平成11年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(佐田頴一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第百七号、議案第百八号は、いずれも職員に関する条例の改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
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  【日程第一 議案第百三号から議案第百十七号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百三号から議案第百十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三番佐田頴一君。
  〔佐田頴一君、登壇〕(拍手)
○佐田頴一君 おはようございます。
 ただいま議長からお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 西口知事には、知事就任以来、県政の重要課題解決のため誠心誠意取り組まれ、和歌山県の発展のため尽力されてきましたが、阪和銀行と県商工信用組合の破綻、浅川組の倒産、産業廃棄物処理場をめぐる問題、ダイオキシン汚染、長引く不況と雇用の問題、不振続きの農林水産業など暗い話題が続く中、わずかに明るいニュースが流れた南紀熊野体験博も閉幕し、残り任期もあとわずかとなりましたけれども、私たちはどうしても再度西口知事に県知事として第二期県政を担当していただき、和歌山県民の幸せと二十一世紀への明るい豊かな元気和歌山、福祉の町づくり建設のため、健康に留意され、さらなるご努力を賜りますよう、ここで切にお願いをいたしまして、質問に入ります。
 来年四月一日から実施される介護保険制度の現状認識と今後の重要課題の解決についてであります。
 いよいよ高齢化社会の到来で福祉の進むべきあり方が問われるときにあって、だれもが豊かで安心できる老後の社会システムを確立するために介護保険制度は極めて重要な制度であります。この制度導入の目的は、今までの福祉中心の自立支援と家族介護から社会全体で支える仕組みへと移行し、新たに福祉財源の確保を補完すべく、四十歳以上の全国民にその負担を強制し、六十五歳以上の高齢者からも保険料と利用料を徴収する新しい制度をつくり、経済的弱者であるお年寄りのための恩恵の福祉、お世話する福祉から、すべての人に権利と義務と選択を与え、国からの福祉でなく、これからは市町村が自立を支援し、住民が決める分権の福祉に変化させ、特定の人の福祉からだれもが支援を受けることができる権利を与えられた自己責任、自己負担重視の新制度となっていることを、まず我々として理解する必要があるのではないでしょうか。
 このため、介護保険があって介護なしとならないように、介護保険制度の事業主体となる市町村に早急な整備を強く求められています。県としても、この事業が新たに負担を県民に求める制度である限り、緊急避難的な対応でなく、将来に悔いを残さないため、新発足に当たり、高齢者の立場に立った新制度であることを見きわめ、問題点を整理し、謙虚に耳を傾け、問答無用の押しつけでなく、県民へ十分な理解浸透ができるようその配慮をお願いするとともに、市町村への基盤整備などを含めて、この新制度実施に当たっての現状認識について、まず西口知事のご所見から承ります。
 次に福祉保健部長に、今後の具体的課題について質問をしていきます。
 まず、自立と認定された人への対応と支援についてであります。
 この件については、既に十七日、村岡キミ子議員より質問があり、県当局から答弁もありましたが、私からも再確認する意味で質問をさせていただきます。
 介護が必要かどうか認定する手続の中で自立と認定されれば、既に特別養護老人ホームに入所していても在宅でも介護サービスがストップとなり、介護が受けられない仕組みとなっています。特養ホームの場合は五年の経過措置がありますが、五年を経過すれば、どんなにいたくても出ていかなければなりませんし、在宅支援のヘルパーの派遣も打ち切られるため、今の制度では自分の家族や自助努力で埋めるしか方法はありません。今のところ一割程度の人が自立と認定されると予想されていますが、家族もなくひとり暮らしの老人で何事もできない人たちはどうなるのでしょうか。
 介護制度の枠から外れる高齢者の救済をどうするのか、各市町村の大きな課題であり、県はこれらの人たちをどう救済し、市町村に対しどう支援、指導するのか、お聞かせください。
 次に、保険料の市町村格差と利用料負担、低所得者への軽減措置についてであります。
 和歌山県の場合は、六十五歳以上の人の保険料は県平均で二千九百二十三円、全国平均二千八百八十五円を若干上回っている状況でありますが、県内の市町村の最高と最低の額はどの程度の金額の差があるのか。これで、まず市町村間の介護サービスの度合いや格差を見てみたいと思います。
