平成11年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成十一年六月 和歌山県議会定例会会議録 第三号

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議事日程 第三号
 平成十一年六月二十四日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第八十六号から議案第九十五号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第八十六号から議案第九十五号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十七人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       松   本   泰   造
     五  番       阪   部   菊   雄
     六  番       堀   本   隆   男
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       大   沢   広 太 郎
     十二 番       木   下   善   之
     十三 番       宇 治 田   栄   蔵
     十四 番       尾   崎   要   二
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       谷   本   龍   哉
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       永   井   佑   治
     二十 番       谷       洋   一
     二十一番       小   川       武
     二十二番       高   瀬   勝   助
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       山   下   直   也
     二十六番       玉   置   公   良
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       野 見 山       海
     二十九番       吉   井   和   視
     三十 番       向   井   嘉 久 藏
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       江   上   柳   助
     三十四番       金   田       眞
     三十五番       森       正   樹
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       新   田   和   弘
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       大   江   康   弘
     四十一番       高   田   由   一
     四十二番       中   山       豊
     四十三番       飯   田   敬   文
     四十四番       鶴   田   至   弘
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       村   岡   キ ミ 子
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     副知事        高   瀬   芳   彦
     出納長        中   山   次   郎
     理事         藤   谷   茂   樹
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     生活文化部長     大   井       光
     福祉保健部長     小   西       悟
     商工労働部長     上   山   義   彦
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       白   井   保   世
     教育委員会委員長   安   藤   精   一
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    中   尾   公   彦
     警察本部長      樋   口   建   史
     人事委員会委員長   若   林   弘   澄
     代表監査委員     宮   市   武   彦
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       新   谷   哲   朗
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       佐   竹   欣   司
     議事課副課長     井   田   光   三
     議事班長       松   谷   秋   男
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       西   野   光   彦
     調査課長       湯   川       忠
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課速記技師    保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第八十六号から議案第九十五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第八十六号から議案第九十五号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 六番堀本隆男君。
  〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 議長のお許しをいただきましたので、順次、質問に入らせていただきます。
 初めに、ご紹介いたしたい話がございます。
 経済戦略会議の議長でアサヒビール名誉会長の樋口廣太郎氏は、せんだって五月十四日、和歌山放送が主催する情報懇談会で講演されました。私が特に印象に残ったお話は、日本は今大きく変わりつつある、日本はよくなるということであります。その理由として、まず政治家が変わってきた、日本をよくしなければならないという勢いがまさって族議員が少なくなってきた、それと若い有能なよく勉強する議員が台頭してきた、さらに官僚が変わってきた、経済戦略会議事務局に出向してくれた諸君は省益を一切口にせず規制緩和問題に取り組んでくれた、そして先般答申した「日本経済再生への戦略」二百三十四の提言をよく取りまとめてくれた。最後に、小渕首相を激賞しております。幾つかの事例を述べ、やらなければならないことをきちんと詰め、大変なスピードでもって対処される、実にすごい方だと申しております。堺屋経済企画庁長官も、全く同感だとのことであります。
 私は、この講演テープを何度も聞きました。財界の知性を代表する一人と言われ、アサヒビールをナンバーワン企業に育てた実力者の語る戦略会議の実像は生き生きとしておりまして、日本の未来を見据えております。ご承知のように、「日本経済再生への戦略」は非常に大胆であります。私は自分なりに解釈しますと、二十一世紀は変化にスピードをもって対応しなければ生き残れない時代と感じました。
 質問に入らせていただきます。
 まず私は、串本浅海養殖漁場通水門補強工事九門のうち四門が倒壊した事故と、それが原因とするマダイの大量死の問題について、その後の県の対応についてお尋ねいたします。
 この件につきましては、既に本年二月、本会議において村岡議員が質問をされておりますが、これに対し当局は、倒壊の事実を把握していなかったことについて管理責任を認めたところであります。
 申すまでもなく、大島への架橋は大島地区並びに串本町経済の活性化に不可欠であり、町民の悲願、夢の大島架橋と言われてまいりました。長年この問題に取り組んでいただき、ようやく橋の全体も整ってまいり、この秋に開通される運びとなりましたこと、西口知事、県当局の方々、県議会の皆さんに心から感謝申し上げる次第であります。またこれまで、串本町の主産業である水産業の発展にも、県は大きく寄与していただきました。「とる漁業からつくる漁業へ」の呼びかけに応じ、昭和四十七年、苗我島に至る防波堤の造成工事で串本浅海養殖漁場が完成し、町内漁業者の参入で養殖産業が形成され、今日に至っております。県に対して深甚な感謝を払う一人であります。ちなみに、平成九年度における浅海漁場の串本の経営者は二十八人、水揚げされたマダイは千七百六十六トン、総水揚げ金額は約十七億円であります。
 県は、長期総合計画の「水産業の振興」に一節を設けております。その前文を抜粋しますと、国内の諸状況を背景に「漁業生産性の向上、水域環境の保全等に取り組み、漁業経営の安定・向上を図る」と明記されており、漁業者にとって安心と信頼が寄せられております。
 質問の本論に入ります前に、浅海漁場のマダイの幼稚魚のへい死の問題を説明します。
 九州から南下し始めたイリドウイルス病は、串本周辺にも四、五年前から散発的に見られるようになってきました。昨年、八、九、十月には一年、二年、三年魚に病による死魚が、そして十月、十一月にかけては白点病による魚のへい死が大量に発生しました。この白点病というのは、魚体のうろこに白い紋様が出て死に至るもので、漁業者にとって非常に怖い病気であります。特に潮の流れの弱い水温の高い地域に発生するとされ、今回この浅海漁場では陸岸部に近い比較的浅場に多発したのであります。しかし、かつて発生したことのない場所であります。
 串本漁業協同組合ではこの実態調査に着手し、被害者からの報告をまとめました。被害者数九人、被害死魚二十四万匹、被害金額二億四千万円。同時に組合では原因調査に着手し、この経過と実態は県水産課、県漁港課に報告されております。参考までに、イリドウイルス病と白点病のへい死の割合は二対八のようであります。
 大変な被害を受けた漁業者たちは、たちまち経営難に陥りました。十数年前の赤潮発生時には天災融資で全額補てんし、その後の景気回復で返済しておる経過があります。串本漁協が中心となり、年末を越せないとする漁業者のために県に何とか融資の道を開いてやってほしいと陳情をいたしました。この窮地を救うため、県水産課当局において漁業経営近代化資金や他の資金で融資できないものかと検討をしていただきましたが、漁業者の多くが既に枠いっぱいの資金を借りており、かつ担保物件もこれまでに使い切って持っていない、悲しいかな現行制度で融資を受けることはできないのが現状であります。
 この結果、どうなったでありましょうか。えさ代の支払いができず、串本漁協への借り入れが増加したわけであります。このまま推移いたしますと、被害漁業者、串本漁協とも共倒れになることは必至であります。売れる予定の魚を死なせた漁業者は収入が全くなくなり、貧窮の底にあえいでおります。
 昨年十二月二十九日の夕方、たまたま嶋串本漁業協同組合長と私が話し合っているところへ「防波堤の通水門が四カ所倒れている」と。そして、間もなく写真が届けられました。肩をねじって反対側に倒れ込み、水流に影響を与えており、U字構の折れた基部の鉄筋が相当さびて黒く写っており、これは最近倒れたものではないという声が上がっておりました。
 工事による漁場内の状況について、ある漁業者のメモを紹介します。去年(平成九年)、四、五月ごろに新漁場にいかだを移動する──これは、防波堤補強工事を行うため、堤防に近いいかだを一列分移動し、これを新たに設定した浅海漁場の外側の海域に移したものでありますが──このころより第一漁場内の奥の方で潮の流れがとまってしまっている。平成九年十一月より投石工事が始まり、平成十年六月ごろまで続く。平成十年七、八月にかけて、注水口にU字構九基を投入する。このころより、さらに潮の流れがとまってしまう。平成十年十二月二十九日、U字構の苗我島から数えてナンバー五が倒壊しているのが発見され、続いて六、七、八の四基がいずれも西の方向に向いて倒れている。平成十一年一月十六日には、ダイバーによる写真撮影も行った。
 嶋組合長も、厳寒の海に飛び込んでこの事実を確認されました。太平洋側からの新しい潮の流入を阻害し、かつ湾内の潮の流出も阻害する、つまり浅海漁場内の潮の入れかえが相当に悪くなっていると思われる。ご承知のとおり、白点病は潮の流れの速いところでは付着しにくく、陸岸に近いところに大量発生したのであります。また、潮の入れかえが弱くなると、総体的に湾内の水温が上昇するのは当然であります。
 こうした結果を見るとき、たとえ漁業者の同意を得て工事の実施を行ったとはいえ、事前に潮流についての調査、シミュレーション調査をなぜ行わなかったのか、悔やまれてならないところであります。
 本年二月八日、大島架橋投石投入瑕疵白点病被害者の会から串本浅海管理運営委員会に要望書が提出されました。被害者九名の署名入りであります。要望の内容は、次の理由によって委員会は工事差しとめ請求訴訟を起こしてほしいということであります。
 一、投石投入工事に際し、いかだの移動により第一漁場奥部の潮流の低下。
 二、投石投入工事中に水通し構の四基に倒壊が確認され、これによってもさらに潮流が悪くなったことも因果関係があるのではないか。
 三、現行の工法では漁場管理に不安が残る。
 四、確約書を取りつけているにもかかわらず、平成十年十二月十一日の話し合いでは漁港事務所側の一方的な回答で、とても管理運営委員会と協議したとは思えない。
 五、浅海管理運営協定書第二条「浅海漁場の環境の保全と総合的な漁場の管理及び行使の適正化を図ることを目的とする」に反する。
 六、国家賠償法第二条「公の営造物の設置管理の瑕疵に基づく損害の賠償」。
 以上、平成十一年二月二十八日までに書面による回答を要請しますと主張しているところであります。このことは、県にも報告がなされていると聞いております。
 浅海漁場管理運営委員会は、その委員長である嶋洋一串本漁業協同組合長に問題解決を一任し、嶋委員長は鋭意この解決に取り組んでまいりました。県の出先機関はもとより、関係部課長、そして知事さんにもその解決方のご助力をお願いいたしてまいったところであります。昨年末に発見された通水口四門倒壊後、既に六カ月が経過いたしましたが、いまだに回答が示されておりません。しかし、最近ようやく糸口が見えてきたように思われます。嶋組合長が被害者の会の皆さんの窮状を見るに忍びず、切々と訴えた結果、県当局も何とか救済の道がないものかと努力してくれております。こうした問題は全国にも前例のない問題だと思われますが、現実に大量のマダイがへい死しており、避けて通れない問題として取り組んでいただきたいのであります。
 補償とか賠償となると、因果関係の究明をも含め、数年は要すると思われます。今救済の手を差し伸べないと、倒産される方が多数出てまいります。とりあえず、被害漁業者たちの支援対策をお願いするものであります。どうか、副知事に支援対策を教えていただきたいのであります。
 ご承知のとおり、被害漁業者の皆さんは決して大島大橋の建設に反対しているのではありません。地域の発展のために喜んで協力するとしてきたのであります。このことを取り違えないようにしていただきたいのであります。漁業者は、補強工事の結果このような大被害が発生した、今後もさらに被害が出るかもしれない、自分たちの生業、養殖漁業を何とか継続してやりたい、串本の地場産業として発展できるようにしてほしいのであります。子々孫々にまで美しい漁場を残してやりたい。
 ところで、被害漁業者から質問を受けまして、私に回答できない問題について教えていただきたいのであります。
 一、通水口四門までも倒壊したのは設計にミスがあったのかどうか。
 二、工事施工にミスがなかったかどうか。
 三、台風等による不可抗力による倒壊か。
 もし一のケースが判明すれば、これは県において責任のすべてを引き受けざるを得ないのではないでしょうか。また二のケースであれば、設計書どおりに施工されていないとすれば管理監督責任も含め県と施工業者の責任になるのではないか。この場合、施工者において工事保険に加入されておりましたかどうか。三番の台風等による不可抗力の天災であるとするならば、当局は直ちに天災における対応を急がなければならないのではないか。以上の三点について当局のご答弁を賜りたい。
 聞くところによりますと、倒壊した四門の通水口側壁ブロックは直ちに復旧なされたそうでありますが、そのうち一門が再び倒れたとのことであります。漁業者の方々は、非常に不安だと申しております。今後県として工事をどのように進められるのか、全体像を明確にされたいのであります。湾内の水温は上昇傾向にあります。通水口工事はどうするのか、投石事業はどうするのか、明示されたいのであります。また、串本漁港周辺環境調査として平成十一年度予算に三千万円余が計上されていると聞きますが、その内容はいかがでありましょうか。
 現在、養殖漁業者が一番警戒していることは、ことしはさらに大発生するのではないか、白点病の卵が大量に海底に潜っているのではないかということであります。二年続いて白点病にやられると養殖業は全滅すると、恐怖を抱いております。
 また、有志の方々からは、この浅海漁場における適正ないかだ数と生産量を知りたい、量産のみを追求するのではなく品質の高い魚をつくるために見直しも必要になってくるのではないか、また被害漁業者の方の中には、県がもし我々の納得いく誠意ある回答を示してくれない場合は体を張って大島大橋の工事を阻止するつもりだと叫んでおります。マダイを大量死させ、さらに不況で魚価が低落し、辛酸の底であえいでおります。どうか、彼らが元気の出るご回答を賜りたいのであります。
 私は、起こってしまったことはいたし方ないとして、直ちに対応していただきたいのは、被害漁業者への温かい手、次に通水口工事が完成しても去年の被害いかだに今年も被害が出ないか、三点目は将来も優良な浅海漁場として存続できるのかどうかについて、お尋ねするものであります。
 次に、串本町有田吐生地区建設残土投入反対問題についてであります。
