平成11年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十一年六月 和歌山県議会定例会会議録 第四号

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議事日程 第四号
 平成十一年六月二十五日(金曜日)午前十時開議
  第一 議案第八十六号から議案第九十五号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第八十六号から議案第九十五号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十六人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       松   本   泰   造
     五  番       阪   部   菊   雄
     六  番       堀   本   隆   男
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       大   沢   広 太 郎
     十二 番       木   下   善   之
     十三 番       宇 治 田   栄   蔵
     十四 番       尾   崎   要   二
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       谷   本   龍   哉
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       永   井   佑   治
     二十 番       谷       洋   一
     二十一番       小   川       武
     二十二番       高   瀬   勝   助
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       山   下   直   也
     二十六番       玉   置   公   良
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       野 見 山       海
     二十九番       吉   井   和   視
     三十 番       向   井   嘉 久 藏
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       江   上   柳   助
     三十四番       金   田       眞
     三十五番       森       正   樹
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       新   田   和   弘
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       大   江   康   弘
     四十一番       高   田   由   一
     四十二番       中   山       豊
     四十三番       飯   田   敬   文
     四十四番       鶴   田   至   弘
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       村   岡   キ ミ 子
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     十五 番       宗       正   彦
説明のため出席した者
     副知事        高   瀬   芳   彦
     出納長        中   山   次   郎
     理事         藤   谷   茂   樹
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     生活文化部長     大   井       光
     福祉保健部長     小   西       悟
     商工労働部長     上   山   義   彦
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       白   井   保   世
     教育委員会委員長   安   藤   精   一
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   高   垣       宏
     警察本部長      樋   口   建   史
     人事委員会委員長   若   林   弘   澄
     代表監査委員     宮   市   武   彦
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       新   谷   哲   朗
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       佐   竹   欣   司
     議事課副課長     井   田   光   三
     議事班長       松   谷   秋   男
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       西   野   光   彦
     調査課長       湯   川       忠
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課速記技師    保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第八十六号から議案第九十五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第八十六号から議案第九十五号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十三番飯田敬文君。
  〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従って質問をいたしたいと思います。
 まず第一に、景気対策、雇用創出についてお尋ねをいたします。
 堺屋太一経済企画庁長官が、本月八日、月例経済報告を関係閣僚会議に提出し、景気の現状認識を示しております。それによりますと、民間需要の回復力が弱く、依然として厳しい状況にあるが、一連の政策効果によりおおむね横ばいで推移していると、下げどまりつつあるとした今までの見解を三カ月ぶりに上方修正した報告がなされております。その中身は、個人消費がやや持ち直していることと、在庫調整が進み生産が上向いてきたためであり、また貸し渋りも解消されつつあるためと説明をしております。一方、雇用の面では、一層厳しい面があるため反発力に欠けると判断されております。
 今日の日本経済の現状は、急激な景気後退の中で、経済企画庁長官の報告の中にもあるとおり、銀行への限界のない資金の投入や公共投資の大量投入によって辛うじて小康を保ちつつあることはそのとおりであり、期限を決めての政策的実施を行わなければならないと考えております。また個人消費の部分は、長引く不況の中において、消費者自身が買い控えの限界に達したことにより、耐久消費財、例えば自動車や家庭製品などの買いかえ時期の到来による一時的な勤労世帯の個人消費の伸びにあらわれた結果であるところから、今後なお一層の消費減が予想されておるところであります。また、企業の不良債権処理の本格的な開始により、バブル期やそれ以前に購入した社用不動産の処分や雇用不安に伴う勤労者世帯の持ち家購入の手控えによる土地価格の暴落は不良債権の含み債券の価格を低落させ、数年後のGDPを押し下げ、さらなる後退に拍車をかけることとなります。つまり、物が豊富にあふれたデフレ傾向を一段と増幅させようとしております。
 一方、国の低金利政策は、今日までの景気後退策の歯どめの一環としては有効でありましたが、今日ほどの景気の低水準の状況下では成り立たないところまで来ております。単純に考えるならば、デフレ経済をインフレ経済へと導けばいいわけでございますけれども、急激なインフレを引き起こせば、高齢化社会の中にあって物価の急上昇はさらなる景気後退につながることとも相なり、調整インフレを政策的に行うことがあらゆる面において今日有効な手だてではないかと考えているものであります。
 いずれにいたしましても、国民意識は、一応の安定期に入ったとする意識があるものの、低水準の中で景気がよくなったとする感が得られていないのが現状であります。
 一方、景気の動向に関連する雇用の問題は、給与所得者などの生活者に深刻な影を落としております。過去最悪であった昨年十二月の失業率四・四%の数値は、本年に入っても、一月、二月、三月と三カ月連続して高い水準を維持し、戦後の混乱期を除いて初めて完全失業者が三百万人に達しようとしております。景気の低迷による企業の設備投資への圧縮を通じた企業調整が、今後もリストラという形で人員整理へ向かうことは避けられないことであり、結果、長期的失業率の増大に経済循環から来る失業がかさ上げされ、近い将来五%台に上昇するという意見もあり、さらに深刻度が増してきております。これを回避するための方策として国は、緊急対策として即効性を重視した七十万人余りの直接的な雇用創出策を打ち出し、公的部門や成長が見込まれる分野での雇用を目指しております。
 現在、政府では、ざっと三十万人の雇用、二千億円の補正予算をつけて雇用創出をしようとしておりますけれども、二千億円割る三十万人は六十六万でございます。これを二年間で六十六万円、一年間に三十三万円で県に雇用せよと、こういうふうな予算になっておるわけでございます。とりわけ和歌山県は、阪和銀行や県信の倒産等、大変厳しい雇用状況にあるわけでございまして、これに対する県の姿勢が今問われておると感じるわけでございます。
 いずれにいたしましても、公共事業による雇用の確保はその場限りであるということになろうかと思いますけれども、やがて来る五%台の失業率を考えるとき、やむを得ない措置であります。そういった意味で、今、財政難を抱えた地方自治体への公共事業の上積みは新たな副作用を及ぼすことが予想されますので、単に失業率を抑えるためだけではなく、労働市場の構造改革につながる視点を持って行うべきだと考えております。特に我が県においては、国の状況に比例し、依然厳しい状態が続いております。
 先日の和歌山県社会経済研究所の景気動向調査アンケートの中に、県下の景気状況は、景気の下げどまり感が高まり一部に回復の兆しがあると発表がありましたが、企業倒産件数は、減少は見られるものの、例えば一千万円以下の小口倒産が頻発をしておるわけでございます。これは、長引く不況の中、過去蓄えた資金の目減りに加え、親会社の倒産で持ちこたえられなくなったためと考えられるわけであります。また、他業種を含めた経済基本指数は、公共事業など以外、多くの業種がマイナス指標になっており、県経済の早急な政策手当てが必要であります。
 和歌山県として、現在の県の経済景気状況、とりわけ雇用状況をどのように認識しておられるのか、またこれを立て直す今後の方針について高瀬副知事にお伺いをいたします。
 次に、経済、雇用問題とも関連することでございますが、県経済の安定を図る上で民間活力が順調に引き出せる施策を早急に示すことが大事と考えます。その意味では、本年三月に出された第一次中期実施計画「わかやま二十一世紀計画」は、県当局の地域振興にかける取り組みの姿勢を評価するところであります。しかし、今最も必要とする景気の浮揚は、厳しい財政事情の中で有効かつ有意義な財政配分を行えるかどうかにかかっています。
 私は、経済の立て直しには、今行われているリストラの大合唱や行財政改革というブレーキを外して全力で公共の立場であらゆる景気浮揚対策を講じ、とりわけ福祉、人権、教育という分野で調整インフレ政策をとるべきであると思うわけでございます。そのためには、新しい時代に即応した社会資本を育てることが大切であります。例えば、通信分野、新エネルギー、廃棄物処理、介護施設、職業訓練などへの支援、成長が望まれる企業、特に産業の誘致を図って雇用と連携した対策を打ち出さなくてはなりません。中でも、主要プロジェクトである電源立地は大きな意味を持つものと期待をしております。
 西防波堤埋立地に本年度準備工事着手される火力発電の和歌山発電所は、概算事業費一兆円の建設費を掲げ、LNG燃料を使用し、全体で三百七十万キロワットを生産し、関西全域に供給できる施設であります。県内隣接市町村を初め、周辺環境や地球規模での環境問題を念頭に、安全性を見きわめた上で積極的に建設されることを強く望んでおります。
 また、中期実施計画の中には、発電所建設に伴う県内波及効果予測において、ざっと四千億円を見込んでおられますが、この中身は具体的にどのようなものであるのか。さらに、建設やメンテナンスに当たって、県内の中小零細企業、景気浮揚につながる県内企業の参加がどうなっておるのか。県内企業の参加を強く要望し、かつ雇用の確保に努めていただきたいと思うところであります。電源立地に伴う県内波及効果の中身と環境を念頭に置いた安全面についてお伺いをいたします。
 二つ目といたしまして、紀泉百万都市圏構想の実現についてお尋ねをいたします。
 平成五年の初当選以来、私が一貫して主張し続けてきたことは、和歌山県勢の浮揚は関西国際空港二〇〇七年の二期工事の完成におくれることなく和歌山県側が受け入れ体制を整えることであろうかということであります。先ごろ県長期総合計画の第一次中期実施計画が策定され、おおむね県行政が目指す計画に賛成の意を表するところではありますが、これも絵にかいたもちにならないよう強力に推進されんことを望むところでございます。
 第一次中期実施計画をもとに、私が主張してきたことを踏まえて、改めて質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、紀泉地域は、大阪大都市圏の南、和歌山県紀北地域にあって、恵まれた自然と豊かな歴史、文化遺産を有した地域とうたわれ、関西国際空港の開港によりこれを中心とした交通体系、国際都市づくりを目指すと、紀泉百万都市圏構想推進を主要プロジェクトとして掲げております。
 昨年七月に実施されました紀泉サミットは、これを推進するに当たり有意義な会合であったと理解をしておりますが、その後の進展が見えておらず、継続性のある開催が望まれるところであります。市町村段階では、和歌山市、海南市、那賀郡の首長が集う会議や、那賀郡独自において泉南各市町村との懇親あるいは民間の交流が積極的に行われております。長期総合計画にのせている、県主導での民間交流を含めた実務レベルでの開催を進めていただきたいと思うところであります。紀北地域と泉南地域の紀泉フォーラムを初め、民間を含めた地域交流についてお伺いをいたします。
 次に、道路体系についてお伺いをいたします。
 高規格道路京奈和自動車道路の早期建設を具体的に目に見える形で実現していただきたいと思うところであります。これは、過日の江上議員が質問をされておったことと重複いたしますが、改めて私はこの実現に、紀北東道路とともに紀北西道路を同時に着工し、早期の供用を強く要請するものであります。
 また、紀泉百万都市圏構想に欠かせない府県間道路の拡幅及び改修を同時進行で推進されなければ意味がないと思うわけであります。泉佐野打田線は、県の中央を走る基幹道路としても、構想にとっても重要な意義を占めている道路であり、大阪側の取り組みのおくれがあるところから、当県からの強力なアプローチと、必要であるならば財政措置をも含めた協力体制を築いていただき、早急に取り組んでいただきたいと思います。一方、泉佐野岩出線は、反対に和歌山県側におくれを感じており、紀泉百万都市圏構想の主要道路として早期に完成・供用を期待するものであります。
