平成10年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(堀本隆雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時三分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(下川俊樹君) この際、報告いたします。
 過日提出のあった議案第百七十二号から議案第百七十五号までは、いずれも職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
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                     和人委第334号
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 和歌山県議会議長  下 川 俊 樹 殿
        和歌山県人事委員会委員長  若 林 弘 澄
   職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成10年12月8日付け和議会第456号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により、下記のとおり回答します。
               記
 議案第172号  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第173号  教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第174号  市町村立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第175号  警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
             意   見
 上記議案第172号から議案第175号までの条例案については、いずれも適当であると認めます。
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  【日程第一 議案第百四十八号から議案第百七十五号まで、及び報第四号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百四十八号から議案第百七十五号まで、及び知事専決処分報告報第四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 21番堀本隆男君。
  〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、通告順に従って順次質問を進めてまいります。
 まず、バカンス法の制定についてであります。
 昭和六十三年二月定例県議会本会議において、私は、五十年後の和歌山県のビジョンやリゾート問題等を一般質問した中で、今は亡き前仮谷知事に次の提案をいたしました。「今後、日本もリゾートの時代がやってくると思いますが、利用者側に余暇を与えないと、施設はあっても経営が成り立たなくなる懸念があります。フランスのように勤労者の長期休暇を法制化すべきではないでしょうか。知事も、全国に先駆けてバカンス法を提唱されてはいかがでしょうか」と。故仮谷知事は、早速政府要望に掲げてくれました。しかし政府の腰は重く、結果として全国のリゾート開発は、多くが挫折しました。
 日本の経済危機に緊急に対応するために小渕首相が並々ならぬ決意で設置した経済戦略会議に、私は十月一日に一つの提案をいたしました。以下のとおりであります。 
前略 突然にお便りを差し上げる無礼をお許しください。目下鋭意お取り組み中の「経済戦略会議」に一つの提言として受けとめていただければ大変光栄であります。
 タイトルは「バカンス法制定による経済活性化戦略の展開を!」ということです。内容は「日本型バカンス法」の制定です。フランスのような長期の「最低連続休暇日数(十四日~二十日)の付与」ではなく、短期の「最低連続休暇日数(五日間)の年間二回の付与」を主な内容とします。使用者及び労働者の義務規定とします。労働基準法の改正ではなく、特別立法として議員立法が望ましいと思われます。お盆、正月といった日本独自の風習を重視するとともに、最低五日間とすることで、前後の土日を加えると実質九日間の休暇が実現します。
 釈迦に説法とは存じますが、フランスにおけるケースをみます。一九三六年、第一次世界対戦後、フランス経済は大不況のどん底にあえいでいました。失業率が二〇%から三〇%とすさまじい製造業からの失業者があふれ、社会問題化していました。こうした社会情勢を背景に、政府側はサービス産業発展策(観光、レジャー、リゾートを主)としてバカンス法を制定すると、各地に観光関連産業がおこり、失業者の吸収と景気が回復してきました。労働戦線側は、何よりも失業者救済(バカンスを取る労働者分の労働不足を新たに雇用できる)に期待がもて、しかも労働条件の緩和という願いが、政府側の思惑と一致してバカンス法が出来ました。この政策は完全に当たり、フランス経済は失業者が大幅に減りました。地中海沿岸に次々と高級・中級・下級のリゾート施設と観光産業が育ったこと。バカンス法の裏付けによる多くの人々が観光地に殺到したのであります。