 降ってわいたような大きな災難に、串本町有田地区が大きく揺れております。串本町当局も大変であります。既に新聞等でご承知の方も多いと思いますが、本年一月、串本町役場に突然、徳島県阿南市の残土処理業者・五色台環境センター代表らがやって来て、有田区の最上流部の山林地三十五ヘクタールに約五百万立方メートルの建設残土を投棄したい、残土は大阪方面から持ってくる、吐生の山林の売買譲渡契約は済ませた、後は自分の土地だから自由に処分できると、業者は都合三回役場に概要説明に来て、今の法律体系では何の規制を受けることもなく残土処分場はできる、地元同意も町長の同意も要らない、いつでも着工できると、強硬でありました。
 この動向に、有田地区の有志の人々は大きな疑問を持った。なぜ大阪や京阪神の土を高い輸送費をかけて串本のさらに山奥に捨てに来るのか。多分、工場汚染土とかごみ焼却炉汚染土とかを建設残土の中に入れた、ミンチとかミックスとか言われるものに違いない。そんなものを吐生のお滝さんの上流に持ち込まれたら、有田地区三百二十世帯、八百人余りの飲料水は汚染されてしまう。我々の生活が全く不安である。他府県と同じようなケースに、最初は残土処分場として許可を受けると、後は産業廃棄物をどんどん持ち込んで既成の事実をつくる。役場ではこの業者に、大阪からは四国の方がはるかに近いのではないかと言いますと、業者は、四国はなかなかうるさくて捨てさせてくれないのでと言う。敷居の高い方は敬遠して入りやすいところに行くと言わんばかりで、ばかにしている。有田地区の人々は怒った。危機感を持った。直ちに、吐生地区への土砂搬入反対署名運動を開始しました。有田地区を中心とする熱心なボランティアの方々の活動で、串本町総人口一万六千人余りのうち、現在一万一千五百人余りの署名が集まりました。そして有田地区自治会では、残土置き場設置反対の対策委員会を組織し、町当局に絶対阻止とその万全対策を講じるよう申し入れを行ったのであります。串本町当局も、この要請を受け、全町を挙げて直ちに対策を具体化しております。
 建設残土処分業者の説明では、和歌山下津港から残土を船積みする。串本町袋港で陸揚げし、待機のダンプカーで国道四十二号、国道三百七十一号、鶴川林道を経て処分地に投入する。ちなみに、五百万立方メートルという量は十トンダンプが毎日二百台走っても十五年かかる量であります。その上に、林道から谷川を渡るため、国が所有し知事が管理する普通河川の占用許可を受けて仮橋をつくりたい、許可は県に別途申請する、袋港は自由港であるから県や町の使用許可は不要だ、また自分の所有地の山林に建設残土を投入することは自由である、産業廃棄物とは全く異なるものだ、森林開発ではないから森林法による町の同意や県の許可は要らない、また簡易水道の場合は水道法の厳しい規制は適用されないと、住民の神経を逆なでする主張を行っております。
 町当局は直ちに臨時議会を招集し、串本町林道管理条例を制定し、五月二十八日施行しました。林道を使用してごみ、土砂、残土、廃棄物等を運搬する行為を禁止行為としたのであります。そして、さらに現在、飲料水の水質保全を行うための水源地域での禁止行為の条例案・水道水源保護条例を提案中であります。町は懸命に頑張っております。
 有田区の方々は、この上は県知事にお願いして、県当局において建設残土処分場が設置できないよう断固阻止いただけるよう陳情しようという決意を固め、去る六月十五日、串本町長・議長並びに有田区の代表ら十五名が高瀬副知事にお会いし、これまでの経過報告と陳情事項を説明申し上げたところであります。
 陳情事項。一、町・県外からの土砂搬入に係る橋梁建設許可申請については許認可を与えない。二、地元業者が主体とならない土砂等の積みおろしや地元行政の同意のない土砂等の積みおろしについては、袋港の使用を認めない。以上の二点であります。
 陳情を受けた副知事の回答は、陳情の趣旨はよくわかった、直ちに検討に入る、そして、この問題はあくまでも町当局が主体となって頑張り切らないと阻止できない問題である、有田区の皆さんもその点も町当局と頑張って支えてやってほしい、県も頑張りますということでありました。
 そこで、副知事にお尋ねいたします。
 当該残土業者からは、県及び振興局等に全く接触がないということであります。しかし、東・西振興局では積極的に建設部や保健所に指示して実態の把握や問題点の整理を行い、串本町に連絡、指示をしてくれております。また本庁においても、この問題に対する打ち合わせ会議を持つなど十分に対応していただいておりますが、その後の検討の結果について、陳情一、二についてどのような結論をお見込みになったのか、教えていただきたいのであります。
 さらに、この三十五ヘクタールの残土処分場は、当然、林地開発許可の対象となると思われますが、いかがでありましょうか。また、本県では千葉県のような残土処分条例を早急に制定し、規制を行っていくべきではないかと思われますが、ご答弁をお願いいたします。
 ところで、六月三日の朝刊各紙が見出しつきで報じておりましたが、「産廃三百トン無許可処分 廃掃法違反容疑 奈良の業者を逮捕 県警と橋本署」、木くずやコンクリート片などの産業廃棄物を大阪市内の解体工事で生じた約三百トンを四月中に十二回、橋本市内の山林に無許可で運搬、埋め立てた疑いでありますが、同容疑者はこのほかにも年間約一万トンを違法に処分していたと見て調べているとあります。
 この記事を読んで私どもは、県警はやっぱり県民生活を守ってくれると実感いたしました。これは、県産廃行政部局と県警本部との緊密な連係プレーのもとに悪質業者の逮捕を実行されたものと思われますが、西口知事が県外の産廃は和歌山県に持ち込まさないとする一昨年の宣言を天下に確実に知らしめたことであり、意義の高いことだと思います。
 今回の逮捕で考えられますことは、奈良県のこの業者は過去の逮捕歴を隠して大阪市長に許可申請し、大阪市内でのみ処分を許可されておりますが、本県では全く把握しづらい状況でありました。今後、近畿各府県や政令市などとの広域にわたる産廃情報連絡ネットワークが必要であると思いますが、生活文化部長のお考えをお尋ねいたします。
 次に、薬剤一部負担金の免除についてであります。
 我が国は今や平均寿命八十年という世界最長寿国になり、このままでいきますと二〇一五年には国民の四人に一人がお年寄りという超高齢社会に到達します。平成十年四月時点の調査によると、和歌山県の六十五歳以上人口は二十一万三千二百七十二人、県平均の高齢化率は一九・五%となり、和歌山県においては全国平均を上回る速いペースで高齢化が進んでいます。
 このように本格的な高齢社会を迎え、平成十二年四月からスタートする介護保険制度は、連日新聞紙上においても取り上げられ、非常に関心の高いところであります。介護保険という新たな制度がさまざまな議論をなされる中で、これまでは個人的なこととして家庭の中で埋もれがちだった介護に関する問題は社会全体で取り組んでいかねばならない大きな課題であるという認識が浸透してきたことは、介護保険制度のもたらした一つの功績ではないかと思います。
 しかしながら、ここでもう一つ忘れてならないことは、介護を必要とする状態にならないような予防対策についても十分議論を進めていくことであります。また、実際にも高齢者の八割以上が元気な方たちです。高齢化の進んだ和歌山県としては、高齢者対策は介護対策というだけでなく、元気な高齢者の活力を社会の発展にちょうだいするというくらいの発想で介護予防対策を進めていただきたい。そのためには、高齢者の健康づくり、生きがいづくりという分野においても積極的な事業展開が必要だと考えられます。
 そこで、一点、高齢者の健康づくりに関連してお尋ねいたします。
 国においては、医療保険制度の抜本改革をにらんで、平成十一年度の臨時的措置ではありますが、七十歳以上の高齢者の薬剤一部負担金の免除が予定されています。和歌山県単独の老人医療費助成事業は、六十七歳以上七十歳未満の高齢者で経済的に弱い立場にある方が安心して受診できるように、国に先駆けて昭和四十七年から実施されているところであります。慢性疾患が多い高齢者は長期にわたる投薬が必要なため、薬剤の一部負担金は特に所得の低い高齢者にとっては負担が大きいと思われます。近畿府県の中でも京都府は国に準じて実施する方針を出されましたが、本制度の先進県である和歌山県としても薬剤一部負担金を助成すべきではないかと考えます。県のお考えをお聞かせください。
 最後になりますが、海洋深層水を利用した新規産業創出のための調査事業の着手及び調査研究組織の発足についてお願いいたします。
 新しい二十一世紀を目前に控えて和歌山県の発展のための新規事業創出を考えるときに、県の独自性、すなわち他の府県では容易にまねのできない特徴を生かした産業の創出を基本として話を進める必要があると思われます。近畿二府四県を比較して当県の特徴を簡潔に述べるとすれば、豊かな大自然に恵まれていること、つまり緑豊かな大山野と紺碧の海を有していることが一番に挙げられます。
 現在開催されている新しいタイプの博覧会・南紀熊野体験博も、これらの特徴を大いに活用し、歴史文化を加えて熊野の心を知っていただくために始めた催しであり、近畿の他の府県では決してまねのできない新しい流れを創出しようとする試みで、県民こぞってその成果に期待しているところであります。そして、県が今後さらなる発展を考えていく上で、この地域の特性を生かした独自性のある振興策を具体化していくことが県政に強く望まれているところであります。
 さて、昨今国内外で、深海に眠り、未知なる可能性を秘めた海洋深層水の有効利用が注目されてきております。幸いにも、紀南地方はこの海洋深層水を陸から比較的近い距離で取水することができる、国内でも限られた地域に属しております。そこで、この有効な立地条件を生かし、地域振興策の一つとして海洋深層水を利用した地場産業の活性化、新規事業創出を提案する次第であります。
 既にご存じかと思いますが、この海洋深層水とは、一般に光の届かない水深約二百メートル以上の深いところに存在する海水のことを言い、表面の海水に比べると温度が低く細菌が少なくきれいで、さらに海藻や微細藻類のえさとなる栄養塩が豊富に含まれている海水であります。海水の大きな流れとして、グリーンランドと南極を水源とし、およそ二千年をかけて海底を循環しているのが明らかにされてきております。海洋深層水は高水圧の深海を長い年月をかけて移動し、熟成された海水として未知の可能性を秘めております。一説によれば、海洋深層水がわき上がる全海域の〇・一%程度の海域で水産生物の五〇%が生産されているとも言われております。
 アメリカでは、この低温性、清浄性、富栄養性、性状安定性という特徴を生かした海洋深層水を再生可能な新しい資源としていち早く認識し、今から二十五年前の一九七四年に海洋深層水利用技術の開発を目指してハワイに州立自然エネルギー研究所を設立し、海洋温度差発電を主体に実証実験を開始しました。その後、隣接地に工業団地を造成整備し、民間企業による水産分野から農業分野までの幅広い分野で商品開発研究を進め、現在においてはロブスターの養殖、スピルリナ等の有用植物プランクトンの生産等で一部商品化するまでになっております。海洋深層水によって海産物の養殖を行うことにより通常の数倍の速さで成長が見られると、報告がなされております。
 我が国では、一九七〇年代後半ごろから科学技術庁所管の海洋科学技術センターで水産物生産技術への海洋深層水の適用について予備調査が開始され、一九八六年から九一年まで陸上型と海上型の海洋深層水利用施設を使い、その有効性確認の実証実験が実施されてまいりました。その研究の一環として一九八九年には高知県室戸市に海洋深層水研究所が設置され、現在も海洋深層水の研究に取り組んでおります。その後、一九九五年には富山県滑川市の富山県水産試験場内に海洋深層水利用研究施設が整備されて、日本でも本格的な海洋深層水利用技術の開発研究が実施されるようになってきております。
 高知県海洋深層水研究所でのこれまでの主な成果としましては、これまで陸上での栽培が困難とされていた大型海藻の培養、ヒラメ、トラフグ、ホシガレイ、メダイ、イセエビ、アワビ等、高級魚介類の飼育、親魚の養成、種苗生産等が挙げられております。例えば、ヒラメについては九五%以上の高い生存率と三カ月以上速い成長結果を得ております。高知県での海洋深層水利用として注目を集めているのが美容──化粧水ですが──健康分野、食品分野の利用です。化粧品会社シュウウエムラによって開発された化粧水ディプシーウォーターは肌の保水性が高いと好評で、去年発売されて以来百万本以上売り上げるまでになっております。また、アトピー性皮膚炎疾患治療への適用研究においては、約八割の患者にその有効性が確認されたとの報告がなされております。さらに平成七年度より開始された民間企業への一般分水により、酒、みそ、しょうゆ、豆腐、菓子類、各種飲料水、さまざまな食品への適用が図られ、現在一般のスーパーの店頭にこれらの商品が並ぶまでになってきております。
 海洋深層水を利用すれば発酵速度が速い、味がまろやかになる、練りまざりがよい等の特徴があると言われております。富山県ではサクラマスの陸上飼育をメーンに研究が進められ、天然の親魚から得た卵と変わらない良質な卵を採卵するなど、海洋深層水の有効性がさらに広く明らかになってきております。また、海産物の鮮度保持への有効性を探るべく、海洋深層水でつくった氷についての研究も行われております。このほか、富山県では世界初の海洋深層水を利用したタラソテラピー施設「タラソピア」が開業しました。今後、その効能など人体への有効性についての結果が大いに期待されるところであります。
 さて、現在の陸上側海洋深層水取水施設は国内では高知県、富山県の二カ所ですが、現在、二〇〇〇年の供用開始を目指し、沖縄県及び高知県──これは事業用としての海洋深層水利用施設ですが──において既に建設が始められております。このほかにも、北海道、静岡、三重等で海洋深層水の早期利用を目指し計画検討が進められております。国の動きとしても、科学技術庁はもとより、つくり育てる漁業を掲げる水産庁、低温性という自然エネルギーや二酸化炭素削減への活用に目を向けている通産省も検討を開始しております。
 海洋深層水の活用につきましては、これまで研究がなされたもの以外にもさまざまな分野での可能性が提案されており、研究が進むにつれて今後さらに新たな産業、新規の事業が膨らんでくることが期待されるところであります。海洋技術センターの資料によりますと、串本町を初めとする紀南地方は海洋深層水の利用に対して全国的にも注目されるべき地域ということであります。独自性があり、将来的にも大きく伸びる期待のできる新規産業を和歌山県内に創出するために、また南紀熊野体験博後も各地で引き続き行われるであろう各種イベントをより一層魅力あるものにするためにも、この海洋深層水利用の可能性を検討する組織を早急に立ち上げ、調査研究を行うことが必要と考えます。
 副知事のお考えをお伺いいたします。
 例えば、水産試験場や近畿大学水産研究所等が行う実験──幼稚魚の育成や海藻類の育成培養──やヒラメ、エビ等の養殖事業化のテストプラントに使う海洋深層水の供給、さらにはさまざまな他の分野への用途も含めた調査をお願いいたしたいのであります。
 なお、高知県における平成一〇年度の深層水に係る農林水産省の補助金は幾らでありましたか、参考までにお伺いいたします。
 最後になりましたが、全国に例のない創造的なオープンエリア方式の南紀熊野体験博は、紀南浮上を願う西口知事と県当局の一大プロジェクトとして大変なご努力を重ねておられますことを心から称賛したいと思います。国道三百十一号は盛況であります。はるかに熊野の心と神秘を求めて全国から多くの方々が来ており、先日も秋田県阿仁町の議員の皆さんが南紀熊野体験博とはどんなイベントかを視察に来て串本に寄られた。海が大変美しい、体験博はとってもおもしろい取り組みですと、ユニーク性を語っておりました。全国各市町村から観光振興の参考にと、多々やってきていると聞いております。熊野博に学べということであります。
 今、NHKが取り上げてくれている数々の和歌山の紹介もありがたいと思います。お土産を若干買ってくれないのは不況のせいもありましょう。もっと熊野の心を売ることに頑張りましょう。まだ九月まで三カ月ございます。秋には実り多い結果につながっているものと確信しております。後世必ず評価されるでありましょう。
 ご清聴ありがとうございました。以上でございます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 堀本議員にお答えいたします。
 串本浅海漁場の問題につきましては、魚病の発生による品質の悪化と魚価の低迷という状況の中で起こったものであり、養殖業者の厳しい現状はよく理解してございます。今後、県といたしましても、できる限りの対応策を検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、串本町有田区吐生地区への建設残土の投入の問題でございます。
 過日、町長また町議会の方々、また地元の方々にお見えいただきまして、いろいろとお聞きもしてございます。地元の皆さん方が不安を抱いておること、また議員の皆様方にもご心配いただいておりますことは十分認識してございます。県当局といたしましても、この問題につきましては県民の皆様の生活の安寧を第一に置いて対処してまいりたいと考えてございます。
 まず、議員ご質問の河川への仮橋設置の問題でございますが、現地にある普通河川に通路橋の設置許可を求める申請があった場合、県としましては国有財産管理者の立場で処理することになります。この場合、本来、普通河川の機能の管理を行う立場にある町の意見も十分踏まえて対処することになります。また、林道からの進入のための通路橋の場合、設置目的が林道管理条例等に抵触しないことが許可のための必要条件となるものと考えてございます。
 次に、袋港の使用を認めない件についてでございますが、港湾施設の使用制限につきましては、和歌山県港湾施設管理条例に基づき判断をしてまいることとなると考えてございます。
 次に、残土処分条例の制定につきましては、既に県内の四町で残土条例を制定しておりますが、県全体の建設残土処理条例の制定は、基盤整備を図る上での地域特性等を十分考慮し、慎重に検討する必要があると考えていますので、今後の研究課題としてまいりたいと考えてございます。
 次に、林地開発許可との関係でございますが、現在、事業者から森林法担当部局への事前協議がありませんので具体的な計画内容は不明でございますが、現在得ております情報によりますと、森林法に基づき林地開発の許可が必要と考えております。
 林地開発の許可申請がなされた場合、串本町長の意見を伺うことになっており、この意見には地域住民の意向が反映されると考えておりますので、十分に尊重させていただきたいと考えてございます。また、審査に当たっては、森林法に定められた災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全の四つの許可条件について厳正に対処してまいりたいと考えております。特に水の確保に関しましては、周辺地域における水利用の実態を正確に把握し、慎重に審査してまいります。
