平成11年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(飯田敬文議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第八十六号から議案第九十五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第八十六号から議案第九十五号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十三番飯田敬文君。
  〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従って質問をいたしたいと思います。
 まず第一に、景気対策、雇用創出についてお尋ねをいたします。
 堺屋太一経済企画庁長官が、本月八日、月例経済報告を関係閣僚会議に提出し、景気の現状認識を示しております。それによりますと、民間需要の回復力が弱く、依然として厳しい状況にあるが、一連の政策効果によりおおむね横ばいで推移していると、下げどまりつつあるとした今までの見解を三カ月ぶりに上方修正した報告がなされております。その中身は、個人消費がやや持ち直していることと、在庫調整が進み生産が上向いてきたためであり、また貸し渋りも解消されつつあるためと説明をしております。一方、雇用の面では、一層厳しい面があるため反発力に欠けると判断されております。
 今日の日本経済の現状は、急激な景気後退の中で、経済企画庁長官の報告の中にもあるとおり、銀行への限界のない資金の投入や公共投資の大量投入によって辛うじて小康を保ちつつあることはそのとおりであり、期限を決めての政策的実施を行わなければならないと考えております。また個人消費の部分は、長引く不況の中において、消費者自身が買い控えの限界に達したことにより、耐久消費財、例えば自動車や家庭製品などの買いかえ時期の到来による一時的な勤労世帯の個人消費の伸びにあらわれた結果であるところから、今後なお一層の消費減が予想されておるところであります。また、企業の不良債権処理の本格的な開始により、バブル期やそれ以前に購入した社用不動産の処分や雇用不安に伴う勤労者世帯の持ち家購入の手控えによる土地価格の暴落は不良債権の含み債券の価格を低落させ、数年後のGDPを押し下げ、さらなる後退に拍車をかけることとなります。つまり、物が豊富にあふれたデフレ傾向を一段と増幅させようとしております。
 一方、国の低金利政策は、今日までの景気後退策の歯どめの一環としては有効でありましたが、今日ほどの景気の低水準の状況下では成り立たないところまで来ております。単純に考えるならば、デフレ経済をインフレ経済へと導けばいいわけでございますけれども、急激なインフレを引き起こせば、高齢化社会の中にあって物価の急上昇はさらなる景気後退につながることとも相なり、調整インフレを政策的に行うことがあらゆる面において今日有効な手だてではないかと考えているものであります。
 いずれにいたしましても、国民意識は、一応の安定期に入ったとする意識があるものの、低水準の中で景気がよくなったとする感が得られていないのが現状であります。
 一方、景気の動向に関連する雇用の問題は、給与所得者などの生活者に深刻な影を落としております。過去最悪であった昨年十二月の失業率四・四%の数値は、本年に入っても、一月、二月、三月と三カ月連続して高い水準を維持し、戦後の混乱期を除いて初めて完全失業者が三百万人に達しようとしております。景気の低迷による企業の設備投資への圧縮を通じた企業調整が、今後もリストラという形で人員整理へ向かうことは避けられないことであり、結果、長期的失業率の増大に経済循環から来る失業がかさ上げされ、近い将来五%台に上昇するという意見もあり、さらに深刻度が増してきております。これを回避するための方策として国は、緊急対策として即効性を重視した七十万人余りの直接的な雇用創出策を打ち出し、公的部門や成長が見込まれる分野での雇用を目指しております。
 現在、政府では、ざっと三十万人の雇用、二千億円の補正予算をつけて雇用創出をしようとしておりますけれども、二千億円割る三十万人は六十六万でございます。これを二年間で六十六万円、一年間に三十三万円で県に雇用せよと、こういうふうな予算になっておるわけでございます。とりわけ和歌山県は、阪和銀行や県信の倒産等、大変厳しい雇用状況にあるわけでございまして、これに対する県の姿勢が今問われておると感じるわけでございます。
