平成11年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 お許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行わせていただきます。
 まず最初に農業にかかわる問題について、幾つかの視点から質問いたします。
 一つ目は、梅枯れの問題です。
 十一月二日付の読売新聞に、知事選挙直後の西口知事へのインタビューが掲載されています。その中で、梅枯れ問題について知事は、「原因究明の結論を今年度中に出さねばいかんと思う。生産農家の四割が御坊火力発電所が原因と言っているわけですよ。火電の影響かどうか分からないが、大気は多少あるのかなという感じはします。農家の主張と平行線のままでは問題は解決しないし、納得してもらえない。そこが難しい」、このように述べられております。「原因究明の結論を今年度中に」ということは知事の強い決意であると思いますが、農家の中からは、逆にその発言に対する不安の声が聞こえました。それは、根本的な原因がどういう方面にあるのかさえわからない現在の状況で、年度内つまり来年三月末までに結論を出せるのか、何か結論を強引に押しつけられるのでないかという、そういう声でありました。
 先日の県議会ウルグアイ・ラウンド対策議員連盟のうめ対策部会でいただいた「ウメ生育不良対策に関する試験研究成果(現在までに得られた知見)」という資料では、私は驚くような報告がされたと感じています。「摘らいや切返しせん定の着果制限で、徒長枝が増加し樹勢が回復」、「改植は適切な土壌改良と整枝せん定で九年目も再発しない」、「湿害園は排水対策と切返しせん定で樹勢が回復」というふうに、これらの対策をすれば樹勢は回復するんだと、これを見た人はだれでも思えると思うんです。しかし事実は、いろいろ試験研究をやっている中で一部にそういう事例もあったということにすぎないわけです。
 例えば、県に研究用にと畑を貸しているある農家の方は、この研究の報告書を見て驚いておられました。そして、こう言っていました。「高田さん、県は衰弱症が発生しないと言っているが、十年生の梅の木一本に九から十キロしか実がならないようにしている。これだと一反で約三百キロの収穫で、これでどうやって飯が食えるんですか。発生しないと言うなら、せめて反に一トンぐらいの収穫ができるようになってから物を言ってほしいものだ」と、このように言われていました。県行政を信頼して梅畑を貸してくれている方にこう言われること自体、おかしなことではないですか。
 県の言うとおりの対策で回復するなら、もうとっくに農家は対策をとっておりますし、そうやっても回復しないからここまで梅枯れが広がっているのであります。うまくいかなかった試験園のことは何も書かないで、うまくいったところだけ事実だからと報告書に書く、こんな試験研究がありますか。こういうふうな現状とは合わないものを幾ら出しても、知事、これではますます農家との溝が深まるのではないでしょうか。
 そこで、伺います。知事としてのこの試験研究成果の報告書に対する感想を伺うと同時に、あなたの言った三月までの結論はこういうものでいいのかどうか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
 先日、みかん園芸課の方に「来年も県のうめ対策研究会は続けていくんでしょうね」と聞きますと、「現在検討中です」との答えでありました。これだけ梅枯れが進んでいるのに、来年も研究会を継続するかどうか検討する方がおかしいではないですか。当然継続していくべきだと思いますが、県うめ対策研究会の来年度からの活動についてどのように考えておられるのか、農林水産部長の答弁をお願いします。
 また、知事選のさなかには、農家でつくる梅枯れ対策期成連盟から要望書が出されました。その中には、私が六月議会で求めたばいじんの暴露実験も入っていますが、この検討状況は今どうなっていますか。答弁をお願いいたします。
 さらに、御坊火力発電所から排出されているばいじんを採取して農家にも渡してほしいという項目もありました。ばいじんを採取して提供するよう、県から関西電力に要望されてはどうでしょうか。答弁をお願いします。
 さらに、先日、梅枯れ原因究明シンポジウム開催実行委員会より、梅農家の推薦する学者、県うめ対策研究会の学者、紀南農協と関電の梅生育障害対策研究会の学者が一堂に会して梅枯れの原因究明のための公開シンポジウムを開こうという提案がなされていますが、県としてうめ対策研究会の学者、あるいはその方たちが無理なら県の研究者自身がこのシンポジウムに参加するようにしてはいかがでしょうか。農林水産部長の答弁をお願いいたします。
 次に、ミカンの安値への対策について伺います。
