平成11年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(東山昭久議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○副議長(井出益弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(井出益弘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 28番東山昭久君。
  〔東山昭久君、登壇〕(拍手)
○東山昭久君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。
 質問が四日目になりますと、もう既に論議された課題もありまして重複するかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと存じます。
 まず、経済対策について質問いたします。
 最近いろんなところに参りますが、いい話はなく、暗い話がたくさんあります。仕事が減ってきた、お客が減って売り上げがさっぱりなど、景気を何とかしてくれと、叫びともとれる声をよく耳にいたします。また、就職のご相談をよく受けますが、職安にお願いしてもなかなか見つかりません。長期不況の中で県経済、雇用情勢は極めて厳しい現実にあります。
 政府は昨年十一月十六日、総額二十三兆九千億円に上る史上最大の緊急経済対策を決定し、景気対策、金融対策として膨大な税金が投じられてきましたが、景気は回復されず、効果は上がっていないのが現状ではないでしょうか。
 この二十年近く、行政改革、規制緩和のもとで、官民を問わずコスト削減のため合理化が進められてきました。財政面では引き締め策が断行され、医療費の一部受益者負担や社会保険料の引き上げ、消費税の導入など、国民の負担はふえ続けてきたのであります。
 連合が昨年実施した生活実態アンケートである「連合白書」によると、現実の生活に対する満足度は、九四年以来「不満」と「満足」がほぼ四対六で推移してきましたが、今回は「不満」が六〇・三%に達し、初めて六対四に逆転しました。また、年間賃金総額に対する満足度でも「不満」が全体の七割を超え、しかも企業規模が小さいほど不満度が大きいという結果が明らかになっています。不満の内容を見ると、第一が「今後の収入や資産の見通し」、第二が「老後の生活に関すること」、第三に「現在の収入や資産」となっています。このことは、勤労者の生活が賃金、雇用、社会保障の各面で不安定になり、将来に展望が持てなくなってきたことのあらわれであります。政府が発表した家計、消費調査でも最悪を記録し、また経済企画庁の調査によると、老後に不安があると答えた人が七三%に達しており、勤労国民の生活は明らかに悪化の道をたどっていることがわかります。
 賃金の低下、雇用不安の増大は先行きに対する不安を大きくし、それが消費の落ち込みを生み、景気回復どころか、今日の経済危機を一層深刻なものにしています。「消費不況」と言われるゆえんでもあります。雇用不安、老後の不安が大きくのしかかっているのが景気の低迷に大きく影響していると言えます。
 景気対策は、まず前提となるのが雇用不安を解消することであり、老後の不安をなくす社会保障制度の拡充であると思うのであります。国内で最大の最終市場である勤労者の生活は、激しいリストラや賃金抑制によって消費は落ち込み、市場が低迷・縮小していくため、それだけ企業の方での商品、生産設備、資金がますます余剰となり、経営状態は悪化し、さらなる賃下げなど、コスト削減やリストラへ向かう圧力は強まってまいります。どこまでも、この悪循環を繰り返すことでしかないのです。需給バランスが完全に崩れています。
 OECD(経済協力開発機構)の推計によれば、日本経済の抱える需給ギャップは約二十五兆円とも言われています。政府の不況対策は、この矛盾に満ちた社会構造を是正せず温存したまま需給ギャップを埋めようとするものであり、有効な施策とは言えないと私は思います。経済・不況対策の柱は、雇用不安をいかに解消するか、老後の不安をいかになくすか、先行きに対する不安を取り除くかでなければならないと考えます。そうでなければ、知事が述べられるわかやま元気宣言は、残念ながら成果の上がらないものになるのではないかと思うのであります。
