平成11年2月 和歌山県議会定例会会議録 第1号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程   第一号   平成十一年二月十七日(水曜日)
                午前十時開会・開議
  第一 会議録署名議員の指名
  第二 会期決定の件
  第三 議案第一号から議案第七十五号まで(知事説明)
会議に付した事件
   一 会議録署名議員の指名
   二 会期決定の件
   三 議案第一号から議案第七十五号まで(知事説明)
   四 休会決定の件
出 席 議 員(四十六人)
     1  番    大    沢     広太郎  
     2  番    木    下    善    之
     3  番    小    川         武
     4  番    吉    井    和    視
     5  番    下    川    俊    樹
     6  番    井    出    益    弘
     7  番    藁    科    義    清
     8  番    門          三佐博  
     9  番    永    井    佑    治
     10  番    新    島         雄
     11  番    向    井     嘉久藏  
     12  番    佐    田    頴    一
     14  番    阪    部    菊    雄
     15  番    西    本    長    弘
     16  番    馬    頭    哲    弥
     17  番    谷         洋    一
     18  番    山    下    直    也
     19  番    高    瀬    勝    助
     20  番    松    本    泰    造
     21  番    堀    本    隆    男
     22  番     宇治田      栄    蔵
     23  番    宗         正    彦
     24  番    橋    本         進
     25  番    神    出    政    巳
     26  番    玉    置    公    良
     27  番    上    野    哲    弘
     28  番    東    山    昭    久
     29  番    尾    崎    要    二
     30  番     野見山           海
     31  番    木    下    秀    男
     32  番    町    田         亘
     33  番    中    山         豊
     34  番    井    谷         勲
     35  番    鶴    田    至    弘
     36  番    森         正    樹
     37  番    村    岡     キミ子  
     38  番    新    田    和    弘
     39  番    平    越    孝    哉
     40  番    森    本    明    雄
     41  番    長    坂    隆    司
     42  番    冨    安    民    浩
     43  番    飯    田    敬    文
     44  番    中    村    裕    一
     45  番    松    本    貞    次
     46  番    大    江    康    弘
     47  番    和    田    正    人
欠 席 議 員(一人)
     13  番    和    田    正    一
説明のため出席した者
     知 事     西    口         勇
     副知事     山    下         茂
     出納長     高    瀬    芳    彦
     知事公室長   中    山    次    郎
     総務部長    藤    谷    茂    樹
     企画部長    中    村    協    二
     生活文化部長  大    井         光
     福祉保健部長  小    西         悟
     商工労働部長  上    山    義    彦
     農林水産部長  尾    崎    武    久
     土木部長    長    沢    小 太 郎
     企業局長    西    浦    昭    人
     教育委員会委員長
             安    藤    精    一