 広域事務組合をつくって保険料を郡で統一する動きもあるが、保険料格差は是正されても、各市町村間の介護サービスの度合いが違うため、介護サービスの低い市町村の人たちは高い保険料を支払わされることになりかねず、受益者負担の公平の原則が崩れることにならないか。また、利用料負担についても疑問があります。
 国の決めた標準メニューサービス量や種類を追加し、サービスを用意したり、給食配達サービス、紙おむつ支給などを無料で実施すると、利用者と実施市町村のみの負担となるのかどうかであります。既に現在、ひとり暮らしの老人のため、毎日、朝夕ホームヘルパーを派遣している市町村もあり、その七〇%の家庭が無料のサービスを受けています。特別養護老人ホームの入居者も八〇%が低所得の人たちであると聞いていますが、新制度が発足すると有料化となり、せっかく介護認定を受けても一割の利用料を支払わなければ介護サービスが受けられません。現在まで無料か少額で介護支援を受けていた人たちへの特別な配慮が必要であると考えますが、用意されているのだろうか。
 次に、既に介護保険サービスの限度額と報酬単価も決められているが、例えばAさんが要介護三、限度額二十七万四千円と決定した場合、この金額に対する介護サービスの中身の度合いが高いか低いかの問題となります。介護する場所には、在宅の場合、お年寄りしかいない人、家族がなくひとり暮らしの場合、介護サービスの中身が決められてあっても、実際にそのとおり実施されているのかチェックをする人がなく、この中身のチェックをだれがするのか、チェック体制の機能が不明であります。また、介護サービスの中身を苦情として訴える人も出てくることも予想されるが、その受け皿はどうなっているのだろうか。
 次に、ケアマネジャーの資格取得問題についてであります。
 県は、去年十月と本年七月、二回にわたり介護支援専門員実務研修受講試験を実施し、この結果千六百五十一人が合格しているが、市町村や事業者、介護施設者、県民に対する指導、この制度の説明責任を果たすために、県職員として何人がこの試験を受けられ、何人合格しているのか、お教えください。なぜなら、無資格者が有資格者を指導しても責任ある指導ができないと思うからであります。
 介護施設や在宅介護、介護事業者も含めた人材確保と育成も大変重要な課題であります。特に、土、日曜日と夜のヘルパーの派遣をどうするかが問題であり、間近に迫った段階での諸準備に万全な状態であるかを総点検し、新制度スタートに備えていただくことをお願いして、次の項目の質問に移ります。
 次に、進まぬ県内八農協合併構想について質問を行います。
 農協合併については、先日、木下善之議員からも質問があり、既に答弁をいただいていますが、私も紀の里農協合併の立会人であり、県農協出身者で組合員という立場上、農協の将来について大変不安を抱いていますので、私からも再度質問をさせていただきます。
 全国にある単位農協千八百を二〇〇一年三月末までに五百程度に減らし、現在の町、県、国の三段階ある組織を二段階に再編し、スリム化を図り、非常に厳しい農業環境の中にあっても、規模拡大による経営合理化のメリットを生み出し、物資の安価な供給や生産物の高価な販売ができる仕組みに再編を求められており、金融面も含めた単位農協として生き残りをかけた大規模合併への道を進めなければならない状況に追い込まれています。このため、県農協中央会では、八五年に合併推進本部を設置し、八六年十二月に現在市町村単位にある県下五十農協を郡農協の八組合に合併再編する構想をみずから打ち出し、八八年十一月の県農協大会で三年以内に広域合併の実現を図る特別決議をしている。既に奈良県は、いち早く本年四月に県内一農協としてまとまり発足している。和歌山県の場合、毎年のようにJA大会で決議ばかりをしているが、約束は守られず、合併を先送りしながら八農協にまとまっていないのが現況であります。経営規模が小さく、体力の弱い市町村の農協では、金融の自由化もあり、今後経営危機に追い込まれることも予想される中にあって、地域経済に不可欠な農協基盤強化安定に向けての強力な合併を推進し、その努力を促す強力な行政指導がぜひ必要であると思いますが、なぜ和歌山県が進まないのか、進まない理由を農林水産部長にお尋ねします。
 次に、合併を推進するための金融財務強化の県の支援策についてであります。
 地域経済の重要な役割を担っている農協金融の経営体質強化を促すには、資本力を増強して大規模化し、金融ビッグバンに備えるためには合併しか選択の道はないと考えます。都市銀行はもとより、地方銀行も、公的資金を注入したり、大規模な合併を進めたりして経営基盤の強化を急いでいるが、農協としても小規模農協では組合員の立場から地域金融の抜本的な不安解消にはつながらないし、ペイオフ(預金一千万円しか保証しない制度)の凍結解除が迫っている今、地域経済を担う金融機関としてより強力な農協を目指した金融部門の再編が求められています。今後、二〇〇一年四月に予定されるペイオフが凍結解除されると、自己責任の原則により元金さえ戻らない、保証のない時代に突入します。このため、銀行、信用金庫、郵便局、農協等の選別はますます強まることが予想され、農協預金の大量流出を防ぐ手段としても合併を早く実現することを真剣に考えざるを得ない時期になっています。
