平成10年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程   第五号   平成十年九月二十八日(月曜日)
                午前十時開議
  第一 議案第百八号から議案第百三十七号まで(質疑・委員会付託)
  第二 一般質問
  第三 請願付託
会議に付した事件
   一 議案第百八号から議案第百三十七号まで(質疑・委員会付託)
   二 一般質問
   三 請願付託
   四 休会決定の件
出 席 議 員(四十四人)
     1  番    大    沢    広太郎
     2  番    木    下    善    之
     3  番    小    川         武
     4  番    吉    井    和    視
     5  番    下    川    俊    樹
     6  番    井    出    益    弘
     7  番    藁    科    義    清
     9  番    永    井    佑    治
     10  番    新    島         雄
     11  番    向    井    嘉久藏
     12  番    佐    田    頴    一
     13  番    和    田    正    一
     14  番    阪    部    菊    雄
     15  番    西    本    長    弘
     16  番    馬    頭    哲    弥
     17  番    谷         洋    一
     18  番    山    下    直    也
     19  番    高    瀬    勝    助
     20  番    松    本    泰    造
     21  番    堀    本    隆    男
     22  番    宇治田    栄    蔵
     24  番    橋    本         進
     25  番    神    出    政    巳
     26  番    玉    置    公    良
     27  番    上    野    哲    弘
     28  番    東    山    昭    久
     29  番    尾    崎    要    二
     30  番    野見山         海
     31  番    木    下    秀    男
     32  番    町    田         亘
     33  番    中    山         豊
     34  番    井    谷         勲
     35  番    鶴    田    至    弘
     36  番    森         正    樹
     37  番    村    岡    キミ子
     38  番    新    田    和    弘
     40  番    森    本    明    雄
     41  番    長    坂    隆    司
     42  番    冨    安    民    浩
     43  番    飯    田    敬    文
     44  番    中    村    裕    一
     45  番    松    本    貞    次
     46  番    大    江    康    弘
     47  番    和    田    正    人
欠 席 議 員(三人)
     8  番    門         三佐博
     23  番    宗         正    彦
     39  番    平    越    孝    哉
説明のため出席した者
     知 事     西    口         勇
     副知事     山    下         茂
     知事公室長   中    山    次    郎
     総務部長    藤    谷    茂    樹
     企画部長    中    村    協    二
     生活文化部長  大    井         光
     福祉保健部長  小    西         悟
     商工労働部長  上    山    義    彦
     農林水産部長  尾    崎    武    久
     土木部長    長    沢    小太郎
     企業局長    西    浦    昭    人
     教育委員会委員長
             山    本         昭
     教育長     小    関    洋    治
     公安委員会委員 島         正    博
     警察本部長   米    田         壯
     人事委員会委員長
             若    林    弘    澄
     代表監査委員  宮    市    武    彦
     選挙管理委員会委員長
             谷    口    庄    一
     以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
     事務局長    新    谷    哲    朗
     次  長    前         晴    夫
     議事課長    佐    竹    欣    司
     議事課副課長  北垣内         敬
     議事班長    松    谷    秋    男
     議事課主査   川    崎    良    雄
     議事課主事   安    井    伸    彰
     調査課長    湯    川         忠
 (速記担当者)
     議事課主任   吉    川    欽    二
     議事課主査   鎌    田         繁
     議事課主査   中    尾    祐    一
     議事課速記技師 保    田    良    春
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  午前十時三分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(下川俊樹君) この際、知事から発言を求められておりますので、これを許可いたします。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 議長のお許しをいただき、一言申し上げます。
 去る二十五日、本県選出の世耕政隆参議院議員が逝去されました。
 先生は、昭和四十二年、衆議院議員に初当選、昭和四十六年には参議院議員に当選され、以来五期二十七年にわたり国政に尽くされてまいりました。その間、自治大臣、裁判官弾劾裁判所裁判長などの要職を務められるとともに、和歌山県の発展にも大いに尽力賜りました。
 また、近畿大学総長として、我が国の教育、文化の分野においても大きな足跡を残されました。本県におきましても、近畿大学生物理工学部の開学など、数多くのお力添えをいただきました。そのご功績はまことに偉大であり、これからも大いにご活躍されるものと期待いたしておりましただけに、大変残念なことでございます。
