平成11年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 知事選挙を前にした議会で最後の質問となります。どうぞ、よろしくご答弁のほどをお願い申し上げます。
 まず一番目の発電所の問題で、最初に二つの巨大火力発電所計画と地球温暖化問題について質問をさせていただきます。
 一昨年七月、知事が国の電源開発調整審議会に対して同意しました御坊第二火電、和歌山LNG火電の計画では、二酸化炭素の排出量が御坊第二で年間四百八十万トン、和歌山で二百二十万トンの計七百万トンもの排出量となる計算となります。環境庁が委託しました調査では、現在の和歌山県全体から排出されている二酸化炭素の量は六百九十万トンとなっていますから、この二つの巨大火力発電所ができますと、今までの県下全体の排出量の二倍の二酸化炭素を排出することになります。今の県全体排出量が六百九十万トン、プラス七百万トンですから、二倍になるわけであります。
 温暖化防止京都会議が開かれまして、ここで決められたように、日本は不十分ながら一九九〇年比で六%の排出量削減を言っていますが、これは日本全体で約二千万トンの二酸化炭素を削減することになります。そのときに和歌山県だけで七百万トン、つまり約二%ふやそうという計画ですから、これは地球環境問題にとっては本当に犯罪的ではないかと考えています。
 この私の試算について、間違っていないでしょうか、まず生活文化部長にお尋ねします。
 そして、これは温暖化防止の世界的な流れに逆行しているのは明らかです。今でさえ、県民一人当たりの二酸化炭素排出量は全国で第三位です。これが、二つの巨大火電ができると断トツの一位になることは間違いないと思います。今、県内の発電能力は県民が夏場最大に電気を使うときの既に三倍以上あります。今後、二つの火力発電所ができても、他府県に移出する電力が多くなるばかりです。根本的には、これは国の政治、政府の政策問題です。口では温暖化防止を言いながら、実際やっていることは電力会社の言うがままに巨大火電計画をすんなり認めてしまう、そういうことではこの地球温暖化防止の目標を達成できないと思います。この国のあり方も問題ですが、この二つの発電所計画に同意を与えた知事としての見解を伺いたいと思います。
 次に、電力需要と新エネルギーについて質問をいたします。
 通産省の資料では、今後開発を重点的に促進していく発電所として、約四十の発電所計画が示されています。本当に今後、これだけの発電所計画が必要でしょうか。発電所の建設計画というのは、これまで電力会社や通産省で立てる電力需要予想に対応するためにつくられてまいりました。その予想は、いつも大き過ぎました。政府の長期エネルギー需給見通し自体が今まで十回も見直されてきて、だんだん下方修正されてきているんです。だから、この電力需要予想をにしきの御旗のようにして発電所をつくれば、これはつくり過ぎになってしまいます。
 ここに関西電力からいただいたパンフレットがありますが、このパンフレットでも、夏場の電力の最大需要に合わせた発電所の建設が必要だとしています。これは、夏場は冷房の普及が進んできているために、夜間と昼間のピーク時の電力需要に約二倍の格差があるわけです。今後このピークのときの電力需要がもっと伸びるから、それに合わせた発電所が必要だという理屈であります。
 確かに今、夏場の電力需要は伸びておりますから、そのことはそうなんですが、冷房普及率が現在高くなってきておりまして、この伸び方が今後続くとは到底思えないわけです。また、夏場の最大需要に合わせた発電所の建設は、夏場のほんのいっときのピーク時間のためにほかの季節はほとんど動かない発電所をつくることになり、これはむだが多く、電気料金を引き上げることにもつながりかねません。実際、電力ピーク時に対応する発電所としての役割があります御坊発電所は、この間の年間稼働率が一昨年で一四%、昨年で一〇%と極端に落ち込んでいます。夏場最大に電力を消費する時間といえば、昼間かんかん照りの中でテレビで高校野球を見ている時間だと言われていますが、例えば太陽光による発電は、夏場のかんかん照りの最も冷房が必要な時間帯に最も能力を発揮する、全くクリーンなエネルギーであります。そして、ここ数年で目覚ましいコストダウンに成功しています。これは、徐々に普及が進み、施設にかかるコストが安くなってきているからです。
