平成10年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 許可を得ましたので、順次、質問に入っていきたいと思います。
 まず第一番目に、介護保険制度についてお尋ねをいたします。これは昨日、森本議員からも論議がされたところでありますけれども、重ねて私も質問をさせていただきます。
 二〇〇〇年四月に向けて、全国の市町村で介護保険の実施が始まっております。重い保険料・利用料負担、介護基盤の立ちおくれなど、多くの問題点を持つ介護保険に国民は今不安を募らせ、市町村もこのままでは地域に深刻な不信と不安が増大しかねないと頭を抱えていると聞いているところです。
 市町村に介護保険事業計画が、県に介護保険支援事業計画が義務づけられており、今その作業が始まったばかりであります。九九年の前半までに中間取りまとめを作成するというスケジュールで、介護保険で提供する介護サービスの種類や事業量などを定める計画ですから、これをどのように住民本位のものにするか、各自治体の姿勢が問われる重要な問題だと私は思います。
 長年にわたって日本は、介護の費用は老人福祉法に基づいて税金で賄われてまいりました。これを国民の保険料で賄うことに切りかえるものであります。サービスの提供はこれまで市町村の責任で措置制度として行ってまいりましたが、原則廃止となり、利用者が事業者と直接契約する方式に変わります。これで、民間業者の参入へと大きく道が開かれていくことになるでしょう。運営は市町村で、加入が義務づけられるのは四十歳以上の国民すべてです。保険料の支払いは義務づけられたものの、サービスを受けられるのは原則として六十五歳以上の方々です。四十歳から六十四歳までの人は、政令で定める老齢化に伴う疾病に限られ、脳血管疾患、骨粗鬆症などのほか、パーキンソン病などの難病を含め、十五の疾病が検討されているようであります。
 申請すればだれでも自由にサービスを受けられるわけではなく、市町村の介護認定審査会で「要介護認定」を受け入れた人だけに限られることになります。政府は「保険証一枚あればだれでも自由にサービスを選べるようになる」と、バラ色の宣伝をしてまいりました。しかし、事実は違います。「保険あって介護なし」になりかねない状況にあると言わざるを得ません。
 日本共産党は、介護保険法実施に向けての緊急提案も発表してきたところであります。私はここで四つの点について提案をし、所見を伺いたいと思います。
 第一の提案であります。
 高い保険料のために制度から排除されることがないようにすることです。今、国民は、保険料は幾らになるのか、払えるのだろうかと不安を募らせています。国保料を払いたくても払えず滞納している人がふえていますが、この上に介護保険料が上乗せされれば未納・滞納者が続出することはもう目に見えています。保険料を払えないために介護保険から締め出される人が出る事態を防ぐために、国と自治体の負担による減免制度の創設が必要だと考えるものです。法律では、市町村は条例で介護保険料の減免制度を設けることができることになっています。これは法第百四十二条に明記されています。国が省令で定めるこの基準は災害等の場合として限定していますが、国保制度と同じような低所得者のための公費による減免制度が必要ではないでしょうか。
 保険料の試算は二〇〇〇年度で一人当たり月額二千五百円ですが、市町村の高齢化率、サービスによって異なってくると思います。訪問介護の回数をふやしたり保険料給付以外の給食サービスを行えば、さらにアップされることになります。見逃せないのは、保険料滞納者に対してサービス差しとめという厳しい制裁措置が設けられていることです。これは法第六十八条に明記されています。これに連動して、国保の制裁措置も昨年十二月、改悪をされました。国保料滞納者に対するペナルティーとして保険証の返還規定が、これまでの市町村が返還を「求めることができる」ということから、十二月の改定では「求めるものとする」という厳しい義務規定に改定されたのです。制裁措置は社会保障の理念に反するばかりか、人道的にも許されないことです。廃止すべきです。
 第二の提案です。
 ゴールドプランの目標を見直し、二〇〇〇年四月までに計画目標を量質ともに大幅に引き上げ、市町村に対する基盤整備の財政措置を国、県が十分講じるよう求めるものです。施設である特養ホームの待機者は年々ふえています。ホームヘルパーの養成は本県ではかなり行われているものの、その方々が働く施設がなく、十分研修された方々が生かされていません。働く条件整備にも力を注ぐ必要があります。
