平成11年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成十一年九月 和歌山県議会定例会会議録 第三号

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議事日程 第三号
 平成十一年九月十七日(金曜日)午前十時開議
  第一 議案第百三号から議案第百十七号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百三号から議案第百十七号まで(質疑)
   二 一般質問
   三 休会決定の件
出席議員(四十七人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       松   本   泰   造
     五  番       阪   部   菊   雄
     六  番       堀   本   隆   男
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       大   沢   広 太 郎
     十二 番       木   下   善   之
     十三 番       宇 治 田   栄   蔵
     十四 番       尾   崎   要   二
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       谷   本   龍   哉
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       永   井   佑   治
     二十 番       谷       洋   一
     二十一番       小   川       武
     二十二番       高   瀬   勝   助
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       山   下   直   也
     二十六番       玉   置   公   良
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       野 見 山       海
     二十九番       吉   井   和   視
     三十 番       向   井   嘉 久 藏
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       江   上   柳   助
     三十四番       金   田       眞
     三十五番       森       正   樹
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       新   田   和   弘
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       大   江   康   弘
     四十一番       高   田   由   一
     四十二番       中   山       豊
     四十三番       飯   田   敬   文
     四十四番       鶴   田   至   弘
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       村   岡   キ ミ 子
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         西   口       勇
     副知事        高   瀬   芳   彦
     出納長        中   山   次   郎
     理事         藤   谷   茂   樹
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     生活文化部長     大   井       光
     福祉保健部長     小   西       悟
     商工労働部長     上   山   義   彦
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       白   井   保   世
     教育委員会委員    加   藤   容   子
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   高   垣       宏
     警察本部長      樋   口   建   史
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     宮   市   武   彦
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       新   谷   哲   朗
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       佐   竹   欣   司
     議事課副課長     井   田   光   三
     議事班長       松   谷   秋   男
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       西   野   光   彦
     調査課長       湯   川       忠
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課速記技師    保   田   良   春
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  午前十時一分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第百三号から議案第百十七号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百三号から議案第百十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十六番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。
 第一番目に、介護保険問題についてお尋ねをいたします。
 来年四月の介護保険実施まで、あと七カ月余りと迫ってまいりました。最近、テレビ・新聞なども介護保険に関する番組や記事も大変多くなりました。そのせいか国民の関心も高まる中、不安と期待が交錯しているようです。十月一日からは、全国の市町村を窓口にして、介護保険でどの程度の介護サービスを受けられるかを決める要介護認定の申請受け付けが始まります。実施が近づくにつれ、県下各地でシンポジウムや学習会が開かれてまいりました。どの会場も予想を上回る参加者で、その関心の高さを示しています。特別養護老人ホームを申し込んで一年たってもまだ入れない、保険料だけ取られてちゃんと介護してもらえるのか、自立と判定されたら、特別養護老人ホームから退所してくださいと言われても帰るところのない人はどうすればいいのか、少ない年金で、夫婦二人で今でも二日で五百円の食事代で過ごしている、保険料は二人で最低でも一カ月三千円にもなるのか、とても払えないよ、問題だ、利用料一割負担も払えないなど、驚きや怒りの声が多く出され、その改善を求める声が強まってまいりました。実施主体となる全国市長会、町村会を初め千二百を超える市区町村議会からも、保険料、利用料の低所得者への減免制度や基盤整備に対する財政支援措置などを求める緊急決議、意見・要望書が次々と国会へ送られています。また、さまざまな団体からも国会に対して改善を求める署名などが提出されて、今なおその運動は大きく広がっています。本県からは、二十七の市町村議会から意見書が国会に送られているところです。
 七月二十六日、厚生省は第一号被保険者である六十五歳以上の高齢者の保険料を中間集計して、全国平均一人月額二千八百八十五円、年間にすると三万四千六百二十円の負担になることを発表しました。最終的には、この料金はもっと高くなると言われております。また、第二号被保険者である四十歳から六十四歳までの保険料は、大企業で働く労働者の組合健保では本人負担千三百円、中小企業労働者の政管健保では本人千五百円、国保の一人当たり平均保険料は千三百円程度となる見込みと発表をいたしております。これらはいずれも、来年の三月ぐらいに最終決定されますので、当初試算より実質的にはさらに高い保険料になることも予想されます。
 六十五歳以上の高齢者の保険料は、平均二千八百八十五円を基準に、住民税をどれだけ納めているかによって五段階に分かれて、年金からも差し引かれるようになります。その五段階に分かれた内容ですが、一つは、老齢福祉年金月額平均三万四千三百円の受給者や生活保護を受けて住民税非課税のお年寄りは半額の千四百四十三円で、五〇%が減額されます。しかし、同じ国民年金受給者で、老齢福祉年金の額すなわち月額三万四千三百円未満の年金を受け取っている人は半額の対象にならず、二五%減額で二千百六十四円と、これまた納得できない負担となっています。年間わずか四十万円以下の年金から消費税以上の税金に等しい負担を強いられ、低所得者ほど負担が重くなる仕組みであります。年間所得二百五十万円未満でも、住民税を払っていると二五%増しとなり、三千六百六十円の負担です。同じく年間所得二百五十万円以上では五〇%増しで、保険料は四千三百二十八円となります。全体として、六十五歳以上のお年寄りのうち、七六・三%が住民税を納められない低所得者で占められていることも重要視しなければなりません。
 ところが、事もあろうに政府は、来年、高齢者医療費の自己負担増や年金給付の五%カットの方針を検討し始めていると聞いております。これでは、高齢者の負担はふえるばかりです。夫婦二人の一日のおかず代を五百円でと節約してぎりぎりの生活をしている低所得者の実態を知っているのでしょうか。まさに生きる権利さえ奪いかねない国の政策を私は見過ごすわけにはいきません。高齢者社会にふさわしく、老人福祉法を守り、安心して医療と介護が十分受けられる充実した内容に改善することが大事です。住民税非課税の低所得者の保険料は無料にすることも含めて、減免制度をすべての自治体で実施すべきだと切実に考えるものです。
 また、四十歳から六十四歳の人の場合、長く続く不況の中、倒産・失業した人も多く、国保料を払いたくても払えないで苦しんでいる人も増加している昨今です。多くの自殺者もこれまでに出してまいりました。私たちの調査でも、わずか十一自治体で国保滞納世帯は七千九百四十五世帯となっていますから、国保の収納率も近年は低下の一途をたどっているのではないでしょうか。介護保険制度が始まれば上乗せされる保険料で払えなくなる人は確実にふえるでありましょう。そうなると、国保滞納者に対する制裁措置によって医療も介護も受けられなくなり、まさに保険あって介護なし、これでは介護保険制度として成り立つはずがありません。低所得者の保険料の減免制度の実施は絶対に必要なことです。国に積極的に財政支援を働きかけることを願うものですが、関係部長の意見をお聞かせください。
 八月二十八日、特別養護老人ホーム入所者の利用料と食費の負担を五年間に限って一割負担より低くする減額措置を厚生省は明らかにしたところです。特養ホームには身寄りのない人、所得の低い人が多くいらっしゃいますが、入所者の半分以上の方々の年収も六十八万円以下という実態であります。
 通常の介護費用は、一割の利用料二万七千円、食費二万三千円で、月額平均五万円の負担が必要となっておりました。この金額を大きく上回らないように、所得に応じた利用料に改善がされたわけです。その利用料は、年収を七段階に分けて、年収三十四万円未満は無料にしました。そして、年収三十四万円から四十八万円未満の率を三%に、四十八万円から六十八万円未満の率を五%に、そして六十八万円以上の年収者には一割の負担率を行いました。こういうような減額が行われたわけです。減額した利用料と減額した食費を合わせても、最高額は五万三千円になるところです。こうして一定の改善を見ることができました。五年間の経過措置を打ち切ることなく、その後も減免制度として、そしてこの減免制度を他の老健施設や療養型病床群すべてに拡充していくこと、在宅サービスにおける利用料の減免制度も拡大していくことが必要ではないでしょうか。
 在宅介護の介護報酬の仮単価も発表されてきたところです。営利を目的とした民間事業者の参入を容易に誘導するため、これまでの単価よりも高く設定していると厚生省は言っています。これは、利用者の負担増には変わりない結果になります。現在の福祉制度では、所得に応じた負担が課せられているわけですけれども、訪問介護では利用者の八一・三%が無料となっております。一割負担は大変重過ぎるものになるのではないでしょうか。
 サービスを受けられなくなる人が今後続出する可能性も大です。国は市町村任せにしようとしております。国の財政支援で減免制度に改め、今までどおりに無料にすべきであります。国に強く働きかけていただきたい。いかがでしょう。
 高齢者率二〇%──和歌山県は大変スピードの速い状況で高齢化を迎えています。全国順位で見ますと十六位、近畿府県内では第一位であります。平成十二年度には、高齢化率がさらに〇・三%ふえて二〇・三%になろうとしております。それだけに、安心して老後を迎えられる和歌山にしたいと願うのは、だれしもが共通する要求ではないでしょうか。今実施している高齢者福祉制度のより一層の充実と、介護を必要とするすべての高齢者がひとしく保険のサービスが受けられる介護保険制度に、行政と住民が協力して改善を求めていきたいものであります。