 一九八〇年代のアメリカ経済においても、バブル経済崩壊後、極めて深刻な経済不況におちいりました。ジャパンアズナンバーワンの時代で、アメリカ企業の製造業は、転廃業・リストラに迫られ、大量の失業者があふれた。十年後の今、どのようにして再び世界一の経済繁栄を取り戻したのか。脱工業化のうねりの中でアメリカは第三次産業が大きく成長しました。あふれる失業者がサービス産業に吸収され、中でも観光産業はアメリカの主要産業となったことはご承知の通りであります。もちろん、バカンス休暇がアメリカ社会に定着しており、ラスベガスがギャンブルの町から、ファミリーで楽しむ行楽地に脱皮しました。
 日本のリゾート法は、何故失敗したのか。
 全国各地のリゾート施設が、次々に倒産していくのは、不景気と地価の暴落ばかりではありません。土日の休暇の限界性と、高額料金の設定です。最低連続休暇制度(バカンス法)を制定しない限り、全国各地のリゾート施設の復活はありえないと思います。地域では、土日産業のみでは、経営が成り立ちません。平常日の旅行客を待ち望んでいます。私がこの十年間来バカンス法の成立を訴え続けている理由は紀伊半島の最南端に住んでいて、串本町という町が将来どうなっていくのか、恐怖に近い想いで見つめているからであります。昭和四十年に二万人の町が、国勢調査のたびに大幅に人口減少し、現在一万六千人を切りました。市町村の将来人口の推計では二〇二五年には九千四百二人と推計されております。串本高校の卒業生二百人のうち、地元に就職するのは十人余り、大学進学、就職で都会に行ったまま帰って来ないのであります。
 山林ばかりで平地が全く少ないこの町で生きて行く道は「観光・レジャー・リゾート」と考えておりますが、高速道路がつくのは二十年から三十年後と見込まれます。海・山・川の風光明媚、又温暖に恵まれても、交通不便で産業が育ちません。観光客が来ないからであります。バカンス法が出来て人々も時間的ゆとりが出来て初めて辺地にも自然を求めてこの地に来てくれると期待してやみません。国はバカンス法の制度と同時に、戦略的公共事業として高速道路網の整備に力を入れて欲しいと願ってやみません。
 添付の資料は、愚生がバカンス法の制定を訴えた十年前のものです。現在も変わっておりません。当時、中央省庁では最低連続休暇に労働省が最も反対であったことを記憶しております。
 それぞれの立場でメリット、デメリットを主張しておりました。しかし、総論としてバカンス法制定の時期が来たのではないかと考えます。小渕首相・クリントン大統領会談で、日本がアメリカから求められている景気対策の柱の一つにバカンス法の制定が成ると思われるのであります。つまり、小渕首相の緊急経済対策の他に追加措置の一つとして考えて戴きたいのであります。
 政府が策定中の「生活空間倍増戦略プラン」が単に住居を広く大きくする考え方にプラスして、時間空間や、心にゆとりを持ってバカンス法に結びつけたいものです。
 「産業再生計画」にも、アメリカのようにサービス産業の育成と雇用の増大の視点からもバカンス法を制定して欲しい。
 更に、「地域戦略プラン」にも、地域のサービス産業興しを積極的に展開する為にもバカンス法の制定を訴えるものであります。又、そのことが地域の自立の促進となり、ひいては地域の活力の創出に繋がるからであります。
 とにかく、人の流動化を促すには、「金と時間」が必要です。国民はすでに蓄えは充分にあり、残るのは時間を与えることにあります。バカンス法の制定で「政府の財政支出」はゼロであります。欧米では労働者にバカンスボーナスを出している企業が多いのは休暇が与える労働者のリフレッシュが目に見えるからであります。先進国の歩んだバカンスが、日本にも着実に根づくものと確信を持って提言させて戴きます。バカンス法の制定により、二十一世紀は必ず新しい日本社会が生まれます。長時間のお目どおし誠にありがとうございました。
提言は、以上であります。
私の提言を受けて、早速平成十年十月九日付で、経済戦略会議事務局長・三宅純一氏からサイン入りで回答を受けました。
 この度は経済戦略会議にご提言を賜り誠にありがとうございました。
 先生が長年訴えて来られた、バカンス法制定につきましては、事務局としても真摯に受け止め経済戦略会議の委員にも何等かの形でお伝え出来ればと思います。併せてご提案されている戦略的公共事業に関しましても、今後の会議の中で議論されることになろうかと思います。改めて、ご提言に対して御礼申し上げるとともにますますのご健勝をお祈り申し上げます。
 新しい需要の創出、新しい消費を喚起するには、新しい制度、新しいシステムが求められます。そのため、既存の制度への打撃はある程度我慢しなければ変革は起こり得ないのであります。現状のように、減税や公共投資の積み増しには限界があります。国民はさらに貯蓄に力を入れ、消費に回らないと私は思います。欧米先進諸国のように、生活にゆとりと潤いを優先する国は成熟社会に向かいつつあり、際限のない右肩上がりの経済成長を夢見てなりふり構わない日本は、いつしか生活の質において先進諸国に大きくおくれる結果が出るものと思われます。多分、先進諸外国から、労働者にバカンスを与えない日本はアンフェアと指摘されることになろうかと思う者の一人であります。つまり、今がバカンス法制定のチャンスであります。バカンス法制定について知事のご所見を承りたいのであります。
