平成11年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十一年九月 和歌山県議会定例会会議録 第二号

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議事日程 第二号
 平成十一年九月十六日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第百三号から議案第百十七号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百三号から議案第百十七号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十七人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       松   本   泰   造
     五  番       阪   部   菊   雄
     六  番       堀   本   隆   男
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       大   沢   広 太 郎
     十二 番       木   下   善   之
     十三 番       宇 治 田   栄   蔵
     十四 番       尾   崎   要   二
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       谷   本   龍   哉
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       永   井   佑   治
     二十 番       谷       洋   一
     二十一番       小   川       武
     二十二番       高   瀬   勝   助
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       山   下   直   也
     二十六番       玉   置   公   良
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       野 見 山       海
     二十九番       吉   井   和   視
     三十 番       向   井   嘉 久 藏
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       江   上   柳   助
     三十四番       金   田       眞
     三十五番       森       正   樹
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       新   田   和   弘
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       大   江   康   弘
     四十一番       高   田   由   一
     四十二番       中   山       豊
     四十三番       飯   田   敬   文
     四十四番       鶴   田   至   弘
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       村   岡   キ ミ 子
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         西   口       勇
     副知事        高   瀬   芳   彦
     出納長        中   山   次   郎
     理事         藤   谷   茂   樹
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     生活文化部長     大   井       光
     福祉保健部長     小   西       悟
     商工労働部長     上   山   義   彦
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       白   井   保   世
     教育委員会委員長   安   藤   精   一
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   高   垣       宏
     警察本部長      樋   口   建   史
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     宮   市   武   彦
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       新   谷   哲   朗
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       佐   竹   欣   司
     議事課副課長     井   田   光   三
     議事班長       松   谷   秋   男
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       西   野   光   彦
     調査課長       湯   川       忠
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課速記技師    保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第百三号から議案第百十七号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百三号から議案第百十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十九番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 皆さん、おはようございます。
 九月議会の第一日目、初日のトップバッターとして質問させていただく機会をつくっていただきまして、まことに感謝を申し上げます。
 この議場も、きょうから国旗、県旗の前で質問をさせていただくということですが、私は今から八年前、一番最初にこの国旗、国歌問題について質問させていただきました。そういうことで、大きな感激とそしてまた感慨深いものを今思い出すものであります。そういうことで、この感激と姿勢でもって今から一般質問をさせていただきます。
 まず、西口知事の次期知事選への出馬に関して質問をさせていただきます。
 あなたは、去る六月議会におきまして、宗正彦議員から第二期県政を担当する決意について問われたところ、体調の不完全を理由に態度を保留され、休養宣言という苦渋の決断をされました。走りに走ってこられた西口知事の和歌山県政に対する熱い思い、そしてその行動力は県民だれもが認めるところであり、満を持しての出馬宣言を信じて疑わなかったところであります。それだけに、突然の休養宣言は我々には大きな驚きでありましたが、出馬を保留せざるを得なかった知事の心中を察するに余りあり、「真の心」を信条とする西口知事のあくまで真摯な態度に心を打たれたものであります。しかし、四十日有余の後、八月二日、元気に公務復帰され、八月九日には我々全員協議会の場で、二十一世紀へのかけ橋となって和歌山県勢発展のために役立ちたく、全身全霊力の限り頑張る覚悟と、力強く出馬を宣言され、議員各位からは「頑張れ」という多くの激励の声がかけられました。その後、急速に選挙態勢を整えられ、八月二十一日の事務所開きには、私を含め県内各地から各界各層の大勢の支援者が集まり、熱気あふれる中で万全のスタートを切られました。この上は、勝利への道を勇往邁進、まっしぐらに駆け上っていただくことを祈念申し上げます。
 さて、西口県政第一期の四年間を振り返ってみますと、バブル経済崩壊後の社会経済情勢が大変不安定な中、金融機関の破綻、毒物カレー事件などが発生し、県民生活の安心確保が求められたところでありましたが、危機管理体制を整えられ、迅速な対応により被害や不安感は最小限にとどめることができました。さまざまな形で県民の声を聞いてこられた西口知事の感度の高さとスピードある決断力のあらわれと存ずる次第であります。
 また、県民の期待が高い交通基盤整備では、県内二時間交通圏を目標に、湯浅御坊道路の開通を初め近畿自動車道紀勢線などの高速道路整備を進めるとともに、国道三百十一号の改良工事も完成されました。
 健康福祉面では、長年の課題でありました県立医科大学の統合移転整備を完了するとともに福祉の町づくりを推進され、産業面では、産業情報センターの設置や産業博覧会の開催、さらには果樹立国和歌山の推進など、産業各般にわたり振興されました。
 教育、文化関係では、和歌山ビッグホエールの完成、全国高校分校サミットやアジアこどもフェスティバルの開催など、心豊かな人づくりが進められるとともに、全国さらには世界に向けて和歌山県を情報発信されたところであります。とりわけ、新しい地域づくりとして、輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業により、地域の特色を生かした町づくりを進められ、また間もなく閉幕を迎える南紀熊野体験博をこれまでにないオープンエリア型の博覧会として成功に導かれるなど、その行政手腕は高く評価されるところであります。
 また、私から数度にわたり質問させていただいた地方分権につきましても、全国に先駆け振興局制度を設け、市町村へも権限移譲することで住民に身近な行政を進めてこられました。
 このように、県民の安心、安全を図る事業から、将来の夢と希望をはぐくむ事業まで、実にさまざまな事業が花開き、実を結んでまいりましたが、これからは紀淡海峡大橋などの大事業や少子高齢化、情報化など、二十一世紀の新たな課題にも敢然と取り組んでいただかなくてはなりません。さらに、最悪の状態にある雇用情勢に関しては、即効性、かつ継続性のある施策の展開が希求されているところです。時代の大転換期にあって、困難な今こそ、経験に培われた決断力とリーダーシップを遺憾なく発揮すべきときであります。だれよりも信頼されている西口知事への県民の期待はますます大きくなっていることをご認識いただき、威風堂々の西口県政を百八万県民の先頭に立って進められんことを多くの県民とともに念願するものであります。
 いよいよ選挙戦の本番が近づいてまいりましたが、西口知事にとりましては第一期県政の最後の議会でもあります。二十一世紀へのかけ橋になると言われた知事は、二十一世紀は少子化、高齢化、グローバル化、環境制約の時代であるとの認識と、県のあるべき姿と、その実現に向けた政策方針を明確にしなければなりません。この歴史的なときを迎える知事は、県の中長期的な姿を描いていることと思いますが、第二期西口県政ではどういった政策を展開され、県民に何を訴えられるのか、知事の決意のほどをお伺いいたします。
 次に、合併問題について質問をさせていただきます。
 地方分権が進む中で、今、合併問題がクローズアップされております。住民に身近な行政を、できるだけ身近な自治体に移し、地域の創意工夫による行政運営をすることが地方分権の最終的な目標であります。これを円滑に進めるためには、その行財政基盤を強化するために相当な努力が必要とされております。すなわち、地方分権の受け皿づくりであります。そのための市町村合併が今、盛んに論議されております。つい最近も、自自公の連立政権の政権構想の一つとして政策協議されているところであります。
 市町村合併の必要性については、地方分権社会の実現に欠くことのできない大きな問題であり、人口の少子高齢化の進展とその対応、国、地方における財政状況の硬直化、また現在の市町村を取り巻く大きな潮流を踏まえれば、現在の個々の市町村の行政改革の努力だけでは足りず、市町村合併による対応でしか解決することが困難であります。もはや、猶予の許されない緊急の課題となってきておるわけであります。
 そこで、国においても、自治省行政局長の私的研究会にその検討を依頼し、その報告書がことし五月二十四日に提出されております。それを受け、自治省から市町村合併のための指針が策定され、先般各都道府県に通達されておるところであります。その研究会の報告書によれば、戦後五十年以上経過し、我が国は社会全般にわたる構造改革が迫られている、基礎的地方公共団体である市町村においても、そのあり方を一斉に総点検することが必要であり、その際、市町村合併は避けることのできない緊急の課題であると結論をしております。また、都道府県においても、現在の地方行政を取り巻く状況を認識し、市町村合併をみずからの問題としてとらえ、市町村の取り組みを積極的に支援することを要請されております。そして、国の市町村合併の推進についての指針は、都道府県知事に対し、市町村合併の推進についての要綱の作成を具体的に要請してきております。市町村の合併パターンを具体的に地図に作成し、十二年──来年です──のできるだけ早い時期に作成することと期限をつけて迫ってきておるわけであります。閣議決定の地方分権推進計画の中でも、市町村合併についての県の役割が指摘されてきたところであります。また、今回の国の指針により、より明確に県の役割が示されたわけであります。県は、市町村の今後のあるべき姿について中長期的に描く必要があり、また県民に将来の見通しを踏まえた行政体制の選択の議論に対し素材を提供する責任があるわけであります。
 そこで県は、今まで──地方分権計画が出されて県にそういう問題を指摘されたときから、どのようにこの市町村合併について取り組んできたのか、また指針の中の十二年中の合併要綱作成をどのように受けとめ、今後どのように取り組むのか、お尋ねをいたします。
 次に、住金の経営改革プランについてお伺いをいたします。
 住友金属工業は、昨年の中期経営計画の二〇〇〇年計画に続き、去る九月一日に二十一世紀の事業展開力強化に向けた企業体質の構築のための経営改革プランを発表いたしました。そのような中、九月七日には鉄鋼大手六社の中間見通しが出され、住友金属工業が大幅な赤字になっております。住友金属は、昭和十七年の創業以来、地元和歌山の経済に大きな貢献を果たし、和歌山製鉄所の息遣いが和歌山県経済の浮沈にかかわってまいりました。和歌山は、住金とともに生きてきたと言っても過言ではないと思います。
 今回の経営改革プランの基本方針の中身は、和歌山製鉄所にかかわるシームレスパイプ事業の抜本的改革とニュー和歌山体制の確立がうたわれ、トップシェアのシームレスパイプ製造については、海南の小径西ミルを本年度末を目途に休止し、海南の小径東ミルと世界最新鋭の新中径ミルを持つ和歌山製鉄所に集中させ、コスト競争力を強化するため規模を縮小するというものであります。そして、今回の改革プランには、関係協力会社を初めとする企業に対してさらに大幅なコスト削減を求めるという、地域企業の死活問題にかかわる事項までもが提案されております。それは、競争原理を徹底して外注作業費、物流費の削減を図るために、関係協力会社に対し各社ごとに住金のコストダウン希望値として三〇%の低減という内容であり、その希望値からかけ離れていると判断した場合は新規会社との契約も視野に入れるとの話も聞こえてまいっております。このような余りにも厳しい条件に、関係会社からは、住金和歌山の立ち上げから今日までともに一体となって頑張ってきたのにと、一様に会社経営に不安を抱き、そしてまた現状でも四苦八苦しているにもかかわらず大幅なコストダウンを受けたと、大変困惑しているところであります。そして、今回の住金の経営改革プランの実施により住金の経営が上向き、今後安定しても、それまで企業の体力が持たない、また今後の見通しが全くないと苦悩している企業が多いということを聞いております。この改革プランの実施は、和歌山県の経済をかなり厳しい状況にするものではないかと推測いたします。