 また、市町村の補助金の効率化を図るとの理由で、人件費補助方式から実際のサービス時間──回数でありますが──で補助金を精算するという事業費補助方式に変え、常勤ヘルパーの補助金を削りました。国の実態に合わない補助金制度によって、重い超過負担に市町村は苦しむことになります。大幅改善を提案するものです。
 第三の提案は、給付サービスと利用料についてであります。
 保険で受けられるサービスは、ホームヘルパーの派遣など在宅サービス十四種類と、特養ホームなど三種類の施設への入所であります。保険給付は、在宅の場合、要介護者に応じて六万円から三十五万円です。豊富なように見えるメニューは、高齢者生活を支えるには量も種類も十分ではありません。各自治体では住宅改造などの国の基準をはるかに超えた上乗せ、横出しサービスを行っています。水準を引き上げる努力もしております。しかし、水準を超えた部分についての財源は六十五歳以上の保険料で賄えというのが介護保険法の基本方針ですから、高齢者の保険料引き上げにつながることになります。国、県の公的助成制度の創設を提案するものです。
 今、特養ホームに入所されている老人で要介護度二以下に当たる人は、ある和歌山市の施設の場合、百床のうち二〇から三〇%の方が「自立」あるいは「要支援」というような状況になります。そして、最も重度の要介護度五の人も二〇%から三〇%はいると言われております。施設では一生懸命リハビリをやって、自立できるまで回復させました。この老人を退所させた場合、住宅環境や地域、家族状況がどうなるか。施設側は「五年の経過措置があるとはいえ、再入所の厳しさを考えると不安な思いを抱く」と、保険制度の不十分さを指摘されていました。
 また、ショートステイ事業においても、現在、年間六十日が利用限度です。これでは実態に合わない状況だとおっしゃっています。少なくともショートステイは百日に延長する必要性も訴えておられます。施設利用は、利用料に加えて食費も日常生活費も自己負担となり、負担は月六万円にもなると言われています。高齢者の多くは月四万円程度の年金受給者であることを考えると、生活保護を受けざるを得なくなってしまいます。所得の実態に見合った減免制度の創設がここでも必要になってまいります。
 第四の提案です。
 高齢者の生活実態に合った認定基準が必要です。保険では、日常生活動作七十三項目を面接調査でチェックした後、かかりつけ医の意見を加えて認定審査会が最終的に介護度を決定することになっていますが、痴呆症などは一日に何回も症状が変わります。一時的なチェックでは判定は困難ですし、正確性を欠いた判定になりかねません。また、認定基準は高齢者の身体的動作に偏っており、家族の介護力や住宅環境を加味したものにすることが重要ではないでしょうか。
 かつて御坊市で、厚生省の要介護認定のモデル事業で、デイサービスの利用者が「自立」と判定されました。その方が「私は一体どこに行けばいいのですか」と、困惑した姿がテレビで報道されました。こういう経過もあるわけですから、困っている人、必要な人がサービスを受けられる制度でなくてはなりません。
 今、在宅支援センターでは、介護度五、最重度の認定者でありながらデイサービスやショートステイや施設入所も利用できない人が出てまいりました。その方は、入院治療中にMRSAに感染をし、MRSA菌がプラスのまま現在に至っているわけですけれども、病院から退院して自宅で療養していたとしても、この方がいざ施設に入所をしたい、あるいはデイサービスやショートステイといったものを利用したいと言ったとしても、現在のところでは受け入れられていません。こういうことも深刻な問題ではないでしょうか。これこそ「保険あって介護なし」の制度です。検討が求められる重要な課題です。関係部長の所見を伺っておきたいと思います。
 次に、消費税問題についてお伺いします。
 早いものです。もう年の瀬を迎えました。長引く不況は、私たち国民生活にかつてなく深刻な状況を生み出しています。家計消費の落ち込みは十二カ月連続してマイナス、戦後最悪の失業と中小企業の倒産など、どれをとっても一刻の猶予も許されない危機的事態となっています。消費の落ち込みで不況はますます厳しい状況に置かれるという悪循環をこの際きっぱりと断ち切らなければ多くの国民が年を越せない、こういう悲しい事態にあるのではないでしょうか。この不況を打開するための最も効果的な対策は消費税率を五%から三%に引き下げることで、これは国民多数の意思でもあり、怒りの声として今大きくその声が広がり始めています。
