平成11年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(新田和弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十七番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 去る十月に行われました県知事選挙におきまして、西口知事が県民の皆さんの絶大な支持を得て二期目の当選を果たされましたことに、会派を代表いたしまして心よりお祝い申し上げます。西口知事は八月の県議会全員協議会において、「来る新しい世紀が和歌山県の時代となりますよう、私自身生まれ変わったつもりで、まさに身命を賭して県勢発展のために全力を尽くす覚悟であります」と、力強く決意を述べられました。二十世紀から二十一世紀への転換期にあって、和歌山の新時代創造に向けてご活躍を期待いたしております。知事は今回の選挙に当たり、ビジョンとして、三つの手法、七つの政策目標で「二十一世紀の故郷(くに)づくり」を進めると提唱しました。この知事のビジョンについてお尋ねをいたします。
 まず、三つの手法の一番目の行財政改革については、本年八月、県が財政危機の解消に向けて、平成十二年度から四年間を見通した財政運営プログラムを発表しました。現状のままでは各年度の財源不足額は百六十億円から百九十億円に達するため、職員定数の削減や事務事業の見直し、出資法人のスリム化などを打ち出しています。また、平成十年度普通会計決算において実質単年度収支が百億千二百万円の赤字となり、県債管理基金の取り崩しを考慮した収支実態は百七十二億円の赤字となりました。さらに、県債の発行額は県財政史上初めて一千億円を超え、県債残高も過去最高の六千三百億円を超える額に上り、県財政は極めて深刻な事態にあります。二期目の任期であるこの四年間は、まさに財政健全化期間と位置づけられた期間となるわけであり、知事を先頭に行財政改革に全力で取り組まなければならないと思う次第であります。
 そこで、西口知事にお尋ねいたします。
 一、平成十二年度の予算編成にはどういう方針で取り組まれるのか。
 二、平成十二年からの財政健全化期間で、財政運営プログラムに基づいて具体的にどう行財政改革を進められるのか。
 以上二点、お尋ねいたします。
 次に、総務部長並びに教育長にお尋ねいたします。
 職員定数の削減につきましては、行政改革大綱に基づき定員管理計画を策定し、知事部局で約百名、教育委員会で約五百名、計六百名の削減を行うこととしております。第百四十五回国会において、地方公務員法等の改正により、公務部門における六十歳代前半の高齢者雇用と年金の連携を図るため導入された新たな再任用制度について、平成十三年度から施行が円滑に実施されるよう求められております。
 知事部局においては、本年度の退職予定者約百名に対して、ほぼ同数程度の新規採用を行うべく採用試験を実施してきております。平成十三年度からは定年を迎えられた方々の再任用の道が開かれるわけであるため、本県の再任用制度の施行への取り組みと新規採用のあり方、加えて平成十二年度からの四年間で定員約百名削減をどう進められるのか、お尋ねいたします。
 また、教育委員会の定員約五百名の削減につきましては、現在、文部省において平成十三年度以降の教職員定数及び学級編制基準を定める改善計画が検討されております。この新しい改善計画を受けて再任用制度の施行が行われるわけであります。本県においては、平成十一年度の教員採用数は百十三名ありましたが、平成十二年度の教員採用数は半減する見込みであります。こうした状況の中で、教育委員会における再任用制度の施行への取り組みと教員新採用のあり方、定員約五百名の削減をどう進められるのか、お尋ねいたします。
 次に、二番目の自主自律、つまりひとり立ちできる自治体の構築についてであります。
 本年七月に地方分権一括法が成立し、二十一世紀を迎えるに当たり、地方自治体の自主性、自律性を高め、新しい時代にふさわしい行政システムを構築しようとするものであります。本年八月には、地方分権の推進に伴う行政体制の整備確立を図る市町村合併の推進に向けて指針が策定され、県に対して、市町村合併を検討する際に参考や目安となる要綱を平成十二年度に策定するよう要請がありました。本県における市町村の変遷は、明治二十二年の市町村制施行により二百三十市町村となり、昭和二十八年の町村合併促進法の施行により、昭和三十年代の合併を経て今日の五十市町村に至っております。二十一世紀へ少子高齢化とともに、人口の減少期を迎えることを考慮する中で、平成七年に市町村の合併の特例に関する法律が改正され、市町村合併推進の方向が示されました。