 最後に海洋深層水の問題でございますが、本県の恵まれた立地条件を有効に生かせるこれからの貴重な海洋資源の一つであると認識してございます。その利用につきましても、議員のご紹介にもありましたように、水産に限られたものでなく、いろいろな分野にまたがっており、今後さらに多岐にわたる利用が予想されることとなることから、全庁的な対応が必要と考えてございます。
 ご提案の水産試験場等における種々の実験用や養殖テストプラント用としての供給につきましては、経営コストの問題など種々課題がございますが、深層海洋水の利用方法の一つとして、本県の地形や海域の特性、地域の社会的条件等もあわせ考えていく必要があろうと思われます。
 また、水産以外の分野におきましても、例えば潮岬沖の大水深部からの取水、含有鉱物資源の研究など、他県にはない特徴を考慮しつつそれぞれの分野で取り組みを検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 串本浅海養殖漁場関係につきましての四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、通水口四門の倒壊原因についてでございます。
 倒壊後、通水ブロックの設計を再度精査したところ、構造上の安全性は確保されておりました。倒壊は、工事中に水温が上昇したため工事を中断し、その期間中の波浪その他の要因によるものと思われますが、その解明に努めてまいりたいと思います。今後このようなことが起こらないように、ブロックの据えつけ及び捨て石投入工事等の施工管理の徹底に努めてまいります。
 次に、今後の工事の進行と串本漁港周辺環境調査の内容についてでございます。
 工事の進行につきましては、これから夏に向けて湾内の水温の上昇も考えられますが、まず漁業者の理解を得た上で早急に工事を再開してまいりたいと考えてございます。また、環境調査についてでございますが、現況を把握し、将来の予測のために調査を行うもので、その内容は水質、底質、潮流等の調査であり、国の事業承認がおり次第、速やかに実施してまいります。
 次に、昨年の被害いかだに本年も発生のおそれがないのかどうかという点でございます。
 魚病の発生は複雑な要因が考えられますが、工事との関係から申し上げますと、通水口は従来どおりの断面であり、通水量は確保いたしてございます。また、あわせて魚病の再発防止のため、生けすの移設等も含め検討をしてまいります。
 次に、浅海漁場は将来も優良漁場として存続は可能かについてでございます。
 串本浅海漁場は他の閉鎖性漁場と異なり、水深が深く、海水の交流もよく、養殖漁場としては優良な漁場であります。しかし、養殖を開始して既に二十年以上が経過しており、残餌等による漁場の底質の汚染が懸念されるため、水産試験場による漁場環境の保全についての指導を引き続き行ってまいります。また、あわせて養殖漁業者みずからも、県が定めているかん水魚類養殖指導指針に基づき適正な管理を行うことにより、将来も優良な浅海養殖漁場としての存続は十分可能であると判断されます。
 次に、海洋深層水についての高知県及び室戸市の状況であります。
 高知県では、昭和六十一年から六十三年度事業としまして、科学技術庁技術振興費により二億三百万円で取水施設を設置し、建物等については県単独事業で四億三千万円をかけて高知県深層水研究所を設置しております。室戸市の方では、平成十年度の沿岸漁業構造改善事業として、市が事業主体となり十億四千万円で取水施設と分水施設を二分の一の国庫補助を受けて設置し、それに伴う建物等は二分の一の県費補助を受け、五億円で実施していると聞いてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 堀本隆男議員ご質問の、串本町有田区吐生地区への建設残土投入問題のうち、悪質産業廃棄物処理業者等に係る近畿府県間の情報ネットワークの構築についてお答えいたします。
 産業廃棄物処理に係る広域的な情報交換につきましては、昭和六十年度に近畿の二府四県八政令市において設立いたしました近畿ブロック産業廃棄物処理対策推進協議会によって行われているところでございまして、現在、本協議会を通じ、産業廃棄物処理に係る情報交換等を行うとともに、行政処分を行った許可業者の情報を文書で連絡しているところでございます。
 しかしながら、議員からお話のありました今回の事件にも見られるとおり、他府県にまたがる無許可業者による広域的な違法行為を行う悪質な事件が増加しているところでございます。こうした違法行為を防ぐためには、各府県市間の情報交換をさらに緊密にし、早期に対処することが最も効果的であると考えられます。県といたしましても、必要な情報をいつでも入手できるよう、情報ネットワーク化の構築を本協議会に働きかけ、産業廃棄物処理の適正な指導を円滑に行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 堀本議員ご質問の、本年七月から実施される高齢者の薬剤一部負担に関する国の臨時特例措置につきましては、医療保険制度の抜本改革までの応急的な措置として、平成十一年度において、老人医療対象者であります七十歳以上の高齢者の薬剤一部負担を国が臨時特例的に肩がわりし、高齢者の負担の軽減を図ろうとするものでございます。
 高齢者につきましては、幾つかの病気をあわせ持ち、しかも長期間の治療が必要な場合が多いため、特に所得の低い人たちの負担の軽減を図る趣旨で、老人医療費県単独支給事業の対象者である六十七歳から七十歳未満の高齢者についても、国に準じ、本年七月から平成十一年度に限り臨時特例措置として高齢者の薬剤一部負担の助成を行う予定にしております。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 六番堀本隆男君。
○堀本隆男君 副知事を初め、各部長から確かなご答弁をいただき、ありがとうございます。
 吐生の残土問題、薬剤費の一部負担、情報ネットワークの問題、非常にありがたかったわけなんですが、マダイの死魚の被害者への支援の問題でございます。
 副知事のご答弁は、できる限りの対応策というふうにおっしゃいましたが、私は「支援策」というふうにお願いいたしたわけでございます。その辺のお考えをもう一度お聞かせいただきたいと思います。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 再質問にお答えいたします。
 被害漁家への対応でございますが、十分その実情を把握して対応すべきだと思っております。支援も含めて検討をさせていただきます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、堀本隆男君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十四番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、一般質問に入らせていただきます。
 まず、地方分権の問題でお尋ねをいたします。
 地方分権一括法が国会審議で進められているところですけれども、このままで法案が成立するとしますと、一部の分権と引きかえに自治権の基本的な部門で大きな侵害が来されるのではないか、そういうことを考えると何のための分権なのか、中央統制の強化につながるのではないかという危惧をいたしますので、同法案に対する所見を地方自治の直接の担い手である副知事にお伺いをいたしたいと思います。
 ところで、本議場におきましても分権問題は盛んに議論されてまいりましたし、知事もそれに答える中で、本来あるべき地方分権に大きな期待を表明してきたところであります。しかし、同時に、この二月議会で議員の質問に答えて「率直に申し上げまして、当初の地方分権の趣旨から申しますとほど遠い感は否めません」と述べるとともに、財源移譲は残念ながら具体性に乏しいものになっていると答弁され、鳴り物入りの分権が必ずしも知事の満足のいくところになっていないことを表明されました。その後、分権一括法が国会に上程され、今日に至っているところですが、果たして知事の求めた本来の分権になっているのかどうか、私の見解を表明しながら副知事の所見を伺うものであります。
 一番は、やはり機関委任事務廃止の中途半端さであります。
 分権の最大の眼目は、国と地方の関係を上下の関係から対等の関係にする、そのためには、最大の問題は機関委任事務の廃止ということでありました。それが地方を従属させている最大の問題であったからであります。ところが、二月の議会の質問にもございましたが、法案でも機関委任事務の四〇%が法定受託事務として実質的に機関委任事務の形として残されております。機関委任事務の基本的な廃止とは到底言いがたい状態であります。もちろん、法定受託事務のような形にするのが適切なものもありますが、この四〇%の中には当然自治事務に付されるべきものもあります。中央省庁の抵抗の結果このようになったとも言われておりますが、国の統制を維持したいという、分権の思想と相反する思惑がこの結果を生んでいるのだろうと考えられます。この中途半端さを副知事はどういうふうに受けとめておられますか。
 二番。次に、国の地方に対する関与についてお聞きをいたします。
 地方分権とは、国と地方を対等の関係に置き、地方自治体の主体性と特色を発揮させ、住民福祉を旺盛ならしむるのが本旨であります。それゆえの機関委任事務の廃止であり、さらに国の関与の排除であります。ところが、法定受託事務に大きく関与の道を残しているだけでなく、自治事務にまで国の関与の道を大きく開きました。これは、今までの団体事務に対してはなかった措置であります。地方自治体が行う自治事務が国の意にそぐわないときは担当大臣から地方に対して是正の要求ができるとともに、その要求を受けた地方自治体はその要求にこたえて必要な措置を講じなければならないとしているわけであります。さらに、個別法により国の代執行さえ認めております。これは、今までにない国の地方への介入であります。今までは、国と地方で矛盾を来したときは、国からの強い指導はあったとは思いますが、それでも法的強制力を持ちませんでした。今度のような国による是正の要求や、それに対して地方が必要な措置を講じる義務というのはあり得ないことでした。この国の地方への関与は、明らかに自治の侵害です。本来の分権に逆行するものだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 さらに、地方への関与と言えば通達行政の問題があります。
 地方自治法二百四十一条に基づく通達行政は、行政当局にとってはおなじみのものであろうとは思いますが、これは今までしばしば上意下達の手段としてその役割を発揮してまいりました。国の施策を上回る地方の前進的な諸施策がしばしば中止をさせられたり、地方政治の根幹にかかわるようなことが一片の通達で強制されりすることが珍しくありませんでした。地方行政改革大綱を作成させ、その実施状況を報告させたり、国の経済政策のためと言っては財政難にもかかわらず地方単独事業を際限なく進めさせたりと、通達行政は実に頻繁に地方に介入をしてまいりました。したがって、地方分権の推進のためにはこの通達行政を排除することが大きな要件になりますが、ここのところはほとんど手がつけられないままになっております。国会議論でもそのことが明らかになってきておりますが、この点をどのようにお考えになっておられますか。
 三番。地方の権限移譲は財源を伴うというのは当たり前の話であり、地方政治に携わる者にとっては共通の思いであります。しかし、今次上程された法案には、地方への財源移譲はほとんど明記されていません。分権は財源を伴わない限り形だけのものになり、逆に仕事と責任を押しつけられただけのものになりかねません。国による地方統制で最もやりやすいのが、この財政を通じてです。今回の法案では、国が財政的に地方を統制する現状に何ら変化が生まれていません。起債が協議制になった点などは是としても、あとは全く部分的なものにとどまっているわけです。自治事務を実施するに当たって、国からの補助金、交付金、地方債の発行はどうなるのか、権限移譲とともに地方が主体的に事務を実施できるよう財源措置が明記されなければなりません。政府は国の経済が二%程度の成長軌道に乗ってから財源配分の見直しをするというふうに言っておるようですが、いつのことやら、どんな程度の見直しになるかは全く不明であります。副知事にあっては、このような財源保障の明記を欠いた分権法案をいかがお考えですか。
 四番。市町村合併についてお尋ねをいたします。
 今回の分権法案は、市町村合併の促進を誘導するような諸条項が盛られています。合併問題については、知事は従前から、それは住民自身が決めることであると言っておられました。私も同意するところでありますが、今後、国や県の意図的な誘導によって合併の促進が図られるということはありませんか。小さな町村が一定の行政水準を維持していく上では国や県の財政的な措置が当然必要ですが、それが非効率だということで住民の意図に反して合併が促進されるとすれば、それは分権の思想にも反します。副知事の所見をお伺いいたします。
 続いて、国旗・国歌、日の丸・君が代について、教育長にその所見をお伺いしたいと思います。
 政府は、今次国会を大幅に延長して、日の丸を国旗に、君が代を国歌に法的に定めようとしているところでありますが、この法制化への動きはまことに唐突で、国民世論がまだ形成されていない中で、国会の多数を頼んでの強行という感じがいたします。国旗、国歌という国のシンボルを定めようとする問題ですから、これはもっともっと国民的議論が当然前提として必要ではないかと思います。
 国際間の交流が深まっている今日、国旗、国歌が必要となる場面は少なくなく、世界の多くの国々が憲法や法律で国旗や国歌を定めているように、我が国も法制化されることは必要なことではあろうとは思います。しかし、そこには自由闊達な国民的議論が前提とされることが必要です。
 日本共産党は、そのような立場から幅広く国民的議論を呼びかけるとともに、国会の中に国旗・国歌問題調査会を設置することを提案しているところです。もちろん、すべての国民が完全に一致するということはないでしょうが、その議論の大きな動きの中で国民的合意を得る工夫がなされるべきであろうと思います。
 今ようやくにして、そのような議論が始まったところです。本当に日本の歴史の中で国旗・国歌問題がここまで議論になり始めたことは初めてのことだと思います。新聞論調でもさまざまな意見が出始めました。もちろん即法制化という意見もありますが、ほとんどが政府の唐突な法案提出に疑問を呈し、これからのさらなる国民的議論を期待するのが大方のところです。
 政府の法案提出の動機には、教育現場への日の丸、君が代の定着促進というのが直接動機となっているようですが、動機自体が不純に思います。それだけに、一気呵成に法案成立と考えているのでしょうが、そのような動機で国旗、国歌を定めるべきではないでしょう。教育長は、このような状況をどのように考えておられますか。
 政府の提案は、国旗は日の丸、国歌は君が代とするというものです。さきに述べた法制化への手順とともに、日の丸、君が代が国旗、国歌としてふさわしいかどうかという問題は、今また大きな議論の焦点でもあります。日の丸、君が代が国旗、国歌にふさわしいとされる方も多数おられることを私は十分承知しております。同時に、それをふさわしくないとされる方も決して少なくないと承知しています。政府は日の丸、君が代は国旗、国歌として慣習的に定着しているという立場をとっていますが、それは国民の中から自然に育成された慣習というよりも、政府の意識的な誘導によって政治的、行政的に慣習化しようとしているものだと私は考えます。
 私自身、日の丸にはさまざまな思いを抱いています。日の丸のデザインは極めてシンプルで、何かを象徴するにはなかなかのものだと思います。同時に、過去の太平洋戦争のもとでの国民の悲劇を想起させ、アジア諸国にとっては、日の丸の旗のもとに侵略され、多大の犠牲を払わされた苦しみを思い出させるものだとも思います。それを世界に向かって掲げることに私は大きなちゅうちょを感じてまいりましたし、現在でもその思いは変わりません。そのような思いを抱く方は、私だけではないと思います。
 君が代についても、主権在民の時代にふさわしい歌かという疑問は、君が代斉唱を求められたときに常に問題になってまいりました。戦前、君が代の「君」は現人神・天皇のことだと教えられました。君が代の「代」は天皇の御世だとされ、その永遠の繁栄をことほいだものとされていました。その君が代が、戦後はその内容があいまいにされたまま、政府諸機関によって国歌扱いにされてきたのでした。「君」とはだれのことか、「君が代」とはだれの世なのか。君が代を国歌として扱うとする政府の答えもあいまいで、「天皇を象徴する日本」などとして学校での子供の質問にも適切な回答は与えられませんでした。あからさまに天皇と断言することに長くちゅうちょしてきたのでした。
 しかし、今回法案を提出するに当たって、政府は初めて「君」とは象徴天皇のことであると明確にいたしました。それ以前から外務省は、在外公館において、国歌の題名である「君が代」は天皇の治世を意味するとしたパンフレットを数年前から配布していたようでありますが、いずれにしろ、君が代の「君」が天皇であるとしたわけです。私は従前から、それはいかなる粉飾を凝らしても「君」は天皇としか解釈できないものと思い、この歌詞が国歌にふさわしいものだとは考えられませんでした。それは、主権在民をうたった憲法の思想とは明らかに異なるものだからです。
 今回の政府の見解表明によって、今まで君が代の歌詞をあえて問題にせずに歌っていた方々の中にも改めて問題意識が持ち上がっています。もちろん、政府の見解に賛成する方もおられるでしょうし、疑問を抱く方もおられるでしょうし、君が代の過去の歴史から国歌としてふさわしくないという方もおられるでしょう。今改めて歌詞の解釈を含め、主権在民の日本にはどのような国歌がふさわしいのか、国民として大いに考えなければならないときであり、大いに議論しなければならないときではなかろうかと思うわけです。
 一九四五年を境に、日本は新しい国家として新しい歩みを始めました。国家の体制も、天皇主権国家から国民主権の国家に変わり、戦争は永久にしないことを世界に宣言する国へと変容をいたしました。それを体現して、国の名前も「大日本帝国」から「日本国」に変わりました。ただ、国旗、国歌だけが、戦前も法制化されていなかったがために、あいまいな形で政府主導のもとに日の丸、君が代が国旗、国歌とされてきたわけです。戦前の暗い歴史を想起させ、主権在民の思想と相入れないと思われる日の丸、君が代をどのように評価されておられますか。