 実は、先ほどの関西電力のパンフレットでは、太陽光発電に期待をしながらも、キロワット当たり約百三十円、一般の電気料金の約五・六倍になるということで、コストが高いことを障害に挙げています。これは実は三年前のパンフレットなんですが、その時点と比べましても今はキロワット当たり約九十円と電気料金の三・五倍ぐらいになっていますし、太陽光発電の業界の見通しでは後数年の間に現在の一般の電気料金、キロワット当たり二十五円程度になるのではないかと試算もされています。通産省の試算でも太陽光発電の潜在的可能性を試算していますが、これは日本全体の火力発電の年間発電量の三五%を賄えるという試算もございます。もちろん一気にそういうレベルまで持っていくのは無理なんですけれども、もっともっとこの分野、力を入れていくべきではないでしょうか。
 和歌山県はおいしいミカンがとれるということで、これは日照量が多い反映でもあり、条件は最適だと考えています。今後、太陽光発電など新エネルギーの導入について県としてどう対応、普及していくか、答弁をお願いしたいと思います。
 また、夏場の需要が多い電力に対して、ガスは季節的には冬場の利用が多く夏場の利用が少ないという特徴があります。最近、都市ガスを使ったガス冷房も普及されてきていて、今後かなりの伸びが予想されるようです。しかし、電力会社のパンフレットなどを見ても、自分の会社外のことですから、ガス冷房の方と電力をうまくミックスして夏場のピークを乗り切ろうなんてことは一切書かれていないんです。電力会社が自分の枠の中だけで物を考え、電力だけで事を解決しようとするから、多くの発電所をつくらないといけないという結論になってしまいます。こうした事業者間の調整に行政がもっと指導力を発揮していかないと、電気は電気、ガスはガスと、てんでんばらばら、むだが多くなりまして、ひいては環境への影響をふやし、電気料金も引き上げることになるということを指摘しておきたいと思います。
 次に、原発問題についてお尋ねします。
 去る九月八日付の「紀伊民報」紙でも報道されていますが、今、関西電力が日置川町を重点に原発候補地としての活動を展開しています。資源エネルギー庁や大阪通産局も、日置川町に対し協力を要請しているようです。この問題についての全体にわたる質問は今後に譲るとして、きょうはさきに火力発電所計画との関係で取り上げた地球温暖化との関係で質問をいたします。
 今、政府はこの地球温暖化問題を逆手にとって、今原発を推進しなければ温暖化防止京都会議の目標を達成できないばかりか、逆に二酸化炭素を約二〇%もふやすことになると、こういうふうな宣伝をしきりにしています。そのために二〇一〇年までに現在五十一基ある原発をさらに二十一基ふやすという計画をしています。まず、この二〇一〇年までの国の計画の中に日置川原発が含まれているのかどうか、これをお尋ね申し上げます。
 今、世界的な流れから見て、原発を躍起になって推進しようとする国は全くの少数派になっています。例えば、ドイツは原子力発電所が全発電量の約三〇%を占めるという、日本と大変よく似た状況にありますけれども、EU諸国の二酸化炭素削減目標八%を達成するのに今計画をつくり直しているようです。その柱となっているのは、原子力発電所の使用済み核燃料の再処理を禁止すること、そして今後は原発の新規建設を認めないというものであります。それでも、日本より多い八%の削減を目指しているわけです。さらに、スイス、オーストリア、スウェーデン、イタリアなどでは、国民投票でこの原子力が否決されるに至っています。原発大国フランスでも、高速増殖炉スーパーフェニックスに見切りをつけています。こうした世界的な状況の変化が、かつて日置川が原発で大問題になったころと大いに状況が違う点であります。
 こういう状況を見るならば、日本政府の温暖化防止のためには一路原発の推進だという方向は、まことに特殊というか、異常なことだと思います。このことについての見解をお示し願いたいと思います。
 また、日高町や日置川町の町民の間では、原発は既に決着済みのことと思われている方が多数なんです。なのに、国や関西電力はいまだに立地促進の立場を崩していません。関西電力のパンフレットでももちろんそうなっておりますし、通産省は日高町と日置川町の原発計画を開発促進重点地域に指定したままであります。なぜこのようにいつまでも両町民の意思を無視した計画がまかり通るんでしょうか。また、県はそれらの計画について両町民の立場で意見を言ったことがあるのでしょうか。知事にご答弁をお願いします。
