平成10年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程   第四号   平成十年九月二十五日(金曜日)
                午前十時開議
  第一 議案第百八号から議案第百三十七号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百八号から議案第百三十七号まで(質疑)
   二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
     1  番    大    沢    広太郎
     2  番    木    下    善    之
     3  番    小    川         武
     4  番    吉    井    和    視
     5  番    下    川    俊    樹
     6  番    井    出    益    弘
     7  番    藁    科    義    清
     8  番    門         三佐博
     9  番    永    井    佑    治
     10  番    新    島         雄
     11  番    向    井    嘉久藏
     12  番    佐    田    頴    一
     14  番    阪    部    菊    雄
     15  番    西    本    長    弘
     16  番    馬    頭    哲    弥
     17  番    谷         洋    一
     18  番    山    下    直    也
     19  番    高    瀬    勝    助
     20  番    松    本    泰    造
     21  番    堀    本    隆    男
     22  番    宇治田    栄    蔵
     23  番    宗         正    彦
     24  番    橋    本         進
     25  番    神    出    政    巳
     26  番    玉    置    公    良
     27  番    上    野    哲    弘
     28  番    東    山    昭    久
     29  番    尾    崎    要    二
     30  番    野見山         海
     31  番    木    下    秀    男
     32  番    町    田         亘
     33  番    中    山         豊
     34  番    井    谷         勲
     35  番    鶴    田    至    弘
     36  番    森         正    樹
     37  番    村    岡    キミ子
     38  番    新    田    和    弘
     39  番    平    越    孝    哉
     40  番    森    本    明    雄
     41  番    長    坂    隆    司
     42  番    冨    安    民    浩
     43  番    飯    田    敬    文
     44  番    中    村    裕    一
     45  番    松    本    貞    次
     46  番    大    江    康    弘
     47  番    和    田    正    人
欠 席 議 員(一人)
     13  番    和    田    正    一
説明のため出席した者
     知 事     西    口         勇
     副知事     山    下         茂
     出納長     高    瀬    芳    彦
     知事公室長   中    山    次    郎
     総務部長    藤    谷    茂    樹
     企画部長    中    村    協    二
     生活文化部長  大    井         光
     福祉保健部長  小    西         悟
     商工労働部長  上    山    義    彦
     農林水産部長  尾    崎    武    久
     土木部長    長    沢    小太郎
     企業局長    西    浦    昭    人
     教育委員会委員長
             山    本         昭
     教育長     小    関    洋    治
     公安委員会委員長
             高    垣         宏
     警察本部長   米    田         壯
     人事委員会委員長
             若    林    弘    澄
     代表監査委員  宮    市    武    彦
     選挙管理委員会委員長
             谷    口    庄    一
     以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
     事務局長    新    谷    哲    朗
     次  長    前         晴    夫
     議事課長    佐    竹    欣    司
     議事課副課長  北垣内         敬
     議事班長    松    谷    秋    男
     議事課主査   川    崎    良    雄
     議事課主事   安    井    伸    彰
     調査課長    湯    川         忠
 (速記担当者)
     議事課主任   吉    川    欽    二
     議事課主査   鎌    田         繁
     議事課主査   中    尾    祐    一
     議事課速記技師 保    田    良    春
      ─────────────────────
  午前十時三分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
      ─────────────────────
  【日程第一 議案第百八号から議案第百三十七号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百八号から議案第百三十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 1番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 紀伊水道における中型まき網漁業の操業についてであります。
 この質問に当たっては、昭和五十六年十二月議会と平成四年十二月議会、さらに平成五年七月の三回にわたり先輩議員がこの問題について質問をされておりますが、県当局の前向きなご努力も実らず、今日まで一向に問題の解決が図られず、和歌山県のまき網漁業者にとって非常に不利な厳しい現状を見かね、改めて質問をさせていただきたいと思います。
 現在、我が国は深刻な経済不況下にありますが、その中でも本県の水産業界においても水産物価格の低迷等の影響を少なからず受け、漁家経営また漁協経営は従来にも増して厳しいものとなっております。
 私の地元であります田辺漁業協同組合は、一本釣り、まき網漁業を主とする県下でも代表的な組合であることは周知のことと存じます。当漁協における平成九年度の水揚げ量は五千八百トン、水揚げ高は十四億五千万円余りであります。漁種別に見ますと、まき網漁業の水揚げ量は五千二百トンと全水揚げ量の八九%を占め、また水揚げ高も八億三千万円で全水揚げ高の五八%を占め、当漁業を維持する上で重要な漁業種類であることは申すまでもありません。また、当組合の正組合員四百十八名のうち百三十七名がまき網漁業に従事しており、当組合においては組合員の生活の支えともなっておるのが現状であります。
 和歌山県の中型まき網漁業の歴史は古く、昭和七年の日ノ岬漁業に始まり、昭和十年、三和漁業、昭和三十六年、田辺の陽明丸、昌勢丸、昭和三十七年、木下丸と続き、全盛期は三十数統のまき網船が船団を組んで紀伊水道を漁場として操業していたわけであります。
 ところが、昭和五十六年、徳島県が突然線引きをし、和歌山県に対して操業自粛を申し入れてきたのであります。つまり、五十年余り入会漁場として操業していた地域を、徳島の一本釣り漁業からの主張が強いという理由で、徳島と和歌山の中間ぐらいの線、正確には兵庫県淡路諭鶴羽山と沼島東端に見通し線を引き、この線から西側に入らないよう一方的に決めつけ、徳島県の取締船を使って停船命令をし、違反操業と決めつけ、罰金また五十日停泊命令など、強行手段に訴えてきたのであります。
 その後、平成五年三月には、田辺漁協の共漁丸が拿捕されたのを機に正式に法廷に訴えたところ不起訴処分になり、和歌山県側の正当性が認められる結果になったわけであります。しかし、漁業不振や乗組員の高齢化問題など、まき網漁業も淘汰され、現在では日高地区で三カ統、田辺で五カ統、計八カ統となった次第であります。
 以上、田辺漁協におけるまき網漁業の重要性を十分ご理解いただいた上で、紀伊水道における本県のまき網漁業と徳島県の一本釣り漁業との漁業紛争についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年の十二月十六日に、本県のまき網漁業船団が紀伊水道西側海域において操業中、徳島県の一本釣り漁業者多数に取り囲まれ、兵庫県の淡路諭鶴羽山頂と沼島東端見通し線以西の海域は徳島県海域であると主張し、即刻操業を中止し、また漁獲しようとしている魚を放棄して当該線上より東側海域に出るよう威嚇され、身の危険を感じた和歌山県船団は、まき込んでいた魚を放棄させられ、操業中止に追い込まれており、また本年二月二十七日には、田辺漁協の五カ統のまき網船団が当該線上より西側で操業中、徳島県の一本釣り漁船八十隻余りが取り囲み、ジュースや缶詰、また火炎瓶のような火のついたものを投げつけて操業を妨害し、さらに漁船に不法侵入してロープを切断しようとしたことなど、昨年の事例より増して強い威嚇を受け、操業の中止を余儀なくされております。