 三番目。国旗、国歌とは、もともとの役割は国が公の場で国をあらわすシンボルとして使われるものであり、国民に対してそれの尊重を義務づけたり、学校行事に義務づけるというようなことはしないというのが近代国家としては世界的な常識になっています。日本は、さきの太平洋戦争中、国旗、国家の尊重は天皇と大日本帝国への忠誠のあかしとして、国家権力の手によって強制されてまいりました。今は時代が違います。そういう事情もあって、当然のことでしょうが、今回の法案には国旗、国歌の尊重規定は入っておりません。
 ところが、学校教育の場では学習指導要領で国旗、国歌が法制化されていない段階から「指導するものとする」とされ、教員や児童生徒に国旗掲揚、国歌斉唱が義務づけられました。法制化された段階での一般的な指導ということはその内容において当然考えられることですが、学校行事における国旗掲揚、国歌斉唱を義務づけるということはそれとはまた別の問題です。国旗、国歌に対する態度は個人の思想信条にかかわる問題です。個人の良心に属する問題であります。それゆえに、サミット参加国などでは学校教育でのこのような義務づけを行っているところはありません。アメリカでは、連邦最高裁が強制は違憲であるとの判決さえ出しています。国旗、国歌への態度は思想信条の自由の問題として、教員、父母、子供たちに対応すべきではないでしょうか。教育現場におけるトラブルや悲劇は、この法律でもない学習指導要領による思想信条の自由を無視した義務づけ、言葉をかえれば強制がその原因をなしています。県下の教員や生徒、父母の中にも大きな苦痛を抱いている人々のいることも教育長はご存じでしょう。そのような思想信条にかかわるような問題を法的拘束力を持つとした学習指導要領において義務づけること自体が問題ではないのでしょうか。教育長の所信をお伺いするものであります。
 最後に、昨日、推進の立場からの質問がございました雑賀崎埋め立て問題、港湾振興の問題について、私も別の立場からお尋ねをさせていただきたいと思います。
 過日、県が作成をいたしまして修正された港湾計画が地方港湾審議会をクリアしたとの報道がありました。雑賀崎の地元の皆さんとの話し合いも平行線をたどっていたようですので、それをあっさりと無視してまで地港審にかけ、七月には国の港湾審議会に諮るという性急なやり方はいかがなものかと思いつつ、まず大規模な埋め立てとマイナス十四メートルバースの必要性について重ねて質問をいたします。
 この問題については、大規模な埋め立てはさらなる大港湾建設が前提とされていることを踏まえて、そのような計画が果たして必要かという立場から、私は数回にわたってただしてまいりました。和歌山はその経済圏の狭隘さから、数万トンのコンテナ貨物船の頻繁な往来などは考えられないと思われ、単なる主観的、希望的観測でこのような大規模な公共事業に臨むべきではないとただしたのですが、当局の答弁は、関係者のヒアリングをした、アンケートをしたと言うにとどまり、ほとんど説得力のないものでした。私だけがわからない、理解できないのかと思っていましたが、最近では幾つかの大手の新聞にも同様な疑問が提起されるようになっています。それにも県当局は十分答えられておりません。
 実は、県の方は余り言いたがりませんが、八五年当時の計画では、県は公共貨物の扱い量を十年後の現在約六百万トンと見込んでおりました。しかし、十年後の実際は見通しの半分にも満たない二百七十一万トンでした。余りにも大きな格差で、県の見通しの科学性のなさを示しています。経済情勢の関係もあるでしょうが、余りにも大き過ぎます。
 今回の改定に当たっての見通しは、九七年度実績の二百九十七万トンを七〇%アップして五百万トンを見込むというものです。前回は大幅に狂ったが今回は正しいという根拠はありません。少なくとも、公表された資料からは見出せません。マイナス十四メートルのバースの対象で公共貨物の主要部分をなす木材輸入についても、これも去る議会で私が紹介をいたしましたが、十年後、バブル時代をはるかに超えて現在の二倍近い輸入になるという根拠はまるで見出せないのであります。マスコミなどの疑問提起も、和歌山弁護士会の疑問提起も、景観問題とともにここに集約されています。このごく素朴で、しかもかつ重要な問いに十分納得できるような答弁をいただきたいと思います。今までの繰り返しでは納得できるところではありません。
 二番。国を含め、地方の財政が極めて厳しい様相を呈しているとき、その原因となったむだな公共事業はできるだけやめておこうという声は当然のように起こっています。それは、新たな事業を始めるとき、その事業に要する費用、事業主体なども明らかにしながら、さらに費用対効果についても同時並行して考えていこうではないかということになってきています。私はそのような趣旨でさきに質問したところですが、そのようなことは事業計画を議論するときの課題だという答弁でありました。もちろん、細密な数字や確実な事業主体が今の段階で明らかにはならないでしょうが、概括的なものは当然考えられると思います。考えられないとすればおかしな話です。今回の計画は、当初一千億を超えるだろうという説もありました。最近では数百億とも言われていますが、まるで見当がつきません。今次港湾計画は既に県民的、市民的議論になっております。県民の判断に資するためにも、そのような数値も明らかにして大きな議論をともに起こしていくべきではありませんか。
 三番。景観問題はクリアしたのでしょうか。検討委員会がよしとしたということですが、果たしてそうでしょうか。
 かつて、景観などというものは経済政策の前には極めて二次的なものとして扱われたものでした。そのような思想はまだ残っていないでしょうか。港をつくって和歌山が繁栄をする、景観が少々破壊されても仕方がない、ちょっとぐらいは辛抱しよう、そんな思いが当局にはないでしょうか。
 景観問題というのは、主観的な側面が大きい問題です。人によっては思いが違います。それだけに、その景観に日常的に接する方々の思いが大切にされなければなりません。景観検討委員会の方々は博識で豊かな知性の持ち主だろうと思いますが、雑賀崎の景観への愛着や思い入れは地元の方々には及びもつかないでしょう。私はそういう意味で、景観検討委員会の方々と地元の方々との率直な語り合いがあったのだろうかとも思っておりましたが、そういうことも聞きません。
 副知事にお尋ねをいたしますが、景観検討委員会の結論もさりながら、副知事自身、この巨大な埋め立てにもかかわらず雑賀崎の景観美を保持し得たとお思いですか。
 四番。十三メートルバースがまだ完成も見ない中で、なぜ次の計画が急がれなければならないのかをお尋ねいたします。
 八五年に計画されたバースが、ようやく来年あたりに完成を見ようとしているところです。ところが、それに至る航路がまだできていない。さきの計画がどのような効果をもたらすか、全く今の段階では検証されていないところであります。政治というものは遠い将来を見据えながら行うものだと言えばそれまででしょうが、そのためには足元の現実についてシビアに見詰めていく必要があると思います。
 さきの港湾建設で設定された港湾需要が五〇%以下しか満たされていない、十三メートルバースも完成していない、完成した暁にはどのような港湾需要が発生し、そこからどのような将来展望が開けてくるのか、議論しなければならないことは山積をいたしております。そういうことを差しおいて、世界のコンテナ船の大型化とかベイフロンティア計画だとか、そういう論理からだけで新しい港湾計画をとにかくことしの七月の国の港湾審議会までにと、地元の合意も差しおいてがむしゃらに強行するのはなぜですか。急がなくてもいい理由の方がはるかにたくさんあると思います。
 残土問題は、確かに重要な問題ですし、十分に検討しなければならない問題ですが、しかし、その急ぎの原因が残土問題だけであるとするならば、暫定的に処理する方法もあり得ます。いかがお考えでしょうか。
 以上で、第一問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 鶴田議員にお答えいたします。
 まず、地方分権についてお答えいたします。
 現在国会で審議中のいわゆる地方分権一括法案は、これまで我が国の中央集権型行政システムの中核部分を形成してきたと言われている機関委任事務の廃止や国の関与のあり方の見直し等、抜本的な改革を行うものであり、地方分権の推進のための画期的な第一歩と受けとめてございます。
 法定受託事務につきましては、地方分権推進委員会において法定受託事務となるべき基準を定め、地方分権推進の観点から個々の事務ごとにその性質、内容を十分検討の上、事務の区分が行われたものと伺っております。地方分権の一括法案における事務区分は、この地方分権推進委員会の勧告を最大限に尊重して策定された地方分権推進計画に即したものと承知しており、まずは分権の流れに沿ったものと受けとめるべきものと考えてございます。
 しかしながら、今回の法案は事務の整理等にとどまり、税財政面における抜本的な措置が盛り込まれていないことはまことに残念であると考えてございます。地方分権の推進のためには、自主的、自律的な行政運営を支える地方財政基盤の充実強化が不可欠であり、先日の政府予算要望においても、国と地方の税配分の抜本的な見直しによる地方税源の充実等について要望したところでございます。今後とも引き続き、強く働きかけをしてまいりたいと考えてございます。
 次に市町村合併についてでございますが、少子高齢化の時代を迎えようとしている現在、地方分権の推進とも相まって、市町村の合併も含めた行政の広域化が求められている潮流がございます。
 市町村合併につきましては、もとより市町村並びに住民の方々の自主的な取り組みが基本であると考えており、県といたしましては、将来の市町村のあり方についての議論を深めていただくため、必要な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
 最後に雑賀崎の景観問題でございますが、自然を守るということにつきましては、県としては重要課題として従来から考えているところでございます。しかし一方では、半島に位置し、大部分を海に包まれている本県にとって、港を生かすということは県勢浮揚の原動力であるとの信念を持っています。
 こうした中で、昨年五月に和歌山下津港本港沖地区景観検討委員会を設置し、一年をかけた景観面の検討が五月十五日に終了し、景観上容認できるとの委員会結論を得たところでございます。この委員会では環境や景観の専門家の方々に公開の場で真剣に議論していただき、その結論は重いと考えてございます。
 私自身も現地を何度も訪れておりますが、変更案は背後地の工業地帯を緑地でカバーするとともに、雑賀崎の景観の特徴である多島海景観と紀淡海峡から太平洋にかける眺望も十分保全していると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 地方分権に関する国の関与についてのご質問にお答え申し上げます。
 まず、ご指摘の是正要求についての是正改善義務の規定についてでございますが、これは地方公共団体の違法な事務処理等が地方公共団体により自主的に是正されず、行財政の運営が混乱し、著しい支障が生じているような場合には、これを放置しておくことができないことから設けられたものと承知をいたしております。
 また、地方公共団体においてこの是正措置の要求に不服があるときは今回新たに係争処理の対象とされているところでもございまして、国と地方公共団体の関係の公正、透明性等の確保が図られているものと考えております。
 なお、代執行につきましては法定受託事務に限って認められているところでございまして、これは本来国が直接執行すべき性格のものという観点から地方自治法に規定がなされたものと考えております。
 また、いわゆる通達行政についてでございますが、機関委任事務制度の廃止によりまして国による包括的な指揮監督権が廃止され、国の関与の基本類型及び手続が限定的に定められたところでございますので、従来のような広範な通達による国の関与といったものはなくなるものと理解をいたしております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 三点目の雑賀崎埋め立て、その一点目の必要性が判然としないとのお尋ねについて、少し長くはなりますが、お答え申し上げます。
 今回の港湾計画は、平成二十年代前半を目標年次として、外貿機能の拡充や建設残土の処分場を確保することなどを基本方針として、十数年後の物流需要や船舶の大型化など適切な需要予測のもとに、その上で必要となる港湾機能を配置した計画になっています。具体的には、将来貨物量は外貿と内貿の合計で約五百万トンを計画目標にしており、今回の計画では特にアジアなど諸外国との直接交易の拡大を見込んでおり、外貿貨物の増加量を百四十万トンと計画しています。このうち約八十万トンが外貿コンテナ貨物、約三十万トンが林産品、残り約三十万トンが建設資材となっております。
 外貿コンテナ貨物の増加量約八十万トンにつきましては、大阪湾内港湾の取り扱い実績をもとに、和歌山下津港を利用することが有利となる地域を対象として推計しております。これは、現在ほとんどが他の港を利用して和歌山県内に出入りしているコンテナ貨物八十万トンに照らしても、推計は妥当と考えています。
 また、将来の木材の輸入量については、目標年次における全国の住宅建設額をもとにして、木材輸入と住宅需要の相関から外材輸入量を出しています。さらに、全国に対する現況シェアなどから和歌山下津港の輸入量を推計するとともに、企業ヒアリングによる補正を行って推計しています。この増加量約三十万トンについては、最近の本県紀北地域及び奈良県での外材の素材入荷量を参考にしても大きな数字でなく、全国的にも本県が木材の大集散地であることや、今後の高規格道路網整備によりさらに販路が拡大されることを考えると妥当な貨物量と考えています。
 さらに、建設資材につきましては、現在環境問題などにより瀬戸内海での砂の採取が禁止されてきており、今後輸入砂が増加するものと見込んでおります。
 また、水深十四メーター岸壁につきましては、県の基幹産業である木材、化学などの貨物を想定しており、一時的な貨物量の落ち込みはありますが、いずれも和歌山を支える重要な産業であり、今後の船舶の大型化を考えると十四メーター岸壁はぜひとも必要な計画であります。
 これについては、外材輸入関係業者などからも、効率的な輸入計画や大量一括取り扱いによる北米材単価の低減のためには、喫水調整をすることなく満載状態で入港できる大水深岸壁が必要との要望を受けております。
 なお、昭和六十年の港湾計画と目標年次の貨物量に差が出ている理由としましては、当時計画された施設のうち目標年次までに完成した主要な施設は平成七年から暫定供用を始めた西浜地区十二メーター岸壁だけであり、係留施設の不足などもあって計画の貨物量が取り扱えなかったことが大きな原因であると考えます。これにつきましては、施設の整備、ポートセールスにより貨物等の増大を図ってまいりたいと考えています。
 続きまして、二点目の事業計画の全容ですが、本県のように半島に位置し大部分を海に囲まれた立地特性を考えると、港を生かすことは今後の和歌山県の産業の発展にとり、地方の立場からもぜひとも必要な公共事業であると考えています。
 また、事業主体についてはまだ決まっておらず、事業費につきましては数百億円と見込んでおりますが、今後、事業実施に向けてできるだけ県財政に有利となるような事業手法の導入や建設残土投入による費用削減などの検討を行ってまいります。さらに、事業着手の際には既存岸壁の利用状況、貨物の需要動向等を踏まえ、費用対効果などを確認した上で事業を実施したいと考えております。
 続きまして、四点目の七月中央港湾審議会にこだわらないでとのお尋ねですが、この港湾計画は平成二十年代前半の目標年次までに整備をしていく計画となっており、この港湾整備に係る輸送費の削減による消費者物価の低減や輸出入に関係する産業の振興、雇用の確保、さらに生活を行う上で必要な下水道などの基盤整備から発生する建設残土受け入れ空間の確保といったことを考えると、早期に計画変更をしていく必要があると考えます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 国旗・国歌問題に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず国旗、国歌の法制化についてでありますが、法制化は従来、慣習として定着してきた国旗・日の丸、国歌・君が代に改めて法的根拠を与えるものであると考えます。このことについては現在さまざまな議論がなされておりますが、教育委員会といたしましては、国権の最高機関である国会での審議とその方向を見守ってまいりたいと考えております。
 次に、国旗・日の丸、国歌・君が代と主権在民についてであります。
 日の丸、君が代が戦前の一時期不幸な扱いをなされたこともありましたが、戦後の日本国憲法においては、天皇を主権の存する日本国民の総意に基づき日本国及び日本国民統合の象徴と位置づけております。こうしたことから、日の丸、君が代は憲法で定める主権在民の理念に反するものではないと認識いたしております。
 次に、国旗、国歌と個人の思想信条についてでありますが、日の丸、君が代に対してさまざまな受けとめ方があることは承知いたしております。しかしながら、今日の国際化社会にあっては、日本国民の基礎基本として、平和を愛し、自国の歴史や文化を大切にするとともに、他国の歴史や文化についてもひとしく尊重する態度を育成することが強く求められているところであります。こうした資質を培うため、公教育の場で国旗、国歌についての指導を行うのは当然のことであると考えております。
 学習指導要領は、こうした趣旨に基づいてその取り扱いを定めているものであります。今後とも、入学式、卒業式を初め、日ごろの学習活動においても国旗、国歌に係る指導を徹底し、理解を深めるとともに、指導の内容、方法等について一層充実するよう引き続き努力していく考えであります。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 分権問題についてでございますが、副知事から、今回の法案は事務の整理等にとどまって税財政面における抜本的な措置が盛り込まれていないことは非常に残念なことだというふうなお答えがありました。私もまさにそのとおりだと思います。しかし、これは単に残念だというだけの問題ではないように思います。
