和歌山市の治安情勢が県全体の数値を押し上げており、大きく影響を与えているところであります。
 警察の責任が大変大きいわけでありますけれども、私どもといたしましては、警察署の管轄区域の見直しとか、犯罪多発地域への警察力のパワーシフトなどの体制強化等を図ってきてはおりますが、なかなか効果があらわれていないのであります。一般的に見ると、治安や安全に関する市民の皆さん方の関心が必ずしも高くないこと、そしてまた地域社会における連帯意識がだんだん希薄になってきていることなど、警察にとっては捜査を取り巻く環境が悪化してきておりまして、結果的に犯罪の増加に見合った十分な対応ができていないというのが実情であります。
 治安対策の原点といいますか最も重要なことは、犯罪が発生してから、捜査し、早期に犯人をとらえ、事件を解決するというのが警察の責務でありますが、その前に犯罪の発生をいかに抑止するかということが重要であります。ご承知のとおり、犯罪の未然防止は警察の努力だけでは限界があり、実現が難しいわけであります。県や各自治体、ボランティア団体などによる県民総ぐるみのきめ細かな対策を今後展開していくことが重要であろうと思います。
 まず、県民の皆さん方に対しましては、かぎかけとか、お隣同士の声かけといった、だれにでもできる自主的な活動を地道に実践していただけるように呼びかけてまいりたいと思います。また、県や自治体との連携をさらに強化しまして、町を明るくし、死角を解消するなど、犯罪の発生しにくい町づくりに向けた働きかけを強めてまいりたいと考えております。
 次に、少年非行の現状と対策についてであります。
 少年非行につきましても、非常に厳しい情勢であります。全国的にも、現在は戦後第四の上昇局面にあると言われております。現在の特徴は、いきなり型の凶悪、粗暴な非行が多発しており、非常に深刻化しておるわけであります。本県について見てみましても、昨年中、飲酒や喫煙で補導された少年まで含めますと、補導された少年の数は一万七千人余りでありまして、これまた人口比に換算すると全国ワースト六位であります。特に和歌山市内の少年非行は、県全体の約半数を占めておるわけであります。強盗などの凶悪な犯罪、シンナー等の薬物乱用だけを取り出してみると、県全体の約八〇%が和歌山市内であります。
 内容的にも、二つほど紹介しますと、これはことしの検挙事例でありますが、中学生を含む少年だけのグループによる常態的なひったくり、覚せい剤使用の事件、女子中学生グループによる連続恐喝事件など、悪質、粗暴化してきております。その多くが和歌山駅周辺などの繁華街で発生しているところであります。警察におきましては、街頭補導活動の強化でありますとか、高校や中学校における薬物乱用防止教室を開催するなど対策を進めてきておるのでありますが、やはり何と申しましても重要なのは家庭や地域における非行を抑止する機能でありまして、この点十分に機能しておるのかどうかについて危惧を抱いているところであります。
 その一例でありますけれども、街頭などでたばこを吸っている少年がいても無関心で見過ごしてしまいがちになっているといったことが実態ではないかと思うのであります。
 今後、警察といたしましても、学校、少年センター等の関係機関、団体との連携のもとに、非行の少年には必ず一声をかけ、非行を見過ごさないといった、環境づくりに向けた積極的な活動を強めてまいりたいと考えております。
 三点目の、和歌山駅・アロチ周辺の環境浄化を考える会の開催に至った経緯と今後の取り組みでありますけれども、既に申し上げましたとおり、県内の治安は非常に厳しい状況にあり、中でも和歌山駅、新内周辺は治安上のさまざまな問題、課題が凝縮された地域であります。申し上げるまでもなく、治安維持、安全確保の第一義責任は警察にあるわけでありますから、警察といたしましても、この地域の環境浄化をこれまで最重要課題として取り上げ、努力を重ねてきたところでありますけれども、残念ながらこの状況の悪化に歯どめがかからないまま今日に至ったということであります。
 そこで、私どもの環境浄化に対する熱い思いを、地域の方々を初め、自治体、関係機関、団体の方々に広くご理解をいただいて機運の盛り上がりを図り、それぞれの持てる力を結集した取り組みが必要不可欠と考えまして、警察が出過ぎるのではないかといったご批判を覚悟の上で、あえて警察が事務局を務めまして、各界の代表の方々のご出席を得て考える会の開催に至ったわけであります。
 考える会の席上では、ご出席をいただいた関係者の方々から実に多くの具体的な提言をいただきました。例えば和歌山市からは、地域安全推進条例の制定予定とか、安全で明るい町づくりのための取り組み強化など、非常に具体的な提言をいただきました。少年非行防止対策や犯罪抑止対策に係る大きな七項目について決議をいたしまして、今後、出席者全員が力を合わせて安全で快適な町づくりを推進することを申し合わせたものであります。
 今後の取り組みでございますけれども、新たに設置を予定しております協議会を通じて、関係者相互の連携を密にしながら進めていくことといたしておりますので、ご理解とご支援をお願いいたしたいと存じます。
 それから、犯罪被害者支援についてのご質問であります。
 まず一点目の和歌山県被害者対策連絡協議会でありますが、議員もご指摘のとおり、本県における被害者支援の取り組みは全国的に見てもかなり進んでおります。この協議会も、全国で七番目に結成されたものであります。その構成員は、県、自治体、弁護士会、臨床心理士会等、実に十七の機関、団体に及んでおります。その活動状況でありますけれども、この協議会は申しますならば場でありまして、この場を通じて多くの会員相互の連絡が行われ、連携が図られております。また、この協議会を舞台に、よりよき被害者支援のあり方についての討議や研究が行われているわけであります。
 昨年のカレー毒物混入事件に際しましては、発生直後の八月十日に緊急会議を開きまして、会員がそれぞれ行うべき支援策についての調整を行った上で、直ちに各会員が被害者からの各種相談に対応するなどの活動を行ったところであります。
 現在の活動状況と今後の取り組みですけれども、この協議会はおおむね年に一回、会員一同が顔を合わせて、それぞれの分野で行うべきよりよい支援方策について意見交換等を行っているところであります。
 今後の課題としては二つあるんですけれども、一つはその連絡窓口が必ずしも明確でないということで、これが明確でないとその要請、要望になかなかこたえづらいというところがあります。そこで、連絡窓口をより明確化したいということが一つであります。さらにもう一つですが、新たに会員として医師会の加入を求めるなど、会員の拡大を進めてまいりたいと考えております。
 次に、地域ネットワークの構築状況についてであります。
 有効な被害者支援を行うためには、被害者の生活の場におけるきめ細かな支援が極めて重要であります。このため、先ほど申し上げました県の協議会のもとに地域ごとのネットワークの構築が必要とされているわけであります。これまでに、橋本、妙寺、岩出、海南、田辺、白浜及び新宮の各警察署管内をカバーする五つの地域でネットワークができております。残りの地域におきましても、関係する警察署を中心として設置準備を進めているところであります。
 二点目の紀の国被害者支援センターについてでありますが、この支援センターはボランティアの方々から成る民間組織でありまして、先ほど申しました県の協議会の会員でもあります。この支援センターでは、ボランティアの人たちがいろいろな被害者から直接相談を受けるなどの現場活動に当たっておられます。昨年のカレー事件では、これらのボランティアの方々が被害現場に直接出向きまして、心の相談に関する資料等を各家庭に配布されたところでもあります。また現在も、このカレー事件の被害者のために、カレー事件の公判の傍聴席を確保するなどの支援を続けているところであります。
 ちなみに支援センターでの相談件数でありますが、設立当初は年間約七十件であったのが、ことしは十一月末で百五件と徐々にふえてきております。このセンターの活動日数、活動時間についてでございますが、設立当初は週三日でありましたけれども、カレー事件を契機として平日は毎日相談業務が行われるようになってきております。ボランティアの方々は総勢三十二名でありますけれども、大変よくやっていただいていると考えております。
 運営時間についてご指摘がありましたけれども、相談員は現在三十二名と人数が限られているほか、すべてボランティアということで時間的な制約もあります。また活動経費の問題もございまして、時間延長に苦慮しておると聞いております。
 警察といたしましては、これまでも財政面でいろんな寄附を募ってお届けするとか、研修会への講師派遣、関係資料の提供等を行ってまいりましたけれども、運営時間の延長のためには相談員の拡充と活動経費の確保が最も重要であろうと思います。センターを財政面から支援すべき賛助会員は、現在、個人、団体合わせて百八十四でありますが、今後会員の拡充を図るなど、財政面の支援をさらに強化していきたいと考えております。加えて、ボランティア相談員の募集広報について、警察としては交番や駐在所のミニ広報紙を積極的に活用するなど、効果的な支援を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十七番谷本龍哉君。
○谷本龍哉君 非常に丁寧な答弁、どうもありがとうございました。
 二点ほど、要望だけ言わせていただきたいと思います。
 まず、治安問題と犯罪被害者、両方まとめてでございますが、今、年二万件の犯罪ということは、それは見えている部分だけですので、それ以上の犯罪が潜在的にある。ということは、これに対して被害者が二万人以上、毎年新たに生まれているということでございます。単純計算ですけれども、これをもし五年続けますと十万人以上、和歌山県の十人に一人が五年間で犯罪に遭うということで、県民一人一人にとって他人事ではない状況であると思います。
 ですから、警察のみならず、県市協調しながら、また各種団体との連携を強化していただいて、検挙率を上げるというのも大切ではあると思いますが、とにかく全体数を少なくするという点に重点的に取り組んでいただきたいと思います。
 また、紀の国被害者支援センターの問題ですが、ボランティアの活動でございますので、支援という形にもいろいろ限界があると思います。
 先日、センターにお伺いしていろいろな話をさせていただいた中で、一生懸命やっているんだけれども、そういう被害者支援の機関があるということを県民の皆様がまだよく知らない。もしこれをみんながわかればもっと相談件数がふえるであろうし、協力してくださるボランティアの方々ももっとふえるであろう。その点について特に広報の問題について重点的に協力していただきたいと要望したいと思います。
 それと、産業廃棄物の公共関与に関する問題です。
 福祉環境委員会の方で岩手県へ視察に行ってまいりましたが、岩手県の場合、平成三年に財団法人クリーン岩手事業団を設立しまして、七年には完全管理型の最終処分場を備えた産業廃棄物処理施設を完成しております。これは、全国で初だということです。産業廃棄物の問題は検討中ということですが、待ったなしの状況に今あると思いますので、できるだけ早く期限を切って検討をいただいて結論を出していただきたいと要望いたします。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で谷本龍哉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十四番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、来年度の予算編成方針に関連をしてお尋ねをします。
 一つは、平成十年度の予算執行の総括と現在進行中の十一年度の中間総括についてであります。
 平成十年度の決算によりますと、年度内に四百八十三億円の補正予算が組まれました。そのほとんどが土木関係でございまして、この部門だけが当初予算に比して三八%突出をしたことになります。ところが、ほかの部門についてはほとんどゼロに近いか、あっても極めてわずかです。
 ここで、二つの問題を感じます。バランスの問題と財源の問題です。
 まず、財政運営のバランスの問題です。これによって土木関係での県民の求めていたものはある程度実現されたということはありますが、県民が求めていたものは土木関係事業だけではございません。教育関係でも先生をふやしてほしいとか、老人福祉では特別養護老人ホームをつくってほしいとか、そのほか多種多様でありました。ところが、補正でなされたことと言えば、圧倒的に土木関係公共事業でありました。県の行政が確実にアンバランスに運営されているということです。こういう傾向が続いてまいりますと、大きないびつを生んでまいります。このような財政は不正常だと思うのですが、どのように考えておられるか、お示しください。
 もう一つは、この補正の財源の問題です。これは、ほとんどがこれまた起債でございました。十年度の予算編成に当たっては、県債発行額を前年以下に抑えようとしていた基本方針がありましたが、このたび重なる補正によって、その基本的な方針は全く意味をなさないものになりました。当初予算の県債発行額は六百六十三億円でしたけれども、それに四百二十七億円プラスをされたわけです。県債は、この間実に一千億円を超して発行されまして、歳入におけるその比率は一五・九%にまで押し上げてしまいました。十年度末で言いますと、県債残高は六千七十五億円となりまして、県みずからがつくった一つの指標としての財政事情の中期展望が示す十年度末県債残高五千八百二十七億円を二百五十億円も上回る結果となってしまったわけであります。このような結果をもたらしたのは、主として国の経済対策への呼応です。国の事業には協力するのが当然、借金しても立派に社会的資産として残っていく、経済対策だからやむを得ないとして無制限にそれに対応していくことは、県財政の破綻への道をまっしぐらと懸念するところであります。今年度も同じ轍を踏みつつあります。八日に提案された十二月補正予算は、昨年度より若干金額は少なくなっておりますが、形としては十年度と全く同じパターンです。県債を八十億を超えて発行するということまで同じ形です。県債残高は、この時点で約六千四百億円になってまいります。一般会計予算を超える金額であります。このような県の財政力を無視した際限のない借金政策は、本気で見直すべきだと考えます。ことし八月に発表した財政運営プログラムでは、「県債の新規発行を抑制しない限り公債費は今後とも高水準で推移する。交付税措置があっても、公債費の伸びに伴い交付税措置外の負担も増加しており、公債費が県財政の大きな負担になっていることは否定できない」として、みずから戒めているところであります。交付税措置があるからといって安易にその策に乗るべきではないということも、正しく指摘しているところであります。ところが、現実は逆を行っています。今日までの借金政策をいかにお考えになっているのか、お示しいただきたいと思います。
