平成11年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十六番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 おはようございます。
 去る四月の県会議員選挙において、県民の皆さん方のお力添えをいただきながら二回目の当選をさせていただきました。そして、この本会議場で再度訴えることができましたこと、今、心から感謝を申し上げる次第でございます。
 私は、この選挙期間中や選挙後も県内の地域を歩いてまいりました。そして、いろんな県民の皆さん方の意見をいただいてまいりました。これから、四つに絞って質問をいたしてまいりたいと思います。
 まず最初に、介護保険制度の特徴的な課題について質問をしてまいります。
 一昨日から介護保険制度の質問が行われていますので、私は、今特に話題になっている特徴的な課題について三点に絞って質問を行い、当局の見解を求めたいと思います。
 平成十二年四月の介護保険制度スタートまで残すところ十カ月余り、要介護認定申請の受け付けや被保険者証の交付という具体的な施行準備まで約四カ月という、極めて重要な段階を迎えていると言えます。平成十一年度は現在の老人保健福祉計画に基づく介護基盤の整備を図る最終年度であり、介護保険制度の実施、運営体制の確立を図る上で最も大切な時期であるとの認識を持って質問をいたします。
 第一点目は、実施時期の延期問題についてであります。
 介護保険制度の延期、凍結の動きは根強く残っています。私は、介護保険制度について三回にわたり本会議で訴えてきましたが、悲惨な家族介護の実態を解消し、介護の社会化を実現するためには介護保険制度を平成十二年に実施する以外ないと考えていますが、決意も含めた当局の見解を求めます。
 第二点目は、広域対応についてであります。
 介護保険法は、市町村を保険者としました。それは、住民に最も身近な市町村が介護保険制度の運営を行うことによって地域の高齢者の生活実態を把握し、必要な保健福祉のニーズにこたえる基盤整備等を行うことができるためであります。平成二年の福祉関係八法の改正においても同様の趣旨で市町村に権限移譲が行われ、在宅サービスも施設サービスも、基礎である自治体が提供することとされました。したがって、それぞれの市町村の責任において、基盤整備の確立を初めとする介護保険制度の運営を行うよう最大の努力が求められていると思います。こうした意味においても、安易な広域対応には問題があると思いますが、県内の状況とあわせて当局の見解を求めます。
 続いて第三点目は、介護保険料についてであります。
 厚生省は保険料について、当初は第一号被保険者で月額二千五百円程度としてきましたが、支給限度のアップなどを踏まえ、二千八百円程度に修正を行いました。また、第一号保険料率の推計のためのワークシートを提示し、計算についての考え方を示しましたが、それに基づく集計や分析は行っていません。試算した自治体からは、療養型病床群などの施設における経費が多くかかることから、施設の入所者が多く在宅サービスが不十分な自治体では月額六千円を超えるという試算も出ています。自治体は保険料試算額とその根拠を住民に公表し、高ければその事由も含めての分析やそういったことに対する対応などを明らかにすることが大変重要なポイントであると私は思います。保険料が高くなることから、一部の自治体では介護保険の施行を疑問視する考え方がありますが、何よりも実態的な要因の分析を行い、そのことについて住民に対する情報公開を行い、介護保険事業計画で在宅サービスの充実の対策を立てるべきであると思います。そうした視点で介護保険料についての自治体への指導を進めていくべきだと考えますが、このことについての当局の見解を求め、介護保険制度についての質問を終わります。
 続いて、緊急課題である和歌山県における経済雇用対策について質問をしてまいります。
 右を向いても左を見ても「不況」という言葉で表現される今の経済。私は、そもそもこの状況を不況と位置づけること自体、問題があると考えています。不況というのは、消費者にお金がない、需要が不振だということであると思います。つまり、消費者が物を買わないのは、お金がないのではなく、第一に将来の生活に不安があるからであります。一言で言って「不況」と言われる発端は、政策不況であります。二年前の消費税五%、医療費の改定、特別減税の打ち切り等により国民に九兆円もの負担を強いたことに始まります。その後の政策が後手後手に回り、国民が先行きに大きな不安を持っているからであります。