 この分権法案は、地方と国とが対等の関係をどうつくるかというのが基本的な問題であります。そこで、機関委任事務が法定受託事務あるいは自治事務として地方の方に与えられてきたわけですけれども、それに必要な財源措置が全く明確にされていないということは、これは単に不十分さだけではなくて、法案としては明らかに欠陥ではないかと思うんです。単に残念だと言うだけではなくて、この欠陥法について、しかるべき財源措置を明確にさせるべく積極的に求めてもらいたいと思うわけです。この点については、副知事に対する要望であります。
 次に国の関与の件についてでありますが、自治事務について今までなかった是正の要求、あるいは是正の義務の問題が改めて入りました。これについて適正な措置ではないかと評価されるということは、いささか心外であります。
 これは、地方自治の主体的な担当者としてはもっと真剣に考えていただかなければならない問題ではないでしょうか。従来、団体事務に対してはそのような要綱はなかったわけですが、今度新たに国が合法的な介入の道を開いたという点については、明らかに後退であろうと思います。違法性があれば云々ということでありますが、その問題に関連して、さまざまな形での介入が考えられます。地方が勝手なことをしては困るからということだけでそういう条項が設けられるというのは、明らかに分権の思想にも反することではないかと思います。この点についての所見、総務部長お願いしたいと思います。
 さらに、通達行政はなくなるかという問題についてです。
 これからは今までのようなことはないであろうということでありますが、従来のような広範な関与というのが全くそのまま残ったとしたら、それこそ大変なことであります。しかし、どの程度なくなっていくのかということもわからないわけです。ほとんどが法的にはそのまま残されておるわけですから、この点については、これからは大きく変わっていくだろうということについては大変甘い見方であろうと思います。そういう点で、こういう通達行政をなくしていくことが厳しく求められると思いますが、いま一度、総務部長の所信を聞かしてください。
 次に、土木部長にお尋ねをいたします。
 港湾整備の中での大バースの建設根拠がさまざま言われてまいりました。しかし、いただいた答弁は従来の答弁とほとんど変わりません。外貿の増加を百四十万としておるわけですけれども、うち八十万トンのコンテナについては、これはこの議場でそちらからも幾度も答弁もありましたが、十三メートルのバースで対応できるということになっています。
 林産、建設関係の資材もそれぞれ三十万トンずつで六十万トンとされておりますが、この数字の根拠も判然といたしておりません。私は過去、現在の実績を見てバブル期をはるかに上回る輸入などは無理だということを申し上げてきたわけでありますが、当局の皆さんはそれを上回って可能だということをおっしゃいます。その根拠がヒアリングであったりアンケートだというわけですが、根拠はその域を出ておりません。同じくヒアリングをすれば別の答えも返ってきているのも現実であります。根拠薄弱ではないでしょうか。
 特に、十三メートルバースが現在できていない、それが稼働を始めると従来の貿易量を相当大きく上回るであろうということ、これは当然推定されます。それがどこまでの役割を果たしていくのか、このあたりの検証がまだ全くできていないわけです。マイナス十四メートルに接岸する巨大船が一体どのくらい来るのか、第一ポートで満載で来てマイナス十四メートルをどのくらい活用していくのか、そういう見通しも全く立っていません。利用されるのかどうかということ自体が不明であります。そういう点も含めて、現在の港湾利用、十三メートルバースが建設された暁での利用状況等、総括して新たな計画に入っていくというのが当然のことではなかろうかと思います。その点についてお答えください。
 日の丸、君が代につきまして、教育長に質問をいたします。
 君が代が主権在民の思想とは矛盾しないというご答弁がございました。歌詞というのは、それぞれその人々の解釈によっていろいろ変わるものですから、そういうお考えがあるのかもわかりませんが、私のつたない国語力で考えてみますと、君が代の「君」を天皇とすれば、「君が代」とは天皇の代という意味に歴然としてなってまいります。歌詞をどう解釈するのか、教育長は矛盾はしないとおっしゃいますが、私は天皇の代が千代に八千代にという歌詞は、明らかに主権在民、国民の世という文言とは合致しないものだと思います。それでもいいじゃないかという人もいるでしょうが、主権在民の歌詞かと言えば、明らかに違うと思うんです。いろんな意見がありますから、私の意見も一つの意見としてお聞きいただいて、そういうものを含めてどうお考えになるか、いま一度ご答弁ください。
 もう一つ、思想信条の自由と国旗、国歌の問題であります。
 自国、他国の歴史や文化を尊重する、国際間のマナーを育て国際理解を進めていく上で、国旗、国歌への一般的指導はあり得るだろうと思います。問題は、学習指導要領を含めて、学校教育の行事や儀式で現在では日の丸の前で起立の号令とともに国歌斉唱を行わせることです。国旗や国歌に対してどういう態度をとるかという問題は、個人の思想信条の問題です。心の問題だというのは、これは大方の見方でもあります。
 学習指導要領が法的に求めているのは指導する教員までだとされますが、教員も思想信条の持ち主であります。そこに最大の矛盾があるわけです。しかし、指導要領に基づいて教員は子供に、父兄に、儀式の中で起立斉唱を命じます。子供は先生の命に服さなければなりません。子供の良心の問題は、ここで完全に無視されます。何もわからない子供も、天皇の御代が千代に八千代にと歌うことになるわけです。参加した父兄も同様であります。いろんな思想の持ち主がおられます。君が代を好きな人も嫌いな人もおりますが、ただその式場の雰囲気の問題もあって、自分の思想を押し殺さなければならないという場面は多々ございます。
 そういうことを考えますと、そもそも指導要領が学校行事へ国旗、国歌を持ち込んでいること、儀式等へ義務づけていること自体が問題なのではないでしょうか。そのような前近代性が問題だと思うのです。政府の調査でも、サミット参加国などは、そんな学校行事への国旗、国歌の持ち込みはやっておりません。近代民主主義というのはそういうものだと思いますが、いかがでございましょうか。教育委員会のご意見を聞かしてください。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず地方分権に関しまして、自治事務に対する是正要求のあり方でございます。
 自治事務に対する是正要求に関する規定につきましては、従前より存在しております。ただ、これに従うべき義務規定というものが今回新たに設けられたところでございまして、この点についてのご議論かというふうに考えます。
 この点につきましては、先ほどもご答弁申し上げたとおりでございまして、是正改善の具体的な措置内容につきましては、地方公共団体の裁量にゆだねるなど必要最小限のものとするとともに係争処理手続の対象としているところでもございまして、分権に反するとまでのご指摘は当たらないものというふうに考えてございます。
 次に、通達行政はなくならないのではないかというふうなご指摘でございます。
 先ほども申し上げましたように、従来、機関委任事務につきましては国の包括的な指揮監督権がございまして、事務の管理執行全般にわたり通達といった形で一般的に定めることも可能でございますし、また個々具体のケースにつきまして個別に指示をすることも可能であったわけでございます。しかしながら、今後は法定受託事務に係ります処理基準というものも新たに設けられまして、こういうような通知というものは従前どおりあるわけでございますけれども、これはあくまでも一般的な基準として定められるものでございまして、従来のような上級官庁から下級官庁を指揮監督するという、いわゆる一般的に言われております通達行政というものはなくなるものと理解をいたしておりますし、また、国におきましてそのような観点から厳格に地方分権の趣旨精神に沿った運用がなされるよう強く求めてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 今回の港湾計画は十三メーター岸壁完成後に検討すべきではという趣旨のお尋ねですが、今回の港湾計画は、平成二十年代前半を目標年次として十数年後の物流需要の増大や船舶の大型化などに対応するためであり、西浜地区の十三メーター岸壁などについては主にコンテナ貨物を対象に、また、本港沖地区十四メーター岸壁につきましては林産品や化学製品などの貨物を扱うよう機能配置した計画となっております。
 特に十四メーター岸壁につきましては、最近の船舶の建造状況や入港実績、また港湾利用者からの強い要望を考えると平成二十年代前半にはぜひとも必要であり、施設整備に要する時間を考えると、早期に計画を変更の上、実施に向けての検討を行う必要があります。
 この中で特に林産品についてですけれども、十四メーター岸壁対象でございますが、本県では和歌山市内のみならず、紀の川流域から奈良県南部にかけて多くの製材業が今も操業しており、特に外材については和歌山下津港を初め大阪湾諸港から素材を入荷している状況にあります。平成九年木材需給報告書によりますと、外材の素材入荷量は和歌山県では八十五万立方メートル、奈良県で約二十五万立方メートルであります。この数値をもとに貨物量へ換算を行い、また県内では紀北地域のシェア約四五%を考慮すると、県内紀北地域で約五十万トン、奈良県で約三十万トンとなり、今回推計している林産品約八十万トンに相当するポテンシャルを持っていると認識しております。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 国旗、国歌について、二点再質問がございました。
 第一点、君が代の解釈に関することでございますが、これは先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、象徴天皇制に基づく国民主権との関係ということになろうかと思っております。改めて申し上げるまでもなく、象徴天皇制は、現在の日本国憲法の第一条で国民の総意に基づき決められたものであることが明言されております。このことは、戦前の大日本帝国憲法の第一条と明らかに根本的に違っている点でございます。この点において主権在民の原則と根本的に矛盾するものではないということを改めて申し上げたところでございます。
 それから、第二点の思想信条の自由との関係でございます。
 教職員や一般市民が一人一人の市民として、個人としてさまざまな思想信条をお持ちである、その自由を認められている、これは基本的人権として今の憲法で十分認められているところであります。ただし、これは一市民としての、自立した個人としての立場でございます。学校教育の中では、教育公務員である教職員は法令遵守の義務もまた一方ではございます。学習指導要領は法的な裏づけを十分持っているということは最高裁の判決を初めとするさまざまな判例が明らかに示しているところでありまして、学習指導要領や、さらには学校行事として明確に学校で決めたことに対しては教育公務員は当然それを守るべき立場にあるということで、個人の思想信条の問題とはおのずと別であるという考え方をもって学校に対しては指導いたしております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間が参りましたので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午後零時一分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十七番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、行財政改革についてお尋ねをいたします。
 二十一世紀を目前に控え、少子高齢化の進行、国際化、高度情報化の進展、環境問題に対する取り組みなど、我が国は大きな転換期を迎えており、行政のあらゆる面での徹底した改革が求められています。
 本県では、こうした時代の転換期に対応し、来るべき二十一世紀において真に生活の豊かさと活力が両立した住みよい和歌山県を築くため、「ゆとりと充実 輝く和歌山新時代」を基本目標とする新しい長期総合計画「わかやま二十一世紀計画」が昨年二月に策定されました。この長期総合計画を受けて平成十一年度から三カ年間を計画期間とする第一次中期実施計画が本年三月に策定され、二十一世紀の新しい故郷(くに)づくりを進める西口県政に県民は大きな期待をしているところであります。
 本県では、この第一次中期実施計画を行うための財政の見通しとして、一般会計における財政規模を一兆七千億円から一兆八千億円と見込み、そのうち投資的経費は四千五百億円から五千億円を見込んでいます。これは、毎年一般会計で約六千億円規模の予算を計上し、そのうち投資的経費に約千六百億円を計上しなければならないことになります。一見、この数字を聞けば、平成十一年度当初予算程度の規模と投資的経費を毎年確保すれば達成できると考えられます。しかし、本県の財政状況は、長引く不況とそれに伴う税収の低迷が長期化するのに加えて、今日まで実施してきた景気対策などの財源として大量発行を余儀なくされてきた県債の本格的償還が始まったことにより、公債費などの義務的経費が急激に増大する事態となっています。そのため、財政の収支不均衡が拡大し、財政調整基金や県債管理基金等を取り崩してきているのが実情であります。
 平成十年九月県議会で小川県会議員の質問に答えて当時の藤谷総務部長は、平成「九年度決算における収支実態は約百二十五億円のマイナスとなっており、八年度は三十一億円のマイナスでございましたので、財政状況は著しく悪化してございます」と答弁されています。さらに、十年度の「当初予算の段階で約二百六十億円の収支ギャップがございましたが(中略)最終的には三百億円を上回る収支不均衡になるものと見込んでおり、この収支ギャップは基金のさらなる取り崩しと県債の発行により埋め合わせをせざるを得ないと考えてございます」と答弁しております。平成十一年度は当初予算段階で既に約三百六十億円の収支不均衡となっており、十二年度以降の予算編成に当たっては抜本的な行財政改革が避けて通れない状況になっております。
 こうした財政状況の改善のために、本県では平成七年十一月に行政改革大綱を策定し、効率的、効果的な行財政運営を進めてきましたが、大綱の策定後に地方分権が論議の段階から実施の段階を迎えてきており、現今の景気の低迷に伴い県財政が悪化してきているため、平成九年十月に財政の中期展望を発表し、さらなる行財政改革の必要性が訴えられてきました。このため、行財政運営のあり方に新たな視点も加えて見直しが行われ、本年一月に新たな和歌山県行政改革大綱が策定されました。
 そこで、副知事にお尋ねをいたします。
 一、本県の財政状況をどうとらえ、今後どのように行財政改革を進められるのか。
 二、第一次中期実施計画の実施と予算化はどう進められていくのか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、関係部長にお尋ねをいたします。
 一、平成十年度決算見込みと十年度の収支実態はどうか。
 二、新しい行政改革大綱では、公営企業等は独立採算性の確保になお一層努めるとともに、経営の総点検を行い、経営の健全化・効率化を推進するとあります。企業局の土地造成事業においては、平成十年度末で借入金が百六十八億円に上り、十一年当初予算では支払い利息が五億三千万円に達しております。これは、企業誘致や地場産業の企業団地の用地として土地造成事業を行っているわけですが、近年の景気後退を反映して土地が思うように売却できない状況にあり、また一方、事業を進めていくことにより借入金が毎年増加していくのではないかと危惧しております。今後、企業局として経営の健全化にどう取り組まれるのか。
 三、国においては中央省庁再編関連法案をめぐる論議の中で、行政機構のスリム化として導入が予定される独立行政法人に九十の機関や業務が移行することになっております。その対象として、国立の病院・研究所・美術館などが含まれています。行政改革大綱では、「国が独立行政法人化の検討対象としている機関と類似の地方機関については、国の動向を勘案しつつ見直しを図る」とあります。本県では今後、類似の地方機関に対してどう対応していかれるのか。
 四、外郭団体の見直しについて、県は和歌山県特定出資法人管理要綱で規定する団体については、経営の健全化、組織の統廃合を含めた組織機構の強化を図るために、外郭団体の運営状況の評価方法を検討するとともに、その体制整備を図るとあります。本県では今後どう進められるのか。
 五、和歌山県土地開発公社においては平成十年度末で市中銀行より約五百三十六億五千万円の借入金があり、加えて県が公社の借入金の金利分などを含め一般会計で貸付金として負担してきており、県からの借入金が約百十六億四千万円となり、合わせますと借入金の総額は約六百五十三億円に上っております。この借入金の主たる原因が加太の土取り事業であることは論を待ちません。
 コスモパーク加太土地利用計画については、平成六年二月に行政主導での事業推進に方針変更されてから五年が経過して、やっと土地利用計画の概要が今月発表されたところであります。県の第一次中期実施計画によりますと、平成十二年度に都市計画決定を行い、土地区画整理事業で基盤整備に着手する、また土地利用計画の概要では目標年度を二〇一五年を目途に概成を目指すとあります。今後、県土地開発公社の健全化をどう進めるのか、あわせてコスモパーク加太の事業をどう進められるのか。
 六、和歌山県定員管理計画では、五年間で約百名の削減を図るとありますが、定数条例も含めて今後どう対応されるのか。
 七、自治省による「平成十一年度地方財政の運営について」では、行政評価システムの導入が提言されております。行政改革大綱においても県民サービスをより効果的、効率的に提供する上で、費用対効果の検証、市場原理・競争原理の活用、事業成果の検証など、企業的な発想で行財政運営全般を見直し、簡素で効率的な行政の実現を図るとあります。ご存じのとおり、行政評価システムは、政策目標を定め、その達成度合いをわかりやすく数値化して定期的に公表するとともに、目標の修正、予算配分見直しに反映させていく行財政改革の手法であると言われております。このシステムは、今日までの予算に偏重した行政から予算の使われ方、その結果を重視する行政方向への転換がねらいであります。本県における行政評価システムの導入を今後どう進めていくのか。
