平成11年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成十一年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
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議事日程 第三号
 平成十一年十二月九日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第百二十号から議案第百四十六号まで、並びに報第四号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百二十号から議案第百四十六号まで、並びに報第四号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十七人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       松   本   泰   造
     五  番       阪   部   菊   雄
     六  番       堀   本   隆   男
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       大   沢   広 太 郎
     十二 番       木   下   善   之
     十三 番       宇 治 田   栄   蔵
     十四 番       尾   崎   要   二
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       谷   本   龍   哉
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       永   井   佑   治
     二十 番       谷       洋   一
     二十一番       小   川       武
     二十二番       高   瀬   勝   助
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       山   下   直   也
     二十六番       玉   置   公   良
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       野 見 山       海
     二十九番       吉   井   和   視
     三十 番       向   井   嘉 久 藏
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       江   上   柳   助
     三十四番       金   田       眞
     三十五番       森       正   樹
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       新   田   和   弘
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       大   江   康   弘
     四十一番       高   田   由   一
     四十二番       中   山       豊
     四十三番       飯   田   敬   文
     四十四番       鶴   田   至   弘
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       村   岡   キ ミ 子
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         西   口       勇
     副知事        高   瀬   芳   彦
     出納長        中   山   次   郎
     理事         藤   谷   茂   樹
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     生活文化部長     大   井       光
     福祉保健部長     小   西       悟
     商工労働部長     上   山   義   彦
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       白   井   保   世
     教育委員会委員長   目   黒   威   徳
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    中   尾   公   彦
     警察本部長      樋   口   建   史
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     宮   市   武   彦
     選挙管理委員会委員長職務代理者
                中   村   利   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       新   谷   哲   朗
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       佐   竹   欣   司
     議事課副課長     井   田   光   三
     議事班長       松   谷   秋   男
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       西   野   光   彦
     調査課長       湯   川       忠
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課速記技師    保   田   良   春
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  午前十時一分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百二十号から議案第百四十六号まで、並びに報第四号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百二十号から議案第百四十六号まで、並びに地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 九番坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず、この権威ある県議会において質問の機会を与えていただき、登壇できましたのも、私を支えていただきました多くの支援者の皆さんのおかげであり、心から感謝を申し上げます。したがいまして、私の質問は、単に私個人のみの考えではなく、支援していただいた皆様方の意見でもあり、支援者の皆さんと一緒にこの議場で質問しているものと受けとめていただき、当局の誠意ある、心のこもった答弁をお願いいたします。
 「上杉鷹山」を書いた作家・童門冬二は、もう一方で肥後の名君「細川重賢」を書いております。細川重賢は、長い部屋住みの身から一転して藩主となるわけでありますが、藩主になった彼は、参勤交代で江戸からふるさとに帰るときも、火の車になっていた藩財政のために借金の取り立てから逃れ、家臣ともども藩邸の裏門から逃げるように出ていったと言われております。その彼が、藩の財政を再建するために、意識の壁を打ち破るために、保守的な家臣から「変わり者」とまで言われ、藩を追われた家臣をもかばい、その者の意見にも耳を傾け、苦しい財政を立て直すために、肥後の特産品のハゼのろうの増産に努め、これを商品化し、藩財政を潤わせたこと、いわゆる殖産に努め、またそのためのかんがい治水の土木工事、さらには遠い将来を見据えた人材育成、藩の学校をつくることでありました。紹介したこの小説は、今まさに和歌山県にも当てはまることであります。
 バブルがはじけて企業倒産の続く中、財政状況が最も厳しい中で、名君とも言われる西口知事がこの難局をどう切り抜け、二十一世紀にどうつないでいくのか、本県の命とも言える農業政策をどのように打ち立てていくのか、和歌山に住んでよかったと二十一世紀を担う若者に言ってもらえるような国づくりをどうするのか、大きく問われるところであろうかと思います。
 前段で申し上げた本県の特産物とは何か、それは梅であり、ミカン、カキ等であります。その梅産業は、今二十一世紀に向かってまさに立ち枯れをしようとしています。私の生まれ育った南部郷は、梅の里とも言われます。そのうち南部川村では、村の総人口に占める農家人口は約七七%と村全体が梅の栽培や加工等、梅産業に何らかの形でかかわっており、全国でただ一つのうめ課を設置する村でもあります。全国的に見ても圧倒的なシェアを誇る本県の良質な梅は、昭和五十年代半ばからの経済成長のもとに、健康食品ブームに乗って消費拡大が図られ、紀州南部の梅としてブランド化されました。
 しかし、昭和六十年代に入って私の地元では梅の生育不良問題が持ち上がり、その後平成に入り被害が急に広がり始め、今や梅の立ち枯れは南部郷全体で五万八千本とも報道されています。この数字は、一昨年の二倍以上に、また四年前の約六倍にと広がっています。これは、一ヘクタール当たり約三百本の植栽として、立ち枯れ面積は約二百ヘクタールに相当し、その梅園がまさに消滅しようとしているわけであります。この面積は、南部郷すべての栽培園千八百ヘクタールの九分の一に当たると換算できます。したがって、このままいきますと九年後には南部郷すべての梅が消えてなくなることになります。この梅立ち枯れ問題については、県当局におかれても県政の重要課題としてとらえ、暖地園芸センターを中心に試験研究機関を挙げて取り組み、また日本を代表する専門家を集めて県うめ対策研究会を組織し、総合的に取り組まれております。しかし、この問題の原因究明につながる明るい兆しはいまだに見えてこないのが現状であります。
 南部川村では去る十月二十七日に、村会議員十四名全員と村役場職員が農林水産省を訪れ、梅生育不良の原因と対策等について陳情活動を繰り広げ、地域経済に及ぼす影響や梅農家に募る危機感を強く訴えたところであります。これに対して農林水産省からは、国としても重要課題として受けとめており、今後県とも連携を図り積極的に取り組んでいきたいとの回答を得たということであります。
 また、同村の区長十九名全員が大気汚染問題に悩まされた福井県芦原町を視察に行きました。同町の説明では、北陸電力の火力発電所二基、合わせて六十万キロワットを昭和四十七年より稼働させており、その後、十キロメートル離れた地域で杉や松などの樹木が枯れ始め、住民が火電の影響ではないかとの心配から、町や議会が中心となり調査に乗り出したと言われております。その間、住民の健康調査、赤外線カラー空中写真撮影による植物の活力調査、植物の生態調査などを行い、原因究明に取り組んだ結果、火力発電所から十三キロメートル離れた地域の杉の平均活力度が最も低かったなどのデータが得られたということであります。ちなみに、この発電所の規模は御坊発電所の三分の一程度ということであります。そして、その因果関係の究明には十分に至らなかったものの、北陸電力では住民の声を重視し、稼働から七年後の昭和五十三年に脱硫装置を設置したところ、その後その被害が減少したということであります。
 そこで、本県の話に戻りますが、新聞報道でもありましたように、南部郷では梅枯れ被害が一年間で五万八千本以上となっています。私は、梅農家に生まれ、今もなお梅栽培をしておりますが、梅の成木となりますと、一本の木でコンテナ約十五杯程度の収穫が見込まれます。コンテナ一杯で一万円から二万円となりますので、五万八千本の立ち枯れは実に五十八億円から百十六億円の損害となり、加えて苗木一本が千五百円として購入代約一億円となり、さらに労賃を入れますと大変な損失になります。急速に広がる梅の立ち枯れは、農家の所得を減少させ、もうこれ以上は梅農家の壊滅を意味します。県下で唯一とも言える特産品の梅で生計を立て、若い人たちもまじっての活気ある南部の里、そこには当然後継者も育っております。若者が県外に出ることもなく地元に定着し、梅栽培に従事する私たちの村は、過疎に悩む県内他町村からはうらやましがられておりますし、当然、県行政の目指す二十一世紀のあるべき和歌山の姿でもあります。梅の立ち枯れが急速に広がる中で、今梅農家の後継者たちは、僕らの代にはもう梅が枯れてしまっているのではないかといった悲観的な若者が少なくありません。私の家庭でも、子供たちがそのような会話をしています。本年の五万八千本の立ち枯れは梅全体の一〇・七%に当たり、このままさらに広がるのではないかとの心配から、今、南部郷の梅農家の若者は職を求めてふるさとを離れようとしています。
 こんなときに、生育不良の原因として、水不足説、土壌悪化説、病原性バクテリア説、大気汚染説、モグラ説、さらには県当局は実のならせ過ぎ説まで挙げています。多くの説を並べ、複合説を唱えて、もう長いと思います。このままでよいのかどうか。緊急の措置として、福井県芦原町に見られるように、脱硫装置を直ちに設置し農民を安心させ、さらに継続してもろもろの説を一つ一つ解明していく方法をとるべきではないのか。地元では、御坊火電が稼働してから梅の立ち枯れが多く見られるようになった、排出するばい煙が気流に乗って波紋状に広がり、ちょうどその下に位置する私たちの梅園が帯状になって立ち枯れしているといった声もあります。農民の長い生活から出た、この知恵や意見を決して軽視してはならないと考えます。自然の変化は、私たちの科学知識等をはるかに超えた微妙な変化をしていることに留意してほしいと思います。
 さきの本会議における島本農林水産部長の答弁での、発電所のばい煙が大気拡散中に化学的変化が生じるため、採取したガスを果樹に吹きつけても立ち枯れした果樹と同じ条件ではないとの見解は、私たち農民にとっては理解しがたく、納得のできる答弁と思っていません。ばい煙の化学的反応はもちろんのことです。さらに、ばい煙と水との関係、すなわちばい煙が雨水とまざるケースもあり、被害地域の池の水を採取し検査することや、この雨水が土の中に入り込み、これが化学反応を起こして長年にわたって樹木に影響することの想定も可能であります。このように、あらゆることを駆使して調査すべきであると考えます。一つ一つの問題を解決していくべきであると考えますが、いまだ農林水産部長のような、やる意思があるのかないのかわからないような答弁を聞いて、本当に焦りが出てきています。
 こうした原因究明が進展しない中、関西電力の御坊第二発電所の公有埋め立てが国の認可を受け、実質的に第二発電所の着工がスタートを切りました。関西電力は、近々、県や御坊市、美浜町との四者の間で環境保全協定を結ぶ予定になっております。この中には、硫黄酸化物の排出濃度や窒素酸化物を規制する大気汚染防止対策、重油を初めとする環境ホルモンが含まれる新しい燃料のオリマルジョンの漏えいを未然に防ぐ対策などが盛り込まれていると聞いております。しかしながら、現実に排出されるばい煙が、視察に行った芦原町のように立ち枯れの原因ではないかと懸念し、不安の大きい印南町、南部町、南部川村、田辺市などは、環境保全協定の当事者としてテーブルに着いておらず、さらに地元住民の不安と怒りが募る一方であります。
 現在、百八十万キロワットの発電機が稼働し、百十万キロワットの発電機四基が二〇〇七年から二〇一五年までの想定で順次稼働するとなると、梅栽培地域では大気汚染銀座になるのではとの不安がより一層深刻なものとなってきています。関西電力は、埋立免許交付後の記者会見で、最高レベルの脱硫装置などを導入したい、また油の漏えいをしないよう万全を期したいと語ったと報じられていますが、現在稼働中の発電所にも脱硫装置が取りつけられていないのが現状であります。