 この問題は、先日、田辺市議会の一般質問で取り上げられ、怒りを込めて質問に立った宮田議員に対し、脇中市長は「漁業区域に関しましては県の所管でございますので、和歌山・徳島の両県におきまして円満解決に向けて調整が図られるよう県当局へもお願いしたいと思っております」との答弁であり、一市町村ではどうにもならないと、県のご尽力に期待する答弁となっております。
 そこで、徳島県の一本釣り漁業者が徳島県海域と主張している兵庫県の淡路諭鶴羽山頂と沼島東端見通し線は、過去の質疑、答弁の中で、昭和二十四年の漁業法改正後、現在は存在していないと伺っていますが、現在でも変わりはないのかどうか、知事のご所見をお伺いいたしたいと思います。
 次に、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 徳島県が主張する境界線が存在しないのであれば法的にも何ら問題のない海域での操業に対して、徳島県の一本釣り漁船八十隻余りがジュースや缶詰や火炎瓶のようなものを投げつけたりする一連の集団的な操業妨害について、県当局はどのように受けとめ、対処してきたのか、見解をお伺いしたいと思います。
 次に、南紀熊野体験博について。
 先日、私が住む田辺市で、県道芳養清川線の上芳養工区が完成し、地元出身の西口知事や壇上におられる下川議長も出席され、竣工式が行われました。この道路は、日高郡南部川村清川地区と田辺上芳養地区を結ぶ道路として、従来の県道のコースより時間も大幅に短縮され、地元民待望の道路として喜ばれております。
 また、来年四月から半年間にわたって開かれるジャパンエキスポ・南紀熊野体験博リゾートピアわかやま99では、大勢の行楽客がマイカーなどを利用することは間違いありません。この上芳養バイパスのように、南紀熊野体験博に向けて紀南地方では数多くの道路整備が進められています。
 国道四十二号では、田辺市から上富田町六・九キロを結ぶ田辺バイパスには今年度十六億円が投じられ、整備が進められているほか、新庄地区と秋津高架橋の整備では、四車線化が今年度末の完成を目指して急ピッチで進められていると聞いております。このほか、補助国道、いわゆる三けた国道については、国道三百十一号では上富田町岩田地区の二・八キロで進められている上富田二工区や、中辺路町の小広から野中までの五・五キロの中辺路五工区、本宮の武住から中辺路町の小広までの四・四キロの本宮一工区、また国道四百二十四号では、龍神村小家谷工区、延長三・二キロも急ピッチで工事が行われております。
 一方、県道関係では、田辺龍神線の田辺市秋津川工区や田辺白浜線の田辺市内ノ浦工区と堅田工区、それに龍神中辺路線の中辺路町水上・栗栖川工区が主な工事区間として挙げられております。
 そこで、お聞きしたいのは、現在工事中の国道百六十八号、熊野川本宮工区も含めて、先ほど述べました各工区では、熊野体験博に向けて今年度末完成や来年度末完成予定とされていますが、利便性の向上や交通の円滑化という点から供用開始を早める計画はあるのかについて、土木部長にお聞きいたしたいと思います。
 また、西口知事が唱えている県内二時間交通体系の道路整備推進策への取り組みについて、知事のご所見を賜りたいと思います。
 次に、先日、九月十七日に南紀熊野体験博のイベントの概要が発表されました。熊野古道を舞台にした十万人がウオークするテーマイベントの十万人の熊野詣を初め、歩いたり、マリンスポーツを楽しんだりする体験型イベントが中心のほか、紀南十六市町村が自然や伝統芸能をPR、また田辺市と那智勝浦町にはシンボルパークが設けられ、開会式やテーマ館の設置、また、さまざまなイベントが展開されると聞いております。私は、このイベント開催地の地元の一人といたしまして、イベント成功に向けて質問をさせていただきます。
 そこで、一番問題となるのは、田辺市を中心に生じている交通渋滞の解消についてであります。この博覧会は自然を生かした体験型イベントが数多く催され、土曜、日曜、祝日には大勢行楽客が訪れるのは必至であり、国道四十二号線を中心に大きな交通渋滞が生じるものと予想されます。また、開催期間もゴールデンウイークやお盆休み、それに夏休みを挟んだ百四十四日にわたっており、期間中、田辺市を中心に慢性的な交通渋滞が懸念されるわけであります。警察本部交通部のデータでは、ことしのゴールデンウイークの期間中の五月四日の振りかえ休日の渋滞が最も大きく、南行きは海南湯浅道路で十七キロ、国道四十二号では南部町山内で十一キロ、田辺市稲成町で六キロ、また北行きも同じ四日が最大で、海南湯浅道路二十一キロ、南部町八キロ、田辺市六キロなどとなっています。
 ここで最も大事なことは、田辺市を初めとする国道四十二号線などでの地元住民の生活道路が確保できなくなるという心配です。特に、田辺市の稲成から芳養にかけて、土曜、日曜はもちろんのこと、平日の通勤時間帯を中心に渋滞が生じております。特に土・日は、この渋滞であふれた車両が県道湊田辺線や文里湊線などに迂回し、市内の繁華街や細い路地にまで入り込み、道に迷ったドライバー等を地元の人たちが道案内をする光景もしばしば見受けられるのが現状であります。
 私の住む田辺の人たちは、熊野博で期間中二百万人もの行楽客が押し寄せると田辺の市内の大渋滞はもっとひどくなるのでは、また生活道路が確保できないのではと、不安を募らせています。県では庁内の推進本部内に交通輸送対策部会を設置し、また南紀熊野体験博実行委員会では交通対策連絡協議会を設置するなどして、JRを初め地元のバス・タクシー会社、それに警察等と協議を続け、公共輸送機関の充実強化や駐車スペースの拡大などを促進していると聞いております。また、輸送計画では、JRの特急の増便や那智駅への臨時停車、紀伊田辺から新宮間の普通列車の運行の増便などを要請しているということです。また、バス輸送では、路線の見直しを初め、国道三百十一号や国道百六十八号の整備促進に伴って、中辺路や本宮を経由する白浜・那智勝浦間の特急バスの運行についても明光バスや熊野交通によって進められているということです。また、警察では、会場や特設駐車場周辺の信号機の整備を進めているほか、渋滞等の交通情報を伝える小型文字情報板の新設、それに違法駐車警告システムの導入などに取り組まれているということであります。
 しかし、我が国では一世帯平均一・五台の車を所有するといった車社会の中で、熊野博の中でのマイカー利用者は大変多いと思われます。そこで、県当局ではこれらの交通混雑の緩和対策についてどのように取り組まれているかについてお伺いをいたします。
 また、田辺新庄シンボルパークでは、神島台市営グラウンドなど、臨時駐車場が設けられるようでありますが、これら臨時駐車場で十分収容し切れるのかどうか、新庄地区の住宅街への不法駐車や、あふれた車両が田辺や白浜のスーパー等の駐車場に放置されたり、はんらんしないかどうか、懸念されるところであります。この駐車場対策についてもあわせてお伺いをいたしたいと思います。
 次に、毒入りカレー事件でありますが、この事件において、谷中自治会長さん初め四人の方のとうとい命が奪われ、六十三名の方々の入院あるいは通院を余儀なくされるという惨事となりました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、入院・通院の被害に遭われました皆様方に心からお見舞いを申し上げる次第であります。
 この問題につきましては先輩議員が質問をされておりますが、私は少し視点を変えてお話ししたいと思います。
 七月二十五日の発生以来、きょうで丸二カ月が経過し、捜査員らは連日連夜、休日返上で事件解決に向けて捜査に当たっています。しかし、週刊誌は過去の未検挙事件を取り上げ、和歌山県警は迷宮警察やとか、全く関係のないセクハラ警官の記事を掲載するなど、捜査員の日夜にわたる苦労をそっちのけにした暴挙とも言える記事がはんらんし、残念な思いがしてなりません。
 そうした中、今月二日、連日捜査に当たっていた県警捜査一課の村井警視が、過労のためクモ膜下出血で倒れ、四十七歳の若さで刑事人生を終えました。捜査本部員は、事件発生後十日余りはずっと未明の帰宅となったほか、それ以後も夜十一時前後の帰宅がほとんどで、午前零時を回る帰宅も週一、二回はあるということであります。また、月に四、五回の宿直勤務を行い、その宿直勤務明けも通常の勤務体制で捜査に当たっているということです。第二の村井さんが出てもおかしくないくらいの状況だと聞いております。とはいっても、今回の毒物混入事件は和歌山県警始まって以来、これまでにない最大の事件であり、一日も早い事件解決が強く望まれているのであります。
 そうした中で、捜査員らは事件の解決に向け、休日返上の状態が続き、小さな子供を持つ捜査員は、ことしの夏休み中は子供をどこへも遊びに連れていけなかったほか、家庭での子供との夕食も長い間味わっていません。また、一部で始まった学校の運動会への出席もできないなど、家族を含めて厳しい状況に置かれているのであります。
 私の知り合いの警察官の話によりますと、昔の先輩刑事は「刑事が休むのは死んでからや」とのせりふを吐き、事件解決に向けてのベテラン刑事の執念を感じ取ったとの話が印象的でありました。刑事が銭金で仕事をできないのは当たり前と言えば当たり前のようでありますが、犯人逮捕のときなどに上司や先輩刑事から「よくやった、ご苦労さん」、この一言が勲章のようなもので、この一言が刑事のやりがいと考えているのが現状のようであります。
 しかしながら、このように身を粉にして、しかも家族を犠牲にして働いたことに対し、少しでも苦労に報いるために、超過勤務手当等、給与面での処遇でこたえてやるのが重要であると考えます。したがいまして、県当局及び県警察におかれましては、一日も早い事件の解決に向けて厳しい状況の中で捜査を行っている捜査員等に対しても思いをいたし、超過勤務手当を含め、捜査員を初めとする職員の処遇について本部長のご所見をお伺いいたしたいと思います。
 これで、一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 大沢議員にお答えをいたします。
 まず、本県と徳島県との漁業調整上の線に関してであります。