 いずれにいたしましても、公共事業による雇用の確保はその場限りであるということになろうかと思いますけれども、やがて来る五%台の失業率を考えるとき、やむを得ない措置であります。そういった意味で、今、財政難を抱えた地方自治体への公共事業の上積みは新たな副作用を及ぼすことが予想されますので、単に失業率を抑えるためだけではなく、労働市場の構造改革につながる視点を持って行うべきだと考えております。特に我が県においては、国の状況に比例し、依然厳しい状態が続いております。
 先日の和歌山県社会経済研究所の景気動向調査アンケートの中に、県下の景気状況は、景気の下げどまり感が高まり一部に回復の兆しがあると発表がありましたが、企業倒産件数は、減少は見られるものの、例えば一千万円以下の小口倒産が頻発をしておるわけでございます。これは、長引く不況の中、過去蓄えた資金の目減りに加え、親会社の倒産で持ちこたえられなくなったためと考えられるわけであります。また、他業種を含めた経済基本指数は、公共事業など以外、多くの業種がマイナス指標になっており、県経済の早急な政策手当てが必要であります。
 和歌山県として、現在の県の経済景気状況、とりわけ雇用状況をどのように認識しておられるのか、またこれを立て直す今後の方針について高瀬副知事にお伺いをいたします。
 次に、経済、雇用問題とも関連することでございますが、県経済の安定を図る上で民間活力が順調に引き出せる施策を早急に示すことが大事と考えます。その意味では、本年三月に出された第一次中期実施計画「わかやま二十一世紀計画」は、県当局の地域振興にかける取り組みの姿勢を評価するところであります。しかし、今最も必要とする景気の浮揚は、厳しい財政事情の中で有効かつ有意義な財政配分を行えるかどうかにかかっています。
 私は、経済の立て直しには、今行われているリストラの大合唱や行財政改革というブレーキを外して全力で公共の立場であらゆる景気浮揚対策を講じ、とりわけ福祉、人権、教育という分野で調整インフレ政策をとるべきであると思うわけでございます。そのためには、新しい時代に即応した社会資本を育てることが大切であります。例えば、通信分野、新エネルギー、廃棄物処理、介護施設、職業訓練などへの支援、成長が望まれる企業、特に産業の誘致を図って雇用と連携した対策を打ち出さなくてはなりません。中でも、主要プロジェクトである電源立地は大きな意味を持つものと期待をしております。
 西防波堤埋立地に本年度準備工事着手される火力発電の和歌山発電所は、概算事業費一兆円の建設費を掲げ、LNG燃料を使用し、全体で三百七十万キロワットを生産し、関西全域に供給できる施設であります。県内隣接市町村を初め、周辺環境や地球規模での環境問題を念頭に、安全性を見きわめた上で積極的に建設されることを強く望んでおります。
 また、中期実施計画の中には、発電所建設に伴う県内波及効果予測において、ざっと四千億円を見込んでおられますが、この中身は具体的にどのようなものであるのか。さらに、建設やメンテナンスに当たって、県内の中小零細企業、景気浮揚につながる県内企業の参加がどうなっておるのか。県内企業の参加を強く要望し、かつ雇用の確保に努めていただきたいと思うところであります。電源立地に伴う県内波及効果の中身と環境を念頭に置いた安全面についてお伺いをいたします。
 二つ目といたしまして、紀泉百万都市圏構想の実現についてお尋ねをいたします。
 平成五年の初当選以来、私が一貫して主張し続けてきたことは、和歌山県勢の浮揚は関西国際空港二〇〇七年の二期工事の完成におくれることなく和歌山県側が受け入れ体制を整えることであろうかということであります。先ごろ県長期総合計画の第一次中期実施計画が策定され、おおむね県行政が目指す計画に賛成の意を表するところではありますが、これも絵にかいたもちにならないよう強力に推進されんことを望むところでございます。
 第一次中期実施計画をもとに、私が主張してきたことを踏まえて、改めて質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、紀泉地域は、大阪大都市圏の南、和歌山県紀北地域にあって、恵まれた自然と豊かな歴史、文化遺産を有した地域とうたわれ、関西国際空港の開港によりこれを中心とした交通体系、国際都市づくりを目指すと、紀泉百万都市圏構想推進を主要プロジェクトとして掲げております。
