平成11年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 午後で非常にお疲れのところと思いますが、私、県議会議場での発言の場を与えていただいたことに対して感謝しております。住民の声を県政に届ける責任の重さを痛感しています。しかも、私の初登壇に、今は猫の手もかりたい梅の収穫最盛期にもかかわらず、梅産業を守るためこのように大勢の方が傍聴にかけつけてくれたことに感激しております。
 和歌山県の農業、とりわけ梅、ミカン、カキ等の主要果樹は、日本一の果樹王国としての地位を守り、確立するという方針を県の長期計画及び実施計画にも明記されています。梅においては、一位の田辺市から南部川村、南部町、上富田町、印南町、日置川町と、紀南地方の市町村が全国のベストシックスまでランクされているわけであります。しかも平成九年からは農業粗生産額で梅がミカンを抜いて一位になり、和歌山県の果樹王国の基盤をなしています。我が和歌山県は果樹王国日本一でありますが、それを守るための客観的情勢は大変厳しいものがあります。
 具体的には、和歌山県の梅の生産量は平均的に見ますと約六万トンであります。全国の生産量の五〇%を超えていますが、昨今、中国を含めた梅の輸入量は年間約三万トンで、ほぼ和歌山県の生産量の二分の一、さらに年々ふえている傾向にあります。そのうち、中国からのものが二万三千トンとなっており、この輸入量は八年の間に約十倍ということで、いかに輸入が伸びているかを示すものであります。ますます今後、紀州梅が脅かされる状況にあると言えます。中国梅の輸入価格は、平成九年度で四十六億九千九百七十五万八千円、梅干し調整品を合わせると四十九億二千百八十六万九千円となり、この増加現象は紀州梅が立ち枯れになり、その減少分を補うため中国梅の輸入がふえているとも考えられると思いますが、私は安価な中国産が入り続けることにより、紀州梅のブランドやひいては日本一の梅の産地というネームバリューが脅かされていくものと考えています。
 ミカンはどうでしょうか。市場での外圧は楽観を許せない状況であります。韓国済州島では、国産と同じハウス温州が年間六十万トン、日本の平年作の百三十万トンのほぼ半分に匹敵する量であります。日本への輸出攻勢を強め、既に日本の量販店が買い付けに乗り出しているという状況であります。韓国産のほか、ニュージーランドから露地物の温州ミカン、オーストラリアから温州ミカンに似たインペリアル、タンゼリンなど四種のかんきつ類が輸入攻勢をかけてきています。カキにおいては、ニュージーランドからの輸入が年々ふえている状況であります。このように、果樹王国といえども安閑としてはおれない瀬戸際に立たされている現状であります。
 私は、和歌山県の唯一の基幹産業である梅産業を守り、いかに発展させていくかという観点に立って、今回、梅に対して一番ご理解をいただいており、胸を痛めている知事にご質問したかったのでございますが、今回こういう理由でありまして、副知事に、梅の生育不良対策について具体的に質問と問題提起をさせていただきたいと思います。
 そこで、まず副知事に梅の立ち枯れの現象を認識していただきたいと思います。既にお手元にカラーコピーでお渡ししておりますが、傍聴者もおりますので。(図面を示す)
 梅の立ち枯れは、昭和六十一年からの発生でありますが、点から面につながっています。そして、山間部から平野地へ、海へと、そしてさらに日置から印南、川辺町へと、ずっと広がっております。こういう状況を図面で見ていただきたい。もう一つは、秋津川、上芳養、三栖、稲成と広がり、資料にあるとおり、平成九年は一万八千六十四本でしたが、平成十年は一万二千百五十二本が確認されております。立ち枯れ発生以来十年の間に、合計六万二千六百十二本が確認されているわけであります。日高郡においては、四万九千三百九十三本が確認されております。とりわけ南部川村では、平成八年に九千六百六本であったものが翌年には二万三千五百四十九本という、すごい伸びで立ち枯れが起こっているわけであります。しかも、南部町は南部川に引き続いて海があり平たん地に入るわけですが、平成九年の五千十六本が平成十年になると一万一千七百六十六本と、南部川村が二万を超え南部町が一万を突破して、田辺から日高郡へ立ち枯れがずっと延びてきている。
 この十一万二千六百十七本の梅の立ち枯れを農家の損害で換算いたしますと、収穫梅の換算を一本当たり平均収穫額四万円とすると──これでも低い見積もりでありますが、何と四十五億一千万円の損害であります。これは農家の損害でありますが、この収穫梅を加工、運送、販売など第一次、第二次、第三次産業を経由する梅産業をトータル的に見ると百億円を超える損害に到達する事実を知っていただきたいし、知らなくてはその対策の重要性を理解できないのでないかと思います。