 なお、現在進行中の紀泉高原スカイライン、粉河町から打田町神通までの工事はおおむね完成の見通しが立てられておりますが、その完成の見通しについてお伺いをいたします。
 また、文化の道として打田町神通から岩出町根来寺までを引き続き整備し、根来山森林体験パークへと接続させ、葛城山広域文化道路として完成をさせていただきたいと思うところであります。
 現在、熊野体験博覧会が自然体験型のリゾート博として大変注目をされておりますが、私はこの成果を踏まえて、今後はさらに紀北地域において、全国育樹祭の開催誘致等を含め、紀北地域の自然、文化を全国に訴えていく上でこの紀泉高原スカイラインの全線開通を要請するものであります。府県間道路泉佐野岩出線及び泉佐野打田線の促進にかかわる大阪側への働きかけと財政措置、及び紀泉高原スカイラインの進捗状況についてお伺いをいたします。
 次に、現在進行中の打田町東部地区への企業誘致のための用地確保は、現在、県土地開発公社において積極的な取り組みがなされておりますことに敬意を表するところであります。
 以前にも申し上げたとおり、紀北地域は、大手民間企業にとって関西国際空港を中心とした経済圏として注目を集めております。最近のりんくうタウン周辺の企業誘致候補地の現状は、景気の低迷により企業の体力が低下している上、誘致用地の高価格でさまざまな問題を抱えていると聞き及んでおります。このことをとってみても和歌山県紀北地域は、地価も安価であり、経済圏として意味のある地域であります。景気の浮揚と失業対策、特に地元雇用、地元産業の育成を含めて重要なことであり、交通体系整備との同時進行によりますます需要が広がる可能性を秘めております。誘致企業が望むチャンスを逃すことなく、積極的な取り組みを要望するものであります。
 次に、都市機能の整備に生活環境の整備がうたわれておりますが、その中でも住環境整備が重要となっております。
 今、県を含めた市町村で進められている下水道建設問題は、清潔な河川はもとより、住民の清潔で住みよい地域づくりへの最重要課題であります。関係市町村において種々検討されており、広域下水道伊都処理区の完遂に引き続いて那賀処理区の早期着工を目指していただきたいと思うところであります。
 なお、長期総合計画の中にも策定されておりますが、まず終末処理場の建設が優先されるべきであり、那賀郡においての終末処理場設置町への具体的なアプローチとともに、その周辺整備に県主導により万全の体制を築き上げることを強く求めるものであります。
 また、ごみ処理問題は火急の問題であります。各町のごみ処理場はその能力の限界に達しつつあり、厚生省環境指導にもあるダイオキシン問題とともに、地球の環境を守る観点から、現在一市九町による広域処理場建設に向けて協議を重ねており、県としてもこれに積極的に取り組んでいただきたいと思うところであります。
 なお、処理場を建設するだけでは問題の解決には至らないと思います。固形化の問題、終末処理の問題、さまざまな問題が今ある中で、ごみを減らす啓発なりリサイクルを含めた出るごみに対する新しい処理方法を研究し、市町村に対し早急にその成果を示すことを強く要望したいと思います。
 さらに、二十一世紀を目前に、人々の価値観が変化し、ゆとりと健康管理に移動しております。
 近年、生涯教育やスポーツを通じた健康管理と近隣との友好の輪を広げようと、あらゆる場面において地域間で交流を重ねております。確かに各市町村段階では各種スポーツ公園などの施設を建設し、これの推進に力を注いでおりますが、規模的に大きな大会などできない施設であり、国際交流を掲げている県としても、例えば公式試合のできる野球場やその他のスポーツができる施設を建設していただきたいと念願をしております。
 現在、打田町畑野上地内の県管理の海神川河川敷に紀の川大堰の発生土が搬入されており、その結果として広大な土地ができると聞いております。また、その隣接地において打田町の運動公園整備が計画されておりますが、この広大な土地を利用して県立の総合文化スポーツ公園を建設してはどうかと考えております。さらに、人材育成の近畿大学の総合大学化推進と、マンモス化している那賀郡三校の現状を緩和するためにも、雇用に有利な工業高校の新設についてあわせて強く要請するものであります。以上、三点を強く要望するものであります。
 最後に、人権対策の推進についてお尋ねをいたしたいと思います。
 過去、本会議において質問の機会をいただいたとき、極めて残念ではありますが、悪質な差別事件が県内で続発しておることを報告させていただきました。それにもかかわらず有効な対応策がないという状況にあることも指摘をさせていただいた経緯がございます。例えば、差別行為を行った者に対する一定の権限を持った啓発指導や県民の教育啓発と自主的な活動拠点の設置、それらを含めた全体的な教育啓発のあり方についての見直しを求めてまいりました。その際、県当局として積極的な取り組みの姿勢をうかがえるご答弁をいただいたところであります。
 こうしたことを踏まえ、同和問題を初めとする人権にかかわっての質問を改めていたしたいと思います。
 現在、国では人権擁護推進審議会で人権教育と啓発に関する論議が重ねられ、七月に、間もなく答申が出されようとしております。さらに引き続いて、差別事象に係る被害の救済に関する論議が継続して進められる運びとなっております。
 昨年九月、「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画が策定され、その具体的な取り組みが新年度予算にも新規事業として盛り込まれているところであります。特に、行政機関だけではなく、県民を含め、地域レベルでの差別を許さない人権の確立に向けたネットワークの構築にまで進めていかなければなりません。現実の差別や人権の状況を的確にとらえ、日常の市民生活のレベルまでの具体的な取り組みが要請されております。こうしたことを踏まえ、今後の人権教育の推進方向には同和問題を中心に位置づけた施策なり方針が必要であると思います。そこで、国の動向、あるいは人権教育の推進の総括的な意味を含めて、県民教育啓発と自主的な活動拠点としての人権啓発センターの建設を強く望むものであります。
 現在、和歌山県におきましては、福祉、医療、保健など県立の施設はビッグ愛を初めとして建設をされておりますが、人権を中心とした県立施設は皆無であります。二十一世紀は人権の世紀、人間の世紀と言われているときに県として早急に建設をしなければならないと考えるところであります。
 最後に、国におけるさまざまな動向あるいは国際的な潮流と我が国の課題、さらに和歌山県での論議の方向と課題を考えたとき、紛れもなく同和問題を中心として動いており、今日なお厳しい差別の実態があることを認識したものであります。しかし一方で、極めて恣意的に同和問題を一般論としてとらえ、抽象的に人権をやっておれば同和問題をやる必要がないとか、人権をすることによって同和問題はもうなくなったんだとかいう考え方、いわゆる人権の中に同和問題を埋没させようとする動きがあるわけであります。私は、障害者の問題は障害者の問題として、女性の問題は女性の問題として、同和問題は同和問題として理解し、認識を深めて取り組みを進めていただかなければ、人権をやっておるから、民主主義でやっておるから障害者の問題はやらんでいいんだという考え方は間違いであろうと思うわけであります。
 そういった意味で、こうしたことを踏まえ、和歌山県として同和問題の歴史性や社会性といったさまざまな角度から分析をしていただきまして、同和行政の今後の基本姿勢を改めてお聞きいたすところであります。人権擁護推進審議会の動向を踏まえた今後の人権教育の推進方向について、また今後の同和行政の基本姿勢について、及び人権教育の拠点となる県立人権啓発センターの設置についてお伺いをし、質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 飯田議員にお答えいたします。
 まず、景気対策についてでございます。
 議員のご質問にもございましたように、県の経済、雇用の状況につきましては、企業の景況感や住宅建設など、一部には下げどまりの傾向もございますが、個人消費や生産面では低迷を続け、有効求人倍率は四月に〇・四六倍となるなど、依然として厳しい状況が続いております。
 県は、このような深刻な状況に対し、国の緊急経済対策の一環である雇用活性化総合プランに基づいて雇用対策を実施してきたところでございます。具体的には、雇用調整助成金の活用による雇用の維持・安定に努めるとともに、中小企業の新規雇用創出のための支援強化、公共職業安定所と経済団体の連携による求人開拓等、雇用促進に取り組んでいるところでございます。
 また、この六月八日には景気・雇用対策本部幹事会を開催し、現在の厳しい雇用状況に対応するとともに、今後は六月十一日に国の産業構造転換・雇用対策本部において決定された緊急雇用対策につきまして、国の補正予算の動向を見ながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、紀泉百万都市圏構想の推進についてでございます。
 和泉山脈を挟む本県紀北地域と大阪府南部地域の相互理解に基づく一体的な地域整備が必要でございます。このため、昨年七月に紀泉サミットを開催し、大阪府知事ほか関係各位にお集まりをいただき、紀泉地域の発展に向けて連携強化を共同宣言いたしました。本年度はより広範な方々に参加をいただき、紀泉地域の現状及び将来について議論していただくため、九月に那賀郡内において紀泉地域交流・連携シンポジウムを地元市町村と共同で開催することとし、鋭意準備を進めてございます。
 また、阪和開発連絡協議会等を通じ、府県間の連携強化に加え、府県境を超えての市町村間や住民相互交流のあり方、今後の具体的方策等についてさらなる検討を重ね、紀泉地域での地域間交流を実のあるものにしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 和歌山発電所の建設に伴う経済波及効果につきましては、発電所の建設投資額を一兆円として産業連関モデルにより県内波及効果を予測してございまして、産業別に、建設業が二千百七十億円、サービス業が五百五十七億円、製造業が四百八十七億円、商業が二百五十五億円など、合計約四千億円が見込まれることとなってございます。
 議員ご指摘の県内企業の参加、雇用の確保や環境・安全面につきましては、発電所の建設に際して締結する建設協定の中で取り組みを行うなど、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 紀泉百万都市圏構想の推進についての二点目、高速道路及び府県間道路の整備計画についてお答えいたします。
 県道泉佐野打田線の府県境部のうち、本県側の約〇・一キロメートルにつきましては平成十年度に用地買収を完了しており、残る本工事につきましても大阪側と調整を図りながら進めてまいります。
 また、大阪側の約〇・四キロメートルにつきましては、本年度に二瀬川橋梁で、下部工の促進とともに、用地買収が難航している共有地も無償使用契約にて処理する方向で地元調整を図っていると聞いております。
 犬鳴山地内の改良事業につきましては、バイパス計画で地元関係者と事業計画の協議を進めると聞いており、今後とも府県境部とあわせて早期に整備されるよう、阪和開発連絡協議会等でなお一層強く大阪府に働きかけてまいります。
 次に県道泉佐野岩出線の改良事業につきましては、県境から国道二十四号までの六・六キロメートルのうち、根来から備前までの工区は平成十年度までに九〇%の用地を取得し、一部本工事に着手しているところでございます。残りの用地につきましても、早期取得に努力してまいります。
 押川から根来までの工区につきましては、平成十年度から岩出町で地籍調査に着手されているところであり、本年度も引き続き地元協力を得ながら用地買収に努めてまいります。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 紀泉高原スカイラインの関係につきましてお答え申し上げます。
 紀泉高原スカイラインの建設でございますが、粉河町の府県境部と打田町神通を結ぶ約六キロメートルの区間をふるさと林道として位置づけ、平成七年度に工事着手し、総工費約十五億八千万円の計画で鋭意取り組んでいるところでございます。特に本年度は十五カ月予算として前倒し発注するなど、工事の進度は極めて順調に推移し、平成十二年度末にはふるさと林道の完成が見込まれてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 紀泉百万都市圏構想の推進についてのうち、四番目の、広域にわたるごみ処理計画についてお答えいたします。
 自治体のごみ処理につきましては、平成九年五月から市町村及び厚生省と協議を重ね、県下を七ブロックに分け、ごみの排出抑制とリサイクル、ごみ焼却施設の集約化、余熱利用の推進等を基本方針として本年三月にごみ処理広域化計画を取りまとめてございます。この中で、海南市、海草郡、那賀郡の一市九町が海南・海草・那賀ブロックを形成し、広域的なごみ処理施設を計画しております。このブロックにつきましては、海草振興局と那賀振興局の管内にまたがるため、県と関係市町村において十分な協議のもとに実現したものでございます。したがいまして、今後とも市町村に対し、リサイクルの推進や分別収集の徹底などもあわせて広域化の早期実現に向けて指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 人権問題についての三点にお答えします。
 まず、人権教育の推進方向についてでございます。
 国におきましては、平成八年十二月に制定された人権擁護施策推進法に基づいて設置された人権擁護推進審議会から、同和問題を初めとする人権問題の解決に向けた教育及び啓発の推進についての答申が七月末に出される見通しと聞いております。また、平成九年七月には「人権教育のための国連十年」に関する国内行動計画が策定されたところでございます。
 県といたしましては、人権教育のための国連十年を全庁的に推進するため、平成九年十二月に知事を本部長とする和歌山県推進本部を設置し、今後の人権教育啓発を推進するための指針となる和歌山県行動計画を策定したところでございます。この行動計画に基づきまして、平成十一年度において人権啓発フェスティバルや福祉のまちづくり99フェスタなどを開催し、県民の人権意識の普及高揚に努めるとともに、市町村における取り組みの促進を図るための人権啓発推進モデル事業等を行うこととしているところでございます。
 今後、人権教育啓発の取り組みにおきましても、同和問題は人権教育啓発の重要な柱であるとの認識のもと、国の機関や市町村とのネットワークの強化を図り、部落差別を初めあらゆる差別をなくすため、県民挙げての人権教育啓発の推進に努めてまいります。
 次に、今後の同和行政の基本姿勢についてでございます。
 これまで、同和問題の解決は行政の責務であり国民的課題であるとの認識のもと、本県では同和対策を積極的に推進してまいりましたが、今なお差別事件の発生を初めとして解決しなければならない課題が残されており、これら諸課題の早期解決に向け、全力で取り組む必要があると考えてございます。
 このことから、県といたしましては、同和問題が人権問題の大きな柱であるとの認識のもと、昨年一月に策定した和歌山県同和行政総合推進プランに基づく諸施策を総合的に推進することにより、同和問題の一日も早い解決を目指してまいります。
 最後に、人権啓発センターにつきましては、「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画の中にも、人権文化創造のための情報発信基地として、仮称でございますが、人権問題に関する情報の集積と人権教育啓発の研究を行う人権教育啓発センターの設置を位置づけたところでございます。現在、国や他府県のセンターを参考にしながら、規模や内容等について検討を重ねているところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、飯田敬文君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十六番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 おはようございます。