 次に、御坊第二火電について質問をいたします。
 ことしの九月一日付で、田辺市管内の梅衰弱症の被害状況がまとまりました。田辺全体の二割、最も状況がひどい秋津川地区では、何と七割以上が枯れています。私はこの状況を見るなら、原因究明がなされていない今、既に決定されている御坊第二火電の計画については少なくとも一たん凍結すべきだと考えています。このことを要望しながら、具体的な質問に入りたいと思います。
 つい先日の九月十七日の「紀州新聞」の報道によりますと、日高郡の美浜町議会の全員協議会がこの十四日に開かれ、その席上で御坊発電所及び御坊第二発電所に関する環境保全協定書の説明が行われたそうです。これは、県、御坊市、美浜町、関西電力による四者協議で協定書の内容が確認され、決定したのを受けて議会に報告されたものだそうです。
 美浜町の町会議員さんにはもう報告がなされているのに、県議会にはこの協定についての相談が何らなされていません。先日の村岡議員の質問でも同趣旨のことを取り上げましたが、答弁ではきちんと答えられていない。御坊市や美浜町では議会に対して協定締結前に報告や審議がされていて意見が反映されているのに、どうして県議会ではなされないのでしょうか。そういう専門的なことについて県議会に審査能力がないとお考えですか。はっきりお答えをいただきたいと思います。
 また、新燃料のオリマルジョンについては、これまでも何度か県議会で取り上げられました。平成九年の電源開発調整審議会の際、環境庁が通産省に対しまして事業者を適切に指導されたいということで意見を幾つか述べています。その中の二つの意見について紹介させていただきます。
 「当該発電所の燃料として使用が予定されているオリマルジョンについては、重油に比べ、成分中の硫黄分、窒素分及び灰分が高く、燃焼時には極めて高度な環境負荷低減対策が必要とされる。このため、通商産業省におかれては、下記につき事業者を適切に指導されたい」、「オリマルジョン利用に伴い発生する可能性のある重金属等微量物質については、今後モニタリングを行うなどにより環境保全上支障を生じることがないよう措置すること」と書いています。つまり、重金属などが重油と比べてもたくさん含まれているから今後はきちんと測定をしていきなさいということなんです。これは、現在稼働中の御坊火電では測定されていない項目です。
 もう一つの意見として、こう書いてあります。「当該燃料に混入されている界面活性剤についても、生分解性に乏しく、毒性が懸念されており、世界的に見ても使用が抑制されつつある物質であることから、当庁としては、当該燃料に混入されている界面活性剤について、より環境影響の小さいものへ変更することを含めた環境保全上の配慮・検討が必要であるものと認識している」ということです。この世界的に使用が抑制されつつある界面活性剤というのはノニル・フェニル・エトキシレートと言うそうで、自然環境の中に漏れれば、化学変化を起こして生物の生殖作用に混乱を来す環境ホルモンの一つになります。
 例えば環境庁が指摘するこの二つの問題について、事業者である関西電力はどのような具体的対策を講じようとしているでしょうか、お答えをお願いします。
 また、県は関西電力に対してオリマルジョンの漏洩対策について検討を求めました。その県の求めに対し、関西電力は万全の対策、防止策を講ずることを回答しています。
 そこで、伺います。現在までどのような検討がなされ、どう対応することになったのでしょうか。
 また、これともかかわって、県が政府に対する重点要望としている大型の油回収船の配備について質問をいたします。
 一昨年一月の日本海で起きたナホトカ号の重油流出事故の際、日本海側には大型の油回収船が配備されていないため、名古屋から遠路はるばる出動し、その対応のおくれが問題になりました。油が流出したときの早期対応がいかに大切かが示された貴重な失敗の経験だったと思いますが、現在この付近を管轄する海上保安庁の第五管区内には大型の油回収船がありません。今までも事故が多発しているこの紀伊水道こそ大型回収船の導入などが必要だと考えますが、その導入見通しを伺いたいと思います。
 発電所問題の最後に、産業対策について質問をいたします。