     教育長     小    関    洋    治
     公安委員会委員長
             高    垣         宏
     警察本部長   樋    口    建    史
     人事委員会委員長
             若    林    弘    澄
     代表監査委員  宮    市    武    彦
     選挙管理委員会委員長
             谷    口    庄    一
     以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
     事務局長    新    谷    哲    朗
     次  長    前         晴    夫
     議事課長    佐    竹    欣    司
     議事課副課長   北垣内           敬
     議事班長    松    谷    秋    男
     議事課主査   川    崎    良    雄
     議事課主事   安    井    伸    彰
     総務課長    西    野    光    彦
     調査課長    湯    川         忠
 (速記担当者)
     議事課主任   吉    川    欽    二
     議事課主査   鎌    田         繁
     議事課主査   中    尾    祐    一
     議事課速記技師 保    田    良    春
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  午前十時四分開会・開議
○議長(下川俊樹君) ただいまから、平成十一年二月定例会を開会いたします。
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
○議長(下川俊樹君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十時五分休憩
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  午前十一時五分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
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  【日程第一 会議録署名議員の指名】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。
 今期定例会の会議録署名議員は、1番大沢広太郎君、32番町田亘君、41番長坂隆司君の三君を指名いたします。
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  【日程第二 会期決定の件】
○議長(下川俊樹君) 次に日程第二、会期決定の件を議題といたします。
 お諮りいたします。今期定例会の会期は、本日から三月九日までの二十一日間といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、今期定例会の会期は本日から三月九日までの二十一日間と決定いたしました。
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○議長(下川俊樹君) 次に、諸般の報告をいたします。
 お手元に配付のとおり、知事から地方自治法第百八十条の規定による専決処分の報告、及び地方自治法第二百二十一条第三項の規定に定める法人の経営状況を説明する書類の提出が、監査委員から監査の結果報告及び現金出納検査の結果報告がありました。
 以上、報告いたします。
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○議長(下川俊樹君) 次に、今期定例会に提出されました議案は、お手元に配付のとおり、議案第一号から議案第七十五号までの七十五件であります。
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                     財第231号 
                     平成11年2月17日
 和歌山県議会議長  下 川 俊 樹 殿
              和歌山県知事  西 口   勇
   和歌山県議会平成11年2月定例会議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり提出します。
 (議案)
 議案第 1号  平成11年度和歌山県一般会計予算
 議案第 2号  平成11年度和歌山県農業改良資金特別会計予算
 議案第 3号  平成11年度和歌山県林業改善資金特別会計予算
 議案第 4号  平成11年度和歌山県沿岸漁業改善資金特別会計予算