 去る四月の県会議員選挙において、県民の皆さん方のお力添えをいただきながら二回目の当選をさせていただきました。そして、この本会議場で再度訴えることができましたこと、今、心から感謝を申し上げる次第でございます。
 私は、この選挙期間中や選挙後も県内の地域を歩いてまいりました。そして、いろんな県民の皆さん方の意見をいただいてまいりました。これから、四つに絞って質問をいたしてまいりたいと思います。
 まず最初に、介護保険制度の特徴的な課題について質問をしてまいります。
 一昨日から介護保険制度の質問が行われていますので、私は、今特に話題になっている特徴的な課題について三点に絞って質問を行い、当局の見解を求めたいと思います。
 平成十二年四月の介護保険制度スタートまで残すところ十カ月余り、要介護認定申請の受け付けや被保険者証の交付という具体的な施行準備まで約四カ月という、極めて重要な段階を迎えていると言えます。平成十一年度は現在の老人保健福祉計画に基づく介護基盤の整備を図る最終年度であり、介護保険制度の実施、運営体制の確立を図る上で最も大切な時期であるとの認識を持って質問をいたします。
 第一点目は、実施時期の延期問題についてであります。
 介護保険制度の延期、凍結の動きは根強く残っています。私は、介護保険制度について三回にわたり本会議で訴えてきましたが、悲惨な家族介護の実態を解消し、介護の社会化を実現するためには介護保険制度を平成十二年に実施する以外ないと考えていますが、決意も含めた当局の見解を求めます。
 第二点目は、広域対応についてであります。
 介護保険法は、市町村を保険者としました。それは、住民に最も身近な市町村が介護保険制度の運営を行うことによって地域の高齢者の生活実態を把握し、必要な保健福祉のニーズにこたえる基盤整備等を行うことができるためであります。平成二年の福祉関係八法の改正においても同様の趣旨で市町村に権限移譲が行われ、在宅サービスも施設サービスも、基礎である自治体が提供することとされました。したがって、それぞれの市町村の責任において、基盤整備の確立を初めとする介護保険制度の運営を行うよう最大の努力が求められていると思います。こうした意味においても、安易な広域対応には問題があると思いますが、県内の状況とあわせて当局の見解を求めます。
 続いて第三点目は、介護保険料についてであります。
 厚生省は保険料について、当初は第一号被保険者で月額二千五百円程度としてきましたが、支給限度のアップなどを踏まえ、二千八百円程度に修正を行いました。また、第一号保険料率の推計のためのワークシートを提示し、計算についての考え方を示しましたが、それに基づく集計や分析は行っていません。試算した自治体からは、療養型病床群などの施設における経費が多くかかることから、施設の入所者が多く在宅サービスが不十分な自治体では月額六千円を超えるという試算も出ています。自治体は保険料試算額とその根拠を住民に公表し、高ければその事由も含めての分析やそういったことに対する対応などを明らかにすることが大変重要なポイントであると私は思います。保険料が高くなることから、一部の自治体では介護保険の施行を疑問視する考え方がありますが、何よりも実態的な要因の分析を行い、そのことについて住民に対する情報公開を行い、介護保険事業計画で在宅サービスの充実の対策を立てるべきであると思います。そうした視点で介護保険料についての自治体への指導を進めていくべきだと考えますが、このことについての当局の見解を求め、介護保険制度についての質問を終わります。
 続いて、緊急課題である和歌山県における経済雇用対策について質問をしてまいります。
 右を向いても左を見ても「不況」という言葉で表現される今の経済。私は、そもそもこの状況を不況と位置づけること自体、問題があると考えています。不況というのは、消費者にお金がない、需要が不振だということであると思います。つまり、消費者が物を買わないのは、お金がないのではなく、第一に将来の生活に不安があるからであります。一言で言って「不況」と言われる発端は、政策不況であります。二年前の消費税五%、医療費の改定、特別減税の打ち切り等により国民に九兆円もの負担を強いたことに始まります。その後の政策が後手後手に回り、国民が先行きに大きな不安を持っているからであります。
 第二に、多様化するニーズの中で、ニーズに合った施策がないからであります。例えば、人を減らし、サービスも味も落ちたレストランが登場する、幾ら安かろうと人は寄りつかない、ますます業績が悪化する結果になるわけであります。つまり、消費者が価値と価格を決める時代になったと言えます。このような要因を考えれば、的を射た政策の実行であり、こうした物事の本質をきちんと見きわめて対策を打ち出すことが私は重要であると思います。
 さて、我が国及び和歌山県の経済雇用状況はどうでしょうか。全国的には、この一年で完全失業率は〇・七ポイント悪化し、六月に発表された四月の完全失業率も史上最悪の四・八%にはね上がっています。完全失業者三百四十二万人と前年同月に比べて五十二万人増加し、比較可能な昭和二十八年以降で最も多くなっています。
 和歌山県内の雇用情勢についても、ことし四月の有効求人倍率は〇・四六倍となるなど、依然として厳しい状況が続いております。大学や高校を卒業しても就職できない人が、新卒や既に卒業した人を含めて昨年よりも四万人多い三十万人に達したことも大きな要因でありますが、大小問わず企業のリストラという名の下で相次ぐ人員削減をしていることが最大の悪化の原因であろうと思います。
 三十代から五十代の働き盛りの中高年の人々が企業から解雇される非自発的離職が急増し、自発的離職とほぼ肩を並べています。そして過去と比べて大変深刻なことは、中小企業が大企業のリストラの受け皿になっていないということであります。このことは、中小企業の多い和歌山県にとって大きな問題であります。つまり和歌山県の状況は、約九八%の企業が五十名未満の会社で占められておること、特に六八・二%の企業は五名未満の会社であり、零細企業、中小企業が和歌山県を支えているわけであります。私の事務所への相談も、一番多いのがこうした再就職の相談であります。
 このように、全体的には雇用を守るというムードは希薄で、低下する一方にあり、企業の運営の中で人員のリストラによる当面の収支改善の選択がされています。つまり、どうやって失業を防ぐのか、どうやって経営を改善していくのかという視点と意思が大変弱いと言わざるを得ません。だれもがリストラを言い出したら、一体どういうことになるのか。下方に向かって拍車がかかるばかりであります。
 かつて不況の折、時の労働大臣が、働く意思と能力を持つ人々にとって失業は人生最大の不幸である、失業者を出さないための最大の努力をすると明言したことを思い出します。政治にとって、国家にとって、職を奪わず職を与える、そのことが最大の責務であります。そのためには、単一企業では労使協議制を、マクロ的には公労使による協議制をつくり活用することが今大変重要であると私は思います。国や県としてもさまざまな取り組みがされていますが、この厳しい状況の中で、雇用改善に向け、緊急的な各界の具体的な努力が今こそ必要であると思います。
 このような中で、中央では政労使雇用対策会議を設置し、六月十六日には近畿においても労働省主催による近畿ブロック雇用活性化政労使会議が開催されまして、地方の雇用失業情勢や地方の産業特性などを踏まえた雇用創出策、安定策の意見交換が行われています。また、地方においても府県単位で政労使との対策会議が設置をされ、具体的な雇用対策づくりに取り組まれているところもあります。
 そこで、和歌山県としての取り組みについてでありますが、先ほど飯田議員の質問で県内の経済雇用情勢問題及び雇用方針の答弁がありましたので、私は重複を避けて二点に絞って質問をし、見解を求めるものであります。
 第一点目は、相次ぐ金融機関の破綻について、和歌山県独自の対策が早急に必要でありますが、県としての対応及び課題について当局の見解を求めます。
 第二点目は、昨年十月、県の経営者協会と連合の労使会議で公労使が率直に意見交換を行い、三者が一体となって雇用の安定、そして創出等を推進していくために雇用対策会議の設置が呼びかけられていますが、そのための早期実現とその考え方についての当局の見解を求め、質問を終わります。
 続きまして、旧南紀白浜空港跡地への航空工学系大学の立地構想について質問いたします。
 本構想については、昨年の九月定例議会において初めて西口知事から明らかにされまして、「学校法人日本航空学園から、我が国の航空宇宙産業界における指導的、中核的役割を果たし得る人材の育成を目指した航空工学系大学の設置構想についての申し入れがあり、現在、白浜町及び関係機関との協議を進めているところであります」、また、「旧南紀白浜空港跡地への航空工学系大学の立地構想については、県、白浜町、そして日本航空学園の三者が協力して新たな学校法人を設立し、航空機の設計・開発、航空運輸システムの計画・運用に係る最先端の技術、知識を集約した国際的にも誇り得る大学を開設しようとするものでございます」との議会答弁があり、マスコミにも大きく取り上げられたところでありました。地元出身の議員として、空港跡地利用について平成七年六月定例議会及び平成十年九月定例議会と積極的に政策提案をし、取り組んできた者として、この構想については突然発表され、中身もほとんど知らされていなかったことに怒りを持ったのも事実であります。しかし、ここまで発表するということは、当局としては十分な内部での協議や詰めをしてきたものであろう、西口知事の姿勢を理解し、これからはこの構想について前向きな姿勢で是々非々の立場で意見を言っていこうと自分自身に言い聞かせ、今日に至りました。しかし、その後も何ら進展や状況などの説明も、残念ながらありませんでした。そして、去る六月七日に学識経験者による航空工学系大学基本計画検討委員会が設置され、記者発表がされた中で、昨年の九月定例議会で発言をされた日本航空学園は参画しないことを初めて知りました。地元の議員として、なぜなのか、なぜ経過を伝えなかったのか、新聞紙上でその理由を初めて知るということであり、当局のこの構想にかける熱意や二回にわたる不誠実な対応に疑問を感じ、あえて今回議場に立ったものであります。
 雑賀崎沖問題やダイオキシン問題の橋本産業廃棄物処理問題など、県内各地に起こっている問題は、結果として地元住民の生の声を聞いていない対応が後を引きずっています。行政がよしとした政策でも、今は住民の参加、地元自治体の協力や地方議員の参画なくして事は進みません。二十一世紀に向けた県民に開かれた県政を展開すべしと願いを込めて、以下五点について当局の見解を求めます。
 一つ目は、この構想実現に向けての県議会対応について、県当局はどのように考えているのか。
 二つ目は、日本航空学園との協力解消についての理由を明らかにされたい。
 三つ目は、航空工学系大学基本計画検討委員会の人選理由及び委員会の役割についてお伺いをします。
 四つ目は、大学の設立方式について、新たな私学などの支援は得られるのか、教員などの確保はどうなるのか、お伺いします。
 五つ目は、財政的に航空業界の冬の時代と言われていますが、民間の支援は得られるのか、運営上の採算のめどや赤字になる場合は県の持ち出しなどどう対処するのか、その見通しについての見解を求め、航空工学系大学の立地構想についての質問を終わります。
 続いて、最後の質問でありますが、南紀熊野体験博成功に向けての取り組みと体験博後の具体的な地域づくりについて副知事の見解を求め、質問をしてまいります。
 私は、昨年の九月定例県議会において、南紀熊野体験博をスタートに熊野古道を世界遺産に登録をし、その中で二十一世紀の健康福祉タウンの実現を目指すことについて提言をしてまいりました。関係者や県民の皆さん方の努力で南紀熊野体験博が現在開催されており、また地域の皆さん方からの地域づくりの声が私の方にも数多く寄せられています。南紀地域のスケールの大きい大自然を二十一世紀へ、そして未来へ、親から子へ、子から孫へと保全をしていくためにも、この博覧会を起爆剤として地元が今後どのような取り組みをしていくのかが大きな課題であると考えています。そのためには、南紀熊野体験博の中間総括と今後の課題、そして体験博後の町づくりについて明らかにしていくことが大変重要であると私は考えます。
 体験博の開催の意義と目的の中には、「南紀熊野地域を、単なる風光明媚な観光地としてだけでなく、豊かな歴史文化に彩られた「こころのリゾート」として明確に位置付け、地域のリゾート資源を再発掘するとともに、新しい魅力を創出する」、「南紀熊野地域に住む人々が、全国に誇るべき地域の潜在能力を自覚し、自信をもって地域づくりに取り組むことができる体制づくりや機運を醸成する」、また「南紀熊野地域の人的・物的資源に対する全国的な認知度を高め、この地域に新たな産業を創出し、地域の活力を増大させる」、このようにうたわれております。
 そこで、第一の質問は、この目的と意義に沿った取り組みの地域での具体的な成果についてどうなのか、また中間総括はどうなのか、後半の成功に向けての課題は何なのかを明らかにされたいと思います。
 第二の質問は、南紀熊野体験博後の具体的な町づくりについての提言に対する見解を求めたいと思います。
 一つ目は、二〇〇二年のサッカーワールドカップの開幕前と大会期間中にトレーニングをする公認ベースキャンプ候補地として名乗りを上げることを提案いたします。そのために、南紀熊野地域の自治体と協議をし、特に熊野古道とサンティアゴへの道が姉妹道を結んだスペインチームを呼んではどうか。二〇〇〇年十二月までに約百の候補地を決めるということ。複数の芝グラウンドと宿泊施設の完備など条件は厳しいが、既に六十九の自治体が名乗りを上げており、南紀熊野体験博後の町おこしには格好の機会だと私は考え、提言をいたします。
 二つ目は、「こころを癒す」、「こころを充たす」、「こころが蘇る」この南紀熊野地域に、不登校や中途退学者、学習障害者などを対象とした全国広域の通信制の学校をつくってはどうか。そして、大学院レベルの臨床心理センターをこの地につくることも、あわせて提言いたします。
 平成八年六月定例県議会で、私は中途退学者のことで一般質問を行いましたが、県内では毎年約五百人が中途退学をし、全国では約十三万人の子供たちが行き場を失っていること、通信制の学校がこの紀南にはないこと、不登校の対応を急がねばならないことなど、大変緊急で重要なことであると思います。この南紀熊野は、こうした子供たちの心のいやし、学習の場として最適の地だと考え、提言をいたします。
 三つ目は、この南紀熊野体験博を契機に県内及び近隣のオートキャンプ場をネットワーク化する運動が高まっており、その実現に県として積極的にかかわっていただきたいこと。アウトドアリゾートは計画的、体系的にネットワーク化することにより、利用者、設置者、運営者、地域に対し、それぞれの相乗効果が生み出されると言われております。ネットワーク化をすることによって常に情報交換を行い、円滑な管理運営を提供することによってこのすばらしい自然に恵まれた南紀地方一帯をアウトドアリゾートとしてアピールでき、年間を通じて多くの誘客が期待されるものであると私は思います。その実現に向けて提言をいたします。
 体験博後の具体的な地域づくりができてこそ熊野博の本当の成功があるのだろうと私は思います。そうした意味において三つの提言を行いました。そのほか数多く地域の方々の意見が生まれてきていますが、南紀熊野体験博以降のこうした町づくりの具体的な考えについてあわせて答弁を求めまして、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 玉置議員にお答えいたします。
 まず、公労使における雇用対策会議の設置の件でございます。
 六月十一日に決定された国における緊急雇用対策により、県段階の公労使のトップ等から成る県雇用創出・安定公労使会議を開催し、公労使一体となった取り組みを図るよう求められてございます。