 県も今日まで、景気対策として中小企業への融資面での思い切った経済対策、公共事業の前倒し実施、拡大などを行ってきましたが、県経済、雇用情勢は依然厳しいものがあります。従来型の景気対策では効果が上がらないことを示しているのではないでしょうか。
 そこで、次の三点についてお伺いいたします。
 第一は、今日の長期不況の最大の要因をどうとらえられているのか。
 第二は、県のこれまでの経済対策は効果を上げているのか。
 第三は、先行きの不安解消のため十一年度予算案ではどのような施策がなされているのか。
 以上について、知事にご答弁を求めます。
 次に、雇用対策についてお尋ねいたします。
 先ほど述べたように、雇用情勢は極めて厳しいものがあります。昨年一年間の完全失業率の平均値は四・一%で、年度末の失業者は二百九十万人に達しました。県内の状況も厳しいものがあります。雇用維持・創出は県の重要な課題であります。
 政府は、昨年四月に緊急雇用開発プログラム、十一月に雇用活性化総合プランを策定し、総計百万人の雇用創出・維持の方針を明らかにしました。また連合は、百万人雇用創出案をまとめ、昨年十一月に開催された政労使雇用対策会議に提出いたしました。それによると、医療・福祉の拡充、高齢者・障害者住宅の改修費補助金の増額、学校における三十人学級の即時実現、健全な森林の育成・整備などによって百万人の雇用を創出するという内容です。
 県も今日まで雇用促進事業として幾つかの施策に取り組まれてきましたが、ほとんどが国の施策であり、県独自の施策は見当たりません。したがって、雇用喪失に歯どめをかけるのに精いっぱいで、雇用情勢は依然厳しいものがあります。
 そこで、次の二点についてお尋ねいたします。
 第一は、政府の雇用創出策は県施策にどう取り入れられているのか。実績はどうか。また、連合の百万人雇用創出案をどう評価されるのか。
 第二は、県の雇用対策の重点施策は何か。
 以上について、商工労働部長にご答弁を求めます。
 次に、公共事業のあり方について質問いたします。
 この間、不況対策として公共事業の拡大を行ってきました。社会資本の整備の大きな柱は地方自治体の公共事業であり、地域経済にとっても大きな役割を果たすものでありますが、果たして、住民のニーズに沿い、地元企業に潤いをもたらし、豊かさを実感できるような内容になっているのだろうか、大きな疑問を感じざるを得ません。公共事業で建設された道路、橋梁や諸施設は住民に何らかの利便性をもたらすのは言うまでもありませんが、その多くは大手企業が請け負い、しかも規模が大きくなるほど、県外の大手企業すなわち大手ゼネコンが地元企業を下請にして実施することが多いのです。
 建設省の九八年度版「建設統計要覧」によると、事業規模別の公共事業の受注状況では、資本金一億円以上の大手企業が約五〇%を受注しており、中小零細企業には微々たる受注しか回ってこないことが明らかになっております。結局、雇用創出や経済波及効果と言いながら、地元住民や地元企業にはわずかなおこぼれしか行き渡らず、県外の大手企業に利益の多くを持っていかれてしまう構造になっているのではないでしょうか。
 ある建設会社の経営者から伺った話ですけれども、「規模の大きい工事はまず県外の大手が受注し、二次、三次で請け負って仕事をしている。利益がだんだん低く抑えられ、コストぎりぎり、それ以下もある。丸投げも公然と行われている。うまいところは大手で、地元業者は泣いている。しかし、それでも仕事をとらなければ従業員へ給料も払えない」、これが現実の声ではないでしょうか。
 公共事業が地域経済に与えるものは大きいものがあると思います。したがって、地域経済に波及効果の出るような事業に、地元業者が潤うような、しかも住民のニーズに応じた公共事業のあり方、構造の転換が必要であると考えますが、土木部長のご見解をお伺いいたします。
 次に、下津港湾整備計画についてお尋ねいたします。