 ここで、ペイオフ解除までの八農協合併推進について、JA大会の決議どおり、今度は本当に紀元二〇〇一年(平成十三年)四月までに完全に郡農協八組合合併ができるのかどうか、県の見通しをお尋ねいたします。
 さらに、合併を進めるための財務強化支援の具体的な施策についてお尋ねいたします。
 合併が進まないのは、組合の役員や組合員の反対ばかりでなく、銀行と同じように不良債権問題が合併する障害になっていないかであります。他府県では、合併を推進する際、不良債権を償却した農協に対し合併支援基金などを取り崩して支援している道県があります。九八年の支援額は三百四億四千万円の公的資金が導入されています。和歌山県の場合、不良債権を処理したときの支援策をお教えください。
 県農協中央会に八五年に合併推進本部を設置してもう十四年も経過していますが、これまでの合併推進の努力が適切であったかどうかも検証が必要であるし、県の指導責任も明確にする必要があると思います。また、信用組合に対する監査は現在都道府県が担当しているが、二〇〇〇年四月からその権限が逆に国に移管することが決まっています。農協も、従来どおり県と農協中央会が年一回確実に監査を実施し、もっと強力な監査体制と責任の明確さをきちんとしなければ、他府県の例でわかるように、そのツケはすべて行政と組合員、県民に回される結果となります。
 そこで農林水産部長にお尋ねしますが、農協の監査体制を強化する必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
 次に、農業共済組合の合併と県下一組合への再合併推進についてであります。
 天候に左右される農業とはいえ、台風などにより農産物のでき、ふできが生じ、価格や量産に影響させられています。そこで、台風等の災害結果を見て共済加入者には共済制度により共済金が支払われていますが、現在の農家は米の生産者を除き共済制度そのものを十分認識していない面があり、共済加入面積は極めて少ない状況が続いています。しかし、今後も農業生産に意欲を燃やして農業を続けていくためには、この共済制度の維持は必要不可欠の事業であります。このため、全国の農業共済組合が現在取り組んでいる地域再編整備は、郡単位の共済組合をさらに大規模化し、郡の区域を超え、かつその事業規模点数十万点以上の新広域組合に生まれ変わらせ、将来にわたって農業共済組合の安定的、効果的な事業が実施できる事業基盤と事業実施体制の確立を目指し、現在の全国四百四十八組合を合併完了時点には二百九十六組合に合併すべく推進されています。
 そこで、和歌山県もこの方針に従い、現在の八共済組合を三組合にすべく、県の指導により合併が進められ、この十月一日より県下三組合として発足する予定になっています。私の住む那賀地域は、和歌山市、那賀郡、橋本市、伊都郡の二市二郡の和歌山北部農業共済組合として十月一日から発足します。しかし、この合併により組織のスリム化や効率化ができても、合併をよしと快く考えてくれる農家の人は何人いるのか、甚だ疑問が残ります。今までのように人と人との人間関係は通用せず、市町村の協力も期待できず、これからは共済組合単独で事業を推進しなければなりません。さらに、この合併により農家の引き受け面積が減少に進むのではないかと心配をしています。このため、新共済組合の組織や活動内容、事業内容に全く影響が出ないようにするためには、今後の運営についてもさらに十分検討すべきであると思います。私も先日まで那賀郡共済組合の役員でしたが、現在の姿で和歌山、那賀、伊都の三組合を合併する仮定でシミュレーションをつくってみますと、合併第一年度で数千万円の赤字でありました。これでは組合員に合併の説明ができないとして、合併しても赤字を出さないよう組合員からの賦課金をアップし、職員の退職などにより人件費を減らし、収支とんとんの経営になるような事業計画をつくったのであります。農家から当然、何ゆえに合併すれば賦課金が高くなるのかとの疑問を抱かれています。
 そこで、この新組合に対する支援策を農林水産部長に質問していきたいと思います。
 まず、合併前には市町村からも助成金を受けていた組合もありましたが、今後も引き続き新組合に補助金が受けられるよう市町村に対し指導してくれるかどうか。和歌山北部共済組合の場合は、数百万円の補助金であります。また、新組合の合併には第一年度のみ国から二千万円の助成があると聞いているが、今後国は毎年〇・六%、三億円の事務費を減額すると言っており、合併二年目から問題となります。新しい組合の経営が赤字となった場合、県が合併を指導した立場上、支援策をどう検討してくれるのか、まず支援策からお尋ねします。
