平成11年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十六番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 議長のお許しを得ましたので、順次質問をさせていただきます。
 まず初めに、フォレストシティ計画の開発許可についてお尋ねを申し上げます。
 県は、平成九年一月二十二日、フォレストシティ計画の事業主体である和興開発株式会社に都市計画法及び森林法、宅地造成法等による開発を許可いたしました。このフォレストシティ計画は、和歌山市の北部、和泉山系南ろくの急峻な山林三百十五ヘクタールを切り開き、ゴルフ場、住宅、ホテル用地などを造成し、リゾート地を形成するとした大規模開発であります。この計画地の真下に住む多くの住民が、開発による浸水被害、交通渋滞の増大、二次災害の危険性、あるいはゴルフ場の農薬散布の被害、そして鳴滝不動尊の霊場であるお滝の水が枯渇するなどを訴えて大きな反対運動が起こりました。和興開発は、さまざまな反社会的な行為を続ける中、司法において厳しく断罪をされ、経営責任者である社長は辞任に追い込まれてしまいました。そして、経営すべてが紀陽銀行の管理下に置かれたものの、決して会社としての社会的信用を取り戻すことはとても無理と言わざるを得ません。なのに、県は許可を与えたわけです。ところが、許可後わずか一年の後、平成十年二月十八日、和興開発は会社更生開始手続を和歌山地方裁判所に申請いたしました。裁判所は平成十一年五月十一日、つい先日、申請を棄却し、同時に破産を宣告したところです。これは事実上の倒産です。したがって、事業主体の存在しなくなったフォレストシティ計画の遂行は将来的に不可能となったと言えます。私は、このように考えます。
 これまで和興開発は、計画を進めるに当たって、社長みずから国土法、所得税法違反によって実刑判決を受け、企業としての社会的信用を失墜しました。紀陽銀行などから多額の融資を受けたものの、その金利さえ払えないという経営状況に陥りました。そして許可取得後は、銀行等からの融資は一切打ち切られています。
 私は、許可当時においても破産状態にあったことを平成十年二月の本議会において指摘をいたしました。和興開発の資力、信用状況は到底許可条件に値しないことをもこの議場で指摘してまいりましたが、西口知事は、あえて和歌山の活性化を図るために書類審査が正しいものと確信をして決断し許可をしたと答弁いたしております。私は、今においても許可が適切だったとは到底思えないのであります。改めて、ここでお尋ねをするものです。
 和興開発株式会社の開発許可直前の決算報告書を見てみますと、平成八年十月三十一日時点で負債額六百七十三億円、債務超過額三百六十八億円、そして平成十年二月十八日の会社更生法適用申請時の債務超過額は四百七十億円にも達し、さらに申し立て時の銀行等の融資残高は紀陽銀行と紀陽ビジネスファイナンスを合わせて五百五十八億円にも上っていますから、これは確実に破産という状態であることが明白でもあります。加えて申し上げますならば、許可直前には、工事施行業者である東急建設が撤退をするという動きもありました。
 これらの状況から見ても、許可条件を満たしているとはとても言えるものではありません。私は、許可取り消しはごく自然であって、当時の許可権者である県の行政責任は厳しく問われなければならないと思うものです。いかがでしょうか。また、資力、信用に問題はなかったと今日でもお考えですか。都市計画法は和歌山市に移管したとはいえ、土木部長の所見をお聞かせ願いたいと思います。林地開発許可にかかわる農林水産部長の所見も、あわせて伺いたいと思います。
 次に、森林法改正による旧基準の廃止を林野庁に求めてはいかがでしょうかという問題です。
 平成二年六月十日、森林法改正によるゴルフ場造成に係る残地森林率と切り土、盛り土量に新たに抑制基準を設け、森林の保全と二次災害防止に役立てようとするものであります。これは、二年間の経過措置を経て既に八年になります。ところが、平成四年六月十日以前に開発許可を申請した事象については、今なお旧基準の適用となり、新基準の対象にはなりません。新基準による厳しい抑制を逃れるため、各事業者は駆け込み式に多く申請されてまいりました。いつまでも旧基準で審査が行われることは、新基準の目的にも相反することになります。森林法の根本を変えるものではないと思いますので、旧基準の廃止を国に求める必要があると考えるものです。農林水産部長、いかがでしょう。
 次に、県営住宅の合併浄化槽の維持管理費の問題について質問を申し上げます。
 最初に、県営川永団地で起きている問題についてお尋ねをするところです。