 次に、国道四十二号線田辺・新宮間の直線化促進についてであります。
 近年の和歌山県は、全国版となる経済面、社会面、政治面の暗いニュースが続き過ぎました。加えて、戦後最大と言われる不況の重圧で県内産業経済活動も元気を失っております。それに加えて台風や火災、事故が追い打ちをかけ、県民は沈みがちであると言えます。知事にとっては受難の日々であることでありましょう。しかし、国際交流面で、アジア、オセアニア十三カ国の二千人を超えるアジアこどもフェスティバルやスペインのサンティアゴへの道と熊野古道の姉妹提携など、楽しい話題もありました。ビッグホエールに並んで和歌山ビッグ愛の完成や県立医大の移転など、県民の健康と福祉の拠点が次々と整備され、地域の景観も大きく変貌しつつあります。社会資本の充実という面で、道路基盤の整備が著しく進んでまいりました。例えば国道三百十一号中辺路・本宮間が完成し、十二月十八日に開通式が行われますが、これは本県にとって画期的な成果であります。本県総合交通体系整備の一段の前進であり、地域住民にとってこれほど明るく、うれしいニュースはありません。知事初め当局の皆さんのご努力に、心から敬意を表したいと思う次第であります。南紀熊野体験博成功への強力なインパクトになります。
 京奈和自動車道の橋本地区起工、紀淡連絡道の全総への明記、県管理の主要国道への整備はここ三、四年来急速に進められ、主要県道の整備とともに県下の道路事情は格段によくなってまいりました。まさに、「道路の西口知事」と申せるのであります。この道路整備の勢いをさらに加速していただきたいのであります。
 目下、大都市選出の国会議員が大都市のインフラ整備を訴え、地方の道路整備に、もう予算は要らないとするネガティブキャンペーンを張り、建設省も困惑いたしておるようでありますが、西口知事の新聞投稿は各府県知事の共感を呼んだと聞いております。大変心強く思っている一人であります。
 さて、本題に入ります。
 昨年六月本会議において、国道四十二号田辺・新宮間の直線化を訴えました。なかんずく、日置川大橋・白浜町袋間のバイパスの開設であります。紀南のうちでも最南端に位置する日置川町、すさみ町、串本町、古座町、古座川町、太地町は、人口減少と高齢化、低所得にあえいでいると言っても過言ではありますまい。原因が交通網の整備のおくれにあることは、ご承知のとおりであります。一方、田辺市に隣接し、交通網の整ってきた上富田町、白浜町は人口も増加し、所得も向上してまいりました。国道四十二号線の交通の最も難所は、ご存じのとおり日置川・白浜間であります。この間十五キロメートルです。トンネル等でバイパス化すれば約十キロメートルとなり、七、八分の短縮が可能であります。知事に早急に整備を図ってくれるようにお願いいたしましたところ、知事より、地域にとって最も整備効果のあるバイパス計画を検討していくことが必要と考えており、私も先頭に立って早期整備を、具体的な手法をも含め国に強く働きかけてまいりたいと、力強い答弁をいただきました。そして先日、近畿地方建設局長に会った際、お願いをしてきましたとご報告をいただきまして、大変うれしく存じている次第であります。
 しかし、物事には、光が当たれば必ず陰りが生じます。今、紀南の海岸部六町に新たな危機感が生じてまいりました。国道三百十一号線の全通はまことに喜ばしいことではありますが、本宮、新宮へのメーンルートとなり、国道四十二号沿線の観光客が激減し、経済的な打撃が予測されます、と近畿地建の幹部が漏らされ、事実、白浜のホテルに対するエージェントからの企画も、白浜経由本宮ルートが打ち出されてきているとお聞きします。カーブ、カーブの連続で、車に酔うバスの客のクレームで国道四十二号線はさらに敬遠されることでありましょう。
 紀南沿線六町の連合自治会長は、昨年九月、沿線住民三万人余りの直線化要望署名を集め、近畿地建に訴えました。国道四十二号(田辺・新宮)改良促進協議会の会長は下川議長であります。この実態をるる述べられました。要望を受けてくれた近畿地建道路部長は、要望はよくわかりました、早速検討いたしますと答え、さらに、私は建設省に長く勤めておりますが、連合自治会長さんが中心になって地建に陳情されたことは初めてのケースです、大都市インフラ整備の声の高くなった昨今、皆さん地域の方々がどんなに道路整備を待ち望んでいるかがよくわかり心強く、本省に報告しますと回答がありました。
 現在、県管理の国道の整備は著しく進展していると思われます。国直轄の国道四十二号線の整備も県管理に移行し、地方分権委員会の第五次勧告の公共事業のあり方、直轄管理区間の基準を緩めていただき、知事管理にしてほしいと願うものであります。このままでは、紀南に暮らす住民にとって、紀南切り捨てそのものであります。現状をお踏まえいただきまして、日置川・白浜間四十二号線の整備の見通しについて知事にお伺いいたしたいのであります。
 なお、近畿自動車道紀勢線の南伸の見込みについて、近く国幹審があると伺いますが、土木部長にお尋ねいたします。