 議案第 5号  平成11年度和歌山県中小企業近代化資金特別会計予算
 議案第 6号  平成11年度和歌山県母子寡婦福祉資金特別会計予算
 議案第 7号  平成11年度和歌山県東京事務所宿舎特別会計予算
 議案第 8号  平成11年度和歌山県職員住宅特別会計予算
 議案第 9号  平成11年度和歌山県立医科大学附属病院特別会計予算
 議案第10号  平成11年度和歌山県印刷事業特別会計予算
 議案第11号  平成11年度和歌山県営競輪事業特別会計予算
 議案第12号  平成11年度和歌山県営港湾施設管理特別会計予算
 議案第13号  平成11年度和歌山県流域下水道事業特別会計予算
 議案第14号  平成11年度和歌山県市町村振興資金特別会計予算
 議案第15号  平成11年度和歌山県自動車税等証紙特別会計予算
 議案第16号  平成11年度和歌山県用地取得事業特別会計予算
 議案第17号  平成11年度和歌山県立五稜病院事業会計予算
 議案第18号  平成11年度和歌山県電気事業会計予算
 議案第19号  平成11年度和歌山県工業用水道事業会計予算
 議案第20号  平成11年度和歌山県土地造成事業会計予算
 議案第21号  平成11年度和歌山県駐車場事業会計予算
 議案第22号  平成11年度和歌山県観光レクリエーション事業会計予算
 議案第23号  平成10年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第24号  平成10年度和歌山県農業改良資金特別会計補正予算
 議案第25号  平成10年度和歌山県林業改善資金特別会計補正予算
 議案第26号  平成10年度和歌山県沿岸漁業改善資金特別会計補正予算
 議案第27号  平成10年度和歌山県中小企業近代化資金特別会計補正予算
 議案第28号  平成10年度和歌山県立医科大学附属病院特別会計補正予算
 議案第29号  平成10年度和歌山県印刷事業特別会計補正予算
 議案第30号  平成10年度和歌山県営競輪事業特別会計補正予算
 議案第31号  平成10年度和歌山県営港湾施設管理特別会計補正予算
 議案第32号  平成10年度和歌山県流域下水道事業特別会計補正予算
 議案第33号  平成10年度和歌山県市町村振興資金特別会計補正予算
 議案第34号  平成10年度和歌山県自動車税等証紙特別会計補正予算
 議案第35号  平成10年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
 議案第36号  平成10年度和歌山県立五稜病院事業会計補正予算
 議案第37号  平成10年度和歌山県電気事業会計補正予算
 議案第38号  平成10年度和歌山県工業用水道事業会計補正予算
 議案第39号  平成10年度和歌山県土地造成事業会計補正予算
 議案第40号  平成10年度和歌山県観光レクリエーション事業会計補正予算
 議案第41号  和歌山県立大学設置及び管理条例の一部を改正する条例
 議案第42号  和歌山県立医科大学附属病院等整備基金の設置、管理及び処分に関する条例を廃止する条例
 議案第43号  職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第44号  職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第45号  職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第46号  和歌山県職員定数条例の一部を改正する条例
 議案第47号  和歌山県外部監査契約に基づく監査に関する条例
 議案第48号  和歌山県自然海浜保全地区条例
 議案第49号  精神薄弱の用語の整理のための関係条例の一部を改正する条例
 議案第50号  和歌山県立高等看護学院設置及び管理条例の一部を改正する条例
 議案第51号  和歌山県子ども保健福祉相談センター設置及び管理条例
 議案第52号  和歌山県感染症の診査に関する協議会条例
 議案第53号  和歌山県熊野川小口キャンプ村設置及び管理条例
 議案第54号  改良普及員資格試験条例の一部を改正する条例
 議案第55号  和歌山県河川審議会条例
 議案第56号  和歌山県魚つり公園設置及び管理条例
 議案第57号  和歌山県立橋本体育館設置及び管理条例
 議案第58号  和歌山県立学校等職員定数条例の一部を改正する条例
 議案第59号  警察署の名称、位置及び管轄区域に関する条例の一部を改正する条例
 議案第60号  警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第61号  和歌山県使用料及び手数料条例の一部を改正する条例
 議案第62号  平成11年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
 議案第63号  平成10年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