 九月十日に、知事は住友金属の小島社長に要請をされましたが、住友金属も地域企業や地域住民と相互繁栄を望んでいると確信しております。
 そこで、ニュー和歌山体制の実施に伴う県の評価はどのようなものであるか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、地元関連事業者に対するコスト削減について県はどのように受けとめているのか、商工労働部長の答弁を求めます。
 次に、ミカン対策についてお尋ねをいたします。
 昨年の十年産ミカンの生産量は九年度産に比べ三〇%程度減であり、味もよく、価格は平均二百八十六円というまずまずの価格で取引され、九年産が百三十二円というかつてない価格であったことを思うとき、ミカン農家にとっては一息ついたところでありました。ミカンの価格は、ここ数年、各年で高値安値ジグザグの値段を繰り返しているところであります。生産量の需給バランスや味のよしあし等さまざまな要素で価格は変動するものでありますが、やはり高品質の味のよいミカンが生産された年はミカンの価格が安定しているようであります。ところが、ことしは表年で着果量が多く、相当多い生産量が予測されており、梅雨の雨が非常に多く、糖度、酸度とも低く、品質が悪かった九年度産並みに推移しているようであります。このままでは、九年度産の二の舞になるように思われます。
 このような状況の中で、この五月に果樹農業振興特別措置法に基づき、温州ミカンに係る生産出荷安定指針が公表され、生産府県それぞれに生産目標が示されたところであります。このような全国的な生産調整と同時に、和歌山県独自のミカン戦略で、ことし予想されるミカンの安値対策を実施されたいと望むわけでありますが、現状と今後の対策をどのように考えているのか、お尋ねいたします。
 また、昨年確認されたがんに効果のあるベータクリプトキサンチン、これは温州ミカンに含まれている成分でありますが、この大々的な宣伝活動を実施し、ミカンの救世主にすべく取り組みをと考えておりますが、今までの取り組みと今後についてお聞かせを願いたいと思います。
 最後に、教育関係について質問をさせていただきます。
 国旗、国歌の法制化後の教育委員会の取り組みについてであります。
 さきの国会で、国旗、国歌の法案が成立したところでありますが、教育委員会は、これまで国旗、国歌は国民に定着しており、学校においては学習指導要領に基づき児童生徒を指導していると主張してまいりました。今回、国旗、国歌が法制化され、国旗、国歌の位置づけが以前とは異なる状況になったことについて、まず教育委員会の見解をお尋ねいたします。
 次に、文部省調査によると、本県において今春の卒業式で、国歌は小学校で九九・三%、中学校では九八・六%、高等学校では一〇〇%斉唱したとあるが、私の知る限り、とてもその数字どおり国歌を歌っているとは思えないわけであります。教育委員会の調査結果がこれでよいのか。高等学校では、生徒はほとんど歌っていない。にもかかわらず一〇〇%歌っているということは、一体どういうことなのか。こういった調査結果、並びにこの実態を教育長はどのように認識しているのか、お尋ねしたい。また、今後どのように指導されるのか、お尋ねいたします。
 次に、普通科高校の活性化とその学区制についてお尋ねいたします。
 ここ数年来の普通科高校における入試状況を見ますと、一部の高校で大幅な欠員が生じたり、それほど多くはないにしても欠員のある学校がたくさん出ております。このことについて、私は二つの理由があると考えております。一つは、普通科高校の特色化が進んでいるというもののまだ十分でないということと、もう一つは、普通科が主体であった高等学校が理数系や英語、国際系の専門学科を持つようになったこと、さらに私立高校への進学を含めて、生徒の進路先が地元だけでなく非常に多様化してきているということであります。言いかえれば、普通科高校への進学希望者がかつてのようにすべて地元の通学区域内の普通科高校へ進学しなくなってきております。そのため、普通科高校における定員枠の設定が非常に難しくなっていると聞いております。
 そこで、普通科の特色化の推進とともに、この際、学区制についても見直す必要があるのではないかと考えるわけであります。本県の普通科高校の学区は、現行の中学区制が昭和三十三年に設定されて以来、昭和五十四年の和歌山市の南北学区の二分割等を除いて、基本的には当時の通学区域の設定が踏襲されてきております。しかし、高校進学率が九七%を超え、ほぼ全員入学に近いことと、交通事情の変化の中で現行中学区制は実態に合わない状況になっているのではないかと思います。
 そこで、教育長にお尋ねします。
 普通科高校のより一層の特色化と活性化を今後どのように進めるつもりなのか。
 また、普通科の特色と相まって、この際、学区制を全廃することが適当と考えますが、これに対する教育長の見解をお示し願いたいと思います。
 最後に、和歌山市内の小学校で起こったいじめをめぐる事件についてお尋ねいたします。
 この事件は全国的に非常に深刻な問題であると思いますので、あえて本会議で質問させていただきます。
 この事件は、小学校一年生の男子生徒がいじめに遭っていると主張する父親と、いじめがなかったとする学校側とが対立し、父親が自分の主張をインターネットのホームページに掲載したことについてであります。
 最初に、県教育委員会はこの事件の事実について、どのように把握されておるのか。
 自分の子供の顔写真を載せるとともに、校長とのやりとりの様子をビデオカメラで撮影し、インターネットの画面に流したのであります。この衝撃的な出来事は新聞等でも大々的に報道され、ホームページのアクセスは瞬く間に三十万件を超える状況であります。校長は、この事件の対応に疲れ、八月末で辞職したとのことであります。いじめたと名指しされた児童の名前や学級担任、学校長名が公開されたことについて、個人のプライバシー保護の観点からも問題があると思われるが、県教育委員会は、市教育委員会に対しどのような指導助言をなされたのか、お伺いします。
 学校長が辞職に至るまで何らかの対応ができなかったのかどうか、甚だ疑問に思うところであります。県教育委員会はどのような認識を持っていたのか、お伺いいたします。
 最後に、教育長はこの事件はなぜ起こったと考えているのか、ご見解があればお示し願いたいと思います。
 以上で、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 吉井議員のご質問にお答えをいたします。
 まず、私に対しまして大変温かい励ましをいただき、知事選出馬に関する政策などについてご質問がございました。責任の重さに改めて身の引き締まる思いがいたしてございます。
 私は、知事に就任して以来、一貫して和歌山県に住むすべての人が、どの地域にあっても、どんな立場にあっても、住んでよかったと言えるふるさとづくりを進めることが県政究極の目標であろうと申してきたわけでございます。これは、私にとりまして不変の命題でございます。この考えのもとに、「真の心」を政治信条といたしまして、新しい時代を切り開く「挑戦の県政」を勇気を奮って進めてまいりたいと考えてございます。
 基本ビジョンには、二十一世紀の新しいふるさとづくりとして、「元気わかやま故郷(くに)づくり21」を掲げてございます。この基本ビジョンのもとに、二十一世紀の課題である少子高齢化、グローバル化、高度情報化、環境問題などに対応して、まことに抽象的な表現で恐縮でありますけれども、生き生きとした暮らしづくり、活力ある産業づくり、新時代を支える基盤づくり、潤いのある環境づくり、こころ豊かに輝くひとづくりなどを目標に設定いたしまして、二十一世紀をリードするプロジェクトの数々を展開してまいりたいと考えてございます。そのため、激動の時代に耐え得る行財政改革、自主自立のための地方分権の推進、県民の参加と他の自治体との連携の推進、この三つの手法を講じることにいたしまして、目標に向かって邁進していきたいと考えてございます。そのことを県民の皆さんに訴えてまいりたいと思います。
 幸いにも、これまでに議員所属の自由民主党を初めとする多くの政党、団体からご推薦をいただき、まことに光栄に存じておるところでございます。この上は、大多数の県民の皆さんからご賛同を賜ることによって、自信と誇りを持ってふるさと和歌山のために力の限りを尽くしてまいりたいと考えている次第でございます。
 次に、住友金属和歌山製鉄所の問題に関連してであります。
 住友金属和歌山製鉄所の動向は、長年にわたって地元経済に大きな影響を与え、その中心的な役割を果たしてきたものと考えてございます。しかしながら、私も議員がご指摘ございましたように、今回の経営改革プランの実施に際しましては、関係協力会社の中には大きな不安が広がっていると思いますし、地域経済に及ぼす影響が大変懸念されておるところでございます。
 このプランの発表を受けて、直ちに下請関連企業の経営安定などについても小島社長に申し入れを行いますとともに、九月十日には直接小島社長と面談をいたしまして、下請関連企業の経営安定への配慮、住金関連企業の進出、新たな産業分野への取り組みなどについて強く要請をしたところでございます。その結果、小島社長からは、自社努力を含めて地元企業と誠意を持って協議するとの回答をいただいたところでございます。
 ニュー和歌山体制の確立は、住友金属和歌山製鉄所が確固たる地位を築くための努力であると認識をしてございまして、今後は和歌山製鉄所の競争力強化と地元との共存共栄を基本方針として、地元経済の繁栄に貢献されることを強く期待いたしておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 市町村合併についてのご質問にご答弁申し上げます。
 市町村合併を含む広域行政の推進につきましては、県においてこれまで広域行政に関する県民意識調査や市町村の行政体制のあり方についての基礎的な調査研究を行い、引き続き本年度も調査研究を行うこととしておりまして、市町村合併を含めた広域行政の推進に向けた機運の醸成に努めているところでございます。
 国におきましては、地方分権の推進に伴う行政体制の整備確立を図るため市町村の合併を一層推進するものとされているところでございまして、議員ご指摘のとおり、去る八月には市町村の合併の推進についての指針が策定され、県に対しまして、市町村が合併を検討する際に参考や目安となる要綱を策定するよう要請があったところでございます。
 もとより、市町村合併につきましては、市町村の自主的な取り組みが基本であり、地理的条件、歴史的経緯を踏まえ、地域において自主的に判断されることが重要であると考えております。しかし、少子高齢化の時代を迎えようとしている現在、地方分権の推進とも相まって、市町村合併の推進が求められる大きな潮流があることを踏まえますと、市町村の将来のあり方について検討、議論を深めていただくことは重要なことと認識いたしております。
 県といたしましては、各市町村において検討、研究していただくなど、市町村がみずから取り組みを進められる際に参考としていただくとともに、市町村合併の推進に向けた機運を醸成するため、市町村の合併パターン等を内容とする市町村の合併の推進についての要綱を平成十二年中をめどに作成すべく努力してまいりたいと考えているところでございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 住友金属工業の経営改革プランについてのうち、地元関連事業者に対するコスト削減をどのように受けとめているかについてお答えします。
 地元関連事業者に対するコスト削減についてでございますが、昨年の中期経営計画二〇〇〇年計画に続き提案されたものであり、競争原理を取り入れ、コスト競争力の強化を行うものであると聞いてございます。このプランの実施には、下請関連企業の経営など地域経済に与える影響が懸念されているところであります。
 先ほど知事からもお答えしましたように、住友金属に対し強く要請し、小島社長から地元企業との共存共栄を基本としていくとの回答をいただいております。また、九月十三日には、副知事を座長とする特定企業対策連絡協議会を開催し、和歌山製鉄所から今後の進め方などについて説明を受けるとともに、地元企業への配慮を要望したところでございます。今後は、情報収集等の活動を行いながら、当面する問題について協議、調整を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) ミカン対策の現状と今後の対策につきましてお答えいたします。
 本年産温州ミカンにつきましては、表年に当たり、開花時点において全国で百五十万トンの大豊作が予想されたことから、去る五月二十七日、果樹農業振興特別措置法に基づく生産出荷安定指針が五年ぶりに発動されたところでございます。これを受け、県といたしましては、目標生産量の達成に向け、樹上選別等による摘果の徹底を図るとともに、高品質生産のため、マルチ被覆を積極的に進めてございます。さらに、ミカン価格の安定を図る観点から、ジュース等、加工用として通常枠一万二千三百七十七トンに加え、市場価格が大きく下落した場合の緊急枠として一万二百四十七トンを加工に仕向ける経費を今議会でお願いしているところでございます。
 また、消費拡大対策につきましては、県ではこれまでも生産者団体と連携し、量販店等における県産青果物のキャンペーンやラジオCM、市場関係者との懇談会の開催なども行ってきたところでございます。さらに、昨年度は県議会UR議員連盟のご協力をいただきながら、リーフレットやポスター等を活用した街頭啓発を実施するなど、ミカンの持つ発がん抑制効果を強くPRしてまいったところでございます。
 温州ミカンは本県果樹の基幹品目であることから、本年度も引き続き積極的なPR活動を展開するとともに、健康、安全をベースとした新たな消費拡大対策に向けても生産者団体と一体となって取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、国旗、国歌の法制化につきましては、日の丸、君が代が長年の慣行により、それぞれ国旗、国歌として国民の間に広く定着してきていることを踏まえ、二十一世紀を迎える今日、改めてこれまでの慣習を成文法としてより明確に位置づけるものであります。こうしたことから、法制化は学校教育においても国旗、国歌に対する正しい認識をさらに深める上で意義あるものと受けとめております。教育委員会といたしましては、今後とも学習指導要領にのっとり、国旗の掲揚、国歌の斉唱についても学校行事や平素の教育活動等、さまざまな機会をとらえて指導してまいります。
 また、ご指摘の国歌斉唱の状況につきましては、卒業式等の式次第に位置づけて実施しているものの、必ずしも全員が大きな声で歌えていない状況もございます。今後、入学式、卒業式を初め、日ごろの教育活動全般において指導内容や方法をより充実するよう、引き続き各学校を指導してまいる所存であります。
 次に全日制普通科の活性化についてでございますが、本県においては、これまで進路目的別コースの設置、幅広い選択科目の開設、総合学科の導入、さらには広範な学校間連携等を実施し、普通科教育の活性化を図ってまいりました。しかしながら、普通科教育の魅力づくり、特色づくりに対する県民の期待にはなお強いものがあります。そのため、生徒の学習意欲の向上や特性の伸長を図るカリキュラムづくりとともに、中高一貫教育や全日制単位制課程の設置等について、一層多面的に検討を進めていかなければならないと考えております。
 次に高等学校の通学区域についてでありますが、昭和三十三年に県下の通学区域を八地域とし、昭和五十四年に和歌山市を南北の学区に分割して以来約二十年が経過する中で、各方面から、見直しを含めさまざまなご意見をいただいております。したがいまして、議員ご指摘のように、普通科の特色づくりを一層進める中で、人口動態や交通事情の変化、学校選択に関する生徒や保護者のニーズや価値観の多様化等の観点から、今後の通学区域のあり方について早急に研究する必要があると考えております。