 七月の参議院選挙と十一月八日の参議院補欠選挙では、国民そっちのけの銀行支援の政治か、それとも国民支援の政治かが問われる選挙でもありました。日本共産党は、景気対策は銀行支援ではなく消費税を五%から三%にと訴えてまいりました。考えは違っても一致する課題で共同して国民の願いを一歩でも前進させようと呼びかけ、奮闘してきたところです。七月の選挙の結果は、自民党さんが大敗し、一方日本共産党は過去最高の八百十九万票の支持を寄せられました。参議院で初めて二十三議席に、そして初めて予算を伴う議案提出権を獲得したところです。さきの国会で、消費税を三%に引き下げる法案を心ある他会派の皆さんと一緒に参議院では提出をいたしました。さらに、今開かれている臨時国会にも法案を提出し、その成立に他党の皆さんにも呼びかけをして全力を尽くしているところです。
 消費税減税を願う声は、八月八日の日経新聞で五四・七%、十月三十一日の日本テレビ系のテレビで五九・五%、十一月二十八日の日本世論調査会で七九%、同じく読売でも「今最も重く感じる税金の第一は何ですか」と聞きましたが、これに対して「消費税」と答えた人が六五%です。もはや消費税減税は圧倒的国民の声として一層深く大きく広がり、小渕内閣も拒否することはできなくなることを確信するものであります。
 また、十一月八日の参議院補欠選挙の投票日当日、和歌山放送は八百人の出口調査を実施しました。ここでも四一%の人が消費税減税を願う結果を放送されたところであります。県民には、昨年四月の消費税三%から五%への引き上げと医療改悪による患者負担の増大、特別所得減税廃止によって新たに九兆円の負担が家計に重くのしかかり、国民の暮らし、営業、命まで危うくしようとしています。政府はさらなる医療、年金の改悪を行う準備を進めていますし、介護保険による負担増など、社会保障への不安、福祉目的税に名をかりた消費税の再増税も論議をされています。大手スーパーやデパートなどで行われている五%還元セールの盛況ぶりにも見られるように、消費税減税がいかに切実な願いであるのか、また減税の効果は幾つもあると思うのです。
 その効果の第一に、消費すればするほど減税効果が生まれて消費拡大につながる減税であり、同時に消費者心理も好転させると思います。第二に、消費税の減税はすべての層に減税効果を及ぼし、特に所得の低い層の家計を温める減税になります。第三の効果として、増税で売り上げの落ちた上、価格に転嫁できずに身銭を切って消費税を納めている中小業者、地元商店街の営業を助けるという効果があります。第四の効果として、民間の住宅投資は増税によって最も落ち込みが激しい分野ですが、消費減税は住宅や耐久消費財などの需要を活性化させる効果を持ち、何よりも減税は、政府が本気で強烈なメッセージを国民あるいは国内外に送ることになるべきだと私は思っています。今こそ国民の声に耳を傾け、国民が待ち望んでいる対策を進めるときだと思うのです。
 知事、県民の声は「消費税率を三%に引き下げて」、こういう声です。国民世論をどのように受けとめておられるのでしょうか、お聞かせください。そして、ぜひ国に対し県民の声を届けていただきたいと考えるものですが、いかがでしょうか。
 また、地域振興券ということで、商品券の発行が計画をされました。県内で交付対象者はどのくらいに上るのでしょうか。また、私は同じように国民の税金を使うのでしたら消費税減税の方が景気刺激の効果はあると考えますが、ご所見を伺います。
 次に、和歌山LNG火力発電所並びに御坊第二火力発電所計画について質問を申し上げたいと思います。
 御坊第二火力発電所計画については、関西電力が十月六日、公有水面埋立願書を和歌山県に提出し、現在県において審査中でありますが、既に九月時点で、現御坊火力を含めた環境保全協定書の原案について御坊市や美浜町で審議中であります。
 同火力発電所は、海面活性剤を含むオリマルジョンを燃料とする四百四十万キロワットの巨大発電所です。硫黄酸化物を大量に排出し、オリマルジョンの漏洩対策が未確立であることや、稼働率七〇%のベース発電を担う発電所であり、周辺地域への影響も現御坊火力より数倍あると考えられます。したがって、御坊市や美浜町では原案の環境保全協定について厳しい意見が出されていると聞き及んでいます。この原案によれば和歌山県も協定の当事者となることが予定されていますから、本議会においても協定案について論議することは大変重要だと考えますことから、以下、県当局の見解を伺うものです。