 川永団地では、この四月から二千四百人槽の合併浄化槽の供用が開始をされてまいりました。それに先立つ二月二十七日、各棟長や自治会長らを集めた説明会が開かれました。そこで、保守点検及び清掃の契約を和歌山県浄化槽協会と結び、団地全体では保守点検費が年額八百六万四千円、清掃料金が六百三十六万円、合わせて千四百四十二万四千円にもなります。一戸当たりでは、電気料を含め、平均で月額約二千六百円になるという報告がなされております。
 同団地では、これまで単独浄化槽で、住民の負担は月額五百円でしたから、約五倍にもはね上がることになります。住民の皆さんから、なぜこんなに高くなったのか、値段の根拠をきちんと説明してほしいとの声が出され、住民有志が説明を求める陳情署名を募ったところ、一週間ほどで世帯の六割を上回る三百三十二世帯、七百八十四名の方から賛同署名が集まったとのことです。県も、こうした声にこたえて、三月十九日から四回にわたって住民を対象にした説明会を開きました。とても住民の皆さんの納得を得られるものではなかったようです。千四百万円という料金の根拠が明らかにならないばかりか、県が業者を一方的に押しつけるのでなく、自分たちで業者を選ばせてほしいとの意見には全く答えることをしなかったのです。ところが、県は四月十九日になって、住宅課長名で「維持管理契約の早期締結について」との文書を全世帯に送りつけています。住民が県浄化槽協会と維持管理契約を結ばないのはまことに遺憾だとし、「このままの状態を続けられますと、浄化槽が使用できなくなり皆様の生活に支障を来すことになるばかりか、浄化槽に重大な損害が生じ、最終的に皆様にその損害を負担していただくことになります」、そして「四月三十日までに、入居者の代表者が(中略)社団法人和歌山県浄化槽協会との浄化槽の維持管理契約を締結されるよう求めます」と、半ば住民を脅迫する文書を送りつけています。
 そこで、土木部長にお尋ねをいたします。
 部長、あなたは、住宅課長が住民に送りつけた文書で言うように、川永団地住民は県浄化槽協会とだけ契約を結ぶ義務があると考えられるのでしょうか。なぜ、他の業者ではだめなのですか。県浄化槽協会との契約を結ばなければならない条例上の根拠があるのでしたら、お示しください。また、新たに設置された浄化槽の維持管理は、新たな維持契約が結ばれるまでは設置主体である県の責任で行う必要があると考えるものですが、所見をお聞かせください。
 次に、川永団地の問題で明らかになったように、県営住宅の合併浄化槽の契約方法には、私は大きな問題点、改善の必要があると考えるものです。そこで、住宅課に県営住宅の合併浄化槽の維持管理、清掃の契約状況をお聞きいたしました。県内には、合併浄化槽を設置している県営住宅が三十四団地あります。それぞれの団地について、年間契約額及び業者名などについてお聞きいたしましたところ、民間と民間の契約だから明らかにできないとの回答でありました。おかしいと私は思います。民民契約であるなら、団地住民が自由に契約の相手先を選べるはずです。ところが、それは許されていません。県が浄化槽協会に保守点検及び清掃を委託する契約をみずから結んでいるからです。住民は、協会から提示された料金を問答無用に押しつけられているのが今の実態です。
 浄化槽の保守点検は、浄化槽法第十条第三項において、登録を受けた者に委託することができるようになっています。浄化槽保守点検業者の登録に関する条例に基づき県に登録されている浄化槽業者は、二百二十一社あるいは二百二十一人あります。県浄化槽協会もその一つでありますが、それ以外に二百二十社あるいは二百二十人あります。公益法人だから安心して委託できると言うのであれば、登録された業者の中にランクをつけることになり、登録制度への信頼性を失わせるものになります。
 そこで、土木部長にお聞きをいたします。
 登録業者二百二十一社あるいは二百二十一人の中で、県営住宅について、浄化槽協会のみを契約の対象にしているのは契約の一般競争入札の原則に反すると考えるものですが、いかがですか。県が委託している浄化槽協会は、協会自身がすべての県営住宅の保守点検、清掃を実際に行っていると考えているのでしょうか。協会が各地域の支部に加盟している業者に実際の業務を下請させているとしたら、これは建設業法では禁止されている一括下請、いわゆる通称丸投げに当たるのではありませんか。浄化槽の契約においてはこの丸投げが許されるとお考えですか、所見をお聞かせください。
 続いて、お聞きを申し上げます。県営住宅条例第二十条では、四つの項にわたって入居者に負担義務のあるものを列記していますが、これには個々の入居者が負担するものと入居者全体で負担するいわゆる共益費と呼ばれるものが一緒に含まれています。また、入居者の負担義務のあるものすべてが現在入居している人だけに負担がかかってきますから、空き家の多い団地では入居者の負担がふえることになります。通常、民間アパートでは、ご存じのように共益費は家主さんが徴収するのがごく普通です。和歌山県は、徴収するのは家賃だけで、共益費的な費用も自治会が集めることになっています。