 こうした点を踏まえ、現在、きのくに教育協議会において通学区域のあり方についてご協議いただいているところであり、今後この協議会でのご意見等を参考にして取り組んでまいりたいと考えてございます。
 最後に、和歌山市内の小学校でのインターネットに係る事例につきましては、関係児童等の実名や写真、さらに学校長と保護者の話し合いの場面がそのまま映像や音声で流されるなど、まことに憂慮すべき事例であると言わざるを得ません。この件については、和歌山市教育委員会から一連の経過とともに、いじめはなかったものととらえているとの報告を受けております。県教育委員会といたしましては、今後新たな問題を生むことがないよう、また関係児童を初め全校児童の学校生活を大切にするとともに、当該保護者との間で十分な理解に達することができるよう引き続き努力することを指導しているところです。
 学校長の辞職につきましては、市教育委員会がその理由について十分把握した上で、本人の強い意向を確認し、退職願の受理に至ったとの報告を受け、辞職を承認したところでございます。
 このたびの件は、学校生活やいじめについて保護者と学校の認識の違いがある中で、保護者が一方的にインターネット上のホームページという手段を用いて社会に訴えたことに端を発するものと考えられます。今後、学校教育において、情報モラルを踏まえた情報活用能力の育成を図るとともに、一層、教師と児童生徒、学校と保護者との信頼関係を築き上げていくことが大切であると考えます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十九番吉井和視君。
○吉井和視君 一言だけ言わせていただきたいと思います。
 地方分権に基づく受け皿づくりであるところの市町村合併についてでありますが、これは我々議員にも非常にかわってくる問題であります。というのは、選挙区の問題もあります。そういうことで、知事が十二年度中にそういう要綱を地図上に示して出されることだろうと思うんですけれども、一通り我々の意見も聞いていただきたいなと要望しておきます。
 次に教育委員会ですけれども、いじめの問題。これはインターネットで隠し撮りのビデオまで流されたわけです。例の広島県の東部地方で世羅高校の校長が自殺したわけですけれども、広島県は、私の知る限りでは昭和四十五年から十三人の自殺者、それから自殺未遂者でも三人ぐらいあるわけですね。そういった状況につながりかねないような一つの問題として今提起されておるわけです。ですから、教育委員会の指導に従って頑張った校長先生がそういう簡単なことで──簡単なことと言って申しわけないんですけれども、体を張ってやっているんですから大きなバックアップをしてやっていただきたい、そういうことを要望して、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十三番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 西口知事におかれましては、体調を回復され、「二十世紀から二十一世紀への歴史的な転換期にあって、県政の極めて重要な時期に、和歌山の新時代創造に向けてその責任を果たしてまいることが私に与えられた使命」とされ、「来る新しい世紀が和歌山県の時代となりますよう、私自身生まれ変わったつもりで、まさに身命を賭して県勢発展のために全力を尽くす覚悟であります」と、一身をなげうって決意も新たに知事選再選出馬を決断されたことに、心から敬意を表するものであります。
 さて、先月の八月十七日、トルコ北西部を襲った大地震で、不幸にも一万五千三百三人の方々がお亡くなりになり、二万三千九百五十四人の人が負傷し、六十万人が家を失った上、現在、雨季に入り、被災者は困難を強いられております。また、一昨日の九月十三日にもマグニチュード五・八の地震があり、七人の方が亡くなられたそうであります。トルコ地震で亡くなられた方々と被災者の皆様に心からご冥福とお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を念願するものであります。本県では、いち早く義援金をトルコ共和国に贈られました。私は、公明党和歌山県本部の代表の一人として九月十日、東京のトルコ大使館を訪れ、トルコ大地震の被災者を救援する公明党と市民の会が街頭で募った義援金をヤマン・バシュクット駐日特命全権大使に手渡してまいりました。バシュクット大使は、「九月八日のくしもと大橋の竣工式で串本町を訪れたところだ」と、私たちを歓迎してくださり、一八九〇年(明治二十三年)九月にトルコ国軍艦が暴風雨で串本町の樫野崎沖で沈没した際、串本町の地元住民が献身的な救助活動を行った歴史を振り返りながら、「私たちは、百九年前の恩を忘れない。まして、今回の地震に対する支援を忘れることはないでしょう。和歌山とトルコとは兄弟のように感じております。皆さんの力添えを受けて必ず復旧する所存だ」と力強く語っておられました。私たちの募金活動は、串本町からトルコを支援する輪が全県に広がってまいりました。和歌山県民のトルコに対する思いの強さを改めて感じた次第であります。
 それでは最初に、県立医科大学跡地利用について質問をさせていただきます。
 昭和六十三年から進めてこられた和歌山県立医科大学及び附属病院の紀三井寺への移転整備事業は、平成十年七月の事務局移転と同年九月の大学機能移転を経て、本年五月に附属病院とその他の機能移転をもって完了いたしました。この県立医科大学及び附属病院の紀三井寺への移転によって生ずる跡地は、県都和歌山市の中心部に位置し、商業業務の集積地に隣接するとともに、和歌山城や県立近代美術館などの歴史的、文化的施設にも近接する一万七千六十五平米に及ぶ公有地であることから、その有効利用が県民、なかんずく和歌山市民の大きな注目を集めているところであります。
 こうした背景のもと、和歌山県立医科大学跡地利用懇話会が設置され、跡地に導入すべき機能及び事業手法等について議論を重ねられました。取りまとめられた内容によると、跡地利用の基本方針として、魅力ある都市づくりと中心市街地の活性化、都市機能の補完と強化の二点が議論され、跡地の活用に当たっては、宿泊、国際会議開催、地域文化支援、集客、交通拠点機能の五つの個別機能が提言されております。また提言では、事業実施に当たっては、「公共と民間の連携を図り、民間活力を最大限に活用できる手法を検討することが望ましい」としています。現在、県当局において、これらの提言をもとにして医大跡地利用計画を策定中であります。
 一方、和歌山市では、近接する旧和歌山西署跡地の利用計画の検討がなされているところであります。また、医大跡地に隣接する伏虎中学校は、少子化の影響で一学年は三組、城北小学校、本町小学校においては、それぞれ一学年で一組であります。したがって、和歌山市の旧西署跡地利用計画や教育施設の配置も視野に入れた取り組みが必要であり、跡地利用計画の策定に当たっては、県市協調による取り組みが重要であると考えます。
 事業の実施手法に関しては、提言で「公共と民間の連携を図り、民間活力を最大限に活用できる手法を検討することが望ましい」としているように、本県の財政状況が厳しい折から、民間活力を最大限に活用できる手法、すなわち民間資金を社会資本整備に活用する手法のプライベート・ファイナンス・イニシアチブ(PFI)による新たな資金調達の導入も検討すべきだと考えます。
 神奈川県は、二〇〇三年度完成予定の小田原合同庁舎と二〇〇三年度に予定する県近代美術館の二つの県施設をリース方式で建設すると伝えられています。この計画中の二つの施設が、最初に一九九二年にイギリスで導入されているPFIと最も類似した形態と言われています。用地は県有地を確保し、県は地質調査と施設仕様を決定するまでの設計を担当する、これを民間業者に提示して建物を建設する。県は三十年間程度のリース契約を結び、県の施設として使うことになっています。公共的な施設を民間の資金を使い、民間主導で整備する。資金回収は建設した施設の使用料金やサービス料から行うことになるため、施設の収益性や建設、運営の効率化などが大いに期待できるわけであります。
 現在、旧医大跡地周辺の地元商店街では、医大移転とともに人通りがめっきり少なくなり、お客さんの数が減って売り上げが減少し、医大移転の影響が大きく出てきております。特に、飲食業におきましては二割から三割、ひどいところになりますと四割の売り上げの減少であります。したがって、医大移転の影響を受けております地元自治会や和歌山市の意見を十分尊重するとともに、いつまでも医大跡地をゴーストタウンにすることなく、県都にふさわしい中心市街地の核となり、にぎわいと地域の活性化を図るための医大跡地利用計画を一日も早く策定し、事業化を図ることが強く望まれているところであります。
 以上のことから、知事並びに関係部長にお尋ねいたします。
 第一点は、医大跡地利用の方針と、いつまでに医大跡地利用計画を策定するのか、事業化の時期とあわせてお答えください。
 第二点は、九月──今議会でございますが──補正予算で、旧県立医大の建物を解体撤去するための設計費用として三千三百七十八万八千円が計上されておりますが、解体撤去工事のスケジュールと建設廃材の最終処分場は確保できるのかどうか。また、比較的新しい旧医大別館病棟については特別養護老人ホームとか老健施設などへの活用も考えられるが、別館病棟の活用について何か妙案があるのかどうか、お聞かせください。
 第三点は、伏虎中学校や城北小学校、本町小学校などの教育施設の配置や和歌山市の旧西署跡地利用計画等との整合性を図るためにも、医大跡地利用計画策定に当たっては県市協調による取り組みが重要であると考えますが、この点いかが考えるのか。
 第四点は、事業の実施手法については、県の財政状況が厳しい折から、民間活力を最大限に活用できる手法、すなわち民間資金を社会資本整備に活用する手法のPFIによる新たな資金調達の導入も検討すべきだと考えるが、お考えをお聞かせください。
 第五点は、和歌山県立医科大学及び附属病院の紀三井寺への移転整備事業の経費を捻出するために、利用目的や用途を定めた建築協定を交わして、有利な条件で医大跡地を売却、賃貸、信託等の方法が考えられるがどうか。
 以上、五点についてお答えください。
 次に、障害者の自立と社会参加、特に盲導犬、介助犬の普及についてお尋ねいたします。
 先月の八月二十四日、盲導犬の普及を訴えながら、自転車で七月十九日からの夏休みを利用して日本一周の旅を続けていた埼玉県川口市に住む中学一年生の池内志織さんが和歌山県庁を訪れました。池内さんは、父親が徐々に視力を失う病気で失明の危機にあり、将来、父親に盲導犬が必要になるかもしれないという思いから活動を始めたそうであります。県庁に到着した池内さんは、夏の猛暑の中、多くの職員の皆さんの出迎えを受け、小西福祉保健部長に、盲導犬の普及と盲導犬同伴で入れる飲食店や宿泊施設などがふえるよう啓発を求めました。そして、職員の皆さんの激励を受けながら、再び自転車に乗り、次の訪問先の奈良県へ向けて出発いたしました。池内さん、そして出迎えをされた県職員の皆様、大変にご苦労でした。池内さんの和歌山県への訪問は、全国都道府県の中で三十八番目でありました。本県での職員の皆さんの出迎えが他府県と比較して一番多かったそうであります。本県では障害者などへの人権啓発が進んでいる結果ではないかと、意を強くした次第であります。
 ここで、盲導犬の歴史について少し述べさせていただきます。
 日本で最初に盲導犬の訓練、普及に取り組んだのは、財団法人アイメイト協会の創立者塩屋賢一理事長でありました。経済成長に向かう社会の裏側で、塩屋理事長は昭和二十三年から盲導犬の育成、訓練を始めました。それは、まさに視覚障害者の権利を獲得する闘いの歴史にほかならなかったわけであります。昭和三十二年に国産第一号の盲導犬が誕生し、現在では訓練施設も八カ所にふえ、全国で活躍している盲導犬は約八百三十頭になっております。ちなみに、本県では六頭の盲導犬が働いております。和歌山市に四頭、田辺市、有田郡に各一頭であります。盲導犬を伴う社会参加には、飲食店や宿泊施設、交通機関の利用などで多くの問題がありました。犬は店内に入れない、電車に犬を乗せるのは何事だといった苦情が噴出し、盲導犬が危害を与えないことを証明するために、相手の要求に応じてわざと盲導犬のしっぽを踏ませたこともあったそうであります。それは、視覚障害者だけではなく、盲導犬にとってもつらい日々だったに違いありません。現在では、公共交通機関では盲導犬使用者証を持っていれば乗車自由となっております。また、旅館、飲食店などに対しては、昭和五十六年一月と平成元年六月に厚生省から都道府県に通達が出されました。これらの通達は、「盲導犬を伴う視覚障害者の旅館、飲食店等の利用について」というもので、盲導犬はいわゆるペット動物とは違うもので、関係方面の理解が得られるように特段の配慮をされたいという趣旨のものでありました。
 我が国では、唯一、盲導犬の文字が組み込まれている法律は道路交通法であります。盲導犬や白杖を手に歩行する視覚障害者の姿を見たら車は徐行または一時停止で安全を図ることが義務づけられているのみであります。アメリカでは、盲導犬を伴う視覚障害者の権利が法律によって保障されております。もちろん、違反した場合は罰則規定もあります。私たちの身近には、障害者だけではなく病弱な人や高齢者など、ハンディキャップを負って生活する人たちもたくさんおられます。アメリカ障害者法があらゆる差別を禁止したのと同様に、我が国でも障害者や高齢者などすべての人権保障が早く立法化されなければならないと思うものであります。こうした規定の中で、盲導犬を伴う視覚障害者や介助犬を伴う体の不自由な人の権利を盛り込むとともに、盲導犬や介助犬に関することを福祉法の法体系の中で明確に位置づけるべきだと考えます。
 最近、厚生省において、盲導犬の育成体制の整備、利用の促進、社会的理解の普及を促進することを目的として、社会福祉事業法や身体障害者福祉法の改正案を策定し、現在厚生省の中央社会福祉審議会で検討中であります。ようやく盲導犬事業が社会福祉法の法体系の中に組み入れられようとしており、大変喜ばしいことであります。
 ここで、和歌山県有田郡広川町にお住まいで、盲導犬とともに暮らしておられる林克之さんの手記「ああ感動の盲導犬物語」の一部をご紹介させていただきます。この林さんの盲導犬はベッキーという名前です。
 ベッキーが我が家にやってきて、もう一年がすぎました。あっと言う間の一年でした。ふりかえれば楽しい事ばかり。きっといやなこともあったはずなのに、いま急にはうかばないほど、本当に楽しい毎日でした。ベッキーのおかげでわが家はそれまでの十倍は幸せになりました。
 ありがとう、ベッキー、そして、これからもよろしく。
 私が視力を失ったのは、今から四年前、三十七歳の時でした。先天性緑内障で、それまでも右は〇・〇七、左はすでに義眼でした。そんな私の目は、白内障の手術のダメージにたえられなかったようです。
 楽観主義の私も、これはこたえました。一気にできないことがふえてしまったのです。
 大好きな本が読めなくなりました。大好きな家族の顔が見えなくなりました。そしてなによりも、一人で自由に出歩けなくなったことが、私の自信をうばいました。
 たくさんの友人がはげましてくれました。なによりも家族が支えてくれました。
 私はそれに応えようと、あせるばかりでした。
 そんな時、幼稚園の保護者会会長の話がまいこみました。私が失明したことをしらない人が多かったのです。当然、私はことわりました。三十分もかけて身の上話までしたというのに、前年の役員さんたちが何度も足をはこんでくれるのです。私はことわりきれずに、ひきうけてしまったのです。
 このことがうしなっていた自信を取り戻すきっかけになりました。
 「まだまだやれる。工夫さへすれば、人の役にもたてる。」
 そして、最終的な私の結論は「失った者をかぞえるのはやめよう。できることを一つでもふやそう」でした。
 点字にも挑戦しました。幼稚園の資料はたどたどしいパソコンで自分でつくりました。
 そして「盲導犬をもらおう」と決意したのです。