 ことしのミカンは、極わせから安値が続いています。ある地方新聞では、「ミカン市況の泥沼悪化が続く。このままで市況が回復しないと、ミカン産地の有田地方は長引く深刻不況に加えて大きな打撃を受ける。ミカン安値の非常事態。売り上げ推定二百億円がこのままでは三分の一の六十億円へがた落ち」と報じられています。大阪本場の和歌山産のミカンの値段を見ますと、Lの十キロ箱の安値での比較ですが、十月二十四日で五百七十五円、十一月七日が七百八十八円、十一月二十一日には少し持ち直して千五百七十五円、十二月五日には七百三十五円となっています。農協へ出荷する人、直接業者に売り渡す人といろいろありますが、箱代や出荷経費で約六百円が必要であり、本当に手取りがあるかないかというレベルであります。
 一昨年も、大変な安値でありました。このとき県は、JA(農協)が農家に行った緊急融資に対して市町村と協力して利子補給制度をつくり、農家の皆さんから喜ばれました。現在は、これからの市況にもよりますが、こうした対策を事前に準備しておくことが必要と考えます。農林水産部長の見解をお示しください。
 また、和歌山県の主要農産物であるミカンやカキ農家が安心して生産できるためには、生果の価格保障制度がどうしても必要だと考えています。その検討、研究を求めますが、農林水産部長の答弁をお願いいたします。
 農業問題の最後に、猿やシカ、イノシシなどによる農作物の被害対策について伺います。この件では、ことし二月県議会でも中山豊議員が取り上げましたが、今回は改正された鳥獣保護法との関係で質問いたします。
 今、県下全体で鳥獣による農作物被害がひどくなってきています。西牟婁郡でも一円から、何とかしてほしいとの声が上がっています。また猿の被害では、海南市でこの夏、高津の桃が大きな被害を受けました。桃農家は猿が食べてもいい木まで別に用意しているのですけれども、猿は手当たり次第にもぎ取って、かじっては捨てて、猿の重みで枝が折れる被害まで出ています。被害地域は、和歌山市、海南市、貴志川町に及んでいます。被害作物は、サツマイモ、カボチャ、トマト、トウモロコシ、タケノコ、桃、ミカン、クリ、ビワ、カキ、豆、稲などに広がっています。
 ある猿の専門家の調査によりますと、もともと大池遊園という場所で飼育されていたタイワンザルが、海南市の大旗山を囲む丘陵地を根城としています。そして離れ猿としては、遠くは紀南の方面に広がり、ニホンザルとの混血が拡大していく傾向が指摘されています。まさに、県下の広い範囲で生態系の混乱が起こっていると言えます。一方で、日本の野生鳥獣のうち、ツキノワグマなど絶滅の危険にさらされているものがあります。また、先ほど述べたように、シカ、猿、イノシシなどが地域的に増加し、農林業被害が出たり、生態系が破壊される問題も生じております。
 ことし九月の鳥獣保護法の改正では、知事は、著しく増加または減少した鳥獣がいるときは特定鳥獣保護管理計画を策定することができ、その際、国が定めた捕獲の禁止や制限、狩猟期間等の制限を緩和することができるようになりました。日本共産党の国会議員団は、これに反対しました。それは、この法改正が鳥獣の保護より駆除に偏っており、国、地方自治体の鳥獣保護の体制が不十分な今の状況で、都道府県が十分な調査ができないまま保護管理計画を導入すれば鳥獣の安易な駆除が進むおそれがあるからです。地域によっては種の絶滅を生む危険性もあります。また、駆除が妥当な場合でも、駆除する鳥獣の固体数や生態、行動範囲などの調査を行っていないと、どれだけ駆除するのが適当なのかわかりません。駆除を本当に効果的なものにするためにも、科学的で綿密な調査の上で保護管理計画を立てなくてはなりません。
 そこで、伺います。現在、和歌山県ではツキノワグマのみに保護管理指針というものが策定されていますが、今後、保護管理計画をどのような種に対し策定しようと考えておられますか。また、計画の策定作業にはどういったスタッフが当たることになるのですか。生活文化部長のご答弁をお願いします。
 また、有害鳥獣に対して駆除の結論を出す前に、防護つまりさくや網などで被害を未然に防ぐということがより大切だと考えますが、国の補助事業はあっても、地元の負担金が高くてなかなか進まないという状況も一方にあるようです。その対策をさらに充実させるなどしてはどうでしょうか。これは、農林水産部長に答弁をお願いいたします。
 二番目の問題として、県内の交通安全対策について伺います。
 県内の道路整備については、県当局の努力もあり、高速道路、国道、県道の整備が進んできたところです。遅くまで残業をしながら事業の推進に当たってきた土木部を中心とした職員の皆さんの努力に敬意を表したいと思います。
