平成11年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十一年六月 和歌山県議会定例会会議録 第二号

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議事日程 第二号
 平成十一年六月二十三日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第八十六号から議案第九十五号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第八十六号から議案第九十五号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十七人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       松   本   泰   造
     五  番       阪   部   菊   雄
     六  番       堀   本   隆   男
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       大   沢   広 太 郎
     十二 番       木   下   善   之
     十三 番       宇 治 田   栄   蔵
     十四 番       尾   崎   要   二
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       谷   本   龍   哉
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       永   井   佑   治
     二十 番       谷       洋   一
     二十一番       小   川       武
     二十二番       高   瀬   勝   助
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       山   下   直   也
     二十六番       玉   置   公   良
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       野 見 山       海
     二十九番       吉   井   和   視
     三十 番       向   井   嘉 久 藏
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       江   上   柳   助
     三十四番       金   田       眞
     三十五番       森       正   樹
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       新   田   和   弘
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       大   江   康   弘
     四十一番       高   田   由   一
     四十二番       中   山       豊
     四十三番       飯   田   敬   文
     四十四番       鶴   田   至   弘
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       村   岡   キ ミ 子
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         西   口       勇
     副知事        高   瀬   芳   彦
     出納長        中   山   次   郎
     理事         藤   谷   茂   樹
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     生活文化部長     大   井       光
     福祉保健部長     小   西       悟
     商工労働部長     上   山   義   彦
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       白   井   保   世
     教育委員会委員    赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   高   垣       宏
     警察本部長      樋   口   建   史
     人事委員会委員長   若   林   弘   澄
     代表監査委員     宮   市   武   彦
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       新   谷   哲   朗
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       佐   竹   欣   司
     議事課副課長     井   田   光   三
     議事班長       松   谷   秋   男
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       西   野   光   彦
     調査課長       湯   川       忠
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課速記技師    保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第八十六号から議案第九十五号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第八十六号から議案第九十五号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十五番宗 正彦君。
  〔宗 正彦君、登壇〕(拍手)
○宗 正彦君 おはようございます。
 ことしの春改選されまして初めての平成十一年度六月定例県議会におきまして、冒頭、自由民主党県議団を代表して質問の機会を与えてくださいましたことに対しまして、まず心からお礼申し上げたいと思うわけでございます。
 さて、私は、西口知事に対しまして、知事が描く県勢発展のビジョンと知事の和歌山県政に対する姿勢、並びに引き続き第二期県政を担当してくれるかどうか、そのご意思についてお伺いするものでございます。
 世紀の変わり目にあると同時に、ミレニアム、千年紀のまことに大きな時代の変わり目であって、我が国は歴史的な大転換期を迎えております。世界が一体化し、人、物、資金、情報が自由に行き来し、戦後は我が国の発展を支えてきた経済社会システムが、むしろ我が国の活力ある発展を阻害する要因となっていることが明らかになってきました。さらに、我が国は本格的な少子高齢化社会を迎えつつあって、人々の価値観と生活様式が大きく変化してきました。
 こうした大変な時期でありますが、一極集中の国土づくりから地方分権へ、物づくり中心から心の時代へと、二十一世紀に向けて社会経済システムが着実に変わりつつある中、我が和歌山県が有する豊かな歴史、文化、恵まれた自然など、地域の個性を生かし、進取に富む県民の英知を結集することができるならば、二十一世紀は和歌山県の時代になると私は確信するものでございます。
 戦後の我が和歌山県政は、小野真次知事、大橋正雄知事、さらに仮谷志良知事、そして西口勇知事に引き継がれてまいりました。この間、戦後の難局や打ち続く大風水害、あるいは高度経済成長後の公害問題やオイルショック、さらに半島性からの脱却、そして今日のバブル経済崩壊後の低迷等、幾多の苦難を乗り越え、知事を先頭にして敢然として立ち向かってきたところでございます。
 さて、顧みますると、四年前、西口知事は「変革と発展」を掲げ、それまでの四十年余にわたる行政実績をもとに、県民の大いなる賛同を得て知事に当選されました。三千に余る集会で県民と直接話す機会を得たことが政治家・西口勇をさらに大きくし、初登庁の日、日焼けした顔は戦後第四代の知事として自信にあふれていたことがとても印象的でございました。知事就任後は一貫して県民に心を開き、和歌山県に自信と誇りを持とうと強く訴えてこられました。各地で精力的に対話する知事の姿そのものに、自信と誇りを感じ取られる県民が多かったことと思うのでございます。
 輝きある和歌山県政を進めてこられた西口第一期県政は、数々の施策で着実に実現に向けて力強く進行中であります。道路整備を初めとする交通体系の整備や健康福祉施設の整備、あるいは人づくりなど、大きな成果をおさめております。我が自由民主党県議団は、こうした西口県政を盛り上げ、成果を上げるべく、知事を支え、ともに懸命に努力をしてまいりました。そして今、ここに新しい時代に向けて大きく踏み出した西口県政の軌跡を明らかにしつつ、次期県政への展望を伺うものであります。
 県民が最も強く望まれているのが、交通体系の整備であります。湯浅御坊道路が開通し、国道三百十一号の全線改良で大幅に時間が短縮され、県内二時間行動圏の確立に向け大きく前進いたしました。近畿自動車道紀勢線は海南─吉備間が四車線への施行命令、御坊─南部間が起工、南部─田辺間は中心くい打ち式、田辺─白浜間が施行命令、那智勝浦道路が起工、また新宮までの計画がつながったことで、紀伊半島一周の高速道路が一気に現実のものとなりました。また、京奈和自動車道の橋本道路が起工し、紀北東道路も都市計画決定されるなど、新しい全国総合開発計画に明記されました紀淡連絡道路と結ぶことによって関西の大環状道路ができ、広域連携ハイウエーネットワークの形成が可能となりました。紀淡海峡大橋など世紀のプロジェクトを進めるとともに農林道や生活道路についてもきめ細かく積極的に整備されましたことは、地域の実情に大変明るい西口知事ならではと評価するところでございます。
 道路整備を進める一方で、西口知事が和歌山県の道路整備は効率性や経済効果だけで論じるべきでなく福祉施策の性格があると洞察されたことは、国の道路行政にとって大きな一石となりました。また、道路整備不要論に対して新聞への投稿などを通じて反論され、全国各地方の国民に拍手で迎えられ、たたえられたことを忘れることができません。すなわち、こうした西口知事の主張、行動は、我が県民にとりましてまことに頼もしい限りだと存ずる次第でございます。
 鉄道では、JR紀勢線の高速化事業が完成し、新宮─新大阪間で時間の短縮、海南の高架化では立体交差により交通渋滞が緩和されました。南紀白浜空港はジェット化開港し、さらに中型ジェットに対応する走路二千メートル化開港も間近になってまいりました。また、ベイフロンティア構想の推進、日高港や新宮港二期事業の起工と、次代を担う港湾機能の強化が図られました。和歌山下津港の埋め立てに関しましては、景観に最大限配慮する中で、港を核とした開発により和歌山県の経済発展に寄与するものと考えるのでございます。
 情報基盤の面では、いち早くインターネットに県のホームページを開設し、国内外に情報を発信するほか、テレビ会議に取り組むなど、マルチメディアを使ったコミュニケーションを推進されました。知事自身がインターネットを活用し、テレビ会議を実践されたところに大きな意味があると思います。
 暮らしづくりについて見ますと、和歌山県立医科大学の統合移転整備は本県の医療行政の中で特筆すべき大事業で、長く後世に伝えられるもので、知事初め大学関係者のご努力に対しまして衷心から敬意を表するものでございます。また、健康・福祉の拠点施設となる和歌山ビッグ愛が完成し、県立高等看護学院の移転整備も完了いたしました。高齢者、障害者などの各種施設の充実が図られるとともに、障壁のないバリアフリーの町づくりを目指す福祉のまちづくり条例を制定され、県庁本館等のエレベーターの設置など、着々と整備を進めていただいております。知事はこの条例のことを「つれもていこら条例」と呼ばれていますが、言い得て妙といいますか、福祉の町づくりをみんなでやっていこうという、県民すべてに対する温かい知事の心情が伝わってまいります。
 さらに、少子化に対応する喜の国エンゼルプランの作成や同和問題を含む人権尊重社会の実現を目指す「人権教育のための国連十年」和歌山県推進本部の設置など、どんな立場にある人も住んでよかったと言える和歌山県づくりに取り組んでこられました。
 また、人と自然が共生することのできる豊かな環境を守り持続的発展が可能な循環型社会が求められている中で、県環境基本条例を制定されるなど、自然環境、地球環境、廃棄物対策に精力的に取り組まれ、新たにネイチャーフレンドシップ運動を展開、推進されました。
 次に、教育、文化、スポーツなど、人づくりについてでございますが、和歌山大学のシステム工学部や近畿大学生物理工学部の充実など高等教育機関の機能向上に尽力され、放送大学和歌山学習センターの開所など生涯学習の充実にも力を注いでこられました。
 日高高校中津分校野球部の甲子園出場は全国に分校旋風を巻き起こしましたが、これを契機に全国高校分校サミットを開催されましたことはまことに時宜を得た事業で、学校教育の全国的なネットワークを広げたばかりか、地域住民とともに地域づくりに取り組む機運を盛り上げることができたと思います。
 また、鯨の形を模した和歌山ビッグホエールの完成は潮吹きで話題を呼びましたが、これまで不可能だった大規模なイベントが可能になり、文化、スポーツ、産業の振興など、さまざまに利用されているところでございます。ビッグホエールで開催されました第一回CIOFFアジアこどもフェスティバルはアジアで初めての事業で、文化、教育、国際理解に絶好の機会を提供するなど、青少年の健全育成に大きく貢献されました。また、知事発案のまちかどミュージアム事業では地域の美術家、彫刻家などの作品の展示が図られるなど、地域に身近な文化が尊重されつつあります。