 しかし、それからもずいぶん迷いました。
 私は、以前盲導犬をつれていた二人の友人に聞いてみました。
 「盲導犬は便利が十あれば、不便が九やな。」
 一人はそういいました。
 「盲導犬はええぞ、もらえ、もらえ。」
 そう話す友人も、二頭目はもらっていませんでした。
 そしてなによりも、訓練に一カ月もいかなければならないことが一番の課題でした。そんな余裕は、三人の子供をかかえる我が家にはありません。
 訓練所に入る直前まで、この葛藤は続きました。
 「ベッキー、ハップアップ。」──「ハップアップ」というのは急ごうという意味です──あいからわず慎重にあるくベッキーに、私は声をかけた。
 さあ、急ごう。盲導犬が仕事できるのは約十年らしい。たいして長い時間ではない。
 ハップアップ、ベッキー。二人でどこまでいけるものか、私は確かめてみたい。
 さあいこう、ベッキー。できるだけ遠くまで、二人で歩いてみよう。
 このように、視覚障害者の林さんは、最初、盲導犬をもらうことを決意したものの随分迷い、訓練所に入る直前まで葛藤しながらも、現在、盲導犬を伴って楽しく幸せに暮らしておられる様子がうかがえます。
 私が、林さんの手記を読み一番感じたことは、盲導犬に対する正しい理解と普及への啓発が十分に行われていないのではないかということであります。また、視覚障害者が盲導犬を迎えるまでの最大の課題は、四週間以上訓練所に行って歩行指導員のもとで盲導犬とともに訓練を受けなければならないことであります。特に、視覚障害者の多くが三療と言われる鍼、灸、マッサージを仕事とされております。この職業も、近年、健眼者の進出がふえ、大変厳しい状況であり、治療院を一カ月以上も休むと患者さんは離れていってしまいます。このことが、盲導犬普及への障害の一つになっているとも言えると思います。
 一方、介助犬については、七月二十九日、近畿二府四県の民生関係部長会議が行われ、法的に全く認知されていない介助犬について、法的な位置づけや介助犬の訓練施設への支援などを国に対して近畿二府四県が共同で求めていくことが決まりました。介助犬のいない本県でも、バリアフリーの視点から盲導犬とともに介助犬を温かく受け入れる体制づくりが強く望まれているところであります。
 以上のことから、知事並びに福祉保健部長にお尋ねいたします。
 第一点は、盲導犬や介助犬の普及への取り組みと障害者が地域社会の中で自立して自由に社会参加できるような障壁のない社会を築くための方策について、知事のお考えをお聞かせください。
 第二点は、視覚障害者が盲導犬を、体の不自由な人が介助犬を同伴で入れる宿泊施設や飲食店、レストランなどがふえるような啓発活動への取り組みについて、いかがお考えか。また、施設にステッカーを張るなど受け入れ側からの啓発も考えてはどうか。
 第三点は、道路交通法では、盲導犬の定義の中で、ハーネス(胴輪)をつけない犬は盲導犬と認められず、保護の対象にならないとしています。盲導犬は、ハーネスをつけていれば公共交通機関への同乗はもちろん、ホテル、旅館での宿泊、レストランへの入場も自由とされております。ハーネスは、視覚障害者の安全という責任を担っている盲導犬の必着品でもあります。盲導犬のハーネスを給付の対象にすることについてご所見を承りたいと思います。
 第四点は、盲導犬の普及のために、条件つきでも視覚障害者が在宅での訓練ができないものか。また、視覚障害者が訓練所で盲導犬とともに一カ月以上訓練を受けるための支援や、盲導犬の狂犬病などの予防接種の費用を助成することについてご所見を伺いたいと思います。
 以上、四点についてお答えください。
 最後に、都市計画道路の整備促進についてお尋ねいたします。
 本年六月議会におきまして、和歌山市内の交通対策、都市計画道路の整備促進について、御坊市選出の中村裕一議員、和歌山市選出の橋本進議員の二人の先輩議員から質問がございました。中村裕一議員は、御坊から海南インターまで車で二十分、海南インターから県庁まで三、四十分かかる、和歌山市内の道路の整備がおくれている、県都の発展なくして県全体の発展はないと思う、その政策の一つが市内自動車専用道路である、県としてどのように考えているのかと質問されました。土木部長は、「地域高規格道路の和歌山環状道路につきましても、今年度から建設省と県、市が協力して、交通需要及び交通体系から見た環状道路の機能及び経済効果等についての調査を進めてまいります」と答弁されました。
 橋本進議員は、和歌山市内の都市計画道路の整備促進について、基盤整備については、湯浅御坊道路の開通や国道三百十一号の全線改良により県内二時間行動圏の確立に向け前進するとともに、紀伊半島一周の高速道路、京奈和自動車道、紀北東道路、紀淡連絡道路など主要自動車道路構想は着々と進展している、こうした中で難航しているのが和歌山市内の都市計画道路であるとし、事業手法の問題、用地取得の迅速化、地元協力について質問、要望されました。特に用地取得の迅速化について、用地の早期取得が都市計画道路の早期整備に直結する、県も用地の専門家を養成すべく用地主事の採用を行っているが、今後は例えば用地取得の民間委託も検討する必要があるのではないかと質問されました。土木部長は、現在のところ難しいが、用地需要が増大する時期でもあり、今後国及び府県等の動向も踏まえ、事業の促進を図る方策の一つとして検討してまいりたいと答弁されました。
 私も用地取得の民間委託を検討する必要はあると思いますが、ちょうど六月議会で、収用委員会委員七名中五名の選任を、私も初めて無記名投票させていただいたわけであります。私は、和歌山市内の県で事業化している都市計画道路で、収用委員会の裁決申請はどのくらい実施されているのか関心を持ったわけでございます。ところが、県で事業化している和歌山市内の都市計画道路では、収用委員会への裁決申請は昭和五十七年から十七年間、全く行われておりませんでした。では、昭和四十年に都市計画決定した和歌山市内における都市計画道路の整備は順調に進んでいるのか。答えは、ノーであります。用地課の皆さんのご苦労にもかかわらず、ある程度用地買収が進んでいないため収用に至らなかったとも言えると思います。
 都市計画事業以外の他の事業の場合には、建設省は、平成元年七月に「事業認定等に関する適期申請のルール化について」の通達で、用地取得率八〇%となった時期または用地幅ぐいの打設から三年後のいずれか早い時期までに収用手続に移行することを定め、遵守を図ることとしています。しかしながら、都市計画事業については都市計画法において都市計画事業の認可または承認をもって収用法の事業認定にかえるものとされ、都市計画事業の施行期間中は起業者の収用権が継続し裁決申請を行うことが可能とされており、いわゆる建設省のルール化通達の適用がないわけであります。土地収用制度の具体的な活用方策が示されていない都市計画事業についても、裁決申請手続に移行する時期等について具体的な方針を示す必要があると考えるものであります。もちろん、道路の早期整備には用地所有者の協力が不可欠であり、協議による用地買収が前提で、地権者との信頼関係が大切であることは申すまでもありません。人、物、情報を運び、円滑な都市活動を確保するための都市計画道路は、生活や経済を支える大切な基盤であり、快適で元気な和歌山をつくるための重要な役割を持っております。県内主要都市間をおおむね二時間で、また圏域各市町村間をおおむね六十分で結ぶ交通網の整備とあわせ、おくれている和歌山市内の都市計画道路の整備促進に積極的な取り組みが強く求められているところであります。
 以上のことから、知事並びに関係部長にお尋ねいたします。
 第一点は、和歌山市内の都市計画道路はほとんどが昭和四十年に計画決定されました。都市計画決定から三十四年経過しているにもかかわらず、そのほとんどが全線開通しておりません。ひとえに行政の怠慢としか言いようがないと厳しく指摘する声も聞かれます。今日の車社会の中で、円滑な都市活動を確保するために都市計画道路整備促進は緊急の課題であります。和歌山市内の都市計画道路の整備促進には、財源の確保とあわせて、より積極的な取り組みが必要であると考えるが、ご見解を承りたいと思います。
 第二点は、和歌山市内の都市計画道路の進捗状況と県の都市計画道路で事業化している箇所の進捗状況をお聞かせください。また、今後の具体的な道路整備計画について、いかがお考えか。
 第三点は、大幅におくれている和歌山市内の都市計画道路の整備を促進するためには、その財源を確保し、用地交渉を積極的に進めるべきであります。また、一定の事業単位ごとに裁決申請最長期間を設定することや裁決申請手続に移行する時期など、都市計画事業にかかわる土地収用制度の具体的な方策等を示し、適切な時期に裁決申請手続に移行できる土地収用制度の活用を視野に入れた対応を検討すべきだと考えますが、ご見解を承りたいと思います。
 第四点は、地権者との用地交渉をスムーズに行い、用地を早期に取得するためには、土地買収、物件移転補償事務の人員の配置を含む組織、体制の強化を図るべきであると考えるが、この点いかがお考えか。
 第五点は、公共事業の用地取得に時間がかかる一因となっている地籍調査の進捗状況と今後の取り組みについて、民間委託も検討する必要があるのではないか、伺いたい。
 以上五点について、明快なご答弁を求め、私の第一問といたします。よろしくお願いします。
○議長(下川俊樹君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 江上議員のご質問にお答えいたします。
 最初に、私に対しまして温かいお言葉ありがとうございました。
 医大跡地の利用に係る基本的な方針と利用計画の策定、並びに事業化の時期についてのご質問でございます。
 医大跡地の利用計画につきましては、立地条件がよいという関係もございまして、中心市街地の活性化や居住環境の向上など元気で魅力ある町づくりにつながる施設整備を行うこと、また民間活力の導入を図ることなどを基本的な方針として検討を進めてきたところでございます。
 その結果、具体的には、高い集客力を持つ商業施設、二つ目には都市型ホテル、三つ目には駐車場施設等を民間事業者が事業主体となって整備するという、県としての素案を取りまとめたところでございます。今後、この素案をもとにいたしまして、関係機関、関係団体等との具体的な協議を進めまして、撤去事業が完了次第、速やかに事業着手できるよう、できるだけ早く県の最終的な方針を決めたいと考えてございます。
 私としては、事業をできるだけ早期に実施できるよう言っているところでありますけれども、具体的な設計、撤去作業等にかなりの時間がかかるということを事務当局からは聞いてございます。私自身も、大変残念に思っているところです。
 次に、障害者の自立と社会参加についてでございます。
 ノーマライゼーションの理念に基づきまして、県では紀の国障害者プラン実施計画によりまして障害者施策の総合的な展開を図っているところでございます。また、福祉のまちづくり条例に基づき、すべての人がみずからの意思で自由に行動し、主体的に社会参加ができ、ともに地域社会で快適に暮らせる福祉の町づくりを目指しまして、県有施設のバリアフリー化を初め、啓発面までさまざまな事業を実施しているところでございます。私が就任いたしてからも、県庁の本館にエレベーターをつけさせていただきました。
 盲導犬の普及につきましては、本県では昭和五十四年度から給付事業を実施しておりまして、現在六頭が活躍しておりますけれども、今後とも各種メディアを活用いたしまして周知徹底を図ってまいりたと存じております。
 なお、障害者の日常生活を助けるための介助犬につきましては、お話にございましたように、法的な位置づけ等が未整備でございますので、国に対して要望を続けてまいりたいと考えてございます。
 それから、最も残念なことでございますけれども、お話にございました都市計画道路の整備でございます。
 都市計画道路というのは、都市内の円滑な自動車交通を確保し、さらに上下水道、電気、電話のライフラインが収容され、あるいは防災される空間として大変大事な機能を有しており、今後とも積極的に整備を進めていく必要があるということは、私も十分承知をいたしてございます。
 まことに残念ながら、市街地の人家連檐区域などもございまして交渉が難航するということもございます。収用法をかけようとしたら話がついたという例もあるわけでございますけれども、成果はまだまだ十分とは言えませんので、和歌山市内の都市計画道路につきましては、和歌山市や建設省と連携をとりながら、また都市局の事業だけでなくて道路局の事業とあわせ財源確保ができるように努めてまいらなければならないと考えてございます。また、事業の重点化を図るとともに、用地取得を円滑に進めるためには、体制の充実あるいは土地収用法を活用し、都市計画道路の整備促進に努めてまいりたいと考えてございます。体制の充実についても、既に実施した部分もございますけれども、詳細については土木部長から答弁をいたします。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 県立医科大学跡地利用に関するご質問の中で、解体撤去工事のスケジュールと建設廃材の最終処分場の確保、別館病棟の活用についてご答弁を申し上げます。
 県立医科大学解体撤去のスケジュールについては、今議会に設計委託の経費をお願いしておりまして、今年度で設計業務を進めるとともに、地元及び関係機関と協議を行い、意見や要望を踏まえた上で、平成十三年度当初予算に解体工事費を計上できるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に建設廃材の最終処分場の件でございますが、解体に伴って発生する廃棄物の種類やその量を的確に把握し、その処分についても可能な限り再利用を図り、減量化に努める必要がございます。このことから、解体設計の中で再利用、減量化できるものや最終処分場の確保等も含め総合的な対策を検討し、適正に実施できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 また別館病棟の利用につきましては、昭和五十九年に建築され、築後十五年ということもあり、公共的な利用を基本として、今後再利用の方向で、さまざまな面から検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 県立医科大学の跡地利用の県市協調による取り組みについてお答え申し上げます。
 議員ご指摘のとおり、医大跡地の利用につきましては、和歌山市との協調、協力が不可欠であると考えております。このため、これまで和歌山市との協議検討を続けてまいりましたが、本年六月に和歌山市から昨年度の「医大跡地利用懇話会でまとめられた五つの個別機能は、本市としても望ましい機能である」との意見をいただいております。また、伏虎中学校敷地等との一体的な土地利用を行うべきといったご意見につきましては、現在のところ和歌山市の基本的な方針が示されておらず、具体的にはなおかなりの時間を要するものと見込まれます。このため、早期の事業化を図るためには一体的な利用計画の策定は困難であると考えてございます。
 次に、プライベート・ファイナンス・イニシアチブいわゆるPFI方式による資金調達の導入についてでございますが、県といたしましては、民間のノウハウ、資金力等を活用するため、医大跡地の利用計画の事業化につきましては、民間活力の導入により進めたいと考えております。
 具体的に申し上げますと、事業コンペ方式により事業主体となる民間事業者を選定することが望ましいのではないかと考えているところでございます。議員ご指摘のPFI方式につきましては、庁内研究会を立ち上げまして、同方式の導入に係る問題点の整理、具体的な公共施設の整備事業への導入可能性などについての研究を進めているところでございます。
 ただ、医大跡地につきましては、公共施設の整備についても総合的に検討を行ってまいりましたが、敷地面積などの条件面で具体化が難しいこと、面積的に充足できても具体化に長時間を要すること、また和歌山市から公共施設についての具体的な要望がなかったことなどから、素案には盛り込まなかったところでございます。このため、公共施設の整備を前提とするPFI方式につきましては、導入できない内容となっております。
