平成11年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程   第五号   平成十一年三月一日(月曜日)
                午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第八十一号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第八十一号まで(質疑)
   二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
     1  番    大    沢     広太郎  
     2  番    木    下    善    之
     3  番    小    川         武
     4  番    吉    井    和    視
     5  番    下    川    俊    樹
     6  番    井    出    益    弘
     7  番    藁    科    義    清
     8  番    門          三佐博  
     9  番    永    井    佑    治
     10  番    新    島         雄
     11  番    向    井     嘉久藏  
     12  番    佐    田    頴    一
     14  番    阪    部    菊    雄
     15  番    西    本    長    弘
     16  番    馬    頭    哲    弥
     17  番    谷         洋    一
     18  番    山    下    直    也
     19  番    高    瀬    勝    助
     20  番    松    本    泰    造
     21  番    堀    本    隆    男
     22  番     宇治田      栄    蔵
     23  番    宗         正    彦
     24  番    橋    本         進
     25  番    神    出    政    巳
     26  番    玉    置    公    良
     27  番    上    野    哲    弘
     28  番    東    山    昭    久
     29  番    尾    崎    要    二
     30  番     野見山           海
     31  番    木    下    秀    男
     32  番    町    田         亘
     33  番    中    山         豊
     34  番    井    谷         勲
     35  番    鶴    田    至    弘
     36  番    森         正    樹
     37  番    村    岡     キミ子  
     38  番    新    田    和    弘
     39  番    平    越    孝    哉
     40  番    森    本    明    雄
     41  番    長    坂    隆    司
     42  番    冨    安    民    浩
     43  番    飯    田    敬    文
     44  番    中    村    裕    一
     45  番    松    本    貞    次
     46  番    大    江    康    弘
     47  番    和    田    正    人
欠 席 議 員(一人)
     13  番    和    田    正    一
説明のため出席した者
     知 事     西    口         勇
     副知事     山    下         茂
     出納長     高    瀬    芳    彦
     知事公室長   中    山    次    郎
     総務部長    藤    谷    茂    樹
     企画部長    中    村    協    二
     生活文化部長  大    井         光
     福祉保健部長  小    西         悟
     商工労働部長  上    山    義    彦
     農林水産部長  尾    崎    武    久
     土木部長    長    沢     小太郎  
     企業局長    西    浦    昭    人
     教育委員会委員長
             安    藤    精    一
     教育長     小    関    洋    治
     公安委員会委員 中    尾    公    彦
     警察本部長   樋    口    建    史
     人事委員会委員長
             若    林    弘    澄
     代表監査委員  宮    市    武    彦
     選挙管理委員会委員長
             谷    口    庄    一
     以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
     事務局長    新    谷    哲    朗
     次  長    前         晴    夫
     議事課長    佐    竹    欣    司
     議事課副課長   北垣内           敬
     議事班長    松    谷    秋    男
     議事課主査   川    崎    良    雄
     議事課主事   安    井    伸    彰
     総務課長    西    野    光    彦
     調査課長    湯    川         忠
 (速記担当者)
     議事課主任   吉    川    欽    二
     議事課主査   鎌    田         繁
     議事課主査   中    尾    祐    一
     議事課速記技師 保    田    良    春
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  午前十時三分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第一号から議案第八十一号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 1番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、質問をさせていただきます。
 私は、四年前の平成七年に初当選以来、何回かこの本会議場の壇上に立たせていただき、当時の故仮谷知事を初め、そこにおられる西口知事に提言や要望等をさせていただきました。おかげで、魚類養殖などの水産業の振興はもちろんのこと、吉備湯浅パーキングエリアへの道の駅の設置、梅の生育不良の原因究明へ向けての研究プロジェクト機関の設置、また金融機関の再編問題、高齢者の交通事故防止対策でのシルバーマーク制の導入における問題の指摘、それに南紀熊野体験博における交通混雑の緩和策としての紀南地方での特急バスの運行やJRの列車の増便、国道三百十一号の小広工区などの供用開始時期の早期実施などについて、県を初めとする関係当局の皆さん方に耳を傾けていただき、数多くの課題や事業が実を結びましたことに、改めて御礼を述べさせていただきたいと思います。
 しかしながら、田辺市を初めとする紀南地方には数多くの県政の課題が山積されております。その中で田辺・南部地方での大きな課題と言えば、梅の生育不良であります。この問題は、今まで多くの先輩・同僚議員、また私もこの本会議場で何度も質問をさせていただきましたが、被害の実態は好転しておりません。
 一昨年の七月十五日、ここ和歌山県庁に、田辺市を中心とした七百人の農家の人たちがデモ行進をした後、訪れ、「日本一の梅を守れ」「第二火電は延期せよ」「知事は答申をするな」「和歌山の農家を殺すな」などと声を張り上げ、抗議文や要望書を手渡しました。しかし、間もなくして第二火電には国がゴーサインを出しました。
 梅産業は、健康ブームに支えられ、県内では五百億円事業とも言われております。私の住む田辺地域では、平成九年には千六百八十四ヘクタールの畑で約三十六万本の梅が栽培され、このうち立ち枯れは約一二%に当たる二百十ヘクタール、約六万三千本で、前の年に比べて立ち枯れは本数では約一万二千本ふえていることが西牟婁振興局の集計でも明らかにされております。生育不良の原因説としては、水不足や土壌悪化説、病原性バクテリア説、大気汚染説やモグラによる被害説などが挙げられておりますが、原因究明には至っておりません。
 そこで、県は暖地園芸センター内に梅対策チームを設置し、試験研究体制の充実を図ってきたほか、昨年、西口知事が政府に対し熱心に働きかけられた結果、国の新年度事業として国が緊急に取り組む必要がある重要技術の開発を目的とし、全国で唯一、暖地園芸センターを研究実施機関に指定して新年度予算に梅生育障害対策費約千六百五十万円が計上され、本格的に試験研究に乗り出すことになりました。また、JA紀南も関西電力と共同で、土壌、大気面から原因究明に取り組む梅生育障害対策研究会を発足させています。
 ここで、一番大切なことは、農家の人たちの不安を一日も早く取り除くためにも、これらのデータの公開、開示が必要とされています。それは、現在も大騒動が続いているテレビ朝日の「ニュースステーション」が暴走報道を行った埼玉県所沢産の野菜のダイオキシン汚染報道に見られるよう、放送のあった後になってJAや行政機関が報道より以前のデータを公表し、報道内容とは違うもので記者会見を行うなどして対応に当たりましたが、大手のスーパーを中心に所沢産の野菜の受け入れができなくなるなど、生産者はもちろんのこと、JAを初め県や市の関係者の混乱ぶりは今も続いています。このダイオキシン報道、テレビ朝日側が陳謝したため所沢産の野菜の流通は回復の方向に向かっておりますが、報道する側にももちろん問題はあったものの、データを常日ごろ公開するといった努力が足りなかったのも一因であったことは新聞などでも指摘をされております。