 先生の長きにわたるご功績に対し、百八万県民を代表いたしまして心から感謝を申し上げますとともに、衷心よりご冥福をお祈りいたします。
 以上であります。
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  【日程第一 議案第百八号から議案第百三十七号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百八号から議案第百三十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 44番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 ただいま西口知事からもお言葉がございましたが、和歌山県選出の世耕政隆参議院議員のご逝去に対し、長年のご活躍に心から敬意を表し、心からお悔やみを申し上げる次第でございます。
 以下、通告に従いまして一般質問を申し上げてまいります。
 まず最初に、工場等制限法についてであります。
 九月七日付毎日新聞には、長年、大都市圏に工場や大学の新増設を制限してきた工場等制限法が抜本的に見直されることが報じられております。それによりますと、この法律は首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律と近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律の総称で、昭和三十年代の高度経済成長期に成立しました。目的は首都圏と近畿圏への人口と産業の過度なる集中を防止するためでありまして、首都圏は東京二十三区と横浜・川崎両市の約半分、近畿圏は大阪市の大部分、京都と東大阪両市の一部などに制限区域を設け、一定規模以上の工場、大学などの新増設を原則禁止といたしました。
 ところが、今日、我が国を取り巻く社会経済環境は大きく変化しました。そこで、産業界や大都市からの工場、大学を大都市圏に戻せの声に押されて、現在国土審議会が法律の抜本的な見直しを審議中で、今年度中にも結論を出すとのことであります。
 そもそも、明治以来、我が国は中央集権体制のもとで富国強兵を目指して、また戦後は平和国家として経済原則を最優先させ、大都市に産業の過度の集中を行ってまいりました。その結果、確かに我が国は世界に冠たる経済大国になり、不況とはいえども、総じて国民も比較的豊かに暮らしております。しかし一方、国内ではとんでもないアンバランスも生んでしまいました。過疎・過密の問題であります。この問題は人口の増減だけではなく、富の再配分や都市文化の優越性、人が人らしく生きるための環境など、さまざまな課題を抱えており、しかも阪神・淡路大震災で過密の恐ろしさをまざまざと見せつけられても、依然、過疎・過密の傾向は変わらないのであります。
 私たち地方の政治家が地域振興を叫び、地方自治体が過疎対策に力を注いでいるにもかかわらず、なかなか過疎はとまりません。それは我々の力不足というだけではなく、よく考えてみると過密を抑制する方法がないからであります。ただ一つあるのが、実はこの工場等制限法であります。狭い国土に人以外に有効な資源のない我が国において、繁栄を求める道は技術を生かした物づくりしかありません。その富を生む工場を都会にばかり集めて、地方分権など決してあり得ません。
 そこで、この見直し問題に対し和歌山県としていかに取り組むか、知事よりお聞かせいただきたいと思います。
 次に、地域防災計画についてであります。
 今議会では、私のほかに二人の議員の方々から防災関連の質問がありました。お二人に敬意を表し、今後とも議員各位の活発な議論を期待する次第でございます。
 しかしながら、残念なことに、あの六千人余の死者と何万人という負傷者、莫大な被害を出した阪神・淡路大震災でさえも、既に世間では忘れ去られようとしております。本県ではあの南海道地震からはるか五十年余も経過し、しかも時代は情報化社会を迎えて便利になった反面、大量の情報が流れる中で、何が正しく何が大切か、かえってわかりにくくなっている状況にあります。それゆえ、行政の責務はまことに大きく、万全の備えをしながら常に世を覚せいし続けなければなりません。
 東大地震研究所の阿部勝征教授の言われるように、政治家や行政担当者が地震の本当の姿を知ったらそのために何万人という人々の生命が救われるということを肝に銘じ、転ばぬ先のつえをつき続けてくださることを念じつつ、以下四点について質問いたします。
 まず第一に地域防災計画についてでありますが、全体的な印象として、以前のものに比べて随分改善され、現実的なものとなっております。しかし、依然実行性の乏しいところがあり、特にせっかくシミュレーションを行っているにもかかわらず、被害予測についての記述があいまいでわかりにくい表現になっております。最悪の事態を想定し、それに基づいて最大限の対応策を準備しておくことは、まさに危機管理の原理原則であります。ですから、被害予測を積極的に明らかにすることは、地域防災計画の実行性の担保となるだけではなく、問題の重要性を県民の皆様にお知らせし、日常を優先するのか、それとも危機を優先するのかといった究極の選択をゆだねるという意味においてもぜひ必要であると考えます。県としてどのようにお考えでしょうか。
 関連して、二つ目は予防施策についてでありますが、被害予測が明らかでないゆえ、むしろ当然の帰結ではありますが、ABCという重要性認定制度の導入はあったものの、被害予測に即した予防施策となっていないのではないか。余りにもやらなければならないことが同列上に多過ぎて、どれを優先させてやるのかはっきりしません。少ない費用で最大限の効果を上げるためには、従来の政策決定理由に新たに防災の視点も加えるなど、より一層精度の高い政策決定システムの導入が必要と思いますが、何と考えておられるのでしょうか。
 さらに三つ目は、県地域防災計画に基づき策定されるべき市町村防災計画の見直しは進んでいるのか、またその内容は充実したものとなっているのでしょうか。
 四つ目は、日々刻々変化し続ける防災を取り巻く環境を読み取り、防災計画の見直しを図りつつ、突発的に起きる災害に迅速に対応するためには広く知識や経験を積んだ、とっさの判断のできる防災のエキスパートの養成が必要となります。加えて、防災担当部局の権限を強化し、防災関連政策を優先させ、責任の所在を明確化する必要があると考えますが、どうでしょうか。
 最後に、合併処理浄化槽の普及についてであります。
 法律では、生活排水の処理は市町村の事務であることがうたわれております。しかし、公共下水道の普及を含め、汚水衛生処理率の低さを県のみに責任があるかのごとき議論を聞くのは、全くもって心外であります。その意味で、市町村長よ頑張れと申し上げたい。同時に、市町村を指導監督しなければならない立場の県当局にも、同様に頑張れと申し上げなければなりません。
 先般、大井部長より合併処理浄化槽の普及の大切さが述べられましたが、県下の汚水衛生処理率向上のためにも、合併処理浄化槽の特性を考えていかに普及させるべきか、県の方針をお示しいただきたいと思います。あわせて、昨年度の設置基数、補助実績、それぞれの累計についてご報告いただきたいと思います。