 このような視点で来年度の予算編成方針を見てみますと、来年度もまた経済対策が最重点課題に掲げられ、国との連携のもとに景気対策を適切に実施していきたい旨が、まず冒頭述べられております。私は、国の経済対策が着実に功を奏しているならば、この文言にあえて異議を唱えるつもりはありませんが、現実はその不成功を物語っています。公共事業中心の経済対策がその力を発揮する時代ではないということは経済学の大方の説となっており、ここ数年間続けられたゼネコン対策型大型公共事業を中心とした経済対策が無力であったことは現実が証明しています。しかし、引き続いて地方に対して借金を許すから公共事業を進めよという景気対策が来年度も継続されそうな中で、もろ手を挙げて国の政策への呼応というのは財政健全化の道から外れ、県民の後年度負担の一層の増大を来すことになるのではないかと懸念するものであります。それは、同時に県民の切なる福祉や教育施策への願いに対する抑制に直結してまいります。借金を道連れにした公共事業中心の景気対策は見直すべきだと思いますが、いかがですか。
 平成十年度の予算編成方針には、公債費を抑制するため県債発行額を前年度額以下に抑えると、曲がりなりにもうたっておりました。昨年度からその文言が消えました。予算編成方針の中に明確に県債発行の抑制を掲げるべきだと思いますが、いかがですか。
 関連して、行政改革についてお尋ねをいたします。
 県債を際限なく発行しながら、アンバランスに公共事業を進める一方、行政改革の名においてちびちびとした県民生活にかかわる予算の削減が続けられています。今回の予算編成方針にも県単扶助費の据え置きは示されていますが、そのほかの独自の施策は見直しの対象になっています。明らかにむだと判断できるものは当然削減の対象になるでしょうが、難病患者の団体への補助金を削減したり、商工団体のイベントへのわずかな補助をカットしたり、長寿祝い金の支給を百歳にまで引き上げてみたり、生きる希望や経営意欲を削り取るようなことは、やるべきではありません。住んでいてよかった和歌山、元気和歌山のキャッチフレーズが泣いてしまいます。そのような県民にとって酷な削減策はとるべきでないと考えますが、いかがですか。
 そして、何をなぜ削減あるいは抑制したのかを県民に公開して了解を得るべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 職員の定員管理についても、減らせばいいというものではありません。明らかに増員して仕事の量をふやすべきだと思われる部署もあります。定員削減まずありきでは、行政は県民に福利を提供するところだという原点から外れます。例えばの話ですが、膨大に膨れ、予算のバランスを崩しつつある土木関係費のごく一部を割けば教員定数を大きくふやすことさえできますし、人さえあればもっと豊かな経済対策ができるのにと思われるようなところもあります。定員管理は経費削減の視点もさることながら、県民へのサービス提供の拡充の視点こそ大切であろうと考えますが、いかがでしょうか。
 続いて、市町村合併問題についてお尋ねをいたします。
 本年八月、自治事務次官の名で「市町村合併の推進についての指針の策定について」という文書が各都道府県に届けられています。それによりますと、都道府県が平成十二年中の早い時期に市町村合併についての要綱を策定し、合併の機運の醸成を図れということになっています。県としてもそれに呼応すると聞いておりますので、どのような姿勢で臨まれるのかをお尋ねいたします。
 国の市町村合併促進の根拠として、地方分権の推進が建前になっています。今の自治体は小さ過ぎて地方分権の受け皿にならない、分権を進めるためには市町村という基礎的自治体が行財政基盤の強化や広域的対応能力を強化せねばならないというのが中心になっています。最近までは、合併は自主的なものとして国や県の直接的な関与は見えにくいものでありましたが、昨今ではさまざまな形で表に出てまいりました。市町村があえて求めていないときに、国の主導でその実現を図り、その担い手として県が動かされるという感じです。本来、地方分権と市町村合併とは別のものです。小規模の自治体でも、財源がきちんと保証されるならば、地方分権による新しい事務も十分にこなしていけるでしょうし、市町村を超えるような広域的な仕事は現在の一部事務組合でもできるでしょう。あえて合併がなければ分権や広域的取り組みができないというものではないと思うのですが、いかがでしょうか。
 また、効率的行政ということを重点にして合併が進められるとすれば、これは住民にとって随分と厳しいものになってまいります。合併した新しい自治体の中心部分には集中した投資が可能になるかもしれませんが、それは周辺部の放置や一層の過疎化と表裏一体にならざるを得ません。その結果、住民が不便を余儀なくされ、周辺部では新たな過疎が進行したり、地域の崩壊を促進することになりかねません。行政の立場からして、確かに効率化が図られたとしても、住民の立場からすれば、役場が遠くなり、行政から住民に対する目も遠くなり、かつての役場の周辺のにぎわいが消えていきます。昭和三十年代の合併の後に、そのような姿を見ることは決して少なくありません。形式的に合併して行財政力を大きくしても、実質的に山間部、周辺部を含めた地域の持続的な発展の力を失うことになり、国土の荒廃といびつな地域をつくることにはならないかと懸念されます。いかがお考えでしょうか。
 和歌山県下の市町村で、現在、自発的に合併を志向したいと意思表示をしている自治体はありますか。
 社会経済研究所のアンケートを見ても、合併を漠然と考えているような首長はあるようですが、自治体の意思として表明しているところはありません。和歌山社会経済研究所が首長や議長に行ったアンケートには、政治をするという立場から漠然とした合併論が総体的に高いようですが、和歌山県市町村行財政調査委員会が住民を対象に行ったアンケートの合併の賛否の項を見てみますと、全体として賛成が一七%、どちからといえば賛成が二二・一%、合わせて三九・二%です。しかも、合併の対象と考えられそうな小さな自治体ほど賛成の率は下がっています。また、反対の意思表示をした方は二二%、どちらかといえば反対とした人が一二・五%、合わせて三四・五%となっており、賛否はほぼ拮抗していますが、ここでも小さい自治体ほど反対の意見が多くなっています。このような結果を見ると、合併への機運は成熟しているとは到底考えられません。いかがお考えでしょうか。
 知事は、合併の必要性をどこに見出しておられますか。効率的行政からの出発であれば、住民の犠牲が必然的に生じます。どういう思いで合併促進を考えておられますか。
 市町村合併というのは、本来内発的なものでなければなりません。行政の福利を享受する住民の総意によって決められるものであります。政府のご都合やそれに単に呼応した県の旗振りで決められるものであってはなりません。県が初めから合併する市町村の数を決めて、それにあわせて合併問題を考えるとすれば、それは地方分権の思想にももとるものであります。そもそも第三次と言われる今回の合併キャンペーンは、基本的には住民の声にこたえてというものではなく、明らかに国主導のものであり、分権の名による地方制度の再編をねらったものであると考えられます。それは、事務次官の通達の中にも、市町村の合併パターンは県がつくれと、はっきりうたっていることからも明らかです。その他、微に入り細にわたって細かい指示がされ、合併のモデルを地図に落として市町村に示せとさえあります。それが提示されれば、市町村は恐らく単なる資料としてではなく、県の意思として受け取るでしょう。国の文書には、その反面、住民主導ということにはほとんどと言っていいほど触れられておりません。
 和歌山県市町村行財政調査委員会の行ったアンケートで、「市町村合併の進め方」という項目を見てみますと、延べ五千二百九十一の回答の中で、住民投票で意見を聞くとか、合併目的など住民の理解を得るとか、町づくり委員会の設置などという項目で千を超える回答があったことに対して、国や県が強力に推進をするという回答がわずかに百四十五しかなかったという住民の意識こそ尊重されなければならないものだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 私は、市町村がみずから主体的に判断して進められる合併を一面的に否定するものではありませんが、そこに対しても県の意思ありきの姿勢で臨むべきではないと思います。知事にあっては、合併の本来を想起し、国主導、県の旗振り合併は厳に慎むべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、中小企業対策について。
 中小企業基本法が改正され、国の中小企業対策も変化し、地方自治体の取り組みも徐々に変化を来してくるだろうと思います。国のその方面に対する対策は従来粗末をきわめ、今年の中小企業対策費は千九百億円で、予算の〇・四%でしかありませんでした。今回の基本法改正で、中小企業の重要性をうたっていた前文のほとんどが削除され、中小企業のために設けられていた過当競争の防止とか、下請取引の適正化、中小企業製品の輸出振興、地場産業を守るためのセーフガードなどの項目も大半が削除されました。そして、かわって経営革新とか創造的事業活動とかが強調されるに至りました。堺屋経済企画庁長官もはっきりと、中小企業対策も弱者として保護する対策はとらず、中小の中から強者を育てていくと語っていますが、まさにベンチャーとか伸びる可能性が認められたものだけへの支援対策に基本的に切りかえられ、弱者保護の政策が退いていく方向になっています。和歌山県の中小企業の現実にかんがみ、当局にあってはこの法改正をどのように考えておりますか。
 そのような動きの中で、ベンチャー企業の育成ということが随分ともてはやされる傾向があり、県としても国の新事業創出法などによる政策的リードによって、ベンチャー対策になかなか熱心のようであります。きのくにベンチャーランド構想によると、和歌山地域集積促進計画等による産業支援サービス業の育成、地域産業の高度化、高付加価値化の促進及び加工組み立て型製造業や研究所等の誘致・育成などによる産業振興を展開してきたが、全国的に産業立地が低水準で推移し、県内への企業誘致が低迷するなど、今後、一層内発的な産業振興、とりわけ地域資源を生かし、県経済の持続的な経済成長をもたらす新産業の創出・育成が重要となると述べており、ベンチャー企業の育成に力を入れていることがわかります。
 ところで、和歌山県下におけるベンチャー企業というのは、ここ数年をとってみて、どのくらい創出され、どのくらい存在していますか。
 ベンチャーというのは、ご承知のとおり、危険を冒すという意味が元来の意味合いです。全国的に見ても、ベンチャー企業と言われるのは全中小企業のうちで〇・一五%と言われます。そういう中にあって、和歌山ベンチャーランド構想によっていかなる期待を持っておられますか。
 新しい企業の創出のための環境づくりも必要なことではあるでしょうが、何といっても現に操業し、和歌山県経済の担い手になっている中小企業に対して行政が何をしなければならないか、そこに必要な支援策を可能な限り講じていく、そこにこそ最大の重点が置かれなければならないのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 次に、県下の中小企業の経営実態やそこで働く労働者の実態をできるだけ詳しく掌握すべきだという問題を考えたいと思います。
 県下中小企業のためさまざまな形で施策されておる割には融資等限られた部分しか余り功を奏していないなどとの、業者からの声も聞きます。中小業者の経営に関する要望は多種多様であって、県行政としてその多様性にこたえていくことはなかなか困難なことではあります。しかし、実態の掌握のないところに有効な策は生まれてまいりません。もちろん、それは市町村との協力なくしてはできません。東京都墨田区や東大阪市では、中小業者の実態を悉皆調査によって把握し、その期待にこたえようとしております。そこでは、行政は中小業者の守り手として大きく期待されております。県としてぜひ考えるべきことだと考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、そのような調査の継続と研究によって、庁内に産業政策会議のような組織を継続的に構成し、中小企業の発展を図る機能を発揮させるべきではないかと思います。産業政策は幾つか既に持ってはおりますが、必ずしも有効に機能しているとは言えません。それは、実態に十分即していないというところに原因があります。まず、細やかな調査と継続的な政策研究、その体制をつくることが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 また、景気対策と言えば土木というパターンが久しく続いていますが、それで仕事が回ってくるのは特定の職種に限られます。住宅関係が最も多様な職種を求めていると言われておりますが、福祉施策ともあわせて高齢者や障害者のための住宅改造など、行政が支援しなければならない分野は幾らでもあります。そういうようなことも、仕事づくりという観点から、商工関係課がもっとイニシアチブを発揮すべきだと思いますが、あわせお答えをいただきたいと思います。
 続いて、年末の金融対策についてお尋ねをいたします。
 一部でささやかれている不況脱出の胎動等は、県下中小企業の圧倒的部分には感じられません。年末をいかに切り抜けるか、必死の思いで頑張っておられる方々がたくさんおられます。借りた金が返せない、商工ローンに手を出すのは大やけどだとわかっていながら、十分に分別のある方々でもそこに駆け込む、和歌山県下でも随分多くの業者が超高利のローンで苦労していると推定されます。
 ついては、中小企業金融安定化特別保証制度がことしから返済の時期になっておりますけれども、その猶予期間を一年間延長するなど、金融に苦しむ中小企業を援助してはいかがでしょうか。不況は回復の気配が一部には見えてきたとの説もありますが、和歌山の多くの零細企業にはほとんど実感がありません。その現実を直視して救済の措置を講じるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、商工ローンの高利に悩む業者に対しても、県として低利の資金に借りかえる相談を受けてやるようにしてはどうでしょうか。すべての希望をかなえることは難しいかもしれませんが、可能な限りこたえてやるべきではないでしょうか。そのために、現在の融資枠を拡大する措置を講じる必要があるならば、その措置をとっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 続いて、住友金属のリストラに関連してお尋ねをいたします。
 住友金属のリストラ計画が発表されて四カ月になります。年末を控えて一体どうしていくのだろうという不安が、関連産業やそこで働く人々の間で日々募っています。県の方も特定企業対策連絡協議会を構成し、この事態に対処されているところであります。この住金リストラは、労働者の削減と外注コストの三〇%切り下げという今までにない厳しい内容で、県もいち早く住友金属へ和歌山県経済への影響を懸念する立場から、その影響を極力少なくするよう申し入れたところでありますが、その後、県の申し入れなどに対して、住友の方からその計画の見直しや手直しなどが行われたというようなことを聞いていますか。県民を代表して知事が申し入れたことに対してはしかるべき対応があろうかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