 昨年七月に実施されました紀泉サミットは、これを推進するに当たり有意義な会合であったと理解をしておりますが、その後の進展が見えておらず、継続性のある開催が望まれるところであります。市町村段階では、和歌山市、海南市、那賀郡の首長が集う会議や、那賀郡独自において泉南各市町村との懇親あるいは民間の交流が積極的に行われております。長期総合計画にのせている、県主導での民間交流を含めた実務レベルでの開催を進めていただきたいと思うところであります。紀北地域と泉南地域の紀泉フォーラムを初め、民間を含めた地域交流についてお伺いをいたします。
 次に、道路体系についてお伺いをいたします。
 高規格道路京奈和自動車道路の早期建設を具体的に目に見える形で実現していただきたいと思うところであります。これは、過日の江上議員が質問をされておったことと重複いたしますが、改めて私はこの実現に、紀北東道路とともに紀北西道路を同時に着工し、早期の供用を強く要請するものであります。
 また、紀泉百万都市圏構想に欠かせない府県間道路の拡幅及び改修を同時進行で推進されなければ意味がないと思うわけであります。泉佐野打田線は、県の中央を走る基幹道路としても、構想にとっても重要な意義を占めている道路であり、大阪側の取り組みのおくれがあるところから、当県からの強力なアプローチと、必要であるならば財政措置をも含めた協力体制を築いていただき、早急に取り組んでいただきたいと思います。一方、泉佐野岩出線は、反対に和歌山県側におくれを感じており、紀泉百万都市圏構想の主要道路として早期に完成・供用を期待するものであります。
 なお、現在進行中の紀泉高原スカイライン、粉河町から打田町神通までの工事はおおむね完成の見通しが立てられておりますが、その完成の見通しについてお伺いをいたします。
 また、文化の道として打田町神通から岩出町根来寺までを引き続き整備し、根来山森林体験パークへと接続させ、葛城山広域文化道路として完成をさせていただきたいと思うところであります。
 現在、熊野体験博覧会が自然体験型のリゾート博として大変注目をされておりますが、私はこの成果を踏まえて、今後はさらに紀北地域において、全国育樹祭の開催誘致等を含め、紀北地域の自然、文化を全国に訴えていく上でこの紀泉高原スカイラインの全線開通を要請するものであります。府県間道路泉佐野岩出線及び泉佐野打田線の促進にかかわる大阪側への働きかけと財政措置、及び紀泉高原スカイラインの進捗状況についてお伺いをいたします。
 次に、現在進行中の打田町東部地区への企業誘致のための用地確保は、現在、県土地開発公社において積極的な取り組みがなされておりますことに敬意を表するところであります。
 以前にも申し上げたとおり、紀北地域は、大手民間企業にとって関西国際空港を中心とした経済圏として注目を集めております。最近のりんくうタウン周辺の企業誘致候補地の現状は、景気の低迷により企業の体力が低下している上、誘致用地の高価格でさまざまな問題を抱えていると聞き及んでおります。このことをとってみても和歌山県紀北地域は、地価も安価であり、経済圏として意味のある地域であります。景気の浮揚と失業対策、特に地元雇用、地元産業の育成を含めて重要なことであり、交通体系整備との同時進行によりますます需要が広がる可能性を秘めております。誘致企業が望むチャンスを逃すことなく、積極的な取り組みを要望するものであります。
 次に、都市機能の整備に生活環境の整備がうたわれておりますが、その中でも住環境整備が重要となっております。
 今、県を含めた市町村で進められている下水道建設問題は、清潔な河川はもとより、住民の清潔で住みよい地域づくりへの最重要課題であります。関係市町村において種々検討されており、広域下水道伊都処理区の完遂に引き続いて那賀処理区の早期着工を目指していただきたいと思うところであります。
 なお、長期総合計画の中にも策定されておりますが、まず終末処理場の建設が優先されるべきであり、那賀郡においての終末処理場設置町への具体的なアプローチとともに、その周辺整備に県主導により万全の体制を築き上げることを強く求めるものであります。
 また、ごみ処理問題は火急の問題であります。各町のごみ処理場はその能力の限界に達しつつあり、厚生省環境指導にもあるダイオキシン問題とともに、地球の環境を守る観点から、現在一市九町による広域処理場建設に向けて協議を重ねており、県としてもこれに積極的に取り組んでいただきたいと思うところであります。