 第二に、多様化するニーズの中で、ニーズに合った施策がないからであります。例えば、人を減らし、サービスも味も落ちたレストランが登場する、幾ら安かろうと人は寄りつかない、ますます業績が悪化する結果になるわけであります。つまり、消費者が価値と価格を決める時代になったと言えます。このような要因を考えれば、的を射た政策の実行であり、こうした物事の本質をきちんと見きわめて対策を打ち出すことが私は重要であると思います。
 さて、我が国及び和歌山県の経済雇用状況はどうでしょうか。全国的には、この一年で完全失業率は〇・七ポイント悪化し、六月に発表された四月の完全失業率も史上最悪の四・八%にはね上がっています。完全失業者三百四十二万人と前年同月に比べて五十二万人増加し、比較可能な昭和二十八年以降で最も多くなっています。
 和歌山県内の雇用情勢についても、ことし四月の有効求人倍率は〇・四六倍となるなど、依然として厳しい状況が続いております。大学や高校を卒業しても就職できない人が、新卒や既に卒業した人を含めて昨年よりも四万人多い三十万人に達したことも大きな要因でありますが、大小問わず企業のリストラという名の下で相次ぐ人員削減をしていることが最大の悪化の原因であろうと思います。
 三十代から五十代の働き盛りの中高年の人々が企業から解雇される非自発的離職が急増し、自発的離職とほぼ肩を並べています。そして過去と比べて大変深刻なことは、中小企業が大企業のリストラの受け皿になっていないということであります。このことは、中小企業の多い和歌山県にとって大きな問題であります。つまり和歌山県の状況は、約九八%の企業が五十名未満の会社で占められておること、特に六八・二%の企業は五名未満の会社であり、零細企業、中小企業が和歌山県を支えているわけであります。私の事務所への相談も、一番多いのがこうした再就職の相談であります。
 このように、全体的には雇用を守るというムードは希薄で、低下する一方にあり、企業の運営の中で人員のリストラによる当面の収支改善の選択がされています。つまり、どうやって失業を防ぐのか、どうやって経営を改善していくのかという視点と意思が大変弱いと言わざるを得ません。だれもがリストラを言い出したら、一体どういうことになるのか。下方に向かって拍車がかかるばかりであります。
 かつて不況の折、時の労働大臣が、働く意思と能力を持つ人々にとって失業は人生最大の不幸である、失業者を出さないための最大の努力をすると明言したことを思い出します。政治にとって、国家にとって、職を奪わず職を与える、そのことが最大の責務であります。そのためには、単一企業では労使協議制を、マクロ的には公労使による協議制をつくり活用することが今大変重要であると私は思います。国や県としてもさまざまな取り組みがされていますが、この厳しい状況の中で、雇用改善に向け、緊急的な各界の具体的な努力が今こそ必要であると思います。
 このような中で、中央では政労使雇用対策会議を設置し、六月十六日には近畿においても労働省主催による近畿ブロック雇用活性化政労使会議が開催されまして、地方の雇用失業情勢や地方の産業特性などを踏まえた雇用創出策、安定策の意見交換が行われています。また、地方においても府県単位で政労使との対策会議が設置をされ、具体的な雇用対策づくりに取り組まれているところもあります。
 そこで、和歌山県としての取り組みについてでありますが、先ほど飯田議員の質問で県内の経済雇用情勢問題及び雇用方針の答弁がありましたので、私は重複を避けて二点に絞って質問をし、見解を求めるものであります。
 第一点目は、相次ぐ金融機関の破綻について、和歌山県独自の対策が早急に必要でありますが、県としての対応及び課題について当局の見解を求めます。
 第二点目は、昨年十月、県の経営者協会と連合の労使会議で公労使が率直に意見交換を行い、三者が一体となって雇用の安定、そして創出等を推進していくために雇用対策会議の設置が呼びかけられていますが、そのための早期実現とその考え方についての当局の見解を求め、質問を終わります。