 次に、パヤオ漁業の振興について。
 さて、ご承知のとおり、ことしは異常気象のせいで水産漁獲量が急激に落ち込んでおります。串本漁業協同組合の話では、例年の売上高が約二十億円あるそうですが、ことしは、このまま推移すると十五億円ぐらいになるのではないかとのことです。カツオ漁が例年の五分の一、イセエビ漁も大きく落ち込んでいる、にもかかわらず不況で価格が安い、水産物の輸入増大も魚価の足を引っ張っている。ダブルパンチに見舞われているのであります。漁業資源の枯渇現象が県下全域で指摘されておりますが、県当局としてこの現状にどう対応されようとしているのか、農林水産部長のご意見を伺いたいのであります。
 一本釣り漁業の振興に大きな成果を上げているパヤオ漁については、既に同僚議員の大沢広太郎さんが昨年十二月議会において一般質問を行っております。改めて説明しますと、パヤオ漁はフィリピンの語源で、竹のいかだを浮かし、海底のいかりで固定すると、その下に魚が集まり、それを一本釣りする。戦後、各府県や本県も多く試みられました。しかし、台風や船に当てられて流されてしまうケースが多く、今や竹の浮き魚礁は全く見られなくなりました。
 沖縄県で開発された先端漁業とも言えるパヤオ漁は、台風や船による損失を防ぐため、水面下三十から五十メートルのところの中層に設置するもので、沖合約三十キロメートルの大陸棚の直下千五百メートルの海底にいかりを入れ、ロープで固定します。現在は改良がさらに進められ、直径約五十センチメートルの樹脂の浮きを百個ほど詰めたかご──つまり直径約二メートル、長さ二十メートルの円筒形の浮き魚礁であります──球と球との間に小魚がつき、その周りに中型の魚、さらにその外側にカツオ、シイラ、マグロ類が一本釣り漁業者の好漁場となっています。私が視察に参りました糸満漁業協同組合の話では、現在十二基設置され、もはやパヤオなしの漁業は考えられないと申しておりました。沖縄県全体では約二百基設置され、集魚状況は約三分の一強、つまり三基入れて一基に魚がつく状況です。
 現在、パヤオ漁は鹿児島県から宮崎県に広がり、高知県と三重県も設置を始めました。黒潮の流れる和歌山県は必ずよい漁場ができるだろうと申しておりました。一基、約三百万円から四百万円。これまでも県は魚礁の設置に力を入れ、多くのブロックを投入してくれました。漁民も、そのことは評価をいたしております。それでもなお漁業者の高齢化が進み、後継者は育たず、平均年齢六十三歳と聞きます。懐も豊かにならず、十年後は一体どうなっているのか考えますと、大変心細く感じる次第であります。
 私は、漁業者のために何とか現金収入をふやす方法がないものかと考え、和歌山県もこのパヤオ漁業の振興に努めてほしいのであります。パヤオという漁業基盤の整備に力を入れていただきたいのであります。県が全額負担でなく、例えば県二分の一、市町村四分の一、組合四分の一という姿で、管理は地元漁業組合が行う、できれば来年度はモデルを設置町に十基程度設置する、その成果を見て順次県下に広げる。漁業にパヤオという基盤投資をすることは、一つの産業興しであります。漁業の将来に夢を与えてやっていただきたいと願う次第であります。
 申すまでもなく、和歌山県は海洋県であります。この豊かな海洋資源を活用することが本県が生きていく道の一つであります。農林水産部長の積極的なご答弁を期待いたします。
 次に、大島架橋と島内開発についてであります。
 串本町大島の大島架橋が着々と進んでまいりました。来る十二月十九日にアーチリブ閉合式が行われる予定であります。西口知事の強い意向で前倒しで工事が進められておりますこと、まことに感謝にたえません。来年秋の完成予定をできるだけ早め、南紀熊野体験博の期間に間に合わせ、串本町大島を全国にPRしたいとのご配慮に、串本町民を代表いたしましてお礼を申し上げます。
 半弓のアーチリブが弧を描いて島をまたぐ姿は一つの点景であり、車道部が来年秋に完成すると必ず観光の名所になると思われます。十余年の歳月と百億円余の公共投資によりまして、島民千七百余人の産業・経済・文化の諸活動の大きな向上が期待できます。何よりも、台風時や夜間などの緊急時の不安が解消されることは、島民にとって大きな喜びであります。夢のかけ橋で不可能のことのように思われていたことが大きく見えてまいりました。もちろん、島民ばかりではありません。串本町にとっても大きな喜びであり、期待を込めて完成を待ち望んでいる次第であります。
 現在、町の人口減少が著しく、前回の国勢調査では約千人減少したのであります。この傾向は、今もなお続いております。地場産業を興し、雇用の増大に躍起となっております。そこで期待されるのが観光・リゾート産業の振興であり、大島が観光開発の拠点とならないかということであります。
 前土木部長から尋ねられたことがありました。「建設省から聞かれており、大島架橋で百億円余の投資を行うが、一体経済効果はどのくらい上がるのか。具体的に、島内にどんな観光プロジェクトがあり、観光客は何倍になるのか」と。さすがに建設省だと思いました。前部長と話し合いましたが、例えば能登半島の架橋前の観光客が約十万人、架橋後十年で百万人を超える伸び方であったこと、その成功の原因は県が積極的に観光開発を行ったこと。例えば、県が大規模な公園を造成し、その中にガラス工芸館を建て、壮大な県営海釣り公園や駐車場を整備しました。能登町はオートキャンプ場をつくり、民間業者によるゴルフ場もつくっております。何よりも高速道路の整備で関東圏からも三時間半で来られることもあって、民宿やペンションも百戸を超える状況になっていると伺いました。串本大島も、かくありたいと願う一人であります。
