平成11年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(大江康弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第百三号から議案第百十七号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百三号から議案第百十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十番大江康弘君。
  〔大江康弘君、登壇〕(拍手)
○大江康弘君 おはようございます。
 私は、さきの四月まで二十年お世話になってきた西牟婁の皆さんのご理解をいただき、今回の四月の選挙であえて選挙区を和歌山市に移させていただきました。和歌山市選出の議員さんにも、いろいろご迷惑をかけたと思います。しかし、二十年紀南の地からこの和歌山県を眺めてきて、二十年この議政壇上を通して県政を眺めてきた政治家の一人として、歴代知事さんはもとより、特に私がお世話になった現西口知事さん、またさきの亡くなられた仮谷知事さん、お二人とも知事という立場で一番思いをいたしたのが、この和歌山県の県土の均衡ある発展をどうしていくかということで、今日まで大変頭を悩まされたと思うのであります。
 いろんなご配慮のおかげで、ようやく紀南の地も一人歩きができるようになってきたと考えておる一人でございます。あえて私が、ご迷惑をかける中で和歌山市に来たのは、やっぱり世の中というのは何にでも中心がある。中心がよくならないと全体がよくならない。和歌山県の中心はやっぱりこの和歌山市。この県都和歌山市を活力ある町にしていくことが和歌山県全体がよくなっていくことになるんだという思いの中で、あえて無謀とも言える選挙区の和歌山市への移籍をさせていただきました。
 おかげさまで、まるで私が小学校の一年生として初めて学校へ行くがごとく、私の政治家としての思いを受けとめていただいた皆さんがきょうはこうして応援に駆けつけていただいております。同時に、駆けつけていただいた皆さんは、西口知事の大ファンであります。自分の政治活動を通して、これだけの皆さんが県政に一つの期待を持ってくれる、関心を持ってくれる、これも政治家としての責任の一つでありまして、忙しい中こうして皆さんが駆けつけていただいたということも、私は政治家の一人として望外の喜びであります。
 きょうは久しぶりの質問でありますから、当局の皆さんには、どうかひとつ私の真意をご理解いただいてご答弁賜りたいと思うわけであります。
 総務部長、「おはようございます」と、朝こういうあいさつをしますね。県庁に電話をしたら──これは要望ですよ。今、理事の藤谷さんのときにもお願いを申し上げたんですが、県庁に朝電話をして「おはようございます」と言ったら、「はい」と言うんです。我々、小学校のときに、「はい」は名前を呼ばれたときに答える返事だと先生に教えられました。「おはようございます」と言ったら「おはようございます」と答えるのが常識ではないかなと思うんです。それがどうも、県庁の皆さんは、全部とは言いませんが、そういう受け答えをされるということ。
 今、電話の受け方のマニュアルを出しておられるそうでありますけれども、そういうことではなくて、基本的なあいさつというものをもう少し県庁の皆さんに教えてあげたらどうかと。その点、大変救われる思いをするのは、我が県庁の交換手の皆さんです。大変気持ちがいい。やはり朝というのはその日の始まりでありますから、県庁の皆さんも──電話の対応一つで、西口知事の評価が問われる場合もあるんです。細かいことを言うなということでもありますけれども、細かいことが非常に大きな影響を与えることもあるわけですから、どうかひとつその点を注意していただきたいと思います。
 下川議長、このたびは議長ご苦労さまであります。二年連続の議長ということで、大変その責任は重いと思います。長年の懸案であった日の丸も、晴れてこの議場に掲揚していただきました。その横に県旗も立派に飾っておられる。こういうことをお互い議員の中で同意を求めてやっていくのは、なかなか大変であります。そういう一つの長年の懸案を議長の手腕でやられたということを、私は同僚の一人として大変うれしく思います。
 私はきょう、議長にプレゼントを持ってきました。先日からいろんな行事に参加をさせていただいていますが、天下の和歌山県の議長が、いろんな行事に行ってテープカットをするのに、はさみを借りておる。これはやっぱりいかんなと。テープカット用のはさみを自分で持っていってやるぐらいでないと和歌山県の議長としての立場がないなと思うので、議長にはさみをプレゼントさせていただきたいと思います。議長、どうかひとつ自信を持って、和歌山県政のリーダーとして県議会を引っ張っていただきたいと思うのであります。