 なお、処理場を建設するだけでは問題の解決には至らないと思います。固形化の問題、終末処理の問題、さまざまな問題が今ある中で、ごみを減らす啓発なりリサイクルを含めた出るごみに対する新しい処理方法を研究し、市町村に対し早急にその成果を示すことを強く要望したいと思います。
 さらに、二十一世紀を目前に、人々の価値観が変化し、ゆとりと健康管理に移動しております。
 近年、生涯教育やスポーツを通じた健康管理と近隣との友好の輪を広げようと、あらゆる場面において地域間で交流を重ねております。確かに各市町村段階では各種スポーツ公園などの施設を建設し、これの推進に力を注いでおりますが、規模的に大きな大会などできない施設であり、国際交流を掲げている県としても、例えば公式試合のできる野球場やその他のスポーツができる施設を建設していただきたいと念願をしております。
 現在、打田町畑野上地内の県管理の海神川河川敷に紀の川大堰の発生土が搬入されており、その結果として広大な土地ができると聞いております。また、その隣接地において打田町の運動公園整備が計画されておりますが、この広大な土地を利用して県立の総合文化スポーツ公園を建設してはどうかと考えております。さらに、人材育成の近畿大学の総合大学化推進と、マンモス化している那賀郡三校の現状を緩和するためにも、雇用に有利な工業高校の新設についてあわせて強く要請するものであります。以上、三点を強く要望するものであります。
 最後に、人権対策の推進についてお尋ねをいたしたいと思います。
 過去、本会議において質問の機会をいただいたとき、極めて残念ではありますが、悪質な差別事件が県内で続発しておることを報告させていただきました。それにもかかわらず有効な対応策がないという状況にあることも指摘をさせていただいた経緯がございます。例えば、差別行為を行った者に対する一定の権限を持った啓発指導や県民の教育啓発と自主的な活動拠点の設置、それらを含めた全体的な教育啓発のあり方についての見直しを求めてまいりました。その際、県当局として積極的な取り組みの姿勢をうかがえるご答弁をいただいたところであります。
 こうしたことを踏まえ、同和問題を初めとする人権にかかわっての質問を改めていたしたいと思います。
 現在、国では人権擁護推進審議会で人権教育と啓発に関する論議が重ねられ、七月に、間もなく答申が出されようとしております。さらに引き続いて、差別事象に係る被害の救済に関する論議が継続して進められる運びとなっております。
 昨年九月、「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画が策定され、その具体的な取り組みが新年度予算にも新規事業として盛り込まれているところであります。特に、行政機関だけではなく、県民を含め、地域レベルでの差別を許さない人権の確立に向けたネットワークの構築にまで進めていかなければなりません。現実の差別や人権の状況を的確にとらえ、日常の市民生活のレベルまでの具体的な取り組みが要請されております。こうしたことを踏まえ、今後の人権教育の推進方向には同和問題を中心に位置づけた施策なり方針が必要であると思います。そこで、国の動向、あるいは人権教育の推進の総括的な意味を含めて、県民教育啓発と自主的な活動拠点としての人権啓発センターの建設を強く望むものであります。
 現在、和歌山県におきましては、福祉、医療、保健など県立の施設はビッグ愛を初めとして建設をされておりますが、人権を中心とした県立施設は皆無であります。二十一世紀は人権の世紀、人間の世紀と言われているときに県として早急に建設をしなければならないと考えるところであります。
 最後に、国におけるさまざまな動向あるいは国際的な潮流と我が国の課題、さらに和歌山県での論議の方向と課題を考えたとき、紛れもなく同和問題を中心として動いており、今日なお厳しい差別の実態があることを認識したものであります。しかし一方で、極めて恣意的に同和問題を一般論としてとらえ、抽象的に人権をやっておれば同和問題をやる必要がないとか、人権をすることによって同和問題はもうなくなったんだとかいう考え方、いわゆる人権の中に同和問題を埋没させようとする動きがあるわけであります。私は、障害者の問題は障害者の問題として、女性の問題は女性の問題として、同和問題は同和問題として理解し、認識を深めて取り組みを進めていただかなければ、人権をやっておるから、民主主義でやっておるから障害者の問題はやらんでいいんだという考え方は間違いであろうと思うわけであります。