 次に産業についてでございますが、バブル崩壊後の不況の波は本県産業にいち早く、また大きく伝わったところでありますが、知事の指揮のもと、金融不安に対する危機管理体制の確立、融資枠の拡充など、迅速な対応で影響を最小限にとどめることができたと思うのでございます。県財政が極めて苦しい時期ではございますが、ことしの予算では十五カ月予算編成や元気予算の手法により、苦しい中でも積極予算を組み、景気回復に最大限の努力をしていただいているところでございます。
 これまでに工業技術センターの再編整備が完了し、インテリジェントパークには和歌山リサーチラボの社屋が完成し、研究施設の誘致も進んでございます。また、ベンチャー企業の総合的な支援や国際経済交流のための香港駐在員事務所の開設など、さまざまな場面で企業活動を支援され、わかやま産業博覧会の開催、海外物産展「紀州夢市」の開催など、新たな活力を生み出すビジネスチャンスを提供されました。
 農林水産業では、生産活動の基盤となる農道、林道、漁港関連道の整備に力を入れるとともに、災害被害発生時にも迅速な対応がなされたところでございます。また、高度情報化社会に対応して、農業情報ネットワーク全国大会を支援し、情報通信への意識を高めるとともに、人工衛星画像受信システムの導入により水産業の効率化にも寄与されたところでございます。また、木の国プロジェクトの推進など、県産材の積極活用にも工夫を凝らして取り組まれました。
 問題となっております梅生育不良につきましては、我々県議会でも強い関心を持って取り組んでいるところでございますが、有識者によるうめ対策研究会を発足させるとともに、国指定試験に基づく専門スタッフの加入など、原因究明に全力を傾注していただいております。
 これまで申し述べました各分野にわたる事業のほかに、ぜひ触れておかなければならないのは、西口県政の精神でございます。開かれた県政の推進でございます。
 数々ある中で幾つか紹介させていただきますと、初登庁のその日に設置されましたのが、ファクス、パソコンによる知事への提言システムの導入でありました。また、いわゆる動く県庁も精力的に実施され、議員も参加する中で、県民のさまざまな声を直接聞く場を設けられました。また、女性の感性を県行政に生かそうと女性一〇〇人委員会を設置され、これまで三期、三百人の方々を委員に任命されました。委員による提言がさまざまな形で行政に生かされるとともに、地域活動への参加意識が高められたところでございます。さらに、新しい県民運動は県民主導の中で「感動(CAN DO)わかやま21」が提唱され、新しい和歌山をみんなでつくる機運が盛り上がっているところでございます。
 ガラス張りの県政などと申しますが、文字どおり県庁各課室のドアをガラス張りへと即実行されました。知事が提唱されているスリーS、スピード・サービス・シャープの一端のあらわれと思うのでございます。行政と住民のパートナーシップが必要な今日、より一層の開かれた県政の推進が求められております。
 西口知事への期待はさらに高まっております。知事が提唱されたスローガンに二十一世紀の故郷(くに)づくりは新しい感覚と発想でというのがございますが、現在開催されておりますジャパンエキスポ南紀熊野体験博はまさに知事の新しい感覚と発想が生かされたものでございまして、二十一世紀のテーマである心を主眼に、自然、歴史、文化の地域資源を活用しながら、地域の方々が主眼となる新しい地域づくりを、これまでになかった博覧会という手法で全国に先駆けて実践されたわけでございます。まだ博覧会が終わっておりませんので総括的な評価はいたしかねますが、その理念の高い意義の深さに思い至るとき、私は大きな賛辞を送りたいと思うのでございます。
 また、この博覧会に先立って、知事みずからが博覧会の広告塔となるべく熊野九十九王子を踏破され、激務の間にもかかわらず二冊の本を出版されましたことは驚嘆に値するとともに、知事の博覧会成功にかける情熱に敬服いたすところでございます。その情熱は、遠くスペインのサンティアゴへの道と熊野古道の世界にまれな姉妹道提携となってあらわれたものと信じます。
 この博覧会のほかにも、輝けわかやま二十一世紀ふるさとづくり事業やふるさと未来づくり事業では、それぞれの地域が発展してこそ和歌山県の発展があるんだという精神に基づき、各地域の特性を生かし、創意と工夫を凝らした自主的な地域づくりを支援され、それぞれの市町村に大変喜ばれております。また、知事が提唱している紀泉百万都市構想推進のため紀泉サミットを開催されたように、府県間や県境を超えた市町村間の交流連携を推進、促進され、新しい地域づくりの方向を示されたところでもございます。
 以上、大変な時代にあっても躍動し続ける和歌山県を西口知事の実績を通じて検証してまいりましたが、新しい時代には新しい課題が生まれてまいります。その新たな課題に対応したビジョンとして、昨年和歌山県の新しい長期総合計画、わかやま二十一世紀計画を打ち出すとともに、本年三月にはこの長期計画に基づく第一期中期実施計画を策定されました。長期計画の副題、地球時代の故郷(くに)づくりが示すとおり、二十一世紀を地球時代と認識して世界に開かれた地域づくりを進め、世界都市関西の一翼を担う和歌山県を創造していくという力強い宣言をされています。あわせて、中期実施計画では太平洋新国土軸の整備促進を初めとした五十一の主要プロジェクトを打ち出し、県政全般にわたる道しるべを我々県民の前に具体的に示されたところでございます。来る二十一世紀には広域連携ネットワークの整備促進、新産業の創出・育成、安心で快適な町づくり、生き生きとした人づくりなど、ビジョンに示された政策を着実に実行していただくとともに、現下にある産業廃棄物などの環境問題、少子高齢化や介護保険など福祉の問題、学級崩壊など心の教育の問題等々につきまして、早急に県民にその方向を示し、対処していただかなければなりません。そして、ともすれば自信を失いがちな今日、知事が本年初め打ち出されましたわかやま元気宣言こそが県民の心から望むところのものであり、実効ある施策の実施が求められているのでございます。
 西口知事には、先見性に裏打ちされた政策、施策を実施する実行力、混沌とした時代が生み出す課題を解決する決断力、そして社会不安の中でも県民の先頭に立って勇気ある指導力によってゆとりと充実のある和歌山の世紀を創造していただきたく、どこまでも期待申し上げる次第でございます。西口県政の底流を流れる、和歌山県に住むすべての人々が住んでよかったと言える和歌山県をつくろうという西口イズムにより県民を勇敢にリードされんことを強く念願するものでございます。
 次期県政は、まさに新しい和歌山県の創造という重要な使命を背負っております。この使命を達成し、知事としての重責を全うできるのは、豊かな経験に支えられた手腕を有し、ふるさと和歌山県を思う情熱にあふれる西口知事、あなた以外に考えられないのでございます。
 伺いますと、既に知事のもとに県内各界各層、各地から数多くの知事選出馬要請が届けられ、推薦決議がなされていると承っております。これらの要請は、第一期西口県政の実績に対する県民の信任のあかしであり、知事あなたの誠実で偽りのない誠の心と真摯な姿勢に対する県民の信頼の発露であります。新しい和歌山県づくりへの抱負と二選出馬についての率直な決意の表明をお願いしてやまない次第でございます。
 私のつたない質問をこれで終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの宗正彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) ただいま、宗議員から私の実績につきまして身に余る高い評価のお言葉をいただきまして、まことに光栄に存じますとともに、恐縮をしておる次第でございます。
 今、宗議員からお話がございましたように、私は知事就任以来、今日に至るまで、私なりに走りに走って最大限の努力をしてきたつもりでございます。その間に、県議会の皆さん方を初め、県選出の国会議員の先生、また市町村長を初めとする県民各位の温かい励ましとお力添えがあればこそと、心から感謝を申し上げている次第でございます。
 段々の県政の経過などについては省略をさせていただきますけれども、今も覚えておりますのは、登庁した日に知事へのファクス、パソコンによる手紙の制度、あるいは女性一〇〇人委員会、あるいは動く県庁、あるいは県民の皆さんとのふれあいトーク、そういうふうなことで県下各地を走り回ったことが多く記憶に残っております。
 日本で初めて、アジアのこどもフェスティバルも和歌山で開きました。さらに、全国分校サミットなども和歌山県で開いたと。いろんな思い出がございまして、私は私なりに一生懸命にやってきたという記憶が十分あるわけでありますけれども、先ほどからお話がございましたように、県内各地から各界各層、数多くの出馬要請もいただいてございます。その方々も、私のその行動に対して評価をしていただいて、温かいお気持ちで出馬要請をしていただき、推薦をしていただいているんだと存じております。
 そういうふうなことで、本来ならば県民の期待に沿うべくこの場で出馬の意向を表明する予定にしておりましたけれども、正直申し上げまして、本年の四月から体調を崩しておりまして、お聞きのように若干言語の障害もまだ残っております。そういうふうな状況の中で、全体の体調というのは極めて不調でありますので、それを一日も早く回復しなければ出馬ということにはならないと、そういうことを正直に申し上げさせていただくわけであります。
 それで、次期の知事選挙への出馬の意向についてはきょうは明言を避けさせていただいて、少し休養をとらせていただいて──ほとんど休みなくいっているものですから回復の暇がありませんので、少し休養をとらしていただいて、その上で再び出馬するかどうかを皆さん方にご報告申し上げたい、そういうふうに思います。
 私は今、宗議員のお話にございましたように、県下各地からいろんな要請がございまして、その人たちは本当に無欲無心で言っておられるわけでありますから、その方々のためにも何としても和歌山の将来の発展のために身を賭して頑張っていかねばならんという気持ちは今も十分持ってございます。
 しかし、こういうふうな状況のもとで皆さん方に十分──私は弁舌は最も得意とするところであったわけですが、今はそういうふうなことで少し十分ご説明できないような状況のもとにありますので──ただまた一方では、そういうふうな障害を持っているような人たちがどんなに耐えて世の中を生きておるかということを考えると、私も簡単に引き下がっては申しわけないと、そういう気持ちも一方ではあります。
 ですから、少し余裕をいただいて、また再び元気になって頑張るという、そういうことまでお待ちをいただきたいと、そういうふうに思いますので、本日のお答えになったかどうかわかりませんけれども、私の率直な気持ちを申し上げて、しかし現在まで本当に私なりには走りに走ってやってきたと、そういうことだけをひとつ申し上げさせていただいて、決意の表明にかえさせていただきたいと思います。(拍手)
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、宗正彦君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
  三十三番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 ただいま議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 このたび、県民、市民の皆様のご支持をいただき、多くの先輩議員の皆様が営々と築いてこられた歴史と伝統ある和歌山県議会に初めて参画させていただきました。先輩議員の皆様、県当局の皆様にご指導、ご鞭撻をいただきながら、微力ではございますが、私の青年時代、多くの人々にお世話になり過ごさせていただいたこのすばらしきふるさと和歌山の県勢発展のため、県民福祉向上のため、一生懸命に取り組んでまいる決意でございます。何とぞ、よろしくお願い申し上げます。
 最初に、介護保険についてお尋ねいたします。
 和歌山市出身の作家の有吉佐和子さんは、一九七二年(昭和四十二年)、小説「恍惚の人」で痴呆性老人の介護問題を取り上げて世に警鐘を鳴らしました。翌年の一九七三年を「福祉元年」と言われて久しいわけであります。
 最近、還暦を前にした作家と妻が九十二歳と八十七歳の父母を介護する内容を描いた作家の佐江衆一氏の著書、小説「黄落」を読みました。おむつの交換、食事、入浴の世話、妻は介護に疲れ、腰痛になってしまい、作家も仕事が手につかない、自分の両親を妻に世話させている負い目もあり、いらいらが募り、夫婦仲は険悪になり、作家はついに離婚を決意します。小説の中で作家は、「私と妻は高齢の両親というハエ取り紙に絡めとられた蠅のようではないか。もがきながら、いがみあっている初老の蠅だ」と述べております。「黄落」は木の葉が黄ばんで落ちることでありますが、老いていくのは親だけではありません。
 厚生省の国民生活基礎調査では、寝たきりの高齢者を介護する人の三人に一人以上が六十五歳以上の高齢者であることがわかりました。高齢化が進み、六十代の人が八十代の親を介護することも珍しくなくなりました。一方、仕事をしながら高齢者の家族を介護した人の二割が仕事をやめていたことが、介護問題に関する厚生省の調査で明らかになっております。さらに、ひとり暮らしの高齢者、老夫婦のみの世帯もふえています。家族だけに頼る介護は限界に近づきつつあるのではないでしょうか。
 私は、何よりも高齢者が安心して年をとれる、家族が介護などに疲れることなく生きがいを感じながら幸せに生きていける社会、まさに「幸齢化」社会にしなければならないと思うわけであります。そのためにも、だれもが長生きできて本当によかったと実感できる豊かで活力ある高齢化社会を強力に推進しなければならないと考えるものであります。
