平成10年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(尾崎要二議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時三分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(下川俊樹君) この際、報告いたします。
 知事から、追加議案の提出がありました。
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                     財第167号
                     平成10年12月8日
 和歌山県議会議長  下 川 俊 樹 殿
              和歌山県知事  西 口   勇
   和歌山県議会平成10年12月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、下記のとおり提出します。
               記
 議案第172号  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第173号  教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第174号  市町村立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
 議案第175号  警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
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  【日程第一 議案第百七十二号から議案第百七十五号まで】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、ただいま報告の議案第百七十二号から議案第百七十五号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明申し上げます。
 議案第百七十二号から百七十五号は職員等の給与改定に伴う関係条例の改正であり、去る十月十二日に出された県人事委員会勧告を受けて本年四月一日から給与改定を実施するために所要の措置を講じるものであります。
 なお、給与改定に伴う所要の経費につきましては、既定の予算で対応することとしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(下川俊樹君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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  【日程第二 議案第百四十八号から議案第百七十一号まで、及び報第四号】
  【日程第三 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第二、議案第百四十八号から議案第百七十一号まで、及び知事専決処分報告報第四号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 29番尾崎要二君。
  〔尾崎要二君、登壇〕(拍手)
○尾崎要二君 師走を迎えて、何かと気ぜわしくなってまいりました。
 この一年を振り返ってみますと、本県にとって大変厳しく、また暗い事柄が多い一年であったと思います。長引く不況の中、昨年の阪和銀行の倒産に続いて、建設業では、本県唯一の上場企業でありました浅川組がバブル当時の影響を受けて会社更生法の適用を申請し、先般、裁判所において法の適用が認められたところであります。一方、新婚早々の教員が、同じく教員をしておりました妻を殺害したことや、全国的に大きなショックを与えた園部の毒物混入事件においても四名の犠牲者を出し、残る方々も砒素の影響について今も心配しておられることなど、許しがたい凶悪事件が発生し、暗いニュースが続いております。事件の一刻も早い全面解決のため、捜査当局のなお一層の奮闘を願うものであります。
 また、政界においても市民の信頼を裏切るような事件が発生しておりますことは、まことに残念でなりません。このような流れを断ち切り、政治、行政の信頼を取り戻し、明るく、素朴で、人情の厚い温かみのある和歌山の姿に一刻も早く戻るために、不況対策や治安の維持に全力で取り組んでいかなければならないと痛感しているところであります。