 和歌山県経済に多大の影響があると当局も判断されているところですが、具体的に下請各社にどのような影響があるのか、あるいはそこで働く人々にどんな影響が出てこようとしているのか、調査されていれば明らかにしていただきたいと思います。
 ある運輸業者に聞きますと、今でも赤字でどうしようかと苦労している、今までも単価切り下げは幾度もあった、労働者にしわ寄せをしたり、設備を改善したり、できることはみんなやって赤字ながら何とかしのいでいるが、これ以上は何ともできない、三〇%ダウンの見積もりなどはうそでも書きようがないと言っていました。そこの労働者も、これでは月給を下げるしかないだろうが、これ以上下げられては自分ところの生活は成り立たない、ふだん高給を取っていれば何とかしのげるだろうが、今の賃金からさらに削られるとなれば家族に顔も向けられない、腹が立つより情けないと嘆いておりました。トラック業界は全体に赤字だということをトラック協会の事務局長から説明を受けました。協会としても頑張るが、県の特定企業対策連絡協議会にお力を出していただくことが唯一の頼りだという切なる思いも聞いてまいりました。関連企業の経営やそこで働く労働者の生活はどうなるのか。何しろ、一年間に労働者の賃金や外注費で二百億円を浮かそうというのですから、生活や経営に生々しい影響が出てくるはずです。マイナスの経済波及効果は、それをはるかに上回るでしょう。どのように調査、推計されておりますか。
 大企業のリストラは、県財政や県民生活に多大の影響を与えます。今回の住友金属の措置は、その発表までは県当局も知らなかったようですが、どちらの責任かは別として、住友金属の社会的責任感の欠如と県の情報収集力の欠如だけははっきりしています。大企業の社会的責任ということについて言えば、住友金属の自覚だけでなく、県みずからも企業に対してその責任を果たさせる責務のあることをもっと自覚すべきだと思います。そういう立場から、今後、一定の規模を持った大企業のリストラ等に対しては県との間に事前に協議するシステムをつくるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 以上で、第一問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 まず、来年度の予算編成方針についてでございます。
 来年度の予算編成方針につきましては、現下の経済、雇用情勢を踏まえまして、収支不均衡の段階的解消を図りながら、できる限り景気浮揚に努めることといたしました。お話にございましたが、国との連携、役割分担のもとで、十一年度中の追加補正による措置も含めまして景気対策を適切に実施することとしたところでございます。
 現下の経済情勢は最悪期を脱しつつあるとはいうものの、経済の自律的回復に向けた民需の動向はまだ弱いわけでございまして、本格的な回復に向けて一段の対策が求められている状況でございますので、県債の発行についても県民のご理解はいただけるものと考えてございます。もとより、中長期的な観点から財政の弾力性の回復に向けて県債発行額の抑制に努めることは重要なことでございまして、財政運営プログラムではそのような考え方をお示ししたところでございますし、来年度予算編成方針においても弾力的な財政構造の実現へ向けて、財源の効率的、計画的な配分に努めることとしてございます。
 次に、行政改革についてでございます。
 まず補助金等の整理合理化につきましては、行政改革の観点から、行政の責任分野、経費負担のあり方、行政効果等を精査の上、見直しを行いまして、総額の縮減を図ることが強く求められているところでございます。平成十二年度の当初予算編成方針につきましても厳しい要求基準を設定いたしましたが、他方で、事業の重点化や新規事業の創設を図るために別途特別調整枠を設定いたしまして、重要な事業についての財源確保を図ったところでございます。いずれにいたしましても、全体としての歳出削減は避けて通れないところでございますけれども、その際、行政としての理解を十分求めていく必要があろうと考えてございます。
 次に職員の定数管理についてでありますけれども、行政需要の動向、本県の特性等を踏まえまして総合的に勘案した結果、今後五年間で約百人の削減計画を策定したものでございます。また、行政サービスの向上につきましては、常に住民福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を上げることを基本と考えて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、市町村合併につきましては四項目のご質問がございましたけれども、一括してお答えをいたしたいと思います。
 市町村の合併につきましては、先日から申し上げておりますように、あくまでも市町村並びに住民の方々の自主的な取り組みが基本でございまして、地域において自主的に判断されることが重要であると考えてございます。もとより、合併に対しましては種々さまざまな意見があることも承知をしておるわけでございまして、一方で少子高齢化の進展、あるいは地方分権の推進など行政を取り巻く情勢は大きく変化をしているわけでございまして、高度化、多様化する行政サービスへの対応、住民の日常生活行動圏の拡大などを考えますと、市町村の将来のあり方についての議論を深めることは大変重要であると考えてございます。県といたしましては、市町村や住民の方々がみずから取り組みを進める際の参考として要綱の策定に当たってまいりたいと考えてございます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 住友金属合理化に関連してのご質問にお答えいたします。
 住友金属工業株式会社の経営改革プランの発表を受け、知事から、また特定企業対策連絡協議会の座長でございます私の方から、再三にわたりまして地元企業への配慮などについて要請を行ってきてございます。先般も協議会を開催し、人員整理、コスト削減等に関連して、地元の関連企業に対する影響を極力少なくするよういろいろ要請を重ねてきておるところでございます。
 現在、コスト削減につきましては、住友金属工業株式会社と関連企業との間でワーキンググループを設置し、相互が納得できる方法を誠意を持って協議していると報告を受けてございます。今後とも、十分な連携を保ちながら状況把握に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 鶴田議員にお答えいたします。
 十年度の財政運営の総括についてのお尋ねでございます。
 当初予算の編成に当たりましては、経済情勢を踏まえた中小企業対策や社会基盤の整備、福祉保健の充実、人づくりのための教育文化施策の推進など基本課題の解決に向けまして、各種施策をバランスよく盛り込みながら予算を編成したところでございます。
 ご指摘にもありましたように、経済対策を受けた補正予算の編成に伴いまして、当初予算と比較して公共事業費のシェアが拡大し、あるいは県債依存度が高まったことは事実でございますが、我が国経済がいわゆるデフレスパイラルに陥ることのないようあらゆる手を尽くさなければならないとの強い危機感を共有し、最優先課題として対策が講じられたものであり、これに伴う県債の発行はやむを得なかったものと考えてございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 中小企業対策についての四点と、住友金属合理化に関連しての三点のうち二点についてお答えします。
 まず中小企業対策について、中小企業基本法改正に対する考え方についてでございますが、今回の改正では、経済構造改革を推進する担い手として中小企業を位置づけ、中小企業の経営革新、創業の促進、創造的な事業活動の促進を図ることとなっております。しかしながら、県内の中小企業の多くは経営基盤の弱さもあり、また景気が低迷し、競争が激化している中で厳しい状況に置かれていることから、中小企業全体の底上げのための施策の必要性を国の中小企業政策審議会の地方公聴会で意見を述べたところであります。
 なお、改正されました新しい基本法においても、従来からの小規模企業への配慮、下請取引の適正化、官公需増大などの経営基盤の強化策も図ることとなっておりますので、県としてもこれらのことを踏まえて中小企業に対する施策を実施してまいりたいと考えております。
 次に、ベンチャー企業と既存の企業への対応についてでございますが、県では活力ある産業社会を築くため、きのくにベンチャーランド構想に基づき、産・学・官が連携を強化し、ベンチャー企業や新分野進出などを支援しております。そして、その連携の中核的支援機関である財団法人和歌山県中小企業振興公社が総合窓口として新しい産業の創出を目指す企業や個人の相談に対応しております。また、県経済の担い手となっている地場産業を初めとする中小企業の重要性は申すまでもなく十分認識しているところであり、中小企業創造活動促進法やことし七月に施行された中小企業経営革新支援法等の各種支援策により、新技術、新製品の開発、販路開拓、人材育成を基本的な柱としてその振興を図っているところであります。今後とも、地場産業、中小企業の振興に尽力してまいる所存であります。
 次に、中小企業の経営の実態、労働者の実態の細やかな調査と継続的な政策研究、及び体制の実施についてでございますが、県では、二〇〇五年の本県産業の望ましい姿を展望し、産業政策を進める上での指針となる和歌山県産業活性化ビジョンを策定するに当たり、企業動向の調査を実施するとともに、経営者、学識経験者、労働団体等から成る委員会のご意見もいただいてまいりました。そのビジョンに基づき、事業実施計画(アクションプログラム)を昨年三月に作成し、現在の産業施策に反映しているところであります。
 なお、中小企業の定期的な実態調査につきましては、地場産業の景気動向調査、県内中小企業賃金事情実態調査などを実施するとともに、商工会、商工会議所、中小企業団体中央会に配置されている経営指導員等の巡回指導などを通じてその実情を把握するよう努めているところであります。
 また、議員ご指摘の仕事づくりについてでありますが、長引く景気低迷の中、景気・雇用対策の効果的かつ円滑な推進を図ることを目的に景気雇用対策本部を設置しており、その中で国の総合経済対策等を受け、県としての対策を検討し、実施してきたところであります。今後も、この対策本部で景気対策について協議してまいりたいと考えております。
 次に年末の金融対策についてでございますが、中小企業の資金調達環境が依然として厳しい状況にあることなどから、不況対策特別資金制度の継続を含め、県融資制度の新規融資枠を前年度に比べ約三二%増の七百七十三億円確保するとともに、中小企業金融安定化特別保証制度とあわせ、金融の円滑化に鋭意取り組んでいるところでございます。
 議員ご質問の返済期間の延長、並びに商工ローンの借りかえにつきましては、種々の問題もあり、制度として創設するのは困難であると考えております。しかしながら、これから年末や年度末に向けてより一層の資金需要が見込まれることから、信用補完制度の充実を図るとともに、個々の中小企業者からの融資相談については、県はもとより、県信用保証協会においても、個別企業の経営内容を十分聞きながら対応しているところであります。今後とも、県信用保証協会初め関係機関と連携を密にし、適切かつ迅速な対応を図り、中小企業金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に住友金属合理化に関連して、まず議員ご質問の下請各社等への影響につきましては、個々の企業の取引に格差があることなどから、影響の実態を正確に把握することが難しいと考えてございます。現在、関係企業で構成する組合などの状況の把握に努めているところであります。今後とも、直接影響がある地元市とも連携を密にしながら状況把握に努めてまいりたいと考えてございます。
 最後に、企業における大規模な経営改革は従業員の雇用や地域経済に与える影響が懸念されると考えてございます。しかし、企業の経営を立て直す方策の一つであることから、経営内容まで県行政が立ち入ることは難しいと考えてございます。しかしながら、このような影響を協議するため特定企業対策連絡協議会を設置してございますので、この協議会を活用して対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、幾つか再質問をさせていただきます。
 予算編成方針に関係して、十年度、また今進行中の十一年度の総括並びに中間総括的な点についての答弁をいただいたわけですが、膨大な借金が急速にふえているということに対して、これはもう国との関係があるとか景気対策だからやむを得ないという評価が出されておりました。やむを得ないと言っておりますと、これは本当に大変なことになってきます。行財政のアンバランスの問題ということもさることながら、借金地獄になって後年度負担が大変なことになってきます。そして、県民が切実に望んでいる福祉や教育、あるいは生活に直接関連していく施策の方へ大きくしわ寄せがいくだろうということはもうはっきりしているんですね。そういう点についてどういうふうに考えているのか、そこのところがないんですよ。やむを得ない、景気対策だということで、従来型の景気対策のために莫大な県債を発行していく、これは後々の県政にとって大変無責任な態度だと思います。
 また、起債を発行するときに、これは国の方から交付税措置がついてくるということがありまして、この際、もうやりたいことをやっておく方がいいんじゃないかという安易な気持ちも背景にあるんではないかと思うんです。確かに、借金の返済を交付税で見てやろうということになると、これは一面大変ありがたい話に聞こえます。しかし、それはもう県当局が正しく指摘しているように、こういうことに頼っておったらそれ以外の借金もふえてくるんだということですね。ここが大きな問題だと思うんです。
 そういうことで、単にやむを得ないで済ますわけにいかないと思うんです。そこをどう考えているのか、はっきりお示しをいただきたいと思います。
 来年度の予算編成方針につきましても、非常に簡単なものでございましたけれども、その冒頭で景気対策、それへ国と連携してやっていきたいということを述べられました。私は、これは平成十年型と全く同じだ、場合によってはそれに輪をかけたような形になるのではないかという心配をいたしております。この際、県債については明確に抑制をするという方針を打ち出すことこそが県財政の正常化につながっていくことになるんだということをはっきり示すべきではないかと思うんです。
 もう一つ、従来型の景気対策が全く何の役にも立たなかったとは私は申しません。しかし、それは投資額に比して非常に小さな効果しか生み出さないような形になっていると。前々の議会でも質問させていただいたことがございますけれども、福祉のためへの投資、県民生活への直接的な投資をどうふやしていくか、そこに新しい経済効果の発生があるということ、それが従来型公共投資よりも大きなものを生み出していくということが統計的にも示されてきているということについてどうお考えになっておられるか。同じパターンを繰り返していく、そして借金だけを残していく、これでは大変なことだと思います。財政についての危機意識が若干欠けておられるのではないかと思いますので、その点についての答弁をお願いしたいと思います。