 この件につきましては、過去の議会でも何回か答弁されているところでございますけれども、徳島県の主張しているいわゆる慣行線は、昭和二十六年に現行漁業法が施行されたことにより消滅しているものと考えております。したがいまして、当該海域は入会海域であるとの本県の考え方につきましては、現在も変わってございません。
 本県の中型まき網漁業の操業に関する漁業調整上の問題が今もって解決していないことにつきましては大変苦慮しているところでございまして、今後とも両県漁業者が円満な操業ができるように一層の努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、南紀熊野体験博に関連して、道路整備などについてであります。
 二十一世紀に向けまして、産業経済の発展あるいは生活交通の確保による県民福祉の向上を図るためには、県内の主な都市間を半日で往復できる、いわゆる二時間行動圏構想の実現がぜひとも必要であると考えてございます。このために、本年二月に策定をいたしました県の長期総合計画にもこれを施策として位置づけまして、平成十年度予算におきましても予算の重点配分など、推進策を大幅に拡充しているところでございます。
 こうした中で、本年、近畿自動車道紀勢線の御坊・南部間、京奈和自動車道の橋本道路、さらに那智勝浦道路と、県内三カ所において高速道路の新規着工がなされるなど、着実な整備に向けて大変明るい展望が開けてきていると考えてございます。
 とりわけ、国道三百十一号の中辺路・本宮間の開通は、念願でございました紀南地域の横断骨格軸を形成いたしまして、これにより西牟婁・東牟婁地域の交通利便性が飛躍的に高まり、二時間行動圏構想の実現に向けて大きく前進するものと考えてございます。今後とも、二十一世紀初頭の構想の実現に向けまして、重点的に幹線道路網の整備促進に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長尾崎武久君。
  〔尾崎武久君、登壇〕
○農林水産部長(尾崎武久君) 大沢議員にお答え申し上げます。
 紀伊水道における中型まき網漁業操業妨害に対する見解とその対処についてでございますが、本県まき網漁業者に対する操業妨害に対しましては、決して許される行為ではないと認識してございまして、まことに遺憾であると考えてございます。
 去る二月二十七日の事案が発生後、直ちに徳島県に対して厳重に抗議を行うとともに、再発防止についての指導等を強く要請したところでございます。
 今後、このような不測の事態が発生した場合は、まき網漁業者みずからが法的手段をとることも考えられますが、このような事案の再発を防止するために、水産庁を含め、両県行政担当者、また両県の関係漁業者間において円満操業のための協議を重ねているところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 大沢議員の南紀熊野体験博における道路整備の問題についてお答えいたします。
 来春開催される南紀熊野体験博に向けて、国道三百十一号、四百二十四号や県道田辺白浜線を初めとして全面的に工事を進捗しており、できる限り工期の短縮を図るとともに、可能な箇所では部分的な供用にも努めているところでございます。
 具体的に申し上げますと、国道三百十一号の中辺路・本宮工区については工事も順調に進んでおり、これまで同様、完成した箇所から順にできるだけ早期に供用したいと考えております。
 県道関係では、龍神中辺路線の水上・栗栖川工区が既に本年八月に供用しておりますし、田辺白浜線の内ノ浦工区、堅田工区についても本年度中の完成に向け努力しているところでございます。
 ご指摘のその他の各工区につきましても、特に狭隘な箇所について事業期間を早めることにより可能な限り多くの区間の本年度内の部分的な供用を図ることにしておりまして、またそのように予定しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 大沢議員のご質問にお答えいたします。
 南紀熊野体験博における交通混雑の緩和対策についてでございますが、県といたしまして、企画部、土木部、県警本部等、一体となって取り組んでいるところでございます。
 まず、道路整備につきましては、国道三百十一号全工区の供用開始や国道四十二号田辺バイパス新庄地区の四車線化の供用開始、県道田辺白浜線の供用開始等に向け取り組んでいるところでございます。また、南紀熊野地域への車両のスムーズな運行を確保するため、国道四百二十四号、三百十一号等、広域幹線ルートを主体に道路案内標識の充実に努めているところでございます。
 次に、ドライバーへのきめ細やかな道路情報等の提供についてでございますが、迂回道路の利用促進等を図る道路地図の製作、黒潮ネットワークを使った道の駅でのタッチパネル、インターネットによる道路規制や観光情報の提供などを実施する予定でございます。
 さらに、信号機等の交通基盤整備についてでございますが、平成九年度には田辺、白浜、新宮地域等の交通の分散化、円滑化を図るため小型文字情報板を設置したところであり、平成十年度には田辺新庄シンボルパーク周辺の新設道路や国道三百十一号、三百七十一号等を中心に、南紀熊野地域への誘導ルートの対策として交通信号機や違法駐車抑止システムの設置を予定しているところでございます。
 一方、田辺新庄シンボルパークの駐車場につきましては、駐車場予測に基づいて市営の神島台グラウンドと周辺民有地を場外駐車場として使用できるよう現在調整中でございます。また、会場周辺道路での不法駐車等を排除するため警備員を配置するなどして、周辺地域住民にできるだけご迷惑をかけないよう対応してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 警察本部長米田 壯君。
  〔米田 壯君、登壇〕
○警察本部長(米田 壯君) 大沢議員のご質問にお答えをいたします。
 去る七月二十五日に発生いたしました和歌山市園部における毒物混入事件は犯罪史上まれに見る凶悪犯罪であり、その捜査につきましても、県警察始まって以来とも言える捜査体制で臨んでいるところであります。
 議員ご指摘のとおり、事件発生以来、全力を挙げて捜査や地域安全対策等に取り組んでおり、捜査員はもちろん、地域警察官等、多くの職員にも相当な超過勤務を強いているところであります。
 超過勤務は、本来、予算の範囲内で命ずべきところでありますが、今回の毒物混入事件のような重大突発事件が発生した場合には、その事件の解決を最優先に対応しなければならないなどの警察業務の特殊性から、実績どおりに手当を支給することが困難な実情にあります。なお、このような場合であっても、可能な範囲で超過勤務の実績に応じた支給に配慮をいたしております。
 警察といたしましては、議員のご指摘を踏まえながら、職員の健康管理面や福利厚生面にも配慮しつつ、より適切に対処してまいる所存であります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 1番大沢広太郎君。
○大沢広太郎君 答弁をいただきましたが、数点の要望をさせていただきたいと思います。
 熊野博における道路整備についての答弁で、工事が急ピッチで行われているということが大変よくわかりました。また、渋滞対策については公共交通機関の活用、何よりだと思っております。陸・海・空にわたり、列車、バス、船、飛行機の臨時便の増発を推進していただくとともに、列車利用の促進策として期間中いつでも使えるフリーシーズンパスの発行を検討してはいかがでしょうか。また、土・日等に多くイベントが催されることから、それらのイベントの人出予想を県警等と協議し、交通渋滞の解消に努められてはどうかと思います。
 毒入りカレー事件の件ですが、私が聞いた話では、本県の超勤の支給状況は、警視庁や神奈川県警など人口の多い都道府県警察と比べて半額ぐらいになるのではとのことであります。これは、県の財政力や財政事情に応じて条例により支給されているとのことであり、財政力の豊かな東京などとは格差が生じているということであります。
 不眠不休状態で身を粉にし、家族を犠牲にして捜査に当たっている現状を踏まえ、支給をしてあげてほしいと思います。よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 最後に、中型まき網漁業の操業問題であります。
 地元の漁協では刑事事件として告訴してはどうかとの意見もありますが、組合長らが関係方面に奔走されている中、事態の推移を見守っているというのが実情であります。漁業者同士で血を見るような争いにならないように、行政が未然に防ぐよう努力していただきたいのであります。
 まき網漁業の水揚げを大変左右するものであり、重大な問題であります。田辺のみならず、本県まき網漁業船団が徳島県の一本釣り漁業者の妨害を受けることなく安心して働けるよう、県当局に早期解決を強く要望し、私の質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。
○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 議長の許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問を行ってまいりたいと思います。
 まず、和歌山下津港沖の新たな港湾建設計画についてお尋ねをするわけですが、私はこの件について、過去二回にわたって質問をいたしてまいりました。しかし、当局の答弁がなかなか納得のいかないものでございますので、また最近、港湾計画の一部の修正案なども検討されているということでございますから、三たびになりますが、質問をさせていただきます。
 一つは、まずベイフロンティア計画についての質問でございます。
 私は去る二月の議会で、港湾計画が、国のリードのもとでしょうけれども、自治体間に十分の連携もなく行われておって、まるで無政府状態を示しており、これではそれぞれの港湾機能が有効に発揮できずに大きなむだを生じることになるのではないかとただしたところであります。それに対しまして知事は、神戸港や大阪港と機能を分担しながら二十一世紀の近畿圏の経済を担う港としての発展を願うのがベイフロンティア構想であるとして、今回の計画はその第一段階である旨を答弁されました。