 この図でもう一つ考えていただきたいのは、このピンクの丸と米印と三角なんですが、米印はすべて山桜の状況を描いております。山桜が平成三年から平成十年まで枯れてきている状況を描いているわけですが、山桜が枯れていると、必ずその周辺の梅が立ち枯れするという状況になっております。これは、県林業センターの調査と梅農家が独自に調査したものをこの地図に落とし込んだわけであります。山桜と梅の立ち枯れの因果関係がどこにあるかという一つの宿題でもあります。
 県林業センターは八百八十四林分を調査し、うち二六%の二百三十四林分が衰弱、枯死の被害に遭っており、田辺市では九一%、南部川では五七%、川辺町では八五%が影響を受けているという調査結果であります。梅の被害地面積と比例していることも見逃せません。田辺市では、当初、上芳養、秋津川、上秋津など標高の高い地域であったが、現在では稲成町、長野、三栖などの、それも平たんなところまで発症が拡大しています。日高郡では、南部川村、川辺町から南部町岩代、切目、印南への平たん地、海岸部に及んでいるのが事実であります。今までの、梅の立ち枯れは一部地域に限定されているとの見解が崩れ、山間部、平野部、海岸部と全地域に広がっている事実を確認してください。これは、私の県当局への次の質問と深く関係があるわけです。私の言いたい結論は、桜と梅のかかわり、そして梅が山間部、平たん地、海岸部へと広がっている事実を見ていただくなら、後で述べる県当局への質問との関連性がご理解いただけると思います。
 そこで、まず副知事、梅生産農家の声を聞いていただきたい。私はそのことを知事に述べるために初登壇したわけですが、先ほども申し上げたように、知事が最も梅生産農家の気持ちをわかる人であります。心を痛めていることを私たちは十分わかっているわけであります。したがって私は、西口知事とともにこの原因究明を一緒にやりたいということで登壇させていただきました。
 ある梅農家は梅だけで生活していて、その八〇%が立ち枯れて唖然としています。どうやって食べていけばいいのか。また、ある農家は、後継者として子供を呼んだ。さあこれからというときに立ち枯れが進み、子供の将来、家族の生活をどうしたらよいのか。梅の立ち枯れ農園を捨てて、炭焼きや花の栽培、ミカンなどに転換している農家がふえています。切目や南部、南部川、田辺で、篤農家として梅栽培の指導を続け、梅農家から尊敬されていた人たちの農園まで、一昨年から急激に立ち枯れが始まっています。この人いわく、「私の全知全能、今までの栽培に関するすべての手だてをしたが生育不良がとまらない。回復させる施策が見当たらない。県行政の方針でやれば梅の生育不良が回復するとは考えられないし、このままだと農家は破滅する」。この現状を副知事、どう受けとめるのでしょうか。お聞きしたいと思います。
 西口知事は平成八年二月に農家の声を聞いておられますが、実際の梅立ち枯れの現場はまだ見ていただいておりません。そこで私は、副知事が今回、西口知事にかわって現場を踏査され、直接梅生産農家と対話していただくことをお願いし、その見解をお聞きしたい。
 少なくとも、これは大きな災害だと思う。県政に責任を負う立場である県当局の幹部の皆さんが現場を調査されるのが当然ではないかと思うわけであります。それが、今一番大切なことです。知事並びに副知事が先頭に立って解明に乗り出す、その姿勢が必要なのでないかということをお伺いしたいと思います。
 次に、県の梅生育不良の取り組みでの具体的な問題点と課題について質問します。
 まず、昨年の十一月十四日のうめ対策研究会中間報告に対して、梅生産農家の反論及び問題指摘にもかかわらず、ことしの五月二十三日の第五回うめ対策研究会報告では性懲りもなく前回と同じ観点と指針が示されたことに、失望と不信、怒りを超えて、悲しみさえ感じました。先ほど生産農家の声でも紹介したように、梅生産農家が樹勢回復に大変な努力をしているということ、しかもJA指導員、振興局普及員さんは、農家と一緒になって樹勢回復のために涙ぐましい努力をしています。以下の具体的な問題についても、この人たちの実践を通じて体験し、地道な努力をしてきたにもかかわらず、県のフローチャートやマニュアルの指導を忠実にしても展望が開けないということについて悩んでおられます。どうお考えになりますか。
 具体的には、まず一点目として、中間報告フローチャート、県の栽培管理マニュアルは梅の生育不良と現場で闘っている農家を全くばかにした子供だましの対応としか思えない。しかも、このことを忠実に実施している園で梅の立ち枯れが進んでいることに対して、県はどう判断し対策されるのか。