 奈良女子大学の木村陽子助教授は、雑誌「地方財政」の十月号で本県の将来の姿について、日本統計協会の「市町村の将来推計人口」を通して、「二〇一五年の和歌山県の姿は、全自治体の六割にあたる三十町村が人口一万人未満で高齢化率も三〇~五〇%と高く(中略)和歌山市、有田市、田辺市、御坊市も高齢化率は二〇%台後半で人口規模は停滞あるいは若干減少するとみこまれる」と述べております。人口数千人の規模で、高齢化率も非常に高い市町村が自治体として機能できるか危惧されるところであり、市町村が行政サービスを維持向上させるためには市町村合併は自治体にとって避けて通れない改革の道であります。
 県においては、平成十年に財団法人和歌山社会経済研究所に市町村の行政体制整備に関する基礎調査を委託し、本年三月に調査研究の報告書が提出されました。平成十一年度も、引き続き同研究所に調査研究が委託されております。同報告書の市町村長、議長及びオピニオンリーダーへのアンケート調査によりますと、今後どのような行政分野の対応が困難かの問いに対して、共通して、介護等の福祉対策と廃棄物処理、ごみ処理等の環境対策への対応が困難であるとの回答が集中しております。つまり、介護サービス等の福祉行政、廃棄物処理やごみ処理については広域行政での対応が必要とのことであります。また同報告書では、本県の広域行政のゾーニングについて、一、人口一万人以上、二、時間距離を市町村間八十分以内、三、中心市町村から最大四十分以内の三つの条件を設定してゾーニングすると、市域拡大型百十一、市制移行型三十六、広域合併新設型四十の百八十七の組み合わせができます。さらに各合併についてシミュレーションを行うと、歳出面では職員数や議員の減少、公共投資の重点化等による削減が可能であるが、歳入面については地方交付税が削減されるために合併のメリットが生じにくく、現状のままで維持することが難しいと思われるところほど歳入面での合併のメリットが見られない状況にあります。こうした状況に対して国は、本年七月に合併特例法を改正して、合併特例債の発行や地方交付税の特例措置の延長など、市町村合併の優遇施策がとられたところであります。
 そこで、西口知事にお尋ねいたします。
 一、市町村合併については、市町村の自主的な取り組みが基本であることは当然でありますが、少子高齢化の時代を迎え、地方分権の推進に伴う市町村合併に対して、例えば知事がリーダーシップを発揮して推進することなども重要であると考えますが、どうか。
 二、知事は、地方分権時代に相応する地方税のあり方について検討を進めると公約されております。平成十二年度政府予算等に関する重点事項説明書において、法人事業税に外形標準課税を導入し、税収の安定的確保を図る旨の予算要望を行っております。そこで、知事の法人事業税への外形標準課税を導入することに対する見解はどうか。
 以上、二点をお尋ねいたします。
 次に、三点目の参加と連携についてであります。
 本年四月二十九日から九月十九日までの百四十四日間、県南部の十六市町村で開催されましたジャパンエキスポ南紀熊野体験博は、目標を大幅に上回る三百十万六千人の参加を得て大成功に終えることができ、関係者の皆様に心より感謝を申し上げる次第であります。南紀熊野体験博のテーマであった「いやす」「みたす」「よみがえる」の「癒し」が日本新語・流行語大賞のトップテンに入り、表彰を受けられ、本当にうれしく思った次第であります。
 今回の博覧会は、十六市町村がそれぞれに地域の自然、歴史、文化を生かし、知恵を絞ってイベントを計画し、県と市町村が力を合わせて連携して取り組んだことが成功した要因であると思います。また、現代人がしゃにむに走ってきた競争社会が今大きな転換期を迎え、大自然の中で心をいやし、心を満たし、心をよみがえらせることが二十一世紀の時代を先取りしたところに成功の因があったとも考えられます。