 次に、介護保険でどの程度のサービスが受けられるか、高齢者の実態調査をもとに介護度を推定した数値が県から発表をされたところです。七月に県は、高齢者実態調査結果の概要というものを発表いたしました。これによりますと、介護保険の給付対象者は高齢者人口の一二・八%、その数は二万七千五百九十三人に上ります。在宅高齢者では一〇・八%、二万一千八百六十二人、そのうち特別養護老人ホーム待機者は七百一人ですが、特養ホームに入所できるとした介護度の対象者は六百七十二人で、入所必要なしと判定された人が九十五人も出ました。
 今施設に入所している人を見ますと、五千七百二十七人のうち、三百九十八人の人が五年間の経過措置が過ぎれば退所しなければならないという数値も示されました。この数値は試算でありますので、実数ではありません。実際はもっと待機者が多く、千人を超えていると思います。
 私たちは、この夏、県下の自治体や特別養護老人ホーム、デイサービス施設などを訪問いたしまして、介護保険制度についてのさまざまなご意見を聞く懇談会をさせていただきました。特別養護老人ホームでは、入所者の一割から一・五割の人が、またデイサービスでは四〇%の人が保険から排除されるだろう、こう言われています。しかし、この人たちの受け皿が今整備されていません。現状では、特別養護老人ホーム入所者の五年間の経過措置があるとはいえ、施設では随分とご苦労されています。あるいは、デイサービスに来ることによって数多くの人たちが明るくなったり、一定の機能が回復をしたり、また友達と話ができるようになったなどという、その効果のあり方も聞かせていただきました。
 こうした人たちを守るためにも、国が四月一日から実施している在宅高齢者保健福祉推進支援事業を、ぜひ県下全市町村で実のあるように実施するよう県は積極的に支援をしていただきたいし、指導もやっていただきたい。あわせて、国にその実現方を要請していただきたいと思います。
 県は、この事業に本年度の予算で一億四千七百万円を計上いたしております。しかし、その中身がよくわかりません。その具体的な事業はどのようなことになっているのでしょうか。また、今後どのような対応策を受け皿として検討していらっしゃるのでしょうか。お聞かせ願います。とりわけ各市町村では、福祉の後退を許さないために横出しや上乗せサービスの財源に苦労をされています。県の独自事業も考えていく必要を痛感しているところですが、部長のご所見をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、基盤整備の問題であります。これは何といっても施設の整備、特別養護老人ホームの不足であります。ゴールドプランの中で直ちに目標の見直しを急がなければなりません。待機者七百一人という状況のもとでは、施設はどうしても足りません。施設サービスの充実を急いでいただきたい。その目標は、今わかりませんか。国に対し、特別養護老人ホームの補助制度の新設や建設費の補助率引き上げも強く求めていただきたいと思います。部長、いかがでしょうか。
 在宅介護のホームヘルプサービスは、かなめです。ホームヘルパーの目標達成は進んでいるとはいえ、六四・六%の現状になっています。都市部よりも山村地域におけるホームヘルパーの人材養成と研修が重要です。急がなければなりません。養成施設もさることながら、応募してきた人の期待にこたえられずに困っています。二時間もかけて遠くまで受講しに行かなければならない、この状況を解決してください。どのような対策をお持ちでしょうか。
 一方では、全国で、自治体の直営ホームヘルプ事業を廃止してヘルパー全員を解雇するとか、あるいはホームヘルプ事業の見直しを進めている自治体もあると聞きます。みずから公的責任を放棄することではないでしょうか。
 お尋ねをします。本県では、このようなことはないでしょうね。これまで居宅サービス事業者に指定した自治体はありますか。ホームヘルパーの問題では、この際、過疎地域の受講料に対する財政的支援も考えてみてはいかがでしょうか。部長の所見をお聞かせください。
 ホームヘルパーの補助制度も変わり、ヘルパーの賃金も不安定になってまいりました。経験豊かな質の高いヘルパーを確保することと、身分を安定させ、専門職として働きがいを持って介護できるよう、職業の確立を保障するために自治体は頑張らなければなりません。県としてホームヘルパーの労働に関する実態調査をしてみてはと提言をいたします。部長の決意を込めた所見を伺いたいと思います。
 本県は、高齢者福祉制度として、これまで高齢者住宅改造補助事業や生活用具給付事業を独自事業として進めてきたところですが、所得制限の撤廃などの改善の行うことを求めたいと思いますし、前回の議会で私は、この事業に対して所得の上限枠を拡大してほしいと求めたところですが、ぜひともその点も含めてお答え願いたいと思います。
 家族介護者に対する介護手当を創設していただきたいという問題でありますが、介護保険ではホームヘルパーの資格を義務づけています。そして労働時間も、家族の介護だけに絞らないで全労働の半分はよその人の介護も義務づけると、こういうような、到底かないもしないような制度を創設したところであります。しかし実態は、和歌山県においても、年寄りが年寄りを介護するといった事態は一向に解決されておりません。それよりも、ふえている現状にあるのではないでしょうか。ぜひ県単事業として検討を願うものであります。率直なご意見をお伺いしたいと思います。
 この介護保険の質問を終わるに当たって、国は今、特別養護老人ホームや高齢者のデイサービスといったところについても、国の措置制度で五〇%負担をいたしております。しかし、介護保険方式になりますと、負担割合を二五%にばっさりと削ってしまいました。来年度でその削ったお金が三千七百億円にもなりますから、低所得者や多くの悩んでいらっしゃる皆さん方のために減免制度や基盤整備の方へぜひ回して活用していただきたい、また国に働きかけていただきたい、このように思います。
 次に、和歌山県、和歌山市と住友金属和歌山製鉄所との公害防止協定改定についてお尋ねを申し上げます。
 今回の改定は、一九八六年に改定されて以来、十四年ぶりのものであります。この間に住金は公害施設の沖出しを中止し、埋立地を関西電力に譲渡いたしました。しかし、まだ住金公害は解決されておらず、沖出し中止は納得できないという周辺住民の方々の声があり、この点については、県が住金の言い分を丸のみするのでなく、県民の健康を環境を守る立場に立って、住民の同意なしに沖出し中止を認めるべきではないということを私たちはこれまで議会でも繰り返して要求してきたところです。その議論の中で県や和歌山市は、環境基準改善値はクリアしているもののまだ公害があるという認識を示してきたところです。そうした経過を経ての今回の公害防止協定は環境保全協定という名前に変わって改定ということで、まず今回の改定に当たっての県の基本的な立場についてお尋ねを申し上げます。
 新協定の前文は一部改定され、こうなっております。「この協定は、地域住民の健康を守り、快適な生活環境の保全を図るとともに環境への負荷をできる限り低減するため、和歌山県及び和歌山市(以下「甲」という。)と住友金属工業株式会社(以下「乙」という。)とは、乙の和歌山製鉄所に関し、環境保全のために最善の措置を講じ、地域住民の福祉の確保及び地球環境の保全に資することを本旨として、次のとおり締結する」。これは、県、市、住友金属が和歌山製鉄所の公害抑制のために連帯責任を追っているかのような内容になっていると思えてなりません。これは行政の立場としておかしいのではないかと私は思うところです。
 この質問に当たって私たちは、他の鉄鋼各社と行政との公害防止協定を見てまいりました。日本鋼管の神奈川県及び横浜市、川崎市との協定ではこうなっています。「甲(神奈川県)、乙(横浜市)、丙(川崎市)及び丁(日本鋼管)は、地域住民の健康を守り、環境の保全を図ることの重要性を認識し、特に企業の生産活動によって発生する公害の防止については、企業が重大な社会的責任を有するものであり、また地方公共団体は、これらの公害防除について、住民保護の重い責任を持つものであることをそれぞれ認識し、これにより、甲、乙及び丙は、地域住民の意見を十分取り入れた上、丁の指導を行い、丁は、公害の予防、防止及び排除について最善の努力を行うことを約する」。私は、これが企業の公害防止に当たる行政の当然の立場であると考えますが、この点についての当局の見解をお尋ねしたいと思います。
 次に、今回の改定の経緯について質問を申し上げます。
 既に述べたように、住金公害をめぐっては、周辺地域の住民の方からまだまだ深刻な状況にあることが訴えられ、県、市もまだ公害はあるという認識を示されてきました。ところが今回の改定は、公害に苦しんでいる住民の意見を聞くこともなく、説明すらされず、また議会にかけることもなく、締結後に報告されたのみです。
 去る九月一日、河西環境問題連絡協議会という住民団体が県知事に要請した内容を見ますと、住金に隣接する地域は粉じん、悪臭、騒音、振動、低周波などの公害に苦しみ、健康被害も出ている、本来なら、まず私たち地域の公害の実態と住民の健康調査を行い、住民の声を聞き、環境保全協定について住民に説明をした後締結すべきだったとして、地元住民への説明を要求していらっしゃいます。
 和歌山県の御坊市では、関西電力の火力発電所との公害防止協定締結に際しては、地元住民代表、議員、関係団体代表などを含む公害対策審議会で審議がなされてまいりました。当然、建設決定以前の環境アセスメントについての議論を経た上、公害防止協定締結について改めて審議をされたのであります。
 住友金属は、関西電力のLNG火力発電所計画にかかわって、九七年四月に総合アセスメントを出していますが、アセスメントは公害発生の将来予測にすぎず、県と市が環境と住民の健康を守る立場で企業に公害発生の抑制を求める環境保全協定とは当然性格が異なるものであり、今回の改定に際しても、住民の意見を十分取り入れた議論が必要であったはずです。今回の改定が、なぜ住民の意見を聞くこともなく、また議会での議論もないまま行われたのか、納得できる理由をお示しいただきたいと思うのであります。また、住民団体からも出ている住民への説明会の要求に、おくればせながらもこたえるべきだと私は考えるものです。いかがですか。
 次に、改定内容について幾つかお尋ねをいたします。
 まず、大気汚染対策であります。
 硫黄酸化物については、住金が出した九七年四月の総合アセスメントで、現況、一時間値四百四十六・七ノルマル立米、将来も同じく一時間値四百四十六・七ノルマル立米としています。協定は、このアセスメントの排出量をそのまま規制値としており、住金は削減の責任をこれまた負わなくてよい内容になっているのではないでしょうか。
 また窒素酸化物については、総合アセスでLNG火力発電所からの発生分を共同火力に排煙脱硝装置を設置することで削減するとしており、やはり協定はそのアセスの排出量をそのまま規制値としています。つまり、これも共同火力以外では削減されないということになるのではないでしょうか。
 住友金属は、粗鋼生産九百万トンから現在の約三百万トン体制となり、その分、大気汚染物質の排出も低くなっていますが、それでも全県で発生する硫黄酸化物の四〇%──二酸化硫黄換算で住金六千八百三十三トン、全県で見ても一万七千四十八トンです──窒素酸化物の二九・八%──二酸化窒素換算で住友金属は六千四十四トン、全県で二万二百六十八トンです──を九四年度に排出しておりますが、これは県内じゅうの自動車を含むどの発生源よりも大きな発生量となっているところです。
 大気濃度が環境基準以下だからよしとするのではなくて、今や酸性雨が続いている問題や光化学オキシダントの問題などもあり、さらに改善が求められるのではないでしょうか。この改定に当たり、県はどういう態度で臨まれたのでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
 次に、降下ばいじん排出量についてお尋ねいたします。
 この排出量についても、生産の減少により以前より低くはなっております。住金が公害施設沖出し中止に際して住民に約束をした、窓をあけて生活できる環境は、まだ達成されていません。住金の平成九年度の実績は、排出量一時間当たり百九十八・一キログラム、周辺環境値県測定では年最高値月当たり七・八トン・キロ平米、年平均値一カ月当たり四・一トン・キロ平米です。現状の排出量より削減されなければ、住金の住民との約束は果たされません。しかし、協定値は排出量を一時間値二百八十二キログラム以下とし、周辺測定点でのばいじん量を年最高値月当たり八トン・キロ平米、年平均値月当たり五トン・キロ平米としております。現状を容認するものとなっているところです。特にばいじん被害の深刻な中松江地区では、中松江自治会と住金との間で五月から九月の降下ばいじん平均値の目標値を月四トン・キロ平米とする約束が取り交わされています。これは、影響風向頻度二五・九%ベースにしたときであります。つまり、窓をあけて生活できる環境を保障するための協定がなされなければならないと思うのですが、いかがでしょうか。
 県当局は、周辺地域の降下ばいじんの現状をどう考えていらっしゃるのでしょうか。住金が住民と約束した環境を実現することを保障しないような規制値を定めたのは、どういうことなのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
 次に、悪臭についてでございます。
 これも、平成九年度実績より大幅に緩い規制値となっております。現状でも周辺地域の住民は悪臭に悩んでいるのに、これを改善するものとはなっていないのではないかと考えるものですが、どうでしょうか。
 また、騒音、振動は三カ月に一回、悪臭は二カ月に一回測定するとなっていますが、これらは一時的に極端な状況が発生することもあり、常時測定に改善すべきではないかと思うのです。また、騒音、悪臭について、それぞれ第三条の二、第五条の三で「付近の生活環境を阻害するときは、さらにこれらの排除に努めるものとする」とありますが、阻害するという判断はだれがするのでありましょう。