 大阪の住宅条例や施行規則を見てみますと、知事が徴収する共益費の範囲を規定しています。その計算方法についても、住民の負担に配慮したものとなっています。ちなみに大阪府では、浄化槽に係る費用は、電気代については全額住民負担とし、維持管理費については半額を大阪府が負担するとなっています。
 そこで土木部長、空き家分の共益費など、県営住宅の設置者である県が負担するのが当然なものもあるでしょう。共益費の範囲を規定し、県として住民負担を軽減するように改善していただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
 この問題の最後に、現在の県営住宅の浄化槽の保守点検、清掃費の値段が適正かどうかという問題についてお尋ねをいたします。
 先ほど触れましたように、すべての県営住宅の保守点検費、清掃費についての価格の資料を求めましたところ、県からは拒否をされました。和歌山市内の一部の県営住宅だけは一戸当たりの月額料金が示され、それから推計しますと、一年間の一人槽当たりの費用は、安い県営住宅で約六千円、高いところで九千円近いというものでした。
 一人槽当たりの費用というのは費用総額を浄化槽の規模、人槽で割ったものですが、これを県の振興局などが入っている総合庁舎の合併浄化槽の費用と比較をしてみました。総合庁舎の契約額については、管財課が金額を明らかにしたものです。管財課によりますと、西牟婁総合庁舎の一人槽当たりの費用は千四十一円、日高総合庁舎が千七百五十三円、伊都総合庁舎が三千五百九円、那賀総合庁舎が三千三百八十一円となっています。これらは、県が直接それぞれの地域の浄化槽業者と契約をしております。県営住宅のように、県浄化槽協会と一括契約ではありません。安い総合庁舎と高い県営住宅では約八倍以上の差があります。高い総合庁舎と安い県営住宅でも、県営住宅の方が二倍も高くなっています。これらの価格の違いは、浄化槽の規模の違いや住戸と庁舎という違いもあるでしょう。県営住宅の浄化槽の維持管理料が不当に高いのではないかとの疑問を持つのも当然ではないでしょうか。
 土木部長、県営住宅の浄化槽維持管理料金については、先ほども述べましたように、契約方法にも問題がありますし、料金そのものも高いのではないかと私は考えるものですが、県として、県内の県営住宅の浄化槽の維持管理料金が適正かどうか調査していただきたいと思うところです。いかがなものでしょうか。
 最後に、介護保険の問題についてご質問を申し上げます。
 介護保険の問題については、これまで本議会でも多くの議員から、基盤整備のおくれや保険料がどうなるのかなどについて、心配する意見が多く出されてきました。私も昨年の十二月議会でこの問題の基本的な課題について取り上げ、基盤整備の充実や市町村への財政支援、保険料や利用料については減免制度をつくり、低所得者の方が介護保険制度から排除されないようにすることなどを求めました。これらの点はますます重要になってきていると思うわけです。
 いよいよこの十月から介護認定の申請手続が始まろうとしています。本議会にも、介護認定を受けた人から出される不服申請を審査する介護保険審査会の公益委員定数を定める条例案が提案されています。県では、既に指定事業予定者への説明も開催され、市町村でもその需要調査や実務準備に追われております。市町村の現場の担当者からは、実際に四月から実施できるか不安ですとの声もよく聞くところです。
 朝日新聞の和歌山版に三回にわたって連載されました「どうする?介護保険 市町村アンケートから」でも、三つの自治体の担当者が、「準備対策が万全でなく、時間も残り少ないので開始時期の延期または制度の凍結を望む」という意見のあったことも紹介されています。同じ連載記事によりますと、介護保険制度導入の課題や問題についての市町村からの回答では、多い順番から申しますと、「サービス基盤の確保」、「住民の理解」、「保険料徴収」、「訪問調査員や認定審査会の委員、ケアマネジャーの確保」、「要介護認定の公平性」が課題や問題点として挙げられています。来年四月になって国民から介護保険料を徴収しながら、それにこたえるべくサービス提供の体制がとられないとしたら、保険制度そのものが成り立たないことになります。そして、今の状況ではそうしたことも十分考えられることから、私は、整備目標そのものを実態に合ったものに引き上げることや、国が基盤整備の充実のために新たな助成措置をとるなどの改善を行い、一定の介護サービス体制が整うまでは保険料の徴収を延期することが必要になってくるのではないかとも考えるところです。