 そこで、知事及び関係部長にお伺いします。
 一点目として、御坊発電所は平成十四年をめどに脱硫装置を取りつけ完成すると言っておりますが、現状はわずか一年間で五万八千本の梅立ち枯れのこの現象を直視し、直ちに脱硫装置を設置し、農民の不安を取り除くために関西電力に対して強力な指導をすべきであると考えますが、その決意をお伺いいたします。
 あわせて、梅立ち枯れの経済的打撃をどう受けとめているのか、また全国一の後継者を持つ梅農家の若者が県外へ流出しつつある現状、活気ある我が町が近い将来過疎化される現状に対してどう考えるのか、知事の思い、すなわち和歌山に住んでよかった、若者の定住する過疎のない和歌山と逆行する現象をどう受けとめているのか、お伺いします。
 二点目として、土壌改良と水源の確保であります。
 保水性や腐植性などに富んだ良質な土を確保するためにパイロット事業の谷埋め方式を見直し、表層土壌の風化の進んだ土を確保する乗せかえ方式をとり、今後のパイロット事業を推進するに当たって現有の造成地への客土を導入していける事業化を図り、補助制度の創設などを採用してはどうか。
 あわせて、干ばつ等に対応するため水源の確保について、南紀用水の積極的利用の促進を図る施策も必要であるかと思いますので、検討をお願いします。
 三点目として、研究指導体制の強化であります。
 農業改良普及所の現行のセンター集中方式と従来の駐在方式を見直して、生育不良問題が解決するまでの間、一部駐在方式の弾力的運用を図るよう国に働きかけるなど、両方式のよい部分を採用してはどうか。
 梅栽培では、各地域ごとに土壌、気流等が異なるため、それぞれの農家との密接した関係を維持するために駐在方式が望まれ、逆にセンター方式とはいえ、梅の着果率等の発表は日高地方と西牟婁地方に分離されているため窓口の一本化が望まれます。このようなことから、再検討の必要性を強く感じます。
 以上、ふるさとの皆さんの悲痛な叫び、もがき苦しんでいる現状を思い浮かべていただき、県当局の誠意ある、そして心のこもった答弁をお願いします。
 次に、教育について質問します。
 先ほども紹介しましたように、細川重賢は、人材の育成は藩の将来にとって最も大事であると考え、苦しい財政のもとで学校をつくり、教育をしたと言われております。今、県財政の厳しいことはだれもが認めていますが、このようなときにこそ和歌山県の将来を見据えて教育をしておくことが大切であると考えます。
 私も一年前まで、南部高校PTA、県高等学校PTA連合会長を務めさせていただき、PTAの立場から学校に協力し、また県教育委員会とも話し合ってきました。
 教育委員会は、全国的にもおくれている和歌山県の教育を全国のトップにまで引き上げたいとの意気込みで、授業日数をふやすことや全国で初めての総合学科の設置、単位制をつくったりして、特色ある学校づくりをしてきました。また、先生の意識を変えたいということで、全国産業教育フェア、全国分校サミット、アウトドアスポーツ等多くの全国大会を開催し、その成功に向けて私たちPTAも全面的に協力をしてきました。
 特色ある学校づくりについては、十九の高等学校に二十五学科をつくり、全国で初めての総合学科についても、和歌山高校に次いで有田中央高校に設置し、紀北地方、中紀地方にそれぞれ一校設置しています。この総合学科は、生徒が学びたい学科を自分で選んで勉強できるということで、生徒は生き生きと勉強し、生徒指導の問題はもちろん、遅刻や中退、留年も減り、学校が生まれ変わったと言われております。このようなすばらしい学科を紀南地方にも一校設置するべきであると思います。私は、教育については、紀北地方であろうと紀南地方であろうと平等にそのチャンスが与えられるものであると考えます。
 本県の教育は大変進んだと思います。しかし、特色ある学校づくりももうこれで終わりかというとそうではなく、今国が言っている、そして他府県ではもう既に設置している中高一貫教育が必要ではないかと考えます。高校受験をなくし、子供が生き生きと中学校、高等学校で学べることは、単に子供だけではなく親にとってもよい制度のように思います。中高一貫教育を行う場合、校舎をどうするのか、市町村と県との関係をどうするのか、種々の問題もありますが、本県の子供の将来を考えたとき、受験戦争のない、しかも子供が生き生きと学べる学校がぜひ必要ではないかと考えます。新しい学科の設置や特色ある学校づくりについては一応めどもつき、これからどう定着させていくかの段階になっています。
 しかし一方、和歌山県の教育に大きくかぶさってきている課題もあります。それは、いじめ、不登校、学校崩壊の問題であります。これらの問題は年々増加していると言われていますし、不登校を挙げても、平成十年度は小中学校合わせて千五百四十八人、前年度比一・〇七倍となっています。教育委員会は、この問題を深刻に受けとめ、教育最大の課題として位置づけ、その対策事業費を計上した、そして不登校への対応として、スクールカウンセラーを十八校に、教育相談員を中学校六十六校に配置し、相談体制の充実を図ってきていると九月三日の読売新聞に報道されています。また、授業中に教室で立ち歩く、奇声を発するなどで学級が成り立たないといった学級崩壊の問題が増加しています。この学級崩壊の要因の七割が教師の指導力不足であることが国の調査で明らかになっていると、九月十四日付の産経新聞に載っています。学級崩壊の要因が一番多いのは、先生の学級運営に柔軟性を欠いている、次いで授業の内容や方法に不満を持っている、さらにいじめ、問題行動への適切な対応ができない等となっています。このような問題を解決するために、県は種々の研修を行い、教員を配置して教育の相談体制の充実を図ってきていますが、県内研修や教育相談員を配置すると同時に、こうした問題を解決するために実績を上げている先進県の方法や手段等を学ぶことも大切であると思います。
 私が県高P連にいたとき、教育委員会は、奈良県、三重県との三県知事会議の後、三県の教育長会を開き、その席で和歌山県から、互いの県から学び合うために指導主事の先生や学校の先生を交流していこうとの提案をし、合意したと聞いています。こうした人事の交流で他府県から学ぶことは大切であると思います。教育委員会は、去る三月に広島県と人事交流をしたと発表しております。このことは、文教常任委員会でも話し合われたと伺っています。学校で起こっているいじめや不登校、学級崩壊などは、単に学校だけではなく家庭や地域社会も連携して取り組むことが大切であります。しかし、何といっても一番大事なのは先生の指導力を高めることであり、急がなければなりません。先生の指導力が高まることによって子供が先生を尊敬しますし、先生と生徒の人間関係も深まります。そして、その中でこそこれらの問題が未然に防げるものだと考えます。
 また、これらの問題は、一学級の人数が多くて先生の目が届かない、先生と生徒の距離が離れてしまうのでいじめ等が起こることも考えられます。そのため、現在の一学級の生徒数を減らしていくことが大切であります。一学級の生徒数を四十人から三十五人に、三十五人から三十人にすることにより授業が教えやすく、わかりやすく、また先生が生徒を十分観察できることも確かであります。さらに国は、一学級の生徒数を四十人にするという法律を廃止し、学級人数は各都道府県の自主性に任せると言っていました。このことは評価すべきですが、同時にこれからは各府県の教育委員会の姿勢が問われることにもなろうかと考えます。
 そこで、教育長に次の五点について質問します。
 一点目として、さきの議会で教育長は、総合学科を全県的な視野で設置していきたいと答弁しています。昨年、串本高校が、職員会議で決定し、教育委員会へ総合学科を設置してほしいとの申請をしたが許可が出なかったと聞いています。なぜ紀南地方に設置できなかったのか、お伺いします。
 二点目として、和歌山県で中高一貫教育をする考えはあるのか。この中高一貫教育をしていくとき、現行の中学区制をどう考えていくのか、学区制について基本的な考え方をお伺いします。
 三点目として、いじめ、不登校、学級崩壊の数は全国的に見て本県はどうなのか。全国で一番高いと一部新聞でも報道されたと聞きますが、多いとすればどこに原因があるのか、そしてその対策についてお伺いします。
 四点目として、教員の指導力を高めることは急務です。そして、そのために先進県に学ぶことも大切です。そこで、さきの三県教育長会の合意を踏まえて、その後、奈良県、三重県との間でどのように計画的に人事交流をしているのか、さらに広島県との人事交流で、先生に何を研修させているのか、またその期間はどれくらいか、お伺いします。
 五点目として、和歌山県で四十人学級の数はどれくらいか、四十人以下にする考えはあるのか、その考え方をお伺いします。
 以上、教育についての質問を終わります。
 次に、道路整備についてお伺いします。
 日高地方の道路整備については、現在既に近畿道紀勢線の御坊南部線が平成十四年の完成を目指して急ピッチで工事が進められています。南部郷の住民の中には、インターチェンジに通じる周辺アクセス道路に渋滞が生じ、生活道路としての問題が起こるのではないかと不安を持つ声もあるものの、道路の供用に伴って地域経済の活性化、利便さの向上、さらには観光等の地域開発へとつながる期待が大きく膨らんでいます。
 南部町には千里海岸、龍神村には龍神温泉、ともに県内外において名高いものではございますが、その二つをつなぐ南部川流域は、自然に恵まれ、風光明媚な景勝地を数多く擁してはいるものの、和歌山市方面、京阪神方面の方々の知名度といった点では大きく劣っております。その原因として、やはり交通道路としての整備の立ちおくれが挙げられます。梅製品、かんきつ類、シイタケ、備長炭と、この区間では数多くの特産品を持っております。梅の里の温泉開発も計画されています。南紀熊野体験博によって、オープンエリア方式のノウハウもつけていただきました。魅力あるこの地方の活性化にただ一つ欠けているものは道路整備であります。道路整備が進めば、これからの農林振興、広域観光など地域経済の活性が見込まれます。住民の願いは大きいものであります。
 二十一世紀を迎えるに当たり、宝の眠る龍南線の道路整備計画について基本構想をどのように打ち立てておられるのか、お伺いします。いわゆる龍南線、国道四百二十四号線の整備の中で、特に早期実現が望まれる区間が二つあります。
 第一点目として、清川切目辻にあるトンネルであります。このトンネルは、地元において「でこぼこトンネル」と呼ばれるほど老朽化著しいものがあります。観光バスや大型トラックが通ると対面通行ができません。付近の道路も狭いため、Uターンし、ルート変更を余儀なくされる不便さであります。また、トンネル内壁の吹きつけは劣化しており、天井部分が狭隘であり、暗く、歩道もありません。通行において、またトンネルの保守整備の面から言っても、その危険の大きさは申すまでもありません。このトンネルの不便さの改善と事故防止の観点から整備の必要性をご賢察いただき、早期改修に向けての計画をお願いします。
 二点目に、南部川清川地内であります。この区域において、農道の整備の方が国道四百二十四号と比べて進んでおります。龍南線を日常利用している地域住民でさえも、この区間は国道からこの農道にルートを変更しています。国道とは名ばかりで、この状況であれば、将来、観光客や訪問客が龍南線を通行する際、要らぬ混乱を招き、事故も懸念されます。このため、地元の方々より早期に整備してほしいとの要望も強く、今後の整備計画の状況についてお伺いします。
 このほか、龍南線の一方の起点となる南部郷一帯の道路整備、特にハイウエー近畿道紀勢線の関連でお伺いします。近畿道紀勢線の平成十四年供用に伴う南部平野の中心に位置するインターチェンジ周辺のアクセス道路について、前段で申し上げましたように、生活道路との関連、観光シーズン等の渋滞、旧国道への連結等、地元と十分連携していただき、供用時に混乱のない形でアクセス道路の整備を図る必要から計画に万全を期していただきたい。また、その計画の進捗状況についてお伺いします。
 以上、四百二十四号の二区間と関連した整備として三項目を個別に申し上げましたが、四百二十四号線の特に南部川流域全線にわたる道路整備を早期に着工していただきたい。そして、幹線道路として、地域経済の発展、また来る二十一世紀における新しい観光振興の観点からも全線開通を一日も早く実現することは、南部郷、龍神村村民はもとより、県全体の均衡ある発展に欠かすことはできません。
 どうか、全線開通に向けての道路整備を一日も早く実現していただきたく、県当局の今後の積極的な取り組みを最後にお願いします。
 以上、私の質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの坂本登君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 坂本登議員にお答えをいたします。
 お話にございました細川重賢のようにはまいりませんけれども、精いっぱいの努力をいたしたいと考えてございます。
 梅問題に対してご質問がございましたが、心して拝聴させていただきました。お話にございましたように、南部郷は古くから梅とともに生きてきた地域であり、私も隣村の出身でございますのでよく承知をしてございます。
 この生育不良は、農業経営を大きく左右させる重大な問題であると認識してございまして、私も大変心を痛めておるところでございます。こうした観点から、梅の生育不良につきましては、第二期県政の最重要課題として位置づけまして、この問題の早期解決に向けて取り組むとともに、生産振興はもちろん、流通加工にわたる各般の施策を通じて地域経済を支える梅産業の振興を図り、若者が二十一世紀に希望の持てるふるさとづくりのために、今後とも精いっぱいの努力をしてまいりたいと考えてございます。
 他の問題につきましては関係部長から答弁をいたしますけれども、御坊発電所の脱硫装置などにつきましては、関西電力を強く指導してまいりたいと考えてございます。
 次に道路整備の問題でございますけれども、和歌山県内の幹線道路の整備方針といたしましては、県内二時間行動圏構想を基本に進めているところでございます。このうち議員ご指摘の国道四百二十四号の龍神─南部間につきましては、近畿自動車道紀勢線と第二県土軸を結び、三─五軸の横軸の一つを形成する重要な路線でございます。また、龍神・南部地域の域内六十分構想を実現するために軸となる道路でございまして、近畿自動車道紀勢線の南伸とともに、京阪神、和歌山方面から南部川流域、さらには龍神村への時間短縮を図りまして、本地域の観光及び産業の発展などの地域づくり、日常生活の利便性の向上を図る上に必要不可欠な道路と認識してございます。今後は、事業中のインターアクセスの整備促進、沿道集落の利便性を高める区間から順次整備を進めていきたいと考えてございます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 御坊発電所に脱硫装置を設置する計画については、御坊第二発電所計画に関連し、大気環境保全対策について、事業者である関西電力に対して強く要請した結果、関西電力が発電所全体の大気環境保全対策の観点から、既設御坊発電所の三号機へ脱硫装置を設置するとともに、一、二、三号機の脱硝装置及び電気集じん装置の改善を行うことになりました。
 脱硫装置につきましては、現在、脱硫装置本体の設計及び設置のための工事が進められており、平成十四年度に完成する予定でございます。また、脱硝装置及び電気集じん装置の改善につきましては、定期検査にあわせて順次工事が行われており、二号機については既に終え、三号機は現在実施中であり、来年度には一号機についても完了する計画で進められてございます。
 先ほど知事答弁にもございましたように、今後、私どもといたしましても、計画に沿って実施していくよう強く指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 坂本議員の梅の生育不良対策につきましてお答え申し上げます。
 まず、梅の生育不良対策としての土壌改良と水源の確保についてお答えをいたします。