 八、行政評価システムに関連して、県民サービスをより効果的に提供する費用対効果の検証の視点から考えると、和歌山市と那賀郡の人口を合わせますと本県の人口の約半分を占めることになります。那賀郡から和歌山市東部を通って市内に至る道路は、国道二十四号線、都市計画道路市駅小倉線等では朝夕の混雑が大変な状況にあります。こうした混雑を道路整備事業を進めることでわずか十分でも短縮できれば、朝夕で二十分間の余裕の時間が生じることになれば、通行者が一万人あれば一日で三千三百時間が県民の方々に活用していただけるわけであります。一年間のスタンスで見れば大変な経済的効果が生じるものと考えられます。こうした観点から公共投資を考えますと、交通量の多い、受益者の多い地域から道路整備を進めることがより効果的な行政になると考えられます。
 そこで、土木部長にお尋ねいたします。
 国道二十四号和歌山バイパスの四車線化と紀州大橋の四車線化の進捗状況、都市計画道路市駅小倉線のうち松下公園沿いから国道二十四号線バイパスに至る二・五キロの進捗状況はどうか、お尋ねをいたします。
 九、「平成十一年度の地方財政運営について」では、納税手続についてはできる限り納税者等の利便を図ることとあります。今日、県民の方々が広く利用している郵便局で県税の納付ができません。理由を伺いますと、県が郵便局に対して手数料を支払わなければならないため納付を認めていないとのことであります。各市町村では固定資産税等は郵便局で納付できるのに、県税はどうしてだめなのかとよく尋ねられます。県は納税者の利便性の向上を図るため、郵便局での納付に今後どう取り組まれるのか。
 また、昨今の厳しい経済・雇用情勢の中にあって、納付期限が過ぎてから納付した場合、一カ月以内ですと年七・三%の割合で、一カ月を経過すると年一四・六%の割合で延滞金を納めなければなりません。定期預金の金利が四、五%の時代であれば罰則の意味合いも含めて少しは理解もできるわけでありますが、国の超低金利政策により現在の定期預金の金利は〇・一五%でありますから、税金の延滞金は一カ月以内で定期預金の金利の五十倍、一カ月を超えると実に百倍の率の延滞金が要ることになります。
 先日、関西電力株式会社に電気料金の延滞金の割合を伺いますと、三%をお客さんからいただいていますとのことでした。また、NTTの電話料金の延滞金の割合を伺いますと、一・四%いただく旨、請求書に印刷させていただいておりますとのことでした。企業がお客様に対応する姿勢と国や地方公共団体が納税者に対する姿勢の違いを、改めて実感した次第であります。県は納税者の利便性の向上を図るため延滞金の率の引き下げを早急に行うべきと思いますが、どう対応されますか。
 次に、二十一世紀に向けた本県の教育のあり方についてお尋ねいたします。
 文部省では、二十一世紀に向けた新しい初等中等教育の教育内容を検討するため、教育課程審議会を発足させ、審議を行い、昨年七月、「幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程基準の改善について」を答申しました。この答申では、完全学校週五日制のもとで各学校がゆとりのある教育活動を展開し、子供たちに生きる力を育成すること、知識を一方的に教え込む教育から子供たちがみずから学びみずから考える教育への転換を図ることなどの基本的な考え方に立って、教育課程の基準の改善を図ることを提言しました。この答申を踏まえて、昨年十二月と本年三月に新しい学習指導要領が告示され、幼稚園は平成十二年度から、小・中学校では平成十四年度から、高等学校では平成十五年度から、学年進行で実施するとしています。
 新学習指導要領は、ゆとりの中で生きる力をはぐくむことが目標とされており、完全学校週五日制のスタートを受けて授業をもっとゆとりあるものにしようとの考えから、授業内容を約三割削減し、基礎基本の定着を図るとしています。それと同時に、学校がある程度自由にカリキュラムの編成や授業の一単位時間の設定などを行えるようになり、学校のあり方自体にゆとりを持たせるねらいがあります。また、中学、高校の選択教科の幅を拡大し、個性の伸長を図るとともに、子供の実態に即した授業の工夫が望まれています。
 新学習指導要領のもう一つの柱は生きる力を育てることで、総合的学習の時間に大きな期待が寄せられています。総合的な学習の時間は小・中・高等学校の教育課程に週二、三時間創設され、子供たちがみずから課題を見つけ、それを解決する能力や主体的な判断力を身につけることを目指し、国際理解、情報、環境、福祉、健康など横断的、総合的な課題など、地域や学校の特色に応じた課題について学習活動を行うとしており、授業内容としては、自然体験やボランティア活動などの社会体験、観察・実験、見学や調査、物づくりや生産活動など、体験的な学習を積極的に取り入れることとしています。また、国際理解に関する学習の一環として、小学校段階にふさわしい英会話等の体験的な学習を行うとしております。
 文部省では、本年六月三日に新しい学習指導要領への移行措置を告示しました。この移行措置では、道徳、特別活動を来年度から前倒しで実施するよう義務づけ、授業の一単位時間の弾力化や選択教科の拡大、高校が独自に開設する学校設定科目など、学校の裁量幅の拡大を可能にする新学習指導要領の総則の大半を来年度から実施するとしています。さらに、総合的な学習の時間については、従来のクラブ活動に使っていた時間やほかの教科の授業時間を弾力的に活用するなどして、来年度から正規の授業として先取り実施できるとなっています。
 現在、全国に五十二校ある総合学習の研究開発校には見学者が殺到し、総合学習を扱った本や雑誌が飛ぶように売れている状況にあります。総合的学習の時間は、教員の自主性にゆだねられている分やりがいのある授業であります。昭和五十年代に教員の創意工夫によるゆとりの時間が週二、三時間創設され、注目されたわけでありますが、和歌山市内の中学校では、基礎学力の向上との名目で数学や英語の時間数を単に増加させるだけで、創意工夫によるゆとりの時間が本当に生かされたとは言えない状況に終わりました。今回は小・中・高等学校において、子供たちの生きる力をはぐくむ授業の実施を強く望むものであります。また、小学校音楽では、国歌について新学習指導要領を踏まえ、いずれの学年においても指導すると先取り実施を可能にしております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、時代の変革期を迎え、次代を担う子供たちの健全な育成の観点から新学習指導要領をどう評価しているのか。
 二、新学習指導要領の移行措置について本県ではどう取り組まれるのか。
 三、平成十二年度から新学習指導要領が実施される幼稚園教育への対応はどうか。
 以上三点、お尋ねをいたします。
 次に、全国子どもプラン(緊急三カ年戦略)についてお尋ねをいたします。
 近年、家庭や地域の教育力の低下を背景として、子供の生きる力をはぐくむ上で、子供の生活体験、自然体験の決定的な不足が指摘されています。新学習指導要領では、平成十四年から完全学校週五日制が実施されるため、土曜、日曜日は子供が家庭や地域に帰ってくるわけでありますが、このままほうっておいて三年後を迎えれば大変なことになるとの観点から、文部省では平成十三年度までの三カ年で地域ぐるみで子育てを支援する基盤を整備し、夢を持ったたくましい子供を地域で育てるため、全国子どもプラン(緊急三カ年戦略)を策定いたしました。
 その主な事業では、地域における子供の体験活動の振興体制の整備として、一、衛星通信を利用した子ども放送局推進事業では、平成十三年度までに全国で五千カ所程度整備をし、土曜、日曜日を中心に一流スポーツ選手等が全国の子供に直接語りかける番組を提供する、二、さまざまな活動の情報を提供する子どもセンターの全国展開では、市・郡単位に一千カ所程度つくることを目指しています。
 子供たちの活動の機会と場の拡大として、一、子ども地域活動促進事業の実施、二、週末の学校施設機能の開放促進、三、博物館、美術館等の土曜日の子供向け無料開放の拡大、四、博物館、美術館を楽しむためのハンズオンの活動の促進、五、地域子ども文化プランの推進、六、スポーツに親しむ機会の充実などを行うとしています。さらに、各省庁と連携した共同事業の実施を提言しております。
 子供や親の悩みにいつでもこたえる相談体制の整備として、一、二十四時間子供電話相談「子どもホットライン」の設置、二、二十四時間家庭教育電話相談「子育てホットライン」の設置については、三カ年計画で全都道府県に設置するとしております。家庭教育への支援としては、乳幼児を持つすべての親に家庭教育手帳の配布、小・中学生を持つ親に家庭教育ノートを配布するなどの支援を行ってきております。
 本県においては、南紀熊野の大自然を舞台に南紀熊野体験博が本年四月二十九日より開催され、自然と歴史と文化を直接体験していただき、全国子どもプランで述べられている自然体験活動や歴史文化などを体験する機会を提供していただいた西口知事初め県下の市町村の皆様方に敬意を表する次第であります。
 それでは、教育長にお尋ねいたします。完全学校週五日制に向けて、全国子どもプラン(緊急三カ年戦略)を本県において今後どう実施していくのか、お尋ねをいたします。
 次に、特色ある高等学校づくりの推進についてであります。
 近年、高校への進学率の上昇に伴い、生徒の能力、適性、興味、関心が多様化する中で、魅力ある学校づくりを推進していく必要があります。また、一方では、増加する不登校や中途退学等の解決しなければならない課題も多くございます。そのためには、新学習指導要領の趣旨から見ても、総合学科の全県的配置や全日制普通科高校への単位制の導入は早期に実施が必要と考えるものであります。
 県が策定した第一次中期実施計画において、平成十三年度の数値目標では総合学科、単位制等、新しいタイプの高等学校を十三校に、学校間連携を二十二校にふやすとしております。今後、具体的にどう進められるのか、教育長にお尋ねをいたします。
 さらに、中高一貫教育への取り組みについては、平成九年六月に中教審の第二次答申で選択的導入が提言されました。この答申を踏まえて平成十年六月に学校教育法等の一部を改正する法律が成立し、本年四月から新たに三重県飯南高等学校で連携型の中高一貫教育がスタートいたしました。本県においても中・高連携推進支援モデル事業を行ってきて四年目に入っていますが、そろそろ中高一貫教育推進校を設定し、中高一貫教育への取り組みをされてはと思いますが、教育長のご見解を伺いまして、第一問とさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 新田議員にお答えいたします。
 行財政改革の二点について、お答えいたします。
 本県の財政状況は、税収の低迷と義務的経費の増大により引き続き百億円単位の歳入不足が見込まれるのに対し、従来これを補ってきた基金の残高は十一年度末には三百億円を下回ると見込まれることから、極めて厳しいものであると申し上げざるを得ません。したがいまして、議員ご指摘のとおり、抜本的な行財政改革は避けて通れないものと認識しております。
 今後の行財政改革の進め方につきましては、行政改革大綱にお示ししたように、住民の理解と協力のもと、県行政の責任領域を見直すとともに、より効率的、効果的な運営体制、運営方法を追求することとしております。
 このような観点から、平成十一年度予算においては、事務事業や補助金等の見直しにより八億円を超える改善を図ったところであります。また、公共事業の合理化を通じてさらに社会資本整備の進捗を図るため、引き続きコスト縮減に取り組んでまいります。平成十二年度以降においても、費用対効果等の観点から個々の事業について施策の根本にまで立ち返って見直しを行い、限られた財源を緊急性、必要性の高い事業に重点的に配分することにより、住民福祉の向上に努めてまいる所存であります。
 次に、第一次中期実施計画についてであります。
 厳しい財政事情の中で引き続き県民福祉の向上を図っていくためには、思い切った施策の重点化を図ることが重要であります。この中期実施計画は、最近の厳しい県経済や財政状況など激動する社会経済情勢の中で、本年度からの三カ年において重点的に実施すべき施策事業とそのプロジェクトを明らかにしたものであります。厳しい財政事情のもとではありますが、国内外や地域相互間の広域的な交流連携を推進すること等により県勢の一層の伸長を図るとともに、少子高齢化等を踏まえた総合的な地域福祉施策に積極的に取り組み、住民福祉の向上に最大限努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 新田議員に、行財政改革の六点、ご答弁申し上げます。
 まず、平成十年度の決算見込みと収支実態についてでございます。
 決算見込みについては現在計数を整理中でございますが、歳入総額は約六千二百八十億円程度で、対前年度比六・五%程度の増、歳出総額は六千百三十億円程度で対前年度比六・二%程度の増となる見込みでございます。この歳入総額から歳出総額及び翌年度への繰り越し財源を差し引いた実質収支は三十九億円程度の黒字、単年度収支はおおむねプラス・マイナス・ゼロとなる見込みでございますが、実質的な黒字要素や赤字要素を調整した実質単年度収支につきましては、財政調整基金の取り崩しが影響いたしまして約百億円程度の赤字となる見込みでございます。
 なお、この実質単年度収支には財政調整基金と同様に財源不足を補うために活用しております県債管理基金の取り崩しが反映されませんので、これも考慮した収支実態は百八十億円前後のマイナスとなりまして、平成九年度よりも収支差が拡大している状況にございます。
 次に、国の独立行政法人化への本県の対応についてでございます。
 現在、国立病院・療養所、試験研究機関、文教研究施設を対象といたしまして独立行政法人化の国会審議がなされております。しかし、この独立行政法人の制度は、地方団体の類似の地方機関については国と同様の位置づけがなされていないところでございますが、行政改革大綱の趣旨を踏まえ、国が対象としている機関と類似している地方機関について、その効率的・効果的な運営方法について見直しを行いたいと考えております。
 次に、外郭団体の見直しについてでございます。
 今日まで全国的にも外郭団体は数多く設立されてまいりましたが、それらを取り巻く社会経済状況は大きく変わってきております。国、地方を通じての行財政改革の必要性が高まっております今日、外郭団体の活用のあり方あるいは地方団体との関係等を見直す必要性が生じております。
 こうした状況を踏まえまして、今年度から外郭団体を担当する職員を配置し、従来からの各団体を所管する担当課の指導に加えて統一的な視点からその運営状況を評価することとしてございます。具体的に申し上げますと、各団体の財務、事業、人事、組織につきまして、定期的な点検評価の実施、事業計画と実績の対比あるいは必要な指導を実施してまいりたいと考えております。
 次に、県の定員管理計画への対応についてでございます。
 定員管理につきましては、五年間で事務事業の一層の整理合理化等を行うことにより、約百名相当分の業務量を見直した上で削減することといたしております。職員定数条例の改正につきましては、今後、削減状況を見きわめつつ改正を行ってまいりたいと考えております。
 次に、行政評価システムの導入についてでございます。
 行財政改革を通じて簡素で効率的な行政を実現していくためには、費用対効果等の観点から行財政運営全般を見直す必要性がございます。そのためには、成果の客観的な検証に基づき施策を見直す姿勢を定着させることが重要と考えておりまして、本県におきましても、例えば予算要求に当たっては一部の事務事業について成果の客観的検証を求めることにより、部分的ながら行政評価システムを取り込んでいるところでございます。今後、より本格的な導入に向けて対象事業を順次拡大してまいりたいと考えてございます。
 他方、異なる分野間における事業の的確な評価が困難であることなど、行政評価システムはなお改善の途上にございますことから、今後、予算配分の見直しへの反映も視野に入れて、他府県の動向も踏まえ、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
 最後に、納税者への利便性の向上についてのご質問がございました。
 現在、県税の納付につきましては各銀行等の金融機関において窓口振り込み及び口座振替の方法によりお願いいたしておりますが、県税収入の確保及び納税の促進を図るためには、納税者の利便性の向上に努めることも重要なことと認識しております。そのため、今後、新たに郵便局でも同様に取り扱えるよう検討しているところでございますが、取扱手数料及び納税済み通知の遅延防止、あるいは延滞金の取り扱い等、幾つかの解決すべき問題がありますので、現在、これらの点につきまして郵便局及び関係各課室と協議をしているところでございます。
 ご指摘にありました延滞金につきましては地方税法で定まっておりまして、納付期限後一カ月以内の場合は年七・三%と、ご指摘のように定められておりますが、先般の税制改正で平成十二年一月一日から公定歩合に年四%を加えた割合に引き下げることとされておりますので、年四・五%になろうかと存じます。
 なお、納付期限を一カ月以上経過した場合の延滞金につきましては年一四・六%で変更はされておりませんが、この分につきましては、いわば罰金と申しますか罰科金的性格を有しまして、また早期納付を促す機能も有していることから据え置くこととなったものと承知しております。
 県といたしましては、いずれにしても、今後とも納期内納付の広報を積極的に行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 新田議員ご質問の、県土地開発公社の健全化につきましては、関係部局とも連携を図りつつ、公共用地先行取得事業の一層の推進を図っております。また、公社の保有土地についても分譲単価等の見直しをするとともに積極的なPRを展開するなどして、分譲、売却の促進に努めております。さらに、現在人員配置の適正化等に努めているところであり、今後、中長期的な視点に立ち、事務事業の見直しなどを含めた合理化を推進してまいります。
 また、コスモパーク加太計画につきましては、過日発表いたしました土地利用計画を基本に県土地開発公社が事業主体となり、土地区画整理事業の手法により区域内の基盤整備を進め、複合機能都市形成を図る計画であります。平成十二年度には市街化区域編入の都市計画決定、土地区画整理事業の認可を受け、整備に着手することとしております。
 整備計画の詳細につきましては、現在、県土地開発公社で作成中です。今後は、施設の立地推進に努めるとともに、その動向にも対応しながら開発整備を進めるべく、和歌山市、県土地開発公社とともに努力してまいります。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 国道二十四号線の四車線化と市駅小倉線の進捗状況についてでございます。