 その第一点は、現在御坊市や美浜町で論議されている協定原案について、御坊市では市長の諮問機関である公害対策審議会において十月中に諮問され、現在も審議中であります。美浜町でも同様であります。聞くところによりますと、原案は九月中に策定されたとのことであります。ところが、さきの九月県議会でも今議会でも、県から何の報告もなく、もちろん議会に原案が提示されたこともありません。第二火力への同意をめぐっては、知事は「苦渋の決断」とまで発言をされ、多くの県民の建設反対や延期を求める声を無視して同意した経緯があります。県は環境保全協定案について県の環境審議会なり県議会において審議される考えがあるのかどうか、お聞きをいたします。
 県の関係部局だけの意見で協定を締結することは、この問題の重要性からいって、また県民の代表である県議会での審議もなしには許されるものではないと私は考えます。関係常任委員会なり審議会への諮問を行い、広く県民の意見を聞く公聴会の開催も提案したいと思います。いかがでしょうか。
 第二点は、この協定の原案はいつ、どこがつくったものでしょうか。関電か、県か、あるいはそれ以外のところでつくられたのか、お示しください。和歌山県としての考えを示すことも重要だと考えるものですが、もし関電の作成した原案だけをたたき台にするようなことでは県行政の主体性が疑われるのではないかと考えるものです。
 第三点は、この協定書の締結を予定している時期の点です。現在審査中の埋立願書についての判断が下される前に結ばれるのか、認可後の準備工事に着工される前なのか、本体工事に入るまでに結ぶことになるのか、十分な審議もなしに締結することは将来に禍根を残すことになりますから、拙速な締結はあってはならないと考えるものです。いかがですか。
 次に、協定案そのものについて幾つか質問を申し上げたいと思います。
 第一に、使用燃料の硫黄分の含有量規定について、現在の御坊火力の協定では、第一条で燃料中の硫黄分を発電所総合で〇・一%以下と明記されています。新しい協定案ではこの規定が抜け落ちています。できるだけ硫黄酸化物の排出を抑えるという立場に立てば、現火力発電所の使用燃料についてはこの規定を残すべきではないでしょうか。脱硫装置の設置が予定されているのが第三号機だけであることから言っても、使用燃料の硫黄含有量を存続させるのは当然だと考えます。見解をお示しください。
 また、第二火力発電所で使用する重油の硫黄含有量についての規定がないことについても納得できません。できるだけ硫黄分の少ない重油の使用を求めるのが当然ではないでしょうか。いかがでしょう。
 第二に、第二発電所の一時間当たり排出量や年間排出量が硫黄酸化物、窒素酸化物について定められていますが、一号機、二号機が運転を始めるのは二〇〇七年からの予定です。三、四号機の運転開始予定が二〇一五年となっていますから、三、四号機の運転が始まるまでと三、四号機の運転が始まった後とは区別して協定の中に規定する必要があるのではないでしょうか。いかがですか。
 第三に、窒素酸化物の排出基準についてであります。現在の協定では第一条二項で排出口濃度を発電所総合で三〇ppmとしていますが、新しい協定ではこれも削除されています。県としてこの点についての見解をお示し願いたいと思います。
 第四に、二酸化炭素など地球温暖化ガスの削減は全地球的課題であります。現御坊火力、第二火力とも、その課題から除外されるものではありません。ところが新しい協定案では、第十条に熱効率の向上に努めるとともに全社体制による技術開発研究の推進に積極的に取り組むとされているだけです。この規定では炭素ガスを固定化する脱炭装置が開発されたとしても、第二火力の発電所敷地内にそうした装置を設置する場所がないという事態が考えられます。将来の技術開発を強調するのでしたら、そうした新しい技術が実用化されたときには現火力発電所及び第二発電所に導入を義務づける規定を盛り込むべきではないですか。
 第五に、情報公開の問題です。案では第十九条に環境保全対策については公開を原則として処理すると書かれていますが、環境保全対策だけではなく、発電状況や使用燃料、排出ガスの状況など、発電所の運転にかかわるすべてを公開とすることが必要ではないですか。また、公開は行政や住民の請求によるだけでなく、事業者が自主的に公開する保障を明記する必要があるのではないでしょうか。見解を求めたいと思います。
 御坊第二火力問題の最後に、梅の立ち枯れ問題との関連から協定の及ぼす範囲についてお聞きをいたします。