 続きまして、旧南紀白浜空港跡地への航空工学系大学の立地構想について質問いたします。
 本構想については、昨年の九月定例議会において初めて西口知事から明らかにされまして、「学校法人日本航空学園から、我が国の航空宇宙産業界における指導的、中核的役割を果たし得る人材の育成を目指した航空工学系大学の設置構想についての申し入れがあり、現在、白浜町及び関係機関との協議を進めているところであります」、また、「旧南紀白浜空港跡地への航空工学系大学の立地構想については、県、白浜町、そして日本航空学園の三者が協力して新たな学校法人を設立し、航空機の設計・開発、航空運輸システムの計画・運用に係る最先端の技術、知識を集約した国際的にも誇り得る大学を開設しようとするものでございます」との議会答弁があり、マスコミにも大きく取り上げられたところでありました。地元出身の議員として、空港跡地利用について平成七年六月定例議会及び平成十年九月定例議会と積極的に政策提案をし、取り組んできた者として、この構想については突然発表され、中身もほとんど知らされていなかったことに怒りを持ったのも事実であります。しかし、ここまで発表するということは、当局としては十分な内部での協議や詰めをしてきたものであろう、西口知事の姿勢を理解し、これからはこの構想について前向きな姿勢で是々非々の立場で意見を言っていこうと自分自身に言い聞かせ、今日に至りました。しかし、その後も何ら進展や状況などの説明も、残念ながらありませんでした。そして、去る六月七日に学識経験者による航空工学系大学基本計画検討委員会が設置され、記者発表がされた中で、昨年の九月定例議会で発言をされた日本航空学園は参画しないことを初めて知りました。地元の議員として、なぜなのか、なぜ経過を伝えなかったのか、新聞紙上でその理由を初めて知るということであり、当局のこの構想にかける熱意や二回にわたる不誠実な対応に疑問を感じ、あえて今回議場に立ったものであります。
 雑賀崎沖問題やダイオキシン問題の橋本産業廃棄物処理問題など、県内各地に起こっている問題は、結果として地元住民の生の声を聞いていない対応が後を引きずっています。行政がよしとした政策でも、今は住民の参加、地元自治体の協力や地方議員の参画なくして事は進みません。二十一世紀に向けた県民に開かれた県政を展開すべしと願いを込めて、以下五点について当局の見解を求めます。
 一つ目は、この構想実現に向けての県議会対応について、県当局はどのように考えているのか。
 二つ目は、日本航空学園との協力解消についての理由を明らかにされたい。
 三つ目は、航空工学系大学基本計画検討委員会の人選理由及び委員会の役割についてお伺いをします。
 四つ目は、大学の設立方式について、新たな私学などの支援は得られるのか、教員などの確保はどうなるのか、お伺いします。
 五つ目は、財政的に航空業界の冬の時代と言われていますが、民間の支援は得られるのか、運営上の採算のめどや赤字になる場合は県の持ち出しなどどう対処するのか、その見通しについての見解を求め、航空工学系大学の立地構想についての質問を終わります。
 続いて、最後の質問でありますが、南紀熊野体験博成功に向けての取り組みと体験博後の具体的な地域づくりについて副知事の見解を求め、質問をしてまいります。
 私は、昨年の九月定例県議会において、南紀熊野体験博をスタートに熊野古道を世界遺産に登録をし、その中で二十一世紀の健康福祉タウンの実現を目指すことについて提言をしてまいりました。関係者や県民の皆さん方の努力で南紀熊野体験博が現在開催されており、また地域の皆さん方からの地域づくりの声が私の方にも数多く寄せられています。南紀地域のスケールの大きい大自然を二十一世紀へ、そして未来へ、親から子へ、子から孫へと保全をしていくためにも、この博覧会を起爆剤として地元が今後どのような取り組みをしていくのかが大きな課題であると考えています。そのためには、南紀熊野体験博の中間総括と今後の課題、そして体験博後の町づくりについて明らかにしていくことが大変重要であると私は考えます。