 梅の栽培には良質な土や水の確保が望ましいと考えてございますが、本県のように急峻な地形を平たんな農地にする造成事業では、表土を流用するためには造成地の外に仮置きをするなどの工法が必要となります。また造成地への客土につきましても、近隣で良質な土が大量に確保できるかどうかなどの問題があります。いずれも補助事業の適用が可能ですが、事業費が相当にかさむため、受益者と十分協議しながら、よりよい農地づくりを進めてまいりたいと考えてございます。
 次に南紀用水につきましては、現在県営事業として施行中であるかん水が可能な部分は干ばつ時に対応ができるよう体制を整えてございます。今後とも、管理団体の南紀用水土地改良区とともに、早期に効果が発揮できるよう事業推進に努めてまいります。
 次に、研究指導体制の強化についてでございます。
 農業改良普及センターの体制につきましては、高度化、多様化する課題に対応するため、専門性と地域性をあわせ持った広域普及体制をとっております。特に県農政の最重要課題である梅生育不良対策のため、日高、西牟婁両普及センターにおきまして、それぞれプロジェクトチームを編成してございます。このチームを中心に、試験研究機関や地元の梅対策協議会等と連携を密にしながら、生育不良樹の実態調査や樹勢回復モデル園の設置、並びに現地検討会を開催するなど、普及組織を挙げて取り組んでいるところであります。
 なお、着果率の調査に当たっては統一基準に基づいて行っておりますが、今後とも農業者のニーズに対応した普及体制を検討しながら普及活動の強化に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 私からは、まず四百二十四号の改良についてお答え申し上げます。
 国道四百二十四号では、南部町南道から南部川村徳蔵地内で南部拡幅工区と南部川村西本庄から島之瀬地区内で南部川谷拡幅工区の整備を進めており、投資効果の早期発揮ができるよう集中投資を行っているところであります。清川地区内の改良につきましては、事業中の南部拡幅工区と南部川谷拡幅工区の事業進捗を見ながら事業化に向けて努力してまいります。また切目辻トンネルの改良につきましては、現況交通量から判断して、当面、現トンネルの補修で対応してまいりたいと考えております。
 今後は、将来の交通需要、さらには周辺道路の進捗等を勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
 ご要望の区間の当面の対策といたしましては、特に通行の支障となる箇所を局部改良等で対応してまいります。
 次に、南部平野内のインターチェンジ周辺アクセスについてお答えします。
 近畿自動車道紀勢線の御坊から南部間につきましては、現在早期開通を目指して鋭意事業が進められているところでございます。その開通時の端末インターとなる南部インターから国道四十二号への主要なアクセス道路としては国道四百二十四号となります。
 国道四百二十四号につきましては、南部拡幅として国道四十二号から南部インターまで千五百五十メートルを平成九年度に事業着手し、現在、用地買収を重点的に進めております。開通時に交通渋滞等のないよう、国道四百二十四号を初め県道上富田南部線等のアクセス道路について、今後とも地元の協力をいただきながら事業の促進を図ってまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 坂本議員の教育に関する五点の質問に対してお答え申し上げます。
 まず総合学科の紀南地方への設置に関してでございますが、本県では、平成六年度に和歌山高校に、九年度に有田中央高校にそれぞれ総合学科を設置し、多様な選択科目の中から、生徒が興味、関心や進路等に応じて科目を選択し、主体的に生き生きと学習に取り組むなど、個性を伸ばす教育が実践され、大きな成果を上げてきております。
 紀南地方においては、従前から田辺、西牟婁地方の中学校PTA等の皆さん方から要望が出されていることは十分承知しております。今後も、引き続き総合学科の計画的な整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に中高一貫教育についてでありますが、本年十月現在、全国では四十二都道府県、三指定都市で二百五十七校が国の指定を受け、実践研究を行っております。また、本年四月から宮崎、岡山、三重の三県において中高一貫教育が始まっております。
 本県では、これまで四つの地方で中・高連携推進支援モデル事業を実施し、英語や数学の授業を中高合同で行ったり、生徒指導や進路指導について協議するなど、これまで以上に円滑な連携が図られ、多くの成果を上げてきております。こうした本県独自の実績を踏まえ、庁内に中高一貫教育検討プロジェクトチームを設置し、全県的な視野から検討を行ってきております。
 その中で、まず古座、古座川地域の中学校と高等学校の活性化を図ることを大きなねらいとして、連携型の中高一貫教育のあり方について研究を進めることといたしました。
 また、学区制との関連につきましては、今後の重要な検討課題と考えております。
 次に、いじめ、不登校といわゆる学級崩壊についてお答えいたします。
 少子核家族化や情報化などが進展し、子供たちを取り巻く状況が大きく変化する中で、こうした問題が発生してくる背景には、学校、家庭、地域社会などさまざまな要因が複雑に絡み合っていると考えられます。
 本県におけるいじめの状況につきましては、平成十年度は百十六件でピーク時と比べて大幅に減少しており、全国的に見ても低い状況にございます。しかしながら、不登校につきましては、近年増加傾向を示しており、平成十年度は小中学校合わせて千五百余名を数え、全児童生徒に占める割合は全国的にも高く、まことに憂慮すべき状況にあると認識いたしております。
 このため、臨床心理士の資格を持つスクールカウンセラーや心の教室相談員を派遣するとともに、教育相談主事を県内八地方へそれぞれ二名配置するなど、不登校児童生徒の心の対応についても方策を講じているところであります。さらに、各学校における教育相談体制の確立、並びに学校、家庭、関係機関等の連携協力体制の強化を図っております。
 今後も、こうした取り組みを一層進めるとともに、児童生徒一人一人が充実感を持ち、生き生きと学ぶことのできる魅力ある学校づくりに努めてまいりたいと考えております。
 続いて、いわゆる学級崩壊につきましては、平成十年度で、本県の小学校十一校十三学級で授業が成立しない状況があると報告されました。これらの学校では、校長、教頭の指導や他の教員とのチームティーチングなどによる指導方法の工夫改善、さらには保護者等との緊密な連携により、大半が落ちついて学習できる状況となってまいりました。
 議員ご指摘のとおり、こうした課題は教員の指導力に負うところも大きいことから、教育研修センター等において教員の資質の向上に取り組むとともに、地域や家庭との連携を含む多面的な取り組みを進めてまいる所存であります。
 他県との人事交流についてでございますが、教員が異なる教育風土を体験し、視野を広めることにより資質向上を図るとともに、本県教育の活性化に資する上で意義あるものと考えております。
 これまで相互に協議を重ねてまいりました奈良県、三重県との三県間では諸条件が整うまでに至らず、現在のところ実現しておりませんが、広島県との間で、今年度からまず二年間の予定で中学校一名、高等学校一名の教員計二名を互いに派遣し合っているところであります。現在、派遣している教員の研修の成果や受け入れ校での評価を見きわめながら、三重、奈良との三県間の交流を含め、今後のあり方についてさらに検討を加えてまいりたいと考えております。
 次に、一学級に四十人の児童生徒が在籍する学級は、現在小学校が四十一学級で小学校の全学級に占める割合は一・六%、中学校では七十九学級で七・一%となっており、その多くは三十九人以下学級でございます。
 また、学級編制基準を三十九人以下にするいわゆる弾力化につきましては、中央教育審議会答申で提言されたことに伴い、現在国において教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議を設け、平成十三年度以降の教職員定数や学級編制基準のあり方について検討がなされていると聞いております。
 県といたしましては、全国都道府県教育長協議会等を通じて、個に応じた多様な教育の充実や新たな教育課題に対応するため、次期教職員配置改善計画を早期に策定することを要望しているところであり、国の動向を見守りながら対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 九番坂本 登君。
○坂本 登君 ありがとうございました。
 しかし、教育長の答弁には全く誠意がなく、唖然としています。私は、PTAの立場でこんな教育委員会に協力してきたかと思うと残念に思います。
 四点について、再質問します。
 私は、串本高校に総合学科を置くことを許可しなかったのはなぜということ、紀南地方に設置しなかったのはなぜかと聞いているんです。答えになっていません。
 二番目に、中高一貫教育をする場合、その学区制をどう考えているのかと聞いているんです。
 三番目に、不登校が全国一と言われているその原因と対策を聞いているんです。答えになっていません。
 さらに、四十人学級についても、国が県の自主性にと言っているのに、国の動向を見てと答えている。これでは答えになっていません。まことに残念です。
 再質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 坂本議員の再質問にお答え申し上げます。
 まず総合学科に関する件でございますが、確かに串本高校から要望がございました。しかしながら、さまざまな検討をする中で、予算的な事情も一部にはございましたし、年次的な問題もございました。結果的には成立に至らなかったことは大変残念であると考えております。
 今後、紀南地方への総合学科の設置をどう考えているかということでございますけれども、今まで一校目、二校目を進めてきた経過の中から、三校目はやはり紀南地方を十分にその視野の中に入れて、できるだけ早期に設置できるように努力してまいりたいと考えております。
 それから中高一貫教育と学区制の関係でございますが、現在きのくに教育協議会で検討しております学区制は全県的な普通科についての学区制の問題でございます。中高一貫教育は、先ほど申し上げました古座地域では普通科の学区制でございますので、そのこととの関連の中で十分な課題意識を持って研究していきたいと考えております。
 次に不登校につきましては、先ほど申し上げましたとおり、非常に多い状況にあります。この原因というご質問でございますが、非常に難しい要素がたくさんありまして、一概にこれが唯一の原因だと申し上げることは、残念ながら現段階での分析がそこまでは至っておりません。今後とも、各学校の細かい状況を十分把握しながら、相談体制の対応を考えながら、さらに勉強してまいりたいと思っております。
 それから学級定員を弾力化する問題でございますけれども、現在、小中学校の場合は教職員定数配置に関する法律がありまして、その弾力化の方向が今ようやく示されてきている。ただその場合、どういう弾力化、人数を減らすかということに伴って、教職員定数の再検討が必要でございます。このことは、教職員の人件費の問題もございますので、国の動向を見ながら和歌山県としての最も望ましいあり方を研究していくということは当然でございまして、このことを抜きに、今の状況の中で、いつから、どういう形で人数を減らすかということは、残念ながらそこまでの段階に至っておりません。これは全国的な課題でもございますので、それぞれの関係府県、全国的な教育長協議会、並びに教育委員長協議会等との連携を図りながら和歌山県としてのあり方を追求してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、坂本登君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十七番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 去る十月に行われました県知事選挙におきまして、西口知事が県民の皆さんの絶大な支持を得て二期目の当選を果たされましたことに、会派を代表いたしまして心よりお祝い申し上げます。西口知事は八月の県議会全員協議会において、「来る新しい世紀が和歌山県の時代となりますよう、私自身生まれ変わったつもりで、まさに身命を賭して県勢発展のために全力を尽くす覚悟であります」と、力強く決意を述べられました。二十世紀から二十一世紀への転換期にあって、和歌山の新時代創造に向けてご活躍を期待いたしております。知事は今回の選挙に当たり、ビジョンとして、三つの手法、七つの政策目標で「二十一世紀の故郷(くに)づくり」を進めると提唱しました。この知事のビジョンについてお尋ねをいたします。
 まず、三つの手法の一番目の行財政改革については、本年八月、県が財政危機の解消に向けて、平成十二年度から四年間を見通した財政運営プログラムを発表しました。現状のままでは各年度の財源不足額は百六十億円から百九十億円に達するため、職員定数の削減や事務事業の見直し、出資法人のスリム化などを打ち出しています。また、平成十年度普通会計決算において実質単年度収支が百億千二百万円の赤字となり、県債管理基金の取り崩しを考慮した収支実態は百七十二億円の赤字となりました。さらに、県債の発行額は県財政史上初めて一千億円を超え、県債残高も過去最高の六千三百億円を超える額に上り、県財政は極めて深刻な事態にあります。二期目の任期であるこの四年間は、まさに財政健全化期間と位置づけられた期間となるわけであり、知事を先頭に行財政改革に全力で取り組まなければならないと思う次第であります。
 そこで、西口知事にお尋ねいたします。
 一、平成十二年度の予算編成にはどういう方針で取り組まれるのか。
 二、平成十二年からの財政健全化期間で、財政運営プログラムに基づいて具体的にどう行財政改革を進められるのか。
 以上二点、お尋ねいたします。
 次に、総務部長並びに教育長にお尋ねいたします。
 職員定数の削減につきましては、行政改革大綱に基づき定員管理計画を策定し、知事部局で約百名、教育委員会で約五百名、計六百名の削減を行うこととしております。第百四十五回国会において、地方公務員法等の改正により、公務部門における六十歳代前半の高齢者雇用と年金の連携を図るため導入された新たな再任用制度について、平成十三年度から施行が円滑に実施されるよう求められております。
 知事部局においては、本年度の退職予定者約百名に対して、ほぼ同数程度の新規採用を行うべく採用試験を実施してきております。平成十三年度からは定年を迎えられた方々の再任用の道が開かれるわけであるため、本県の再任用制度の施行への取り組みと新規採用のあり方、加えて平成十二年度からの四年間で定員約百名削減をどう進められるのか、お尋ねいたします。
 また、教育委員会の定員約五百名の削減につきましては、現在、文部省において平成十三年度以降の教職員定数及び学級編制基準を定める改善計画が検討されております。この新しい改善計画を受けて再任用制度の施行が行われるわけであります。本県においては、平成十一年度の教員採用数は百十三名ありましたが、平成十二年度の教員採用数は半減する見込みであります。こうした状況の中で、教育委員会における再任用制度の施行への取り組みと教員新採用のあり方、定員約五百名の削減をどう進められるのか、お尋ねいたします。
 次に、二番目の自主自律、つまりひとり立ちできる自治体の構築についてであります。
 本年七月に地方分権一括法が成立し、二十一世紀を迎えるに当たり、地方自治体の自主性、自律性を高め、新しい時代にふさわしい行政システムを構築しようとするものであります。本年八月には、地方分権の推進に伴う行政体制の整備確立を図る市町村合併の推進に向けて指針が策定され、県に対して、市町村合併を検討する際に参考や目安となる要綱を平成十二年度に策定するよう要請がありました。本県における市町村の変遷は、明治二十二年の市町村制施行により二百三十市町村となり、昭和二十八年の町村合併促進法の施行により、昭和三十年代の合併を経て今日の五十市町村に至っております。二十一世紀へ少子高齢化とともに、人口の減少期を迎えることを考慮する中で、平成七年に市町村の合併の特例に関する法律が改正され、市町村合併推進の方向が示されました。