 県におきましても、従来から積極的に雇用の安定・創出に取り組んでいるところでございますが、厳しい雇用情勢の改善を図るため、西口知事も従前より公労使の会議を考えてございましたので、実現に向けて関係団体と話し合っていきたいと考えてございます。
 次に、南紀熊野体験博後の具体的な町づくりの件でございます。
 南紀熊野体験博は、従来にないオープンエリア型の博覧会としてスタートいたしましたが、熊野古道などを中心にたくさんの来訪者を迎えることができてございまして、順調な滑り出しをしていると見ているところでございます。
 体験博の主役は県民一人一人であり、この機会に新しいリゾートのフロンティアとして熊野地域の情報を国内外に発信し、それぞれの地域でふるさとのよさを再認識していただくとともに、互いに知恵を出し合って、汗をかいて、自分たち自身で地域づくりを進める大きな機会になるものと期待してございます。
 体験博後の町づくりにつきましては、国内外と活発な交流が行われる国際観光・リゾート地域、心身をリフレッシュすることができる熊野文化保養ゾーンとして、ただいま議員からご提案いただきましたことなどを含め、地元自治体ともども地域の振興に努めてまいる所存でございます。
 南紀熊野体験博を成功させるために、残された期間について全力を傾けて取り組んでまいりますので、熊野地域、ひいては県全体の振興に結びつけられるよう、今後とも議員を初め県民の皆様方のご協力をお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 介護保険制度についての三点にお答えを申し上げます。
 まず、介護保険制度の実施時期についてはさまざまな議論がなされておりますが、現在介護に携わっておられる多くの家族の方々は本制度のスタートを待ち望んでおられます。また、事業主体である市町村におきましては、これまで数多くの準備事務を着々と進めているところでありまして、全国市長会や全国町村会からも予定どおり実施すべきであるとの要望がなされてございます。
 このような状況の中で、県といたしましては、今後とも市町村と緊密に連携をとりながら、予定どおり平成十二年四月一日より制度をスタートする決意を持って努力してまいりたいと考えております。
 次に広域対応についてでございますが、介護保険の運営主体は、地域住民に身近な市町村が単独で実施することが基本であります。しかしながら地域によっては、委員の確保や審査判定の公平性の観点から、介護認定審査会の広域化も意義あるものと考えております。県といたしましては、市町村における住民ニーズを尊重しつつ、広域化による業務の範囲を見きわめてまいります。
 なお、本県での広域化の状況につきましては、現時点で介護認定審査会を共同で設置する地域が八地域の三十六市町村であり、そのうちの一地域の三町村では介護保険事務全般にわたり共同実施する予定となっております。
 最後に介護保険料につきましては、現在、市町村で国から示された推計のための正式なワークシートによりさまざまな角度から検証し、試算を行っているところでございます。
 また保険料の試算方法等につきましては、在宅サービス充実の視点も踏まえ、今後の市町村介護保険事業計画作成委員会で議論していただくとともに、その内容につきましては、住民への説明会の開催等、あらゆる機会をとらえて周知徹底を図るよう指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 経済雇用対策のうち、金融機関の破綻に対する県独自の対応及び課題についてと、南紀熊野体験博後の具体的な町づくりのうち、オートキャンプ場のネットワーク化についてお答えいたします。
 まず、金融機関の破綻による職員の再就職についてでございますが、県としましては、一時に多数の失業者の発生を防止するとの観点から、雇用特別企業訪問の実施などによる求人開拓を行い、積極的に雇用情報を提供してきたところであります。しかしながら労働条件などから再就職に至らなかった方々に対し、ハローワークにおいてきめ細かな職業相談、個々のニーズに応じた求人開拓等により再就職の支援を現在も行っているところでございます。今後も引き続き、より一層の努力をしてまいります。
 次に、議員ご提言のオートキャンプ場のネットワーク化は、運営面はもちろんのこと、利用者の利便性を図る上で大変有意義なことであると考えております。現在、県下には三十カ所を超えるオートキャンプ場があり、他のキャンプ場と合わせて特集を組み、月刊「和歌山県の観光情報」などで情報発信を実施していますが、ネットワーク化によってよりよい情報が得られるものと期待されますので、今後とも市町村初め関係者の皆様と連携を図りながら積極的な情報発信を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 旧南紀白浜空港跡地への航空工学系大学の立地に関するご質問にお答えいたします。
 まず最初に、県議会への対応についてでございます。
 議員ご指摘のように、県民に開かれた形で行政を進めていくことが極めて重要であります。従前の対応について、そうした面で不十分であったとのご指摘を謙虚に受けとめまして、今後の対応については基本計画検討委員会を原則公開とし、提出資料や検討内容等についても情報提供を積極的に行っていくこととしてございます。
 次に、学校法人日本航空学園との協力関係の解消の理由についてお答えいたします。
 同学園とは、昨年九月に白浜町を含めた三者の実務担当者レベルでのワーキンググループを設置し、共同で調査研究を行ったところです。これとは別に、同学園が本構想の事業化に際して運営主体として参画したいとの意向を持っていたため、その点についても検討協議を行ってきたところです。その協議の結果、事業化の手法や資金等の面において同学園が運営主体として参加・協力することは困難との判断に至りました。このため、検討委員会への参画、その後の事業化等について協力関係を継続しないということで両者が合意したところでございます。
 次に、基本計画検討委員会の人選理由及び委員会の役割についてお答えいたします。
 基本計画検討委員会は、基本構想についてさらに精緻な客観的検討を行い、その検討結果を基本計画案として取りまとめ、知事に報告することを目的として設置したものです。
 基本計画検討委員会の委員の人選につきましては、ただいま申し上げました委員会の目的を実質的に果たしていただくために、大学、学会、航空宇宙産業界、関係省庁、地域産業界、地元自治体等の専門家の方々にお願いしたところです。
 次に、大学の設立方式についてでございます。
 現段階では公設私学法人方式が最も有望であると考えておりますが、さらに検討を進めていきたいと考えてございます。
 次に、新たな私学などの支援が得られるかとのご質問でございますが、既に近畿大学、和歌山大学、日本航空宇宙学会、航空宇宙工業界、航空運輸業界、関係省庁等のご支援、ご協力をいただいており、大学設置審査基準に基づく専任教員の確保、カリキュラムの編成、大学の開設・運営、就職先の確保、共同計画の実施等については十分可能であると考えてございます。
 次に、民間の支援は得られるのかとのご質問でございます。
 民間企業等からの財政的支援につきまして、本来、優秀な人材の確保や共同研究、受託研究等による研究成果の産業化など、何らかの形で民間企業に利益還元が行われるべきものだと考えております。このため、事業化が決まった場合には、教育研究支援や奨学制度の整備、共同研究の実施等について協力を求めていきたいと考えてございます。
 次に事業採算性の確保に関する見通しにつきましては、これまでの調査研究において事業収支に関する厳しい試算を行っておりますが、今後さらに、カリキュラム案に基づく人員の具体的配置、施設建設費及び設備経費の積み上げ等、精緻な検討を行う必要があると考えております。
 次に、赤字となった場合の県の持ち出しについてのご質問でございますが、公設私学法人方式や誘致方式の場合には、原則として学校法人が自立的に対処すべきものであると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 南紀熊野体験博に関連する質問のうち、具体的な成果と中間総括及び後半に向けての課題についてお答え申し上げます。
 南紀熊野体験博は、開幕以来多くの人々に参加いただいており、本県が安らぎやいやしの最適の地であることを実感していただいているのではないかと考えてございます。特に熊野古道では、県外から来られた方々にも大勢歩いていただいており、その魅力を全国に広く伝えることができ、地域資源の再発掘と新しい魅力の創出という面からも評価できるのではないかと考えてございます。
 また、この博覧会がねらいとする住民参加の具体的な形として、体験リーダーや運営スタッフ、古道ガイドボランティアなど、積極的な取り組みをいただいているほか、白浜町のイルカとのふれあい体験、あるいはすさみ町の海中ポストといったその地域ならではのユニークなイベントも考案され、好評でございます。
 さらに、南紀熊野の魅力を知っていただく一つの方策として、その特性を生かしたリゾート体験イベントという手法を地域の方々に提案し、多くのイベントを企画していただきましたが、こうしたイベントの組み立てには多大の熱意と労力が必要であり、このことだけでも大きな成果であると考えております。しかしながら、このリゾート体験イベントに一部実施できなかったものがあり、課題となってございます。その理由として主催者、参加者双方にふなれや戸惑いがあったことから、割高感やPR不足を解消するなど、多くの方々に参加していただけるよう見直しを行ったところでございます。
 これから夏休みを迎え、南紀熊野地域の海を初め自然がますます魅力的なものになってまいりますが、この魅力を十分満喫していただけるようさらに全力を挙げて取り組んでまいりたいと存じております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 二〇〇二年のワールドカップサッカーのキャンプ地に関してでありますが、この大会は、関西地方では大阪市、神戸市が競技会場となっております。本県にとりましても、スポーツの振興はもとより、国際交流や国際観光の振興にも大きな役割を果たす機会になると考えております。
 紀南地域へのキャンプ地の誘致は、種々の条件から厳しいものがありますが、今後、南紀熊野体験博を契機として紀南地域の一層の活性化を図るため、各種のスポーツイベントを開催できるよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、南紀熊野地域における広域の通信制高校の設置についてでありますが、全国の生徒が学ぶことができる広域の通信制高校は、現在、NHK学園高校など、全国で十四校が設置されています。本県では、陵雲高校と紀の川高校の二校に通信制課程を設置し、陵雲高校は田辺学級、新宮学級を開設しております。
 通信制高校は、生徒それぞれの状況に応じ、自分のペースに合わせて主に自宅で学習できることから、不登校生徒や中途退学者も受け入れ、成果を上げてまいりました。また、生涯学習の観点から、国語や芸術などの一部の科目だけを学習する生徒も多く学んでおります。南紀熊野地域の豊かな自然や歴史、文化を生かして、こうした学校を開設することも意義のあることと思います。
 議員ご提言の、広域の通信制高校を学校法人等が具体化する場合には、教育委員会としてもできる限り協力してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十六番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁、ありがとうございました。
 ただいま副知事より、緊急課題である公労使による会議の実現を初めてこの議会で表明をしていただきました。私は、大変意義のあるものであると押さえております。その実現を早急に図れるよう、よろしくお願いをしたい。
 特に政府が今月の十一日に発表した緊急雇用対策では、八月の中旬ごろまで国会が延長され、恐らく関連予算も含めて成立をするだろうと私は思います。そうした意味におきましても、九月県議会で補正予算を提案するということになってまいりますから、できれば早急にこの会議を実現していただいて、よろしくお願いをしたい。これは要望であります。
 それともう一点。航空工学系の立地構想については県民に開かれた形で行政を進めていくことが極めて重要であり、今までの対応については不十分であったことを謙虚に受けとめていただいたと思います。これからは情報提供を積極的に行っていくということも表明をしていただきました。今後は、政策形成過程においても県民に情報公開を行い、県民に開かれた取り組みをしていただき、そしてその取り組みが新しい二十一世紀のモデルとなりますように、この姿勢を貫いていただくことを要望いたしたいと思います。
 最後に、先ほど南紀熊野体験博の答弁がございました。今、それぞれ皆さんが頑張っておられます。私がこの体験博を通じて、誇りを持って、また地元の知恵と発想を持って南紀の地を守り発展させていこうという気概が満ちてきておると感じております。先祖が残してくれたすばらしい南紀の自然や歴史、文化を壊さずに守り残していくことがいかに大切であるかということも感じ取っておられます。九月までの南紀熊野体験博の成功に向けて、さらには九月以降の熊博後も南紀のすばらしい町づくりができますようなお一層の取り組みをお願いいたすとともに、私も微力ではございますが一生懸命取り組んでいくことをお誓い申し上げながら、質問といたします。ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十七分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 午後で非常にお疲れのところと思いますが、私、県議会議場での発言の場を与えていただいたことに対して感謝しております。住民の声を県政に届ける責任の重さを痛感しています。しかも、私の初登壇に、今は猫の手もかりたい梅の収穫最盛期にもかかわらず、梅産業を守るためこのように大勢の方が傍聴にかけつけてくれたことに感激しております。
 和歌山県の農業、とりわけ梅、ミカン、カキ等の主要果樹は、日本一の果樹王国としての地位を守り、確立するという方針を県の長期計画及び実施計画にも明記されています。梅においては、一位の田辺市から南部川村、南部町、上富田町、印南町、日置川町と、紀南地方の市町村が全国のベストシックスまでランクされているわけであります。しかも平成九年からは農業粗生産額で梅がミカンを抜いて一位になり、和歌山県の果樹王国の基盤をなしています。我が和歌山県は果樹王国日本一でありますが、それを守るための客観的情勢は大変厳しいものがあります。
 具体的には、和歌山県の梅の生産量は平均的に見ますと約六万トンであります。全国の生産量の五〇%を超えていますが、昨今、中国を含めた梅の輸入量は年間約三万トンで、ほぼ和歌山県の生産量の二分の一、さらに年々ふえている傾向にあります。そのうち、中国からのものが二万三千トンとなっており、この輸入量は八年の間に約十倍ということで、いかに輸入が伸びているかを示すものであります。ますます今後、紀州梅が脅かされる状況にあると言えます。中国梅の輸入価格は、平成九年度で四十六億九千九百七十五万八千円、梅干し調整品を合わせると四十九億二千百八十六万九千円となり、この増加現象は紀州梅が立ち枯れになり、その減少分を補うため中国梅の輸入がふえているとも考えられると思いますが、私は安価な中国産が入り続けることにより、紀州梅のブランドやひいては日本一の梅の産地というネームバリューが脅かされていくものと考えています。
 ミカンはどうでしょうか。市場での外圧は楽観を許せない状況であります。韓国済州島では、国産と同じハウス温州が年間六十万トン、日本の平年作の百三十万トンのほぼ半分に匹敵する量であります。日本への輸出攻勢を強め、既に日本の量販店が買い付けに乗り出しているという状況であります。韓国産のほか、ニュージーランドから露地物の温州ミカン、オーストラリアから温州ミカンに似たインペリアル、タンゼリンなど四種のかんきつ類が輸入攻勢をかけてきています。カキにおいては、ニュージーランドからの輸入が年々ふえている状況であります。このように、果樹王国といえども安閑としてはおれない瀬戸際に立たされている現状であります。