 介護保険は在宅サービスを柱とすることになっていますが、それを担うホームヘルパーさんの人数は、和歌山県では老人保健福祉計画が策定された九一年に四百四十三人、それから七年を経過した九八年度末では約五百人ふえて九百三十八人、今年度末の目標である千五百二十四人の整備目標に対して、今六一・五%の到達率にすぎません。さきに紹介した朝日新聞のアンケートによりますと、ホームヘルプサービスの将来の利用希望者が現在の利用者の二倍以上になると見込んでいるのは、橋本、新宮市など十三市町、三倍以上が有田市など五市町村、五倍以上が由良町など二町村もあるとのことですから、とても在宅介護の需要に応じられないことが現実に出てくるということを心配するものです。そして、入所施設の中心である特別養護老人ホームは、入所を申請しながら入れない待機者が、九六年四月で九百七十九人、九七年では千三百九十二人、九八年が千四百九十八人と、うんとふえてまいりました。
 福祉保健部長にお尋ねをするわけですが、介護保険審査会の運営についてであります。
 公益委員の人選は、介護の実態を熟知した方に委嘱されることを強く要望したいと思います。不服審査は認定に対して県民が異議を申し立てるものですから、特に実施初期には多数の申請が出される可能性も予想されます。ドイツでは、九五年、介護保険制度の発足時は八万件の異議申し立てがあったと言われていますから、県民の申請を迅速に処理できるような体制をどう考え、また申請の方法についても窓口を広く設定するなど、郵送など簡単な方法で行えるようにする必要があると考えるものですがいかがなものでしょうか、お示しください。
 また、特別養護老人ホームに入れない人が多数になることは確実だと考えます。目標設定の実態から離れた老人保健福祉計画を策定し、こうした状況を招いた県の責任をどう認識され、最重度の介護度五に認定された方への入所をどう保障されるおつもりなのでしょう。介護保険の実施に向けて需要調査が実施されたわけですが、その結果の報告を求めるものです。中でも、特別養護老人ホームへの入所希望、需要の状況はどうなっておりますか。
 以上、これで第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) フォレストシティ計画の開発許可について、その一点目、事業主体のない計画許可は取り消しをについてでございます。
 当許可申請は、都市計画法による必要書類が許可要件どおり整っていたため許可を行ったものであります。その後、社会情勢の変化により会社更生法の適用申請がされ、今回棄却されたことはまことに遺憾なことと思っております。
 開発許可の取り消しにつきましては、既に和歌山市に権限を移譲しており、今後の対応については和歌山市の判断になり、推移を見守ってまいりたいと思っております。
 次に、許可に係る資力、信用に問題はなかったかについてでございます。
 資力及び信用についての審査は、都市計画法施行規則で定められている資金計画書のほか、法人の登記簿謄本、事業経歴書、納税証明書に統一することと定められており、それに基づき審査を行ったものであります。
 資金計画については、処分収入を過当に見積もっていないかどうかに留意することとされております。このため、提出された開発許可申請書の資金計画について、処分収入の審査を慎重に行った結果、事業の採算性のとれた計画となっており、問題はなかったものと考えています。
 次に二点目、県営住宅の合併浄化槽の維持管理、清掃費について、まず県営川永住宅団地の合併浄化槽の維持管理について一括してお答え申し上げます。
 川永団地につきましては、従前の単独処理浄化槽が老朽化により機能を果たしておらず、放流水の水質が悪化していたため、自治会長など入居者の代表者の方々と十分協議を行い、団地のご了解を得た上で、法律上その設置が義務づけられている合併処理浄化槽を設置する工事を行い、現在稼働しているところでございます。
 浄化槽の維持管理費用はいわゆる共益費の一部であるという考え方もありますが、県営住宅条例にはその規定はなく、第二十条では、汚物の処理に要する費用及び汚水処理施設の使用または維持管理に要する費用は入居者の負担とすると規定されております。
 川永団地の浄化槽の維持管理費用につきましては、入居者が全額を負担している近畿の他県における浄化槽の維持管理費用の調査状況等から、妥当なものであると判断しております。今後とも、入居者の方々にはご理解をいただくよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、委託契約のあり方と改善について、一括してお答え申し上げます。
 浄化槽が順調に稼働していなければ、入居者の日常生活に支障を来すことになります。そこで、県営住宅の浄化槽の維持管理業務につきましては、浄化槽の規模が大きいこと、常時適正に稼働していることが不可欠であること等から、過去の実績や技術力、施設に異常が発生した場合の緊急対応能力等を勘案し、社団法人和歌山県浄化槽協会にその業務を委託しているところであります。協会では、実際に協会の会員業者等の指導監督を行いながら、保守点検及び清掃業務を的確に実施しております。