 先日、ガット・ウルグアイ・ラウンド対策の議員連盟の役員の皆さんやJAの方、南紀熊野体験博のキャンペーンガールの協力を得て、新大阪駅において「和歌山」とネームの入ったはっぴを着て、ミカンの消費拡大キャンペーンを行ってまいりました。そのときにも県外の方より、和歌山さんか、いろいろあるけど頑張ってやと、何人もの人に温かい声をかけていただいたことをこの議場で皆さんに報告をさせていただきたいと思います。
 長い不況のトンネルから抜け出すため、景気回復への対応について、政治、行政、民間と、それぞれ懸命の努力をしているところでありますが、いま少し冷静に考えなければならない時期に来ているのではないかと考えます。バブル全盛期には、右肩上がりの景気はいつまでも続くと国じゅうが信じ、経済のプロである銀行ですら見通しを誤り、手痛いしっぺ返しを食らったわけであります。土地神話も、しかりであります。
 また、その反対に最近では、国においてどんな政策を打ち出しても、その翌日のマスコミの論調で、効果が出にくいと盛んに説明することがあるように思われます。それでは、これからどんな努力をしてもずっと景気の低迷が続くのかと聞きたいと思います。日本の総理大臣を選ぶのにわざわざ外国へ人気投票に行くような見識で本当の経済のことがわかるのか、不思議でならないわけであります。景気がよいのも悪いのも、一つの方向にずっと偏って続いてしまうと信じるのが困るのであります。
 堅実な経営方針で知られる城南信用金庫の真壁実会長の話によりますと、バブルの時代には土地神話、株神話に踊り、無節操な融資を拡大、その後の不動産、株式市場の暴落はそのまま多額の不良債権として今の大手都市銀行の体力を弱めている、その結果、手のひらを返したような貸し渋りと資金回収、日本経済のすそ野を支える中小企業は資金繰りに窮して倒産の憂き目に直面している、今の中小企業、個人を中心とした貸し渋り対策を例えて言うなら、晴れた日に傘を差し出していながらどしゃ降りの雨になったらその傘を取り上げるようなものだと述べられております。
 昨年の今ごろまでは、行政においても行財政改革や財政の再建が常に叫ばれておりましたが、いつの間にか急にカーブを描いて、今では景気対策一点張りになっております。しかし、地方財政の危機についても真剣に考えなければならない時期ではないかと考えます。
 九月議会において同僚の小川議員が、県財政は平成九年度決算が形式上黒字となっているが、減債基金の取り崩しを考えれば実質百億円程度の赤字となっていると指摘し、基金に依存した財政運営は継続しがたいのではと質問をしております。税収の落ち込みや交付税の伸び悩みから、平成十年度においてはさらに収支の差が拡大し、新たな財源の手当てが不可欠になり、平成十一年度では残り三百五十億円の基金をすべて投入してもなお収支差が残り、歳出の一層の削減を余儀なくされていることが予想されております。平成五年度に九百三十億円あった蓄えの基金も年々少なくなり、平成十二年度以降は基金ゼロから予算編成をしなければならないということになり、一日も早い財政構造の改革に本格的に着手する必要があると思います。
 そもそも地方財政は、弾力性に欠けており、機動的な財政政策に対応するには不向きなところがございます。国と歩調を合わせ、たび重なる経済対策を講じてきた結果、公債費の重圧で地方財政が厳しくなっているのは周知のとおりであります。厳しい経済情勢から見れば引き続き積極財政が求められていることはそのとおりでありますが、地方財政を必要以上に活用することは、反省も出始めているのではないかと思います。
 県行政は県民の日常生活に直結しており、事業の継続しての可能性について確たる見通しもないまま積極財政を展開させ、あげくの果てには財政を破綻させたのでは、無責任のそしりは免れないと思います。
 来年度予算編成に対して多くの府県が、財政の体力回復に向けて歳出削減に努めることになると予想されております。今こそ、中長期的な視点に立って地方財政のあり方を見直し、行財政改革に本格的に取り組むべきときであると思います。
 豊かな地方自治体の代表であった東京、大阪、愛知、神奈川などでは、法人二税などの税収の大幅な落ち込みにより次々と財政非常事態宣言を行い、歳出の抑制など、行政サービスの低下を余儀なくされております。本県の場合、大都市圏の自治体と比較すれば交付税依存度が高く、かつ景気変動の影響を受けやすい法人関係税収等の割合が低いことから、県税収入の落ち込みによる財政への影響は相対的に見て軽いと思われるが、毎年のように本県においても公債費が増大しており、あすは我が身であると言わざるを得ません。財政再建準用団体への転落というようなことにでもなれば、それこそ県内の景気に大きな影を落とすようなことになりかねないと考えております。