 次に、医大跡地の売却、賃貸、信託での利用についてでございます。
 土地の提供方法についてのご質問でございますが、県といたしましては、事業コンペの実施を行う場合には、一定の条件のもとに、売却、賃貸、信託のいずれの土地使用方法も認める方向で考えているところでございます。また土地の価格につきましては、路線価や土地鑑定評価などに基づき、民間事業として事業化ができる範囲での適正な価格を設定するとともに、土地価格を公開して事業コンペを行うことが望ましいと考えております。
 次に、都市計画道路の整備促進の観点で地籍調査の進捗状況でございます。
 現在、県下五十市町村のうち三十六市町村が地籍調査を実施しており、既に完了している町などと合わせ三十九市町村が着手済みであります。平成十年度末における調査済み面積は三百二十七平方キロメートルで、県下の要調査面積に対する進捗率は七・三%でございます。今後、未着手の十一市町村が早期に調査着手されるよう指導するとともに、実施中の市町村が調査区域の拡大を図るよう指導してまいりたいと考えてございます。また調査の促進を図るために、現在市町村が限られた職員で対応している一筆地調査について、民間技術者を活用した外注化制度の導入を国に要望しているところであり、その制度化を待って取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 江上議員ご質問の、障害者の自立と社会参加に関するご質問の三点にお答えをいたします。
 まず、盲導犬、介助犬を同伴して利用できる施設やお店がふえるための啓発についてでございますが、盲導犬を伴う障害者の宿泊施設、飲食店等の利用につきましては、以前より関係部局を通じ、宿泊施設、飲食店等に対し、同伴できるよう協力を求めてきたところであります。しかしながら、まだまだ十分理解が得られていない部分もありますので、盲導犬が利用できる施設である旨のステッカーの表示を含め、宿泊施設、飲食店等にさらなる協力を求めてまいります。
 また、議員のご質問にありましたように、埼玉県の中学一年生、池内志織さんが盲導犬の全国普及キャンペーンで本県を訪れた模様につきましては、テレビ、新聞等の報道関係機関に大きく取り上げていただきました。さらに県では、普及啓発のため八月二十八日、二十九日、ビッグホエールを中心に開催した福祉のまちづくりフェスタ99におきましても、盲導犬の理解を深めるための体験コーナーやステージを設けました。実は、私も盲導犬による歩行体験をしましたが、実際に体験すると日常生活のパートナーとして一体感を感じたところでございます。今後とも、盲導犬に対する理解を深めていただくよう、さまざまな機会を利用して啓発に努めてまいりますとともに、介助犬の受け入れ体制等についても研究してまいります。
 次に、盲導犬のハーネスを給付の対象にとのことについてでございますが、議員のご質問のとおり、ハーネスをつけない犬は盲導犬と認められませんので、ハーネスをつけて盲導犬を給付してございます。なお、ハーネスが古くなった場合等の更新につきましては、現在給付対象となっておりませんが、今後、補装具として認められるよう国へ要望してまいりたいと存じます。
 最後に、在宅での訓練と盲導犬の予防接種費用の助成をとのことについてでございますが、自宅で盲導犬との訓練ができるということは、盲導犬の活用を希望している方々にとって大変便利であると考えられます。しかし、十分な訓練効果が得られるかどうかなどの課題もございますので、今後関係機関と十分検討してまいりたいと存じます。
 また、訓練を受けるための支援や狂犬病等予防接種の費用の助成につきましては、国や関係機関とも十分協議してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 都市計画道路の整備促進のご質問のうち、まず二点目の和歌山市内の都市計画道路の進捗状況と今後の具体的な道路整備計画についてのご質問にお答えいたします。
 和歌山市内の都市計画道路網は、まず戦災復興土地区画整理事業により、和歌山城を中心とする市街地の整備がされ、その後、国体道路、本町和歌浦線及び建設省による和歌山バイパス等の整備により、平成九年度末現在、和歌山市内の都市計画道路四十路線、約百八十九キロメートルの整備率は約四八%であります。ちなみに、県平均は五三%、全国平均は五九%となっております。
 また、現在県において事業中の主な箇所の進捗率ですが、平成十年度末現在で、西脇山口線の坂田・磯ノ浦工区が約八〇%、同平井工区が約九五%、湊神前線東工区が約九〇%、同中工区、西工区合わせて約三〇%、南港山東線が約七〇%となっております。このうち、西脇山口線平井工区の一部区間約六百メートルを来年春ごろに供用する予定であり、またその他の路線も相当に進捗していることから、早期に供用するよう努力しているところであります。今後、さらに市駅小倉線、南港山東線、西脇山口線、松島本渡線等の未着手区間についても重点的に整備を図ってまいりたいと考えております。
 次に、三点目の土地収用法の活用についてでありますが、用地取得はあくまで任意交渉が原則と考えており、努力しておりますが、任意交渉による取得の見込みがない場合、供用時期を考慮して適切な時期に収用裁決申請を行うことにしてまいりたいと考えております。
 具体的には、都市計画法の趣旨にのっとり、また地権者間の公平性の確保の観点から、収用裁決申請の書類作成の開始時期を用地取得率がおおむね八〇%程度を目安とする方向で検討してまいりたいと考えております。また、裁決申請をするかどうかにつきましては、交渉経緯、交渉内容などに基づき判断することになりますので、より一層の用地交渉の充実に努めてまいります。
 次に、四点目の土地買収、物件移転補償事務の人員配置を含む組織、体制の強化についてでありますが、都市計画道路の用地取得は住家、商店等が連檐した場所がほとんどであり、地権者の生活再建措置、とりわけ希望する移転先の確保等に相当な時間を要するなど、大変厳しいのが実情でございます。
 このため、今年度は海草建設部に熟練した三名の課長級職員を路線ごとに配置し、集中して用地交渉が行えるよう人員の配置を行ったところです。また、事業の促進を図るため、一部路線について用地取得を県土地開発公社に委託しております。今後も、より円滑な用地取得を図るための人員配置及び体制の充実に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番江上柳助君。
○江上柳助君 ただいま知事並びに関係部長からご答弁をいただきましたので、再質問させていただきます。
 最初に、県立医科大学跡地利用の議論をさせていただいたのでございますが、一昨日から新聞報道等のマスコミで、ちょうど当時の医大で起きた事案で医科大学のカルテのフロッピーが盗難に遭った、ホームページにアクセスされているという、大変ゆゆしきことでございます。「新しい酒は新しい皮袋に盛れ」ということわざがございますように、この県立医科大学が県民の期待にこたえていただきたい。また、全国的にも立派な建物、施設でございますし、医療行政の柱となる機関でもございますが、問題は中身なんです。今、盗難届も出されておりますし捜査当局の手にゆだねられているわけでございますが、この不祥事を乗り越えていただいて、県民の期待、また医療行政に対する信頼を回復していただきたい、取り戻していただきたい、このように要望させていただきます。
 それから、先ほど知事の方から、医科大学の跡地利用の方針につきまして都市型ホテルをということでございました。事業コンペ方式というふうに部長から答弁をいただきましたが、都市型ホテルはたくさんございますので、私は恐らくこれは懇話会報告書にございます国際会議開催機能を持った都市型ホテルと、このように理解をしたいと思います。そのとおりだと思います。
 それから、旧医大の別館病棟の活用ですけれども、「公共的な利用を基本として、今後再利用の方向でさまざまな面から検討してまいりたい」と。検討の段階はもう過ぎているのではないか。最近、その利用計画が決まりましたけれども、この医大移転は昭和六十三年から計画が進められているわけですね。そして、昭和五十九年に別館病棟ができました。三十億円のお金がかかっています。現在、十五年経過しております。鉄筋、鉄骨ですと五十年の耐用年数がありますから、あと三十五年あるわけですよ。使えるものをもっとなぜ早い段階から検討しなかったのか。もう今の段階ですと、しっかりと関係機関、また関係方面へ利用について打診をし、かつ取り組んでいきますと。「検討」という言葉は、余りにも県民、市民を無視したことじゃないかなと思います。
 一問でも申し上げましたように、医大跡地周辺の商店街、今、本当に大変な状況に置かれております。医大があるときには医大の利便に供してきたわけです。そして、その地域が社会的な貢献を医大に果たしてきたわけです。もう移転しました、計画はゆっくりつくります、これではこの貢献に対してこたえることができないんではないか、私はこのように思います。
 したがって、一日も早くしっかりした医大の跡地利用方針を決めていただいて、そして事業化に入っていただき、また別館病棟についても利用できるように汗をかいていただきたい、このように要望させていただきます。
 それから、障害者の自立と参加の関連で盲導犬の問題です。
 私は、盲導犬を持っておられる方と何回かお話をする機会がございました。そのときにおっしゃっていたことは、私たちは少数派なんですと。実際、和歌山県に六頭しかいません。少数派ですから、余り強いことを言えないんですと、こうおっしゃっていました。
 私、ある本を読んだことを思い出しました。それは「しっぽのはえたパートナー」、星野有史さんという方で、福祉の分野で、「援助する者と受ける者は同じ立場であるはずなのに、現実には優位な立場で「やってあげる」とか「させる」といった相手の意志を確認しないで上から下への関係で押し付ける障害者不在の援助がはびこっている。これでは障害者は常に何かしてもらうだけの存在で終わってしまう。援助を受ける側の意志にかなった行為こそが、ほんとうの援助といえるのではないだろうか」と、このように書かれているんです。やはり、利用される側、援助を受ける側からもいろんな要望、意見を聞いていただきたいと、このように思います。
 和歌山県の六頭は日本ライトハウスの盲導犬でございます。盲導犬の訓練所は八カ所ございまして、アイメイト協会、そして関西では関西盲導犬協会があるわけでございますが、そういった盲導犬も利用できるようにしていただきたいと思います。法的には、盲導犬は物であります。物も、できのいい悪いがございます。車と一緒で、メーカーによって特徴もございます。したがって、視覚障害者からの選択の自由も与えていただきたい、このことを要望させていただきます。
 それからもう一つ、今、知事から盲導犬の普及に取り組んでいただけるということで、大変ありがたく思っておりますが、受け入れ側の体制についても取り組んでいただきたいと思います。私は、何件か施設、飲食店等をお訪ねしたんです。そうしたら、私はいいけれどもお客さんが嫌がる、お客さんで嫌いな人がいるんだという言葉が返ってきました。また、ある飲食店の方に「盲導犬が来たらどうしますか」と聞いたら、「私、逃げます」と言うんです。「何で逃げるんですか」と聞いたら、「どうもうな犬が来るから逃げる」と言うんです。どうもうじゃなくて盲導なのですが、こんな盲導犬に対して笑い話にもならないような意識なんです。したがって、受け入れ側だけにお願いするのではなくて、県民全体に対しての啓発が大変重要であると思います。この点も強く要望させていただきます。
 最後に、平成元年に都市計画事業のルール化通達がございましたけれども、これが都市計画事業には適用されない。しかし、きょう、土木部長からすばらしいご答弁をいただきました。八〇%を目安に検討していくと。これは、大変画期的なことだと思います。都市計画事業で八〇%というのはなかなか難しいことなんです。これは、地域住民と密着しております。事業そのものの規模が大きいし、そしてまた必要が高い。公共性が高い。しかし、実際に用地交渉に入るというのは大変難しい。用地課の皆さんは大変ご苦労されていると思います。
 したがって、今八〇%とおっしゃっていただいたことを前向きにとらえて、全国の模範となるような用地交渉の裁決申請の一つのルールを本県としてつくっていただきたいと、このように強く要望させていただきます。すべて要望でございます。どうぞ、よろしくお願いを申し上げます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十一分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十五番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次、一般質問をさせていただきます。
 なお、質問の所要時間は二十分程度でございます。しばらくの間、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 まず第一点目といたし、結核対策についてお尋ねをいたします。
 毎年減少してきた結核患者数が平成九年に三十八年ぶりに増加に転じ、ついに本年七月二十六日、国におきまして結核緊急事態宣言が出されました。これを受け、本県において八月二十七日、県医師会や県保健所長会、また県病院協会、県歯科医師会、県立医科大学等、これら十九の関係団体を集め、結核対策連絡協議会の初会合が和歌山市において、結核は過去の病気ではなく今も最大の感染症であることを再認識するというテーマで開催されたわけでございます。
 これは、結核で治療を受けている人の人口に対する割合が和歌山県は大阪府に次いで全国ワースト二位にあるということ、また、一九九七年末の本県内における結核患者数が七百二十九名に達し、全国ワースト二位、新たに発生した結核患者が五百十一人と、大阪府、兵庫県に続きワースト三位、加えて、特に気になるところでありますが、小児結核の発生率もワースト三位にあるということを受けてのことであります。まさに、高齢者だけでなく十五歳から十九歳を除く各年代において全国平均を上回っているという点、加えて本県内で既に二十九名が死亡しているということもあわせて考慮されたものと推測をいたします。
 当然、結核に対する再認識が大切であり、本県において医療機関と県内各保健所がより密接に連携をとる必要があると感じるとともに、このことにおける今日までの経過とその要因について、また、この先、例えば病院内における感染をどう防いでいくのか、また高齢者や糖尿病等の病気で抵抗力の弱まった人たちの間で結核患者が増加しているという事実にかんがみ、老人福祉施設や県内における小学校等において今後どう取り組みをされていくのか。
 また、早期発見、早期治療が何よりも大切と思われるわけでございますけれども、実際、県内における今日までの検診率はどれぐらいなのか、またこれからの体制づくりについて、さらにこの病気に対する正しい認識と予防についてどうしていくのか、県のご見解をお聞かせ願いたいと存じます。
 なお、九月十日付の産経新聞に結核菌新検出法ミジットについての記事が、また八月二十八日付朝日新聞に「結核新ワクチン開発へ」という見出しのもと、遺伝子組みかえ等の技術を利用してBCGにかわる新たな結核ワクチンを開発しようという試みが厚生省の研究班によって始まったとの記事が掲載されておりました。これらのことも今後の対策の一つであると考えるわけでございますが、今どういう状況になっているのか、お聞かせ願いたいと存じます。
 何にいたしましても、本県において、患者さんの減少に向け一日も早い取り組みを希望するものであります。
 二点目といたし、少子化対策についてお尋ねをいたします。
 既にこのことに対し、平成六年二月議会と同年九月議会において、また平成八年二月議会におきましても、先輩議員でございます高瀬議員、また向井議員、新田議員よりそれぞれご質問があったことは十分認識をいたしておりますが、この問題は多岐にわたり、我が国の将来、そして高齢化が著しく進む本県の将来において大変重要な影響を及ぼすであろう問題の一つであると考え、よって今回、私なりに質問をさせていただくことをお許しいただきたいと存じます。