 いろいろと申し上げましたけれども、知事さん、お帰りなさい。私はこの言葉を申し上げたいと思います。きょうは知事、答弁は要りません。これは大江康弘の優しさであります。知事さんがあの六月、苦しい思いの中で入院という決断をされた。知事が病室の白い壁に和歌山県の地図を描きながら二十一世紀の県政を思ったんだというあの言葉を聞かせていただいて、万感胸に迫ったわけであります。同時に、知事が入院中、私は自分の部屋の白い壁にあなたの笑顔を毎日思い浮かべておりました。こうしてきょうは答弁がないというのは、入院中もお見舞いに行かなかった、退院されてもお祝いに行かなかった、その相殺ではないですが、そういう意味できょうは答弁がないということでさせていただきますので、ひとつゆっくりとお聞きいただきたいと思うのであります。
 さきの百四十四日間における南紀熊野博、おかげで成功裏に終わられたわけであります。私は改めてここで、関係者の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。四年前に知事が、南紀熊野博をするんだと提唱された。知事が当時なぜ熊野博を提唱されたのか、この南紀熊野博を振り返って改めてその思いに至ったとき、私は知事の時代を洞察する炯眼、識見に心から尊敬の念を禁じ得ないのであります。
 あの熊野から、あの南紀の地から、知事が全国の皆さんに発信をしたかったメッセージは一体何だったのか。全国の皆さんに送りたかったシグナルは一体何だったのか。それを自分なりに理解させていただくならば、皆さん、我々は現代の人間社会の中で、知事がよく言われるように、余りにも走りに走り過ぎた。ふと立ちどまったら、お互い何かしら空虚な思いを心の中に感じる。一体これは何なんだろう。
 古代、中世、近代、そして現代と、人類の歴史はこういう流れで来たのであります。そして、今日の現代をつくり上げた基本は何だったのか。それはまさに、近代という時代の近代思想であったんです。しからば、その近代思想とは一体何だったのか。近代思想というのはまず、我々人間の欲望を理性から解放する時代であった。そして、人間の自立性を求め、人間が限りなく権利を主張した時代であったんです。我々の欲求や欲望はとどまるところを知らなかった。もっともっと、英語で言えばモア、モアと、お互いが求め続けてきた。
 近代という時代を一口で言えば経済中心主義、あるいは科学中心主義、そして合理化中心主義。こういう時代の流れの中で、我々はともすれば、繁栄とか進歩という言葉を大変無造作に使っております。世の中が繁栄した、世の中が進歩した──進歩というのは、単なる変化や循環ではないと思うんです。お互いの心が向上していかなければ、本当の進歩というのは生まれてこない。今日までこういう近代思想の物質文明というものをお互い発展の軸にする中で、我々は大切なものをなくしてきた。それは目に見えないお互いの心、精神的なもの、そして倫理的なもの。こういうものをお互いがこの発展の時代の中で忘れ去ってきたのではないか。
 知事がよく使われる「ミレニアム」という言葉があります。千年紀。まさに新しい時代、この大時代のスタートの中で、知事あなたが政治家として国民の皆さんに、あるいは県民の皆さんに発信したかったメッセージは、お互いが忘れ去った、物やお金ではない、心というものをこれから政治の中心に置いてやっていかなければならないんだという、みずからへの警鐘も込めてあの熊野博を開催されたのではないかなと、私なりに理解をするわけであります。
 知事、多くの皆さんのご理解の中で成功裏に終わったこの熊野博を一つの自信として、どうかひとつ、二期目の県政を意欲的に担当していくんだというその決断、多くの良識ある県民の皆さんのご支援の中で、これから頑張っていただきたいと思います。
 ただ一つお願いがありますのは、先日来、いろんな議員の皆さんが知事の応援をこの壇上からされました。知事はその答弁のたびに、「政党関係の皆さんには大変お世話になります」と。我々政党に属しておらない者は大変つらい思いをしました。
 十一万二千百四十三、これは知事、何の数字だと思いますか。先般、知事さんが入院されておるときに、我々党に所属をしない九人の議員、新保守クラブ、県民クラブ、そして我が開政クラブの九名が、この十月の選挙で知事さんを一致して推そうじゃないかと、お互いの決意のもとで推薦を出させていただいた。その九人がこの四月にいただいた得票数が十一万二千百四十三票であります。