 二点目としては、県の実証試験園は効果を上げているとしているが、現実は試験園でも立ち枯れが起こっているし、実証試験そのものがいかに対症療法であれ、経済的な面から見れば一般農家で対応できるのでしょうか。できもしない実証試験を農家に強いること自体、この実証試験に問題があるのではないかということも研究されていくべきではないかということをお伺いしたい。
 三点目は、整枝剪定、結実管理、水ストレス、土壌要因として原因分析をしているが、四十年、五十年と梅を育ててきた農家から見て、この要因に納得するものではありません。過去にこんな現象はなかったのです。だから、農家は困惑しているのです。強い剪定をして、実を多くならせないでも現実に立ち枯れが起こっています。県の言うとおりやっても立ち枯れが起こっております。そして着果負担、実のならせ過ぎと言うが、実がまだならない四、五年生の幼木が枯れるのはどういうことか。南高梅の完熟収穫への移行で負担が大きくなって枯れてくると言っているが、青梅取りの南高梅も小梅も、そして古城も同じく生育不良が発生しています。水ストレスと言うが、梅は干ばつに強く、過去のひどい干ばつでも枯れていないのです。しかも、県行政の言うとおりに水をきちんとやっている、先ほど言いました篤農家の農園ですら枯れてきているのです。もう一つは、先ほど地図でも示しましたが、土質にあると言っております。西牟婁から田辺、日高にかけての土質は、みんな違います。一定の層に沿って幾つかの層にばらついていますが、どこでも同じように発症している原因をどう見るのでしょうか。そういう意味で、農家の数十年の経験と知識と技術から、これが主たる立ち枯れの要因でないことを実証しているにもかかわらず、県行政が農家の経験と知識に学ぼうとしないのはどうしてでしょうか。
 今まで挙げた三点について、県として確信を持つなら、みずから十アール以上の園地で実証して証明すべきだという農家の声は、何もふまじめな言い分ではないと考えますが、いかがでしょうか。
 四点目として、県の暴露試験の内容の見直しと充実、樹体解析──年輪解析を含む──をしてほしいという農家の意見を取り入れ、むだかどうかは試行錯誤すべきであると思いますが、どうでしょうか。
 五点目は、大気環境要因を避けずに、疑問を持つ農家の声にこたえて積極的に調査を進めるべきだと考えるが、どうでしょうか。
 次に、梅立ち枯れ期成同盟の県知事への積極的な要望に対して、県当局の対応は、県と農家の信頼を損ね、ますます不信の溝が深まっていることについてお尋ねしたい。
 行政と農家がともに協力して解決しようとしているのに、回答はずるずる延ばし、あげくの果てに知事名で申し入れた文書に対して部長名のA4の紙一枚で、はいそれまではないでしょう。しかも、農林水産部長の名前で、農林水産部の責任ある人が来ないで振興局に一方的に任せて説明をするなど、これは一体、梅農家に対する今の問題に切実に真剣に考えているという県当局の姿勢が見られないことについてどう判断されるのでしょうか。そのことについて聞きたい。
 県行政は今ここに至って、梅生育不良の原因究明を生産農家の立場に立ち、農家と一緒になって汗して考え、行動する姿勢と体制をつくっていってこそ、信頼関係を強め、原因究明への道が開かれると私は考えます。
 したがって、次の点を提言し、副知事の決断を期待したいわけであります。
 今までの疑問を解消し、梅農家と行政との溝、不信感を克服するために行政と梅生産農家の協力で原因究明を進めるチャートを、私案ではありますが、いろんな方の意見も聞きながら事前にまとめさせていただきました。そして、それによって行政と梅生産農家の協力で梅生育不良の原因究明を進めていくことを提案させていただきます。それは、今までは行政主導の形式的な域を超えていないことや、梅生育不良究明のための既存の機関が五つありますが、実際には各団体のトップ集団の集まり機関では継続、集中した究明には物理的に限界があることや、現場の声を十分踏まえた形の組織にならず、机上論的、一般的、科学的判断の域を出ないということからであります。したがって、行政と生産農家との関係に不信感が生まれ、原因究明のための一致した目標にエネルギーが集中し得ない状況になっているからであります。