 西牟婁郡で言いますと、熊野博を契機に国道三百十一号線の整備が完了し、大変便利になったところであります。しかし、そうして便利になる反面、和歌山県内の交通事故は年々増加し、統計資料によると、人口十万人当たりの死傷者数は、平成八年度では全国ワースト五位、平成九年度ではワースト八位で、常に上位にいるという誇らしくない状態にあります。特に年々整備が進められてきた国道三百十一号が通る町では交通事故の増加率が高く、平成元年と十年後の平成十年を比べてみますと、県全体で平均一・二六倍の増加に対して中辺路町では三・一一倍、本宮町では三・〇倍と、増加率が三倍を超える市町村は県内でもこの二つの町だけであります。
 先日も、この三百十一号を通っていると、足の悪いおじいちゃんが三歳ぐらいの孫を背負って道路を横断していました。そこはカーブなんですけれども、道がよくなりましたので車は七十キロぐらい出して通っているんです。孫だけに渡らせるわけにはいかないと思ってそうしたんでしょうが、本当に見ていてつらい思いがしました。
 私は、事故の増加の背景には、車がスピードを出しやすい、新しい道路の開通にふさわしい交通安全施設の整備がおくれていること、また交通量の増加に対して道路の補修や維持管理が追いついていないことなどが原因ではないかと考えています。例えば、和歌山県は県道の総延長に対する歩道がどれだけ設置されているのか、その設置率で比べてみますと、近畿二府四県内では最も低く、約一二%になっています。また県道のキロ当たりの維持管理費、これは県によって雪が多いとか少ないとか、単純に比較できない部分もありますけれども、それにしても近畿の多い県の五、六割程度であり、充実しているとはとても言えない状況だと思います。
 こうした交通安全や道路の維持といった県民の命にかかわるような重要な予算はここ数年来減ってきていますが、私は逆だと思います。厳しい財政の折ではありますが、今後増額していくべきではないでしょうか。土木部長の答弁をお願いいたします。
 今回この質問をするに当たって、私は西牟婁郡内を中心にいろいろ現地を調査しましたが、大変気になることに気づきました。それは、国道であれ、県道であれ、県が管理している道路ではトンネル内の照明が非常に暗く、危険だということです。
 ご承知のようにトンネル内の照明は、昼間、外が明るいときには特にトンネルの入り口の部分を明るくして、入ったときに急に見えにくくならないように工夫がされています。普通は、トンネル設計の段階で標準的な外部の明るさ、トンネルの長さ、交通量などを勘案してトンネル内の照明を設置するわけです。そして、外が晴天で明るいときにはトンネル内の全部の照明が点灯しているという姿が普通なのです。ですから、国が直接管理する国道四十二号線のトンネルは、どこでも晴れた日の昼間に行くと全部の照明が点灯しています。しかし、県管理の三けた国道と県道のトンネルは昼でも照明が少なく、はっとすることも多々あります。
 先日、私が調べただけでも、十三の県管理トンネルのうち全部点灯していたのはたった三つであり、十三分の三でした。これは、明らかに基準違反、安全軽視です。担当者に聞くと、故障も多いとのことでしたが、仮に故障しても修理をすればいいわけで、現に国管理の四十二号線は、十一カ所調べてもどこにもこういう状態はありませんでした。壊れたままの状態でほったらかしというのは、行政の怠慢以外の何物でもないと思います。どうしてこういう状態になっているのか、土木部長の答弁をお願いします。
 最後に、航空工学系大学について伺います。
 十二月六日に、航空工学系大学基本計画検討委員会の最終報告書が出され、白浜町の旧空港跡地に仮称・和歌山工科大学を建設する計画が知事に提出されました。和歌山県内の大学残留率、つまり県内の高校を出た生徒が県内の大学に進学する率が八・四%、全国四十六位と低迷している中、和歌山市周辺以外でも高等教育機関を設置することについては、基本的には県民の理解が得られるものと考えています。ただ、今回の計画については、公設民営という具体的な方向が出されてきたのがことし六月以降であり、県費負担が約百五十億円もかかる大事業計画だと明らかになってからまだ間がないわけです。今後、十八歳人口は今から十年後の平成二十一年で百二十万人と、現在の七五%に減少するとされています。また、授業料も含めて学生が一年で納めるお金は百四十二万円もかかる計画になっていますが、この不況の折、学生が思ったように集まるのかどうか、大変心配をしております。事業採算性の見通しについて企画部長に答弁をお願いします。
 これで、私の第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの高田由一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 高田議員にお答えいたします。
 梅枯れ問題についてでありますけれども、これまで、農林水産部はもとより関係部局を挙げて取り組んできたところでございます。
