平成11年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十一年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
 平成十一年十二月十日(金曜日)午前十時開議
  第一 議案第百二十号から議案第百四十六号まで、並びに報第四号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百二十号から議案第百四十六号まで、並びに報第四号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十七人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       松   本   泰   造
     五  番       阪   部   菊   雄
     六  番       堀   本   隆   男
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       大   沢   広 太 郎
     十二 番       木   下   善   之
     十三 番       宇 治 田   栄   蔵
     十四 番       尾   崎   要   二
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       谷   本   龍   哉
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       永   井   佑   治
     二十 番       谷       洋   一
     二十一番       小   川       武
     二十二番       高   瀬   勝   助
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       山   下   直   也
     二十六番       玉   置   公   良
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       野 見 山       海
     二十九番       吉   井   和   視
     三十 番       向   井   嘉 久 藏
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       江   上   柳   助
     三十四番       金   田       眞
     三十五番       森       正   樹
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       新   田   和   弘
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       大   江   康   弘
     四十一番       高   田   由   一
     四十二番       中   山       豊
     四十三番       飯   田   敬   文
     四十四番       鶴   田   至   弘
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       村   岡   キ ミ 子
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         西   口       勇
     副知事        高   瀬   芳   彦
     出納長        中   山   次   郎
     理事         藤   谷   茂   樹
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     生活文化部長     大   井       光
     福祉保健部長     小   西       悟
     商工労働部長     上   山   義   彦
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       白   井   保   世
     教育委員会委員長   目   黒   威   徳
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   高   垣       宏
     警察本部長      樋   口   建   史
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     宮   市   武   彦
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       新   谷   哲   朗
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       佐   竹   欣   司
     議事課副課長     井   田   光   三
     議事班長       松   谷   秋   男
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       西   野   光   彦
     調査課長       湯   川       忠
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課速記技師    保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第百四十号から議案第百四十四号までは、いずれも職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百二十号から議案第百四十六号まで、並びに報第四号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百二十号から議案第百四十六号まで、並びに地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十番小原 泰君。
  〔小原 泰君、登壇〕(拍手)
○小原 泰君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 最初に、私ごとで恐縮でありますが、三十年前、私がまだ紅顔の美少年であったころ、新宮高校に入学し、硬式野球部に入部いたしました。当時の怖い監督が、下川議長でありました。以来、野球の技術を教わるだけでなく、スポーツを通じ、言葉遣いから行儀作法に至るまで、人間形成にいろいろとご指導いただきました。今、こうして県民の代表としてこの壇上に立たせていただけるのもそのおかげと、感謝いたしておるところでございます。初の一般質問に、議長席より温かく見守っていただきながら質問に入らせていただきます。
 私の生まれ育った本宮町は、紀南の山間部に位置し、過疎の問題を初め、林業や観光産業の振興等に数多くの諸課題を抱え、山間部だけに文字どおり課題が山積された状況にあります。そこで、伝統を誇るこの議場で登壇させていただくことに感激と責任感の重さを改めて痛感しながら、紀南地方の活性化等について幾つかの角度から質問させていただきます。
 本宮町では、中山前町長を初め、町議会や森林組合などが一体となって、森林交付税制度の創設に向けての取り組みや観光の振興、森林シンポジウムの開催など、町の活性化、地域づくりに向けてのさまざまな取り組みを重ねています。
 そんな中、昨年三月に国が新しい全国総合開発計画に当たる二十一世紀の国土のグランドデザインが発表されました。その中で、「地域の自立の促進と美しい国土の創造」というサブタイトルをつけ、それを実現するための四つの戦略の一番目に「多自然居住地域の創造」が挙げられています。この概念を見ますと、二十一世紀を迎える中、国民がゆとり、豊かさを持ってよりよい自然環境に恵まれたところで過ごせるような地域づくり、町づくりを行うというものであります。この計画は、まさに我が郷土、紀南地方をイメージした地域構想であり、これからの熊野地域のあり方とマッチするものであります。
 田辺市と新宮市を多自然居住地域の拠点都市と位置づける必要があると考えます。新しく整備された国道三百十一号と百六十八号、そして海岸部の国道四十二号で結ばれたこの地域は、森林文化リゾートや海洋リゾートなど、自然環境に恵まれた日本の中でも数少ない歴史と文化を保有した地域であります。私は、この豊かな自然を守りながら、南紀熊野体験博のテーマである、いやす、みたす、よみがえるの精神を生かした地域づくりを進め、熊野地域をよみがえらせるため努力してまいりたいと考えております。
 そのためには自然環境に恵まれた熊野地域にしかない町づくり、地域づくりに取り組み、過疎の町からの脱却を図るのがこのグランドデザインに合わせたこれからの町づくりのあり方と考えますが、西口知事はどう進めていくお考えなのか、お伺いいたします。
 次に、紀南地方の医療体制の整備充実であります。
 知事も、住む人々のさまざまなニーズにこたえるよう取り組んでおられますが、ここで大きな課題となるのは、医療体制、医療施設の整備充実であります。
 先月二十九日の毎日新聞の記事で、「串本町大島でただ一人の医師として島の人たちの健康を守り続けてきた菅間裕さんが島を離れることになった。島の人たちは三地区主催で感謝のお別れ会を盛大に開いた」と報じられていました。幸い大島には串本と結ぶ大橋が開通いたしましたが、寝たきり老人など、島の人たちは一抹の不安を覚えています。
 また、私の住む本宮町には総合病院はなく、お年寄りや子連れの母親が路線バス等を利用して新宮市等の病院へ、片道一時間から二時間かけて通い、院内での待ち時間も含めると、ほぼ一日仕事で通院しているのが実情であります。私たちが年をとるにつれ考えるのは、まず健康についてであります。重い病気になったとき、いかに早く高度な医療体制の整った施設で診断、治療が受けられるかについてを常に望んでおります。
 残念ながら、紀南地方には、特に新宮保健所と古座保健所が所轄する新宮保健医療圏では、今の時代になくてはならない高度医療機器のMRIやCTスキャナ、血管連続撮影装置、結石破砕装置等を備えてある医療施設は、公立、民間を含め、MRI三カ所、CTスキャナ八カ所であり、これは県全体のMRI三十八カ所、CTスキャナ七十一カ所、また和歌山保健医療圏のMRI十八カ所、CTスキャナ三十八カ所に比べ、非常に少ない状態となっております。これは、この種の機器の購入代金が一億を超えるものなど非常に高額であることが大きな要因となっていることが挙げられますが、このような医療格差をなくすためにも県立医科大学の紀南分院の設置等について提案いたしますが、いかがでしょうか。
 また、当地方には豊富な温泉資源があります。この温泉を利用した医療や、近年の健康ブーム、現代人の注目を集めているダイエットやエステ等の理学療法や美容療法にも温泉を取り入れる傾向が高まってきています。厚生省の方でも健康保険が利用できるよう、これらの活用運用面についても準備を進めているということであります。
 このほか、マルチメディア時代を迎える中、紀南の医療施設と県立医科大学等の大規模病院との間でオンライン化を図り、診断、治療、手術を含めたネットワーク化をより一層推進すべきだと思いますが、この取り組みについてはいかがでしょうか。
 以上の観点から、紀南地方の特性を生かした総合医療体制の整備充実について、福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、観光振興と道路整備についてお尋ねいたします。
 私は、観光振興をソフト面とハード面に分けて考えております。一般的に言われる観光振興をソフト、観光振興を考える上で重要となってくる基盤整備をハードと位置づけて、特に紀南地方の山間部では道路整備であると考えています。
 まず観光のソフト面についてでありますが、九九年日本流行語大賞で南紀熊野体験博のテーマの一つである「癒し」が流行語大賞のトップテンに選ばれました。熊博実行委員会会長の西口知事は、新聞やテレビへのコメントとして、時代が求めているものを提案した博覧会と評価していただき大変うれしい、この受賞を契機に、もてなしの心で観光客を温かくお迎えするよう県民挙げて取り組んでいきたいとの談話を発表しています。この熊博によって「癒し」という言葉がブームになり、約三百十万人の人たちが参加していただきました。今回の受賞は、熊博がこれからの紀南観光のあり方を示したイベントとして間違いがなかったことを裏づけてくれたもので、西口知事に改めておめでとうと言わせていただきます。
 南紀熊野体験博は、三百十万人余りの参加者を集め、地域振興に大いに役立ちました。熊博実行委員会事務局では、体験博を振り返って、熊野地域を全国に知っていただいた情報発信効果、過疎地にとっての経済波及効果、ふるさと再発見効果、それに環境創造効果の四つの効果があったと分析しています。通産省の外郭団体である日本イベント産業振興協会が選んだ今年度のジャパンエキスポ大賞、いわゆる通産大臣賞に熊博本宮町実行委員会が選ばれ、町は大いに喜び、関係者は今後の本宮観光の方向性を探る上でも間違いなかったと胸をなでおろしていました。私も、町民の一人として大変喜び、この壇上をおかりし、改めてお礼を言わせていただきます。
 十六市町村の実行委員会などを対象に選ばれたこの賞は、博覧会終了後のイベントの開催効果が定着するかどうか、またその継続性はあるのかどうか、その継続に向けて各市町村が今後どのように取り組むかについてを審査基準にして選考が行われたということです。本宮町の場合、熊野古道はもちろんのこと、古くからある祭りなど既存の文化遺産を掘り起こした上に、矢咫の火祭りなどの新しいイベントづくりに取り組んだ点、また、婦人会、老人会など町内にある二十九の団体で結成した「もてなし」など、三つの企画委員会を軸に町民挙げて将来につながるイベントを実施したことが認められたものであります。このように、熊野地方にある町のよさと心を持った触れ合い、また隠れた景勝地や新たな名所づくりが評価されたものであります。
 しかし、熊博終了後も景気は依然として低迷が続いており、地域の現状を見通した場合、非常に厳しいものがあります。熊博では自然や文化の体験型イベントが数多く開催されましたが、行事を担当した市町村の中には、今後どのように施策を打ち出したらよいのだろうかと頭を抱える行政担当者もおられます。熊博効果をどのように生かしていくかは各市町村等の取り組みにより大きく異なるところでありますが、県としてこの熊博後の紀南の地域づくり、それを取り込んだ形での観光振興をどのように考えておられるのか、関係部長にお伺いいたします。
 道路整備のハード面でありますが、熊博が開催された関係で、田辺市から本宮町までの国道三百十一号はすごいスピードで整備されたところであります。これもひとえに知事の紀南に対する強い思いと感じ、大変うれしく、この場をおかりし、お礼申し上げます。
 県内の主要地域を二時間で結ぶ県内二時間行動圏構想により幹線道路の整備が推進され、実施されているところであります。そんな中、ことしの夏に那智勝浦町で開催された和歌山、三重、奈良の三県知事会議でも、交通体系の整備促進や広域観光リゾート地域の形成などについて三県の連携が確認されたところでもあります。
 奈良県では、五條新宮道路いわゆる五新線の整備推進に積極的で、十津川温泉を中心とした観光地がテレビや雑誌で脚光を浴び、にぎわいを見せております。大阪方面から御坊市、田辺市、それに本宮町を経由して十津川へ向かうケースも数多くあるということでありますが、ここへ通じる道は狭く、大型バスの通行も思うようにいかないのが現状であることから、地域高規格道路を実現し、現在三時間余りかかるこの区間を二〇一〇年には二時間余りに、二〇二五年には一時間半で結べると試算しているということです。
 しかしながら、地域内の道路事情というと、私どもの地元の道路事情は、片側一車線ではなく両側合わせて一車線の地域内の主要道路があちらこちらに点在しており、しかも急カーブ地点も数多くあるのが現状で、熊博のいやす、みたすどころか、よみがえらぬままとなっています。