 西口知事は、紀の川歴史街道フェスタの開催を公約されております。紀の川流域は、高野山を中心に歴史と文化が残されており、高野町石道や奈良への大和街道、また沿線には根来寺、粉河寺、華岡青洲の里など、橋本市を初め各町村には自然と歴史、文化がたくさんあります。こうした資源を生かした取り組みとして歴史の道ウオークを、県と県観光連盟主催で平成十年十一月に高野町石道ウオーク、本年十一月には高野山祈りの道ウオークが開催され、好評を博しています。各市町村においても、岩出町では根来寺の創始者の覚鑁祭、打田町ではハンググライダー、カヌー、粉河町の粉河祭り、かつらぎ町では川上酒かつらぎ文化伝承館が平成十年十月にオープンしました。九度山町では恒例の真田祭りや平成十年に完成した高野紙の伝承活動施設の紙遊苑、橋本市では十万人を超える人々でにぎわう紀の川祭りなど、さまざまな取り組みが行われております。また大和街道は、古くは万葉の時代に多くの和歌が詠まれております。さらに、最近では果樹園を生かした観光農園も盛んに行われているところでございます。
 そこで、西口知事にお尋ねいたします。
 南紀熊野体験博の経験を生かして、二十一世紀の初頭を記念する紀の川歴史街道フェスタを開催し、本県から全国、全世界に情報を発信し、地域の方々の参加と連携で元気わかやまを目指すため今後推進されるのか、お尋ねいたします。
 次に、教育問題についてお尋ねをいたします。
 先ほどの坂本議員の質問と若干重複するところがございますが、ご理解をいただきたいと思います。
 特色ある高等学校づくりと中高一貫教育の導入についてお尋ねをいたします。
 本年十月に、平成十二年度和歌山県立高等学校の生徒募集定員が発表されました。今年は、生徒数の減少の影響により、全日制において十二学級四百八十人の減となりました。ことしの一番の特色は、全日制普通科高校に単位制が導入され、大成高校普通科が単位制高校となったことであります。次に、耐久高校にグローバル探究学科が新設され、新しい取り組みに期待が寄せられております。また、定時制において学級増の要望があった紀の川高校が一学級増設されたことは喜ばしいことであります。本県では、平成元年より特色ある高等学校づくりに取り組み、総合学科の導入、学科の新設、コース制の導入、そして平成十二年度から全日制普通科高校に待望の単位制高校の導入が図られ、特色ある高等学校づくりが着実に進められてきております。本県にとって残された課題である中高一貫教育への取り組みについては、中・高連携推進支援モデル事業を行って四年目に入っております。
 文部省では、平成十年から中高一貫教育実践研究事業を活用して、各都道府県において中高一貫教育研究会議や中高一貫教育実践協力校を設けて、中高一貫教育の導入に向けた検討が行われるよう推進しています。平成十一年には、新たに文部省内に中高一貫教育推進会議を設置して各都道府県等における検討や整備状況について分析する、さらに中高一貫教育実践研究事業を拡充するとして中高一貫推進校を各都道府県三校から五校へ増加するとしております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、全日制普通科高校の活性化対策として、今後、総合学科の増設、単位制高校の増設は計画的にふやしていただきたいと思うわけですが、今後の増設計画はどうか。
 二、中高一貫教育を推進するための本県の中高一貫教育実践研究事業はどう推進していくのか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、公立小学校、中学校における通学区域制度の弾力的運用についてお尋ねいたします。
 公立の小中学校については、子供の就学すべき学校は市町村の教育委員会が指定することになっており、子供は原則として指定された学校に就学しなければなりません。この通学区制度に対して、昭和六十二年五月に臨時教育審議会の教育改革に関する第三次答申で、義務教育については教育の機会均等とその水準の維持向上を図る趣旨から、地域の実情に即してこの制度の運用について検討する必要があるとの提言を経て、平成八年十二月に行政改革委員会の規制緩和の推進に関する意見(第二次)において、保護者の意向に対する十分な配慮や選択機会の拡大の重要性、学校選択の弾力化に向けた取り組みなどが提言されました。文部省は、平成九年一月に通学区域制度の弾力的運用について通知を行ってきております。
 今日、子供が自己を確立しながら多様な価値を認め合い、伸び伸びと学習するためには、特色ある学校づくりを進めていかなければなりません。各学校は、個性ある教育課程の編成に取り組むことに加えて、教育を受ける側が何を求め、何を評価するかを重視していく必要があります。指定された学校以外の選択は困難という硬直した状況から、みずからの意思で選択できる状況になることは、選ぶ側の意識を柔軟にするとともに、責任感を生じさせ、ひいては逃げ場のないために生じている不登校の問題の解決にもなると考えるわけであります。