 過日の議会では時間の関係でこの点を深めることができませんでしたので改めてお尋ねをするわけですが、ベイフロンティア構想とは近畿圏の行政間のどのあたりまでの合意を得たものなのでしょうか。近畿圏の経済を担う計画であるとするならば、近畿圏内のそれなりの協議の上での合意があるだろうと思われますが、私は寡聞にして知るところではありません。お示しをいただきたいと思います。
 また、国との関係ではベイフロンティア構想はどのような段階に至っているのでしょうか。当然、自治体だけで実現できる構想ではないと思われますので、お聞きしておきたいと思うわけです。
 また、港湾機能の分担ということであれば、当然、大阪港、神戸港との間で将来にわたる役割分担の協議や合意があるべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。
 一方、和歌山下津港の拡張計画を上回って、大阪港、神戸港の拡張が進められています。そのこと自体についての評価は別として、少なくとも和歌山下津港と役割分担をしましょうというふうな気配は全く見えません。そこには、港湾間の無政府的な激しい競争が見えるだけです。主観的な役割分担と機能分担を唱えても、それは裏づけのあるものではありません。我が和歌山県の壮大な発展方向を描き出すことにはもちろん異論はありませんが、そうありたいからということだけで莫大な財政を投じて行政化することは大きな冒険だろうと思いますが、いかがでしょうか。
 二番目の問題として、船舶の大型化ということと和歌山の大水深バースの必要性について質問をいたします。
 世界的に輸送船の大型化があるということが和歌山下津港のマイナス十四メートル、十五メートルバースの建設の必要性の大きな根拠になっております。大型コンテナ船について言えば、この計画の目標年次には和歌山下津港との間にそのような航路は開かれていないだろうというお話が、二月議会において土木部長からありました。いつごろそれは開かれるのか、それはだれにも予測不可能であります。
 和歌山下津港とその背後の経済圏が四万トン、五万トンの船を週に少なくとも二回、三回と迎え入れるだけの集荷能力、出荷能力を持ったときでしょう。まさにベイフロンティア構想が、名前だけでなく、ハードの面でも確立するというだけでなく、経済的にも名実ともにそれが機能するという時点であります。しかし、それはいつのことなのか。また、それは現実に可能なのか。それは、全くと言っていいほど研究も議論もされておりません。
 素人でもわかることですが、大水深を必要とする大型船舶は、その停泊料金の高さのゆえに、少ない荷物のために、たとえ完備されたバースがあっても寄港はいたしません。貨物が量的に見込まれても、それが定期化されないと航路の開設には至りません。現在、神戸、大阪港に和歌山のコンテナ貨物が年間八十万トン着荷しているそうですが、これも和歌山に大水深のバースがないという理由だけではなく、貨物の量的な問題、その定期性の問題も深い関係があります。深い港がないから来ないというような単純なものではないと思われます。それだけの貨物を確保するためには、港の背後の都市の経済力が決定的です。その力が、和歌山市を中心にした経済圏には見込まれません。
 以上のような前提条件が具体的に満たされない限り、少なくとも現実的に予測できる状況が生まれない限り、大水深のバースは恐らく不要であろうと思います。もちろん、大型船舶も時には寄港するかもしれません。「四百億円の釣り堀」と言われる福井の港にも、船が入らないわけではありません。問題は、費用対効果の問題です。有効に効率的にその港湾が機能するか、税の投入にふさわしい効果を発揮するかが問題です。大水深の港をつくればそれにふさわしい貨物が発生するという発想は、逆さまではないでしょうか。その逆さまの視点から莫大な税が投入される今回の計画は余りにも先行投資的であると私は思いますが、当局の答弁を聞かせていただきたいと思います。
 次に、木材輸入と港湾建設の関係についてお尋ねをいたします。
 当局の説明によりますと、現在事業中の十三メートルバースは当分コンテナ貨物用に、十四メートルバースは木材用に活用すると言われております。そこで、木材輸入を今後どのように展望しているかをお尋ねしたいと思います。
 当局の説明によりますと、目標年次ぐらいまでには木材輸入は三十万トンぐらい増加するだろうと予測いたしております。平成六年が計画の起点だと思いますので、その時点の輸入を見ますと約五十万トンです。それに三十万トンを加えますと、八十万トンが計画年度の輸入予測になります。この量は、ここ二十年のうちの最盛期、平成二年の約七十万トンを十万トン上回るものです。この平成二年と言えば、バブル経済の余韻がまだ熱く残っており、住宅建設が一つの頂点をつくっているときでした。そのバブル期をさらに十万トン上回る見込みとなっているわけです。十数年先にバブル期を上回る住宅建設を筆頭とした木材需要が果たして起こり得るのか。八十万トンと言えば現在の輸入量の約二倍を超える量ですが、十年先にそのような輸入が果たして見込まれるのか、甚だ疑問であります。
 全国的な統計を見ても、和歌山の統計を見ても、原木輸入はジグザグの線をたどりながらも下降線を描いています。現に、和歌山下津港の平成八年の木材輸入は平成二年の五四%にとどまっています。十年余り先に木材輸入が倍以上になるとは、私は到底信じられないのです。木材産業は和歌山県の大きな産業の一つの分野ですから、このように輸入が減っている、木材産業が沈滞しているということについては、悲しいことではありますが、現実の問題であります。木材輸入の傾向として集成材のような加工されたものの輸入がふえて原木輸入が減少してきつつあることも大きな問題ですが、これはこれとして別に対処しなければならない問題だと思います。また、別の見方に立って、最盛期からわずか十万トンしかふえないのかという見方に立てば、従来の港湾で十分間に合うということにもなります。
 木材船の大型化について言えば、元運輸事務次官・住田正二氏によると、北米材を運ぶ船舶は大きくても二万六千トンから二万八千トン、十メートルあれば十分対応できるとして、木材船の大型化を理由に大水深のバースの建設がある種のはやりになっていることを厳しく批判いたしております。運輸省は、七万トン級が木材を運んでくる可能性というのも言っておるようですが、まずその可能性は考えられないとも海運の業界関係者も述べています。
 さらに、国内林業を発展させる立場から考えるとき、外材輸入を積極化させる設備の拡張に疑問を感じざるを得ません。本年三月、この議場において満場一致で「輸入木材の削減を求める意見書」というのが採択をされたことは、当局の皆さんもご承知のことと思います。そこでは、無秩序な外材輸入が我が国の森林を荒廃させ、林業関係者の仕事を奪い、過疎化を促進させていることを訴えています。そしてさらに、適切な施策が講じられるならば、近い将来、国産材の時代は確実に到来するであろうとして、政府にあっては、輸入木材による木材価格の圧迫が国内林業の経営を困難にしている実情を賢察され、秩序ある輸入に必要な措置を講じられたいとしているのであります。
 十四メートルバースや三十三ヘクタールを超える埋立地まで建設して輸入を拡大しようという態度とは全く異なり、現状より輸入を削減しようというのが意見書の姿勢であります。大水深バースまでつくって、一体どこまで輸入を拡大したいと考えているのですか、当局の見解を示してください。
 和歌山県経済との関係についてどのように考えているのかも、またお示しいただきたいと思います。
 港湾建設が地域振興と雇用の創出を促すなどの理由で今回の建設に賛意を表している方々もおられるようですが、和歌山県経済にどのようなメリットをもたらすものか、ひとつお答えいただきたいと思います。もちろん、港湾建設中はそれなりの雇用は当然考えられますが、ベイフロンティア構想を概観する限り、壮大な通過点だけが築かれるようにしか見えません。港湾建設が県経済に何をもたらすのか、研究があればお示しください。
 次に、景観問題についてお尋ねをいたします。
 景観検討委員会が続けられているところですので、当局が直接見解を述べるのは難しいことかもわかりませんが、一定の事務局案のようなものも出ていますので、現在時点での当局の見解をただしたいと思います。
 事務局案──検討委員会での討論のたたき台といった性格のものなのでしょうが、それでは、大島から二十度離した延長線以内ではどうか、あるいは田倉崎を見通した線以内ではどうかなどを一つの考え方として検討されているようです。いずれにしても、将来構想としての大水深バース二基を前提に提起されているようです。もっと根源的な問いかけ、雑賀崎の景観はこれ以上損なってもいいのかどうかという観点、あるいは西浜区域が一期から五期にわたる埋め立てで自然は大きな破壊を受けて、一帯は昔の面影など全くなくなってしまっているのだが、これ以上埋め立てしてもよいのだろうか、そんな視点は事務局案には全くありません。西防埋め立てに対してこれ以上雑賀崎の景観はいじってはいけないとくぎを刺されていたことなども、全く問題にされていません。あくまでも埋め立てが必要で、それがどこまで許されるかという案にとどまっています。
 雑賀崎の方々が中心になって多数の署名を集めた訴えは、景観破壊につながる埋め立ては一切してくれるなということでした。当局は検討委員会に、その立場についてまず検討を促すべきではないでしょうか。どこまで、どのあたりまで埋め立てても許されるかと視線の角度を少しずつずらすやり方では、景観保護の視点が欠けています。岬に立って人々は、前方だけを見るのではありません。視覚いっぱいに広がる景観の中にその価値を見出します。右半分の変な景色がなかったらというような条件つき景観などは、その価値を半減させるどころか、それ以下のものにしてしまいます。大島から二十度、あるいは田倉崎を見通す線云々は確かに当初の計画よりいいかもしれませんが、五十歩百歩の感を免れません。
 話は少し変わりますが、先日、知事の新しく上梓された「くまの九十九王子をゆく」を拝読いたしました。熊野古道の絶好のガイドとして、なかなかのものでございました。本日の毎日新聞の一面の書籍の広告欄にも、この「くまの九十九王子をゆく」が紹介をされておりました。多忙の中、よくぞ歩かれて記録されたものだと、敬意を表したいと思います。知事の和歌山を愛する心が全ページにあふれて、温かい人柄を忍ばせる好著だったと思います。
 その中に、こんなくだりがございます。「私は和歌山県の海岸ほど美しいところは日本中にないと自負しています。県下すべての海岸が『勝地』なのです。これは神様の至芸ではないかとさえ感じます。紀南の海を見て育ったから言うのではありません。和歌山県民がひとしく持つ誇りではないかと思うのです」と記されています。