 住民からの苦情については、第七条で住金が「公害防止組織で苦情処理体制の一元化を図り、迅速かつ適切にこれを処理する」とあります。さきに挙げた日本鋼管の公害防止協定では、住民の苦情を受けたとき企業はその解決に努めるものとする、とともにその解決が困難であると当該当事者(住民)が申し出たときは、県や市が解決に努め、企業はこれに応じることが定められています。これは、和歌山県と神奈川県との大きな違いだと思うわけです。騒音、振動、悪臭などについて、住民がこれはひどいと感じて住金に苦情を訴えても解決されないときは、住民は県、市に訴え、県、市はそれが協定違反に当たるような量でなくても解決に乗り出して住金を指導することが必要だと私は考えるものです。いかがですか。
 この問題の最後に、地球環境問題と新しい法規制への対応に関してお伺いをいたします。
 この協定の前文では、新たに「地球環境の保全」が加えられました。この点では、温室効果ガスに対する新たな規制が当然含まれるべきだと考えるものです。それが一切規定されていないのはなぜなのでしょうか。この点では、まず住金が現状でどれだけ温室効果ガスを発生させているのかを明らかにする必要があるのではないですか。また、県としては全県の排出量調査とその削減目標を明確に持つことが求められるのではないでしょうか。その上で、住金の温室効果ガス排出の削減を協定してこそ地球環境の保全に資することになると私は考えます。その点についてもお考えをお教えください。
 また、ことし七月に制定されたダイオキシン特別対策法や九七年の大気汚染防止法改正などでダイオキシン発生源への法規制が行われましたが、これへの対応として、新協定では年一回の測定が加えられただけです。発生の規制も当然協定されなくてはならないと考えるものですが、当局の見解をお聞かせください。
 第一回の質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 村岡議員ご質問の、介護保険問題についての七点にお答えを申し上げます。
 まず、低所得者に対する負担軽減についてでございます。
 保険料については従来からの所得段階別の設定を行い、利用料については所得に応じた高額介護サービス費の上限設定がなされることとなっております。これらにつきましては、災害等による特別な事情がある場合に市町村の条例による減免措置が行われることとなっております。
 また、特別養護老人ホームの経過的な入所者には、緩和措置として五年間、利用料負担及び食事負担が所得に見合う形で賄えるよう具体的な事項が国において審議されており、その実現を期待しているものであります。しかしながら、さらに低所得者に対する減免制度を拡充する場合には、国の強い支援策がない限り、市町村の介護保険運営に影響を与えるものであります。
 このようなことから、県としましても、低所得者に係る減免等の配慮は円滑な保険運営に必要不可欠であり、要件の拡充並びに市町村財政負担の支援など、機会あるごとに国に要望してまいりたいと考えております。
 次に、現在施設に入所している高齢者やデイサービスを利用している高齢者が自立や要支援と認定された場合の対策でございます。
 まず、五年間の経過措置を経た後、ひとり暮らしが困難な高齢者に対する施設サービスとして、ケアハウスや高齢者生活福祉センター等の整備促進を図ることとしております。また一方、在宅の高齢者等に対しましては、在宅高齢者保健福祉推進支援事業により、生活支援事業、生きがい対策事業等で配食サービスや生きがい対応型デイサービスなど、地域の実情に応じて市町村が取り組めるよう総合的に推進していくことにしております。
 次に、基盤整備、特養ホーム、ホームヘルパーについてであります。
 全国一斉に昨年実施した在宅高齢者実態調査によると、本県では特別養護老人ホームに入所が必要と考えられる要介護一から五状態の在宅での待機者は六百七人となっております。県といたしましては、高齢者実態調査の結果等に基づいて、平成十二年二月策定を目途に、現在作業中の老人保健福祉計画及び介護保険事業支援計画において、必要な施設サービスや居宅サービスなどの目標を盛り込むことにしております。
 また、特別養護老人ホーム建設の補助制度につきましては、国の動向も見ながら対応してまいりたいと考えております。
 次にホームヘルパーの確保についてでございますが、本県においては現在三十一カ所で養成研修を行っており、特に山間地等においても平成六年度より養成研修を実施し、古座川町や大塔村などの町村でも実施しているところでございます。今後なお一層人材を養成する必要があると考えられる山間僻地等ではホームヘルパー養成研修を実施できるよう国において種々検討しているところでありますので、その動向に注目してまいります。
 次に、居宅サービス事業者についてでございます。
 居宅介護支援事業者に引き続き八月から受け付けを開始しており、九月十日に第一回目の指定を行ったところであり、訪問介護等十九事業者を数えているところでございます。ただし、市町村の事業者申請はない状況にあります。
 ホームヘルプサービス等居宅関係は、従来より市町村が社会福祉協議会等へ委託して実施してきた経緯があり、民間事業者が今後とも中心になるものと考えております。
 介護保険制度では、保険者である市町村が被保険者管理、保険財政の運営等、円滑な遂行を担うことが主体であり、居宅サービスの拡充については民間事業者の進出希望を的確に把握し、利用希望に沿った質的に高い事業者を確保できるよう、市町村と協議を進めてまいりたいと考えております。
 次に、ホームヘルパーの労働条件の実態調査ということについてであります。
 ホームヘルパーが安心して就労できる環境整備は必要であると考えております。このため、労働条件は年々改善されてまいったところでございます。今後、ホームヘルパーについては、介護保険制度の中で新しい状況が生ずるものと予想されますが、その重要性は一層高まってくるものと考えられます。こういった意味で、必要に応じて実態調査を行うことも考えております。
 次に、高齢者住宅改造、日常生活用具事業の拡充をということについてでございます。
 介護保険制度の中で、住宅改修や福祉用具の貸与、購入費の支給サービスが位置づけられております。このような国の動きの中で、県単独事業の高齢者住宅改造補助事業や要援護老人生活補助用具給付事業を行っておりますが、介護保険制度との整合性を図りながら、事業の存続も含めて検討することとしてございます。
 最後に、家族介護手当制度についてでございます。
 国の調査によりますと、家庭で介護する方の九三%は女性であり、五〇%は六十歳以上です。また、高齢化の進展に伴い、介護は重度化、長期化しております。このような家庭における介護の状況を打開し、介護の社会化を進めるという趣旨から介護保険制度が創設され、より専門的な介護サービスを提供できるように現在基盤整備を進めているところでございます。しかしながら、過疎地域等においてはサービス基盤整備が進みにくいという実情から、国においては、僻地等に地域を限定し、一定の条件のもと、家族の介護を保険給付の対象とすることについて検討を行っているところでございます。こうした国の動向と介護保険制度の趣旨にかんがみ、県単独の家族介護手当の実施については現在のところ困難であると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 村岡議員ご質問の、住友金属と県、市の環境保全協定についての六項目にわたるご質問にお答えいたします。
 まず、一点目の理念についてでございます。
 今回の住友金属工業株式会社との五回目の協定改定に当たりましては、従来からの公害防止協定の趣旨を踏まえながら、時代の要請をも考慮して、温室効果ガスの削減等の取り組みなど、地球環境の保全についても盛り込み、名称を環境保全協定としたところでございます。
 このたび締結いたしました協定について、行政及び企業のそれぞれの責務、またその関係が明確でないとのお話でございますが、県におきましては、環境基本条例において環境保全についての基本理念を定め、その中で県の責務及び事業者の責務を明確に定義しているところでございます。このことは、本協定にも当然適用されるものであります。したがいまして、議員お話しの神奈川県の協定における理念と大きく異なるものではないと考えてございます。
 続きまして二点目の、地元住民の意見も聞かず説明もない、議会の審議ということであります。
 このたびの環境保全協定の改定に当たっての地元説明は行っておりませんが、今回の環境保全協定の見直しの契機となった和歌山発電所に係る環境影響調査書については平成九年一月六日から二月五日までの縦覧がなされ、住民の意見が提出されるとともに、環境影響調査書の審査に際しては、電源立地アドバイザーの助言も受け、審査結果を県議会議員の皆様方に事前に送付させていただいたところでございます。
 環境保全協定は、甲である県及び和歌山市と、乙である事業者との双方の合意形成がなされて初めて成立するものであります。今回の改定に当たりましても、住民の意見を踏まえながら、行政の責任のもとで和歌山市と連携し、改定を行ってまいりました。
 なお、地元住民からの要請につきましては、和歌山市と協議してまいりたいと考えてございます。
 続きまして三点目の、大気汚染対策についてであります。
 今回の協定の改定に当たっての基本的な考え方は、総合環境アセスメントの数値を織り込むこと、及び法律などの新規規制項目に関する事項を盛り込むことであります。
 協定に盛り込んだ排出量はさらなる改善が必要なものであり、数値については、県として地域総合シミュレーション調査を実施して環境基準を上回らないことを確認し、地域の環境保全が図られるよう努めているところでございます。
 続きまして四項目めの降下ばいじんについて、窓をあけて生活できる環境をという質問でございます。
 降下ばいじん量につきましては、法律には基準値はありませんが、県独自の行政目標値といたしまして、一カ月、一平方キロメートル当たり十トンとしてございます。今回の改定では、粉・ばいじん対策の強化などによりまして、新たに月間値の年平均値を五トン、月間値を八トンとする目標値を定めたところでございます。
 続きまして五項目めの、騒音、悪臭、振動につきましてお答えいたします。
 騒音、悪臭、振動につきましては、従来より厳しい数値で見直しを行ったところであります。これらに対する公害苦情につきましては、第一次的には市町村が責任を持って当たることとなってございます。県への苦情に対しましては、誠意ある対応が図られるよう事業者を指導してまいりたいと考えてございます。
 最後に、六項目めの地球環境問題と新しい法規制についてでございます。
 地球温暖化対策の推進に関する法律においては、地方自治体は、その事務及び事業に関し、策定する温室効果ガスの排出抑制等のための措置に関する計画、すなわち実行計画を策定することとなってございます。一方、事業者につきましては、適切で効果的、効率的な対策を自主的かつ積極的に実施することや地球温暖化への取り組みに関する計画などの公表についての措置を求めており、いずれも努力義務となってございます。
 温室効果ガスの排出抑制につきましては、国全体で取り組むべき課題であり、今後、国の動向を見ながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 また、ダイオキシンの測定義務及び測定の頻度につきましては、大気汚染防止法には定められておりませんけれども、今回の環境保全協定の改定において測定頻度及び報告義務を定めたところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十六番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 時間がありませんので。
 介護保険の問題ですけれども、随分頑張っていらっしゃるということについては評価をしたいと思います。
 ただひとつ、保険サービスを受けられない人、すなわち特別養護老人ホームに入っていたり、あるいはデイサービスを受けている人たちが、介護度によって自立というふうになった場合には、全く施設にも入られなければサービスも受けられないということになるわけです。特に、施設から五年後には出ていかないとあかんという人が非常に大きな問題を呼ぶと思うんです。
 部長の答弁ですと、ケアハウスとかに入っていただくと言いましたけれども、ケアハウスには容易に入れません。例えば、老齢福祉年金だけで暮らしていらっしゃる人などは、年間大体六十八万円の収入ですから。しかし、ケアハウスは和歌山県内はどこも、最初に入るとき契約時に五百万円が必要です。そして、今は所得によって違いますけれども、最低でも毎月七万円は要るわけですから。こういうような状況で、気軽にケアハウスと言わんといてほしいなと思うんです。もっといろんな形での、グループホームをつくるとか、託老所や養護施設の問題などを細かに考えていくべきだろうというふうに思いますので、そういう点は大いに頑張っていただきたいと思います。
 それから、ホームヘルパーの養成はどうしても急がなければなりません。養成はするけれども働く場所がないというのが現実だと思うんです。そういう点でも、今後働く場を確保するということと条件を確立するということをきちんとやっていただきたいと思います。
 住金の問題では、ぜひ住民の皆さん方の願いにこたえていただきたい。そして、ぜひ説明会を持っていただきたいというふうに要望をしておきます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十二番木下善之君。
  〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 おはようございます。
 議長の許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、紀伊丹生川ダム建設について。
 紀伊丹生川ダムにつきましては、流水の正常な機能の維持増進による洪水被害の防止、あるいは新規の水資源の確保を図る上で国が施行するものであり、有効貯水量約五千六百七十万立方メートルの規模とし、ダムの高さ百四十五メートル、コンクリートの重力式構造となっております。平成九年十一月に建設に係るダム審議委員会が設置され、今日まで十二回に及ぶ審議が尽くされたと聞き及んでおります。