 議案第64号  全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
 議案第65号  近畿宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
 議案第66号  包括外部監査契約の締結について
 議案第67号  被災者生活再建支援金の支給に関する事務の委託について
 議案第68号  財産の取得について
 議案第69号  財産の処分について
 議案第70号  工事請負契約の締結について
 議案第71号  工事請負契約の締結について
 議案第72号  工事請負契約の締結について
 議案第73号  工事請負変更契約の締結について
 議案第74号  工事請負変更契約の締結について
 議案第75号  工事請負変更契約の締結について
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  【日程第三 議案第一号から議案第七十五号まで】
○議長(下川俊樹君) 日程第三、ただいま報告いたしました議案第一号から議案第七十五号までを一括して議題といたします。
 まず、知事の説明を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 平成十一年二月定例会にご参集いただき、厚く御礼申し上げます。
 ただいま上程されました諸議案について提案理由をご説明するに先立ち、県政に臨む私の所信を申し述べ、議員各位を初め県民の皆様のご理解とご協力をいただきたいと存じます。
 二十一世紀の幕あけを目前にし、本県を取り巻く社会経済情勢は依然として厳しく、我々は今試練の時期を迎えております。この試練を乗り越え、明るく元気な和歌山県を取り戻し、次の世代に輝かしいふるさとを引き継ぐため、私は勇気を奮い、粉骨砕身、県政の運営に当たってまいる覚悟であります。
 私は、新年に当たり、県民の皆様とともに元気を出してすばらしい故郷(くに)づくりを進めることを宣言いたしました。本年を、和歌山県の明るい未来を切り開く正念場の年にしたいという強い思いからであります。
 先人が長年にわたり、その勇気と努力により、守り、育て、築いてこられたふるさとを、我々の手でさらに輝かしいものにしなければなりません。このためにも、今は、郷土和歌山に生きるすべての人、そして産業、さらには自然と文化がともに元気を取り戻すことが何よりも重要と考えます。間もなく訪れる新しい時代を、明るく、希望を持って迎えるためにも、今、和歌山県の真価が問われようとしております。私は、県民の皆様とともに力を合わせ、「わかやま元気宣言」を実効あるものとするため、全力を尽くしてまいる決意であります。
 二十世紀は、物の豊かさを一心に追求した時代でありました。我が国経済は、戦後目覚ましい繁栄を遂げ、貧困を克服し、私たちはその恩恵を享受してまいりました。他方、この間、心の豊かさという人間にとって本来最も重要なことが、ややもすればないがしろにされてまいりました。しかも、近年においては、こうした物質的繁栄を支えてきたシステム自体が疲弊し始めており、このままでは我が国の社会・経済活動は完全に閉塞状態に陥ってしまうのではないかとの新たな懸念まで生じております。また、地球環境問題や少子高齢化問題などへの対応も迫られております。これまで営々と築き上げてきた繁栄をここで終えんさせることなく、新しい世紀においてさらなる発展を遂げていくためには、英知を結集し、これらの課題解決に全力で取り組んでまいらねばなりません。私は、これらの新たな課題に挑戦しながら、新しい故郷(くに)づくりを進めてまいります。
 まず、県民の皆様の間に広がりつつある閉塞感を払拭し、新たな活力を生み出さねばなりません。当面の景気対策に全力を傾注するとともに、新産業の創出や地域産業の高度化、高付加価値化を目指したきのくにベンチャーランドを推進するなど、本県産業の構造改革にも積極的に取り組みます。
 次に、自然を慈しみ、資源を大切にする社会を構築し、かけがえのない地球を守らねばなりません。自然との共生を図るため、環境基本計画の策定に加え、ISO認証取得を視野に入れた調査研究に着手するなど、県庁率先行動計画によるさらなる取り組みを行うほか、県内産業の省資源・リサイクル型への転換やネイチャーフレンドシップ運動などの県民運動をより一層推進いたします。
 さらに、心の豊かさを取り戻すとともに、安心を実感することができる社会を築かねばなりません。すぐれた文化や伝統に触れ、スポーツに親しみ、あるいはボランティア活動へ参加することができる環境づくりとだれもが健康で安心して暮らすことができる福祉の町づくりを強力に推進いたします。これらの課題を解決していくためには、今や行政の力だけでは限界があり、地域の主体的な活動が何よりも重要となります。地域の個性や魅力を十分に発揮したこれらの活動に対し、ふるさと未来づくりや輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業などにより積極的な支援を行います。