 そこで、梅の生育不良問題解決のためにも、県としてより詳しい被害の状況や生産状況、樹勢回復状況などの情報を公開、開示するとともに、気象や市場の動向などの情報交換についても地域と行政が一体となって取り組むことが重要で、第二の所沢騒動になってはたまりせん。国の指定試験地となる暖地園芸センターを初め、JAや関西電力でつくる梅生育障害対策研究会などが情報の開示や情報交換を行うことが必要不可欠であります。これらのデータの開示によるそれぞれの調査研究の共通点や相違点等々を情報交換するのも原因究明に大きく貢献すると言えます。なぜならば、梅農家の地元では、よい梅の木を育てるために接ぎ木は重要な作業の一つで、この接ぎ木作業に際しましては、近所の農家同士で失敗談や成功例を常に話し合い、自分のところの梅だけを守るといった秘密主義はなく、地域が一体となってよりよい梅づくりに取り組まなければ、健康を願って食べていただいている消費者の皆さんにも申しわけないということであります。こういった梅づくりに対する熱意と地域一体となった取り組みが和歌山の梅のブランド化につながったとも言えます。ブランド化された和歌山の梅のさらなるイメージアップを図るために、私たち県議会や行政の取り組みが大切であります。
 そこで、もう一つの問題点として、近年、中国や台湾産などの梅を原料とした梅加工食品が「紀州産」や「南高梅」の表示で市場に出回っており、消費者ににせものを売りつけていることが問題となっています。このため地元の市町村では、田辺市及び田辺町村議会正副議長会が農林水産大臣や国会議員、県知事ら二十五人の代表者らに梅干しの原料原産国の表示を求める要望陳情活動を行いました。この原産国の表示問題は、和歌山ブランドに大きな影響を及ぼし、地域経済を支えている産業の存在を危うくする憂慮する問題であり、県ご当局におかれましてはこの問題にどう対処されるかについてお伺いをいたしたいと思います。
 次に、南紀熊野体験博について質問をいたします。
 二十一世紀におけるリゾートライフの提案として、次の世代へのかけ橋となる南紀熊野体験博が来月二十九日に開催されます。開幕に向けての知事のご所見をお聞かせいただきたいと思います。
 以下、具体的な提案等を含めて述べさせていただきますので、ご答弁をいただきたいと存じます。
 この体験博、参加目標人員を二百万人と見込んでいることから、私は昨年の九月定例会の一般質問で、数多くの車両が紀南地方を走り、特に私の住む田辺市では国道四十二号を中心に大きな渋滞や交通混雑が予想され、地元の人たちの生活道路が確保できなくなるのではないか、体験博の実行委員会では交通対策連絡協議会を設置し、JRを初め、バス、タクシー会社、それに警察などがさらなる協議を続け、公共輸送機関の充実強化や駐車スペースの拡大に努めていただきたいということ、さらに紀南地方での特急バスの運行やJRの増便、臨時停車駅の設置などを強く要望してまいりました。
 そこで、博覧会を主体となって進めている県におかれましては、県内外の方々がスムーズに体験博に参加できるよう、その後どのような対策を講じたかについてお伺いをいたします。
 また、混雑の解消策の一つとして、大きなイベント別の参加人員を予想し、テレビ、ラジオ等のマスコミ等を通じて県民に知らせてはいかがでしょうか。
 その他、マイカーによる交通混雑の解消策として、紀南地方を訪れる行楽客に対して、JRやバスが自由に乗りおりできる一日や一週間のフリーパスの発行や期間中のフルシーズンフリーパス、それに夏休み期間中の家族連れを対象にした夏休みフリーパス(サマーシーズンフリーパス)等を導入される計画はあるのかについてお伺いをいたします。
 また、列車の利用客の利便性を図るために、かつて貨物荷役が多く扱われていた紀伊田辺駅のホームを改良していただき、体験博専用乗降ホームやバスターミナルの近くに乗降客専用改札の設置、それに南紀熊野体験博専用駅前広場を設け、博覧会のイベントの案内板やバスやタクシーの料金紹介板などを設けるようJRに働きかけてはいかがでしょうか。
 ところで、ことしの一月二十六日付の「日本経済新聞」記事で、開幕まで三カ月に迫ったのに、宿泊施設の予約は低調な上、公式ガイドブックすらでき上がっていないなどと、博覧会の準備の出おくれを取り上げられておりました。確かに各イベントのPR不足の点はありますが、これらの心配をよそに、中村玉緒さんによるテレビコマーシャルが好評を呼んだり、小椋佳さんによる博覧会のテーマソングも決まり、イベントも着実にシナリオができ上がるなど順調に進んできているようで、博覧会の成功を願う開催地の地元の一人としてほっとしている次第であります。
 そこで、イベントへの参加、集客についてでありますが、訪れる人たちにできるだけ多くの史跡や景勝地を知っていただくためにも、スタンプラリーや、海南市が博覧会期間中に導入する数多くの特典のついた通行手形のようなものを取り入れてはいかがでしょうか。このスタンプラリーは、現在、有田地方で数カ所の温泉めぐりを行うものとして実施され、スタンプを全部か、また半分の六カ所分を押した行楽客に宿泊券が当たるなどの特典がついているもので、紀南地方でもこれらのようなものの導入計画はあるのかについてお伺いをいたします。
 また、現在進行形で和歌山ラーメンが全国的に有名になり、店の前には行列ができるほどの大変な人気ぶりとなっておりますが、紀南地方でも県外の人たちに余り知られていない特産の食べ物が数多くあります。例えば、紀州茶がゆやめはりずし、サンマずし、それに龍神のゆべしや太地のてつめんもち、新宮や田辺等のお菓子などもあります。そこで、これらの特産の食べ物を知ってもらい、またそれを味わいに和歌山に訪れていただくためにも、中辺路のいやしの広場、本宮のよみがえり館、勝浦の大門坂みたし茶屋を中心に紹介してはいかがでしょうか。
 最後に、博覧会のサブテーマには「いやす」「みたす」「よみがえる」が掲げられています。そこで、訪れる人たちとの心の交流を深めるためにも、地元の人たちの人を受け入れる心が大切となってきます。ボランティア活動もその一つであります。
 そこで、体験博の推進専門部会では昨年八月から十一月にかけて田辺市と那智勝浦町のシンボルパーク会場で活動するボランティアを募集いたしましたが、熊野の歴史や史跡を地元の中学生や高校生、それに小学生の高学年の児童に勉強してもらい、地元の子供たちがこれらの名所を紹介する子供語り部を導入して、県内外の行楽客と地元の子供たちの交流を深めてはいかがなものでしょうか。これは、間もなく博覧会がスタートすることから時間的な制約もありますが、夏休み期間中に限定して紀南のよさをPRしてもらうとともに、心の交流を図られてはいかがなものでしょうか。
 以上、当局の見解をお伺いいたします。これで、一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 大沢議員にお答えをいたします。
 南紀熊野体験博に向けての所見でございます。
 この体験博は、本議会の冒頭にも申し上げましたように、人々にとって今一番必要な心のゆとりと安らぎを取り戻し、二十一世紀の人々の日常生活になくてはならないリゾートライフを提案するものでございます。
 私は常に申し上げていることでありますけれども、本県は豊かな自然と歴史、文化に恵まれてございます。いにしえから人々の安らぎの地であり、心のふるさとであったわけでございます。そのために、体験博期間中にはこれらの魅力を十二分に発揮できるように、十万人の熊野詣、あるいは和歌山の大自然の魅力に触れ、そのすばらしさを実感していただく地域イベント、さらには地域の皆さんが豊かな知識と経験を生かし、主体となって運営していただく参加型のイベントなどを開催いたしますけれども、体験博に訪れた方々にとっては、これらの体験を通して疲れた心と体をいやし、満たし、新たな活力を生み出していただけるものと確信をしております。
 いずれにいたしましても、私たち自身が和歌山県の魅力を再認識し、広く内外に発信していくとともに、地域の皆さんが貴重な経験を財産として次の世代に引き継いでいくことが二十一世紀の本県の飛躍にとって最も重要なことであろうと考えてございます。開催まであとわずかとなったわけでありますが、誘客対策、会場運営等、残された幾つかの課題に全力を挙げて取り組み、南紀熊野体験博を成功させるために万全を期してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長尾崎武久君。
  〔尾崎武久君、登壇〕
○農林水産部長(尾崎武久君) 大沢議員ご質問の梅問題の二点についてお答え申し上げます。
 まず、梅の生育不良に関する情報公開についてのご質問でございます。
 県の試験研究機関の使命は地域課題を解決することにございまして、試験研究等に関する情報、データ等につきましては公開でなければならないと考えてございます。このため、梅の生育不良に関しましては、農家を初め市町村、農協等の関係者のご協力をいただいて取りまとめた実態調査や暴露試験を初めとする栽培、病害等の試験研究の成績、さらには大気の測定結果等につきまして、地元の協議会を初め地域での説明会などあらゆる機会をとらえ、ご説明、ご報告させていただいているところでございます。今後とも、県議会のご協力をいただきながら、農家の理解が得られるよう、試験研究のデータ等につきましては積極的に公開するとともに、地元の梅生育障害対策研究会との情報交換を図り、一日も早い問題解決に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、梅干しの原料原産国表示についてでございます。
 これまで先人たちが築いてきた和歌山の梅ブランドを守り育てることは、梅を地域産業とする本県にとりまして非常に重要であると認識してございます。こうした中、議員お話しのように、地元の市町村や議会などからJAS法に基づく梅干しの原料原産国表示を国に働きかけるよう強い要望をいただいておりまして、県といたしましても、地元の皆さんの声を十分踏まえ、その実現に向け、国に対し粘り強く働きかけを行ってきたところでございます。その結果、国では本年度から加工食品の原料原産国表示のあり方について調査検討に入っており、検討品目の一つとして梅干しが取り上げられる見通しにあると聞いてございます。今後とも、引き続き国に対し原料の原産国表示の実現を働きかけるとともに、関係団体に対し一層の自助努力を求めるなど、地域の基幹である梅産業を守り、発展させる観点から積極的な取り組みを行ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 大沢広太郎議員ご質問の南紀熊野体験博の三点についてお答え申し上げます。
 まず、交通混雑対策であります。
