平成11年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(上野哲弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番上野哲弘君。
  〔上野哲弘君、登壇〕(拍手)
○上野哲弘君 通告に基づきまして、一般質問を行います。
 初めに、わかやま元気宣言と地域振興ということでございますが、それに先立ちまして、一言申し上げたいと思います。
 和歌山県議会議員として二期八年間、県政の勉強をさせていただきました。新宮市民はもとより県当局並びに先輩・同僚議員の皆さんに対し、深く感謝を申し上げるところであります。この質問をもって最後の和歌山県議会議場での登壇となりますので、気力を振り絞って質問したいと思います。
 昨年は、日本の経済社会において暗雲が立ち込め、暗い世相が映し出されたところであります。特に和歌山県においては、犯罪史上に取り上げられるような毒入りカレー事件を初め、不名誉な事象が重なり、県民一同、嫌な気分の一年でありました。そのような中、本定例県議会に提出された知事説明の冒頭、わかやま元気宣言が打ち出されましたことは、時宜を得た提言と受けとめているところであります。我々はもとより、元気な和歌山の創設に向けて県民が一体となって取り組むべきものと思います。
 その第一弾として南紀熊野体験博が本年四月より開催されますことは、元気宣言の実践の場として大いに期待しているところであり、心から成功を願うものであります。知事の所見をお伺いいたします。
 さて、現在、五十の市町村が和歌山県を構成しておりますが、県勢が向上するためには、それぞれの自治体の努力と県全体の構想がマッチしなければならないと思います。この場は県会議場でありますので、県の役割について質問したいと思います。
 その構成の一角であります新宮地域の課題、特に熊野川流域の課題について県当局の所見をお伺いいたします。
 熊野川流域は、ご存じのとおり、三重、奈良、和歌山県が接しており、行政の一体化が難しいところであります。昭和五十六年から三県サミットが開催され当地域の振興策が話し合われておることは、一条の光として地域住民は期待をしているところであります。その基本政策の柱として五條─新宮間の地域高規格道路が考えられております。この道路は京奈和道路に接続し、紀伊半島縦貫道として大いに活用できるものと考えられます。また、地域の産業育成にも寄与でき、特に新宮港の将来に大きく影響するものと考えます。この事業をさらに進展さすには奈良県の対応が重要と考えますが、奈良県側の意欲と県当局の所見をお伺いいたします。
 次に、熊野川流域の広域行政についてお伺いいたします。
 今日、地方行政は年々厳しくなってきており、都市から大きく離れた市町村は、過疎化や少子高齢化等で地域社会の崩壊がますます進行しているところでもあります。国においては行政の効率化のため三千余の市町村を大幅に削減しようとしており、市町村合併を推進しております。合併は、大都市周辺の市町村においては問題が少ないと思いますが、過疎が進行している自治体の合併は余りよい結果が生まれないと思います。すなわち、衰退したところはますます衰退してしまうということであります。合併がだめなら広域連合ということになりますが、そうなれば、その推進役を県がすべきものと考えます。私は、三重、奈良、和歌山の三県にまたがる広域行政もあり得るものと考えております。事実、一部事務組合ができております。
 そこで、広域行政における医療、福祉、環境等の分野で県の役割としてどうあるべきか、お伺いいたします。
 次に、中心市街地活性化法の活用についてお伺いいたします。
 近年、全国の中小都市で市街地の崩壊が叫ばれております。その中心をなす商店街が、モータリゼーションの波に追いつけず、空き店舗が増大し、何らなすすべもなく商店街の空洞化が進行しているところであります。
 ここで新宮市の例をとりますと、他市と同様、中心商店街から離れた場所に大型店が進出し、現在急ピッチで建築されております。さらに、商店街に隣接していた市民病院の移転が決定し、先日、新宮市郊外でその移転着工がなされたところであります。このような状況から商店街の衰退が現実化されようとしており、この現状を打破すべく、市街地活性化に向けての具体的施策についてお伺いいたします。
 まず、国において「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律」が昨年七月に施行されました。「この法律は、都市の中心の市街地が地域の経済及び社会の発展に果たす役割の重要性にかんがみ、都市機能の増進及び経済活力の向上を図ることが必要であると認められる中心市街地について、地域における創意工夫を生かしつつ、市街地の整備改善及び商業等の活性化を一体的に推進するための措置を講ずることにより、地域の振興及び秩序ある整備を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」となっております。
