平成11年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(橋本 進議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十六番橋本 進君。
  〔橋本 進君、登壇〕(拍手)
○橋本 進君 お許しをいただきまして、質問させていただきます。
 四月の改選以来初の県議会において一般質問最終日の最終ランナーとして質問をさせていただきますこと、大変うれしく、ありがたく思います。
 ところで、今期定例会におきましては、大変残念なことでございますが、西口知事が体調を崩されてお休みになってございます。副知事を先頭に、当局の方々も大変であったとお察しを申し上げますとともに、西口知事の一日も早い全快をお祈りしつつ、質問をさせていただきたいと思います。
 皆様方におかれましては、連日、大変ご苦労さんでございます。したがいまして、短く、三点に絞ってご質問をさせていただきたいと思います。
 まずその一番目は、朝から中村裕一議員のご質問にもございましたけれども、和歌山市の道路の問題につきまして、我々和歌山市選出の十六人の議員もかなり心配をいたしておりますので、一層のお支え、援護をお願いいたしておきたいと思います。
 和歌山市の都市計画道路の整備促進についてであります。
 県内の基盤整備につきましては、湯浅御坊道路の開通や国道三百十一号の全線改良により、西口知事の提唱する県内二時間行動圏の確立に向けて大きく前進をするとともに、紀伊半島一周の高速道路も現実のものとなり、さらに京奈和自動車道につきましても、橋本道路が着工され、紀北東道路も都市計画決定されたところでございます。そして、懸案でありました紀淡連絡道路も全国総合開発計画に明記されるなど、主要自動車道路構想は着々と進展してございます。これは、西口一期県政の大きな成果の一つであることは申すまでもございません。
 こうした基盤整備が進む中で難航しているのが、ご承知の、和歌山市の都市計画道路の整備問題であります。もちろん、用地取得の困難さなど多くの課題も抱えていることは私も十分承知をいたしてございますが、私なりに常々考えているところの一端を述べさせていただき、当局の考えをお聞かせいただきたいと思います。
 道路は、人や車の通行空間としての機能ばかりでなく、電気、ガス、通信、上下水道等のライフラインを収容する空間として、また町の区画の構成、都市防災機能の確保、さらには将来の都市開発の促進等、さまざまな機能を持っており、都市活動にとって根幹的な施設であることは申すまでもありません。そのために、都市内において将来の都市のあるべき姿を想定し、その基幹となる都市計画道路を都市計画決定しているわけであります。この都市計画道路の整備の進みぐあいによって町づくりが左右されてくるわけであります。
 そこで、県及び和歌山市の都市計画道路の整備状況はどうかと言いますと、全国平均より相当低いと聞いておりますが、和歌山市内で生活をしている者の感覚としても、市内の中心部を除いて非常におくれていると実感しているところであります。特に、紀の川を横断する橋梁整備、JRを横断する道路、また紀の川北部とともに貴志川方面と市内中心部を連絡する市内南東部の整備がおくれているのではないかと強く感じているところであります。
 現在、県、市及び建設省において、西脇山口線、湊神前線、南港山東線、和歌山北バイパス等の事業を積極的に行っていただいておりますが、残念ながら、住民感覚としてはなかなか進んでいないと感じるのも正直な実感であります。私としても、何とか早く整備が進む方策がないかと常々考えているところでございます。
 そこで、私なりに考えていることの一端を述べさせていただき、私の案を含め真剣に検討いただいて、都市計画道路の整備が進み、和歌山市の町づくりが進展するよう強く望むものであります。
 そこで第一点目は、事業手法の問題であります。
 都市計画道路と言えば、建設省の機構で、都市局所管の街路事業や土地区画整理事業による整備ということになると思います。事実、現在の和歌山市内中心部の立派な町並みができたのも戦災復興土地区画整理事業によるものであり、また国体道路もしかりであります。現在も、西脇山口線や湊神前線など街路事業で整備されているわけでありまして、まず都市局事業の積極的な展開を図ることは言うまでもございません。しかしながら、聞くところによれば本県の街路事業予算は他県に比べ相対的に少なく、また急に和歌山県の予算だけを増額させることも限度があると考えられ、今後他の事業手法を用いないと幾ら頑張っても全国平均に近づけないどころか、もっと引き離されてしまうのではないかと危惧するところであります。そのためには、街路事業予算に比べ予算額も多い建設省の道路局事業の予算を和歌山市内の都市計画道路の整備に積極的に充当して進めることが、おくれている市内の都市計画道路の整備を促進する上で重要なポイントとなるのではないかと思うわけであります。
 二つ目は、用地取得を迅速に進めることであります。
 幾ら予算が手当てできても、その予算を執行しないと何にもならないわけであり、道路整備には県民の協力、特に用地所有者の協力が不可欠であります。毎年予算がついたものの用地交渉がうまくいかず、翌年度に繰り越す額も相当多いようで、今議会においても十年度予算の繰り越し案件が提出されております。都市計画道路の整備の大部分が用地補償であることを考えると、用地の早期取得が都市計画道路の早期整備に直結するわけであります。県においても、用地スタッフの充実を図ることがまず第一であるということで、用地の専門家を養成すべく用地主事の採用を行っているようでありますが、今後は、従来の買収方法だけでなく、新たな、例えば建設省でも試験的に実施している用地取得の民間委託も検討する必要があるのではないかと思うのであります。