 南紀熊野体験博への来訪者に、満足し、よい印象を持って帰っていただくためには、交通対策に万全を期すことが重要な課題であると考えてございます。そのため、昨年九月に交通対策連絡協議会を設置し、道路整備、公共交通機関の充実、駐車場確保など、南紀熊野地域全体の交通対策に取り組んできたところであります。特に特急バスにつきましては、白浜温泉から那智勝浦温泉間、両シンボルパーク直通の連絡バスが三月二十一日から運行を開始するとともに、白浜温泉から小広峠間に特急バスの臨時便を一日に二往復増便する予定であります。JRにつきましては、土、日曜日、ゴールデンウイーク、夏休み期間中に臨時列車の運行が予定されているとともに、那智駅への一部特急列車の臨時停車が決定されているところでございます。また、田辺新庄シンボルパークの駐車場につきましては、現在、千百台分を予定いたしておりますが、さらに駐車場を確保すべく関係者と協議中であります。
 次に交通情報でありますが、駐車場情報や迂回路情報、さらに交通に影響するイベント情報などを和歌山放送で提供するとともに、カーナビゲーションを活用した情報サービスも計画いたしております。今後とも引き続き、さまざまな観点から交通混雑対策に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、公共交通の利用促進についてでございます。
 まず、フリーパスの設定につきましては、JR西日本に対し、体験博エリア内、乗りおり自由なフリーパスの設定の要請を行ってきたところでありますが、京阪神地区からJRと地元のバスを乗り継ぎできる白浜観光切符、勝浦観光切符があるため新しくフリーパスを設定できないとの回答があり、その導入は難しいものと考えております。なお、明光バスとは田辺新庄シンボルパークでの乗りおりができる白浜町内フリー切符の設定について協議中であります。
 また、田辺駅の改良についてでありますが、JR西日本では現行の設備で十分対応できるとの考えでありますが、乗降客に不便をかけないよう最善の体制をとるよう働きかけてまいりたいと考えてございます。
 さらに、案内板等につきましては、JRやバス会社と十分相談を行いながら設置するとともに、田辺駅前に観光案内所を開設するなど、体験博期間中、来客者の利便を図ってまいりたいと考えてございます。
 続きまして、熊博の集客とボランティア活動についてでございます。
 まず集客についてでありますが、今回の博覧会は具体的に入場券がありませんので集客については大変難しい面もありますけれども、情報発信基地としての両シンボルパークへ多くの方々に来場いただくため、いやしへの招待状を作成し、配布することといたしております。これと相まって、両シンボルパークから南紀熊野のさまざまな地域への誘導を促すことを目的に、議員ご提案のスタンプラリーの実施も計画いたしております。これの特典といたしまして、宿泊券、地場産品などを賞品とした抽せんを検討しているところでございます。また、十万人の熊野詣の拠点施設の一つである中辺路町のいやしの広場では、中辺路町実行委員会が地域特産の食べ物や特産品などの販売を計画しており、また本宮のよみがえり館においても地元実行委員会で現在検討されているところであります。そして、田辺新庄シンボルパークや各地域イベントにおいても、地元特産の食べ物を提供することを計画いたしております。いずれにいたしましても、南紀熊野体験博を契機に各地域の特産品を全国の多くの人々に知っていただけるように努めてまいりたいと考えてございます。
 ボランティアにつきましては、運営の支援や熊野古道ガイドボランティアを募集いたしましたところ約二千五十名の方々から応募をいただきましたが、来訪者との心の交流を深める重要な役割を果たしていただけるものと期待しているところでございます。
 なお、議員ご提案の子供語り部制度の導入につきましては、非常に難しいと考えておりますが、来訪者と地元の子供たちとの交流につきましては、市町村の体験イベントや地域イベントの中で交流を深めていただけるものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 1番大沢広太郎君。
○大沢広太郎君 ご答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 今や、和歌山の梅は全国シェアの半分を占めております。また全国の梅の出荷量は、ワインブームにも乗りまして十年前の約二倍となっております。また、梅酒のテレビコマーシャルの中で「和歌山南部産の高品質の梅を使った梅酒」とのコメントが流れるなど、紀州の梅は文字どおりブランド化されております。このブランド化には、地元を初めとする関係者の皆様方の大変なご苦労があったと言えます。特に南部川村は、役場の中に昭和四十八年に全国で初めてうめ課を誕生させ、梅産業の振興を図り、南部梅林を全国的に有名にさせたほか、梅酒の消費拡大を図った一方で、生育不良対策では梅シンポジウムを開催したりして対策に当たっております。また、昨年にはうめ振興館を完成させ、和歌山の梅のブランド化をさらに推進しているほか、先月二十四日、二十五日に群馬県安中市で開かれました第四回全国梅サミットで山田五良村長は、和歌山の梅がブランド化された点について講演し、その中で、村民みんなの力で村の名前が全国的に通じるようになったこと、村一体となっての取り組みを強調されておりました。また、これからの農業の問題の一つである農業後継者の育成でありますが、梅の産地である田辺市や南部川村などに都会から農家へUターンする若者の就農率も高くなってきているという明るい見通しが見えてきております。
 そこで、県におかれましては、このような状況のもと、梅の生育不良問題を一日も早くクリアされて、和歌山の梅のさらなるブランド化に向けて取り組んでいただきたいと思う次第であります。
 それから、南紀熊野体験博であります。
 このイベントは、将来の本県の観光のあり方を探るという意味合いもあります。私が幾つか提案をさせていただいた方策を前向きに検討していただきたい、そのように思う次第であります。
 その中で、子供によるボランティアでありますが、子供たちが地元の歴史や風土、すばらしい自然環境と人情を知ってもらい、訪れる人たちにこれらを紹介するということは、一石三鳥、一石四鳥の効果があると思っております。こういった取り組みこそが、若者がふるさとのことを考え、また国際化社会での日本人のあり方を考えるといった方向づけができるものと思っております。強いて言えば、国旗の日の丸や国歌を大切にするといったことにもつながっていくものと私は思っております。
 以上、要望を申し上げ、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。
○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番神出政巳君。
  〔神出政巳君、登壇〕(拍手)
○神出政巳君 おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、通告に基づき、順次ご質問申し上げます。
 冒頭、会派を代表し、先輩・同僚議員の皆様初め、知事初め当局の方々によるこの四年間のご交誼に対し、衷心より感謝し、厚く御礼申し上げます。四月の統一選には再選を果たし、元気に相まみえたいものであります。何とぞ、ご高配よろしくお願い申し上げます。
 さて、私どもは市議会議員を体験し、いろいろな経過の中、まさか務めさせていただけるとは思っていなかった県議会議員として、支持者の声を背に、歴史と伝統ある県議会にお送りいただき、県政に参画させていただきました。光陰矢のごとし、あっという間の四年間で、どれだけの活動をできたかは内心じくじたる思いであります。そして、同じ地方自治、地方行政とはいっても、県政と市政では大きく違っていました。県政は、国の機関委任事務、法定受託事務のウエートが大きく、予算を見ましても歳入部分では依存財源が大部分を占め、和歌山県においては三割自治すら厳しい状況にあることを実感しました。しかし反面、県民の預貯金残高が高いことも一つのかすかな頼りにできることもわかりました。
 以下、一期四年間を総括し、議案等への質疑並びに一般質問をさせていただきます。
 まず、知事にお尋ねします。
 予算関係では、国のいわゆる十五カ月予算という考え方に沿い、十一年度に実施すべき投資事業の一部を積極的に十年度の補正予算に前倒し計上し、総事業量の確保に最大限努めるとともに、年度間の切れ目のない事業執行に配慮したということであります。国会においては、政府予算案がスムーズに審議されているようであります。本県では、十一年度当初予算の一部、単独投資の三〇%相当額、百三十二億円について十年度に前倒しして二月補正で措置ということでありますが、十年度二月補正で計上することと十一年度当初で計上することとどう違うのか、二月であれば余り違わないのではないかと思いますけれども、煩雑な事務作業にかえてでもメリットがあるのか、二十日余りの繰り上げによる執行メリット、政府の財源支援等期待できるのか、お尋ねします。
 また、十年度二月補正、十一年度当初予算の内訳を見ると、市町村が最も要望する普通建設補助が大幅に減額されています。知事は常々、用地さえ協力してくれれば積極的に支援すると言明されております。用地がうまくいき、継続的に予算が必要な事業に対しては、十一年度の九月、十二月に補正を組み、追加されるのか否か、お尋ねします。
 次に、元気予算(県勢活性化)に八十億円計上されています。厳しい財政状況の中、要求限度額を設定せず、景気対策等に対応されていますけれども、どういう検討経過で計上されたのか、お尋ねします。
 あわせ、一昨年、職員から久しぶりに政策提案を募っておられましたが、今年度分にはそういったものを反映されているのか、お尋ねします。
 次に財源確保について、基金が大幅に減少する中、積み立てをするために県債を初めて発行されているわけでありますが、県債残高が予算規模を超えることについてはどのようにお考えなのか。
 また、県債残高の増加による歳出の公債費が年々増加し、景気低迷がこのまま続き、県税収入が伸びないとすれば、数年のうちに公債費が八百億円台となり、県税収入と変わらない額となってくるわけであります。このことに対してはどのようにお考えなのか、お尋ねします。
 続いて、ことし一月に策定された平成十一年度から十五年度を実施期間とする西口県政二度目の新たな行革大綱についてお尋ねします。
 まず、重点項目の事務事業の見直しについて八項目挙げられておりますが、事務事業の評価については触れられておりませんので、具体的にどのようにチェックされるのか、お尋ねします。
 次に、定員及び給与の見直しについては定員管理計画に沿うとあり、定員削減、職員数の抑制をうたっておられますが、定員の見直しについては具体的にどのようにして取り組まれるのか、考え方をお尋ねします。
 給与の見直しについても、昭和五十一年二月定例会において、当時の自民党県議団の代表質問として故妙中正一氏が、民間企業人、税金を納める人の立場から、故仮谷志良前知事の初の予算議会で知事に厳しく迫っておられます。