 体験博の開催の意義と目的の中には、「南紀熊野地域を、単なる風光明媚な観光地としてだけでなく、豊かな歴史文化に彩られた「こころのリゾート」として明確に位置付け、地域のリゾート資源を再発掘するとともに、新しい魅力を創出する」、「南紀熊野地域に住む人々が、全国に誇るべき地域の潜在能力を自覚し、自信をもって地域づくりに取り組むことができる体制づくりや機運を醸成する」、また「南紀熊野地域の人的・物的資源に対する全国的な認知度を高め、この地域に新たな産業を創出し、地域の活力を増大させる」、このようにうたわれております。
 そこで、第一の質問は、この目的と意義に沿った取り組みの地域での具体的な成果についてどうなのか、また中間総括はどうなのか、後半の成功に向けての課題は何なのかを明らかにされたいと思います。
 第二の質問は、南紀熊野体験博後の具体的な町づくりについての提言に対する見解を求めたいと思います。
 一つ目は、二〇〇二年のサッカーワールドカップの開幕前と大会期間中にトレーニングをする公認ベースキャンプ候補地として名乗りを上げることを提案いたします。そのために、南紀熊野地域の自治体と協議をし、特に熊野古道とサンティアゴへの道が姉妹道を結んだスペインチームを呼んではどうか。二〇〇〇年十二月までに約百の候補地を決めるということ。複数の芝グラウンドと宿泊施設の完備など条件は厳しいが、既に六十九の自治体が名乗りを上げており、南紀熊野体験博後の町おこしには格好の機会だと私は考え、提言をいたします。
 二つ目は、「こころを癒す」、「こころを充たす」、「こころが蘇る」この南紀熊野地域に、不登校や中途退学者、学習障害者などを対象とした全国広域の通信制の学校をつくってはどうか。そして、大学院レベルの臨床心理センターをこの地につくることも、あわせて提言いたします。
 平成八年六月定例県議会で、私は中途退学者のことで一般質問を行いましたが、県内では毎年約五百人が中途退学をし、全国では約十三万人の子供たちが行き場を失っていること、通信制の学校がこの紀南にはないこと、不登校の対応を急がねばならないことなど、大変緊急で重要なことであると思います。この南紀熊野は、こうした子供たちの心のいやし、学習の場として最適の地だと考え、提言をいたします。
 三つ目は、この南紀熊野体験博を契機に県内及び近隣のオートキャンプ場をネットワーク化する運動が高まっており、その実現に県として積極的にかかわっていただきたいこと。アウトドアリゾートは計画的、体系的にネットワーク化することにより、利用者、設置者、運営者、地域に対し、それぞれの相乗効果が生み出されると言われております。ネットワーク化をすることによって常に情報交換を行い、円滑な管理運営を提供することによってこのすばらしい自然に恵まれた南紀地方一帯をアウトドアリゾートとしてアピールでき、年間を通じて多くの誘客が期待されるものであると私は思います。その実現に向けて提言をいたします。
 体験博後の具体的な地域づくりができてこそ熊野博の本当の成功があるのだろうと私は思います。そうした意味において三つの提言を行いました。そのほか数多く地域の方々の意見が生まれてきていますが、南紀熊野体験博以降のこうした町づくりの具体的な考えについてあわせて答弁を求めまして、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 玉置議員にお答えいたします。
 まず、公労使における雇用対策会議の設置の件でございます。
 六月十一日に決定された国における緊急雇用対策により、県段階の公労使のトップ等から成る県雇用創出・安定公労使会議を開催し、公労使一体となった取り組みを図るよう求められてございます。
 県におきましても、従来から積極的に雇用の安定・創出に取り組んでいるところでございますが、厳しい雇用情勢の改善を図るため、西口知事も従前より公労使の会議を考えてございましたので、実現に向けて関係団体と話し合っていきたいと考えてございます。
 次に、南紀熊野体験博後の具体的な町づくりの件でございます。
 南紀熊野体験博は、従来にないオープンエリア型の博覧会としてスタートいたしましたが、熊野古道などを中心にたくさんの来訪者を迎えることができてございまして、順調な滑り出しをしていると見ているところでございます。
 体験博の主役は県民一人一人であり、この機会に新しいリゾートのフロンティアとして熊野地域の情報を国内外に発信し、それぞれの地域でふるさとのよさを再認識していただくとともに、互いに知恵を出し合って、汗をかいて、自分たち自身で地域づくりを進める大きな機会になるものと期待してございます。