 我々は政党にこそ所属をしておりませんが、私どもに期待をかけていただいた皆さんの得票数というものも知事さんへの限りない愛情の一票につながると思いますので、政党の皆さんのずっと後ろの方で結構ですから、どうかひとつ我々も忘れずに置いておいていただきたいなと思います。
 いろいろ申し上げましたが、質問に入らせていただきたいと思います。
 私は、地方分権を推進していく中で、たまたまよかったのか悪かったのか──よいことはないんですね。あれだけ和歌山県と縁のあった住友金属がだんだん縮小されていくことについて、先般も議会で大変問題になりました。私も昨日の木下議員同様、大変憤りを覚えている一人であります。自由主義経済でありますから、民間が利益、利潤を求める、自分の会社の従業員のことを思いやる、そのために会社をどうしたらいいかということは、これはもうトップとして当然考えなければいけない責任だと思うんです。しかし、少なくとも住友金属は、本県と大変深いつながりがある。そういう中で、あの決定は仕方がないとしても──関西電力のあのLNG誘致については、我々議会も随分譲歩をしたつもりであります。知事さんの意向を受けて、我々は住友金属のために随分環境づくりをしたつもりであります。何も知事の選挙の前にあんなむごいことを言いに来なくてもと思った一人でありますけれども、もうこれは仕方がないことでありますから、お互いこの事態を一体どのようにして災いを福に転じていくかということであります。
 私は、これからの地方税源のあり方についても、今までの成長社会ではないんだと。今までお互いがずっと成長してきた社会では、ある意味ではその成長分野から大きな税金をいただいてきた。しかし、この住友金属の縮小問題一つとっても、もう和歌山県はそういうことに大きな期待をかけていけるような時代ではないんだと。仕方がないけれども、まさにこれは天の啓示であるというふうに、お互いがいい意味に受けとめて、さすればこれから自主財源の乏しい和歌山県が、我々議員も含めて、どう痛みを分かち合っていくか。県民の皆さんに和歌山県の懐、和歌山県の財政事情というものを理解いただいて、そして税金という財源をどう求めていくのかを考える、まさに絶好の機会であると思っております。
 我々は、「地方分権」といって大変期待をしてきました。「地方分権」という言葉がつくられてもう大変久しく、ようやく分権法というものができたわけであります。しかし、本当に地方分権というのは、我々のこの地方の自治体にバラ色の社会をつくり上げていくのだろうか。私は、決してそうだとは思わないんです。特に最近思ったのは、あの介護保険法の成案であります。この介護保険法は、まさに地方自治体が責任を持って運用していかなければならない法律であります。その法律をつくるのに、国が主体的につくられて、地方自治体は意見を述べる場にも参画されなかったというのは、まだまだやっぱり中央集権だなと。地方分権法ができるのだったら、中央集権制限法ぐらい我々地方の議会が一致団結してつくるというぐらいしていかないと、なかなか本当の地方分権なんて生まれてこないと思った一人であります。それだけに、この財源の問題も、現行の税体系を基本にした中で幾ら地方へ移譲してもらったって、不均衡というのは直っていかないと思うのであります。
 先般、財政課長がこの本を持ってきてくれました。五月に「和歌山県の財政状況」、そして八月に「財政運営プログラム」、この二つの本を読んでも、中身は厳しい。そしてこの財政プログラムの最後に、「輝く故郷和歌山を次の世代に引き継いでいくために、果敢に挑戦する勇気が今求められております」と。そして何か、消しゴムで消した跡があるんですね。「そのためには、余り議員の無茶な要求は断ること。あれやこれやと言ってくる議員には毅然とした態度で臨むこと」と、何か消しゴムで消したような、そういうところも見られるんですけれども、早く言えば、この冊子は、我々議員に対しても──今までは、ややもすれば我々も、お互い地域代表ですから、地域の皆さんの要求を何とかしなければいけないという思いで頑張ってきた。しかし、今こういう和歌山県の税収の中で、今後は出ということよりも入りということに我々議会も協力をしていかなければならないのかなと、そんな思いもいたしました。
