平成11年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(小原 泰議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第百四十号から議案第百四十四号までは、いずれも職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百二十号から議案第百四十六号まで、並びに報第四号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百二十号から議案第百四十六号まで、並びに地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十番小原 泰君。
  〔小原 泰君、登壇〕(拍手)
○小原 泰君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 最初に、私ごとで恐縮でありますが、三十年前、私がまだ紅顔の美少年であったころ、新宮高校に入学し、硬式野球部に入部いたしました。当時の怖い監督が、下川議長でありました。以来、野球の技術を教わるだけでなく、スポーツを通じ、言葉遣いから行儀作法に至るまで、人間形成にいろいろとご指導いただきました。今、こうして県民の代表としてこの壇上に立たせていただけるのもそのおかげと、感謝いたしておるところでございます。初の一般質問に、議長席より温かく見守っていただきながら質問に入らせていただきます。
 私の生まれ育った本宮町は、紀南の山間部に位置し、過疎の問題を初め、林業や観光産業の振興等に数多くの諸課題を抱え、山間部だけに文字どおり課題が山積された状況にあります。そこで、伝統を誇るこの議場で登壇させていただくことに感激と責任感の重さを改めて痛感しながら、紀南地方の活性化等について幾つかの角度から質問させていただきます。
 本宮町では、中山前町長を初め、町議会や森林組合などが一体となって、森林交付税制度の創設に向けての取り組みや観光の振興、森林シンポジウムの開催など、町の活性化、地域づくりに向けてのさまざまな取り組みを重ねています。
 そんな中、昨年三月に国が新しい全国総合開発計画に当たる二十一世紀の国土のグランドデザインが発表されました。その中で、「地域の自立の促進と美しい国土の創造」というサブタイトルをつけ、それを実現するための四つの戦略の一番目に「多自然居住地域の創造」が挙げられています。この概念を見ますと、二十一世紀を迎える中、国民がゆとり、豊かさを持ってよりよい自然環境に恵まれたところで過ごせるような地域づくり、町づくりを行うというものであります。この計画は、まさに我が郷土、紀南地方をイメージした地域構想であり、これからの熊野地域のあり方とマッチするものであります。
 田辺市と新宮市を多自然居住地域の拠点都市と位置づける必要があると考えます。新しく整備された国道三百十一号と百六十八号、そして海岸部の国道四十二号で結ばれたこの地域は、森林文化リゾートや海洋リゾートなど、自然環境に恵まれた日本の中でも数少ない歴史と文化を保有した地域であります。私は、この豊かな自然を守りながら、南紀熊野体験博のテーマである、いやす、みたす、よみがえるの精神を生かした地域づくりを進め、熊野地域をよみがえらせるため努力してまいりたいと考えております。
 そのためには自然環境に恵まれた熊野地域にしかない町づくり、地域づくりに取り組み、過疎の町からの脱却を図るのがこのグランドデザインに合わせたこれからの町づくりのあり方と考えますが、西口知事はどう進めていくお考えなのか、お伺いいたします。
 次に、紀南地方の医療体制の整備充実であります。
 知事も、住む人々のさまざまなニーズにこたえるよう取り組んでおられますが、ここで大きな課題となるのは、医療体制、医療施設の整備充実であります。
 先月二十九日の毎日新聞の記事で、「串本町大島でただ一人の医師として島の人たちの健康を守り続けてきた菅間裕さんが島を離れることになった。島の人たちは三地区主催で感謝のお別れ会を盛大に開いた」と報じられていました。幸い大島には串本と結ぶ大橋が開通いたしましたが、寝たきり老人など、島の人たちは一抹の不安を覚えています。