 全く異議がございません。そのとおりです。雑賀崎の皆さんも、雑賀崎の呼びかけにこたえた皆さんも、知事と同じなのです。だからこそ、そこは埋めないでくださいと訴えているのではないでしょうか。
 著作の中に、美しい切目の海岸の写真がありました。知事のコメントとして、「切目海岸は昔も今も旅情をなぐさめてくれる」とされております。その風景のそばに百ヘクタールを超える埋立地を想像してみてください。知事はきっと耐えられないと思います。雑賀崎の皆さんの心も、呼びかけにこたえた皆さんの心も、きっと同じだと思います。海岸線は神の至芸とする知事の心と、雑賀崎の景観は心のふるさととする人々の心は、まさに一つだと思います。
 雑賀崎景観問題は、今回の港湾計画を前提とせず白紙から、つまりこれ以上雑賀崎を損なうことが後世に対してもいいことなのかと白紙から問い直していただきたいと希望するものですが、知事の所見をお伺いいたします。
 また、廃棄物問題が焦眉の課題となっているとお聞きします。当然、放置できない問題ですが、廃棄物が出るから雑賀崎というのは余りにも短絡に過ぎます。最も被害の少ないところの調査検討を継続すべきです。建設副産物対策連絡協議会などでは雑賀崎への投入を当然のこととして全体の計画を立てているようですが、近畿でも一番おくれている再利用の研究をもっと急ぎ、右肩上がりの公共事業の計画を現実に即して是正し、早急な対策を検討し直すべきではないでしょうか。埋立計画の修正に伴って残土処理計画の変更も論じられているわけですから、できないことはないはずです。どうしても雑賀崎でなければならないという理由はないと思いますが、いかがでしょうか。
 港湾関係の質問の最後に、木材需要の今後の可能性やコンテナ貨物の増加の可能性について、当局の説明を受ける限りでは、十三メートル埠頭ができればほぼ解決できるし、十数年後の展望はほとんど恣意的なもので、その見通しには全く科学性がありません。埠頭用地については、もし不足するなら現在造成中の企業局の用地を活用することもできます。そのような観点から現計画を一たん白紙に戻し、経済的な将来展望が描けるようになってから再検討されてはいかがでしょうか。
 なお、地港審での結論や中港審での結論をいつをめどにしておられるのかも、この際お答えください。
 次に、教育関係について二点、通告に従いましてお尋ねをいたします。
 まず、夏の学校の温度管理はこのままでよいのだろうかという問題です。
 過日の新聞報道によりますと、県の教職員組合が七月九日、午前十時と午後二時と二回にわたって教室、保健室、給食調理室の気温を調査した結果が報道されていました。調査対象の学校数は、小学校が百五十九校、中学校が七十四校、市町村別では四十七市町村にわたっているようですが、その結果、室温が三十度を超えた教室が一千七十二教室で調査対象の九四・七%となっております。子供たちの声としても、暑くてたまらん、勉強にならんという声が随分と多かったようです。
 ちなみに、文部省は教室の適温を、学校保健法の精神に基づいて夏は三十度以下、望ましい室温は二十五度から二十八度と定めています。瞬間的な高温ならやり過ごせるでしょうけれども、相当長時間であれば、確かに三十度を超えれば学習環境としては問題だという気がいたします。しかも、七月九日が特別に暑い日ではなかったようで、いつもと同じとか、いつもよりましとか答えた教室が八五・五%あったということですから、このような状況は夏場はもう常態化していると考えられます。
 また、保健室の状況では四十六室中四十室が三十度を超えておって、三十度以下の十六教室には既にクーラーがあったそうです。保健室の三十度以上というのは、健康上から見ても相当考えなければならないという気がいたします。
 また、給食調理室では、熱源の近くでは四十度を超すというところもあったようで、ここも改善しなければならないところが数多くあるようです。ちなみに、給食調理室では学校保健法に基づき温度は二十五度以下とされているようであります。
 ついては、お尋ねいたしますが、教育委員会が主体的に学校の気温について検討したことがありますか。もしなければ、調査して気温から見た学習環境のあるべき姿を研究してみてはいかがでしょうか。大人の多くは冷房の中で仕事をしており、子供の大多数も家庭に帰れば冷房を使っているという生活があります。教室だけに冷房がないという特別の環境になっているようです。
 私などは、暑い寒いを辛抱させるのも教育のうちだというようについ考える方なのですが、時代が、また環境が変わってまいっておる現代です。教育行政として検討してみる必要がある、そういう時期に来ているように思います。私立の学校などでは冷房完備などというところも多くなってきています。時代の方向でもあろうと思います。すぐにとは言いません。学習環境と気温ということで検討して、そのような方向を考えてはいかがでしょうか。
 保健室には、ぜひ冷房装置をつけてあげていただきたいと思います。教育委員会の調査によりますと、冷房装置の設置率は、保健室では小学校で四二%、中学校では四六%だそうです。半分近くのところまでは設置されてきておるようですけれども、しかしまだ半分が放置されている状況です。保健室の意義が今強く論じられているときでもあります。ぜひ早く設置ができるように、県教育委員会としても指導をしてあげていただきたいと思います。市町村の教育委員会の仕事でしょうけれども、県教育委員会としてもできるだけのことを援助するということが必要ではないかと思います。
 給食調理室についても、教育委員会の調査によりますと、設置率は小学校では一五・一%、中学校では二四%、これは予想以上におくれているように思います。学校衛生法でも二十五度以下と示されているところです。最も衛生的でなければならないところで、汗をしたたらせての給食作業というのも大変問題であろうかと思います。ここにも実情調査をして、できるだけ早く二十五度以下を維持できるような設備の改善を図るべきだと思います。教育委員会の所見を聞かせていただきたいと思います。
 次に、司書教諭の配置についてお尋ねをいたします。
 学校に司書教諭を置くことが昨年六月の国会で定められて、当局としてもしかるべき対応がされていると思いますが、関連して幾つかお尋ねしたいと思います。この問題については昨年の本議会でも議論のあったところですが、私は少し角度を変えて問題を提起したいと思います。
 私は従来より、司書教諭については専任の教諭が必要だということを述べてまいりました。新しい法改正はそのことには一切触れず、ただ十二学級以上の学校には司書教諭を置かなければならないとしているだけで、専任の教諭の配置は定められませんでした。
 もともと、学校図書館法のただし書き条項、当面の間、司書教諭は置かなくてもよいこととするという条項は、国の財政事情によるところのものでした。それがずるずると今日まで放置されていたというわけですが、本来なら財政的措置が前提となるはずの法改正が、そういう措置は全くなく、単に現在の教員の中に司書教諭を置きなさいというだけのものにとどまってしまいました。このような改正なら、別に四十年以上も放置せずともよかったはずです。図書館を見直すということはよいことですが、この法改正では、学校図書館と図書館教育を飛躍的に前進させようという姿は私にはほとんど見えません。
 図書館教育は、専門的知識とそれを活用する十分な時間が必要です。担任や教科を受け持ちながらの非専任の司書教諭がどれだけの仕事ができるのかは、大変疑問に思います。学校司書でも配置されておれば相当程度その意義が生きてくるでしょうが、それさえ配置されていない中では、本来の司書教諭の仕事は十分にこなせないと思われます。
 もちろん、司書教諭がどの程度の仕事をするべきかという認識の問題もあろうかと思いますが、ここでは大変貧しい図書館教育の姿が想像されます。こういうことでいいのでしょうか。教育長の所見を聞かせてください。
 非専任の司書教諭に大きな期待をかければかけるほど、教員全体への新たな負担が想像されます。今でさえ、授業内容の多さから学習指導の困難が言われているときです。本来すばらしいことであるはずの図書館教育が新たな矛盾を生み出すのではないかと危惧いたします。矛盾を生むほど仕事があるわけではないと言われるならば、図書館教育自体が何ほどのものかという疑問も新たに生まれるところです。
 私も、専任化の難しさは承知しております。現在進められている定数改善さえ遅々として進まない現実が目の前にあるからです。しかし、さまざまな工夫をして学校司書を置いている自治体もあります。さきの質問のときにも紹介したことがございますが、例えば岡山市では小中全校に司書が置かれ、学校図書館にはいつも子供がいるという状況も報告されています。日野市にも、条例で設置が定められています。最近、箕面市の小学校でもすべてに司書が配置されているということが国会でも報告されておりました。それによると、司書の方々の一日の日程はびっしりと詰まっており、いかに多くの仕事がされているかがわかりますし、子供たちに喜ばれているかがわかると述べられています。そこでは、近いうちに中学校までその制度が普及されるそうです。
 県が設置するのが最も望ましいことでしょうが、また市町村が独自に努力することも大切なことかもしれません。教育委員会としての見識を示してはいかがでしょうか。それにこたえる市町村に何らかの財政的援助ができるようになれば、和歌山県の図書館教育も大きく前進するものと確信するものであります。教育長の所信を伺って、私の第一問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 まず、ベイフロンティア構想についてであります。
 ベイフロンティア構想は、大阪湾の玄関口に位置して海の国際軸とも言える太平洋航路に近接するという和歌山下津港、日高港の有利な立地特性を生かしまして、港湾施設整備による物流機能の拡充により、一つとして大阪湾海上交通の負荷軽減、二つ目に陸上高速交通網と連係した物流の効率化、三つ目に大規模地震等の災害に備えたリスク分散という役割を果たしていこうとするものでございます。和歌山下津港を含む紀伊水道の長期的な展望でございまして、将来ビジョンであると考えてございます。
 次に、国におけるベイフロンティア構想の位置づけにつきましては、平成八年から九年度に国土庁、水産庁、通商産業省、運輸省、建設省の五省庁により実施をされた紀伊水道地域連携整備計画調査で検討がなされたところでございます。