 ご質問の試験研究の成果につきましては、専門家で構成する和歌山県うめ対策研究会の指導・助言や評価を受け、これまでに得られた個々の研究成果を示したものでございまして、原因を特定したものではないと考えてございます。私は、一日も早く原因究明をしてほしいという希望的観測を申し上げたものでございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 高田議員の農業にかかわる問題についてお答え申し上げます。
 県うめ対策研究会の来年度からの活動についてでございます。
 平成九年に設置をして以来、一定の期間も経過をしてございますので、これまでの研究成果を踏まえ、年度末を一つのめどに研究会としての一応の取りまとめをお願いしてございます。
 今後、この研究会の取りまとめを踏まえまして、試験研究をより一層推進するために引き続いて専門家の適切な指導・助言を得られる体制を考えてまいりたいと存じます。
 次に御坊火電のばいじんの直接暴露試験につきましては、六月議会でお答えしましたように、科学的に評価し得る調査ではないと考えてございます。しかしながら生産農家の要望も強いことから、直接暴露試験にかわる方法として、土壌と梅樹体内の成分比較など、調査可能な研究課題については新たに取り組む方向で検討を進めてございます。
 また、ばいじんのサンプルの提供につきましては、これまでの研究会の先生方の指導、教示を受けて、今申し上げましたように、ばいじんの直接暴露は科学的な評価に結びつかないと考えてございますので、県からの申し出は現在のところ考えてございません。
 次に公開シンポジウムに関連してでございますが、県としましては、これまでに開催したうめ対策研究会や地元での説明会など公の場において、生産者を初め関係機関への説明や農家との意見交換を行うなど、鋭意取り組んできたところでございます。
 シンポジウムへの参加につきましては、現在、うめ対策研究会の委員には専門の立場から取りまとめについて検討していただいているところであり、県の試験研究機関においても成績の取りまとめを行っている段階でもありますことから、参加については難しいと考えてございます。
 次に、ミカンの安値対策についてでございます。
 先ほど松本泰造議員にお答え申し上げましたように、県といたしましては、今後の価格の動向を見守りながら、低利の緊急融資について検討してまいりたいと考えてございます。
 次に価格保障制度についてでありますが、県といたしましては、園内道等の生産基盤を初め、糖酸を識別する光センサー式選果機等、流通面での近代化施設の整備を重点的に実施し、果樹産地の体質強化を図ることにより生産農家の経営安定を進めることとしておりますので、議員お話しの新たな生果の価格保障制度については、現在のところ難しいものと考えてございます。
 なお、本年産ミカンのように市場価格が大きく下落した場合、価格回復を図る観点から市場隔離を行う果実緊急需給調整特別対策事業を実施するとともに、加工用の価格対策として、果実生産出荷安定基金事業によりミカン、ハッサクや桃の価格補てんを行ってございます。
 次に、農産物の鳥獣害対策ございます。
 近年、県内各地域で農林産物に対して猿、イノシシ、ヒヨドリ等による鳥獣被害が発生していることについては承知しているところでございますが、これまで農作物猿害防止モデル事業等により防護さくや地域における被害防止推進活動に対する助成を行ってきたところでございます。今後とも、農林産物の被害軽減対策については、関係機関と連携を図りながら積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 高田由一議員のご質問にお答え申し上げます。
 農作物の鳥獣害対策についてでございますが、議員ご指摘の特定鳥獣保護管理計画につきましては、著しく増加または減少した鳥獣について保護管理の目標を設定し、これに基づき固体数管理、被害防除対策等を総合的に講じることにより人と野生鳥獣との共存を図ることを目的として策定するものであります。
 本県において対象と考えられる鳥獣は、被害が深刻化している鳥獣、例えばシカ、猿、イノシシがあり、一方、地域的に絶滅のおそれが生じている鳥獣としてツキノワグマがあります。
 なお、計画の策定に当たっては、県、関係市町村、学識経験者、農林業団体等から成る検討会を設置して検討してまいることとなります。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 県内の交通安全対策につきまして、まず予算の充実についてでございます。
 紀伊半島南部を横断する国道三百十一号は、県南部の生活、産業、観光を支える道路として重要な役割を担う広域幹線道路であり、最重要路線として整備を進めてまいりました。この路線の交通事故対策につきましては、急カーブ区間の対向車警戒装置、スリップ防止舗装、路面温度表示板、減速看板、視線誘導標等を設置し、安全対策を講じております。