 和歌山県のように発電した電力を他府県に移出している県には、国から電力移出県等交付金が交付されています。十一年度予算で三億円で、これは県内の発電所が今の規模で電力を他府県に移出する限り交付される貴重な財源です。もちろん、LNGや御坊第二ができればこの額は約倍になると予想されています。
 この交付金の使い道は、工業団地の造成や産業近代化のための新規技術の調査、製造業企業への資金貸し付けなどであります。現在までにこの交付金で十六件、三十億円の工業団地の造成、四十七件、五十六億円の貸し付け実績、工業技術センター等への機器整備三億六千万などの実績があります。
 平成六年十二月の県議会一般質問での西牟婁郡選出の浜本議員の質問に対し、当時の商工労働部の中山部長は、この交付金を「企業誘致を中心とした産業振興に活用してまいりたい」と、このように述べています。しかし、この交付金制度は、よくよく調べてみると、産業振興つまり農林水産業や新たな環境ビジネスの研究施設の整備などにも使えそうなんです。
 今、景気の状況もあり、企業誘致や工業団地の需要は難しいものがあると思います。この交付金の投資先を見直して、今苦境の農林水産業の振興や環境保全の推進の方などへも投資するようにしてはどうでしょうか。これは、会計的には予算編成のときに厳しいシーリングのついている一般的な予算の増減とは異なって、財政課長には怒られるかもしれませんけれども、いわば毎年確実に国から配分される予算の聖域をつくることになります。企業誘致などだけでなく農林水産や環境といった分野にもこの交付金を配分することは、県民を大きく励ますことになります。例えば、昨日原議員が尋ねた梅の研究施設などへもこういった予算を使えるようにすればいかがでしょうか。ご答弁をお願いいたします。
 最後に、産業廃棄物の問題について質問をいたします。
 現在、西牟婁郡すさみ町内で廃タイヤの焼却処理をしている産業廃棄物処理場があります。廃タイヤを処理場周辺に山のように積み上げて順次焼却処理を行っているんですが、一向にその数量が減ることがなく、燃やした量と同等か、あるいはそれ以上の搬入があるようです。そのため、ことしはタイヤの内部にたまった雨水にボウフラが大量発生して、付近の住民は大変な思いをされました。私も実は行ったんですが、現地でそでをまくっていると蚊が十匹ぐらいわっとたかってくる、そんな状況もありました。
 この産業廃棄物処理場の現状は、昨年改正された廃棄物処理法から言って、保管の数量、方法などについて明確な違反だと考えますが、いかがでしょうか。
 また、これまでその業者に対して県行政としてどのような指導がなされたのか、その経過と今後の対応について答弁をお願いいたします。
 また、廃棄物処理法の改正に伴う厚生省通知では、違反者に対して行政処分等を速やかに行うなど厳格な対処を求めていますが、この「速やか」とはどれぐらいの期間のことでしょうか。期限を切った指導を求めるものですけれども、お答えをお願いします。
 また、そのように地域で問題を起こしている処理業者に対して、廃タイヤの処理を委託している排出事業者の方にも適切な指導が必要ではないでしょうか。産業廃棄物を排出する事業者については、さきの法改正でマニフェスト制度が義務づけられました。これは何かと申しますと、タイヤならタイヤを排出する事業者が、排出するときに六枚つづりの管理伝票を切って、それが運搬業者、処理業者と次々に手渡っていって、最後にはいついつだれが処理しましたという伝票が排出者の方に返ってくるという制度で、産業廃棄物の流れがきちんとつかめるようになっている制度であります。そして県は、このマニフェストと呼ばれる管理伝票を年一回、事業者に提出させることになっていますし、必要なら随時調査をすることもできるはずです。タイヤの排出者はだれか、すぐにわかるようになっています。この排出事業者の方にも適切な指導をされるよう求めるものですが、ご答弁をお願いいたします。
 これで、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの高田由一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 高田議員にお答えをいたします。
 まず発電所問題に関しましては、発電所計画と地球温暖化問題についてのご質問でございました。
