平成11年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(木下秀男議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 知事から、体調不良のため、本日午後から七月二日までの会議を欠席したい旨の届け出がありましたので、報告をいたします。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十三番木下秀男君。
  〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 議長からお許しをいただきましたので、質問に入りたいと思います。ただいま議長からのご報告がありました、知事、体調不良のための欠席という中で質問するのを少しためらう点もございましたけれども、私どもは統一地方選挙の洗礼を受けて初めての議会でもありますし、前半の二年目は二十世紀の最後を飾る締めくくりをする年であり、残りの二年間は二十一世紀の前半の扉を開く役目をするのが我々の務めだということで、本日の質問に私は県全体においての最重要課題ということで取り組んでまいりましたので、予定どおりの質問を行ってまいりたいと思います。
 まず、和歌山下津港埋立計画についてであります。
 和歌山下津港本港沖地区の埋立計画につきましては、一昨年の平成九年十一月、国の審議会におきまして景観面からの意見を受け、昨年五月から、知事を先頭に、和歌山県がこの問題の早期解決に取り組まれているところであります。
 現在、我が国の経済は非常に厳しい状況にあり、本県も例に漏れず、阪和銀行、県信、浅川組など大型の倒産が相次いで起きました。こうした中で、鉄鋼を初め、県の地場産業である木材、繊維、化学、精密機械、和雑貨などには、アジアはもとより世界に誇れる産業を抱えており、今後こうした企業がさらに競争力をつけ、厳しい経済状況の中で事業を展開できるよう、行政としても地域経済の活性化の観点から応援していく必要があるものと考えます。県内企業の原材料の輸入、製品の輸出は大部分を大阪、神戸に依存しており、長距離輸送を余儀なくされておりますが、和歌山下津港から直接輸入することになれば、輸送コストが下がり、産地間の競争力を高め、業績を維持拡大できることとなり、雇用の確保にもつながると思うのであります。
 港湾整備は、長期間の年月を要するため、十年後、さらに施設完成後の利用をも考えると、二十年先を見通して早い段階で計画を立てていく必要があると言われております。海運立国である日本が急速にアジアの中でも地位低下を来している原因の一つは、かつて日本の大手船主の意向を聞き、余り大きな水深の岸壁が必要ないということで大きなコンテナ施設をつくってこなかったためにおくれをとったのだと言われております。しかし、結局のところ、船の大型化で日本の施設では対応できなくなり、国策として港の整備を図ってきたアジア各国におくれをとってしまったという苦い経験があると聞きます。
 私は、今日まで、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シンガポール、香港、上海、中国の深せん、韓国の仁川、これらの港を視察してまいりました。各国の港湾施設を見て、和歌山下津港の整備促進を痛感したものであります。和歌山県は、昭和四十年代からモータリゼーションの時代に入り、半島に位置するという不利な条件のため経済で立ちおくれてきましたが、かつては海洋立県として港を中心に栄えてきた歴史があります。紀伊水道からは太平洋に通ずる地理的好条件に恵まれた位置にあり、大部分を海に面した本県の今後の発展を考えると、道路網の整備と連携しながら、港を生かすことが最も重要であると考えるものであります。また、日常生活を営む上で、公共下水道や道路などの生活基盤の整備が必要でありますが、こうした整備を行おうとすると、一方では建設残土が発生します。この問題は避けて通るわけにはまいりません。本港沖の埋立計画は、こうした建設残土を埋立土として有効活用をしようとするものであります。この計画では約一千万立方メートルの量が入ると聞いておりますが、この土を仮に大阪湾フェニックス投棄場に持っていったとすれば約三百億の費用がかかると聞いております。これだけでも、埋立事業ができるのではないでしょうか。まさに、一石三鳥の計画であると思います。
 一部報道によりますと、雑賀崎の万葉の景勝地を守れというような記事もございましたが、五月十五日の委員会で景観上容認できるとされた最終案は、雑賀崎沖ではなく、北に離れた本港の中央部の沖合であり、文字どおり本港沖であります。委員会に出された完成予想図を見ても、背後地の住友金属や建設予定の和歌山発電所などの工業地帯をカバーすることになり、景観上問題がないと思います。