 そこで、今示した行政と梅生産農家の協力で原因究明を進めるためにということで、この作業部会をつくってほしい。暖地園芸センターが指導し、コーディネーターをして、原因究明のための実行部隊であり、実践の中での研究を進める組織として作業部会を位置づけてほしいのであります。また、暖地園芸センターから分離独立した梅単独のことを試験研究する機関の設立が必要と考えます。そのセンターでは、梅の品種改良、栽培、加工や効用等についての研究や商品開発、また梅酢、梅の種のリサイクル、環境に安全な有機堆肥についての研究など、梅のあらゆることについて研究や企画を行っていただく。そうした梅の試験研究センターを設置することが梅生育不良の原因究明への早道だと考えますし、また現状を見ると、一般的に和歌山県は梅の調査研究が進んでいないマイナーな県という印象があります。そうした先駆的機関の設置により、梅の生産だけでなく、梅の研究にも非常に力を入れているメジャーな県であると印象づけられ、紀州梅のブランドの確立に寄与していくものと考えますが、いかがなものでしょうか。また、梅の試験研究センターと作業部会との連携、指導協力を円滑に行っていくため、今のみかん園芸課の組織を見直し、梅とミカンを中心とした果樹とに分離し、和歌山県に梅課の誕生はいかがなものでしょうか。これらは、今やらなくとも、いつかはやらねばならないと考えますが、早ければ早いほど効果があります。副知事、今まさに決断のときであります。どのようにお考えでしょうか。お聞きしたいと思います。
 次に、梅生産農家が今直面している問題であります。梅生育不良による問題について提起したいと思います。
 今までの、うめ対策緊急特別資金の利子補給、支払い期間、据え置き期間などの検討課題についてであります。これについては、平成九年は二百万、平成十年以降は三百万とありますが、実際上、金額はふえたけれども支払い期間は同じだということについていかがなものでしょうか。パイロットなどの新開畑の農家負担金の償還についてどうするのですか。既に一〇〇%枯れたと言われる新開畑の梅農家は実際に支払っていけない。どうしたらいいのか。これについて県当局はどうお考えでしょうか。しかも、岩代パイロットの方では南紀用水の事業負担金があります。これらの償還が現実に困難な状況が生まれていることに対してどう対応されるのでしょうか。また、先ほど申し上げましたが、梅生育不良で他の作物に転換するため努力されている人たちへの救済措置は、現在の制度ではございません。こういった救済措置に対してどうされていくのか、お伺いしたいと思います。
 次に別の項目ですが、時間がないので簡単に通していきたいと思います。
 御坊火力発電所に関して私の考えを述べるとともに県当局の見解をお聞きしたいと思いますが、中心的には問題提起にかえたいと思います。
 まず第一点、現在稼働中の御坊火力発電所に脱硫装置を設置することについて、現在の脱硝装置、集じん装置の改善に対して県当局はどう対応しているのか。
 第二番目は、地球温暖化防止の推進のため、和歌山県は防止のための実行計画の作成を義務づけられています。そこで、御坊第二火力発電所、とりわけ粗悪な化石燃料オリマルジョンを許すことは時代に逆行するし、国際的批判を受けるのではないかということであります。
 第三は、地球的規模から見て、二十一世紀以降和歌山県の進むべき道として、和歌山県の電源立地をこれ以上拡大することについて、いま一度みんなで考えてみようではありませんかということです。お互いに立場の違いはありますが、私の理念は後ほど再質問の提言の中で発表したいと思います。
 次に、産業廃棄物についてであります。
 産業廃棄物の適正処理の受け皿となる最終処分場の建設をということであります。
 県下の中で紀中、紀南地区への必要性、そして県がどうしても関与してほしいという要望であります。企業みずからが排出する産業廃棄物は事業者の責任において処分することが大原則でありますが、小規模企業の多い紀南地方では自力で最終処分場を確保することが困難であります。現状では、従来からの市町村の一般廃棄物処分場であわせて処分しているところもあるが、既に限界に来ております。本来、市町村の一般廃棄物処分場で産業廃棄物について市町村が対応するものではないのでありますが、実態はそうではありません。県はこの実態を知っていると思いますが、産業廃棄物の処分場不足やそのための不法投棄などの状況がある中で、これについて企業をどのように指導し取り組んでいくのか。しかも、小規模企業の産業廃棄物の投棄コストが高くなり、経営にも支障を来しているのが実態であります。産業廃棄物は事業者の責任ということでほうっておく状況ではなく、処分場建設のために公共関与することが必要な状況に来ていると思いますが、いかがなものでしょうか。
 以上で、第一回の質問を終わらせていただきます。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 原議員にお答えいたします。
 梅生育不良問題、立ち枯れの現状認識についてでございますが、議員ご指摘のように、依然として発症地域、発生本数とも拡大しており、特に本年は例年より早く発生が見られるなど非常に厳しい状況にあると、関係部局や現地から報告を受けてございます。大変心配しているところでございます。また、昨年の中間報告や第五回うめ対策研究会での農家の皆さんの意見や県政ホットラインへの生産者からの切実な手紙を拝見し、その不安を察するとき、一日も早い問題解決が必要であると考えてございます。