 なお、浄化槽の維持管理業務の契約についてより適切な方法があるかどうか、今後の研究課題としてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 村岡議員にお答えいたします。
 フォレストシティ計画の開発許可に関しての、一、事業主体のない計画許可の取り消しについてでございます。
 さきに林地開発許可を行った当該案件につきまして、過日、会社更生法の適用申請が棄却されたことは、まことに遺憾なことと存じております。
 森林法における許可の取り消しについては、許可の条件に違反した場合に限り取り消しができることとなっております。したがって、今回の事態はこの取り消しの要件には該当しないので、許可の取り消しはできないものと判断しております。しかしながら、会社が破産したことにより事業の実行が困難になったと考えられることから、既に破産管財人に対し、事業廃止届の提出をするよう指導しております。
 次に、森林法改正による旧基準は廃止すべきとのご質問についてでございます。
 一般的に、開発基準等の改正が行われた場合、混乱を避けるため、経過措置が講じられることとなっております。本県の場合、新基準が設けられた趣旨を生かすため、経過措置の適用事案についても、個々の協議の中ででき得る限り新基準に近づけるよう指導を行ってまいったところでございます。しかしながら、相当の期間も過ぎていることから、その取り扱いについて国とも協議を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 介護保険についての三点にお答えいたします。
 まず、介護保険審査会についてでございます。
 本年十月から準備要介護認定が市町村等で開始されることから、今議会で認定処分にかかわる公益を代表する委員の定数を定める条例を上程させていただいております。なお、本審査会の内容としては、認定処分と認定以外の保険料等の処分の二種類がございます。
 県といたしましては、認定処分の不服審査に迅速に対応するため、南北に長い本県の地勢を勘案して、本庁以外に伊都、日高、西牟婁、東牟婁の各振興局に公益代表の合議体を設置することにより県民の利便性を図るとともに、法律関係者、学識経験者、医療保健福祉関係者の適正な委員配置に考慮してまいりたいと考えております。
 なお、不服審査の申請方法については今後要綱等で定めてまいりますが、いずれにいたしましても、県民にとって簡易で短時間で行えるよう、最寄りの振興局もしくは市町村において対処したいと考えております。
 次に、介護保険制度は、介護が必要になってもできる限り住みなれた自宅で生活ができるように居宅介護サービスを重点的に提供し、居宅介護サービスでは対応できない方々に対しては介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設の施設サービスを提供するものであります。これらの三種類の施設を合わせて、現在整備中のものを含めると約八千床になっております。県といたしましては、要介護度五で認定された方々が介護老人福祉施設に入所できない場合には、一時的に他の施設や居宅介護サービスを利用していただきたいと考えております。
 また、市町村高齢者実態調査、ニーズ調査の結果等を基本に、今後必要な居宅介護サービスや施設サービスを盛り込んだ老人保健福祉計画及び介護保険事業支援計画を市町村と協議しながら策定してまいりたいと考えております。
 最後に、実態調査についてでございます。
 昨年秋、高齢者一般調査を実施した上で、さらに介護が必要と考えられる約二万五千人を対象として、要援護高齢者需要調査並びに特養待機者調査を行ってきたところでございます。本調査の結果につきましては、現在市町村と数値を精査しているところでございまして、介護度別等の実数も含め、七月中には公表してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十六番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。実に血の通わない答弁であったと思います。
 フォレストシティの問題。土木部長、再三私たちは申し上げてきましたけれども、とにかく和興開発というのは昭和六十二年の計画当初からさまざまな問題を起こしてきた企業でもあります。そして、平成元年あたりから用地買収における国土法違反、脱税指南といったような、法に照らしてみても本当に許しがたい行為を平然としてきた企業であるわけです。しかも、この開発許可という時点に至るまでの間は、こうした問題を繰り返し繰り返し指摘をされていながらもやめなかったという企業でもあります。ましてや、銀行から借りた五百七十億円余りの融資額の元金はもちろんのこと、利払いさえもできなくなっていたという実態が平成五年にはあるわけです。この平成五年の時点では、現実的にもう会社はほとんど事業ができていないという状況に陥っていたわけです。にもかかわらず和歌山県は、せっせと燦黒潮リゾート構想の一つとしてフォレストシティを推進するという立場を貫き通しました。