 先ほども述べましたとおり、熊博では紀南地方の隠れた景勝地の掘り起こしや新たな名所づくり等が評価されたものでありますが、今後これらの観光資源を利用して熊博後の観光振興を図る上において、那智勝浦道路や国道百六十八号、百六十九号、三百七十一号等の主要幹線道路の整備とあわせて地域内の主要道路の整備が重要であると考えます。これらの整備状況と、今後どのように取り組んでいかれるのか、土木部長にお伺いいたします。
 最後に、地方分権についてお尋ねいたします。
 ことし七月に、地方自治体の権限を強めるための地方分権一括法が国会において成立いたしました。二十一世紀に向けた国と地方自治体の関係を見直すため、四百七十五の法律を一挙に改正する大改革であり、原則来年四月に施行されることになります。
 今日の改革では、明治以来続いてきた中央集権型の行政システムの象徴とも言える機関委任事務が廃止され、地方自治制度のベースともなる地方自治法も改正されるなど、地方分権は大きく動き出しています。この結果、地方の裁量の範囲ははるかに大きくなり、住民に身近な地方の持つ課題など、地域の実情に応じたきめ細かい対応が求められます。
 例えば、地域振興を図るためのその事業のコストや効果、その事業の将来性を分析できる経営感覚やマーケティング能力を持つ職員の育成、またそれを受け持つ機関の設置等、地方自治体に責任の重さが問われる自主性と自律性が求められています。一方で、国の財源が非常に苦しい中、地方分権という旗印のもと、仕事だけを地方に押しつけ、それに見合う財源が確保できないのではという大きな不安点が各方面でささやかれています。
 そこで、次の三点についてお尋ねいたします。
 一点目は、機関委任事務を廃止するとともに、国の関与等の見直しを図ったことであります。そこで地方自治体独自の施策を打ち出せるということであり、例えば、環境問題での国の基準が定められている場合でも、それを上回る厳しい基準を条例により決める余地が広がる等、地方自治体の事務全般に地方議会の権限が及ぶことになったということであります。また、国の関与についても、地方債の発行に係る許可等、大幅な見直しが図られています。
 そこで、県として今回の改正をどのように受けとめ、今後どう取り組んでいかれるのか、お答えいただきたいと思います。
 また、国の法律改正に伴い県条例の改正も当然必要になってくると思いますが、それの対応はどうなっているのか、お尋ねいたします。
 二点目は、地方分権に伴う財源措置であります。
 地方公共団体の自己決定権の拡充を担保する意味で、国と地方との税財源の配分の仕組みを抜本的に見直し、地方公共団体が自主的に行政運営を行えるよう、その財源基盤を充実させることが必要と考えます。今回の一括法においては抜本的な財源措置に触れておらず、今後、財政基盤の充実のためどのように取り組まれるのか、また県から市町村への権限移譲とその財源問題はどうなるのか、お尋ねいたします。
 三点目は、地方公共団体の体制整備であります。
 この中で特に注目されるのは、市町村合併の推進が盛り込まれているということであります。二十一世紀を目前に控え、少子高齢化の進展等、社会情勢の変化の中で市町村の行財政基盤の強化や広域的行政を推進するため、合併により効率のよい行政運営を促すのがねらいとなっています。そして都道府県知事は、合併効果が大きいと判断した場合、関係市町村に対し合併協議会の設置を勧告できることになっています。
 自治省は先日、市町村合併を推進するための指針を取りまとめ、その中で、平成十二年のできるだけ早い時期に各都道府県ごとに要綱を策定し、県内すべての市町村を対象に具体的な市町村合併案をつくるよう求めたと聞いております。また、その指針では、保健衛生や教育などの基礎的なサービスを効率的に提供するため、最低人口が一万から二万人程度の規模になるよう再編する方針を打ち出しています。全国的に見た場合、人口二万人未満の市町村は六九・三%でありますが、和歌山県内を見てみますと、人口二万人未満の市町村は五十市町村中三十九町村あり、七八%となります。今後、県として過疎対策も含めてこの合併推進にどう取り組んでいかれるのか、お考えをお聞かせください。
 以上、三点について総務部長にお伺いいたします。
 以上で、一般質問を終わらせていただきます。県ご当局の誠意あるご回答をお願いいたします。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの小原泰君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 小原議員にお答えをいたします。
 新全国総合開発計画における取り組みについてのご質問でございますが、議員ご指摘のように、平成十年三月に策定をされました二十一世紀の国土のグランドデザインでは地域の自立の促進と美しい国土の創造が明記をされまして、多自然居住地域の創造が掲げられたところでございます。
 本県におきましても、この全国総合開発計画を踏まえながら、昨年二月に策定をいたしました県長期総合計画では、わかやま二十一世紀計画として、熊野地域独自の豊かな歴史、文化、自然等の資源を生かしまして、国内外から多くの人々を吸引する魅力のある国際観光リゾート地域として、また、訪れる人が心のふるさとを体感し、心身をリフレッシュすることのできる熊野文化保養ゾーンとしての整備をしなければならない、さらに、県境を超えた広域的な交流連携を推進することによって熊野地域全体の活性化を目指していきたいと考えてございます。
 三県知事会議でもよく協議をするところでございますけれども、二十一世紀の地域づくりは広域的な発想のもとに個性のある創造的な地域づくりを進めることが重要でございます。このために、多くの県民の方々が積極的に参加をし、主体的な地域づくりが進められるように今後とも県としても支援をしていきたい、そのように考えてございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 小原議員にお答えをいたします。
 紀南地方の医療体制の整備充実についてでありますが、保健医療計画において県民に対して適切な保健医療サービスを提供でき、一定の地域単位の中で保健医療資源の適正配置と医療供給体制のシステム化を図れるよう、県内に七つの二次保健医療圏を設定し、入院を中心とする一般的なサービスと広域的、専門的なサービスを提供することとしております。
 しかしながら、紀南地方においては、医療機関や保健医療従事者の地域的な偏在などの課題を抱えていることは十分認識しているところでございます。このため、特に新宮保健医療圏につきましては、振興局を中心に管内市町村長、管内公立病院長及び保健所長により、圏域内にある病院の諸問題を含めて医療に関する課題を総合的に検討しようとしているところでございます。県といたしましても、こういった広域的な取り組みを推進し、災害拠点病院の整備、救急医療や僻地医療体制の整備充実を図ってまいりたいと考えております。
 また、マルチメディアを活用して遠隔地間の医療情報伝達を行う取り組みについては、現在、患者の病理画像を専門医のもとへ転送して診療上の支援を受けるといった研究実践が県立医科大学を中心に行われております。県民の受診機会の拡大・均等化の観点から、行政としての取り組みについて今後とも検討してまいりたいと考えております。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 南紀熊野体験博後の地域づくりの取り組みについてでございますが、博覧会を一過性のイベントに終わらせることなく、地域に芽生えた住民主体の地域おこしを定着し、継続していくことが肝要と考えてございます。博覧会そのものに対して全国から高い評価をいただいておりますとともに、地元関係地域においても多くの方々から、これを契機に地域の活性化に結びつける取り組みとして継続していこうという声をいただいております。
 県といたしましても、これらの声にこたえるための施策を関係市町村とともに検討しているところでございます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 熊博後の観光振興についてお答えします。
 観光産業は二十一世紀におけるリーディング産業であると言われており、魅力ある観光地づくりが全国的な課題となっております。南紀熊野体験博は、現代人の疲れた心と体を本県の持つ豊かな自然、歴史、文化でいやしていただくという新しい観光のあり方として高い評価を得たところであります。
 今後は、この博覧会で得たノウハウを生かし、観光農園や観光林業など農林水産業と連携した体験型観光や、本県の豊かな自然とマッチした朝日、夕日を使った新しい観点からの魅力ある観光地づくりを県下全域で定着させたいと考えております。
 また、観光に従事する人材の育成を行い、体験型観光の受け入れ体制の整備とおもてなしの心の向上もあわせて行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 観光振興に関連した道路整備についてお答えいたします。
 本県におきましては、県内の主な都市間でその日のうちに行って仕事をし帰って来ることができる県内二時間行動圏構想を確立するため、第二県土軸や三─五軸関連の広域幹線道路、さらに地域間の連携を強める道路網の整備を進め、県土の均衡ある発展に努めているところでございます。
 那智勝浦道路につきましては、用地買収面積は十一月現在で約八〇%であります。工事につきましては、昨年起工式が行われ、新宮市域におきましては三輪崎地区で国道四十二号のバイパス区間が本年九月に完成したことにより、新宮側のアクセス道路が既に整ったところです。また、那智勝浦町域では、仮称・川関トンネル工事に着手されているところであります。今後、早期供用とともに、那智勝浦町内の未着手区間の事業化を強く国に働きかけてまいります。
 本県の第二県土軸を構成する国道百六十八号は、地域高規格道路五條新宮道路の指定を受け、新宮市で越路道路の工事に着手するところでございます。さらに、県境部の本宮道路は地域高規格道路としての本格事業化を、熊野川本宮拡幅工区は地域高規格道路の調査区間指定を国に強く要望しているところでございます。
 国道百六十九号につきましては、現在、建設省の権限代行事業により奥瀞道路として既に開通している一期三・七キロメートル区間に引き続き、二期〇・五キロメートル区間の改築事業が進められています。続く未整備区間についても建設省、県において早期に整備が図れるよう国に働きかけているところでございます。
 また、北山村内では下尾井バイパス工区も事業促進に努めているところでございます。
 国道三百七十一号は三─五軸の縦軸を構成する広域幹線道路であり、現在、古座川町で相瀬立合バイパス工区を事業促進中であります。狭隘区間等、未整備区間も長いことから、当面局部改良等の現道対策を図ってまいります。
 今後につきましても、県内二時間行動圏構想の確立を基本に、和歌山、三重、奈良の三県知事会議も踏まえ、道路整備の促進に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 地方分権についての三点にお答えいたします。
 まず、法改正に伴う県の対応についてでございますが、今回のいわゆる地方分権一括法は、機関委任事務の廃止や国の関与のあり方の見直しなど、中央集権型行政システムの抜本的な改革を伴うものでございまして、地方分権の推進のための画期的な第一歩と受けとめております。
 地方分権の推進に当たりましては、地域に根差した行政施策を主体的に行うことが求められるため、県では職員の政策形成能力の向上に努めるほか、振興局の設置など地方分権を見据えた行政体制の整備を行ってまいりましたが、今後、地方分権を実効あるものにするため、県職員の意識改革や政策に的確に対応できる人材の育成に努めてまいりたいと考えております。
 また、地方分権一括法により約四十の県条例の改正が必要となっておりますが、国の政省令の改正を受けて順次条例改正を行うこととしており、今議会に十の条例の改正についてご審議いただくため、議案を上程しております。残りの条例につきましては、二月定例県議会に上程すべく準備を進めておるところでございます。
 二点目の財源の確保についてでございます。
 地方分権の推進のためには、自主的、自立的な行政運営を支える地方財政基盤の充実強化が不可欠であります。このため、国と地方の税財源配分の抜本的見直しによる地方税財源の充実確保等につきまして、今後とも強く国に働きかけてまいりたいと存じます。
 次に、県から市町村への権限移譲につきましては、住民に身近な事務は住民に身近な市町村が行うことを基本に市町村の要望を取り入れながら進めているところでございまして、今議会にも権限を移譲するための条例案を提案させていただいているところでございます。また、市町村への権限移譲に伴う財源措置等についても、その事務の内容等を勘案しながら十分考慮してまいりたいと考えております。
 第三に、市町村合併についてのお尋ねでございます。
 市町村合併につきましては、市町村の自主的な取り組みが基本であり、地域の地理的条件や歴史的経緯を踏まえ、地域において自主的に判断されることが重要であると考えてございます。
 議員ご指摘のとおり、本年八月に市町村の合併の推進についての指針が示されまして、市町村が合併を検討する際に参考や目安となる要綱を策定するよう要請があったところでございます。
 少子高齢化の時代を迎えようといたしております現在、地方分権の推進とも相まって市町村の将来のあり方について議論を深めることは大変重要なことと考えておりまして、市町村の合併パターン等を内容とする要綱を平成十二年度中をめどに策定すべく努力してまいりたいと考えております。その際には、議員からご指摘のございましたように、山村過疎地域を有する本県の地域特性を踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十番小原 泰君。
○小原 泰君 再質問させていただきます。
 国のグランドデザインを受けてのわかやま二十一世紀計画の中で、熊野文化保養ゾーン等への積極的な取り組みについて知事のご答弁をいただき、ありがとうございました。
 地域づくりについての骨格、あるいはアウトラインはできましたが、今後どのように肉づけを行うかにかかっておりますので、よろしくお願いいたします。
 医療体制の整備についてでありますが、紀南の住民にとりましては最大の願いであります。知事の答弁の中でも、県境を超えた広域交流連携の先進地として取り組むと答えられましたが、新宮医療圏と隣接する三重、奈良両県との、周辺市町村も含めて一体となってカバーする広い医療圏域としてとらえていただき、この地域での総合病院の整備充実を図っていただくよう要望いたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で小原泰君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十六番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。お許しをいただきましたので、通告に従い、質問をさせていただきます。
 初めに、合併浄化槽問題についてお尋ねを申し上げます。
 本県の公共下水道普及率は、全国最下位という状況からなかなか抜け出すことができないでいます。この事態を改善するため、公共下水道や合併浄化槽の設置計画を積極的に進めていかなくてはなりません。これまで合併浄化槽設置では建物の面積により槽の大きさが決定されてまいりましたが、実際に居住している人員の数を加味して槽が決定されるように改善をされてきたところでございます。また、機種も高性能を持つものにと変わってきているようでありますから、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図る上で大変効果が期待できるものと思っております。
 浄化槽の機能を維持管理するため、専門的な知識と技術を兼ね備えた信頼できる事業者が求められるところです。昭和五十八年、浄化槽法の制定によって、和歌山県浄化槽保守点検業者の登録に関する条例が施行をされてまいりました。それに伴って、浄化槽の保守点検は県知事の登録を受けること、そして営業所ごとに専任の管理士を置くことが昨年の二月一日、条例改正で新たに義務づけられたところです。