 平成十年四月から、三重県紀宝町の七つの小学校で通学区域の緩和が実施され、保護者が自由に学校を選んで通学させられるようになりました。平成十二年四月からは、東京の品川区で四十校ある小学校を四つのグループに分けて、その中から保護者が自由に通学する学校を選べる学校選択制が導入されました。紀宝町の場合は、過疎化に対応しての教育環境の改善を目指したものであり、東京の品川区は特色ある学校を目指した活性化対策と考えられます。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、本県における公立小学校、中学校の通学区域制度の弾力的運用について今後どう進められるのか。
 二、本県における平成十一年度の公立小中学校における地理的理由、身体的理由、いじめ、不登校等教育的配慮、その他の理由による弾力的運用の実態はどうか。
 以上、二点をお尋ねいたします。
 次に、国指定重要文化財・旧中筋家住宅の修復保全についてお尋ねをいたします。
 和歌山市和佐地区にある旧中筋家住宅の六棟、母屋、表門、長屋蔵、北蔵、内蔵、御成門が昭和四十九年二月に国の重要文化財の指定を受けました。中筋家は、初代が天正十三年、根来寺の兵火を逃れてこの地に住し、徳川の治世となって地士として名字帯刀を許され、和佐、西和佐、四箇郷一帯を管轄する大庄屋を務めた家柄であります。敷地は広大で、正面の東寄りに長屋門を構え、それを入ると広い前庭を隔てて母屋があります。母屋が建てられた年代は正確にはわかりませんが、大広間床わき小ふすまの絵に野際白雪斉の款記があります。野際白雪斉は、文政二年(一八一九年)から明治四年(一八七一年)の人であり、中筋家の主人には白雪斉に絵を学んだ人がいて関係が深かったため、白雪斉がこの家が竣工したときにふすま絵をかいたと考えられるとすれば、中筋家の九代目が建てた安政から万延のころであろうとのことであります。この建物は建立年代の新しいものでありますが、地士である豪農の高い権威と豊かな財力を示す資料として、歴史的価値が高く評価されております。
 旧中筋家の修復保全につきましては、本年二月に和歌山市が管理団体の指定を受け、三月には市教育委員会より和佐地域文化財保存整備マスタープラン策定調査の報告書もでき、地元自治会を中心に、本年三月二十日に和佐地区活性化推進委員会が結成されました。同推進委員会では、旧中筋家住宅初め和佐王子社跡地より熊野古道、和佐大八郎の墓等の歴史と文化を生かした周辺地域整備を願っております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 各地域に存在する文化財を中心に地域を活性化していこうという運動は、大変大切なことと思います。この地域は、近くに県の施設である紀伊風土記の丘があり、また松下幸之助氏の生誕地でもあります。国の重要文化財である旧中筋家住宅を中心として地域文化を全国に発信していくためにも、修復保全事業の早期着工が待たれております。早期着工へ県の取り組みをお尋ねいたしまして、第一問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 新田議員のご質問にお答えをいたします。
 まず、財政健全化期間における行財政改革の取り組みと平成十二年度の予算編成方針について一括してお答えいたしたいと思います。
 私は、「二十一世紀の故郷(くに)づくり」を推進し、新世紀における和歌山県の大いなる発展へとつなげていくためには、行財政改革を積極的に進め、新たな行政需要にも十分対応できる弾力的な財政構造の確立を目指す必要があると考えてございます。このため、本年八月に財政運営プログラムを策定し、全庁挙げて積極的に取り組むこととし、庁内にワーキングチームを設置いたしまして、いわゆる事務事業評価システムの導入も含め、今後早急に取り組むべき健全化方策について検討させておるところでございます。また、行政内部経費の削減を初めとした財政健全化期間における主要な項目ごとの目標値等についても検討を加えているところでございます。
 今後は、これらの検討結果を踏まえ、収支差の改善に積極的に取り組むこととし、平成十五年度には基金依存型の財政構造からの脱却を図りたいと考えてございます。