 私は、和歌山県の唯一の基幹産業である梅産業を守り、いかに発展させていくかという観点に立って、今回、梅に対して一番ご理解をいただいており、胸を痛めている知事にご質問したかったのでございますが、今回こういう理由でありまして、副知事に、梅の生育不良対策について具体的に質問と問題提起をさせていただきたいと思います。
 そこで、まず副知事に梅の立ち枯れの現象を認識していただきたいと思います。既にお手元にカラーコピーでお渡ししておりますが、傍聴者もおりますので。(図面を示す)
 梅の立ち枯れは、昭和六十一年からの発生でありますが、点から面につながっています。そして、山間部から平野地へ、海へと、そしてさらに日置から印南、川辺町へと、ずっと広がっております。こういう状況を図面で見ていただきたい。もう一つは、秋津川、上芳養、三栖、稲成と広がり、資料にあるとおり、平成九年は一万八千六十四本でしたが、平成十年は一万二千百五十二本が確認されております。立ち枯れ発生以来十年の間に、合計六万二千六百十二本が確認されているわけであります。日高郡においては、四万九千三百九十三本が確認されております。とりわけ南部川村では、平成八年に九千六百六本であったものが翌年には二万三千五百四十九本という、すごい伸びで立ち枯れが起こっているわけであります。しかも、南部町は南部川に引き続いて海があり平たん地に入るわけですが、平成九年の五千十六本が平成十年になると一万一千七百六十六本と、南部川村が二万を超え南部町が一万を突破して、田辺から日高郡へ立ち枯れがずっと延びてきている。
 この十一万二千六百十七本の梅の立ち枯れを農家の損害で換算いたしますと、収穫梅の換算を一本当たり平均収穫額四万円とすると──これでも低い見積もりでありますが、何と四十五億一千万円の損害であります。これは農家の損害でありますが、この収穫梅を加工、運送、販売など第一次、第二次、第三次産業を経由する梅産業をトータル的に見ると百億円を超える損害に到達する事実を知っていただきたいし、知らなくてはその対策の重要性を理解できないのでないかと思います。
 この図でもう一つ考えていただきたいのは、このピンクの丸と米印と三角なんですが、米印はすべて山桜の状況を描いております。山桜が平成三年から平成十年まで枯れてきている状況を描いているわけですが、山桜が枯れていると、必ずその周辺の梅が立ち枯れするという状況になっております。これは、県林業センターの調査と梅農家が独自に調査したものをこの地図に落とし込んだわけであります。山桜と梅の立ち枯れの因果関係がどこにあるかという一つの宿題でもあります。
 県林業センターは八百八十四林分を調査し、うち二六%の二百三十四林分が衰弱、枯死の被害に遭っており、田辺市では九一%、南部川では五七%、川辺町では八五%が影響を受けているという調査結果であります。梅の被害地面積と比例していることも見逃せません。田辺市では、当初、上芳養、秋津川、上秋津など標高の高い地域であったが、現在では稲成町、長野、三栖などの、それも平たんなところまで発症が拡大しています。日高郡では、南部川村、川辺町から南部町岩代、切目、印南への平たん地、海岸部に及んでいるのが事実であります。今までの、梅の立ち枯れは一部地域に限定されているとの見解が崩れ、山間部、平野部、海岸部と全地域に広がっている事実を確認してください。これは、私の県当局への次の質問と深く関係があるわけです。私の言いたい結論は、桜と梅のかかわり、そして梅が山間部、平たん地、海岸部へと広がっている事実を見ていただくなら、後で述べる県当局への質問との関連性がご理解いただけると思います。
 そこで、まず副知事、梅生産農家の声を聞いていただきたい。私はそのことを知事に述べるために初登壇したわけですが、先ほども申し上げたように、知事が最も梅生産農家の気持ちをわかる人であります。心を痛めていることを私たちは十分わかっているわけであります。したがって私は、西口知事とともにこの原因究明を一緒にやりたいということで登壇させていただきました。
 ある梅農家は梅だけで生活していて、その八〇%が立ち枯れて唖然としています。どうやって食べていけばいいのか。また、ある農家は、後継者として子供を呼んだ。さあこれからというときに立ち枯れが進み、子供の将来、家族の生活をどうしたらよいのか。梅の立ち枯れ農園を捨てて、炭焼きや花の栽培、ミカンなどに転換している農家がふえています。切目や南部、南部川、田辺で、篤農家として梅栽培の指導を続け、梅農家から尊敬されていた人たちの農園まで、一昨年から急激に立ち枯れが始まっています。この人いわく、「私の全知全能、今までの栽培に関するすべての手だてをしたが生育不良がとまらない。回復させる施策が見当たらない。県行政の方針でやれば梅の生育不良が回復するとは考えられないし、このままだと農家は破滅する」。この現状を副知事、どう受けとめるのでしょうか。お聞きしたいと思います。
 西口知事は平成八年二月に農家の声を聞いておられますが、実際の梅立ち枯れの現場はまだ見ていただいておりません。そこで私は、副知事が今回、西口知事にかわって現場を踏査され、直接梅生産農家と対話していただくことをお願いし、その見解をお聞きしたい。
 少なくとも、これは大きな災害だと思う。県政に責任を負う立場である県当局の幹部の皆さんが現場を調査されるのが当然ではないかと思うわけであります。それが、今一番大切なことです。知事並びに副知事が先頭に立って解明に乗り出す、その姿勢が必要なのでないかということをお伺いしたいと思います。
 次に、県の梅生育不良の取り組みでの具体的な問題点と課題について質問します。
 まず、昨年の十一月十四日のうめ対策研究会中間報告に対して、梅生産農家の反論及び問題指摘にもかかわらず、ことしの五月二十三日の第五回うめ対策研究会報告では性懲りもなく前回と同じ観点と指針が示されたことに、失望と不信、怒りを超えて、悲しみさえ感じました。先ほど生産農家の声でも紹介したように、梅生産農家が樹勢回復に大変な努力をしているということ、しかもJA指導員、振興局普及員さんは、農家と一緒になって樹勢回復のために涙ぐましい努力をしています。以下の具体的な問題についても、この人たちの実践を通じて体験し、地道な努力をしてきたにもかかわらず、県のフローチャートやマニュアルの指導を忠実にしても展望が開けないということについて悩んでおられます。どうお考えになりますか。
 具体的には、まず一点目として、中間報告フローチャート、県の栽培管理マニュアルは梅の生育不良と現場で闘っている農家を全くばかにした子供だましの対応としか思えない。しかも、このことを忠実に実施している園で梅の立ち枯れが進んでいることに対して、県はどう判断し対策されるのか。
 二点目としては、県の実証試験園は効果を上げているとしているが、現実は試験園でも立ち枯れが起こっているし、実証試験そのものがいかに対症療法であれ、経済的な面から見れば一般農家で対応できるのでしょうか。できもしない実証試験を農家に強いること自体、この実証試験に問題があるのではないかということも研究されていくべきではないかということをお伺いしたい。
 三点目は、整枝剪定、結実管理、水ストレス、土壌要因として原因分析をしているが、四十年、五十年と梅を育ててきた農家から見て、この要因に納得するものではありません。過去にこんな現象はなかったのです。だから、農家は困惑しているのです。強い剪定をして、実を多くならせないでも現実に立ち枯れが起こっています。県の言うとおりやっても立ち枯れが起こっております。そして着果負担、実のならせ過ぎと言うが、実がまだならない四、五年生の幼木が枯れるのはどういうことか。南高梅の完熟収穫への移行で負担が大きくなって枯れてくると言っているが、青梅取りの南高梅も小梅も、そして古城も同じく生育不良が発生しています。水ストレスと言うが、梅は干ばつに強く、過去のひどい干ばつでも枯れていないのです。しかも、県行政の言うとおりに水をきちんとやっている、先ほど言いました篤農家の農園ですら枯れてきているのです。もう一つは、先ほど地図でも示しましたが、土質にあると言っております。西牟婁から田辺、日高にかけての土質は、みんな違います。一定の層に沿って幾つかの層にばらついていますが、どこでも同じように発症している原因をどう見るのでしょうか。そういう意味で、農家の数十年の経験と知識と技術から、これが主たる立ち枯れの要因でないことを実証しているにもかかわらず、県行政が農家の経験と知識に学ぼうとしないのはどうしてでしょうか。
 今まで挙げた三点について、県として確信を持つなら、みずから十アール以上の園地で実証して証明すべきだという農家の声は、何もふまじめな言い分ではないと考えますが、いかがでしょうか。
 四点目として、県の暴露試験の内容の見直しと充実、樹体解析──年輪解析を含む──をしてほしいという農家の意見を取り入れ、むだかどうかは試行錯誤すべきであると思いますが、どうでしょうか。
 五点目は、大気環境要因を避けずに、疑問を持つ農家の声にこたえて積極的に調査を進めるべきだと考えるが、どうでしょうか。
 次に、梅立ち枯れ期成同盟の県知事への積極的な要望に対して、県当局の対応は、県と農家の信頼を損ね、ますます不信の溝が深まっていることについてお尋ねしたい。
 行政と農家がともに協力して解決しようとしているのに、回答はずるずる延ばし、あげくの果てに知事名で申し入れた文書に対して部長名のA4の紙一枚で、はいそれまではないでしょう。しかも、農林水産部長の名前で、農林水産部の責任ある人が来ないで振興局に一方的に任せて説明をするなど、これは一体、梅農家に対する今の問題に切実に真剣に考えているという県当局の姿勢が見られないことについてどう判断されるのでしょうか。そのことについて聞きたい。
 県行政は今ここに至って、梅生育不良の原因究明を生産農家の立場に立ち、農家と一緒になって汗して考え、行動する姿勢と体制をつくっていってこそ、信頼関係を強め、原因究明への道が開かれると私は考えます。
 したがって、次の点を提言し、副知事の決断を期待したいわけであります。
 今までの疑問を解消し、梅農家と行政との溝、不信感を克服するために行政と梅生産農家の協力で原因究明を進めるチャートを、私案ではありますが、いろんな方の意見も聞きながら事前にまとめさせていただきました。そして、それによって行政と梅生産農家の協力で梅生育不良の原因究明を進めていくことを提案させていただきます。それは、今までは行政主導の形式的な域を超えていないことや、梅生育不良究明のための既存の機関が五つありますが、実際には各団体のトップ集団の集まり機関では継続、集中した究明には物理的に限界があることや、現場の声を十分踏まえた形の組織にならず、机上論的、一般的、科学的判断の域を出ないということからであります。したがって、行政と生産農家との関係に不信感が生まれ、原因究明のための一致した目標にエネルギーが集中し得ない状況になっているからであります。
 そこで、今示した行政と梅生産農家の協力で原因究明を進めるためにということで、この作業部会をつくってほしい。暖地園芸センターが指導し、コーディネーターをして、原因究明のための実行部隊であり、実践の中での研究を進める組織として作業部会を位置づけてほしいのであります。また、暖地園芸センターから分離独立した梅単独のことを試験研究する機関の設立が必要と考えます。そのセンターでは、梅の品種改良、栽培、加工や効用等についての研究や商品開発、また梅酢、梅の種のリサイクル、環境に安全な有機堆肥についての研究など、梅のあらゆることについて研究や企画を行っていただく。そうした梅の試験研究センターを設置することが梅生育不良の原因究明への早道だと考えますし、また現状を見ると、一般的に和歌山県は梅の調査研究が進んでいないマイナーな県という印象があります。そうした先駆的機関の設置により、梅の生産だけでなく、梅の研究にも非常に力を入れているメジャーな県であると印象づけられ、紀州梅のブランドの確立に寄与していくものと考えますが、いかがなものでしょうか。また、梅の試験研究センターと作業部会との連携、指導協力を円滑に行っていくため、今のみかん園芸課の組織を見直し、梅とミカンを中心とした果樹とに分離し、和歌山県に梅課の誕生はいかがなものでしょうか。これらは、今やらなくとも、いつかはやらねばならないと考えますが、早ければ早いほど効果があります。副知事、今まさに決断のときであります。どのようにお考えでしょうか。お聞きしたいと思います。
 次に、梅生産農家が今直面している問題であります。梅生育不良による問題について提起したいと思います。
 今までの、うめ対策緊急特別資金の利子補給、支払い期間、据え置き期間などの検討課題についてであります。これについては、平成九年は二百万、平成十年以降は三百万とありますが、実際上、金額はふえたけれども支払い期間は同じだということについていかがなものでしょうか。パイロットなどの新開畑の農家負担金の償還についてどうするのですか。既に一〇〇%枯れたと言われる新開畑の梅農家は実際に支払っていけない。どうしたらいいのか。これについて県当局はどうお考えでしょうか。しかも、岩代パイロットの方では南紀用水の事業負担金があります。これらの償還が現実に困難な状況が生まれていることに対してどう対応されるのでしょうか。また、先ほど申し上げましたが、梅生育不良で他の作物に転換するため努力されている人たちへの救済措置は、現在の制度ではございません。こういった救済措置に対してどうされていくのか、お伺いしたいと思います。
 次に別の項目ですが、時間がないので簡単に通していきたいと思います。
 御坊火力発電所に関して私の考えを述べるとともに県当局の見解をお聞きしたいと思いますが、中心的には問題提起にかえたいと思います。
 まず第一点、現在稼働中の御坊火力発電所に脱硫装置を設置することについて、現在の脱硝装置、集じん装置の改善に対して県当局はどう対応しているのか。
 第二番目は、地球温暖化防止の推進のため、和歌山県は防止のための実行計画の作成を義務づけられています。そこで、御坊第二火力発電所、とりわけ粗悪な化石燃料オリマルジョンを許すことは時代に逆行するし、国際的批判を受けるのではないかということであります。
 第三は、地球的規模から見て、二十一世紀以降和歌山県の進むべき道として、和歌山県の電源立地をこれ以上拡大することについて、いま一度みんなで考えてみようではありませんかということです。お互いに立場の違いはありますが、私の理念は後ほど再質問の提言の中で発表したいと思います。
 次に、産業廃棄物についてであります。
 産業廃棄物の適正処理の受け皿となる最終処分場の建設をということであります。
 県下の中で紀中、紀南地区への必要性、そして県がどうしても関与してほしいという要望であります。企業みずからが排出する産業廃棄物は事業者の責任において処分することが大原則でありますが、小規模企業の多い紀南地方では自力で最終処分場を確保することが困難であります。現状では、従来からの市町村の一般廃棄物処分場であわせて処分しているところもあるが、既に限界に来ております。本来、市町村の一般廃棄物処分場で産業廃棄物について市町村が対応するものではないのでありますが、実態はそうではありません。県はこの実態を知っていると思いますが、産業廃棄物の処分場不足やそのための不法投棄などの状況がある中で、これについて企業をどのように指導し取り組んでいくのか。しかも、小規模企業の産業廃棄物の投棄コストが高くなり、経営にも支障を来しているのが実態であります。産業廃棄物は事業者の責任ということでほうっておく状況ではなく、処分場建設のために公共関与することが必要な状況に来ていると思いますが、いかがなものでしょうか。
 以上で、第一回の質問を終わらせていただきます。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 原議員にお答えいたします。
 梅生育不良問題、立ち枯れの現状認識についてでございますが、議員ご指摘のように、依然として発症地域、発生本数とも拡大しており、特に本年は例年より早く発生が見られるなど非常に厳しい状況にあると、関係部局や現地から報告を受けてございます。大変心配しているところでございます。また、昨年の中間報告や第五回うめ対策研究会での農家の皆さんの意見や県政ホットラインへの生産者からの切実な手紙を拝見し、その不安を察するとき、一日も早い問題解決が必要であると考えてございます。