 一般的に、交通事故の増加要因といたしましては、運転免許人口の増加、自動車台数の増加、高齢者人口等の増加など、道路交通を取り巻くさまざまな環境の変化が考えられるところでありますが、いずれにいたしましても、交通事故の原因は運転者や歩行者等、個々人の不注意等に基づくものと思われます。
 今後とも、警察、関係市町村と連携をとりながら、人家連檐地区や学校、公共施設の集まる場所などの歩道整備や事故多発地点における交差点改良等の交通安全対策予算の確保を国に対して強く要望するとともに、道路維持予算の効果的、効率的な執行に努力してまいります。
 次に、トンネルの照明についてでございます。
 電球切れ等の保守につきましては、請負契約により随時に実施しております。電球切れ以外が原因と思われる箇所については、原因を究明し、緊急度の高い箇所から順次修理を行っております。昨年度は滝尻トンネルの修理を実施し、本年度は鴨居トンネルの修理を実施する予定にしております。今後とも、順次修理に努めてまいります。
 また、特に長いトンネル三カ所については保守点検業務を委託しており、他の長いトンネルについても委託契約を順次進めてまいりたいと考えております。
 今後、故障の発見が迅速に行えるよう、情報収集及びパトロールの強化に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 航空工学系大学に関するご質問にお答えいたします。
 航空工学系大学整備構想に関しましては、本年度、検討委員会を設置し、議員ご指摘の事業採算性を初め、多方面にわたる検討の結果を去る十二月六日に報告をいただいたところでございまして、今後県として十分に検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番高田由一君。
○高田由一君 まず、農業の問題です。
 知事に感想を述べていただきました。個々の研究成果を書いたのが先ほどの報告書だというご認識でしたが、悪い方の研究成果が一つも書かれていないんですね。だから、これを見た農家の皆さんは怒るわけなんですよ。
 これは農林水産部長に伺いたいと思いますが、今後の試験研究成果の公表では、失敗したり悪い方の試験結果もきちんと載せていただけますか。これは研究者として当然の態度だと思うんですが、いかがですか。
 それから、公開の梅シンポジウムへの参加については、取りまとめ中で参加が難しいというご答弁でしたが、そうであっても、先ほどの報告書が出せるようなこれまでの個々の研究があるわけですから、それをもって参加するということでいいと思うんです。なぜ参加していただけないのか、不思議なわけです。
 それじゃ、研究の取りまとめはいつまでに終わりますか。そして終わったら、そういうシンポジウムの申し入れがあれば参加していただけますか。この点、もう一回答弁をお願いします。
 それから、鳥獣害についてです。これは要望です。
 農作物の鳥獣害については本当に緊急な対策が求められていると思いますが、そういう駆除も含めた必要な対策をとりながら、今この機会にどれだけしっかりした保護管理計画をつくるかが問われていると思います。梅枯れの問題では、今まで基礎的な研究がなかったことが、今、非常に苦い教訓になっています。鳥獣の問題でも同じだと思うんです。しっかりした基礎調査をしておくことが被害対策を後手後手に回らないようにするためにも大切ですので、これは十分な予算措置も伴って、きちんとした保護管理計画を立てられたいというふうに要望しておきます。
 それから、交通事故対策です。
 驚きました。事故の原因は結局個人の不注意だというふうに言われましたけれども、これは私、納得できないところもあります。総務庁が発行している「交通安全白書」では、個人の不注意でどうにかなったというような、そんな統計のとり方はしていません。歩行者や自転車が不注意で転んだりすることは当然あることであって、仮にそういう不注意が起こっても事故にまで至らないようにするようなハード面での整備、それが行政に求められている課題じゃないですか。これは、要望しておきます。
 トンネルの照明の問題では、私、調べてみて本当にびっくりしました。調べた中では、まともに動いていない方が圧倒的に多いわけなんです。もしこの状態で、トンネル内の見えにくさによって事故なんかが起こったら県行政の過失責任を問われかねない、こういう状況だと私は思うんです。
 私、ちょっと聞き漏らしたのでもう一回お答えいただきたいのですが、定期的な早急な点検はやっていただけますか。答弁お願いします。
 国が管理するトンネルは、すべて月一回の定期点検整備をやっているんです。でも、県が管理するトンネルは、大体百カ所以上あると聞いていますが、そのうち三カ所しか定期点検をやっていないんです。そのうちの一つが龍神中辺路線の水上栃谷線ですが、この水上栃谷線へ行ってみますと、今、田辺西牟婁郡で一番真っ暗です。そういう状況です。ですから、きちんとしてやっていただきたい。これについて再度答弁をお願いします。