 和歌山発電所計画と御坊第二発電所計画につきましては、昨日、鶴田議員の質問にもお答えをいたしましたが、適地性、安全性、地元の同意という電源立地の基本的な考え方に基づき、地域振興の立場で対応してまいったところでございます。
 議員ご指摘の地球温暖化問題は国全体として取り組むべき課題ではありますが、県としても、従前も行ってまいりましたけれども、今後、県民や事業者への省エネルギーの普及啓発、あるいは庁内での省エネルギーなど、いろんな方法を考えて積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、原子力発電所のご質問でありますけれども、ご承知のように、日高町及び日置川町の候補地点につきましては、長年の経過がございます。原子力発電所の立地問題についてはこれまで議会の場でも再三議論が行われたところでございますけれども、県としては、適地性、安全性、地元の同意という三原則を基本として慎重に対応してきたところでございます。中でも地元の意向というものが特に重要でありますから、地元の同意なしに計画が進むものではないというふうに認識をしてございます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 高田議員ご質問の発電所問題について、まずお答え申し上げます。
 そのうちの第一点目、御坊第二発電所及び和歌山発電所の二酸化炭素の排出量についてでございますが、環境影響調査書に記載された年間の発電電力量に燃料の種類ごとに二酸化炭素排出係数を乗じて算出され、御坊第二発電所では四百八十万トン、和歌山発電所では二百二十万トンとなってございます。議員お話しの県全体の排出量六百九十万トンにつきましては、平成九年度の環境庁の調査によりますと、電力を消費する需要地でなく発電する場所で計算する、いわゆる電力配分前の値でございます。また、我が国の削減目標の六%に相当する削減量である二千万トンも含め、数値につきましては、いずれも議員ご試算のとおりでございます。
 なお、温室効果ガスの排出抑制につきましては極めて重要な課題であると認識しておりまして、協定の中でも熱効率の維持向上に努めることなど、地球環境保全への取り組みについて事業者を強く指導しているところであります。
 地球環境問題につきましては、先ほど知事からもお答えしましたとおり、国全体で取り組むべき課題であり、今後国の動向を見ながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、御坊第二発電所計画に係る環境影響調査書につきましては、平成八年十一月二十日から十二月十九日まで縦覧がなされ、住民の意見が提出されるとともに、環境影響調査書の審査に際しては電源立地アドバイザーの助言も受け、審査結果を県議会議員の皆様方に事前に送付させていただいたところでございます。
 環境保全協定は、甲である県、御坊市及び美浜町と乙である事業者との双方の合意がなされて成立するものであります。環境保全協定の内容につきましては、修正環境影響調査書の数値を基本とし、現在、当事者間で最終の協議を進めている段階でございます。今後、地元御坊市及び美浜町の対応状況を踏まえ、ご報告を申し上げるなど、必要な手順を踏んでまいりたいと考えてございます。
 次に、オリマルジョンについての関西電力株式会社の対応でございますが、まずオリマルジョンの重金属など微量物質の環境保全上の措置については、御坊第二発電所の運転開始前後でモニタリングを実施することとしてございます。また、界面活性剤の環境影響につきましても、知見の収集に努めるとともに、より影響の少ない界面活性剤の開発を燃料生産者に働きかけることとしてございます。県といたしましても、これらの対応が適切に進められるよう指導してまいりたいと考えております。
 続きまして、すさみ町の産業廃棄物処理場の問題についてお答え申し上げます。
 まず一点目の、保管基準違反に対する指導の経過と今後の対応でございます。
 廃タイヤの保管につきましては、廃棄物処理法に定める保管基準等に基づき、囲い及び掲示板を設置し、廃棄物の飛散や流出等の防止措置、並びにネズミ、蚊、ハエ等の発生防止措置を講じなければならないこととなっております。当該処分場については、一部これらの基準を遵守せず廃タイヤを長期間保管しており、保管基準に違反している状況にあります。