 次に、これから共済組合を将来にわたって維持していくためには、県下三組合ではいずれ経営が行き詰まってしまうことになります。現在の組織は、単位共済組合、県連合会、国という三段階制による危険分散、事業実施体制を基本として維持されているが、地域の意向も踏まえて二段階制による事業の実施の道を開くと農林水産省は認めています。今回は、既に地域再編整備計画で県下三組合と決められていたが、今後さらに合併を進めて県下一組合を誕生させ、県連合会の権利義務を引き継ぎ、連合会の機能もあわせ持つ特定組合につくりかえる方法、これしか将来にわたって共済組合として生き残る道はないと思います。私の県下一組合の提案について、知事のお考えをお聞かせください。
 次に、広域ごみ焼却施設の新設計画と今後の進め方についてであります。
 厚生省は、九七年、一般廃棄物の焼却施設を市町村で設置する場合は、ダイオキシン類の排出量を減らすために一般廃棄物の焼却施設の一日の処理量を百トン以上とし、百トン未満は国庫補助を適用しないと都道府県に指示しています。このため、市町村が独自でごみ処理施設を設置しても百トン規模に満たないため、国庫補助金も交付税の上乗せも受けられないとして、県は原則として今後施設を新設する場合は、郡単位以上の単位で広域化を進め、焼却施設を共有する広域化計画を打ち出しています。私の住む那賀郡も、一市九町から成る海南市・海草郡・那賀郡広域ごみ処理施設建設協議会を発足させて、一日百トン、完全燃焼可能な焼却炉の設置を進める方針を打ち出し、八百度以上の高温で二十四時間燃やし続け、ダイオキシン類を抑えるための施設をつくろうと計画しています。
 ところが、最近、厚生省の考え方、指導方針が急変し、現実には全国に百トン未満の施設が七二%もある事実を認識して、百トン未満の施設でも技術開発が進んだ今日、ダイオキシン類の排出量を減少させることができるようになったとして、従来の方針を撤回し、市町村からの要望があれば小規模施設でも補助すると大きな方向転換を打ち出していることであります。
 そこで、大規模処理施設をせずとも、従来どおりの考えで設備の更新時期が来ている市町村では、小規模施設についても十分研究し、再検討すべきでないかと考えます。大規模施設の場合は、幾つかの大きな障害を乗り越えていかなければなりませんし、なかなか完成までに時間がかかり、大きな資金も必要になってきます。その理由の一つとして、まずごみ建設予定地の立地条件の問題があります。ごみ焼却施設は迷惑施設として位置づけられており、小規模でもなかなか設置場所の了解が住民よりとりにくいのに、大規模になるほど土地価格が下落するなどの理由で地元周辺地域の見返り要望の整備にも対応が必要となり、ごみ処理施設以外の費用にも莫大な費用が必要とならないかどうかであります。
 次に、新設に対する費用の負担金にも市町村間での格差問題が起きます。例えば、焼却施設の建設費は規模や性能により異なるが、数十億円から数百億円の資金がかかると言われ、今の厳しい財政事情を抱える市町村にとって大きな財政負担となります。特に、施設が老朽化し、耐用年数も経過した施設の更新時期が迫っている市町村は何をおいても早く設置しなければなりませんが、既に立派な施設を新設した市町村にとっては、既存施設の起債償還と新たな新設負担金など二重の負担を強いられることになります。この場合、全体の中でどのようにその負担額を調整するのかどうかであります。
 また、ごみの運搬方法にも問題があります。一日百トン以上のごみの量は人口十万人分のごみの量であり、それだけのごみを一カ所に集めて処理することは大変な仕事で、運搬方法、運搬時間や距離、搬入道路、各市町村でのごみ収集方法も異なるため、その調整も大変難しく、さらにごみの運搬中継基地建設も新たな課題となります。一トン積みのパッカー車で遠い場所まで運搬できないため、十トントラックに積みかえるための一時ごみ保管中継基地が各市町村に必要となり、人里離れた山の中に中継所をつくるわけにもいかず、運搬上どうしても便利な土地とならざるを得ないし、不燃物の処理もあり、蚊やハエがごみと一緒に集まり、洗濯もできない問題も起こって、その解決にも時間がかからないかどうかであります。
 次に、リサイクルの推進運動が始まっています。電動式生ごみリサイクル機が発明され、既にごみ減量対策として市町村による購入助成制度があると言われており、一家庭に大容量一日一・五キログラムの生ごみを分解し、バイオの力で分解され、有機肥料となり、その機械の販売価格も六万円前後で農協で販売されています。このような機械が普及されると、ごみの量が減ったりして地域の実情が変わり、遠くまで運ぶ必要もなくなります。大規模な施設の経費、人件費、運搬車両費などのランニングコストも、今よりずっと高くなる心配があります。私は経費の面でコンパクトの方が低コストと思いますが、どうでしょうか。