 瀬戸内海国立公園の景勝地・雑賀崎に隣接する紀の川河口部を埋め立て、巨大船の入港できる港湾を建設する計画が検討されています。この問題については、これまでこの議場でも何回か論議がされました。重要な課題でありますので、その論議に参加させていただきたいと存じます。この問題について、私は何が何でも反対という立場ではないということを明確にしておきます。
 当初の計画はさすがに不適当であったのか、変更案が出されました。これについても疑問点があり、港湾計画そのものの疑問点が解明されたとは言えないと思います。景観検討委員会が設置をされ、景観論争が行われていますが、この埋め立て問題は景観検討委員会だけに決定をゆだねるべきでないということを認識すべきであると思います。当初計画より景観的な観点からすれば大きな譲歩と言えますが、これだけで埋め立てを推進するには余りにも問題点が多過ぎると思います。疑問点や問題点について県民が納得いく説明が必要であります。
 そこで、疑問点や問題点について土木部長にご見解を伺いたいと存じます。
 一点目は、法的問題は本当にクリアできるのかということであります。
 この埋め立てについて環境庁は、問題点を具体的に指摘しています。厳に抑制すべきとされる瀬戸内海での埋め立てであり、国立公園の特別地域に隣接していることから、景観に著しく影響を与えるとして、瀬戸内海環境保全特別措置法に抵触するので再検討されたいと差し戻しをしたのであります。これを受けて景観検討委員会で検討されていますが、公有水面埋立法、瀬戸内海環境保全特別措置法等から見ても埋め立ては難しいと考えられます。現に専門学者からは、今回の雑賀崎の埋め立てについては極めて違法性が強いと指摘されています。法律違反でないと断言できますか。違反でないなら、その根拠を明らかにしていただきたいと存じます。ご見解を求めます。
 次に、新規港湾整備の必要性の根拠についてお伺いいたします。
 県当局は、新規埋め立ての必要性について、一、物流需要の増大、船舶の大型化に対応した外貨物流機能の強化、二つ目として建設残土の受け入れ空間の確保、三つ目として和歌山港北港への対応等を挙げています。具体的には、コンテナ船と木材原木用船が現状より飛躍的に増加し、公共貨物量は一九九四年の約二百六十六万トンから二〇〇八年には二倍の五百万トン、コンテナも約八十万トンと予測されていますが、しかし、この根拠は極めてあいまいなものと言わざるを得ません。
 和歌山港の現状はどうか。どう見ても、二倍に増加するという予測は出てこないのであります。一九七二年には約二百三十四万トン、九四年には二百六十六万トンで約一一%ふえただけであり、貨物量が十年余りで倍増するというなら、その根拠を示すべきであります。原木だけで見ると、輸入はバブル期の一九九〇年の約七十万トンを境に年々減り続け、一九九六年には三十八万トン、九七年には三十万トンを割り込んだと言われています。また、コンテナ貨物も十年後には約十二倍の約八十万トンになると予測していますが、日本開発銀行大阪支店が作成した調査レポートによると「これ以上の港湾施設の建設は不要」と指摘しており、日本コンテナ協会も「地方港で需要がふえるとは思えない」と否定的であり、専門家も「現状を無視した見通しでしかない」と指摘しています。
 荷主がどこの港を使うかは、港湾サービス、高速道路へのアクセス、陸送コスト、利便性などを総合的に判断してのことであり、決して施設があれば荷が来るということではないと思います。物流の現況、将来の見通し等、どう考えても県が考えているような夢は実現できそうもありません。急ぐ必要はないと思うんです。膨大な事業費をつぎ込む公共事業であるがゆえに、経済の見通しとそれぞれの専門家による討議を見据え、市民、県民に問うべきであると考えますが、ご見解をお伺いいたします。
 埋め立ての理由の一つである建設残土の処分場の確保についてですが、埠頭建設に伴う残土約六百万立方メートル、その他の公共事業の建設残土などにより千七百四十万立方メートルを埋め立てるとしています。建設残土、産業廃棄物の処理が重大な課題であることは、私も強く認識しています。しかし、廃棄物量の将来予測は過大な見積もりではないかという疑問もあります。