 さて、その普及に大きな期待がかかる合併処理浄化槽ではありますが、どんな機械や設備でも、当然のことながら、完全永久のものはありません。やはり、適正に設置されているのか、ちゃんと機能しているのか等々、チェックをしなければなりません。
 そこで、浄化槽法では、いわゆる施主において、第五条において施工前に設置の届け出を、同法施行規則第三十六条第一項において使用開始の日から三十日以内に使用開始の報告を、同法第七条において使用開始後六カ月を経過した日から二カ月の間に水質に関する検査を、同法第八条において保守点検を、同法第九条において清掃を、同法第十一条において毎年一回水質に関する検査をしなければならないこととなっております。しかしながら、浄化槽法が一般的に知られていないことや罰則の軽さなどから、このことがなかなか守られていないと聞きます。
 そこで、本県ではこれらの各種検査の実施率は果たしてどれぐらいなのか、また全国での順位はどうなっているのでしょうか。そして、平成八年には行政監察により指摘も受けましたが、その後どのような改善策をとったのか、また効果が上がっているのか、お答えいただきたいと思います。
 さらに、浄化槽設置後、つまり行政の手を離れて後、増改築が行われたり建物の使用目的が変更されたため浄化槽を改修しなければなりませんが、放置されている例が散見されます。どのような指導及び取り締まりを行っているのでしょうか、お答え願います。
 以上、積極的なご答弁を期待し、私の質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 中村議員にお答えをいたします。
 近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律についてのご質問でございます。
 本法律は、京阪神大都市部を中心とする工場等制限区域において、大規模な工場、大学などの新設あるいは増設を制限し、既成都市区域への産業及び人口の過度の集中を防止することを目的として制定されたものでございまして、地方への新たな産業立地などに寄与してきたところであると考えてございます。
 議員ご指摘のように、大都市地域の自治体、経済界では、このような施設の郊外やあるいは地方への分散に伴う遊休地の発生など、いわゆる空洞化現象などからいたしまして、この法律の廃止を含めた見直しについて議論されているところでございます。
 本県といたしましては、本法律が本県の産業集積あるいは高等教育機関の立地を促進し、地域の雇用や学習の場を確保する上で重要な役割を果たすとともに、国土の均衡ある発展に大きく寄与するものであると認識をしてございます。国を初め、国土審議会等、関係機関に対し、本制度が引き続き維持されることを要望しておるところでございます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 総務部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 中村議員にお答え申し上げます。
 地域防災計画に関して、まず被害予測についてでございますが、災害予防計画の策定及び災害時の的確な応急対応を図ることを目的に、前もって被害を予測し、その結果を県地域防災計画に反映させております。
 被害予測は、過去の事例を参考として統計的に人的被害や建物被害など、それぞれの被害に関する傾向値を示すものであることから、県地域防災計画では一キロメートル四方ごとの被害の発生率等といったような形で、被害の種別ごとに特に大きくなる地域等を記載しております。
 予測結果を反映させた県地域防災計画につきましては、報道関係者を含めて広く防災関係者に配布して周知を図っておりますが、県民の方々への周知につきましては市町村と調整しながら進めてまいりたいと存じます。
 次に予防施策についてですが、河川や地すべり、急傾斜地、海岸など、それぞれの部門において防災上の対応が必要な箇所を地域防災計画に位置づけて、年次計画に基づき、順次防災事業を実施しているところでございます。今後も、事業の防災上の効果を考慮しつつ、地域の意見や地元市町村、関係省庁とも協議しながら予防施策を効率的に実施してまいりたいと存じます。
 次に市町村防災計画の見直しについてですが、阪神・淡路大震災後の国の防災基本計画の修正を受けて、平成七年六月に県内を一巡して市町村防災担当課長会議を開催し、初動体制の確立、救援物資集積場所の確保、防災訓練の実施、危険箇所のチェック等々、十八の項目について見直しを指導いたしました。その後も毎年、市町村防災担当課長会議を開催して早期の見直しを指導しているところであります。現在、県下市町村の見直しの状況は、見直し完了が二十市町村、修正協議中が八町村で、残りの二十二町村の大半の十七町村が本年度中に見直しを行う予定となっております。今後とも、県計画と整合を図る中で、県、市町村が一体となって防災体制の一層の整備充実に努めたいと存じます。
 最後に防災エキスパートの養成についてですが、地震、津波、台風、豪雨等、災害の対応は多岐にわたっており、また一たび発生すれば迅速な対応を要することから、防災対策は専門的な知識と習熟を要する業務であります。このため、本県では消防庁等主催の防災安全中央研修会や各種の防災セミナー等に積極的に担当職員を参加させるなど、資質の向上に努めているところであります。
 また、全職員を対象とした緊急参集訓練の実施や防災ハンドブックの配布等を通じて県職員の防災意識を高めるとともに、災害担当週番制を採用して組織全体への防災意識の徹底を図り、災害時に備えて平時から防災体制の構築を推進しているところであります。
 なお、災害時には被害の状況に応じて、副知事を長とする災害対策連絡室、知事を本部長とする災害対策本部を設置して防災対策を効率的に実施することといたしております。
 提案政策の優先性につきましては、昨年から導入した組織横断型予算編成において防災を重点課題の一つと位置づけて推進を図っているところであります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 中村議員ご質問の合併浄化槽の普及についての三点の質問についてお答えいたします。
 まず、県下の汚水適正処理率を上げる上での合併処理浄化槽の役割についてでございますが、現在、河川や湖沼等の水質汚濁の原因として一般家庭から排出される台所や洗濯等の生活雑排水が大きくクローズアップされ、社会的課題となっているところでございます。
 その対策といたしまして、公共下水道や農業集落排水等による集合処理と合併処理浄化槽による個別処理が考えられますが、とりわけ合併処理浄化槽は、下水道並みに高度な処理が可能であることや、また人口が密集していない地域や下水道整備が行き渡るまでの補完として、生活排水対策上適していると考えられます。
 そのため、県といたしましては、合併処理浄化槽整備事業の国庫補助制度あるいは県独自の補助制度についての情報を広報するとともに、本年十月二十日に開催する和歌山の生活排水を考えるシンポジウムでの啓発等、各種の機会をとらえまして合併処理浄化槽の設置の推進を図ってまいる所存でございます。
 次に、昨年度の合併処理浄化槽の設置基数でございますが、三千三百二十三基が新設され、うち二千二百四基が補助によるものでございます。また、累積設置基数は約二万一千基となってございます。