 大島の開発には、県も力を入れてくれております。一昨年にはトルコ記念館と日米修好記念館の修復に多額の補助をいただきました。目下、樫野灯台やトルコ記念館の周辺の公園整備に乗り出し、また白野漁港の海水浴場の整備計画にもお力添えをいただいているところであります。しかし、現状のままの集客施設のみで観光客に満足していただけるのか、人気スポットになるのかと問われますと、私には自信がございません。大きな問題点もあります。島内に大型駐車場がないことであります。開通までに間に合うのかどうか。駐車場のないところはだめというのがエージェントの指摘であります。土木部長の見通しをお伺いいたします。
 プラス思考で考えますと、串本町にはキテクランド構想があり、魅力のある構想も多々あります。町づくり企画集団である里造都クラブにはミニトルコ公国構想もあり、キャンペーン活動を続けておりますが、不況のあらしで民間企業も乗り出してくれないのが実情であります。
 先般、地元の方々から要請を受けました。京都大学植物実験所をもっと観光客の喜ぶ亜熱帯植物園にし、マンゴなどトロピカルフルーツ等を栽培してほしい、美しい花も育ててほしい。昭和十二年に京都大学により要請があり、約十二ヘクタールの町有地を寄附して建設していただいたが、現在では荒れ果てて何の役にも立っていない。平成六年五月には大島区長、須江区長、樫野区長が連名で京都大学総長に要望書を出された。大学の今後の方針を示していただくとともに、できればもとに戻してほしい。地元では深刻な悩みであります。さらに、県立の昆虫館をこの大島につくってほしい。大阪府箕面市にある府立昆虫館を見てまいりましたが、県内の昆虫、亜熱帯の昆虫を多く集めて、生きたまま、または標本にして展示すれば大きな集客装置になると要望されました。これらの提案、要望を踏まえ、今後の大島の振興策について企画部長のご答弁を承りたい。
 文部省が来年度から全国三十カ所に計画している子ども長期自然体験村については、本県はどのように取り組んでおられるのか、あわせてお伺いします。その他、フラワーアイランド構想など多々ありますが、県に頼るばかりではなく、町も地元住民もともに知恵を絞り、自然を大切にした観光の拠点づくりを図らねばならないことは当然であります。新串本町長は、観光立町に意欲的であります。県の温かいご支援を賜りたいのであります。
 次に、マルチメディアについて。
 参議院議員補欠選挙で世耕弘成議員はマルチメディアを推進すると公約し、新時代感を呼び起こしました。二十一世紀が目睫に迫っており、今日の目覚ましい情報通信技術の進展により我々の生活の隅々までその恩恵が広がっており、まさに二十一世紀は「情報化の世紀」と呼べなくはないとも考えます。産業規模をとりましても、郵政省の情報通信二十一世紀ビジョンによりますと、情報通信産業の動向を二〇一〇年に百二十五兆円産業となるだろうと想定しております。これでいきますと、本県においても約〇・九%、約一兆円の規模の生産があるべきと期待されます。しかし、現状から見て、本県の情報通信産業にそのような状況が生まれるとは思えないのでありますが、いかがでありましょうか。そこで、やはり情報産業の育成を図る必要があると考えるものであります。そのためには、それを誘導する政策の実施が必要ではないでしょうか。
 本年十月二十一日、総務委員会におきましては、岐阜県大垣市にあるソフトピアジャパンと大垣市情報工房を視察してまいりました。ソフトピアジャパンは平成八年六月にオープンしておりますが、その目指すところは、高度情報通信システムの活用による生産性の高い人間ネットワークの形成にあります。そして、これを実現するため、情報サービス提供機能、情報交流・啓発機能、人材育成・教育研修機能、研修開発支援機能を盛り込んでいるわけでありますが、これを四つの理念であらわしますと、二十一世紀産業団地、地域情報化中核センターの野望、人材育成、グローバル、ボーダーレス社会に向けての備えとなるそうであります。その結果実現されているものは、起業を試みる人たちなどによるインキュベートルームでの新規事業化への取り組みであったり、慶応義塾大学ソフトピア共同研究室や岐阜大学ソフトピア共同研究室などにおける地元企業との産学共同研究室であったり、情報関連企業のソフトピアジャパンとその周辺への立地であったりするわけであります。また、地域の情報化を進める施設としての機能として、マルチメディア体感シアターなど情報化体験とデータベースサービスなど、情報化への理解を助ける施設となっておるそうです。建物も衛星機能通信を完備しており、衛星利用のテレビ会議も可能で、オープニングにはマレーシア、アトランタとの交信も行われたと聞いております。