 現在、その登録業者は和歌山市に六十数社、そして和歌山市を除いて県下に二百二十一社・人、存在しております。条例施行後十五年が経過しているところですが、登録申請を行うには、これまで不当にも清掃連合会会長の推薦状などの提出を強要したり、さらに申請書類の提出先を、知事及び和歌山市長であるにもかかわらず、水質保全センターに一本化された上、その水質保全センターの協調確認証明印がなければ、これまた登録申請すらできない状況もございました。
 このことで、ある業者はこうした不当性を指摘し、是正するように県に改善を求めました。ところが、逆に登録更新が二回も拒否をされ、その間六年間、本来の保守点検業から排除されるという極めて異常な登録行政が横行していたことを知る文書が私の手元に郵送されてまいりました。その事業者本人にも直接お会いをして当時の実態や思いを聞き、恐らく精神的、経済的にも多大な影響があったであろうことを思えば、私は大変胸が痛む思いでした。
 同時に、この不当性を容認した県行政の姿勢に私は大変大きな怒りさえ感じます。時期が遅きに失した感は強いものもありますけれども、条例改正によってこのことが廃止されたことは評価したいと思います。しかし、今なお浄化そう協会などを特化する条文などが残存しております。さまざまな法律の改正など、浄化槽をめぐる情勢が変わってまいりましたから、ぜひこの情勢から見直しをする必要があると私は思います。
 その点でぜひとも見直しを求めたいのは、浄化槽設置に関する指導要綱についてであります。この要綱は、浄化槽を設置しようとする場合の取り扱いに関して必要な事項を定め、浄化槽行政を円滑に進め、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を目的としているものです。浄化槽を設置する場合には、建築基準法に基づいて、新築の場合などは建築確認申請、そして浄化槽のみを設置する場合には浄化槽法による届け出が必要となっています。和歌山県の指導要綱三十五条二項の事務手続の定めでは、いろいろな書類を提出する際、その報告を届け出、審査、指導にかかわる書類は、一たん浄化そう協会の指導を受けた後に提出することを原則として義務づけています。いずれもこれは行政が行う業務でありますが、浄化そう協会にゆだねて窓口を一本化するものであると考えるので、ぜひこの点については改正を求めるものです。関係部長の所見をお聞かせください。
 次に、県立施設等の浄化槽の保守点検の委託契約についてであります。県立学校の委託契約について、これは教育長に伺います。
 これまで県立高校や養護学校などの県立学校は、県浄化そう協会と県清掃連合会の二業者による指名競争入札を行い、契約を続けてきたと聞いております。土木工事の発注などでは、二社による入札などほとんどあり得ないのではないでしょうか。これは、入札が形式だけにすぎないあり方ではないですか。登録業者は、大小の差はあるものの、県に二百二十一社・人もあるわけです。不公平そのものと言わざるを得ません。
 今年度から学校の貯水槽、消防施設の保守点検の委託契約を、各学校長の責任で地域の業者の指名競争入札に切りかえられたと聞いております。この際ぜひ浄化槽の保守点検の委託契約も、公平性を確保する立場から競争入札制へと改善されてはいかがでしょうか。
 次に、土木部長にお尋ねを申し上げます。
 県営住宅団地においても、登録業者の公平性を確保するため、一般競争入札へと改善してください。土木部長は、去る九月議会での金田議員への答弁にありますように、業者にランクづけはない、浄化そう協会以外にも県営住宅浄化槽の保守点検のできる能力を持った業者はいると考えているのですから、ぜひこの答弁を具体化してください。
 また、委託契約の研究はどのように進んでいますか、お聞かせ願いたいと思います。
 この浄化槽保守点検の問題では、六月、九月議会で私どもが二回にわたって改善を求めてきたところです。これは、いまだに住民と清掃業者の間で契約が結ばれていないわけですから、早期に円満解決をするという点では県の行政の努力が求められるところです。しかし県は、去る八月一日に、浄化そう協会と県との間で、住民の了解あるいは事前連絡もなく、一方的に契約を強行いたしました。住民の皆さんは県が一方的に押しつける業者と高い料金の見直しを求めると同時に、みずから業者を選択することを要望しています。県はこれまで誠実にこたえてきたのでありましょうか。住民の皆さんたちは、誠実にこたえる姿勢にはなかったと言われています。
 十二月七日、川永団地住民は改めて西口知事に、団地に住む世帯の七割以上に当たる三百四十世帯分の署名とともに要望書を提出されています。同じ保守点検業務でありながら年間の負担額に余りにも大きな差がある、こういう中で委託業者の変更を求めています。住民の意思はもう明確です。緊急課題として解決のめどをお持ちですか、お聞かせください。
 次に、紀伊丹生川ダム問題について質問を申し上げていきます。
 建設省の設置した紀伊丹生川ダム建設事業審議委員会は、去る九月二十七日、近畿地建に対して本ダム事業については妥当であるという結論を最終意見として提出いたしました。紀伊丹生川ダムは治水と利水を目的とした計画であり、審議会の意見は治水、利水両方について妥当としております。治水上の有効性については紀伊丹生川ダム建設を考える会が建設省に対して詳細な公開質問状を提出していますように、今後も検討する必要がある問題と考えますが、今回は利水面について私なりに検討を行いましたので、質問を申し上げていきたいと思います。
 私は、紀伊丹生川ダム計画の主要な目的である大阪への分水について、その必要性を審議会がどう審議されたのか関心を持って見てまいりましたが、委員会の意見は次のようなものでした。和歌山市及び大阪府の水需要計画については、当該自治体が責任を持ち、長期的な視野に立って作成したものであり、その計画は、水道事業者として供給義務に対する安全性を考慮し、極めて慎重な立場で作成されたものであると思料されることから、本委員会としては基本的にその計画を尊重してよいと考える、となっています。
 そもそもこの審議会は、公共事業の再評価の一環としてダム建設事業の必要性そのものを検討する役割を負っていながら、大阪分水や和歌山市の水需要の的確性については審議する必要がないというのでありますから、私は大変びっくりいたしました。さすがに審議会も、水需要予測について、見直しも含めてさらに綿密な調査検討を行うことなどについて委員の間から意見があったこともつけ加えられていますが、知事は審議会の委員として参加されているわけです。この間の論議については十分承知されていると思います。
 最初に、大阪府の水需要予測について、審議会が言うように極めて慎重に検討されたと言えるような妥当なものかどうか検討をしたいと思います。
 大阪府の水需要計画は、一九八〇年の時点で、九〇年には一日当たりの最大の水需要が府営水道で二百六十五万トンに達するだろうとの第七次拡張計画が立てられました。この二百六十五万トンのうち、紀の川からは二十五万トンを受け入れるということになっています。ところが、最初の目標年次の九〇年には二百三万トンにしかなりませんでした。大阪府は、次に二百六十五万トンになるのは五年先の一九九五年だと延ばしました。しかし、九五年は百九十六万トンでした。次に、大阪府は目標年度を二〇〇三年に延ばしました。これが達成されそうにないことは濃厚です。一昨年、九七年になって今度は二〇一〇年には二百六十五万トンになるだろうとの見直しを行ったところです。審議会に出された大阪府の水需要予測は、このときのものです。
 では、水需要の実績を見てみますと──これは大阪府の資料からグラフにしたものですけれども、八〇年からをパネルにしてみました。(図面を示す)皆さんの手元には印刷したものをお渡ししてございますので、それを見ていただきたいと思います。
 それでは説明を申し上げますが、九四年の二百十二万トンを最高に、九五年が百九十六万トンです。九六年が百九十九万トン、九七年が百九十八万トン、昨年が二百万トン、そして今年は百八十九万トンになると見られています。十年後にはこれが二百六十五万トンになるという大阪府の予測が、審議会の言うように慎重な立場で作成されたものと言えるのかどうか。私は、今後、大阪府営水道の水需要がこのように急激に伸びるというようなことは到底考えられないのですけれども、知事さん、あなたは審議会委員でもありました。どのようにお考えになられますか。大阪の水問題とはいえ、ぜひお聞かせ願いたいと思います。
 次に、大阪府の「明日の水資源を考える九八」というパンフによりますと、紀の川利水の必要性を四点挙げています。一点は、南大阪地域での空港立地に伴う水需要増大に対応、二点目は水源複数化による安定供給、三点目は淀川から府南部への遠距離送水の解消、四点目は良質な水源水質の確保となっています。
 最後の良質な水源という問題では、今度大阪府が八百八十億円をかけて高度浄水施設を建設し、ことしから本格稼働していることや、水質の点でも近年は淀川と紀の川の水質に大差がないことから、根拠がありません。
 では、大阪南部の水需要は新空港が開港してから増加しているかということです。厚生省の資料によりますと、岸和田以南の自治体の一日最大給水量はほとんど変化がありません。岸和田市、貝塚市、泉佐野市、そして熊取町、泉南市、阪南市、岬町を合わせた最大給水量は、九三年が二十五万五千トン、九月に新空港が開港した九四年が二十六万四千トン、次の九五年が二十六万六千トン、そして九六年も二十六万六千トンと、ほぼ横ばいの状態であります。空港立地に伴う水需要の拡大は全くの期待外れでもありました。
 次に、水源複数化による安定供給といっても、紀の川から予定している水量は大阪府営水道の一〇%にも満たないものであり、またそれぞれの自治体が自己水源を持っているのですから、理由には当たりません。
 そして遠距離送水の解消というのは、紀の川から取水しても淀川からの送水が必要なくなるわけではありませんから、とても解消と言える状況になるものではありません。
 この十月二十八日の大阪府の企業水道常任委員会で山田勇知事は、二〇一〇年に二百六十五万トンの水が必要な理由として、一人一日当たりの水需要が伸びるとか、市町村営水道が府営水道に振りかわることなどを挙げています。複数の水源確保を言いながら市町村営水道から府営水道への転換を言うのも、これまた矛盾した話だと私は思うのです。一人一日当たりの水需要が伸びると見込んでいるのは、これも実態には合わない口実です。厚生省の資料から大阪府の一人一日当たりの平均給水量を見てみますと、九二年が四百四十リットルです。九三年が四百三十三リットル、九四年が四百三十四リットル、九十五年が四百二十八リットル、そして九六年が四百三十四リットル。このように、この五年間を見てみましても全く変化がないと言わなければなりません。しかも、大阪府のこの平均給水量は全国平均からいいますと約一〇%も多い数値になっています。一人当たりで、渇水がよく問題になる福岡県と比較いたしますと約四割も多くの水を大阪府民は使っていることになります。
 このように大阪府では全国の平均よりもたくさんの水を使っているのでありますから、これがまだまだ伸びると予測するのは、水の利用としてはむだ遣いを促すことにならないでしょうか。そのために紀の川からの水を求めるのは、ちょっと筋違いの話ではないかと私は考えます。
 これが大阪府によって慎重に計画された水需要予測だとは、とても考えられません。本来なら、大阪は府民に対して節水を呼びかけ、水源開発費の節約を図るのが当然と思うわけです。大阪府の水供給の実態について、関係部長のご所見をお聞きしたいと思います。
 次に、建設省の河川審議会がことし三月に行った提言では、社会経済情勢の変化を挙げて、かつての右肩上がりの経済成長のもとでは水利利用も大幅に増加してきたが、近年の状況は大きく変化しているとし、都市用水の中には経済発展や人口増加の鈍化により計画需要と実需要が乖離し、計画どおりの需要が当面は発生しないところも出てきている、量の確保から水質の安定に向けた要望が増大をしてきていると、このように指摘をしています。また、水資源の有効活用を図る観点から、既存の水利使用に関する情報交換、検討の必要性を協調しています。
 十月十七日の朝日新聞によりますと、淀川に設定されている水利権は一日の最大給水量として千七万立方メートルに上っていますが、実際に使われているのは最大の日でも七百二十四万立方メールにすぎず、その二割を活用すれば新たなダムなどの開発を行わなくてもよいとのことです。そして、愛知県や名古屋市、岐阜県、埼玉県でも水需要の見直しを行っているとのことです。こうした流れは大阪にも及んでいくと考えるのであります。淀川流域の水利権を持つところが互いに情報を交換し、水利権の譲渡、調整を行えば新たな水源開発は必要ないことになります。
 私は、和歌山県も大阪府とそれぞれの水需要の実態についても情報をうんと交換し、和歌山県としても言うべきことは言うとの姿勢が必要と考えています。分水の必要性そのものについて大阪府と協議するお考えは知事、ありませんか、お聞かせください。
 次に、紀伊丹生川ダムは県立自然公園内に予定されていますが、その一部が水没する玉川峡は、県が名勝として指定している潮岬や藤崎弁天、百間山渓谷などの六カ所しか指定されていない名勝地でもあります。県教委によりますと、玉川峡は十六キロの渓谷と二つの滝が戦前の昭和十年(一九三五年)に名勝として指定され、文化財保護条例が施行後、昭和三十三年(一九五八年)、再び名勝指定を受けています。大阪方面から訪れる客もふえて、年間二十五万人を数える状況です。
 ダムが建設されると、上流部分三分の一がその中に入ることになります。名勝地の現状変更には文化財保護審議会の審議が必要となるとのことでもありますが、数少ない名勝地をダムによって失うことがあってはならないと考えます。教育長の見解をお聞かせください。
 建設審議会ではこの点について、水没等多大な影響を与えることは十分認識しつつも、治水、利水上の必要性から見てやむを得ないと考える、なお事業実施に当たっては自然環境の創出に配慮することが望まれるとしているだけです。利水について、その必要性を十分審議もせず「やむを得ない」と言うのは全く理解できないことですが、県として玉川峡を含む県立自然公園の保全についてどのような見解を持っておられるのか、生活文化部長の見解をお示しください。
 三つ目の質問として、産業廃棄物処分場問題についてお伺いをいたします。
 御坊市の楠井地区で問題になっている産業廃棄物処分場に関して質問を申し上げます。
 この最終処分場は、大栄環境株式会社が同市楠井地区の山間に計画され、公募面積十二万五千四百七十七平方メートル、産業廃棄物の埋め立て予定面積は八万九千平方メートルと聞いています。同社は管理型処分場として、廃プラスチック類、ガラス・陶器くず類、建設廃材、金属くず、ゴムくず、木くず、繊維くずを処分し、中間処理施設としてガラス類の破砕機、木くず破砕機、リサイクル施設が計画されているようであります。
 先日、現地を見学してまいりました。地元の方の話によりますと、ゲンジボタルが乱舞する大変美しい自然が残されているとのことです。こうした美しい環境を守ろうと、楠井地区の有志が集まって愛郷会をつくりました。産廃処分場から美しい環境を守ろうと立ち上がっています。計画されている処分場の埋め立て容量は、一期、二期合わせて四百五十万立方メートルであり、これは全国的に問題になっております香川県の豊島のほぼ十倍に及ぶ大規模なもので、二十年間にわたって埋め立てるというのですから、住民の方が心配されるのは当然だと思います。
 生活文化部長にお伺いをしますが、こうした大規模な最終処分場は長期にわたるのですから、住民や自然環境に与える影響は大変大きく、企業は住民の理解を得るために十分な説明を行う必要があると考えます。業者に対して住民から計画の説明を求める要請があった際には誠実に対応するよう指導していただきたいと思うのです。答弁を求めたいと思います。
 なぜこういうことを申し上げるかといいますと、本当に基本的なことを大栄環境は地元説明会では行っていないということです。今までの説明では、会社のパンフレットを配布しているものの、処分場の具体的な内容についてはいまだに明らかにされていないという状況です。
 次に、農林水産部長にお伺いをいたします。