 以上の理由から、大規模施設建設に大金をかけることは大きな危険があり、疑問があると思います。国の考え方も方向転換している中にあって、各市町村に応じた比較的簡単な小規模の施設も含めて、県の指導方針を考え直し、大小含めたむだのない新設計画を再検討してはどうかと思いますが、生活文化部長に今の県の考え方をお聞かせください。
 最後に、障害者が働く小規模作業所の支援についてであります。
 県は平成十年、紀の国障害者プラン実施計画を策定して各種施策に取り組み、西口知事を先頭に完全実施に努力されていることに対し、お礼を申し上げます。
 小規模作業所については、二十年前には県内に六作業所しかありませんでしたが、現在、私の知る限りでは四十一作業所に増加していると聞いています。いずれも自立に険しい作業所の経営実態であり、資金難にあえぐ多くの作業所が維持できるかの岐路に立っているのが現状であります。今、法人化できないこれらの作業所に支援する対策を検討することは介護保険制度導入の時期に際して極めて重要であると考えます。高齢者ばかりでなく、知的障害者も地域の中で一般の人と同じような当たり前の血の通ったぬくもりのある生活ができる環境づくりが必要であり、単なる障害者の人たちの居場所ではなく、自立する人たちのための重要な作業所を見直すときであるからであります。これから養護学校を卒業している子供たちや障害者のことを考えると、両親が近くにいる住みなれた地域で働きたい、友達がたくさん欲しいなどの願いを受け入れ、自分の力も発揮したい、みんなのため、人の役にも立ちたいとの願いは、すべての人と同じであります。この願いをかなえるように、大切に支援していかなければなりません。
 例えば、粉河町にある若葉作業所は在宅の障害者のための小規模作業所で、作業訓練を通じて一日も早い社会復帰や社会参加を目指し、十一年にボランティアの方々の温かい支援を得て家族会が運営主体となって運営を行っております。ことしからは以前より少し広い建物に移転していますが、法定施設と比較して著しく立ちおくれており、障害者を抱える家族を中心に、新しい施設建設のための資金集めの目標を立てて頑張っておられます。この施設の経営内容を平成十年度の歳入歳出決算書で見ると、公的補助金が八百二十二万円、ウエスの販売等の事業収入等で三百十四万円程度、歳入合計で一千百三十六万円、これが現在の小規模作業所の実態であります。
 そこで、最近、那賀郡で小規模作業所から法定施設になった作業所がありますが、この作業所の前と今とを比較してみますと、定員十七名が三十名に、職員三名が九名になり、面積も一人二畳が十畳の広さになり、運営補助金も八百万円であったのが措置費として五千五百万円になり、施設としても、食堂、広い作業所、更衣室、相談室、調理室、事務所、会議室などが整備されています。だから、これを見る限り、小規模作業所よりも法定施設にした方が施設もよくなり、不安定な経営からも脱却できることはだれもがわかっていても、現在の経営で手いっぱいであり、広い場所に移りたくても資金手当てもできず、どうしようもできないのが現況であります。
 しかし、初めに述べたとおり、高齢化社会に向けたお年寄りの介護制度に、その措置費として一人四十数万円も使っていることを考えれば、障害者への支援は余りにも少ないのではないかと思います。学校を卒業すれば、障害の重い子供たちは、働く意欲を持ちながらも仕事がなく、働く機会さえ数少なく、生まれてきて本当によかったと言える暮らしにはなりません。二十一世紀も障害者が安心して暮らせる社会に向けた良好な環境づくりを支えるのも、私たちの義務であります。このためにも思い切った支援策を考え出し、財政援助をもっと強化すべき時期だと思います。
 そこで、まず知事に障害者の働く小規模作業所に対するご所見をお聞きし、続いて福祉保健部長にお尋ねしていきます。
 まず、小規模作業所に対する運営補助は近畿地区では低い部と聞いているが、他府県と同様の補助金をお願いしたいこと、また小規模作業所の運営の安定に向けての支援策として、運営を支える職員の待遇改善を図るための人件費補助のアップ、学校の校舎等の公的施設を作業所に利用するための方策についてもお尋ねします。
 弱い立場の人たちが、家庭の中にあっても保護者に犠牲を強いることなく、安心して生きがいを持って暮らせる和歌山にするため、県のさらなるご支援を検討していただくようお願いして、質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの佐田頴一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 佐田議員のご質問にお答えをいたします。
 まず、介護保険制度でございます。