 平成五年度より箱物で見てみますと、和歌山市内分だけの主なもので、ビッグ愛、ビッグホエール、県立図書館、県立美術館、博物館、新医大、附属病院、わかやま館、万葉館、健康館があり、それらの建設費用は総額で一千五百億円かかっており、建設後の管理運営費は毎年二百億円を超える額が必要となり、使用料等を差し引いても県負担額が八十億円かかっていることになります。そして、この建設費に対する起債の償還についても、ピーク時には百億円を超える返済をしなければなりません。これらの予算措置について考えてみますと、財政に対する危機感がよくわかると思います。
 税収増に対しては、企業誘致や新産業の創設などに力を入れることはもとより、庁内においても民間並みのコスト意識の徹底した啓発も必要であろうと思います。
 例えば、十一月十五日付の日経新聞によると、宮城県は、昨年の四月に開校した県立宮城大学をモデルに、新しい公営事業のあり方を探る実験を始めました。税金に頼らない県立大学を目指す試みです。建設費は二百四十億円。行政には減価償却や金利負担という発想がないから、つい経営感覚が鈍くなる、そこで、大学が独自に貸借対照表や学部別の損益計算書を作成してコスト管理を図る、新たな財源を確保するため、会員制シンクタンクを設立して委託研究やコンサルティング業務にも乗り出したとの記事があり、私も強い関心を持っております。
 来春には、県立医大と附属病院が紀三井寺へ全面移転をする予定であります。大学と附属病院の建設に一千億円の予算がかかり、平成九年度においても大学で三十億円、病院で十七億円もの赤字が出ており、規模が大きくなる紀三井寺では、大学と病院で六十六億円近くの赤字が毎年見込まれるとの予想があり、この赤字はすべて県民の税金で穴埋めをされており、新医大においても県立宮城大学のようなコスト意識を持った発想が必要ではないかと指摘をしておきたいと思います。
 既に、平成十一年度政府予算等に関する重点要望についても取りまとめをしておりますので、年末の予算要望については、本県にとって財政的にも政治的にも有利な予算獲得をするため、知事を先頭に県挙げて全力で取り組まなければならないと思います。
 厳しい財政事情の中で、不況対策やおくれている交通体系の整備を初め、産業の育成、高齢者対策等の福祉施策の充実など、喫緊の課題もあり、難しいかじ取りをしなければならないわけであります。知事には、百八万県民の将来のためにここで強力なリーダーシップを発揮していただき、新しい発想で大胆に、改めるは改め、推進すべきは強力に推進すべきであると申し上げたいと思います。平成十一年度予算を編成されるに当たり、知事の基本的なお考えと財政健全化のための具体的なお考えについてお伺いをしたいと思います。
 西口知事は、和歌山県勢の発展のため年間数十回にわたって上京され、大蔵省や建設省など各省庁に対し、予算要望や中央の一極集中の是正と地方分権を訴えておられます。地方の時代と言われて久しくなりますが、国土の均衡ある発展という観点から、一日も早い地方分権の実現を私も願うものであります。
 また、その考えのもとで和歌山県内を眺めてみますと、国と同様、本県においても施設の都市部への集中が著しいことに気づきます。中でも和歌山市への一極集中は激しく、主なものを挙げますと、県立医科大学、同じく附属病院、ビッグホエール、県民交流プラザ和歌山ビッグ愛、県立体育館、県民文化会館、県立図書館、県立近大美術館等々、枚挙にいとまがないのであります。もちろん、これら公共施設の中でも収用能力が問われる施設、例えばビッグホエール、県民文化会館、図書館などの施設については、都市圏である和歌山市に集中することはやむを得ないところもありますが、しかし、例えば消防学校、警察学校、職員研修センター、家畜保健衛生所など、別に都市部になくてもいい施設まで和歌山市に集中しているのであります。それどころか、こういう施設こそ、人口密集地にあるよりも、自然環境に恵まれ、閑静なところに立地した方がはるかに効果も上がり、用地等のコストの低減にもつながると私は確信するものであります。各郡部のバランスある発展のためにも、今後郡部へ移設されるよう提言を申し上げます。
 ところで、行政当局のイメージの中で、和歌山県を三分割すると紀北、紀中、紀南といったような形になるわけでありますが、この三つの地域の中で海南・海草地方は一体どこに含まれるのか、私は日ごろから素朴な疑問を抱いておりました。どうも海草は紀北地方と紀中地方の線上にあるように思われてならないのであります。
 かつて、衆議院選挙の一票に対する人口の格差が問題となり、和歌山一区と二区の格差を是正するため海南・海草地方がその犠牲となり、真っ二つに分断され、海草郡が和歌山一区から二区へと編入された経緯があります。その後、小選挙区制が導入されてから、今度は新二区ということで海南・海草が一緒になっております。海草郡三町の人口二万八千七百三十六人──少ないといえども、そのときそのときの都合で勝手に動かされてはたまったものでないのであります。