 いよいよ来年四月から介護保険制度がスタートいたしますが、行政や施設関係者からは依然として「第二の国民健康保険になる危険が大きい」との指摘が続いております。また、利用者側からは、介護施設の整備やホームヘルパーなどのマンパワーの確保のおくれから要介護者の介護が追いつかない心配があり、「保険あって介護なし」との声が多く出されております。最近、国会の与野党内でも介護保険の実施先送りや見直し論まで浮上している現状であります。
 私は、保険原理の適用が適当ではないと言われる介護保障については、改めて税方式への転換の検討も進め、介護サービスを可能な限り同じ条件で受けられるようにすべきであると考えます。しかしながら、現在、来年四月の介護保険の実施に向けて県当局並びに県下市町村において準備が着々と進められておりますので、以下、五点について知事並びに関係部長にお尋ねいたします。
 第一点目は、介護保険の実施先送り・見直し論についてのご見解を承りたいと思います。また、高齢化率の高い本県では介護保険料の推計額は幾らで、保険料と介護サービスの地域間格差を解消する方策について何か妙案はあるのか、お考えをお聞かせください。
 第二点目は、本県のように都市部だけではなく過疎地域を多く抱え、しかも高齢化率三八%を超える古座川町、三七%を超える美里町などの地域を考慮すれば、要介護認定のための介護認定審査会は広域事務組合などの広域で実施すべきであると考えます。市町村介護認定審査会の広域化の現状と今後どのように広域化を推進するお考えか、お伺いいたします。
 第三点目は、介護認定審査会委員の報酬は、国の概算要求では一時間半で九千円、その二分の一が国庫負担であります。実際は、医師の審査会委員報酬は二時間で二万七千円、三万五千円とも言われております。国の基準を超える分は事務組合や市町村の持ち出しとなります。県で適正な委員報酬を指導すべきであると考えますが、いかがでしょうか。また、過疎地域での介護認定審査会委員の確保及び質を高めるための研修にどのように取り組まれるのか、お聞かせください。
 第四点目は、過疎地域でのケアプランを立てる介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーの確保とケアマネジャーの研修をどのようにされるお考えか。
 また、ホームヘルパーの本県の老人保健福祉計画における平成十一年度末目標量は一千五百二十四人であります。これに対して十年度末達成量は九百八十五人で、六四・六%の達成率であります。ホームヘルパーの達成及び潜在的な人材を掘り起こすためホームヘルパーの待遇改善にどのように取り組むお考えか、また二十四時間巡回型のホームヘルプサービスの体制はできているのか、お聞かせください。
 第五点目は、介護保険法案及び介護保険施行法案に対する衆参厚生委員会での附帯決議では、難病患者を含む若年障害者に対する介護サービスについて、介護保険給付と遜色のないものとなるよう障害者プランに基づきその拡充を図るとともに、その確実な達成のため、障害者基本法に基づく市町村障害者計画がすべての市町村で策定されるよう地方公共団体に対して適切な指導を行うこととしております。市町村障害者計画の策定状況と県当局の対応についてお答えください。
 以上、五点についてお尋ねいたします。
 次に、元気な和歌山づくりについてお尋ねいたします。
 知事は本年初頭、わかやま元気宣言をされました。平成十一年度の県予算で非常に厳しい財政状況の中、県勢活性化に向けて枠外要求を認める元気予算八十億円を計上されました。元気な和歌山を築いていくためには、過去の歴史と先人たちの知恵に学ばなければならないと思うわけであります。
 ここで、かつて運輸省におられた新井洋一氏が書かれた「港からの発想」という本の和歌山下津港のくだりの一部をご紹介させていただきます。
 「いま和歌山は──黒潮海道、東海海道、瀬戸内海道の──三海道が交わる枢要な場所として発展したその歴史的な経緯を踏まえ、海の可能性を取り込んだまちづくりを推進している。港湾では木材、鉄、石油、電力と日本の高度経済成長を支えてきた工業機能に加え、流通港湾としての機能の強化を図るべく整備が進められ、さらに、市民に親しまれる港づくり、にぎわいと交流の拠点づくりを目指し、スポーツ・レクリエーション施設の整備も急ピッチで進めている。──中略いたしまして──鉄砲、みかん、大がめ。──これは、鉄砲が種子島から本州に最初に着いたのが和歌山だと言われております。そしてミカンは、紀伊国屋文左衛門が江戸にミカンを東海海道を通して運びました。それから大がめ、これは人間が一人入るぐらいの大きさの備前焼のかめが根来寺からたくさん見つかりました。かつて、ここに菜種油を入れて全国の需要を満たしておったという歴史がございます──鉄砲は黒潮海道の、みかんは東海海道の、そして大がめは瀬戸内海道の、三海道それぞれの象徴的貨物であった。これらのものの間に脈絡はないようにみえるが、いずれも、港まちの経済・社会・文化を特徴づけ、その発展を促した、海からの大切な贈り物ではなかっただろうか。この三海道の拠点たる港まちの文化を次代に継承すべく、いまも新たな試みが行なわれている。」と記述しております。これらはかつて海の道、すなわち港によって和歌山が大きく飛躍発展してきたという歴史であります。
 現在、南紀熊野体験博が開催されておりますが、熊野古道は豊かな自然と歴史、文化の山の道とも言えるでしょう。戦後は陸の道、内陸開発重視の時代で、道路、鉄道を整備し、いかに東京との時間的な距離を短くするかということが最重要課題でありました。この陸の道づくりに本県がおくれをとり、国土幹線軸から大きくかけ離れてしまったため、本県発展の阻害要因となってきました。近年にかけては、空の道、飛行機の時代で、空港を整備してより速く人、物、情報の交流が促進される時代となりました。
 本県では、海の道のための港の整備が進められようとしております。港づくりには、地域の特性や歴史的な目配り、環境への配慮、さらには地域への貢献が大切であることは申すまでもありません。陸の道については、紀淡連絡道路や京奈和自動車道、紀伊半島を一周する高速道路も実現に向けてその構想が着々と進められております。一方、空の道としての関西国際空港の二期工事は、本年七月をめどに着工されると仄聞しております。いよいよ関空は全体構想の実現に向けて動き出しました。
 紀淡連絡道路や京奈和自動車道、千四百トンの貨物を時速九十三キロで運ぶテクノスーパーライナーの母港化や関西国際空港の整備等によって、本県は陸・海・空の交通結節機能を備える要衝の交流拠点都市として大きく発展していく可能性を秘めているわけであります。特定重要港湾であります和歌山下津港の和歌山港区は、四年前から韓国釜山港との定期コンテナ船の就航が実現し、外貿としての機能も整備されつつあります。外貿の機能とあわせ、和歌山港区は昨年、植物検疫指定港に続き動物検疫指定港に指定され、県民生活に直結した流通港湾としてその役割が大いに期待されているところであります。
 現在、県当局においてFAZ導入可能性調査が平成七年度から実施されております。皆様ご承知のように、FAZとはフォーリン・アクセス・ゾーン、すなわち輸入促進地域のことであります。この輸入促進地域は、県で地域輸入促進計画を策定し、主務大臣の承認を受けることによって決められるわけであります。FAZの承認を受けますと、港湾または空港及びその周辺地域において、我が国を取り巻く国際経済環境の変化に対応した輸入の促進と地域振興、輸入促進に寄与する事業の支援など、輸入品流通の円滑化を図るためにインフラが集中的に整備されるのであります。
 以上のことから、知事並びに関係部長にお尋ねいたします。
 第一点は、知事は「「輝きの県政」実現のために」の中で、「関西国際空港、テクノスーパーライナーの拠点港湾、太平洋新国土軸の陸・海・空の輸送の結節ポイントに国際的な物流基地を整備します」と提言されておられます。この構想の内容とその実現の見通しについてお聞かせください。
 第二点目は、紀淡連絡道路、京奈和自動車道建設への取り組みと見通しについてお聞かせください。
 紀淡連絡道路を一日も早く実現させるために、また岩出方面の渋滞を解消するためにも、京奈和自動車道の紀北西道路十二・二キロメートルについて早期に都市計画の決定を行い、先輩議員の飯田敬文議員も提案されておりますように、岩出方面から和歌山市域側の近畿自動車道二・三キロメートルの早期事業着手を紀北東道路の事業化とあわせて国に強く要望すべきであると考えます。ご見解を承りたいと思います。
 第三点は、平成七年度からFAZ導入可能性調査を実施されておりますが、その調査の概要とFAZ導入のための地域輸入促進計画の策定がおくれている理由についてお聞かせください。あわせてFAZ導入の時期はいつごろになるか、お答えください。
 以上、三点についてお尋ねいたします。
 次に、教育問題についてお尋ねいたします。
 名君・徳川吉宗公の時代、室鳩巣をして「紀州の学問は諸国一」と感嘆せしめたその伝統のしからしむるところでありましょうか、とにかく昔から文化の人材の山脈を連ねてきたのが本県であり、実業界から政界に至るまで多士済々であるのが目立っております。「紀州の学問は諸国一」と言わしめたその要因は何か。
 元和歌山大学教授・松下忠著「紀州の藩學」によりますと、「和歌山県は各界に人材を輩出している。その原因を尋ねると、紀州文化の伝統と旧藩時代の文教に深い関係があると私は思う」、そして「問題を紀州の藩学に限定して考察すると、紀州藩の儒学は大局的・自主的で自由で、仙台藩や肥後藩のような一大雄藩も官学たる朱子学の域を出なかったが、紀州藩は朱子学も古義学も復古学もすべて自主的に自由に摂取して遂には紀州藩折衷学とも云うべき学風を生み、多くの創造的な業績を挙げている。その由って来る所以は第一には親藩という家格の致す所と考えられる。恰も水戸藩が尊王の首唱者となったように将軍家に対しても憚る点が少く、学問の自由を十分保持し得たことである。第二は学問の中心たる上方文化(京都・大阪)に近く、その位置その家格より、近世日本の儒学全般の変遷に対して自由敏感に順応した結果と考えられる。而して学問の採用方針が大局的・根本的であったことは各学派を代表する──本居宣長などの──一流の学者を招聘禄用した事でも証明できる」と述べております。さらに、「紀州藩漢文学の隆盛は藩主の好学に関係するところが多かったと考えている」、また、藩主の学問奨励は東照公・南龍公以下代々の遺制遺訓であり、紀州藩の伝統であった。そして「正徳三年、藩主吉宗が初めて藩立學校を置き、之を講釋所と稱し、後講堂と改稱して斯學を教授した」と記述しております。
 また、紀州藩時代は、藩主の学問奨励に呼応して多くの人材を登用して産業の振興にも力を注ぎました。例えば、新田開発を進め、新田には米よりも経済効果の高い作物を植え、また紀州の名産品を殖産興業として他国に高く売れるように奨励策を講じるなどして、財政を黒字に切りかえたのであります。
 教育、学問は人づくり、地域づくり、国づくりの基本であり、未来への先行投資でもあります。また、個人が豊かで質の高い社会生活を営むための基礎的要素であり、無形の財産でもあります。教育の充実に真剣に取り組む国は、紀州藩時代の文教の隆盛がそうであったように、必ず発展と繁栄の時代を迎えています。教育の積み重ね、充実による人づくり、人材という知的資源を生かしていくことによって本県のさらなる発展と繁栄を築いていくことができると思うわけであります。
 もちろん、教育は一人一人の将来をつくる営みであるだけに、全魂の情熱を込めて教えようとするし、生命の炎を燃やして学ぼうとする弟子、いつの時代にあっても教育は、この師と弟子の真摯にして全力を尽くした錬磨によってこそ、なし遂げられていくものであります。
 以上の観点に立って、知事並びに教育長にお尋ねいたします。
 第一点は、紀州藩の伝統であった藩主の学問奨励に対する知事の所感と現代の藩主とも言える知事の教育の充実・振興に取り組む決意をお聞かせください。
 第二点は、和歌山県行政改革大綱に基づく定員管理計画では、教育委員会は平成十一年度から平成十五年度までの実施期間で、児童生徒数の減少による教職員の適正配置を進めることにより約五百名の削減を行う、教職員以外の職員についても抑制に努めるとされております。もし少子化や学校の統廃合等で過員があるとするならば、三十五人学級、三十人学級の完全実施やチームティーチングを大幅にふやそうとされないのか、五年間で教職員を約五百名削減する合理的理由は何か、教育長にお尋ねいたします。
 第三点は、教育現場での学級崩壊の実態をどのように把握されているのか、お答えください。
 また、六月九日、文部省の諮問機関・生涯学習審議会は学習塾を学校外の学習の場と位置づけ、協力していくべきだとする答申を文部大臣に提出しました。塾容認を答申したことで、公教育の敗北宣言ともとれるとの声や、学校の授業がわからない子供が多いから塾が盛んという現実を直視すべきだとの批判がありますが、教育長のご見解を承りたいと思います。
 第四点は、我が国社会は情報化社会を迎え、世界の人々とインターネットで情報を交信できる時代になりました。教育の分野においても教育用パソコンの整備が促進され、現在、県下の高校ではマルチメディアを活用した教育が実施されております。教育の情報発信基地であります県教育研修センター、紀南教育研修所でのパソコン研修やインターネット、マルチメディア教育の研究及び研修を充実し、教育現場で情報化教育に積極的に取り組むべきであると考えます。教育長のご見解を承りたいと思います。
 以上、お尋ねしまして、第一問といたします。ご答弁のほど、よろしくお願い申し上げます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 江上議員にお答えをいたします。