 大栄環境は森林組合から借りた山林を処分場に含む計画のようですけれども、この山林は土砂流出防備保安林に指定されていると聞いております。こうした保安林は山腹や下流を土砂災害から守るために指定されているわけですから、産廃処分場をつくるために指定解除することは保安林指定の趣旨からいって不適切と考えますが、農林水産部長の見解をお答え願いたいと思います。
 また、現地は海岸から二キロメートル程度と思うところですけれども、印南漁協や御坊市漁協が海への排水を心配し、反対の意思を表明しているとのことです。許可条件には排水海域に漁業権を持つ漁業者の同意が不可欠と考えるものですけれども、部長、いかがなものでしょうか。
 関連して、大栄環境は日高川上流の中津村大又地区の山林にも大規模な最終処分場を計画する説明会を開き、村民の皆さんが考える会を結成して計画中止を求める署名運動を行っています。署名によりますと、日高川が六万数千人の飲料水の水源となっていることに心を痛め、処分場建設は断じて容認できないと訴えています。
 生活文化部長にお伺いをするわけですが、こうした水源地域については、こうした環境汚染のおそれのある産業廃棄物処分場の設置計画が入り込む余地のないよう、県として水源保護の条例制定などを検討、あるいは市町村への指導を行っていただきたいと考えるものですが、いかがなものでしょうか、生活文化部長の答弁を求めたいと思います。
 第一回の質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
 大阪府の水需給計画についての私の見解ということでございますが、率直に申し上げまして、これは大阪府の責任において計画されたものでございますから、それを尊重すべきであると考えてございます。
 また、審議委員会では十二回の審議を経まして、基本的にはその計画を尊重してよいと考えるという意見を取りまとめてございます。また情報交換につきましては、両府県で設置した阪和開発連絡協議会あるいは阪和水問題検討会において、水需要を含めた府県間の水問題について協議検討しておるところでございまして、今後も誠意をもって協議を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 村岡キミ子議員のご質問にお答え申し上げます。
 まず、合併浄化槽問題についての浄化槽に関する指導要綱についてでございます。
 現在の指導要綱では、議員お話しのとおり、保健所等に提出する書類の一部につきましては浄化そう協会の指導を受け、経由することとしてございますが、必ずしも浄化そう協会の経由を義務づけたものではございません。
 本要綱につきましては、県、和歌山市、浄化槽工事業者団体である浄化そう協会など関係団体と協議を重ね、昭和六十三年八月から施行されたものでございますが、その後、建築基準法や浄化槽法の改正、厚生省による単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への全面的な切りかえなど、浄化槽を取り巻く諸情勢の変化がございますので、現在、本要綱の改正に向けて県や和歌山市の関係課、関係団体などと協議を始めたところでございます。この議論の中で、それぞれの役割分担につきましても検討を行ってまいりたいと考えてございます。
 続きまして、紀伊丹生川ダム計画における玉川峡の保全についてであります。
 この地は昭和四十三年に指定されたかつらぎ高野山系県立自然公園の一部として、その保護と利用が図られてまいりました。今後、ダム計画により見直しが必要な場合には自然環境保全審議会に諮問するとともに、その答申を踏まえ対処してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、産業廃棄物処分場問題についてお答えいたします。
 まず一点目の、住民に対する企業の誠意ある対応についてお答えいたします。
 大栄環境株式会社が御坊市で計画している産業廃棄物処理場のことにつきましては、現在、事前調査によって関係行政機関等から出された意見に基づき、県が対応を指導しているところでございます。
 地区住民への説明につきましては、御坊市長は、事業計画の内容について事前に楠井地区住民へ説明を行うこと、またその際、住民から意見、質問、危惧等が寄せられた場合は事業者の責任において誠意をもって回答し、不安を払拭するよう努め、十分な理解を得るとともに区としての同意を得ておくことという意見を述べていることから、この意見を踏まえて事業者に対して指導しているところでございます。現在、事業者はこの指導に基づき対応しているものと考えておりますが、説明等が不十分であれば改めて県として指導してまいる所存でございます。
 最後に、処分場の下流域に水道取水源を持つ住民のために保全条例の創設をという質問にお答えいたします。
 住民の命の源である水道水について安全で豊富な水を提供することは、水道事業体の責務となってございます。このための条例につきましては、本年六月、串本町で水道水源保護条例が制定されましたように、それぞれの地域事情に沿って水道事業体である市町村が制定するのが適当であると存じます。このため、県での条例の制定は考えてございません。
 しかしながら、水道水の安全については住民の健康にかかわる重大な問題であると認識しておりますので、水道事業体として市町村と緊密な連携を図りながら対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 浄化槽問題についての三点にお答えいたします。
 まず契約のあり方の研究についてですが、県営住宅の浄化槽の維持管理業務契約につきましては、維持管理業務が適正に実施されるか、費用が妥当か等の観点から、現在採用している方法より適切な方法があるかどうか、今後の研究課題として取り組んでいるところであります。
 次に、登録業者が公平に参加可能な入札制度についてですが、県営住宅の浄化槽の維持管理業務につきましては、浄化槽の規模が大きいこと、事故が起こった場合に被害をこうむる住民が多数に上るため、常時適正に稼働していることが不可欠であること等から、一般競争入札により業者を選定することは不適当であると考えております。
 次に、川永団地問題の早期解決についてですが、浄化槽の維持管理に要する費用は、県営住宅条例第二十条により入居者の方々に支払っていただくことになっております。既に便益が発生しているところであり、条例に基づき適正に負担していただく必要があります。川永団地の浄化槽の問題につきましては、入居者の方々にご理解をいただき、早期に解決するよう努力してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 一人一日当たりの水使用量につきましては、それぞれの地域においてそれぞれ違うと思うわけですが、大阪府の平均給水量が全国平均を上回っているということは承知してございます。
 なお、大阪府におきましても、これまでの渇水経験もございますことから、パンフレットによる節水の呼びかけや府民の浄水場見学会を実施するなど、節水啓発に努めていると聞いてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 村岡議員の産業廃棄物処分場問題に関連してお答えをいたします。
 まず保安林の解除についてでございますが、ご質問の当該保安林は昭和三年に指定された土砂流出防備保安林で、指定・解除の権限が国に属する保安林であります。公益上の必要が生じた場合には、必要最小限度において解除されることもあります。
 したがいまして、今回の民間事業者による開発計画において保安林の解除は非常に困難と考えられますので、生活文化部に提出されました産業廃棄物に関する調査書に対しては計画から保安林を除外するよう意見書を提出しております。また、事業者に対しては振興局において保安林を除外するよう指導しております。
 次に漁業権との関係についてでございますが、漁業権者の権利内容に影響を及ぼすと判断されるときは、事業者から漁業権者に事業内容を説明し、十分な理解を得るよう指導するとともに、その徹底に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 県立学校の浄化槽保守点検についてお答えいたします。
 県教育委員会といたしましては、よりよい学習環境を保つためには、各学校の自主性に基づき施設の適正な保守管理を行うことが肝要であると考えております。こうした観点から、消防用設備の保守点検などの委託事務については、本年度から各学校で行うこととしたところであります。今後、浄化槽の保守点検につきましても、各学校においてその事務を行うことができるよう検討してまいりたいと考えております。
 次に、文化財に関する質問についてお答えをいたします。
 橋本─高野山を結ぶ林道の開通を契機に、昭和十年に県の指定を受けた名勝玉川峡は、その後、県文化財保護条例の制定に伴い、昭和三十三年に改めて指定されております。
 紀伊丹生川水系へのダム建設計画に伴う県指定名勝の現状変更等につきましては、県文化財保護審議会に諮り、その結論を待って対処してまいる考えであります。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十六番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただいたわけですけれども、特に早く解決をしなければならない川永団地の浄化槽問題です。
 これは、今部長からの答弁を聞いておりますと、入札制度も不適当だと。県が緊急的措置として協定を結んだからには、条例二十条によって住民の皆さんに負担していただくことになっているから、早期に解決をしていきたい、こういう答弁なんですけれども、住民は払わないとは言ってないんです。業者の選定について、あるいは料金が余りにも高過ぎるではないかと。同じ業務をやるのに一気に高くなるので、これは何とかならないのかということです。
 そのために住民の皆さんたちは、一社だけの業者では自分たちが選択することができない、だから、どこでもいいから同じ点検業をしている方に計算してもらえないだろうかと見積書をとって比べたところ、余りにも差が大き過ぎるではないかと。
 住民の皆さん方の生活の経済的な状況から考えても、安い方を選定するのは当然だと思うんですけれども、そういう点で見ますと、県下の住宅団地においてはすべてこの浄化そう協会と清掃連合会に集中しているということです。串本と橋本については地域の業者に委託をされているようでありますけれども。
 しかし、これは住民が払うわけですから、業者も料金についても、県が決めるのではなくて、そこの団地の払う人たちが決定をすべきだと思うんです。今までの選択する余地を与えないような県の行政のあり方というのを今、住民は問うているわけです。そのことについて、金を払わんからというようなことだけで事が解決するには至らないと思うんです。
 この七日に課長を含めて担当課の皆さん方と住民の皆さん方と話し合いが持たれたようでありますけれども、そこでも同じような態度でした。県営住宅に住む皆さんたちは、本当に納得をして払える制度に変えていただきたいということなんです。住民が払うわけですから、押しつけられるものではないと思うんです。そういう点が解決の道を閉ざしているわけで、研究をするとずっと言い続けてきているんですが、今、その研究の成果が全く見られないということになっていますね。
 川永団地の場合には、県が一方的に委託契約を結ばれているわけです。この契約期間が来年の三月三十一日となっておりますから、可能な限りそれまでにその研究を終えることが今の課題になっているのではないのでしょうか。その点の研究について、土木部長、いつの時点で問題を解決しようと思っていらっしゃるのか、もう一度お答えください。
 それから水の問題で、紀伊丹生川ダムの問題です。
 これは大阪府の問題だということなんですが、確かにそれはそうだと思うんです。けれども、和歌山県の九度山や橋本にこれがつくられようとしている。しかも今、名勝地として非常に多くの人たちが自然を求めて、いやしのためにおいでになる地域です。紀北ではこことあと二カ所ぐらいありますけれども、県下でも数少ない貴重な県の財産だと思うんです。そういう点で見れば、大阪に水を上げるのに本当にこういうところが──先ほども述べましたように、大阪の水需要が今ほとんど横ばいの状態で、ましてや節水すればもっと要らなくなるという状態のもとで、あの地に本当にダムが今必要なのかどうかということを考える上で私は提起をしたわけです。
 そういうことで、いろいろな検討会とか、副知事も参加していらっしゃる協議会とかもあるわけですから、そういうところでもう一度、ぜひこういった観点からも、和歌山県から積極的に大阪の水の問題について提起をしていただきたいと思うんですけれども、いかがなものでしょうか。お答え願いたいと思います。
 まず、そういう点についてお答え願いたいと思います。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員の再質問にお答えいたします。
 私が大阪の計画に対してとやかく申し上げることは僣越だと思いまして、申し上げたわけでございます。
 ただ、先日、十一月に開催した阪和開発連絡協議会におきましても大阪からまた要請がございました。さらに、九月の定例会においてはその計画を見直す考えはないという大阪の答弁がありますので、目下のところは大阪の主張を尊重していくべきだと考えております。
 ただ、紀伊丹生川ダム全体の問題につきましても、これからそういうことも含めて十分研究をしなきゃならないと、そうは思っております。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 村岡議員の再質問にお答えいたします。
 浄化槽の維持管理費用につきましては、近畿の他県における浄化槽の維持管理費用の調査状況等から、妥当なものであると判断しております。
 また、一般に費用が安くなればサービスの質が低下するリスクが増大すると考えられまして、費用についてだけではなく、維持管理業務が適正に実施されるかどうかという観点からも、慎重に研究する必要があると考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十六番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 知事、そういう観点で、大阪の状況はそうだとしても、やっぱり県の重要な地域につくられるという点からも、今後全体問題としてぜひもっと研究をしていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。
 それから、教育長や生活文化部長、文化財あるいは自然公園という点から見ても非常に大事なところだと思います。審議会にお願いするときに、審議会の討議の中でもぜひ現地を十分に見ていただいて、そして貴重なものは残していくという立場を──それを壊してまでダムをつくらなければいけないのかどうかというところは、現地を十分に見ていただくということにしていただきたいと思います。これからその審議会は始まるわけで、これまでまだ行われていないという状況ですから、その点についてはお願いをしておきたいと思います。
 それから、土木部長。どうもあなたの答弁は納得いきません。住民の皆さん方の願いからすれば何にも進まないじゃないですか。住民を押さえつけておいて行政が事を進めるという、その対応の仕方の問題として今は問われているんです。よその県と比べたら徴収の仕方はいいんだとか、条例で規定してあるとおりに住民が払うんだからいいんだとかというような、それは押しつけじゃありませんか。そのことを今問うているのと違いますよ。住民が払う場合に本当にどのような方法がいいのか、そして点検についてはどういう業者を選定するのか、登録業者が仕事をしていく上で本当に平等に公平性が保たれているのかどうかが今、川永団地で問題提起されているということなんですよ。ここのところにちゃんと焦点を当てて研究をしないと、今までどおり条例に基づいてやっているんだということでは住民に選択の余地を一切与えないことになるわけです。県が決めたものを押しつけるという今までのやり方は、もう今の時代にはそぐいません。