 次に開始届についてでございますが、建て売り住宅のように、設置されてから使用開始までの期間がある等の場合には、使用者から届け出がなされにくい状況にあります。しかしながら、使用開始届は浄化槽の維持管理の始まりを把握するための重要な届け出でございますので、和歌山県浄化槽協会の協力を得て使用者等に啓発を強化してまいりたいと考えてございます。
 次に、浄化槽法第七条、十一条の法定水質検査についてでございますが、平成八年度における本県の七条検査の実施率は九三・一%であり、全国で十五位となってございます。全国平均の六〇・三%を大きく上回ってございます。しかし、十一条検査の実施率は四・九%で、全国で三十四位となってございまして、全国平均の一二・三%を下回っているのが現状でございます。
 次に、保守点検及び清掃の実施状況につきましては、平成九年度まで報告の義務がございませんでしたので把握いたしておりません。しかし、平成十年二月に和歌山県浄化槽保守点検業者の登録に関する条例の改正を行い、平成十年度より浄化槽保守点検業等の実施状況の報告を義務づけましたので、今後把握できるものと考えてございます。
 設置された浄化槽の初期の機能を維持させていくためには適切な維持管理が必要であり、今後より一層浄化槽管理者への周知を行い、受検率の向上を図ってまいりたいと考えてございます。
 最後に、平成八年度の行政監察を受け、どのような施策を行ったか、その結果についてでございますが、平成八年四月から七月にかけて実施されました行政監察で、浄化槽の維持管理の適正化、法定検査の受検率の向上と検査結果に基づく改善指導の実施が指摘されてございます。
 浄化槽の維持管理を適正に行うためには、法定の水質検査──通称「十一条検査」と言われますが──を年一回受けなければならないことになってございます。その実施率は平成九年度末で五・五%と、残念ながら低い状況にございます。そのため、テレビスポットの放送、平成八年度からは「県民の友」による広報、さらに浄化槽協会、清掃連合会、水質保全センターの協力のもとに、パンフレットの配布など啓発を行っているところでございます。
 また、平成十年度から定期検査受検案内状発送事業として、補助合併事業により設置した浄化槽管理者に対して、県合併処理浄化槽普及促進協議会において年三回、はがきによる法定水質検査受検案内状を送付し、受検率の向上を図っているところであります。
 第一回目の発送を八月に行いましたが、発送三千百四十七件に対し申し込みが約七百五十件ございました。今後もこうした事業を粘り強く進め、受検率の向上に努力を重ねてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 中村議員の合併浄化槽の普及の問題のうち、建築確認申請後、変更があった場合どうするのかという問題についての答弁をいたしたいと思います。
 合併浄化槽につきましては、まず衛生上支障がない構造のものを設置しなければならないというふうになっておりまして、建築確認申請時などにこういうことについては審査を行っております。
 議員ご指摘の問題ですが、その後、建築物の改造などを行って、浄化槽の構造が衛生上問題であることが明らかとなった場合には、浄化槽の改造等の指導を行っているところでございます。このような事例を含む違反建築物対策の実効性の確保が図られるように建築基準法が本年六月に改正されまして、一年以内に施行するというふうになったところでございます。
 今後とも関係部局と連携を図りながら、浄化槽を含めた建築規制の適正な運用に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 再質問がございませんので、以上で中村裕一君の質問が終了いたしました。
○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 11番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 おはようございます。
 議長の発言のお許しをいただきましたので、一般質問に入ります。
 質問に入ります前に、本県選出の参議院議員、世耕政隆先生には、去る二十五日、ご逝去されました。お許しをいただきまして、一言、哀悼の言葉を申し上げたいと存じます。
 ご承知のように、世耕先生は、日本大学医学部教授を経て昭和四十二年一月、衆議院議員に初当選され、その後、昭和四十六年に参議院議員に当選され、現在まで連続五回もの多数回にわたりご当選されております。その間、昭和五十六年に鈴木内閣の自治大臣を初め、参議院文教、大蔵、物価対策の各委員長に、平成二年から三年にかけて弾劾裁判所裁判長に就任されるなど、国政の場における先生の功績はまことに大きいものがございます。
 さらに、自由民主党の中央においては、総務副会長、副幹事長として縦横無尽のご活躍をされ、また自由民主党県連会長として県連の運営に先頭に立って当たられるなど、先生は国政及び県政にまことに大きな足跡を残されたのであります。
 本県にとりましては、特に教育、文化の発展に功績を残され、特に近畿大学生物理工学部を本県に開学していただくなど、多方面にわたりご尽力を賜りました。
 先生は医学博士、近畿大学総長としてのほかに詩人としても有名でありまして、大変人情味あふれるお人柄で、この人間への深い洞察力と限りない愛情のもとに、国内外の諸課題の解決に邁進されました。
 先生には、まだまだこれからの国政、県政にわたりご尽力をいただけるものと思っておりましただけに、突然の訃報に接し、人の世のならいとはいえ、惜しんでも惜しみ切れない気持ちでございます。ここに衷心から哀悼の誠をささげ、追悼の言葉といたします。
 一般質問に入らせていただきます。議運委員長のお許しをいただきまして、皆様のお手元に二枚のカラー刷りの写真をお配りさせていただいております。ご了解お願い申し上げます。
 それでは、一般質問に入ります。
 知事にお伺いいたします。平成十二年度以降の県財政の見通しと、リストラをも含めた健全財政についてお伺いいたします。
 日本は今まさにアリ地獄にはまったようなもので、もがいてももがいても深みにはまっていくようであります。日本経済の沈下はアジア経済をも直撃し、アジア経済が落ち込み、それがまた日本の株価の低迷、金融不安と同じリングの中で悪循環を繰り返しております。そんな中で国内自治体を見れば、税収の落ち込み、バブル時に踊ったツケが今自治体の体質を踏ん張りのきかない弱々しいものにしております。
 そのような低迷する厳しい日本経済の中にあって、関西経済の凋落ぶりは目を覆うばかりであります。産経新聞九月二十三日付は、「低迷の関西経済」と題して次のような特集記事を載せております。「四月から六月の完全失業率は全国平均四・二%に対し近畿は五・〇%と、地域別で最も悪く、住宅着工件数、消費の伸び率など、ほとんどの経済指数が全国平均よりも悪い」と報じております。その低迷する関西にあって和歌山県は、産業評価は産業実勢でDランク、潜在性でEランクと最下位であります。関西の低迷は産業構造の転換のおくれであると指摘しております。本県に残念ながらそのまま当てはまるのではないかと思うのであります。これからは、将来のある業種、中でも電気通信、またコンピューターソフト業界等の起業家を目指す若者への先行投資に力を注ぐ必要があるのではないかと考えております。