 ご承知のように、立ち枯れ被害はますます拡大をしています。ことしで十万本に達しているとのことです。大気面から原因解明に迫る研究も進められていますが、大きな被害を出している田辺市がこの協定では直接の当事者とはなっていないのです。この点で県は田辺市の意見をお聞きになったのでしょうか。私は少なくとも田辺市が立ち会うとかが必要だと考えるものですが、いかがでしょうか。関係部長の答弁を求めたいと思います。
 次に、和歌山LNG発電所の環境保全協定の問題についてお尋ねをいたします。
 LNG発電所は来年度中にも着工すると言われています。運転開始も御坊第二火力よりも早いことになります。したがって、環境保全協定書についても当然御坊第二火力よりも早く締結する必要があると考えます。県としてLNG発電所について関電といつまでに締結するお考えなのか、計画をお示しください。
 関電からたたき台が出てきていないというのでしたら、県としてたたき台を策定し、関電に提示したらいいのではないですか。また、御坊第二火力の問題で指摘しましたように、この協定についても県議会や環境保全審議会にかけて広く論議する場を保障するのが当然だと考えますが、いかがですか。
 また、住友金属和歌山製鉄所との間で結んでいる公害防止協定の改定と連動することになると思います。それは、現在住金が出している窒素酸化物の総量をLNG火力と住金とを合わせた量を上回らないことになっているからですが、環境保全の立場に立てば、住金に対してはLNG火力が運転を開始する以前から脱硝装置の設置を前提とした協定を一刻も早く締結すべきだと考えます。
 住金は、埋立地を完全に売却することで九百億円という資金を手に入れることになります。公害対策に回す資金がないとは言えないわけです。住金がその気になれば、窒素酸化物等の排出を劇的に削減することは可能だと考えます。県として住金との間で新たな協定をいつまでに結ばれるのか、このことを答弁してください。
 以上で、第一回、終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
  知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
 消費税問題についてであります。
 消費税につきましては、平成元年四月の税制の抜本改革において、税体系全体を通しての税負担の公平を図るために、所得課税を軽減し、消費に広く薄く負担を求める本税三%が創設されたところでございます。また、平成七年度から所得税、個人住民税の恒久減税が先行実施されるとともに、平成九年四月に地方消費税が創設され、消費税と合わせて五%、うち地方消費税が一%とされているところでございます。
 今日の景気低迷状況から脱却するために、国におきましては、社会資本整備あるいは恒久的な減税で総額二十四兆円の緊急経済対策を決定いたしまして、個人消費や設備投資の需要を喚起する景気浮揚に取り組んでいるところでございます。
 消費税を含めた税制の問題を初め、各施策に対する世論について重く受けとめなければならないのは当然のことでございます。しかし、税制につきましては、我が国の経済あるいは国民生活に大きな影響を及ぼす国政上の重要な問題でございまして、さらには歳出面を含めた財政全体で判断すべき問題であると考えてございます。緊急経済対策の策定の際には消費税を含めたさまざまな議論があったところでもございまして、今後も国民の税負担のあり方については国政の場において十分議論されるべきであると考えてございます。
 また、地域振興券につきましては、現在時点では県内で三十万人程度がその対象になるものと見込まれてございまして、そのうち十五歳以下の児童が約十八万人、その他が約十二万人と見込まれてございます。また、この事業の実施によりまして、消費拡大にもつながり、ひいては地域振興に資するものと期待をしているところであります。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 介護保険問題への四つの提案に対する所見について、お答えします。
 まず、第一の保険料に関してでございます。
 六十五歳以上の第一号被保険者の保険料は、所得に応じて負担を求めるという観点から所得段階別の定額保険料が設定され、低所得者への負担が軽減される仕組みとなっております。また、保険料の減免につきましては、災害その他特別な事情が発生した場合とされており、具体的には主たる生計維持者が入院等により著しく収入が減少したことなどが想定されております。今後、低所得者への配慮等、必要な施策につきましては、国の審議会等の動向を見守りながら、県としても引き続き積極的に要望してまいります。
 次に、保険料の滞納等への対応につきましては、だれもが等しく負担するという保険制度の趣旨をご理解いただくため、県民への広報活動に鋭意努めてまいります。
