平成11年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(向井嘉久藏議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 まず、一般質問に入る前に、けさ号外を見ました。暗いニュースの多い中で、皇太子妃雅子様がご懐妊された。国民にとっては非常にうれしいニュースでございまして、壇上でこの話をできるのが非常にうれしゅうございます。
 それでは一般質問させていただきますが、その前に、先般の知事選では、多くの県民のご支持を得て圧倒的な強さで当選されました西口知事に、心からお祝いを申し上げたいと存じます。おめでとうございます。
 橋本市で去る九月十二日、橋本、また伊都の皆さんが待望久しかった県立橋本体育館がオープンいたしました。その後もイベントがメジロ押しでございましたが、先日開催されたNHKののど自慢には四千人もの聴衆が駆けつけました。それはそれは大変なことでございまして、本当にありがとうございました。また道路網につきましても、現在、京奈和自動車道橋本道路の工事着工、三百七十一号線バイパスの工事着工、広域紀の川左岸農道についても着工していただいておりまして、ありがたいことでございます。また橋本では、清水市脇架橋にことしぐらいから工事をしていただけるのではないか、こういう希望的観測がございますし、また実際に予算もついてきております。知事が掲げていただいている公約が着々と実行されておりますことを、心から感謝申し上げる次第でございます。また警察に関しましても、橋本署の管内に即時免許証交付センターを設置していただきたいと私が申し上げたのが、もう五年前にもなります。そのときの県警本部長の答えは、イエスでございました。これも、早急にお願い申し上げたいと存ずるわけでございます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 まず、福祉保健部にお尋ねいたします。
 介護保険制度は、いよいよ来年四月から実施されるわけでございます。この制度導入につきましては、論議がなされ、国において法整備がなされたところでございます。明年四月からの実施に向けて諸準備が進行中であります。各地方自治体では、介護の可否について認定作業に取り組んでいるところでございます。自立か要支援か、要介護度がどのように認定されるのか、当人はもちろんのこと、家族の皆さんにとっても大きな関心事であります。
 過日、テレビで認定作業の模様が詳細に報道されておりました。番組の中で、幾つかの問題点や矛盾点が指摘されておりました。自立か、要支援かの認定に当たっては相当の難しさがあり、訪問聞き取り調査に当たっている調査員の印象、判断が認定時に微妙に影響するようであります。この認定で自立と判定された場合、介護保険サービスは受けられないし、現在施設に入所中であっても、五年間の猶予はあるものの退所しなければなりません。
 私は、今回の質問では、自立と判定されたいわゆる在宅高齢者に対する支援について提案と質問を行いたいと思います。
 平成十一年六月三十日付で、厚生省老人保健福祉局長から在宅高齢者保健福祉推進支援事業実施要綱が通知されております。要綱では、在宅高齢者への各種保険支援サービスが実施事業として列挙されておりますが、そのいずれも、実施事業にうたわれていることを自分ではできない要援護の老人やひとり暮らしの老人等に限っております。また、高齢者の生きがい対策事業でも実施主体は、市町村、市町村老人クラブ連合会、市町村福祉協議会、社会福祉法人、農協等に委託することができると定められております。
 本日、私が紹介し検討願いたいのは、前段で申し上げた要綱にも該当しない、在宅高齢者支援の原点でもある地域の高齢者を、地域の人たちの手で支えることを実行しているボランティアの女性の皆さんの活躍であります。