 過日、同僚議員の質問に対し知事は、平成十二年度はより厳しい予算編成を強いられると答弁されておりましたが、当分の間、税収の増加が見込めない今、リストラをも含め、人員の削減に取り組まなければならない時期に来ているのではないかと思うのであります。予算の要求にしても査定にしても、それが今ぜひ必要なものかどうか、とりあえず要求しておこうかという従来の慣行、考え方を排除しなければなりません。また、予算配分が終わった後でも、その執行に当たってはチェックする必要があると思うのでございますが、いかがでありましょうか。健全財政をするためにも、知事にあえて質問をいたします。
 総務部長にお伺いいたします。昭和四十八年のオイルショックを振り返って、歳出の抑制をお願いしたいと思うのであります。
 昭和四十八年のオイルショックは、まだ私の記憶に強く残っております。職場では不要な電灯や町のネオンが消され、室内空調は高目に設定され、コンピューター等の紙の節減、またコピー機にはカウンターまで使用いたしました。いろんな施策が考えられ、実行されました。この背景には地球資源の枯渇という問題があったとしても、歳出の抑制に大きく寄与したことは間違いない事実であります。中には、余りいただけない半そでのスーツというのもございました。また、企業はすべてのむだを省くため、全従業員が参加してのQC運動──企業によっては名称が異なりますが──を行い、経費の節減を図り、あのオイルショックを見事に乗り越えたのであります。
 当時と今日の景気低迷を比較すれば、今日の方が厳しいのではないかと思うのであります。にもかかわらず、政府を初め、国政を担う方々、中央官僚は言うに及ばず地方の公務員に至るまで、今日の厳しさをよく理解していないのではないかと思うのであります。国民もそうでありますが、そういう意味でオイルショック当時に思いをいたし、予算編成と執行に努めていただきたいと思うのであります。
 次に、土木部長にお伺いいたします。
 土木部は、本県においては予算が非常に多い。一番多い。そういう意味からお伺いするものでありますが、私は長年、国、県の土木費について疑問に思っておりました。狭い視野ではありますが、それを少し紹介させていただきます。
 それは、河川堤防を道路として使用することの難しさであります。なぜ未使用の堤防を道路として使用できないのか、しようとしないのか、これについてお伺いいたします。
 このことを先輩議員に質問いたしますと、例えば河川は河川局、道路は道路局と同じ建設省所管でありながら、どうしても河川局の方が力が強い、こういうことで使用はだめだということでありました。だめではなしに使用を認めることにすればどうなるか、ここで質問いたします。
 今、国は財政難であり、堤防を道路予算で補強することにより、過日起こりました大雨による新潟県、福島県、栃木県での堤防の決壊による大災害が、堤防の幅を広くして道路として使用することでこれが防げたのではないか、このように思います。
 そのメリットといたしまして、土地買収費の節減、工期の短縮等がございます。また、堤防の補強にもつながります。これは県の管理している二級河川にも同様のことが言えるのではないかと思うのでございます。一石三鳥の効果があります。以下、例を挙げて、私の狭い、知っている範囲内で質問を申し上げたいと思います。
 私は、和歌山市に来る時はほとんど紀の川左岸を車で通行しております。橋本市を起点に、打田町竹房橋までほとんどが堤防であります。ここから和歌山バイパスに入ります。その道中の三分の一、これが堤防であります。しかし、未使用の箇所、例えば竜門橋から竹房橋、これは約三キロございますが、この箇所を道路として使用できれば地域でのミニバイパスとしての効果があると思うのであります。また、現在の道路は拡幅等が困難であり、粉河町竜門橋から打田町竹房橋の間、これは粉河町の竜門と遠方でございますが、住宅内の道路はもう広げられないということでありますので、ひとつ考えていただきたいなと、こういう思いでいっぱいでございます。
 もう一つはかつらぎ町の兄井でございますが、堤防から約三十メートルほど離れたところに現在、堤防沿いに道路工事中でございまして、道路敷の外側に十メートル以上も余裕があります。ささいなことでありますが、全国に多くのこういう場所があると思うんです。国、自治体の財政が厳しい折でございます。また、今が過去の垣根を取り払う絶好のチャンスではないかと、こういう思いでいっぱいでございます。このことについて土木部長にお伺いいたします。
 次に、産廃についてお伺いいたします。
 今回の日本工業所の産業廃棄物処理場に係る不祥事は、まことに残念であります。金の力により環境行政をゆがめ、県民の信頼を失墜させた責任はまことに重大であります。
 九月七日、贈収賄事件に問われている元県職員と業者に対し和歌山地裁は、それぞれに対して有罪判決を言い渡しました。その罪状の内容を見ると、私が二年前から日本工業所の不法な産廃処理に対して疑問点をただした中に、多くが関係しております。その一つは、県が日本工業所に対し許可を出す以前から不法に投棄、処分を繰り返し、苦情が多発していたにもかかわらず、地元住民の声を無視し続けていたことであります。一つには、日本工業所から県に申請があってから許可まで短期間でありました。一つには、申請に必要な廃掃法に定められた必要書式の大半を省略して申請を受理、許可を与えたことであります。
 今、二年間の質問に対する県の回答を振り返ってまいりますと、いかに苦しい、矛盾の多いものであったかがわかります。当初の環境行政の誤りが現在まで尾を引き、地元住民の健康、生命、財産に大きな被害をもたらしました。また、風評被害による農産物の販売収入減、住宅販売の延期等、大きな損害をもたらしております。県政に対する不信を県民に植えつけ、貴重な県財政に多大の負担を強いた上、今後も難しい対応を残しております。
 有罪判決のあった九月七日、これに関して知事は、判決を厳粛に受けとめ、再発防止に努めるとともに環境行政に一層の留意をするとコメントしております。一方、生活文化部長は、行政処分の材料になるものの、県は法に基づき適正にやってきたと述べております。県のトップと実務のトップとの有罪、司法が下した判断に対してもこれだけの意識の違いがあるのは大いに気になるところであります。県は有罪判決を真摯に受けとめて、知事の言われるような環境行政を行っていただきたいと思います。
 質問に入ります。
 知事にお伺いいたします。公文書開示についてであります。
 平成九年五月十四日、知事に対し産業廃棄物処理場を撤去させる会から公文書開示請求が出され、知事は一部を開示する部分開示決定を行い、開示しない部分及び当該部分を開示しない理由を記して平成九年七月十一日付で請求人に通知いたしました。同会が開示を求めておりますのは、一、県の立入調査報告書、二、焼却炉の能力や規模を示した図面、三、県が行った大気汚染物質検査報告書と業者に委託した悪臭分析結果報告書等であります。開示しない部分の理由といたしまして県は、図面、設計計算書の部分を開示することにより焼却炉設計製造業者の利益が損なわれるため、また、報告書の部分開示をすることにより将来同種の事務事業の公正もしくは円滑な執行に支障を生ずるおそれがあるため、また、県が業者委託した悪臭分析結果報告書に記載された環境計量士の印影及び個人名は開示することにより個人の情報が明らかになるためとしております。