 そこでお尋ねすることは、ダム審議委員会の意見内容と今後の事業の取り組みについて、水没地域の整備構想計画について、土木部長と企画部長にお伺いをします。
 次に、国道三百七十一号高野山バイパスの早期事業化について。
 道路は産業振興や生活環境の上で根幹的基盤であり、県としては県内二時間行動圏の確立に向けて取り組みがされ、大変結構であります。また、本県東部の玄関口として、本年春の国道三百七十号学文路バイパスの開通、京奈和自動車道橋本道路、国道三百七十一号橋本バイパス両線の昨今の工事着手は大変意義が大きく、西口知事のご熱意によるものであり、ようやく光明が差してきた感じがするところでありまして、市民を代表して感謝の気持ちを申し上げる次第であります。
 さて、本路線の橋本高野山道路は国への重点施策の一つとして強く要望いただいている道路であり、本計画路線の玄関口とされる新橋本橋関連七百メートルは、おかげでただいま用地買収に入られており、間もなく工事着手の運びと聞き及んでおります。
 高野山へ向けての現在の三百七十一号路線は紀伊丹生川ダムによる水没路線とされ、そのつけかえであり、ダム関連であるが、本県内陸部の産業、観光道路としての役割は大きく、本線の早期事業採択について土木部長にお尋ねをいたします。
 次に、本県の農業振興策についてであります。
 二十一世紀の到来を間近に控え、国の政策、組織を初めあらゆる分野で改革に向けての努力が続けられており、我が国の農業・農村を取り巻く情勢は歴史的変革期を迎えております。
 昭和三十六年に農業基本法が制定され、当時、私の記憶に残っているのは、農業・農村の繁栄を主目的に米作を中心とした穀物の生産拡大、特に畜産三倍果樹二倍を目標として農業構造改善事業を柱に全国的に展開され、中でも秋田県の八郎潟の干拓が代表とされ、本県においても多くの成果を上げております。以降三十八年近くたち、このたび食料・農業・農村基本法が制定され、これは農政改革の再出発点であります。特に、近年における経済社会の急速な変化と国際化の著しい進展に伴って国内農業・農村をめぐる状況は大きく変化し、食糧自給率の低下を初め、農業生産活動の停滞、多面的機能の低下等が懸念され、これらに対処するため、国内農業の生産の増大を図ることを基本として、食糧自給率の向上、安全で良質な食糧の安定供給、農業の持つ自然循環機能、生物多様性の維持増進に配慮した多面的機能の発揮を図ることが重要であるとし、また農地及び担い手の確保を行うとともに、農業経営、生活環境の整備を促進する上で基本法が制定され、五カ年ごとに軌道修正を加える手法で、今後大きく期待するところであります。
 このような農政の変革期に当たり、今後の本県農業の振興についてどのように考えておられるのか、知事の決意を伺いたいのであります。
 次に、農林水産部長に順次お尋ねをしてまいります。
 県下のJA合併の取り組みの現状と早期実現について。
 県下の農業振興を図る上で何といっても組織の充実が第一であります。こうした点から農協大会において組織整備の促進が決議され、平成十二年度を目標に、県下郡市単位に八つのJA構想を目指して農協中央会が中心に取り組まれております。全国的にもその機運が高まり、達成率八〇%以上の県は二十県、うち五県は一〇〇%達成しております。本県にあっては、広域で、基幹作目の違い、農業経済圏あるいは生活経済圏の相違、独自の財務内容等もあろうと思えます。
 合併は農協中央会の仕事と位置づけされておりますが、県として、目標に向け、合併協議会等への参画とか地域振興局からも積極的な要請をすべきでなかろうかと考えます。農業振興は組織の充実が先決であることを重ねて申し上げ、当局のJR合併に向けた取り組みの現状と早期実現についてお尋ねします。
 第二点目は、農業の担い手対策と農村女性の地位向上について。
 農業後継者対策については県政の大きな柱とされ、各種の施策を展開していただいておりますが、本県の次代を担う新規就農者は、昭和五十年代には年間百数十名で推移しておりましたが、昭和六十年代前後より年々減少を続け、平成十一年には六十三名となっております。昨今の農業就業人口の四割以上が昭和一けた世代の六十五歳以上で占めており、県の二十一世紀振興計画によると、中核農家一万戸確保を目標に、農業従事者数を四十年サイクルとして新規就農者を年間二百五十人の育成を目標にしておりますが、今年度は中高年齢を含め新規就農者は七十五名で、本県農業を安定的に担っていくには不十分と言わざるを得ないのであります。
 そこで、今後は離職就農者、Uターン、Iターン、都会育ちの青年も含め、幅広い対策を市町村や学校教育関係団体と連携しながら一体となって展開していく必要があると思うが、本県の新規就農者の確保と育成についてどう取り組まれるのか、お尋ねをいたします。
 次に農村女性の地位向上対策でありますが、二十一世紀の農村は女性が輝けば地域が輝くと言われ、本県の農村女性は農業就業人口の六割を占め、農業の重要な担い手として農村社会に大きく貢献をしております。しかしながら、生産組織や農協等の加入が案外少なく、またこれら組織の方針決定の場に参画が大変少ないのが現状であります。女性が農業の大きな担い手である実態を適正に評価し、合併農協においても何名かの女性理事を登用させるとか、関東、東北地方での女性農業委員が年々ふえていると聞かされますが、新農業基本法の制定を機に、各関係機関あるいは団体と機会あるごとに要請すべきではなかろうかと考えます。
 そこで、農村女性が地域の方針決定の場において今後参画を高めていくための対策についてどう取り組まれるのか、お尋ねをいたします。
 次に、優良農地の確保と耕作放棄地の解消について。
 本県の農業は急傾斜地を活用した中山間地の農業生産が多く、生産基盤の整備が困難な面があって、生産性の向上を図る上で農地を良好な状態で維持確保することは実に難しいと言えます。とりわけ、申し上げたように、昭和一けた世代の引退が今後急速に進み、後継者は目標の四分の一とあっては一体どうなるのか。この優良農地を今後どのように位置づけ、確保していく考えなのか、伺います。
 また、耕作放棄地の問題でありますが、景気に関係なく農地の減少が続き、国全体で年間四万五千から四万六千ヘクタールずつ改廃が進んでおるようで、中でも耕作放棄地が約半分の二万三千ヘクタールとも言われ、新農業基本法の中でも、中山間地のこれらの対策として来年度直接支払い制度により事業費ベースで七百億円以上の予算措置案が聞かされておりますが、この耕作放棄地の対策にどのように取り組みされているのか、伺います。
 次に、カキ産地の生き残りについて。
 本県は日本一の果樹王国としての確立がなされ、果実生産額において平成十年度はミカンを抜き梅が第一位、次いでミカン、カキ、桃、その他となっており、全国第一位を堅持していることはまことに喜ばしい限りであります。昔より、産地は移動するとよく言われ、今後とも生産流通体制の整備推進を行い、その地位を保持していかなければなりません。
 さて、カキはミカンの減反のあおりでカキへの転換が大幅にされ、昨今では構造的な過剰基調となっており、昨年は台風被害により市場出荷は前年比七〇%で推移され、価格はまずまずでありました。今年産のカキは、災害がなければ全国で三十万トン以上の生産があるようで、適正と言えるのは二十ないし二十二万トンではなかろうか。全量市場出荷をすれば価格の暴落につながることは、火を見るよりも明らかであります。昨年は奈良県等関係機関を含め出荷調整会議がなされておりますが、今後なお一層努力を願いたいのであります。
 幾つかの問題を提起させていただき、答弁をお願いいたします。
 そこで私は、余剰のカキに付加価値をつけて販売すべきで、言いかえるならば、これらの農業は村の命を都市に吹き込む六次産業の時代だと考えます。一次産業としての農業・農村が主体性を持ちながら、二次、三次産業に吸い取られている付加価値をせめて幾分なりとも確保しつつ、総合産業としての農業に発展させていく時代ではなかろうか。この生き残りの戦術としての農業の六次産業についてどのように考えておられるのか、お聞きいたします。
 まず、六次産業のうち加工の問題でありますが、ミカン、梅、桃は加工向けが容易で、生果との均衡が比較的保たれているが、カキの加工技術とその販売について余り確立されていない。一部ではカキのワイン、カキ酢、ジャムとかシャーベット、あんぽガキなどがありますが、量的にはわずかであります。本県産のカキは全国第一位であるが、このままいくと数年後にはさらに全国の生産量が三〇%はふえると予想したとき、その相当量の渋ガキは全量加工向けに回すなど、抜本的対策を早期に確立すべきと考えます。
 近年、刀根早生や平核柿のガス加工技術が進んでいるが、ガス加工後の軟化のおそれのある果実、つまり出荷できない果実は本県で千五百トンほどあると思われます。立派な果実でありながら生果として市販されないもの、これら果実の加工も重要な課題であります。
 ついては、次の点についてお伺いします。
 カキの加工に対する研究はなされているのか。また、加工品の市販として少ない原因はどこにあるのか。今後の県内産のカキ加工向きを数千トンと予想した場合、私は、多量消費を望めるカキのジャム加工等を中心に加工場の建設は産地において急務となるのではないかと考えます。ジャム加工等について研究していただき、早期実現について伺います。
 次にCA貯蔵についてであるが、リンゴは以前よりCA貯蔵により周年販売されています。カキもCA貯蔵によって販売期間の延長を図るべきと考えるが、実用化について伺います。
 次に、カキの輸出対応について。
 従来、東南アジア向け輸出は輸送日数から富有ガキのみとされ、渋ガキは脱渋後の出荷のため難色を示し、関西市場より一部試験輸送された経緯はあるが、軟化のため無理とされております。本県産の七〇%が刀根早生ガキと渋ガキであり、既に過剰とされ、その販路拡大が大きな課題となっていることを申し上げたが、将来目標として生果の市場販売七〇%、輸出二〇%、加工品一〇%と定める必要があるのではと考えます。
 そこで提案ですが、輸出については脱渋過程を輸送途上で処理する方法を研究すべきと思う。和歌山下津港で荷受けをし、船内に脱渋及び予措庫の施設を設け、相手港で陸揚げするときは完全脱渋で取引されるように、将来テクノスーパーライナーでの期待も大きく、一度に五百ないし千トンを船内加工処理しなければならないときが目前に迫っていると思う。お尋ねすることは、輸送船上におけるカキの脱渋輸送による輸出拡大の研究調査を国の協力を得てぜひとも取り組むべきと考えるが、この点についてお尋ねをいたします。
 次に、梅の生育不良の早期原因究明について。
 産地において平成三、四年ごろより増加し、今日では十数万本に被害が見られ、県においては知事を先頭に取り組まれ、地元対策協議会、有識者によるうめ対策研究会あるいは現地実証試験等あらゆる角度からの対策を講じられている点、特に現地に直接関係されている職員、普及センターの職員、並びに暖地園芸センター等関係者の労苦に対しお礼を申し上げます。
 大変な努力をされておりますが、いまだ完全解決に至っていないわけでありますし、紀北にもその兆候が見られると聞かされております。恐らく農林水産部としては最重点課題と受けとめておられると思いますが、厳しい財政であっても今後十分な予算措置を行い、陣容体制も一層充実強化させ、一日も早い原因究明をされるよう期待するところであります。現状については、私も二度ほど現地へ行っておりますのでもう答弁は結構でございますが、予算等の考えを含めた今後の取り組みについて、特に解決のための新規事業があればお聞かせをいただきたいのであります。
 次に、本年産ミカンの需給動向と販売戦略。
 昨日、吉井先輩議員より発言がございましたが、ミカンについては、一昨年は生産費を大きく下回った手取り価格で、昨年は不作年で単価は異常に高く、品不足で終始いたしました。まず、この隔年結果をなくする生産技術対策が先決と言うほかないのであります。間もなくミカンの本格的出荷時期を迎え、出荷団体にあっては万全な体制をしかれていることと思うが、何分全国的には大豊作となって百五十万トン以上とも聞かされ、一方、消費の低迷等により百万トン以下が適正量と言われ、加工にも仕向けられますが、二十ないし三十万トンが過剰でなかろうか。各主産県においてはそれぞれの特性を生かし、ブランド化とか産地直送体制等、多様な流通を促し、戦いに向けて取り組まれておるものと存じます。
 そこでお尋ねすることは、昨日の質問と重複するところもございますが、ミカンの現段階での生産予想と需給の見通し、秋冬果実のPR構想について、本県のミカンの販売拡大等を含めた販売戦略についてお尋ねをいたします。
 次に、紀の川左岸農道のアクセス問題でございます。
 本年度におきましても、厳しい財政事情の中で本事業に対し十六億円相当の事業が進められ、広域農道は地域農業の振興の上で大変価値あるものであり、ありがたいところであります。
 ところで、橋本市の区間における左岸広域農道と国道三百七十号とのアクセスでありますが、南海電鉄の横断など法線の選定は大変難しいと考えます。せっかくの広域農道が完成いたしましても、活用の上でアクセスが重要と考え、利便性の効率化を考えたときどう位置づけされるのか。現在の進捗と今後の取り組みについてお尋ねをいたします。
 次に、林業の激甚災害地の復旧見通しについて。
 森林の持つ公益的機能を維持し、さらに高めていくことは、国民生活の上で極めて重要であります。昨年九月の台風により甚大な被害が生じている地域では、木の国の森林(もり)支援事業、災害復旧事業、あるいは森林資源活用パワーアップ支援事業等により年次目標を設定し、復旧に向けて取り組みがされていると考えます。一方、伊都地方の山林就労者は年々高齢化し、また山林所有者に初心者も多く、風倒木等被害に遭われた地においてそれぞれ作業を進めている中で死亡あるいは災害事故が続出し、復旧に向けて山へ入るのは戦場へ行くにも等しく、大変難しくなり、放任地もかなり増加傾向にあるのではないかと心配をいたしております。数十年成長した森林地で復旧見込みの立たないところはどう指導されるのか。例えば公益的機能の増進を図る上で、空間地にケヤキ、カシなど、自然林に置きかえるなども望ましいのではと思われますが、いかがなものか伺います。また、被害の確定面積と復旧見込み面積、復旧見込みの立たないものの面積、効果的な復旧を行う上で県内あるいは他府県からの専門請負業の雇用対策は考えられるのかも伺っておきます。
