平成11年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十八番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。
 通告に従い、順次質問をしてまいりたいと思います。
 まず、フリーゲージトレインについてであります。
 平成五年から九年までの鉄道高速化調査を受け、平成七、八両年の線形改良、一線スルー化、さらにオーシャンアロー号の導入等により新大阪─新宮間が約二十分短縮されました。従来の新大阪─新宮間、くろしお号で四時間というのは、東海道をのぞみで行くと、東京を通り越し、はるか福島市付近まで行ってしまうぐらいであったわけですから、これで遠い和歌山が幾分かは解消されました。その結果、不況で観光客数の減少が言われる中、オーシャンアロー号の平均乗車率は八〇%と大健闘しているのであります。今後一層の高速化、快適性に期待がかかります。
 先般、本年度より運輸省が実施する新幹線直通運転化事業調査において、JR紀勢線が調査対象路線に選定されたことが報道されております。軌間可変電車いわゆるフリーゲージトレインは、先発の山形、秋田両新幹線のように、わざわざ線路の敷きかえをすることなく、新在直通運転ができるため、比較的少ない費用で遠い和歌山の解消が図れます。この際、今回の選定に至る経緯並びに今後の取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、さきのオーシャンアロー号導入時には、沿線市町村、経済団体等へも資金協力をお願いしたわけですが、今回はどうなるのか。いずれにしても、官民挙げての盛り上がりが必要であると考えますが、どのように対応されるのでしょうか。
 また、山形、秋田両県では、ミニ新幹線導入の際に交通安全の観点から踏切改良が施されたと聞きますが、本県においてもそのような必要が生じてくるのではないでしょうか。ただ、踏切改良といっても、鉄道事業者と道路管理者の技術、予算の問題だけではなく、地域住民の意見や町づくりといったさまざまな要因が絡んできます。そのため、今から総合的な踏切対策を講じておかなければなりませんが、どのようにお考えでしょうか。
 次は、防災対策についてであります。
 あの忌まわしい阪神・淡路大震災の後、県地域防災計画震災対策計画編が大幅に改定されましたが、あるとき私は、その中に全く新しい事実を見つけたのであります。それは、想定地震一の場合、つまり前回の昭和二十一年に起きた場所で、歴史的に一番大きかったとされる安政の地震と同規模のマグニチュード八・四の南海道地震が起きたと想定するケースで津波のシミュレーションが行われております。それによりますと、地震の八分後には第一波が紀南地方の海岸に到達し、五メートル以上の津波が押し寄せてくるとなっております。とりわけ御坊周辺には、県下最大の九メートルもの津波が襲い、美浜町や御坊市の人口密集地区でかなりの部分が浸水するというものであります。津波と言えば、稲むらの火で有名な湯浅広や田辺市新庄、紀南のリアス式海岸と思っておりましたが、予想外のことに大変驚きました。
 ご承知のように、今御坊周辺では、中期地方の物流拠点を担うべく日高港の整備が着々と進んでおりますし、日高川につきましても、ふるさとの川モデル事業が展開中であります。しかし、津波の対策としては現在何も行われておりませんから、ちょっと待ったと言いたくなるわけであります。が、ここでは我がふるさとに津波対策をとは申しません。それよりも、なぜこんな矛盾が生じているかということを申し上げたいわけであります。
 災害対策基本法という法律があります。もちろん、災害から国民の生命、財産を守るための法律でありますが、その十四条には都道府県に防災会議を置くこと、四十条には防災会議が地域防災計画を作成することを定めており、四十一条にはその地域防災計画は他の法令による計画に対して優先されることがうたわれております。しかるに、県地域防災計画の災害予防計画には優先されるべき政策が具体的に策定されておりません。ここに原因があるのです。多くの課題を抱えた事業各課は、いつかわからない地震に縛られたくないという事情もあるでしょう。しかし私が心配するのは、政策的に優位であるべき防災担当課が、事業は事業課でないとわからないという消極的姿勢にあることであります。さらに、この消極姿勢は県地域防災計画全般に災いしており、ほかにも問題が生じております。そのため、計画は肝心の県民の生命や財産を守るといったレベルにはなっておりません。残念なことに、大方の人は災害が起きたらだれか助けに来てくれると、ただ漠然と思っております。事実、阪神・淡路大震災のときでもそうでありました。言い過ぎかもしれませんが、今は泥船に乗った状態にあります。こうしている間にも、南海道地震は確実に近づきつつあります。防災に関しての不作為──何もしないことでありますが、これは罪であると思います。私たち政治や行政にかかわる者が地震のことを理解し、そのことに対応しておけば、大勢の生命や財産を救うことができるのです。ちょうどことしは国際防災十年の締めくくりの年、六月は土砂災害防止月間でもあります。