 次に行政改革問題についてですが、百人の削減というのがどうも前面にあるようです。答弁をいただいても、これが県民の福利向上のためにどうつながるというところが見えてまいりません。百人を削減する、財政を浮かしていく、こういうことだけでは本来の行革にはならんと思うんですね。そういう点をどうお考えになっておるのか。
 それから、県民の直接福祉に関係する項目等については削減しないという方向を明確にすべきだと思うんです。ばらまき公共事業というか、起債の膨大な増大ぶりからしますと、ここにかけられる出費というのは極めてわずかなものです。そういう点を考えれば、はっきりと県民福利に関係することについてはカットしないということを打ち出すべきだと思いますが、どうお考えでしょうか。
 時間がなくなりましたので、以下、簡単にいたします。
 中小企業対策の問題についてです。
 私は、商工労働部の方に特にお願いをしたいと思うんです。たくさんのことをいろいろ研究され、政策的な立案もされておるんですが、必ずしも県下の中小企業の皆さん方がそれとぴたっと呼吸を合わせて連動して経済活動がやられているかというと、そうはなってないという問題があると思うんです。一番喜ばれているのが金融なんです。これはもう、はっきりしています。目に見えます。ところが、これからどういうふうな経営をしていったらいいのかというような産業政策面が非常に乏しいと思います。それについては、県が市町村と十分協力をしながら、実態をつかまないとあかんと思うんですよ。国の方が産業経済政策についての法律をつくる。そうすると、それに対応して県の幹部が寄ってどうするかと考えてみたり、あるいはコンサルに依頼して一つの絵をかいてみたりというような格好では、密着した政策というのは生まれてこないと思うんです。
 概括的な方向としてそういうものも必要だと思うんですけれども、それを生きたものにさしていくというのは、何といっても直接どれだけ実態を掌握していくかということに限られてくると思います。統計的に、抽象的につかむのではなくて、市町村と協力をして、先ほど商工会議所の経営指導員の話もございましたが、そういうものが一つの政策集団として日常的に系統的に活動していくことが必要ではないかと。何年かたつと、そういう関係者がどんどん配置転換されていくようでは蓄積もされていかないと思いますので、その点はどのようにお考えになっているか。そういう体制をぜひともつくり上げていただきたいと思います。
 次に、住金のリストラ問題についてです。
 当事者同士で誠実に話し合いをされているという話を聞いておられるそうですが、住金のリストラというのは、住友として断固としてやろうという決意が見えています。十月三日の日経新聞にも所長さんがそういうような談話を記者との間で交わされておりました。恐らくいろいろと影響が出るだろうということも、そこでも言っております。そして、誠実に双方で話し合っておられるとおっしゃいますけれども、そこには強者と弱者の関係が明らかにあります。
 そこで、商工労働部というのは、県下の中小企業者、大企業においての弱者の立場に立ってどれだけ援助をされていくか、これが大事だと思うんです。そういう意味で、実態調査は把握が難しいということにとどまらないで、できるだけ詳細につかんで、とりわけ下請の下請あたりがどうなっていくのか、あるいはそこで働く労働者のことしのボーナスがどうなっていくのか、来年どうなっていくのかというあたりまで細かくつかんで、そして迫力のある対応を県としてこの対策会議でやっていただきたいと思います。
 協議制の問題につきましては、法的な整備がまだ不十分ですから十分行っていくというのは難しい面もありますが、お互いが社会的責任ということについてきちっと抑えて、そしてまた大きな経営革新の事前に議論し合って、そして県経済には影響ができるだけ少なくなるように事前に対応していくことが非常に大事ではないかと思います。
 以上を質問いたしまして、終わります。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 現在の本県をめぐる財政状況を踏まえまして、借金、公債費管理のあり方、来年度の予算編成への反映、あるいは公共投資の効果についての考え方ということについて再質問がございました。
 まず、国の経済対策に対する地方の広い意味での役割ということが一番中心になる議論かと存じますけれども、ご承知のように地方財政制度を考えますと、我が国の歳出全体の約七割を地方が受け持つ構造になっております。したがいまして、国の経済対策に呼応し、あるいはこれに軌を一にした形で取り組みをするということも地方団体の重要な役割ではなかろうかなということを先ほど申し上げたところでございます。
 ただ、昨今、地方財政あるいは本県の財政事情も非常に厳しい状況になっております。国、地方を通じて財政構造改革を行う、あるいは足元の収支不足を改善するということは大変重要なことと、私どもも認識しております。このため、財政運営プログラム等も提示しながら全庁挙げて取り組んでまいりたいと考えております。もとより、先ほど知事よりご答弁がございましたように、来年度の予算編成に当たりましても、この点を十分踏まえて対処してまいりたいと考えてございます。
 それから、これに関連して公共事業の効果等についてご質問がございました。
 公共事業につきましては、幅広いものでございまして一概になかなか申し上げられないと存じますけれども、景気の下支えをする重要な機能も果たしてきたところでございます。ただ、まだいろいろご議論があるということは私どももよく承知をしてございます。国における社会資本整備のあり方、あるいは重点投資の考え方等もございますので、そのようなことを踏まえながら、関係部局と連携しつつ適切に対処してまいりたいと存じております。
 それから定数削減の関連で、福祉の切り捨て等につながるのではないかということに関してでございます。
 今回の行政改革大綱に伴う定員管理計画における定数削減の考え方といたしまして、事務事業の整理合理化、民間委託の推進、事務改善を通じて、今後五年間で百名程度の職員定数を削減することとしたものでございます。今後とも、高齢者対策あるいは福祉施策、いろいろな面で新たな行政需要も出てまいります。このような新たな行政需要に対応いたしまして、行政サービスの低下につながらないよう適正な人員配置に引き続き努めてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) ただいまの再質問の二点についてお答えいたします。
 中小企業の実態調査、市町村と連携をとってということでございますけれども、先ほどもお答えしたように、定期的に調査はかなりの項目をやっておりますし、今回のきのくにベンチャーランド構想を推進するに当たっての中小企業振興公社を窓口とした総合支援機構につきましても、市町村はもちろんのこと、業界、産・学・官が連携して対応しているところでございます。
 次に、一定規模以上の経営改善に対する事前協議システムについてでございますけれども、企業の経営合理化等の事前報告は、株式投資など多方面への影響が大きく、大変注意を要することになりますので、慎重に実施しなければならないと考えております。しかし、地域に及ぼす影響を考えると、先ほど申し上げた協議会の中で状況の把握に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間が参りましたので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十六分休憩
     ─────────────────────
  午後一時四分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十六番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 一般質問も、私を含めて二人となりました。議長のお許しをいただいて、これから質問したいと思います。
 まず最初に、二期目再選をされました西口知事、本当におめでとうございます。会派を代表してお祝いを申し上げます。
 県民の圧倒的な支持を得たのは、数多くの四年間の実績とあなたの誠実な人柄が示されていますが、その中でも大きな理由として私は、南紀のすばらしい自然、歴史、文化を持っているふるさと和歌山県を世界の和歌山県として発信をした南紀熊野体験博の取り組みであったと感じています。
 知事就任あいさつで、二十一世紀は和歌山県の時代になると力強く言われました。まさに私も、南紀熊野を中心に、この精神で二十一世紀の時代を先取りした和歌山県にしていかなくてはならないと思います。
 世界の動きも、先日行われました世界貿易機関閣僚会議にもあらわれましたが、経済至上主義のアメリカ追随型からヨーロッパが目指している福祉環境国家の方向に世界の流れは変わってきたと私は感じています。
 私は、昨年の九月定例会で、南紀熊野を世界遺産に登録し、世界遺産の地域にふさわしい南紀のふるさとづくりについて提言をしましたが、今、各地域で、すばらしい資源を生かそうという多様なふるさとづくりの機運が広がっています。この六月定例会においてもふるさとづくりの提言をしたところですが、地域住民と一緒になり、その実現に向けて取り組んでいます。そしてまた、現場を歩き、南紀における地域住民の声を聞く中で、新しいふるさとづくりの点検や新しい取り組みが芽生えてきています。こうした県民の声を今議会でも訴えてまいります。
 南紀熊野体験博後のふるさとづくり、つまり世界遺産の地域にふさわしいふるさとづくりの視点で三点に絞って質問、提言をしてまいりますので、県当局の誠意ある、心のこもった答弁をお願いするものであります。
 まず最初に、コンピューター二〇〇〇年問題について質問してまいります。
 この問題については今までにも、また今県議会においても同僚の議員の方々が質問されていますので、私は重複を避け、前置きも質問もポイントを絞って県当局の見解を賜りたいと思います。
 コンピューター二〇〇〇年問題について早くから国を挙げて取り組んできたのがアメリカであります。アメリカでは、大統領諮問委員会が二〇〇〇年問題地域ディスカッションを推進する全国的なキャンペーンを行っています。地方自治体のほか、電力会社、病院など社会サービス事業を行っている事業者が地域ディスカッションに参加し、病院は本当に大丈夫なのかといった身近な議論をリードできるように支援をしています。
 私自身も、南紀で入院をしている患者さんを見舞いに行ったとき、二〇〇〇年問題が言われているが日常的な問題で心配がある、手術はできるのか、酸素呼吸はできるのか、行政が私たちにどう知らせてくれるのかと聞かれました。和歌山県や市町村でもその対策を行政広報では報じていると思いますが、アメリカのように、行政と県民が協議をしながら、パニックを起こさず落ちついた事前の共同対策はとられているのでしょうか。
 地域の病院や介護施設でコンピューターがとまれば、生命にかかわります。火事の際、警報システムが作動しなければ、消防自動車は現場に駆けつけることはできません。地域内の信号機が狂えば、交通の混乱は必至です。スーパーやコンビニのレジで故障が続発するかもしれません。地域の活力である中小企業の対応も大事であります。
 東海村の臨海事故では、核施設が集中している自治体でそれなりの対策を行っていたと考えられますが、住民と企業、自治体のコンセンサスが不十分なため住民への対応がおくれました。事故が起こったとき、行政と住民が一体となった事故対策、危機管理対策の必要性を痛感いたしました。つまり行政が、二〇〇〇年問題に限らず、日常的な危機管理を県民とどう共有していくかが大変重要なポイントであると私は思います。
 二〇〇〇年問題をこの問題だけに終わらせるのではなく、今後予測されるさまざまな問題に対応するため、県民、企業、自治体の危機管理対策の策定が必要であります。そのためにも、第一点目は、県としての対策はどうなのか。第二点目は、県当局が現在コンセンサスを持つさまざまな組織の代表に呼びかけ、二〇〇〇年問題の交流会を開催するなど、県民と行政との一体化を進める必要があると思うがどうか。第三点目は、例えば備蓄の食料が必要な人に行き渡るためには地域組織の整備が欠かせません。私は以前から県議会で、みずからの命はみずから守る、自分の地域は自分で守るという県民の自覚、自主防災組織の早期確立を訴えてまいりました。県当局も平成十三年をめどに県下五〇%の確立を目指していると聞いていますが、これでは大変遅いと思います。市町村の対応のおくれもあると思いますが、これこそ県が思い切り市町村を指導し、県としての計画を早め、予算もふやし、早急に取り組まれたいと思いますが、どうか。
 以上三点についてお尋ねし、コンピューター二〇〇〇年問題についての質問を終わります。
 続いて、介護保険制度導入に当たり、五年先、十年先を見越した和歌山県の高齢者福祉について質問をしてまいります。
 いよいよ介護保険制度が来年四月一日からスタートすることになりました。県及び市町村においては大変なご苦労が続いているものと思います。本県は全国に比べ高齢化が十年先行している県であり、言いかえれば全国より十年先を行く高齢者福祉先進県としての取り組みが問われていると思います。二〇〇〇年には二〇一〇年のことをしている、他県よりも十年、どこが進んでいるのか、どこが違うのか意識をした取り組みが必要であると私は思います。
 私は、この議会に向けて、県外は鳥取、徳島、宮城県などの取り組みを調査するとともに、県内とりわけ南紀の高齢者の現場の声を聞きながら調査をしてまいりました。これからの五年先、十年先の福祉施策を考えたならば、私は次の三つのことを和歌山県として先取りをして取り組むことが大変重要になってくると思います。
 一つ目は、予防福祉であります。高齢者で言えば、介護予防に力を入れることであり、つまり元気なお年寄りをふやすことであります。
 福祉事業について、私は三つの柱があると考えています。それは、施設福祉と在宅福祉、それから予防福祉であります。今までの福祉サービスは、施設福祉と在宅福祉を車の両輪として走ってきましたが、これからは予防福祉に力を入れていくべきであると考えています。つまり高齢者では、要介護の前にある自立ができる人たちにサービスを提供するということであります。
 介護予防をどう構築していくか、要介護状態になる前の保健予防活動や生きがい、健康づくり対策などを充実していくことが大きな課題になってきていると思います。例えば、プールやリラクセーション浴槽、リハビリ施設などを使った健康介護の新しい介護予防づくりといったこともあろうかと思います。また、元気な高齢者や障害者が働く場の確保も、大事な生きがい対策であります。高齢者や軽度障害者は、働く場所があれば生きがいを持ち、健康であることにみずからにも努力することになり、ひいては介護予防へとつながっていきます。先頭を歩いてこそ道ができる、そうした気概でぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 二つ目は、在宅介護における介護する側の精神的、肉体的問題の解消施策であります。