 体験博後の町づくりにつきましては、国内外と活発な交流が行われる国際観光・リゾート地域、心身をリフレッシュすることができる熊野文化保養ゾーンとして、ただいま議員からご提案いただきましたことなどを含め、地元自治体ともども地域の振興に努めてまいる所存でございます。
 南紀熊野体験博を成功させるために、残された期間について全力を傾けて取り組んでまいりますので、熊野地域、ひいては県全体の振興に結びつけられるよう、今後とも議員を初め県民の皆様方のご協力をお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 介護保険制度についての三点にお答えを申し上げます。
 まず、介護保険制度の実施時期についてはさまざまな議論がなされておりますが、現在介護に携わっておられる多くの家族の方々は本制度のスタートを待ち望んでおられます。また、事業主体である市町村におきましては、これまで数多くの準備事務を着々と進めているところでありまして、全国市長会や全国町村会からも予定どおり実施すべきであるとの要望がなされてございます。
 このような状況の中で、県といたしましては、今後とも市町村と緊密に連携をとりながら、予定どおり平成十二年四月一日より制度をスタートする決意を持って努力してまいりたいと考えております。
 次に広域対応についてでございますが、介護保険の運営主体は、地域住民に身近な市町村が単独で実施することが基本であります。しかしながら地域によっては、委員の確保や審査判定の公平性の観点から、介護認定審査会の広域化も意義あるものと考えております。県といたしましては、市町村における住民ニーズを尊重しつつ、広域化による業務の範囲を見きわめてまいります。
 なお、本県での広域化の状況につきましては、現時点で介護認定審査会を共同で設置する地域が八地域の三十六市町村であり、そのうちの一地域の三町村では介護保険事務全般にわたり共同実施する予定となっております。
 最後に介護保険料につきましては、現在、市町村で国から示された推計のための正式なワークシートによりさまざまな角度から検証し、試算を行っているところでございます。
 また保険料の試算方法等につきましては、在宅サービス充実の視点も踏まえ、今後の市町村介護保険事業計画作成委員会で議論していただくとともに、その内容につきましては、住民への説明会の開催等、あらゆる機会をとらえて周知徹底を図るよう指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 経済雇用対策のうち、金融機関の破綻に対する県独自の対応及び課題についてと、南紀熊野体験博後の具体的な町づくりのうち、オートキャンプ場のネットワーク化についてお答えいたします。
 まず、金融機関の破綻による職員の再就職についてでございますが、県としましては、一時に多数の失業者の発生を防止するとの観点から、雇用特別企業訪問の実施などによる求人開拓を行い、積極的に雇用情報を提供してきたところであります。しかしながら労働条件などから再就職に至らなかった方々に対し、ハローワークにおいてきめ細かな職業相談、個々のニーズに応じた求人開拓等により再就職の支援を現在も行っているところでございます。今後も引き続き、より一層の努力をしてまいります。
 次に、議員ご提言のオートキャンプ場のネットワーク化は、運営面はもちろんのこと、利用者の利便性を図る上で大変有意義なことであると考えております。現在、県下には三十カ所を超えるオートキャンプ場があり、他のキャンプ場と合わせて特集を組み、月刊「和歌山県の観光情報」などで情報発信を実施していますが、ネットワーク化によってよりよい情報が得られるものと期待されますので、今後とも市町村初め関係者の皆様と連携を図りながら積極的な情報発信を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 旧南紀白浜空港跡地への航空工学系大学の立地に関するご質問にお答えいたします。
 まず最初に、県議会への対応についてでございます。
 議員ご指摘のように、県民に開かれた形で行政を進めていくことが極めて重要であります。従前の対応について、そうした面で不十分であったとのご指摘を謙虚に受けとめまして、今後の対応については基本計画検討委員会を原則公開とし、提出資料や検討内容等についても情報提供を積極的に行っていくこととしてございます。