 奈良女子大学の木村陽子助教授は、雑誌「地方財政」の十月号で本県の将来の姿について、日本統計協会の「市町村の将来推計人口」を通して、「二〇一五年の和歌山県の姿は、全自治体の六割にあたる三十町村が人口一万人未満で高齢化率も三〇~五〇%と高く(中略)和歌山市、有田市、田辺市、御坊市も高齢化率は二〇%台後半で人口規模は停滞あるいは若干減少するとみこまれる」と述べております。人口数千人の規模で、高齢化率も非常に高い市町村が自治体として機能できるか危惧されるところであり、市町村が行政サービスを維持向上させるためには市町村合併は自治体にとって避けて通れない改革の道であります。
 県においては、平成十年に財団法人和歌山社会経済研究所に市町村の行政体制整備に関する基礎調査を委託し、本年三月に調査研究の報告書が提出されました。平成十一年度も、引き続き同研究所に調査研究が委託されております。同報告書の市町村長、議長及びオピニオンリーダーへのアンケート調査によりますと、今後どのような行政分野の対応が困難かの問いに対して、共通して、介護等の福祉対策と廃棄物処理、ごみ処理等の環境対策への対応が困難であるとの回答が集中しております。つまり、介護サービス等の福祉行政、廃棄物処理やごみ処理については広域行政での対応が必要とのことであります。また同報告書では、本県の広域行政のゾーニングについて、一、人口一万人以上、二、時間距離を市町村間八十分以内、三、中心市町村から最大四十分以内の三つの条件を設定してゾーニングすると、市域拡大型百十一、市制移行型三十六、広域合併新設型四十の百八十七の組み合わせができます。さらに各合併についてシミュレーションを行うと、歳出面では職員数や議員の減少、公共投資の重点化等による削減が可能であるが、歳入面については地方交付税が削減されるために合併のメリットが生じにくく、現状のままで維持することが難しいと思われるところほど歳入面での合併のメリットが見られない状況にあります。こうした状況に対して国は、本年七月に合併特例法を改正して、合併特例債の発行や地方交付税の特例措置の延長など、市町村合併の優遇施策がとられたところであります。
 そこで、西口知事にお尋ねいたします。
 一、市町村合併については、市町村の自主的な取り組みが基本であることは当然でありますが、少子高齢化の時代を迎え、地方分権の推進に伴う市町村合併に対して、例えば知事がリーダーシップを発揮して推進することなども重要であると考えますが、どうか。
 二、知事は、地方分権時代に相応する地方税のあり方について検討を進めると公約されております。平成十二年度政府予算等に関する重点事項説明書において、法人事業税に外形標準課税を導入し、税収の安定的確保を図る旨の予算要望を行っております。そこで、知事の法人事業税への外形標準課税を導入することに対する見解はどうか。
 以上、二点をお尋ねいたします。
 次に、三点目の参加と連携についてであります。
 本年四月二十九日から九月十九日までの百四十四日間、県南部の十六市町村で開催されましたジャパンエキスポ南紀熊野体験博は、目標を大幅に上回る三百十万六千人の参加を得て大成功に終えることができ、関係者の皆様に心より感謝を申し上げる次第であります。南紀熊野体験博のテーマであった「いやす」「みたす」「よみがえる」の「癒し」が日本新語・流行語大賞のトップテンに入り、表彰を受けられ、本当にうれしく思った次第であります。
 今回の博覧会は、十六市町村がそれぞれに地域の自然、歴史、文化を生かし、知恵を絞ってイベントを計画し、県と市町村が力を合わせて連携して取り組んだことが成功した要因であると思います。また、現代人がしゃにむに走ってきた競争社会が今大きな転換期を迎え、大自然の中で心をいやし、心を満たし、心をよみがえらせることが二十一世紀の時代を先取りしたところに成功の因があったとも考えられます。
 西口知事は、紀の川歴史街道フェスタの開催を公約されております。紀の川流域は、高野山を中心に歴史と文化が残されており、高野町石道や奈良への大和街道、また沿線には根来寺、粉河寺、華岡青洲の里など、橋本市を初め各町村には自然と歴史、文化がたくさんあります。こうした資源を生かした取り組みとして歴史の道ウオークを、県と県観光連盟主催で平成十年十一月に高野町石道ウオーク、本年十一月には高野山祈りの道ウオークが開催され、好評を博しています。各市町村においても、岩出町では根来寺の創始者の覚鑁祭、打田町ではハンググライダー、カヌー、粉河町の粉河祭り、かつらぎ町では川上酒かつらぎ文化伝承館が平成十年十月にオープンしました。九度山町では恒例の真田祭りや平成十年に完成した高野紙の伝承活動施設の紙遊苑、橋本市では十万人を超える人々でにぎわう紀の川祭りなど、さまざまな取り組みが行われております。また大和街道は、古くは万葉の時代に多くの和歌が詠まれております。さらに、最近では果樹園を生かした観光農園も盛んに行われているところでございます。
 そこで、西口知事にお尋ねいたします。
 南紀熊野体験博の経験を生かして、二十一世紀の初頭を記念する紀の川歴史街道フェスタを開催し、本県から全国、全世界に情報を発信し、地域の方々の参加と連携で元気わかやまを目指すため今後推進されるのか、お尋ねいたします。
 次に、教育問題についてお尋ねをいたします。
 先ほどの坂本議員の質問と若干重複するところがございますが、ご理解をいただきたいと思います。
 特色ある高等学校づくりと中高一貫教育の導入についてお尋ねをいたします。
 本年十月に、平成十二年度和歌山県立高等学校の生徒募集定員が発表されました。今年は、生徒数の減少の影響により、全日制において十二学級四百八十人の減となりました。ことしの一番の特色は、全日制普通科高校に単位制が導入され、大成高校普通科が単位制高校となったことであります。次に、耐久高校にグローバル探究学科が新設され、新しい取り組みに期待が寄せられております。また、定時制において学級増の要望があった紀の川高校が一学級増設されたことは喜ばしいことであります。本県では、平成元年より特色ある高等学校づくりに取り組み、総合学科の導入、学科の新設、コース制の導入、そして平成十二年度から全日制普通科高校に待望の単位制高校の導入が図られ、特色ある高等学校づくりが着実に進められてきております。本県にとって残された課題である中高一貫教育への取り組みについては、中・高連携推進支援モデル事業を行って四年目に入っております。
 文部省では、平成十年から中高一貫教育実践研究事業を活用して、各都道府県において中高一貫教育研究会議や中高一貫教育実践協力校を設けて、中高一貫教育の導入に向けた検討が行われるよう推進しています。平成十一年には、新たに文部省内に中高一貫教育推進会議を設置して各都道府県等における検討や整備状況について分析する、さらに中高一貫教育実践研究事業を拡充するとして中高一貫推進校を各都道府県三校から五校へ増加するとしております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、全日制普通科高校の活性化対策として、今後、総合学科の増設、単位制高校の増設は計画的にふやしていただきたいと思うわけですが、今後の増設計画はどうか。
 二、中高一貫教育を推進するための本県の中高一貫教育実践研究事業はどう推進していくのか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、公立小学校、中学校における通学区域制度の弾力的運用についてお尋ねいたします。
 公立の小中学校については、子供の就学すべき学校は市町村の教育委員会が指定することになっており、子供は原則として指定された学校に就学しなければなりません。この通学区制度に対して、昭和六十二年五月に臨時教育審議会の教育改革に関する第三次答申で、義務教育については教育の機会均等とその水準の維持向上を図る趣旨から、地域の実情に即してこの制度の運用について検討する必要があるとの提言を経て、平成八年十二月に行政改革委員会の規制緩和の推進に関する意見(第二次)において、保護者の意向に対する十分な配慮や選択機会の拡大の重要性、学校選択の弾力化に向けた取り組みなどが提言されました。文部省は、平成九年一月に通学区域制度の弾力的運用について通知を行ってきております。
 今日、子供が自己を確立しながら多様な価値を認め合い、伸び伸びと学習するためには、特色ある学校づくりを進めていかなければなりません。各学校は、個性ある教育課程の編成に取り組むことに加えて、教育を受ける側が何を求め、何を評価するかを重視していく必要があります。指定された学校以外の選択は困難という硬直した状況から、みずからの意思で選択できる状況になることは、選ぶ側の意識を柔軟にするとともに、責任感を生じさせ、ひいては逃げ場のないために生じている不登校の問題の解決にもなると考えるわけであります。
 平成十年四月から、三重県紀宝町の七つの小学校で通学区域の緩和が実施され、保護者が自由に学校を選んで通学させられるようになりました。平成十二年四月からは、東京の品川区で四十校ある小学校を四つのグループに分けて、その中から保護者が自由に通学する学校を選べる学校選択制が導入されました。紀宝町の場合は、過疎化に対応しての教育環境の改善を目指したものであり、東京の品川区は特色ある学校を目指した活性化対策と考えられます。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、本県における公立小学校、中学校の通学区域制度の弾力的運用について今後どう進められるのか。
 二、本県における平成十一年度の公立小中学校における地理的理由、身体的理由、いじめ、不登校等教育的配慮、その他の理由による弾力的運用の実態はどうか。
 以上、二点をお尋ねいたします。
 次に、国指定重要文化財・旧中筋家住宅の修復保全についてお尋ねをいたします。
 和歌山市和佐地区にある旧中筋家住宅の六棟、母屋、表門、長屋蔵、北蔵、内蔵、御成門が昭和四十九年二月に国の重要文化財の指定を受けました。中筋家は、初代が天正十三年、根来寺の兵火を逃れてこの地に住し、徳川の治世となって地士として名字帯刀を許され、和佐、西和佐、四箇郷一帯を管轄する大庄屋を務めた家柄であります。敷地は広大で、正面の東寄りに長屋門を構え、それを入ると広い前庭を隔てて母屋があります。母屋が建てられた年代は正確にはわかりませんが、大広間床わき小ふすまの絵に野際白雪斉の款記があります。野際白雪斉は、文政二年(一八一九年)から明治四年(一八七一年)の人であり、中筋家の主人には白雪斉に絵を学んだ人がいて関係が深かったため、白雪斉がこの家が竣工したときにふすま絵をかいたと考えられるとすれば、中筋家の九代目が建てた安政から万延のころであろうとのことであります。この建物は建立年代の新しいものでありますが、地士である豪農の高い権威と豊かな財力を示す資料として、歴史的価値が高く評価されております。
 旧中筋家の修復保全につきましては、本年二月に和歌山市が管理団体の指定を受け、三月には市教育委員会より和佐地域文化財保存整備マスタープラン策定調査の報告書もでき、地元自治会を中心に、本年三月二十日に和佐地区活性化推進委員会が結成されました。同推進委員会では、旧中筋家住宅初め和佐王子社跡地より熊野古道、和佐大八郎の墓等の歴史と文化を生かした周辺地域整備を願っております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 各地域に存在する文化財を中心に地域を活性化していこうという運動は、大変大切なことと思います。この地域は、近くに県の施設である紀伊風土記の丘があり、また松下幸之助氏の生誕地でもあります。国の重要文化財である旧中筋家住宅を中心として地域文化を全国に発信していくためにも、修復保全事業の早期着工が待たれております。早期着工へ県の取り組みをお尋ねいたしまして、第一問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 新田議員のご質問にお答えをいたします。
 まず、財政健全化期間における行財政改革の取り組みと平成十二年度の予算編成方針について一括してお答えいたしたいと思います。
 私は、「二十一世紀の故郷(くに)づくり」を推進し、新世紀における和歌山県の大いなる発展へとつなげていくためには、行財政改革を積極的に進め、新たな行政需要にも十分対応できる弾力的な財政構造の確立を目指す必要があると考えてございます。このため、本年八月に財政運営プログラムを策定し、全庁挙げて積極的に取り組むこととし、庁内にワーキングチームを設置いたしまして、いわゆる事務事業評価システムの導入も含め、今後早急に取り組むべき健全化方策について検討させておるところでございます。また、行政内部経費の削減を初めとした財政健全化期間における主要な項目ごとの目標値等についても検討を加えているところでございます。
 今後は、これらの検討結果を踏まえ、収支差の改善に積極的に取り組むこととし、平成十五年度には基金依存型の財政構造からの脱却を図りたいと考えてございます。
 平成十二年度当初予算につきましては、十五年度までの財政中期見通しによる財源不足額を勘案の上、厳しい予算要求基準を設定したところでございます。具体的に申し上げますと、単独投資やその他の施策費については対前年度比八五%といたしましたが、各部局における事業の重点化や新規事業の創出を図るために特別調整枠を別途設定したところでございます。今後の予算編成過程においても、事務事業等の徹底した見直しや歳入確保等の財政運営プログラムに示した考え方をできるだけ反映させて、限られた財源の効率的、重点的な配分に努めていきたいと考えてございます。
 市町村合併についてのご質問でございます。
 市町村の合併につきましては、議員ご指摘のように市町村の自主的な取り組みが基本でございまして、地域の地理的条件や歴史的経緯を踏まえまして、地域において自主的に判断されることが何よりも重要なことだと考えてございます。
 ただ県といたしましては、市町村においてみずから検討研究する際の参考として、市町村の合併パターン等を内容とする要綱を平成十二年中に策定したいと考えてございます。いずれにしても、市町村の将来のあり方について十分議論を深めることが大切であると考えてございます。
 次に、法人事業税への外形標準課税の導入についてでございます。
 外形標準課税は、現行の所得課税の方式に比べまして、行政サービスに対する応益課税としての事業税の性格を明確にすることができるものでございまして、景気に左右されにくく、地方分権を支える安定的な地方税源の確保が図られるものと考えてございます。
 本年七月に政府税制調査会の小委員会で、できるだけ早く導入を図ることが望ましい、なおその具体的な実施時期については景気の状況等を踏まえて判断する必要があると報告されているところでございます。外形標準課税の導入に当たりましては、中小企業への一定の配慮や景気の状況等も勘案しなければなりません。その上での導入が図られることが望ましいと考えてございますので、その実現に向けて今後全国知事会などと連携を図りながら働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、紀の川歴史街道フェスタでございます。
 議員のご質問にもございましたように、紀北地域は豊かな歴史、文化資源を有し、また県民の皆さん方がさまざまな分野で活発に活動されている地域でもございます。