 これまで、地元の農家の皆さんも参画している田辺梅病害虫特別対策協議会や南部郷梅対策協議会を初め、多くの関係者のご協力をいただく中で、暴露試験や園地をお借りした試験研究等に懸命に取り組んでいますが、今後とも原因究明と対策の確立に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 なお、知事に現地にというお話もございましたが、知事も現地へ行きたい気持ちで十分であったわけですけれども、かわって私も現地へお伺いしたいとは思います。私も、既に二回現地へ行かせていただいております。
 次に、期成同盟からの要望に対する回答の問題でございますけれども、振興局を通じて代表の方々に直接項目ごとに説明する中で回答文を手渡したところでございます。県といたしましては、要請書の中で実施できるものについては早急に取り組みたいと考えてございます。
 なお、振興局からの説明、本庁からの説明がないじゃないかというご意見でございますが、県の組織構成としては振興局も農林水産部も同等の立場にあると考えてございます。
 なお、西口知事も本問題が発生以来、県職員に対しまして、自分自身の問題としてこの問題に取り組むようにということで最善の努力をするようにしてございます。県幹部はもちろんでございますが、担当部におきましても、この原因解明に精いっぱいの努力を今後ともしていきたい、地元の農家の皆さんとの信頼関係をより緊密にして、一緒になってこの解明に努力したいと思っております。
 それから、ご提言いただきました梅課の設置の問題でございます。この問題発生以来、我々としてもいろいろ議論をいたしましたが、現地を中心に考えていくべきだということで、現地に職員を多く派遣するようにしてございます。梅課の問題についても今後検討してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 原日出夫議員のご質問にお答え申し上げます。
 梅生育不良の問題、六点についてお答えいたします。
 梅生育不良につきましては、農業の最重要課題であり、深刻な問題と認識をしてございます。県といたしましては、これまで得られた試験研究の成果をもとに、県うめ対策研究会の委員からご指導をいただきながら、立地条件に応じた栽培管理マニュアルを作成したところでございます。厳しい現実に対応するためには、現時点でできることから実行していかなければならないと考え、基本管理の徹底をお願いしたところでございます。今後は、農家の意見を伺いながら、関係機関と連携を密にし、園地に応じた総合実証園の設置を検討することとしてございます。
 また一方では、梅の生育不良は土壌、気象、栽培面などさまざまな要因が複合的に関与しているのではないかと指摘されていることから、本年度から国の指定試験と一体となりまして、総合的な基礎研究を積み重ねてまいりたいと考えてございます。
 次に暴露試験につきましては、昨年の成績を踏まえ、多くのデータを得るため、本年は複合ガスの濃度設定を変え、二月から再度暴露試験を行っているところでございます。
 なお、発電所から排出されるばい煙を直接用いることにつきましては、大気拡散中に科学的変化が生じることなどから、サンプリングの際のばい煙の状態を維持したまま行うことが技術的に困難であると考えてございます。
 次に、ばい煙に関与した樹体の成分分析につきましては、さきの研究会での委員からお話があったように、ばいじんは葉の気孔からは吸収されず、根からの吸収では土壌はもとより肥料、農薬や潮風から来るものもあって由来を特定することができないとのことから、科学的な調査ではないと考えてございます。しかし、大気環境面では地球的規模での温暖化や大気環境の悪化が懸念されており、引き続きオキシダントなどの大気観測を行うとともに、梅の生理生態の基礎研究に引き続き懸命に取り組んでまいりたいと存じます。
 なお、生産者の皆さんの県に対する信頼感をより一層深める努力はもとより、官民一体となってこの難局を乗り切っていきたく取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、梅生産農家の今直面している課題でございますが、うめ対策緊急特別資金につきましては平成九年度に創設したものであり、さらに平成十年度には限度額を引き上げるとともに、融資枠を拡大し、本年度も引き続いて実施してございます。今後とも、被害農家の健全経営を図る観点から、融資及び利子補給の実施に努めるとともに、他の作物に転換するための資金につきましては、農業近代化資金等の活用を推進してまいりたいと存じます。
 土地改良事業の負担金の軽減策につきましては、ピーク時の償還額の一部を後年に繰り延べすることで、償還の平準化を図る事業や担い手への農地の利用集積を積極的に図る地域に二%を超える利子相当額を助成するなどの制度がございます。
 それから、農林漁業金融公庫には資質の高い専業農業者に負担金の支払いに要する費用を融資する償還円滑化資金制度があり、また災害等により償還が困難となった農家に対し、事情に応じ償還の繰り延べ措置を行うこともできると聞いております。これら事業制度につきまして、改良区、農家等に対し一層の周知を図るとともに、有効利用が図れるよう努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 御坊火力発電所に関する事項で、一点目の、既設御坊発電所への脱硫装置の設置や脱硝装置、集じん装置の改善に関するご質問についてでございますが、梅生産農家からの要望等を踏まえ、県から関西電力に対し大気環境保全対策の強化について申し入れを行い、現在、三号機への脱硫装置の設置や一、二、三号機の脱硝装置、及び電気集じん装置の改善に向けて準備が進められているところでございます。
 次に、地球温暖化防止の観点からもオリマルジョンを見直すべきとのご質問でございますが、御坊第二発電所につきましては県から関西電力へ、地球温暖化の原因物質の一つである二酸化炭素については、今後の技術研究、開発に応じ、その排出削減に努めるほか、地球環境問題に対して積極的に取り組むことを申し入れ、そのように取り組む旨の回答を得ており、今後も二酸化炭素の排出抑制について指導してまいる所存でございます。
 三点目の、本県の電源立地をこれ以上拡大しないでとのご意見についてでございますが、電源立地につきましては、県としては、今後も引き続き国のエネルギー政策の動向を踏まえ、適地性、安全性、地元の同意という三原則に基づき、地域振興の立場で対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 産業廃棄物の適正処理の受け皿となる最終処分場の建設をということで三点の質問でございますけれども、一括してお答えいたしたいと思います。
 産業廃棄物の最終処分場が紀中、紀南地域に不足していることにつきましては認識しているところでございます。田辺地域におきましては、現在、処分場建設については排出事業者処分の原則に立ち、田辺商工会議所が中心となって田辺市産業廃棄物処理協議会をつくり、先進地や先進施設の調査、事業手法等の検討など調査研究が進められているところでございます。今後、地域が主体となって地域の事業者が共同して処分場確保のために具体的な検討を進められることになれば、県といたしましても技術指導、助言など十分な協力をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 再質問させていただきます。
 副知事の答弁で、再質問というより要望でございます。知事にかわって副知事が今議会の責任において現地を踏査され、梅生産農家と懇談していただくという決意がございました。ぜひとも早い時期に実現していただけますよう、お願い申し上げたいと思います。
 それから、ちょっと余談でありますが、隣の中山出納長、その隣の藤谷理事、知事の側近として頑張っておられる公室長──失礼ですが、中山さんは上秋津です。藤谷さんは秋津川です。本当にふるさとであります。そういう意味からも、ぜひとも副知事以下、現地を踏査されて、我がふるさとの実情をご理解いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
 それから、もう一つの副知事の答弁でございますが、期成同盟への県の姿勢についてであります。
 若干、この点については納得しておりません。時間が大変少ない関係もありますが、これについては、梅生産農家の窮状を一日も早く県当局及び知事に正しく理解していただきたいということで、県に対し、農家とともにその理解、解決に向けた対策をとってほしいという危機的状況にある訴えでございました。
 農家にとっては生きるか死ぬかの生活のかかった要望であり、知事を信頼し、知事ならわかってくれるというお願いでしたが、先ほど言いましたようにA4の紙切れ一枚の農林水産部長の回答文を振興局に読ませてしまうという状況を見たときに、私たち県当局を信頼して一生懸命やっておるといっても、生活がかかっている状況にある場合、それを信頼できるでしょうか。その点について、私は非常に不信に思います。しかも、期成同盟の中に県会議員のOBの方が五名もおられました。西口知事を全面的に評価をして、県勢発展のために陰ながら本当に支援している人たちばかりです。そういう意味でも、今回現場を踏査したときに誠意ある態度を表明していただけることを要望したいと思います。
 次に、農林水産部長の答弁であります。
 先ほど述べられた幾つかの原因解明に対する答弁でありますが、「さまざまな要因」という言葉が出てきたり「農家の皆さんと一緒になって」という言葉がありますが、県当局のスタンスはあくまでも栽培中心のマニュアルに基づく解明であり、その対策でしかないと受け取れるわけであります。私がここで言いたいのは、疑問とするすべての項目に対して調査項目として取り上げていくという姿勢をお願いしたいわけであります。
 時間がありませんので幾つも紹介できないんですが、農林水産部長、例えばあなたが申された中に、研究会の学者の発言をそのまま受け売りをして「ばいじんは葉の気孔からは吸収されず」という言葉がありました。これに対して、葉面から吸収することを実証し、科学的に論文、レポートを発表している学者がたくさんあります。研究会で、梅そのものを全く知らない、私たちはマイナーですと前段で断りながら、その研究会で発表する学者の言い分をそのまま一〇〇%受け入れて、だから私たちはそういう対処はしないというようなことはあり得ないと思うわけです。たまたま一番身近な、そして県行政の施策にも全面的に賛成している南部高校農業科の谷口先生は、いろんな分野で八〇%県行政の立場に立ちつつも、大気汚染の影響と地域性、梅や桜、松は大気汚染に弱いということで、その葉っぱから「大気中のオゾンの問題、酸性雨から植物内に窒素酸化物や硫黄酸化物が侵入し、光合成が弱まります。さらに、光合成能力を維持しようと植物が葉を増量し、養物移動で地上部と地下部とのバランスが崩れて」というふうに、少なくとも葉から吸収するということを南高梅をつくり出した学校の先生が言っているわけですから、これに耳を傾けないで一方的にこういった意見を述べられることに対し、非常に私は悲しく思います。これについて、農林水産部長の見解をお聞きしたいと思います。
 そこで農林水産部長──私は、どちらが正しいのかと言っていませんよ。どちらが正しいのかは、今はだれもわからないんです。多くの方がいろんなレポートを出し、研究してくださっているのは、実証されていないからです。研究会の人たちが言うのが正しいとしても、それを実証してこそ証明されるのではありませんか。いろんな角度から実証して、なるほどやっぱり葉面から吸収しないなということになれば、研究者の言うことが正しいわけです。やりもしないで、やる前にそのことを研究の対象にしない農林水産部の考え方に対しては許せませんよ。そういうことをきちんとしてください。そういうことは、いわば民主主義の原点のルールでしょう。そういうことを考えてくださいよ。行政は多面的に深く研究することを避けているのではないかという疑念と不信がそこから生まれているのです。私は、そう思いたくありません。しかし、あえて避けて通ることで、そこに何かがあるんではないか、あらゆる研究をしていくことに一歩踏み出せない何かがあって、それを原因究明されると困るような要素があるんではないかという疑念を抱くわけであります。私は、そう思っておりません。私たち生産農家は、大気汚染が主たる要因なんて言っていないんです。そのことを含めて研究しませんか、そして早期に結論を出しませんかと言っているわけでありますから、むしろあなた方農林水産部の方が避けて通っているのが事実でしょう。避けて通っていますよ。現場の梅生産農家の立場に立ってくださいというのが私の基本理念です。農林水産部長、見解をお聞きしたいと思います。
 次に、火力発電所の問題であります。時間がございませんので、簡単にします。
 私は、和歌山県は電源立地によって地域振興を図っていくという観点よりも、むしろそれを脱却して和歌山県の地域特性を生かした自立した地域振興、並びに産業政策を確立していくことが本来の地方政治のあり方ではないかと考えているわけであります。これについては、いろいろ問題もあり見解の相違はあると思いますが、これ以上和歌山県に化石燃料による電源立地はやめてほしいというのが私の哲学であり理念であります。そのことをはっきり申し述べておきたいと思います。
 私は引き続き議会においても議会外でも、私が生きていく人生の立場から言っても、オリマルジョンの燃料だけはやめてほしいと県民の皆さんに訴えながら、これを何とかやめていただくための運動を展開して、県当局にお願いしていきたいと思います。今この時代に生命を与えてもらっている人類として、また地球の方向を決めていく場に直面している私たち政治家、それを進めている行政当局にとって、いま一度論議を尽くし、後世に禍根を残さない方向を指し示すことが重要ではないかと思います。少し哲学的な言い方になりましたが、私と当局の見解の相違はあったとしても、地球が生きるか死ぬかという遠い将来の時代を考えたときに、この議会において私の見解、理念だけは述べておきたいと思うわけであります。
 次に産業廃棄物ですが、これについては一点だけ要望したいと思います。
 県当局の答弁のように、地元がどれだけ盛り上がるかということ、そして民間の廃棄物事業者責任において民間が中心になりながらやっていくことについては、そのとおりであります。ただ、これが盛り上がったときに現在の振興局、例えば西牟婁でしたら西牟婁振興局の管轄である保健所がこれを管轄していくことは物理的に非常に無理があります。したがって、実際に実現していく展望が開けたときには県として少なくとも一名の担当者を置いて全体をコーディネートできるような人的配置をお願いできたら、より一層事業実現のために進んでいくのではないかというご提案だけ、お願いだけしておきたいと思います。
 以上で、第二回の質問を終わります。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 原議員の再質問にお答えを申し上げたいと思います。
 議員ご指摘の新たな調査というか、従前から申し述べられているばいじん等々の調査についてですが、私ども現在のところは、県の方から委嘱している県うめ対策研究会の科学者の評価、結論から客観的な視点に立って解明したいということを基本にしてございまして、樹体分析とか、ばいじんの直接暴露につきましては先ほど答弁をさせていただいたとおりでございますので、ご理解を賜りたいと思います。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 農林水産部長の今の見解でありますが、その見解によりますと、あんた、地元へ来てももう梅生産農家との対話は始まりませんよ。言うておきます。私は責任を負えません。副知事にも個人的に申し上げましたが、私がこの県議会に来たのは、梅生産農家の気持ち、考え方と県、とりわけ農林水産部の考え方がジョイントされ、一緒に力を合わせて汗をかく役割を果たさせてくださいということです。今のような形で答弁されますと、あんた、あきまへんで。言うておきます。私が質問した理念は一貫しています。梅生産農家や農業に責任を負う。たとえ副知事や知事がどう言おうと農林水産部長自身が責任を負う。どんなことがあっても梅生産農家の立場になって、重心をそこへ移してやらせてくださいと言うのがあんたの答弁じゃないんですか。おかしいじゃないですか。許せませんよ、あんた。今度、課長が来ようが、だれが来ようが、梅生産農家は受け入れない状態が起こりますよ、これは。そういうことに対して、もっと責任を持ってくださいよ。