 道路整備を行うためには費用対効果の検討が重要でありますが、県民の福祉向上等を含めた総合的な観点からの検討が必要であると考えております。このような観点から、県においては都市部の道路整備を進めるとともに、県内二時間交通ネットワーク構想の実現を目指す第二県土軸や三─五軸関連の広域幹線道路、関西国際空港及び大阪への連携を強化する府県間道路、さらに地域間の連携を強める道路網の整備を進め、県土の均衡ある発展を促進しているところでございます。
 一般国道二十四号和歌山バイパスの残る四車線化区間四キロメートルのうち、和歌山市永穂から小豆島間の一・五キロメートルにつきましては、建設省において平成十年度より工事に着手しており、本年の秋ごろには完成供用がされると聞いております。また、紀州大橋を含む残る二・五キロメートル区間の四車線化につきましては、今後とも早期に事業着手されるよう強く国に働きかけてまいります。
 都市計画道路市駅小倉線の二・五キロメートル区間のうち、松下公園沿いから県道岩橋栗栖線までの区間につきましては、平成十年度までに約六三%の用地取得が完了しております。本年度は買収済み区間の一部から地元関係者の協力を得ながら工事に着手したいと考えております。また、残りの県道岩橋栗栖線から国道二十四号バイパスまでの区間につきましては、平成十年度に事業着手し、用地買収の促進に努めているところでございます。今後とも、地元関係者の協力を得ながら早期完成に向けて努力してまいります。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企業局長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○企業局長(白井保世君) 企業局の経営の健全化についてお答えを申し上げます。
 企業局におきましては、県経済の活性化を図るため、市街地の再開発、企業誘致等の受け皿を確保するという行政目的に沿って土地造成事業を実施してまいりました。最近の経済情勢のもと、企業の設備投資、土地需要の低迷により造成地の売却が進んでいないのは議員ご指摘のとおりでございます。
 企業局といたしましては、造成地の売却は当面の最大課題でございます。土地の分譲に当たりましては、土地代金の分割払いの導入等、あらゆる角度から検討を行い、関係部局と連携し、売却の促進に努めているところでございます。
 また、今後の造成計画等につきましては、経済情勢を十分見きわめながら公営企業としての適合性、採算性等の観点から慎重に対応してまいりたいと考えてございます。行財政改革の見地からも、各事業の効率的な経営体制の整備、また経営基盤、体質の強化を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題、六点についてお答えいたします。
 先般告示されました新しい学習指導要領は、二十一世紀に向け新しい教育の創造を目指して改訂されたもので、今日進められている教育改革の中核となるものと受けとめております。
 今回の改訂は、教育課程の編成基準の弾力化と大綱化に伴い、学校の裁量幅が一層拡大されることが大きな特徴であります。このことは、各学校が創意工夫を生かして特色ある教育を推進することを可能にし、児童生徒がみずから学びみずから考えるなど、生涯にわたって働く力をはぐくむ上で極めて有意義であると考えるものであります。
 新しい学習指導要領の趣旨を十分に踏まえた教育を実現するため、学校長がリーダーシップを発揮し特色ある学校づくりを進めるとともに、適切な学校運営に取り組むことができるよう、さまざまな機会をとらえ指導をしてまいります。
 次に、新しい学習指導要領が本格的に実施されるまでの間の移行措置についてでありますが、告示では各教科、領域等の特性を踏まえつつ、できる限り新しい学習指導要領を適用するよう定めております。総則や音楽、特別活動などについては、移行の趣旨を踏まえ、各学校が平成十二年度から適切な教育課程を編成するよう指導してまいります。とりわけ、総合的な学習の時間は今回の改訂の中心となるものであることから、早急にカリキュラムの中に位置づける必要があります。また、小学校での英会話の学習等を通した国際理解教育や、中学校、高等学校におけるインターネットを使った情報教育等、これまでの研究学校での成果を生かし、新しい教育実践が展開できるよう指導してまいります。こうした新しい学習指導要領の趣旨と移行措置について、本年度から地方別、校種別に説明会を開催し、徹底を図ってまいります。
 次に、幼稚園教育要領につきましては、園児の自主性、社会性の育成とともに、幼児期からの心の教育の重要性にかんがみ、小学校教育との接続を視野に入れ、道徳性の芽生えを培うことが重視されております。小・中学校に先立って来年度から円滑に実施できるよう、幼稚園の教職員等を対象に説明、研修の場を設ける考えであります。
 次に、全国子どもプランの取り組みについてお答えします。
 このプランは、平成十四年度から完全学校週五日制が実施されることを踏まえ、地域ぐるみで子育てを支援し、子供たちに豊かな心と生きる力を育てることを目的として、三カ年にわたり全国的に展開されるものであります。
 本県においては、各地で催されるさまざまなイベントや学習機会について情報提供を行う子どもセンターを五地方に設置するとともに、子供たちに夢を語りかける衛星通信による番組を受信できるよう、公民館などの社会教育施設二十二カ所に子ども放送局の受信設備を設置することとしております。さらに、自然体験活動や郷土について学習する子ども地域活動促進事業を七つの市と町で実施することとしております。また、これまでも子育てや家庭教育についての電話相談を実施してきているところですが、新たに二十四時間対応の電話相談を開設することも検討しているところでございます。
 今後とも、夢を持ったたくましい子供を地域ぐるみで育てる体制づくりを、市町村や関係機関と連携し一層推進してまいりたいと考えています。
 次に、今後の特色ある学校づくりについてお答えいたします。
 高校への進学率が九七%にまで達した今日、能力、適正、興味、関心等、極めて多様な生徒が入学してきており、選択幅の広い科目開設や主体的な学習を重視するなど、柔軟な教育が求められています。このため、本県ではこれまで総合学科の設置や学校間連携の実施など、さまざまな改革を行ってまいりました。総合学科は二校に設置し、単位制は定時制の三校を含む五校に導入いたしました。これらの学校においては生徒は主体的に生き生きと学習に取り組むなど、単位制のよさを生かし、個性を伸ばす教育が行われており、大きな成果を上げております。こうしたことを踏まえながら、今後とも総合学科の全県的な設置を進めるとともに、全日制普通科へのできるだけ早い時期の単位制の導入についても現在検討しているところでございます。
 また、現在十七校で実施しております高等学校の学校間連携につきましては、学校数やその内容において全国で最も進んでいる状況にありますが、さらに充実を図ってまいりたいと考えております。
 最後に、中高一貫教育につきましては、そのメリット、デメリットや実施形態について、きのくに教育協議会等において協議がなされてまいりました。こうした協議の結果を受けとめるとともに、平成八年度から本県独自に取り組んできました中・高連携推進支援モデル事業の成果を生かしながら、本年度庁内に設置した中高一貫教育検討プロジェクトチームにおいて研究検討をしているところでございます。
 以上であります。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十七番新田和弘君。
○新田和弘君 ただいま、副知事さん初め関係部長の皆さんからご答弁をいただきました。何点か要望を申し上げたいと思います。
 まず初めに企業局の経営の健全化という問題でございまして、質問でもさせていただきましたが、企業局の方で行っている土地造成事業でございます。
 これは本来、例えば和歌山市の雑賀崎に金属団地用地がございますが、県中小企業団地協同組合が機械金属団地をつくっていただきたいという要請を県に行いまして、県の方がそれではということで、平成三年二月に港湾の埋立免許を取りまして事業を行ったわけでございます。また西浜の木材団地、これはまだ売り出されておりませんが、これも木材港整備協議会というところが県の方に要請をいたしまして、そして平成六年の十一月に埋立免許を取りまして、現在ほぼ用地が完成し、間もなく売り出されるという状況になっておるわけでございます。企業局としては、県からの要請を受けて事業を行って、そして買ってもらう段階になると買ってくれないと、こういう事態に立ち至っておるわけでございます。
 私が申し上げたいのは、この県の中小企業団地協同組合がこれだけの土地をつくってくれと、また木材港整備協議会が西浜に土地をつくってくれと、まあいわば注文をしたわけでございますので、でき上がってきたらそこの皆さんに買っていただくのが当然なので──民間企業ですと、発注をして品物ができ上がって届いてきたら、私とこは買わないんだというようなことでは通らない。片や、企業局は年間五億数千万円というような利子を県から払わなきゃならんということは、それだけ県民に迷惑をかけるんです。そうすれば、こういう団体、要請をした組合なり協議会から、せめて利子でも払ってもらうとかすべきではないかと。
 そういう点では、あのマリーナシティの造成事業というのは本当に理想的な事業だったと思います。最初に松下興産と五年間の売買契約を結びました。そして、毎年毎年事業費を松下興産からいただいて、それで事業を実施してできるだけ借入金を少なくし、五年後にでき上がるとそれを引き取っていただくということで、企業局の負担の非常に軽い、そして売れるか売れないか心配の要らない形で、もう既に最初に売却の契約ができておった。そして県民の皆さんにはご迷惑をかけることがなかったと。
 こういうことからしますと、今後企業局が土地造成事業をするということであれば、最初に要請をしたところに対しては、買うのか買わないのかということを明確にしてもらって、予約金を取るとか、内金をもらって初めて事業をやるというような、非常にシビアなやり方というものも今後は県も考えていただかないと、そういう要請があったからやったんだ、しかし売れない、後は県でやればいいんだというようなことでは県民の皆さんに迷惑をかけるばかりであるということを申し上げて、今後の事業展開については十分ひとつ心して取り組んでいただきたいと思う次第でございます。要望いたしておきます。
 それから、土地開発公社のコスモパーク加太事業計画でございます。
 概成するまでに十六年ということで大変先の長い話でございますが、そうしますと、今県が毎年八億近い利子補給をしておるわけですので、これ十年たてばどうなるのかなという危惧もするわけでございます。担当の皆さん、本当に頭を痛めながら仕事をしていただいていると思いますが、こういった問題についても、当初は十四社が土地区画整理事業でやるんだといって集まったんですが、その後、経済情勢の変化でみんなそこから去ってしまって自治体が主導でやらなければならなくなってしまったという点についても、やはり今後十分そういうことを再考して区画整理事業に取り組んでいただきたいと思う次第でございます。
 次に、納税者の利便性の問題でございます。
 先ほどご答弁をいただいたわけでございますが、来年度から公定歩合に対して四%を加えた四・五%に一カ月以内の分については引き下げるという説明でございましたけれども、実は伺いますと、法人が税金を予納しますと、年度末に確定した税金で予納金を返還する場合には年七・三%の金利をつけて法人に返還をしておるようでございます。法人の場合はそれに目をつけて、できるだけ予納金をたくさん積んで七・三%の金利を税務署からもらうというようなことが多くなってきたので税務署が今回この改正に踏み切ったのではないかとも言われております。納税者のために引き下げたのでは決してないというわけでございます。
 私たちサラリーマンの場合は、税金を源泉徴収されて、年末調整で返ってくる場合、もしくは年度末の確定申告を行って税金を還付してもらう場合は七・三%の金利はつきません。そういうことから考えると、本当にやっぱり自分とこの都合だけで決めておる──これはまあ国会へ行って言わないかんことかもわかりませんけれども、本当に国に対して、もう少しやっぱり納税者の視点に立ってこの地方税法の改正を行っていただきたいと思う次第でございます。
 それから、教育長にでございますが、移行措置への取り組みということで、総合的な教育の時間の導入はぜひ来年度から県下各学校において実施をしていただけるように要望をいたしておきたいと思う次第でございます。
 さらに、全日制の普通科への単位制の導入、これは今大変な中途退学であるとか不登校の問題とも関係があると思います。そういった意味で、入学をしていただいた生徒さんに全員卒業していただけるように考えていくためにも、一つの大きな方途であろうかと私は思うわけでございますので、これもぜひ来年度から導入できるようよろしくお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
○副議長(宇治田栄蔵君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十四番金田 眞君。
  〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 議長のご了解を得ましたので、通告に従い、順次質問を行っていきたいと思います。
 私、この県議会の一般質問、初めてでありまして若干緊張しております。その関係で早口になったり、あるいはちょっと意味がわからないというようなことになるかもわかりませんけれども、先輩議員また同僚議員、そして当局の皆さんにはぜひご理解いただきますよう、まず最初にお願いする次第でございます。
 第一項目の新宮港第二期整備事業、佐野湾埋め立てについて質問をいたします。
 現在の新宮港は、マイナス十一メーターの岸壁など五つの岸壁を有し、主に木材の中継基地として一九七九年(昭和五十四年)に供用を開始し、八九年すなわち平成元年に関税法の開港指定を受け、九七年十二月に第二期整備事業公有水面埋立免許を取得し、昨年の十一月に起工式が行われ、二〇〇五年(平成十七年)に完成させる見込みになっております。しかし、新宮港の第二期整備事業については、一九九七年三月の新宮市議会において、公有水面埋め立てすなわち佐野湾埋め立てについて二十名の市会議員のうち七名もの議員の反対がありました。地元住民を初め多くの人が、自然を破壊して行う佐野湾の埋め立てに反対をいたしました。この新宮港第二期整備事業は将来の見通しのないむだな港湾事業であり、売れる見込みのない土地造成によって多額の借財を後世に残すだけの整備開発計画ではないかと、現在でも中止を望む声が根強くあります。果たして、佐野湾を埋め立てて、水深十一メーターバース一つとマイナス七・五メーターバース二つの計三つもの岸壁をつくり、工業用地を造成する新宮港第二期整備事業は必要なのでしょうか。また、将来の見通しはあるのでしょうか。甚だ疑問であります。
 新宮港の取扱貨物量についても、一九九三年(平成五年)の百三万トンがピークであり、一昨年九七年の取扱量は約九十五万トンであり、取扱品目は、原木十七万トン、チップ五万トン、砂・砂利四十三万トン、セメント十八万トン、フェリー十二万トンという実績になっています。船舶数でも、内航船は確かにふえておりますが、大水深のバースを必要とする外航船は、一九九二年の五十五隻をピークにして、最近では四十数隻という状態であります。こうした新宮港の利用状況下にあって、第二期整備後の計画貨物量は全体で百八十七万トンと想定されており、一昨年の取扱量九十五万トンの、何と二倍となっております。港の貨物量は、施設の問題だけではなく背後圏の経済力に大きく関係するとの指摘もあり、現在の日本の厳しい経済情勢を考えるとき、どのような根拠からこうした計画貨物量となったのか、お尋ねをいたします。
 また、港湾整備の充実によって新宮市及び広域の産業の振興と経済活性化の促進を期待しているようでありますが、投資に見合うどのような経済効果が期待できるのですか、お伺いいたします。港湾利用計画の見通しの甘さと坪単価十三万円もする埋立用地の売却見通しの甘さを考えるならば、多額の金を浪費し財政赤字をつくり出す佐野湾埋め立ては、将来に禍根を残さないためにも中止を含めた計画の見直しをすべきであります。当局の見解をお示しください。
 第二項の、ごみ処理広域化計画について質問をいたします。
 厚生省は六月十四日、廃棄物行政プロジェクト報告案を生活環境審議会廃棄物処理部会に報告いたしました。第一として「今後の廃棄物処理の方向」を打ち出し、その内容は、「循環型社会の形成を目指し、これまでのように廃棄物を焼却して埋め立てる社会から、廃棄物を再生可能な資源としてできる限り活用する社会への転換を図る。再生できなかった廃棄物は、安全性に万全を期して処理する体制を構築する」としております。さらに、「これまで、廃棄物処理は、燃やせる廃棄物は燃やしてから埋め立て、燃やせない廃棄物は粉砕して埋め立てることを主たる方法としてきた。しかしながら、焼却中心の廃棄物処理により、ダイオキシン類などの有害物質が廃棄物処理施設から出ていることに国民が不安を感じ、廃棄物処理全体に対する国民の不信感が高まっている。また、狭い国土に多くの人口を抱える我が国においては、広大な最終処分場を確保することが、今後益々困難になると予想される。そこで、廃棄物処理の原則的な考え方を次のように転換する」としております。そして、「一、これまで廃棄物として焼却し、埋め立てられていたものであっても、その廃棄物の再生利用や廃棄物に含まれる有用資源の再生利用など、リサイクルを図る。二、やむを得ず処理しなければならない廃棄物は、将来の技術開発による再資源化の可能性も視野に入れつつ、引き続き安全性に万全を期して処理する」としています。
 さらに大きな第二項目として、「廃棄物減量化のための取組の強化」として、国が九月末までに廃棄物の排出抑制とリサイクルによって達成すべき減量化目標を策定し、目標年次を二〇一〇年としました。また、産業廃棄物と一般廃棄物の区分の見直し、同じごみならば家庭ごみか産廃かに関係なく同じ処理場で扱えるようにする方向で検討することや、将来的な検討課題として家庭ごみの有料化を含む減量化、リサイクル中心の廃棄物処理を進めるとしています。