 そういう点で、土木部長の言っていることには到底納得できるものではありませんけれども、その研究について、ぜひ住民の願いにこたえられるような成果を期待し、ここで求めておきたいと思います。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十七分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 まず、一般質問に入る前に、けさ号外を見ました。暗いニュースの多い中で、皇太子妃雅子様がご懐妊された。国民にとっては非常にうれしいニュースでございまして、壇上でこの話をできるのが非常にうれしゅうございます。
 それでは一般質問させていただきますが、その前に、先般の知事選では、多くの県民のご支持を得て圧倒的な強さで当選されました西口知事に、心からお祝いを申し上げたいと存じます。おめでとうございます。
 橋本市で去る九月十二日、橋本、また伊都の皆さんが待望久しかった県立橋本体育館がオープンいたしました。その後もイベントがメジロ押しでございましたが、先日開催されたNHKののど自慢には四千人もの聴衆が駆けつけました。それはそれは大変なことでございまして、本当にありがとうございました。また道路網につきましても、現在、京奈和自動車道橋本道路の工事着工、三百七十一号線バイパスの工事着工、広域紀の川左岸農道についても着工していただいておりまして、ありがたいことでございます。また橋本では、清水市脇架橋にことしぐらいから工事をしていただけるのではないか、こういう希望的観測がございますし、また実際に予算もついてきております。知事が掲げていただいている公約が着々と実行されておりますことを、心から感謝申し上げる次第でございます。また警察に関しましても、橋本署の管内に即時免許証交付センターを設置していただきたいと私が申し上げたのが、もう五年前にもなります。そのときの県警本部長の答えは、イエスでございました。これも、早急にお願い申し上げたいと存ずるわけでございます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 まず、福祉保健部にお尋ねいたします。
 介護保険制度は、いよいよ来年四月から実施されるわけでございます。この制度導入につきましては、論議がなされ、国において法整備がなされたところでございます。明年四月からの実施に向けて諸準備が進行中であります。各地方自治体では、介護の可否について認定作業に取り組んでいるところでございます。自立か要支援か、要介護度がどのように認定されるのか、当人はもちろんのこと、家族の皆さんにとっても大きな関心事であります。
 過日、テレビで認定作業の模様が詳細に報道されておりました。番組の中で、幾つかの問題点や矛盾点が指摘されておりました。自立か、要支援かの認定に当たっては相当の難しさがあり、訪問聞き取り調査に当たっている調査員の印象、判断が認定時に微妙に影響するようであります。この認定で自立と判定された場合、介護保険サービスは受けられないし、現在施設に入所中であっても、五年間の猶予はあるものの退所しなければなりません。
 私は、今回の質問では、自立と判定されたいわゆる在宅高齢者に対する支援について提案と質問を行いたいと思います。
 平成十一年六月三十日付で、厚生省老人保健福祉局長から在宅高齢者保健福祉推進支援事業実施要綱が通知されております。要綱では、在宅高齢者への各種保険支援サービスが実施事業として列挙されておりますが、そのいずれも、実施事業にうたわれていることを自分ではできない要援護の老人やひとり暮らしの老人等に限っております。また、高齢者の生きがい対策事業でも実施主体は、市町村、市町村老人クラブ連合会、市町村福祉協議会、社会福祉法人、農協等に委託することができると定められております。
 本日、私が紹介し検討願いたいのは、前段で申し上げた要綱にも該当しない、在宅高齢者支援の原点でもある地域の高齢者を、地域の人たちの手で支えることを実行しているボランティアの女性の皆さんの活躍であります。
 これは、朝日新聞の平成十一年三月十二日に掲載されております。近隣のヘルパー経験のある女性のボランティアグループですが、お年寄りのために何かできないかと考えて、触れ合いの場をつくりました。昔ながらの縁側のある民家が、無償で場所を提供してくださることになりました。二年前の平成九年十一月から月二回、第一、第三土曜日に開いております。会のモットーは、「もう一つの我が家」であります。お年寄りが集まってお茶を飲みながら世間話をしたり相談に応じたりでスタートいたしましたが、最近では手づくりの昼食や菓子なども用意いたしております。評判を聞きつけて毎回十人前後のお年寄りが集まっておりますが、時々参加するメンバーも入れると三十人にもなるそうでございます。参加しているお年寄りは異口同音に、「月二回が待ち遠しい」、「もっと回数をふやしてもらいたい」、「ここの施設は何よりも強制されないのが一番いい」、このように喜んでおられます。お世話する女性は、「大きなことはできなくても、喜んでいただければ満足です。体が不自由で来られないお年寄りをどうするかが今後の課題です」、このように話しておられます。これこそが、高齢者を地域の人の手で支えていく高齢者支援の原点ではないかと思うのでございます。立派な施設をつくり手厚く介護する、これも大切だと思います。介護予防の見地からも、在宅高齢者の自立老人に対し、国、自治体はもう一歩踏み込んだ積極的な事業の展開が求められているのではないかと思うのでございます。
 そこで、質問いたします。
 地域で実施している小規模ボランティアをどのように思っておられるか。
 また県として、この種の小規模ボランティアグループを支え、育てることができないのか、お尋ねしたいと思います。
 次に、教育長にお尋ねいたします。
 知事は、リゾート博、熊野体験博の開催を通じ、県民に「和歌山県民よ自信を持て」と強く訴えておられます。和歌山県民の誇りと自信を持つことは非常に大切なことでありますし、私もそのようになりたいと努力しておるところでございます。自信を持つ、誇りを持つということは、郷土を愛し、自然を大切にすることにつながると思うのでございます。それが、ひいては隣人を、友人を、またすべての人を愛する心にもつながっていくと考えるのでございます。
 その方法の一助としてお伺いしたいのでございますが、和歌山県の風土が生んだ偉大な先人が多くおられますし、また今も各分野で活躍されている方々がおられます。これらの人々を広く紹介し、県民に知ってもらうことが大事であり、県民がこのようなすばらしい先人の各分野での活躍や名声を、また業績を知ることこそが和歌山県人としての自信と誇りにつながるものと思うのでございます。
 私の知る範囲でも、橋本では古くは聖地高野山を救った応其上人、高野口町から岩出町まで全長三十三キロメートルにも及ぶ小田井堰を初め数々の土木工事をした紀州藩主大畑才蔵、近くでは数学者で文化勲章を受章した岡潔博士、スポーツ面では水泳の前畑・古川両ゴールドメダリスト、近くの那賀郡では医聖華岡青洲、和歌山に入って吉宗、紀南に行って熊楠等々、枚挙にいとまがないのでございます。全国どこへ行っても、郷土の偉人を積極的に顕彰しております。それに比べ和歌山県は、遠慮がちではないでしょうか。幅の広い教育が、人格形成に不可欠であるとも言えます。
 先日、バイニング夫人の訃報が伝えられました。夫人は、昭和天皇が幼年期での教育の大切さを痛感され、今上天皇のご幼少期の家庭教師として招聘されたアメリカの方でございます。夫人は、「人をとうとび、判断をするときはよく考えてくださるように」と教えられました。その教えが、今上天皇のお考え方にご影響を与えているとも報じております。幼少期の教育の大切さが、ここでもわかると思うのでございます。
 また午前中、小原議員からの発言がございました。新宮高校で、野球部員として厳しく鍛えられた。技術はもとより、マナーも、礼儀も、言葉遣いも、それがひいては人格形成にもなった、このような紹介がございましたが、まさに少年期の教育こそがその人の一生を左右し、人格を形成するものではないか、このように思って質問をしている次第でございます。
 間近に迫った二十一世紀、この世紀の和歌山県を担っていくのが青少年たちでございます。彼ら、彼女らに、高い誇りと自信と、いたわりの心を持ち合わせた人間になってもらいたいと願っております。私の提案を、教育の場で取り上げていただければ幸いであります。
 そこで、教育長に質問いたします。
 一つは、本県の偉大な先人の教育がどのように教育現場でなされているかであります。
 二つ目は、和歌山県として、今後こうした教育をさらに発展させていく考えはあるか。
 この二問にお答えください。
 続いて、生活文化部長にお尋ねいたします。
 私は、過去八回にわたって産業廃棄物、また一般廃棄物について質問をしてきたところでございます。前回までの議事録を読み返してみますと、世間の常識が国、県の常識ではないのがわかります。当時私も、廃掃法とは、ダイオキシンとは何であるかわかりませんでした。産業廃棄物も一般廃棄物も、この十年来、膨大な排出量で、産廃は四億トン、一般廃棄物は五千万トンと、過去最高の水準に定着したままであります。このことが、廃棄物問題を日本の最大の環境問題、また社会問題としている原因と言っても過言ではありません。
 この間、国は、二度にわたって廃棄物処理法を大改定いたしましたが、ガンである廃棄物減量にはほとんど踏み込んでおりません。また最近では、産業廃棄物の施設と同様に、一般廃棄物の施設に問題が顕在化し、焼却施設では大阪府能勢町のようなダイオキシン汚染、また最終処理場では遮水シートの破損、遮水装置のない不適格施設等の問題があり、地域住民との紛争の有無とは別に、環境汚染源としての深刻な要素を示しております。
 一方、新たな廃棄施設の設置手続の面では一定の変化が起こりつつあります。岡山県吉永町、千葉県海上町、茨城県水戸市で県が産廃処理場を不許可としたり、審査請求では厚生省が不許可を認めるという事例や、厚生省が県の不許可処分を取り消したものを裁判所の仮処分では差しとめが認められるという事例も出てきております。さらに国は、おくれていたダイオキシンの排出基準、土壌基準を決定いたしました。また和歌山県にあっても、当初、処分業の申請は申請要件を満たしておれば許可を出していたものが地元の同意が必要となりました。また、操業中の処理場であっても他府県の産廃の搬入はできないなどと、対応が大きく変わってまいりました。
 橋本市の野地内、日本工業所については、後手後手と回る対応と不作為とが重なり、同処理場が深刻な状況にあるのはご承知のとおりであります。今ここで過去の対応を非難しても解決するものではなく、行政と住民が解決に向けて協力していくことが大事ではないかと思うのであります。日本工業所処理場で、住民の要求とダイオキシン類問題検討委員会の要請で処分地内で、排水検査、ダイオキシン調査では最高千七百ピコグラムのダイオキシンが検出されました。また、野積みされていた産廃の撤去、ボーリング調査、ガス発生源調査のための埋蔵物確認掘削が実施されました。このように、住民が望んでいたことが遅まきながら実行されました。その調査結果は、住民が以前から指摘していたとおりであったのが残念でございます。
 学識経験者による日本工業所に係るダイオキシン類問題検討委員会も設置され、検討委員会での結果が逐次実行に移されていることは非常に結構であると思います。検討委員会の会議録を読むと、回を重ねるごとに大きな山場に差しかかっていることが委員の発言の端々からもうかがうことができます。検討委員会議事録の中で、ある委員が、「掘削するにしても、土をどこかに持っていくことは無理ですね。また、持ってこられても困りますね」と発言しており、また別の委員は、「基本的には余り持ち出さないで、ここで封じ込める」との発言が第三回検討委員会でされております。これは、覆土案を意識している発言でしょうか。もし覆土案になった場合、ここ数年くらいは安心かもしれません。覆土すれば、草木が生え、この土地がかつてどのような影響を受けた土地かはわからなくなってしまいます。しかし、十年単位で物事を考えると、地下水への浸透などにより汚染の拡大は防げません。比較的まともと言われている管理型処分場でも、ゴムシートの寿命は十数年から二十年とされ、それ以降の流出については防ぐすべがないのが現状であります。ましてや、谷を掘り下げただけの日本工業所の違法処理場が、土をかぶせるだけで安全とは到底思うことができません。さらに住民サイドから言えば、覆土案は既に日本工業所が産廃隠しのためやったこととはいえ、同じ手法をとることは、住民感情から言っても到底許せないことであります。覆土をし、また崩落防止の堰堤をつくるとかは、基本的には日本工業所と同じことをやるにすぎません。
 そこで、質問いたします。
 橋本産廃問題をどのように解決しようとしているのか、このことについてお尋ねいたします。
 日本工業所の問題では、実際に処理場近くの住民が、自分の持ち家があるにもかかわらず、家に帰れないまま避難生活を送っている現実があります。県サイドは、この現実をどのように把握しておるのか。厳密な因果関係論を持ち出すような問題ではないと思うのであります。
 そこで、質問いたします。
 被害者の実態を把握しておりますか。被害者に援助はできないのですか。
 また、県下で発生している産廃をめぐるいろんな紛争やその再発を橋本のようにしていただきたくはないという意味で質問するわけですが、このように再発を防止するためにも具体策を持ち合わせて考えておるのかということを質問したいと思います。
 福祉環境常任委員会は、去る十一月四日、五日、ドイツ総領事館、岩手県の岩手クリーンセンター最終処分場を研修いたしました。私には、ドイツ副総領事が説明する一言一言が胸に突き刺さるような思いでありました。ドイツで今行われている環境問題で、ドイツ国民はリサイクルできない製品は買わない、またメーカー責任を問うデポジット法が徹底されている、産業廃棄物、一般廃棄物の減量に国民は積極的に取り組んでいる等々でございました。国でもその動きがあり、来年にはデポジット法の制定がなされるということでございます。常任委員会研修でのドイツ副総領事の説明を紹介いたしましたが、ドイツ国民はリサイクルのできない製品は買わないとする確固たる信念を持っているとも聞きました。この信念はどこから来るものか、ドイツの教育に大いに関係があるとのことであります。子供のときから、物のとうとさ、環境の大切さを、学校、家庭で徹底して教育しているということでございます。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 県下小中学校での環境教育の実態はどうであるか。
 二つ目に、教員の環境に対する知識向上のための講習等の実施はどうされているのか。
 この二問についてお尋ねいたします。
 以上で、一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 向井議員にお答えをいたします。
 在宅の自立高齢者への支援についてでございますが、議員ご提言のとおり、これからの高齢者福祉を進めるに当たっては、比較的元気なお年寄りが地域の中で健康で生きがいを持った生活をしていただくことが大変重要なことと認識をしてございます。国においても、介護予防、生活支援事業として地域の実情に応じて市町村が取り組めるよう検討されており、県といたしましてもその推進に努めてまいります。しかしながら、今後の高齢社会を地域で支えていくためには、こういった行政の事業だけではなく、それぞれの地域の中での自主的なボランティア活動が不可欠でございます。新聞報道のようなケースはまことに貴重な活動と考えておりますし、県内各地域で大きな力となることを期待しております。また、このような活動が広く取り組まれるよう啓発をしてまいります。
 次に、ボランティアグループの育成についてでございますが、お話のようなグループに対しまして現時点で補助対象とすることは困難でありますが、ボランティアの方々が活動しやすいように、さまざまな情報の提供や要望の紹介等、側面からの支援を市町村ともども検討していきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 向井議員ご質問の橋本市の産業廃棄物問題についての四点にお答えいたします。