 経済的な──とりわけ企業の社会的責任というものと社会的信用というものについて、本当に県が信用できるというふうに、そしてこの会社が三百十五ヘクタールに及ぶ巨大開発をやれる業者かどうかということも判断できたのかどうか。
 東急建設は、もうこの計画当時からいろいろとうわさされてまいりました。そして許可後直ちに撤退をするという、そういう状況にもなったわけです。その上、許可される直前の負債総額もすごいものです。また、先ほども申し上げましたように、平成八年の許可何カ月か前の時点においてもかなりの債務超過額があると出ているわけです。こういう状況で許可してわずか一年余りで企業が会社更生法を適用申請するということは、もうその何年か前からこういう事態がずっと続いていたと見なければならないと思うんですけれども、こういう事態については一体どのような審査をされたのでしょう。そのことについて、まずお答えをいただきたいと思います。
 書類上での審査ということをおっしゃっていましたけれども、でもこの企業については、ことごとく反社会的な行為を行ってきたという点からも、一般的な審査のあり方であってはならないと思うんです。そういう点をどういうふうにして審査されたのかということについてお答えいただきたいと思います。
 それと、合併浄化槽の問題です。
 これは、条例には別に共益費とかそういったものについて定めていない、規定にはない、だから今のままでいいんだ、近畿の状況を見てみたらよその府県でもみんな住民が全部負担していた、これで妥当だと考えるというふうにご答弁をされたわけですけれども、しかし私どもが調査をいたしましたところ、大阪は共益費という名目で規定し、電気代は全額住民が払うけれども、保守点検費については府が半額を補助しているということを明記されています。それから奈良については、保守点検は県が負担をし、電気料については住民が負担をしていると。しかも、これは住宅供給公社に委託をしているわけですから、そういう点では住宅供給公社と地域の業者との契約になっていて住民との契約にはなっていないということも、私どもの調べであります。兵庫県は、県と自治会と業者とが見積もりをとった上で論議をして契約するということが一つの方法としてあるということと、二つには自治会と地域の業者が自由に契約をするケースがあると言われていますし、京都は自治会と業者が自由に契約をしています。和歌山県はどうかと言えば、県の住宅課と県の浄化槽協会という登録業者とが委託契約をしているということです。そして料金については、住民に一方的に押しつけているということです。しかも、空き家の分まで全部住民に負担をさせているということになっているわけですけれども、こういう点でも、私は今のあり方について、住民が納得をしていないわけですから、今後の研究課題にするのではなくて直ちに検討をしていただきたいと思うんです。そういう点でどのように考えられるのか、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
 県の浄化槽協会一社だけですべての県営住宅の維持管理などの契約をしているということも、問題ではないでしょうか。二百二十一社あるいは二百二十一人の登録業者がいるわけでしょう。だから、いわゆる独占的に県の協会と契約するということ自体、甚だおかしいと思うんです。業者にランクづけがあるんですか。
 土木部長、先ほど、浄化槽が大きいということ、技術と経験がある、そういう点で協会と契約をしているんだとおっしゃいましたけれども、こういう点から見れば、契約をしていない業者については一定のランクづけをされているのでしょうか。これについても甚だおかしいと思いますが、お答えいただきたいと思います。
 一般競争入札なり、あるいは随意契約であったとしてもきちんと公開をして契約を結ぶということの方が、県の浄化槽管理者としての果たす役割がはっきりしてくるのではないでしょうか。幾ら協会の中に入っている業者であったとしても、それは下請になりはしませんか。指導監督をしながら、十分監視を強めながら仕事をやってもらっていると言いますけれども、業者として登録している以上は、専門的な知識、技術を持っている一つの法人格じゃありませんか。そういう点では、協会というところに委託したからと言ってそのまま業者を協会が指定するということは、いわゆる建設業法で言う一括下請でありませんか。こういう点で、この浄化槽の維持管理そのものについては該当しないのでしょうか、教えてください。
 以上で第二問を終わります。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 村岡議員の再質問にお答えいたします。