 また、和歌山県の廃棄物のリサイクル率が低いとも指摘されています。公共土木事業から出る廃棄物のリサイクル率は、県の平成七年度の調査資料によると建設廃棄物で三四%となっており、全国平均が五八%であることから比べても低いものとなっています。もっとリサイクルなど公共事業の廃棄物の減量に取り組むべきであり、そのための研究に力を入れるべきであります。ごみや廃棄物が多いので困るからすぐに海を埋め立てる、海に処分場を求めるでは短絡過ぎるのではないでしょうか。ご見解を求めます。
 最後に、この問題についても過日の議場で論議はあったわけですけれども、和歌山市長の要望への対応についてお伺いしたいと思います。
 新聞報道によりますと、去る十六日に旅田和歌山市長は西口知事に対して、県の港湾整備の埋立計画について見直しを求める要望書を提出したと報じていました。昨年三月の議会で長沢土木部長は、事業化に向けてのプログラムの質問に対して「港湾計画につきましては、国の港湾審議会の意見を踏まえて、本港沖埋立計画のうち雑賀崎前面の景観についてさらに検討を行うことといたしております。その検討を踏まえた上で、事業の具体化を図るためには、公有水面埋立法に基づいて縦覧して広く意見を聞くとともに、関係市長の意見聴取や市議会の議決、さらには漁業権者等の権利者の同意が必要であり、これらの手続がすべて完了して初めて事業に着手できるものでございます」と答弁されています。したがって、景観検討委員会で検討している中での当該市長の要望でありますから、重みのある要望ではあると考えます。
 そこで、旅田市長の要望はどのような内容か、また今後要望に対してどのように対応されようとしているのか、ご答弁を求めます。
 この原稿を書いていた二月二十二日夜九時半、NHKの「クローズアップ現代」で「守られた干潟」が放送されていました。ごみの処分場建設をめぐって長年争われてきた藤前干潟問題は、昨年末、環境庁長官が我が国有数のシギ、千鳥の飛来地である藤前干潟の埋め立てに強く異を唱え、これに埋立免許者の運輸省も同調したため、今年一月、名古屋市はついに埋立計画を断念したというものであり、自治体の事業に建設省がストップをかけたというものでありました。このことの意義は、大変大きいものがあると思います。自然や環境の価値に対する自然や環境保護優先の声が反映されたものであり、新しい価値観を示したものであると思います。
 また、次の点においても意義あるものと思います。一つは、社会情勢の変化とともに時代の要請に合わなくなった事業は見直すという時のアセスが機能したことであります。二つには、我が国の環境影響評価制度(環境アセス)には事業を実施しないという代替アセスが含まれていませんが、今回は代替アセスが機能した点であります。三つには、開発優先行政の歴史の中で、干潟の自然的、生態的環境価値が、一部でありますけれども、認められたことであります。環境庁が事業に対して意見を述べるという新アセスを先取りしたものであり、自治体の環境保全を無視した開発優先の行政に警鐘を鳴らしたものであると思うのであります。
 真鍋環境庁長官は、二月二十三日の閣議後の記者会見で、二十日に雑賀崎沖を視察したことを明らかにし、「県と市の調整が行われた上で必要に応じて環境庁の意見を述べたい」と語っています。県の港湾計画が市民、県民の納得いく中で進められ、歴史的に判断しても誤りではなかったと言えるためにも、再検討を強く求めて、私の質問を終わります。
○副議長(井出益弘君) ただいまの東山昭久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 東山議員にお答えをいたします。
 経済対策に関するご質問でありますが、そのうちまず、今日の長期経済不況の最大の要因は何かというご質問でございます。
 我が国の経済は、バブルの後遺症を抱えたまま、九七年第一・四半期を景気の山として再度後退局面に入っておるわけであります。特に、一昨年の秋以降、金融機関の破綻等をきっかけとして信用収縮懸念あるいは雇用不安などが高まり、さらにこれに加えて老後の不安なども重なりまして、家計、企業のマインドが冷え込んだことから最終需要が低迷をし、このことがさらに生産雇用等の実体経済全体に影響を及ぼす形で不況が長期化しているものと考えてございます。