 和歌山下津港本港沖地区計画は、地方にとっては夢のある計画であると思います。今、国では効率を優先させる余り、都市型の公共事業への重点配分をという声が出ていると聞いており、地方の港湾整備については、国からますます厳しい抑制の声が出てくるものと考えられます。効率だけを考えれば、同じ一億円を投資するのに、和歌山市の四十万人よりも百万人、二百万人といった大都市の方が効率がよいのに決まっております。しかし、これでは地方の切り捨てにつながります。地方でも、国民として同じように福祉、文化、教育を享受する権利があり、若者の流出を食いとめるには雇用の確保が必要であり、またそのための基盤整備も必要であります。特に和歌山市は、県都として県全体の活力の牽引車としての役割と責任があり、そのためには都市機能、産業機能を充実させ、人々が集い、交流し、にぎわいのある都市をつくっていくことが大事であると考えるものであります。和歌山下津港は大阪湾の玄関口に位置し、目と鼻の先を大型船が往来しているわけでございますから、和歌山県としてはこの絶好の立地条件を生かさない手はありません。東京一極集中が進む中で、ますます大都市の整備が優先されようとしておりますけれども、県勢のさらなる自立発展のために、県民一丸となってこの計画を強力に推進していく必要があると考えております。
 去る六月二十一日に開催されました地方港湾審議会におきまして和歌山下津港湾の一部変更の審議がございましたが、最終的に挙手による採決をいたしましたら圧倒的多数で承認されました。これで、下津港湾建設に大きく弾みがついたと考えます。
 そこで、県としてこれからの取り組みについて、見直しをしてきた港湾整備を通じて和歌山県の発展にかける県の決意を伺うものであります。
 次に、和歌山下津港本港沖地区計画変更のスケジュールをお聞かせいただきたいのであります。
 もう一点は、この計画変更については賛否両論があります。県としていろいろな意見を聞いておると思いますけれども、今後、本事業実施に向けての進め方についてお伺いするものであります。
 この三点について、副知事からの答弁を求めます。
 次に、梅生育不良についてであります。
 この梅生育不良の件につきましては、これまでも多くの議員から質問があり、県の取り組みをただしてきたところでありますが、いま一度原点に立ち返って質問をいたします。
 まず、平成九年度の和歌山県産農業粗生産額は千三百四十三億四千万円であり、そのうち果実は七百十億二千四百万円、総額に占める割合は五三%であります。この内訳は梅が二百五十九億六千万円で、今まで主産であったミカンを抜いてトップに躍り出て、名実ともに和歌山県の特産物となりました。しかし、好事魔多しと申しますか、生育不良、立ち枯れという大異変が起きてまいりました。
 生育不良については、昭和六十年ごろ、田辺市の石神梅林で発生したのを皮切りに、日高地方では平成二年ごろ、南部川村高城の市井川地区で生育不良の症状が見られております。その後、地域的な広がりを見せ、平成十年の調査では、発生本数も十一万三千本を超えるに至っております。中でもここ二、三年、南部町の岩代パイロットを中心に急激な発生が見られます。私も、先日来、議会の農林水産委員会の皆さん方と、また塩屋の暖地園芸センターの皆さん方と、印南町の切目川筋、南部川筋の各梅園を約一週間にわたって見て回り、農家の悲痛な声を聞くとともに、一日も早い原因究明と樹勢回復対策の確立への思いを強くしたものであります。
 この間、県議会といたしましても、県当局と一体となって国に対し梅関連予算の確保を初め、技術的な支援対策等について協力要請を行うとともに、私が議長当時にウルグアイ・ラウンド議員連盟の中に梅産地の地元議員で結成するうめ部会をつくり、積極的な取り組みを行ってきたところでございます。その結果、厳しい財政事情の中で梅関連予算は大幅に増額され、調査研究機材も充実し、さらに本年四月から全国で一カ所、国の指定試験制度の適用を受け、優秀な研究スタッフの派遣を受けるなど、生育不良問題解決に向けて一つの光明を見出したと考えております。しかしながら、農家の皆さんを初め、県及び関係機関の懸命の取り組みにもかかわらず、依然として生育不良は拡大の傾向にあります。平成十二年度の衰弱症の統計では、あっと驚くほどの数値が出るのではないかと予想されております。これらの件について農林水産部長にお尋ねいたします。
 生育不良問題について、当初からいろいろの原因説が出されております。大気環境説、栽培管理説、気象要因説、病原菌説、土壌劣悪説等々ございます。県としても、暖地園芸センターや普及センターが中心となって原因究明や樹勢回復試験等に懸命に取り組まれておりますが、これまでの取り組み状況とあわせ、生育不良の発生メカニズムについてどのように考え、今後どのように対応されるのか、お伺いいたします。