 これまで、地元の農家の皆さんも参画している田辺梅病害虫特別対策協議会や南部郷梅対策協議会を初め、多くの関係者のご協力をいただく中で、暴露試験や園地をお借りした試験研究等に懸命に取り組んでいますが、今後とも原因究明と対策の確立に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 なお、知事に現地にというお話もございましたが、知事も現地へ行きたい気持ちで十分であったわけですけれども、かわって私も現地へお伺いしたいとは思います。私も、既に二回現地へ行かせていただいております。
 次に、期成同盟からの要望に対する回答の問題でございますけれども、振興局を通じて代表の方々に直接項目ごとに説明する中で回答文を手渡したところでございます。県といたしましては、要請書の中で実施できるものについては早急に取り組みたいと考えてございます。
 なお、振興局からの説明、本庁からの説明がないじゃないかというご意見でございますが、県の組織構成としては振興局も農林水産部も同等の立場にあると考えてございます。
 なお、西口知事も本問題が発生以来、県職員に対しまして、自分自身の問題としてこの問題に取り組むようにということで最善の努力をするようにしてございます。県幹部はもちろんでございますが、担当部におきましても、この原因解明に精いっぱいの努力を今後ともしていきたい、地元の農家の皆さんとの信頼関係をより緊密にして、一緒になってこの解明に努力したいと思っております。
 それから、ご提言いただきました梅課の設置の問題でございます。この問題発生以来、我々としてもいろいろ議論をいたしましたが、現地を中心に考えていくべきだということで、現地に職員を多く派遣するようにしてございます。梅課の問題についても今後検討してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 原日出夫議員のご質問にお答え申し上げます。
 梅生育不良の問題、六点についてお答えいたします。
 梅生育不良につきましては、農業の最重要課題であり、深刻な問題と認識をしてございます。県といたしましては、これまで得られた試験研究の成果をもとに、県うめ対策研究会の委員からご指導をいただきながら、立地条件に応じた栽培管理マニュアルを作成したところでございます。厳しい現実に対応するためには、現時点でできることから実行していかなければならないと考え、基本管理の徹底をお願いしたところでございます。今後は、農家の意見を伺いながら、関係機関と連携を密にし、園地に応じた総合実証園の設置を検討することとしてございます。
 また一方では、梅の生育不良は土壌、気象、栽培面などさまざまな要因が複合的に関与しているのではないかと指摘されていることから、本年度から国の指定試験と一体となりまして、総合的な基礎研究を積み重ねてまいりたいと考えてございます。
 次に暴露試験につきましては、昨年の成績を踏まえ、多くのデータを得るため、本年は複合ガスの濃度設定を変え、二月から再度暴露試験を行っているところでございます。
 なお、発電所から排出されるばい煙を直接用いることにつきましては、大気拡散中に科学的変化が生じることなどから、サンプリングの際のばい煙の状態を維持したまま行うことが技術的に困難であると考えてございます。
 次に、ばい煙に関与した樹体の成分分析につきましては、さきの研究会での委員からお話があったように、ばいじんは葉の気孔からは吸収されず、根からの吸収では土壌はもとより肥料、農薬や潮風から来るものもあって由来を特定することができないとのことから、科学的な調査ではないと考えてございます。しかし、大気環境面では地球的規模での温暖化や大気環境の悪化が懸念されており、引き続きオキシダントなどの大気観測を行うとともに、梅の生理生態の基礎研究に引き続き懸命に取り組んでまいりたいと存じます。
 なお、生産者の皆さんの県に対する信頼感をより一層深める努力はもとより、官民一体となってこの難局を乗り切っていきたく取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、梅生産農家の今直面している課題でございますが、うめ対策緊急特別資金につきましては平成九年度に創設したものであり、さらに平成十年度には限度額を引き上げるとともに、融資枠を拡大し、本年度も引き続いて実施してございます。今後とも、被害農家の健全経営を図る観点から、融資及び利子補給の実施に努めるとともに、他の作物に転換するための資金につきましては、農業近代化資金等の活用を推進してまいりたいと存じます。