 そこで、防災の観点から、以下、三点について伺います。
 一点目は、人事です。
 本県にも防災のエキスパートが複数いてほしいと思います。防災のエキスパートとは、地域防災対策をそらんじるだけではなく、防災にかかわる広い見識を持ち、日常より防災の観点から県政全般について政策を提言し、有事の際にはその全身全霊をもって知事に迅速的確に対応策を建議し、みずからも実行できるような人のことであります。残念ながら防災学校はありませんので、こういった人は県独自に養成していかなければなりませんが、どのようにお考えでしょうか。
 二点目に、地域防災計画は、さきの大改定後、毎年わずかの改定しかしていないと聞いておりますが、課題も多く残されており、今後予算も確保し、積極的に改定作業を続ける必要がありますけれども、どのようにお考えでしょうか。
 けさの朝刊各紙には、清水寺で土砂災害があったということが報道されております。私たちのふるさと和歌山は、海岸線からすぐに急峻な山が続くわけでありますし、たくさん雨が降って、今までにも土砂災害で大変苦い歴史を持っているわけであります。今、梅雨に入ってこれから非常に土砂災害が多くなってくる時期でありますから、三点目には土砂災害についてお伺いをしたいと思います。
 昨年、建設省より注目すべき通達がなされました。土石流危険区域の地域防災計画への図面表示や警戒避難情報の提供などの内容ですが、目的とするところは、「危険箇所は精いっぱい努力して改修しておりますが、すべて改修してしまうのに時間も費用もかかり不可能です。だから、危険箇所が本当に危ない状況になったらお知らせしますから逃げてください」ということです。一昔前なら、建設省砂防部の敗北宣言とも受け取れます。しかし、これが本当に国民を災害から守るという切実な姿勢であると私は評価し、拍手を送りたい気持ちでいっぱいであります。こういった精神こそ我が防災計画は見習うべきです。
 そこで、本県の土砂災害危険箇所、砂防事業の進捗状況を報告いただき、いわゆるソフト対策、情報対策についての取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
 三番目は、コンピューター西暦二〇〇〇年問題について伺います。
 いわゆる二〇〇〇年問題はかなり前から新聞、テレビなどで取り上げられており、ご承知の方も多いと思います。改めて申し上げますと、西暦年を下二けたで処理しているコンピューターシステムにおいて、西暦二〇〇〇年が「〇〇年」と処理されることにより、二〇〇〇年代のデータを入力すると二〇〇〇年が一九〇〇年として認識されることが原因で発生する問題のことであります。
 当たり前のことですが、地震などの自然災害と違い、西暦二〇〇〇年という時は、多少の時差はあれど世界じゅうどこにでも訪れるわけですから、早くから警告が発せられ、先進国を中心に世界じゅうで二〇〇〇年問題への対応が進められております。我が国でも、昨年九月十一日、内閣総理大臣を本部長とする高度情報通信社会推進本部において、コンピューター西暦二〇〇〇年問題に関する行動計画が決定され、官民挙げての取り組みがなされております。
 先般五月二十八日、衆議院災害対策特別委員会における内閣内政審議室の説明では、金融分野においては、昨年十二月末までに重要なシステムについて全金融機関の七三%が修正を完了し、五六%が模擬テストを完了しており、本年六月末には九六%の金融機関が模擬テストを完了する見込み。最重要の決済システムも、共同模擬テストが金融、証券各社参加のもと、昨年十二月より四回実施されており、問題がないと確認されております。電力分野においては、本年三月末時点で制御系重要システムの模擬テストは八八%が完了、六月までに九八%、十一月までにすべて完了との計画。また制御系重要システムについては、マイクロチップの設計、プログラム等まで調査した結果、電力供給には影響なしと確認されております。電気通信分野においては、電話・専用線等の通信系の重要システムの六九%が模擬テストを完了、六月末までに九九%完了の見込み。航空分野においては、航空管制システムが本年三月までに模擬テストを実施し、安全を確認。国際共同模擬テストも、米国、香港は終え、その他と調整中。エアラインの重要制御系システムは、模擬テストを三月に七九%、七月にはすべて完了予定とのことであります。また危機管理計画の策定は、金融、電力、航空等では六月末までに、他の民間重要分野も九月末には策定する見込み。中小企業については、進捗しつつあるものの未着手の企業も相当あると推定、目下、普及、啓発、支援を総合的に展開中。中央省庁では、六月末までに九二%が模擬テストを完了予定。地方公共団体では、都道府県で六割以上の進捗、終了している団体が六〇%、市区町村で一〇〇%修正作業に着手しており、終了団体は五四%。以上のような報告があり、他の先進諸国と比較しても遜色ない状況との認識を示しました。