 また、私の住む本宮町には総合病院はなく、お年寄りや子連れの母親が路線バス等を利用して新宮市等の病院へ、片道一時間から二時間かけて通い、院内での待ち時間も含めると、ほぼ一日仕事で通院しているのが実情であります。私たちが年をとるにつれ考えるのは、まず健康についてであります。重い病気になったとき、いかに早く高度な医療体制の整った施設で診断、治療が受けられるかについてを常に望んでおります。
 残念ながら、紀南地方には、特に新宮保健所と古座保健所が所轄する新宮保健医療圏では、今の時代になくてはならない高度医療機器のMRIやCTスキャナ、血管連続撮影装置、結石破砕装置等を備えてある医療施設は、公立、民間を含め、MRI三カ所、CTスキャナ八カ所であり、これは県全体のMRI三十八カ所、CTスキャナ七十一カ所、また和歌山保健医療圏のMRI十八カ所、CTスキャナ三十八カ所に比べ、非常に少ない状態となっております。これは、この種の機器の購入代金が一億を超えるものなど非常に高額であることが大きな要因となっていることが挙げられますが、このような医療格差をなくすためにも県立医科大学の紀南分院の設置等について提案いたしますが、いかがでしょうか。
 また、当地方には豊富な温泉資源があります。この温泉を利用した医療や、近年の健康ブーム、現代人の注目を集めているダイエットやエステ等の理学療法や美容療法にも温泉を取り入れる傾向が高まってきています。厚生省の方でも健康保険が利用できるよう、これらの活用運用面についても準備を進めているということであります。
 このほか、マルチメディア時代を迎える中、紀南の医療施設と県立医科大学等の大規模病院との間でオンライン化を図り、診断、治療、手術を含めたネットワーク化をより一層推進すべきだと思いますが、この取り組みについてはいかがでしょうか。
 以上の観点から、紀南地方の特性を生かした総合医療体制の整備充実について、福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、観光振興と道路整備についてお尋ねいたします。
 私は、観光振興をソフト面とハード面に分けて考えております。一般的に言われる観光振興をソフト、観光振興を考える上で重要となってくる基盤整備をハードと位置づけて、特に紀南地方の山間部では道路整備であると考えています。
 まず観光のソフト面についてでありますが、九九年日本流行語大賞で南紀熊野体験博のテーマの一つである「癒し」が流行語大賞のトップテンに選ばれました。熊博実行委員会会長の西口知事は、新聞やテレビへのコメントとして、時代が求めているものを提案した博覧会と評価していただき大変うれしい、この受賞を契機に、もてなしの心で観光客を温かくお迎えするよう県民挙げて取り組んでいきたいとの談話を発表しています。この熊博によって「癒し」という言葉がブームになり、約三百十万人の人たちが参加していただきました。今回の受賞は、熊博がこれからの紀南観光のあり方を示したイベントとして間違いがなかったことを裏づけてくれたもので、西口知事に改めておめでとうと言わせていただきます。
 南紀熊野体験博は、三百十万人余りの参加者を集め、地域振興に大いに役立ちました。熊博実行委員会事務局では、体験博を振り返って、熊野地域を全国に知っていただいた情報発信効果、過疎地にとっての経済波及効果、ふるさと再発見効果、それに環境創造効果の四つの効果があったと分析しています。通産省の外郭団体である日本イベント産業振興協会が選んだ今年度のジャパンエキスポ大賞、いわゆる通産大臣賞に熊博本宮町実行委員会が選ばれ、町は大いに喜び、関係者は今後の本宮観光の方向性を探る上でも間違いなかったと胸をなでおろしていました。私も、町民の一人として大変喜び、この壇上をおかりし、改めてお礼を言わせていただきます。
 十六市町村の実行委員会などを対象に選ばれたこの賞は、博覧会終了後のイベントの開催効果が定着するかどうか、またその継続性はあるのかどうか、その継続に向けて各市町村が今後どのように取り組むかについてを審査基準にして選考が行われたということです。本宮町の場合、熊野古道はもちろんのこと、古くからある祭りなど既存の文化遺産を掘り起こした上に、矢咫の火祭りなどの新しいイベントづくりに取り組んだ点、また、婦人会、老人会など町内にある二十九の団体で結成した「もてなし」など、三つの企画委員会を軸に町民挙げて将来につながるイベントを実施したことが認められたものであります。このように、熊野地方にある町のよさと心を持った触れ合い、また隠れた景勝地や新たな名所づくりが評価されたものであります。