 土地改良事業の負担金の軽減策につきましては、ピーク時の償還額の一部を後年に繰り延べすることで、償還の平準化を図る事業や担い手への農地の利用集積を積極的に図る地域に二%を超える利子相当額を助成するなどの制度がございます。
 それから、農林漁業金融公庫には資質の高い専業農業者に負担金の支払いに要する費用を融資する償還円滑化資金制度があり、また災害等により償還が困難となった農家に対し、事情に応じ償還の繰り延べ措置を行うこともできると聞いております。これら事業制度につきまして、改良区、農家等に対し一層の周知を図るとともに、有効利用が図れるよう努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 御坊火力発電所に関する事項で、一点目の、既設御坊発電所への脱硫装置の設置や脱硝装置、集じん装置の改善に関するご質問についてでございますが、梅生産農家からの要望等を踏まえ、県から関西電力に対し大気環境保全対策の強化について申し入れを行い、現在、三号機への脱硫装置の設置や一、二、三号機の脱硝装置、及び電気集じん装置の改善に向けて準備が進められているところでございます。
 次に、地球温暖化防止の観点からもオリマルジョンを見直すべきとのご質問でございますが、御坊第二発電所につきましては県から関西電力へ、地球温暖化の原因物質の一つである二酸化炭素については、今後の技術研究、開発に応じ、その排出削減に努めるほか、地球環境問題に対して積極的に取り組むことを申し入れ、そのように取り組む旨の回答を得ており、今後も二酸化炭素の排出抑制について指導してまいる所存でございます。
 三点目の、本県の電源立地をこれ以上拡大しないでとのご意見についてでございますが、電源立地につきましては、県としては、今後も引き続き国のエネルギー政策の動向を踏まえ、適地性、安全性、地元の同意という三原則に基づき、地域振興の立場で対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 産業廃棄物の適正処理の受け皿となる最終処分場の建設をということで三点の質問でございますけれども、一括してお答えいたしたいと思います。
 産業廃棄物の最終処分場が紀中、紀南地域に不足していることにつきましては認識しているところでございます。田辺地域におきましては、現在、処分場建設については排出事業者処分の原則に立ち、田辺商工会議所が中心となって田辺市産業廃棄物処理協議会をつくり、先進地や先進施設の調査、事業手法等の検討など調査研究が進められているところでございます。今後、地域が主体となって地域の事業者が共同して処分場確保のために具体的な検討を進められることになれば、県といたしましても技術指導、助言など十分な協力をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 再質問させていただきます。
 副知事の答弁で、再質問というより要望でございます。知事にかわって副知事が今議会の責任において現地を踏査され、梅生産農家と懇談していただくという決意がございました。ぜひとも早い時期に実現していただけますよう、お願い申し上げたいと思います。
 それから、ちょっと余談でありますが、隣の中山出納長、その隣の藤谷理事、知事の側近として頑張っておられる公室長──失礼ですが、中山さんは上秋津です。藤谷さんは秋津川です。本当にふるさとであります。そういう意味からも、ぜひとも副知事以下、現地を踏査されて、我がふるさとの実情をご理解いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
 それから、もう一つの副知事の答弁でございますが、期成同盟への県の姿勢についてであります。
 若干、この点については納得しておりません。時間が大変少ない関係もありますが、これについては、梅生産農家の窮状を一日も早く県当局及び知事に正しく理解していただきたいということで、県に対し、農家とともにその理解、解決に向けた対策をとってほしいという危機的状況にある訴えでございました。
 農家にとっては生きるか死ぬかの生活のかかった要望であり、知事を信頼し、知事ならわかってくれるというお願いでしたが、先ほど言いましたようにA4の紙切れ一枚の農林水産部長の回答文を振興局に読ませてしまうという状況を見たときに、私たち県当局を信頼して一生懸命やっておるといっても、生活がかかっている状況にある場合、それを信頼できるでしょうか。その点について、私は非常に不信に思います。しかも、期成同盟の中に県会議員のOBの方が五名もおられました。西口知事を全面的に評価をして、県勢発展のために陰ながら本当に支援している人たちばかりです。そういう意味でも、今回現場を踏査したときに誠意ある態度を表明していただけることを要望したいと思います。