 次に、学校法人日本航空学園との協力関係の解消の理由についてお答えいたします。
 同学園とは、昨年九月に白浜町を含めた三者の実務担当者レベルでのワーキンググループを設置し、共同で調査研究を行ったところです。これとは別に、同学園が本構想の事業化に際して運営主体として参画したいとの意向を持っていたため、その点についても検討協議を行ってきたところです。その協議の結果、事業化の手法や資金等の面において同学園が運営主体として参加・協力することは困難との判断に至りました。このため、検討委員会への参画、その後の事業化等について協力関係を継続しないということで両者が合意したところでございます。
 次に、基本計画検討委員会の人選理由及び委員会の役割についてお答えいたします。
 基本計画検討委員会は、基本構想についてさらに精緻な客観的検討を行い、その検討結果を基本計画案として取りまとめ、知事に報告することを目的として設置したものです。
 基本計画検討委員会の委員の人選につきましては、ただいま申し上げました委員会の目的を実質的に果たしていただくために、大学、学会、航空宇宙産業界、関係省庁、地域産業界、地元自治体等の専門家の方々にお願いしたところです。
 次に、大学の設立方式についてでございます。
 現段階では公設私学法人方式が最も有望であると考えておりますが、さらに検討を進めていきたいと考えてございます。
 次に、新たな私学などの支援が得られるかとのご質問でございますが、既に近畿大学、和歌山大学、日本航空宇宙学会、航空宇宙工業界、航空運輸業界、関係省庁等のご支援、ご協力をいただいており、大学設置審査基準に基づく専任教員の確保、カリキュラムの編成、大学の開設・運営、就職先の確保、共同計画の実施等については十分可能であると考えてございます。
 次に、民間の支援は得られるのかとのご質問でございます。
 民間企業等からの財政的支援につきまして、本来、優秀な人材の確保や共同研究、受託研究等による研究成果の産業化など、何らかの形で民間企業に利益還元が行われるべきものだと考えております。このため、事業化が決まった場合には、教育研究支援や奨学制度の整備、共同研究の実施等について協力を求めていきたいと考えてございます。
 次に事業採算性の確保に関する見通しにつきましては、これまでの調査研究において事業収支に関する厳しい試算を行っておりますが、今後さらに、カリキュラム案に基づく人員の具体的配置、施設建設費及び設備経費の積み上げ等、精緻な検討を行う必要があると考えております。
 次に、赤字となった場合の県の持ち出しについてのご質問でございますが、公設私学法人方式や誘致方式の場合には、原則として学校法人が自立的に対処すべきものであると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 南紀熊野体験博に関連する質問のうち、具体的な成果と中間総括及び後半に向けての課題についてお答え申し上げます。
 南紀熊野体験博は、開幕以来多くの人々に参加いただいており、本県が安らぎやいやしの最適の地であることを実感していただいているのではないかと考えてございます。特に熊野古道では、県外から来られた方々にも大勢歩いていただいており、その魅力を全国に広く伝えることができ、地域資源の再発掘と新しい魅力の創出という面からも評価できるのではないかと考えてございます。
 また、この博覧会がねらいとする住民参加の具体的な形として、体験リーダーや運営スタッフ、古道ガイドボランティアなど、積極的な取り組みをいただいているほか、白浜町のイルカとのふれあい体験、あるいはすさみ町の海中ポストといったその地域ならではのユニークなイベントも考案され、好評でございます。
 さらに、南紀熊野の魅力を知っていただく一つの方策として、その特性を生かしたリゾート体験イベントという手法を地域の方々に提案し、多くのイベントを企画していただきましたが、こうしたイベントの組み立てには多大の熱意と労力が必要であり、このことだけでも大きな成果であると考えております。しかしながら、このリゾート体験イベントに一部実施できなかったものがあり、課題となってございます。その理由として主催者、参加者双方にふなれや戸惑いがあったことから、割高感やPR不足を解消するなど、多くの方々に参加していただけるよう見直しを行ったところでございます。