 介護保険制度も、いよいよこの十月から準備要介護認定が開始されることとなりまして、実質的なスタートを切ることとなります。また、法が成立して以来、短期間の中で介護サービス基盤の整備あるいは公平な介護認定への取り組みなど、多岐にわたる準備作業を市町村と密接な連携をとりながら実施してまいりました。この間、相当な成果をおさめてきたものと思いますが、中でも市町村におかれましては、限りある人員の中で厳しい作業環境であったものと思われ、大変なご苦労があったことと感謝を申し上げたいと思います。
 県といたしましても、各種団体等への数多くの説明、協議を行うとともに、県民への各種メディアを活用した啓発活動などによりまして、本制度がかなり浸透してきたものと思ってございます。今後とも、さらに県民の理解を深めるための啓発に努めるとともに、必要な介護サービス量の確保や低所得者へのきめ細かな配慮などについて国に働きかけを強く行いながら、市町村の支援に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、農業共済組合の合併についてでございます。
 組合の経営基盤強化を図るために、これまでも県農業共済組合連合会と連携をしながら推進をしてきたところでございます。特に平成十年度から、県下八組合を三組合に合併する構想の実現に向けて具体的な取り組みをしてきたわけでございます。合併の進捗状況につきましては、お話のように、海草、有田地区が本年七月一日に和歌山中部農業共済組合として合併したところであり、和歌山市、那賀、伊都地区が和歌山北部農業共済組合として、日高、西牟婁、東牟婁地区が和歌山南部農業共済組合として、本年十月一日に合併が予定されておるところでございます。
 県といたしましては、合併三組合の経営安定を図ることが当面の最重点課題であると考えておりますので、議員のお話の県下一組合構想につきましては、ぜひ必要なことではございますが、今後国や県内三組合の動向を踏まえながら連合会や各組合と協議を進めてまいりたいと考えてございます。
 最後に、小規模作業所──ただいま若葉作業所の写真を拝見させていただきましたが、小規模作業所が地域における障害者の働く場、活動の場として重要な役割を果たしてきておることは、よく存じてございます。利用される方々の障害の種別や程度に合わせた自主的で柔軟な運営が可能であるなど、大きな特色を持っておるわけでございます。障害のある人々が、住みなれたところで地域の人々とともに生活をし、社会参加していくことは、大変重要なことでございます。今後とも、障害者の働く場として小規模作業所の環境の整備や充実に努めるとともに、さらに運営の安定を図るために、授産施設などの法定施設化に向けての指導をしてまいりたいと考えてございます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 佐田議員ご質問の、介護保険制度の現状認識と重要課題の解決についての五点にお答えを申し上げます。
 まず、介護保険給付の対象とならない高齢者に対する施策についてでございますが、五年間の経過措置後の施設面での対策といたしまして、高齢者生活福祉センター等の整備を促進することとしております。また在宅面では、在宅高齢者保健福祉推進支援事業により、在宅高齢者の生活支援対策、生きがい対策、及び保健予防対策等を地域の実情に応じて市町村が取り組めるよう総合的に推進してまいります。
 次に、保険料、利用料の低所得者への軽減措置についてお答えを申し上げます。
 一号保険料と介護サービス水準の市町村での差異についてでございますが、保険料につきましては、七月二十七日に発表した一次試算では、県全体で二千九百二十三円、最高は三千四百十三円、最低で千九百九円となっております。なお一号保険料については、住民のサービスの利用意向及び供給量から算定されるものであり、開始時には若干の差異が生じることとなります。現在、県としても、各自治体が策定中である介護保険事業計画の中で、近隣市町村が同一の水準になるよう、市町村とともに十分な連携を図ってまいりたいと考えております。
 利用料負担に対する軽減につきましては、所得に応じた高額介護サービス費の上限額の設定や災害等の場合の軽減措置により対応することとなっており、また生活保護受給者については介護扶助が全額支給されることとなっております。
 次に、標準サービス以外で市町村が独自サービスを展開される場合、配食サービスなどのいわゆる横出しサービスを市町村特別給付等で実施する介護保険による方法と国庫補助事業の一般施策で実施する方法等があります。いずれにしましても、これらの附帯サービスについては一号保険料の高低と密接に関連するものであり、現在審議されている市町村の介護保険事業計画策定委員会等で見きわめられるものと考えており、市町村とその内容について協議を進めてまいりたいと考えております。