 第二の、ゴールドプランの目標を見直し、市町村への財政措置についてでございます。
 現在、県内市町村においては、平成五年に策定した市町村老人保健福祉計画に基づき、介護サービスの整備充実に努めています。県におきましては、こうした市町村における介護サービス供給体制の基盤整備を支援するため必要な予算の確保に努め、平成十一年度末の目標達成に向けて市町村と力を合わせて努力しているところでございます。
 平成十二年度にスタートする介護保険制度を目前にして、高齢者自身及び家族の介護ニーズに対応し得るサービス量の確保、質の向上、人材の確保等は、県内五十市町村にとりまして緊急かつ重要な課題であると考えています。特にその中でホームヘルプサービスの必要量の確保は重要であり、介護保険制度への円滑な移行という観点から求められている事業費補助方式は、介護を必要とする在宅の高齢者また市町村にとっても必要であると考えております。県といたしましても、市町村への助言指導、財政支援、また制度の充実等について国への要望に努めてまいります。
 第三の、市町村におけるサービス水準と保険料の関係についてでございます。
 サービス水準の高低は、基本的には市町村の介護保険事業計画の中で設定されていくものであり、上乗せ、横出しサービスの実施の有無についても、本計画策定に参画した住民の方々の意見を十分に尊重し、第一号被保険者の保険料により負担されるものと考えております。一方、国におきましては、十一年度政府予算の中で生きがい対応のデイサービス事業や健康増進事業等の独自サービスについて概算要求されているところであり、県といたしましては、このような施策がさらに拡充されるよう国に対し積極的に要望してまいります。
 次に、所得の実態に見合った利用料につきましては、災害等の場合の減免のほか、高額介護サービス費等による負担の軽減、さらに生活保護対象者への介護扶助の創設などがございます。今後とも、よりきめ細かなものとなるよう国に積極的に要望してまいります。
 第四の、生活実態に応じた介護認定についてでございます。
 本制度は高齢者介護を家族中心に依存してきた問題を解消し、老後の不安を社会全体で支え合うという理念から制定されたものであります。
 ご提案の、実態に即した介護認定は可能かについてでございますが、介護認定のモデル事業も三年目を迎え、議員のご質問にもありました痴呆症などについても一次判定の調査項目が補強され、より正確に、より公平に介護認定が行われていくものと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 村岡議員の、和歌山、御坊第二、二つの新火力発電所の環境保全協定についての四つの質問にお答えいたします。
 まず第一点目の、環境保全協定案の審議のあり方についてであります。
 御坊第二発電所の建設につきましては、平成九年九月七日の電源開発調整審議会に際し、新種の燃料を使用する大規模な火力発電所であることから、環境保全対策等の徹底を図ることが重要であると考え、関係各方面のご意見を十分に伺うとともに、既設発電所にも排煙脱硫装置を設置し、環境への負荷の軽減を図らせるなど、厳正に対応してまいったところでございます。
 環境保全協定書は、既に実施した環境影響調査書の審査結果の内容を基本とし、県、御坊市、美浜町と事業者との合意のもとに締結するものであります。したがいまして、今後、当事者間で十分協議を重ねた上、ご報告申し上げるなど、必要な手順を踏んでまいりたいと考えてございます。
 続きまして、協定原案づくりは県の主体性でというご質問であります。
 協定の原案につきましては、既設御坊発電所に排煙脱硫設備を設置することから公害防止協定の改定もあわせて行う必要があるため、現協定の当事者である県、御坊市、美浜町と事業者において協議を重ね、取りまとめたものでございます。県としましては、今後も御坊市及び美浜町と連携を図りながら、必要な事項については協定の内容に反映されるよう事業者と協議を重ねてまいりたいと考えてございます。
 また、協定締結の時期についてでございますが、発電所用地の埋立工事着工までを目途に締結してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、三点目の使用燃料の規制等についてのご質問であります。