 また、農家の皆さんの中に、御坊火力発電所に強い懸念を持つ厳しい声がありますが、大気環境要因に関連して現地で──これは田辺市の秋津川であります──暴露実証試験を実施されておりますけれども、その結果はどうであるのか。なお、どのような視点から再度暴露試験を実施されているのかをお聞かせ願いたいのであります。
 一方、生産農家から、御坊火力のばい煙を直接暴露してほしい、またこれに関連して、生育不良となった樹体の成分分析をしてほしいという要望もございますが、県はこの点についてどのように考えておるのか。これらについての答弁を求めます。
 ほかに、かん水、新品種開発、客土、苗床、改植、パイロット事業による借入金の返済と金利、消毒薬と土壌の関係、さらに公害を防止するという意味からの梅干し産業におけるゼロエミッション──これは産業廃棄物をなくす施設をつくることでございますが──これらの多くの問題がございますけれども、この件につきましては農林水産委員会で取り組んでまいりますので、ここで省きます。
 いずれにいたしましても、梅の生育不良問題は緊急かつ重要な課題でありますので、県当局の積極的な取り組みを期待して、この項の質問を終わります。
 最後に、ゴールドプランと介護保険についてであります。
 午前中に江上議員から細部について質問がございました。重複する点もあるかと思いますが、私なりに質問をいたします。
 このゴールドプランと介護保険については、前に一度、中間的な形で質問をいたしておりますが、実施が来年度、平成二〇〇〇年と迫りましたので、改めて質問するものであります。
 私は、この四月の統一地方選挙を議員生活二十年の大きな節目と認識して選挙区内を隅々まで回り、多くの人々と触れ合い、今、政治に課せられた問題は何であるかということを探りました。多くの課題がございますけれども、まず一番必要なこと、そして早くしなければならないのは高齢者対策であると感じたのであります。今まで、高齢者と言えば過疎地、僻地の地域と認識しておりましたが、なかなかどうして海岸の町にも、五千人、六千人ある町の真ん中にでもたくさんの高齢者がおります。今、高齢者と言われる七十歳から八十歳の方々は、五十余年前、日本国の敗戦という廃墟の中から、再建に復興にとすべての青春をかけて今日の日本の発展の礎となって頑張ってこられた方々であります。この高齢者に、生きる喜びを少しでも感じてもらえるような社会や制度をつくる必要を痛切に感じたのであります。私の公約の一つとして、これからは積極的に取り組んでまいる所存であります。
 一九八〇年代後半に我が国の高齢化が急速に進み、二十一世紀初めには国民の四人に一人が老人という超高齢化社会になると予測されております。これらのことを背景にゴールドプランを策定し、介護保険制度の導入を図るものでありますが、その実施が来年の四月からであります。これらの福祉施策の宗家である厚生省の中に、「難航三兄弟」という言葉が頻繁に使われているそうであります。それは、年金、医療保険、介護保険の三つの改革のことであります。このままならば、年金の給付減、負担増が避けられない年金制度の改革、医療費の増大にあえぐ医療保険の改革、福祉に市場原理を持ち込む介護保険の導入等々、これらの解決は非常に難しいことであります。実施直前に当たって、中央における政党間や関係団体の中で議論百出し、調整が手間取り、介護保険見直しの動きも次々と起こっておるようであります。このような中で実施に向けて作業を進めなければならない地方自治体が大変困難であると思うのでありますが、次の六点について部長の答弁を求めます。
 まず一点は、ゴールドプランに七項目にわたる計画がございます。この七計画の整備状況について。
 それらを実施するにおいての自治体における格差はないのかどうか。
 さらに、介護保険の保険料によって運営は可能かどうか。
 また、介護保険の基盤整備、中心になるのはヘルパーであろうと思いますが、このヘルパーの人材確保について。
 また、介護保険の対象者となるための認定についてでありますが、これの公平性について。
 最後に、介護保険導入について実施延期を求める自治体が和歌山県下にありやなしや。
 この点についてお伺いをするものであります。
 以上、三点について質問をいたしました。
 これをもって私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 木下秀男議員にお答えいたします。
 和歌山下津港埋立計画の三点についてお答えいたします。
 まず、港湾整備にかける県の決意についてでございます。