 以上、農林水産部長にお伺いをいたします。
 続いて、産業廃棄物問題について。
 廃棄物は年々著しく増加しており、ダイオキシンに端を発し、家庭の一般廃棄物に至るまで影響をもたらしており、産業廃棄物においてはさらに増加となり、平成八年の県内発生量は約四百八十一万トン、うち四四%の二百十二万トンは中間処理による減量、有効利用されるのが四二%の二百三万トン、残りの一四%に当たる六十六万トンが最終処分されているのが実態のようであります。
 私の申し上げたいことは、他府県からの持ち込みをいかにして防止あるいは禁止するかであります。特に紀北地方などは大阪への府県間道路の整備が進むにつれて深刻な問題であり、一般的に産業廃棄物は人口密度の高いところを発生源とし、低いところへ流れてくるのは当然でございまして、本県の将来にとって大きな課題と言えます。
 橋本市においては林道管理条例の設置構想を検討され、特に林業の振興及び林道周辺の自然環境の保全に資するとし、本年十二月より施行されるようで、意義が大きく結構でありますが、山間地域にあっても国道、県道、多くの市町村道が敷設されており、これらの規制は大変難しいのが現状で、今後再び大問題を生じさせないためにも十分な体制で取り組まれるよう希望するところであります。
 そこでお尋ねすることは日本工業所のその後についてであるが、いまだ解決に至っていないので経過を簡単に申し上げますと、平成七年後半ごろより投入されるものが建設残土から産廃物に変わり、平成八年三月、県は中間処理施設の設置許可を認め、四月より本格的な焼却を開始。以降、周辺住民がのどの痛みを訴え、入院、通院者が続出。県は平成八年九月に産廃物の搬入禁止、夜間焼却の中止等の改善命令を出したが、約一年の間、燃焼温度が三百ないし四百度といった低い温度で焼却されました。地元住民も大変困り、西口知事の英断により平成九年五月より焼却中止を決め、さらに七月より約二万立方メートルの産廃の堆積物を一次、二次に分け、平成十年四月までに約三千四百台持ち出させました。なお、費用負担は和歌山環境保全公社によるものであります。この間において県職員と日本工業所の社長が贈収賄事件を起こし、逮捕・起訴され、この事件を県は重く見て、平成十年九月に日本工業所に対し、産業廃棄物収集運搬業、産業廃棄物処分業の許可の全部の取り消し及び産業廃棄物処理施設の設置許可の全部の取り消しの行政処分がされたのであります。その後、ダイオキシン類の調査の結果千七百ピコグラムが検出されたことによりダイオキシン類問題検討委員会を設置し、解決のための検討委員会が開催されております。
 さて、お尋ねすることは、焼却施設の撤去と施設本体及びその周辺のダイオキシン及び有害物質の調査をすべきと思うが、どうか。地中に埋まっていると言われる産廃のボーリング調査結果について、メタンを中心としたガス噴出の原因調査と対策について、伺います。
 次に日本工業所のダイオキシン問題でありますが、国においてもダイオキシン類対策がようやく軌道に乗り始め、進んでいる欧米など先進国に対してそのおくれを取り戻すことが責務であると考えます。ダイオキシン類の安全基準は人間が生涯摂取し続けても問題がないとされる一日当たりの量で、一日摂取量体重一キログラム当たり四ピコグラムと決められ、昨年の厚生省の食品調査等から一日当たり二・六ピコグラム程度の摂取との報告でありますが、ダイオキシン法では新基準をもとに大気、土壌、水質について環境基準を定め、排出する施設の排ガス、排水基準を設定し、総量規制を行うことが特に重要と言えます。
 そこでお尋ねすることは、日本工業所に係るダイオキシン類問題検討委員会が開催され、ダイオキシン類の調査結果によると千二百ないし千四百ピコグラムの値について慎重に考えるべきとされているが、どうか。また、その後の水質調査結果について、ダイオキシン及び重金属の残留による経時変化について、下流並びに周辺に対する今後のダイオキシン類の環境への影響について、伺います。
 次に、恋野地区榊谷川上流の不法投棄問題であります。
 数年前より自己処分地として活用し、野焼きなどの繰り返しにより、平成八年に県警察により摘発された経緯があって、以降県の指導により原形復旧の指導をしてきたものであるが、産廃物の搬入が継続されたため、ついにことし六月に県警察は責任者を産業廃棄物処分業無許可として逮捕・起訴したものであります。
 お尋ねすることは、今日までの経過と今後の産廃物をどう扱うのか。下流に相当な農地があり、かんがい用水として活用されており、県において定期的に水質検査を行うべきと考えるがどうか。以上、生活文化部長に伺います。
 最後に、西口知事におかれてはその任期がわずかとなってまいりましたが、今日までに、厳しい財政事情の中、積極県政に取り組みされましたことに心より感謝を申し上げますとともに、どうぞ西口次期県政に向けてお取り組みされますよう期待してやみません。私も大変微力ではございますけれども、西口知事の仕事に打ち込む情熱に敬服をし、支援をさせていただく一人であります。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 木下善之議員にお答えをいたします。ただいまは、お言葉をありがとうございました。
 農業の振興についての私の決意ということでございます。
 農業問題に大変お詳しい木下議員の各般のご質問に対しまして、総括的な考え方だけ申し上げさせていただきたいと思います。
 本県では農業やその関連産業が地域経済の重要な地位を占めてございまして、地域の維持、活性化に大きな役割を果たしておると認識してございます。こうしたことから、農業の振興を県政の重要な柱として位置づけて積極的な取り組みを行ってきたところでございます。
 限られた耕地を有効に活用した集約的な農業が展開されまして、ミカン、カキ、梅等に代表される全国一の果樹を初め、野菜、花卉など全国に誇り得る産業として発展してきたところでございます。
 今後とも本県の基幹産業である農業の健全な発展を図るために、産地の体質強化を初め、潤いのある空間としての農村に対する期待の高まりも視野に入れて中山間地域対策の充実を図るなど、各地に起こっている問題解決に対しても積極的な取り組みをいたしまして、各般の施策展開に努めながら、地域の特性を生かした農業の振興のために一層邁進する決意でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 紀伊丹生川ダム建設について、一点目のダム審議委員会の意見と今後の取り組みについてお答えいたします。
 まず、紀伊丹生川ダム建設事業審議委員会の意見についてでございます。
 紀伊丹生川ダム建設事業審議委員会は、平成九年十一月に設置されて以来十二回の審議を経て、去る九月九日、本ダム事業については妥当であるとの意見を取りまとめて審議を終了しました。本ダム事業は紀の川流域の洪水対策、渇水対策及び新たな水道水源の確保のためにぜひ必要な事業であると考えており、今後は、国において河川法に基づく紀の川水系河川整備基本方針への位置づけ及び環境影響評価法に基づく環境アセスメントの手続を経て、事業化に向けて適切に推進されるよう望むものであります。
 次に、国道三百七十一号高野山バイパスの早期事業化についてでございます。
 橋本高野山道路につきましては、霊峰高野山及び橋本生活圏、さらに京阪神地域との連携・交流に大きく寄与する道路として地域高規格道路の指定を国から受けております。
 現在、紀伊丹生川ダムの関連事業として、関係市及び町と協議しながらルートの検討を行っているところであり、今後、紀伊丹生川ダムの事業展開との調整を図りながら調査の熟度を上げ、早期整備が図れるよう努力してまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 紀伊丹生川ダム水源地域整備計画についてでございます。
 水没関係市町の橋本市、九度山町、高野町と協議し、また関係地域の皆様方のご意見を聞きながら、関係者の生活再建対策とダム湖や自然を生かした地域振興策の概要を紀伊丹生川ダム水源地域整備計画素案として取りまとめてございます。
 今後、ダム事業の進捗にあわせ、関係市町や関係の皆さんと協議しながら計画内容の具体的検討を進めるとともに、関係機関との調整を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 木下善之議員の、本県の農業振興に関するご質問にお答えをいたします。
 項目の関係で、少しお時間をちょうだいいたしたいと存じます。
 まず、JAの合併であります。
 県としてもその重要性を認識し、農林水産部の重要施策として未合併農協に対する指導等、組織整備の推進を行う農協財務健全化事業や、合併阻害要因の一つである不良債権の償却を支援する社団法人紀の国農業振興基金に対する資金貸し付けなどを通じて指導・支援に取り組んでいるところでございます。
 現在、県内において広域合併がなされているのは和歌山市と那賀郡の二地域でございますが、本年十月一日には関係者のご理解とご努力を得て、海南・海草地域と有田地域でそれぞれJAながみね、JAありだの広域合併農協が誕生することになってございます。また伊都地域、東牟婁地域におきましても、期間内の合併実現に向け、具体的な取り組みが進められております。今後とも、引き続いて農協中央会と連携を図りながら八JA構想を積極的に促進してまいりたいと考えてございます。
 次に、農業の担い手対策と農村女性の地位向上についてでございます。
 二十一世紀の本県農業の担い手対策、中でも農業後継者の確保・育成は県農業振興上、大変重要な課題でございます。このため、農業に親しみ、農業に対する理解を醸成する観点から、小・中学生には農業体験学習を通した幅広い農業教育や、小学五年生には社会科副読本「わかやまの農林水産業」を配布してございます。また、近く就農が期待される高校生には、県農業大学校への体験入学などを進めております。特に本年度は、教育関係者、生産団体等が集う農業教育シンポジウムの開催を予定しており、一層学校教育との連携を図り、農業教育を支援してまいります。さらに、新規参入者の確保につきましては、就農相談会などで就農PRに努めるとともに、就農を希望する青年等につきましては、県青年農業者等育成センターを通じて研修及び経営開始等に必要な無利子資金の貸し付けを行っております。
 今後とも、農家子弟を初め、多様な人材を確保・育成するためにきめ細かな後継者対策を進めてまいります。
 次に農村女性の地位向上対策につきましては、これまで二〇〇一年を目標年次とした和歌山農山漁村女性ビジョン21に基づき、女性の社会参画を支援する能力開発講座の開設や農村女性と農業後継者が意欲を持って農業経営に参画できる家族経営協定の推進を初め、女性みずから資質を高めるための食と農を考える女性のつどいの開催や、農産加工開発などを行う女性起業活動に対して支援を行ってございます。
 一方、農村女性が地域で果たす役割がますます重要性を増すものと考えられますことから、社会的地位向上のため、女性の参画目標値を設定した指針策定に取り組んでいるところでございます。
 また、本年六月に男女共同参画社会基本法が制定されたところであり、関係機関、団体との連携を一層密にし、女性の地位向上のための施策の展開を図ってまいりたいと存じます。
 次に、優良農地の確保と耕作放棄地の解消についてであります。
 農地は農業生産にとって最も基礎的な資源であり、かつ一たん荒廃するとその後の復旧が大変困難となりますことから、圃場整備、農道整備など、地域に合った土地基盤整備の計画的な推進や担い手農業者への農地流動化による優良農地の確保に努めているところでございます。
 また、耕作放棄地につきましては、議員お話しのとおり、特に中山間地域を中心に耕作放棄地が増加する傾向にあります。その解消対策として、市町村、農業委員会、県農業公社等の関係機関とともに、農地の情報収集や貸借の仲介を実施する農地銀行活動などにより担い手農業者に農地を集積し、効率的で収益性の高い農業生産の振興に努めているところであります。
 さらに国においては、耕作放棄地の解消や多面的機能の確保に努め、中山間地域の活性化を図る中山間地域等直接支払い制度が平成十二年度の創設に向けて取り組まれており、こういった制度を活用してまいりたいと考えてございます。
 次に、カキ産地の生き残りについてお答えをいたします。
 農業の六次産業についてでございますが、農業本来の役割である食料供給としての生産をベースにしながら、付加価値をつけた農産加工や販売を通じて地域経済の活性化を図るとともに、地域資源を生かし、観光と結びついた農業を進めるなど、一次産業に足すことの二次、三次産業を加えた総合産業化がいわゆる農業の六次産業化であり、二十一世紀の農業・農村を考えるとき、非常に重要であると認識をしてございます。
 カキの加工に関する研究についてでございますが、食品加工については、高度な知識と研究体制が要求される中で昭和五十七年に県も出資を行い、社団法人和歌山県農産物加工研究所として発足し、これまでミカンの熟選工房や結朔等、ジュースを中心とした商品開発を行ってございます。
 柿につきましては、性質上、加工面での難しさもございますが、カキ酢やあんぽガキ等が少量ながらも市販品となってございます。
 次にカキジャム等の研究についてでございますが、刀根早生を中心に生産量が増加している中で加工開発は重要と考えてございまして、県農産物加工研究所を初め関係機関との連携も図りながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、果実の呼吸を抑えることによって鮮度を保つCA貯蔵がカキに利用できるかについてでございますが、県と生産者団体で組織する県平核無脱渋研究協議会において、昨年度平核無柿で試験を行い、百五十日間の貯蔵でも品質が良好との結果を得ており、本年度は年末販売に向け、量を拡大した実用化試験を実施する計画になってございます。