 同時に、先ほども言いましたが、住友金属のあれを契機に、住民一人一人の皆さんに税金というものをどう考えてもらうか。民主主義というのは、やはり受益者負担なんだと。この民主主義の社会をさらに高めて発展させていくために、私は、成長社会から成熟社会に変わった今、税金はもっとフラット化させていくべきだ、広く全般に税金を取っていくべきだと。これでなければ、成熟社会の中での財源確保はなかなかできていかないと思います。そういう成熟社会を迎える中で、今後和歌山県は社会全体に広く税源を確保していくために一体どういうことをしていったらいいのか、あるいは県民の皆さんに今からもうそのことを啓蒙して理解してもらう必要があると思うわけですが、このこともあわせてお聞かせいただきたいと思います。
 次に、土木部に質問であります。
 土木部長、通達というものがありまして、平成十年四月一日に建設省の建設経済局長と自治省の行政局長の二人の局長の判こを押して和歌山県に来ていますね。それは、公共事業のあり方について、いわゆる制限価格を撤廃しなさい、もうこれからはどんどん制限価格をなしにして──「自由競争」といえば非常に美名に聞こえますけれども、そういう通達が実は去年来たんです。
 皆さん、私はこういう国の各省庁が出す通達ほど、けしからんものはないと思うんです。この通達というのは、国であれば衆議院や参議院の議決が要らないんです。まして閣議の決定も要らない。こういうものが平気で各自治体へ局長名で流されてくる。
 皆さん、思い起こしてください。平成二年三月二十二日に大蔵省の土田某という当時の銀行局長が出した、いわゆる総量規制のあの通達であります。あのわずか一枚の通達が、今日のこの不況を生んだんです。国会の議決も閣議の議決も経ない、あの大蔵官僚による一枚の総量規制の通達が今日の不況を生んだということを思い起こしていただいたら、この通達ということほど法治国家を無視しておる文書はない。こんな私文書一枚で、日本の経済が大きく揺れ動くわけです。
 建設省と自治省との連名の通達一枚が、和歌山県のこれからのありようを大きく変えていくわけであります。それはなぜかと言いますと、我が和歌山県は、かつても申し上げましたが、今の時代の流れの中で、公共事業は悪だ、公共事業はけしからんと、こんな大きな声がマスコミを中心にして舞い上がってきた。あたかもそれが正義の声のごとく、公共事業はけしからん、何けしからんと。しかし、皆さん、今日までのこの和歌山県の経済を支えてきたのは公共事業なんです。かつて基幹産業と言われた農林水産漁業に従事をする皆さんは今、四万二千五百五十八人です。そして土木建設業に従事をする人は、五万四千人余りであります。五万四千人に一家族四人をかけますと、二十万余りの人がこの公共事業で生活をしている。二十万といえば、和歌山県の人口の約五分の一であります。これだけ多くの人を今日まで公共事業は支えてきたわけであります。いわゆる民間のお金でする仕事ではない、税金でする仕事でありますから、当然そこにはおのずと限界というものがありましょうけれども。
 今日、土木部が一年間とってきた一億円以上の制限価格の撤廃、そしてこの十月一日からそれを五千万円に下げるという。こんな事態になっても和歌山県の建設業界や土木業界が何一つ動きをしないということも不思議だなと思うわけですけれども、私は何も業界のために言っておるんじゃないんです。そういう公共事業が及ぼす影響──公共事業というのは、ご飯を食べるはし一本地元で買ってやれ、工事をすればその近くでガソリンを入れてやれ、工事をすればその近くで従業員が休憩のときに飲むジュース一本買ってやれ、そうすればみんな潤う、これが公共事業の定義だということを申し上げました。
 そういう中で、今日まで和歌山県を支えてきた──この十年間の平均をとりますと、農林漁業と、そして土木建設業で大体一年平均一千三百億円の公共事業を我々は提供してきたんです。この現実を土木部が見ないで、ただ国からのお達しだ、国からの通達だという中で、今日十月一日に、私に言わせればまさに愚策とも言えるような五千万まで制限価格を撤廃して、一体どうやってこれから企業を育てていくんですか。
 あなた方は今まで、知事及び大臣の許可を与えて六千六百七十四の業者を産んできたんです。産んだら責任をとりなさいよ。産んだら産みっ放し、時代が悪いからつぶれるのは仕方がない、こんなことが本当の行政指導かと、私は大変遺憾に思うのであります。
 そういう中で、建設のランクの問題であります。
 私が大変不思議に思ったのは、和歌山県が今まで育ててきた建設業者の中で、いわゆる一番メジャーなクラスがSクラスという名前だそうですが、それが九社。この数が多いか少ないかは、皆さんそれぞれのとり方でありますけれども、湯浅以南には一社しかないんです。串本に小森組というのがあるそうであります。湯浅から紀北には八社ある。湯浅から新宮までは、かなり距離が広いですよ。その間に、田辺市や新宮市など、大変大きな町もある。しかし、なぜ大きな業者があの地域で育たないんですか。なぜ一社だけなんですか。こんないびつな構造になぜなってきたのか、その理由もお尋ねをさせていただきたいと思います。