 協定案の内容に関する使用燃料の硫黄含有量の規定、硫黄酸化物、窒素酸化物の排出量の規定、窒素酸化物の排出濃度の規定、地球温暖化問題への対応、情報公開の方法及び協定の範囲についてのご質問についてでございますが、県といたしましては、環境影響調査書の審査結果を踏まえ、現御坊発電所に係る公害防止協定の内容に比較してもより環境保全に配慮した内容となるよう、情報公開や協定の範囲の問題も含め、厳正かつ適正に対応することを基本に考えてございます。
 四点目の、住金との新たな環境保全協定についての質問であります。
 LNG発電所の環境保全協定につきましては、平成九年五月における環境影響調査の審査の際、県として環境保全に関する協定締結を求め、準備工事着工までを目途に締結することとしてございます。今後、和歌山市と連携を図りながら事業者と協議を行ってまいりたいと考えてございます。協定締結の手続につきましては、先ほど御坊第二火電でも答弁いたしましたとおり、必要な手順を踏んでまいりたいと考えてございます。
 また、住友金属株式会社和歌山製鉄所の公害防止協定の改定につきましては、LNG発電所の審査の際、既存の製鉄所とあわせた西防波堤沖埋立地利用計画に関連する総合環境アセスメントの審査を並行して行ってございます。この内容を基本にいたしまして、公有水面埋め立ての手続が完了した時期を目途に和歌山市とも連携し、公害防止協定の改定を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 知事の答弁、非常に言葉の上ではご丁寧ですけれども、中身は冷ややかですね。県民の皆さんたちが今、不況の中で本当に大変な事態に陥っています。倒産件数等についても過去最悪の状況、失業者もふえているといった状況とあわせて消費不況ということが今言われているわけですけれども、これは全国共通の問題であったとしても、この和歌山県においては最もひどい状況になってきていると私は思っているんです。
 そういう点で、今政府が行っているのは、さきの臨時国会等からも出されてきたのが六十兆円という国民一人当たり五十万円の銀行支援というわけです。これについては、国民の七割から八割の圧倒的な人たちが容認していないわけです。そういった状況のもとで、本当に国民の懐を温めるという点が緊急的な対策だと思うんです。経済対策と言えども個々に大きな対策が打たれていないのが今の欠点だと私は思っているんです。
 二十四兆円の対策をやったじゃないかとおっしゃっていますけれども、中身を見てみますと、減税も六兆三千億円やりましたよと国会では答弁をされているわけです。このうちの四兆円というのが所得税やら住民税です。これはだれのための減税かと言えば、最高税率の減税というところから見れば、年収八百万円以上の方々に大きな減税が回るというシステムになっています。我々多くの国民や県民はこういった四兆円の恩恵にあずからないというのが原則ですよ。そしてまた残りの二兆三千億円というのは法人税の減税でありますから、これは大企業が潤うということになると思うんです。我々納税者の七割から八割は今後増税になっていくということが言われているわけですから、そういう点で見ると、今県民の皆さんたちの生活が崩されていくということに対して、多くの県民の皆さんたち、国民の皆さんたちが何とか消費税を引き下げることが今大事だと、こういうふうに共通の意思を持っているわけです。
 こういうことに首長の知事、県民の最高責任者であって、しかも国の悪政から地方自治として本当に県民の福祉や暮らしを守るという点から見れば、今の事態を憂えて国に物を言うべきだと私は思うんです。これは国のことですからとおっしゃって逃げるけれども、もう逃げ場はないと思うんですよ。ぜひとも、こういう点では県民の声を国政に届けていただきたいと思うんです。再考をお願いしたいと思います。少し血の通った答弁をいただきたいと思いますよ。
 それから、介護保険の問題です。
 認定基準の問題なんですが、今それぞれ地方自治体でも一生懸命これのために、六十五歳以上の皆さん方の実態を調査するということで認定基準に基づいてやっていらっしゃるわけです。しかしこれは、特に先ほども申し上げましたように、認定をしていくのに日常生活動作だけが基準になっているんですね。その人の家庭環境とか介護力の問題とか周辺の問題とか、そういったものが何も加味されていないというのが欠点なんです。そういう点で見れば非常に端的な、行って見て七十三項目もうチェックすればいいというだけの判定の仕方というのは私は問題があると思います。