 次に、農林水産部長の答弁であります。
 先ほど述べられた幾つかの原因解明に対する答弁でありますが、「さまざまな要因」という言葉が出てきたり「農家の皆さんと一緒になって」という言葉がありますが、県当局のスタンスはあくまでも栽培中心のマニュアルに基づく解明であり、その対策でしかないと受け取れるわけであります。私がここで言いたいのは、疑問とするすべての項目に対して調査項目として取り上げていくという姿勢をお願いしたいわけであります。
 時間がありませんので幾つも紹介できないんですが、農林水産部長、例えばあなたが申された中に、研究会の学者の発言をそのまま受け売りをして「ばいじんは葉の気孔からは吸収されず」という言葉がありました。これに対して、葉面から吸収することを実証し、科学的に論文、レポートを発表している学者がたくさんあります。研究会で、梅そのものを全く知らない、私たちはマイナーですと前段で断りながら、その研究会で発表する学者の言い分をそのまま一〇〇%受け入れて、だから私たちはそういう対処はしないというようなことはあり得ないと思うわけです。たまたま一番身近な、そして県行政の施策にも全面的に賛成している南部高校農業科の谷口先生は、いろんな分野で八〇%県行政の立場に立ちつつも、大気汚染の影響と地域性、梅や桜、松は大気汚染に弱いということで、その葉っぱから「大気中のオゾンの問題、酸性雨から植物内に窒素酸化物や硫黄酸化物が侵入し、光合成が弱まります。さらに、光合成能力を維持しようと植物が葉を増量し、養物移動で地上部と地下部とのバランスが崩れて」というふうに、少なくとも葉から吸収するということを南高梅をつくり出した学校の先生が言っているわけですから、これに耳を傾けないで一方的にこういった意見を述べられることに対し、非常に私は悲しく思います。これについて、農林水産部長の見解をお聞きしたいと思います。
 そこで農林水産部長──私は、どちらが正しいのかと言っていませんよ。どちらが正しいのかは、今はだれもわからないんです。多くの方がいろんなレポートを出し、研究してくださっているのは、実証されていないからです。研究会の人たちが言うのが正しいとしても、それを実証してこそ証明されるのではありませんか。いろんな角度から実証して、なるほどやっぱり葉面から吸収しないなということになれば、研究者の言うことが正しいわけです。やりもしないで、やる前にそのことを研究の対象にしない農林水産部の考え方に対しては許せませんよ。そういうことをきちんとしてください。そういうことは、いわば民主主義の原点のルールでしょう。そういうことを考えてくださいよ。行政は多面的に深く研究することを避けているのではないかという疑念と不信がそこから生まれているのです。私は、そう思いたくありません。しかし、あえて避けて通ることで、そこに何かがあるんではないか、あらゆる研究をしていくことに一歩踏み出せない何かがあって、それを原因究明されると困るような要素があるんではないかという疑念を抱くわけであります。私は、そう思っておりません。私たち生産農家は、大気汚染が主たる要因なんて言っていないんです。そのことを含めて研究しませんか、そして早期に結論を出しませんかと言っているわけでありますから、むしろあなた方農林水産部の方が避けて通っているのが事実でしょう。避けて通っていますよ。現場の梅生産農家の立場に立ってくださいというのが私の基本理念です。農林水産部長、見解をお聞きしたいと思います。
 次に、火力発電所の問題であります。時間がございませんので、簡単にします。
 私は、和歌山県は電源立地によって地域振興を図っていくという観点よりも、むしろそれを脱却して和歌山県の地域特性を生かした自立した地域振興、並びに産業政策を確立していくことが本来の地方政治のあり方ではないかと考えているわけであります。これについては、いろいろ問題もあり見解の相違はあると思いますが、これ以上和歌山県に化石燃料による電源立地はやめてほしいというのが私の哲学であり理念であります。そのことをはっきり申し述べておきたいと思います。
 私は引き続き議会においても議会外でも、私が生きていく人生の立場から言っても、オリマルジョンの燃料だけはやめてほしいと県民の皆さんに訴えながら、これを何とかやめていただくための運動を展開して、県当局にお願いしていきたいと思います。今この時代に生命を与えてもらっている人類として、また地球の方向を決めていく場に直面している私たち政治家、それを進めている行政当局にとって、いま一度論議を尽くし、後世に禍根を残さない方向を指し示すことが重要ではないかと思います。少し哲学的な言い方になりましたが、私と当局の見解の相違はあったとしても、地球が生きるか死ぬかという遠い将来の時代を考えたときに、この議会において私の見解、理念だけは述べておきたいと思うわけであります。