 まず一点目の解決策についてでございますが、日本工業所に係るダイオキシン類問題検討委員会において、現在検討をいただいているところでございます。また、委員会からの提言を受け、先月八日から十九日にかけ、ダイオキシン類の補完調査を実施したところでございます。今後は、これまでの調査結果や今回の補完調査の結果をもとに審議の上、対応策について提言いただけるものと考えております。その後、厚生省や環境庁など国と協議し、県としての対応策を検討してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、第二点目の被害者実態を把握しているかとのご質問でございますが、被害があったということにつきましては、住民の方々のご意見や公害紛争調停の申し立て証拠として添付されている書類により承知いたしてございます。
 続きまして、第三点目の被害者への援助はできないかについてでございますが、県といたしましては、現在、ダイオキシン類問題検討委員会において健康影響の有無を検討いただいているところでございまして、その結果を見守ってまいりたいと考えてございます。
 続きまして、四点目の再発防止をするためにも具体策を考えているかとのご質問でありますが、県では、従来から許可申請等に係る手続の審査や監視、指導において複数の職員で対応することなど、より厳正に行うよう各保健所を指導しているところでございます。また、処理施設の設置や処分業の許可の審査に際しては、地元市町村長の意見を最大限尊重して審査しているところでございます。
 なお、議員ご提言の環境監視パトロールにつきましては、事務処理要員も含めて計二十名により、休日等の不法投棄や野焼き等の不適正処理の監視パトロールを開始したところでございます。今後、不適正処理が発見された場合には、その行為者に対し指導を強力に行うとともに、悪質な者に対しては関係機関とも協議しながら、法的対応も含め厳正に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 向井議員にお答え申し上げます。
 最初に、本県の偉大な先人の顕彰についてであります。
 教育委員会といたしましては、あすの郷土和歌山のみならず、二十一世紀の我が国を担う子供たちが、ふるさと和歌山の生んだ多くの先人の業績から学ぶことは極めて大切であると考えております。
 こうしたことから、これまでもふるさと教育を積極的に推進しているところであり、平成九年度には浜口梧陵を初め、華岡青洲、南方熊楠等を取り上げた道徳教育副読本「ふるさと わかやまの心」を作成し、小中学校の教材として活用しているところでございます。さらに現在、和歌山のすばらしい自然や歴史、先人の活躍等についておさめたふるさと教育副読本を作成中であります。この読本を通して、来年度から県内すべての小中学校で、子供たちが和歌山のすばらしさについて学び、郷土に対する誇りと自信を培うことといたしております。今後とも、こうした教材を活用しながら、多面的にふるさと教育をより一層推進してまいりたいと考えております。
 次に環境教育についてでありますが、今日的課題である環境問題は、身近な社会や自然の事象から、地球規模の問題に至るまで広範囲にわたっております。その解決に向けては、環境に対する豊かな感性や見識を持つ人間の育成が重要であり、学校教育における環境教育の果たす役割は極めて大きいと考えるものであります。
 こうしたことから、学校教育の指導の方針と重点において、環境教育の重要性とその推進の方向について全教職員に周知徹底を図っているところであります。各学校にあっては、社会、理科、保健体育等の教科の指導の中で、児童生徒の発達段階に応じて環境教育に取り組むとともに、文部省や県の研究指定校においても重点的に研究を行っているところであります。また、新たに導入される総合的な学習の時間においても、環境を初めとするさまざまなテーマを設定し、問題解決的な学習や体験的な学習を重視する授業を積極的に展開してまいります。さらに、教育研修センターにおいて実施している自然観察や環境調査等に係る講座をより一層充実させるなど、教員の意識と資質の向上にも努めてまいります。
 今後とも、家庭、地域と連携しながら、学校における全教育活動を通じ、環境問題の解決に向けて主体的に取り組む児童生徒の育成に、より一層努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 再質問させていただきます。順を追ってさせていただきます。
 まず、ボランティアの関係でお答えいただきましたが、介護予防という立場から、和歌山県はもっと一歩踏み込んでいただきたいなと思うんです。介護を必要とする方々への支援、これは国がいろいろ具体策を示して事業を展開中でございます。しかし、自立と判定された方への事業はほとんどないわけでございます。したがって和歌山県は、他府県に先んじて予防介護という意味から事業を展開していただきたい。それが、ひいては介護になる前に食いとめていくことになるわけで、財政的な面からも大きな役割を果たすのでないかなと考えておりますので、お願いしたい。
 それともう一つは、こういうどこにも属さない、どこにも拘束されない小規模のボランティア事業というのが繰り広げられております。私がご紹介いたしましたのは、私の町内会の中で繰り広げられている本当に小さな事業でございます。しかし、調査いたしますと、橋本市内だけでも類似のボランティアグループが五つあるということです。ということは、和歌山県下を眺めますと、相当多くの皆さんがこういうボランティアをやっておられるんじゃないか。介護予防という見地から、こういうふうに自主的にやっておられるのかなと思います。しかし、それらに対して何ら財政的な措置もございません。こういう芽を、和歌山県は大きく育てていく必要があるのでないかと思います。
 財政当局に要望しておきます。介護予防という意味から、自立の方々への事業に対して財政的なご支援をしていただきたいと思います。 続きまして産廃のことでございますが、一つは再質問させていただきます。
 被害に遭った方への支援についてであります。産廃の焼却場から二百メートルも離れていないでしょうか、そこの家の方が病気になり入院されました。明らかに焼却が原因という、お医者さんの診断でございます。それから、近くの方十数人が通院をなさっております。特に、外へ出ている方はいまだに自分の家に帰れないという状態でございます。そういうことで、なぜ県はその方への支援を積極的になされないのか。実は今、この方は橋本市営住宅に入居されているわけですが、ここも長期になるために退去してくれという話が出ておりまして非常に困っておられる。その方への支援はできないのか、改めてお伺いしておきます。
 それから要望させていただきますが、環境パトロールのことについてでございます。
 和歌山県下で橋本と同じようなことを二度と発生させてはならないということで、橋本の日本工業所におけるいろんなことで私どもも勉強させていただいたし、和歌山県も勉強していただいたと思うんです。そんな中で、先ほど紹介させていただいたように、申請する業者にいろいろ規制がかかってきております。再発を防止するためにも、監視パトロールは重要であると思っております。今までは、保健所の職員が、例えば伊都・橋本で一人か二人の担当が仕事の合間にあちこちの現場へ出かけて、そういうところがないかと監視に回っておったと思うんですが、手薄であったことは否めません。しかし、二十人もの監視パトロールを県下に置いていただいた。これは、一つの前進であります。このパトロールの下に各市町村の住民の方々に、監視員という名称でもいいでしょうか、そういう方を大勢任命して、いろんな連絡をいただく連絡網の設置をしていただきたい。そして、監視員がその現場に出かけて、早く手を打たなければならないと判断すればその手を打つ。そういう情報網を張りめぐらすことが大事であろうと思いますので、これについてどのようにお考えなのか。
 要望と言いましたが、再質問に切りかえさせていただきますので、生活文化部長、お答え願いたいと思います。
 最後に、教育委員会に要望を申し上げておきます。
 副読本をつくっていただきましたが、教育現場では副読本が配付された年には熱心にやっていただけるんですけれども、こういう環境の問題、また和歌山県の先人の問題等は毎年の積み重ねが大切だと思っております。積み重ねこそが、子供の知識、考え方に大きな影響を与えていくのではないかと思っております。したがって、毎年やっていただきたい。
 もう一つは、それを教える側の先生方の知識の向上であります。これにつきましても、自分で勉強した以外に講習会を常時開いていただいて、豊富な知識を身につけて子供たちに教えていただきたい。
 このように要望申し上げて、再質問と要望にさせていただきます。終わります。
 ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 向井議員の再質問にお答えいたします。
 先ほどの、被害者への支援のことでございます。今、議員からお話を聞いて、まことに実態は厳しく、気の毒であると思っておりますけれども、先ほどお答えしましたとおり、現在ダイオキシン類問題検討委員会において健康影響の有無について検討いただいておりますので、ご理解賜りたいと思います。
 それと、環境監視パトロールであります。議員より常にご指導賜っておるところでありますが、現在、国においても不法投棄監視連絡員制度を検討していただいております。今のところ、この制度の詳細についてははっきりいたしておりませんけれども、県といたしましては、現在二十名でやっているパトロールの効果を十分に見ながら、国の制度とあわせて今後真剣に検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上で、向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 お許しを得ましたので、通告に基づき、質問させていただきます。
 まず冒頭、会派を代表して、二期目当選を果たされました西口勇知事に心よりお喜び申し上げます。財政運営プログラムが示すように県財政が大変厳しい中、不要不急のものへの決断、輝く和歌山実現のために何かと心労が大きいと思います。健康に留意されて、県民のためにご尽力くださいますようお願い申し上げます。
 さて、第一点の梅の立ち枯れに関する質問ですが、初日に既に三名の議員から幾つかの質問がなされて、県当局の見解が示されました。とりわけ、うめ研究センターの要望に対し知事が積極的な答弁をなされ、梅原因究明にかける二期目知事の決意とその努力に心から感謝する次第です。
 坂本議員並びに高田議員とダブる部分がありますが、私の場合、少し観点を変えて臨みたいと思いますし、原因解明のために行政と力を合わせてやりたいという気持ちを、まず述べておきたいと思います。
 和歌山県の唯一の基幹産業である梅産業は、今大きな岐路に立たされています。梅の立ち枯れは、量的にも面積も、また地域的にも拡大をしています。田辺では累積するともう既に八万二千本、南部川では七万六千本、上富田では四百四十本と、梅産地は危機的な状況になっています。生産農家は、それぞれ被害の差こそあれ、この状況を深刻に受けとめています。もう梅づくりで生活できなくなってしまい、生産意欲を失ってしまった人たち、転作をしても何をしていくのか自信が持てない、借入金の返済をどうするのか、立ち枯れ対策で原因がわからないのに、これ以上樹勢を回復させるということでの改植、土壌改良の大量の肥料にお金を出すことはできないし、直る見込みがないのにこれ以上という声が出てきております。生産現場では、一体どうしたらよいのか、それでも何とか少しでも延命策をということで努力されている方もたくさんおられますが、それももうやりきれない気持ちを発散させている状況です。
 行政、JA、個々の生産農家は、梅立ち枯れ原因解明の対策と実践を、昭和六十一年に発生してから、田辺市が平成三年から調査を開始し、平成四年からは、田辺市、JAを中心に、県暖地園芸センター、普及所の協力で梅病害虫特別対策委員会、梅生育障害対策研究会、県は県うめ対策研究会を組織し、研究してきました。しかし、田辺市をスタートに研究してから既に七年を経過するも、その原因がつかめないし、年々その被害が拡大しているのが現状です。
 そこで私は、今まで研究してきた研究体制、研究内容、実証試験の手法を根本的に検討する大切な時期に来ていると考えます。したがって、県の現状の考え方、手法の問題点を指摘し、この点を改めない限り原因解明への道が開けないと考えます。
 農林水産部みかん園芸課がまとめた梅生育不良対策に関する試験研究成果の文書は、現場や生産農家、JA、関係者の実践している事実と相反することの方が多くあり、この文書は撤回して三月末のまとめの段階で作成し直すべきだと考えます。この成果発表たる文書を平成十年十一月に中間報告としてまとめ、十一年五月に説明して以降、日高、田辺地域でこの原因分析と指導は、生産農家、実証園そのものに適応せず、逆に反発を食らい、受け入れられなかったにもかかわらず、これに固執し続け、さらに実証園で成果を上げているという報告は許しがたいことです。高田議員の再質問で若干の反省があったと思いますが、現状を知らない人にとったら県の方針がいかにも正しいかの錯覚をし、生産農家が努力していないのではないかと考えられるのです。これらの事実について、知事がまず現状を正しく認識してほしいと思います。いまだに原因解明できない状況と、梅の生産を守り生産農家の生活を守るために、知事の所見をまずお伺いしたいと思います。
 そこで私は、県行政の今までの取り組みの問題を指摘し、今後の解明への課題を提言したいと考えます。
 一つは、中間報告、マニュアルの方針は、実証試験をしてきたが原因解明や根本的な樹勢回復に至らなかったことを素直に認めるべきだと思うが、どうでしょうか。そうでなく、あくまで先ほどの研究成果を当局が主張するなら、お互いに公開討論をし、現場できちっと論議をしようではありませんか。いかがでしょうか、農林水産部長。
 二つ目は、これは知事に生産現場の実態を知ってもらいたいからでございます。この反省に立って、九月議会の補正で、実証園試験を実施するに当たり、今までと同じ栽培管理だけでなく、新しい内容を入れる必要があると考えます。南部、南部川の実証園については、園地選定を済ませ、現在地元と内容調整が行われておりますが、今までの総括をして、何が問題で、これから何をするのかを示すことが今求められています。田辺では、難航しながらも、地元からの幾つかの新しい実証試験を加えることで何とかスタートできそうな状況と聞いています。実証園試験の方針と内容を示されたい。農林水産部長にお尋ねします。
 三つ目は、上富田町、中辺路町にも被害が広がっていますが、県は上富田町で発生している立ち枯れの症状をキクイムシ、紋羽病とし、中辺路町ではモニリア病だとかで病害虫防除を指導している。発生している現場での農家の専門家の調査によると、根、枝、葉の枯れは、木が弱り枯れたところに発生したことが確認されています。これは、既に南部川、田辺で、糸状菌の発生は衰弱した木に付着することが証明されているにもかかわらず、現象面だけをとらえて指導していることに、どう考えておられるのか疑問を持つところであります。
 以上の点から見ても、七年間の苦労の中で幾つもの研究、実証をしても解明されない中で、県関係者の発言や指導は厳に反省するべき点があると考えます。
 そこで、今必要な調査は何か。七年間の調査で一つ一つ研究実証し、いろんな角度から研究され、消去法でいくと、大気と立ち枯れの分野が専門的に深く研究されていない。この大気と立ち枯れは、歴史的にも世界の各国、最近の日本列島のすべての地域で森林の立ち枯れの実態が発表され、大気、酸性雨と立ち枯れが証明されています。歴史的に見ると、一八七〇年代からイギリスのロンドンから始まった石炭火力発電所からの公害は、ヨーロッパ、アメリカと広がり、日本では昭和四十年代に四日市ぜんそく等の公害問題が発生しています。
 その中から教訓を得たことは、一つは、化石燃料による森林や健康への被害。初期段階では生態系への広範な影響、広域的な被害という特徴と、これらは歴史的に住民側の反対運動、企業側の抵抗という現在の環境問題の基本的な構造としてとらえられてきています。
 二つ目は、環境庁は、酸性雨は化石燃料により生ずる硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)などの酸性雨原因物質から生成した硫黄や硝酸が溶解した酸性の強い、pHの低い雨のこととされてきました。しかし現在では、酸性の強い霧や雪、もちろん露や雨も含めてですが、晴れた日でも風に乗って沈着する粒子状あるいはガス状の酸を合わせたものとされてきています。土壌が酸性化して森林などへの影響を与えること、また直接樹木や文化財に沈着することにより、これらの衰退や崩壊を助長することなどの広範な影響が懸念されております。酸性雨が早くから問題になっている欧米においては、酸性雨によると考えられる湖沼の酸性化や森林の衰退等が報告されているし、原因不明の樹木衰退が環境庁の第二次調査に引き続き確認されるとともに、酸性雨による影響が生じていると報告されております。