 県といたしましては、当該処分場における廃タイヤの保管量がふえ、処理場外にも保管されるようになった平成九年ごろから、処理業者に対し、保管場所から発生する蚊の駆除及び場外で保管している廃タイヤの撤去を指導してまいりましたが、いまだ改善が進んでいない状況でございます。今後は、法的措置も含め、厳正に対処してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、期限を切った指導をというご質問であります。
 厚生省通知にある「速やか」については明確に期間が示されてございませんが、県としましては、許可業者に処理基準違反があった場合の指導の手順といたしまして、まず口頭で改善を指導し、従わない場合は文書で勧告及び警告を行い、それでも指導に従わなければ期限を定めて改善を命ずるなど、法的措置を講ずることとしてございます。
 今後、当該処理業者が指導に従わない場合、厚生省通知の趣旨を踏まえ、法的措置について検討してまいりたいと考えてございます。
 三点目の、処分委託業者に対しても指導をということであります。
 平成九年度の廃棄物処理法の改正に伴って昨年十二月からマニフェストの使用がすべての産業廃棄物に義務づけられ、運搬あるいは処分委託者につきましては、このマニフェストの記載内容を調査することによって特定できることになりましたので、調査の上、処理委託者に対しましては受託者の処理能力を考慮して産業廃棄物処理の委託を行うよう指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 発電所問題に関しまして、一点目の太陽光発電についてでございますが、県では平成九年三月に和歌山県新エネルギービジョンを策定し、太陽光発電など新エネルギーについて現況や今後の取り組みについて取りまとめたところでございます。
 太陽光発電につきましては、発電能力が火力発電所等に比べ小規模で、またコストも割高なため、電力の主要な部分を担う状況にはありませんが、クリーンなエネルギーとして導入の促進が期待されているところであり、県内の公共施設では平成九年度に上南部小学校、平成十年度に藤並小学校において太陽光発電のパネルが設置されていますが、県として今後も太陽光発電を初め新エネルギーの導入促進に努めるとともに、普及啓発に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に原子力発電所についてのご質問ですが、平成十一年度電力供給計画によりますと、今後の原子力開発計画として二〇一一年度までに二十一基を新増設する予定とされていますが、日置川町、日高町の両候補地点についてはこの計画に盛り込まれてございません。
 また、世界各国の状況につきましては、それぞれさまざまな事情があり、原子力発電所への取り組みについて差異はありますが、我が国においてはエネルギー資源が乏しいという事情もあり、原子力発電はベース供給力を担う電源の一つとして位置づけられているものと理解してございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 御坊第二発電所計画についてのご質問のうち、オリマルジョンの漏洩対策並びに大型の油回収船の配備の見通しについてご答弁申し上げます。
 まず、オリマルジョンの漏洩対策についてでございますが、事業者においては、海上衝突防止法の遵守、二重構造船による輸送、あるいは荒天時の桟橋における作業の禁止、及び緊急離脱装置をつけたローディングアーム等によりまして、ソフト面、ハード面からの流出の防止対策を図ることにしております。
 なお、現在、具体的な回収システム、処理方法等につきましては、オリマルジョンの性状を踏まえ、引き続き海上災害防止センターにおいて対策を検討中でありまして、県といたしましても万全を期するよう今後とも国や関係機関と調整を図りながら指導してまいりたいと考えております。
 続きまして、大型の油回収船配備の見通しでございますが、平成九年一月に日本海で発生いたしましたロシア船籍タンカー、ナホトカ号の重油の流出事故災害を契機といたしまして、国では大型の油回収船を門司港に配備する計画と承っております。
 なお、今後の配備計画の見通しにつきましては、現在国において検討されておりますが、非常に厳しい状況にあるというふうに承っております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 発電所問題についてのうち、産業振興についてお答えします。