 そういった意味で、こうしたことを踏まえ、和歌山県として同和問題の歴史性や社会性といったさまざまな角度から分析をしていただきまして、同和行政の今後の基本姿勢を改めてお聞きいたすところであります。人権擁護推進審議会の動向を踏まえた今後の人権教育の推進方向について、また今後の同和行政の基本姿勢について、及び人権教育の拠点となる県立人権啓発センターの設置についてお伺いをし、質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 飯田議員にお答えいたします。
 まず、景気対策についてでございます。
 議員のご質問にもございましたように、県の経済、雇用の状況につきましては、企業の景況感や住宅建設など、一部には下げどまりの傾向もございますが、個人消費や生産面では低迷を続け、有効求人倍率は四月に〇・四六倍となるなど、依然として厳しい状況が続いております。
 県は、このような深刻な状況に対し、国の緊急経済対策の一環である雇用活性化総合プランに基づいて雇用対策を実施してきたところでございます。具体的には、雇用調整助成金の活用による雇用の維持・安定に努めるとともに、中小企業の新規雇用創出のための支援強化、公共職業安定所と経済団体の連携による求人開拓等、雇用促進に取り組んでいるところでございます。
 また、この六月八日には景気・雇用対策本部幹事会を開催し、現在の厳しい雇用状況に対応するとともに、今後は六月十一日に国の産業構造転換・雇用対策本部において決定された緊急雇用対策につきまして、国の補正予算の動向を見ながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、紀泉百万都市圏構想の推進についてでございます。
 和泉山脈を挟む本県紀北地域と大阪府南部地域の相互理解に基づく一体的な地域整備が必要でございます。このため、昨年七月に紀泉サミットを開催し、大阪府知事ほか関係各位にお集まりをいただき、紀泉地域の発展に向けて連携強化を共同宣言いたしました。本年度はより広範な方々に参加をいただき、紀泉地域の現状及び将来について議論していただくため、九月に那賀郡内において紀泉地域交流・連携シンポジウムを地元市町村と共同で開催することとし、鋭意準備を進めてございます。
 また、阪和開発連絡協議会等を通じ、府県間の連携強化に加え、府県境を超えての市町村間や住民相互交流のあり方、今後の具体的方策等についてさらなる検討を重ね、紀泉地域での地域間交流を実のあるものにしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 和歌山発電所の建設に伴う経済波及効果につきましては、発電所の建設投資額を一兆円として産業連関モデルにより県内波及効果を予測してございまして、産業別に、建設業が二千百七十億円、サービス業が五百五十七億円、製造業が四百八十七億円、商業が二百五十五億円など、合計約四千億円が見込まれることとなってございます。
 議員ご指摘の県内企業の参加、雇用の確保や環境・安全面につきましては、発電所の建設に際して締結する建設協定の中で取り組みを行うなど、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 紀泉百万都市圏構想の推進についての二点目、高速道路及び府県間道路の整備計画についてお答えいたします。
 県道泉佐野打田線の府県境部のうち、本県側の約〇・一キロメートルにつきましては平成十年度に用地買収を完了しており、残る本工事につきましても大阪側と調整を図りながら進めてまいります。
 また、大阪側の約〇・四キロメートルにつきましては、本年度に二瀬川橋梁で、下部工の促進とともに、用地買収が難航している共有地も無償使用契約にて処理する方向で地元調整を図っていると聞いております。
 犬鳴山地内の改良事業につきましては、バイパス計画で地元関係者と事業計画の協議を進めると聞いており、今後とも府県境部とあわせて早期に整備されるよう、阪和開発連絡協議会等でなお一層強く大阪府に働きかけてまいります。
 次に県道泉佐野岩出線の改良事業につきましては、県境から国道二十四号までの六・六キロメートルのうち、根来から備前までの工区は平成十年度までに九〇%の用地を取得し、一部本工事に着手しているところでございます。残りの用地につきましても、早期取得に努力してまいります。