 しかし、熊博終了後も景気は依然として低迷が続いており、地域の現状を見通した場合、非常に厳しいものがあります。熊博では自然や文化の体験型イベントが数多く開催されましたが、行事を担当した市町村の中には、今後どのように施策を打ち出したらよいのだろうかと頭を抱える行政担当者もおられます。熊博効果をどのように生かしていくかは各市町村等の取り組みにより大きく異なるところでありますが、県としてこの熊博後の紀南の地域づくり、それを取り込んだ形での観光振興をどのように考えておられるのか、関係部長にお伺いいたします。
 道路整備のハード面でありますが、熊博が開催された関係で、田辺市から本宮町までの国道三百十一号はすごいスピードで整備されたところであります。これもひとえに知事の紀南に対する強い思いと感じ、大変うれしく、この場をおかりし、お礼申し上げます。
 県内の主要地域を二時間で結ぶ県内二時間行動圏構想により幹線道路の整備が推進され、実施されているところであります。そんな中、ことしの夏に那智勝浦町で開催された和歌山、三重、奈良の三県知事会議でも、交通体系の整備促進や広域観光リゾート地域の形成などについて三県の連携が確認されたところでもあります。
 奈良県では、五條新宮道路いわゆる五新線の整備推進に積極的で、十津川温泉を中心とした観光地がテレビや雑誌で脚光を浴び、にぎわいを見せております。大阪方面から御坊市、田辺市、それに本宮町を経由して十津川へ向かうケースも数多くあるということでありますが、ここへ通じる道は狭く、大型バスの通行も思うようにいかないのが現状であることから、地域高規格道路を実現し、現在三時間余りかかるこの区間を二〇一〇年には二時間余りに、二〇二五年には一時間半で結べると試算しているということです。
 しかしながら、地域内の道路事情というと、私どもの地元の道路事情は、片側一車線ではなく両側合わせて一車線の地域内の主要道路があちらこちらに点在しており、しかも急カーブ地点も数多くあるのが現状で、熊博のいやす、みたすどころか、よみがえらぬままとなっています。
 先ほども述べましたとおり、熊博では紀南地方の隠れた景勝地の掘り起こしや新たな名所づくり等が評価されたものでありますが、今後これらの観光資源を利用して熊博後の観光振興を図る上において、那智勝浦道路や国道百六十八号、百六十九号、三百七十一号等の主要幹線道路の整備とあわせて地域内の主要道路の整備が重要であると考えます。これらの整備状況と、今後どのように取り組んでいかれるのか、土木部長にお伺いいたします。
 最後に、地方分権についてお尋ねいたします。
 ことし七月に、地方自治体の権限を強めるための地方分権一括法が国会において成立いたしました。二十一世紀に向けた国と地方自治体の関係を見直すため、四百七十五の法律を一挙に改正する大改革であり、原則来年四月に施行されることになります。
 今日の改革では、明治以来続いてきた中央集権型の行政システムの象徴とも言える機関委任事務が廃止され、地方自治制度のベースともなる地方自治法も改正されるなど、地方分権は大きく動き出しています。この結果、地方の裁量の範囲ははるかに大きくなり、住民に身近な地方の持つ課題など、地域の実情に応じたきめ細かい対応が求められます。
 例えば、地域振興を図るためのその事業のコストや効果、その事業の将来性を分析できる経営感覚やマーケティング能力を持つ職員の育成、またそれを受け持つ機関の設置等、地方自治体に責任の重さが問われる自主性と自律性が求められています。一方で、国の財源が非常に苦しい中、地方分権という旗印のもと、仕事だけを地方に押しつけ、それに見合う財源が確保できないのではという大きな不安点が各方面でささやかれています。
 そこで、次の三点についてお尋ねいたします。
 一点目は、機関委任事務を廃止するとともに、国の関与等の見直しを図ったことであります。そこで地方自治体独自の施策を打ち出せるということであり、例えば、環境問題での国の基準が定められている場合でも、それを上回る厳しい基準を条例により決める余地が広がる等、地方自治体の事務全般に地方議会の権限が及ぶことになったということであります。また、国の関与についても、地方債の発行に係る許可等、大幅な見直しが図られています。