 その結果、報告書におきましては、陸海空の交通の要衝といった地理的な特性を生かし、港湾物流機能等の阪神地域との分担や地域の自立性を高めることにより、二十一世紀における魅力ある生活圏域を形成することが望まれるというふうにされておるわけであります。この自立的発展を促すことを目的として提案された連携プロジェクトの柱の一つである物流ネットワーク形成プロジェクトといたしまして、大阪湾諸港と機能分担するベイフロンティア構想の推進が位置づけられておるわけでありまして、近畿圏におけるさまざまな会合におきましても、機会あるごとにこの構想の説明はいたしておるところでございます。
 次に、港湾計画に関連して景観保全についてであります。
 景観の問題につきましては、和歌山下津港本港沖地区景観検討委員会を設置いたしまして、委員の皆さんに地元の方々の意見も聞いていただいた上で、景観についての検討をいただいているところでございます。これまでのところ、景観上配慮すべき事項について幾つかのご意見も出ているような段階でございまして、さらに、これまでの経緯と現在の検討状況については八月の地方港湾審議会で報告いたしますとともに、港湾機能面も含めたご意見をお聞かせいただき、現在、港湾機能面の検討も行っているところでございます。
 今後、景観の保全につきましては、景観検討委員会におきましてさらに検討していただく予定といたしております。
 他の問題については、土木部長から答弁をいたします。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員のご質問にお答えいたします。
 まず、船舶の大型化と大水深バースの必要性についてのご質問でございます。
 このマイナス十五メートル岸壁の問題でございますが、これにつきましては今回の港湾計画には位置づけておりませんが、将来の需要動向を見きわめながら、北米・欧州航路の寄港も視野に入れまして、将来の構想として取り組むべき事項であると考えているところでございます。
 また、議員ご指摘のように、港の貨物量は背後圏の経済力とも大きな関係があるというふうには考えられますが、先般国において出された二十一世紀の国土のグランドデザインで位置づけられました太平洋新国土軸などの高速交通網の整備によりまして、将来、和歌山市を中心とした背後圏が拡大し、物流拠点としてのポテンシャルの向上が見込まれるというふうに考えております。これに対応するためには十分な港湾機能の確保が必要になってくると考えているところでございます。
 なお、費用対効果につきましては、事業実施に際しまして、整備手法、事業費などが明確となった時点で詳細に検討していきたいと考えております。
 次に、木材輸入の展望と港湾建設についての問題でございます。
 将来の原木の輸入量につきましては、目標年次における全国の住宅建設額をもとにして木材輸入と住宅需要の相関関係から外材輸入量を出します。現況シェアから和歌山下津港の背後地域の輸入量を推計するとともに、企業ヒアリングやアンケート調査もあわせて推計しております。
 また、和歌山下津港で取り扱っている原木につきましては、北米材が主となっております。近年、北米材輸送に投入されている木材運搬船が大型化しておりまして、既に四万五千重量トン以上の船舶が我が国の港湾に入港している状況であり、その満載時の必要岸壁水深はマイナス十四メートルとされておるわけでございます。一方、外材輸入関係業者などからも、効率的な輸入計画や大量一括取り扱いによる北米材単価の低減のためには喫水調整をすることなく満載状態で入港できる大水深岸壁が必要である、こういう要望を受けております。このようなことから、目標年次において入港が想定される船型を考慮し、マイナス十四メートル岸壁を計画したものでございます。
 次に、港湾建設と県経済についてのご質問でございます。
 和歌山下津港は、港湾運送、海上運送、倉庫業、こういった港湾関連産業や港湾機能を利用する臨海部の製造業などの活動の基盤となっております。そのため、和歌山下津港が和歌山県全体に占める経済効果の割合は非常に高くなっておりまして、雇用者数では県全体の約五分の一、また地方税収入では三分の一以上という推計結果が示されております。
 また、現在和歌山県内で発生集中する外貿コンテナ貨物のほとんどが神戸港、大阪港で取り扱われているのが現状でございますけれども、現状でも年間約八十万トンとも見込まれているこれらのコンテナ貨物を和歌山下津港で直接取り扱うことができれば毎年約二十六億円の陸上輸送コストの削減が図れると、こういうふうに試算しております。和歌山下津港において所要の施設を整備することにより輸送コストの低減につながり、ひいては県内企業の市場競争力の向上、消費物資の確定化といったものにつながるとともに、流通産業などの集積を初めとする産業立地の促進、地元雇用機会の増大など、地域の社会経済活動の活性化につながるものと考えております。
 次に、残土処理の問題でございます。
 今回の港湾計画におきましては、和歌山下津港の外国貿易機能の拡充を図るために、土地利用の観点から既に一定の外国貿易機能が集積していること、また背後幹線道路へのアクセスが比較的整備されていること、かつ大型船が操船できる十分な広さの水域が確保できること、こういったことなどから、本港沖が最も適当であると判断いたしまして、所要の港湾機能を位置づけたものでございます。また、紀北地域の環境保全を図る観点から、建設残土やしゅんせつ土などを受け入れる必要があり、本港沖における土地造成の埋め立て用材として有効活用を図ることとしたものでございます。なお、和歌山下津港における既存の西浜地区の海面処分場につきましては、平成十年五月に満杯となっております。
 最後に、港湾計画を白紙から検討をというご質問でございます。
 今回の港湾計画につきましては、平成二十年代前半を目標年次として外国貿易機能の拡充や紀北地域における建設残土などの処分場を確保することなどを基本方針といたしまして、十数年後の物流需要や船舶の大型化など、適切な需要予測のもとに、その上で必要となる港湾機能の配置をした改定を行ったものでございます。
 なお、その具体化に当たっては公有水面埋立法に基づく手続が必要でございまして、既存岸壁の利用状況及び貨物需要の動向を勘案した上で事業着手する必要があるというふうに考えております。
 また港湾計画につきましては、景観検討委員会での検討などを踏まえて対応していきたいと考えており、変更が必要になればできるだけ早い時期に改めて地方港湾審議会で審議していただき、変更の規模によっては国の港湾審議会でも審議していただくことになります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題、二点についてお答えいたします。
 まず最初に、学校における温度管理、特に冷房施設についてであります。
 県立学校では、保健室、進路指導室、情報処理室等に冷房施設を設置しているところであります。小中学校におきましても、大規模改造の際に保健室、特別教育を中心に冷房施設の設置を図っている状況でありますが、特に保健室につきましては、文部省事業の心の教室整備事業の活用等を含めて指導してまいりたいと考えております。
 また給食調理室では、食品の管理、保全等の立場から高温多湿を防ぐ対策として、通風をよくするための設備の改修、冷房や強制換気装置、給食調理員へのスポットクーラーの設置及びドライシステムへの切りかえなどの工夫を講じているところであります。
 なお、普通教室につきましては今後の検討課題であると考えております。
 次に司書教諭についてでありますが、学校図書館は学習上必要な資料を提供し、授業の展開に役立てるとともに、児童生徒の豊かで健全な教養の向上を図る上で極めて重要な役割を担っております。このため、学習活動や図書についての専門的知識、技能、実務経験等を備えた教員を確保することが肝要であります。
 本県では和歌山大学等と連携しながら有資格者の養成に努めてきているところであり、平成十五年度には必要とされる学校への円滑な配置ができるよう、今後も引き続きその拡大を図ってまいりたいと考えております。
 司書教諭には、図書館教育全般の充実振興に指導的役割を果たすことが求められます。そのため、今回の法改正の趣旨はもとより、司書教諭の担う職務について現職教育等を実施し、学校全体の理解を深めるとともに、校務分掌上の工夫を行うなど、校内の協力体制の確立に努め、司書教諭がその職責を十分遂行できるよう指導してまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をいたします。
 第一問で、ベイエリア構想が、大阪、兵庫を初めとした関西レベルでどのように協議されているのかというような質問をいたしました。そこで、そういう集まった場ではいろいろ訴えてもいるというお話もありましたけれども、役割分担というのは、やはり相互の協議の上で相互の事務分担が定められるものだと思います。
 私は、このベイエリア構想というのが現在の段階ではまだまだそこまでいっていない、和歌山県と徳島県での協議にとどまって、そこから先に進んでいない状況ではないかと思っております。そういう協議がないままに二十一世紀の未来を見据えてと言われるような大構想を立てられて──構想自体はいいとしても、それでもって神戸、大阪間との役割分担を掲げ、港湾計画に現実的に入っていくというのは余りにも短絡的ではなかろうかと思います。
 国の方においても、この構想、プロジェクトを推進しようという積極的な立場で現在あるという状況ではありません。もちろん、国の方がこれはだめだと言っているという意味ではありませんが、まだ国の段階でも調査の中の一つとしてそのベイエリア構想の存在が認められているという程度で、研究自体がテーマになっていると、そういう段階であろうと思います。そういうレベルで大規模な港湾計画を策定して、その一環として今回の港湾計画を具体化していこうという点は、先ほども申し上げましたように、やはり冒険的あるいは先行投資的ではないかというふうに思います。
 港湾機能は、やはり少なくとも神戸、大阪、それから堺、泉北、和歌山下津港、それから四国周辺の港湾とそれぞれがどのような機能分担をしていくのかという合議があって、そうして和歌山下津港はかくあるべしという形に策定をされていくべきだと思うんです。それがないままに、どんどんそれぞれがやっていくというところにむだが生まれてくる非常に大きな原因があろうと思います。