 押川から根来までの工区につきましては、平成十年度から岩出町で地籍調査に着手されているところであり、本年度も引き続き地元協力を得ながら用地買収に努めてまいります。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 紀泉高原スカイラインの関係につきましてお答え申し上げます。
 紀泉高原スカイラインの建設でございますが、粉河町の府県境部と打田町神通を結ぶ約六キロメートルの区間をふるさと林道として位置づけ、平成七年度に工事着手し、総工費約十五億八千万円の計画で鋭意取り組んでいるところでございます。特に本年度は十五カ月予算として前倒し発注するなど、工事の進度は極めて順調に推移し、平成十二年度末にはふるさと林道の完成が見込まれてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 紀泉百万都市圏構想の推進についてのうち、四番目の、広域にわたるごみ処理計画についてお答えいたします。
 自治体のごみ処理につきましては、平成九年五月から市町村及び厚生省と協議を重ね、県下を七ブロックに分け、ごみの排出抑制とリサイクル、ごみ焼却施設の集約化、余熱利用の推進等を基本方針として本年三月にごみ処理広域化計画を取りまとめてございます。この中で、海南市、海草郡、那賀郡の一市九町が海南・海草・那賀ブロックを形成し、広域的なごみ処理施設を計画しております。このブロックにつきましては、海草振興局と那賀振興局の管内にまたがるため、県と関係市町村において十分な協議のもとに実現したものでございます。したがいまして、今後とも市町村に対し、リサイクルの推進や分別収集の徹底などもあわせて広域化の早期実現に向けて指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 人権問題についての三点にお答えします。
 まず、人権教育の推進方向についてでございます。
 国におきましては、平成八年十二月に制定された人権擁護施策推進法に基づいて設置された人権擁護推進審議会から、同和問題を初めとする人権問題の解決に向けた教育及び啓発の推進についての答申が七月末に出される見通しと聞いております。また、平成九年七月には「人権教育のための国連十年」に関する国内行動計画が策定されたところでございます。
 県といたしましては、人権教育のための国連十年を全庁的に推進するため、平成九年十二月に知事を本部長とする和歌山県推進本部を設置し、今後の人権教育啓発を推進するための指針となる和歌山県行動計画を策定したところでございます。この行動計画に基づきまして、平成十一年度において人権啓発フェスティバルや福祉のまちづくり99フェスタなどを開催し、県民の人権意識の普及高揚に努めるとともに、市町村における取り組みの促進を図るための人権啓発推進モデル事業等を行うこととしているところでございます。
 今後、人権教育啓発の取り組みにおきましても、同和問題は人権教育啓発の重要な柱であるとの認識のもと、国の機関や市町村とのネットワークの強化を図り、部落差別を初めあらゆる差別をなくすため、県民挙げての人権教育啓発の推進に努めてまいります。
 次に、今後の同和行政の基本姿勢についてでございます。
 これまで、同和問題の解決は行政の責務であり国民的課題であるとの認識のもと、本県では同和対策を積極的に推進してまいりましたが、今なお差別事件の発生を初めとして解決しなければならない課題が残されており、これら諸課題の早期解決に向け、全力で取り組む必要があると考えてございます。
 このことから、県といたしましては、同和問題が人権問題の大きな柱であるとの認識のもと、昨年一月に策定した和歌山県同和行政総合推進プランに基づく諸施策を総合的に推進することにより、同和問題の一日も早い解決を目指してまいります。
 最後に、人権啓発センターにつきましては、「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画の中にも、人権文化創造のための情報発信基地として、仮称でございますが、人権問題に関する情報の集積と人権教育啓発の研究を行う人権教育啓発センターの設置を位置づけたところでございます。現在、国や他府県のセンターを参考にしながら、規模や内容等について検討を重ねているところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、飯田敬文君の質問が終了いたしました。

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