 当開発許可は、先ほども申し上げましたように、都市計画法に定められている資金計画書に基づき審査を行い、許可を行ったものでございます。
 議員ご質問の内容につきましては、ただいま取り消し訴訟の裁判中の争点の一つでありますので回答を差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、当時の許可は正しかったと考えております。
 続きまして、県営住宅の合併浄化槽の維持管理、清掃費についての再質問でございます。
 基本的には、浄化槽が順調に稼働していなければ入居者の日常生活に支障を来すことになりますので、県営住宅の浄化槽の維持管理業務については、浄化槽の規模が大きいこと、常時適正に稼働していることが不可欠であること等から、過去の実績や技術力、施設に異常が発生した場合の緊急対応能力等を勘案して、社団法人和歌山県浄化槽協会にその業務を委託しているところでございます。
 協会におきましては、浄化槽技術管理者三名及び浄化槽管理士二名を擁し、会員業者等に対する業務の的確な指示、確認を頻繁に行うとともに、浄化槽に異常が発生した場合に備えて二十四時間緊急対応できる体制を整えております。
 なお、浄化槽の維持管理業務の契約についてより適切な方法があるかどうかにつきましては、先ほどお答えしましたように今後の研究課題としてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十六番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今の浄化槽の、いわゆる協会一つに絞って、三名、二名の技術者がいるからその人たちが会員に指導してやっているんだと、こういうことをおっしゃっていますけれども、それはみずから下請に出しているということをお認めになることと違いますの。そのこと自体が私は問題だと思うんです。協会員であればいいんだということではないと思うんです。これは浄化槽法の第十一条ですか、そこらに明記されているわけですから。そういう点で見れば、いわゆる下請すること自体が問題だということですよ。ぜひこの点については改善をしていただきたいと思います。
 それから、今、住民の皆さんたちは、決して維持管理費とかを払う気は全くないんだということではないんです。ぜひこの問題については解決をするために話し合いをしてくださいという申し入れをしているわけです。ところが県の方は、もう話をすることはないと言って、この脅迫めいた文書を各家庭に送りつけるというやり方そのものが問題なんです。話し合いの場で、時間がかかると思いますし、皆さんが一〇〇%納得できない部分があったとしても、やらなければならない時点が来ると思うんです。ぜひ、そういう点では、住民の皆さん方と今のやり方についても検討を加えるということも含めて話し合いを進めていただきたいと、要望しておきます。
 それからフォレストシティの問題は、やっぱり部長が言っているような時点じゃないんです。都市計画法に書かれているのは、技術的に間違ったことをやったかどうか、あるいは資金的にちゃんと保障されているかどうかということだけがあると思うんですけれども、しかし事は、問題が多かった企業じゃありませんか、だからフォレストシティ計画が順調に、県が望んでいるようなものが事業者として完遂できるのかどうかということを見定めるためには、もっと広い視野で審査を進めるべきだと思うんです。
 確かに都市計画法は、開発を許可するがためにつくられた法律です。それは十分わかります。でも、一歩踏み込んで考えれば、企業そのものの資質や技術度、あるいは社会的な問題をはらんでいないのかどうかということなど、もっと幅広く審査の対象にするという、そういう点についても県の開発指導要綱などで加えていくべきだと思うんです。こういう問題が起これば、住民は大変なんです。
 私どもは今、和興開発が住宅造成をしたところに住んでおります。ところが、業者が倒産をしたという状況の中で、いわゆる公共施設、ため池やら調整池、あるいは道路、水道問題といったところで、今、毎日住民は不安な状況になっているわけです。そういう問題まで発生するということを、今度のこの和興開発のフォレストシティ計画において教訓にしていただきたいと思うんです。そういう点では、和歌山県の許可した責任は免れないと思うんです。ぜひ、住民が生きていくための水の施設の管理問題とか、あるいは公共施設の管理問題等についても、もう私たちの管轄ではないということで見捨てないでください。ぜひ行政責任として、市と協力をしてこの問題については解決をしていただきたいということもつけ加えて、要望としておきます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

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