 先般、家族介護については必要に応じ介護給付金が支給されることになりましたが、介護者の精神的、肉体的問題は解消できないと思います。これらを解消するためには、今後必要数を見込んだ施設を建設するとともに、ヘルパー等を確保していく必要があります。ただし、高齢化のピーク後などを考えた場合、いたずらに施設やヘルパーをふやすことには問題があると思います。高齢になっても住みなれた家庭で過ごすことが理想ですが、在宅介護を完全にサポートすることは不可能であり、介護者の精神的、肉体的問題を解消しない限り、今後社会問題が生じるのは明らかであると思います。ただ、人に預けっぱなしにすることをあしきものと考える県民も多いと思われますので、要介護者と介護者が自宅を離れ、いっときを過ごせる総合的な施設を設けることが望ましいと考えます。つまり、高齢者や障害者及びその介護に携わる人たちがゆっくりと過ごせるような総合的な施設を設置することが、高齢化社会に向けて、またお互いが尊重して生きていく社会をつくるためにぜひとも必要であると思うのであります。
 五年先、十年先を見据えた高齢者福祉先進県の提言をしてまいりましたが、最後に、今まで述べました総合的な福祉エリアの具体的な提案をしたいと思います。
 高齢者や軽度障害者も入所ができ、また介護を行っていた健常者もいっときの静養をし、さらに高齢者や軽度障害者も程度に応じて働くことも可能で、それにより生産も行える全国で初めての総合的な福祉エリアを実現したいと私は考えています。前々から県当局に提言をしてまいりましたが、福祉の人材を指導育成できる福祉大学院大学や臨床心理センターなどをこの南紀の地につくり、これを核にした地域づくりが有効であると考えます。
 南紀には、世界に誇るすばらしい自然、歴史、文化があります。とりわけ、黒潮流れるすばらしい海があります。今こそ海の恩恵を最大限に利用すべきときであると言えます。
 例えば、海の恩恵を最大限に利用して、人間の健康を増進させる海洋療法施設を設置し、予防介護や静養施設としたり、また海水からのミネラル豊富な自然の塩や高ミネラル水等をつくるなど、高齢者、軽度障害者の就労の場づくりとしてこの南紀につくることを検討してみてはどうか。また、外国人だけの長期滞在型リハビリテーション施設をつくることによって、このことが世界を視野に入れた観光にもなり、地場産業の振興にも大きく貢献していくものであると思いますが、当局に提言をするものであります。独自の企画と政治によって新しい和歌山県が一つの国となり、外国と直接取引をする時代に入ったと、私は思います。
 以上、私の五年先、十年先を見越した和歌山県の高齢者、障害者福祉と南紀における総合的な福祉エリア構想について提言をいたしましたが、知事及び担当部長の見解を求めるものであります。
 続いて、紀勢本線を中心とした在来鉄道の整備推進について質問をしてまいります。
 まず第一点目は、二十一世紀的な発想の転換が図られる中でのミニ新幹線フリーゲージトレイン導入の必要性の是非についてであります。
 一九九九年、列車は五百五十二キロで走り、そして情報通信網の飛躍的な発展により世界のどことでも携帯電話で話せるようになりました。しかし、欧米に追いつけ追い越せと走り続けてきた私たち日本人は、二十世紀の初めのころに生まれてきた人々に比べてより多くの選択の対象を持ち、より自由になり、より幸せになっているのかと、ふと考えるときもあります。モラルが崩れ、人の心が荒廃し、混乱してしまった社会から次々と問題が噴き出す中で、私たちはやっと速さや便利さだけでは幸せになれないことに気づき始めたと思います。
 最近、JRが上野から札幌間に新しい個室の寝台列車を導入したところ、四万円から五万円という高値と十七時間という所要時間にもかかわらず、大人気を博しているそうであります。リニアモーターカーの開発など、より速く走ることに重点を置いてきたJRですが、この寝台列車の人気は、私たちがゆとりという価値観に気づき始めているあかしであると思います。
 「時は金なり」ということわざにもありますように、確かに移動時間の短縮は私たちの生活に幾つものメリットをもたらしました。しかし同時に、そこには急ぐゆえに失われるものが必ずあるもので、技術を競うだけでなく、心や時間のゆとりとのバランスを重視する二十一世紀的発想の転換を図ることが今求められているのではないでしょうか。すばらしい自然、歴史、文化を持った南紀熊野の地を世界に発信した和歌山県としては、このことを重要視した施策に今後取り組んでいく必要があると私は思います。
 そこで、県が政府要望として取り上げていますミニ新幹線フリーゲージトレイン導入について質問いたします。
 私は、紀勢本線の利便性の向上についてはもっと改善されるべきだと思いますが、この問題については慎重に検討する立場に立っています。以下、三点について県当局の見解を賜りたいと思います。
 第一は、鉄道整備における県知事としての二十一世紀的発想の転換についての認識はどうなのか。
 第二は、このミニ新幹線フリーゲージトレイン導入により、県も含めた地方自治体の財政負担はどうなるのか。例えば平成九年に、手法は違うと思いますが、秋田ミニ新幹線の導入における事業費用は全体で約九百六十六億円、そのうち国の負担は約百二十二億五千万円、県の負担は、秋田県が約二百十三億二千五百万円、岩手県が約二十四億五千万円、JRの負担が約六百五億七千五百万円と聞いています。また、どの程度時間が短縮されるのか、二十一世紀的発想への転換が図られる中で果たして県民がこうしたことを本当に望んでいるのかどうか、その調査結果などの裏づけはどうなのか、今後の取り組みも含めて明らかにされたいと思います。
 第三は、ミニ新幹線フリーゲージトレインによる騒音によって人家に対する被害や農産物、家畜などに被害が出る可能性もあり、沿線住民の生活環境を著しく阻害するものであれば慎重に検討していただきたい。私は、便利性を優先するよりもふるさとの国土保全を優先していくことがこれからの公共交通機関のすべてに言えることだと思いますが、どうなのか。
 以上、三点について当局の見解を求めます。
 第二点目は、二十一世紀の時代に逆行するトイレなし列車の導入についてであります。
 南北に長い本県では、鉄道網の整備とりわけ紀勢本線は緊急の課題であります。先般閉幕しました南紀熊野体験博は、南紀のすばらしい自然、歴史、文化を世界にアピールし、鉄道を通じての旅客需要も増加してまいりました。南紀における鉄道の利用は、全国よりも十年先を行く高齢化社会の生活手段として活用され、とりわけ普通列車は通勤通学の生活列車に、また高齢者の福祉列車にと幅広く利用されております。ところが、平成十一年十月のダイヤ改正において──ちょうど知事選挙の前でありますけれども、新宮から紀伊田辺間で一六五系及び一一三系にかわり一〇五系車両が投入をされ、一日上下線を合わせて三十三本のほとんどの列車にトイレがない状態となり、沿線地域住民から怒りの声が上がっています。この車両は、ちょうど大阪の環状線で走っている、短時間で行けるような列車で、このトイレなし列車がこの新宮から田辺の間に導入をされたということでございます。串本、すさみ駅ホーム上にトイレを設置していますが、こうした対策は改善策になるはずがありません。
 沿線住民の皆さんから、快適に安心して乗車でき、利用できるという一番大事な事柄が無視をされ、公共交通の原点である安全、快適、安心という基本的なことが欠落をしている、生活の手段として利用している高齢者が多い地域であり、高齢者や障害者に優しい福祉の町づくりにふさわしい施策の必要性が叫ばれている今の時代に逆行している、南紀熊野体験博によって南紀の自然をゆっくり楽しみながら普通列車で旅をする人がふえてきているのにかかわらず、これではせっかくの成功がマイナスになる、このような声が上がっています。
 こうした声の中で、行政監察局もJR西日本に対し実態調査を実施したと聞いています。県としても、十一月十一日付の企画部長名で要望書を出していることは承知していますが、一向に改善の動きが見えてきません。時代に逆行するようなトイレなしの列車導入の質問をする私としても、大変むなしくなってきます。こうしたことを早急に改善されるよう、以下質問をしてまいります。
 第一点は、今回のトイレなしの列車導入は赤字路線のリストラ策の一つなのか、トイレをつけることとつけないことによって合理化がどれほど進むのか、明らかにされたいと思います。
 第二点目は、生活路線という重要な意味を持っていますが、高齢者にとってトイレが近いということ、それに対しどれだけ高齢者への配慮をしているのか、公共交通機関であればあるほど弱者への配慮が必要だと思うがどうなのか、県行政の考え方、今後の対応について見解を賜りたい。
 続いて第三点目は、鉄道施設のバリアフリー化についてであります。
 高齢者や障害者の方が公共鉄道機関を容易に利用できるようにするため、運輸省が検討していた交通機関の、仮称・バリアフリー法案が去る十一月三十日に発表されました。和歌山県においても福祉のまちづくり条例が制定をされ、障害者や高齢者の皆さんが自由に行動や活動ができるように社会参加の機会を阻むさまざまな障壁を取り除き、安全で快適に暮らせる町づくりを推進されています。こうした中で、県内の公共交通機関の駅施設におけるエレベーター、エスカレーター等の整備、プラットホームと車両との段差の解消、障害者トイレの設置、案内設備の改善などについての整備状況と今後の取り組みについて明らかにされたいと思います。
 二十一世紀は和歌山県の時代になると知事は力強く言われました。鉄道における福祉対策もバリアフリー対策も世界に胸が張れる、そういった意気込みも含めまして、私の質問に対しての答弁を求めて第一回目の質問を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 玉置議員にお答えをいたします。
 会派を代表してのご祝辞、ありがとうございました。
 まず、急速な高齢化が進む本県にあって、これからの五年先、十年先を見据えた福祉施策を進めるに当たり、議員から貴重なご提言をいただきまして、まことにありがとうございました。ご指摘のような、全国に先駆けた取り組みという視点が大変大事だと思ってございます。また、高齢者や障害者の方々が安心して保健サービスを受けられるだけではなくて、生きがいを持って働き、自立した生活を送ることができるような総合的な町づくりという視点も大変重要だと思ってございます。
 議員ご提案の総合的な福祉エリアという考え方につきましては、私も前に太陽の街構想を発表させていただきましたけれども、こういうことも参考にさせていただきながら、今後「共に生きる安心のまちづくり」を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、在来鉄道の整備の問題であります。
 二十一世紀は、人々がこれまで以上に心のゆとりと安らぎを求める社会になると考えております。今、全国的に肌で自然を感じることができるトロッコ列車、あるいはゆったりとした寝台列車などが注目されていることも、そのあらわれだと存じております。また一方で、早く着くという到着時間の短縮などが鉄道の利便性向上に対する県民の要望として存在することも事実でございます。
 私は、南紀熊野体験博に合わせて運行された「きのくにシーサイド号」のように和歌山の海や自然を堪能させる列車、あるいは和歌山─新宮間で二十分の時間短縮を実現したオーシャンアロー号のような早く着く列車など、さまざまな列車が鉄道事業者によって運行されることを望んでおるわけでございまして、県といたしましては、議員ご提言の趣旨を踏まえ、長期総合計画に掲げている「ゆとりと充実」を念頭に、その時代における社会のさまざまな価値観を考慮しながら鉄道整備を図ってまいりたいと考えてございます。
 細部につきましては、企画部長から答弁させていただきます。
○議長(下川俊樹君) 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) コンピューター二〇〇〇年問題についてお答えいたします。
 県としての対策についてでございますが、本年六月にコンピュータ西暦二〇〇〇年問題対策本部を設置いたしまして、行政事務や地域の問題が発生した場合の対応をまとめた危機管理計画第一版を八月に、年末年始の連絡、待機体制をまとめた第二版を十一月三十日に策定したところでございます。
 年末年始においては、万一の事態が生じた場合でも危機管理計画に基づき迅速かつ的確な対応を行うとともに、県民に冷静に対応していただけるよう正確な情報を迅速に提供してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) まず、コンピューター二〇〇〇年問題に係る県民参加の交流会など、県民と行政との一体化についてのご質問でございます。
 コンピューター西暦二〇〇〇年問題への対応は、議員お話しのように、行政のみならず県民の方々がこの問題を十分理解し、万一の事態に備えるという意識を高めていくことが重要であると認識してございます。
 県といたしましては、広報紙やテレビ、ラジオ等を通じた情報提供を行い、県民に二〇〇〇年問題に対する意識を高めていただくとともに相談窓口を設ける等の対応を行っているところでございますが、議員お話しの趣旨を踏まえ、年末年始に向けて引き続き県民への広報に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、フリーゲージトレインの導入についての三点のご質問でございます。
 県におきましては、平成四年度から平成九年度にかけて、技術的課題や高速化による効果など、各種の観点からの調査を行ってまいりました。平成六年度の調査結果によれば、事業費については、新大阪駅から在来線へ列車をおろすためのアプローチ及びそのための新線建設、在来線の曲線改良、駅構内の改良、短絡線の建設等によって総事業費二千七百五十九億円、東京─新宮間で約七十分の時間短縮が図れるという調査結果が出てございます。ただし平成六年度の調査でございますので、平成八年度に紀勢本線高速化事業を実施し、曲線改良、駅構内の改良等が既に行われているところもございますので、現在では状況が少し変わっているかと考えてございます。
 お尋ねの地方自治体の財政負担につきましては、現在では事業手法が未定で負担がどうなるかわかりませんが、県といたしましても、できるだけ地元に負担のかからないように、国において財政的支援制度を創設していただくよう要望しております。
 また、県民が望んでいるかとのご質問でございますが、これまで県で意識調査を行ったことはございませんが、本年六月に紀勢本線沿線の三十八市町村で組織している紀勢本線活性化促進協議会において、フリーゲージトレインの導入促進について決議されております。
 今後の取り組みでございますが、現在国で行われているフリーゲージトレインの技術開発、新幹線直通運転化事業調査の動向を見きめながら、並行して、県内各方面との協力のもと、国等関係機関へ要望活動を行っていき、また自然環境との調和などを考慮しつつフリーゲージトレイン導入に向けて取り組んでまいります。