 電力移出県等交付金の使途についてでありますが、この交付金の趣旨は雇用の創出を中心とした地域の振興にあり、国の規則において、企業の導入及び産業の近代化のための措置、企業立地貸付事業に要する費用などが対象とされております。したがって、本県では今日まで、雇用の創出に直接的な効果をもたらす企業導入のための工業団地の造成や工業技術の振興といった面を中心に充当してまいりました結果、雇用面を初めとして大きな成果を上げてまいりました。
 現下の経済情勢の中で雇用の場の確保は大きな課題であり、今後も基本的にはこの方針で臨んでまいりたいと考えておりますが、経済状況、企業立地の動向等を見ながら、他方面への活用も検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番高田由一君。
○高田由一君 では、再質問をさせていただきます。
 企画部長からは太陽光発電など新エネルギーの導入について答弁をいただきましたが、今導入の例として挙げられた上南部と藤並の小学校の二カ所は、どちらも町村立の公共施設であります。県立の公共施設への導入は考えておられないのですか。都道府県レベルの公共施設について調べてみました。既に約半数の都道府県で、少数ではありますが導入実績があり、近畿で実績がないのは奈良と和歌山だけです。
 実は、平成九年の九月議会で、我が党の鶴田議員の質問に対して当時の企画部長の藤谷さんから「次に、大型プロジェクトや県の諸施設等における自然エネルギーの導入についてでございますが、今後、関係部局と連携しながら推進を図ってまいりたいと考えてございます」、このような県の諸施設への答弁をいただいているわけです。しかし、それ以後、進展がないようです。県の公共施設への導入の決意について、再度ご答弁をお願いします。
 また、原発の問題では知事は地元の合意を特に強調されましたが、私はそれならばこそ、今地元町民の意見ははっきりしているわけですから、国や関西電力に意見を伝え、一たん白紙に戻すことが必要だと考えます。これは引き続き議論をしていきたいと考えております。
 企画部長は原発について我が国のエネルギー資源が乏しいという事情を一つ挙げられましたが、例えば、エネルギーの自給率が日本より低いイタリアではエネルギーの約八割を輸入に依存しているんですが、ここはさっきも言ったとおり、原発なしで今後のエネルギーを賄おうというふうに計画をされています。
 実は、ここに日本弁護士連合会、いわゆる日弁連というあの弁護士の団体が発行した「孤立する日本の原子力政策」という本があるんですが、これを読みますと、本当に国際的にも特異な日本の立場というのが私よくわかりました。やはり日本も方向を見直すべきだと考えますが、これも引き続き議論をしていきたいと考えます。
 生活文化部長には、御坊第二火電の環境保全協定の件で再度伺います。
 県議会にも報告をいただける旨の答弁でしたが、報告していただいた上で、県議会の意見はその協定書に反映することができるのかどうか。報告したけれども、あとは協定書に判こを押すだけ、もう内容の変更はきかないということであれば、これは議会軽視じゃないかなと考えています。再度、この点についてご答弁をお願いいたします。
 商工労働部長からは、電力移出県等交付金について他の分野への活用も検討する旨のご答弁をいただきました。実際、他府県ではいろんなことに使っているんです。僕が見ておもしろいなと考えたのは、三重県の事例です。なかなか自由闊達にこの交付金を使っておられます。
 ちょっと紹介しますと、四日市港遊覧船「第二いなば」の建設事業、現行遊覧船の老朽化と多様化する観光ニーズに対応するため新船を建造し、観光拠点として地域の振興に資する。あるいは、木材振興及び木工作業所施設建設事業。あるいは、市庁舎玄関物産品展示コーナー設置、特産品の展示紹介コーナーを設置し、またパンフレットを設置する。あるいは、茨城県ですけれども、この交付金で林業試験場施設整備事業などをやっております。
 ですから、これは本当に割と自由に産業振興という名目で使える交付金だと考えるんです。ぜひこれは、商工労働部長もそういう答弁をいただきましたので、ほかの部局の部長さん方もこの交付金制度について研究していただいて、ぜひいろんな分野で活用される、特に地場産業の振興のために活用していくということを要望しておきます。これは要望です。