 次に、道路公社の問題。
 私は、物を生産しないところには発展性がないということで、道路公社はこれから意欲的に物事を進めていかないというんだったらもう道路公社を閉じたらどうなんだと、こういうことを申し上げたいと思うのであります。
 道路公社は、今から二十年前に高野龍神スカイラインを開通させました。そして、今から七年前に紀の川河口大橋を開通させました。いわゆる百円橋であります。この百円橋も、和歌山市民の皆さんのために、あの紀の川大橋の渋滞解消の意味からも、もうそろそろ無料開放してはどうか。こういうことも一度お聞かせを願いたいと思いますし、あの高野龍神スカイラインも、冬場は約三カ月、夜間閉めるんです。路線名は三百七十一号線。これを無料開放したら、毎年約四億ほど地方交付税で和歌山県に入ってくる。私はもうそろそろ、道路公社がもし仕事がなかったら、もうこれを全部無料開放して公社をたたんでください。そして、もし生産性があるというならば──私は海南市が偉いなと思ったのは、中山先生、あのわずか二・一キロの高速道路に二つ料金所があるんですね。聞けば、最初から二つという。海南市は随分政治力があるな、偉いなと思ったんです。
 和歌山市の十数キロに及ぶ阪和高速道路の中には、あの和歌山市のインターチェンジ一個しかない。大きな紀の川が右岸と左岸に分断して、いまだに不便な地域に分かっているのであります。そういう中で、道路公社が今もう仕事はないというのだったら、和歌山北インター(仮称)を府中のあたりに設けてはどうですか。ハーフインターでいいんです。ハーフインターというのは、上下両方行けるんじゃない。大阪行きと、大阪から帰って来たらおりる。そして幹線の西脇山口線につないだら、後背人口の約十五万人の皆さんが随分利便性を持って使っていただける。私は、そういうことも公社としてやっていただきたい。
 もう一つ、政治というのは駆け引きです。今日、関西国際空港の全体工事が始まりましたが、平成六年にでき上がった泉佐野までのあの湾岸線を加太まで引っ張ってこいという政治駆け引きを、当時なぜ和歌山県はできなかったのか。これをするからこれをやってくれ、これに協力するからこれをしてくれというまさに政治的な駆け引きの中で今、私たちは新たに加太の土取りで関空に協力をしておるんです。この好機を見逃すことなく──私は、湾岸線を加太まで引っ張ってこない限り、あの大阪の環状線ルート、さらに西口知事が提唱されておる紀淡海峡トンネル、京奈和道路に続く有機的な連携というのはできないと思うんです。第二阪和国道の南伸と今の阪和高速道路の二本をもってしても、道路公社が道路債を出してでも何とか加太に湾岸線を引っ張ってきて有機的な活用をしない限り、コスモパーク加太も含め、あの加太地域の将来の発展性はないと思うわけでありますが、この点もあわせてご答弁をいただきたいと思います。
 次に、企業局であります。
 私は、いわゆる官、地方自治体が事業運営をしていくという時代はもう終わったと。事業を運営していくというのは、これはまさに市場経済なんです。需要があれば価格が上がる、需要が下がれば価格が下がってくる。戦後の復興期であれば民間がなかなか力をつけておらない時代でありましたから、官主導でいろんな公共サービスを提供したと思います。しかし、今の時代、公共サービスというのは一体何なのだろうか。それは、民間でできないサービスを、和歌山県も含めて地方公共団体が行っていくことだと考えたら、岩倉と佐田のあの二つの発電所、ここに約二十名の職員の皆さんがおります。聞けば、二日行って一日休み、こんな日程を繰り返して今、あの二つの発電所をされておるんです。美山はもう遠隔操作になりました。もう和歌山県が電気を売ってもうけていくというような時代ではないんです。今、和歌山県の求められておる公共サービスは何なのか。
 先般来、いろんな意見がここで交わされました。私もこの和歌山市に来て、道路事情のなかなか解決しない原因が用地交渉だという。しからば、もうあの岩倉や佐田の発電所を関電に売却して、あるいは委託して、あそこに残された職員の皆さんをもう少し今求められているところに配転できないか。そういう意味では、総務部長、技術屋の皆さんを事務屋にかえるぐらいの受け皿がなくてはならないと思うんです。