 さて、我が県におきましても、去る六月二十一日、副知事を本部長とする県対策本部を設置したとのことでありますが、県自身の問題としてどのように対応しておるのか、また県下の市町村や民間の状況はどうなっているのか、そして県民へどのように啓発をするのか、あわせて報告をいただきたいと思います。
 最後に、和歌山市内の交通対策についてお伺いをしたいと思います。
 私ごとになりますが、県庁へ来るときは自動車で参ります。まず、自宅近くの御坊インターチェンジまでは約五分、御坊インターチェンジから海南インターまでが約二十五分、海南インターから県庁までが約二十分、場合によっては三十分と、小一時間の道のりで参りますが、いつも思うことは、海南まで三十分もあれば来るのに、どうして海南から県庁まで二、三十分もかかるのかということです。さらに、和歌山インターまで行って通行料金を五百円余計支払っても、かかる時間は同じかそれ以上というのが実情であります。高速道路を使っても早く行けない。まことにもって変な話であります。しかし、理由は至って簡単です。第一にこの広い和歌山市にインターチェンジが一つしかないということ、第二にインターチェンジから市内へのアクセスが悪いということ、第三に市内を貫く幹線道路が少ないということであります。和歌山市北部に住む主婦が、市南部にある職場への通勤に時間がかかるので就職をあきらめたという話も聞いたことがあります。恐らく、朝夕などは和歌山市の端から端までは一時間以上もかかるのではないでしょうか。よほどのことがない限り、端から端まで一番長いところでも二十分もあれば通り抜けてしまう御坊市に住む私の感覚からすれば、非常に不便に感じます。しかし、私の感覚だけではなく、西口知事の県内二時間行動圏構想に照らしてみても、せっかく遠くから早く来れても和歌山市内で時間がかかるのであれば効果は半減いたします。
 私は、この際、市内自動車専用道路を提案いたします。都市高速道路については、政令市では既に供用されておりますが、苦しい財政状況にあると聞きます。しかし、和歌山市であれば地価もそんなに高くありません。紀の川の河川敷や海岸線など、通すためのスペースはまだまだあります。公共投資をこれに集中させるといった方法もありますし、最近ではPFIなどもうまく組み合わせればと思います。いずれにしても、和歌山市、市役所という意味ではなく、都市という意味での和歌山市に頑張ってもらわなくてはなりません。県都の発展なくして県全体の発展はないと思います。そのためには、都市としてのプライドとそれをあらわす都市としての備わりとでも言うべき具体的な政策が必要であります。その政策の一つが市内自動車専用道路であると思います。県としてどのようにお考えでしょうか。
 以上、積極的な答弁を期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 中村議員にお答えいたします。
 まず、フリーゲージトレインについてお答えいたします。
 今年度より二カ年の予定で国が行う新幹線直通運転化事業の調査対象路線に紀勢本線が選ばれた経緯についてでございますが、県におきましては、平成四年度から平成九年度にかけまして、紀勢本線へのミニ新幹線の導入について技術的課題や高速化による効果など各種観点から調査を行うとともに、平成六年度より県の重要施策として政府予算要望時において国に対し要望活動を行ってきてございます。今回の調査対象路線に紀勢本線が選ばれたことについては、これらの活動が認められた結果と考えております。
 今後の取り組みについてでございますが、現在国で行われている調査に対し協力するとともに、その情報収集に努め、並行して県内各方面との協力のもと、フリーゲージトレインの導入について国等関係機関への要望活動を行ってまいります。また、必要に応じまして、米国コロラド州において行われているフリーゲージ車両の走行試験の視察等も検討してまいりたいと考えてございます。いずれにいたしましても、紀勢本線へのフリーゲージトレインの導入につきまして、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に県民挙げての協力の関係でございますが、県といたしましては、フリーゲージトレイン導入を目指した現在までの県の取り組み等を、国はもちろん、県内の沿線市町村、経済団体等、関係方面へもアピールするとともに、積極的に盛り上げを図っていく考えでございます。