 次に、フリーゲージトレイン導入により新たに騒音被害や振動被害が起こり、自然環境や生活環境などに著しい被害が出るのではないかとのご指摘でございますが、フリーゲージトレインは、新幹線区間を走るときは新幹線と同じ速度で走りますが、在来線区間に入りますと在来線の速度で走りますので、議員ご心配の新たな騒音被害や振動被害などについては発生しないものと考えております。
 続きまして、トイレなしの列車に関するご質問でございます。
 まず合理化関係でございますが、JR西日本によりますと、紀伊田辺─新宮間の乗車人員は年々減少しているため経営状況は厳しいとのことであります。しかしながら、公共交通機関の使命として列車本数を確保することを最優先と考え、輸送費の低減可能な今回の車両を導入したと聞いてございます。
 次に、高齢者等への配慮でございます。
 県といたしましても、議員ご指摘のとおり、公共交通機関は高齢者等への配慮が必要であると認識してございます。そのため、トイレなしの車両の問題につきましては、利用者にとって切実な問題であると考え、以前からJR西日本に対し改善するよう再三要望活動を行ってまいりました。その結果、本年五月のダイヤ改正から、紀勢本線の和歌山─紀伊田辺間のすべての列車がトイレつき車両に改善されました。しかしながら本年十月のダイヤ改正から、紀勢本線の紀伊田辺─新宮間に多くのトイレなし列車が導入されました。JR西日本によりますと、トイレの問題については、ホーム上へトイレを設置するとともにダイヤ調整などで対応しているとのことであります。
 いずれにいたしましても、県といたしましては、本年十一月、トイレつき車両を運行するようJR西日本和歌山支社長あて要望書を提出するなどの働きかけを行っておりますが、JR西日本本社に対しても早急に要望活動を行う予定でございます。
 次に、議員ご指摘のエレベーター、エスカレーターの設置や障害者用トイレの整備など、いわゆる鉄道バリアフリー化施設の整備でございます。
 県内にありますJRと南海電鉄の百十九の鉄道駅におきまして、エレベーターやエスカレーターを設置している駅は五駅、障害者用トイレを設置している駅は九駅でございます。また、車両とプラットホームとの段差につきましては、紀勢本線、和歌山線の多くの駅で段差がございます。案内設備の整備につきましては、一部の駅を除き、誘導ブロック等の整備ができている状況でございます。
 県といたしましては、以前から福祉のまちづくり条例に基づいてJR西日本に対し、JR和歌山駅を初めとする県内主要駅へのエレベーター等の設置、段差の解消など、積極的に要望を行ってまいりました。また、より一層JRに対し働きかけを行うため、今年度、和歌山市と共同で、JR和歌山駅とJR紀伊駅を対象としてエレベーター、エスカレーター等の整備構想の作成と概算事業費の算出などを目的に調査を行っているところでございます。
 鉄道施設のバリアフリー化につきましては、国での法制化の動きもありますし、国の補助金制度の対象になるものもございますので、それらを活用しながらJR等に要望するなど、今後も積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 自主防災組織の早期確立についてのお尋ねでございます。
 ご指摘のとおり、自分たちの町は自分たちで守るという自主防災組織の育成強化は緊急な課題であるという認識に立ちまして、市町村防災担当課長会議等を通じて市町村の指導を実施してございます。
 なお、組織率向上のため、平成九年度に市町村等への指導のため自主防災リーダーマニュアルの作成、また平成十年度より自主防災資機材の購入に対する補助制度の創設、さらには平成十一年度よりリーダーの育成研修の実施など、積極的に取り組んでまいっているところでございます。
 県といたしましては、市町村や住民の皆様のご理解やご協力等の課題はございますが、自主防災組織の早期確立が図られますよう、市町村の実情などを聞き、計画の前倒しに向けてさまざまな工夫を凝らしながら強く指導してまいりたいと考えてございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 介護保険制度導入に当たっての五年先、十年先を見越した和歌山県の高齢者福祉についてお答えをいたします。
 一つ目の議員ご提言についてでありますが、進展する高齢化の中にあって、高齢者ができる限り介護を要する状態になることなく健康で生き生きとした生活を送れるように支援すること、いわゆる介護予防対策を推進していくことは非常に重要なことと考えております。こうしたことから、高齢者や障害者の自立を促進するため、働く場の確保や生きがい対策としてのスポーツや文化活動の振興を図ってまいります。
 また、老人保健事業の一層の促進による壮年期からの健康の増進や地域に密着したリハビリテーション体制の普及等を図り、生活習慣病や寝たきり予防の対策を推進してまいります。
 次に二つ目の提言でありますが、介護者の高齢化、介護の女性への依存傾向等、要介護者を抱える家族の心身の負担は非常に重くなってきているところであります。こうした状況を踏まえ、介護を社会全体で支え合うという理念のもと、介護保険制度がいよいよ来年四月からスタートいたします。
 家族介護の支援策としてはショートステイ等の利用を促進してまいりますが、こうした介護保険サービスに加え、さらに家庭の実情に応じた家族支援を積極的に推進するため、家族介護教室や家族介護者交流等の実施を検討してまいります。
 議員ご提言の趣旨も含め、二十一世紀初頭の長寿社会の将来像をにらんだ政策目標のもと、総合的な介護予防対策や家族への支援等、重点的に実施すべき施策を盛り込む方向で、平成十二年度から平成十六年度を計画期間とする新たな和歌山県老人保健福祉計画を本年度中に策定する予定としております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十六番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁、ありがとうございました。
 まず、二〇〇〇年問題についてであります。
 県民の方々がこの問題を十分理解し、万一の事態に備えるという意識を高めていくことが重要、そして年末年始に向けて、私が指摘させていただいた趣旨を踏まえて取り組んでいくと、そういう答弁がございました。地域において県民と行政との話し合いを通して地域対策を示すことが、私は大変重要であると思います。時間は余りありませんが、取り組みの強化を要望しておきたいと思います。
 それと、自主防災組織であります。早期確立が図られるよう計画の前倒しに向けて取り組むとの決意をいただきました。この組織が確立されれば、地域での住民参加による防災とか危機管理対策はぐんと進むと思います。
 実は、一〇〇%組織化されている静岡の方にも数年前に実態調査に行ってまいりましたけれども、安心できるふるさとづくりというのは、やっぱり自主防災組織がかなめになっているような気がいたしました。ぜひともよろしくお願いいたします。
 そして、年末年始に待機されます県職の皆さん方には大変ご苦労でございますけれども、県民のためにもよろしくお願いをしておきたいと思います。
 続きまして、和歌山県の高齢者福祉について。
 前向きな答弁をいただきました。どうか、五年先、十年先を見越した取り組みの中に私の提言を生かしてほしいと思います。
 それで、質問した別の角度から二つだけ要望しておきたいと思います。
 一つは、要介護者と介護者が一緒に安心して泊まれる介護体制の整った旅館とか観光地づくりがこれから大変重要になってくるのではないかと私は思います。ホームヘルパーの資格を持った社員づくりとか施設の整備など、できれば県として観光地などとの話し合いをお願いしたい。
 もう一つは、来年四月から介護保険制度がスタートいたします。私は、子供たちの学校教育の中にもこのことを学ばせていくことが大変重要であると思っております。教育長、ご検討いただいて、よろしくお願いしておきたいと思います。
 最後に、紀勢本線を中心とした鉄道の整備推進についてであります。
 県議会で私が提言をさせていただいた「紀州路快速」の大阪、京橋の乗り入れの実現はしていただきました。このほかにも幾つか改善をされてきておりますけれども、今回質問をさせていただいたミニ新幹線フリーゲージトレイン導入における地方自治体の財政負担については、ただいま当局の方から、平成六年度という古い調査結果でありますけれども、全体で二千七百五十億円ものお金がかかる、そして、事業手法が未定であるためどのくらいの負担になるかというのは今の段階ではわからないと、そういう答弁がありました。
 ちなみに、私もよう乗ってくるのですが、オーシャンアロー号の導入のときはどうなったかということもいろいろと地元で聞いております。ちょっと紹介をさせていただいたら、オーシャンアロー号は、総事業費が六十五億六千万円で、車両費を除いた地上設備費というのがありますけれども、そのうち地方自治体の負担が十二億八千万円であったと聞いています。それ以外に民間の負担も、JRを除き七億六千万円で、なかなかすんなりお金が集まらなかったと聞いております。
 こうした財政負担はどうなっていくのか。そして、県民のアンケート調査はやっていないということでありますけれども、私自身の反省も含めまして、もっと県民の意識のアンケートをとりながら調査をしていくということが大変大事だと思っております。そして、総合的な観点での取り組みを要請しておきたいと思います。
 きょうもマスコミの方々が見えておりますけれども、時代に逆行するトイレなし列車について、マスコミも世論を上げてもらって書いてほしいと思うんです。十月というのは、ちょうど知事選挙の前に導入をされたということであったんですけれども、知事も恐らく知らなかったんではないかと思います。早急にJR西日本に対し再度要望活動を行うという答弁をいただきました。
 高齢社会になりますと、トイレの近い人が多くなります。また、最近この問題で県政報告をしておりますと、聞いたんですけれども、腎臓とか肝臓とか心臓の薬として利尿剤というのを服用している方々が多いらしいです。トイレが大変心配で外出もままならない、そこにまたトイレなしの列車だったら大変困るというようなことも聞きました。
 そして、これは聞いただけですからわかりませんけれども、紀南の方は近い将来ワンマンカーになっていくと。そういううわさを聞く中では、ホーム上へトイレを設置したということで改善になるはずがないと私は思うんです。時代は、バス会社一つとっても、いわゆる高齢者の方々を乗せていく旅行のバスにはトイレつきのバスが導入されておるわけです。この不名誉を一日も早く解決をしていただきたいと思います。
 南紀熊野体験博を機に世界に発信をした和歌山県として、鉄道においての福祉対策、そしてバリアフリー対策も、世界に胸を張れるようにしていこうではありませんか。そのことが、知事が言われた、二十一世紀は和歌山県の時代になるということにつながるのだと私は思います。
 日本の政治の流れは、地方分権という中で、私はこのようにとらえております。国から地方に住民がお金を引っ張ってくる時代はもう終わろうとしておる、独自の企画と政治によって新しい和歌山県が一つの国となって、西口首相と外国と直接取引をする時代に入ったのではないかと思うわけです。世界の人々がこの和歌山へ来て交流していただいて、そして栄えていくと。南紀の地域にふさわしいふるさとづくりに知事が先頭になって取り組んでいただきたいし、私も微力ではございますけれども、一緒になって取り組んでいくことをお誓い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 六番堀本隆男君。
  〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 議長のお許しをいただいて、本議会のしんがり役を務めさせていただきます。
 圧勝での二期目西口県政のご就任、心からお喜び申し上げます。
 西口知事を信頼し、西口知事以外に人なしと立候補を切望する多くの皆さんの願いにこたえるため、ご自身のお体が知事の座を全うできるかどうか真剣に悩まれ、二十一世紀の和歌山づくりのかけ橋役は自分が背負わなければならないと決断された真摯な姿が県民の皆さんの共感を呼んだのであります。まことにおめでとうございます。厳しい和歌山県の現状と未来──議会も県民も一丸となって知事を助け、住みよく、夢の多い県づくりに邁進したいと思うところであります。
 そして現在、串本町大島は大島架橋の完成で観光客が増加しており、これも県当局のお力添えのおかげであり、県政史上最大の紀南PR作戦・南紀熊野体験博の効果も大きく、改めてお礼を申し上げるところであります。
 さらに、私個人として、知事のキャッチフレーズ「「真」の心と勇気を持って全力で挑戦する」は、いつも私の心を鼓舞します。これは、私の政治行動の規範となりました。確かに、このような人こそが元気な和歌山を実現してくれます。
 さて、質問に入ります。余り触れたくない問題でありますが、避けて通れない問題としてお尋ねいたします。
 ご承知のとおり、来年一月一日から政治資金規正法が改正され、会社、労働組合、職員団体、その他の団体は政治活動に関する寄附をしてはならないこととなりました。地方自治体の長や地方議員も例外ではありません。私ども県議会議員の資金管理団体は、ピンチであります。国会議員のように政党の助成金のない地方議員は個人献金のみに頼らざるを得ず、甚だ厳しい現状であります。たちまち政治活動資金の不足に陥り、後援会会報や近況報告書など、印刷・郵送ができなくなるのであります。法律改正は賛成であります。しかし、激変緩和措置が必要だと考えます。既に政治資金パーティーを開こうとか、企業にお願いして、政治資金ではなく相談役または顧問、コンサルタントとしての手当に切りかえていただくとか、そのことのよしあしは別として、新たな問題も生じそうであります。
 また、私個人の政治活動の経験から出た希望として、個人の行う政治資金の寄附は、でき得る限り税制上の優遇措置をお願いいたしたい。平成十一年十二月末で切れる期限の延長と所得控除の率を三〇%から五〇%に引き上げていただきたい。個人献金を通じて政治への関心を高め、有望な政治家を育てる風土の醸成が不可欠であります。さらに、県議会議員の職は著しく専門職となっており、広い調査活動が必要であります。議員に政策立案能力が求められておりますが、こうした現状からして、事務職員一名の設置を法制化していただきたいのであります。
 そこで、選挙管理委員会委員長にお尋ねいたしたいのでありますが、いわゆる企業、団体等の寄附の禁止の「企業」とは、法第二十一条では「会社」と明記されているので、これは株式会社、有限会社、合資会社、合名会社の四つに限定されるのかどうか。法人化されていない企業、例えば小売業、サービス業、建設業などは法による会社ではなく、A商会、B組と看板にあっても、それらの方が個人の名前でする寄附は、個人の名前でする限り個人寄附となるのかどうか。個人の寄附の制限額は百五十万円でありますが、そうなのかどうか。