 一体、少子化はなぜ問題なのか、またその要因とは何なのか。今後の本県における少子化への対応や結婚・出産後も働き続けている女性の実情を明らかにするための統計調査、研究の実施等、この問題に対する防止策について、各界の代表者、学識経験者、福祉関係者及び庁内の関係部局で構成されております子育て環境づくり推進協議会のその後について、次に放課後児童クラブの現状、またこれら諸施策の中で見直しを行うべき点がないのかどうか、加えて少子化対策臨時特例交付金事業について、そして具体的事例として栃木県今市市の取り組みや労働省の取り組みであるファミリーサポートセンター等の施策について、県のご見解をお尋ねいたしたく存じます。
 今、我が国の合計特殊出生率、つまり十五歳から四十九歳までの女子の年齢別出生率を合計し、一人の女性が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に子供を産むとした場合の平均子供数が、一・三八人にまで落ち込んでいる現状があります。戦後の第一次ベビーブームの時期を過ぎた一九五〇年、昭和二十五年ごろから急速に低下を始め、一九五〇年代半ば、昭和三十年ごろには二・〇人をやや超えるぐらいまで下がった後、一九七〇年代半ば、昭和五十年ごろまでは安定的に推移をしてまいりました。しかし、その後再び低下を始め、現在まで基本的に下がり続けております。そして一九九六年、平成八年の合計特殊出生率は一・四三人と、人口を維持していくのに必要な水準とされる人口置換水準の二・〇八人を大幅に割り込み、先ほど申し上げましたとおり、今日、一・三八人にまで落ち込んでいるわけであります。
 和歌山県におきましても、この合計特殊出生率が平成十年の時点で一・四四人となっており、少子化がかなりの割合で進んでいる状況にあると考えます。また、その一方で高齢者の割合は年々増加して人口構造のバランスが崩れかけており、将来の社会保障や経済への影響等が懸念されるところであります。加えて、喜ばしいことではありますけれども、女性の社会進出が進む中、いわゆる男女共同参画がテーマとなり、これらの点を含め、少子化対策に果たして決定打があるのかどうか、大変不安が残されるところであります。一体、問題解決の糸口はどこにあるのでしょうか。
 教育費負担軽減等、子育ての社会的支援にもっとお金を出してほしいとの声もあり、また、企業において雇用慣行を変えることや長時間労働をなくして女性が仕事と子育てを両立できる柔軟なシステムが必要であるということ、また自治体には保育サービスの充実を求め、家庭では男性の家事や育児参加を望むとする男女共同参画の実現等、身近なところからの改革が望まれているところであります。
 とにかく、結婚や子育てに夢を持てるような環境づくり、社会づくりをしてほしいということで、育児休暇もとりにくいという現実や、若い母親が情報の洪水の中で孤立をしている状況が続き、専業主婦であっても子育ての不安やストレスは大きく、このことに対し社会全体で子育てを支援していかないと、さまざまな問題が生じてきて、結果、その解決のためかえってコストが高くなるのではないかと考えられ、よって今、本県の将来に向けて早急な対策が望まれていると考えます。
 そんな中、過日、九月補正予算について県当局より説明がなされ、その中に、地域における少子化対策の一層の普及促進を図るため実施する少子化対策臨時特例交付金事業があり、「すこやか・あんしん」子育てフェスタとして一千五百万円、子育て家庭サポートブック作成として一千三百万等、総額五千万円の事業費が計上されており、県もこのことの重要性は十分承知をしていただいているものと考えます。しかし、本県を取り巻く財政状況は極めて厳しいものがあり、なかなかコスト面を考えた場合の対策は難しいところもあると拝察をいたします。
 そこで、栃木県今市市での事例をご紹介させていただきたいと存じます。同市では、平成六年七月よりシルバー人材センターにおいて元教員や子育てを終えた主婦ら六十歳以上の高齢者が登録する育児の人材銀行なるものを設立いたし、彼らが学童保育の指導員を担うとのことであり、手当は時間給七百円、「おばあちゃん保母の誕生」と題して注目を集めているそうであります。小学校低学年の子供たちと放課後をともに過ごすということは高齢者にとっても大変意義のあるところであり、新たに公務員を雇うことを思えばコストも抑えられるとのことであります。育児経験が豊かでお金に窮しない高齢者が協力してくれればまさに一石二鳥の効果があり、今のところ大盛況であるとのことであります。
 また、一九九四年、平成六年度より労働省が仕事と育児両立支援特別援助事業といたし、都道府県を通じて市町村に設置の促進を働きかけている育児の相互援助の仕組み、いわゆるファミリーサポートセンターがあります。保育園等の保育時間の前後の保育や送迎、また病児保育等のサービスを提供したい人とこれを受けたい人が会員となり、センターがその調整を行うもので、会員となるための資格には特別なものは一つもなく、この事業の趣旨に賛同しセンターの承認を受けた人はだれでも登録できる仕組みになっております。また、安心して相互援助活動が行えるよう、センターでは会員を対象に講習会等も行っているとのことであります。
 ちなみに、長野県松本市の同センターでは、利用料金一時間当たり五百円、利用時間は土曜、日曜、祝日、夜間も可能と大変利用しやすいものとなっており、仕事を持ちつつ子育てをしながら無理のない社会参加ができると、喜びの声も多くあります。したがいまして、本県におきましても、学童保育の公的助成措置として市町村を事業主体とした放課後児童クラブの設置がなされておるわけでございますけれども、この今市市の例やファミリーサポートセンター等の取り組みについて、本県でもいま一度、有効的な取り組みの一つとして活用できないものなのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
 さらに、学校、幼稚園、保育所等の施設を地域に開放いたし、空き教室等を育児中の親のフリースペースとして活用することはできないものかどうか、あわせてご検討いただきたく、この点について県のご見解をお聞かせいただきたいと存じます。
 第三点目といたし、コスモパーク加太について質問をさせていただきます。
 本年六月、コスモパーク加太土地利用計画について県当局から説明がありました。健康交流都市コスモパーク加太を町づくりのコンセプトに、スポーツ・レクリエーション系施設用地、研究開発・産業系用地、高等教育施設用地、住宅用地等に都市機能用地を配したこの計画は、和歌山県長期総合計画の中核的プロジェクトの一つとして複合機能都市を建設するとのことでありました。私は、今は苦しい状況にあっても、将来この構想の実現により加太地域は大阪湾を取り巻く地域の新たな交通・交流軸のかなめとなるものと、大いに期待をいたしております。
 しかしながら、残念なことに過日、朝日新聞において「財政史上初の記録 「危機的状況」に」という見出しのもと、県の財政が悪化し、極めて深刻な状況であるとの報道がなされました。私どもも県当局から財政状況の実態についてかねてより説明を受けておりましたが、考えるに、このコスモパーク加太を初めとする県及び県土地開発公社が抱える開発中の土地、または未利用の土地が県財政を圧迫させた要因の一つであることは否めないと考えます。
 一方で、大阪から和歌山までの間の臨海地域には、大阪府此花区に建設中でございますユニバーサルスタジオを初めとして、大阪府北港天保山の海遊館、南港のATCやタウンアウトレットマーレ、また岸和田市の映画を中心としたアミューズメント施設であるワーナーマイカルや、貝塚市に先ごろオープンいたしました複合商業施設であるコスタモール二色の浜等、新たなベイスポットが次々に誕生いたし、大阪湾沿いに子供から若者、お年寄りまで楽しめる活動の場が続々と提供されているという現実を見て、改めて本県のこの地、コスモパーク加太の早期整備の必要性を感じるものであります。
 私は今日まで、平成七年の九月議会においてコスモパーク加太の土地利用計画、特に株式会社和歌山ドームの人工スキー場について、またこの地への交通アクセスとして県道粉河加太線及び府県間道路である県道岬加太港線の整備計画や加太岬スカイライン、京奈和自動車道、紀淡連絡道路等について質問をいたし、次いで平成八年六月議会において、コスモパーク加太を第一国土軸と第二国土軸を結ぶ接点としてインターチェンジ及びジャンクション用地として活用してはいかがなものかとの提言をさせていただき、加えて平成九年十二月定例会において、その後の人工スキー場の進捗状況についてお尋ねをいたしてまいりました。
 コスモパーク加太は、紀淡連絡道路及び京奈和自動車道並びに加太岬スカイラインが交わる結節点としての恵まれた位置にあります。特に、紀淡連絡道路は新しい全国総合開発計画及び新道路整備五カ年計画において構想を進めると明記をされ、大阪湾環状道路及び関西大環状道路のかなめとなるとともに、太平洋新国土軸の主要な道路として必要不可欠な道路であるというふうに考えます。これらが整備されれば、京阪神大都市圏ばかりではなく、四国地域、関西国際空港を玄関口とする海外との交流が集中する地域となり、和歌山県の将来に向けて可能性を秘めた、まさに宝の山になるであろうとの展望に立ち、いや、宝の山としなくてはならないとの切望の上に立ち、再度質問をいたすものであります。
 このコスモパーク加太土地利用計画の実現に向けて現在どのような取り組みをされておられるのか、改めてお聞かせを願いたいと存じます。
 また、この計画は総面積約二百六十ヘクタールに及ぶ広大な区域の整備計画であり、着実な整備のためには地元の行政主体であり区域内の土地所有者でもある和歌山市との協力が不可欠であろうと考えます。県と市が一体となって計画実現に向けて邁進されていることとは存じますが、現状をお聞かせいただきたいと思います。
 また、区域内に多くの土地を所有している和歌山市土地開発公社についても、どのような協議を行っておられるのか、お尋ねをいたします。
 次に、先ほども申し上げましたが、広域交通網の整備に伴い、コスモパーク加太の土地の立地の可能性が飛躍的に高まることは言うまでもありません。本年八月にも東京において道路整備促進大会が開催され、私どもも整備促進運動を展開する中、これらの広域交通網をこれからのコスモパーク加太整備計画にどのように反映されるおつもりか、お聞かせをいただきたいと思います。
 また、コスモパーク加太の有効的な土地利用のためには、この地にインターチェンジ及びジャンクション整備のための準備が必要であると考えておるわけでございますが、この点いかがお考えでしょうか。
 また、人工スキー場については、一部ではもう無理なのではないかとの声を聞くこともある昨今でありますが、現在の進捗状況についてお尋ねをいたします。
 次に、コスモパーク加太計画と関西国際空港二期工事に伴う土砂採取事業との関連についてお尋ねをいたします。
 二本目の滑走路をつくる関西国際空港の二期工事が去る七月十四日に着工され、八月七日には川崎運輸大臣を初め関係者の出席のもと、関空島で起工式が華々しく開催されたと報道されておりました。ちまた、景気の低迷等の影響で関西国際空港の開港以来初めて便数や旅客数が前年度より落ち込んだと言われておりますが、受け入れ施設が整って初めて需要の喚起につながるものであり、私としましても二期工事着工は大変喜ばしく思っております。
 現在、現地の海上では地盤改良のための工事が着々と進んでおり、来年には埋立工事が始まるやに聞いております。この埋立土砂のうちの約三分の一を本県から供給することとなっており、その土砂を加太地区に予定しているとのことでありますが、コスモパーク加太計画を推進する上で支障とはならないのでしょうか。コスモパーク加太の土地利用計画によると、工事着手からおよそ十年の期間を予定しているとのことであり、一方、土砂採取事業の方は平成十二年から土砂を搬出し、約五年間の事業予定であると聞いております。土砂採取そのものの大部分は民有地であり、コスモパーク加太予定地に余りかからないとのことでありますが、一部重複した事業期間の中での整合性は図られるのでありましょうか。土砂採取の現状を含め、お聞かせをください。
 コスモパーク加太計画は、県民の期待と二十一世紀を担う若者の夢がかかっております。あすの和歌山を築くご答弁をいただきたいと存じます。
 質問の最後に申し上げます。
 さきの任期中、四度にわたり一般質問をさせていただきました。その中で、子供病院建設について質問をさせていただいたときのこと、このことに関し知事は、みずからのお考えをみずからの言葉で熱っぽく語られ、そして今、現実として新しい和歌山県立医科大学附属病院の一角に子ども保健福祉相談センターが誕生いたしているのを見るとき、知事の迅速かつ心ある取り組みに感謝をいたすとともに、いつも知事がおっしゃっておられました「人皆心あり」という言葉の意味、また知事のお人柄を改めて知った思いがいたしました。
 先日、ある新聞の一こまに、川柳家でありまた書道家である淵田寛一氏の記事があり、その内容は、体調不良のため静養しておられた西口知事が大事に至ることなく県政に復帰され、知事選への再出馬を表明されたのは県民の一人として叫びたいほどうれしく、こよなく祝意をささげたい、そして私人にも公人の健康を守る重大な責任があることをつくづく思い知った、当然のことながら、公務の激しさに倒れたことを通して、公人と私人の責務を考え直す必要を、みずからを戒めることを含め、しみじみと反省し合いたい、我々はもっと現知事をいたわり、互いの抑えがたきエゴをおさめ、次期知事選も元気で勝ち抜く西口知事の笑顔を知事室のいすにお迎えしようではないかと書かれておりました。私は、年齢こそ違えど、県議会の一議員という立場において、また一県民という立場においても、この記事に深く共感を覚えました。
 西口知事、どうかお体には十分ご留意され、新しい時代を切り開く挑戦の県政を進めていただくためにも、是は是、非は非とする県政を進めていただくためにも、再び県政のトップとして、また私たち県民のリーダーとして県庁にお戻りいただきますよう切にお願いを申し上げ、私の一般質問を終えさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 山下議員にお答えをいたします。
 最終的に私に対して大変思いやるお言葉をいただきまして、本当にありがとうございました。
 肝心のコスモパーク加太問題などは企画部長から答弁をいたしまして、私の方からは少子化対策に関する問題についてお答えをいたしたいと思います。
 少子化問題は、議員ご指摘のように、本県全体の将来の枠組みにとりまして大変大きな影響を与える深刻な問題と認識してございます。行政としての取り組み、個人の生き方の多様化を尊重しながら、子供を安心して生み育てられる環境を整備する必要があろうかと思います。また、国におきましては、少子化問題の緊急対策として少子化対策臨時特例交付金を確保して、都道府県、各市町村に対して所要の方策を講じるよう措置されたところでございます。
 お話にもございましたように、県におきましては今回、補正予算で子育て世代を対象に子育て環境づくりに関する意識・ニーズ調査、あるいは少子化に対するさまざまな啓発活動を実施し、喜の国エンゼルプランの一層の推進を図りたいと考えてございます。
 いずれにしましても、少子化対策は大変幅広く、行政はもとより家庭、地域、企業、学校等、社会全体で取り組んでいき、若い世代が安心して子育てができるよう努めてまいらなければならない課題と考えてございます。
 ご配慮をいただいて、難しい答弁については他の部長からするようにご指摘をいただきましたので、以上で終わらせていただきます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 山下議員ご質問の、結核についての五点にお答えをいたします。
 まず、今日までの経過とその要因についてでございます。