 これは、朝日新聞の平成十一年三月十二日に掲載されております。近隣のヘルパー経験のある女性のボランティアグループですが、お年寄りのために何かできないかと考えて、触れ合いの場をつくりました。昔ながらの縁側のある民家が、無償で場所を提供してくださることになりました。二年前の平成九年十一月から月二回、第一、第三土曜日に開いております。会のモットーは、「もう一つの我が家」であります。お年寄りが集まってお茶を飲みながら世間話をしたり相談に応じたりでスタートいたしましたが、最近では手づくりの昼食や菓子なども用意いたしております。評判を聞きつけて毎回十人前後のお年寄りが集まっておりますが、時々参加するメンバーも入れると三十人にもなるそうでございます。参加しているお年寄りは異口同音に、「月二回が待ち遠しい」、「もっと回数をふやしてもらいたい」、「ここの施設は何よりも強制されないのが一番いい」、このように喜んでおられます。お世話する女性は、「大きなことはできなくても、喜んでいただければ満足です。体が不自由で来られないお年寄りをどうするかが今後の課題です」、このように話しておられます。これこそが、高齢者を地域の人の手で支えていく高齢者支援の原点ではないかと思うのでございます。立派な施設をつくり手厚く介護する、これも大切だと思います。介護予防の見地からも、在宅高齢者の自立老人に対し、国、自治体はもう一歩踏み込んだ積極的な事業の展開が求められているのではないかと思うのでございます。
 そこで、質問いたします。
 地域で実施している小規模ボランティアをどのように思っておられるか。
 また県として、この種の小規模ボランティアグループを支え、育てることができないのか、お尋ねしたいと思います。
 次に、教育長にお尋ねいたします。
 知事は、リゾート博、熊野体験博の開催を通じ、県民に「和歌山県民よ自信を持て」と強く訴えておられます。和歌山県民の誇りと自信を持つことは非常に大切なことでありますし、私もそのようになりたいと努力しておるところでございます。自信を持つ、誇りを持つということは、郷土を愛し、自然を大切にすることにつながると思うのでございます。それが、ひいては隣人を、友人を、またすべての人を愛する心にもつながっていくと考えるのでございます。
 その方法の一助としてお伺いしたいのでございますが、和歌山県の風土が生んだ偉大な先人が多くおられますし、また今も各分野で活躍されている方々がおられます。これらの人々を広く紹介し、県民に知ってもらうことが大事であり、県民がこのようなすばらしい先人の各分野での活躍や名声を、また業績を知ることこそが和歌山県人としての自信と誇りにつながるものと思うのでございます。
 私の知る範囲でも、橋本では古くは聖地高野山を救った応其上人、高野口町から岩出町まで全長三十三キロメートルにも及ぶ小田井堰を初め数々の土木工事をした紀州藩主大畑才蔵、近くでは数学者で文化勲章を受章した岡潔博士、スポーツ面では水泳の前畑・古川両ゴールドメダリスト、近くの那賀郡では医聖華岡青洲、和歌山に入って吉宗、紀南に行って熊楠等々、枚挙にいとまがないのでございます。全国どこへ行っても、郷土の偉人を積極的に顕彰しております。それに比べ和歌山県は、遠慮がちではないでしょうか。幅の広い教育が、人格形成に不可欠であるとも言えます。
 先日、バイニング夫人の訃報が伝えられました。夫人は、昭和天皇が幼年期での教育の大切さを痛感され、今上天皇のご幼少期の家庭教師として招聘されたアメリカの方でございます。夫人は、「人をとうとび、判断をするときはよく考えてくださるように」と教えられました。その教えが、今上天皇のお考え方にご影響を与えているとも報じております。幼少期の教育の大切さが、ここでもわかると思うのでございます。
 また午前中、小原議員からの発言がございました。新宮高校で、野球部員として厳しく鍛えられた。技術はもとより、マナーも、礼儀も、言葉遣いも、それがひいては人格形成にもなった、このような紹介がございましたが、まさに少年期の教育こそがその人の一生を左右し、人格を形成するものではないか、このように思って質問をしている次第でございます。
 間近に迫った二十一世紀、この世紀の和歌山県を担っていくのが青少年たちでございます。彼ら、彼女らに、高い誇りと自信と、いたわりの心を持ち合わせた人間になってもらいたいと願っております。私の提案を、教育の場で取り上げていただければ幸いであります。
 そこで、教育長に質問いたします。
 一つは、本県の偉大な先人の教育がどのように教育現場でなされているかであります。
 二つ目は、和歌山県として、今後こうした教育をさらに発展させていく考えはあるか。
 この二問にお答えください。
 続いて、生活文化部長にお尋ねいたします。