 そして、二十一世紀への新たな課題をモチーフにした博覧会南紀熊野体験博がいよいよ開幕を迎えることとなりました。この博覧会は、心のゆとりと安らぎを取り戻し、二十一世紀の人々の日常生活になくてはならないリゾートライフを提案するものであります。本県は我が国を代表するリゾートエリアであり、南紀熊野に代表される地域は古代から人々が心と体のいやしを求め続けてきた場所であります。南紀熊野体験博は、本県の持つ豊かな自然とすぐれた歴史、文化の活用を図りながら、人と自然が共生し、現代人の疲れた心と体をいやし、新たな活力を生み出すことができる、まさに二十一世紀へのかけ橋となる博覧会であります。現在、田辺と那智勝浦のシンボルパークでは、テーマ館を初めとする関連施設の建設が急ピッチで進んでおり、来月二十一日には京都城南宮をスタートし、熊野三山を目指す熊野御幸記の旅も始まります。期間中には、十万人の熊野詣を初め、本県の大自然を舞台とした数々の体験イベントが計画されており、訪れる人々に必ずや心のゆとりと安らぎを取り戻していただけるものと確信しております。また、この博覧会を契機として、地域のリゾート資源が再発掘され、地域に新しい魅力が生み出されます。さらに、和歌山リゾートの魅力が内外に発信され、新たな産業の創出と地域の活力の増大が期待されます。そして、この博覧会の成功のかぎを握るのは、地域住民の皆様のおもてなしの心であります。県民の皆様の温かいご協力をいただきながら、南紀熊野体験博を何としても成功させ、明るく元気な和歌山県を全国に発信してまいりたいと考えております。
 新しい時代の幕あけが目前に迫ってまいりました。平成十一年度予算は、本県が二十一世紀における新たな発展基盤を形成し、和歌山新時代を創造するための極めて重要な予算となります。
 以下、その内容についてご説明申し上げます。
 平成十一年度の予算編成に当たりましては、厳しい財政事情のもと、行政改革の観点から既存の事務事業の見直しを行うとともに、限られた財源を緊急性、必要性の高い分野に重点的に配分することにより、私が掲げた「二十一世紀の故郷(くに)づくり」に向け、着実な前進を図ったところであります。とりわけ、現下の厳しい経済情勢に配意し、国との連携により当面の景気対策に全力を尽くすという観点から、国のいわゆる十五カ月予算の考え方を踏まえ、十一年度に実施すべき投資事業の一部を積極的に十年度の補正予算に前倒し計上し、総事業量の確保に最大限努めるとともに、年度間の切れ目ない事業執行にも配慮いたしました。また、いわゆる元気予算として県勢の活性化につながると期待される事業を積極的に開拓するなど、明るく元気な和歌山県を取り戻すための諸施策を多岐にわたって盛り込んだところであります。
 第一の柱は、「新時代を支える基盤づくり」であります。
 ゆとりと豊かさを実感できる地域社会を創造するためには、より質の高い社会基盤や生産基盤の整備を進めてまいらねばなりません。
 道路整備につきましては、昨年、近畿自動車道紀勢線の御坊─田辺間が本線工事に着手され、海南─吉備間の四車線化と田辺─白浜間に施行命令が出されるとともに、那智勝浦道路や京奈和自動車道の橋本道路も相次いで起工の運びとなり、今春には本県第二県土軸の中枢となる国道三百十一号の全線が改良整備されるなど、二十一世紀に向けた県内道路ネットワークの構築が着々と進んでまいりました。また、本年は地元住民の皆様にとって長年の悲願であった大島大橋が完成いたします。これまで本県が取り組んできた成果が、今着実にあらわれてまいりました。今後も、近畿自動車道紀勢線、紀淡連絡道路、京奈和自動車道、五條新宮道路などの広域幹線交通軸の整備に加え、国道、県道、農林道の有機的な連携等による県内二時間行動圏の確立に向け、さらなる一歩を進めるため、引き続き積極的な取り組みを行ってまいります。また、都市部の渋滞解消を図るため、西脇山口線や湊神前線、南港山東線など、和歌山市内の東西幹線道路の整備に全力で取り組むとともに、新医大附属病院の開院を踏まえ、JR紀三井寺駅周辺の利便性を高めるための諸施策を講じることとしております。さらに、海南駅の連続立体交差の完成に加え、本年は南海貴志川線に交通センター前(仮称)新駅を完成させることとしております。
 空港整備につきましては、関西国際空港二期事業の本格化に向けて所要の措置を講じるとともに、南紀白浜空港二千メートル化のより一層の進捗を図り、平成十二年度の供用開始を目指します。また、旧南紀白浜空港跡地への航空工学系大学の整備構想につきましては、基本計画の策定に向けた取り組みを進めてまいります。
 港湾整備につきましては、昨年新たに着手いたしました日高港、新宮港の整備が本格化を迎え、紀中及び紀南地域の活性化にとって重要なプロジェクトであるとの認識のもと、引き続き事業の促進を図ることとしております。これらの施策に加え、半島地域の特性を生かしたさまざまな地域づくりの道を探るため、本年九月、那智勝浦町において世界半島会議を開催することとしております。