 そこで、県として今回の改正をどのように受けとめ、今後どう取り組んでいかれるのか、お答えいただきたいと思います。
 また、国の法律改正に伴い県条例の改正も当然必要になってくると思いますが、それの対応はどうなっているのか、お尋ねいたします。
 二点目は、地方分権に伴う財源措置であります。
 地方公共団体の自己決定権の拡充を担保する意味で、国と地方との税財源の配分の仕組みを抜本的に見直し、地方公共団体が自主的に行政運営を行えるよう、その財源基盤を充実させることが必要と考えます。今回の一括法においては抜本的な財源措置に触れておらず、今後、財政基盤の充実のためどのように取り組まれるのか、また県から市町村への権限移譲とその財源問題はどうなるのか、お尋ねいたします。
 三点目は、地方公共団体の体制整備であります。
 この中で特に注目されるのは、市町村合併の推進が盛り込まれているということであります。二十一世紀を目前に控え、少子高齢化の進展等、社会情勢の変化の中で市町村の行財政基盤の強化や広域的行政を推進するため、合併により効率のよい行政運営を促すのがねらいとなっています。そして都道府県知事は、合併効果が大きいと判断した場合、関係市町村に対し合併協議会の設置を勧告できることになっています。
 自治省は先日、市町村合併を推進するための指針を取りまとめ、その中で、平成十二年のできるだけ早い時期に各都道府県ごとに要綱を策定し、県内すべての市町村を対象に具体的な市町村合併案をつくるよう求めたと聞いております。また、その指針では、保健衛生や教育などの基礎的なサービスを効率的に提供するため、最低人口が一万から二万人程度の規模になるよう再編する方針を打ち出しています。全国的に見た場合、人口二万人未満の市町村は六九・三%でありますが、和歌山県内を見てみますと、人口二万人未満の市町村は五十市町村中三十九町村あり、七八%となります。今後、県として過疎対策も含めてこの合併推進にどう取り組んでいかれるのか、お考えをお聞かせください。
 以上、三点について総務部長にお伺いいたします。
 以上で、一般質問を終わらせていただきます。県ご当局の誠意あるご回答をお願いいたします。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの小原泰君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 小原議員にお答えをいたします。
 新全国総合開発計画における取り組みについてのご質問でございますが、議員ご指摘のように、平成十年三月に策定をされました二十一世紀の国土のグランドデザインでは地域の自立の促進と美しい国土の創造が明記をされまして、多自然居住地域の創造が掲げられたところでございます。
 本県におきましても、この全国総合開発計画を踏まえながら、昨年二月に策定をいたしました県長期総合計画では、わかやま二十一世紀計画として、熊野地域独自の豊かな歴史、文化、自然等の資源を生かしまして、国内外から多くの人々を吸引する魅力のある国際観光リゾート地域として、また、訪れる人が心のふるさとを体感し、心身をリフレッシュすることのできる熊野文化保養ゾーンとしての整備をしなければならない、さらに、県境を超えた広域的な交流連携を推進することによって熊野地域全体の活性化を目指していきたいと考えてございます。
 三県知事会議でもよく協議をするところでございますけれども、二十一世紀の地域づくりは広域的な発想のもとに個性のある創造的な地域づくりを進めることが重要でございます。このために、多くの県民の方々が積極的に参加をし、主体的な地域づくりが進められるように今後とも県としても支援をしていきたい、そのように考えてございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 小原議員にお答えをいたします。
 紀南地方の医療体制の整備充実についてでありますが、保健医療計画において県民に対して適切な保健医療サービスを提供でき、一定の地域単位の中で保健医療資源の適正配置と医療供給体制のシステム化を図れるよう、県内に七つの二次保健医療圏を設定し、入院を中心とする一般的なサービスと広域的、専門的なサービスを提供することとしております。