 平成十二年度当初予算につきましては、十五年度までの財政中期見通しによる財源不足額を勘案の上、厳しい予算要求基準を設定したところでございます。具体的に申し上げますと、単独投資やその他の施策費については対前年度比八五%といたしましたが、各部局における事業の重点化や新規事業の創出を図るために特別調整枠を別途設定したところでございます。今後の予算編成過程においても、事務事業等の徹底した見直しや歳入確保等の財政運営プログラムに示した考え方をできるだけ反映させて、限られた財源の効率的、重点的な配分に努めていきたいと考えてございます。
 市町村合併についてのご質問でございます。
 市町村の合併につきましては、議員ご指摘のように市町村の自主的な取り組みが基本でございまして、地域の地理的条件や歴史的経緯を踏まえまして、地域において自主的に判断されることが何よりも重要なことだと考えてございます。
 ただ県といたしましては、市町村においてみずから検討研究する際の参考として、市町村の合併パターン等を内容とする要綱を平成十二年中に策定したいと考えてございます。いずれにしても、市町村の将来のあり方について十分議論を深めることが大切であると考えてございます。
 次に、法人事業税への外形標準課税の導入についてでございます。
 外形標準課税は、現行の所得課税の方式に比べまして、行政サービスに対する応益課税としての事業税の性格を明確にすることができるものでございまして、景気に左右されにくく、地方分権を支える安定的な地方税源の確保が図られるものと考えてございます。
 本年七月に政府税制調査会の小委員会で、できるだけ早く導入を図ることが望ましい、なおその具体的な実施時期については景気の状況等を踏まえて判断する必要があると報告されているところでございます。外形標準課税の導入に当たりましては、中小企業への一定の配慮や景気の状況等も勘案しなければなりません。その上での導入が図られることが望ましいと考えてございますので、その実現に向けて今後全国知事会などと連携を図りながら働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、紀の川歴史街道フェスタでございます。
 議員のご質問にもございましたように、紀北地域は豊かな歴史、文化資源を有し、また県民の皆さん方がさまざまな分野で活発に活動されている地域でもございます。
 伊都地方には、高野町石道に関連した北紀高野曼陀羅博を二〇〇八年に開催しようという動きがございます。こうした豊かな地域資源やさまざまな活動を改めて見直しまして、広域的な連携のもとに、これまで地域や団体ごとに行われてきた活動を一体的なイベントとして開催することによりまして、紀北地域全体を県内外に広くアピールするとともに新たな地域づくりの契機としてはどうかと考えているところでございます。今後、関係市町村や関係団体とよく相談をしてまいりたいと考えてございます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 職員の再任用制度への取り組みと新規採用のあり方、定数削減の取り組みとの関連についてお答え申し上げます。
 まず、新たな再任用制度の本県の取り組みについてでございますが、議員のお話にもございましたように、地方公務員法等の一部を改正する法律が本年七月二十二日に公布され、高齢者の能力活用や年金制度との連携を柱とした新たな再任用制度が平成十三年四月一日より施行されることとなっております。これに伴いまして、法律において条例に委任された事項に係る規定の整備について、国の指導や職員への周知の必要性等を考慮して、平成十二年二月議会への上程に向けて現在検討を進めているところでございます。再任用に当たっては、職場の活性化を図ることや組織力を低下させないことが重要でございますので、それらを念頭に置いて、高齢職員の能力実証のあり方やどのような職が適当であるかなどを十分検討しながら円滑な導入を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に新規採用との関係につきましては、この制度が施行されますと、一般職員と同じ勤務条件となるいわゆるフルタイム勤務職員については定数内の職員とされているため、新規採用者との調整を図る必要が生じると考えておりますが、その際には年齢構成も勘案した新規採用職員の確保にも十分留意してまいりたいと考えております。