 私は、過去八回にわたって産業廃棄物、また一般廃棄物について質問をしてきたところでございます。前回までの議事録を読み返してみますと、世間の常識が国、県の常識ではないのがわかります。当時私も、廃掃法とは、ダイオキシンとは何であるかわかりませんでした。産業廃棄物も一般廃棄物も、この十年来、膨大な排出量で、産廃は四億トン、一般廃棄物は五千万トンと、過去最高の水準に定着したままであります。このことが、廃棄物問題を日本の最大の環境問題、また社会問題としている原因と言っても過言ではありません。
 この間、国は、二度にわたって廃棄物処理法を大改定いたしましたが、ガンである廃棄物減量にはほとんど踏み込んでおりません。また最近では、産業廃棄物の施設と同様に、一般廃棄物の施設に問題が顕在化し、焼却施設では大阪府能勢町のようなダイオキシン汚染、また最終処理場では遮水シートの破損、遮水装置のない不適格施設等の問題があり、地域住民との紛争の有無とは別に、環境汚染源としての深刻な要素を示しております。
 一方、新たな廃棄施設の設置手続の面では一定の変化が起こりつつあります。岡山県吉永町、千葉県海上町、茨城県水戸市で県が産廃処理場を不許可としたり、審査請求では厚生省が不許可を認めるという事例や、厚生省が県の不許可処分を取り消したものを裁判所の仮処分では差しとめが認められるという事例も出てきております。さらに国は、おくれていたダイオキシンの排出基準、土壌基準を決定いたしました。また和歌山県にあっても、当初、処分業の申請は申請要件を満たしておれば許可を出していたものが地元の同意が必要となりました。また、操業中の処理場であっても他府県の産廃の搬入はできないなどと、対応が大きく変わってまいりました。
 橋本市の野地内、日本工業所については、後手後手と回る対応と不作為とが重なり、同処理場が深刻な状況にあるのはご承知のとおりであります。今ここで過去の対応を非難しても解決するものではなく、行政と住民が解決に向けて協力していくことが大事ではないかと思うのであります。日本工業所処理場で、住民の要求とダイオキシン類問題検討委員会の要請で処分地内で、排水検査、ダイオキシン調査では最高千七百ピコグラムのダイオキシンが検出されました。また、野積みされていた産廃の撤去、ボーリング調査、ガス発生源調査のための埋蔵物確認掘削が実施されました。このように、住民が望んでいたことが遅まきながら実行されました。その調査結果は、住民が以前から指摘していたとおりであったのが残念でございます。
 学識経験者による日本工業所に係るダイオキシン類問題検討委員会も設置され、検討委員会での結果が逐次実行に移されていることは非常に結構であると思います。検討委員会の会議録を読むと、回を重ねるごとに大きな山場に差しかかっていることが委員の発言の端々からもうかがうことができます。検討委員会議事録の中で、ある委員が、「掘削するにしても、土をどこかに持っていくことは無理ですね。また、持ってこられても困りますね」と発言しており、また別の委員は、「基本的には余り持ち出さないで、ここで封じ込める」との発言が第三回検討委員会でされております。これは、覆土案を意識している発言でしょうか。もし覆土案になった場合、ここ数年くらいは安心かもしれません。覆土すれば、草木が生え、この土地がかつてどのような影響を受けた土地かはわからなくなってしまいます。しかし、十年単位で物事を考えると、地下水への浸透などにより汚染の拡大は防げません。比較的まともと言われている管理型処分場でも、ゴムシートの寿命は十数年から二十年とされ、それ以降の流出については防ぐすべがないのが現状であります。ましてや、谷を掘り下げただけの日本工業所の違法処理場が、土をかぶせるだけで安全とは到底思うことができません。さらに住民サイドから言えば、覆土案は既に日本工業所が産廃隠しのためやったこととはいえ、同じ手法をとることは、住民感情から言っても到底許せないことであります。覆土をし、また崩落防止の堰堤をつくるとかは、基本的には日本工業所と同じことをやるにすぎません。
 そこで、質問いたします。
 橋本産廃問題をどのように解決しようとしているのか、このことについてお尋ねいたします。
 日本工業所の問題では、実際に処理場近くの住民が、自分の持ち家があるにもかかわらず、家に帰れないまま避難生活を送っている現実があります。県サイドは、この現実をどのように把握しておるのか。厳密な因果関係論を持ち出すような問題ではないと思うのであります。
 そこで、質問いたします。
 被害者の実態を把握しておりますか。被害者に援助はできないのですか。