 三つ目は、地元の協力であります。
 公共事業を円滑に進めるためには、担当職員の努力は申すまでもございませんが、地権者を含む地元の方々のご協力、さらには関係する地元市町村の協力が大きなウエートを占めるものと思われます。そこで、県としても、用地取得の地ならし等についてもこれまで以上に関係自治体の協力を求めていってほしいと思います。
 以上、都市計画道路を早期に整備するための私なりの考えを述べたわけでありますが、三つ目は要望とし、最初の二点については土木部長のお考えを伺いたい。
 二十一世紀を目前にした今、従来の考え方にとらわれない柔軟な発想で整備を進めていただき、都市計画道路が一日も早く整備されるよう強く要望するものであります。
 次に、和歌山市の商店街の振興策についてであります。
 町の中心市街地は、今日に至るまで経済活動の基盤の役割を果たしており、人、物、金、情報の交流の中核的な担い手であります。また商店街は、単なる商業集積機能を超えて、祭り等の文化、治安、防災、地域社会の形成といった社会インフラとしての機能を果たしております。近年、急速に深刻化している中心市街地商業の空洞化は、町のにぎわいや地域の社会活動の担い手の喪失ももたらし、町そのものの存在自体が揺るがされかねない状況であります。
 市内の各商店街の状況を見ますと、空き店舗が増加し、平日には買い物客の姿はほとんどなく、休日でもかつてのにぎわいを見せている商店街は皆無に近い状況であります。特に昔は買い物客で平日にぎわいのあったみその商店街は、市の玄関口でもある和歌山駅前という立地条件にありながら店舗のうち四〇%が閉店しており、商店街組合の理事長を初め、組合員の方々がさまざまな努力をしておりますが、かつてのにぎわいを取り戻すにまで至っておりません。
 このような商店街の衰退は、消費者のライフスタイルの変化や車社会の進展、それに郊外型大規模小売店舗の進出等外的要因や、後継者問題、消費者ニーズへの対応のおくれ等の内的要因によるところが大きいものと思われます。高齢化社会が進行する中で、商業やサービス等の機能が身近に備わっている商店街が高齢者などの交通弱者にも暮らしやすい生活環境を提供できることもあわせて考え、商業基盤の整備や空き店舗対策等の各種ソフト事業を集中的に実施し、商店街の活性化を図っていく必要があると考えますが、商工労働部長のご見解を伺います。
 続きまして、二〇〇八年の夏季オリンピックについてであります。
 本問題につきましては、先般来、大江議員や和田議員から既にご質問をいただいておりますが、オリンピックは国際スポーツの最高の権威を持つ最大のイベントであります。世界のトップ選手が自己の能力の限界に挑むその姿、また全力で競い合った勝者と敗者は、国籍や人種を超え、世界じゅうの人々に生きる勇気と感動を与えてくれるものでございます。
 さて、二〇〇八年の夏季オリンピックには、現在のところ、大阪市を初め、北京、パリ、クアラルンプールなどが立候補を表明しているところであります。オリンピックの開催地決定方法については、加熱した誘致合戦のために改革が加えられ、二〇〇六年の冬季オリンピックについては、IOC委員による現地視察の禁止や投票についても開催都市決定日に二段階で行う新方式が取り入れられ、この六月十九日の選考会議でイタリアのトリノでの開催が決定されたところであります。
 二〇〇八年の夏季オリンピックについても来年二月まで国外での誘致活動が禁止されるなど、競技会場や施設等を大きなセールスポイントにしている大阪市は、今回の改革に戸惑いを見せているところであります。二〇〇八年のオリンピック開催都市として北京とともに有力な候補地であることは間違いございません。
 和歌山県議会では、平成九年三月に第二十九回オリンピックの大阪招致について決議をし、その後、本会議において本県でのヨット等の一部競技の開催について要望してきたところであり、県当局としても積極的に誘致に努めてまいるところであるとご答弁をいただいております。
 和歌浦湾は、水質、風速、潮流、船舶交通等、どの点から見ても全国的に非常にすぐれたヨット競技の会場であると定評のあるところでございます。またヨット競技に取り組む人材も、星林高等学校や和歌山大学など、長い歴史の中で数多く育っており、それらの人たちによって、世界的な国際大会や各種の国内大会など、ここ三年を見ても十三競技大会を主催あるいは主管してきた実績を誇るものであり、日本セーリング連盟や国際セーリング連盟の高い評価を得てきたところであります。
 私は和歌山県セーリング連盟の会長をさせていただいておりますが、平成九年に二〇〇八年オリンピックの日本の候補地として大阪市が決定されたころは本議場においても論議がなされ、また県当局あるいは教育委員会から大阪市への働きかけもなされたところでありますが、ここ二年ばかり余り目立った動きがなく、我々セーリング連盟といたしましても非常にやきもきしているところでございます。
 そこで、質問をいたします。
 まず、二〇〇八年のオリンピック開催地は再来年の二〇〇一年九月にIOC国際オリンピック委員会で決定されるところでありますが、大阪市に決定された暁にはヨット競技を和歌山に誘致され、和歌浦湾でヨット競技を開催されるおつもりがあるのか、改めて本議場において県当局のご決意を副知事にお伺いいたします。そして、そのことを大阪市及び国際セーリング連盟等に正式に表明されるよう、強く望むものであります。