 第三は、「支援策の強化・拡充」であります。これまで補助対象としていなかった焼却能力が一日百トン未満の市町村の焼却施設整備にも広域化の計画などに沿っている場合には財政支援を行うことや、ごみ処理施設については生活環境の充実に配慮した徹底した安全性の確保、測定データの情報公開の透明性の確保、迷惑施設からリサイクル施設への転換などの必要性を指摘しています。
 最後に第四番目として、「不法投棄対策の強化」として、不法投棄監視員やマニフェスト制度普及指導員の新設などを検討するとしています。
 さて、厚生省のこの報告案は、現在進められている和歌山県のごみ処理広域化計画に影響するのでしょうか。影響があるとするならばどのような影響があり、計画の見直しが必要なのか、お尋ねいたします。
 次に、県のごみ処理広域化計画の中で、新宮ブロックについてお尋ねいたします。
 このブロックは、各市町村の条件がばらばらの状況で、調整が大変だと思います。そうした中で新宮市は、今回の選挙で市長がかわったこともあり、県のごみ処理広域化計画で策定されていたRDFすなわち固形燃料化施設やRDF燃焼施設の建設計画が白紙に戻されました。そして、今後は早急に、固形化施設だけではなく、ガス化溶融式ごみ処理方式や百万トン未満の焼却施設など、幅広くその可能性を探っていくことが方向づけられました。この方向は、新宮市の固形化施設だけではなく、二〇〇二年(平成十四年)十一月までに広域RDF燃焼施設、発電施設、灰溶融施設等を新設し稼働させようとする県のごみ処理広域化計画に影響を与え、計画の変更もあり得ると思われますが、どのように受けとめられておりますか、当局の見解をお尋ねいたします。
 また、今大切なことは、県当局が各市町村の声をくみ上げ、いろいろな要望や計画に柔軟に対応して積極的に調整を進めていかなければ限られた期限の中でまとめていくことができないと思われますが、今後どのような手法で具体的に取り組みを進めるか、お尋ねをいたします。
 また、ごみ処理広域化計画では、最終処分地については串本町、古座川町、北山村以外には触れられていませんが、新宮市では最終処分地がもう使えなくなったため、年間約六千万円もかけて県外の民間業者に処理を委託しており、那智勝浦町や太地町なども同じように県外の民間業者に頼っているのが現状であります。これは、各自治体においては大変な財政負担となっており、処理コストを抑え、安全で安定的に処理するためには新宮圏域内に最終処分場、産業廃棄物処分場の設置が強く求められるところですが、当局の考え方をお伺いいたします。
 次に、第三項目の同和問題について質問をいたします。
 私は、今回の選挙で新宮の同和地区において街頭演説を行いました。そして、同和地区も一般地区もない町づくりを進めるためには同和事業、同和行政を直ちに終了させ、一般行政に移行していくことが必要であり、そのことによって同和という言葉を地上からなくしたいと訴えました。すると、少なからぬ人々が家から出て手を振り、拍手をしてくれました。さらに、同和地区住民というお母さんからは、娘が差別を受けて泣くことがないように共産党の政策に期待しているという電話があり、多くの同和地区の方々が差別をなくすためにも一日も早い同和事業の終了を望んでいることを痛感しました。
 さて、新宮では、最近まで市が行う同和地域の工事は同和業者しか入札できなかったり、現在でも市当局がある運動団体に年間百四十万円もの補助金を支出したり、また今まで行政が確認糾弾会を容認し参加していることもあり、市民の間で同和問題について自由な意見交換ができているとは言いがたい状況にあります。さらに、同和地区住民だけを対象とした各種の個人給付事業が今なお継続されてきたことによって同和地区住民の自立、自治を妨げる面が生まれるとともに、市民の間にいわゆる逆差別意識を強め、部落問題の解決をおくらせる側面が出てきております。
 また今回の新宮市長選挙では、残念ながら、だれがどのような意図で行ったかは定かではありませんが、市長候補の人権を侵害する六種類もの悪質な文書が出回りました。しかし、市民はそれに対してきっぱりと拒否する、否定する態度をとりました。このことは、部落問題に対する非科学的な認識や偏見に基づく言動が地域社会で受け入れられない状況に達しつつあることを示し、また同時に、部落差別は同和地区内外の住民の連帯で克服できることを示していると思います。
 さて、私たちの紀南地域のある地区には香典講という講があります。香典講について書かれている文章から一部を紹介しますと、これは明治三十八年に区民全員の意思で取り決めされたものであり、次のようになっています。「葬式は、人間一生のうちでも、最も大切な儀式であるが、部落外の人々はそれぞれ分相応の葬儀を行っているにもかかわらず、部落内では誰もが貧しいために葬儀を出せない者がいる。(中略)大人は金五銭、子供は金二銭五厘を各戸より集めて、死亡者の遺族に届けて葬送の費用に充てることとする」とされており、また、葬儀を出せないために亡きがらさえも人目のつかないところに隠してしまう者さえもいると書かれているわけであります。この香典講は、住民の苦しい生活を示すと同時に、その中で住民の厚い連帯心を物語っています。しかし、今ではこの同和地区だった地域の人々も、いつまでも部落ではないと多くの人が考え、町独自の個人給付制度をみずからの手で打ち切るなど、同和対策事業を速やかに終結させようとしている多くの人々がおられます。
 県は、同和行政総合推進プランを策定し、同和行政を継続して行うことを県の方針としておられます。そしてこの県の姿勢が、市町村が明確に同和行政終結に踏み出すことをためらわせているわけであります。県は、多くの同和地区の人々が同和対策事業の終結を願っていることをご存じではないのでしょうか。同和の垣根のない和歌山を実現するために、今こそ同和事業そのものを終結させる時期に来ていると思います。いつまでに同和対策事業を終結させるのか、当局の見解を求めるものであります。
 最後の第四項目の、新宮地方への県立救急医療センターの設置についてお尋ねいたします。
 以前から、突然の事故や病気のときのために救急医療体制を確立してほしいという切実な願いが住民の中にあります。まことに私ごとで恐縮でありますが、私も昨年の四月、交通事故に遭遇し、四カ月の入院を強いられました。そのときの経験からも、どうしてもこの紀南の地域に救急医療センターあるいは救命救急センターが欲しい、必要であると痛感しているものであります。
 こうした切実な住民の声にこたえるために、新宮周辺広域市町村圏事務組合から県に対して、以前から県立救急医療センター建設の要望書が提出されております。県も、そうした住民の不安や心配を解消するために一九九六年三月から県防災ヘリコプターによる搬送システムを開始され、非常に喜んでいるところであります。しかし、やはり紀南地域で高次救急医療を必要とする患者が発生したときに、これに対応できる医療施設をと願うのは当然ではないでしょうか。ですから、いつでもだれもがひとしく救急医療サービスを受けることができるよう、二十四時間体制の県立救急医療センターの早期建設を求める要望が新宮周辺広域市町村圏事務組合から出されているわけであります。
 確かに紀南地域の人口では、三次救急医療は厚生省の基準の特例からでも厳しいものがあると思います。しかし現在、新宮市立市民病院の新築工事が約百二十七億円をかけ、二〇〇一年三月の開院を目指して進められており、今、この新しい病院に救命救急センターの設置や救急医療体制を完備していく絶好の機会だと思われます。ぜひこの絶好の機会を逃さず、長年の紀南地方の住民の願いであります救急医療センターの設置を願うものであります。当局のご所見、お考えをぜひお聞かせ願いたいと思います。
 これで、私の第一問とさせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 新宮港第二期整備事業について、そのうちまず新宮港の利用状況でございます。
 平成九年には外航船が四十四隻、内航船が七百二十五隻入港しており、取扱貨物量といたしましては、外貿貨物量が十九万トン、内貿貨物量が七十六万トンとなっております。
 新宮港第二期整備計画による将来の取扱貨物量につきましては、企業ヒアリングや需要予測により推計しております。その結果、外貿貨物量は林産品等で五十一万トン、内貿貨物量は林産品、化学工業品等で百三十六万トン、計百八十七万トンと予測しております。
 次に、投資に見合う経済効果についてでございます。
 新宮港二期計画の事業費といたしましては、総事業費約二百三十億円と想定しております。この投資に見合う経済波及効果につきましては、建設による投資波及効果や埋立地の生産活動による経済効果及び雇用促進の効果などが期待されます。第一期事業においても二十社以上の企業が進出し、活発な企業活動を展開しております。過疎や高齢化、就労の場の確保に悩む新宮市を中心とした熊野地域にとって、この事業は地域経済の活性化のため極めて重要であると考えております。
 次に、佐野湾埋め立ての中止を含めた計画の見直しについてでございます。
 新宮港は紀伊半島南部地域唯一の外貿港湾として、新宮地域のみならず、三重県や奈良県を含めた地域の拠点港湾です。今後、本港を活用して地域経済の活性化を図るためにも第二期整備事業の早期供用が急がれていると考えております。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 金田眞議員ご質問のごみ処理広域化計画について、三点の質問をいただいております。
 まず、厚生省の廃棄物行政プロジェクト報告案と関連して、和歌山県のごみ処理広域化計画への影響でございます。
 廃棄物行政プロジェクト報告案は厚生省の生活環境審議会廃棄物処理部会で検討しているものでございまして、議員からもお話がございましたとおり、循環型社会の形成を目指し、安全性に万全を期して処理する体制を構築することを掲げてございます。また、和歌山県のごみ処理広域化計画におきましても、このプロジェクト報告案に示されている分別収集、リサイクルなどを盛り込み、循環型社会の形成と安全性の確保を基本としてございまして、このプロジェクト報告案と同様の趣旨であり、ごみ処理広域化計画の推進には影響ないものと考えてございます。
 今後、この広域化計画の推進に際しましては、廃棄物行政プロジェクトから示される新しい考え方も取り入れながら市町村を指導してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、二番目のごみ処理広域化計画における新宮広域ブロックについての、新宮市がRDF化施設、燃焼施設を白紙にした影響、それから市町村の声をくみ上げ柔軟に対応する具体的な取り組みについてでございます。
 ごみ処理広域化計画は、平成九年五月から市町村及び厚生省と協議を重ね、本年三月に取りまとめたもので、県下を七ブロックに分け、ごみの排出抑制とリサイクル、ごみ焼却施設の集約化、余熱利用の推進等を基本として策定いたしてございます。
 議員ご質問の新宮広域ブロックでは、将来的にRDFによる広域化を基本とした計画となっております。
 また、太地町がRDF化施設を建設中であり、串本町、古座町及び古座川町の三町は共同でRDF化施設を計画し、新宮市もRDF化施設を計画するとともに、RDF燃焼施設をブロック内に設置する方向のもとに策定したものでございます。
 したがいまして、もし新宮市の計画が白紙となった場合には、当ブロックにおいて計画しているRDF燃焼施設の確保が重要な課題と考えておりまして、ごみ処理広域化計画の趣旨にのっとり、関係市町村と十分話をし、指導してまいりたいと考えてございます。
 同じく二番目ですけれども、ごみ処理広域化計画における新宮広域ブロックの中の圏域内への最終処分場また産業廃棄物処理場の設置についてでございます。
 まず、一般廃棄物の最終処分場につきましては、ダイオキシン問題により緊急的に浸出水処理設備のない最終処分場への焼却灰の搬入を停止し、適正な処理を行っているところでございますが、一般廃棄物の処理につきましては、市町村による区域内処理が原則でございますので、最終処分場の設置についても、ごみ処理広域化計画の推進にあわせ、その対応について指導しているところでございます。産業廃棄物につきましては、排出事業者処理責任が大原則でございますが、中小企業の多い当地域においては個々の事業者の努力のみでは限界がありますので、業界、地域等での共同処理等が望ましいと考えてございます。
 なお、排出事業者の処理責任と努力を前提といたしまして、財団法人和歌山環境保全公社の将来構想と連動しつつ、産業廃棄物の処理のあり方について今後検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 議員ご質問の同和対策事業についてでございます。
 これまで本県では、同対法施行以来積極的に同和対策に取り組んできたところでございますが、今なお、教育・啓発、産業・就労等に解決すべき課題が残されており、また市町村間、地区間においてその課題が異なることから、その背景の分析を十分に行い、適切な施策を今後とも講じる必要があり、差別を生み出す要因をなくすために一層の努力が必要であると考えております。
 県といたしましては、引き続き和歌山県同和行政総合推進プランに基づく諸施策を推進することにより、同和問題の一日も早い解決を図ってまいります。
 次に、県立救急医療センターの設置についての二点を一括してお答え申し上げます。
 紀南地域、特に新宮保健医療圏における救急医療体制の整備充実につきましては、かねてから紀南地域の多くの方々から要望をいただいているところでございます。心筋梗塞、脳卒中などの重篤救急患者に対応する救命救急センターの三次救急医療につきましては、厚生省指導基準が、人口百万人に一カ所、特例としておおむね人口三十万人以上の二次医療圏で一カ所となっており、和歌山市内に設置されてございまして、紀南地域に設置することは非常に難しい状況でございます。そのため、県といたしましては、新宮市民病院を含めた救急医療体制について、二次救急医療として救急告示病院や休日・夜間における病院群輪番制参加病院を充実するよう働きかけるとともに、広域的な取り組みをしてまいりたいと考えてございます。
 なお、紀南地域で重篤救急患者が発生した場合には、県防災ヘリコプター等による広域的な救急搬送を活用し、対応することとしております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十四番金田 眞君。
○金田 眞君 再質問をさせていただきます。
 新宮港第二期整備事業について、先ほども触れたように第二期整備後の計画貨物量は全体で百八十七万トンと想定されており、一昨年の取扱量九十四万トンの約二倍です。それを取扱品目別の内訳で見てみますと、原木十八万トン、チップ七十二万トン、砂・砂利四十九万トン、セメント二十五万トン、フェリー十九万トン、その他四万トンと計画されております。このことから、数字でも明らかになることは、原木の計画は昨年の実績十六万トンに対して十八万トンですから、比較しても大してふえていません。しかしチップについては、昨年の取扱量五万トンに対して将来の想定貨物量の計画では七十二万トンであり、何と十四倍にふえると予想されており、まさにチップの増加に大きく依存する計画ではないでしょうか。当局の見解をお聞かせください。
 また、第二期整備事業が計画され始めたころは、まだ巴川製紙が閉鎖されていないときでありましたが、閉鎖された現在、チップの将来の想定貨物量を七十二万トンと計画したのは、三重県の製紙工場が外航船によって大分の港から入港したものを内航船に積みかえて三重県の専用岸壁まで運んできているその分を見込んでいるのだと思います。それはあくまでも調査したときのことであり、何ら企業との確約もとれていないのではないでしょうか。また、三重県の一企業が利用するために和歌山県が膨大なお金をつぎ込むようなことになるのではありませんか。この二点について土木部長のご答弁をお願いいたします。
 次に、新宮市が県のごみ処理広域化計画で策定された固形燃料化施設や燃焼施設の計画を白紙に戻し、RDF化施設だけでなく幅広く探っていくと方向づけられていますので、固形化にこだわることなく県も柔軟に対応されることを、これは要望いたします。
 同和問題については、その答弁を決してよしとするものではありません。また、納得したものでもありません。が、今回は総論的な質問でしたので、次回は各論から同和事業の終結について改めて質問させていただくことにいたします。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 新宮港第二期整備事業の計画取扱貨物量の需要予測についてのお尋ねですが、そのうち特にチップにつきましてお尋ねがありました。
 チップにつきましては、輸送コスト削減を図る製紙業者の企業ヒアリングより推計しております。チップの企業ヒアリングを行いました部分は、新宮港のチップ需要は本港背後の製紙工場を主として考えているというところでございます。平成九年には米国よりチップ三万七千トンを輸入しているというような実績もございまして、それらを小型船に積みかえて四国へ搬出している状況もありまして、そういった状況も加味してこの推計を行っているところでございます。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 三十四番金田 眞君。
○金田 眞君 申し訳ございませんけれども、私の聞いたことについて的確に答えていただいていないと思います。再度ご質問いたします。
 その計画について調査されたということですけれども、確約等についてはとれているのかということを質問しております。そのことについて明確にお答えを願いたい。
 また、三重県の一企業に対して行うことについてはどう考えているかということもお尋ねをいたしました。そのことについても明確にお答えを願いたいと思います。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 計画取扱貨物量の需要予測について、先ほどもご説明しましたとおり、確約というものではなくて、ヒアリングという形で予測をさせていただいているわけでございます。
 それから、一社というようなことで物を考えているかというお話です。先ほどもご説明しましたけれども、平成九年には米国よりチップ三万七千トンが輸入されており、それを四国方面へ搬出しているという状況もありまして、一社だけとは考えていないというところを申し上げたところでございます。
 以上です。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、金田眞君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十八分散会

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