 第二の柱は、「創造力あふれる産業づくり」であります。
 現下の厳しい経済情勢の中、新たな活力を引き出し、明るく元気な和歌山県を取り戻すためには、当面の景気対策に全力を尽くすとともに、時代の変化に即応した産業の育成に努めてまいらねばなりません。
 中小企業対策につきましては、厳しい経営状況にある中小企業者の資金需要に的確にこたえるため、昨年新たに創設した不況対策特別資金を継続するとともに、総融資枠を大幅に拡大するほか、信用保証協会の機能強化を図るなど、貸し渋り対策にも積極的に対応してまいります。また、新産業の創出や地域産業の高度化、高付加価値化を目指したきのくにベンチャーランドを推進するため、産・官・学の連携により、中小企業の創造的な事業活動に対し、資金、技術、人材などの各方面から総合的な支援を行うこととしております。さらに、企業立地促進資金の貸付限度額を大幅に引き上げ、本県への企業誘致の一層の促進を図るとともに、商店街ににぎわいと新たな活力を生み出すため、中心市街地における特色ある町づくりも視野に入れた諸施策に積極的に取り組んでまいります。
 農林水産業対策につきましては、社会の変化や国際化が進む中、時代の変化に即応しつつ、より一層の振興を図るため、生産基盤や流通加工施設の整備を積極的に促進し、産地体制の強化に努めることとしております。また、環境に優しい農林水産業を目指し、農林水産試験研究機関が一体となって環境保全やリサイクルに関する研究開発に取り組むとともに、梅の生育不良対策についても、その原因究明や樹勢回復に向けた取り組みを一層強化してまいります。さらに、本県物産の海外市場への展開を図るため、香港においてアンテナショップを開設することとしております。これらの施策に加え、昨年の台風による森林被害対策にも積極的に取り組むことといたします。森林被害を早期に復旧し、二次災害の防止と森林機能の回復を図るため、被害木の整理、搬出と生活環境用資材への有効利用を促進するとともに、跡地への造林や治山工事等を積極的に行ってまいります。
 第三の柱は、「豊かさを実感できる暮らしづくり」であります。
 二十一世紀に向け、私たちのふるさとをより輝かしいものにするためには、自然との共生を図り、安心を実感することができる社会を築き上げねばなりません。
 まず、環境対策であります。これまでの大量生産、大量消費型社会は、今、地球環境に大きな負担をかけております。地球環境問題は、私たち一人一人の社会経済活動に深くかかわっているものであり、みずからの責任として取り組むべき極めて重要な課題であります。県といたしましては、今後の環境施策を進める上で基本的な指針となる環境基本計画を策定するとともに、県庁率先行動計画をより一層推進するためISO認証取得を視野に入れた調査研究に着手するほか、公用車に一部ハイブリッドカーを導入することとしております。また、県内産業の省資源・リサイクル型への転換を促進するため、工業技術センターや農林水産試験研究機関がそれぞれの連携を密にしながら、環境保全やリサイクルに関する研究開発に積極的に取り組むことといたします。さらに、県民の皆様の地球環境問題に対する取り組みの機運をより一層高めるため、新たにエコフォーラム21を開催するとともに、ネイチャーフレンドシップ運動などの県民運動を引き続き強力に進めてまいります。
 これらの施策に加え、生活排水対策やごみ、し尿、産業廃棄物対策にも積極的に取り組むことといたします。平成十二年度の一部供用開始を目指し、紀の川流域下水道伊都処理区の整備を促進するとともに、新たに那賀処理区の事業化に向けた基本計画の策定を行うほか、合併処理浄化槽や農山漁村における集落排水施設の整備についても、引き続き積極的に推進してまいります。また、市町村等が実施するごみ処理施設やし尿処理施設の整備を促進するとともに、産業廃棄物処理施設への立入調査や指導等を強化することとしております。さらに、公共工事に伴う建設発生土の公的処分場の建設を進めるとともに、アスファルト廃材を活用したリサイクル舗装整備に取り組むなど、環境に配慮した公共事業の推進にも力を注いでまいります。
 次に、健康・福祉対策であります。
 二十一世紀の本格的な少子高齢社会に向け、だれもが健康で安心して暮らすことができる環境を早急に整備することが求められております。昨年は、本県における健康・福祉の拠点施設となる和歌山ビッグ愛が完成し、県立高等看護学院の那賀町への移転整備も本年三月には完了いたします。そして、いよいよ県民医療の中核施設となる県立医科大学附属病院の移転整備が完了し、本年五月から新病院での診療が開始されます。また、五稜病院の再編整備に本格的に着手するほか、本年四月には和歌山市に紀伊コスモス養護学校が開校されます。二十一世紀に向け、だれもが健康で安心して暮らすことができる社会を構築していく上で、これらの施設はその中核施設として大きな役割を担うものと期待されるところであります。