 さて、去る十一月十八日、高速自動車国道紀南延長促進議員連盟では町田亘会長の提唱で役員研修会を開催し、講師には建設省道路企画課長谷口博昭氏をお招きいたしました。氏は和歌山市紀三井寺の出身で、キャリア組のトップを走る将来の重鎮と目されている方であります。講演テーマは、「次世代の暮らしと道」でありました。話は、最近の建設省の方針に触れ、「一、地域戦略プラン、二、予備費、三、二次補正の三点セットに力点を置いている」とのこと。「特に地域戦略プランは大変重要だ。なぜなら、小渕総理が並々ならぬ力の入れようだ。この政策には必ず予算が裏づけされる。その辺をよく把握し、これを逃さないようにすることが肝心だ。和歌山県は他府県に比べ少ないように思う。県の振興局も加え、本庁で十分に論議されたかどうか。皆さんも了知しておられたかどうか。地域戦略プランは、短期ではなく、長期の見通しに立った政策の展開とその主な柱を実現するようにしないと地域ごとの特色が出せなくなる。県庁挙げて地域戦略プランの実現に努めてほしい。十二年度から予算と計画とはリンケージする。本県は積極的に推す必要あり」とのことであります。そのほかに、「道路特定財源については、建設大臣が先頭に立って守る。他の環境対策予算は別途考える」とのこと、また平成十二年度概算要求については、「小渕総理の経済新生特別枠の関係もあり、党が仕切ることとなる。道路全般では一・〇四%の伸び、高速道路は一・〇七%、地域高規格道路は一・一三%と高い。その他経済新生特別枠や用地先行取得制度の活用は自治省が後押ししている」とのこと、さらに中央省庁再編のことでは、「補助金的なものは地方整備局で見るようになる」こと等の話がありました。そして、次世代の暮らしと道について、「道は暮らしそのもの。二十一世紀の国土グランドデザインでは、東西三千キロメートルの日本を四つの国土軸を中心に整備を進める。紀淡連絡道路も、紀伊半島を一周する近畿自動車道紀勢線も、京奈和道路も、しっかりと整備が進められる。後世に残るきちんとしたインフラの整備は、地方とか都市とかではなく、国土の基本的骨格基盤は整備を進めなければならない」、また世界経済の現状について、アダム・スミスの国富論やケインズの経済理論も引用し、「行き過ぎたグローバルエコノミーは挫折するのではないか」、最後に「地域連携が町、国を変える。和歌山県内は、和歌山市、御坊市、田辺市が連携して──だんご三兄弟ではありませんが──大阪圏に対抗していかなければならないと思う。三市のパートナーシップを高めることが大切だ。今、曼陀羅の心が問い直されている。富山県利賀村にチベットの高僧が来られて曼陀羅を描かれ、村人の感動を呼んでいるとのこと。生きとし生けるものに通じる心がある。ナショナルディフェンスとしても、哲学をもって行政、政治を行っていかねばならないのではないか。それにしても、和歌山県はもっと公共事業を展開されるがよろしかろう。運輸省や建設省、中でも道路関係は谷口に言ってくれれば懸命に頑張って取るから遠慮せずに来てください」と、講演は大きな拍手で終わりました。さすが将来の次官候補だけに聞かせるものがある。県の道路関係幹部も同席され、感激しておりました。
 さて、私の質問はここから始まります。
 なぜ谷口課長が、本県はもっと公共事業を国から獲得することに力を入れないといけないと言われたのか、帰ってから資料を調べてみました。「日経地域情報」第三百二十九号十月十八日付で、各都道府県における県内総生産(GDP)に占める建設事業の割合が搭載してあります。国のデータの公表がおくれており、若干古いデータでの比較と断ってありますが、平成三年から五年の分、平成六年から八年の分と、各三年ごとに表出してあります。これを見ますと、県の公共工事依存度は三・九%、全国第三十位と、中間に位置しております。つまり、建設王国ではないのであります。最も公共工事の比率の高い県は一位高知、二位新潟、そして最も低いのは一位東京、二位大阪であります。しかし、この表を見て私は失望しました。公共工事の絶対額がこの六年間を通じて四十三位なのであります。和歌山県より人口の少ない県は八県あります。いずれの県も、公共工事の施行額が本県より多い。それだけインフラの整備が進められているということです。これらの県と毎年格差がつけられて、積み重ねた五年分の格差は膨大な額になり、南紀熊野体験博へ来られた他府県の方々から、和歌山県の道はよくないねと指摘されるのも無理のない話なのであります。不便さにならされて鈍感になっている我々を見る思いであります。
 念のためと思って建設省監修の「公共工事着工統計年度報」平成十年度版を見ました。本県の公共工事施行額は全国最下位、一千百六十一億円であります。全国で人口が最も少ない鳥取県でも一千四百十六億円と、本県より二百五十億円多い工事をこなしている。原因はどこにあるのか。土木部は財政当局に予算要求を控え過ぎているのではないか、財政当局が他の予算を優先しているのではないか、土木部が建設省から事業をもらえないためなのか。総務部長及び土木部長に原因をお尋ねいたします。
 もちろん、この「公共工事着工統計年度報」には国、公団、県、市町村なども含まれており、県のみを責めているわけではありません。しかし、トータルでインフラの整備がおくれれば、それだけ県民にとっては不利であります。産業基盤は、インフラの整備とともに進みます。地域経済、地域産業にとって企業誘致や企業立地が進まないことは致命傷であります。県道の道路改良率も、ワーストのグループに入っています。これでは元気の出しようがない。財政難でできないと回答されることがしばしばあります。財源がないという理由で公共工事はやらなくてもよいものでありましょうか。和歌山県は、これまでの予算の使い方をもっと検討しなければならなかったのではないでしょうか。谷口博昭課長の指導も踏まえ、全国最下位の公共事業予算の向上をぜひ図っていただきたい。どうも、土木部にエネルギーが足りないように思われる。もっとパワーを出してほしい。
 最近、大変うわさになっている単行図書「建設崩壊」を読んでみました。著者の山崎裕司氏は京大土木工学部卒で、みずからも建設会社で工事課長、取締役を経て、現在、建設経営コンサルタントのシステムズの代表取締役であり、ほかに建設経営に関する著書が多い。氏の提案は大胆であります。「二十一世紀初頭から建設業は衰退する。特に公共事業は、予算が大きく減少する。日本の国家予算も、公共事業のためにこれ以上の赤字国債を出せないぎりぎりの状態になった。ピーク時の建設業は九十兆円であったが、今は六十兆円産業。あと数年後には二十兆円の規模へと激減する」と予測しております。「既に大手・中堅ゼネコンの倒産、合併が相次いでおり、建設業はこのことを認識し、今から覚悟と対策を立てなければならない。今日、日本の建設産業の抜本的改革を促しているのは平成七年策定の建設産業政策大綱である」とし、政策大綱のあらましには、一、国民の不信、特に建設産業の非競争性、不透明性に対するもの、二、新しい競争の時代の構造と将来像、特に新しい入札・契約の枠組み、三、建設産業の基本方向、特に不良不適格業者の徹底排除等を示しております。そもそもこの政策大綱ができたのも、金丸事件、宮城、水戸の汚職事件やその他の多くの談合疑惑が背景にあり、加えてグローバルスタンダードの市場で外国企業の進出を迎えており、建設産業の改革は当然であると警鐘を鳴らしているのであります。「かつて日本の建設行政は建設産業サイドであったが、これからは真の発注者である納税者サイドの建設行政、つまりよいものを安く提供する方向に移行するのは時代の大きな流れである。しかし、この改革で全部の建設業がだめになるのではない。高度な経営能力と技術力を持つ会社は必ず生き残る」、そして「二十一世紀の目玉は、欧米に比べレベルの低い日本の住宅をスペース、質ともに一段とハイクオリティーの住宅に建てかえる、その需要を大きく伸ばすことである」と結んでおります。氏は、建設産業のナビゲーターと言えると思います。実に教えられることの多い本でありますが、私がこの本の中で注目いたしましたのは、徳島県と埼玉県の入札制度が再々取り上げられていることであります。そこで、早速両県に赴き、この点について伺ってまいりました。
 埼玉県は人口六百八十万人、東京のベッドタウンとして膨張しております。平成十一年度予算は一兆八千億円、投資的経費は三千八百億円、このうち県単独事業は二千百十七億円で、県予算に占める比率は一一・七%と高い。浦和駅におりて思い出したのは、前知事時代に起こった埼玉県土曜会事件であります。一流建設企業六十余社が取り仕切ってきた談合を、目に余るものがあるとして公正取引委員会が調査に入り、政財界を揺るがす事件となり、新聞で大きく報じられていたことであります。
 衆議院議長から転じられた土屋知事は、自来、粛々として入札・契約制度の改革を進め、実現してまいっております。公共工事のコスト縮減と入札手続の透明性を高めることを最大の目標にしております。主な改革事項を挙げますと、県が発注する建設工事等(設計、調査測量等)の入札の一般公開、設計金額の事前公表、予定価格等の事後公表、最低制限価格制度及び低入札価格調査制度の運用、談合情報の対応と暴力団対策の強化(県警とタイアップして)、格付の公表、つまり経営事項審査結果の公表と入札参加資格業者の格付の公表、発注工事の公表と入札、市町村等との入札参加資格審査の合同受け付けで、こうした努力の結果、平成十年の落札率は施行額によって異なりますが、おおむね九四・五%から九六・一%の間であり、透明性、コスト縮減とも、まずまずであるとのことであります。帰りに多くの資料をいただき、事務方の大変な努力を教えられると同時に、二千百億円の県単独事業の五%は百五億円になると気づき、一般財源として相当な事業ができる、土屋知事は大した方だと思いました。
 徳島県に伺う前に、県議会同和対策特別委員会の県外調査では、北海道立ウタリ総合センターでアイヌ文化史等を勉強してまいりました。たまたま宿泊したホテルで読んだ北海道新聞の夕刊では、一面トップに「予定価格公表し入札再開」の見出しが躍り、上川支庁で起こった農業土木談合疑惑事件で公正取引委員会の立入検査後ストップしていた入札を再開したと報じておりました。翌日の朝日新聞でも大きく取り上げられ、官製談合疑惑、予定価格の九九%台という不自然な高額落札として注視されている中、道内の支庁では初めて事前に予定価格を全面公開し、透明性を高めるなどの改善策を導入し、その結果九五%から九一%と低い価格で落札した、道では総務部長をトップとする入札手続等調査委員会が発足し、堀達也知事はこれと並行して特別職をトップに有識者も交えた検討組織を早急に設置し、全庁的な入札制度の見直しを進める方針を明らかにしたと報じておりました。関連した記事で、「道庁天下り六百人」という見出しや、技監制度の廃止を決定していながら実行していない、技術職のトップとして発注業務の事実上の責任者となり、入札や指名登録業者の情報が集中する仕組みになって問題視されていた等の記事が書かれてありました。
 次に徳島県では、県の公共工事執行に伴う入札契約事務のあらましを伺った後、こちらから質問させていただきました。「あなたの県では昨年度に設計金額の事前公開、予定価格の事前公開に踏み切られましたが、その背景と成果を教えてほしい」と。これに対し、「原則は、県発注工事の一層の透明性、競争の確保を図り、限られた公共事業予算を効率的に執行することにあり、県入札制度検討委員会の検討を重ねた上での結論であります。建設省とも協議しました」とのことでありました。背景については、雑談として聞いてほしいということで、「一昨年、関係職員が偽計による入札妨害罪で取り調べを受けた。当時、公共工事をめぐる建設業者の設計金額及び予定価格を知ろうとする圧力が異常な空気となって流れ、本庁、出先機関とも入札執行直近日は大変悩まされ、仕事に支障を及ぼした。この渦に巻き込まれ、多くの優秀な職員が県庁を去った。有望な政治家があたら将来をふいにした。これ以上放置できないとするトップの判断で改革に踏み切った」とのこと。ことし、大阪府議会議員が同じ公共工事の競争入札妨害とあっせん収賄などで三人も逮捕されたこと、その都度職員が傷ついたこと。大阪だけに限らず、システムを改めない限り事件はなくならないと決断されたようであります。
 「この制度に移行するに当たっては、県議会には全員のご同意をいただいた。市町村長においても異存はなく、現在三分の一の自治体が実施している。一般県民とマスコミには評価されたが、建設業界のごく一部で渋ってはいた。しかし、県の決定であれば仕方がないということで意識改革が進んだ。成果は、担当職員が大変明るくなったこと、前向きに仕事をするようになったこと。反面、落札率は思ったほど下がらなかった。平均で九五%程度であった。地元企業の下請は、実際は予定価格の七五%から八〇%で行われており、入札制度検討委員会では、一年間の経過を見て、本年度は制度をさらに改めた。設計金額の事前公開と最低制限価格の事前公開です。最低制限価格の事前公開は、都道府県では初めてです。東大阪市や徳島市、その他の自治体では実施されているが、徳島県の本年六月以降の落札率は七八%から八〇%と大きく下がった。ほとんどが最低制限価格に応札するため、くじ引きで落札者を決めている。工事の品質は全く落ちていないので、執行部は満足に近い。何よりも大きな成果は、予算が大きく浮いたことです。仮に公共事業を一千億円とすると、二百億円が浮くことになる。これをすべて再び公共事業に回し、国から事業をもらう。県単独事業四百億円とすると、八十億円近く浮くことになる。これは、財政当局の方で他の予算に回している。その分、職員の超勤が多くなるが、できる限りコンサルに設計、監督の委託を行っている。さらに、警察本部から一名出向をお願いし、トラブル防止に努めている」とのこと。
 以上、三県における入札・契約制度の改革状況の報告であります。
 平成十年二月に開かれた中央建設業審議会の建議書はさらに改革され、新しい時代の大きなステップとして高く評価されております。
 そこで、知事にお尋ねいたします。本県も、仄聞するところ、入札制度の改革を検討中と伺っておりますが、いつごろから、どんな内容、特に設計金額及び予定価格等で実施されるのか、お考えをお伺いいたします。
 私は、本県の公共事業をふやす視点、その他の施策を展開する視点、そして県の財源の不足状況を踏まえますと、徳島県方式が望ましいと考えられます。建設企業者にとってはまことに厳しい改革になると思われますが、本県財政の危機的状況を見るとき、ぜひご検討賜りたいのであります。
 土木部長にお尋ねいたします。入札指名のランクについて、九月の本会議で、Sの格付が少ないとする意見が先輩議員から出されておりましたが、私も同感であります。寡占が生む弊害も考察すべきと思います。例えば、ある町の県工事全体のうち、Sなるがゆえに約七〇%近くを独占している実態を他の業者から指摘されました。さらに、会計検査院の検査官がS企業ばかりの契約書を見て、ほかに業者がいないのかと質問されていたとするうわさすら流れております。Sの等級の企業数について建設省から指示がなされているのかどうか、経営事項審査の公表についての考えをお尋ねいたします。