 今般、中央政界等で介護保険制度についてさまざまな議論がなされていることは承知しているところでございます。私といたしましても、本制度があらゆる議論からさらに充実した内容に発展することを強く望んでいるところでございます。
 しかし、一方で、日々介護に携わっている多くのご家族が平成十二年四月一日からのこの制度のスタートを切実に待ち望んでおり、また事業主体である市町村では制度の円滑な導入を図るために今日まで数多くの準備事務を遂行しているところでもございまして、予定どおりスタートすることは大きな意義があると考えてございます。
 また、介護保険料の推計につきましては、今のところ、国から示された簡易な試算方法では全国試算の金額二千八百三十二円とほぼ同額となってございます。
 次に、保険料と介護サービスの地域間格差を解消する方策についてでありますが、県介護保険事業支援計画を策定する過程において、市町村との意見交換をしながら圏域での調整を図り、できるだけ地域間格差が出ないよう努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、国際的な物流基地構想であります。
 私は、本県が太平洋新国土軸のかなめとなる紀淡連絡道路の整備により大阪湾環状交通網の一端を担う地域になるという利点、大阪湾ベイエリアのフロンティアに位置し、外洋に面する港湾を有する優位性や関西国際空港への近接性など、陸・海・空の交通の結節点であり、国際的な物流拠点としての発展の可能性があると考え、国際物流ターミナル基地の建設を提案してきたところでございます。
 県といたしましては、紀淡連絡道路の道路網の整備、ベイフロンティア構想を念頭に置いた和歌山下津港の整備、関西国際空港全体構想の推進などの条件整備を全力を挙げて行っていく中で、国際的な物流基地の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。
 紀淡連絡道路につきましては、太平洋新国土軸の中枢をなす重要な道路であり、新全国総合開発計画及び新道路整備五カ年計画に「構想を進める」と明確に位置づけられたところでございまして、現在、早期実現に向けて建設省と協力して調査を重点的に実施してございます。
 また、京奈和自動車道につきましては、事業促進の前提となる紀北西道路の都市計画決定を早期に進めていくとともに、議員のご提案を十分踏まえまして、紀北西道路と紀北東道路をあわせ、効果的、効率的な整備を進めていくように国へ強く働きかけてまいりたいと思います。
 次に、教育の問題でございます。
 文教と学問の奨励についてお話がございましたように、紀州藩の時代におきましては、すぐれた伝統が形づくられてございます。江戸時代の初め、初代藩主の徳川頼宣は、正直や親孝行を徳とする心得「父母状」をつくり広く普及させました。これは現在における心の教育に通じるものであり、大いに注目すべきことでございます。また、五代藩主・吉宗は学問所を設立し、身分の別を問わず、志ある者に対して教育の門戸を広く開放いたしました。このように、学問を尊重する気風は歴代の藩主に受け継がれ、その後も医学館や学習館の設立など、藩学の基盤整備が図られてまいりました。教授陣には本居宣長を初めとする高名な学者を招聘するなど、そのレベルは当代をリードするものであり、リベラルでアカデミックな学問風土が培われました。その結果、多くのすぐれた人材を輩出し、藩政の振興に大きく貢献をいたしました。
 議員ご指摘のように、いつの時代にあっても、郷土の豊かな発展のためには人材の育成が肝要であり、教育の果たす役割にはまことに大きなものがございます。こうした先人が築いた輝かしい教育風土を継承し、本県を全国に誇れる教育立県にしていく必要があると考えてございます。そのためには、県政の柱に「心豊かで個性輝くひとづくり」を掲げて教育を最重点施策の一つに位置づけ、その充実・振興に鋭意取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 介護保険についての四点にお答えをいたします。
 まず、介護認定審査会の広域化の現状と対応についてでございます。
 介護認定審査会の広域化を図ることは、委員の確保や審査判定の公平性の観点から、地域によっては意義あるものと考えております。そのため県では市町村の意向を十分酌み取り、協議を重ねた結果、現時点では県全体で八地域の三十六市町村で広域化が図られているところであります。今後は、市町村の地域実態や意向を踏まえながら、本年度に圏域単位で設置する介護保険地域推進会議を十分活用し、さらなる広域化についてもきめ細かな対応を図ってまいります。
 次に、介護認定審査会委員の適正な報酬と研修についてでございます。
 介護認定審査会委員の報酬につきましては、本審査会は地方自治法に基づく附属機関であり、その委員報酬は市町村のそれぞれの条例の範囲内で設定することとなっております。しかしながら、円滑な導入に向けて、県としましては国の概算要求の単価や昨年度の介護認定モデル事業の単価を参考に提示させていただいたところであり、今後とも市町村において均衡ある設定となるよう、さらなる周知を図ってまいりたいと考えております。
 次に、過疎地域での介護認定審査会委員の確保につきましては、単独で委員の確保が困難な町村については複数の市町村による介護認定審査会を共同で設置することにより委員の確保を図っているところでございます。また、委員の資質向上のための研修につきましては、国において示されるマニュアルに基づき、公正・公平に要介護認定が実施できるよう努めてまいります。
 次に、過疎地での介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーの確保についてでございます。
 県では昨年度から介護支援専門員の試験を実施し、十年度では千七十七人の合格者を得ており、そのうち実務研修修了者は千四十五人となっております。全国的に見ましても平均を上回る合格率であり、実務研修の実施も、休日等を駆使し、短期間で多くの修了者を得たところであります。地域的に見ましても、過疎地域を含め、おおむねバランスのとれたケアマネジャーの確保ができたものと考えております。
 現在、一部の地域ではケアマネジャーの方々がお互いの資質向上を目的としての自主研修がなされており、県においてもこうした自主研修の動きが広がるよう支援しているところでございます。また、本年も七月二十五日に介護支援専門員試験を実施する予定であり、引き続き本制度の重要な調整役であるケアマネジャーを増強してまいりたいと考えております。
 次に、ホームヘルパーの確保についてでございます。
 本県の老人保健福祉計画におけるホームヘルパーの達成率は、六四・六となっております。しかしながら、研修期間を二十六カ所にふやして養成を行った結果、潜在的なホームヘルパーは約二千二百人いると見込まれます。介護保険制度導入に伴うホームヘルパーの需要に対応するため、今後も引き続き養成を行ってまいります。あわせて待遇改善も必要と考えており、国に対して要望しているところでございます。また、二十四時間対応ヘルパー事業につきましては、現在二十五市町村で実施されております。
 いずれにいたしましても、介護保険制度への円滑な移行には両事業は重要であると考えており、今後、市町村と協力しながら推進してまいります。
 次に、市町村の障害者計画についてであります。
 平成十一年三月末現在の策定状況につきましては、和歌山市初め四市町が策定済みであり、平成十一年度中に二十市町村、平成十三年度までに全市町村の七割に当たる三十五市町村が策定の見込みとなってございます。計画の早期策定につきましては従来から市町村の福祉担当課長会議等において指導しているところでございますが、特に平成十年十月には県障害者施策推進本部長である副知事名での文書要請も行っております。今後とも、あらゆる機会をとらえて積極的に指導してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 私からは、元気な和歌山づくりの三点目、FAZ導入の見通しについてのご質問にお答えいたします。
 平成七年度から九年度にかけまして、本県におけるFAZ導入の可能性を探るための調査を行いました。その結果、本県FAZの基本的方向としては生活に関連した地場産業基盤の確立とし、特に木材加工と食品加工を中心とすることが望ましいこと、また、その推進については官民一体となった体制の確立やキーテナント企業の発掘が重要であるとの調査結果を得ております。調査の中では事業者に対する利用意向調査も実施しておりますが、外貿コンテナ施設の整備、定期航路の就航、保税保管施設の基盤整備が利用する上での条件であるとの結果も得ております。そのため、県といたしましては、FAZを導入している他港の状況についても把握しながら、その得失とメリットを明らかにし、民間の理解をより一層深めるよう広報啓発に努めて検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 江上議員ご質問の教育問題、三点についてお答えいたします。
 まず今後の教職員定数についてでありますが、平成十一年度から十五年度までの五年間に児童生徒数が大幅に減少することに伴い、小・中・県立学校合わせて五百人程度の減少が見込まれます。教育委員会といたしましては、現在進めておりますチームティーチング等、指導方法の工夫改善やいじめ、不登校対応等の個に応じた指導のための定数を確保し、より一層効果的に活用するとともに、適正な教職員配置を進め、本県教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
 なお、議員ご提言の三十人学級、三十五人学級に関してでありますが、現在、国において平成十三年度以降の教職員定数や学級編制基準のあり方について検討が行われているところであります。今後、国の動向を見守りながら本県としての対応を考えてまいる所存であります。
 次に学級崩壊と言われることについてでありますが、本県では、一部の小学校において授業中数名の児童が教室を歩き回るなど、授業が成り立ちにくい状況が生じております。こうした学校においては、校長、教頭の指導や他の教員の協力のもと、学級運営の改善に取り組んでおります。
 続いて学習塾についてでありますが、先日出されました生涯学習審議会の答申において、体験活動などを取り入れた学習塾などの民間教育事業に対しては、学校外での学習環境の一つとしての役割を果たしていることについて一定の理解を示しております。しかしながら、過度の学習塾通いやその低年齢化などは、感性豊かでたくましく生きていく望ましい人間形成にとって悪影響を及ぼすおそれがあると懸念をいたしております。
 学校教育において、各学校が、子供一人一人が学ぶ喜びとわかる楽しさを実感しながら、そのよさを伸ばし、力をつける教育を実現することが大切であると考えます。そのため、あらゆる教育活動にさらに創意工夫を加え、学校、家庭、地域社会が連携協力して一人一人の児童生徒が光り輝く教育の推進に努めるよう指導してまいります。
 最後に情報教育の推進についてでありますが、これからの社会を生きていく子供たちに豊かな情報活用能力を身につけさせることは極めて大切であると考えております。先般告示されました新学習指導要領においても、情報通信ネットワークを積極的に活用した学習活動の充実が強く求められております。
 本県においては、これまでコンピューター等の整備に努めるとともに、教員の指導力の向上に向けた各種の研修講座のほか、情報コミュニケーション推進事業などを通してインターネット等の活用に関する幅広い実践的な研究を行ってきたところであります。さらに、本年度新たに和歌山市と橋本市の小・中・高等学校等十五校で衛星通信ネットワークの活用に係る研究開発に取り組むこととしております。また、教育研修センターにおいても、これまでのパソコンや情報処理の講座に加え、ネットワーク活用に関する講座を開設することとしております。
 今後とも、情報化社会に対応した研修や実践研究の一層の充実に努め、二十一世紀にふさわしい情報教育を推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番江上柳助君。
○江上柳助君 ただいま、知事並びに関係部長からご答弁をいただきましたので、再質問をさせていただきます。
 介護保険の実施先送り・見直し論につきましては、知事から、本制度があらゆる議論からさらに充実した内容に発展することを強く望んでいるところであるが、制度のスタートを切実に望んでおられる方がいらっしゃる、また市町村で準備が進められている、予定どおりのスタートをすることは大きな意義があると考えているとのご答弁をいただきました。私も、現段階においては、さまざまな問題を排除して介護保険が円滑にスタートできるように総力を挙げるべきだと思います。
 一方、介護保険に対する県民の不安を解消する努力も怠ってはならないわけであります。介護保険料は幾らでどのように徴収されるのか、介護サービスはどのようになるのかといった介護保険に関する情報をわかりやすく県民に提供する介護保険制度の普及啓発、この点は強く要望させていただきます。
 介護認定審査会委員の報酬についてでありますけれども、先ほど福祉保健部長から、市町村において均衡ある設定となるようさらなる周知を図ってまいりたいと考えているとのご答弁をいただきました。市町村だけの問題ではないと私は思います。したがって、市町村の持ち出しとならないように、適正な委員報酬が定められるように関係方面、特に医師会にひとつ要請、ご指導をしていただきたい。この点も強く要望させてもらいます。
 次に、二十四時間ホームヘルプサービスについて福祉保健部長に再質問いたします。