 結核の発生状況につきましては、本県では全国より発生率が高く、平成九年に五百十一人、人口十万人当たり四十七・四人が新たに結核と診断され、全国三位の高さとなっているところであります。
 結核対策として、結核予防法に基づく検診、医療、患者管理等や地域の実情に応じた啓発、研修等を保健所を中心として実施しているところであります。本県の結核発生が多いことを踏まえ、平成九年度に和歌山県結核対策検討会を開催し、結核対策特別促進事業として、研修、啓発、管理マニュアルの作成等、種々の事業を順次実施しているところでございます。
 なお、本県の結核罹患率等が高い要因につきましては不明でありますが、検診受診率の問題、診断の問題等も指摘されており、今後、分析検討に努めてまいります。
 次に、院内、学校内、施設内感染等への対応についてでございます。
 病院、学校、老人福祉施設等の施設内の結核感染につきましては、全国的に増加していることから、入所者、施設職員等の定期健康診断や発生時の定期外健康診断の徹底を指導しているところであり、庁内連絡会議等を通じ、教育委員会等の関係部局と一層の連携を図り、指導を徹底してまいります。また、病院や施設等に対しましては、昨年度から院内感染対策ガイドラインの作成・配布、及び従事者に対する研修会を実施し、施設職員等の予防啓発に努めてまいります。
 次に、本県における検診率と予防と体制づくりについてでございます。
 結核予防法に基づく定期健康診断については、本県の平成九年の一般住民における受診率は一九%と低い状況でございます。結核の予防を図るためには、早期発見、早期治療のための定期健康診断の徹底が重要であり、一層の受診啓発を図るため、来る九月二十四日から三十日まで実施される結核予防週間を初め、あらゆる機会を通じて県民に対する正しい知識の普及と予防啓発に努めてまいります。
 いずれにいたしましても、今般の国の結核緊急事態宣言の趣旨を踏まえ、本年八月に設置した和歌山県結核対策連絡協議会等の協力を得るとともに、庁内連絡会議等を通じた関係部局の連携や、第一線機関である保健所の結核対策の充実を図ることにより、結核対策の一層の強化を図ってまいります。
 最後に、ミジットや新ワクチンの現状についてでございます。
 ご指摘の結核の新しい検査法ミジットは結核菌検査法の一つでありまして、従来の方法に比べ、検査に要する時間を短縮することができ、県内では国立療養所和歌山病院において導入されているところであります。しかし、広く一般に普及するためにはなお技術的な課題があると言われております。また、新ワクチンにつきましては、国の研究班等において今年度から開発のための研究が開始されたと聞いてございます。このような新たな検査、治療法について、今後の調査研究の状況を踏まえ、適切に情報提供等に努めてまいります。
 次に、少子化対策についての四点にお答えを申し上げます。
 まず、子育て環境づくり推進協議会のその後についてでございます。
 平成五年度に設置された和歌山県子育て環境づくり推進協議会は、議会からご提言を受けて、育児支援や教育、労働環境の問題等、幅広いご意見をいただいているところでございます。具体的な事業として、協議会の提言を受けて、喜の国子育て支援事業や、三歳未満の子供とその保護者を対象に、乳児院を利用して体験的な育児相談を行うといった新しいタイプの育児不安サポート事業等を実施しております。また、子供の権利擁護に関してご協議をいただき、小中学生の児童を対象にした子どもの権利条約啓発リーフレットを作成・配布したところでございます。今年度は、育児休業制度や保育サービス等、子育て支援関連テーマを設定し、話題提供者をお招きしながら各テーマごとにご意見をいただいており、今後の少子化対策に反映してまいりたいと考えております。
 次に、放課後児童クラブの現状と見直しについてでございます。
 放課後児童クラブは、昼間保護者のいない小学校低学年児童を対象に、学校の空き教室や地域の集会場等を利用し、遊びを主とした児童健全育成を目的として市町村が実施している事業でございます。平成十年度は一市四町八クラブで実施していますが、本年度は二市八町十六クラブを予定しております。
 国では平成十年度から当事業を児童福祉法に位置づけており、県といたしましても、少子化対策に伴う子育て環境づくりのための有効な施策として、市町村に対し積極的な取り組みについて指導をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、少子化対策臨時特例交付金事業についてでございます。
 少子化問題は単に福祉の問題だけではなく、社会的、経済的にも大きな問題となってきております。こうした状況の中で、少子化対策臨時特例交付金は、市町村が中心となって展開する地域の実情に応じた幅広い少子化対策の取り組みを国が支援するために創設されたものでございます。都道府県の場合、市町村と異なり、平成十一年度中に実施する広報啓発、人材育成等のソフト事業が交付の対象となっており、今回五千万円の補正予算をお願いしてございます。県では健やかな子育てを支援するため、子供の事故防止等の啓発、イベントを開催するほか、子育てに関する情報を満載した冊子の作成、あるいは二十歳代から三十歳代の若年層を中心にした意識・ニーズ調査等を実施することとしております。
 最後に、栃木県今市市等、他府県における事例の取り組みについてでございますが、近年の出生率の低下、核家族化の進行、女性の社会参画の増大など、子供を取り巻く社会環境が大きく変化しており、子供を健やかに生み育てる環境を社会全体でつくっていくことが重要な課題となってございます。
 県では、地域ぐるみで子育て支援していくことを目的に、昨年度から喜の国子育て支援事業を実施しているところであります。この事業の中にコミュニティママ子育てサポート事業がありますが、これは子育てサポートを受けたい者と、保育に関する知識、経験を有し、子育てサポートができる者とで会員組織をつくり、子供の世話をできないときに支援を受けるという内容のものであります。しかし、現在のところ市町村において実施にまで至っていない状況でございます。
 県といたしましても、議員ご提言のとおり、人材活用の面から、他府県の例や労働省のファミリーサポートセンターなどを参考にさせていただき、関係部局と連携をとりながら今後とも推進してまいります。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) コスモパーク加太構想の四点につきまして、ご答弁申し上げます。
 コスモパーク加太構想の土地利用計画実現に向けての取り組みでございます。
 コスモパーク加太計画につきましては、本年六月に発表いたしましたコスモパーク加太土地利用計画を基本に、県土地開発公社が事業主体となり、土地区画整理事業の手法により区域内の基盤整備を進め、豊かな自然環境の中で健康な暮らしを創造・支援し、交流をはぐくむ複合機能都市の形成を図る計画でございます。
 現在、平成十二年の市街化区域編入の都市計画決定、土地区画整理事業の認可に向け、関係機関と協議しているところであります。今後は、事業着手に向けた諸手続を進めるとともに、施設の立地推進についても和歌山市と協力しながら努力を続けてまいります。
 次に、和歌山市並びに関係者との協議についてであります。
 コスモパーク加太については、昭和六十年に設立した和歌山県、和歌山市及び和歌山県土地開発公社から成る加太地域開発整備推進協議会で基本構想をまとめ、その後、社会経済状況の変化に対応するため三者で議論を重ねながら、今般、コスモパーク加太土地利用計画を策定したところであります。計画の実現には、土地区画整理事業の参画者である和歌山市土地開発公社を含め、和歌山市との協力が不可欠であり、今後とも協議を重ねながら事業の推進を図ってまいります。
 次に、施設面での整備計画と土地の有効活用についてでございます。
 紀淡連絡道路につきましては、新全国総合開発計画及び新道路整備五カ年計画において構想を進めると明記され、本県においてもこの実現に向けて積極的に取り組んでいるところであります。また、コスモパーク加太と大阪府を結ぶ加太岬スカイライン構想につきましては、早期実現に向けて今後も大阪府と協議を重ねてまいります。
 いずれにしましても、議員ご指摘の広域交通網の整備はコスモパーク加太計画の推進に大いに貢献するものと期待しているところであり、インターチェンジ及びジャンクションを含めた広域交通網の整備を関係機関に積極的に要望してまいります。
 株式会社和歌山ドームがコスモパーク加太に計画している人工スキー場につきましては、昨今の社会経済環境の変化を踏まえ、事業計画を再構築するため一時延期をしていると聞いております。今後とも、事業者と協議を進めてまいります。
 関西国際空港二期事業の埋め立て用土砂供給事業につきましては、青木建設と鹿島建設の共同企業体がコスモパーク加太の隣接地で準備を進めてございます。事業者の計画どおり平成十二年秋に搬出を開始するには、早期に林地開発等の許認可を取得し、準備工事に着手する必要があり、現在、地元関係者の理解を得るために話し合いを進めているところでございます。
 今回の土砂供給事業はコスモパーク区域内にある既設の投入口やトンネルを再利用する計画であり、あわせて土砂採取期間中、コスモパーク用地の一部を使用する計画となってございます。両事業とも県政にとっては重要なプロジェクトであり、相互に支障が出ないよう今後とも十分調整を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十五番山下直也君。
○山下直也君 ただいま、知事初め関係部長からそれぞれご答弁をいただいたわけでありますが、一点だけ要望させていただきたいと思います。
 それは、二点目の少子化対策についてであります。
 幸い、大都市とは違い、地方にはまだまだ地域が生きているというふうに私は感じております。つまり、小さなグループで育児を真剣に考えている人たちがたくさんおられます。加えて、総理府の行った世論調査の結果にも見られますように、男女とも保育サービスの充実というものが最も求められているという点からも、先ほどご紹介させていただいたわけでございますけれども、ぜひこれらの例を参考とされて、何とぞ本県においてこれらの施策に取り組んでいただきたく、再度ご要望させていただきまして、終わらせていただきます。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下直也君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番中山 豊君。
  〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 通告に基づいて質問を始めます。
 まず第一番目に、道路交通関係にかかわってのお話であります。
 鉄道高架事業が完成されようとするときに、かつての議会で、かねてからの海南市民の念願であった阪和線快速電車を海南まで延伸されるよう取り組みをお願い申し上げたところであります。高架化と快速電車を海南まで延伸をの二つの市民要求は、いずれか一つをというものでなく、いずれも同時か、または順次に解決してほしいとの立場にあったものであります。高架事業が着工されるにつけ、もう一つの要求は後ろに追いやられた形にはありましたが、決して消えてなくなったものではありませんでした。高架事業が完成寸前のところで申し上げねば遅きに失したと言われかねないと思いましたので、この問題を前の議会でも取り上げさせてもらいました。
 当時の当局答弁は地元からの要望にこたえたいとのことであったので、その後、海南市長を初め関係自治体の長や議会関係者、自治会の関係者、諸団体の代表者によって県当局及びJRに向けて陳情された経過もあったところであります。その当時の感触は、何ら支障はないと、極めて前向きの話だと承っていたところであります。具体的にどう進展したのか改めてお聞きし、未解決、不十分な点はどうなさっておられるのか、また何か支障となるところがあるとするならばどういうことなのか、改めてお知らせください。
 次に、鉄道高架残事業の促進を求める課題であります。
 これについて鋭意取り組みを進めていただいているところですけれども、ここに至って工事が中断というか、休まれているのはなぜでしょうかとの関係住民の声があります。中でも、旧野鉄日方駅前の日方川にかかる橋梁を中心に前後がとまっているのは何ゆえかという話であります。工事に携わっている人もおられないのですが、これについての工期はいつまでなのか。延ばされたことはないのか。コンクリートの養生のためとのお話もあるけれども、市民の間で、やりかけて中断するのは許されないというお話をこのごろよく聞かされるところであります。お答えをお願い申し上げます。
 三点目は、国道三百七十号についてであります。
 美里町国吉地区今西での山の決壊崩落で、国道三百七十号は通行どめと相なりました。八月十二日、払暁の出来事であります。いろいろ申し上げたいことがあるけれども、まず、復旧と通行どめ解除に並々ならぬ取り組みをされた当局の皆さんに、ご苦労さんでしたと申し上げたいところであります。背に腹はかえられないとなればここまでやってもらえるのか、力のほどを余すところなく見せていただいたと、関係住民は評価を与えているところです。道路建設と林務にまたがり、まさしくスクラムを組まれて当たられたことは見事だったと評価されているところでしょう。やればできることを見せてくれたものだと承っておるわけであります。
 しかし、考えてみれば、去年の台風七号の風倒木の処理、後始末ができていたらここまでに至らずに済んだのではないかと思えば、山の所有者や山林組合の理解や力量についてあれこれあろうが、どうしようもないことなのか、釈然としないものがあるわけであります。風倒木は県下の山に未処理のままあまた放置されていることにかんがみて、大きな災害や事故に至らないように措置するのが政治の役目であろうことを申し上げておきたいわけであります。
 そこで、三百七十号の全面通行への見通しと、三百七十号に係る当面の整備が求められているところをお聞かせください。
 次に、阪井地区内の渋滞解消の問題であります。
 これについてのバイパス構想の今日的状況は、地区住民の理解が以前よりかなり進んできているやに聞き及んでいるけれども、当局の取り組みがどうも緩慢で、押してみれば休み、冷えたところでまた押しにかかるということの繰り返しをされるようでは、事態としては前に進まないのではないかとうかがわれるところであります。地元対策委員会も組織され、それらの取り組みに依拠しながらのこととなろうけれども、促進方を求めつつ、あわせ龍部バイパスについての現状と今後についてもお聞かせください。
 二番目に、新農業基本法制定後の中山間地域の農業についてお尋ねいたします。中でも、水田の保全についてを中心にお聞きしたいところです。
 ウルグアイ・ラウンド農業合意に源を持つWTO受け入れを基調にした新農業基本法は、米の完全自由化体制をつくり上げていくことになっていると見ているのですが、米完全自由化受け入れをWTOに通報したからといって、もろもろの課題は山積みしていることとなっているけれども、何はともあれWTO受け入れは、戦後日本の民主化の過程の重要な一環として実施された農地改革の意義を法制化した農地法を打ち崩し、農地の番人としての農業委員会制度を形骸化させ、自作農すなわち家族農業経営を極度に弱めていくことを心配するところであります。また、時代の移り変わりに対応しながらも、生産費を償い消費者の家計の安定を願って米価対策をとられてきたのも、基本的には自作農経営を守るための諸制度であったところですけれども、これも脆弱なものに追いやることになっていくことと心配するところです。
 新農業基本法が進められる背後には、生産性の向上のない農業は要らないとする思潮が、戦後農政の基本的な見直しを進められることとなっていると見ているところです。各論にわたって申し上げなければならないと思うけれども、このたびは、以上述べた日本の農業を根底から変えてWTOのままにゆだねられるとしたらどうなるのか、特に和歌山の農業はどうなるのか、米の消費県でもあり中山間地の農業が圧倒的に多い本県農業にとって最大の課題となるであろうとの観点から、以下申し述べたいところです。