 そこで、環境庁や世界各国、日本列島が示すこういう樹木の衰退と、私たち紀南の現場からの実際の状況との比較を当局に考えていただきたいと思います。
 一つは、生産農家からの素直な見解であります。毎日、空と土と木を見詰めてきた農家の生活から見た梅の立ち枯れの原因は、六十一年ごろから黒い霧が立ち込める日が多くあった、アサガオの花に斑点が見られた、ビニールハウスがすすで真っ黒になった等、今までにないことが農家で見られた。梅枯れも桜枯れも御坊発電所の操業以降発生したものであり、それ以前には今のような枯れ方は全くなかった。ことしは急性枯れが多いというが、これは前年まで見かけ上正常そうに見えていただけで、樹体内や根の減少など不可視的な異常はあった。これは、人間の花粉症と同じで、個々の容量が蓄積され、耐え切れなくなって発病するのと同じ現象ではないかと思われます。今までの百五園の調査、平成十年の五百二十九園の調査では、土の母材いわゆる質の違いによって発生数の差はない。つまり、梅産地ではどこでも発生する可能性があり、早いか遅いかの差だけではないでしょうか。栽培管理方法、造成方法、傾斜、収穫時期、方法、除草剤など、どれをとっても明確な差が見られない中での発生である。梅立ち枯れは、いつ、どこから発生したか、どのように広がっていったのか、なぜ枯れ出したのか、これらの生産農家の素直な思いについて当局はどのように考えられていますか、いま一度お答え願いたいと思います。
 これらの状況からしても、県当局は今後、大気と立ち枯れ原因解明の調査に全力を挙げて取り組むことが強く求められていると思いますが、いかがでしょうか。
 これは、何も難しいことではありません。私が一人言っているのではありません。県自身が農作物の大気環境保全対策試験で昭和五十五年から六十年度にかけて調査しているその調査目的の中に、こう示されております。「御坊火力発電所の稼働による大気環境の影響予測によると、発電所を起点として半径十四キロメートルから二十四キロメートル付近が、亜硫酸ガス、窒素酸化物、浮遊ばいじんの最大着地点となり、その影響は十六市町村の地域におよぶことになる。(中略)これらの農作物について、現状の環境影響予測から判断すれば、直接の影響は考えられないものの、硫黄酸化物等の恒常的な排出により、土壌の酸性化を始めとして、農作物等に対する低濃度汚染の慢性影響、特に作物体への蓄積による不可視的作用、散布農薬との関連性等未解決な問題が多い。 本試験は御坊火力発電所の稼働に伴う農業地帯の大気環境の変化並びに作物への影響等を追跡調査するとともに基礎試験等も併せて行ない、その対策に必要な資料を整備しようとするものである」というふうに、県自身が昭和五十五年から調査する基本的な考え方を明らかにしているわけです。このことを踏まえていたにもかかわらず、それ以降、研究内容を栽培管理の面を中心の調査に移したことは、私たちには県当局が故意に関西電力の影響からの視点を変えたとしか思えないわけであります。関西電力から排出されるすべての物質と梅の立ち枯れの試験をすることによってこそ科学的に実証されると考えます。
 以下のテーマを提言します。
 この視点を避けるとしたら、県として他に何を調査すればよいと考えているのでしょうか。今、不思議な現象が起こっている事実があります。実証園のハウスの中の梅の木で窒素酸化物やオゾンの暴露試験をしているその木が、当初弱っていたが最近は成長がよく、隣の外の木が衰弱している実態があります。ハウスの中の方が成長がよいという現象があらわれていることであります。これは、まさしくばいじん(SPM)の調査がどうしても必要であるということの実証ではないでしょうか。しかも、SPMが水、つまり露や霧と融合すると葉面へどう影響するか、これが中心的な研究になると考えているわけであります。
 そこで私は、研究テーマとして次の以下六項を提案したいと思います。
 一つ目は、排煙の風向調査を正確にやってほしい。二つ目は、NOx、SOx、SPM──とりわけ第一火電はSPMを除去する脱硫装置が現在稼働していません。そのばいじんが蓄積されていないかどうかの調査。三つ目は、大気汚染物質と暴露試験。四つ目は、酸性雨、とりわけ露や霧のpHと梅枯れとの関係。五つ目は、大気汚染物質、とりわけSPMの葉面、気孔への影響と、その暴露試験は物質と霧、露という自然界の状況に適した実験をする。六つ目は、県がやろうとしている樹体、年輪解析。こういった総合的な、今まで手をつけられていないこの六つの項目の調査に積極的に入るべきではないかということをご提案申し上げたいと思います。
 最後に、次の問題は既に梅の関係で前回質問したことですので、要望に変えたいと思います。
 御坊第二火力発電所埋め立てゴーサインに関連してであります。
 一つは、梅立ち枯れの原因がいまだにつかめず、先ほど質問したように、今までの方針では解明できない状況で、また県としてこれからの確固たる方針を示さない中での埋め立てゴーサインは、梅生産農家と関係者を逆なですることにならないでしょうか。第二火電建設をめぐって、私たちは現在の第一火電への要望をして、県、関西電力と約束しました。それは、既設御坊発電所の大気汚染物質削減対策について脱硫装置を設置すること、また最高水準の脱硝、集じん装置を設置することという地元要望に対し、硫黄酸化物対策では三号機に脱硫装置を設置する、これにより御坊発電所総合の硫黄酸化物の排出量を三〇%削減する、また窒素酸化物対策では脱硝装置の設備改善により窒素酸化物の排出量を二〇%削減することや、ばいじん対策で電気集じん機の設備改善により、ばいじんの排出量を三三%削減することなど約束してまいりました。このことについては、昨日の坂本議員の質問に対する答弁で、関西電力との約束で既に工事も着工していると聞きましたが、最終的に脱硫装置が完了するまで、県は関電に対して指導監督されることを、ここに強く要望しておきます。
 次に、私たち生産農家、JA、加工業者が、市民の五万四千名の署名を集めた「梅生産業を守れ」の声は、一点目の、今言いました第一火電の改善と御坊第二火電が稼働されれば、少なくとも大気、火電の排煙という疑問がいまだ解決されていないとき、これから三年間は最低大気と立ち枯れの調査研究が必要とされているのに、せめて「待ってほしい」の声に耳を傾けてほしかったと考えております。御坊第二火電のオリマルジョンの化石燃料の排出物質は、脱硫・脱硝装置をつけても、第一火電の硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじんは三から五倍の量が拡散投下されることは科学的に証明されているし、関電も認めているとともに、環境庁からも改善要望として指摘されているところです。その改善の具体策がいまだ示されないまま先行して進めることへの疑問が住民として残るのは当然ではないでしょうか。
 ここで知事に、第一点、環境庁は二十世紀の公害の歴史の中で、二十一世紀への環境問題について、その総括と今後のあり方を述べていることを教訓にしていただきたい。
 第二点は、石原東京都知事の公害への裁断の行動についてでありますが、改善しない限りディーゼル車の東京都内への乗り入れをさせないというような強固な態度。
 第三点は、世界と日本の二十一世紀の電力エネルギーへの方向が、地球温暖化防止と人類の生存と地球をテーマに大きく化石燃料から脱皮して進められていることを新たに認識してほしい。
 第四点は、和歌山県が二十一世紀を迎えるに当たって、化石燃料をエネルギーとする電源開発を、企業にとって安い原料で利益を追求する企業経営を奨励することにはならないか。和歌山県が、県内消費量の三倍を移出する県として存在することは、国際的にも化石燃料をやめるべく圧力と世論がある中での、まさに日本の中の後進県としての汚名を受けることにはならないか。環境庁が示す産業活動でのエネルギーの指針とも逆行すると考えているわけであります。私たちが、この第二火電を初め化石燃料にこれから同意すればするほど、時代の方向にくさびを打ち、企業努力や通産省の方向が思い切ったエネルギー政策転換を示す方向に進むのに足を引っ張ることにならないかと考えるわけであります。これに対しては答弁というよりも、知事に対して、二十一世紀の日本の社会の進むべき方向と化石燃料による電源開発に対して私の見解を述べておきますし、今後ともこの論議のために提言をしておきたいと思うわけであります。
 次に、大きな二つ目として梅産業振興のための県の政策方針を示されたい。
 第一は、梅立ち枯れがこの状態で進むなら紀州梅生産のブランド商品が危機的状況になります。そのためには、第一に、立ち枯れ園への対策に対して根本的にどう手だてをするのか、部分的改植手法では解決できないのではないか。
 第二は、生産を落とさないための新たな改革を考えているのか。今、生産地の人たちは、梅で生活するためにいろいろと模索を続けています。当局もご存じでしょうが、田辺の生産農家では日置川、すさみへと生産地を広げていますが、さらには最近では三重県御浜町の国営パイロットからの誘いが来ています。三重県では、県の政策として梅の生産地において積極的に取り組まれている現状であります。和歌山県の梅産業は、今まで農協、生産農家、梅加工業者にゆだねる傾向でした。今はその段階ではなく、和歌山県として梅産業政策をきちんと確立する方針を立てる時期に来ていると思いますが、いかがでしょうか。
 続いて、紀州梅ブランドを守るための原料原産地表示の取り組みについては、既に一昨日、木下議員から質問があり、当局の答弁もその対策に積極的に取り組まれることが示されたので、よろしくお願いしたいと思います。
 梅加工の振興については、今抱えている課題に絞って問題提起をしたいと思います。
 梅干しの加工食品は、消費者のニーズにこたえ、年々商品の多様化が進んでいます。そんな中で、梅干し食品そのものの信頼を維持していくために、食品加工場の衛生管理、廃棄物処理対策、PL法問題、海外原料使用時の表示の問題、新しい梅加工品の開発など課題を抱えています。とりわけ梅干しの需要が高まるにつれ、製造、販売業者も急激に増加し、現在組合員は七十八社に対し、非組合員は約二百五十社に及んでいると聞いています。梅食品は、今高度な安全性が求められてきている中で、梅干し加工場での衛生基準設定の必要性がますます重要になってきています。また、海外原料を使用しながら「紀州南高梅」等の紛らわしい表示が出回って、紀州梅のブランドを脅かす事態が生じています。
 そこで県当局におかれては、一つ目は、本県産梅ブランドを高めるため梅加工研究の取り組みの強化についてどうか。
 二つ目は、梅加工業者に対する衛生管理指導の強化はどうか。
 三つ目は、梅加工業者に対する廃水と廃棄物処理の指導の強化についてはどうか。
 以上の点についての考えをお聞きします。
 梅消費拡大についてでありますが、一つだけ提案をしておきたいと思います。
 和歌山県紀州梅干しブランドを全国に情報発信するために、統一PR企画をつくってはどうでしょうか。テレビコマーシャル、インターネット、そのためには行政、加工業者、農協と一体となってPR作戦協議会を組織するなどして取り組んではいかがでしょうか、問題提起したいと思います。
 次に最後の問題ですが、先ほど向井議員が述べられて、私もまだ勉強不足ですので、これから勉強しながら問題提起をしていきたいと思います。
 和歌山県の策定したごみ処理広域化計画ですが、私も何回か読ませていただきました。この問題点と、現在抱えている産業廃棄物最終処分場建設についての質問をいたします。
 県の作成した計画書は、ダイオキシン対策として、大型焼却炉日量百トンの処理施設に集約化を図るため、県下七ブロックに設定してごみを処理していく方針を決めています。後で述べる国の全体の動き、つまりごみを減量する循環型社会の構築を目指すとともに、循環型社会に対応する廃棄物処理施設のあり方が今模索されているのです。したがって、私はこれをテーマにして、県の計画書が基本的なごみ減量を柱にした方針になっていないことから、計画書を見直し、行政、民間業者、県民の三者で県下のごみ減量を柱とした指針を早期に立てる必要があるという立場から問題提起をしたいと考えます。
 政府は、ダイオキシン対策関係閣僚会議を開き、一般ごみと産業廃棄物のそれぞれについて、埋め立てる最終処分量を二〇一〇年度までに一九九六年度の半分に削減するとしたごみ減量化目標を設定しました。これは、国として定めたのは初めてのことです。それほど環境問題が深刻であるからです。目標数値の考えの基本は、循環型社会づくりを目指し、ごみの排出抑制とリサイクルを徹底し、再生利用できないごみについて脱水などの中間処理を行って、最終的に埋め立てごみを減らすということで設定されています。一般ごみについては、国内総生産(GDP)の成長率年二%を見込むとして、このまま対策を講じない場合、一般ごみの排出量は二〇一〇年には一割ふえるとされています。そのための減量化目標として、一つは使い捨て製品や過剰包装の自粛、二つはリターナブル容器の活用や家電など耐久消費財の長期使用、三つは家庭ごみの有料化など経済的措置の活用等の施策により、一般ごみの排出量を一九九六年度五千三百万トンに比して五%減の五千万トンに減らすとしています。さらには、二〇〇〇年度に完全施行される容器包装リサイクル法の徹底で、排出総量に占めるリサイクルの割合を二四%に上昇させ、再生利用量を一千二百万トンと大幅にふやすとしています。再利用の取り組みとしては、生ごみの堆肥や肥料としての活用、新聞用紙などの古紙利用率の引き上げ、焼却灰などの溶融固化の推進、粗大ごみ処理施設などでの金属回収の推進などを示し、ごみの最終処分量を六百五十万トンにまで削減するとしています。
 産業廃棄物についても、このままでいけば二〇一〇年には一九九六年を基準にすると一七%増加になると言っています。排出総量を、九六年度四億二千六百万トンに比べて一三%増の四億八千万トンに抑制するとしています。汚泥なども、脱水を初めとする中間処理を徹底して最終処分量を減らす、排出された産業廃棄物のリサイクル率もアップさせるため、九六年度は排出総量の四二%、一億八千百万トンを再利用したが、二〇一〇年にはこれを四八%に高め、二億三千二百万トンを再生利用計画するとしています。具体的な再生利用として、汚泥を堆肥や建設資材、セメント原料などに活用する、動物ふん尿を堆肥化して農業に活用する、瓦れき類を路盤材や再生アスファルトなどに活用する、鉱滓を路盤材やセメント原料、骨材などに活用するとして、埋立量を三千百万トンにまで削減するとしています。
 そこで、県当局に以下ご質問します。
 一つは、県下で七ブロック設定されているが、国の指針に基づき、広域ブロック別の一般廃棄物処理基本計画を策定することがまず先決と考えます。もう一つは、ごみ減量をするための具体的施策、とりわけ分別収集の統一を基本として統一期処理施設の建設、ごみ減量のためのリサイクル計画とリサイクルプラザ、中間処理施設について県が積極的な指導的役割を果たすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 産業廃棄物に関連して、最終処分場については、一般、産廃を問わず、その確保が困難をきわめる中、広域ブロックにこだわることなく、県が主体性を発揮して、県下の南部地域に一カ所、一般、産廃の別なく統合された管理型最終処分場を建設することが合理的ではないでしょうか。廃棄物処理法改正の今後の方向の中で、また実際に日本経済新聞の十二月一日付では、向井議員が言われていたように、産業廃棄物処分場の最近の動きにおいて、新規受け入れ可能量の現状からいきますと一・六年しかもたないと先ごろ厚生省が発表した。今のままだと、二年ぐらいしか全国で日本の産廃を捨てる最終処分場の期限がないということも言われております。それから、このままでは産廃の処分場が次々に満杯になり、経済活動を続けようとすれば廃棄物を不法投棄するしかなくなる、処分場不足を背景に既に産廃の処理料金が値上がりしており、警察庁によれば不法投棄の検挙件数も九八年度から急速に増大している、民間業者による施設の建設が事実上不可能になっている以上、都道府県は緊急対策としてかねて求められているように、みずからが第三セクター方式などで施設建設に公共的関与をすべきではないかということを述べているわけでありますが、産業廃棄物最終処分場の建設に関して、県の積極的な公共関与が今強く求められていると思いますが、その見解をお願いしたいと思います。