 この本港沖埋立計画については、県行政の最重要課題の一つとして計画の変更を早期に図るべく、昨年来、全力を挙げて取り組んできているところでございます。自然を守るということについては、県としては重要課題として従来考えているところでございます。しかし一方で、半島に位置し、大部分を海に囲まれた本県にとって、港を生かすということは県勢浮揚の原動力であるとの信念を持っています。特に、全国でも二十一港の特定重要港湾の一つに指定されている和歌山下津港は、大阪湾のゲートウエーに位置するとともに、県都和歌山市の玄関口でもあり、京奈和自動車道や高速交通体系と相まって、元気ある和歌山を支える基盤として、ぜひとも整備する必要があると考えております。今後とも、議員各位のご指導を得ながら、計画の推進をしていきたいと考えてございます。
 次に、港湾計画のスケジュールについてでございます。
 昨年五月から一年をかけた景観面の検討が五月十五日に終了し、景観上容認できるとの委員会結論を得、その後六月二十一日に地方港湾審議会を開催し、審議をしていただいた結果、了承されましたので、運輸大臣に港湾計画を提出いたしました。今後、七月の国の港湾審議会で審議をしていただきたいと考えてございます。
 次に、事業実施に向けての進め方でございます。
 今後とも、県民の方々に今回の和歌山下津港本港沖地区計画についてその必要性をより理解していただけるよう地道な努力を積み重ねていくとともに、事業実施に向けては関係地域の方々のご意見を反映できるようよく話し合いをさせていただきながら、よりよい港湾整備を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 梅生育不良問題につきましてご答弁いたします。
 梅の生育不良問題につきましては、県の農業行政の最重要課題であり、深刻な問題と考えております。依然として生育不良の発生が拡大している状況や昨年の中間報告、先日の第五回県うめ対策研究会での農家の皆さんの厳しい意見も伺っておりまして、こうしたことを十分踏まえまして今後とも懸命に取り組んでまいる所存でございます。
 まず、梅の生育不良の発生メカニズムについてでございますが、これまでの研究成果や現地実証の結果を踏まえ、去る五月の県うめ対策研究会の委員の方々から、生育不良の症状は最終的に同じであっても、発症過程の中で、土壌、気象、栽培面などさまざまな要因が複雑に絡み合っていると指摘されたところであり、今後さらに研究を積み重ねてまいりたいと考えてございます。
 次に、現地暴露実証試験につきましては、農家の強い要望もありまして昨年より実施しているところでございます。昨年の成績では、一部落葉はあったものの現地で発生している生育不良の症状は認められておりませんが、本年はより多くのデータを得るため、二酸化硫黄、二酸化窒素、オゾンの濃度設定を変えて、二月から再度暴露実証試験を行ってございます。
 また、御坊火力発電所のばい煙を直接用いて暴露試験を行うことにつきましては、サンプリングの際のばい煙の状態を維持したまま行うことなどが技術的に困難であると考えてございます。
 次に、ばい煙に関与した樹体の成分分析につきましては、さきの第五回研究会での専門家の見解によりますと、ばいじんは葉からの吸収は考えられず、根からの吸収では土そのものの成分はもとより、肥料、農薬、潮風などから供給されることもあって、大気に限定した吸収量は測定できないとのことから、科学的な調査ではないと認識してございます。今後は、暴露実証試験など原因究明のための調査研究を急ぐとともに、これまでの成果を取りまとめた栽培管理マニュアルを基本に、園地実態に応じた総合実証園の設置を検討することとしてございます。
 また、農家が行う土づくりや改植を支援するうめ樹勢回復実証モデル事業を実施するなど、樹勢回復対策に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) ゴールドプランと介護保険についての六点にお答えを申し上げます。
 まずゴールドプラン七計画、すなわち現行の新ゴールドプランにおける高齢者介護サービスの基盤整備についてでございますが、県老人保健福祉計画の平成十年度末での進捗状況については、ショートステイで一一四・三%、訪問看護ステーションで一三二%、特別養護老人ホームでは一一七・八%と、既に目標を超えているところであります。一方、ホームヘルプサービスで六四・六%、デイサービスで七〇・三%、在宅介護支援センターでは五八・八%であり、目標達成には至っていない状況でありますが、平成十一年度末までの残された期間、引き続き市町村とともに努力してまいります。
 介護保険導入後のサービス基盤については、現在、各市町村において民間活力によるサービス供給の可能性を見据えながら必要見込み量の算出に当たっているところであります。県といたしましては、こられをもとに新しい県老人保健福祉計画及び介護保険事業支援計画を策定することとし、あわせて新計画に基づいた整備充実を図っていくところでございます。