 近年、高知県は、世論、住民の声ということで思い切った給与見直しを行いました。西口知事は、職員定員削減という最も厳しい行政判断も大変だったと推測しますが、まずきちっと職務職階制にし、やる気のある職員の士気を鼓舞してはいかがでしょうか。
 高知県に倣った試算では、職員の生涯給において約一千万円、和歌山県全体ではならして年間で約五十億円の削減となり、歳出における義務的経費の最もウエートの大きい人件費の増加が多少なりとも食いとめられるのではないかと思っています。給与体系についても、あわせ答弁願います。
 次に南紀熊野体験博について、二点要望したいと思います。
 県内外からの入り込み客に対し、紀南の雄大な自然、文化、歴史を体験していただき、もてなすということが肝要でありますが、最も危惧するのは交通渋滞対策と食事のことであります。
 さきの質問者の方々と多少重なりますが、まず交通渋滞対策であります。
 先日、議長代理として知事と同席させていただいたビッグ愛での保育研究会でも体験しましたが、道路事情ばかりでなく、主催者と施設管理者の配慮不足で、会場近くまで来ているのになかなか自動車が会場内に駐車できない、式典が終わっても自動車内に閉じ込められているということがありました。式典後、管理責任者に改善策を指示しましたが、言いわけばかりで、結局、頭のかたい現実を理解できない公務員の一面を感じ、帰ってまいりました。
 また、日曜日などに白浜付近でゴルフをすれば、紀北に帰るのに自動車であれば三、四時間はかかるというのが常であります。マリーナでのリゾート博のときのような交差点改良や交通整理、駐車スペース確保、シャトルバス運行など、的確な対応策を要望しておきます。
 そして、和歌山、紀南の評価を大きく左右し、再度来訪しようかどうかを決定するのが食事であります。食費、宿泊費とともに、特に海の幸を期待して来られるお客様に対し、飲食関係の方々には徹底していただきたいと要望しておきます。よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、副知事にお尋ねします。
 自治省と地方勤務を幾度も体験されておるわけでありますが、地方自治、地方分権への今後、とりわけ地方が最も要望している自主財源の確保についてお考えをお尋ねします。
 地方財政制度の現状分析と財源移転制度の適正化という観点から、特に国税・地方税の改革、地方交付税制度、国庫補助負担金のあり方について、今後の制度改革の方向性に対し所見をお聞かせください。
 続きまして総務部長に、議案第四十七号、議案第六十六号に関連して外部監査についてお尋ねします。
 一昨年、本県におきましても清算はしたのでありますが、地方公共団体の公費支出をめぐって不適正な、つまり空出張、空会議等による裏金づくりや官官接待、公共工事の入札をめぐる収賄事件等が全国各地で明らかになり、社会問題にまで発展しました。また、このような事件が表面化したのは、監査委員や地方議会の指摘ではなく主として市民オンブズマンの活動等によるものであったことから、地方公共団体における自浄能力、監査制度のあり方等について改めて改革の必要性が問われてきています。
 言うまでもなく、このような不正を正すものとしての地方公共団体の監査制度としては、監査委員制度、補助金に係る会計検査院検査、行政監察局の監督、及び上級官庁からの指導監督などがありますが、現行の監査委員制度については、自治体行政の公正で効率的な運営を確保する上で重要な役割を果たしているものの、当該団体の組織に属する者による監査であるという点において、監査機能の独立性、専門性の確保という観点からはおのずから制約があることは否定できません。一方、地方分権の進展に伴って国からの補助金が削減されるに従って、会計検査院、行政監察局、及び上級官庁などによる地方公共団体に対する検査及び指導監督の機会が大幅に減るため、各地方公共団体が責任ある行政主体として、住民の信頼を得て、公正かつ効率的な行政運営を行っていくためには、監査委員による監査に加え、外部監査などを導入することにより、従来より強力な監査実施体制を確立していくことが必要とのことで、今回、地方自治法の改正により包括外部監査制度を導入するということであります。
 そこで、現在ある監査委員による監査との絡みについてどのような関係になるのかご説明をいただき、また監査は法人ではなく何ゆえ個人となっているのか、監査人をどう絞ったのか、契約の金額も何ゆえ二千万円を上限とする額になっているのか、お尋ねします。
 続きまして、土木部長にお尋ねします。
 公共事業における地権者に接する機会も多く、そのときに常々言われることがあります。それは、買収予定地が水路、里道等に接している場合に、買収に当たって買収予定地と水路等の境界について立ち会いをするが、境界線の根拠が明確でなく納得できないということであります。
 そこで、水路、里道等の境界を決定する法的根拠、境界を決定する具体的な基準についてどのように取り扱っておられるのか、お尋ねします。
 最後に、教育長にお尋ねします。
 きょう三月一日は、県下公立高校のほとんどが卒業式を行っています。今、現在進行中であると思います。私は、ちょうど三十年前の卒業であります。しかし、残念なことに受験で上京していましたので、きょうと同じく出席できませんでした。四年前から、県議会議員を務めさせていただくおかげで毎年母校の卒業式に出席させていただき、大変うれしく思っています。反面、かつての校舎の面影はすっかり変わってしまっていますし、恩師や同級生の姿がないのが中途半端な卒業をした者にとっては複雑な思いであります。また、卒業式の式典の雰囲気が、一月の成人式と同じく、世の移り変わりというか、何か年代のずれというものも感じます。
 母より優しい小学校卒の父が、家業を休んでくれ、幾つかの大学受験に同行してくれ、平成天皇が皇太子時代のころ、結婚記念の皇居前の噴水の前で待ち合わせて帰ってきたのが三十年前の私と父のきょうの思い出であります。ちょうど、そのころは七〇年安保改定の一年前ということで大学も荒れており、一月十八日には東大の安田講堂が落ち、この年のみ東大の受験がなかったという特別な年で、当時の受験生は大変な影響を受けました。前の年の暮れには東芝府中工場のボーナス三億円強奪事件が起き、未解決のまま三十年が過ぎ、今日に至ったという時代背景でありました。
 少し前置きが長くなりましたが、以下、議案第五十八号和歌山県立学校等職員定数条例の一部を改正する条例に関連して、数点お尋ねします。
 先ほど述べた新たな行革大綱の定員管理計画、約五百名削減に沿ったもので、児童生徒数及び学級数の変動等に伴い、職員の定数を改正、適正配置するということであります。盲聾、養護学校関係は三十三名増員、他は百十二名削減、合わせて今回は七十九名の削減となっています。今後五年間で五百名削減はどのように実施されるのか、お尋ねします。
 既に大阪府では教育改革プログラムを策定し、高等学校においては全日制学校の再編統合を三期に分け、一期分についてはことしの夏にも校名を挙げ取り組むということであります。学級崩壊対策では、小学担任の弾力化、合同授業、交換授業の導入、就学前の幼稚園では親にも家庭教育の必要性を訴えるということであります。
 このことに関して、本県では二月二十五日正午、県立高校初めほとんどの公立高校の入学者選抜の出願を締め切りました。昨年の二月定例会でも質問させていただきましたが、今春も職業科、総合学科を除き、応募の著しく少ない全日制高校があります。今後、全日制高校の活性化についてどのように考えているのか、お尋ねします。
 また近年、新聞、テレビ等、マスコミで報道される学級崩壊やいじめ、登校拒否等の現象が県下でも同様に起こってきております。学級崩壊に関して、小学校ですら幼児期からの塾通いの影響で学業成績はかつてのような正規曲線分布ではなく「二こぶラクダ」という、できない子、できる子、また落ちつきのない子、落ちつきのある子のグループに二極分化されているようであります。したがいまして、一律に少人数学級を目指すよりは、授業の理解できる子、著しく理解できない子、普通に授業を受けられる子、受けられない子を分けて指導するというようなクラス編制の弾力化をしてはいかがかと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
 また、教職員初め管理職の資質向上、研修の充実についてお尋ねします。
 教育研修センターでの研修の際には、教職員としてどこが適正か不適正かをチェックして指導すべきであると思いますし、現在実施されている民間企業への交流人事もなお一層推進されてはと思います。今後、学校の自由化、弾力化、そして管理職を初め教職員の資質向上を図ることが何よりも大切なことと考えます。現場の小学校や中学校で、やる気のある校長先生の話では、五時になっても帰りたくない先生、何でも一緒にやろうかという若い覇気のある先生が欲しいということであります。
 フランスで実施している初任約五年間を講師として勤務させる制度、インターン制度など試みる考えはないのか、お尋ねします。
 議案に関して、職業意識、プロ意識を持ち、子供に学力をつけることを第一義とする教職員養成を訴え、以上で第一問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの神出政巳君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 神出議員にお答えをいたします。
 まず、予算関連であります。
 投資的事業につきましては、いわゆる十五カ月予算ベースで対前年度当初比四・四%増の事業量を確保したところであり、まずはその着実な実施に向けて取り組むことにより景気浮揚を図っていくことが重要と考えてございます。一方で、議員の懸念されるような、いわゆる息切れといった状況が現実に予想される場合には、国においても追加的な対応の検討に入ることになると思われますので、今後の動向を十分注視してまいりたいと考えてございます。
 次に、元気予算についてでございます。
 県勢の活性化につきましては、現下の経済情勢を踏まえながら、これまでも精いっぱいの対応を図ってきたところでございますけれども、今後なお一層の飛躍を図るため、新たな政策展開につなげていくための種をまき、芽を出していくことも大変重要なことだと考えてございます。こういった観点から、十一年度当初予算におきましては、従来の予算要求限度枠にとらわれることなく、柔軟かつ斬新な発想による新規事業等の積極的な掘り起こしを図ることといたしました。