 冒頭申し上げましたように、本県の財政状況が極めて厳しい中ではありますが、福祉・保健分野については引き続き重点的に予算配分を行ったところであります。
 具体的には、本格的な高齢化時代を迎え、お年寄りが安心して暮らせる社会を築くため、ホームヘルプサービスなどの在宅福祉三事業をより一層拡充するとともに、平成十二年四月から導入される介護保険制度の円滑な実施を図るため、介護保険支援計画の策定や介護支援専門員の養成、研修などに取り組むほか、特別養護老人ホームや在宅介護支援センターの整備、民間病院の療養型病床群への転換整備等を引き続き積極的に進めてまいります。
 加えて、本年度は国連決議による国際高齢者年であり、「すべての世代のための社会」をスローガンに世界的な取り組みが行われる年であります。本県におきましても、この趣旨を踏まえ、高齢者の福祉施設において県職員等によるボランティア活動を実施するとともに、県民総参加を目指した総合的な福祉イベント・福祉のまちづくり99フェスタを開催するなど、さまざまな取り組みを行うこととしております。また、障害者や高齢者に優しい福祉の町づくりを推進するため、県有施設や交通安全施設等のバリアフリー化をより一層促進するとともに、新たに伊都地方に建設する知的障害者更生施設に対する助成を行うほか、南紀福祉センターや由良あかつき園の改築に着手することといたします。加えて、在宅の障害者に対する支援施策にも力を注いでまいります。南紀福祉センターにおいて、重症心身障害児を対象に通園による療育指導を新たに実施するとともに、民間施設による訪問指導や在宅障害者のための支援センターに対する支援を拡充することとしております。
 また、少子化の急激な進行に適切に対応し、喜の国エンゼルプランの一層の推進を図るため、低年齢児保育に取り組む保育所への助成制度を創設するなど、多様な保育サービスを充実させるとともに、周産期医療体制の向上を図るなど、子供保健・医療・福祉体制の整備を促進してまいります。
 さらに、男女共生社会を目指す新たな行動計画を策定するとともに、女性の活動と交流の拠点となる女性センターにおいて各種講座や相談事業を本格的に実施するほか、女性の社会参画を広く啓発するため、りぃぶるフェスタを開催することとしております。
 一方、同和対策につきましては、昨年策定した和歌山県同和行政総合推進プランに基づき、教育・啓発、産業・就労対策等の残された課題解決に向け、引き続き全力を尽くしてまいります。
 また、人権教育のための国連十年和歌山県行動計画に基づき、人権教育啓発をより一層推進するとともに、市町村における取り組みについても積極的に支援してまいります。
 次に、安全対策であります。
 だれもが安心して暮らすことができる社会とは、ふだんからあらゆる災害に対する危機管理体制が整備されたものでなければなりません。昨年発生した毒物混入事件を大きな教訓として、健康危機に関する総合的な管理体制を確立するため、緊急医療情報システムの整備による情報網の強化や最新型分析機器の導入による検査体制の強化を図るとともに、解毒用医薬品の備蓄などに万全を期すこととしております。
 また、洪水、高潮、土砂災害等の発生を的確に予測するための情報基盤整備を進めるとともに、災害時における初動体制を強化するため、各地域における自主防災組織の育成に努めるほか、病院、老人ホーム、幼稚園等を保全対象に含めた土砂災害危険箇所の重点整備や障害者の方を対象とした防災対策行動マニュアルの策定など、災害弱者対策にも積極的に取り組んでまいります。
 さらに、犯罪の広域化、スピード化に迅速かつ的確に対応し、重要犯罪や災害時における一元的な指揮体制を確立するため、警察本部内に最新式の機器を導入した通信指令システムを整備するとともに、一一〇番集中管理エリアを本年度から全県域に拡大することとしております。
 第四の柱は、「心豊かで個性輝くひとづくり」であります。
 心の豊かさは、人間にとって本来最も重要なことであります。これまで、ややもすれば忘れがちであった心の豊かさを取り戻さねばなりません。すぐれた文化や伝統に触れ、スポーツに親しみ、あるいはボランティア活動へ参加するなど、人には多様な生き方があり、これらの機会を幅広く提供していくことが必要と考えます。
 橋本・伊都地方におけるスポーツ、文化の中核施設となる県立橋本体育館がいよいよ本年完成いたします。また、県民の皆様により親しんでいただくため、美術館、博物館において開館時間を延長したサンセット・ミュージアムを実施するとともに、全国のすぐれた伝統芸能が一堂に会した地域伝統芸能全国フェスティバルを開催するほか、本県スポーツ界全体のレベルアップを図るため、国際的な大会で活躍した選手や指導者によるシンポジウムに加え、全日本マスターズ駅伝、全国マリンスポーツフェアなどの全国大会を開催することとしております。さらに、和歌山ビッグ愛に設置したボランティアセンターの機能を充実し、ボランティア活動の一層の推進を図ることといたします。