 新聞報道によりますと、大阪府枚方市では、国が来年四月からの介護保険導入を前にしてヘルパーの補助制度を人件費から派遣回数に応じた出来高払いに変更したことによって、ヘルパーの二十四時間派遣事業から撤退していたことが明らかになりました。残念なことに、介護保険導入で事実上、福祉が後退したことになります。これから新規に二十四時間巡回型のホールヘルプサービスの事業を実施しようとする県下市町村に影響があるのではないかと懸念をいたしますが、保険料を徴収すれば当然に権利義務が生じるわけであります。二十四時間巡回型のホームヘルプサービスの体制の整備について本県は大丈夫なのか、問題はないのかどうか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 次に、国際的な物流基地構想について知事に再質問をいたします。
 国際的な物流基地の整備について、第一問では、条件整備を進める中、その実現に向け全力を挙げて取り組んでまいりたいと知事からご答弁をいただきました。どうか、本県の発展と活性化のために物流基地の整備を現実のものにしていただきたいと思うわけであります。
 多くの県民、市民からも、和歌山で働く場所が欲しい、子供が学校を卒業したら和歌山に帰ってきてくれない、若者の働く場所が欲しいといった声をたくさんお聞きしております。西口県政はこれだ、この方針で和歌山を伸ばす、若者が定住できる産業を興す、和歌山県にどの産業が適しているかということをはっきりと見きわめて、国のあらゆる援助を頼んでここに一大産業を興すという決意こそが、私は知事の知事たるゆえんであると思うわけであります。また、物流拠点の整備が陸の道である太平洋国土軸、紀淡連絡道路の建設を促進するための合理的理由の一つになり得ると思うわけであります。
 先ほどもFAZ導入のお話がございましたけれども、実は、和歌山下津港本港沖の埋め立て、いわゆる雑賀崎の埋め立てについては、貴重な県民、国民の財産を失うことになるわけであります。したがって、その代償として県民に展望のあるプロジェクトを推進していかなければならない、このように思うんです。したがって、もうこのFAZ導入とか流通業務地区、流通業務団地の都市計画決定とかいったことはひとえに知事の決断にかかっていると、私はこのように思います。ですから、国際的な物流基地を一カ所に大規模なものをつくることが難しければ、最初は規模は小さくてもいいわけでありますから、まず物流基地構想を前に推進すべきであると。そのためにも、庁内の物流に関係している港湾課、総合交通政策課、商工振興課、都市計画課などから成るプロジェクトチームを編成して全庁的に取り組むべきだと考えます。知事のご決意についてお聞かせ願います。
 最後に教育の充実につきまして、先ほど知事の方から、紀州藩主の学問奨励にまさるとも劣らぬ並々ならぬ教育にかける意気込みをお聞かせいただきました。ありがとうございました。
 幾多の人材を輩出した本県にあって、和歌山の歴史、文化、伝統を大切にしながら一人一人の個性を重視した人間教育向上への息吹が満ちてまいりますならば、さらにどれほどの人材が本県から輩出するかと大きな期待を寄せるものであります。
 最後に、教育長にお尋ねをしたいと思います。
 先ほど、定数管理──まあ、随分ご苦労されたと思うんです。和歌山県定員管理計画の中で、児童生徒数の減少による教職員の適正配置を進めることによって約五百名の削減を行うと、「削減」という表現をされております。
 教職員の定数は昨年からことしにおいても自然減がありまして、定数は毎年変動しているものです。本来の「削減」とは、辞書にもありますように「現にあるものを意図的に削り減らす」と。文部省の第六次定員管理計画には──ここにありますけれども──どこにも「削減」と書いていないんです。自然減です。そういう「削減」という言葉は一切使われておりません。
 県教育委員会は「削減」とされておりますので、この標準法に定められた定数から教職員を削り減らす、いわゆる真水の削減は何人あるのか、一度明確にお答えいただきたいと思います。そうしないと、報道でも「削減」、本議会でも幾人かの先輩議員方が「削減」問題を取り上げていらっしゃる。新聞報道でも「教員五百人削減」と、大変なことなんです、これ。「削減」じゃないんです。
 ですから、こういった混乱、また不安を抱いている方がたくさんいらっしゃると思いますので、教育長は「削減」という意味をどのようにとらえていらっしゃるのか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。まあ、これは随分ご苦労されたのかなというふうに私は推察いたしますけれども。
 以上、再質問といたします。明快なご答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 江上議員の再質問にお答えをいたします。
 国際的な物流基地を整備するために庁内のプロジェクトチームの編成などであります。
 正直言いまして、現状から見ますと大変厳しい状況でございます。しかし、本県の置かれております、特に和歌山下津港を中心とした関空、京奈和道路、将来の紀淡連絡道路、そういうふうな立地条件からいたしますと極めて優位な地域にあることは間違いのないことでありますので、その辺のところを生かした構想というのを関係部局で十分検討すべきだということで、国際物流基地の構想というものを立てたわけであります。そのことの研究のために、これから前向きな積極的な取り組みをしていきたいと思っております。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 再質問にお答えを申し上げます。
 議員ご指摘の枚方市の場合でございますが、独自で緊急時に備えて宿直体制をとっていたところでございますけれども、利用者の需要が少ない、また宿直体制がとれないということで、利用者の状況に応じた形での深夜、また夜間、早朝だけの派遣に変えたというふうに聞いてございます。
 二十四時間ホームヘルパーにつきましては、利用者の状況に応じて計画書を作成しまして、これに基づき夜間、深夜、早朝のサービスを提供することとなってございます。本県においては、二十四時間ホームヘルプーサービスを実施中の二十五市町村におきまして、今後とも継続して実施することとなってございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 江上議員の再質問にお答えいたします。
 教職員の定数につきましては、先ほどお話がありましたように、標準定数法と申しております法的裏づけがございますので、それに基づいて各年度ごとの定数の計算をしていくわけでございます。
 ただ、最近の定数を決める際には、先ほども答弁で申し上げましたように、例えばチームティーチングとか、コンピューター対応とか、不登校対応とか、さまざまな種類の教員の配当計画もございます。それらをあわせながら、全般的な生徒数の増減、それに伴う学級数の増減、県単独措置の状況、いろんなものを加味しながら最終的にその年度その年度の教職員定数が決まっていくわけでありまして、お話のありましたように、標準定数法に定められている水準以下に切り下げるという意味で私は申し上げてはおりませんので、先ほどのご答弁で申し上げたように、トータルでいけばそれぐらいの減少になるという意味で申し上げているところでございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十五分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 知事から、体調不良のため、本日午後から七月二日までの会議を欠席したい旨の届け出がありましたので、報告をいたします。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十三番木下秀男君。
  〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 議長からお許しをいただきましたので、質問に入りたいと思います。ただいま議長からのご報告がありました、知事、体調不良のための欠席という中で質問するのを少しためらう点もございましたけれども、私どもは統一地方選挙の洗礼を受けて初めての議会でもありますし、前半の二年目は二十世紀の最後を飾る締めくくりをする年であり、残りの二年間は二十一世紀の前半の扉を開く役目をするのが我々の務めだということで、本日の質問に私は県全体においての最重要課題ということで取り組んでまいりましたので、予定どおりの質問を行ってまいりたいと思います。
 まず、和歌山下津港埋立計画についてであります。
 和歌山下津港本港沖地区の埋立計画につきましては、一昨年の平成九年十一月、国の審議会におきまして景観面からの意見を受け、昨年五月から、知事を先頭に、和歌山県がこの問題の早期解決に取り組まれているところであります。
 現在、我が国の経済は非常に厳しい状況にあり、本県も例に漏れず、阪和銀行、県信、浅川組など大型の倒産が相次いで起きました。こうした中で、鉄鋼を初め、県の地場産業である木材、繊維、化学、精密機械、和雑貨などには、アジアはもとより世界に誇れる産業を抱えており、今後こうした企業がさらに競争力をつけ、厳しい経済状況の中で事業を展開できるよう、行政としても地域経済の活性化の観点から応援していく必要があるものと考えます。県内企業の原材料の輸入、製品の輸出は大部分を大阪、神戸に依存しており、長距離輸送を余儀なくされておりますが、和歌山下津港から直接輸入することになれば、輸送コストが下がり、産地間の競争力を高め、業績を維持拡大できることとなり、雇用の確保にもつながると思うのであります。
 港湾整備は、長期間の年月を要するため、十年後、さらに施設完成後の利用をも考えると、二十年先を見通して早い段階で計画を立てていく必要があると言われております。海運立国である日本が急速にアジアの中でも地位低下を来している原因の一つは、かつて日本の大手船主の意向を聞き、余り大きな水深の岸壁が必要ないということで大きなコンテナ施設をつくってこなかったためにおくれをとったのだと言われております。しかし、結局のところ、船の大型化で日本の施設では対応できなくなり、国策として港の整備を図ってきたアジア各国におくれをとってしまったという苦い経験があると聞きます。
 私は、今日まで、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シンガポール、香港、上海、中国の深せん、韓国の仁川、これらの港を視察してまいりました。各国の港湾施設を見て、和歌山下津港の整備促進を痛感したものであります。和歌山県は、昭和四十年代からモータリゼーションの時代に入り、半島に位置するという不利な条件のため経済で立ちおくれてきましたが、かつては海洋立県として港を中心に栄えてきた歴史があります。紀伊水道からは太平洋に通ずる地理的好条件に恵まれた位置にあり、大部分を海に面した本県の今後の発展を考えると、道路網の整備と連携しながら、港を生かすことが最も重要であると考えるものであります。また、日常生活を営む上で、公共下水道や道路などの生活基盤の整備が必要でありますが、こうした整備を行おうとすると、一方では建設残土が発生します。この問題は避けて通るわけにはまいりません。本港沖の埋立計画は、こうした建設残土を埋立土として有効活用をしようとするものであります。この計画では約一千万立方メートルの量が入ると聞いておりますが、この土を仮に大阪湾フェニックス投棄場に持っていったとすれば約三百億の費用がかかると聞いております。これだけでも、埋立事業ができるのではないでしょうか。まさに、一石三鳥の計画であると思います。
 一部報道によりますと、雑賀崎の万葉の景勝地を守れというような記事もございましたが、五月十五日の委員会で景観上容認できるとされた最終案は、雑賀崎沖ではなく、北に離れた本港の中央部の沖合であり、文字どおり本港沖であります。委員会に出された完成予想図を見ても、背後地の住友金属や建設予定の和歌山発電所などの工業地帯をカバーすることになり、景観上問題がないと思います。
 和歌山下津港本港沖地区計画は、地方にとっては夢のある計画であると思います。今、国では効率を優先させる余り、都市型の公共事業への重点配分をという声が出ていると聞いており、地方の港湾整備については、国からますます厳しい抑制の声が出てくるものと考えられます。効率だけを考えれば、同じ一億円を投資するのに、和歌山市の四十万人よりも百万人、二百万人といった大都市の方が効率がよいのに決まっております。しかし、これでは地方の切り捨てにつながります。地方でも、国民として同じように福祉、文化、教育を享受する権利があり、若者の流出を食いとめるには雇用の確保が必要であり、またそのための基盤整備も必要であります。特に和歌山市は、県都として県全体の活力の牽引車としての役割と責任があり、そのためには都市機能、産業機能を充実させ、人々が集い、交流し、にぎわいのある都市をつくっていくことが大事であると考えるものであります。和歌山下津港は大阪湾の玄関口に位置し、目と鼻の先を大型船が往来しているわけでございますから、和歌山県としてはこの絶好の立地条件を生かさない手はありません。東京一極集中が進む中で、ますます大都市の整備が優先されようとしておりますけれども、県勢のさらなる自立発展のために、県民一丸となってこの計画を強力に推進していく必要があると考えております。
 去る六月二十一日に開催されました地方港湾審議会におきまして和歌山下津港湾の一部変更の審議がございましたが、最終的に挙手による採決をいたしましたら圧倒的多数で承認されました。これで、下津港湾建設に大きく弾みがついたと考えます。
 そこで、県としてこれからの取り組みについて、見直しをしてきた港湾整備を通じて和歌山県の発展にかける県の決意を伺うものであります。
 次に、和歌山下津港本港沖地区計画変更のスケジュールをお聞かせいただきたいのであります。
 もう一点は、この計画変更については賛否両論があります。県としていろいろな意見を聞いておると思いますけれども、今後、本事業実施に向けての進め方についてお伺いするものであります。
 この三点について、副知事からの答弁を求めます。
 次に、梅生育不良についてであります。
 この梅生育不良の件につきましては、これまでも多くの議員から質問があり、県の取り組みをただしてきたところでありますが、いま一度原点に立ち返って質問をいたします。