 総務部長からは、オリマルジョンの漏洩対策についてご答弁をいただきました。オリマルジョンは大量流出した場合に、短期的な被害もあるわけですけれども、環境庁が指摘した意見にもあるように、環境ホルモンになるような界面活性剤が含まれていて、魚介類への長期的な被害も大変心配されるんです。ですから、今まで以上にといいますか、これをきっかけに、よりしっかりした防災体制をつくることが大切であります。
 油の回収船については厳しいという状況を言われましたけれども、ぜひこれは知事さんを先頭に国やその他関係機関にしっかり要望していっていただきたいということを、これは要望しておきます。
 以上で、再質問、二回目を終わります。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 高田議員の再質問について、ご答弁申し上げます。
 県有施設への新エネルギーの導入についてのご質問でございますが、県有施設につきましては、平成十年度に県立医科大学におきまして新エネルギーの手法でございますコジェネレーション設備が導入されてございます。
 太陽光発電についても、今後、公共施設等を含めまして、新築、改築の際の導入について検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 再質問にお答えいたします。
 先ほども申し上げましたとおり、環境保全協定は修正環境影響調査書に載っております数値を保証するため当事者の合意によって成立するものでありますけれども、御坊市及び美浜町の対応状況を踏まえてご報告を申し上げるなど、必要な手順を踏んでまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十一番高田由一君。
○高田由一君 要望させていただきます。
 新エネルギーについて、特に太陽光発電の問題では、先ほど部長も言われた新エネルギービジョンの中でも幾つか県営施設への導入の試算がされていますが、例えばこの中で果樹園芸試験場なども挙げられています。果樹試は今、これから建てかえに向かって入るところだと思いますが、ぜひこうした分野で導入を促進していただきたい。
 私がこれを言いますのは、環境の問題だけじゃなくて、防災という面でも今大事になってきているんです。各地では今、小学校や中学校など、災害のときに避難場所になるところに太陽光発電と蓄電装置を設置していざというときのための対応を考えておられますし、その施設がふえています。どうか、そういう点でこの推進に県が先頭になってやっていただけますようお願いいたします。
 それから、生活文化部長に答弁いただきましたが、やはりこういう協定を結ぶときには制度的に議会が何らかの形で関与できるシステムが今求められている時期に来ているんじゃないかと思います。ぜひその辺の研究もしていただけますよう要望しまして、私の質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で高田由一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に、議題となった全案件のうち、議案第百十七号平成十年度和歌山県公営企業決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
     ─────────────────────
  【日程第三 請願付託の件】
○議長(下川俊樹君) 次に日程第三、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 お諮りいたします。九月二十四日及び二十七日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、九月二十四日及び九月二十七日は休会とすることに決定いたしました。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次会は、九月二十八日再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十八分散会

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