 行政改革というのは、皆さん、何か職員を減らしたり給料を減らしたりすることが行政改革であるかのように誤って伝えられていると思うんです。そうじゃないんです。確かに、職員の数を減らしたら県民の皆さんから見えやすい。職員の給料を減らしたら県民の皆さんからやっているなと見えやすい。しかし、そんなことが本当の行政改革ではないんです。人数なんか減らさなくてもいい。それよりももっと、価値観の多い世の中で県民が求めておる、今やってほしいところに適材適所をさせるということも、県民の皆さんが思っている誤った行政改革のあり方を変えていく一つの方法ではないかなとも思うんですが、いかがでありましょうか。
 最後に、もう間もなく始まる介護保険について。
 これからの行政というのは、やはり行政だけではなかなかできません。民間の力をどう活用していくか。あるべき民間の力をかりて行政と有機的に連携をさせて県民サービスを行っていくということを考えたら──この介護保険も、初めての法律でありますからなかなかいろいろ難しそうです。県も、介護保険準備室で一生懸命やってきておる。しかし、進めていくということになれば、やはり各町村が主体でありますから、なかなか県自体も思い切った、そうした声も届きにくいこの法律のありようであります。
 そういう中で、私は絶えず地域の薬局を大事にせよということを申し上げてきました。さきの医大の院外処方せんのこともそうであります。薬局の皆さんの中でも、ケアマネジャーの資格を取っておる。この薬局の皆さんというのは、地域に根差した、いわゆる薬店のご主人でありますから地域の皆さんが相談に来やすい、あるいは説明を聞きに来やすい。そういう中で、個人で介護保険のケアマネジャーはなかなかできませんから、県の薬剤師協会あたりに和歌山県が委託をして、薬剤師協会が主体となって地域の薬店におろしていただいて、介護保険を必要とする、あるいは求めておる皆さんのための受け皿を何とかつくってあげていただけないだろうかというのが私の願いであります。このことについてご所見を賜りたいと思います。
 最後に、一つだけ要望しておきます。
 県庁の皆さんに私は二十年、お世話になってまいりました。お互い、人生を歩んでいくのは大変厳しいわけであります。一週間後の一万円よりも今欲しい千円という時期があるんです。そういう中で、先ほども言いましたように、誤った行政改革の一つの方向の中で──県庁職員というのは皆さん、なかなか大変なんです。世間では公務員はええなと言われるけれど、そんなものじゃないんです。そういうことを私は二十年眺めてきたんです。
 お互い、人生で一番大変なのは、三十代後半から四十、五十までです。子供が大きくなって学校へ行く。さあどうしよう。お金のやりくりをするときが、お互い一番苦しいんです。こういうことに頭がいったら仕事が手につかない。私はそういうときのために、二十年勤めたら退職金の三分の一は前払いでもらいますよ、二十五年勤めたら二分の一は差し上げましょう、三十年勤めたら三分の二は退職金を前払いします──要らない人は結構です。退職するまでわしは楽しみにするんだという人には、そういう選択枝を与えてあげたらいい。しかし、民間でも年俸という給与体系になってきた。やはり公務員の給与体系ももうそろそろ、そういう形で県の皆さんが生き生きと働けるような環境づくりも大事ではないかと。このことは要望にさせていただきたいと思います。
 もう時間が参りました。どうかひとつ知事、お体を大事にしていただいて、県民の知事にかける思いを受けとめて頑張っていただきたいと思います。心から知事のこれからのご活躍をお祈り申し上げまして、私の質問にかえさせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの大江康弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず、地方分権を推進していく上での自主税財源の確保についてでございます。
 ご指摘のとおり、地方分権の推進のためには、これを支える自主税財源を確保することが必要不可欠でございまして、さきに成立したいわゆる地方分権一括法による地方税法の改正により法定外目的税が創設され、また法定外普通税が許可制から事前協議制に改正されるなど、地方の課税自主権の拡大が図られたところでもございます。
 しかしながら、新たに法定外の普通税や目的税を創設するには、何に税負担の源を求めるか、すなわち税源の特定でございますとか徴税コストの問題等、検討しなければならない課題がたくさんございます。また、何よりも新しい税を負担いただく県民の皆様のご理解が必要でございます。