 視察後、感じましたことは、これを立ち上げた県職員たちが理想に燃えて米国シリコンバレーに積極的に通い、アメリカの水準を具現しているだけに、相当進んだ施設と思われました。世界の工業国の中でオーストラリアは、基礎産業や製造業のプロセスを歩まず、いきなり公害の少ない先端産業化を達成したと言われております。つまり、後発のメリットを最大限に展開したのであります。今後、このような情報産業を育成支援する情報センターを建設する等の施策展開をなされる考えのありやなしやを、和歌山県情報システム推進委員会の会長であります副知事のご答弁を求めるものであります。
 最後になりましたが、カレーライス砒素混入事件について。
 本日の全国紙の朝刊一面は、全面が毒物カレー逮捕記事でありました。本年七月二十五日、和歌山市園部第十四自治会の夏祭り会場において準備されたカレーライスに砒素という猛毒が混入された事件は、小学生を含む四人のとうとい命が奪われ、六十三名の方が今も通院されるなど、大変な被害に遭われたわけであります。まずもって、お亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈りいたしますとともに、入院・通院の被害に遭われました皆様方に心からお見舞い申し上げる次第でございます。
 さて、この事件では、県警察本部におかれましては、事件発生の直後から捜査本部を設置し、全国民が注目する中、困難と言われる毒物事件の全容解明に向け、多数の捜査員を投入して懸命の捜査を展開していただきました。これまでに、毒物事件のその捜査過程で発覚した保険金目当ての殺人未遂事件を検挙するなど、着実な捜査を進められ、昨日は、一連の保険金疑惑の延長線上にあったカレー事件の容疑者を見事なまでに逮捕していただいたわけであります。捜査員の皆さんは、用水路に入っての泥だらけの検証を含め、事件解決に至るまではと休日を返上し、早朝から深夜までといった厳しい捜査に従事され、また県内すべての警察署におかれても多忙な日常業務を処理する一方で、この種事件の再発防止に向けて、お祭り会場の警備やスーパー、コンビニなどといった食品販売店の訪問活動などを継続して従事されたやに伺っております。
 警察の捜査というものは、マスコミ情報とは異なり、今後の公判廷をも視野に入れ、なかなか事件の途中経過を発表しづらいと伺っております。このようなことから、昨日、一昨日と行った同僚議員の一般質問も、あえてこの事件に関する質問を避けたところでありますが、昨日の本犯カレー事件被疑者の逮捕を機会に警察本部長にお伺いいたします。捜査上支障のない範囲内で結構でありますので、次の点にお答えいただきたいと思います。
 一点目、警察のこれまでの捜査概要について、二点目、ご苦労した点、三点目、この事件を教訓とした今後の取り組みについてであります。
 以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 堀本議員にお答えをいたします。
 バカンス法の制定につきましては、私もかねてより堀本議員からお伺いをしておったところでありますけれども、平成元年以降、毎年県独自での政府要望を行うとともに、全国リゾート地域整備推進協議会等、全国的な取り組みとして国に対して要望してきたところでございます。先ごろ、国民の祝日に関する法律の改正によりまして、三連休ではありますが、連続休暇が実現をしたところでございます。
 議員ご提案のバカンス法の制定は、ゆとりと潤いのある生活の実現、新たな消費を喚起することによる地域経済の活性化等にとって有効な手段であると考えてございます。しかしながら、日本版バカンス法の制定につきましては、国民的理解に基づいた労使の合意形成、既存制度への影響、国における各省庁等の調整の問題など、難しい問題も残されてございますので、今後とも引き続き国に対して働きかけてまいりたいと考えております。
 次に国道四十二号の日置川町から白浜町の間につきましては、かねてより議員を初め地元の関係の方々から早期整備の強いご要望を承っているところでございまして、私自身も国に強く働きかけてまいったところでございます。国におきましても、防災対策上整備が必要な区間として位置づけて、調査の精度が高められておるところでございます。
 一方、これと並行して近畿自動車道紀勢線の白浜・すさみ間につきましても、都市計画決定の準備を進めておるわけでございまして、早期整備に向けて努力をしております。今後、相互の役割分担といいますか、整備のあり方等についてさらに検討していく必要があろうと思いますので、前向きに進めてまいりたいと考えてございます。
 今後、議員を初め県議会の皆様方にもご協力をいただきながら、近畿自動車道紀勢線とともに、国道四十二号の日置川・白浜間の早期整備を一層強く国に訴えてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 副知事山下 茂君。
  〔山下 茂君、登壇〕
○副知事(山下 茂君) マルチメディアの振興等につきまして、私からお答えをさせていただきます。
 情報化につきましては、本年二月に策定した県の長期総合計画において、「新時代」を拓く戦略的構想の中にマルチメディアを含む高度情報化社会の形成促進を位置づけ、重要な施策の一つとしてございます。
 また、情報通信産業の将来性につきましては、議員お話しのとおり、その将来の発展が予測されているところでございまして、情報サービス産業の育成・振興は本県産業の高度化のためにも大変重要なことと認識をいたしております。