 先ほども言いましたように、ばい煙とかなんとかという問題ではなくて、南高梅を開発した南部高校の谷口先生さえ、そのことも研究課題の一つにすることが望ましいと考えているんです。ただし、それが正しいかどうかもわかりません。うめ対策研究会のメンバーの言うことが正しいかもしれません。しかし、試行錯誤してやっていかなければならない時点に今あるんです。あなたの言っていることは、平成二、三年の態度からひとつも変わっていませんよ。
 きょう、私がこんなに一生懸命訴えさせていただいているのに農林水産部長がその気持ちでは、何のための──先ほど私がフローチャートでご提案させていただきました既存の五つの団体である現場の農家の皆さん、JAの指導員の皆さん、そして振興局の普及員──部長、振興局の普及員なんて涙ながらに頑張っているんですよ。必死になって頑張っているんですよ。そんな答弁されたらかわいそうですよ。県の指針に基づいて一生懸命農家を指導するけれども成果が上がらない。どんどんやってもその先から枯れてくる。どうしたらいいか悩んでいます。しかし、県の指導に忠実に基づいて一生懸命頑張っています。
 もっとほかの研究もしながら総合的に検討したいと、現場の指導員がみんな言っているんです。それにあなたは水をかけましたよ、きょうは。もう一度答弁お願いします。きちっとしてください。副知事、調整してください。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) ただいま、原議員から再々質問をいただきました。
 県職員、いわゆる農林水産部を中心にいたしまして、以前からこの問題につきましては自分自身の問題として取り組むように知事から言われてございます。そういうことで、精いっぱいの努力をしておると思います。研究の内容につきましては、学説等いろいろございます。そういう中で、今後我々も十分それらに配慮して研究を進めていきたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上で、原日出夫君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 許可をいただきましたので、早速、通告に基づき質問に入りたいと思います。
 まず、串本町の残土処分場の問題でお尋ねします。
 堀本議員と重複するところもありますが、ご容赦ください。
 現在、串本町有田地区で建設残土の処分場をつくる計画があります。計画をしている業者は、残土については大阪などの他府県から搬入する予定にしているようであります。しかし、経営的に見ても純然たる土砂だけを串本町のような遠隔地に搬入してもメリットはなく、産業廃棄物などの不純物が混入されるのではとの心配の声が挙がっています。とりわけ、建設予定地は有田地区の水道水源のすぐ上流になり、飲み水が危ないと区民挙げての反対運動が起こり、六月十五日には町長さんを先頭に約一万一千名の署名──これは串本町の人口の七三%に当たりますが──これを携え、知事に陳情に来ています。町議会の方でも、林道管理条例を新たに制定し、残土の運搬を規制し、引き続き六月議会でも水道水源保護条例を制定する動きもあるなど、区民の意向を受けて全力で頑張っているようです。
 そこで、県としてこの問題への対応を伺いたいと思います。
 計画予定地域は森林で、土地の形質を変更するには森林法の知事の許可を必要とします。その審査の際、知事は町長に意見聴取をしますが、町から町条例に照らしても認められない旨の意見が上がってきた場合、県はどういう判断をされるのでしょうか。
 また、現在の処分場計画を森林法の許可の必要のない一万平方メートル以下の細切れの計画にした場合、森林法の規制をすり抜けられるのではと地元の方は心配していますが、そうした脱法的な行為は認められるのでしょうか。
 さらに、処分場計画予定地に残土を搬入しようとする場合、普通河川を渡らなくてはなりませんが、普通河川に橋をかける場合、それは国有財産の管理者としての知事の承認が必要となります。その際、どのような基準で承認の是非を判断するのか、答弁をお願いします。
 最後に、今後、高速道路などの建設に伴い、公共事業関係の残土処分も問題になってくると思います。残土処分場の建設は住民合意の上で進めていくことが大切ですが、出どころのはっきりしない残土以外のものがまじった質の悪いものが出てくる可能性があります。このような悪質な残土の処分を規制することも重要です。既に千葉県などでは残土処分の規制条例が制定されていますし、県としても今後研究されることを提案しますけれども、いかがでしょうか。答弁をお願いします。
 次に、台風シーズンを迎える前に、先輩議員もこの間取り上げてこられた日置川の水害問題を取り上げたいと思います。
 一点目は、殿山ダムの操作についてです。
 一九九〇年九月の水害について、現在大阪高等裁判所で、住民が県と関電に対し損害賠償請求をしています。その中で、原告側が調査依頼をした国土問題研究会という学者らのチームが一昨年の十一月、「日置川殿山ダム水害調査報告書」をまとめています。その中では、本来つながっていなければならない水位計の記録紙がつながっていなかったり、データ改ざんの可能性まで指摘されていますが、この問題は現在裁判中のことなので、その結果を待つことにしたいと思います。ただ、その調査報告書では、ほかにも殿山ダムに関して幾つかの重要な問題提起をしています。その中の一つに、ダム操作の問題があります。
 殿山ダムは、関電が定め、県が承認した殿山ダム操作規程に基づき操作されていますが、洪水時にはダムのゲート操作が操作規程どおりにできないという問題があります。殿山ダムの放流方式は予備放流方式といって、大雨が降りそうなときにはあらかじめ放流をしておき、ダムの水位を一定まで下げておく方式です。その上で、洪水時にはダムに入ってきた水量をそのまま放流するのではなくて、一たん三十分間蓄えて、つまり洪水の伝わり方を緩やかにして下流に流すおくらせ放流という操作をいたします。このおくらせ放流は、洪水の下流への伝わり方を緩やかにするメリットがありますが、余りおくらせ過ぎると、今度は放流をおくらせた分だけダムに水がたまりますから、一気に放流量をふやしてしまうというデメリットが出てまいります。
 例えば、一昨年七月末の台風九号のときのダム操作の状況を見ますと──お手元にお配りしている資料がそうであります。操作規程では三十分のおくらせ放流なのに、最大で三時間二十分ものおくらせ放流になっています。その結果、下流の水位の急激な変動を生じさせています。──ちょっと、パネルをお願いいたします。(図面を示す)
 上のグラフが操作規程どおりの放流例の模式図であります。黒い実線が流入量で、点線が放流量です。流入量がずっとふえていくに従って放流量もふえますが、非常になだらかにどちらもふえていく、これが三十分間のおくらせ放流というやり方であります。この図では、縦軸に水の流れる量、そして横軸に時間経過をとってあります。そして、実線がダムへの流入量、点線がダムからの放流量なんですが、上の図は今言ったとおりで、下の図は一昨年七月に実際にあった放流の仕方であります。これは、私自身、記録を聞いてつくったんですが、おくらせ放流の時間が最大でこの部分で三時間二十分にも当たり、その間ダムには水が蓄積されて、その後ゲートをあけるために一気に放流量がふえて、非常にジグザグした放流の仕方になっています。川の水がじわじわふえることによって、低地が水につかったりすることはあります。しかし、これでは命は落とさないと思います。怖いのは、一気に濁流が押し寄せてくることです。一気に増水すれば水の破壊力はすさまじく、また人が避難する余裕がなくなってしまいます。なぜこうなるのかと言えば、人為的な問題もありますが、ダムの六門あるオリフィスゲートのうち放流の微調整がきくのが二門だけだということにも原因があります。ダム操作をする人が操作規程どおりに滑らかな放流になるように操作しようとしても、構造的にそれができない状況にあり、私はこれは欠陥ダムだと考えます。
 そこで、土木部長にお尋ねします。
 このおくらせ放流が操作規程で定める三十分以上になることについて県としてどう考えておられるのか、ご答弁をお願いします。
 二点目は提案ですが、日置川の水位や殿山ダムの操作状況については関西電力及び和歌山県が記録をしていますけれども、大雨などの際、日置川町民がダム操作の状況と日置川の水位について手にとるように把握できるようにしてほしいということです。県や町、また関電の努力によって、この間、無線放送が各戸に入ったり、その努力については敬意を表しますが、例えば今、県の水位計のデータは、より詳しく把握するために西牟婁振興局に無線で送られて記録されています。これを一本分岐して日置川町でも把握できるようにするとか、あるいはダムの操作も、近ごろゲートの差しかえと言って、片一方でゲートを入れながら片一方でゲートをあけるという複雑な操作も入ってきています。ですから、操作状況のモニターカメラを設置してみるとか工夫されてはどうでしょうか。
 三点目は、日置川の河川改修については県としても取り組まれているところでありますが、その進みぐあいを示していただきたいと思います。ご答弁をお願いします。
 次に、梅生育不良の研究姿勢と大気汚染の問題であります。
 原議員の質問とダブるところもありますが、私自身の視点も加えてよろしくお願いしたいと思います。
 私たちが梅衰弱症と言っている梅生育不良の原因究明については、国の研究員も派遣されて、今後、梅の基礎的な生理、生態の研究が進むよう期待しているところであります。ただ、これまでの梅生育不良の研究、特に大気汚染の分野では、一般的な大気環境と梅の問題は研究されてきたと思うんですが、御坊火電と梅衰弱症──梅生育不良の関連を正面から取り上げてこなかったのではないでしょうか。御坊火電が建設されるまで、関西電力が電力中央研究所に委託して梅やスモモなどへの大気汚染の影響を調査しましたが、例えば、硫黄酸化物に関する結論は、次のように述べています。「今後の大気環境は、低濃度の大気汚染が慢性化していくものと予想されることからも、大気由来の硫黄の植物体への蓄積、被害発現の限界濃度に関する知見の集積が望まれるものと思われる」、関電が委託した研究結果がこのように報告をされています。知見の集積とは、つまり継続的な調査研究が必要だということではないでしょうか。そして実際、御坊火電操業の後、前代未聞の梅衰弱症なる生育不良が発生してまいりました。また、先ほどの原議員の指摘にもあるように、林業センターで調べている山桜の枯れは、見事にその広がりと一致しています。かつての研究で、低濃度大気汚染の知見の集積、つまり継続調査の必要性が言われながら、梅生育不良が大問題になるまでこの面からの研究を御坊火電の操業前後にしかしてこなかったというのは納得できないんです。大体、県が一九八〇年から八七年まで行った農作物の大気環境保全対策試験の成績書さえ、四年ほど前に私たちがしつこくしつこく要求してやっと見せてくれた。農家にオープンになった。そういう態度ではだめではないでしょうか。今こそ御坊火電の影響を正面に据えた研究が必要だと思うのですが、いかがでしょうか。農林水産部長のご答弁をお願いします。
 例えば今、梅農家の中には、御坊火電のばいじんを梅の木にかける試験をしてほしいという強い要望があります。これに対して、先日の第五回県うめ対策研究会では、県の依頼した学者の中から、ばいじんの暴露は科学的でないという発言もございました。しかし、私が読みました別の火力発電所にかかわる研究では、重油の燃焼に由来する大気汚染の指標──目安です──として、杉の葉の中のバナジウムを測定し、被害地域では対象地域より約三〇%高かったという結果も出ています。バナジウムというのは、ばいじんに含まれる重金属の一種で、タンニンという植物を守る物質をつくりにくくする作用があります。そのような研究もあるのですから、ばいじんの暴露実験は確かに技術的な難しさはあると思いますが、前向きに検討できないでしょうか。また、少なくとも、ばいじんに含まれる成分が梅に蓄積されていないかどうか調査をしてはどうでしょうか、農林水産部長の答弁をお願いします。
 また、これも農家が要望している、樹体解析という試験があります。木を年輪ごとにばらばらにして、年ごとに木に蓄積される成分を分析してほしいという要望ですけれども、実はことしの四月に、私の母校である東京農工大学の元教授の本谷先生が現地に来まして、この調査の必要性を訴えられました。そして、独自にでも調査していくことを予定しているということで、サンプルもそのときとられたようです。この調査を県としても検討してはどうでしょうか、お答えをお願いします。
 次に、県うめ対策研究会の先生方も大気の面でこれだけは心配しておられるオキシダントの問題です。
 梅との関連では、今後の県の暴露試験でも重点課題になっておりまして、取り組みを期待しているところであります。私は梅と大気汚染の関係について継続して関心を持ってきましたが、その中で気がついたのは田辺市周辺でのオキシダント濃度の高さです。九五年のある測定資料を見ても、田辺市上芳養というところで〇・〇六ppmの環境基準を超え、〇・一ppm以上の数値を記録しております。──パネルをお願いします。(図面を示す)
 このパネルはその年の状況でありますが、一カ月のうちに何日環境基準をオーバーした日数があるかというグラフです。赤い線が田辺市上芳養、黒い太い線が和歌山市内、こういうグラフであります。これを見ると、環境基準をオーバーする日数は常に田辺市上芳養の方が多かった、こういうことが出ているんです。その上で、先ほど私が申し上げた田辺市上芳養で測定された〇・一ppmという数値は、オキシダントの常時監視をしている和歌山市周辺で言いますならば、光化学スモッグ予報が出る大変高い数値であります。また、県の移動測定車ブルースカイ号によっても、例えば白浜町では四百五十時間の測定のうち、九分の一に当たる五十時間も環境基準をオーバーしています。これは、和歌山市周辺の地域にも匹敵する値であります。
 そんな中で、昨年八月、南部高校でクラブ活動中の生徒ら三十二人がのどの痛みを訴えるという事件がありました。原因は特定できていませんが、オキシダントとの関係を指摘する声もあります。しかし、今の県の監視体制では、和歌山市、海南市、下津町、有田市などでオキシダントを常時監視しているものの、それより以南の地域では常時測定されていないのです。たまたまこの梅の問題があって臨時の測定局を設置していたから、高い濃度になっていることがわかったのです。私は、まさに梅の木が身をもって人間に警鐘を鳴らしていると感じました。この際、現在の状況にかんがみ、大気汚染の常時測定局をふやし、人体への影響が心配されるときには注意を喚起する、その体制を県としてとってはどうでしょうか、ご答弁をお願いします。
 次に、白浜町庄川の県道整備工事の問題点についてです。
 一九九六年末から九七年にかけて、白浜町の庄川地区にある県道白浜久木線の整備工事が行われました。どういう工事かと言うと、その付近は未舗装で幅が狭く、すれ違いができないので待避所を三カ所つくろうという工事でした。県は、九十万円の予算を組んで業者に工事をさせました。しかし、県のお話によると、九七年四月になって現地を見に行くと、指定した工事箇所以外のところまで県道のり面の掘削が進んでいて、すぐに業者にストップをかけたということです。それ以来、一部の吹きつけ工事は県が行ったものの、大部分はのり面が掘削されたままの状態で二年数カ月経過し、現在も県道のその工事箇所は、落石など危険なため通行どめになったままです。
 そこで、土木部長にお尋ねします。