 伊都地方には、高野町石道に関連した北紀高野曼陀羅博を二〇〇八年に開催しようという動きがございます。こうした豊かな地域資源やさまざまな活動を改めて見直しまして、広域的な連携のもとに、これまで地域や団体ごとに行われてきた活動を一体的なイベントとして開催することによりまして、紀北地域全体を県内外に広くアピールするとともに新たな地域づくりの契機としてはどうかと考えているところでございます。今後、関係市町村や関係団体とよく相談をしてまいりたいと考えてございます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 職員の再任用制度への取り組みと新規採用のあり方、定数削減の取り組みとの関連についてお答え申し上げます。
 まず、新たな再任用制度の本県の取り組みについてでございますが、議員のお話にもございましたように、地方公務員法等の一部を改正する法律が本年七月二十二日に公布され、高齢者の能力活用や年金制度との連携を柱とした新たな再任用制度が平成十三年四月一日より施行されることとなっております。これに伴いまして、法律において条例に委任された事項に係る規定の整備について、国の指導や職員への周知の必要性等を考慮して、平成十二年二月議会への上程に向けて現在検討を進めているところでございます。再任用に当たっては、職場の活性化を図ることや組織力を低下させないことが重要でございますので、それらを念頭に置いて、高齢職員の能力実証のあり方やどのような職が適当であるかなどを十分検討しながら円滑な導入を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に新規採用との関係につきましては、この制度が施行されますと、一般職員と同じ勤務条件となるいわゆるフルタイム勤務職員については定数内の職員とされているため、新規採用者との調整を図る必要が生じると考えておりますが、その際には年齢構成も勘案した新規採用職員の確保にも十分留意してまいりたいと考えております。
 また定数削減との関連でございますが、定員管理計画におきまして、知事部局において、事務事業の一層の整理合理化等により平成十五年度末までに約百名の削減を行うことといたしておりますが、その計画の実施に当たっては、今申し上げました新たな再任用制度による雇用も考慮しながら、計画に沿って削減を行っていく方針でございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題六点についてお答え申し上げます。
 まず新たな再任用制度についてでありますが、制度の概要は先ほどの総務部長の答弁のとおりでございます。教育委員会といたしましては、教職員の年齢構成や教員の短時間勤務が可能かどうか等の課題について検討するとともに、先般実施いたしました該当する教職員に対するアンケート調査の分析を行い、実施に向けて準備を進めているところでございます。
 また、教職員定数は定員管理計画にありますように、児童生徒数が大幅に減ることに伴い、その減少が見込まれております。こうした状況ではございますが、国における平成十三年度以降の定数改善計画の策定の動向や退職者数の推移を見きわめながら、新規採用計画並びに新たな再任用制度の円滑な導入について研究してまいりたいと考えております。
 次に教育改革の推進についてでございますが、中学校卒業生の九七%が高校に進学している中、これまで専門学科の新設・改編を行うなど、生徒や保護者の多様なニーズにこたえてさまざまな対応をしてまいりました。来年度は、大成高等学校に全日制普通科では初めての単位制課程を導入し、より多様で柔軟な教育を推進するとともに、耐久高等学校においては、人文科学の基礎を学習し、国際的なコミュニケーション能力の育成を目指してグローバル探究科を設置することといたしております。今後とも、生徒の興味、関心や進路に応じて主体的に取り組むことができる総合学科の設置を初め、単位制課程の導入などの計画的な整備を引き続き進めてまいりたいと考えております。
 また中高一貫教育についてでありますが、かねてから古座高校と古座・古座川両町の五つの中学校を中心として、理科のフィールドワークや数学の授業等において中学校と高等学校の生徒や教師が積極的に交流を行うなど、活発な連携活動を行ってまいりました。こうした成果を踏まえて、同地域の中学校及び古座高校の活性化を図るために、このたび国の研究指定を受け、連携型の中高一貫教育のあり方について実践研究を進めていくことといたしました。今後、この研究の成果を見守ってまいりたいと考えております。
 次に、公立小中学校における通学区域制度の弾力的運用についてであります。
 義務教育における通学区域制度は、適正な学校規模と教育の機会均等などの趣旨から行われているところであります。この制度の弾力的運用については、平成九年一月に文部省から市町村教育委員会による学校指定の権限を維持しつつ、地域の実情に即して保護者の意向にも配慮した工夫を行うことなどの通知が出されております。
 現在、本県の公立小中学校においては、小学生五百四十四名、中学生百七十五名、合計七百十九名の児童生徒に区域外からの通学を認めております。この理由といたしましては、家庭事情、身体的理由、いじめ、不登校、地理的理由等の教育的配慮によるものであります。また、県内の小中学校では地域との連携などによりさまざまな創意工夫を生かした教育を進めておりますが、こうした特色づくりの推進ともかかわって、通学区域制度の弾力的運用について今後とも引き続き研究をしてまいりたいと考えております。
 最後に、和歌山市禰宜の旧中筋家住宅の修復保全についてでありますが、この貴重な文化財の保存と活用について、所有者並びに和歌山市と長年にわたり種々協議を重ねてまいりました。本年二月には和歌山市が管理団体の指定を受け、現在、所有者と保存修理について細部の話し合いが続けられております。県といたしましても、過日、現地において文化庁担当官の指導を受けるとともに、県費補助金についても協議を続けており、事業の実施に積極的に取り組んでいるところであります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、新田和弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十二分休憩
     ─────────────────────
  午後一時四分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四番松本泰造君。
  〔松本泰造君、登壇〕(拍手)
○松本泰造君 議長のお許しを得て、一般質問をさせていただきます。
 まず、質問に入る前に、去る十月末執行の知事選挙において見事当選の栄に浴されました西口知事に、心からお喜びを申し上げます。おめでとうございます。
 知事におかれましては、二期目選挙に当たり、プロジェクト21を旗印に、自分自身が二十一世紀へのかけ橋となるとして選挙戦に臨まれ、得票率七八・九%と、極めて高い信任票を獲得されました。しかしながら、二十一世紀を目前にして、社会経済体制やシステム全体の大きな変動、激動期にあり、長引く不況の中で県財政の悪化等、県政のかじ取りは大変であろうと推察しますが、今回の選挙結果に自信を持たれ、職務の遂行と健康のバランス保持にご留意の上、元気わかやまのリーダーとしてすてきな笑顔を振りまかれ、県民に安心感を与えて頑張っていただきますよう、ご期待を申し上げる次第であります。
 さて、私は、今回の知事選挙の中で、各界各層多くの市民の皆さん方とふるさとの発展、将来について意見交換する機会を得ました。そうした貴重な意見や声を参考にしながら、通告に従って質問させていただきます。
 まず最初に、県民の意識改革と人づくりについてであります。
 西口知事には、議会初日のあいさつの中で、「子供たちが生き生きと光り輝き学校生活を送ることができる教育の推進に努めてまいります。また、ふるさと教育を推進し、ふるさと和歌山に誇りと自信を持ち、社会に貢献できる人づくりを進めてまいります」と述べられました。
 ところで、十一月二十六日の新聞によりますと、東京都の石原知事は、次代を担う子供たちに正義感や倫理観、思いやりの心をはぐくむ教育に社会全体で取り組むとして、「心の東京改革」推進プランの素案を発表されました。素案では、少年非行が低年齢化、凶悪化している現状や、思いやりの心がなかったり、公共の場での基本的マナーを身につけていない子供が増加傾向にあることを改めて指摘し、その背景として、戦後、精神的な価値よりも金銭的な価値や享楽を優先させる風潮が強まったこと、さらには個人主義や平等主義を履き違えた意識構造が広がり、親や教師など大人の教育効果が低下してきたためと分析をし、その上で、親が手本となるよう責任を持って行動し、子育てしていくとともに、子供を社会の子としてとらえ、地域の人や企業が親と一緒になって子供が健全に育つための環境を整えていく必要があるとしております。具体的には、子育てマニュアル、育児やしつけビデオ、親子教室や父親ハンドブックの作成等若い親への情報提供、学校における道徳教育、ボランティアや自然体験など地域での体験型学習機会の充実などを提唱し、一方、地域社会では、大人も自己中心的な行動を慎み、社会の基本的ルールを伝えながらともに成長する親育ち、子育ち文化をつくり上げるべく努めるべきだと指摘をし、今回の素案をもとに都民から意見を集めて反映させ、来年の六月をめどに心の東京改革推進会議を設置して社会的に大きな動きにしていきたいとしております。「心の東京革命」として大人に対し、毎日きちんとあいさつをさせよう、他人の子供もしかろう、子供に手伝いをさせよう、ねだる子供に我慢をさせよう、先人や目上の人を敬う心を育てよう、体験の中で子供を鍛えよう、子供にその日のことを報告させようと七つの呼びかけを行い、プランの序文で石原知事は、「いかにもわかりきったことを書いていると思うかもしれないが、わかりきったことをしていないことが現在の危機だ」と述べておられます。
 さて、社会秩序の乱れは単に大都市のみにとどまらず、本県においても同様でありまして、目を覆い、耳をふさぎたくなるような事件や問題が発生をしたり、全般にしつけの欠如やモラルの低下、恥の文化や公共心の喪失を感じる昨今であります。本県としてもふるさと教育や感動わかやま21運動などを展開されていますが、総合的見地から広く県民に呼びかけて、家庭や地域における教育力の充実等県民の意識改革、すなわち人づくり運動を展開すべき時期に来ていると思います。知事並びに教育長のご所見を賜りたく思います。
 次に、農業問題のうち、まずミカンとカキの安値対策についてであります。
 ことしのミカンは表年に当たり、当初から豊作による価格の低迷が案じられてきたところであり、さらに成長期に雨が多く、日照不足とも相まって、昨年産と比べ味がいまいちのまま収穫期を迎えました。本県では九月より出荷がスタートをしたものの、いまひとつ明るさを取り戻せない景況感の中での買い控えもあり、市場からは再三にわたって出荷ストップの要請がかかるなどの悪条件が重なり、京阪神市場における十一月中旬の販売価格は昨年の約半額で、十キロ入り段ボール箱で千四百円という安値で低迷をし、その後も価格下落に歯どめがかからないとのことで、生産に要した経費を差し引くと借金とただ働きだけが残る悲惨な状況下にあります。
 私の地元である有田のミカン農家の間では、このままで推移すると、平成に入って最低の価格だった平成九年のときよりもさらに厳しい結果に終わってしまうと、嘆きが切実であります。この間、国においては五年ぶりに生産出荷安定指針を発動して摘果による全国的な生産調整を推進するとともに、その後も、出荷段階における生食用ミカンの価格安定を図る観点から緊急措置も実施されていると聞き及ぶところであります。
 こうした厳しい状況を踏まえ、県議会としても去る十一月二十二日、JR新大阪駅でUR対策議員連盟によるミカン消費拡大キャンペーンを実施するなど、積極的な取り組みを行ってきたところであります。
 一方、県内産のカキについても前年をやや上回る出荷量でありましたが、出荷も終盤を迎える中で、厳しかった平成九年と同様の価格で推移をしており、カキ生産農家もまた大変厳しい状況下にあるようであります。
 そこで、次の各項目について農林水産部長にお尋ねをいたします。
 まず一点目は、本年産ミカンやカキの豊作が予測される中、生産者団体と一体となって価格の安定を図る観点から、国の政策実施のほか、県も懸命に努力されてきたと思いますけれども、具体的にどのような取り組みがなされてきたのか。
 二点目に、昨年はミカンの発がん抑制効果ベータクリプトキサンチンを強くPRしてきましたが、本年産ミカンやカキの消費拡大に向けてどのような取り組みを行ってきたか。
 三点目に、現状の販売価格では農家自身が来年度への生産意欲を損ないかねない状況にあり、農家を救済する観点での低利融資等の措置が早い時期から必要と考えますが、県としての考えをお伺いいたします。
 次は、摘果ミカンの商品化についてであります。
 去る十一月十七日の産経新聞の生活欄に、ミカンがアトピー性皮膚炎やぜんそく、じんま疹などに強力な効果があるとの記事が掲載されてありました。記事によると、近畿大学薬学部の久保道徳教授は、未熟期の温州ミカンに多く含まれているヘスペリジンという医薬物質が抗アレルギー剤や抗炎症剤に近いような強い効き目があり、有効で、特にこの物質は未熟期のミカンに多量に含まれていることがわかったそうであります。久保教授によりますと、「実験でも、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、じんましんなどのI型のアレルギーに効果が非常に高いことがわかってきた」としたうえで、「ミカン農家は(中略)七月、八月に摘果をし、そのまま捨てるが、その時期の未熟なものにヘスペリジンが多く含まれていることは、今後農作物をさらに有効利用するという視点からも意義がある」と説明されています。まさに夏場のミカン園で多量の摘果ミカンが捨てられていますが、そのミカンほど抗アレルギー剤が多く含まれているとすれば、何とかこれを商品化して金にかえることができないものか、素朴な疑問を感じます。
 こうした実態を見るとき、摘果ミカンを商品化すべく農業ベンチャーを興すことにより、一石二鳥の効果が上がるのではないかと考えます。県として、商品化研究や消費拡大の材料として取り組む等、ミカン農家の経営安定化策について考えをお伺いいたします。
 続いて、農業共済組合への支援についてであります。
 農業共済制度は、民間からの参入がなく、掛金は農家五〇%、国が五〇%負担し、唯一農業共済組合だけが実施している政策保険であり、台風や暴風雨、病虫害など自然災害によって受けた農業者の損失を補てんして農業経営の安定化を図り、農業の継続と後継者の育成に努め、さらなる農業生産力の発展に資することを目的に設置された制度であります。こうしたことから農業災害補償法に位置づけられ、国、県、団体、農家が一体となって事業運営が進められ、台風銀座と呼ばれる本県農業は幾度となく救済され、有田ミカンの振興にとっても欠かすことのできない制度でありました。
 ご承知のとおり、昨年の台風等でこうむった県下の農作物の損害額は百三十五億円、農業共済が損害補償として農家に支払った共済金は、果樹共済を初め約五十億円、しかし県下では五〇%以下の農家が当該制度に未加入の状況であり、共済制度から支払った額は三七%にすぎなかったようでありまして、農家の経営安定を図る観点からも、組合の経営基盤の強化と共済制度への加入促進を図ることが重要であります。このため、県内三組合構想に基づき、国、県の指導のもと、本年七月、海南、海草、有田が和歌山中部農業共済組合、十月には和歌山、那賀、伊都が和歌山北部農業共済組合、日高、西牟婁、東牟婁が和歌山南部農業共済組合として合併し、新たにスタートをしました。しかしながら、組合を取り巻く状況は依然として厳しく、水田転作の強化やミカン価格の低下、あるいは高齢化による耕作放棄等、共済資源の減少、さらに国庫予算が昭和六十年度から定額横ばいながらも本県共済に対する国庫補助金は年々減額されており、過去五年間の減額実績は三千四百万円に上るそうであります。このような状況に対し、県農業共済団体としても、昭和六十年に百九十六名あった職員を平成十一年度には百九名までリストラを図るなど、経営の合理化に努めてきておりますが、現実には、災害を受けた農家に対する保険金対応に追われているのが状況のようであります。