 新しい税の創設には、このように難しい問題がございますが、ご指摘にもございましたように、地方分権が時代の大きな流れとなっている中で、これを支える財政的基盤である自主税財源の充実確保が必要不可欠と考えてございますので、議員の貴重なご提言の趣旨も踏まえながら今後研究を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、行政改革における企業局発電事業のあり方に関するご質問のうち、職員の有効活用についてでございます。
 県では、新たな行政需要等に適切に対応していくために、行政組織の見直しや民間委託の推進など、業務の執行体制を見直しまして、限られた人員で最大の効果が発揮できるよう、職員の適正配置に努めているところでございます。
 そうした観点から、業務の見直し等によってある特定の業種で恒久的に余剰人員が生じた場合には、職種にとらわれることなく、職員の能力や適正を十分に勘案しながら、マンパワーの有効活用を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、土木行政についての一点目、低入札価格調査制度への移行についてお答えいたします。
 低入札価格調査制度は、一定の基準価格を下回る入札があった場合に、その入札価格で適正な工事の施工が可能か否かについて審査する制度であり、議員ご指摘のように、平成十年四月一日に建設省及び自治省から各都道府県知事に対して、最低制限価格制度から低入札価格調査制度へ移行する要請があったものであります。
 これを受けまして、本県では平成十年十一月からおおむね一億円以上の入札に低入札価格調査制度を試行的に導入し、平成十一年八月末までの十カ月間に同制度における入札を八十五件執行したところでありますが、八十五件のうち調査基準価格を下回った件数は七件となっております。
 議員ご指摘のように、基準価格を下回る入札が行われた場合は建設業界への影響が大きいとの考え方もございますが、県といたしましては、より合理的な入札・契約制度への移行は必要と考えてございます。
 今後とも、基準価格を下回った案件については、企業の積算内訳書と県の設計書を対比しながら、施工方法はもとより、資材、労務単価等をも厳正に審査してまいります。また、審査の結果、県が履行不可能と判断した場合や企業の持続的な健全経営に大きな影響を与えると見られる価格の提示があった場合は、契約を行わないこととしているところでございます。今後は、試行の実施とその分析を行い、建設業界への影響も調査する中で、低入札価格調査制度への取り組みについて判断してまいりたいと考えてございます。
 次に、二点目の建設業のSランクの設定についてでございますが、現在、県の建設工事の発注につきましては、土木一式工事は経営事項審査の客観点数等に基づき、S及び一等級から五等級までの六段階の等級を設定し、この基準により工事を発注しております。この中で、Sランクの設定については、県内業者が県外大手業者と共同企業体を組んで高度な技術を学び習得することにより技術力の向上を図ることを目的に設定したものでございます。
 土木Sランク業者が有田以北に偏っているのは地域バランスがとれず、業者育成上問題があるのではとのご指摘ですけれども、県といたしましては、施工能力等を総合的に判断する中で設定したものでございます。来年度の新ランクの設定に向けて、ご指摘の点も踏まえて検討してまいります。
 続きまして、大きな項目の三点目の道路公社のあり方についてお答え申し上げます。
 まず一点目の高野龍神スカイライン及び紀の川河口大橋の無料開放についてでございます。
 高野龍神スカイライン有料道路は、和歌山県道路公社が有料道路事業として許可を受けまして、昭和五十五年から供用を開始したものであります。その運営状況につきましては、平成十年度の料金収入が前年度比八八・八%の三億四千万円余りと、景気低迷の影響を受け大変厳しい状況であり、利子負担を軽減するため、民間金融機関からの借り入れに対し繰り上げ償還を行うべく県からの貸し付けを行うなどの施策を講じているところであります。
 今後、無料開放に向けて整理すべき手続も幾つかございますので、民間資金の償還状況を勘案しつつ、県貸付金の処理も含め、期限である平成二十二年度以前の無料開放を視野に入れた検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に紀の川河口大橋有料道路ですが、この道路は和歌山県道路公社が有料道路として許可を受けまして、平成四年から供用を開始したものであります。その運営状況につきましては、平成十年度収入で一億一千五百万円余り、当初計画の九六・四%と、ほぼ見込みどおりに推移しており、また対前年度比でも一〇〇・八%と順調な伸びを示しております。現在の状況を勘案しますと政府や県からの借入金の償還もほぼ予定どおり可能であると考えられますので、現時点での無料開放は検討しておりませんが、さらなる利用促進に一層努力する所存でございます。