 実際に認定モデル事業として二年間やっているわけですが、まだいろんな形でわからない部分もありますし、去年は介護度五だったのがことしのモデル事業の認定では三に下がっていると、こういうような事例が県下でたくさん出てきているんです。なぜそういうことになってきているのかということなんですけれども、これは去年の認定のときに一次判定と二次判定が大分食い違ったということで、その対策として厚生省が二十二項目をもって変更することはならないと禁止事項を持ってきたわけです。だから、結局はコンピューターではじいた一次のものがもうそのままいくんですよというような形になって返ってきているということがわかりました。なぜ市町村レベルで認定審査会が必要なのか、これではそれが役に立たなくなってしまいます。国が、認定基準そのものを今の基準以上にはしてはいけないとぐっと抑えて、その人の状態が変わろうと、生活環境が変わろうと関係ないんだという見方をはっきりしてきたと思うんです。こういうことでは、介護保険そのものの活用が不十分な状況になっていくと思います。
 それから、減免制度です。
 これは保険料と利用料の問題があると思うんですが、保険料を払いたくても払えない人、それから途中で払えなくなった人たちの問題がまだ非常に不十分だと思うんです。例えば利用料でも、今デイサービスの場合は現実的に全体の八三%の方々が無料になっているわけですけれども、この人たちは今後こういう点には関係なく一割負担を強制されていくわけです。そういう点で見れば、払いたくても払えない人、そして途中で払えなくなった人はそこでストップをされるということになるわけですから、大きな問題が発生してくると思います。「保険あって介護なし」、これを地でいくような状況になるんじゃないかと思います。
 ホールヘルパーの問題については先ほども申し上げましたけれども、今二千四百人を研修していると言われていますけれども、この人たちは研修を受けただけで、働く職場がないというのが現実なんです。介護サービスを市町村が提供していく上で、その人たちが十分に働けるような環境を整えることが必要だと思います。そういう点もぜひしっかりと国に言っていただきたいと思います。
 制裁措置の問題も、私は非常に大変な状況が生まれるんじゃないかと思います。払いたくても払えない人たち、そして途中から払えなくなった人たちもたくさん出てくるわけです。国保を見ればもう一目瞭然ですから、そういう点でもぜひこの点については検討をしていただくように意見を上げてください。
 それから、環境の問題です。
 公害対策の問題で、先ほどからお答えになっていらっしゃるわけですけれども、現実的には県も入った四者で協定を結ぶことになるわけですよね。御坊市と美浜町と和歌山県、そして関電とで結ぶわけで、当事者なんですから、やっぱりもっと県議会の中にも、こういう協定を結ぶに当たっての協定書の内容とか、そういった論議をする場所をぜひ提供すべきじゃないかと思います。
 そして、この協定書の素案づくりですけれども、最初のたたき台はどこがつくったんですか。そこのところをもう一回答えていただけますか。田辺の問題も含めて広域的な、そして今国際的な環境問題があるわけですから、ぜひそういう観点でこの協定は結んでいただきたいと思うんです。その一点だけ、大井生活文化部長に答えていただきたいと思います。
 ほかの点については一応要望にします。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 村岡議員の再質問にお答えいたします。
 協定のたたき台をどこでつくったかということですけれども、協定というのは本来、当事者間で合意のもとにつくるべきものであります。県、御坊市、美浜町、それから関電と協議してその素案をつくってきたところであります。今後、それに対していろいろと審査なりをしてまいりたいと考えております。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 知事には再考をお願いしますということで、要望ですよ。
 大井部長の今の答弁なんですが、たたき台というのは四者が集まってやるものと違うでしょう。最初にどこかが出してくるんでしょう。出したやつをこうやるわけでしょう。はっきり関電と言いなさいよ。そういう点では、やっぱり県の主体性がないんですね。県が主体性を持って県民のために企業に責任を持たせるという点で見れば、県がたたき台をつくるべきだと私は思います。
 以上。
○議長(下川俊樹君) 以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十七分休憩
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