 ついては、農業の拡大振興と農家経営の安定の見地から、県として組合の運営強化対策に対し積極的な支援をすべきと考えますが、農林水産部長の考えをお聞きいたします。
 通告の三番目は、「半島の中の半島にも光を」と題し、質問と要望を申し上げます。
 歴史をひもとくと、昭和五十七年十二月の和歌山県議会で半島振興法の制定が提唱され、一年後には県議会に半島振興法制定促進議員連盟が発足をし、翌昭和五十九年二月には半島関係八県による半島地域振興対策協議会が設立をされ、同年八月、全国の半島振興法制定促進大会を開催するなど、粘り強い陳情活動を展開され、与野党を超えた国会議員の協力を得て、昭和六十年六月の国会において議員立法により待望の半島振興法が制定をされたのであります。
 新法に基づき、半島振興対策実施地域は、本県を含む十九地域が豪雪地帯や離島と並ぶ特定地域に位置づけられ、特に本県では五十市町村中四十九市町村が対象となり、以来十四年、法の趣旨にのっとって紀伊半島ではいろんな面で法の恩恵に浴してきたところでありまして、法律制定に至る経緯の中で大変なご努力を重ねてこられた先輩各位に深甚なる敬意と感謝をささげるものであります。
 国土幹線軸から離れ、山間僻地を多く抱え、経済的な立ちおくれ、過疎と高齢化が進展する中で、後進性を打破したいというせっぱ詰まった状況、まさに窮鼠猫をかむ思いで法制定に向けた精力的な取り組みがなされ、紆余曲折を経て制定されたのが半島振興法であります。法に基づく半島振興計画の中身としては、交通網や情報通信網の整備、産業の振興や観光開発、水資源の開発や生活環境整備、福祉の充実や教育文化の振興等に加え、金融上の融資制度や税制上の特例措置、そして財政上の措置があり、特に本県では半島循環道路や幹線市町村道の整備、地域総合整備事業債による地方単独事業、農道整備や地方道の改築等、採択基準緩和による事業推進などを駆使して県内の道路網整備に重点を置き、積極的に推進をされ、仮谷県政に引き続き西口知事も先頭に立って県内二時間行動圏構想を掲げ、鋭意取り組まれてきたところでありまして、京奈和自動車道や近畿自動車道紀勢線の南紀延伸を軸として、この十数年間に県下各地で随分利便性が向上してきたことを高く評価するところであります。
 ところで、私の選挙区である有田市は、紀伊半島から紀伊水道に張り出した半島の中の半島のような地理的条件にあり、高速道路から外れ、唯一の幹線である国道四十二号線は慢性的な交通渋滞が続くなど、市民の間では、このままでは陸の孤島になってしまうんではないかとの強い危機感を募らせておるのが実態であります。
 ご存じのとおり、中紀地方に位置する有田市は、海あり山あり川ありの自然環境に恵まれ、伝統の有田ミカン、沿岸の水産業に加え、地場産業や商工業もそれなりに発達をし、石油精製業の東燃和歌山工場、非鉄金属の三菱電線工業箕島事業所も操業中でありますが、長引く不況や競争力強化のあおりでいずれの産業とも大変厳しい状況が続いており、消費地直送、輸送時間と輸送コストなど流通面の問題、就職面でもリストラや通勤アクセスの問題等、ハンディキャップを余儀なくされております。しかも、中紀の中核都市でありながら県の施設が皆無に等しい状況下にあり、せめて都市機能だけでも充実してほしいという市民の切実な声を代弁して、関係部長に二点ばかり質問と提言、要望を申し上げる次第であります。
 まず、国道四十二号渋滞解消対策についてであります。
 この問題につきましては、関係地域住民の生活道路確保の観点から、県当局の現状認識とご理解を賜り、県から国への重点要望事項に加えていただくなど、当面の渋滞対策、抜本対策等について近畿地方建設局や和歌山工事事務所との折衝に当たっていただくとともに、関係自治体である海南市、下津町、有田市の二市一町と有田郡町村会による国道四十二号・有田下津海南間整備促進協議会を結成し、近畿地方建設局や建設省に対して積極的な陳情活動を展開してきたところであります。
 こうしたことを踏まえ、平成十一年度に国の調査費が計上され、頻繁に走行車両の調査が実施されつつありますが、次の項目について質問をいたします。
 建設省和歌山工事事務所と県では、十月二十六日から三日間、有田市箕島から和歌山市紀三井寺間の国道四十二号線で和歌山交通需要マネジメント、すなわちTDM社会実験を県内で初めて実施し、朝の渋滞が深刻な国道四十二号線を対象に参加者を公募して乗用車と電車の併用、相乗りなどを体験してもらい、実験日当日の交通状況をふだんと比べ、渋滞緩和方法を探る目的で実施されたとのことでありますが、その実施状況と結果についてお伺いをいたします。
 続いて、建設省が本年度から調査費をつけて抜本的対策について一定のめどをつけたいとのことで、先日、関係自治体に対して抜本対策案の打診があったようでありますが、現在までの進捗状況と取り組み、県の見解についてお伺いをいたします。
 なお、国道四十二号線の有田市から海南市間にある幾つかのトンネルでは従前より水漏れが続き、施設の老朽化が懸念されるところであります。最近、JRの新幹線や在来線でトンネル内壁の落下事故が頻発しており、国道四十二号トンネルにおける安全点検は十分に行われているのか。県民の命を守る観点からご報告を願います。
 続いて、近畿自動車道紀勢線へのアクセス道路問題についてであります。
 有田地方では、去る七月二十四日、近畿自動車道紀勢線海南・吉備の四車線化事業の中心くい打ち式が挙行され、いよいよ高速道路時代が本格化し、新たな県土軸として脚光を浴びる中で、県下七市の中でたった一つ有田市だけが高速道路網計画から外れ、高速時代から取り残されていくような孤独感というか、町の将来を悲観する市民の声が悲痛なうめきのように聞こえてまいります。その声は、まさに昭和五十七年当時、時代の流れにおくれまいとして半島振興法制定を念願して奔走した和歌山県民のあのときのせっぱ詰まった心情と同じような条件下にあります。農漁業、商工業や観光業の振興等、流通の高度化が命運を決する時代に突入した今日、県土軸に直結するアクセス道路の連結こそ緊急の課題であります。とにかく、有田市民は、海南・吉備四車線化事業のこの時期を逸したら永遠に県土軸から外れ、市の発展は望めないとの強い危機感から、私ども政治に携わる者への風当たりが強くなってきています。
 私たちとしては、近畿自動車道紀勢線海南・吉備の四車線化事業が進められていく状況の中で、何とか有田市から直接乗り入れのできる道路の検討を強く要望申し上げる次第であります。
 以上、「半島の中の半島にも光を」と題し、有田市民の生の声を代弁してきましたが、知事には、日ごろから、たとえどの地域にあっても住んでよかったと言えるふるさとづくりを標榜されております。有田市民のこうした願いに対し、西口知事はどのような考えをお持ちか、お伺いをいたします。
 以上で、演壇からの質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの松本泰造君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 松本議員にお答えをいたします。
 先ほどは、温かいお言葉、ありがとうございました。
 二十一世紀への課題は、まさに人づくりであろうかと思っております。近年、青少年による凶悪事件の多発、薬物の乱用、いじめや不登校など、子供が直面している問題は極めて深刻な状況にございます。このような問題の背景といたしましては、子供を取り巻く環境や大人社会全体の意識の変化、価値観の混乱など、さまざまな変化が子供たちに影響していることと考えておるところでございます。
 ただいまの県民意識改革と人づくりについての議員のご提言は、まさに人づくりに対する貴重なご意見としてお伺いをいたしました。私も、このような社会の激しい変化の中にありまして、子供たちが生き生きと光り輝き、ふるさと和歌山に誇りと自信を持ち、社会に貢献できる人づくりへの熱い思いから、特に昨今は学校、家庭、社会の三位一体になった推進が極めて必要であろうと思いますけれども、そのことについて現在県では、最近の社会変化に的確に対応する二十一世紀の青少年施策を推進するために、わかやまの青少年プランの策定を進めてございます。このプランにご提言の趣旨を生かしまして、さらにプランの実施に当たっては感動わかやま21などの県民運動とあわせて、県民総参加の運動による県民の意識開発、あるいは人づくりを進めるための一大運動を展開していきたいと考えてございます。
 次に、有田市の市民の願いに対する知事の所見ということで、「半島の中の半島にも光を」についてでございます。
 有田市は、昨年二月に策定いたしました県長期総合計画では、わかやま二十一世紀計画の中に、周辺五町を含む有田圏域の中心都市として位置づけておるわけでございます。この有田圏域は和歌山市や京阪神大都市圏の都市近郊地域となってございますが、今お話がございましたように、有田市民の強い願いである高速道路へのアクセスを初めとした国道四十二号の渋滞対策など道路問題等の課題があることは、私も痛いほど承知をしてございます。
 後ほど、具体的には土木部長から答弁いたしますけれども、今後は道路、下水道等の生活基盤の整備を進めるとともに、有田地域の豊かな自然を生かしつつ、基幹作物であるミカンを中心とした農林水産業あるいは地場産業の振興を図ることによって都市との交流や多彩な活動ができる生活圏域の形成に努めまして、議員からもご質問がございましたけれども、私が常に申し上げております、どの地域にあっても、どの立場にあっても住んでよかったと言える故郷(くに)づくりが空文に終わらないようにしっかりと頑張っていきたいと思っておりますので、ご了解をいただきたいと思います。
○副議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 松本泰造議員の農業問題の三点のご質問にお答えいたします。
 まず、ミカンとカキの安値対策についてでございます。
 本年産ミカンにつきましては、例年にない高温多雨によって品質の低下を招き、市場価格が低迷したことから、極わせからわせに切りかわる十月三十日から十一月一日までの三日間、全国各市場への出荷を停止するなど、生産者団体みずからの取り組みも行われ、さらに国においては去る十一月一日、市場価格の回復を図る観点から、本来、市場出荷する果実を加工用に仕向ける果実緊急需給調整特別対策事業の実施が決定されたところでございます。
 本県といたしましても、今議会で加工用の通常枠の増枠をお願いするとともに、緊急対策の実施とあわせ、加工仕向け量を約二万五千トンとするなど、市場価格の回復に懸命に取り組んでいるところでございます。
 カキにつきましても、厳しい環境を打開するため、去る六月十七日、JAグループによるカキ生産者大会が開催されるなど、新たな取り組みも見られております。
 次に消費拡大対策についてでございますが、生産者団体と一体となって、本年もミカンやカキの効用などについてマスメディアを使った消費宣伝を実施してございます。さらに十一月二十二日には、県議会UR議員連盟において新大阪駅でミカン消費拡大キャンペーンを実施していただくとともに、県といたしましても、十一月二十九日、副知事や県議会農林水産委員ご出席のもと、京阪神市場の方々との販売促進懇談会等を実施したところでございます。
 次に低利融資等の措置についてでございますが、本年の低価格がミカン、カキ農家の経営に大きな影響を与えないか懸念しているところでございまして、今後の価格の動向を見守りながら低利の緊急融資について検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、摘果ミカンの商品化についてでございます。
 お話の、アレルギーに対して効果があるヘスペリジンにつきましては、専門機関によりますと、採算性や需要の点で問題などがあり、商品化は難しいのではないかと聞いてございます。しかしながら、市場で販売されているミカンにおいても少量ながらヘスペリジンが含まれていることから、ベータクリプトキサンチンのような消費拡大対策として活用できないか、生産者団体の意見を聞きながら検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、農業共済組合の運営強化対策と県の支援についてでございます。
 農業共済制度は本県農業振興にとって大変重要な施策であり、これまでも農業共済組合連合会と連携しながら、共済組合の加入促進や広域合併の推進に取り組んできたところであります。
 本年には、和歌山中部を初め北部、南部農業共済組合が実現したところでございますが、議員のお話のとおり、農業共済を取り巻く状況は依然として厳しいところであります。このため、農業共済事業事務費負担金の維持、増額を国に働きかけるとともに、「県民の友」や県のホームページへの掲載による広報を新たに実施し、未加入農家の介入促進を進めているところでございます。
 今後とも、本県農家の経営安定を図る観点からも、農業共済団体の運営強化を支援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 国道四十二号渋滞解消対策についてお答えいたします。
 交通需要マネジメント(TDM)とは、道路を利用する人が出発時刻、走行経路、交通手段を変更したり相乗り等で車を効率的に利用するなどして交通需要を調整し、渋滞緩和を図る方法であり、TDM施策を活用した社会実験が全国的に実施されております。
 今回の社会実験につきましては、交通の集中により渋滞が慢性化している国道四十二号の有田市から和歌山市間において、朝の通勤時間帯の北行き交通を対象にTDM施策の必要性を広報するとともに、渋滞の減少等の効果を把握し、効果的な施策を検討するため実施いたしました。
 この実験には二百二名のモニター参加者があり、十月二十六日からの三日間で延べ五百一名の方々に、パーク・アンド・ライド、パーク・アンド・バスライド、時差出勤、経路変更、相乗り出勤等によるTDM社会実験に参加していただきました。区間によっては多少の時間短縮効果が見られましたが、実験結果及びアンケート調査については現在建設省を中心に取りまとめ中であり、まとまり次第公表する予定でございます。
 国道四十二号の有田市から海南市間の交通渋滞対策につきましては、建設省、県、関係市町、県警で組織する一般国道四十二号有田市─海南市交通渋滞対策協議会の場で検討を行っているところでございます。
 抜本的な対策である四車線化については現在建設省で検討されているところであり、市、町の現状や将来の土地利用計画、また新規プロジェクト等を考慮し、県、市、町の意見を広く聞きながらルート調査を進めていただくこととなっております。
 国道四十二号の有田市から海南市間の渋滞解消は、地域さらには県の発展にとって必要でありますので、今後とも四車線化を強く国に働きかけてまいります。
 次に国道四十二号の有田市から海南市間のトンネルにつきましては、塩津第一トンネルを初め九カ所ございます。現在、建設省におきましては、最近供用のトンネルを除く直轄国道の全トンネルについて点検調査が進められております。既に目視による点検が完了し、異常なしと聞いております。
 さらに、トンネル全断面の打音による点検が実施されております。当該区間については、現在、九カ所中三カ所で打音調査を終え、それらについて異常なしと聞いております。引き続き、残りのトンネルについて打音調査を進めているところです。異常が認められれば、補修方法について検討の上、速やかに補修を行うと聞いております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 松本議員にお答え申し上げます。
 子供の健全な育成は、申すまでもなく、学校、家庭、地域社会の連携のもと、社会全体の枠組みの中で図るべきものであると考えております。
 日常生活の場で子供たちの行き過ぎや誤った行動、態度に対して親や大人ははっきりとそれを否定すべきであり、社会生活においては絶対に守らなければならないルールや規律があることを自信を持って示し、教えることが大切でございます。そのためには、何よりも大人自身や社会全体のモラルの向上を図るとともに、家庭や地域社会の教育力を高める必要があると考えております。