 本県としては、積極的な社会資本整備を通じて需要喚起を図るとともに、信用収縮に対して適時適切に対応するために、中小企業者に対する融資制度を創設・拡充するなど、可能な限りの対策を講じてまいったところでございます。これらの措置により民間需要が低迷する中で公的需要が総需要を下支えするとともに、信用収縮が緩和されたことにより、デフレの悪循環を食いとめる効果があったものと考えてございます。また、景気下支えを通じて底なしの需要収縮といった不安を解消し、雇用環境の著しい悪化を防ぐ効果もあったものと考えております。さらに、緊急経済対策におきましては、金融システムの安定化、信用収縮対策等により実体経済回復のための条件を整備した上で引き続き社会資本整備を進めるほか、所得減税、住宅投資の促進等を実施して需要を創出し、現状からの脱却を図ることとしておるわけであります。これらの施策による経済成長に伴う雇用創出、さらに雇用活性化総合プランによる雇用安定などを軸に雇用対策を強力に推進し、雇用不安を解消することが重要と考えてございます。
 平成十一年度予算におきましては、緊急経済対策を受けて景気浮揚に最大限配慮するとともに、引き続き雇用対策に努めるほか、企業誘致の一層の促進あるいは新産業の創出を促進させるための総合的な支援施策を展開することを通じて良質な雇用の確保にも努めることとしてございます。
 また、老後の不安への対応につきましては、国においては、国民に信頼され将来にわたって安定的に運用できる社会保障制度を構築すべく、年金、医療等の構造改革を推進すると聞いてございますが、県としても、在宅福祉事業の拡充あるいは老人福祉施設の整備を初めとした県民福祉の向上に最大限配慮したところでございます。今後、これらの施策を強力に推進することによりまして、民間における真摯な努力と相まって経済の活性化を図ってまいらなければならないと考えてございます。
 以上であります。
○副議長(井出益弘君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 雇用対策についてお答えします。
 まず、政府の雇用創出策は県施策にどう取り入れられているのか、またその実績についてでございます。
 厳しい雇用失業情勢の中、労働者の雇用の維持確保を図るため、和歌山県景気・雇用対策本部会議において緊急雇用開発プログラムを内容とした県の雇用対策を策定したところでございます。具体的には、公共職業安定所の職員が経済団体や企業を訪問し、求人依頼や雇用調整助成金制度を初め各種助成金制度の周知、活用促進に努め、企業の雇用維持、失業なき労働移動への支援を行うとともに、求人開拓ローラー作戦の展開やミニ選考会、障害者就職面接会などを実施しており、特に二月にはビッグホエールにおいて大規模な合同求人選考会ハローワーク就職フェア99を開催するなど、一人でも多くの方が就職できるよう取り組んでいるところでございます。
 その実績といたしましては、平成十年四月から平成十一年十一月までの間で、特別求人開拓推進員などによる求人開拓数は六千二百七十二人に上っております。また、人材Uターンフェアにおいては百八十七名が就職し、緊急雇用開発プログラムにおいて拡充された雇用調整助成金の支給対象者数は平成十年十二月に三千七百五十八人と、プログラム実施前の七十九人と比べると大幅に増加し、また、特定求職者雇用開発助成金についても四十五歳以上五十五歳未満の方が新たに対象となったことにより六百五十八人の就職に結びつくなど、一定の効果が出ているものと考えております。
 また、連合の百万人雇用創出策の評価につきましては、厳しい経済雇用情勢の中、連合と日経連が共同して要請し、政府も参加した政労使雇用対策会議が設置され、連合から百万人の雇用創出策を講ずるべきであるとの提言が行われ、その論議を踏まえて、昨年十一月十六日に政府が発表した緊急経済対策の雇用活性化総合プランへ反映されたものと認識してございます。
 次に、県の雇用対策の重点施策についてでございます。
 現在の厳しい雇用情勢の中で、労働者の職業生活の安定を図ることが極めて重要な課題であると認識しております。このため、雇用の維持安定、雇用の確保、離職者の再就職の促進を雇用対策の重点施策として積極的に推進しております。具体的には、雇用動向の迅速かつ的確な把握に努めるとともに、雇用調整助成金の機動的、弾力的な運用により事業主の雇用維持努力の支援を引き続き強力に進め、労働者の雇用の維持安定を図っております。