 次にカキの輸出試験につきましては、県では過去に東南アジアを対象に平核無柿で実施しておりまして、脱渋や鮮度保持の面でも良好であるとの結果を得てございます。しかしながらこれまでは、販売価格や輸送コストの問題もあり、輸出に至っていないのが現状でございます。
 議員お話しの船内での脱渋につきましては、コストの問題もあり、少々難しいのではないかと考えてございます。
 いずれにいたしましても販路拡大が重要でございますので、今後、中国香港におけるアンテナショップでの市場調査等を通じ、輸出の可能性について検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、梅の生育不良の早期原因究明についてでございます。
 本県農業の最重点課題であり、これまで地元協議会等関係者のご協力をいただきながら、暖地園芸センターや普及センターを中心に関係機関を挙げて取り組んでいるところでございます。しかしながら、依然として日高・西牟婁地域で発生が拡大しており、最近では紀の川流域や県外の産地でも同様の症状が部分的に見られてございます。
 こうした中、生育不良対策の重要性にかんがみ、農家の要望を受けて実施している暴露実証試験の延長や梅の生理生態面での研究を行う国の指定試験の充実強化に加え、これまでの成果をもとにうめ総合実証園を新たに設置するなど、総合的な対策に向けた経費を今議会にお願いしてございます。
 今後とも、県議会を初め、市町村、農協等の関係機関の協力のもと、原因究明と対策の確立に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、本年産温州ミカンの需給動向についてでございます。
 開花時点での全国生産量が百五十万トンと予想されましたことから、国においては去る五月二十七日、果樹農業振興特別措置法に基づく生産出荷安定指針が発動されたところでございます。指針の中では、全国の適正需要量を生果百万トン、加工仕向け等二十八万トンと見込み、目標生産量は計百二十八万トンと定められてございます。これに基づき、本県分として十七万二千五百七十トンが示され、生産調整に取り組んでいるところでございます。今後とも目標生産量の達成に向け、樹上選別等による摘果の徹底を図ってまいりたいと存じます。
 次に販売戦略についてでございますが、産地においては光センサーの導入など品質を重視した出荷体制が整いつつあり、味一や完熟など高品質ミカンの拡大とともに、計画的な市場出荷や販売を生産者団体と一体となって推進しているところであります。一方、近年ウエートを増してきている市場外流通についても、消費動向等を見きわめつつ取り組みを行ってまいりたいと考えてございます。
 また、秋冬果実のPRにつきましては、健康や安全に対する関心が高まる中、昨年に引き続き、ミカンの持つ発がん抑制効果を強くPRしてまいりたいと考えております。
 なお、カキにつきましては、現在和歌山大学において進められている、ミカンと同じベータクリプトキサンチン等の加工処理の研究に対し県からの助成を行っておりまして、今後の成果に期待をしているところでございます。
 次に、現在工事中の紀の川左岸広域農道橋本工区と国道三百七十号とのアクセス道路の状況についてでございます。
 広域農道の工事用道路として清水地内でおおむね路線を確定し、工事に使用した後、橋本市に譲渡し、広域農道と国道三百七十号との連絡道として整備する方向で路線等の細部調整を行っているところでございます。
 また、工事用道路の南海電鉄高野線の横断につきましては、県、橋本市、南海電鉄と現地調査並びに協議を行っております。
 いずれにいたしましても、踏切の統廃合、工事用用地等については地元関係者の協力が必要不可欠でありますので、今後とも橋本市並びに地元と協議調整を図りながら、工事用道路の早期完成とあわせて広域農道の推進に努めてまいります。
 次に、昨年の台風七号災による森林災害復旧の見通しについてでございます。
 県下の被害面積は九百三ヘクタールで、うち復旧を要する面積は七百七十四ヘクタールとなってございます。復旧については、造林や治山事業の災害関連事業の活用を図るとともに、今年度からは新たに風倒木の整理をし、自然復旧を促進するための県単独事業を創設して、今後四カ年で復旧を完了すべく計画的に鋭意取り組んでございます。これまで百五十四ヘクタールを実施するとともに、十一年度では二百三十五ヘクタールの整備を進めているところでございます。
 議員ご提案のケヤキ、カシ等の植栽につきましては、多様な森林づくりをする上からも大変好ましいことと考えてございます。林家の意向をも踏まえつつ、機会をとらえ、ボランティア等のフィールドとしても活用してまいりたいと考えてございます。
 また、労働力確保については、労働安全の講習や技術研修も実施しており、県内の森林組合の労働者により対応が可能と考えてございます。
 今後とも森林所有者に対し、市町村、森林組合を通じて復旧意欲の喚起を促すとともに、労働の安全を十分に確保しながら早期復旧に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 木下善之議員ご質問の、産業廃棄物問題についてお答え申し上げます。
 まず第一点目の、日本工業所のその後についての三点にお答え申し上げます。
 まず、焼却施設本体及びその周辺のダイオキシン類調査につきましては、本年二月に実施した全体調査の際には地権者の同意が得られず実施できませんでしたが、第三回目の委員会において、委員から地権者の理解が得られるよう努力すべきとのご意見があり、その後、地権者と話し合った結果、基本的には了解するとのお返事をいただきましたので、実施してまいりたいと考えてございます。
 焼却施設の取り扱いにつきましては、今回実施する調査の結果を踏まえ、検討いただくことになるものと考えてございます。
 二点目のボーリング調査結果についてでありますが、本年二月の調査において埋立地の調査も合わせて行ってございまして、その結果、組成重量比では土砂、がれき類の比率が大きく、次いで廃プラスチック類、金属類、木くず、紙くずの混入が認められましたが、腐敗物や燃え殻については認められませんでした。
 三点目の、ガス噴出の原因調査と対策についてでありますが、この調査の際、湧出ガスの成分を調査したところ、酸素が極端に少なくメタンが多いという結果を得たため、検討委員会から原因を調査するようにとのご意見がありましたので、調査を実施してまいります。対策につきましては、調査の結果を踏まえ、早急に検討をいただく考えでございます。
 続きまして二点目の、日本工業所に係る検討委員会の現況についてでございます。
 第四回検討委員会では、二月の調査結果に基づく今後の対応についてご意見をいただきましたが、より具体的な対応策を検討するためには補完調査が必要であるとの意見があり、現在、調査のための事務手続を行っているところでございます。
 また、千二百ピコグラムから千四百ピコグラムの値の判断についてでありますけれども、現在、日本工業所のような産業廃棄物処理場についてはダイオキシン類に係る環境基準が示されていないため、県としては判断できません。そのため、現段階で国から示されている居住地に係るガイドラインを参考にして検討委員会で検討いただいているところであります。
 また、水質調査結果につきましては、平成十年三月から住民と同時に浸出水を採取し、検査を行っているところでございますが、特に問題となる結果ではございませんでした。今後も引き続き、ダイオキシン類も含め、定期的に水質調査を実施してまいる考えでございまして、その結果の推移により、議員ご質問のダイオキシン類や重金属類の経時変化並びに下流への影響についても明らかにしてまいる考えでございます。
 続きまして三点目の、恋野地区榊谷川上流の不法投棄問題についてでございます。
 平成十一年六月二十二日付で事業者に対し、廃棄物の搬入の中止、野積み状態の改善等について改善を命じるとともに、本人に対して強く指導しているところでございます。現在公判中でございますが、この命令の履行について、橋本市など関係機関とも連携し、強く指導してまいる考えでございます。
 なお、水質につきましては、橋本市が定期的に水質調査を実施しており、その結果では特に問題となるような水質でないと聞いてございます。県といたしましても、今後水質調査を実施してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十二番木下善之君。
○木下善之君 少し要望を申し上げておきたいと思います。
 ダム問題でございますけれども、紀伊丹生川ダム建設の話は二十年前から聞かされておるわけであります。以降長きにわたっての予備調査等をしながら、ようやくにして審議委員会においてダム事業が妥当であるとの結論に達したわけであります。建設省はこれを受けて今後本格化されますが、県として十分な地元対応をひとつしていただいて、ダムの建設に向かってスムーズに推進されるよう希望しておきます。
 それと、ダイオキシンの問題でございますけれども、近く細部の調査をしていきたいということではございますが、一日も早く安全宣言をされ、本当に住んでよかったと言える地域づくりのために特段の取り組みを求めておきます。
 そしてまた、恋野の榊谷川上流の不法投棄問題につきましても、下流において良質な米を安心して生産していく上で速やかな対応を強く要請して、終わります。ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下善之君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十三分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十四番金田 眞君。
  〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い、順次質問を行っていきたいと思います。
 まず第一項の、県営の合併浄化槽の保守点検及び清掃費について質問をいたします。
 さきの六月議会でも我が党の村岡議員が質問されており、重複する内容、質問になりますので、簡潔な質問にしたいと思っております。当局も、明快なるご答弁をお願いいたします。
 一、県営住宅において、県浄化そう協会と契約を結ばなければならない条例上の根拠がありますか。
 二、六月議会で土木部長は、「浄化槽の規模が大きいこと、常時適正に稼働していることが不可欠であること等から、過去の実績や技術力、施設に異常が発生した場合の緊急対応能力等を勘案し」業務を委託しているとの答弁ですが、他の業者の方々にはその能力、資格がないのでしょうか。
 三、浄化槽の保守点検は、浄化槽法第十条第三項において登録を受けた者に委託するとなっておりますが、特定の業者団体だけを契約の対象にしているのは契約の一般競争入札の原則に反するのではありませんか。
 四、二百以上ある浄化槽の登録業者にはランクづけがなされているのでしょうか。
 五、「協会では、実際に協会の会員業者等の指導監督を行いながら、保守点検及び清掃業務を的確に実施しております」と答弁されましたが、これは協会が各地域の支部や加盟している業者に実際の業務を下請させているということですか。
 六、もしそうであるならば、建設業法では禁止されている一括下請と同じであり、違法行為となるのではありませんか。
 七、県立学校の合併浄化槽の保守点検について、教育委員会の資料によれば、県立高校、養護学校の単独及び合併浄化槽の保守点検は和歌山県清掃連合会と和歌山県浄化そう協会の二つの登録業者が独占しております。清掃については、各学校が地域の清掃業者と直接契約をしています。そこでお聞きしますが、保守点検がさきに挙げた登録業者だけに絞られている理由を教えてください。
 八、和歌山市内のある業者が、和歌山市内の県立高校の合併浄化槽の保守点検費の見積書を提出され、その見積書の値段と県が委託している値段を比較すると二倍から三倍近くの開きがありました。県がこの業者の見積もりを却下された理由を教えてください。
 九、私どもは、和歌山市内の業者さんに川永団地の合併浄化槽の見積もりをしていただきました。その見積書では、県浄化そう協会の見積書の年間七百六十八万円プラス消費税に対し、その約四三%の三百二十九万二百八十円プラス消費税となっており、清掃料についても県浄化そう協会の見積書では税込みで六百三十六万円となっていましたが、この業者さんの見積もりでは四百三十四万八千二百六十円、約六八%の値段で、両者には値段に大きな開きがありました。値段については、団地自治会と業者との契約だと言うのなら、団地自治会が自由に契約の相手先を選べる仕組みにすべきではないでしょうか。県が委託する相手先を選ぶのであれば入札を行って業者を選定するのが当然だと思いますが、いかがでしょうか。
 十、契約については研究課題にするとの答弁ですが、六月議会後どのように研究されたのか、お尋ねをいたします。
 第二項目、ごみ処理広域化計画について質問をさせていただきます。
 さきの六月議会に引き続き、ことし三月に策定された和歌山県ごみ処理広域化計画の新宮広域ブロックの見直しについて当局の考え方をお伺いいたします。
 新宮広域ブロックの計画は、既存の八焼却施設をRDF(固形燃料)化施設に建てかえ、製造されるRDFは、平成十四年十一月までに新設するRDF焼却施設において発電事業等に利用する、なおRDF燃焼施設の処理能力はRDF受け入れ量の増加に対応して段階的に増強するものとするとしており、RDF化施設の稼働予定年月は、太地町は二〇〇〇年四月、新宮市は二〇〇二年十一月、串本、古座、古座川の三町は二〇〇二年十一月とし、その他の町村は二〇〇九年度以降として、RDF焼却施設は二〇〇二年十一月に新宮市で稼働するとなっております。