 こうしたことから、教育委員会では、子育てやしつけについて二十四時間の電話相談を実施しているほか、家庭教育に関するテレビ番組を制作したり、全国子どもプランの一環として家庭教育手帳の配布を行うなど、家庭教育を支援し、推進する各種の事業を実施しているところであります。
 今後とも、あらゆる教育の出発点としての家庭教育を一層充実するとともに、県民の方々にさまざまな学習の機会を提供し、地域社会全体の教育力の向上に努めてまいる所存でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四番松本泰造君。
○松本泰造君 各問題について答弁をいただきました。それぞれについて要望を申し上げて、質問を締めくくりたいと思います。
 まず、県民の意識改革と人づくりの問題についてでありますけれども、知事と教育長から答弁をいただきました。県並びに教育委員会としてそれぞれに取り組んでいただいていることがよくわかりました。私は、県民の意識改革と人づくりのために、県民全体に対する意識や行動のあるべき姿、目標を設定すべきではないかと前から考えております。例えば、市町村に参りますと、中には市民憲章や町民憲章を制定して、住民意識の高揚を図るために役所の玄関に憲章が掲示されておったり、あるいはまた市や町の広報に定期的に憲章が掲載をされて住民の意識喚起を図っておるというふうな──そんなに大きなスペースをとるのではなくて、常に住民の目に触れるような施策を講じておる姿を見ますと、私は、県としても、県民が和歌山県民として誇りを持てる不変の目標を示すために県民憲章を制定したらどうかなと、こんなに思うところであります。
 聞くところによりますと、県民憲章を制定している県はほかにないそうでございますけれども、私はそれだけに、全国で初めて和歌山県が和歌山県としての理想を掲げる、そんな県民憲章を制定して内外にPRをするべきではないのかなと思うところでございまして、県民憲章制定の是非についてご検討をいただくように要望しておきたいと思います。
 第二点目に、農業問題についてであります。いろいろと要望を申し上げましたが、本県産業の基幹品目であるミカン、カキが採算割れの安値に遭遇をして大変困っているようであります。こうした状態が続きますと、平成元年以来続いてきた果樹王国和歌山を守っていけるのかどうか、大変危惧するところであります。本県の基幹産業を守るという見地からより一層のご尽力をいただきますよう、要望を申し上げる次第であります。
 最後に、「半島の中の半島にも光を」と題して市民の声を代弁させていただきました。先日の知事選挙では、西口県政に対する有田市民の強い期待感が数値で示されました。実は、きょうは十月九日、障害者の日だそうであります。和歌山県のスローガンは「つれもていこら」であります。どうか、半島の中の半島にある有田市の問題についても、県勢発展の仲間外れにならんようにひとつよろしくお願いを申し上げまして、一般質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松本泰造君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 お許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行わせていただきます。
 まず最初に農業にかかわる問題について、幾つかの視点から質問いたします。
 一つ目は、梅枯れの問題です。
 十一月二日付の読売新聞に、知事選挙直後の西口知事へのインタビューが掲載されています。その中で、梅枯れ問題について知事は、「原因究明の結論を今年度中に出さねばいかんと思う。生産農家の四割が御坊火力発電所が原因と言っているわけですよ。火電の影響かどうか分からないが、大気は多少あるのかなという感じはします。農家の主張と平行線のままでは問題は解決しないし、納得してもらえない。そこが難しい」、このように述べられております。「原因究明の結論を今年度中に」ということは知事の強い決意であると思いますが、農家の中からは、逆にその発言に対する不安の声が聞こえました。それは、根本的な原因がどういう方面にあるのかさえわからない現在の状況で、年度内つまり来年三月末までに結論を出せるのか、何か結論を強引に押しつけられるのでないかという、そういう声でありました。
 先日の県議会ウルグアイ・ラウンド対策議員連盟のうめ対策部会でいただいた「ウメ生育不良対策に関する試験研究成果(現在までに得られた知見)」という資料では、私は驚くような報告がされたと感じています。「摘らいや切返しせん定の着果制限で、徒長枝が増加し樹勢が回復」、「改植は適切な土壌改良と整枝せん定で九年目も再発しない」、「湿害園は排水対策と切返しせん定で樹勢が回復」というふうに、これらの対策をすれば樹勢は回復するんだと、これを見た人はだれでも思えると思うんです。しかし事実は、いろいろ試験研究をやっている中で一部にそういう事例もあったということにすぎないわけです。
 例えば、県に研究用にと畑を貸しているある農家の方は、この研究の報告書を見て驚いておられました。そして、こう言っていました。「高田さん、県は衰弱症が発生しないと言っているが、十年生の梅の木一本に九から十キロしか実がならないようにしている。これだと一反で約三百キロの収穫で、これでどうやって飯が食えるんですか。発生しないと言うなら、せめて反に一トンぐらいの収穫ができるようになってから物を言ってほしいものだ」と、このように言われていました。県行政を信頼して梅畑を貸してくれている方にこう言われること自体、おかしなことではないですか。
 県の言うとおりの対策で回復するなら、もうとっくに農家は対策をとっておりますし、そうやっても回復しないからここまで梅枯れが広がっているのであります。うまくいかなかった試験園のことは何も書かないで、うまくいったところだけ事実だからと報告書に書く、こんな試験研究がありますか。こういうふうな現状とは合わないものを幾ら出しても、知事、これではますます農家との溝が深まるのではないでしょうか。
 そこで、伺います。知事としてのこの試験研究成果の報告書に対する感想を伺うと同時に、あなたの言った三月までの結論はこういうものでいいのかどうか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
 先日、みかん園芸課の方に「来年も県のうめ対策研究会は続けていくんでしょうね」と聞きますと、「現在検討中です」との答えでありました。これだけ梅枯れが進んでいるのに、来年も研究会を継続するかどうか検討する方がおかしいではないですか。当然継続していくべきだと思いますが、県うめ対策研究会の来年度からの活動についてどのように考えておられるのか、農林水産部長の答弁をお願いします。
 また、知事選のさなかには、農家でつくる梅枯れ対策期成連盟から要望書が出されました。その中には、私が六月議会で求めたばいじんの暴露実験も入っていますが、この検討状況は今どうなっていますか。答弁をお願いいたします。
 さらに、御坊火力発電所から排出されているばいじんを採取して農家にも渡してほしいという項目もありました。ばいじんを採取して提供するよう、県から関西電力に要望されてはどうでしょうか。答弁をお願いします。
 さらに、先日、梅枯れ原因究明シンポジウム開催実行委員会より、梅農家の推薦する学者、県うめ対策研究会の学者、紀南農協と関電の梅生育障害対策研究会の学者が一堂に会して梅枯れの原因究明のための公開シンポジウムを開こうという提案がなされていますが、県としてうめ対策研究会の学者、あるいはその方たちが無理なら県の研究者自身がこのシンポジウムに参加するようにしてはいかがでしょうか。農林水産部長の答弁をお願いいたします。
 次に、ミカンの安値への対策について伺います。
 ことしのミカンは、極わせから安値が続いています。ある地方新聞では、「ミカン市況の泥沼悪化が続く。このままで市況が回復しないと、ミカン産地の有田地方は長引く深刻不況に加えて大きな打撃を受ける。ミカン安値の非常事態。売り上げ推定二百億円がこのままでは三分の一の六十億円へがた落ち」と報じられています。大阪本場の和歌山産のミカンの値段を見ますと、Lの十キロ箱の安値での比較ですが、十月二十四日で五百七十五円、十一月七日が七百八十八円、十一月二十一日には少し持ち直して千五百七十五円、十二月五日には七百三十五円となっています。農協へ出荷する人、直接業者に売り渡す人といろいろありますが、箱代や出荷経費で約六百円が必要であり、本当に手取りがあるかないかというレベルであります。
 一昨年も、大変な安値でありました。このとき県は、JA(農協)が農家に行った緊急融資に対して市町村と協力して利子補給制度をつくり、農家の皆さんから喜ばれました。現在は、これからの市況にもよりますが、こうした対策を事前に準備しておくことが必要と考えます。農林水産部長の見解をお示しください。
 また、和歌山県の主要農産物であるミカンやカキ農家が安心して生産できるためには、生果の価格保障制度がどうしても必要だと考えています。その検討、研究を求めますが、農林水産部長の答弁をお願いいたします。
 農業問題の最後に、猿やシカ、イノシシなどによる農作物の被害対策について伺います。この件では、ことし二月県議会でも中山豊議員が取り上げましたが、今回は改正された鳥獣保護法との関係で質問いたします。
 今、県下全体で鳥獣による農作物被害がひどくなってきています。西牟婁郡でも一円から、何とかしてほしいとの声が上がっています。また猿の被害では、海南市でこの夏、高津の桃が大きな被害を受けました。桃農家は猿が食べてもいい木まで別に用意しているのですけれども、猿は手当たり次第にもぎ取って、かじっては捨てて、猿の重みで枝が折れる被害まで出ています。被害地域は、和歌山市、海南市、貴志川町に及んでいます。被害作物は、サツマイモ、カボチャ、トマト、トウモロコシ、タケノコ、桃、ミカン、クリ、ビワ、カキ、豆、稲などに広がっています。
 ある猿の専門家の調査によりますと、もともと大池遊園という場所で飼育されていたタイワンザルが、海南市の大旗山を囲む丘陵地を根城としています。そして離れ猿としては、遠くは紀南の方面に広がり、ニホンザルとの混血が拡大していく傾向が指摘されています。まさに、県下の広い範囲で生態系の混乱が起こっていると言えます。一方で、日本の野生鳥獣のうち、ツキノワグマなど絶滅の危険にさらされているものがあります。また、先ほど述べたように、シカ、猿、イノシシなどが地域的に増加し、農林業被害が出たり、生態系が破壊される問題も生じております。
 ことし九月の鳥獣保護法の改正では、知事は、著しく増加または減少した鳥獣がいるときは特定鳥獣保護管理計画を策定することができ、その際、国が定めた捕獲の禁止や制限、狩猟期間等の制限を緩和することができるようになりました。日本共産党の国会議員団は、これに反対しました。それは、この法改正が鳥獣の保護より駆除に偏っており、国、地方自治体の鳥獣保護の体制が不十分な今の状況で、都道府県が十分な調査ができないまま保護管理計画を導入すれば鳥獣の安易な駆除が進むおそれがあるからです。地域によっては種の絶滅を生む危険性もあります。また、駆除が妥当な場合でも、駆除する鳥獣の固体数や生態、行動範囲などの調査を行っていないと、どれだけ駆除するのが適当なのかわかりません。駆除を本当に効果的なものにするためにも、科学的で綿密な調査の上で保護管理計画を立てなくてはなりません。
 そこで、伺います。現在、和歌山県ではツキノワグマのみに保護管理指針というものが策定されていますが、今後、保護管理計画をどのような種に対し策定しようと考えておられますか。また、計画の策定作業にはどういったスタッフが当たることになるのですか。生活文化部長のご答弁をお願いします。
 また、有害鳥獣に対して駆除の結論を出す前に、防護つまりさくや網などで被害を未然に防ぐということがより大切だと考えますが、国の補助事業はあっても、地元の負担金が高くてなかなか進まないという状況も一方にあるようです。その対策をさらに充実させるなどしてはどうでしょうか。これは、農林水産部長に答弁をお願いいたします。
 二番目の問題として、県内の交通安全対策について伺います。
 県内の道路整備については、県当局の努力もあり、高速道路、国道、県道の整備が進んできたところです。遅くまで残業をしながら事業の推進に当たってきた土木部を中心とした職員の皆さんの努力に敬意を表したいと思います。
 西牟婁郡で言いますと、熊野博を契機に国道三百十一号線の整備が完了し、大変便利になったところであります。しかし、そうして便利になる反面、和歌山県内の交通事故は年々増加し、統計資料によると、人口十万人当たりの死傷者数は、平成八年度では全国ワースト五位、平成九年度ではワースト八位で、常に上位にいるという誇らしくない状態にあります。特に年々整備が進められてきた国道三百十一号が通る町では交通事故の増加率が高く、平成元年と十年後の平成十年を比べてみますと、県全体で平均一・二六倍の増加に対して中辺路町では三・一一倍、本宮町では三・〇倍と、増加率が三倍を超える市町村は県内でもこの二つの町だけであります。
 先日も、この三百十一号を通っていると、足の悪いおじいちゃんが三歳ぐらいの孫を背負って道路を横断していました。そこはカーブなんですけれども、道がよくなりましたので車は七十キロぐらい出して通っているんです。孫だけに渡らせるわけにはいかないと思ってそうしたんでしょうが、本当に見ていてつらい思いがしました。
 私は、事故の増加の背景には、車がスピードを出しやすい、新しい道路の開通にふさわしい交通安全施設の整備がおくれていること、また交通量の増加に対して道路の補修や維持管理が追いついていないことなどが原因ではないかと考えています。例えば、和歌山県は県道の総延長に対する歩道がどれだけ設置されているのか、その設置率で比べてみますと、近畿二府四県内では最も低く、約一二%になっています。また県道のキロ当たりの維持管理費、これは県によって雪が多いとか少ないとか、単純に比較できない部分もありますけれども、それにしても近畿の多い県の五、六割程度であり、充実しているとはとても言えない状況だと思います。
 こうした交通安全や道路の維持といった県民の命にかかわるような重要な予算はここ数年来減ってきていますが、私は逆だと思います。厳しい財政の折ではありますが、今後増額していくべきではないでしょうか。土木部長の答弁をお願いいたします。
 今回この質問をするに当たって、私は西牟婁郡内を中心にいろいろ現地を調査しましたが、大変気になることに気づきました。それは、国道であれ、県道であれ、県が管理している道路ではトンネル内の照明が非常に暗く、危険だということです。
 ご承知のようにトンネル内の照明は、昼間、外が明るいときには特にトンネルの入り口の部分を明るくして、入ったときに急に見えにくくならないように工夫がされています。普通は、トンネル設計の段階で標準的な外部の明るさ、トンネルの長さ、交通量などを勘案してトンネル内の照明を設置するわけです。そして、外が晴天で明るいときにはトンネル内の全部の照明が点灯しているという姿が普通なのです。ですから、国が直接管理する国道四十二号線のトンネルは、どこでも晴れた日の昼間に行くと全部の照明が点灯しています。しかし、県管理の三けた国道と県道のトンネルは昼でも照明が少なく、はっとすることも多々あります。
 先日、私が調べただけでも、十三の県管理トンネルのうち全部点灯していたのはたった三つであり、十三分の三でした。これは、明らかに基準違反、安全軽視です。担当者に聞くと、故障も多いとのことでしたが、仮に故障しても修理をすればいいわけで、現に国管理の四十二号線は、十一カ所調べてもどこにもこういう状態はありませんでした。壊れたままの状態でほったらかしというのは、行政の怠慢以外の何物でもないと思います。どうしてこういう状態になっているのか、土木部長の答弁をお願いします。
 最後に、航空工学系大学について伺います。