 まず、平成九年度の和歌山県産農業粗生産額は千三百四十三億四千万円であり、そのうち果実は七百十億二千四百万円、総額に占める割合は五三%であります。この内訳は梅が二百五十九億六千万円で、今まで主産であったミカンを抜いてトップに躍り出て、名実ともに和歌山県の特産物となりました。しかし、好事魔多しと申しますか、生育不良、立ち枯れという大異変が起きてまいりました。
 生育不良については、昭和六十年ごろ、田辺市の石神梅林で発生したのを皮切りに、日高地方では平成二年ごろ、南部川村高城の市井川地区で生育不良の症状が見られております。その後、地域的な広がりを見せ、平成十年の調査では、発生本数も十一万三千本を超えるに至っております。中でもここ二、三年、南部町の岩代パイロットを中心に急激な発生が見られます。私も、先日来、議会の農林水産委員会の皆さん方と、また塩屋の暖地園芸センターの皆さん方と、印南町の切目川筋、南部川筋の各梅園を約一週間にわたって見て回り、農家の悲痛な声を聞くとともに、一日も早い原因究明と樹勢回復対策の確立への思いを強くしたものであります。
 この間、県議会といたしましても、県当局と一体となって国に対し梅関連予算の確保を初め、技術的な支援対策等について協力要請を行うとともに、私が議長当時にウルグアイ・ラウンド議員連盟の中に梅産地の地元議員で結成するうめ部会をつくり、積極的な取り組みを行ってきたところでございます。その結果、厳しい財政事情の中で梅関連予算は大幅に増額され、調査研究機材も充実し、さらに本年四月から全国で一カ所、国の指定試験制度の適用を受け、優秀な研究スタッフの派遣を受けるなど、生育不良問題解決に向けて一つの光明を見出したと考えております。しかしながら、農家の皆さんを初め、県及び関係機関の懸命の取り組みにもかかわらず、依然として生育不良は拡大の傾向にあります。平成十二年度の衰弱症の統計では、あっと驚くほどの数値が出るのではないかと予想されております。これらの件について農林水産部長にお尋ねいたします。
 生育不良問題について、当初からいろいろの原因説が出されております。大気環境説、栽培管理説、気象要因説、病原菌説、土壌劣悪説等々ございます。県としても、暖地園芸センターや普及センターが中心となって原因究明や樹勢回復試験等に懸命に取り組まれておりますが、これまでの取り組み状況とあわせ、生育不良の発生メカニズムについてどのように考え、今後どのように対応されるのか、お伺いいたします。
 また、農家の皆さんの中に、御坊火力発電所に強い懸念を持つ厳しい声がありますが、大気環境要因に関連して現地で──これは田辺市の秋津川であります──暴露実証試験を実施されておりますけれども、その結果はどうであるのか。なお、どのような視点から再度暴露試験を実施されているのかをお聞かせ願いたいのであります。
 一方、生産農家から、御坊火力のばい煙を直接暴露してほしい、またこれに関連して、生育不良となった樹体の成分分析をしてほしいという要望もございますが、県はこの点についてどのように考えておるのか。これらについての答弁を求めます。
 ほかに、かん水、新品種開発、客土、苗床、改植、パイロット事業による借入金の返済と金利、消毒薬と土壌の関係、さらに公害を防止するという意味からの梅干し産業におけるゼロエミッション──これは産業廃棄物をなくす施設をつくることでございますが──これらの多くの問題がございますけれども、この件につきましては農林水産委員会で取り組んでまいりますので、ここで省きます。
 いずれにいたしましても、梅の生育不良問題は緊急かつ重要な課題でありますので、県当局の積極的な取り組みを期待して、この項の質問を終わります。
 最後に、ゴールドプランと介護保険についてであります。
 午前中に江上議員から細部について質問がございました。重複する点もあるかと思いますが、私なりに質問をいたします。
 このゴールドプランと介護保険については、前に一度、中間的な形で質問をいたしておりますが、実施が来年度、平成二〇〇〇年と迫りましたので、改めて質問するものであります。
 私は、この四月の統一地方選挙を議員生活二十年の大きな節目と認識して選挙区内を隅々まで回り、多くの人々と触れ合い、今、政治に課せられた問題は何であるかということを探りました。多くの課題がございますけれども、まず一番必要なこと、そして早くしなければならないのは高齢者対策であると感じたのであります。今まで、高齢者と言えば過疎地、僻地の地域と認識しておりましたが、なかなかどうして海岸の町にも、五千人、六千人ある町の真ん中にでもたくさんの高齢者がおります。今、高齢者と言われる七十歳から八十歳の方々は、五十余年前、日本国の敗戦という廃墟の中から、再建に復興にとすべての青春をかけて今日の日本の発展の礎となって頑張ってこられた方々であります。この高齢者に、生きる喜びを少しでも感じてもらえるような社会や制度をつくる必要を痛切に感じたのであります。私の公約の一つとして、これからは積極的に取り組んでまいる所存であります。
 一九八〇年代後半に我が国の高齢化が急速に進み、二十一世紀初めには国民の四人に一人が老人という超高齢化社会になると予測されております。これらのことを背景にゴールドプランを策定し、介護保険制度の導入を図るものでありますが、その実施が来年の四月からであります。これらの福祉施策の宗家である厚生省の中に、「難航三兄弟」という言葉が頻繁に使われているそうであります。それは、年金、医療保険、介護保険の三つの改革のことであります。このままならば、年金の給付減、負担増が避けられない年金制度の改革、医療費の増大にあえぐ医療保険の改革、福祉に市場原理を持ち込む介護保険の導入等々、これらの解決は非常に難しいことであります。実施直前に当たって、中央における政党間や関係団体の中で議論百出し、調整が手間取り、介護保険見直しの動きも次々と起こっておるようであります。このような中で実施に向けて作業を進めなければならない地方自治体が大変困難であると思うのでありますが、次の六点について部長の答弁を求めます。
 まず一点は、ゴールドプランに七項目にわたる計画がございます。この七計画の整備状況について。
 それらを実施するにおいての自治体における格差はないのかどうか。
 さらに、介護保険の保険料によって運営は可能かどうか。
 また、介護保険の基盤整備、中心になるのはヘルパーであろうと思いますが、このヘルパーの人材確保について。
 また、介護保険の対象者となるための認定についてでありますが、これの公平性について。
 最後に、介護保険導入について実施延期を求める自治体が和歌山県下にありやなしや。
 この点についてお伺いをするものであります。
 以上、三点について質問をいたしました。
 これをもって私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 木下秀男議員にお答えいたします。
 和歌山下津港埋立計画の三点についてお答えいたします。
 まず、港湾整備にかける県の決意についてでございます。
 この本港沖埋立計画については、県行政の最重要課題の一つとして計画の変更を早期に図るべく、昨年来、全力を挙げて取り組んできているところでございます。自然を守るということについては、県としては重要課題として従来考えているところでございます。しかし一方で、半島に位置し、大部分を海に囲まれた本県にとって、港を生かすということは県勢浮揚の原動力であるとの信念を持っています。特に、全国でも二十一港の特定重要港湾の一つに指定されている和歌山下津港は、大阪湾のゲートウエーに位置するとともに、県都和歌山市の玄関口でもあり、京奈和自動車道や高速交通体系と相まって、元気ある和歌山を支える基盤として、ぜひとも整備する必要があると考えております。今後とも、議員各位のご指導を得ながら、計画の推進をしていきたいと考えてございます。
 次に、港湾計画のスケジュールについてでございます。
 昨年五月から一年をかけた景観面の検討が五月十五日に終了し、景観上容認できるとの委員会結論を得、その後六月二十一日に地方港湾審議会を開催し、審議をしていただいた結果、了承されましたので、運輸大臣に港湾計画を提出いたしました。今後、七月の国の港湾審議会で審議をしていただきたいと考えてございます。
 次に、事業実施に向けての進め方でございます。
 今後とも、県民の方々に今回の和歌山下津港本港沖地区計画についてその必要性をより理解していただけるよう地道な努力を積み重ねていくとともに、事業実施に向けては関係地域の方々のご意見を反映できるようよく話し合いをさせていただきながら、よりよい港湾整備を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 梅生育不良問題につきましてご答弁いたします。
 梅の生育不良問題につきましては、県の農業行政の最重要課題であり、深刻な問題と考えております。依然として生育不良の発生が拡大している状況や昨年の中間報告、先日の第五回県うめ対策研究会での農家の皆さんの厳しい意見も伺っておりまして、こうしたことを十分踏まえまして今後とも懸命に取り組んでまいる所存でございます。
 まず、梅の生育不良の発生メカニズムについてでございますが、これまでの研究成果や現地実証の結果を踏まえ、去る五月の県うめ対策研究会の委員の方々から、生育不良の症状は最終的に同じであっても、発症過程の中で、土壌、気象、栽培面などさまざまな要因が複雑に絡み合っていると指摘されたところであり、今後さらに研究を積み重ねてまいりたいと考えてございます。
 次に、現地暴露実証試験につきましては、農家の強い要望もありまして昨年より実施しているところでございます。昨年の成績では、一部落葉はあったものの現地で発生している生育不良の症状は認められておりませんが、本年はより多くのデータを得るため、二酸化硫黄、二酸化窒素、オゾンの濃度設定を変えて、二月から再度暴露実証試験を行ってございます。
 また、御坊火力発電所のばい煙を直接用いて暴露試験を行うことにつきましては、サンプリングの際のばい煙の状態を維持したまま行うことなどが技術的に困難であると考えてございます。
 次に、ばい煙に関与した樹体の成分分析につきましては、さきの第五回研究会での専門家の見解によりますと、ばいじんは葉からの吸収は考えられず、根からの吸収では土そのものの成分はもとより、肥料、農薬、潮風などから供給されることもあって、大気に限定した吸収量は測定できないとのことから、科学的な調査ではないと認識してございます。今後は、暴露実証試験など原因究明のための調査研究を急ぐとともに、これまでの成果を取りまとめた栽培管理マニュアルを基本に、園地実態に応じた総合実証園の設置を検討することとしてございます。
 また、農家が行う土づくりや改植を支援するうめ樹勢回復実証モデル事業を実施するなど、樹勢回復対策に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) ゴールドプランと介護保険についての六点にお答えを申し上げます。
 まずゴールドプラン七計画、すなわち現行の新ゴールドプランにおける高齢者介護サービスの基盤整備についてでございますが、県老人保健福祉計画の平成十年度末での進捗状況については、ショートステイで一一四・三%、訪問看護ステーションで一三二%、特別養護老人ホームでは一一七・八%と、既に目標を超えているところであります。一方、ホームヘルプサービスで六四・六%、デイサービスで七〇・三%、在宅介護支援センターでは五八・八%であり、目標達成には至っていない状況でありますが、平成十一年度末までの残された期間、引き続き市町村とともに努力してまいります。
 介護保険導入後のサービス基盤については、現在、各市町村において民間活力によるサービス供給の可能性を見据えながら必要見込み量の算出に当たっているところであります。県といたしましては、こられをもとに新しい県老人保健福祉計画及び介護保険事業支援計画を策定することとし、あわせて新計画に基づいた整備充実を図っていくところでございます。
 次に、各自治体における計画進捗状況の格差についてでございますが、現老人保健福祉計画の進捗状況につきましては、地域により、あるいはサービスの種類により差が生じているところでございますが、現計画最終年度に際し、各市町村に対し目標量の達成に一歩でも近づくよう一層の努力を促しているところでございます。現在、市町村においては平成十二年度からの新計画のサービス見込み量を算定しているところですが、県全体でバランスのとれた計画となるようヒアリング等を行いながら調整を図っているところでございます。
 次に介護保険の保険料運営につきましては、必要な費用が安定的に確保されるような工夫がなされております。まず、介護給付費の五〇%は公費負担、三三%は第二号被保険者の保険料で賄われる介護給付費交付金により、合わせて八三%が基本的に確保されることとなります。
 なお、後期高齢者の加入割合や所得状況の相違による市町村間の保険料負担の格差につきましては、調整交付金により全国平均を基準に調整されることとなります。
 また、保険料の滞納が発生した場合の財源不足につきましては、県に財政安定化基金を設置し、市町村に対し交付または貸し付けを行うこととなります。こうした介護保険財政の運営の仕組みの中で、だれもがひとしく保険料を負担するという保険制度の趣旨の周知を図り、県民の皆様のご理解とご協力をいただくとともに、市町村財政負担への支援措置を引き続き国へ積極的に要望してまいります。
 次にホームヘルパーの確保につきましては、研修機関を拡充し、養成を行っているところであります。今後も、引き続き養成を図りながら、介護保険制度に基づく人的需要に対応してまいりたいと考えてございます。
 また、在宅福祉を充実するためには、ホームヘルプサービスだけでなく、高齢者を地域全体で支え合うことが重要であると考えてございます。このため、ボランティア活動等を積極的に活用するなど、住民参加の福祉体制の確立に向けた取り組みを図らなければならないと考えてございます。このことから、ことしワンデイ・ボランティア事業を実施し、高校生、企業職員、県職員などによるボランティア活動を展開し、地域福祉活動の意識啓発を図るところでございます。