 しかし、新宮市においては昨年の三月からRDF化方式での準備を進め、佐野の巴川製紙跡地に建設を予定しておりましたが、計画内容や用地選定の方法について地元住民を初め多くの市民の理解と納得が得られず、RDF計画は白紙に戻されました。そして、新宮市では五月に新市長のもと、助役を委員長として庁内に新宮市クリーンセンター建設準備委員会を組織し、公募による一般廃棄物処理施設建設計画に関する公聴会やごみ処理施設見学会を開催し、市議会では特別委員会が設置され、ごみ減量化を前提にした処理施設の建設を緊急課題として現在取り組んでいるところであります。
 こうした中で新宮市は、RDF化方式のごみ処理施設については固形化燃料の活用が確定しておらず、かなり高額の負担となる等の理由から断念し、採用実績が多く、安定した技術と信頼感から焼却炉方式の改良型による新宮市独自の焼却施設建設の方向に進んでおり、県のRDF化方式による広域化計画の見直しがどうしても必要になっております。県の広域化計画策定の趣旨では、当然こうした状況が起こることも予想し、今後のごみ処理技術の進展、新たな制度の創設あるいは市町村における行財政事情等、諸情勢の変動に対し、必要に応じて見直しを行うものとするとされております。県においても、こうした経過でのごみ処理広域化計画の見直しの要望については積極的に対応されると思いますが、いかがでしょうか。お尋ねをいたします。
 さらに、新宮市がRDFを断念するならば、串本町、古座町、古座川町の計画も当然変更を余儀なくされ、太地町では固形燃料を焼却する施設がないという状況に陥ります。この状況の解決には、住民の合意を前提に、県当局が関係住民の意思を尊重し、各市町村の声をくみ上げ、いろいろな要望や計画に柔軟に対応して積極的に調整を図ることです。新宮市だけでなく、古座、古座川、串本の三町での緊急の計画見直しや太地町についても計画の見直しが必要になると思いますが、当局の対応をお伺いいたします。
 さらに、厚生省がこれまで補助対象としていなかった、焼却能力が一日百トン未満の焼却施設整備への財政支援について検討に入ったとの報道がありましたが、それが実現されなければ自治体の財政負担は大変なものになります。厚生省などへ積極的に働きかけていくことが必要であると考えますが、当局のお考え方をお尋ねいたします。
 次に、第一種中高層住宅専用地域である新宮市清水元において、現在建設業者が産業廃棄物の自社処理を行っておりますが、新たに中間処理業の申請が行われたことから、産業廃棄物中間処理場及び自社処理場の建設に反対する住民運動が展開されております。現状でも自社処理において住民は騒音や煙などで生活環境が脅かされていると訴えており、さらに中間処理業が行われると生活環境が破壊されるという不安があります。この間、住民は、県に二回、市に三回の反対陳情を行いました。事業者による説明会にも参加し、質問状を送付して回答を得ました。しかし、十分な内容ではないため再び質問状を送付したわけでありますが、いまだ回答が得られていないため反対署名運動に取り組んでおり、既に一万人の署名を超えたと聞いております。
 さて、一九九七年に廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正がなされましたが、これは近年の住民の環境意識の高まりや環境負荷増大のおそれに対する不安のもとで、産業廃棄物処理施設設置をめぐる地域紛争が多発している現状を踏まえ、地元住民の意向が適切に反映され、個々の施設が地域ごとの生活環境の保全に十分配慮されたものとなるよう、施設の設置許可手続の見直しを行ったものであります。そして、建設申請が行われた場合には、該当施設の設置に関し、生活環境の保全上関係ある市町村の長、及び該当施設の設置に関し利害関係を有する者の意見を聴取しなければならないとしています。
 現在、保健所は新宮市に意見書の提出を求めていますが、県は法改正の趣旨に沿い、地元市町村や住民の意見を尊重すると同時に、申請者への指導も大切かと思いますが、いかがでしょうか。
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づいて、処分業の許可に当たっては法第十四条第三項や第六項などについても十分に審査されると思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、自社処理場といえども、住民が騒音や煙などで生活環境が脅かされていると訴えている限り、その住民の不安を解決するために行政は積極的に住民の中に入って努力する姿勢が求められると思いますが、いかがでしょうか。
 そして、廃棄物の処理及び清掃に関する法律が、一九九二年に第一次改正、九七年に第二次改正がなされたにもかかわらず、和歌山県の産業廃棄物の処理に関する事務取扱要領は一九八七年(昭和六十二年)のままです。これでは、現在の状況に十分に対応できるものではなく、かえって現場に混乱を起こすものになります。早急に策定することが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、第三項目の佐野川の早期改修について質問いたします。
 佐野川は、農地に豊かな恵みを与えるとともに、新宮市の住宅地として市街化が進む三輪崎、佐野、蜂伏、木ノ川地区を流れ、地域住民の生活基盤をなしています。また、蜂伏の住宅化や新宮市民病院の移転新設によって、これまで以上に人口がふえます。しかしながら、大雨のときには今なお水があふれ、生活道路の通行どめや農地への被害が繰り返されています。このような被害を軽減し、地域住環境を快適にして、住民が安心して生活するために、河川改修は緊急の課題であり、住民の長年の願いであります。
 一九七四年(昭和四十九年)から県の単独事業として改修事業が開始され、一九八〇年から中小河川改修事業に採択されたことから、佐野川の河川改修が進められています。しかし、現在の佐野川では、改修計画約三キロに対して約一・五キロの五〇%の進捗状況、約二十年かかってやっと半分であります。事業費約七十八億四千万円に対して約五十億円が投じられている状況であります。そして、一九九七年の事業費は二億五千万円、昨年は三億六千万円、ことしは当初でありますが一億二千万円という状況であります。そして、同時に進められている荒木川の改修についても、九百メートルの計画に対して三分の一しか改修が進んでいない状況であります。このような調子で改修工事が進められるならば、あと何年かかるのか、余りにも遅過ぎるのではないかという声が地元の人々から沸き上がり、それが不安の声と行政に対する不信の声となっております。今後の佐野川、荒木川の改修計画はどうなっていますか、お尋ねするものであります。
 最後の項目です。土地開発公社の長期の土地保有と財政圧迫について。
 一九九九年三月三十一日現在の和歌山県土地開発公社の保有地の現状は、面積で約二百七十四ヘクタール、簿価で約七百三十六億円で、そのうち土地造成事業分は約六百八十七億円です。事業開始年から十年以上経過している土地は約二百四十四ヘクタールであり全体の八九%、簿価にすれば約六百三十五億円で全体の八六%となっております。また、市民オンブズマン和歌山の調査によりますと、公社が事業実施の見通しのないまま丸五年以上保有しているいわゆる塩漬け土地が平成九年度末で百七十一ヘクタールあり、簿価全体の約七割を占める約五百七十七億円となっており、その利子額は約百億円としています。さらに、十年以上の長期保有土地では、簿価約百五十七億円のうち利子が約七十三億円で、利子で簿価が倍近くに膨らんでいることがわかると思います。こうした中で、簿価の七割が塩漬けという状態は既に公社としての機能が正常に果たされていないと、厳しい指摘もされているところであります。
 私は、土地開発公社の経営悪化の最大の原因は、コスモパーク加太の事業の失敗ではないかと考えますが、コスモパーク加太計画に現在までどれだけの費用が投じられ、回収できた金額は幾らで、未回収、現時点での累積赤字額は幾らになるのですか。
 また、加太の用地約五百六十八億円を含む長期保有土地は簿価で処分できるのでしょうか。実際は不良債権化し、債務超過の状態になっているのではないでしょうか。単年度の事業成績は平成十年度で三億二千九百万円と事業損失が計上されていますが、当期純利益は引当金等を取り崩すなどしてゼロとなっています。帳簿上の処理のあり方について当局はどのように見ているのか、以上のことをまとめてご答弁ください。
 巨額の県費を投入して進められたこの計画は、約三百二十三億円の赤字を生み出した土砂売り渡し価格問題や大手企業十四社の撤退、土砂採取跡地利用計画、公社に事業を持たせた手法など、その他いろいろな面から反省と教訓があったと思いますので、現在どのように総括されているのかを質問いたします。
 また塩漬け問題で、新聞の記事によれば、県は「長期保有地の大部分は自主事業用地で、県財政に直接影響するわけではないが、公社経営を圧迫しているのは事実。健全化に向け公社の運営のあり方を見直したい」としているが、コスモパーク加太など現在の土地開発公社の保有地に対する対策をお伺いいたします。
 次に広域スポーツ公園ですが、ここに新聞の記事がございます。それは、一九九四年(平成六年)十月の新宮の地元新聞であります。その見出しに「県営スポーツ公園建設に向けて 和歌山県土地開発公社 今年度中に中心部を用地取得 テニス・コート、プール、野球場など 七年度に基本計画策定 新宮市佐野九・八ヘクタール 八年度事業着手の見込み」とあり、「和歌山県はこのほど、新宮市佐野・秋津野の巴川製紙所新宮工場所有地など九・八ヘクタールを県営スポーツ公園として整備することを決め、県土地開発公社が今年度中に、中心用地を先行取得することになった。七年度には基本計画が策定され、八年度から事業着手される見込みだ」と報道があり、スポーツ関係者の方々はいろいろな要望を持って決起集会を行うなど、市民の多くの皆さんが期待をしておりました。しかし、実際は土地開発公社によって平成七年度、八年度に二万五千九百八十二平米の用地が取得されましたが、その後進展がありません。このように、事業が計画どおりに進んでいないため、開発公社が土地を抱えなければならないという状況が生まれます。こうした状況を解決するために事業計画を進めることが必要だと思います。
 さて、なぜ県営スポーツ公園建設について現在住民の期待に反するような状況になっているのか、今後の教訓としていきたいので、ぜひその経過や原因についてお教えください。
 また、新宮周辺広域市町村圏事務組合から新宮広域スポーツ施設についての要望も出ておりますが、今後県はこの用地をどのように活用していくのか、計画をお知らせください。
 以上で、私の第一回の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 合併浄化槽の保守点検及び清掃費についての一点目、契約のあり方と改善について、何点かについてお尋ねですが、一括してお答えします。
 社団法人和歌山県浄化そう協会との契約につきましては、条例に規定されているものはございません。また、浄化槽の保守点検業者にランクづけを行っているわけではなく、社団法人和歌山県浄化そう協会以外にも県営住宅の浄化槽を維持管理する能力を有する保守点検業者はあると考えておりますが、県営住宅の浄化槽の維持管理業務につきましては、浄化槽の規模が大きいこと、事故が起こった場合に被害をこうむる住民が多数に上るため、常時適正に稼働していることが不可欠であること等から、一般競争入札により業者を選定することは不適当であると考えております。過去の実績や技術力、施設に異常が発生した場合の緊急対応能力等を勘案し、社団法人和歌山県浄化そう協会にその業務を委託しているところであります。社団法人和歌山県浄化そう協会におきましては、浄化槽技術管理者三名及び浄化槽管理士二名を擁し、会員業者等に対する業務の的確な指示、確認を頻繁に行うとともに、浄化槽に異常が発生した場合に備え、二十四時間緊急対応ができる体制を整えており、協会では実際に協会の会員業者等の指導監督等を行いながら、協会として維持管理業務を的確に実施しております。したがって、一括下請に当たるものとは考えておりません。浄化槽の維持管理業務の契約につきましては、維持管理業務が適正に実施されるか、費用が妥当か等の観点から、より適切な方法があるかどうか、今後の研究課題として取り組んでいるところであります。
 次に、浄化槽の維持管理料金、保守点検費についてでございます。
 過去に幾つかの団地について、ある業者から見積書の提示があった件ですが、当該業者が見積書を提示してきた時点では既に契約を行っており、契約を更新する時期ではなかったことから、お断りをしたところであります。
 また、川永団地の浄化槽の維持管理費用につきましては、入居者が全額を負担している近畿の他県における浄化槽の維持管理費用の調査状況等から、妥当なものであると判断しております。
 次に、佐野川の改修事業についてお答えします。
 佐野川の改修は、河口から三千メートルの区間について昭和四十九年度より国庫補助事業で着手し、下流部から川幅を広げる工事を実施してきており、平成十年度末までに第五佐野橋までの千五百メートルを概成しております。また、これまでに支川・木の川は計画区間全体が完成し、支川・荒木川は三百四十メートルが完成しております。今年度は、佐野川について、第五佐野橋の下部工並びにこの上下流の護岸の施行及び用地の取得を行ってまいる予定です。
 今後とも、引き続き地権者及び地元の皆様のご協力を得ながら、佐野川及び支川・荒木川の一日も早い完成を目指して鋭意事業を実施してまいる所存です。
 次に、新宮の広域スポーツ公園の用地取得の経過と、事業が進んでいない原因についてお答えいたします。
 平成七、八年度に買収した土地は、新宮市からの要望を受けまして、将来の公園用地として県土地開発公社に依頼して先行取得したものであります。買収に当たり、広域利用のためには周辺の土地の確保が必要であり、その用地確保については新宮市が対応することとなっており、同時に事業計画の策定についても新宮市が周辺の町村と協議しながら進めていくことで検討がなされていましたが、新たな用地確保についてはいまだ進展しておりません。また施設内容につきましても、周辺の市町村を含め、合意できる内容には至っていないのが現状であります。