 実は私は、このトンネル照明が暗いのは、かなり意図的な操作というか、故障のほったらかしがあるんじゃないかと感じているんです。その理由を言います。一つ、古いトンネルでも真新しいトンネルでも同じようにきちんと作動していない暗い状況にあること、二つ、歩道が設置されていて人や自転車の通行が多いトンネルでは照明が全部きちんと作動して明るいこと、三つ、歩道が設置されているトンネルでも歩行者用に特別に蛍光灯などをつけているトンネルがあるんですが、こういう補助照明がついているところではやっぱりトンネルの照明はちゃんとついていない。暗いんですよ。こういう法則というか、傾向があるわけです。部長に伺いますが、こうした意図的な操作は実際あるんですか。答弁をお願いします。
 実は私たち共産党の方でも、これを機会に県下の地方議員団に要請して、この問題の一斉点検をしてみようと思っています。修理は順次になるでしょうが、せめて修理は順次でも現在どんな状況にあるのか、一斉の総点検を求めたいと思いますが、これにもご答弁をお願いします。
 最後に、航空系大学です。
 県財政も苦しいわけですから、慎重に慎重を重ねて検討をいただきたいと思いますが、検討委員会の報告書の中では、県有地十一ヘクタールを大学のため無償譲渡することになっています。どのような条件をつけて無償譲渡するんでしょうか。例えば経営が苦しくなってきたり破綻した場合、五十億円の価値があると言われております。県有地部分を学校法人の権限で勝手に処分したりする可能性はないか。こうしたことも含めて慎重に検討をお願いします。これは、要望にしておきます。
 以上で、再質問を終わります。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 高田議員の再質問にお答えを申し上げます。
 まず、現在までの知見という試験成果の関係でございますが、さきのUR議員連盟のうめ部会でお示しいたしましたように、これは個々の研究の成果を踏まえたものを報告させていただいてございます。
 お話のような点につきましては、意図的に作成したつもりはございませんが、議員のご提言のございました趣旨を受けて、今後、試験研究またその評価の際には十分に配慮してまいりたいと考えてございます。
 それからシンポジウムへの参加でございますが、先ほど申し上げましたとおり、現在のところ参加は難しいとは考えてございますが、現在研究会の方で今年度末を一応のめどとして取りまとめを目指してございまして、その取りまとめの見込みが立った時点で参加のことについて考えてまいりたいと考えてございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 高田議員の再質問にお答えします。
 まず保守点検についてですが、特に長いトンネル三カ所については保守点検業務を既に委託しております。ほかの長いトンネルについても、委託契約を順次進めて実施してまいりたいと考えております。
 次に、照明の明るい、暗いということでございますが、照明設置基準に基づいて設置しておりまして、減光しているものではございません。
 次に修理についてでございますが、故障の発見が迅速に行われるよう情報収集及びパトロールの強化に努めまして、原因を究明し、緊急度の高い箇所から順次計画的に修理を行ってまいります。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十一番高田由一君。
○高田由一君 トンネルの件では、お答えをいただきましたが、そういう修理、点検と同時に今県下全体がどういう状況になっているのか一斉点検をということを求めたわけなんですけれども、この点について再度答弁をいただきたいと思います。
 それから農林水産部長には、答弁をいただきましたが、本当に農家の声にこたえるという意味で、真剣にそこらあたりのシンポジウムへの参加、あるいは研究発表のあり方を見直していただきたいと考えています。
 土木部長、最後にひとつ答弁をお願いします。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 一斉点検というお話がございましたが、保守点検につきましては、先ほども申し上げたように、特に長いトンネルについて業務委託で実施しているところでありますし、また他の長いトンネルについても今後委託契約を順次進めてまいって実施していきたいというぐあいに考えておりまして、特に一斉という形では考えてございません。
 それから、先ほど申し上げましたように、情報収集、パトロールの強化に努めて対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十七分散会

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