 そこで、当局にお尋ねをいたします。
 県下の郡市単位に振興局が設置をされておりますが、唯一地元に振興局が置かれていないのが海草振興局であります。西口知事の配慮により、先般、海草振興局建設部海南工事事務所が海南市へ設置をされました。関係者の多くは、大変便利になったと喜んでおります。しかしながら、道路整備部門の移設がまだ実現していないのであります。このことについても、あわせて答弁をいただきたいと思います。
 県民の県政への各種アンケートを見てみますと、いつもトップに来るのが道路網の整備であります。本県の道路整備の状況は、このたびの政府要望書にもありますが、二車線道路の整備率が全国平均の五一・七%に比べて三七%と大きく立ちおくれており、二十一世紀の本県の将来を考えるとき、産業、経済の発展、観光や過疎、農山村の振興、県民福祉の問題である高齢化や医療、文化活動など、どれをとっても、その基本となる高速道路から県市町村道までの道路整備の促進が県政の最も重要な施策であると言っても過言ではありません。
 本年二月に策定された長期総合計画においても、県内二時間行動圏構想が取り上げられております。しかしながら道路整備、特に地方の道路整備にとって厳しい状況もあります。財政構造改革や地方分権の議論の中で公共事業のあり方についてさまざまな意見が出ており、道路整備は十分であり、これ以上の投資は必要がないといった不見識な意見や、地方の道路は交通量も少なく、都市部に比べて整備効果が小さいので今後は都市部に重点的に投資をすべきだといった大都市の論理が平気で幅をきかせようとしております。しかし、このような議論は、地方の実情を理解しない、都市部の交通機関に恵まれた人たちの言葉であり、私どもは決して容認するわけにいかないのであります。もし、このようなことが少しでも前を向いて進むのであれば地方の負担が増大し、それでなくても財政の厳しい本県の状況では、私どもが日ごろ切実に要望している道路整備が立ち行かなくなるのではないかと強い危機感を持つのであります。今後、国の道路整備の考え方がどのように向いていくのかしっかり把握し、道路の必要性を国に強く働きかけていかなければならないと思います。
 議会においても、最近では、去る八月に東京で開催された和歌山県道路整備促進大会や九月議会での道路特定財源の堅持に関する議会決議など、積極的に取り組みをしております。例えば、私どもが強く改良を願っております国道四十二号の海南・有田間の渋滞対策でありますが、平成元年から今日まで、この十年間において下津町区間六・一キロに対してついた予算がわずか一億七千六百万円であり、有田市区間においても、十一・五キロについた予算が三億六千九百万円であります。下津町、有田市にとって四十二号の渋滞対策は、地域住民の最大の課題であります。根本的な改良、すなわち四車線化、一部バイパスの工事を進めていくのに大きな予算が必要となってまいります。有田市、下津町、海南市、有田郡の行政、議会が集まり、国道四十二号・有田下津海南間整備促進協議会を設立し、近畿地建や上京をして建設省に対して強力な陳情を毎年展開しておるのも、地域住民の悲願であるからであります。幸い、十年度予算で国直接の調査費が、わずかでありますが、計上されております。国道四十二号における海南・有田間の今後の見通しについて、当局の見解を求めたいと思います。
 あわせて、国道三百七十号線であります。平成五年四月一日に県道海南高野線から国道三百七十号線に昇格をしております。国道昇格に対して関係の市や町においてはスクラムを組み、猛烈な国道昇格運動を展開し、県や国、県選出国会議員へ再三足を運び、その実現に努力をしてまいりました。県道から国道へ昇格すれば一気に改良が進むのではと、大きな期待をかけた運動でありました。しかし、現実は厳しいものでありまして、名前は国道になったけれども、予算においては県道当時より少なくなった時期もあり、期待外れであったとの声すら一部には聞こえてまいります。一日も早い二車線化の改良を願い、国道三百七十号線の野上町、美里町における改良についても、今後の見通しをお伺いしたいと思います。
 道路整備にとって予算の確保と同じように大切な点は、事業のスムーズな進捗であります。行政の透明化や住民参加、事業の必要性などについての説明など、今まで以上に努力をお願いすると同時に、用地買収体制の強化とともに、土地収用法の適用についても積極的に検討する必要があると考えます。このことについても当局の見解を承りたいと思います。