 また、県下で発生している産廃をめぐるいろんな紛争やその再発を橋本のようにしていただきたくはないという意味で質問するわけですが、このように再発を防止するためにも具体策を持ち合わせて考えておるのかということを質問したいと思います。
 福祉環境常任委員会は、去る十一月四日、五日、ドイツ総領事館、岩手県の岩手クリーンセンター最終処分場を研修いたしました。私には、ドイツ副総領事が説明する一言一言が胸に突き刺さるような思いでありました。ドイツで今行われている環境問題で、ドイツ国民はリサイクルできない製品は買わない、またメーカー責任を問うデポジット法が徹底されている、産業廃棄物、一般廃棄物の減量に国民は積極的に取り組んでいる等々でございました。国でもその動きがあり、来年にはデポジット法の制定がなされるということでございます。常任委員会研修でのドイツ副総領事の説明を紹介いたしましたが、ドイツ国民はリサイクルのできない製品は買わないとする確固たる信念を持っているとも聞きました。この信念はどこから来るものか、ドイツの教育に大いに関係があるとのことであります。子供のときから、物のとうとさ、環境の大切さを、学校、家庭で徹底して教育しているということでございます。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 県下小中学校での環境教育の実態はどうであるか。
 二つ目に、教員の環境に対する知識向上のための講習等の実施はどうされているのか。
 この二問についてお尋ねいたします。
 以上で、一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 向井議員にお答えをいたします。
 在宅の自立高齢者への支援についてでございますが、議員ご提言のとおり、これからの高齢者福祉を進めるに当たっては、比較的元気なお年寄りが地域の中で健康で生きがいを持った生活をしていただくことが大変重要なことと認識をしてございます。国においても、介護予防、生活支援事業として地域の実情に応じて市町村が取り組めるよう検討されており、県といたしましてもその推進に努めてまいります。しかしながら、今後の高齢社会を地域で支えていくためには、こういった行政の事業だけではなく、それぞれの地域の中での自主的なボランティア活動が不可欠でございます。新聞報道のようなケースはまことに貴重な活動と考えておりますし、県内各地域で大きな力となることを期待しております。また、このような活動が広く取り組まれるよう啓発をしてまいります。
 次に、ボランティアグループの育成についてでございますが、お話のようなグループに対しまして現時点で補助対象とすることは困難でありますが、ボランティアの方々が活動しやすいように、さまざまな情報の提供や要望の紹介等、側面からの支援を市町村ともども検討していきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 向井議員ご質問の橋本市の産業廃棄物問題についての四点にお答えいたします。
 まず一点目の解決策についてでございますが、日本工業所に係るダイオキシン類問題検討委員会において、現在検討をいただいているところでございます。また、委員会からの提言を受け、先月八日から十九日にかけ、ダイオキシン類の補完調査を実施したところでございます。今後は、これまでの調査結果や今回の補完調査の結果をもとに審議の上、対応策について提言いただけるものと考えております。その後、厚生省や環境庁など国と協議し、県としての対応策を検討してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、第二点目の被害者実態を把握しているかとのご質問でございますが、被害があったということにつきましては、住民の方々のご意見や公害紛争調停の申し立て証拠として添付されている書類により承知いたしてございます。
 続きまして、第三点目の被害者への援助はできないかについてでございますが、県といたしましては、現在、ダイオキシン類問題検討委員会において健康影響の有無を検討いただいているところでございまして、その結果を見守ってまいりたいと考えてございます。