 また、私どもに寄せられる苦情の中に、県の格付審査に疑問を呈する業者がおります。ランク三、ランク四とかに格付されている業者が自分の会社にユンボ一つ、シャベル一つ置かないで入札だけをとり、直ちに下請に出すことを業としている業者がいる。これを建設業として認定している県の考え方がわからない。県は今後の経営事項審査でどう対応されるのか、お尋ねいたします。
 次に、私が六月県議会本会議で質問いたしました串本浅海養殖場の四門の通水門倒壊事故の原因について、いまだ回答がなされておりません。私は、県の設計ミスか、工事の施工ミスか、その他の原因かとお尋ねしました。答弁では調査中とありましたが、その後、工事は八〇%完成しているとのこと。四門の修復に係る予算は増額したのか、工事施工業者の負担か、災害復旧工事なのか、お尋ねいたします。
 次に、総務部長及び財政当局に要望を申し上げたい。
 先日、平成十二年度予算編成の基本的な考え方と要求基準についての財政課長名の通知をいただいた。本県財政は未曾有の危機的状況にあり、ご理解を賜りたいとのこと。先般八月十二日、配達証明つきで送付のあった財政運営プログラムとともに、厳しさは十分にわかりました。その上で、若干の疑問を申し上げたい。その一つは、知事選での公約についてどのように考えておられるのか。選挙公報の「元気わかやま」のプロジェクトの数は多く、また大変重い。二つ目は、新しい全総計画に盛り込まれた地域連携軸の展開をどう実現していくのか。国の行っている施策の例を入手しましたが、各分野の施策は膨大であります。これらへの取り組みのおくれが二十一世紀和歌山創造に大きく影響します。
 申し上げたいことは、県庁の各課長、出先機関、市町村でも、県に財源がないので新しい事業や夢のある事業にとても手が出ない、財政が厳しくて要求ができないと財政当局の威令が徹底しており、テリブルにすら感じます。明らかに不戦敗宣言をしております。戦意喪失であります。私が要望したいのは、通達は通達として、激変する社会経済に即応して大スピードをもって大胆に変革するには、運用面で柔軟に対応してほしいということであります。
 白浜空港跡地への航空工学系大学構想は、紀南にとって初の大学であり、紀南地域の人々に大きな夢を抱かせております。大学と地元の交流で地域の知的水準の向上が期待され、学生や教員の定住による地域経済への波及効果も大きいと予測されているわけで、地域の誇りともなるのであります。構想推進はぜひ進められるよう、要望いたします。
 私は、六月議会で提言いたしました潮岬地先での海洋深層水のポンプアップ施設と研究機関の設置について、その実現を強く望んでいるものであります。潮岬は本県でも最も適地と見込まれていることと、深層水について、その後多くの新聞、週刊誌でその不思議な効用と大きな需要増加が取り上げられております。七月以降、串本町内の有志の方々十人で高知県室戸岬へ参りました。製塩工場、ミネラルウオーター工場、化粧品工場が次々と立ち上がり、深層水研究所では各種の実験が行われ、新たに二基目のポンプアップ予定地での立て坑の工事現場も見てまいりました。高知県海洋深層水対策室長の、未来にかけた気力十分な話も伺いました。九月には大阪市で海洋深層水商品展示会があり、橋本高知県知事がトップセールスで参り、京阪神の販売事業者五百人余の前で熱心に売り込んでおりました。串本町からも十人ほど参加させてもらいました。つまり、高知県はベンチャービジネスの支援に懸命であります。高地県民以外には深層水は分けない、地域資源の活用こそ地場産業が永続して栄える条件であると。このことは定説であります。
 私ども町内の有志は、役場の幹部を交え、たびたび検討会を持っております。潮岬周辺の海底地図やポンプの設置場所等も、深層水採掘に専門の知識を有する大手企業に来てもらい、勉強を続けております。私どもにとって大変心強いことは、参議院議員の世耕弘成先生も以前から深層水の勉強をされており、いろいろな資料をいただいた上、「平成十二年度の科学技術庁の深海調査費の概算要求に和歌山県が今名乗りを上げないと。たとえ数百万円の調査費でも、つけてもらえると後年度の調査につなげる。研究調査の成否は別としてともかく調査を始めないことには」と、アドバイスをいただきました。串本町も町民も前向きであります。
 農林水産部長にお尋ねします。県では、その後、研究チームを組まれているようでありますが、その状況と国への予算要求についてどのように対応しておられるのか、承りたいのであります。
 農林水産業センサスを見るまでもなく、本県水産業はピンチにあります。カツオ漁を初めとする一本釣り、タイ養殖業など、倒産に瀕しております。県では本年度事業でパヤオ(浮き魚礁)三基投入の予算化をしてくれました。ありがとうございます。事業開始はいつごろになりますか。漁業者の切なる要望でありますが、これを来年度も三基投入していただきたい。水産庁では、こうした先端浮き魚礁についてどう考えておられるのか、お伺いいたします。
 政治家は、たえずその地域の将来ビジョンをスケッチし、その夢の実現化を県民に示すべきであると、ふるさとの大先輩から教えられました。私は、二十一世紀の紀南について、次のようなラフスケッチを描きました。高速道路と地域高規格道路が張りめぐらされ、JRの複線高速化が完了し、航空路の路線化が実現するころ、大学は白浜町と新宮市に、海は本県の大資源であり、串本には一大海洋資源研究所が設置される、観光産業は総合産業として発展し、新しい文化デザインの発信基地とともに世界的な滞在型観光地になる、さらに暖かさと澄んだ空気、美しい水を求め、多くの高齢者が集まり、福祉産業も発展すると考えられ、多自然居住地の優等生につくり上げる強い志向が我々政治家に求められていると考えておりますと、先輩にお答えいたしました。
 至らぬ私の発言内容が多くの方々に差しさわりがあるかもしれませんが、真に県勢の発展を願う気持ちから出たものと、どうぞご容赦賜りたいのであります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 堀本議員にお答えをいたします。
 入札制度の改善につきましては、本県でも、公共事業の透明性を一層高めるために平成十年八月から予定価格の事後公表を行ってございます。また、一定の基準額を下回る入札を排除する最低制限価格制度から、内容を審査して落札を決定する低入札価格調査制度の適用を拡大するなど、入札制度の改善を行ってきたところでございます。今後、入札制度につきましては、さらに透明性、客観性、競争性を確保しながら不正が起きにくいシステムとすることが最も重要でありますので、議員のご提言の予定価格もしくは設計金額の事前公表を実施したいと考えてございまして、できるだけ早期に入札・契約制度検討委員会において検討させたいと考えてございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 県は公共事業の施行量をもっとふやせないかというご質問にお答えいたします。
 議員ご指摘の「公共工事着工統計年報」は、全公共機関発注工事の年間出来高三千万円未満の建設業者が調査対象から除かれているなどの条件下でまとめられたもので、年間工事出来高の評価についてはさらなる分析が必要であると考えております。
 なお、平成十年度予算における本県土木部の普通建設事業費総額は全国第三十九位となっておりますが、人口一人当たりでは第十五位に位置しており、本県土木部の予算額は全国並みと認識してございます。
 今般の地域戦略プラン予算の要望につきましては、市町村が連携して策定した計画に基づいた道路整備等を、また第二次補正予算では景気回復と生活基盤の充実を図るため積極的な予算要望を行ったところでございます。
 厳しい財政状況ではございますが、今後とも国や公団の事業の導入を図りながら、市町村ともども新時代を支える基盤づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 続きまして、入札契約制度の改善の二点目、経営事項審査結果の公表と入札参加資格業者の格付の公表その他についてでございます。
 Sランクの設定については、県内業者が県外大手業者と共同企業体を組んで高度な技術を学び習得することにより技術力の向上を図ることを目的とし、施工能力等を総合的に考慮して、県の判断で設定しております。またランクの公表につきましては、透明性を高めるといった観点から検討してまいりたいと考えております。
 建設業の許可につきましては、建設業に関する経営経験者を有していること、二番目に常勤の技術者を有していること、三番目に請負契約を履行するために足りる財産的基礎を有していることなどの要件を厳正に審査の上、行っております。また等級については、経営規模、経営状況、技術力、社会性等の経営事項審査による客観点数等に基づき設定しております。
 なお、来年度からの経営事項審査につきましては、技術者の雇用保険または社会保険の加入状況によりその常勤性を確認するなど、より一層厳正に審査してまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 公共事業の施行量の確保並びに財政の弾力的運用についてでございます。
 予算編成における公共事業の取り扱いにつきましては、道路整備を初めとした社会資本整備の推進を図る観点から、かねてよりシーリングといった要求段階からの制約は設けてございませんし、平成十二年度当初予算編成においても同様の取り扱いとしたところでございます。
 ただ、地方財政を取り巻く環境には非常に厳しいものがございまして、本県財政も例外ではございません。基金依存型からの脱却等、財政健全化に向け、財政運営プログラムを策定して取り組んでいるところでありまして、聖域なくすべての事業について見直しする必要があることから、投資的経費についても総事業量の抑制は避けられないものと考えてございます。
 しかしながら、道路整備を初めとした県民生活に密着した社会資本整備の推進は本県にとっても重要な課題でございますので、公共工事のコスト縮減等に積極的に取り組むことにより可能な限り事業量を確保するとともに、緊急性、必要性の高い事業への重点的、効率的な財源配分を行い、投資効率のよい予算の編成に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 堀本議員の、串本浅海養殖場の通水口倒壊事故の原因につきましてお答え申し上げます。
 串本浅海養殖場における通水口四門の倒壊原因につきましては、その解明に努めましたところ、通水ブロックの全体構造設計を精査した結果、安全性は確保されておりましたが、漁業者との協定に従って工事を中断していた期間中の一方向でなく、複雑で圧力の強い不規則波によるものと結論を得ております。また、修復に係る予算は増額をもって対応いたしました。
 次に、海洋深層水への取り組み状況についてでございます。
 議員より六月議会でご提案を受けまして、その後、庁内関係担当者による検討会を開催してまいりました。その結果、本県での深層水への取り組みに際しては、先行している、ほかにない特徴づけが必要であるため、まず水深千メートル付近での試験採水を行い、基礎的な調査研究を行うことが不可欠との結論に達し、関係部局間で連携を図りながら調査研究を進めていくこととなってございます。
 なお、今後の取り組みにつきましては、企画部、農林水産部、商工労働部の関係各課に加え、水産を初めとする関連分野の研究機関の担当者で構成するワーキンググループにおきまして、基礎的な調査結果を踏まえ、関係部局等と協議しながら国への要望等を検討してまいりたいと考えてございます。
 次に中層式浮き魚礁についてでございますが、漁業者並びに関係機関との協議が整いましたので、試験礁を平成十二年一月下旬ごろに熊野灘海域一基、紀伊水道外域二基の計三基を設置する予定であります。設置後は、二年間にわたりその効果について調査を実施することとしてございます。
 平成十三年度からスタートする水産庁所管の次期沿岸漁場整備開発事業の中に、新しく中層式浮き魚礁設置事業が組み入れられると聞いておりますので、県としても事業採択に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 選挙管理委員会委員長谷口庄一君。
  〔谷口庄一君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(谷口庄一君) 政治資金規正法の改正についてお答えをいたします。
 ご質問にありました企業、団体からの資金管理団体への寄附の制限につきましては、現在、政治資金規正法改正法案が国会に上程され、審議中であると承知をいたしております。ご質問の点につきましては、現行の政治資金規正法の解釈で申し上げます。
 企業、団体の寄附の制限に言う「企業」の解釈につきましては、お尋ねがありましたとおり、株式会社、有限会社、合資会社、合名会社の四種類の会社が該当いたします。また、法人化されていない個人企業につきましては、その個人企業が複数人で共同して事業を行っている等の特段の事情がない限り、個人からの寄附と判断されると思われますが、当該個人企業が寄附の制限の対象となる団体としての性格を有しているかどうかにつきましては、個別具体の実態に応じて判断されるものと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 六番堀本隆男君。
○堀本隆男君 ただいまは知事から入札に係る予定価格の事前公表について、実施したいと考えておりますとご検討のご答弁をいただき、まことにありがとうございました。
 さて、山上憶良の歌に、「憶良らは今は罷らむ子泣くらむそれその母も我を待つらむぞ」──一般には酒の場でつくったとされておりますが、おなかをすかして待っている家族のもとへ早く帰ってやりたいという思いが切々と出ております。
 ことしの紀南の海は不漁で、泣きました。ドラム缶一本をたいて走りまくっても一本のカツオも釣れないで帰る一家のあるじの気持ちは切なく、涙の出る毎日だと言っております。
 農林水産委員会の県外調査で沖縄県糸満漁協を見てまいりましたが、一漁協で十二基のパヤオを持ち、年間水揚げは約三億から四億円で、もはやパヤオなしの漁業は考えられないと言っております。貧窮にあえぐ紀南の漁業者は口をそろえて、来年もパヤオを入れてほしいと願っております。どうぞ、当局の皆さん、この気持ちを酌んでやっていただきたいのであります。要望でございます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
  【日程第三 請願付託の件】
○議長(下川俊樹君) 次に日程第三、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 お諮りいたします。十二月十四日、十五日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、十二月十四日、十五日は休会とすることに決定いたしました。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次会は、十二月十六日再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十七分散会

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