 また、職員からの政策提案につきましては、例えばタウンモビリティモデル事業、ちょっとわかりにくいと思いますけれども、高齢者の方々などに不自由なくショッピングや観光を楽しんでいただくために電動スクーターを貸し出ししようという職員提案であります。そういうすばらしいアイデアと思われるものにつきましては、県政にできる限り反映さすために、昨年に引き続き積極的に予算化を図ったところでございます。
 こうした取り組みによりまして、きのくにベンチャーランドなどの新産業の創出、育成支援等の産業活性化対策のほか、スポーツの振興、特に今議会でもお話のございました本県の成績アップを図るためのスポーツの振興策や環境対策など、広い意味での県勢活性化につながると期待される事業を積極的に開拓して施策に盛り込んだところでございます。これらの事業につきましては、景気低迷や昨年からの本県の暗いイメージを払拭いたしまして、県民の皆さんとともに元気を出してすばらしい和歌山のふるさとづくりを進めたいと考え、「元気予算」と名づけたところでございます。
 次に、県債残高及び公債費についてでございます。
 一般会計における平成十一年度末の県債残高は六千三百二十五億円に達する見通しでございます。公債費につきましては、平成十一年度の償還額が約七百億円に対しまして、平成十四年度には約八百億円の償還が見込まれるわけでございます。しかしながら、目下の急務は現下の不況から一日も早く脱却をして景気の回復を図ることであるとの認識のもとに、厳しい財政事情の中でぎりぎりの財政運営を行うために県債を活用したところでございまして、現下の経済情勢からはやむを得ざる措置としてご理解をいただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、県債残高及び公債費の増大に伴う財政上の問題につきましては強く認識をしておるところでございまして、今後とも財政運営に著しい支障が生じることのないような努力をしてまいりたいと考えております。
 最後に、新たな行革大綱に関連してのご質問であります。
 今回の大綱は、新しい地方の時代に行政の質の向上を図るために、一つは責任領域の見直し、二つ目に運営体制、運営方法の見直しを基本的視点として策定をしたところでございます。これらを踏まえまして、予算編成過程において事務事業の見直しを図ったところでありますが、具体的には、民間委託による方がより効果的な実施を図り得るもの、また組織横断的な調整を行うことによって事務事業の総合的、効率的な実施を図り得るもの、このような項目を具体的な視点として一事業ずつ検討しておるところでございます。平成十一年度当初予算におきましては、制度の見直し等により百八十五件、七億円程度の整理合理化を図ったところでございます。
 また、定員及び給与の見直しについてでございますけれども、定員につきましては、事務事業のなお一層の整理合理化を行い、民間的な手法なども積極的に取り入れながら行ってまいります。
 給与につきましては、議員ご指摘のとおり、職務や個人の能力と実績が評価される給与体系が求められております。これらの動向を踏まえまして、世代間、職種間における給与の適正な配分方法等にも配慮しながら、一層の給与の適正化を進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 副知事山下 茂君。
  〔山下 茂君、登壇〕
○副知事(山下 茂君) 自主財源の確保の問題についてお答えをいたします。
 地方分権を推進してまいりますためには、地方公共団体の自主性、自律性を高める見地から、国と地方の役割分担の見直しや機関委任事務制度の廃止等を進めると同時に、国と地方公共団体の財政関係につきましても基本的な見直しを行う必要がございます。
 まず地方税につきましては、地方公共団体の財政面における自己決定権と自己責任をより拡充するという観点から、国と地方の税源配分のあり方につきまして、地方税を充実させる方向での抜本的な検討をするとともに、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系を構築することが不可欠であると考えます。
 次に地方交付税につきましては、税源の地域間での偏在を是正するとともに、一定水準の地方行政運営を保障する上で、その財政調整機能は極めて重要でございまして、地域の実情に即した地方公共団体の自主的、主体的な財政運営が可能となるように、地方交付税の算定に当たって地方の意見をより一層的確に反映させることが必要だと考えます。
 さらに国庫補助負担金につきましては、既に地方公共団体の事務として同化・定着しているもの等につきましては一般財源化を進めるとともに、国の過度の関与等によって地方公共団体の自主的、自律的な行政運営が損なわれることのないように、統合・メニュー化などを図っていく必要があると考えます。
 今後、地方分権が推進されていく中で、本県のように自主財源の乏しい団体にありましては、地方公共団体の自主性、自律性を高めながら、個性豊かで活力に満ちた地域社会を創造していくためには、国と地方公共団体の財政関係の抜本的な見直しを行いまして、地方税、地方交付税等の地方一般財源の充実確保を強く求めていかなければならないと考える次第でございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 神出議員にお答え申し上げます。
 十一年度当初予算につきましては、年度間の切れ目のない事業執行に配慮して十五カ月予算を編成したところでございますが、このように二月補正に前倒しをして計上することによりまして、早い段階から設計等の準備にかかれるとともに、前払い金等の早期支払いが可能となるほか、一般財源が限られている中で、起債を最大限に活用することで事業規模を確保することができたところでございます。
 次に、外部監査制度についてでございます。
 まず、外部監査と現行の監査委員制度との関係についてでございますが、毎年度実施される包括外部監査におきましては、外部監査人は自治法に定められた監査委員の広範な監査権限のうち、財務に関して特定のテーマを選び監査を行うこととなっております。監査委員は、議会の同意を得て長に選任される地方公共団体の執行機関として監査に関して住民に対し責任を有しており、外部監査制度の導入により、一定の場合には外部監査人が監査を行うものの、地方公共団体の監査全般を行うものとしての位置づけは変わっておらず、外部監査契約に基づく監査に関しましても、その監査結果報告の受理、公表等は監査委員が行うこととなってございます。
 次に、外部監査人を個人とし、法人を含めないこととされた理由でございますが、外部監査契約を締結できる者は自治法第二百五十二条の二十八に限定列挙されており、公認会計士、弁護士等の自然人に限られております。これは、外部監査は監査委員が行う監査の一部を外部の者に行わせるものであることから、監査委員と同様に法人ではなく個人が行うべきこととされたものであると承知してございます。
 次に、今議会に契約議案として提出しております契約の相手方たる外部監査人の選定についてでございますが、包括外部監査は先ほど申し上げましたように地方公共団体の財務に関し監査するものであることから、財務関係の監査に関して高度な専門性と豊富な経験を有する者として公認会計士がふさわしいと判断したものでございます。具体的な人選に当たりましては、事務打ち合わせ等の便宜上、県内に事務所を置き、本県を中心に活動していることを基準として、外部監査に関する研修を履修した者の中から公認会計士協会からご推薦いただき、決定させていただいた次第でございます。
 また、包括外部監査契約の契約金額につきましては、自治省から示された地方交付税の措置額、他府県の状況等を勘案して算定したものでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 神出議員にお答えいたします。
 水路、里道等の建設省所管国有財産の境界確定は、財産管理者の知事と隣接地所有者の合意により確定する一種の私的契約でございます。
 そこで、隣接地所有者との境界協議に当たっては、その土地の沿革等を調査し、付近の地形、地物をしんしゃくし、利害関係者の意見を聞いた上で、双方の合意し得る公正妥当な境界を見出すよう努めております。しかしながら、水路、里道等の法定外公共物につきましては、できた当初と状況が変化している場合などでは、さきに述べた方法ではその境界を見出すことが困難であります。そこで、境界確定事務の停滞をできるだけ避けるため、実態に即した標準的な最小幅員を想定し、ほかに明確な証拠がない場合は、その幅員を確保する形で境界確定のための協議を行うといった取り扱いが行われておりますが、この方法はそれぞれの地域で定着していると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題四点についてお答えいたします。
 教職員定数の推移につきましては、本県では平成十一年度から五カ年間に児童生徒数が約一万二千人減ることに伴い、教職員定数も五百名程度減少すると見込んでおります。今後、国の定数改善の動向も見ながら、指導方法の改善等に関する定数の確保を図り、適正な教職員配置を進めてまいる考えであります。
 次に、全日制高等学校のあり方についてでございますが、平成元年度以降、これまで全日制高校二十二校に二十八学科の特色ある専門学科の新設改編を行うとともに、和歌山高校、有田中央高校へ総合学科を設置してまいりました。さらに、幅広い学校間連携やコース制の導入を実施するなど活性化に取り組んできたところでございます。今後、生徒数が減少していく中で、再編等その対応策を考えるとともに、生徒、保護者の多様なニーズや地域社会の期待に一層こたえてまいりたいと存じます。そのため、普通科の充実を図る単位制の導入、特色ある学科の設置等について検討し、魅力ある学校づくりに向けて指導するとともに、教育委員会といたしましても支援体制をとってまいる所存でございます。
 次に、クラス編制の弾力化についてお答えします。
 全国的に子供をめぐってさまざまな課題が生じてきておりますが、今日の教育のあり方については、個性尊重という基本的な認識に立って、子供一人一人の能力、適性に応じた教育の展開を図っていくことが大切であります。こうしたことから、学校教育においては、チームティーチングや選択教科等の導入が子供のよさを生かす上で効果的であると考えております。今後とも、こうした取り組みを積極的に進める中で、学級の枠を超えた弾力的な学習集団の編成を行うなど、子供の能力、適性、興味、関心等に応じた多様な教育を一層推進してまいります。
 次に、教職員の資質向上及び研修の充実についてであります。
 初任者研修を初め、教職経験六年目、十一年目の研修、さらに不登校など今日的な教育課題に対する専門研修を体系的に実施しております。中でも、本年度から教育臨床心理学実践講座を開設し、全校的に心の教育の取り組みを深めることができるよう、校長、教頭に受講を義務づけているところであります。また、教員の視野を広げるために、平成八年度から企業や福祉施設等で長期社会体験研修を実施しているところであり、一層の充実を図ってまいる所存でございます。