 次に、この用地の今後の活用計画につきましてお答えします。
 広域的な利用を考慮した本格的な取り組みにつきましては、今後とも関係機関と協議する必要がありますが、県市とも当面の財政状況はまことに厳しいものがありますので、追加買収しない暫定利用として事業計画の策定及び公社が先行取得している用地について、新宮市と協議しながら進めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 金田議員ご質問の一般及び産業廃棄物処理についてのうち、まず県のごみ処理広域化計画における新宮広域ブロックのRDF化の撤回とごみ処理広域化計画の見直しについてお答えいたします。
 ごみ処理広域化計画は、県民の生活環境の保全と健康を守るため、ダイオキシン類の削減対策を含め、将来のごみ処理のあり方について市町村との意見交換を重ね、国とも協議の上、策定したものでございます。
 新宮広域ブロックにおきましては、計画の基本であるブロック範囲の変更はないものの、新宮市における諸事情の変化による処理方式の変更等の話がございました。ブロックでの意見がまとまれば、このたびの変更は広域化計画の趣旨を逸脱するものではないため、一部手直しすることもやむを得ないものと考えてございます。
 続きまして、住民合意を前提とした柔軟に対応する見直し計画をということについてお答え申し上げます。
 新宮広域ブロックにおいては、現在処理方法等の一部手直しについて検討されており、県としても必要な助言を行っているところであります。今後、住民の合意並びに構成市町村の意見が集約されれば、厚生省とも協議しながら広域化計画の一部手直し事務を進めてまいる所存でございます。
 続きまして、財政支援への取り組みについてのご質問に対してお答えいたします。
 一日の処理能力が百トン未満の焼却施設に対する支援につきましては、これまでも広域化計画に位置づけられた施設に起債の上乗せ措置が設けられておりますが、現在、厚生省においては国庫補助制度を検討中でございます。県といたしましても、広域化計画に位置づけられた施設につきましては、整備に当たり市町村の財政負担が軽減されるよう国に働きかけているところでございます。
 続きまして、産業廃棄物問題についてのご質問にお答えいたします。
 まず、地元住民の声の反映についてでございますが、県としては、許可申請の審査に当たっては、地元住民の意見を集約した市町村長の意見を十分尊重し、申請者を指導してまいる考えでございます。また議員ご質問の審査につきましては、廃棄物処理法に基づき、許可基準に照らし、慎重に審査してまいる考えでございます。さらに、不適正な自社処理につきましても、廃棄物処理法に定められた処理基準を満足させるよう強く指導してまいる考えでございます。
 続きまして、県の産業廃棄物処理に関する事務取扱要領の改正でございますが、廃棄物処理法の改正や廃棄物処理を取り巻く社会情勢の変化もあることから、県におきましては既に見直し作業中でございます。できるだけ早期に策定してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 開発公社の土地保有状況と今後の計画、コスモパーク加太計画の総括と今後の土地開発公社の保有土地に対する解決策についてお答えいたします。
 まず、コスモパーク加太計画の総括についてでございます。
 コスモパーク加太計画は、県、和歌山市及び県土地開発公社により設立された加太地域開発整備推進協議会が基本構想を策定し、官民によるコスモパーク加太開発推進機構により土地利用計画の検討を進めてきたところですが、社会経済の大きな変化の中で民間参画での開発が困難になったことから、協議会で協議を重ね、今般コスモパーク加太土地利用計画を策定したところであります。この計画は、和歌山県土地開発公社が事業主体となり、区画整理事業の手法により区域内の基盤整備を進め、複合機能都市の形成を図るもので、今後は平成十二年に市街化区域編入の都市計画決定、土地区画整理事業の認可を受け、事業に着手し、計画の早期実現に努力してまいります。
 なお、加太開発整備事業の平成十一年三月末現在の総執行額から土砂売却収入等を差し引いた額は約五百六十八億円となっております。
 次に、土地開発公社の経営状況等につきましては、ご承知のように、バブル崩壊後の景気の落ち込みなどにより、公社を取り巻く環境には非常に厳しいものがあります。
 まず、議員お尋ねの会計処理につきましては、全国開発公社経理基準要綱に基づき、公認会計士指導のもと、適切な処理を行っております。また、公社の保有している土地につきましては現在随時分譲を行っているところであり、今後も路線価格等を参考とした分譲単価等の見直しや積極的なPRの展開などによる売却を進めていくとともに、さらに公共用地については、関係部局とも連携を図りつつ、再取得の促進や先行取得事業の一層の拡大など、中長期的な視点に立った施策を展開してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 県立学校の浄化槽保守についてお答えいたします。
 県教育委員会といたしましては、学校施設の一つである浄化槽についても、よりよい学習環境を保つ上で適正な保守管理を行うことが肝要であると考えております。県下全域に設置している県立学校の浄化槽について確実な保守点検を行うためには、県下各地域の業者が加入している登録業者と契約することが適切であると考えております。
 次に、他の業者からの見積もりについてでありますが、当該見積書提出業者は、当時、県浄化槽保守点検業者の登録に関する条例による登録業者ではなかったこと、また数名のみが加入している協同組合としての見積書であったことなどから、さきにお答えした登録業者と契約したところであります。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十四番金田 眞君。
○金田 眞君 再質問をさせていただきます。
 浄化槽について答弁をいただきましたが、到底納得できるものではありません。一体何を基準にして業者を選定しているのか、改めて教えてください。
 契約については、県の条例に規定されず、業者にはランクづけがなく、浄化槽を維持管理する能力を有する保守点検業者があるとするならば、当然一般競争入札を行うべきであり、過去の実績を理由に業者を選定していることは県民の利益にならないと思います。また、二十四時間体制についても、私の住んでおります新宮市の場合、新宮市の浄化そう協会は新宮保健所の奥にあり、事務員が一人座っておられるわけであります。ですから、特に浄化そう協会でなければ二十四時間緊急対応ができないとは思われません。また、一括下請ではないとの答弁ですが、実際は能力を持った地元の業者の皆さんが作業を行って、県の浄化そう協会に報告しているのが実態ではありませんか。そして、県下の団地の維持管理業者は、浄化そう協会と清掃連合会の二つが多くを占めていますが、その中にあって、少なくとも串本や橋本では地元の業者との契約になっております。これは、そちらからいただいた資料の中に明確に出ておりますが、他の市町村でも浄化そう協会と清掃連合会だけで契約を結ぶのではなく、一般競争入札ができることを示しているのではありませんか。過去において、他の業者からの見積もりは契約更新時でなかったという答弁でありましたが、それではお尋ねいたします。今後、更新時期に見積もりを提出された場合、どのような対応をなされるのか、土木部長にお尋ねをいたします。
 ごみ問題については、住民合意、住民の意思の尊重を大切にして進められることを再度お願いするものであります。
 佐野川については、一昨日のような雨が降れば、浸水が心配で夜も眠れないという住民が多くいるわけであります。今年度も、補正予算などでより一層積極的な取り組みをお願いする次第でございます。
 土地開発公社ですが、結局、加太関係に使った費用は約一千四百億円だと思われますが、私は過去を振り返っての総括をお願いしたわけであります。答弁されたことは若干の経過報告であり、反省点や教訓などの総括がないと思いますので、再度お尋ねをいたします。
 公園についてであります。県の方は周辺の用地確保は新宮市が対応することになっていた、新宮市の方では県営だからという気持ちがあり、ボタンのかけ違いというようなことになり、細部についての詰めが甘くなったのではないかと思います。
 ここに、当時の平成六年十月十二日の「紀南新聞」でありますが、報道されております。その新聞には、現在の西口知事が──その当時は副知事ですが、この予定地を視察しているところが載っております。これを見て、市民は非常に期待しておりました。そういうこともありますので、ぜひこの用地、公営スポーツ公園等について実現されることをお願いして、私の再質問を終わります。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 浄化槽について何点か再質問いただきましたので、お答えいたします。
 まず、何ゆえ一般競争入札が不適当であるかという趣旨のご質問でございますけれども、規模の大きな浄化槽の維持管理業務につきましては、すべての保守点検業者がその能力を備えているとは考えていないため一般競争入札により業者を選定することは不適当であると考えております。
 次に、実際の状況を考えると一括下請に当たるのではないかというご質問でございます。先ほどご答弁しましたように、浄化そう協会におきましては、浄化槽技術管理者三名、及び浄化槽管理士二名を擁しまして、会員業者等に対する業者の的確な指示、確認を頻繁に行うとともに、浄化槽に異常が発生した場合に備えまして、協会の支部長等を連絡先とし、携帯電話あるいは転送電話により二十四時間緊急対応ができる体制を整えておりまして、協会として維持管理業務を的確に実施しております。したがって、一括下請に当たるとは考えてございません。
 それから、見積書が新たに更新時に提出された場合はどうなのかというお尋ねでございます。これについては積算内訳を分析してみないと何とも言えないところでございますが、今後の研究課題の資料にはなり得るかと思います。
 いずれにしましても、浄化槽の維持管理業務の契約につきましては、より適切な方法があるかどうか今後の研究課題として取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 再質問にお答えいたします。
 コスモパーク加太計画は、関西国際空港一期埋め立て用土砂採取事業跡地の整備計画でございます。土砂採取事業につきましては、関西国際空港の一期工事に大いに貢献したものと考えてございます。
 コスモパーク加太計画は、土砂採取事業と並行して、その整備構想を協議してまいりましたが、民間参画による整備構想は、議員もご存じのとおり、バブル崩壊による社会経済の大きな変化の中で民間サイドの進出意欲が大きく減退し、その実現が困難な状況になっているのが事実でございます。一方、紀淡連絡道路や加太・岬スカイラインの構想、都市計画道路である西脇山口線の整備促進等、多くのプロジェクトの推進によるコスモパーク加太の立地可能性の高まりのある中で、今般、先ほど申しました土地利用計画を策定したものでございます。
 したがいまして、今後はこの土地利用計画の実現に向けて積極的に努力してまいりたいと考えているところでございます。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 三十四番金田 眞君。
○金田 眞君 浄化槽の問題については納得できませんが、研究課題であるとおっしゃられました。私どもも研究させていただいて、今後も一般質問等を続けていきたいと思います。
 加太の総括の問題であります。確かにバブルの崩壊等、そうしたことを言われます。私ども、これはただ単に反対だと言うんじゃないんです。これからも百七十億のお金をつぎ込んで実施していくんだという話も伺っておりますし、資料もいただいております。そうした中で判断材料として、実際的にこの事業によって教訓とするものは何か、得たものは何か、やっぱりこれは失敗だったなと思うものは何か、そういうことをきちっと総括して次の段階に進んでいくことがよりベターであると思うから──私、今回初めて質問しますけれども、私ども平成八年の時点においても鶴田議員の方から質問をいたしました。そのときも明快なるご答弁はいただけなかったわけです。今回もいただけないわけです。だから、質問します。
 第一番目、総括が現在できていないのか、第二番目、する必要がないのか、三番目、発表する段階ではないのか、今答弁いただいた内容で十分だと思っているのか、最後、その他の理由があって私の述べるような総括ができないのか、そのうちのどれか、ご答弁いただきたいと思います。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 金田議員の再々質問にお答え申し上げます。
 ただいま議員ご指摘いただいた点についても、私ども十分理解しているところでございますが、今後そういったいろんな情勢変化等にも対応しながら、中長期的な観点から取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──以上で金田眞君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 お諮りいたします。都合により、九月二十日は休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宇治田栄蔵君) ご異議なしと認めます。よって、九月二十日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は九月二十一日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十三分散会

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