 次に介護認定につきましては、行政内部だけの判定ではなく、第三者機関として設けられる介護認定審査会において、保健、医療、福祉の専門家の合議により審査判定されることになります。さらに、認定審査会の原案となる一次判定につきましては、昨年実施したモデル事業での問題点が国において改善されており、この夏、本番に向けて提示される全国共通のコンピューターソフトを使用し、全国統一の基準で行われることで認定の平準化が図れることになると考えております。また、介護認定審査会委員の資質向上のため研修を実施し、要介護認定が公平、公正になるように努めてまいります。
 なお、地域によっては介護認定審査会を共同で設置し、広域的に審査判定を実施することにより、市町村間の均衡がより一層図れるものと考えております。
 最後に、本年度は県内各市町村におきましても、大幅に組織体制を充実し、鋭意準備事務に取り組んでいるところであります。また、これまでの市町村との意見交換の中では、おおむね順調に推移しているものと考えてございます。県といたしましても、今後とも市町村と協力しながら、予定どおりの施行に向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十三番木下秀男君。
○木下秀男君 まず、農林水産部長であります。今日までの各地の状況やら生産者の皆さんからいろいろとそれぞれの提言のようなものがございますが、やはり現地におる皆さん方の、疑わしきものについては徹底的に解明をするように、これが一番必要であろうと思います。
 それから、介護保険でありますけれども。
 これは、お金も要ります。施設も要ります。しかし最後は、生きたお年寄り、生きた人間に接するのはボランティアであります。このボランティアの充実なくして、介護制度というものの実はとれないと思います。そういう意味で、先ほど公務員がボランティア活動をという答弁もございました。
 ここで私見を申し上げますが、公務員は今まで週六日あったわけですが、五日制になりました。土曜日と日曜日は休みです。そういう意味で、せめて一日を割いてボランティア活動に参加するという、そういう公務員として積極的な参加をする方法も検討していただきたい、これは要望でございます。
 最後に、知事が体調不調ということで午後から休暇をとられましたが、どの議員の皆さん方も申しますように、大変厳しい県政の状況でございますから、知事不在中には高瀬副知事を筆頭にして、今日まで以上に結束した、県民に対する奉仕はもちろんでございますけれども、行政におくれをとることのないよう最善の結束と努力をされるように要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下秀男君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番中山 豊君。
  〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 議長のお許しが出たので、質問を進めさせていただきます。
 木下秀男議員が最後に当局及び議場全体にご要望を申し上げていただいたあのお話は、私も同感であります。体調が整わないとして知事は昼からお休みになっておりますけれども、やはり長が不在となると、いささか心もとない気持ちは隠すことができません。しかし、木下議員が申されたように、ひとときたりとも県政の停滞は許されるものではない。その立場から、ともどもに懸命に努力し合うという心持ちを持ちながら質問に入りたいと思います。
 我が国憲法の前文に、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」。さらに第九条に、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」。これを冒頭に申し上げて、以下質問を進めます。
 政府は、ガイドライン関連法を成立させた後、これの具体化を図るため、有事立法初め関連諸法の制定を急速に推し進めようとしているところです。六月中にも立法作業に入る意向だとのことのようですが、これが実際に動き出したら、都道府県の知事を通じてさまざまな不安や不幸が県民に強いられることになるのではないかと思うところから、以下幾つかお尋ねを申し上げます。
 まず、日本国憲法を根源的に変質させかねないことになるのではないかと指摘しながら、ガイドライン関連法によって日本が引き受けることになるであろう後方地域支援、すなわち戦闘中の米軍に対する武器、弾薬、兵員の輸送や軍事物資の補給、武器の修理など、紛れもなく米軍の戦闘行為と一体不可分の兵たん活動となると理解しているけれども、戦争には前方も後方もありません。このことは軍事の常識で、軍事目標だけでなく放送施設や発電所に至るまで爆撃対象にされることはユーゴの実態を見ても明らかであります。日本が行うことになる後方地域支援は武力行使と一体になるものではないとの政府の主張は、厳格に武力放棄をした日本がとるべき態度ではないことは論をまちません。
 さらに、法の骨格をなす根本問題、概念、定義を明らかにしないまま通されたことは大きな問題であります。「日本周辺地域」とはどの地域か、いかなる事態を「周辺事態」と言うのか、肝心かなめのところが法文には一切規定されていないわけであります。まことに異常な法律と言わざるを得ません。周辺地域も周辺事態有事の判定もアメリカの軍事的判断にゆだねるところが多く、白紙委任の批判さえ免れない立法と言わざるを得ません。極めて従属的な性格をあらわにしたものと言わざるを得ないのであります。
 また、国連と国際法を無視したアメリカの干渉と先制攻撃の戦争に日本が協力することになるのであります。政府は、アメリカの軍事行動を国連憲章と国際法に基づくものだと見ていますけれども、パナマ、グレナダへの軍事侵略、イラクへの一方的攻撃、現に国際決議もない今日のユーゴ無差別爆撃を見ても、政府の見解は通用しません。ユーゴ空爆のような介入戦争をアメリカがアジア太平洋地域に行われたら、これを周辺地域事態として日本は参加することになるのではないでしょうか。だから、この法律はアジアの軍事的緊張を高め、日本がアジアの孤児の道を歩むものであり、二十一世紀への日本の進路を誤ることになるのは否定できないのではないでしょうか。さらに、自治体と民間をアメリカの戦争に動員し、日本列島全体を米軍の発進基地、一大補給兵たん拠点とされることになるのであります。県民の生活と安全、権利が脅かされることは明らかであります。既に、米軍基地を持つ都道府県知事連絡協議会は、自治体協力の内容、手続、期間など何らの規定もされていないことについて、すべて政府に白紙委任することになるとの懸念を政府に訴えていることからもうかがえるところであります。
 日本政府が憲法の理念を大きく逸脱し、政府の行為によって日本国及び日本国民の将来に忌まわしい状態を引き起こしかねない道を開こうとしているとき、自衛隊の基地を持つ本県において、自衛隊基地がアメリカ軍との共同利用の道を開きかねない同法の内容からしても、また国会審議の中で明らかにされている周辺事態での自治体への協力要請依頼項目の例から見ても、極めて憂慮せざるを得ないわけです。
 昨日のある新聞の「論壇」に、元内閣安全保障室長・三井康有さんという人がこのようなことを書いておりましたから、ちょっと引用させてください。「留意しなければならない事がある。第一は、日米安保体制の下でいかにわが国が自主性を保つかである。ガイドライン関連法の運用に際し、それが端的に問われるのは周辺事態の認定だ。認定はあくまでわが国がその責任と見識の下で独自に行うべきであり、決して米国の言いなりになってはならない。 第二は、日米安保の見直しに柔軟に対応する備えだ。(中略)安保体制は再定義が必要なほどに変質している。条約そのものには手を触れず、既成事実を積み重ねる手法は限界があろう。さらに、ある日突然アメリカから安保条約の廃棄や改定を切り出される可能性も視野に入れておくべきだろう。 第三は対中政策である。中国は旧ソ連に代わり、超大国アメリカの地位に挑戦し、二十一世紀にはこれに拮抗し得るほとんど唯一の国だ。(中略)その中国がガイドライン関連法に執拗に反対し、警戒心を示した意味を軽視すべきではない」。このようなことを元内閣安全保障室長の三井さんが述べておられるのであります。
 このことに関連して、もしこれが発動されたとしたら、例えば、港湾、空港施設の使用、公共病院による米負傷兵などの受け入れ、公民館、体育館、学校、庁舎、公団などの使用許可を申し入れられるところであります。
 さきの議会で、我が党の議員の質問に答えて知事は、「県民の安全と幸せを守ることを私は常に念頭に置いて県行政を進めておる」、このように申されています。このことにかんがみて、以上述べたことから、県民の生活を守り、安全確保の上から、いかような立場に立たれるのか。この法律を発動させないような懸命な努力をともに重ねるというのが今日の自治体の置かれている立場ではないでしょうか。前の議会で知事が答弁なされたときから、今日の時点を踏まえてのさらに一歩進めたところでのご見解をお示し願いたいのであります。
 二つ目の問題は、ボートパーク事業の県内における具体的な取り組みの問題であります。
 運輸省は、かねてより港湾及び海浜等へのプレジャーボート──遊漁船──の不法係留をなくすための施策として全国にボートパーク事業なるものを打ち出し、それなりの効果を期待しているところでありますけれども、和歌山県下、中でも北部地域における現状を見るとき、十分に成果を上げているとは言えないのではないかとご指摘申し上げたいわけであります。
 県のこの施策を今日まで進めてきた経過と成果、及び今後に残された課題についてお答えを願いたい。これは、陸上にあっては車両に対しての車庫と同じで、海上での係留スポットと言うべきか、プレジャーボートの大衆化とともに求められる当然の施策であるだけに、行政は条件整備に当たるべきであると思うわけであります。
 ところで、田辺市が港湾管理条例をことし四月一日付で改め施行したことに伴い、田辺海上保安部と連携して取り締まりを強化するとのことであります。これでいくと、和歌山下津港に係るプレジャーボートの不法係留などに対する直接の責任というか、港湾の管理責任はどうなるのでしょうか。私には、県と関係自治体との関連が極めてわかりにくい。とにもかくにも、港湾の秩序ある使用を進めるために一層の努力を進めるべきであろう。港湾計画との絡みで、将来に向けての構想というか計画をお示し願いたいのであります。
 次に、南紀熊野体験博の問題であります。
 南紀熊野体験博開幕後一カ月余りが経過した段階で、当初予定した取り組みがつつがなくはかどっているのか、中でもこれが目的とするところについてどうなのかを今日の段階で総括する必要があろうかとの思いからお尋ねしたいわけであります。
 社会発展の仕組みが停滞し、近代化以降の価値観が見直されるに至って、日本人の心の来歴をたどり、先人に学ぶことで心の豊かさを求めようとの情報発信をしたいというのが基調ではなかったのか。その立場から見て、体験博は成功しつつあると見るのか。これについて知事の所信表明がなされたところですけれども、いまひとつ目的とするところと実態を述べ尽くしているようには伺えなかったのであります。紀南の地元の人はどう受けとめているか、生の姿としてどうつかまれているか。例えば、訪ねてくる人々の実情、各種イベントなどを通してどんな交流がなされ、地域の活性化に功を奏しているのか、地元住民と一体となった取り組みになっているのかの観点からの総括をしてみてほしいわけであります。
 次のような話がある新聞に載っていました。「声 読者の欄」です。あれこれあるんですが、必要なところだけ読ませていただきます。「健常者同士では分からないことが、障害をもっている人と行動をともにすることで見えてくるものや、気が付くことが多々あった。 この体験博のタイトルは、心をいやし、みたし、よみがえる。だけどこの日は──「この日」というのは、障害者の人たち四人が車いすで参加したらしいんです──私にとっては、心はすさみ、戸惑い、落ち込んだ一日でした」。このような障害者の体験博に参加した人の感想が声として新聞に掲載されておりました。
 またこれとは別に、波及効果と言うべきか、お客に草履をとのことで美里町の老人クラブに声がかかって、数千足の草履をつくって届けるという、思わぬことから大きな喜びを誘ったという話も耳にしておるところです。美里のこの老人たちは、現地へはよう行かないかもしれない。しかし、草履をつくることによって体験博に参加していることになるのではないでしょうか。また、もしこの私が現地へ行かなかったとしても、この場でこのようなことを取り上げて申し上げることを通じて参加していることになると考えられないでしょうか。現地に足を運んだ頭数だけでカウントされたら、このような人々は参加したことにはならないのではないでしょうか。そんな観点からの評価があってもよいのではないでしょうか。例えば、美里の老人のような形で参加する、この中山のような立場の者がこの議場でこの問題を取り上げて皆さんに申し上げる、当局にそのような考えをご指摘申し上げる。熊野博を総括するときに、こういう人たちも参加したとしてカウントされるということがあってもいいのではないかということを申し上げたかったわけであります。ともすると、集客の多い少ないが成功不成功の評価の主要なポイントにされがちであったが、期間中取り組まれている各種イベントはおびただしい数と内容を持っているだけに申し上げたいところであります。心にかかる取り組みの評価は頭数をカウントするだけでは相反する課題が残されていくわけです。心の豊かさを求めようとするならば、多様な観点からの接近の仕方があってもいいのではないか、このように申し上げたいわけであります。