 次に、介護サービスの中身のチェック体制についてでございますが、高齢者に対するサービスが適切に提供されているかどうかを確認するための人材として、介護支援専門員がその役割を担うこととなっております。県といたしましては、現在その介護支援専門員の養成の中で、公平性の確保、サービス内容の吟味など、チェック体制のあり方等を含めて研修を実施しているところであります。また、介護サービスの内容や質に関しての苦情の受け皿につきましては、市町村において対応が困難な場合は国民健康保険団体連合会が受け付けをし、サービス事業者に対する調査、サービス改善に関する指導及び助言を行う苦情処理制度が定められております。このような状況から県としましても、苦情発生に備えて、市町村、国民健康保険団体連合会の三者で八月に苦情処理業務検討会議を設置し、相互に連携が図れるよう対処方策を検討しているところであります。今後の進め方としましては、関係機関と協議しながら、苦情処理が円滑また迅速に遂行できるよう苦情処理のマニュアルを早急に作成してまいりたいと考えております。
 次に、県職員における介護支援専門員の試験合格者数につきましては、二カ年で二十六名と把握しているところであります。そのほか、介護支援専門員の指導者としては、平成九年度から四名の専任者を養成している状況にあります。
 介護支援専門員は、介護サービス計画の作成や訪問調査など介護保険制度の中心的な役割を発揮していただくこととなっており、県としましても、介護保険業務に従事している職員が市町村、民間事業者等への適切な指導をしていく観点から、今後とも介護支援専門員の資格取得など推奨してまいりたいと考えております。
 最後に、介護施設、在宅介護、介護事業者等の受け入れ側の体制についてでございますが、福祉、保健に係る人材の確保とその資質の向上が大変重要であると認識してございます。県といたしましては、和歌山ビッグ愛に設置しております福祉保健研修人材センターにおいて、事業者への情報提供や職業紹介、福祉保健従事者の研修等を実施しております。今後、研修人材センターの一層の充実を図りながら促進してまいります。また、二十四時間対応ヘルパー事業につきましては、現在二十五市町村で実施しておりますが、今後すべての市町村で対応できるように指導してまいります。県といたしましても、介護保険制度への円滑な移行を行われるよう、住民のニーズを踏まえ、基盤整備の一層の充実を図るように市町村に対し働きかけてまいります。
 次に、障害者が働く小規模作業所についての二点にお答えします。
 小規模作業所は、在宅の障害者が五名以上で週五日以上利用する就労の場でございます。小規模作業所に対する支援につきましては、県において運営の安定化と職員の待遇改善を図るため、昭和五十四年以来、市町村が行う補助の二分の一を補助しております。補助額につきましては年々その増額を図ってきており、平成十一年度も約五%増額したところであります。運営補助は全国と比べてもほぼ平均的な補助額となっておりますが、今後とも増額について努力してまいりたいと考えております。また、国においては障害者団体を通じて補助金が交付されておりますが、補助額の大幅な増額などを国に対し要望しております。
 また、小規模作業所の運営の安定を図るため、昭和五十四年度から平成十年度までに授産施設十三施設、入所更生施設一施設が法定施設化し、平成十一年度開設した授産施設三施設につきましても、小規模作業所から法定施設化に向けて指導してきたところでございます。今後とも市町村と連携しながら、障害者の社会参加を進める上でも、障害者の働く場の確保について支援してまいりたいと考えております。
 最後に公共施設等の利用についてでございますが、学校の校舎等、公共施設の小規模作業所への利用につきましては、現在、小規模作業所四十一カ所のうち市町村からの土地の貸与が十三カ所、建物の貸与が十カ所という状況でございます。また、法定施設の中には用途廃止になった教育施設等を授産施設に転用した事例もございます。今後とも、市町村や関係機関と協議の上、授産施設や小規模作業所への公共施設等の活用を推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 佐田議員にお答え申し上げます。
 まず、県内八農協合併構想の実現についてでありますが、議員ご指摘のとおり、ペイオフ凍結解除に備えて、貯金者の信用を維持するためにも重要なことであり、県といたしましては、農林水産部の重要施策として積極的に指導、支援してまいりました。
 本年十月一日には、海南、海草地域と有田地域において、それぞれ広域合併農協JAながみねとJAありだが誕生します。また、伊都地域と東牟婁におきましても、期間内の合併実現に向け具体的な取り組みが行われておりますが、八農協合併構想の完遂ということでは、農協間の財務格差や合併メリットの不透明性などの合併阻害要因があり、厳しい状況にあるのではないかと考えてございます。
 また、農協系統組織の再編整備のもう一つの取り組みである二段階制でありますが、共済事業につきましては、全国組織への統合が既に決定されております。また信用事業、経済事業につきましては、全国的な動向を把握し、指導、助言してまいりたいと考えております。
 続きまして、農協の合併を進めるための財務強化支援策についてでございます。