 しかしながら、紀南地方においては、医療機関や保健医療従事者の地域的な偏在などの課題を抱えていることは十分認識しているところでございます。このため、特に新宮保健医療圏につきましては、振興局を中心に管内市町村長、管内公立病院長及び保健所長により、圏域内にある病院の諸問題を含めて医療に関する課題を総合的に検討しようとしているところでございます。県といたしましても、こういった広域的な取り組みを推進し、災害拠点病院の整備、救急医療や僻地医療体制の整備充実を図ってまいりたいと考えております。
 また、マルチメディアを活用して遠隔地間の医療情報伝達を行う取り組みについては、現在、患者の病理画像を専門医のもとへ転送して診療上の支援を受けるといった研究実践が県立医科大学を中心に行われております。県民の受診機会の拡大・均等化の観点から、行政としての取り組みについて今後とも検討してまいりたいと考えております。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 南紀熊野体験博後の地域づくりの取り組みについてでございますが、博覧会を一過性のイベントに終わらせることなく、地域に芽生えた住民主体の地域おこしを定着し、継続していくことが肝要と考えてございます。博覧会そのものに対して全国から高い評価をいただいておりますとともに、地元関係地域においても多くの方々から、これを契機に地域の活性化に結びつける取り組みとして継続していこうという声をいただいております。
 県といたしましても、これらの声にこたえるための施策を関係市町村とともに検討しているところでございます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 熊博後の観光振興についてお答えします。
 観光産業は二十一世紀におけるリーディング産業であると言われており、魅力ある観光地づくりが全国的な課題となっております。南紀熊野体験博は、現代人の疲れた心と体を本県の持つ豊かな自然、歴史、文化でいやしていただくという新しい観光のあり方として高い評価を得たところであります。
 今後は、この博覧会で得たノウハウを生かし、観光農園や観光林業など農林水産業と連携した体験型観光や、本県の豊かな自然とマッチした朝日、夕日を使った新しい観点からの魅力ある観光地づくりを県下全域で定着させたいと考えております。
 また、観光に従事する人材の育成を行い、体験型観光の受け入れ体制の整備とおもてなしの心の向上もあわせて行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 観光振興に関連した道路整備についてお答えいたします。
 本県におきましては、県内の主な都市間でその日のうちに行って仕事をし帰って来ることができる県内二時間行動圏構想を確立するため、第二県土軸や三─五軸関連の広域幹線道路、さらに地域間の連携を強める道路網の整備を進め、県土の均衡ある発展に努めているところでございます。
 那智勝浦道路につきましては、用地買収面積は十一月現在で約八〇%であります。工事につきましては、昨年起工式が行われ、新宮市域におきましては三輪崎地区で国道四十二号のバイパス区間が本年九月に完成したことにより、新宮側のアクセス道路が既に整ったところです。また、那智勝浦町域では、仮称・川関トンネル工事に着手されているところであります。今後、早期供用とともに、那智勝浦町内の未着手区間の事業化を強く国に働きかけてまいります。
 本県の第二県土軸を構成する国道百六十八号は、地域高規格道路五條新宮道路の指定を受け、新宮市で越路道路の工事に着手するところでございます。さらに、県境部の本宮道路は地域高規格道路としての本格事業化を、熊野川本宮拡幅工区は地域高規格道路の調査区間指定を国に強く要望しているところでございます。
 国道百六十九号につきましては、現在、建設省の権限代行事業により奥瀞道路として既に開通している一期三・七キロメートル区間に引き続き、二期〇・五キロメートル区間の改築事業が進められています。続く未整備区間についても建設省、県において早期に整備が図れるよう国に働きかけているところでございます。
 また、北山村内では下尾井バイパス工区も事業促進に努めているところでございます。