 以上で、一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの尾崎要二君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 尾崎議員にお答えをいたします。
 平成十一年度の予算編成に当たっての基本的な考え方と、財政健全化に向けた取り組みに関するお尋ねでございます。
 議員からご指摘がございましたように、景気低迷による税収の落ち込み、あるいは累次の経済対策による公債費などの増大によって、近年、地方財政は極めて著しい収支不均衡に陥っておるわけでございます。
 議員が分析されておりますとおりに、大都市圏とその他の地域とでは、同じく財政危機と申しましても、その要因には若干の相違がございます。本県においても公債費が急激に増大いたしておりますので、一年ほどのタイムラグはあっても、同じような事態に陥るのではないかという危機感を強めているところでございます。
 他方で、現下の経済情勢への対応、あるいは新たな時代に向けた県勢伸長のための基盤整備、県民生活の安定向上など、厳しい財政事情の中であってもゆるがせにできない喫緊の課題が多数ございます。したがいまして、平成十一年度以降の財政運営に当たっては、県政緊要の課題に適切に対応するために可能な限りの施策を講じていきたいと思いますし、将来にわたって地域の政策課題、あるいは新たな行政需要に十分対応できる弾力的な財政構造を実現していくことが極めて重要であると考えてございます。
 そこで、当面する平成十一年度の予算編成におきましては、基金を最大限に活用しながら県政の優先課題を適切に選択して、予算の合理化、効率化と、思い切った重点化を図っていかなければならないと考えてございます。
 また、平成十二年度以降につきましては、議員ご指摘のように基金がだんだんなくなってまいりますので、その枯渇に伴って大幅な歳出削減が不可欠なものだと考えてございます。より抜本的な財政健全化に向けて、あらゆる経費について全庁挙げて施策の根本にまで立ち返った見直しを行い、先ほど例にございました県立宮城大学のようなコスト意識の徹底を図るなどして、行財政改革の具体的な姿を描いていかなければならないと考えてございます。
 いずれにいたしましても、今後の財政運営は極めて困難なものとなってまいりますので、県民の皆さん方にも十分なご理解をいただきながら本県の将来のために全力を尽くしてまいらなければならないと考えておりますので、議員各位のご支援を賜りますようにお願いを申し上げて、答弁にかえたいと思います。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 総務部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 尾崎議員にお答え申し上げます。
 海草振興局の海南・海草地方への移転についてと、海南工事事務所内への道路整備部門の移転についてのご質問であります。
 県といたしましては、平成七年度に策定した行政改革大綱に基づいて、住民に身近な行政は住民に身近なところで迅速に処理できる体制づくりを進めてきたところであります。その一環として、平成九年度には海草福祉事務所を海南市内に移転し、本年度から海草振興局を設置したことにあわせて、海南工事事務所を海南市内に設置したところであります。
 海草振興局を海南・海草地域に移転することに関しましては、住民に身近なところで事務を処理することにより県民サービスが向上するという観点と、行政のスリム化を図っていくという行政効率の観点の両面から検討していく必要があると思います。
 また、海南工事事務所に道路整備の機能を付与することにつきましては、関係部局と十分協議してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 尾崎議員のご質問にお答えいたします。
 まず、国道四十二号海南・有田間の渋滞対策についてでございます。
 当面の対策といたしまして、交差点改良工事等を進めるとともに、抜本的な対策についても早期に具体化するよう国に強く働きかけているところでございます。
 交差点改良工事につきましては、昨年度に下津町小南交差点の改良工事を完成し、今年度は、昨年に引き続き、有田市里交差点及び海南市冷水交差点改良工事の用地買収が進められております。
 また、国道四十二号・有田下津海南間整備促進協議会などの再三の要望の結果、今年度、新たに渋滞対策のための調査費が認められ、増大する交通量を抑制するためのTDM施策──交通需要をマネジメントする、総合的に管理するという施策でございますけれども、これの検討とともに、交通容量の拡大を図る抜本的な対策についても検討が進められると聞いております。
 今後とも、地元の関係の方々のご協力をいただきながら、四車線化の早期具体化を国に強く働きかけてまいります。