 なお、資金協力を含めた具体的な事業内容につきましては、国の調査及び走行試験の経緯を見ながら、国、JR等関係機関と協議を行いたいと考えてございます。
 次に、踏切事故防止の総合対策についてでございます。
 昭和四十六年以降、総務庁の踏切事故防止総合対策を基本に、本県でも鉄道事業者を初め、道路管理者、市町村、関係機関の参加による会議を開催し、地元住民の意見等を踏まえ、具体的な調整を行うことなどにより、平成八年度からの五カ年を計画期間とする第六次踏切事故防止総合対策実施計画を策定し、この計画に基づきまして、鉄道事業者、道路管理者等が踏切道の立体交差化、構造改良、保安設備の整備等を実施しているところであります。
 主な事業を申し上げますと、県では平成十年に海南連続立体交差事業を完成するとともに、現在、国道二十六号和歌山北バイパスなどの立体交差に取り組んでございます。
 また、昭和四十六年度からの第一次五カ年計画期間中百十七件あった踏切事故は、平成三年度からの第五次五カ年計画期間中では八件と大幅に減少しており、着実に成果を上げているものと考えてございます。
 今後は、議員ご指摘のとおり、町づくりなども視野に入れながら総合的な対策を進め、平成十三年度を初年度とする第七次五カ年計画の策定に向けて協議組織の見直し等を検討して、長期的な観点に立った計画となるよう一層努力をしてまいりたいと考えてございます。
 最後に、コンピューター西暦二〇〇〇年問題について、県の取り組み状況ということでございます。
 コンピューター二〇〇〇年問題は、世界各国共通の課題となってございます。また、本県におきましても対応を進めているところでございますが、六月二十一日に私を本部長とする和歌山県コンピューター西暦二〇〇〇年問題対策本部を設置してございます。
 本県には、県民生活に影響があると思われる重要システムが三十七ございます。三月一日現在で行った調査では、プログラム等修正を終わっているものが六二%、模擬テストが終わっているものが五一%となっております。現在、六月末の状況を調査しており、この調査を踏まえて、未対応のシステムについては早急に修正、模擬テスト等を行うようにしてまいりたいと考えてございます。
 また、対策本部では、万が一、二〇〇〇年問題が発生したときに備えて危機管理計画を策定するとともに、近畿各府県や県内各市町村、及び金融、電力など、県民生活に重大な影響を与える企業等との情報交換、情報収集、県民の方々への広報活動を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 防災対策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、防災エキスパートの養成についてでございますが、議員ご指摘のとおり、防災対策は専門的な知識と習熟、行政に対する幅広い知見を要する業務でございます。このため本県では、担当者を消防庁や京都大学防災研究所の研修、あるいは防災ボランティアなど各種防災セミナーに積極的に参加させ、専門的な知識と習熟に努めているところでございます。また、阪神・淡路大震災の教訓を生かしまして、大地震発生時の迅速な初動体制の確立を図るため、毎年一月には緊急防災要員を対象とした緊急職員参集訓練を実施しているほか、新しい取り組みとして全職場を対象とした応急手当て法の研修を実施したところでございます。
 今後の課題といたしまして、防災体制の充実を図る上で、幅広い知識を持った職員の養成を考えてまいりたいと存じます。
 次に、地域防災計画の改定に際し、計画を実効性のあるものにとのご質問についてでございます。
 議員ご指摘のとおり、県地域防災計画は、県、国の機関、交通機関、NTTなどの民間関係機関等で組織された県防災会議により作成されたもので、防災に関する機関が処置しなければならない防災に関する事務事業について総合的に計画したものでございます。
 このうち、地域防災計画での震災対策計画編では、過去の地震事例での全壊した建物棟数等を参考にして、統計的に人的被害や建物被害など、それぞれの被害に関する傾向値を示してございます。
 ただ、特にご指摘のございました南海道地震に伴う津波対策につきましては、津波現象においていまだ解明されていないことも多く、現在その対策には困難を伴う面もあると伺っているところでございます。
 いずれにいたしましても、今後、地域防災計画の震災対策計画編の改定に当たりましては、ご指摘も参考とさせていただきながら、防災関係機関等の意見を踏まえ、その見直しを行ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 防災対策の三点目、砂防事業についてお答えします。