 また、雇用の確保については、県、職業安定所、経済団体等から成る産業雇用情報連絡協議会の機能強化や特別求人開拓推進員による積極的な求人開拓を実施するとともに、離職者の再就職の促進のため、特定求職者雇用開発助成金の活用や効果的な職業紹介を行うために職業安定所内での日常的なミニ選考会の開催などを行っているところであります。
 以上でございます。
○副議長(井出益弘君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 東山議員にお答えいたします。
 まず、公共事業のあり方についてのうち地元企業への優先発注をとのご質問でございますが、県内建設業者の受注機会の確保のため、従来より県内業者への優先発注を基本とするとともに、可能なものについては分離・分割発注にも努めております。また、トンネル、橋梁等の大規模工事や施工難度の高い工事に実施している公募型指名競争入札におきましては、県内業者の参加要件を緩和し、受注機会の拡大・確保に努めているところでございます。
 次に、住民ニーズに応じた公共事業のあり方、構造の転換をとのご質問でございます。
 住民ニーズに応じた公共事業のあり方につきましては、本県では道路交通網の整備を初めとした活力ある県土づくりのための社会資本の整備が急務であると考えておりますが、それとともに地域に密着した質の高い公共施設の整備等、豊かさと潤いが実感できる地域づくりにも重点投資を行っているところでございます。
 次に、下津港港湾整備計画に関する何点かのご質問でございます。
 まず一点目の、法的問題は本当にクリアできるのかというご質問です。
 一昨年改定した和歌山下津港港湾計画の本港沖地区埋立計画につきましては、自然海岸と一定の水域を隔て、また大規模な修景緑地を配置するなど、景観面に配慮した計画としておりました。しかし、国の港湾審議会において和歌山下津港港湾計画についてはおおむね適当であるとの意見をいただいておりますが、その際、環境庁から、瀬戸内海環境保全特別措置法第十三条第一項の埋め立てについての規定の運用に関する基本方針に定める、埋め立てによる自然環境への影響の度合いが軽微であること、自然公園法による特別地域──これにはその周辺を含みますけれども──での埋め立ては極力避けることの各事項に抵触するものと考えられるので、本埋立計画については雑賀崎地区から望見した紀淡海峡から太平洋にかけての景観を十分に保全するよう再検討されたいとの具体的意見が出されております。
 県といたしましては、このことを踏まえ、昨年五月より和歌山下津港本港沖地区景観検討委員会を設置し、瀬戸内海国立公園の特別地域である雑賀崎から極力離すなど、雑賀崎地区から望見した紀淡海峡から太平洋にかけての景観を十分保全するよう鋭意検討を重ねてきているところでございます。
 次に、二点目の新規港湾整備の必要性の根拠についてのご質問でございます。
 港湾計画改定の目標年次の平成二十年代前半における外貿コンテナ貨物量につきましては、大阪湾内港湾の取り扱い実績をもとに、和歌山下津港を利用することが有利となる地域を対象として約八十万トンと推計しており、その他の貨物につきましては、品目別ごとに過去の実績や企業ヒアリング、アンケート調査等により推計しております。なお、これらの計画を固めるまでには、構想調査委員会において経済、物流などの専門家のご意見をお伺いしております。また、昨年八月に地元市長、議員、経済・物流の専門家などから成る地方港湾審議会を開催し、景観検討委員会での検討状況の報告と港湾機能面からの意見を伺っております。その際、十四メートル岸壁が必要であることや、港湾機能を確保するという基本は守るべきなどの意見をいただいております。