 次に、初任者の研修についてであります。
 教員の採用に当たっては、教職に対する情熱や使命感にあふれた個性豊かな人材を確保するため、筆答検査の成績に偏らず、人物を重視した採用選考を実施しております。採用後一年間は、教科や学級を担任しながら、先輩教員の指導のもとに学級経営や教科指導の力を培うための研修を進める一方、福祉施設での実習、情報技術やカウンセリングの基本の習得など、校外での幅広い体験研修等を計画的に実施しております。今後とも、研修内容を一層充実させ、教育公務員としての自覚と資質の向上を図ってまいりたいと考えております。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 25番神出政巳君。
○神出政巳君 知事初め、ご答弁ありがとうございました。以下、要望を申し上げます。
 まず、副知事に。
 今後の地方における自主財源の確保についてお答えいただきました。特に、地方税、地方交付税、国庫補助負担金についてお考えをお伺いいたしました。そのとおりであると、私も思います。地方分権が推進される中、今後とも特に本県のような自主財源の乏しい地方公共団体のあるべき姿、システムづくりについてリードしていただきたく、どうかよろしくお願い申し上げます。
 最後に、西口知事に。
 財政に始まり、行政全般、本当に大変なときであります。先日、総務庁が一月二日付で発表した一九九八年世界青年意識調査の結果によると、日本の若者の項目では、家庭生活への満足度を見ると五一・一%、半数強が満足、やや満足が三五・七%、合わせると満足層は九割近くとなっています。しかし一方、社会の現状に対しては五・八%が満足、二九・四%がやや満足と回答しております。満足層は十年前が五一・三%と半数を超えていましたが、五年前には四三・五%、今回が三五・二%まで落ち込み、他方、不満派は五八・三%に上り、不満の理由としては、学歴による収入や仕事に格差があるというのが五二・五%と最も多くなっています。
 日本の世の中は、物質的には豊かになっています。しかし、各家庭でも大部分そうであると思いますが、家庭の崩壊、親子のきずな、情も薄れつつあるのも確かであります。本当に豊かな人、そうでない人、明らかに二極分化の道をたどっていると思います。二十一世紀を力強く切り開こうとすれば、一つ一つの仕組みを本気で変えていかねばなりません。
 けさの新聞各紙の第一面は、脳死・臓器移植の記事でありました。世の移り変わりのスピードが速くなってきております。私どもも、まめに頑張ります。西口知事におかれましては、何とぞ修羅場では鬼となって執行当局の思い切ったかじ取りをお願い申し上げます。
 以上で、今期の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で神出政巳君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十二分休憩
      ──────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(井出益弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(井出益弘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 28番東山昭久君。
  〔東山昭久君、登壇〕(拍手)
○東山昭久君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。
 質問が四日目になりますと、もう既に論議された課題もありまして重複するかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと存じます。
 まず、経済対策について質問いたします。
 最近いろんなところに参りますが、いい話はなく、暗い話がたくさんあります。仕事が減ってきた、お客が減って売り上げがさっぱりなど、景気を何とかしてくれと、叫びともとれる声をよく耳にいたします。また、就職のご相談をよく受けますが、職安にお願いしてもなかなか見つかりません。長期不況の中で県経済、雇用情勢は極めて厳しい現実にあります。
 政府は昨年十一月十六日、総額二十三兆九千億円に上る史上最大の緊急経済対策を決定し、景気対策、金融対策として膨大な税金が投じられてきましたが、景気は回復されず、効果は上がっていないのが現状ではないでしょうか。
 この二十年近く、行政改革、規制緩和のもとで、官民を問わずコスト削減のため合理化が進められてきました。財政面では引き締め策が断行され、医療費の一部受益者負担や社会保険料の引き上げ、消費税の導入など、国民の負担はふえ続けてきたのであります。
 連合が昨年実施した生活実態アンケートである「連合白書」によると、現実の生活に対する満足度は、九四年以来「不満」と「満足」がほぼ四対六で推移してきましたが、今回は「不満」が六〇・三%に達し、初めて六対四に逆転しました。また、年間賃金総額に対する満足度でも「不満」が全体の七割を超え、しかも企業規模が小さいほど不満度が大きいという結果が明らかになっています。不満の内容を見ると、第一が「今後の収入や資産の見通し」、第二が「老後の生活に関すること」、第三に「現在の収入や資産」となっています。このことは、勤労者の生活が賃金、雇用、社会保障の各面で不安定になり、将来に展望が持てなくなってきたことのあらわれであります。政府が発表した家計、消費調査でも最悪を記録し、また経済企画庁の調査によると、老後に不安があると答えた人が七三%に達しており、勤労国民の生活は明らかに悪化の道をたどっていることがわかります。
 賃金の低下、雇用不安の増大は先行きに対する不安を大きくし、それが消費の落ち込みを生み、景気回復どころか、今日の経済危機を一層深刻なものにしています。「消費不況」と言われるゆえんでもあります。雇用不安、老後の不安が大きくのしかかっているのが景気の低迷に大きく影響していると言えます。
 景気対策は、まず前提となるのが雇用不安を解消することであり、老後の不安をなくす社会保障制度の拡充であると思うのであります。国内で最大の最終市場である勤労者の生活は、激しいリストラや賃金抑制によって消費は落ち込み、市場が低迷・縮小していくため、それだけ企業の方での商品、生産設備、資金がますます余剰となり、経営状態は悪化し、さらなる賃下げなど、コスト削減やリストラへ向かう圧力は強まってまいります。どこまでも、この悪循環を繰り返すことでしかないのです。需給バランスが完全に崩れています。
 OECD(経済協力開発機構)の推計によれば、日本経済の抱える需給ギャップは約二十五兆円とも言われています。政府の不況対策は、この矛盾に満ちた社会構造を是正せず温存したまま需給ギャップを埋めようとするものであり、有効な施策とは言えないと私は思います。経済・不況対策の柱は、雇用不安をいかに解消するか、老後の不安をいかになくすか、先行きに対する不安を取り除くかでなければならないと考えます。そうでなければ、知事が述べられるわかやま元気宣言は、残念ながら成果の上がらないものになるのではないかと思うのであります。
 県も今日まで、景気対策として中小企業への融資面での思い切った経済対策、公共事業の前倒し実施、拡大などを行ってきましたが、県経済、雇用情勢は依然厳しいものがあります。従来型の景気対策では効果が上がらないことを示しているのではないでしょうか。
 そこで、次の三点についてお伺いいたします。
 第一は、今日の長期不況の最大の要因をどうとらえられているのか。
 第二は、県のこれまでの経済対策は効果を上げているのか。
 第三は、先行きの不安解消のため十一年度予算案ではどのような施策がなされているのか。
 以上について、知事にご答弁を求めます。
 次に、雇用対策についてお尋ねいたします。
 先ほど述べたように、雇用情勢は極めて厳しいものがあります。昨年一年間の完全失業率の平均値は四・一%で、年度末の失業者は二百九十万人に達しました。県内の状況も厳しいものがあります。雇用維持・創出は県の重要な課題であります。
 政府は、昨年四月に緊急雇用開発プログラム、十一月に雇用活性化総合プランを策定し、総計百万人の雇用創出・維持の方針を明らかにしました。また連合は、百万人雇用創出案をまとめ、昨年十一月に開催された政労使雇用対策会議に提出いたしました。それによると、医療・福祉の拡充、高齢者・障害者住宅の改修費補助金の増額、学校における三十人学級の即時実現、健全な森林の育成・整備などによって百万人の雇用を創出するという内容です。
 県も今日まで雇用促進事業として幾つかの施策に取り組まれてきましたが、ほとんどが国の施策であり、県独自の施策は見当たりません。したがって、雇用喪失に歯どめをかけるのに精いっぱいで、雇用情勢は依然厳しいものがあります。
 そこで、次の二点についてお尋ねいたします。
 第一は、政府の雇用創出策は県施策にどう取り入れられているのか。実績はどうか。また、連合の百万人雇用創出案をどう評価されるのか。
 第二は、県の雇用対策の重点施策は何か。
 以上について、商工労働部長にご答弁を求めます。
 次に、公共事業のあり方について質問いたします。
 この間、不況対策として公共事業の拡大を行ってきました。社会資本の整備の大きな柱は地方自治体の公共事業であり、地域経済にとっても大きな役割を果たすものでありますが、果たして、住民のニーズに沿い、地元企業に潤いをもたらし、豊かさを実感できるような内容になっているのだろうか、大きな疑問を感じざるを得ません。公共事業で建設された道路、橋梁や諸施設は住民に何らかの利便性をもたらすのは言うまでもありませんが、その多くは大手企業が請け負い、しかも規模が大きくなるほど、県外の大手企業すなわち大手ゼネコンが地元企業を下請にして実施することが多いのです。
 建設省の九八年度版「建設統計要覧」によると、事業規模別の公共事業の受注状況では、資本金一億円以上の大手企業が約五〇%を受注しており、中小零細企業には微々たる受注しか回ってこないことが明らかになっております。結局、雇用創出や経済波及効果と言いながら、地元住民や地元企業にはわずかなおこぼれしか行き渡らず、県外の大手企業に利益の多くを持っていかれてしまう構造になっているのではないでしょうか。
 ある建設会社の経営者から伺った話ですけれども、「規模の大きい工事はまず県外の大手が受注し、二次、三次で請け負って仕事をしている。利益がだんだん低く抑えられ、コストぎりぎり、それ以下もある。丸投げも公然と行われている。うまいところは大手で、地元業者は泣いている。しかし、それでも仕事をとらなければ従業員へ給料も払えない」、これが現実の声ではないでしょうか。