 次に、各自治体における計画進捗状況の格差についてでございますが、現老人保健福祉計画の進捗状況につきましては、地域により、あるいはサービスの種類により差が生じているところでございますが、現計画最終年度に際し、各市町村に対し目標量の達成に一歩でも近づくよう一層の努力を促しているところでございます。現在、市町村においては平成十二年度からの新計画のサービス見込み量を算定しているところですが、県全体でバランスのとれた計画となるようヒアリング等を行いながら調整を図っているところでございます。
 次に介護保険の保険料運営につきましては、必要な費用が安定的に確保されるような工夫がなされております。まず、介護給付費の五〇%は公費負担、三三%は第二号被保険者の保険料で賄われる介護給付費交付金により、合わせて八三%が基本的に確保されることとなります。
 なお、後期高齢者の加入割合や所得状況の相違による市町村間の保険料負担の格差につきましては、調整交付金により全国平均を基準に調整されることとなります。
 また、保険料の滞納が発生した場合の財源不足につきましては、県に財政安定化基金を設置し、市町村に対し交付または貸し付けを行うこととなります。こうした介護保険財政の運営の仕組みの中で、だれもがひとしく保険料を負担するという保険制度の趣旨の周知を図り、県民の皆様のご理解とご協力をいただくとともに、市町村財政負担への支援措置を引き続き国へ積極的に要望してまいります。
 次にホームヘルパーの確保につきましては、研修機関を拡充し、養成を行っているところであります。今後も、引き続き養成を図りながら、介護保険制度に基づく人的需要に対応してまいりたいと考えてございます。
 また、在宅福祉を充実するためには、ホームヘルプサービスだけでなく、高齢者を地域全体で支え合うことが重要であると考えてございます。このため、ボランティア活動等を積極的に活用するなど、住民参加の福祉体制の確立に向けた取り組みを図らなければならないと考えてございます。このことから、ことしワンデイ・ボランティア事業を実施し、高校生、企業職員、県職員などによるボランティア活動を展開し、地域福祉活動の意識啓発を図るところでございます。
 次に介護認定につきましては、行政内部だけの判定ではなく、第三者機関として設けられる介護認定審査会において、保健、医療、福祉の専門家の合議により審査判定されることになります。さらに、認定審査会の原案となる一次判定につきましては、昨年実施したモデル事業での問題点が国において改善されており、この夏、本番に向けて提示される全国共通のコンピューターソフトを使用し、全国統一の基準で行われることで認定の平準化が図れることになると考えております。また、介護認定審査会委員の資質向上のため研修を実施し、要介護認定が公平、公正になるように努めてまいります。
 なお、地域によっては介護認定審査会を共同で設置し、広域的に審査判定を実施することにより、市町村間の均衡がより一層図れるものと考えております。
 最後に、本年度は県内各市町村におきましても、大幅に組織体制を充実し、鋭意準備事務に取り組んでいるところであります。また、これまでの市町村との意見交換の中では、おおむね順調に推移しているものと考えてございます。県といたしましても、今後とも市町村と協力しながら、予定どおりの施行に向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十三番木下秀男君。
○木下秀男君 まず、農林水産部長であります。今日までの各地の状況やら生産者の皆さんからいろいろとそれぞれの提言のようなものがございますが、やはり現地におる皆さん方の、疑わしきものについては徹底的に解明をするように、これが一番必要であろうと思います。
 それから、介護保険でありますけれども。
 これは、お金も要ります。施設も要ります。しかし最後は、生きたお年寄り、生きた人間に接するのはボランティアであります。このボランティアの充実なくして、介護制度というものの実はとれないと思います。そういう意味で、先ほど公務員がボランティア活動をという答弁もございました。
 ここで私見を申し上げますが、公務員は今まで週六日あったわけですが、五日制になりました。土曜日と日曜日は休みです。そういう意味で、せめて一日を割いてボランティア活動に参加するという、そういう公務員として積極的な参加をする方法も検討していただきたい、これは要望でございます。
 最後に、知事が体調不調ということで午後から休暇をとられましたが、どの議員の皆さん方も申しますように、大変厳しい県政の状況でございますから、知事不在中には高瀬副知事を筆頭にして、今日まで以上に結束した、県民に対する奉仕はもちろんでございますけれども、行政におくれをとることのないよう最善の結束と努力をされるように要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下秀男君の質問が終了いたしました。

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