 現在、頭脳立地法に基づいて設立された株式会社和歌山リサーチラボにおきまして、高度情報化を担う人材育成事業等を実施しており、また県産業情報センターにおいては、産業の高度情報化等を推進するため、情報技術に関する指導相談を実施いたしております。
 国におきましては、新産業の創出に向けた取り組みを支援するために、地域における研究開発から事業化まで一貫した総合的支援体制を整備する法案が今国会で審議をされているところでございます。県といたしましても、組織横断的に引き続き情報技術の高度化などに対応できる人材の育成・確保に取り組むとともに、地域産業資源を有効に活用して、情報通信関連分野など、新事業の創出を促進する総合的な支援体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
 また、今後、高度情報化を進めるためには、長期総合計画に盛り込んでおりますように、基幹的な情報センター機能の強化に努める必要があるというふうに考えてございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) まず、国道四十二号田辺・新宮間の直線化の問題のうち、近畿自動車道紀勢線の南伸の見込みについてお答えいたします。
 近畿自動車道紀勢線につきましては、このたび事業中区間の地元交渉が進みまして、先般、御坊・南部間の起工式並びに南部・田辺間の中心くい打ち式がとり行われたところでございます。現在、日本道路公団、県、関係市町村が一体となりまして、事業の進捗に向けて地元調整に努めているところでございます。今後とも、早期供用に向け、事業予算の増額を日本道路公団に対し積極的に働きかけてまいります。
 また、日本道路公団が調査中の田辺・白浜間につきましても、施行命令が早い機会に受けられるよう、一層努力してまいります。
 基本計画区間の白浜・すさみ間につきましては、現在実施中の調査が整い次第、都市計画決定の手続に入りたいと考えております。
 残る、すさみから一部事業中の那智勝浦道路の間につきましても、基本計画から整備計画への格上げを引き続き国に対して要望してまいります。
 次に、大島架橋と島内開発についての問題のうち、大型駐車場の造成の見込みについてでございます。
 大島架橋が開通いたしますと、島内に入り込む交通量がふえ、特に県道樫野串本線の終点付近で交通混雑が予想されます。こうしたことから、大型バス等の回転場を兼ねた駐車場を県と町で整備することにしておりまして、この用地を確保するめどがつきましたので、開通までに完成できるように努力してまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長尾崎武久君。
  〔尾崎武久君、登壇〕
○農林水産部長(尾崎武久君) 堀本議員ご質問の、パヤオ漁業の振興についての二点にお答え申し上げます。
 まず、水揚げ不振と輸入魚介の増大に伴う県下の漁業不振についてでございます。
 県といたしましては、水産業の振興を図るため、人工種苗の放流等を行う栽培漁業の推進を初め、種々の魚礁設置、増殖場造成や養殖漁業などのつくり育てる漁業に取り組むとともに、漁業者による適切な管理のもと、水産資源の持続的かつ高度な利用を図る資源管理型漁業を推進しているところでございます。
 しかし、近年、漁業経営は厳しい状況が続いており、とりわけことしは海水温の高い状況が周年にわたるなど、異常気象による漁獲量の減少や不況の深刻化等による魚価の低迷に伴い、漁獲金額の落ち込みが懸念されているところでございます。こうした状況に対応するため、不漁等による漁業収入の損失を補てんする漁獲共済制度への加入をさらに促進し、漁業経営の安定を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、パヤオ漁業の振興についてでございます。
 浮き魚礁につきましては、本県でも昭和五十六年度から六十一年度にかけて、紀伊水道及び熊野灘海域に表層式浮き魚礁いわゆるパヤオを設置し、効果を上げておりましたが、構造上、耐久性に問題があり、継続的な利用ができなかった経緯がございます。
 昨今、浮き魚礁に対する漁業者の関心が高まってきており、本年十月に漁業者、市町村、県による浮き魚礁に関する検討会を開催し、耐久性にすぐれた中層式浮き魚礁について種々検討しているところでございます。しかしながら、設置につきましては、有効性の実証や施設の設置場所、利用方法等、解決しなければならない課題も多くありますので、試験的な設置の検討をも含め、関係者と協議しつつ、ひき縄釣り漁業等の沖合漁場開発に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○企画部長(中村協二君) 大島架橋と島内開発についてのご質問のうち、島内の観光資源の活用と開発整備等についてお答えを申し上げます。
 島民の福祉の増進や産業、観光振興に資するための大島架橋が来年秋に完成の予定であり、今後の南紀の地域振興にとって重要な役割を担うものと期待されております。