 国道三百七十一号は三─五軸の縦軸を構成する広域幹線道路であり、現在、古座川町で相瀬立合バイパス工区を事業促進中であります。狭隘区間等、未整備区間も長いことから、当面局部改良等の現道対策を図ってまいります。
 今後につきましても、県内二時間行動圏構想の確立を基本に、和歌山、三重、奈良の三県知事会議も踏まえ、道路整備の促進に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 地方分権についての三点にお答えいたします。
 まず、法改正に伴う県の対応についてでございますが、今回のいわゆる地方分権一括法は、機関委任事務の廃止や国の関与のあり方の見直しなど、中央集権型行政システムの抜本的な改革を伴うものでございまして、地方分権の推進のための画期的な第一歩と受けとめております。
 地方分権の推進に当たりましては、地域に根差した行政施策を主体的に行うことが求められるため、県では職員の政策形成能力の向上に努めるほか、振興局の設置など地方分権を見据えた行政体制の整備を行ってまいりましたが、今後、地方分権を実効あるものにするため、県職員の意識改革や政策に的確に対応できる人材の育成に努めてまいりたいと考えております。
 また、地方分権一括法により約四十の県条例の改正が必要となっておりますが、国の政省令の改正を受けて順次条例改正を行うこととしており、今議会に十の条例の改正についてご審議いただくため、議案を上程しております。残りの条例につきましては、二月定例県議会に上程すべく準備を進めておるところでございます。
 二点目の財源の確保についてでございます。
 地方分権の推進のためには、自主的、自立的な行政運営を支える地方財政基盤の充実強化が不可欠であります。このため、国と地方の税財源配分の抜本的見直しによる地方税財源の充実確保等につきまして、今後とも強く国に働きかけてまいりたいと存じます。
 次に、県から市町村への権限移譲につきましては、住民に身近な事務は住民に身近な市町村が行うことを基本に市町村の要望を取り入れながら進めているところでございまして、今議会にも権限を移譲するための条例案を提案させていただいているところでございます。また、市町村への権限移譲に伴う財源措置等についても、その事務の内容等を勘案しながら十分考慮してまいりたいと考えております。
 第三に、市町村合併についてのお尋ねでございます。
 市町村合併につきましては、市町村の自主的な取り組みが基本であり、地域の地理的条件や歴史的経緯を踏まえ、地域において自主的に判断されることが重要であると考えてございます。
 議員ご指摘のとおり、本年八月に市町村の合併の推進についての指針が示されまして、市町村が合併を検討する際に参考や目安となる要綱を策定するよう要請があったところでございます。
 少子高齢化の時代を迎えようといたしております現在、地方分権の推進とも相まって市町村の将来のあり方について議論を深めることは大変重要なことと考えておりまして、市町村の合併パターン等を内容とする要綱を平成十二年度中をめどに策定すべく努力してまいりたいと考えております。その際には、議員からご指摘のございましたように、山村過疎地域を有する本県の地域特性を踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十番小原 泰君。
○小原 泰君 再質問させていただきます。
 国のグランドデザインを受けてのわかやま二十一世紀計画の中で、熊野文化保養ゾーン等への積極的な取り組みについて知事のご答弁をいただき、ありがとうございました。
 地域づくりについての骨格、あるいはアウトラインはできましたが、今後どのように肉づけを行うかにかかっておりますので、よろしくお願いいたします。
 医療体制の整備についてでありますが、紀南の住民にとりましては最大の願いであります。知事の答弁の中でも、県境を超えた広域交流連携の先進地として取り組むと答えられましたが、新宮医療圏と隣接する三重、奈良両県との、周辺市町村も含めて一体となってカバーする広い医療圏域としてとらえていただき、この地域での総合病院の整備充実を図っていただくよう要望いたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で小原泰君の質問が終了いたしました。

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