 公共事業が地域経済に与えるものは大きいものがあると思います。したがって、地域経済に波及効果の出るような事業に、地元業者が潤うような、しかも住民のニーズに応じた公共事業のあり方、構造の転換が必要であると考えますが、土木部長のご見解をお伺いいたします。
 次に、下津港湾整備計画についてお尋ねいたします。
 瀬戸内海国立公園の景勝地・雑賀崎に隣接する紀の川河口部を埋め立て、巨大船の入港できる港湾を建設する計画が検討されています。この問題については、これまでこの議場でも何回か論議がされました。重要な課題でありますので、その論議に参加させていただきたいと存じます。この問題について、私は何が何でも反対という立場ではないということを明確にしておきます。
 当初の計画はさすがに不適当であったのか、変更案が出されました。これについても疑問点があり、港湾計画そのものの疑問点が解明されたとは言えないと思います。景観検討委員会が設置をされ、景観論争が行われていますが、この埋め立て問題は景観検討委員会だけに決定をゆだねるべきでないということを認識すべきであると思います。当初計画より景観的な観点からすれば大きな譲歩と言えますが、これだけで埋め立てを推進するには余りにも問題点が多過ぎると思います。疑問点や問題点について県民が納得いく説明が必要であります。
 そこで、疑問点や問題点について土木部長にご見解を伺いたいと存じます。
 一点目は、法的問題は本当にクリアできるのかということであります。
 この埋め立てについて環境庁は、問題点を具体的に指摘しています。厳に抑制すべきとされる瀬戸内海での埋め立てであり、国立公園の特別地域に隣接していることから、景観に著しく影響を与えるとして、瀬戸内海環境保全特別措置法に抵触するので再検討されたいと差し戻しをしたのであります。これを受けて景観検討委員会で検討されていますが、公有水面埋立法、瀬戸内海環境保全特別措置法等から見ても埋め立ては難しいと考えられます。現に専門学者からは、今回の雑賀崎の埋め立てについては極めて違法性が強いと指摘されています。法律違反でないと断言できますか。違反でないなら、その根拠を明らかにしていただきたいと存じます。ご見解を求めます。
 次に、新規港湾整備の必要性の根拠についてお伺いいたします。
 県当局は、新規埋め立ての必要性について、一、物流需要の増大、船舶の大型化に対応した外貨物流機能の強化、二つ目として建設残土の受け入れ空間の確保、三つ目として和歌山港北港への対応等を挙げています。具体的には、コンテナ船と木材原木用船が現状より飛躍的に増加し、公共貨物量は一九九四年の約二百六十六万トンから二〇〇八年には二倍の五百万トン、コンテナも約八十万トンと予測されていますが、しかし、この根拠は極めてあいまいなものと言わざるを得ません。
 和歌山港の現状はどうか。どう見ても、二倍に増加するという予測は出てこないのであります。一九七二年には約二百三十四万トン、九四年には二百六十六万トンで約一一%ふえただけであり、貨物量が十年余りで倍増するというなら、その根拠を示すべきであります。原木だけで見ると、輸入はバブル期の一九九〇年の約七十万トンを境に年々減り続け、一九九六年には三十八万トン、九七年には三十万トンを割り込んだと言われています。また、コンテナ貨物も十年後には約十二倍の約八十万トンになると予測していますが、日本開発銀行大阪支店が作成した調査レポートによると「これ以上の港湾施設の建設は不要」と指摘しており、日本コンテナ協会も「地方港で需要がふえるとは思えない」と否定的であり、専門家も「現状を無視した見通しでしかない」と指摘しています。
 荷主がどこの港を使うかは、港湾サービス、高速道路へのアクセス、陸送コスト、利便性などを総合的に判断してのことであり、決して施設があれば荷が来るということではないと思います。物流の現況、将来の見通し等、どう考えても県が考えているような夢は実現できそうもありません。急ぐ必要はないと思うんです。膨大な事業費をつぎ込む公共事業であるがゆえに、経済の見通しとそれぞれの専門家による討議を見据え、市民、県民に問うべきであると考えますが、ご見解をお伺いいたします。
 埋め立ての理由の一つである建設残土の処分場の確保についてですが、埠頭建設に伴う残土約六百万立方メートル、その他の公共事業の建設残土などにより千七百四十万立方メートルを埋め立てるとしています。建設残土、産業廃棄物の処理が重大な課題であることは、私も強く認識しています。しかし、廃棄物量の将来予測は過大な見積もりではないかという疑問もあります。
 また、和歌山県の廃棄物のリサイクル率が低いとも指摘されています。公共土木事業から出る廃棄物のリサイクル率は、県の平成七年度の調査資料によると建設廃棄物で三四%となっており、全国平均が五八%であることから比べても低いものとなっています。もっとリサイクルなど公共事業の廃棄物の減量に取り組むべきであり、そのための研究に力を入れるべきであります。ごみや廃棄物が多いので困るからすぐに海を埋め立てる、海に処分場を求めるでは短絡過ぎるのではないでしょうか。ご見解を求めます。
 最後に、この問題についても過日の議場で論議はあったわけですけれども、和歌山市長の要望への対応についてお伺いしたいと思います。
 新聞報道によりますと、去る十六日に旅田和歌山市長は西口知事に対して、県の港湾整備の埋立計画について見直しを求める要望書を提出したと報じていました。昨年三月の議会で長沢土木部長は、事業化に向けてのプログラムの質問に対して「港湾計画につきましては、国の港湾審議会の意見を踏まえて、本港沖埋立計画のうち雑賀崎前面の景観についてさらに検討を行うことといたしております。その検討を踏まえた上で、事業の具体化を図るためには、公有水面埋立法に基づいて縦覧して広く意見を聞くとともに、関係市長の意見聴取や市議会の議決、さらには漁業権者等の権利者の同意が必要であり、これらの手続がすべて完了して初めて事業に着手できるものでございます」と答弁されています。したがって、景観検討委員会で検討している中での当該市長の要望でありますから、重みのある要望ではあると考えます。
 そこで、旅田市長の要望はどのような内容か、また今後要望に対してどのように対応されようとしているのか、ご答弁を求めます。
 この原稿を書いていた二月二十二日夜九時半、NHKの「クローズアップ現代」で「守られた干潟」が放送されていました。ごみの処分場建設をめぐって長年争われてきた藤前干潟問題は、昨年末、環境庁長官が我が国有数のシギ、千鳥の飛来地である藤前干潟の埋め立てに強く異を唱え、これに埋立免許者の運輸省も同調したため、今年一月、名古屋市はついに埋立計画を断念したというものであり、自治体の事業に建設省がストップをかけたというものでありました。このことの意義は、大変大きいものがあると思います。自然や環境の価値に対する自然や環境保護優先の声が反映されたものであり、新しい価値観を示したものであると思います。
 また、次の点においても意義あるものと思います。一つは、社会情勢の変化とともに時代の要請に合わなくなった事業は見直すという時のアセスが機能したことであります。二つには、我が国の環境影響評価制度(環境アセス)には事業を実施しないという代替アセスが含まれていませんが、今回は代替アセスが機能した点であります。三つには、開発優先行政の歴史の中で、干潟の自然的、生態的環境価値が、一部でありますけれども、認められたことであります。環境庁が事業に対して意見を述べるという新アセスを先取りしたものであり、自治体の環境保全を無視した開発優先の行政に警鐘を鳴らしたものであると思うのであります。
 真鍋環境庁長官は、二月二十三日の閣議後の記者会見で、二十日に雑賀崎沖を視察したことを明らかにし、「県と市の調整が行われた上で必要に応じて環境庁の意見を述べたい」と語っています。県の港湾計画が市民、県民の納得いく中で進められ、歴史的に判断しても誤りではなかったと言えるためにも、再検討を強く求めて、私の質問を終わります。
○副議長(井出益弘君) ただいまの東山昭久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 東山議員にお答えをいたします。
 経済対策に関するご質問でありますが、そのうちまず、今日の長期経済不況の最大の要因は何かというご質問でございます。
 我が国の経済は、バブルの後遺症を抱えたまま、九七年第一・四半期を景気の山として再度後退局面に入っておるわけであります。特に、一昨年の秋以降、金融機関の破綻等をきっかけとして信用収縮懸念あるいは雇用不安などが高まり、さらにこれに加えて老後の不安なども重なりまして、家計、企業のマインドが冷え込んだことから最終需要が低迷をし、このことがさらに生産雇用等の実体経済全体に影響を及ぼす形で不況が長期化しているものと考えてございます。
 本県としては、積極的な社会資本整備を通じて需要喚起を図るとともに、信用収縮に対して適時適切に対応するために、中小企業者に対する融資制度を創設・拡充するなど、可能な限りの対策を講じてまいったところでございます。これらの措置により民間需要が低迷する中で公的需要が総需要を下支えするとともに、信用収縮が緩和されたことにより、デフレの悪循環を食いとめる効果があったものと考えてございます。また、景気下支えを通じて底なしの需要収縮といった不安を解消し、雇用環境の著しい悪化を防ぐ効果もあったものと考えております。さらに、緊急経済対策におきましては、金融システムの安定化、信用収縮対策等により実体経済回復のための条件を整備した上で引き続き社会資本整備を進めるほか、所得減税、住宅投資の促進等を実施して需要を創出し、現状からの脱却を図ることとしておるわけであります。これらの施策による経済成長に伴う雇用創出、さらに雇用活性化総合プランによる雇用安定などを軸に雇用対策を強力に推進し、雇用不安を解消することが重要と考えてございます。
 平成十一年度予算におきましては、緊急経済対策を受けて景気浮揚に最大限配慮するとともに、引き続き雇用対策に努めるほか、企業誘致の一層の促進あるいは新産業の創出を促進させるための総合的な支援施策を展開することを通じて良質な雇用の確保にも努めることとしてございます。
 また、老後の不安への対応につきましては、国においては、国民に信頼され将来にわたって安定的に運用できる社会保障制度を構築すべく、年金、医療等の構造改革を推進すると聞いてございますが、県としても、在宅福祉事業の拡充あるいは老人福祉施設の整備を初めとした県民福祉の向上に最大限配慮したところでございます。今後、これらの施策を強力に推進することによりまして、民間における真摯な努力と相まって経済の活性化を図ってまいらなければならないと考えてございます。
 以上であります。