 一方、下水道整備など市民生活に密着した公共事業や京奈和自動車道、紀の川大堰などの大規模プロジェクトがあり、建設発生土の増加が予想されておりますが、和歌山市周辺では内陸受入地の確保が困難であることから、海面処分場が必要となっています。建設発生土のリサイクルにつきましては、県の建設副産物対策基本計画において平成二十二年度を目標に、工事で土砂が必要となる場合にはそのすべてを他の工事からの発生土で賄えるよう計画しております。なお、そのために同時期に進行中の工事間流用の促進を図るとともに、ストックヤード及び土質改良プラントを整備することにしております。しかしながら、そうしたリサイクルの努力を前提にしても、発生量が利用量を上回るため建設発生土を処分する必要があり、本港沖地区土地造成の埋立用材として有効活用を図るものであります。
 三点目の、和歌山市長の要望への対応についてのご質問でございます。
 和歌山下津港本港沖地区計画につきましては、平成四年から和歌山市にも参画いただいた構想調査委員会で検討を重ね、一昨年に具体的な案を提示させていただいた上、地方港湾審議会を経て策定されたものでございます。また、昨年四月からの計画の見直しにつきましては、景観面で配慮しつつ、県市の関係する課室で連絡組織をつくり、調整を図りながら進めてございます。昨年七月、八月に開催した地方港湾審議会では、和歌山市長にも出席いただき、景観検討委員会の状況を報告するとともに、港湾機能面から意見を伺ってございます。
 ご質問の和歌山市長からの要望書においては、埋立地の候補地として、まず北港地区周辺で考えられないか、それが不可能ならば雑賀崎工業団地の北西端から西防波堤沖埋立地の西端を結ぶ線の内側──東側ですが──が望ましいと景観面から考えているとの要望をいただいておりますが、またあわせて市としても港湾機能面を含めた検討をしていくとしておりますので、今後とも市民の方々のご意見をお聞きするとともに、これまでと同様、市と調整を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 28番東山昭久君。
○東山昭久君 ご答弁をいただきましたけれども、二、三点、要望をさせていただきたいと思います。
 雇用情勢が本当に極めて厳しいという認識には、もうだれも異論がないところであります。ところが、県のいろんな施策を見ましても、国の施策はなるほどそれに準じた取り組みがなされておるわけですけれども、これが県の考える最大限の雇用対策だというものは残念ながら見当たりませんので、ぜひともそういう点も取り組んでいただきたいということが一点であります。
 それから、公共事業のあり方についてです。
 これはそれぞれの委員会でも何遍も発言させていただいたわけですけれども、地元業者に優先的に発注してやると同時に、地元業者のレベルアップをぜひやっていただきたい。技術的にいろんな問題があるとよく指摘されますけれども、そのことも行政の役割だと思いますので、その面からの地元企業に対する技術者の育成なり、いろんな形で援助をぜひともやっていただきたいと思います。
 それから、港湾計画です。
 質問に対して、なかなかまともにご答弁はなかったわけですけれども、それぞれの見解があるからそれはそれとして、ぜひこの埋め立てについては、本当に法的にも問題がない、そして県民や市民の皆さんに納得していただける形で進めていただきたい。今いろんな動きがあって、地元では住民の皆さんがたくさんの署名を集めて問題があるんじゃないかと指摘をされております。この間は、和歌山県の弁護士会が凍結して検討したらどうかという提起もされているわけでありますから、そういう各方面からの判断をしていただいて、この問題が、なるほどやっぱり港湾機能がきちっとされてよかった、埋め立てはなるほどよかった、こう言われるようなものでなければならないと思いますので、その点は十分ご検討いただいて進めていただくことを重ねて要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○副議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で東山昭久君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
      ──────────────────
○副議長(井出益弘君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十分散会

このページの先頭へ