 次に、和歌浦湾を会場とした場合の具体的な競技開催プランを樹立する必要がありますが、県としてそのことに対し、早急に着手していただきたい。県セーリング連盟といたしましても、全力を挙げて取り組みたいと存じます。
 最後に、これらオリンピックを初め各種国際大会を開催するためには関連する諸施設の整備が必要であり、和歌山県のヨット競技誘致が本気であるとの具体的な意思表示のためにも来年の夏ごろまでに建設されることを強く要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。何とぞすばらしいご答弁をお願いいたしまして、終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの橋本進君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 橋本議員にお答えいたします。
 二〇〇八年の夏季オリンピックにおけるヨット競技の和歌山への誘致の問題でございます。
 オリンピックのヨット競技を本県の恵まれた海洋条件のもとで開催することは、県民に大きな夢と希望を与えるものでございます。今後とも、日本オリンピック委員会や大阪市の動向を見ながら、県セーリング連盟と連携し、誘致活動に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 私からは、都市計画道路の整備促進について、そのうち事業手法の問題についてお答え申し上げます。
 本来、都市計画事業につきましては、施行者は市町村が主体でありますが、都市計画道路については、道路網が国道、県道、市道で構成されることから建設省事業や県事業を組み合わせながら、また予算的には国の補助体系により、おおむね市街地部の内側は都市局事業で、また市街地部の外側は道路局事業で整備を進めるという役割分担のもとで整備を図っているところであります。
 市内の道路ネットワークを構築するためには、現在事業中の箇所の早期整備を図るとともに、続く区間の整備が必要となります。このため、県、市が連携をとりながら、市駅小倉線については近畿道紀勢線から西側は都市局事業、東側区間は道路局事業で、また南港山東線については和田川付近から西側は都市局事業で、東側は道路局事業により事業を推進しております。また、西脇山口線、松島本渡線等の未整備区間についても、議員ご指摘のとおり、両方の予算の積極的な投入により整備を図ってまいりたいと考えております。
 続きまして、用地取得の迅速化についてのお尋ねです。
 用地交渉は、地元説明会を初め、用地測量、建物調査など、さまざまな業務が一連の流れとなって成り立っています。言いかえれば、説明会で地権者の方々と初めてお会いするときから用地交渉が始まっているとも言えます。
 公共事業における用地交渉とは、補償金の妥当性を説明し、地権者の方々にこの内容が公正かつ公平であることの理解に向けて行うものであり、相手方との信頼関係が必要な業務であります。また、関係者等のプライバシー保護の問題もあり、用地交渉を民間業者等へ委託することは現在のところ難しい点がございますが、用地需要が増大する時期でもあり、議員のご提案につきましては、今後国及び府県等の動向も踏まえ、事業の促進を図る方策の一つとして用地取得業務における民間の活用方法を検討してまいりたいと存じます。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 和歌山市内の商店街の振興策についてお答えします。
 議員お話しのとおり、和歌山市内の商店街を取り巻く経営環境は大変厳しいものがございます。そのため和歌山市では、昨年度、市全体の商業分析を行い、消費者ニーズの多様化や高齢化社会など社会環境の変化への対応、商圏の維持拡大、また経営者及び商店街の質的向上を基本目標に、和歌山市の町づくりを含めた商業全体の活性化ビジョンである和歌山市商業等活性化基本計画を策定し、商店街再生への取り組みを始めているところでございます。
 ご指摘のありましたみその商店街につきましては、従来から物産販売店や商店街を訪れる方の休憩所として空き店舗を活用する事業、また商店街案内アーチやサインポールを設置する商業基盤施設整備事業について、和歌山市と連携して支援を行ってきたところでございます。
 今後、この基本計画に基づいて地元商店街組合等が実施する活性化策に対し、県としても和歌山市と連携して取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、橋本進君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
     ─────────────────────
  【日程第三 請願付託の件】
○議長(下川俊樹君) 次に日程第三、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 お諮りいたします。六月二十九日、三十日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、六月二十九日、三十日は休会とすることに決定いたしました。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次会は、七月一日再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十三分散会

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