 続きまして、四点目の再発防止をするためにも具体策を考えているかとのご質問でありますが、県では、従来から許可申請等に係る手続の審査や監視、指導において複数の職員で対応することなど、より厳正に行うよう各保健所を指導しているところでございます。また、処理施設の設置や処分業の許可の審査に際しては、地元市町村長の意見を最大限尊重して審査しているところでございます。
 なお、議員ご提言の環境監視パトロールにつきましては、事務処理要員も含めて計二十名により、休日等の不法投棄や野焼き等の不適正処理の監視パトロールを開始したところでございます。今後、不適正処理が発見された場合には、その行為者に対し指導を強力に行うとともに、悪質な者に対しては関係機関とも協議しながら、法的対応も含め厳正に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 向井議員にお答え申し上げます。
 最初に、本県の偉大な先人の顕彰についてであります。
 教育委員会といたしましては、あすの郷土和歌山のみならず、二十一世紀の我が国を担う子供たちが、ふるさと和歌山の生んだ多くの先人の業績から学ぶことは極めて大切であると考えております。
 こうしたことから、これまでもふるさと教育を積極的に推進しているところであり、平成九年度には浜口梧陵を初め、華岡青洲、南方熊楠等を取り上げた道徳教育副読本「ふるさと わかやまの心」を作成し、小中学校の教材として活用しているところでございます。さらに現在、和歌山のすばらしい自然や歴史、先人の活躍等についておさめたふるさと教育副読本を作成中であります。この読本を通して、来年度から県内すべての小中学校で、子供たちが和歌山のすばらしさについて学び、郷土に対する誇りと自信を培うことといたしております。今後とも、こうした教材を活用しながら、多面的にふるさと教育をより一層推進してまいりたいと考えております。
 次に環境教育についてでありますが、今日的課題である環境問題は、身近な社会や自然の事象から、地球規模の問題に至るまで広範囲にわたっております。その解決に向けては、環境に対する豊かな感性や見識を持つ人間の育成が重要であり、学校教育における環境教育の果たす役割は極めて大きいと考えるものであります。
 こうしたことから、学校教育の指導の方針と重点において、環境教育の重要性とその推進の方向について全教職員に周知徹底を図っているところであります。各学校にあっては、社会、理科、保健体育等の教科の指導の中で、児童生徒の発達段階に応じて環境教育に取り組むとともに、文部省や県の研究指定校においても重点的に研究を行っているところであります。また、新たに導入される総合的な学習の時間においても、環境を初めとするさまざまなテーマを設定し、問題解決的な学習や体験的な学習を重視する授業を積極的に展開してまいります。さらに、教育研修センターにおいて実施している自然観察や環境調査等に係る講座をより一層充実させるなど、教員の意識と資質の向上にも努めてまいります。
 今後とも、家庭、地域と連携しながら、学校における全教育活動を通じ、環境問題の解決に向けて主体的に取り組む児童生徒の育成に、より一層努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 再質問させていただきます。順を追ってさせていただきます。
 まず、ボランティアの関係でお答えいただきましたが、介護予防という立場から、和歌山県はもっと一歩踏み込んでいただきたいなと思うんです。介護を必要とする方々への支援、これは国がいろいろ具体策を示して事業を展開中でございます。しかし、自立と判定された方への事業はほとんどないわけでございます。したがって和歌山県は、他府県に先んじて予防介護という意味から事業を展開していただきたい。それが、ひいては介護になる前に食いとめていくことになるわけで、財政的な面からも大きな役割を果たすのでないかなと考えておりますので、お願いしたい。
 それともう一つは、こういうどこにも属さない、どこにも拘束されない小規模のボランティア事業というのが繰り広げられております。私がご紹介いたしましたのは、私の町内会の中で繰り広げられている本当に小さな事業でございます。しかし、調査いたしますと、橋本市内だけでも類似のボランティアグループが五つあるということです。ということは、和歌山県下を眺めますと、相当多くの皆さんがこういうボランティアをやっておられるんじゃないか。介護予防という見地から、こういうふうに自主的にやっておられるのかなと思います。しかし、それらに対して何ら財政的な措置もございません。こういう芽を、和歌山県は大きく育てていく必要があるのでないかと思います。