 以下、各項目について所見を伺うものであります。
 市町村は、国の基本方針に基づいて事業を執行するに当たり、その基本計画を策定できるとあります。平成十年度において和歌山県下で和歌山、橋本、有田市が手を挙げられたそうでありますが、その策定経過についてお伺いいたします。
 次に、この事業に対する国の支援のあり方として、市町村の基本計画に定められたすぐれた事業に対しては重点的に支援を行うとありますが、どのようなことを指しているのか、お伺いいたします。
 全体で一兆円程度の事業が組み込まれているようでありますが、これらの事業を実施するに当たり、国の基本方針からそれぞれの事業の連携と集中実施が求められております。ここで市町村が問題とするところは、事業に対する補助率であります。この法による事業実施には補助率について特別な配慮がなされているのか、また地元負担軽減対策としての交付税措置は考えられているのか、お伺いいたします。
 次に、これらの事業を推進する上で市町村等に対する統一窓口を設置するとありますが、県の対応についてお伺いいたします。
 続きまして、県においても同様の体制整備を行い、それぞれの事業の連携促進を図ることが望ましいとありますが、県における市町村への支援についてお伺いいたします。
 以上、中心市街地の活性化について県当局の所見を伺うものであります。
 最後になりましたが、和歌山県を構成する各地域がその特色を生かし発展することが和歌山県の発展であると考えます。来る二十一世紀には新たな価値観が生まれ、人々の意識が地方に必ず向けられるものと思います。近い将来、和歌山の時代が到来することを願いまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの上野哲弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 上野議員、最終のご質問ということでありますが、敬意を表しながらお答えを申し上げたいと思います。
 わかやま元気宣言を実効あるものとするために、その一つとして南紀熊野体験博の成功が望まれているということは、議員お話しのとおりだと認識をしてございます。
 本議会の冒頭にも申しましたけれども、わかやま元気宣言では、すばらしい故郷(くに)づくりを進めていく覚悟であることを宣言するとともに、県民の皆さん一人一人が心を一つにして元気な和歌山を取り戻し、夢と希望を持って明るい新時代を迎えようと呼びかけたところでございます。
 宣言では、人が元気、産業が元気、自然と文化が元気といった要素を示したわけですが、南紀熊野体験博の開催は、博覧会に参加する地域の方々、また体験に訪れる方々を元気にし、さまざまな波及効果が地域を活性化させ、豊かな自然、文化を再発見し生かすことを趣旨にしていることから、体験博の成功が元気宣言を実のあるものにしてくれるものと考えているわけでございます。
 本県の大自然を舞台とした数々の体験イベントや地域イベントは、必ずや訪れる人々の心をいやし、ゆとりと安らぎを取り戻していただけるものと確信しておりますが、開催までの残された期間、全力を傾注して準備を進め、元気な和歌山県を南紀熊野体験博の成功を通して全国に発信してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 上野議員のご質問にお答えいたします。
 五條新宮道路につきましては、平成六年に地域高規格道路の計画路線に指定され、その後、平成九年には新宮市の五新から相賀間の五キロメートルの区間が越路道路として、また昨年十二月には本宮町大居から土河屋の四キロメートルの区間が本宮道路として、それぞれ整備区間指定されたところでございます。
 このうち、越路道路につきましては平成十年度に新規着工準備費が計上され、事業化に向けて必要な調査を進めておりまして、今補正予算において追加事業費が認められたところでございます。また、本宮道路につきましては十一年度政府予算案に新規着工準備費が認められており、今後必要な調査を進め、早期事業化を図ってまいりたいと考えております。さらに、残る区間につきましても、越路道路や本宮道路の事業進捗等も勘案しながら、順次、調査区間、整備区間指定を国に要望してまいりたいと考えております。
 奈良県側につきましては、十津川村内において八キロメートルの区間が直轄代行事業及び補助事業で事業中であり、また大塔村内においても昨年十二月に四キロメートルの区間が整備区間指定されるなど、重点的に整備が進められております。