 続きまして、二点目の阪和自動車道の和歌山北インター──仮称でございますが──の建設についてのお尋ねでございます。
 現行制度において紀の川右岸地域へインターチェンジを設置するには、一般的に開発事業者の負担により建設する開発インターチェンジ制度によることとなります。開発インターチェンジ制度の条件としましては、開発事業者が負担する建設費と供用後日本道路公団が支出する維持管理費用双方とも採算がとれることが条件でありまして、あわせて関連するアクセス道路の整備も不可欠となります。しかしながら、現時点では周辺に具体的な開発計画がなく、費用負担先が見つからない状況であります。
 現在供用しております阪和自動車道と京奈和自動車道が連結される状況にあり、さらに、この先線となる第二阪和国道、紀淡連絡道路の連結が今のところどのようになるか不明確な状況でありますけれども、これら事情を踏まえ、今後、紀の川右岸地域の開発計画の動向を見きわめながら、開発インターチェンジ等、インター設置の可能性を幅広く検討してまいりたいと考えております。
 続きまして、湾岸道路の南伸についてのお尋ねでございます。
 この点につきましては、平成六年度に関西国際空港線から第二阪和国道の阪南市自然田地区までが大阪湾岸道路南延伸として地域高規格道路に指定されております。この大阪湾岸道路南延伸及び第二阪和国道から紀淡連絡道路に連絡し、加太方面さらには淡路島に至るルートは、議員ご指摘のように、大阪湾環状交通体系の一環をなしまして、関西空港を核とした大阪湾岸地域の一体的な整備を図る上で不可欠な道路区間でありまして、県においても機会あるごとに国に要望を行っているところでございます。
 大阪湾岸道路の加太までの南伸につきましては、紀淡連絡道路の交通需要とともに、コスモパーク加太や和歌山下津港等の地域整備計画による将来の土地利用や交通需要の動向等を視野に入れた上で広域連携交通ネットワークを検討する必要がありますが、当面は、先ほど申し上げました地域高規格道路として既に指定されている第二阪和国道のうち残る府県境の区間と、大阪湾岸道路南延伸の早期具体化を国に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 大江議員ご質問の、介護保険制度の充実のため地域の薬局を活用してはどうかとのことについてでございます。
 介護保険制度では、在宅サービスの中に薬剤指導の分野があり、県内の保健薬局が指定事業者として参入されることとなっており、現在、県薬剤師会等との協議を進めているところでございます。また、多数の薬剤師の方々が介護支援専門員試験に合格されており、居宅介護支援事業者として介護サービス計画の作成、訪問調査など、幅広い活動を展開することが検討されております。
 このような状況から、議員ご提案のように、個人の薬局等が必要な人員配置をすることを要件に薬剤師会等が指定事業者として参画されることにより、地域に密着した身近な在宅介護の拠点として拡充されることは大いに期待しているところであります。
 今後とも、県薬剤師会等と緊密な連携を図りながら最大限の協力がいただけるよう協議を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企業局長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○企業局長(白井保世君) 発電所関係についてお答えを申し上げます。
 ご承知のとおり、電気事業は地方公営企業法の適用を受ける事業でありまして、企業局といたしましては、主要な事業として長年取り組んでまいっているところでございます。
 議員ご指摘のように、電気事業を取り巻く状況、厳しいものがございます。行財政改革を推進する観点からも、企業局といたしましては、現在既に美山発電所において遠隔操作を行っているところでございます。そうしたことも含めまして、なお一層経営の効率化を図るべく検討を現在重ねているところでございますので、その辺ご理解を賜りたいと思います。
 終わります。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間が参りましたので、以上で大江康弘君の質問が終了いたしました。

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