 財政当局に要望しておきます。介護予防という意味から、自立の方々への事業に対して財政的なご支援をしていただきたいと思います。 続きまして産廃のことでございますが、一つは再質問させていただきます。
 被害に遭った方への支援についてであります。産廃の焼却場から二百メートルも離れていないでしょうか、そこの家の方が病気になり入院されました。明らかに焼却が原因という、お医者さんの診断でございます。それから、近くの方十数人が通院をなさっております。特に、外へ出ている方はいまだに自分の家に帰れないという状態でございます。そういうことで、なぜ県はその方への支援を積極的になされないのか。実は今、この方は橋本市営住宅に入居されているわけですが、ここも長期になるために退去してくれという話が出ておりまして非常に困っておられる。その方への支援はできないのか、改めてお伺いしておきます。
 それから要望させていただきますが、環境パトロールのことについてでございます。
 和歌山県下で橋本と同じようなことを二度と発生させてはならないということで、橋本の日本工業所におけるいろんなことで私どもも勉強させていただいたし、和歌山県も勉強していただいたと思うんです。そんな中で、先ほど紹介させていただいたように、申請する業者にいろいろ規制がかかってきております。再発を防止するためにも、監視パトロールは重要であると思っております。今までは、保健所の職員が、例えば伊都・橋本で一人か二人の担当が仕事の合間にあちこちの現場へ出かけて、そういうところがないかと監視に回っておったと思うんですが、手薄であったことは否めません。しかし、二十人もの監視パトロールを県下に置いていただいた。これは、一つの前進であります。このパトロールの下に各市町村の住民の方々に、監視員という名称でもいいでしょうか、そういう方を大勢任命して、いろんな連絡をいただく連絡網の設置をしていただきたい。そして、監視員がその現場に出かけて、早く手を打たなければならないと判断すればその手を打つ。そういう情報網を張りめぐらすことが大事であろうと思いますので、これについてどのようにお考えなのか。
 要望と言いましたが、再質問に切りかえさせていただきますので、生活文化部長、お答え願いたいと思います。
 最後に、教育委員会に要望を申し上げておきます。
 副読本をつくっていただきましたが、教育現場では副読本が配付された年には熱心にやっていただけるんですけれども、こういう環境の問題、また和歌山県の先人の問題等は毎年の積み重ねが大切だと思っております。積み重ねこそが、子供の知識、考え方に大きな影響を与えていくのではないかと思っております。したがって、毎年やっていただきたい。
 もう一つは、それを教える側の先生方の知識の向上であります。これにつきましても、自分で勉強した以外に講習会を常時開いていただいて、豊富な知識を身につけて子供たちに教えていただきたい。
 このように要望申し上げて、再質問と要望にさせていただきます。終わります。
 ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 向井議員の再質問にお答えいたします。
 先ほどの、被害者への支援のことでございます。今、議員からお話を聞いて、まことに実態は厳しく、気の毒であると思っておりますけれども、先ほどお答えしましたとおり、現在ダイオキシン類問題検討委員会において健康影響の有無について検討いただいておりますので、ご理解賜りたいと思います。
 それと、環境監視パトロールであります。議員より常にご指導賜っておるところでありますが、現在、国においても不法投棄監視連絡員制度を検討していただいております。今のところ、この制度の詳細についてははっきりいたしておりませんけれども、県といたしましては、現在二十名でやっているパトロールの効果を十分に見ながら、国の制度とあわせて今後真剣に検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上で、向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。

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