 今後とも、奈良県と協力いたしまして、国にも積極的に働きかけながら整備促進に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 上野議員にお答え申し上げます。
 広域行政の推進についてでございますが、ご指摘のように、少子・高齢化の時代を迎えようとしている現在、地方分権の推進とも相まって、市町村の合併も含めた行政の広域化が求められている大きな潮流がございます。
 合併の問題につきましては、もとより市町村の自主的な取り組みが基本でございますが、ご承知のとおり、昨年五月に策定されました地方分権推進計画において都道府県が一定の役割を果たしていくよう要請されているところでもあり、県といたしましても、本年度より各地域の特性に応じた市町村の行政体制のあり方についての調査研究を実施しているところであります。
 また、ごみ処理や介護保険等、広域的な取り組みが要請されている課題につきまして、広域連合の設置や施設の共同設置の調査等を実施する市町村に対する補助制度を設ける等の支援策を講じているところでございます。国におきましては、都道府県が合併パターン等を検討する際の参考となる事項を明らかにした指針を平成十一年上半期に示す予定と聞いてございます。今後、こうした動きを注意深く見守ってまいるとともに、必要な対応をしてまいりたいと考えております。
 県といたしましては、平成十一年度においても、過疎市町村も含めた県内市町村の望ましい行政体制のあり方の検討を行い、将来の市町村のあり方についての議論を深めるための一助として情報提供に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 中心市街地活性化法の活用についての四点について、お答えします。
 まず、平成十年度における中心市街地活性化基本計画については、議員ご質問のとおり、和歌山市、橋本市、有田市において策定中でございます。現在、それぞれの市において地元商店街の代表者や学識経験者などで構成する基本構想策定委員会を設置して、中小小売商業の活性化を含めた町づくりのあり方の検討を行っているところでございます。三市とも本年三月末で基本計画の策定作業が完了し、四月上旬には県及び国に対して基本計画を提出できる予定であります。
 次に、国による重点的支援についてでございます。
 市町村が策定した基本計画の内容について、実効性や独自性及び先進性、熟度等の四つの視点による統一基準が設けられてございます。この統一基準によってすぐれた内容の基本計画であると判断された場合には、商店街活性化事業や居住環境整備事業など、さまざまな事業に対して関係十三省庁の予算を重点配分されることとなっているところでございます。
 次に、事業の補助率と交付税措置についてでございます。
 関係十三省庁には、さまざまな支援事業がございます。例えば、通商産業省における補助制度につきましては、事業の実施主体により補助率及び補助上限額の引き上げや中心市街地活性化事業に伴う補助制度が新設されているところでございます。また、中心市街地活性化事業に係る地方単独事業につきましては、地方債が許可され、後年度に財政力に応じてその元利償還金の三〇%から五五%に相当する額が普通交付税により措置されることとなってございます。今後も、国に対して支援策の充実を図るよう引き続き要望してまいります。
 次に、支援体制の統一窓口についてでございます。
 国におきましては、関係団体からの問い合わせなどに対応する窓口として、通商産業省、建設省、自治省の幹事省を中心に中心市街地活性化推進室を昨年七月に設置されてございます。県におきましては、この法律の内容及び基本計画策定等については商工振興課が窓口となり、対応しているところでございます。さらに、この事業を推進するため庁内関係五課から成る連絡組織として街づくり推進協議会を設置して、国の支援施策等についての情報交換や市町村への指導、助言を行ってございます。また、今月には紀北、紀南の地域に分け、中心市街地活性化法による支援施策の説明会を実施したところでございます。
 今後とも、県庁内の連携を図りながら対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 再質問がございませんので、以上で上野哲弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
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○議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時一分散会

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