 地元串本町においては、大島の振興策として、既存施設の積極的な活用を図り、恵まれた自然環境や貴重な歴史文化資源を最大限に生かした施策を推進することにより、島全体をリゾート空間とする紀伊大島開発構想が計画されております。県といたしましても、島内産業の活性化及び観光・リゾート振興を目指した魅力ある地域整備への取り組みに対し、可能な限りの支援をしてまいりたいと考えております。
 京都大学亜熱帯植物実験所のこれまでの経緯につきましては、県としても承知をし、憂慮しているところでございます。
 また、亜熱帯植物園や昆虫館を建設してはどうかということにつきましては、今後の大島の振興策に対するご提案として受けとめさせていただきたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 子ども長期自然体験村についてお答えいたします。
 小学生や中学生たちが互いに寝食をともにしながら自然体験や勤労体験、またスポーツ・レクリエーション活動をすることは、思いやりの心をはぐくみ、自主性や社会性を身につけるなど、生きる力を培う上で極めて大切であります。文部省が平成十一年度に計画している子ども長期自然体験村の事業につきましては、こうした観点からも大変意義深いものであると考えてございます。国においては、現在、事業の実施方法等についてさらに検討を進めている状況であると聞いております。
 今後、計画がより具体的になった段階で、文部省とも十分協議するとともに関係部局と連携を図りながら、この事業の趣旨等について地域の青少年団体や施設などに周知し、取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 警察本部長米田 壯君。
  〔米田 壯君、登壇〕
○警察本部長(米田 壯君) 堀本議員のご質問にお答えをいたします。
 まずその前に、園部におけるカレー毒物混入事件につきましては、昨日被疑者を逮捕したところでありますが、発生以来、議員各位を初め多くの県民の皆様に大変ご心配をおかけするとともに、捜査に多大のご協力をいただいたことに対しまして、厚く御礼を申し上げる次第であります。引き続き詰めの捜査を進めていかなければならないわけであり、情勢は非常に厳しいものがありますが、事件の全容解明に当たっていきたいと考えております。
 ご質問の、第一点目の捜査の経過についてであります。
 七月二十五日夕刻に本事件が発生し、翌二十六日の早朝、毒物混入の疑いがあるという判断から直ちに和歌山東警察署に捜査本部を設置して、自治会関係者や現場周辺の聞き込み、毒物取扱関係者の捜査を進めてまいりました。その結果、現場周辺の聞き込みから、被疑者夫婦は仕事もしないのに生活も派手で保険金で生活をしているようである、さらに被疑者宅に出入りしている者がよく病気になり入院しているなどの情報を入手いたしました。このため、カレー毒物混入事件の捜査と並行してこの被疑者夫婦に対する捜査を進めた結果、被疑者方に出入りしていた三十六歳の男性が砒素を使用した保険金目的の殺人未遂の被害者となっていることを確認いたしましたので、十月四日、この同夫婦を逮捕したものであります。その後も、飲食物に砒素を混入し、摂取させる殺人未遂事件や高額の保険金詐欺事件等も判明し、これらを順次解明していったところであります。
 一方、カレー毒物混入事件につきましては、発生以来、現場周辺の聞き込み、毒物取扱業者等に対する捜査を徹底して行い、拘留中の被疑者の犯行であるということを確認いたしましたので、昨日、カレー毒物混入事件の被疑者として逮捕したものであります。
 第二点目の、苦労した点についてであります。
 被害者及び関係者が多数に上り、その範囲も東京から四国、九州までの広範囲に及ぶなど相当の日数を要したことや、また全国的にもまれな毒物を使用した犯行であり、その立証等については特に慎重な対応が要求されたところであります。
 さらに、特異・凶悪事件で全国民から特に注目をされた中での捜査であり、一日も早い解決を望む声にこたえるため、休日を返上し、深夜に及ぶ捜査を進めていた中で、捜査本部の中核として捜査指揮をとっていた故村井警視が過労で殉職するという悲しい出来事も発生をいたしました。その遺志に報いるためにも、県警察を挙げて捜査員が一丸となり早期解決を目指す中で、証を得て人を求める捜査の基本に徹し、着実に捜査を進めてきたものであります。
 第三点目の、今後の対策についてであります。
 突発重要事件等の発生に適切に対応するために、日ごろから柔軟で強力な組織づくりを行うとともに、必要な装備資機材等の整備も行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 21番堀本隆男君。
○堀本隆男君 ただいま警察本部から答弁がありましたが、今回の事件は、治安の安定、平穏な生活を願う和歌山県民はもとより、全国民を震撼させた事件でありますだけに、捜査に従事していただいた方々も大変ご苦労なさったことと思います。県民を代表してお礼を申し上げますとともに、今後もなお一層県民が安心して生活できる社会づくりに貢献されますよう、お願いいたします。これは要望とさせていただきます。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。

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