 これから夏休みを迎え、南紀熊野地域の海を初め自然がますます魅力的なものになってまいりますが、この魅力を十分満喫していただけるようさらに全力を挙げて取り組んでまいりたいと存じております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 二〇〇二年のワールドカップサッカーのキャンプ地に関してでありますが、この大会は、関西地方では大阪市、神戸市が競技会場となっております。本県にとりましても、スポーツの振興はもとより、国際交流や国際観光の振興にも大きな役割を果たす機会になると考えております。
 紀南地域へのキャンプ地の誘致は、種々の条件から厳しいものがありますが、今後、南紀熊野体験博を契機として紀南地域の一層の活性化を図るため、各種のスポーツイベントを開催できるよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、南紀熊野地域における広域の通信制高校の設置についてでありますが、全国の生徒が学ぶことができる広域の通信制高校は、現在、NHK学園高校など、全国で十四校が設置されています。本県では、陵雲高校と紀の川高校の二校に通信制課程を設置し、陵雲高校は田辺学級、新宮学級を開設しております。
 通信制高校は、生徒それぞれの状況に応じ、自分のペースに合わせて主に自宅で学習できることから、不登校生徒や中途退学者も受け入れ、成果を上げてまいりました。また、生涯学習の観点から、国語や芸術などの一部の科目だけを学習する生徒も多く学んでおります。南紀熊野地域の豊かな自然や歴史、文化を生かして、こうした学校を開設することも意義のあることと思います。
 議員ご提言の、広域の通信制高校を学校法人等が具体化する場合には、教育委員会としてもできる限り協力してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十六番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁、ありがとうございました。
 ただいま副知事より、緊急課題である公労使による会議の実現を初めてこの議会で表明をしていただきました。私は、大変意義のあるものであると押さえております。その実現を早急に図れるよう、よろしくお願いをしたい。
 特に政府が今月の十一日に発表した緊急雇用対策では、八月の中旬ごろまで国会が延長され、恐らく関連予算も含めて成立をするだろうと私は思います。そうした意味におきましても、九月県議会で補正予算を提案するということになってまいりますから、できれば早急にこの会議を実現していただいて、よろしくお願いをしたい。これは要望であります。
 それともう一点。航空工学系の立地構想については県民に開かれた形で行政を進めていくことが極めて重要であり、今までの対応については不十分であったことを謙虚に受けとめていただいたと思います。これからは情報提供を積極的に行っていくということも表明をしていただきました。今後は、政策形成過程においても県民に情報公開を行い、県民に開かれた取り組みをしていただき、そしてその取り組みが新しい二十一世紀のモデルとなりますように、この姿勢を貫いていただくことを要望いたしたいと思います。
 最後に、先ほど南紀熊野体験博の答弁がございました。今、それぞれ皆さんが頑張っておられます。私がこの体験博を通じて、誇りを持って、また地元の知恵と発想を持って南紀の地を守り発展させていこうという気概が満ちてきておると感じております。先祖が残してくれたすばらしい南紀の自然や歴史、文化を壊さずに守り残していくことがいかに大切であるかということも感じ取っておられます。九月までの南紀熊野体験博の成功に向けて、さらには九月以降の熊博後も南紀のすばらしい町づくりができますようなお一層の取り組みをお願いいたすとともに、私も微力ではございますが一生懸命取り組んでいくことをお誓い申し上げながら、質問といたします。ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十七分休憩
     ─────────────────────

このページの先頭へ