 これを受けて同会は、平成九年九月十一日に行政不服審査法に基づき異議申し立てを行いました。知事は同年十月六日付地環百六十三号で、和歌山県公文書開示審査会──月山会長でございますが──に諮問いたしました。平成十年九月四日、知事に答申されました。審査内容は省略いたしますが、審査の結論は、前段を紹介いたしますと、「たとえ、その事業活動が違法又は不当な事業活動でなくても、その事業活動が人の生命、身体及び健康あるいは生活の安全につらなりその事業態様のいかんによっては公害、薬害、食品危害等のように重大にして深刻かつ広範囲に危害を及ぼす蓋然性が高いと認められ、かつ適正な事業活動であるかどうかを県民が把握するために──中略いたしますが──できる限り開示することが実施機関(県)に対する県民の信頼を増し、非公開とすることにより生じる可能性のある地域社会の生活の安全に対する不安を取り除く」とした上で、当該施設の総売上高、当該施設の従業員数、保健所職員の指導等の経過、同調査員としての意見の各部分を除き、すべてを開示すべきと審査会は結論しております。何にも増して人命、健康が優先するものであって、業者の利益等が優先されるべきではないと考えておりますが、公文書開示について知事に質問いたします。
 生活文化部長にお尋ねいたします。元保健所職員の有罪判決と判決内容をどのように受けとめているか、これについてお伺いいたします。
 九月七日、和歌山地裁で元保健所職員・谷口泰崇被告と株式会社日本工業所社長・徐泰龍被告(達川龍雄)に対し、懲役一年・執行猶予四年・追徴金六十万円、懲役一年・執行猶予三年の有罪判決を両被告に言い渡しました。判決内容は、産業廃棄物問題は環境汚染や地域住民の安全にかかわる重大なもので、金の力により環境行政をゆがめようとした責任は重大、両被告は癒着しているとして、地域住民の健康維持という職責を放棄し、上司に対する贈賄工作にまで加担したと述べ、結果的には行政の黙認という不作為──何もしなかったということでありますが──と違法業者への作為で住民を苦しめたと判決文は断じております。判決内容をどのように受けとめているのか。ただ単に行政の処分の材料にするだけなのかを伺いたいと思うのであります。
 次に、日本工業所に対する許可取り消しについてお伺いいたします。
 平成十年九月十一日、知事は株式会社日本工業所に対し、与えていた許可を取り消しました。今回の取り消しは遅きに失したものの、住民が求めていたものであり、一歩前進ととらえております。
 処分内容は、一、産業廃棄物収集運搬業許可の全部の取り消し、一、産業廃棄物処分業許可の全部の取り消し、一、産業廃棄物処理施設設置許可の全部の取り消しであります。処分理由は三項目ございまして、許可を受けることなく廃棄物収集・運搬及び処分を業として行っていたこと、産業廃棄物収集・運搬の許可及び産業廃棄物処分業の許可及び産業廃棄物処理施設の許可を受ける際、有利便宜な取り計らいを受けるため、当時の保健所担当者にわいろを渡したこと、産業廃棄物処理施設の能力を超えて搬入し保管していた産廃について、県が撤去し適正に処理するように指導していたにもかかわらず、その一部が堺市内の自社敷地内に搬入され、不当に保管されていること、この三つであります。
 初めに申し上げました許可以前の業ということでございますが、これについては再三、地元住民からの苦情が相次いでいたにもかかわらず、これを無視し、時には住民に対し「既に許可がおりているから仕方がない」等、住民を偽り、職責を放棄し、裁判所が言う不作為、業者の不法な処分を黙認していたものであります。ひいては、これが余りに苦情が多いということで、県の指導を容易にするため、法の規制の網をかぶせるという名目で許可を与える要因にもつながっております。有利便宜については、地元の風評では、どのようにしたら許可を受けられるか等、元保健所職員は業者に対し指南をしておりました。その業者は、有利便宜な取り計らいを受けるためわいろを渡したものであります。申請時に必要な諸書類を省略し許可を受けることができたのも、これであります。これら処分理由を検討すると、許可の取り消しというよりも、許可そのものが無効であったのではないかと解されるのであります。
 ダイオキシンについて質問いたします。
 大阪府能勢町、この間、新聞で見ますと、厚生省が調査いたしましたら周辺の土壌から五万二千ナノグラムのダイオキシンが検出されたとありました。普通、土壌調査というのはピコグラムで表示されます。ピコグラムは一兆分の一グラムのことであります。一立方の中に含まれる濃度のことであります。これを置きかえますと、五千二百万ピコグラムという途方もないダイオキシンの数値になります。
 この数値から見ますと、橋本の場合は微々たるものというふうに解されてしまうおそれがございますが、実は大変な数字でありました。住民団体の調査、学術研究として摂南大学の宮田教授が処理場内で高濃度のダイオキシンが検出されたと発表いたしました。約三万ピコグラムでございました。住民は、県、議会に対し陳情、請願を出しております。八月二十八日、県下で初めて産廃処理場でのダイオキシン調査が橋本市内の日本工業所で県と民間検査会社によって行われました。お手元に資料としてお配りしております一枚目、これはダイオキシンの調査のために現場を掘っているところでございます。
 処理場内で四カ所、一カ所五検体、計二十検体の土壌と施設下流の排水を採取する作業に取りかかったところ、実は産廃物の上にかぶせてあった新しい土を取り除くと──約三十センチほどです──地中からは焼却灰や産廃物ばかりが掘り出されました。土壌調査の予定が急遽、焼却灰と廃棄物の調査に切りかえられました。どの地点も焼却灰や廃棄物が埋まっており、周囲には強いガスの刺激臭が立ち込め、後に住民が地中にパイプを打ち込み──約一メートルであります──夜間、火をつけますと、ガスバーナーからの炎のような青白い強力な火柱が立ちました。二枚目の資料でございます。今、そういう状態であります。
 以前から住民団体は、場内の深さ三十メートルの谷は焼却灰と廃棄物で埋められていると──推定二十万立米でございます──指摘していたにもかかわらず、県はあれは産廃やないということでありました。今回のダイオキシン調査で、図らずも確認する羽目となってしまいました。
 今回のダイオキシン調査で国の基準を超えるような数値が出たときには、直ちに法に定められた基準に従い土壌の撤去等を業者に命令を出し、完全撤去をさせてもらいたい、このことについて伺います。生活文化部長は、業者に埋められている産廃物撤去命令を出すつもりはないというふうにコメントしておりますが、これについてもどのように今お考えになっておるのか、あわせてお伺いいたします。
 ボーリング調査についてお伺いいたします。
 今回のダイオキシン調査で、場内の十五メートルぐらいの高さで積み上げられておりますところ、私どもはあれは産廃が埋められてあるんだと指摘しておりましたが、県は、いや、あれは違う、ダンプカー用の道路である、こういうふうに言うておった場所があるんですが、道として説明していた場所からも焼却灰と廃棄物が確認されております。この場所でも、やっぱり真っ黒な焼却灰と廃棄物が出ております。今、お手元で見ていただいておりますが、そこに出ておりますのは、道路として使っていると県が説明している場所であります。
 廃棄物であるという確認をしたことで、県地域環境課はマスコミの取材に対し、出てきたものが産廃か一般廃棄物か判断はできないが、廃棄物はないと思っていただけに当惑している、どのくらいの廃棄物が埋まっているかについては今後調査を検討する必要があるが、監視については水質検査で十分と考えているとコメントしております。