 また定数削減との関連でございますが、定員管理計画におきまして、知事部局において、事務事業の一層の整理合理化等により平成十五年度末までに約百名の削減を行うことといたしておりますが、その計画の実施に当たっては、今申し上げました新たな再任用制度による雇用も考慮しながら、計画に沿って削減を行っていく方針でございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題六点についてお答え申し上げます。
 まず新たな再任用制度についてでありますが、制度の概要は先ほどの総務部長の答弁のとおりでございます。教育委員会といたしましては、教職員の年齢構成や教員の短時間勤務が可能かどうか等の課題について検討するとともに、先般実施いたしました該当する教職員に対するアンケート調査の分析を行い、実施に向けて準備を進めているところでございます。
 また、教職員定数は定員管理計画にありますように、児童生徒数が大幅に減ることに伴い、その減少が見込まれております。こうした状況ではございますが、国における平成十三年度以降の定数改善計画の策定の動向や退職者数の推移を見きわめながら、新規採用計画並びに新たな再任用制度の円滑な導入について研究してまいりたいと考えております。
 次に教育改革の推進についてでございますが、中学校卒業生の九七%が高校に進学している中、これまで専門学科の新設・改編を行うなど、生徒や保護者の多様なニーズにこたえてさまざまな対応をしてまいりました。来年度は、大成高等学校に全日制普通科では初めての単位制課程を導入し、より多様で柔軟な教育を推進するとともに、耐久高等学校においては、人文科学の基礎を学習し、国際的なコミュニケーション能力の育成を目指してグローバル探究科を設置することといたしております。今後とも、生徒の興味、関心や進路に応じて主体的に取り組むことができる総合学科の設置を初め、単位制課程の導入などの計画的な整備を引き続き進めてまいりたいと考えております。
 また中高一貫教育についてでありますが、かねてから古座高校と古座・古座川両町の五つの中学校を中心として、理科のフィールドワークや数学の授業等において中学校と高等学校の生徒や教師が積極的に交流を行うなど、活発な連携活動を行ってまいりました。こうした成果を踏まえて、同地域の中学校及び古座高校の活性化を図るために、このたび国の研究指定を受け、連携型の中高一貫教育のあり方について実践研究を進めていくことといたしました。今後、この研究の成果を見守ってまいりたいと考えております。
 次に、公立小中学校における通学区域制度の弾力的運用についてであります。
 義務教育における通学区域制度は、適正な学校規模と教育の機会均等などの趣旨から行われているところであります。この制度の弾力的運用については、平成九年一月に文部省から市町村教育委員会による学校指定の権限を維持しつつ、地域の実情に即して保護者の意向にも配慮した工夫を行うことなどの通知が出されております。
 現在、本県の公立小中学校においては、小学生五百四十四名、中学生百七十五名、合計七百十九名の児童生徒に区域外からの通学を認めております。この理由といたしましては、家庭事情、身体的理由、いじめ、不登校、地理的理由等の教育的配慮によるものであります。また、県内の小中学校では地域との連携などによりさまざまな創意工夫を生かした教育を進めておりますが、こうした特色づくりの推進ともかかわって、通学区域制度の弾力的運用について今後とも引き続き研究をしてまいりたいと考えております。
 最後に、和歌山市禰宜の旧中筋家住宅の修復保全についてでありますが、この貴重な文化財の保存と活用について、所有者並びに和歌山市と長年にわたり種々協議を重ねてまいりました。本年二月には和歌山市が管理団体の指定を受け、現在、所有者と保存修理について細部の話し合いが続けられております。県といたしましても、過日、現地において文化庁担当官の指導を受けるとともに、県費補助金についても協議を続けており、事業の実施に積極的に取り組んでいるところであります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、新田和弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十二分休憩
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