○副議長(井出益弘君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 雇用対策についてお答えします。
 まず、政府の雇用創出策は県施策にどう取り入れられているのか、またその実績についてでございます。
 厳しい雇用失業情勢の中、労働者の雇用の維持確保を図るため、和歌山県景気・雇用対策本部会議において緊急雇用開発プログラムを内容とした県の雇用対策を策定したところでございます。具体的には、公共職業安定所の職員が経済団体や企業を訪問し、求人依頼や雇用調整助成金制度を初め各種助成金制度の周知、活用促進に努め、企業の雇用維持、失業なき労働移動への支援を行うとともに、求人開拓ローラー作戦の展開やミニ選考会、障害者就職面接会などを実施しており、特に二月にはビッグホエールにおいて大規模な合同求人選考会ハローワーク就職フェア99を開催するなど、一人でも多くの方が就職できるよう取り組んでいるところでございます。
 その実績といたしましては、平成十年四月から平成十一年十一月までの間で、特別求人開拓推進員などによる求人開拓数は六千二百七十二人に上っております。また、人材Uターンフェアにおいては百八十七名が就職し、緊急雇用開発プログラムにおいて拡充された雇用調整助成金の支給対象者数は平成十年十二月に三千七百五十八人と、プログラム実施前の七十九人と比べると大幅に増加し、また、特定求職者雇用開発助成金についても四十五歳以上五十五歳未満の方が新たに対象となったことにより六百五十八人の就職に結びつくなど、一定の効果が出ているものと考えております。
 また、連合の百万人雇用創出策の評価につきましては、厳しい経済雇用情勢の中、連合と日経連が共同して要請し、政府も参加した政労使雇用対策会議が設置され、連合から百万人の雇用創出策を講ずるべきであるとの提言が行われ、その論議を踏まえて、昨年十一月十六日に政府が発表した緊急経済対策の雇用活性化総合プランへ反映されたものと認識してございます。
 次に、県の雇用対策の重点施策についてでございます。
 現在の厳しい雇用情勢の中で、労働者の職業生活の安定を図ることが極めて重要な課題であると認識しております。このため、雇用の維持安定、雇用の確保、離職者の再就職の促進を雇用対策の重点施策として積極的に推進しております。具体的には、雇用動向の迅速かつ的確な把握に努めるとともに、雇用調整助成金の機動的、弾力的な運用により事業主の雇用維持努力の支援を引き続き強力に進め、労働者の雇用の維持安定を図っております。
 また、雇用の確保については、県、職業安定所、経済団体等から成る産業雇用情報連絡協議会の機能強化や特別求人開拓推進員による積極的な求人開拓を実施するとともに、離職者の再就職の促進のため、特定求職者雇用開発助成金の活用や効果的な職業紹介を行うために職業安定所内での日常的なミニ選考会の開催などを行っているところであります。
 以上でございます。
○副議長(井出益弘君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 東山議員にお答えいたします。
 まず、公共事業のあり方についてのうち地元企業への優先発注をとのご質問でございますが、県内建設業者の受注機会の確保のため、従来より県内業者への優先発注を基本とするとともに、可能なものについては分離・分割発注にも努めております。また、トンネル、橋梁等の大規模工事や施工難度の高い工事に実施している公募型指名競争入札におきましては、県内業者の参加要件を緩和し、受注機会の拡大・確保に努めているところでございます。
 次に、住民ニーズに応じた公共事業のあり方、構造の転換をとのご質問でございます。
 住民ニーズに応じた公共事業のあり方につきましては、本県では道路交通網の整備を初めとした活力ある県土づくりのための社会資本の整備が急務であると考えておりますが、それとともに地域に密着した質の高い公共施設の整備等、豊かさと潤いが実感できる地域づくりにも重点投資を行っているところでございます。
 次に、下津港港湾整備計画に関する何点かのご質問でございます。
 まず一点目の、法的問題は本当にクリアできるのかというご質問です。
 一昨年改定した和歌山下津港港湾計画の本港沖地区埋立計画につきましては、自然海岸と一定の水域を隔て、また大規模な修景緑地を配置するなど、景観面に配慮した計画としておりました。しかし、国の港湾審議会において和歌山下津港港湾計画についてはおおむね適当であるとの意見をいただいておりますが、その際、環境庁から、瀬戸内海環境保全特別措置法第十三条第一項の埋め立てについての規定の運用に関する基本方針に定める、埋め立てによる自然環境への影響の度合いが軽微であること、自然公園法による特別地域──これにはその周辺を含みますけれども──での埋め立ては極力避けることの各事項に抵触するものと考えられるので、本埋立計画については雑賀崎地区から望見した紀淡海峡から太平洋にかけての景観を十分に保全するよう再検討されたいとの具体的意見が出されております。
 県といたしましては、このことを踏まえ、昨年五月より和歌山下津港本港沖地区景観検討委員会を設置し、瀬戸内海国立公園の特別地域である雑賀崎から極力離すなど、雑賀崎地区から望見した紀淡海峡から太平洋にかけての景観を十分保全するよう鋭意検討を重ねてきているところでございます。
 次に、二点目の新規港湾整備の必要性の根拠についてのご質問でございます。
 港湾計画改定の目標年次の平成二十年代前半における外貿コンテナ貨物量につきましては、大阪湾内港湾の取り扱い実績をもとに、和歌山下津港を利用することが有利となる地域を対象として約八十万トンと推計しており、その他の貨物につきましては、品目別ごとに過去の実績や企業ヒアリング、アンケート調査等により推計しております。なお、これらの計画を固めるまでには、構想調査委員会において経済、物流などの専門家のご意見をお伺いしております。また、昨年八月に地元市長、議員、経済・物流の専門家などから成る地方港湾審議会を開催し、景観検討委員会での検討状況の報告と港湾機能面からの意見を伺っております。その際、十四メートル岸壁が必要であることや、港湾機能を確保するという基本は守るべきなどの意見をいただいております。
 一方、下水道整備など市民生活に密着した公共事業や京奈和自動車道、紀の川大堰などの大規模プロジェクトがあり、建設発生土の増加が予想されておりますが、和歌山市周辺では内陸受入地の確保が困難であることから、海面処分場が必要となっています。建設発生土のリサイクルにつきましては、県の建設副産物対策基本計画において平成二十二年度を目標に、工事で土砂が必要となる場合にはそのすべてを他の工事からの発生土で賄えるよう計画しております。なお、そのために同時期に進行中の工事間流用の促進を図るとともに、ストックヤード及び土質改良プラントを整備することにしております。しかしながら、そうしたリサイクルの努力を前提にしても、発生量が利用量を上回るため建設発生土を処分する必要があり、本港沖地区土地造成の埋立用材として有効活用を図るものであります。
 三点目の、和歌山市長の要望への対応についてのご質問でございます。
 和歌山下津港本港沖地区計画につきましては、平成四年から和歌山市にも参画いただいた構想調査委員会で検討を重ね、一昨年に具体的な案を提示させていただいた上、地方港湾審議会を経て策定されたものでございます。また、昨年四月からの計画の見直しにつきましては、景観面で配慮しつつ、県市の関係する課室で連絡組織をつくり、調整を図りながら進めてございます。昨年七月、八月に開催した地方港湾審議会では、和歌山市長にも出席いただき、景観検討委員会の状況を報告するとともに、港湾機能面から意見を伺ってございます。
 ご質問の和歌山市長からの要望書においては、埋立地の候補地として、まず北港地区周辺で考えられないか、それが不可能ならば雑賀崎工業団地の北西端から西防波堤沖埋立地の西端を結ぶ線の内側──東側ですが──が望ましいと景観面から考えているとの要望をいただいておりますが、またあわせて市としても港湾機能面を含めた検討をしていくとしておりますので、今後とも市民の方々のご意見をお聞きするとともに、これまでと同様、市と調整を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 28番東山昭久君。
○東山昭久君 ご答弁をいただきましたけれども、二、三点、要望をさせていただきたいと思います。
 雇用情勢が本当に極めて厳しいという認識には、もうだれも異論がないところであります。ところが、県のいろんな施策を見ましても、国の施策はなるほどそれに準じた取り組みがなされておるわけですけれども、これが県の考える最大限の雇用対策だというものは残念ながら見当たりませんので、ぜひともそういう点も取り組んでいただきたいということが一点であります。
 それから、公共事業のあり方についてです。
 これはそれぞれの委員会でも何遍も発言させていただいたわけですけれども、地元業者に優先的に発注してやると同時に、地元業者のレベルアップをぜひやっていただきたい。技術的にいろんな問題があるとよく指摘されますけれども、そのことも行政の役割だと思いますので、その面からの地元企業に対する技術者の育成なり、いろんな形で援助をぜひともやっていただきたいと思います。
 それから、港湾計画です。
 質問に対して、なかなかまともにご答弁はなかったわけですけれども、それぞれの見解があるからそれはそれとして、ぜひこの埋め立てについては、本当に法的にも問題がない、そして県民や市民の皆さんに納得していただける形で進めていただきたい。今いろんな動きがあって、地元では住民の皆さんがたくさんの署名を集めて問題があるんじゃないかと指摘をされております。この間は、和歌山県の弁護士会が凍結して検討したらどうかという提起もされているわけでありますから、そういう各方面からの判断をしていただいて、この問題が、なるほどやっぱり港湾機能がきちっとされてよかった、埋め立てはなるほどよかった、こう言われるようなものでなければならないと思いますので、その点は十分ご検討いただいて進めていただくことを重ねて要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○副議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で東山昭久君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
      ──────────────────
○副議長(井出益弘君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十分散会

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