 今回の調査では、今までの県の見解が違っていたのがはっきりしたので、水質検査にとどまらず、コメントのとおり、どんなものが、どのくらいの廃棄物が埋まっているかを知るためにもボーリング調査をされたいのであります。
 お医者さまは、がんになった患者が来院されますと、いろいろ調べた結果、患者さんに聞きます。尿の状態はどうですか。血がまじっております、胃が痛いんです、おなかが痛いんです、こういうふうに言いましたら、まず血液検査をします。尿の検査もします。しかし、内視鏡というのも入れます。どこが悪いのかを調べるわけです。おしっこだけで、肝臓がんなのか、肺がんなのか、胃がんなのか、腸がんなのか、これは幾ら名医でもわからない。その内視鏡に該当するのがボーリングであります。どこにどれだけの量が埋まっているかを調べるのがボーリングであります。水質検査ではわかりません。おしっこではわかりません。どうかボーリング調査をお願いしたいと思います。
 以上で、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 向井議員にお答えをいたします。
 まず、財政健全化に向けた今後の予算編成及びその執行に当たっての考え方についてでございます。
 現下の深刻な財政状況を打開していくためには、これまで以上に厳しい姿勢で従来の慣行にとらわれない見直しやチェックをしていく必要があるのではないかという議員のご指摘につきましては、私どもも強く認識をしておるところでございまして、これまでも行財政改革の視点から、機構改革を初め制度、施策の見直し、あるいは予算の効率的かつ効果的な執行に向けての不断の努力を重ねてきたわけでございますけれども、財政をめぐる環境が今後ますます厳しさを増す中で、限られた財源を活用していかに喫緊の課題、ニーズにこたえていくかが大変重要な課題でございます。
 議員のお話にございました起業家支援、あるいは新産業創出など、産業活動の新たな展開を図っていくことも、県経済の将来を考えた場合、極めて重要なことだと考えてございます。そうした政策課題に的確に対応していくために、簡素で効率的な行政運営の徹底を含めまして、予算の合理化、重点化につきまして一層の改善努力を尽くしてまいりたいと考えております。
 次に、環境行政に関連して公文書開示の問題でございます。
 公文書の開示につきましては、私はこれまで、県民の信頼にこたえる開かれた県政をモットーにいたしまして、情報公開につきましても、県民の県政に対する理解と信頼を深める上からもその重要性を認識いたしまして、積極的に取り組んできたところでございます。
 今回の株式会社日本工業所に係る公文書開示請求につきましては、一般論としては個人情報として特定の個人が識別されまたは識別され得る部分、また事業活動情報として事業を営む法人または個人の競争上または運営上の正当な利益が損なわれると認められる部分等につきましては非開示であるということで、そういうふうにいたしたところでございます。
 しかし、このたび、和歌山県公文書審査会におきまして日本工業所に対する判断が示されたわけでございますので、審査会の答申を受けとめまして対応してまいりたいと考えております。
 他の問題は部長ということでございましたので、部長からお答えいたします。
○議長(下川俊樹君) 総務部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 向井議員にお答え申し上げます。
 今後の県財政の運営について、予算の編成と執行に当たってはオイルショック当時に思いをいたし、厳しい認識を持って臨むべきとのお話でございます。
 ご指摘のように、目下の本県財政は、オイルショック後の財政危機を想起させる大変深刻な状況にあると認識してございます。殊に次年度以降の財政運営は、なお弱含みの税収動向に加え、基金による財源調整機能が失われていく中で極めて困難なものとなっております。
 このような財源事情の中で、二十一世紀に向けて、財政の対応力を確保しながら、低迷する経済情勢のもとで緊要な行政需要にこたえていくためには、限られた財政資金の配分について徹底した重点化、合理化、効率化を図っていくほかなく、県行政全般にわたって、前例にとらわれない抜本的な見直しを行っていく必要があると認識してございます。
 十一年度の予算編成方針につきましては現在検討中でございますが、ただいま申し上げましたような観点から、新規事業は言うに及ばず、既存の事業に対しましても再検討を加え、聖域なき見直しを図ってまいる所存であります。
 また、予算の執行段階につきましては、これまでも節減合理化に努めてまいったところでございますが、最少の経費で最大の効果を上げるべく、なお一層チェック機能を強化し、合理的かつ効率的な予算執行に努めてまいりたいと存じます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 向井議員にお答えいたします。
 県財政の問題のうち、国費、県費の節減につながる道路行政についてという問題でございます。
 河川堤防敷地の有効利用につきましては、従前から道路計画上必要で、また河川管理上支障がないと判断される箇所について、河川堤防敷地の利用を行っているところでございます。一例を申し上げますと、県道小豆島船所線、これは紀の川の北側、右岸を走っておるわけですが、この道路は和歌山市六十谷地内から船所地内の区間で紀の川堤防敷地を利用して整備を図っておりますし、ほかにも例がございます。また、議員ご指摘の県道和歌山橋本線の場合ですが、かつらぎ町兄井地内につきましては、道路構造基準、道路周辺の土地利用の計画、前後の道路計画との整合性の確保、事業費の比較などを行った結果、堤防敷地の利用を図るに至っておりませんが、粉河町の遠方地内では一部の区間で堤防に沿った計画とし、この堤防を利用しながら、なお道路拡幅のために必要な用地を買収して整備を進めているところでございます。
 今後とも、必要な箇所については河川管理上の問題、事業費の縮減などにも十分配慮しながら河川堤防敷地の有効利用に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 向井議員ご質問の環境行政についての四点について、ご回答いたしたいと思います。
 まず最初に元職員の判決内容についてでございますが、この判決内容を厳粛に受けとめているところでございます。今後かかることのないよう再発防止に努めるとともに、産業廃棄物行政の厳正な推進にさらに努力を重ねてまいる所存でございます。
 続きまして、許可そのものが無効であったと解するがどうかという質問でございますが、今回の許可取り消し処分につきましては、事件後に判明した許可前の違法行為、許可取得に際しての贈賄等が処分理由に該当することになったため、これらの許可を取り消したものでございます。許可以前の行為により許可無効ということはできないということになってございます。また、許可そのものにつきましては、県の判断に誤りはなかったものと考えてございます。
 なお、今後のことにつきましては、橋本市を初め関係者と十分協議しながら、解決に向けてさらに努力を重ねてまいる所存でございます。
 続きまして、ダイオキシン調査についてでございます。