 そのように申し上げながら、「熊野誌(第三十九号)」に中上健次の特集があるわけですが、この中で中上健次は次のように述べております。「物質文明、合理主義がこのようにはびこって、もうそろそろ行き着く時代ですよね。(中略)その時に、時代として、熊野が現代人に何かを与えることができると思う。(中略)やっぱり、熊野というと、魂のふるさと、魂が安らぐところ。傷つき、病気した人間が、治るような力を授けてくれるところ、非常にやさしい場所なんです」。こういうふうなご指摘を見るにつけて、南紀熊野体験博がこのような心を探り当て、このような心に接近をしながら、今日、現代人の行き着いた心の痛みや迷い、そういうふうなものを回復させていこうということから始まった体験博であるとするならば、頭数だけでカウントされてはこういうふうなところに評価が至らないのではないかと申し上げたかったのであります。当初予定している人数を見通せるところまでに来ているようであります。なおのこと大胆に、現世に飽き足らないという人々の心を救い、豊かさを求めるところに思いをつけて、もっと色合いを出した評価の仕方、運営の仕方、事態の進展の仕方を追求なさるということがあってもいいのではないかということを申し上げたかったわけであります。
 何しろ一カ月余り済んだところですから、南紀熊野体験博全体を総括してどうということには至らないというのは百も承知の上です。やがて、これが全期間を通じて終了した時点で、あの南紀熊野体験博は何だったのかということをお互いにはっきりと問いただして今後に残るようなものを見出し合いたい、こういうふうな体験博でありたいと思うわけであります。そんな熊野に心を寄せて開かれている南紀熊野体験博であったはずなんです。僕は、そういうふうにとりたい。
 考えてみれば、この南紀熊野体験博は、西口知事を先頭にして、和歌山県が世の人々に壮大なる試みと問題提起をしているように思えてならないんです。いわば、次世代への挑戦を試みていると言ってもいいでしょう。二十世紀末において、二十一世紀にどう生きていくかを問いかけている大事業だと認識し合ってはどうでしょうか。世情に飽き足らずに救いを求めた人々が、アリの熊野もうでと言われる行為を通じて平安、鎌倉、室町、江戸時代を経て、そして明治維新を断行する力を徐々に蓄えてきたというふうに見てきたら、アリの熊野もうでは、ただ単に宗教的なことに限らず、新しい時代、新しい日本の将来を築き上げていく文化活動、大きな精神活動の行為であったと見たとしたら、南紀熊野体験博はそれに置き比べてみてどうなんだろう。そういうふうな観点からの洞察を加える六月議会であってほしいということを考えながら、当局に一石を投じたかったわけであります。
 あえてこの問題で、今議会であれやらこれやらと論議し合うつもりはありません。一石を投じて、今後残された期間、もし中山の申すことが心に残って、和歌山県がさらに全国にそのようにして思いを波及させる価値があるとするならば、そういう観点からの取り組みを取り入れていただいて、やがて総括されるときに立派に二十一世紀へつないでいけるような事業であるように運営をしていただけることを切にお願いを申し上げたいところであります。
 次には、道路問題です。中山が立って道路問題を言わなかったら、あれ、どうかしたのと違うかと言われかねないくらいに道路問題をつかんで離さない課題と皆さんにご認識していただけるようになりました。
 県道海南金屋線の整備促進について。
 これは何回となく取り上げてきているから、もう皆さん十分ご存じのとおりだと思います。海南市側の事業のおくれは、地形や地質の問題等が主な要因でなかなか事業が進まない。もちろん、これをやろうと提起されても、地元住民のご理解と協力がなかなか得られにくいということも手伝っておりますけれども、主たる要因は、まずこうしようとする提起の少なさもあったに違いない。しかし、有田側からの整備促進が随分なされて海南側のおくれが目立ってくるものだから、トンネルを抜いてはという話が非常に激しく聞こえてくるようなご時勢になってきているわけです。こういうふうな状況下において、重根─田津原区間のバイパス、別所地区における年次的な待避所づくり、こういうラインの整備に関するお考えを今まで当局からお聞かせいただいているわけですけれども、重ねてそのような形で進められるのかどうかということを、まず一つお尋ね申し上げたいわけであります。
 その次、国道四百二十四号線と三百七十号線と交差するあたり、阪井から沖野々、野上中へずっと進んでいくところで、貴志川に沿ったところで交差しているわけであります。そこで今、着々と工事がなされているんですが、大型車が随分と入ってくることによって、あそこを右折したり左折したりするときに交差点で大型車に巻き込まれて大変危険だということで、地域住民から強い意見を寄せられているところであります。工事がだんだんと進んでいくにつけて、あそこもやがてはなされるんだという機運にはなっているけれども、具体的にどうなさるのかという住民の心配を取り除く当局からの告知がないものだから、一層心配が募ってくるわけであります。議会を通じて当局からご説明していただいて、地元の皆さんに、ああそうなのかと知らされることがすごく意味合いがあるのではないか。当局の道路行政とのかかわり合いで、どうなっているのかということを議会を通じて明らかにされることで住民の心配が取り除かれるという効果が期待できるのではないかと思うので、そのあたりのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、四百二十四号線のひや水から上谷に向いてのお話であります。
 前の議会で申し上げて、それから後にひや水地区の問題が解決されて、作業車、資材運搬車、大型車などが上の方へ行きやすくなる条件が徐々に確保されつつあるわけです。そうなってくると、上の方へ向いての道路整備はどうなるんかという期待が住民から寄せられてくるのは人情であります。これについてお聞きしたいわけであります。
 最後に、四十二号線の問題です。
 有田、下津、海南の皆さんによって渋滞解消の整備促進協議会なるものが結成され、当局及び近畿地建等に陳情を重ねているわけですが、先般も総会がありまして、総会の後、近畿地建の和歌山工事事務所長に陳情を申し上げることがあって、私も同行させていただいた。下津町の小南の交差点の改良がかなり進んでよくなったこととの関連で、抜本的な対策を追求しつつも、交差点改良という課題は避けて通れないということから、今度は冷水浦の交差点が改良されないと渋滞が解消されにくいという話で、あそこを思い切ってなしにして、冷水へ直接通行する冷水バイパスのようなものをというお考えが突如として出されてきたようなお話があります。そのことは、ただ単にその交渉の陳情の中で突如として出たわけではなくて、かねがね冷水地区の人たちからそういう声が挙がっているということもその後において聞いたわけですが、これについては海南市当局及び地域住民のお話、あるいはまた二市一町の整備促進協議会、交通渋滞対策協議会等と十分に意思統一を図り、関係機関にお願いすることの手だてを踏みながらいかなくてはならないことだということを百も承知の上で、今議会はそういうふうなお話もあったよということをご提起申し上げて、それぞれの関係機関で十分な調査、精査、検討を加えて、これの実現のためにご努力いただくことをお願い申し上げて、第一回目の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 中山議員にお答えいたします。
 ガイドライン関連法と県民生活についてのご質問でございます。
 先月五月二十四日、ガイドライン関連法が成立いたしましたが、同法に関しまして、先月五月二十一日付で全国知事会において、適時・的確な情報提供に一層努められるとともに、できるだけの協力要請の内容、手順等を具体的に示されるよう、国に緊急に要望したところでございます。同法第九条に係る地方公共団体の協力の問題につきましては、具体的な要請並びに協力依頼の内容等も明らかでない状況では、県の対応について現段階では想定してお答えするのが難しいところでございます。
 今後、国からの要請を踏まえ、必要に応じ、関係法令に照らして検討してまいりたいと考えてございます。
 いずれにいたしましても、本年二月県議会におきまして、知事が「県民の安全と幸せを守ることを私は常に念頭において県行政を進めておるところでございまして、そのためにも国の安全と平和を強く願う一人でございます」とご答弁を申し上げたところでございますので、県民の幸せと安全を守る立場を堅持し、対処してまいりたいと考えてございますので、ご理解をいただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、二点目のボートパーク事業の県内の具体化について、その一、今日までの取り組みの経過と残された課題、その二、港湾計画との絡みで秩序ある使用を進める構想をというお尋ねですが、一括してお答えいたします。
 県下の河川区域、港湾区域、漁港区域等における放置艇の隻数は、平成八年度の全国一斉調査時点において約五千三百隻が確認されております。この結果を踏まえるまでもなく、従来より放置艇問題を早急に解消することが必要だとの認識に立ち、係留・保管施設として大規模収容施設としての和歌山マリーナシティの整備や小型船舶を対象としたプレジャーボートスポット事業等を積極的に実施し、放置艇の解消に向けて取り組んできたところでございますが、放置艇の絶対数に対して充足している状況にはございません。このため、今後も係留・保管施設の向上を図るため、プレジャーボートスポット事業の後継事業であるボートパーク事業の導入について検討を進めていきたいと考えております。
 また、これらの事業のほか、放置艇の解消を図るためには係留・保管能力の向上に努めるとともに、一方で、公共用水域の秩序ある使用のための規制措置も課題と考えております。具体的には、係留重点禁止区域等の水域設定や県内プレジャーボートの登録届け出制度の導入も必要と考えており、そのための条例、要綱等の整備も必要と考えております。
 続きまして四点目の道路問題についてですが、そのうち一点目の県道海南金屋線整備促進についてでございます。
 現在進めている重根─田津原区間のバイパスにつきましては、平成十年度に地元関係者に説明を行い、ルートについてはおおむね了解されましたので用地取得に努めているところでございます。今後とも、事業進捗に努力してまいります。また、別所地区の待避所づくりにつきましては、地元から要望のありました四カ所のうち三カ所が平成十年度までに完成してございます。本年度におきましても、残りの一カ所に着手してまいります。
 二点目の四百二十四号、三百七十号の交差する地点の取り組みについてでございます。
 この交差点につきましては、野上橋のかけかえを含めた改良計画がございます。現在、この計画に基づき野上橋を挟んで両側の用地取得に努めているところでありますが、交差点周辺は補償物件が多く、地元の協力が不可欠でございますので、今後とも地元関係者の協力を得ながら事業進捗に努力してまいります。
 三点目の四百二十四号、ひや水地区から黒沢までの取り組みでございますが、まず国道四百二十四号、海南市ひや水地内の狭隘区間百六十五メートルの整備についてでございます。
 難航しておりました用地物件が解決し、先般、本工事に着手したところであります。今後、残る区間につきましても、用地買収を促進し、その整備に努めてまいります。また、落合橋付近から郡界までの未改良区間約二キロメートルのうち、特に交通の支障となる区間について、海南市を初め地元関係者の皆様方の協力を得ながら待避所等で対応してまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 中山豊議員質問の南紀熊野体験博の開催とその後についての、一つ目の、人数でカウントされることだけでは開催の趣旨が損なわれないか、また地元住民の心持ちと一体となる取り組みというご質問に対しましてお答えいたします。
 南紀熊野体験博の開催目的の一つは、本県が安らぎやいやしの最適の地であることをより多くの人々に体験し実感していただくことにより、その魅力を全国に情報発信していくことでありますが、開幕以来たくさんの来訪者をお迎えすることができ、当初の予想を上回る成果を得られているとの認識を持ってございます。
 一方、議員のご質問にもありましたように、この博覧会を単に来訪者の数だけで判断されることは博覧会の本旨とするところではなく、地域の住民が地域の魅力を再認識し、その振興と活性化につなげていくことがもう一つの大きな目的であり、そうした面からの評価も考慮に入れる必要があると考えております。
 今回の博覧会におきましては、地域住民が主体となって地域づくりに取り組む住民主導を大きな柱として位置づけており、さまざまな形で博覧会にかかわっていただいております。例えば、リゾート体験イベントでは、体験リーダーや運営スタッフとして、その中核となって来訪者にさまざまな体験を提供しており、地域イベントにおきましても、企画段階から参加し、各地で魅力あるイベントを展開しているところでございます。そのほか、特産品づくり、お茶のおもてなし、案内業務や熊野古道でのガイドボランティアとしての活動など、多方面にわたる積極的な参加をいただいております。こういった取り組みこそが、ふるさとへの誇りと愛着を深め、地域の活力を高めるもととなり、またこれらのイベントを通して人と人との交流が深められ、大きな財産として蓄積されていくものと考えてございます。
 いずれにいたしましても、会期はまだ中盤に差しかかったところであります。さまざまなご意見を参考にしながら、だれもが開催してよかったと思えるような、そして本県の飛躍につながるような博覧会となるよう、残された期間、全力を挙げて取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十七分散会

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