 そういうむだの中で、和歌山下津港が福井の港のようになってしまうことが大変懸念をされるわけです。そういうことはないという保証があればいいんですけれども、それがない段階で今突っ込んでいくというところに大きな危惧を感じます。そういう点で所見を伺いたいと思います。
 船舶の大型化と大水深の問題です。
 これも考えていただきたいと思いますが、大阪港は今まで全部十三メートルでやってきています。そのバースであれだけの仕事ができているわけです。現実になるかどうかわからないグランドデザインによる後背圏の拡大、それによる物流拠点のポテンシャルの向上というのを前提としてこれからの和歌山下津港の港湾を実際的に建設していくというのは、大変危険なことだと思われます。そういう心配はないんだということであれば、その心配のない根拠を具体的に示していただきたいと思います。
 国のプロジェクトでも、途中でストップしたというものが決して少なくありません。壮大な夢の後に財政難にあえぐ自治体も、我々の周辺にも見るわけです。そういう点は、やはり慎重にあるべきだと思います。
 費用対効果という問題も、事業化するときに考えますということですけれども、計画段階で当然、大枠は推計されてしかるべきだろうと思います。計画をどんどん進めていって、そして事業化の段階になってそれを行うといっても、しかしそれは余りにも遅過ぎたというようなこともあり得るわけですから、こういう問題は可能な限り早く手をつける、そういう姿勢が必要であろうかと思いますが、いかがでしょうか。
 それから、三番目の木材輸入の問題です。
 これは、船が大きくなってくるから必要だということでは納得がいきません。輸送船を持つ業者の方が水深が深い方がいいと言うのはこれはもう当たり前の話で、こればかりは大は小を兼ねるわけですから、業者が言うのは当然であろうと思います。しかし問題は、そういうものをつくる必要が本当にあるのかどうかということだと思います。四万、五万トンの船が日本に入ってきている例があるというのは私も承知しておりますが、そうしたらそれが木材輸入の量との関係で和歌山に入ってくることがあるのかということになると、これは大きな疑問を感じざるを得ないわけです。
 しかも、木材については、先ほども申し上げましたように、全体としては下降傾向にあります。将来、ジグザグの高低で推移する中でふえることもあろうかと思いますけれども、あの最盛期を超えるような木材輸入が早急に来るであろうということは考えられない事態です。
 また、先ほど国産材の発展のために外材輸入は抑制すべきであるという意見を紹介いたしましたけれども、当局としてもやはりそういう立場に立つ必要があるのではないかと思います。先日の意見書は国に対するものでありますけれども、実際問題としては木材を扱うのはそれぞれの地方港がやっているわけですから、そういうところで木材輸入の拡大を前提として港湾を建設していこうというのは甚だ矛盾をした問題であろうかと思います。そういう点について、土木部長、お答えをいただきたいと思います。
 景観問題については、要望だけをいたしておきます。
 私は、自然に対する知事の並々ならぬ心をあの著作で感じ取りました。従来のご発言の中でもそれは聞いていたわけですけれども、やはりその姿勢で雑賀崎問題を考えていただきたいと思います。
 景観問題の検討委員会にゆだねているということであります。そこの意見は当然尊重されるべきですけれども、白紙で議論をしてほしいということについては、知事の態度としては示すべきではないかと思います。
 教育委員会に二点の要望をいたしましたが、保健室や給食室、これはぜひ早急にやっていただきたいと思います。保健室は、心をいやす場としての役割が昨今特に大きくなっております。そこにふさわしい環境をつくってあげていってほしいと思います。
 司書の問題については、図書館教育がいかにあるべきかというあたりで教育長ともっと議論をする必要があるのではないかというふうに私は思いました。それはまた別の機会に譲りたいと思います。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員の再質問にお答えいたします。
 一点目の問題は、結局、和歌山下津港がそういうふうなものを担えるのかどうか、そういうようなものがあるかということだと思いますけれども、近年、事実関係を見てみますと、地方経済が自立化する、あるいは国際化が進展するということで、大阪湾、東京湾、伊勢湾、こういう三大湾以外の地方圏の港で扱われている外貿コンテナ貨物が増加しているということがあると思います。それから、地方の時代が確実に進展している中で、そうしたことから和歌山下津港におきましても背後圏の外貿コンテナ貨物に対応できるよう所要の港湾施設の整備による物流機能の拡充が必要であると、こういうふうに考えているということでございます。
 それから、二点目でございます。このポテンシャルの問題とも絡むわけですけれども、和歌山下津港の背後地域において現在、近畿自動車道の整備というのもやっておりますし、京奈和自動車道の事業着手といったようなことで、こういう高速交通体系が着々と拡充されてきておるということでございます。こういったことから、物流拠点としてのポテンシャルが向上していくというふうに考えているわけでございます。
 将来の大型船の入港につきましては、北米・欧州航路のコンテナ船の寄港ということも視野に入れておるわけですけれども、具体的には将来の需要動向を見きわめながら検討していく課題、事項であると考えておるということでございます。
 費用対効果につきまして、現在やるべきではないかというふうなご意見ですけれども、港湾計画の策定の段階ではまだ事業手法や施設の構造等が定められているわけではありません。そういうことなので、それが明確になった時点で詳細に検討していきたいと、こういうふうに答弁したところでございます。
 それから木材輸入の問題ですけれども、木材輸入の推計につきましては先ほど答弁いたしましたとおりでございまして、推計方法としては適切なものと考えております。また、岸壁の水深でございますけれども、これも我々としてはそういう需要があるということを前提にして考えざるを得ないわけでございまして、先ほど、現在の就航条件について答弁申し上げたわけですけれども、近年の木材運搬船の建造状況、あるいは和歌山下津港への入港状況のヒアリング、こういったものをもとにしてマイナス十四メートル岸壁が必要だと判断したということでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 再々質問がございませんので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十二分休憩
      ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番上野哲弘君。
  〔上野哲弘君、登壇〕(拍手)
○上野哲弘君 通告に基づきまして、一般質問を行います。
 三日目になりますと重複するところがかなりありますので、できるだけ簡単に質問したいと思います。
 まず、南紀熊野体験博についてお伺いいたします。
 体験博開催まで約半年余になってまいりました。先日、具体的イベントの内容についてその概要が発表され、いよいよ地域において自然型博覧会の機運が盛り上がってくるものと思います。
 何といっても、体験博の目玉は熊野古道にあろうかと思います。去る十七日、スペイン・サンティアゴの道と熊野古道が姉妹道提携がなされた旨、発表されました。熊野古道を日本だけでなく世界に売り込む意味で、大きく前進されたものと思います。また、これからいかに整備し、日本文化と一体となった熊野古道につくり上げるかが大きな課題となってくるものと思います。京都から熊野三山へ、さらに伊勢、吉野、高野と結べば、日本第一になることは間違いありません。
 このたび、知事は熊野九十九王子を回られ、それを本にまとめられて、熊野古道に対する思いがその中で述べられております。その感想を申し上げ、所見を伺いたいと存じます。
 冒頭に、体験博を開催するに当たり、自問自答の末、熊野九十九王子めぐりを決意したとあり、その決断にまず敬意を表するものであります。人それぞれ、口では何とでも言えますが、実践に移すことは至難のわざであり、知事みずから行動されたことは体験博成功の第一歩になるものと感じております。
 さらに、本書で述べられているように、地域における歴史遺産を大切にする意味で南紀熊野体験博は有意義であると同時に、熊野九十九王子を知らずして熊野は語れないと思った知事の行動に拍手を送りたいと思います。ある集落では熊野古道の保存に地区住民が総出で当たられたところもあると聞いておりますが、ぜひ世界に通用する熊野古道につくり上げていただきたいものであります。
 この際、サンティアゴの道との姉妹道提携と熊野古道に対する思いを、まずお聞かせ願いたいと思います。
 次に、体験博における具体的内容において、県が主催するメーン会場としての田辺、那智勝浦のシンボルパーク、十万人の熊野詣を再現する古道ウオーク等、大いに期待できるものと思いますが、市町村イベントについてお伺いいたします。
 さて、さきの議会において申し上げたように、市町村イベントがどのような体制で行われるのか少なからず心配をしておりますが、この体験博はあくまで十六市町村ということになりますので、それぞれ特徴を生かした、満足のできるイベントに期待しておるところであります。
 その意味から、次の点についてお伺いいたします。
 第一に、現在、市町村イベントは百十一本考えられており、その他地域イベントも考えられているようでありますが、土・日開催、または夏休み期間が多いと思われます。ウイークデー開催はどの程度になっているのか、また空白期間の多い市町村について空白を埋めるイベントは今後考えられるのか、伺います。
 第二に、市町村イベント参加者募集について、お互い整理整とんして行うのか、それとも市町村各自で募集されるのか、伺います。
 第三、体験博を開催する目的の一つとして、地域の特性を生かすことが重要と考えますが、紀州木の国、木材を活用したイベントが少ないように感じられます。森林組合や木協の協力を得て木材加工の分野での体験博を考えるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 第四、イベントでの誘客方法として熊野に関係する文化団体等の全国組織への呼びかけも考えられると思いますが、どのようになっておりますか、お伺いいたします。