 県といたしましては、農協合併を推進するため、未合併農協に対する指導等、組織整備の推進を行う農協財務健全化事業や合併阻害要因の一つである不良債権の償却を支援する社団法人紀の国農業振興基金に対する資金貸し付けを行うとともに、広域合併農協に対し営農指導強化対策を実施するなど、指導、支援を行ってまいりました。今後とも、農協合併の推進につきまして積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に農協検査についてでありますが、平成十年度から組合検査室を新設し、県農協中央会と連携のもと、早期是正措置が導入されたことに伴い、従来の検査項目に加えて資産査定などに重点を置いて検査を行い、組合の執行体制の確立、自己資本の充実、経営の健全性の確保などの指導を行っているところでございます。また、地域に密着した金融機関である農協の経営の健全性、安定性を高めることが急務となっていることから、平成十一年度からは検査体制の強化を図るとともに、検査の精度を高めるため、公認会計士二名を嘱託検査員として採用し、きめ細かな検査を実施しているところでございます。
 次に、農業共済組合合併後の新組合に対する県の支援策の検討についてでございますが、先ほど知事が申し上げたとおり、合併後まず組合の経営安定を図ることが最重点課題であると考えますので、運営に支障が出ないよう指導してまいりたいと考えてございます。
 また、市町村に対する助成指導についてでございますが、現在県下におきまして農業共済組合への助成は一部の市町村で実施されているところでございます。しかし、広域合併により市町村の役割が薄れることから継続助成や各市町村への協力要請は大変難しいところでありますが、関係団体等とも協議をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 佐田議員ご質問の、広域ごみ焼却施設の新設計画と今後の進め方の三点について回答申し上げます。
 まず、広域化計画の見直しでございますけれども、ごみ処理広域化計画は、ごみの排出量増大に伴う最終処分場の確保難、リサイクルの必要性の高まり、ダイオキシン対策等の高度な環境保全対策の必要性等、市町村が抱える一般廃棄物処理に係る課題を解決するため、ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン及び厚生省通知により、ごみ処理の広域化が必要であるとの基本方針が示されているところであります。県におきましても、この国の基本方針に従って、市町村と意見交換を重ね、国と協議をし、おおむね十万人規模以上を一つのブロックとした七ブロックのごみ処理広域化計画を策定したものでございます。
 議員お話しの市町村の財政負担問題、焼却施設の立地問題、既存施設の更新時期の違い、収集運搬の問題等、広域化を進めるためには、さまざまな乗り越えるべき困難な課題が多くあることは理解いたしているところであります。しかしながら、ごみの広域化は国の方針に従って進めているところでございますので、ごみ広域化計画を見直すことは困難であります。今後、県といたしましては、ごみ処理広域化計画を円滑に推進できるよう、国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
 なお、厚生省が百トン未満の小規模施設に対する補助について検討しているとのお話でありますが、これは広域化に至るまでの過渡期の措置として老朽化に伴う小規模施設の更新に対する財政支援であり、ごみ広域化計画を見直すものでないものと認識いたしております。
 続きまして、焼却施設建設予定地の地元了解を含む諸問題についてでございます。
 これにつきましては十分承知いたしておりますが、現在、海南、海草、那賀広域ブロックで協議会を設立し、協議をしているところでございます。県といたしましては、協議会の議論の過程で検討されるさまざまな問題につきまして必要な助言や指導を行ってまいりたいと考えてございます。
 三点目のランニングコスト、費用面の検討についてでございますが、一般的には施設規模を大きくすることにより処理能力当たりの建設費が安くなると言われておりますが、反面、輸送距離が長くなることによる輸送費の増加も考えられます。ランニングコストを設定する際には、こうした要素を総合的に検討する必要がありますが、現在のところ、海南・海草・那賀広域ごみ処理施設建設協議会におきましては具体的な検討の段階に至っておりません。市町村財政が非常に厳しい状況にあることは認識いたしておりますので、今後コスト面につきましても建設協議会において十分検討されるよう指導してまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、佐田頴一君の質問が終了いたしました。

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