 続きまして、国道三百七十号です。
 この国道三百七十号は、県内の広域幹線道路網を形成する、南北三軸東西五軸の一部を形成する幹線道路でございます。現在、美里町の毛原から小西間の拡幅工区では、毛原トンネル本体の着手と毛原上地内の改良工事を地元の皆様のご協力を得ながら進めているところでございます。また美里町とかつらぎ町の境界部では、新城工区の拡幅工事が本年度完了の予定でございます。野上町の小畑から下佐々地区間の整備では、野上鉄道の廃線敷を利用した道路として計画し、現在地籍調査を進めております。今後、この地籍調査が進んでいる下佐々地区から用地買収に入る予定でございますので、地元の皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
 美里町福田地区の整備につきましては、人家連檐地区を避け、左岸バイパスとして小川橋から新白龍橋までの区間約一・六キロメートルの測量調査などを進めておりまして、早期事業着手に向けて努力してまいります。今後、未改良区間についても集中投資を行い、整備促進に努めてまいります。
 三点目の、工事のスムーズな進捗についてでございます。
 事業の進捗を図るためには、議員ご指摘のように、関係住民の方々のご理解、ご協力と、何よりも円滑な用地取得が不可欠なものでございます。このため、地元説明会の開催などを実施しているところでございますけれども、用地買収体制についても、土木部事業用地取得対策指針を制定して強化を図ってきているところでございます。
 今後も引き続き、土地収用法の活用を含め、円滑な事業進捗を図るための方策に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 29番尾崎要二君。
○尾崎要二君 西口知事は、就任以来スリーS、すなわちスピード、シャープ、サービスの三点を掲げて県職員の意識改革を強く訴えてこられております。先ほどもご答弁いただきましたように、あわせてプラス民間並みのコスト意識の徹底もぜひ加えていただくことを強くお願い申し上げたいと思います。
 また、提言ファクス・きのくにホットライン、女性一〇〇人委員会、ふるさとふれあいトークなど、常にアンテナを磨き、県民に対する県政への要望に耳を傾けてこられております。我々政治に携わる者は、常に二つに一つを決断せなければならないことが多いわけであります。そのときに、その決断をするのに、誤りなき決断をしていくためには、やはり常にアンテナを整備して多くの県民の声を聞いておくという姿勢が何よりも大切であろうと思うわけであります。
 そのような中から、知事は県事務所を振興局というような形で改編をされて強化充実してこられたということで、このことは私も大変いい方向というか、大賛成のところであります。そのことがまた各郡部の地域バランスを保っていくことにも必ず寄与するであろうと思うような次第であります。
 そこで、先ほど少し都市部に集中しているという言い方をさせていただきましたので、恐縮でありますけれども、ちょっと改めて数字を申し上げたいと思います。県の行政の本庁、例えば警察で言えば警察本部と、中心が一つしかないものはすべて除いて、また高等学校や警察の交番などは県下各地に適正に配置をされているという考え方を持っておりますので、それらも除いて、また人件費も除いて、そしてそれ以外で、管理運営費だけでどれぐらい各郡市別で違うのかという数字を申し上げてみます。
 例えば各施設の運営管理費は、和歌山市分百四十億円、那賀郡十億円、橋本・伊都地方十億円、有田市・有田郡・御坊市・日高郡二十一億円、田辺・西牟婁四十一億円、新宮・東牟婁十五億円、そして我々の海南・海草地方は二億六千万円であります。こういう管理費、すなわち施設が少ないということではなかろうかなと思ってございます。また、県の職員数を見てみましても、和歌山市で三千二百人、那賀郡で四百四人、橋本・伊都で六百五十人、同じく有田市・有田郡も六百五十、御坊・日高も六百三十、田辺・西牟婁が千名を超え、新宮・東牟婁が五百五十名、海南・海草地方が百三十名でございます。ただ、最近になって、知事の英断により野上町に動物愛護センター、また海南警察署、有田警察署と、それぞれ施設の充実をされていることは大変喜ばしいことでありますけれども、またこれらの地域のバランスが少し崩れているというような点にもなお一層配慮していただきたいということを要望させていただいて、質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎要二君の質問が終了いたしました。

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