 それを見通していたかどうかは別にして、本県農業の特性と特徴の上でいち早く当局は検討され、取り組みの方向を打ち出そうと努めていることは承知しているけれども、特に中山間地における農地の荒廃は手つかずと言っても言い過ぎではないのではないでしょうか。住んでいてよかったと言える郷土とは、ほど遠いものに変容していきつつあるのではないでしょうか。
 熊野体験博を組織し、情報発信をしていくと考えたが、日本人の伝統的文化の母体である稲作文化が衰微し放題のままでは、心のいやしもあったものではありません。ふるさとへの回帰を促すすべを求めるのが体験博でありたかったと思うところですが、これは私一人の思いだったのでしょうか。
 熊野体験博に事寄せて、熊野を歩いてみました。山間の水田は人の手の及ばない状態になっているところが多く、熊野の山は緑濃くダークグリーンに包まれ、山間の稲の黄金色に輝くそのコントラストは、日本の山村の原風景の典型として見るところでした。これでこそ日本の田舎の姿だ、これでこそ人の心をいやし、ふるさとを思う心を培いはぐくむものだと思いました。愛国心をはぐくむ原点を見たと思ったところです。しかし、このような情景はむしろ珍しいのが現状です。
 さきの議会での当局の答弁は、新農基法は中山間地に対して前進的で有利な面が用意されている、それを利用して県農政の進展を図りたいとの内容でした。されば、このたびは特に水田稲作の機能保全について考えを聞きたいと思います。
 水田稲作の機能は、農業をする人は言うまでもないが、ため池とか水路はもちろんのこと、これらの保全は転作減反と老齢化で極度に荒廃していっています。その上に米の完全自由化は拍車をかけ、ますます困難を強いられることになるでしょう。中山間地域農業を多く抱える本県農業にとって、果たして新農基法は有利な側面があるとして対応に事欠くことはないのか、教えていただきたいわけであります。
 三番目には、熊野体験博終結に向けてのお話です。
 さきの議会では、かいつまんで言えば、体験博に足を運んでくれた人々の頭数だけをカウントするようなことをせずに、体験博を実行しようとした理念、目的に沿うた総合的な総括を求めたところでした。このたびは、その質問の続きとして、安らぎを求め、心をいやすという発想は外から熊野に足を運ぶ人の側の発想だと見て、そう大して間違いではないと思っているところです、それも大切な観点かもしれませんが、体験博のもう一つの面として、住んでいてよかったという郷土づくりの立場からの参加を主な内容として試みようとした側面もあったはずであります。熊野に住む人々が熊野体験博をどうとらえて受けとめているか、郷土おこしにどう引き入れられたか、その立場からの総括をぜひお願いしたいところです。そうすることによって期間中に果たし得なかった課題が見つかれば今後の県政の課題として取り組む、これが事業を組織したものの総括のあり方ではないでしょうか。提起を申し上げ、お考えがあればお聞きしたいところであります。
 次に、海草振興局充実強化についてであります。
 さきに建設部を、地域の課題は地域にあって解決するのが県政の常道との立場から決断をいただいて海南工事事務所を設けられた。さらに本年四月からは充実強化され、今日に至っているところです。これが地元の住民に大きな喜びをもって迎えられ、多大な実績を上げられていることをまず申し上げねばなりません。
 さきにも申し述べたところですけれども、国道三百七十号の今西地区決壊崩落事故の復旧工事はまさにその典型と指摘しておきたいわけであります。事ほどさように、県政の実行が見届けられるとなれば、すべての部門にわたって移設され、総合的に対処されることが私の念願としているところでありますし、地元住民の要求でもあると思われるのですが、このたびは農林水産振興部局の移設を求めておきたいわけであります。これは、新農業基本法施行により地域農業に多大な課題が課せられてくるに違いないと思うからであります。それに対処するためにも考えていただくことを求めたいわけです。これは、要望としてお聞き取りいただければ結構かと思います。
 五番目に、地場産業、特に漆器、日用家庭用品業界の廃棄物対策についてであります。
 ダイオキシン対策について何かと業界には厳しく対応が迫られることとなっている中で、漆器、日用家庭用品業界にとっては急を要する課題として、これの解決のため苦労を強いられているのが現状であるようであります。不景気が長期にわたっている上に、中小零細な企業に与える苦労は言うに及ばないものがあります。これは、業界の取り組みを主軸に据えながら、地元の行政はもちろん、県政のサポートが求められるところだと思います。不況であえぎ、営業に困難を強いられている中小零細企業への大きなご支援の一つになるであろう、今日的な県政からの対策はまさに地場産業への大きなプレゼントではないかと、このようにも考えるわけであります。知事の所信表明の中にもあったことをご指摘申し上げながら支援方を促したいけれども、関係部長のお答えをいただければ結構かと思います。
 以上で、第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 道路交通問題に関係いたしまして、JR阪和線快速電車の海南駅への延伸についてご答弁申し上げます。
 県といたしましても、大阪方面へ直結する阪和線、紀勢本線の大きな利便性向上施策と認識し、以前からJR西日本に対し積極的な要望を行ってまいりました。その結果、本年五月十日のダイヤ改正から、朝の通勤時間帯に海南発天王寺行き快速電車が一本、新設されました。JR西日本によりますと、より多くの阪和線快速電車を海南駅へ延伸することについては、車両、乗務員の運用面での問題、事業採算性の問題などがあると聞いておりますが、県としては引き続き、沿線市町とともにJR西日本に対して積極的に要望を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 道路交通関係にかかわっての二点目、鉄道高架、残事業の促進についてお答え申し上げます。
 海南連続立体交差事業は、昨年十月に上下線の高架化が完成し、現在、側道工事を進めているところです。
 ご質問の日方川橋梁前後の側道工事につきましては、側道の通行形態を交通安全上一方通行とする計画に対し、地元から対面通行にするようにとの要望があり、その調整に約一年を要したため、着手がおくれました。この六月から橋梁工事にも着手し、現在、順調に工事が進んでおります。今後は、工程管理に十分配慮して進めてまいりたいと考えております。
 次に、三点目の美里町今西地内の通行どめにつきましては、応急工事を実施し、八月三十日から片側通行による交通開放を行っております。道路施設の復旧につきましては、災害復旧事業として申請の手続を進めております。のり面対策を含む全面的な復旧につきましては、農林水産部との協議を得ており、一日も早い復旧に努力してまいります。
 次に、国道三百七十号に係る当面の整備につきましては、平成四年度事業化の毛原から小西間三・七キロメートルの早期整備に向けて努力していくとともに、現道対策として緊急度の高い区間から局部改良等で順次整備を進めてまいります。
 次に、阪井地区渋滞解消についてですが、国道三百七十号の阪井バイパスのルートについて、意見書の分析と現地調査を踏まえ、本年三月に道路概略設計を実施し、海南市、地元関係者との意見交換を行ったところでありますが、ルートについて合意に至っておりません。今後とも引き続き、海南市の協力を得ながら都市計画決定に向けて努力してまいります。
 また、県道沖野々森小手穂線へ連結させる龍部池バイパスにつきましても、現在ルート選定の地元調整を行っているところであり、海南市を初め地元関係者のご協力を得ながらルートの合意に向けて努力してまいります。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 新農業基本法制定後の中山間地域農業について、お答えをいたします。
 中山間地域の水田を初めとする農地については、食料生産の基盤であるばかりでなく、国土や環境を保全する機能を有しており、その役割は多様で重要なものがあると認識してございます。
 これからは、本県においては中山間地域の活性化を農政の重要課題として位置づけ、それぞれの地域の特色と実情に応じ、水田を初めとする農地の基盤整備や地域特産作物の振興等を積極的に推進するとともに、加えて都市との交流機会の確保、交流の場の整備、必要な情報の発信等、農村の果たしている多面的な役割について広く理解を得るための施策を進めているところでございます。
 去る七月十六日に公布・施行された食料・農業・農村基本法では、新たに水田に代表される国土保全機能や農村文化の原点とも言うべき美しい稲作田園景観の提供など、農村の果たす多面的役割を積極的に評価し、中山間地域の活性化や定住促進に資する基本方向が打ち出されたところであり、今後実施される関連事業を積極的に活用しながら、中山間地域を初めとする農地の有効利用、地域の活性化等により一層取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 中山豊議員ご質問の、南紀熊野体験博の終結に向けてについてお答えいたします。
 南紀熊野体験博は、その地域の方々が主体となって参画する地域主導という考え方を大きな柱と位置づけ、オープンエリア型、体験型といった新しい試みの中で多くの方々にかかわっていただきました。リゾート体験イベントをとりましても、地域住民の方々が、その特色を生かし、知恵を絞ってこれをつくり上げ、その実施に当たっても体験リーダーや運営スタッフとしていろいろな体験を提供していただきましたが、この博覧会で好評を得た備長炭の炭焼き、あい染め、梅もぎとジュースづくり体験など、引き続き実施していこうとの声が上がっております。
 また、地域イベントにつきましても、企画段階から参加し、その中心となって各地で魅力ある新しいイベントを展開していただき、例えば中辺路町では太鼓グループの結成、古座川町ではイメージソング、本宮町では火祭りを創造するなど、新たな文化の芽や観光資源として今後さらに発展、充実することが期待されるものも数多く生まれております。そのほか、熊野古道ボランティアを初め、さまざまな分野でのボランティア参加、花いっぱい運動、特産品づくりなど、地域の方々に自主的、積極的に参加いただき、博覧会を支えていただきました。
 このような広範囲にわたる博覧会への取り組みは、地域の強い一体感を生み、大きな自信になるとともに、今後の地域づくり、町おこしの機運を醸成させるものであり、南紀熊野体験博の開催はそのきっかけになったのではないかと考えているところであります。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 地場産業、特に漆器、日用家庭用品業界の廃棄物対策についてお答えいたします。
 議員ご指摘のとおり、環境問題に対する関心の高まりを背景として、規制の強化や処分場の不足により地場産業から排出される産業廃棄物の処理が大きな課題となっております。産業活動の発展を図りつつ良好な生活環境を保全していくには、排出事業者それぞれにおいて産業廃棄物の発生を抑制し、あるいは再資源化を図ることが肝要でございます。
 県といたしましても、地場産業の活性化のため、昨年度から地域産業資源循環創出支援事業を実施し、地場産業の廃棄物の実態調査を行い、リサイクルによる新事業の可能性の検討などリサイクルシステムの構築に向けた取り組みを行い、環境の保全とコストダウンによる企業の競争力の強化を図っているところでございます。
 また工業技術センターでは、ご質問の海南の家庭用品業界に関連して、昨年来、原材料のうち焼却の際ダイオキシン排出で問題となるポリ塩化ビニールにかわる素材の開発などに地域企業と共同で取り組んでいるところでございます。さらに、県内にも新たな環境ビジネスの産業創出に意欲的に取り組む企業もございます。
 現在、六企業を中小企業創造活動促進法に基づき認定しており、リサイクル等の技術開発に対する支援を積極的に行っているところでございます。また、きのくにベンチャーランド構想に基づき、九月三十日に設立予定のわかやま地域産業総合支援機構においても、このような企業の支援を強化してまいります。
 今後とも、環境と調和した地場産業の振興を図り、長引く不況に苦しむ産業界の活性化に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番中山 豊君。
○中山 豊君 三点だけ、引き続き県政の課題として追求していただきたいというふうな内容で申し上げたいと思うんです。
 一つは、体験博についてであります。
 生活文化部長のご答弁は大筋で了解をしたいと思うんですけれども、特にその中で地域づくりのきっかけにというお話がありましたが、体験博を総括してこれからの地域づくりにどう役立たせるかがまさしく大きな課題であろうと。やって、済んで、それでよかったというだけで終わらせようというものではないと思います。外から参加して行った者もさることながら、その地域に住む人々が体験博を通じて、自分たちの住むその地域を将来にどうつないでイメージしていくか、そういう力にしていただけるのが熊野体験博ではなかったかという押さえ方をしているので、そういう観点からの総括をぜひお願いをして、こちらの方へもお返し願えるように申し上げておきたいと思います。
 次に、新農業基本法の問題にかかわるお話です。
 僕は、日本の農政というのは、生産性の上がらない農業や地域は基本的には切り捨てていくというのが今までの姿であったし、これからもその基調に沿った形で取り進められていくのではないかと、しぶとく考えているところです。なかなか改まるものではないであろう。
 しかし、部長からは、国土保全機能として果たす役割は大きい、だから国土の環境保全という側面から新農基法もうたわれているし、これからの施策もそういう形で打ち出されてくるであろう、それを有効に、しかも着実に県政に取り入れて、中山間地の農業の活性のために、農地を守るために取り組みをしていくんだというお答えをいただきました。それはそれで結構ですけれども、なかなかそう安易にはいかないのではないか。切り捨てられていく。そうでなかったとしたら、今までもそういう状況で放置されるはずがない。中山間地の農業が傷められて、そこで住んで農業で食っていけない、山林業と合わせて食っていけない、だから都会へ出ていくという過疎化現象がずっと続いてきたわけですから、それを改めようとするのは並大抵なことではないはずです。これをこれからどうするか、つぶさに追求し、お互いに論議をし、見守っていくというふうな形に、これは置いておきたいと思います。決して並大抵なことではないであろうということだけをご指摘申し上げて、その立場から、そのようなことのないように、すばらしい取り組みの方向を打ち出していただけるよう、このたびはお願い申し上げておきたいと思います。
 残事業とのかかわり合いで、野鉄日方駅周辺の日方川にかかわる橋梁の問題です。
 企画部長のお話で、あれはJRに委託された事業だということですが、JRは県から委託されて、委託されたJRが請負業者と契約するという形式で進められているようです。委託されているんだからつべこべ言うなというふうな形で置かれては、我々市民、県民はたまったものじゃないんです。
 だから、委託された条項の中に、いろいろな事業の進捗状況を点検したり、あるいはまた調べたり、問いたださせたり、それを修正させるというようなことは、県の立場で当然あってしかるべきだと思うんです。そういう観点からの監視、監督、指導を強めていただきながら、つつがなく、滞りなく、市民が心配することのないようにこの事業が進められるようお願いをいたしまして、私の第二の質問を終わりたいと思います。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時十九分散会

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