 まず土砂災害の危険箇所についてでございますが、最新の調査によりますと、県下には土石流危険渓流が千六百十一渓流、地すべり危険箇所が五百九十一カ所、急傾斜地崩壊危険箇所が二千二百八十七カ所存在しております。
 和歌山県においては、明治四十一年に砂防事業が始められ、荒廃地域から順次事業を実施してきておりますが、宅地化も進んでおり、整備率はそれぞれ一七%、七%、二五%と、全国平均をやや下回っているのが現状でございます。
 このような現状に対して、国と連携して、和歌山県においても近年ソフト対策に重点的に取り組んできており、毎年六月の土砂災害防止月間における各種広報活動を初めとして、土砂災害危険箇所の調査及びその調査結果を地域防災計画書や防災マップ等で住民に情報開示するよう市町村に資料提供するなど、各市町村と連携をとりながらソフト対策を進めております。
 さらに、平成八年度からは情報基盤緊急整備事業として県下百三十八カ所に雨量計を設置し、県庁及び各振興局においてリアルタイムの雨量情報が得られるシステム整備を進めてきており、今年度末には枠組みが完成する予定であります。このシステムは単に県庁内部にとどめておくものではなく、市町村との連携により各市町村への配信が直接可能となり、またインターネット上で広く一般に情報公開するなど、土砂災害危険箇所の調査結果とあわせて情報提供していく方向で進めております。
 次に和歌山市内の交通対策についてですが、議員ご指摘のとおり、和歌山市域は広域的な道路のネットワークが結節する地域であり、高規格幹線道路である近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道と連携し、地域相互の交流促進や特定重要港湾和歌山下津港への連絡を強化するとともに、都市内の交通渋滞を緩和する第二阪和国道、紀淡連絡道路及び和歌山環状道路等の地域高規格道路によるネットワークの形成が重要であると考えております。
 議員ご提案である市内の高速交通体系を形成すると考えられるこの地域高規格道路の和歌山環状道路につきましても、今年度から建設省と県、市が協力して、交通需要及び交通体系から見た環状道路の機能及び経済効果等についての調査を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) コンピューター西暦二〇〇〇年問題の三点についてお答えいたします。
 一点目の市町村の取り組み状況でございますが、三月一日現在で把握したところ、住民基本台帳、住民税など住民生活に影響があると思われるシステムは県内四十七市町村で約六百程度あり、このうちプログラム等の修正が終わっているものが四七%、模擬テストが終わっているものが三三%となってございます。残りのシステムについても、調査時点以降におおむね対応がなされるものと聞いております。また、この問題に適切に対応するため、五月に各市町村担当者会議を開催し、対策本部等の設置と危機管理計画の策定について要請したところであります。県といたしましては、今後とも六月末、九月末の調査により万全を期するよう必要な対応を指導してまいりたいと考えております。
 次に民間の取り組み状況でございますが、民間企業につきましては、それぞれの企業で対応を行っていく必要がございます。そのためにも、本県といたしましては昨年八月に県産業情報センターに二〇〇〇年問題相談窓口を設置し、問い合わせや相談に応じてまいりました。しかし、中小企業の対応のおくれが懸念される中で、県内中小企業を対象としたPRチラシを作成し、商工会議所及び商工会の経営指導員を通じ配布するなど、きめの細かい啓発活動を行ってまいります。また医療機関の問題につきましては、厚生省において全国の医療機関に対し問題発生の可能性のある医療機器のリストを示し、六月末までに自主的に総点検を実施し、その結果を報告するよう通知しているところでございます。県といたしましては、厚生省の指導に基づき、六月末までに点検を完了するよう県内の医療機関を指導しているところでございます。
 三点目の県民の皆さんへの啓発活動でございますが、本年の「県民の友」四月号に二〇〇〇年問題のコラムを掲載するとともに、インターネットのホームページ「和歌山県情報館」にも二〇〇〇年問題関連コーナーを設けたところでございます。県民生活に重大な影響を与える金融、電力、通信、交通等の企業については十分な対応を行っていると聞いております。今後も、県民の皆さんがいたずらに不安を感じることのないよう、国、県、市町村及び企業等の適切な情報の提供に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十時五十八分休憩
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