 十二月六日に、航空工学系大学基本計画検討委員会の最終報告書が出され、白浜町の旧空港跡地に仮称・和歌山工科大学を建設する計画が知事に提出されました。和歌山県内の大学残留率、つまり県内の高校を出た生徒が県内の大学に進学する率が八・四%、全国四十六位と低迷している中、和歌山市周辺以外でも高等教育機関を設置することについては、基本的には県民の理解が得られるものと考えています。ただ、今回の計画については、公設民営という具体的な方向が出されてきたのがことし六月以降であり、県費負担が約百五十億円もかかる大事業計画だと明らかになってからまだ間がないわけです。今後、十八歳人口は今から十年後の平成二十一年で百二十万人と、現在の七五%に減少するとされています。また、授業料も含めて学生が一年で納めるお金は百四十二万円もかかる計画になっていますが、この不況の折、学生が思ったように集まるのかどうか、大変心配をしております。事業採算性の見通しについて企画部長に答弁をお願いします。
 これで、私の第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの高田由一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 高田議員にお答えいたします。
 梅枯れ問題についてでありますけれども、これまで、農林水産部はもとより関係部局を挙げて取り組んできたところでございます。
 ご質問の試験研究の成果につきましては、専門家で構成する和歌山県うめ対策研究会の指導・助言や評価を受け、これまでに得られた個々の研究成果を示したものでございまして、原因を特定したものではないと考えてございます。私は、一日も早く原因究明をしてほしいという希望的観測を申し上げたものでございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 高田議員の農業にかかわる問題についてお答え申し上げます。
 県うめ対策研究会の来年度からの活動についてでございます。
 平成九年に設置をして以来、一定の期間も経過をしてございますので、これまでの研究成果を踏まえ、年度末を一つのめどに研究会としての一応の取りまとめをお願いしてございます。
 今後、この研究会の取りまとめを踏まえまして、試験研究をより一層推進するために引き続いて専門家の適切な指導・助言を得られる体制を考えてまいりたいと存じます。
 次に御坊火電のばいじんの直接暴露試験につきましては、六月議会でお答えしましたように、科学的に評価し得る調査ではないと考えてございます。しかしながら生産農家の要望も強いことから、直接暴露試験にかわる方法として、土壌と梅樹体内の成分比較など、調査可能な研究課題については新たに取り組む方向で検討を進めてございます。
 また、ばいじんのサンプルの提供につきましては、これまでの研究会の先生方の指導、教示を受けて、今申し上げましたように、ばいじんの直接暴露は科学的な評価に結びつかないと考えてございますので、県からの申し出は現在のところ考えてございません。
 次に公開シンポジウムに関連してでございますが、県としましては、これまでに開催したうめ対策研究会や地元での説明会など公の場において、生産者を初め関係機関への説明や農家との意見交換を行うなど、鋭意取り組んできたところでございます。
 シンポジウムへの参加につきましては、現在、うめ対策研究会の委員には専門の立場から取りまとめについて検討していただいているところであり、県の試験研究機関においても成績の取りまとめを行っている段階でもありますことから、参加については難しいと考えてございます。
 次に、ミカンの安値対策についてでございます。
 先ほど松本泰造議員にお答え申し上げましたように、県といたしましては、今後の価格の動向を見守りながら、低利の緊急融資について検討してまいりたいと考えてございます。
 次に価格保障制度についてでありますが、県といたしましては、園内道等の生産基盤を初め、糖酸を識別する光センサー式選果機等、流通面での近代化施設の整備を重点的に実施し、果樹産地の体質強化を図ることにより生産農家の経営安定を進めることとしておりますので、議員お話しの新たな生果の価格保障制度については、現在のところ難しいものと考えてございます。
 なお、本年産ミカンのように市場価格が大きく下落した場合、価格回復を図る観点から市場隔離を行う果実緊急需給調整特別対策事業を実施するとともに、加工用の価格対策として、果実生産出荷安定基金事業によりミカン、ハッサクや桃の価格補てんを行ってございます。
 次に、農産物の鳥獣害対策ございます。
 近年、県内各地域で農林産物に対して猿、イノシシ、ヒヨドリ等による鳥獣被害が発生していることについては承知しているところでございますが、これまで農作物猿害防止モデル事業等により防護さくや地域における被害防止推進活動に対する助成を行ってきたところでございます。今後とも、農林産物の被害軽減対策については、関係機関と連携を図りながら積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 高田由一議員のご質問にお答え申し上げます。
 農作物の鳥獣害対策についてでございますが、議員ご指摘の特定鳥獣保護管理計画につきましては、著しく増加または減少した鳥獣について保護管理の目標を設定し、これに基づき固体数管理、被害防除対策等を総合的に講じることにより人と野生鳥獣との共存を図ることを目的として策定するものであります。
 本県において対象と考えられる鳥獣は、被害が深刻化している鳥獣、例えばシカ、猿、イノシシがあり、一方、地域的に絶滅のおそれが生じている鳥獣としてツキノワグマがあります。
 なお、計画の策定に当たっては、県、関係市町村、学識経験者、農林業団体等から成る検討会を設置して検討してまいることとなります。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 県内の交通安全対策につきまして、まず予算の充実についてでございます。
 紀伊半島南部を横断する国道三百十一号は、県南部の生活、産業、観光を支える道路として重要な役割を担う広域幹線道路であり、最重要路線として整備を進めてまいりました。この路線の交通事故対策につきましては、急カーブ区間の対向車警戒装置、スリップ防止舗装、路面温度表示板、減速看板、視線誘導標等を設置し、安全対策を講じております。
 一般的に、交通事故の増加要因といたしましては、運転免許人口の増加、自動車台数の増加、高齢者人口等の増加など、道路交通を取り巻くさまざまな環境の変化が考えられるところでありますが、いずれにいたしましても、交通事故の原因は運転者や歩行者等、個々人の不注意等に基づくものと思われます。
 今後とも、警察、関係市町村と連携をとりながら、人家連檐地区や学校、公共施設の集まる場所などの歩道整備や事故多発地点における交差点改良等の交通安全対策予算の確保を国に対して強く要望するとともに、道路維持予算の効果的、効率的な執行に努力してまいります。
 次に、トンネルの照明についてでございます。
 電球切れ等の保守につきましては、請負契約により随時に実施しております。電球切れ以外が原因と思われる箇所については、原因を究明し、緊急度の高い箇所から順次修理を行っております。昨年度は滝尻トンネルの修理を実施し、本年度は鴨居トンネルの修理を実施する予定にしております。今後とも、順次修理に努めてまいります。
 また、特に長いトンネル三カ所については保守点検業務を委託しており、他の長いトンネルについても委託契約を順次進めてまいりたいと考えております。
 今後、故障の発見が迅速に行えるよう、情報収集及びパトロールの強化に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 航空工学系大学に関するご質問にお答えいたします。
 航空工学系大学整備構想に関しましては、本年度、検討委員会を設置し、議員ご指摘の事業採算性を初め、多方面にわたる検討の結果を去る十二月六日に報告をいただいたところでございまして、今後県として十分に検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番高田由一君。
○高田由一君 まず、農業の問題です。
 知事に感想を述べていただきました。個々の研究成果を書いたのが先ほどの報告書だというご認識でしたが、悪い方の研究成果が一つも書かれていないんですね。だから、これを見た農家の皆さんは怒るわけなんですよ。
 これは農林水産部長に伺いたいと思いますが、今後の試験研究成果の公表では、失敗したり悪い方の試験結果もきちんと載せていただけますか。これは研究者として当然の態度だと思うんですが、いかがですか。
 それから、公開の梅シンポジウムへの参加については、取りまとめ中で参加が難しいというご答弁でしたが、そうであっても、先ほどの報告書が出せるようなこれまでの個々の研究があるわけですから、それをもって参加するということでいいと思うんです。なぜ参加していただけないのか、不思議なわけです。
 それじゃ、研究の取りまとめはいつまでに終わりますか。そして終わったら、そういうシンポジウムの申し入れがあれば参加していただけますか。この点、もう一回答弁をお願いします。
 それから、鳥獣害についてです。これは要望です。
 農作物の鳥獣害については本当に緊急な対策が求められていると思いますが、そういう駆除も含めた必要な対策をとりながら、今この機会にどれだけしっかりした保護管理計画をつくるかが問われていると思います。梅枯れの問題では、今まで基礎的な研究がなかったことが、今、非常に苦い教訓になっています。鳥獣の問題でも同じだと思うんです。しっかりした基礎調査をしておくことが被害対策を後手後手に回らないようにするためにも大切ですので、これは十分な予算措置も伴って、きちんとした保護管理計画を立てられたいというふうに要望しておきます。
 それから、交通事故対策です。
 驚きました。事故の原因は結局個人の不注意だというふうに言われましたけれども、これは私、納得できないところもあります。総務庁が発行している「交通安全白書」では、個人の不注意でどうにかなったというような、そんな統計のとり方はしていません。歩行者や自転車が不注意で転んだりすることは当然あることであって、仮にそういう不注意が起こっても事故にまで至らないようにするようなハード面での整備、それが行政に求められている課題じゃないですか。これは、要望しておきます。
 トンネルの照明の問題では、私、調べてみて本当にびっくりしました。調べた中では、まともに動いていない方が圧倒的に多いわけなんです。もしこの状態で、トンネル内の見えにくさによって事故なんかが起こったら県行政の過失責任を問われかねない、こういう状況だと私は思うんです。
 私、ちょっと聞き漏らしたのでもう一回お答えいただきたいのですが、定期的な早急な点検はやっていただけますか。答弁お願いします。
 国が管理するトンネルは、すべて月一回の定期点検整備をやっているんです。でも、県が管理するトンネルは、大体百カ所以上あると聞いていますが、そのうち三カ所しか定期点検をやっていないんです。そのうちの一つが龍神中辺路線の水上栃谷線ですが、この水上栃谷線へ行ってみますと、今、田辺西牟婁郡で一番真っ暗です。そういう状況です。ですから、きちんとしてやっていただきたい。これについて再度答弁をお願いします。
 実は私は、このトンネル照明が暗いのは、かなり意図的な操作というか、故障のほったらかしがあるんじゃないかと感じているんです。その理由を言います。一つ、古いトンネルでも真新しいトンネルでも同じようにきちんと作動していない暗い状況にあること、二つ、歩道が設置されていて人や自転車の通行が多いトンネルでは照明が全部きちんと作動して明るいこと、三つ、歩道が設置されているトンネルでも歩行者用に特別に蛍光灯などをつけているトンネルがあるんですが、こういう補助照明がついているところではやっぱりトンネルの照明はちゃんとついていない。暗いんですよ。こういう法則というか、傾向があるわけです。部長に伺いますが、こうした意図的な操作は実際あるんですか。答弁をお願いします。
 実は私たち共産党の方でも、これを機会に県下の地方議員団に要請して、この問題の一斉点検をしてみようと思っています。修理は順次になるでしょうが、せめて修理は順次でも現在どんな状況にあるのか、一斉の総点検を求めたいと思いますが、これにもご答弁をお願いします。
 最後に、航空系大学です。
 県財政も苦しいわけですから、慎重に慎重を重ねて検討をいただきたいと思いますが、検討委員会の報告書の中では、県有地十一ヘクタールを大学のため無償譲渡することになっています。どのような条件をつけて無償譲渡するんでしょうか。例えば経営が苦しくなってきたり破綻した場合、五十億円の価値があると言われております。県有地部分を学校法人の権限で勝手に処分したりする可能性はないか。こうしたことも含めて慎重に検討をお願いします。これは、要望にしておきます。
 以上で、再質問を終わります。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 高田議員の再質問にお答えを申し上げます。
 まず、現在までの知見という試験成果の関係でございますが、さきのUR議員連盟のうめ部会でお示しいたしましたように、これは個々の研究の成果を踏まえたものを報告させていただいてございます。
 お話のような点につきましては、意図的に作成したつもりはございませんが、議員のご提言のございました趣旨を受けて、今後、試験研究またその評価の際には十分に配慮してまいりたいと考えてございます。
 それからシンポジウムへの参加でございますが、先ほど申し上げましたとおり、現在のところ参加は難しいとは考えてございますが、現在研究会の方で今年度末を一応のめどとして取りまとめを目指してございまして、その取りまとめの見込みが立った時点で参加のことについて考えてまいりたいと考えてございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 高田議員の再質問にお答えします。
 まず保守点検についてですが、特に長いトンネル三カ所については保守点検業務を既に委託しております。ほかの長いトンネルについても、委託契約を順次進めて実施してまいりたいと考えております。
 次に、照明の明るい、暗いということでございますが、照明設置基準に基づいて設置しておりまして、減光しているものではございません。
 次に修理についてでございますが、故障の発見が迅速に行われるよう情報収集及びパトロールの強化に努めまして、原因を究明し、緊急度の高い箇所から順次計画的に修理を行ってまいります。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十一番高田由一君。
○高田由一君 トンネルの件では、お答えをいただきましたが、そういう修理、点検と同時に今県下全体がどういう状況になっているのか一斉点検をということを求めたわけなんですけれども、この点について再度答弁をいただきたいと思います。
 それから農林水産部長には、答弁をいただきましたが、本当に農家の声にこたえるという意味で、真剣にそこらあたりのシンポジウムへの参加、あるいは研究発表のあり方を見直していただきたいと考えています。
 土木部長、最後にひとつ答弁をお願いします。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 一斉点検というお話がございましたが、保守点検につきましては、先ほども申し上げたように、特に長いトンネルについて業務委託で実施しているところでありますし、また他の長いトンネルについても今後委託契約を順次進めてまいって実施していきたいというぐあいに考えておりまして、特に一斉という形では考えてございません。
 それから、先ほど申し上げましたように、情報収集、パトロールの強化に努めて対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十七分散会

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