 県は、九十万円の予算を組んで業者に工事をさせたと言いますが、なぜ業者が待避所を三カ所つくるという工事以上の工事をしたのか、県は正確な発注の仕方をしたのでしょうか。
 私は、こうしたことが起こる背景に、庄川地区の公共工事の進め方に問題があると考えています。同地区では、住民が任意でつくる促進委員会なる団体が、公共の工事に関して行政に対し一般的な要望や陳情を行うだけではなくて、公共事業予定地をみずからの資金で先行取得し、公共事業の予算がついた段階で行政に買収してもらうというやり方をしていたようです。確かに、同地区の県道や河川の改修は区民の要望でありますが、だからといって用地を先行取得までして促進するやり方は、私は誤りだと考えています。一歩間違えば、公共事業絡みの不正疑惑を招きかねません。そして、少々工事が先行しても、後には公共事業の予算がつくはずだという思いになるのではないでしょうか。県はこの促進の仕方を容認してきたと、私は考えます。この点で、県の責任は重いものがあります。
 このような問題点を指摘した上で、今後このような事例が起きないよう、工事監督の面でも、公共事業の推進の面でも注意し、早急に県道の危険箇所の整備に取り組むよう求めるものですが、土木部長のご答弁をお願いします。
 最後に、白浜町浜通りの県道白浜温泉線のエネルギーランドから湯崎トンネルにかけての拡幅についてお尋ねします。
 観光地白浜の顔でもある白良浜に沿ったこの通りは、観光客はもちろん、地元の生活道路としても重要な役割を果たしています。ところが現在、白良浜から湯崎牟婁の湯に至る部分だけが極端に狭く、夏の盛りの時期にはバスの通過がまことに困難な状況になります。また、歩いて白良浜に行こうとしても、その部分が余りにも狭いため、子供連れなどのお客さんが危険で歩けないという問題があり、このことは白良浜の違法駐車を増加させる一因ともなっていると私は考えます。ぜひ早急な改良、拡幅をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。土木部長の答弁をお願いいたします。
 これで、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの高田由一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕(拍手)
○農林水産部長(島本隆生君) 高田議員のご質問、森林法による判断につきましてお答え申し上げます。
 林地開発許可の手続におきましては、関係市町村長の意見を聞くこととなってございます。したがいまして、開発許可の申請があった場合は、串本町長の意見を十分に尊重し、慎重に審査を行いたいと考えてございます。
 また、当該区域内におきまして一ヘクタール以下の規模で複数の開発を行う場合でも、人格、時期の相違にかかかわらず、一体性を有する計画と認める場合は、開発面積の合計が一ヘクタールを超えた時点で林地開発許可の対象となります。
 次に、梅生育不良と大気汚染の関係でございます。
 まず、御坊火力発電所との関係でのお尋ねでございます。
 これまでの大気環境調査でございますが、酸性雨を初め二酸化硫黄、二酸化窒素、オキシダント等の各項目について実施されており、県内及び全国の平均的な状況と大差ない結果となってございます。しかしながら、農家の強い要望もあり、昨年より現地で暴露実証試験を実施しており、さらに本年は多くのデータを得るため、再度、濃度を変えて試験を実施しているところでございます。
 次に、ばいじんの直接暴露や樹体解析につきましては、うめ対策研究会を初め、県もオブザーバーとなっている梅生育障害対策研究会の委員からも、ばいじんは葉の気孔からは吸収されず、根からの吸収では土そのものの成分はもとより、肥料、農薬、潮風などから吸収されることもありまして科学的に評価できないと指摘されてございます。現時点におきましては、暴露実証試験をまず中心に据えまして原因究明のための調査研究に一層取り組んでまいりたいと存じます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) ご質問の、建設残土処分問題にかかわる仮橋設置、残土処理条例の制定についてでございます。
 まず、普通河川に仮橋を設置することにつきましては、県は国有財産管理者の立場で、普通河川の機能管理者である町の意見を尊重し、通路橋の設置目的が林道管理条例等に抵触しないかどうかという点を重視して対処することとなると考えております。
 また、残土処分条例の制定につきましては、既に県内の四町で条例を制定しているところでありますが、県条例の制定には基盤整備を図る上での地域特性等を十分考慮するなど慎重に検討する必要がありますので、今後の研究課題としてまいりたいと考えております。
 続きまして、日置川の問題について、三点、順次お答え申し上げます。
 一点目の、殿山ダムの操作にかかわる問題につきましては、損害賠償請求の裁判が提訴され、一審の大阪地裁においては平成八年五月に棄却の判決が出されております。これに続く控訴審が現在大阪高裁で審理中でございます。操作規程は適切であり、平成二年九月の洪水時にもダムは操作規程どおり操作されていることから、問題はないと考えております。
 続きまして、日置川水系におきましては、県が安居地点等において水位計を設置しております。水位データ等を沿線住民が逐一把握することは住民の自主的な防災意識を促すことにも資すると考えられますので、水防管理者である町など関係機関とともに検討してまいりたいと存じます。
 三点目でございますが、日置川では国道四十二号日置大橋から上流四・四キロメートルについて、必要な区間の堤防の築造や護岸の整備、及び川底の掘削等を行ってきているところでございます。今後、日置川町田野井地区において堤防の築造等を実施すべく、現在、地権者と用地交渉を行っているところであり、平成十二年度から一部工事に着手する予定でございます。
 続きまして、白浜町庄川の県道について、二点を一括してお答え申し上げます。
 県道白浜久木線の整備につきましては、昭和五十五年ごろから地元関係者の要望を受け、日置川町界へ向けて路面整備や路肩整備を進めてまいりました。平成八年十月に、白浜、日置川の両町で構成される県道白浜久木線改修促進委員会より現道の線形不良箇所の改良及び待避所設置について要望があり、平成九年一月に機械の借り上げ契約を行い、突角部の除去工事に着手しました。
 発注後の監督において、県の意図するところと相違が生じ、直ちに工事の中止を命じるとともに、現地の調査を行った結果、この区間の一部の切り取りのり面、及び上部の林地からの落石等が予想されると判断し、平成九年四月に通行どめを行っております。
 この問題の処理については、地元の方々の間で意見の不一致があり、問題の解決に時間を要している状況であります。今後は、監督業務の徹底を図るとともに、県といたしましても、さらなる主体性を持って地元の皆様との話し合いの場を設けることにより意見の一致を得て、一日も早く交通の確保に努めてまいります。
 続きまして、白浜浜通りの県道整備についてでございます。
 エネルギーランドから牟婁の湯のトンネル手前までの未整備区間の約五百メートルにつきましては、かねてより町や地元から早急に改良するよう要望されており、県では平成十年度から事業化に向け、現地測量に着手しております。しかしながら、当区間は人家が連檐し、沿道の家屋、店舗の移転が伴うことから、関係者の生活に大きな影響が出ます。さらに、当区間は公図が混乱しておりますので、今後地元関係者の協力を得ながら、公図訂正や代替地対策等、事業化の条件整備を進めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 梅生育不良と大気汚染のうち、オキシダントについて回答いたします。
 オキシダントにつきましては、平成七年度から田辺市秋津川におきまして、移動測定車により定期的に測定を実施してございます。平成七年度の六月から七月の測定期間中におけるオキシダント濃度の最高値は〇・一〇〇ppmを観測いたしておりますが、平成八年度から平成十年度にかけては同期間中の最高値は〇・〇九九ppmから〇・〇七八ppmの範囲内であり、和歌山県光化学オキシダント緊急時対策実施要領に定める予報発令基準の〇・一ppmを超える高濃度を示した時間帯はありませんでした。
 なお、議員ご指摘のオキシダントの常時監視局の設置につきましては、オキシダント濃度の今後の推移も勘案しながら、常時監視局の配置が今後どうあるべきかを検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番高田由一君。
○高田由一君 まず、串本の残土処分場の問題は、県民、町民の暮らしを守る立場で厳しく対応をしていただきたいと思います。これは要望しておきます。
 それから、二つ目の白浜町庄川の県道の問題ですが、土木部長の答弁の中で、「県の意図するところと相違が生じ、直ちに工事の中止を命じ」とありましたが、これは結局、工事への指示や確認が不行き届きであったということではないですか。これは、大いに反省をしていただきたいと思います。公共事業の推進の仕方については私の問題点の指摘についてお答えになりませんが、本来なら行政が主体性を発揮して取り組むことは明白であります。
 なお、復旧工事推進に当たっては、一、ここまでに至った経過について詳細に明らかにすること、二、同地区にはカタツムリトビケラやタニガワミジンニナといった貴重な陸生貝類などが生息していますので細心の注意を払って施行されること、この二点を要望しておきたいと思います。
 それから、三つ目は殿山ダムの問題であります。
 答弁の中では、操作規程は正しいもの、適切なもの、そういうお答えだったと思いますが、私が聞いているのは、操作規程が正しいか正しくないかということでありません。規程で三十分と定められているのに最長三時間二十分ものおくらせ放流になっているという事実、この操作の事実は操作規程の許容範囲なんですか。このことに明快なご答弁をお願いします。
 それから梅の問題では、先ほど二酸化硫黄、二酸化窒素、オキシダントなどの各項目について、県内及び全国の平均的な状況と大差ない結果だと言われておりますが、では、私がさっきパネルで示したようなオキシダントの状況が大差ない状況なんでしょうか。この中でオキシダントは、県が委託したうめ対策研究会の委員の方も、これはことしも継続して調べる必要があると言っている項目じゃないですか。このことにもう一度答弁を求めたいと思います。
 また、答弁の中では、ばいじんの直接暴露や樹体解析については科学的に評価できないというお答えでありました。確かに、一本や二本の梅の木を測定しても、農薬や肥料や土などの影響も出て科学的に評価できないというのは当たり前だと思います。しかし、被害地とそれ以外の地域で多数のデータ、資料をとれば、土壌や肥料の影響は多数のデータの中でならされます。その上で統計的な処理をすれば、有意な差があるかないか判断できるのではないでしょうか。現実に、先ほど原議員が紹介したような研究、あるいは私が紹介したような研究もありますし、また本谷先生のように分析をやろうという学者も実際出てきているわけですから、これは前向きにぜひ取り組んでいただきたい。
 それから、私が聞いた、少なくともばいじんに含まれる成分が梅に蓄積されているかどうか調べてほしい。これは、ばいじんをかけるということとは違って、そのばいじんに含まれるような成分が梅に蓄積されていないかどうか調べるぐらいのことは技術的にも十分できることじゃありませんか。このことについて明確に答弁をお願いして、二回目の質問を終わります。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 再質問にお答えします。
 一審におきましては、「操作規程には河川の従前の機能を維持するという観点から見て何ら不備・欠陥は認められず(中略)本件洪水時におけるダム操作によって、ダムがなかったと仮定した場合に比べて、ダム地点における最大流量、下流の各地点での最高水位・最大流量を低減させ、かつ、洪水伝播時間も遅らせており、河川の従前の機能が維持された」と認められていることから、ダム機能に問題はないものと考えております。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 先ほど答弁させていただきましたのは、平成八年から十年度、移動測定車による測定結果を申し上げたものでございまして、環境基準である〇・〇六ppmを超えていることは承知いたしております。今後、先ほども申し上げましたとおり、オキシダント濃度の推移も見ながら、常時観測局の設置等につきましても十分検討してまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 再質問にお答え申し上げます。
 ばいじん、あるいは樹体解析の考え方でございますが、現在のところは、先ほどの答弁で申し上げたとおり、科学的な評価ができないという判断に立ってございますが、先ほど副知事から原議員にご答弁も申し上げたとおり、より総合的な幅広い視野で今後の取り組みを広げてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十一番高田由一君。
○高田由一君 農林水産部長からは、大変前向きに受け取れる答弁をいただきましたので、ぜひその立場でお願いします。
 副知事も申されたように、種々の学説がある中で、県が委託をしたうめ対策研究会の委員だけの見解に縛られる理由はありません。いろんな方のいろんな意見を聞く。そして、現地の学者である農家の方の意見を聞く、これが一番大事な点であります。この立場で試験研究を一層進めていただきたいと思います。これは要望であります。
 それから、どうも土木部長は履き違えておられるようです。操作規程が正しいかどうかじゃなくて、現実に三十分と決められているものが三時間二十分。三十分が四十分になったり、それぐらいだったらわかりますよ。三時間二十分になっているというこの現実をどうとらえているんですかということなんですよ。それでも正しいと言われるんだったら、これは重大な県の認識だと思います。
 例えば、ここに建設省河川局が監修している「ダムの管理例規集」というのがありますが、この解説なんかによると、おくらせ放流の時間は一つの河川、一つのダムという特定の河川、特定のダムを考えれば定数になるんです。何分、何分という定数になるんです。簡単な引き算で出るんです。だから、何分から何分の間でやってよろしいというようなものではなくて、日置川の殿山ダムだったら三十分ですよという結果が出るんです、簡単な引き算で。ですから、その引き算で出る三十分を大幅にオーバーしている操作規程、そして現実に三時間二十分オーバーしていることをどうとらえるのですかということなんです。
 この問題は、先ほど私がパネルで指摘したように、三十分のおくらせ放流を守れば、流入量が上がっていっても放流量もそれに追随して上がっていきますから、滑らかな河川の水の増加になるわけなんですよ。ところが、私が指摘したようにこんな形で上がりますと──河川で一番危ないのは一気に水がふえるということじゃないですか。これが、三時間二十分というおくらせの中で現実化しているんです。このことについてどう認識をされるか。この危険な状態でいいのか。ここの答弁を再度求めたいと思います。
 三回目の質問を終わります。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 再々質問にお答え申し上げます。
 今、再々質問されましたその問題は、まさに現在係争中の控訴審での論点の一つでありますので答弁は差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、先ほどお答え申し上げたとおり、ダムの機能に問題はないと考えております。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は六月二十八日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十八分散会

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