 次に、環境問題が二十一世紀の最重要課題として、循環型社会の目標を目指し、先ほど述べたように、国は廃棄物処理法を毎年のように厳しく改正し、排出責任と罰則も強化されてきています。新たな法律も、来年四月から施行される容器包装リサイクル法、二〇〇一年に施行される家電リサイクル法、農林水産省の食品廃棄物リサイクル法、通産省の建築解体物リサイクル法、環境庁も環境省発足を視野に環境行政の観点で廃棄物対策を検討しています。このように、国の各省から出される法律が、一般事業者はもちろん、市町村、県民にとっても十分理解しにくい面があります。
 県においては、今日的重要課題である循環型社会を目指すリサイクルシステムの確立が急がれています。ただ単にごみを処理するという廃棄物行政から、中小企業の育成の観点も踏まえ、総合環境行政の推進を図る意味からも、第一に県行政の整備が必要であり、とりわけ担当部課の充実、行政内の横断的指導と責任体制の確立が求められていますが、見解を伺いたいと思います。
 第一回目の質問を終わります。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 原議員にお答えをいたします。
 最初に、会派を代表してのご祝辞ありがとうございました。
 梅問題についてでありますが、議員ご指摘のように、依然として生育不良が拡大してございます。特に本年は、急激な発生が認められるなど非常に厳しい状況にあることは十分承知をしておりまして、この問題の重大さを痛感しているところでございます。
 私は、さきにも申し上げましたけれども、第二期県政においてこの梅問題を最重要課題として位置づけておりまして、地元の実情を十分把握し、地域梅対策協議会を初め市町村、農協等関係機関との連携をより緊密にしながら、生理生態面を含めた試験研究及び普及体制の一層の強化を図ってまいりたいと考えてございます。
 また国に対しましても、十二年度予算要望として指定試験事業の充実や補助事業での産地整備の支援をお願いしてございまして、その確保に努めるなど、問題の早期解決に向けて最善の努力をしてまいる所存でございます。
 いずれにいたしましても、農家の方々の不安を解消できるよう懸命に取り組み、梅産地の活性化を図ってまいりたいと存じております。 他のご提言は、心して承っておきます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 原日出夫議員の梅の立ち枯れ問題に関しての幾つかの質問にお答え申し上げます。
 まず、梅の立ち枯れの現状とこれまでの対策の問題点についてでございます。
 梅の生育不良の現状についてでございますが、依然として地域的にも拡大し、発生本数が急増している現状を厳しく受けとめてございまして、農家の方々の心情も十分承知してございます。
 これまでの試験研究については、暖地園芸センターを中心として、地域農業改良普及センター等との連携を図りながら懸命に取り組んできたところでございます。現段階では原因の特定には至っておりませんが、これまでの試験研究や現地実証の中で一部成果も見られてございます。こうした成果をもとに、現時点で対応できるものから少しでも早く取り組みを進めたいとの考え方から、園地規模を拡大し、現地の実情に応じた栽培管理技術を組み合わせる総合実証園に取り組んだところでございます。その実施に当たりましては農家の方々の協力が不可欠でありますので、現在、地域の梅対策協議会の皆さんと市町村、農協等関係機関を交え、個々の園地条件に応じた対策内容等を検討しておりまして、合意を得られたものから取り組みを始めているところでございます。今後、試験研究等で得られた新たな成果につきましても、随時、総合実証園の対策内容に盛り込んでまいりたいと考えてございます。
 次に今後の原因解明についてですが、試験研究の取り組みといたしましては、生理生態面での研究や優良台木の探索など、これまでの調査研究を一層充実するとともに、大気環境面では土壌と梅樹体内の成分比較など調査可能な研究課題について、新たに取り組む方向で検討を進めてございます。また、こうした研究課題を円滑に推進するため、引き続き専門家の適切な指導、助言を得られる体制づくりを考えてまいりたいと存じます。
 いずれにいたしましても、生育不良の問題は県農業の緊急かつ重要な課題でありますので、今後とも農家の方々を初め関係機関との連携を一層緊密にしながら、大気環境など各般にわたるデータの蓄積に努めるとともに、総合実証園等の諸施策の充実を図るなど、問題解決に向けてより積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、梅生産日本一の継続発展についてでございます。
 梅につきましては、日高、西牟婁地域はもとより、本県農業の基幹品目であり、重要な産業であると考えてございます。しかしながら、梅産地の現状は急傾斜地での栽培が多く、樹齢の進んだ園も見受けられ、一方では担い手の高齢化など克服すべき課題も多くございます。こうした課題を解決するため、県といたしましては、園内作業道の整備や老木園の改植による園地の若返り、高品質安定生産を図るための防霜ファン、スプリンクラー等機械施設の整備や農地開発など各種施策を活用しながら、産地の体質強化を図っているところでございます。
 今後、生育不良の早期原因究明と対策の確立はもとより、働きやすい基盤づくりや消費者ニーズに対応した新品種の探索・育成、省力化栽培技術の開発・普及を進めるとともに、あすの梅産地を担う若い後継者づくりにも努め、日本一の産地のさらなる発展を図ってまいりたいと存じます。
 次に、梅産業振興のための県の政策方針でございます。
 まず梅加工の振興についてでございますが、梅産業は地域の基幹産業として生産から加工、販売の一貫した体制が確立されておりますが、将来を展望したとき、加工の研究や施設の整備を図ることは重要であると考えてございます。
 梅加工の研究につきましては、現在県では工業技術センターにおいて、機能性成分についての研究や低塩梅干しの保存技術等の基礎研究に取り組むとともに、県からも出資している社団法人和歌山県農産物加工研究所において梅ウオーター等の新商品の開発もなされているところであります。県といたしましては、こうした加工開発への取り組みを支援し、食品加工の振興に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に梅干し加工場の衛生面の整備についてでありますが、県では、消費者に安心して和歌山の梅干しを買っていただけるよう、関係部局において本年十一月から加工場の衛生管理の実態調査に着手しておりまして、その結果をもとに今後、衛生管理面での指導を行うと聞いてございます。
 また、梅加工業者から排出される調味廃液等廃棄物の処理については、中小の加工業者では産廃業者に委託して処理されておりますが、環境問題への意識が高まる中で、その有効利用を図ることが重要であると考えております。こうした中、田辺梅干協同組合等では調味廃液のリサイクルのモデルプラントを設置し、試験に取り組んでおりまして、現在のところ、処理コストや販路の確保等が課題と聞いてございます。
 今後、県といたしましては、関係部局の連携を図り、廃棄物の適正処理の一層の指導に努めるとともに、こうした資源リサイクルの実現に向け、地元市町村や団体を支援してまいりたいと考えてございます。
 次に梅消費拡大のための方針でございますが、梅においても消費者ニーズを踏まえた販売は重要であり、市場調査や商品開発、またPRといった、いわゆるマーケティング戦略が求められるところでございます。梅や梅干しにつきましては、民間の業者が加工、販売を行っており、企業みずからがマーケティングに取り組むのが基本と考えております。
 そこで県では、和歌山の梅ブランドを発展させる観点から、生産者団体や県漬物協同組合連合会と一体となって消費拡大に向け、高品質、健康に重点を置いたPRに取り組んできたところでございます。中でも、平成八年からは青梅に加えて梅干しのPRに対する助成を実施し、新幹線沿線への看板設置や大相撲大阪場所での優勝力士に対する紀州梅の提供なども行ってございます。今後とも、関係機関との連携に努めながら、本県産梅の消費拡大に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 原議員ご質問の四点についてお答え申し上げます。
 まず一点目の、県下で七つのブロックが設定されているが、統一期処理施設建設に向けて県が果たすべき役割は何か、それと二点目の、ごみ減量に結びつく施設の充実にも県は積極的な役割を果たすべきではないか、この二点についてお答え申し上げます。
 現在、各ブロックでは協議会の設立や一般廃棄物処理基本計画の策定に向け、協議を進めているところでございます。県といたしましては、積極的に協議会に参加し、すべてのブロックができるだけ早期に計画を策定するよう指導するとともに、循環型社会の形成を目指して、議員のお話にもありますように、ごみ減量化のための高度な分別収集の統一、リサイクルプラザ、中間処理施設などの設置につきましても指導してまいりたいと考えてございます。
 次に三点目の、公共関与による最終処分場確保についてお答えいたします。
 産業廃棄物の最終処分場が紀中、紀南地域に不足していることにつきましては、認識しているところでございます。田辺地域におきましては、現在処分場建設について排出事業者処理責任の原則に立って、田辺商工会議所が中心となって先進地や先進施設の調査等の検討など研究が進められているところでございます。
 今後、地域が主体となって、地域の市町村、事業者が共同して処分場確保のために具体的な検討を進められることになれば、県といたしましても、技術的な指導、助言など協力するとともに、財政面での支援についても検討してまいりたいと考えてございます。
 なお、県としては、公共関与のあり方につきまして今後の課題として考えてまいりたいと考えてございます。
 最後の四点目でありますが、リサイクルシステムの確立に向けて、総合環境行政の推進を図る意味からも行政機構の整備が必要ではないかというご質問にお答えいたします。
 国では、平成十三年に予定されている省庁再編成の検討の中で、産業廃棄物行政の所管についても見直されるものと聞いてございます。県といたしましても、快適な生活環境の実現に向けて循環型社会の構築を目指し、総合的な廃棄物行政のあり方について研究を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 ご答弁ありがとうございました。
 今、大井部長からご答弁がありましたが、それに関連して、循環型社会の構築を目指す、そしてごみ減量をしていく地域のごみ処理広域化計画をしていく上では、現在の体制ではとても無理だと、日ごろそういう問題にかかわりながら感じております。総務部長におかれては、これから循環型社会を構築していく上で、庁内の十分な体制をとりながら、国自身は全省庁を挙げて取り組んでいるところでありますから、県内部においてもその体制を確立されることを要望しておきたいと思います。
 次に、農林水産部長に再質問させていただきます。
 今の答弁と昨日、一昨日の梅に関して総括的に感じるところで、当面何をしなければならないのかということについてお伺いしたい。
 その中で、とりわけ原因解明をしていく上でどうするのか。昨日、一昨日も含めて農林水産部長の、いろんな角度で調査する上で、ばいじん調査は科学的に評価し得る調査ではないと考える、ばいじんの直接暴露試験は科学的な評価に結びつかないという発言は、県の責任ある発言として受けとめてよろしいですかと聞きたいわけであります。県の言うこの説が通説ならそういうことも言えるかなと思いますが、先ほども述べたように、環境庁も酸性雨の定義を現在の科学的な調査の中での定義に変更しているわけであります。県が依頼した研究会の学者の先生方が個々の学説を唱えることは当然ですが、その学説が実証されず、何一つ解明すらできていないわけであります。その学者の学説のみを信頼しないで、ばいじんと樹体、ばいじんと水の融合による化学変化、ばいじんと葉面からの吸収等、立ち枯れと化石燃料からのばいじんとの関係を既に実証している学説を説いている学者がたくさんおるわけであります。これらを全く無視するのですか。これは、これから県と市町村、生産農家が一体になって研究体制に入るための試金石になっているわけであります。
 農林水産部長、今研究しなければならないテーマで、県が委託している学者は学者であって、その理論を展開するのは当然であります。しかし、その委託している一部の学者の学説だけでなく、歴史的に証明されてきている学説をも広く研究をして、この原因解明に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。農林水産部長の再度の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 原議員の再質問にお答えを申し上げたいと思います。
 今お話のございましたように、環境を中心とした説につきましては、科学者あるいは専門家はそれぞれ研究をされておりまして、専門的な立場からさまざまな見解があることは十分承知をしてございます。ただいま議員からいただきましたいろんなご提案の趣旨を踏まえまして、幅広い見地から取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 もう二十一世紀を迎えるわけですが、たまたま環境庁自身が二十世紀の環境問題に対する幾つかの教訓の中で二十一世紀に何をすべきかということを述べているのを抜粋してまいりました。それを知事並びに県当局の皆さんに参考にしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
 一つは、四日市ぜんそくの裁判の判決内容であります。「人間の生命、身体に危険のあることを知りうる汚染物質の排出については、企業は経済性を度外視して、世界最高の技術・知識を動員して防止措置をすべき」だという判例が下されております。これに学ぶべきことは幾つかあると考えております。
 もう一つは、「過去の公害などの事例から学べることは、行政としても鳴らされた警鐘に謙虚に耳を傾けていく姿勢が必要であるということである。環境の変化やそれに伴う損失には不可逆なものがあった。失われた命や健康は、何にも代え難いものである。健康影響等の発生メカニズムの解明や、環境モニタリングをできる限り速やかに行い、科学的知見に基づいて対策を講じることが原則であるが、科学的知見が若干不十分な点があっても、まずは被害拡大の防止のための対策を講じ、逐次的に対策を修正していくなど人命や健康を十分に尊重した判断が極力速やかになされるべきである。過去の例では、必要な情報が必ずしも体系的に把握されず、行政としての対応が後手後手に回りがちであった」ということも言われております。大変学ぶべき点があります。
 最後に三つ目には、「生物の生態、生態系の機構、生物間の相互作用等は極めて複雑で、全容を明らかにすることは不可能に近い。我々が有している生物や生態系に関する情報は極めて少なく、往々にして手遅れになってから解明されることもある。自然環境への影響を評価する際には、我々が生物や生態系に関し、むしろ知っていることはわずかであるということを認識する謙虚さが求められている。 また、知見が少なくとも、その時々の最新の知見を基に、人間活動が自然に与える影響を事前に予測・評価し、その結果を踏まえて負荷を軽減するための対策を講じる必要がある。このため、自然環境に関する知見を常に最新のものとするよう調査を充実し、事前の予測・評価のためにその結果が広く活用されるような形で蓄積・提供することが重要である」と書かれております。
 以上で終わります。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は十二月十三日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十九分散会

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