 次に産業廃棄物ですが、これについては一点だけ要望したいと思います。
 県当局の答弁のように、地元がどれだけ盛り上がるかということ、そして民間の廃棄物事業者責任において民間が中心になりながらやっていくことについては、そのとおりであります。ただ、これが盛り上がったときに現在の振興局、例えば西牟婁でしたら西牟婁振興局の管轄である保健所がこれを管轄していくことは物理的に非常に無理があります。したがって、実際に実現していく展望が開けたときには県として少なくとも一名の担当者を置いて全体をコーディネートできるような人的配置をお願いできたら、より一層事業実現のために進んでいくのではないかというご提案だけ、お願いだけしておきたいと思います。
 以上で、第二回の質問を終わります。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 原議員の再質問にお答えを申し上げたいと思います。
 議員ご指摘の新たな調査というか、従前から申し述べられているばいじん等々の調査についてですが、私ども現在のところは、県の方から委嘱している県うめ対策研究会の科学者の評価、結論から客観的な視点に立って解明したいということを基本にしてございまして、樹体分析とか、ばいじんの直接暴露につきましては先ほど答弁をさせていただいたとおりでございますので、ご理解を賜りたいと思います。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 農林水産部長の今の見解でありますが、その見解によりますと、あんた、地元へ来てももう梅生産農家との対話は始まりませんよ。言うておきます。私は責任を負えません。副知事にも個人的に申し上げましたが、私がこの県議会に来たのは、梅生産農家の気持ち、考え方と県、とりわけ農林水産部の考え方がジョイントされ、一緒に力を合わせて汗をかく役割を果たさせてくださいということです。今のような形で答弁されますと、あんた、あきまへんで。言うておきます。私が質問した理念は一貫しています。梅生産農家や農業に責任を負う。たとえ副知事や知事がどう言おうと農林水産部長自身が責任を負う。どんなことがあっても梅生産農家の立場になって、重心をそこへ移してやらせてくださいと言うのがあんたの答弁じゃないんですか。おかしいじゃないですか。許せませんよ、あんた。今度、課長が来ようが、だれが来ようが、梅生産農家は受け入れない状態が起こりますよ、これは。そういうことに対して、もっと責任を持ってくださいよ。
 先ほども言いましたように、ばい煙とかなんとかという問題ではなくて、南高梅を開発した南部高校の谷口先生さえ、そのことも研究課題の一つにすることが望ましいと考えているんです。ただし、それが正しいかどうかもわかりません。うめ対策研究会のメンバーの言うことが正しいかもしれません。しかし、試行錯誤してやっていかなければならない時点に今あるんです。あなたの言っていることは、平成二、三年の態度からひとつも変わっていませんよ。
 きょう、私がこんなに一生懸命訴えさせていただいているのに農林水産部長がその気持ちでは、何のための──先ほど私がフローチャートでご提案させていただきました既存の五つの団体である現場の農家の皆さん、JAの指導員の皆さん、そして振興局の普及員──部長、振興局の普及員なんて涙ながらに頑張っているんですよ。必死になって頑張っているんですよ。そんな答弁されたらかわいそうですよ。県の指針に基づいて一生懸命農家を指導するけれども成果が上がらない。どんどんやってもその先から枯れてくる。どうしたらいいか悩んでいます。しかし、県の指導に忠実に基づいて一生懸命頑張っています。
 もっとほかの研究もしながら総合的に検討したいと、現場の指導員がみんな言っているんです。それにあなたは水をかけましたよ、きょうは。もう一度答弁お願いします。きちっとしてください。副知事、調整してください。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) ただいま、原議員から再々質問をいただきました。
 県職員、いわゆる農林水産部を中心にいたしまして、以前からこの問題につきましては自分自身の問題として取り組むように知事から言われてございます。そういうことで、精いっぱいの努力をしておると思います。研究の内容につきましては、学説等いろいろございます。そういう中で、今後我々も十分それらに配慮して研究を進めていきたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上で、原日出夫君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