 未来の担い手である若者たちが、心豊かな人間に育つことができる環境づくりにも力を注いでまいらねばなりません。郷土に対する児童生徒の理解を深め、自信と誇りを持って活躍できる人材を育成するため、ふるさと教育の副読本を作成するとともに、三重、奈良、和歌山三県の中学生による第一回紀伊半島三県中学生ふれあいサミットや県内外の少年団千五百名が参加する緑の少年団全国大会を本県で開催するほか、不登校やいじめ問題に対処するため、従来のスクールカウンセラーや心の教室相談員に加え、新たに家庭教育に関するカウンセラーを設置するなど、心の教育の充実に積極的に取り組んでまいります。
 また、「みんなで夢をかなえよう」を合い言葉に、広く子供たちから夢プランを募集し、その実現に向け、地域全体で支援していくという新たな試みに加え、二十一世紀への指針となるわかやまの青少年プランの策定を行うほか、地域に根差した実践活動を行う地域おこしリーダーの育成やこれらの活動拠点となる青少年活動センターの一層の充実を図ることといたします。
 あすの和歌山県を担う若者たちが、間もなく訪れる新しい時代を、明るく、元気に、希望を持って迎えられるよう、私は全力を尽くしてまいる所存であります。
 以上が、予算案の主な内容であります。
 続きまして、条例案件等について、その主なものをご説明申し上げます。
 議案第四十一号は県立医科大学に新たに先端医学研究所を設置するものであり、議案第四十六号及び五十八号は県立医科大学及び県立学校等の職員の定数を改定するものであります。
 議案第四十七号は本年四月から導入する外部監査に関し必要な事項を定めるものであり、議案第六十六号はこれを実施するための包括外部監査契約の締結について議決をお願いするものであります。
 議案第四十八号は瀬戸内海区域における自然海浜保全地区の指定等に関し必要な事項を定めるものであり、議案第五十一号は新医大附属病院内に新たに子ども保健福祉相談センターを設置するものであります。
 議案第五十三号は本年六月にオープンが予定されている熊野川小口キャンプ村の設置及び管理条例であり、議案第五十五号は河川法の規定に基づき河川審議会に関し必要な事項を定めるものであります。
 議案第六十一号は、県立橋本体育館の使用料の額等を定めるものであります。
 議案第六十二号及び六十三号は建設事業施行に伴う市町村負担金について、議案第七十号から七十五号までは工事請負契約等の締結について、それぞれ議決をお願いするものであります。
 最後に、法人の経営状況に関する書類を別途提出しております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(下川俊樹君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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○議長(下川俊樹君) この際、二月十二日、警察本部長に就任しました樋口建史君をご紹介申し上げます。
 警察本部長樋口建史君。
  〔樋口建史君、登壇〕(拍手)
○警察本部長(樋口建史君) 去る二月十二日付で和歌山県警察本部長を命ぜられました樋口でございます。よろしくお願いいたします。 県民生活の安全と平穏を確保するために、微力ではございますが、全力を尽くしたいと存じます。引き続き、皆様方のご支援とご指導を賜りたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 簡単ではございますが、着任に際しましてのごあいさつとさせていただきます。
○議長(下川俊樹君) 次に、事務局長から新任の職員を紹介させます。
○事務局長(新谷哲朗君) ご紹介申し上げます。
 警察本部
   生活安全部長    山   本       努  君
   刑事部長      吉   田   喜 三 郎  君
   交通部長      竹   原   幸   宏  君
   警備部長      丸   山   英   樹  君
  〔各員一礼〕(拍手)
 以上でございます。
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○議長(下川俊樹君) 次に、お諮りいたします。二月十八日、十九日及び二月二十二日、二十三日を議案調査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、二月十八日、十九日及び二月二十二日、二十三日を休会とすることに決定いたしました。
 次会は二月二十四日再開し、質疑及び一般質問を日程といたします。
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○議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午前十一時四十一分散会

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