 現在、ダイオキシンの調査を実施しているところでございますので、その結果について今申し上げることはできませんが、調査結果を待って適正なる対応をしてまいりたいと考えてございます。
 また、私のコメントの件についてでありますが、ダイオキシンの調査の際、産業廃棄物が出てきたことは確認いたしております。こうした場合にも、廃掃法上では廃棄物が出てきたということだけで直ちには撤去命令等の措置命令を出すことはできないと申し上げたものでございまして、水質検査等によって、生活環境保全上支障が生じ、また生じるおそれがある場合には、その支障の除去のために措置命令をするものでございます。
 最後に、ボーリング調査についてお答えいたします。
 現場に埋め立てられている廃棄物につきましては、水質検査等、環境監視を継続して行っております。また、ダイオキシンの調査結果も十月中には判明いたすものであります。その結果において、生活環境保全上支障があると認められる場合には、ボーリング調査の実施など、その対応について検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 11番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 再質問いたします。
 今、部長からのお答えの中で、ダイオキシンを調査したときに廃棄物が出てきた、それだけで撤去命令は出せないと、こういうことであります。また、今この廃棄物が出てきたことによりまして、初めて県はあの谷に廃棄物が埋まっているということを認めていただいております。
 そんな中で、生活に支障を来すおそれがある場合はボーリングをして調べて、それが出てきた場合は撤去するというような考えであるということでありますが、現在は撤去命令は出さないというような発言でありました。それから推測いたしますと、部長は、現在でも地元住民の方々に生活の支障が出ていない、こういうふうに言っているのと全く同じです。大変な支障が出ているわけです。入院患者一名、通院患者四十名、こういう事実を見ても、またダイオキシン調査が民間の手で行われ、三万ピコが検出された、そういう事実があります。
 県が調査したダイオキシンの結果はまだ一、二カ月後だというふうに聞かされておりますが、それじゃ、そのときにダイオキシンがもし不幸にして検出されたような場合、ボーリングはしますか。
 この一点と、生活に支障を来すおそれがある場合はボーリングをするということですが、部長は今、住民が生活に支障を来していないというふうにお思いですか。僕は、そうじゃない、認めておられると思うんですよね。そのところを、もうここまで来たら、ご迷惑をおかけしていますよと言うことが県の誠意だと思いますよ。
 そういう意味で、この二点について再質問いたします。お答えください。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 向井議員からの再質問、二点あったと思うわけですけれども、お答え申し上げます。
 今行っているダイオキシン調査で高濃度のそうしたダイオキシンが検出された場合どうするかということでありますけれども、先ほども申し上げたわけで、今は申し上げることはできませんけれども、もし出れば、適切なる対応をしていかなければならないことはもちろんのこと、そうした先生おっしゃったような結果になろうかと考えております。
 それから、今、住民の方は生活上支障を来していないと思っているのかということでありますけれども、廃掃法におきまして生活環境保全上支障があるかどうかという判断は、水質汚濁防止法による排水基準に問題があるかどうかということになってございます。現在まで水質検査を継続して行っておるわけでありますけれども、今のところ排水基準では適合していると、そういう判断の上に立っているところであります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 11番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━(以下三十四行取り消し)
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
  〔「議長、46番。議事進行」と呼ぶ〕
○議長(下川俊樹君) 46番大江康弘君。
○大江康弘君 今の、ちょっと私。向井さんの再々質問の要望の前段で、お金をもらったとか、新内のクラブへ連れていってもらったことはいかんということはわかるけれども、しかし、それは上司がそのことの許可を認めたということに対して──これは要望でありますから当局は当然答弁ができない立場でございます。議場で再々質問の中で要望をされて、それが伝わると、あたかもお金をもらったことも認めた中で県が許可をおろしたんだと、私はそういうふうにとれると思うんです。
 私はこのことに対して、再々質問での要望でありますけれども、県が許可をおろしたことと、その許可をおろすに当たって直接の現場で担当した人間にそういう行為があったということと全然別だと思うんですよ。
 だから、そこのところのきっちりしたことは、要望ではありますけれども、はっきりと県民の皆さんに申し上げておかないと、県の職員の皆さんがこれからいろんな行政に当たるに当たって非常に県民に誤解を与える、そういうように思うので、議長の方でひとつこの点は前向きに善処していただきたい、そんなふうに私は要望しておきます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの大江議員の発言については、後刻速記録を調査の上、善処したいと、そのように思いますので、ご了承を願いたいと思います。
      ─────────────────────
○議長(下川俊樹君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
      ─────────────────────
○議長(下川俊樹君) 次に、ただいま議題となっております全案件のうち、議案第百三十七号平成九年度和歌山県公営企業決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
      ─────────────────────
  【日程第三 請願付託】
○議長(下川俊樹君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
      ─────────────────────
○議長(下川俊樹君) 次に、お諮りいたします。九月二十九日及び三十日は、各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) ご異議なしと認めます。よって、九月二十九日及び三十日は休会とすることに決定いたしました。
 なお、各常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
○議長(下川俊樹君) 次会は、十月一日再開いたします。
      ─────────────────────
○議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午前十一時二十五分散会

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