 以上、南紀熊野体験博についての質問であります。特に市町村イベントについて、もう少し肉づけができないだろうかと考えております。よろしくお願いいたします。
 次に、不況対策についてお伺いいたします。これにつきましては同僚議員がさきに質問されておりますので、重複を避けて質問したいと思います。
 バブル崩壊後、日本経済は衰退の一途をたどり、今日に至っております。今が底なのか、さらに悪化するのか、不透明な状況にあります。また、国会での金融法案成立における与野党の対立に経済がより悪化するのではないかとの憶測に、バブル崩壊後の株価が最安値をつけておるところでもあります。企業においては倒産あるいは減益によりリストラが進行し、失業者が大量に生じており、現在、日本経済は一段と厳しくなっております。
 経済につきましては、複雑であり、余り熟知しておりませんが、不況の原因として、企業の利益が減少することにより人員整理や経費削減が行われ、それが全体の購買力を低下させる経済メカニズムの悪循環が現在の状況であろうと思います。その悪循環終局の引き金は企業における資金繰りのストップであり、今まさに金融対策が緊急の課題として我々の前に立ちはだかっておるところであります。
 今議会、知事説明にありましたように、不況対策として融資枠を百億円から二百億円に追加するとなっております。この制度を利用して融資を受けたい地元企業がたくさんあろうかと思いますが、二百億円に融資枠を広げることによりどのような申し込み状況になっているのか、まずお聞かせ願います。
 次に、これらの報道が一般県民にどのように受け取られているかと言えば、無条件で融資が受けられるものと考えておる方もおられます。すなわち、無担保・無保証でこの制度融資が受けられるものと思っているわけであります。この融資制度の実態は、県から預託金を受けた銀行が貸し出すものであり、その銀行に対しては無担保でありますが、そのかわり信用保証協会の保証が求められ、その保証がネックとなって貸し出しが進んでいないのが実情であります。県においてこの辺の審査がどのようになっているのか、県、銀行、保証協会の対応についてお伺いいたします。
 なお、先日、ラジオ放送で地元野田代議士が融資枠の増大と保証協会の保証について言及されました。その内容を伺いますと、次のようになっております。中小企業対策として四十兆円の融資枠を考えている、これはすべて国の負担で行い、保証協会へは貸し出しの保証を積極的に行うよう指示するというものであります。さらにつけ加えて、企業は大いに申し込みをされたらよいと述べられており、この発言について県のとらえ方はどのようになっておられるのか、お伺いいたします。
 次に、商店街の振興についてお伺いいたします。
 ある中央紙に「商店街絶滅の危機」との見出しがあり、並行して「地域の顔 再生に期待」と書かれておりました。今まさに商店街の復活が叫ばれておるところであります。この現象は日本全国津々浦々の中小都市に波及しており、県下だけのものではありませんが、我々としては手をこまねいて見過ごすわけにはまいりません。二十一世紀に向けて商店街の再生は、地域住民はもとより行政においても避けて通れない深刻な問題となってきております。
 その衰退の要因として、次のようなことが挙げられます。一番に大型店の進出、続いて後継者不足、店の努力不足、空き店舗の増加、駐車場の不足、業種構成に魅力がない、転廃業の増加、商圏人口の減少、行政における対応の不十分とあり、それらの衰退の原因を要約すると、社会の変化に商店街が対応できなかったということであろうと思います。
 今日まで、歴史はさまざまなことを教えてくれております。すなわち、時代に合わなくなったものは消えてなくなっているということであります。地方都市の顔である商店街が消えてなくなる運命にあるのか、それとも再生が可能なのか、今、地元自治体及び地域住民に問われているところであります。
 それでは、参考として、ある市の状況を申し上げたいと思います。再生に向けての対策として、再開発事業や商店街の充実を図るため、商店街の長さを短縮するなどが持ち上がっている、しかし、その足取りが鈍いのは、この商店街の現状は今点滴で持ちこたえているような状態で、活性化しようにも個々の商店が弱り過ぎていると指摘しております。一方、この町の衰退の原因は大型店の影響である、市の中心部から車で二十分、市境を接する地域に他町による第三セクターのショッピングセンターができ、駐車場収容台数二千台、大型スーパーと食品、衣料など約六十店の専門店が整然と並んでいる、その出店には既存の商店街から進出されており、だれもが生き残りに必死だ、沈みかけた商店街から商店が逃げ続けていると述べられている。
 それでは、商店街を再生するにおいて、まず問題点を整理する必要があります。これまで多くの商店街は、大店法に守られて経営者のレベルアップを怠ってきたこと、商店街には不動産など商店以外の安定収入を持つ兼業商店が多く、本業での営業努力の不足が見受けられ、またどこの商店街へ行ってもアーケードや街路がかわりばえしないのは国、県の補助事業にあるなどと言われております。このような状況の中、他県では新たな打開策を考える上で、経済の研究グループがスーパーとコンビニ店しかない町に地域の担い手や新しい文化が育つのだろうかと心配する、消費者団体や行政、産業界に呼びかけ、商店街の再生を目指す県民会議の結成に立ち上がっている、また、二〇〇〇年には大店法が廃止されることが決まり、商店街を取り巻く状況はさま変わりする、さきの国会で成立した大店立地、中心市街地活性化、改正都市計画の三法は、政策の柱を従来の出店調整から欧米流の地域の実情に即して商店街や大型店のあり方を都市計画の中に位置づけるという手法に改めるものだ、もはや行政による保護は期待できないが、関係者に意欲とアイデアがあれば地域づくりの中で商店街の再生を図ることができる、その環境は整いつつある、すぐれた商店街を抱えることで地域は潤いや個性を保てる、これからの商店街にはこうした役割が期待されていることも見落としてはならないと結んでいる。
 厳しい社会状況の中、商店街の将来は悲観的であると分析されておりますが、前段で指摘されたように、新たな発想や創意工夫が商店街に活力を与えるものと考えます。現在、県当局及び地元自治体が商店街の振興に向けてどのような対策を考えておられるのか、また商店街自身どのような考えを持っておられるのか、伺うものであります。
 また、このことに関連して、県立医大跡地の利用計画が隣接する中心商店街の再生に向けて大きなインパクトになるものと考えますが、県当局はどの程度の計画を考えておられるのか、さらに実施時期について、本来なら医大移転即利用計画の実施が望ましいわけでありますが、目標とされる時期についてお伺いいたします。
 次に、一般廃棄物についてお伺いいたします。
 最近、環境破壊及び人体への影響として、ごみ焼却によるダイオキシン問題がテレビ等で報道されているところであります。また和歌山県におきましても、橋本市の産業廃棄物処分場の免許を取り消すなど、社会問題化しております。今議会においてもこの問題は質問されましたが、重複を避けまして、市町村における一般廃棄物処理についてお伺いいたします。
 まず、ダイオキシン発生のメカニズムから、処理場施設の建設許可が百トンとなっております。大都市周辺ならいざ知らず、地方の山間部や小都市ではその基準に達しません。当然、広域処理となります。現在、厚生省においてどのような指導がなされているのか、また補助事業の内容についてお伺いいたします。
 次に、新宮市が計画している施設はごみを焼却する方法でなく固形燃料化するRDFと聞いておりますが、この場合どのような最終処理を考えているのか、またそれについて県はどのような対応を考えておられるのか、広域処理とあわせてお伺いいたします。
 続きまして、フリースクールについて。 
 少子化が急速に進む一方で、小中学校の不登校児童生徒がふえ続け、昨年は十万人を超えてしまったと言われております。その原因はいじめや子供の価値観など複雑に絡み、教育現場でその対応に苦慮しているとなっております。現在、学校としては学校嫌いの児童生徒に対して無理に学校に来させているのか、あるいはその子の自主性を尊重しておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
 これらの問題における報道では、学校嫌いの児童生徒が民間のフリースクール等に通っているとなっていましたが、和歌山県の現況について、また文部省はフリースクールにもある程度の補助制度を設ける旨の発表がありましたが、その内容についてお伺いいたします。
 フリースクールが社会の要請によって認知されるのであれば、現在、過疎地域において廃休校になっている校舎を開放して利用推進を図ってもいいのではないか。さらに、人生八十年の時代、教育のノウハウを有した人材を六十歳代で埋もれさすのはもったいない話であります。その方々の実績を生かすためにも一考すべきであると思います。
 また、バブルが崩壊した日本社会はいま一度、精神的にも江戸時代に戻るべきであると指摘する学者もおりますが、フリースクールが江戸期の寺子屋になるとしたら、それも一つの発想になると思います。現在の不登校児童生徒への対応についてご所見を伺うものであります。
 以上、一般質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの上野哲弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 上野議員にお答えをいたします。
 南紀熊野体験博に関連をして、サンティアゴの道との提携、及び熊野古道に対する私の思いはどうかというお尋ねでございます。
 南紀熊野体験博の理念は、自然と歴史、文化を肌で感じて心をいやしてもらおうということにございます。私自身も、熊野九十九王子社の古跡をめぐってみて、歴史の重みを感じるとともに、熊野古道がいかに重要な役割を果たしてきたかを痛感し、また忘れられ、消え去ろうとしている王子跡のあることを思い、この貴重な歴史文化遺産を大切にしなければならないと感じたわけであります。また、九十九王子めぐりを思い立ちましたのは、熊野博に関連をいたしまして知事として私に何ができるか、それはみずから広告塔の役目を果たすべきだと思ったからであります。
 今回、姉妹道提携を締結する世界文化遺産として名高いスペインのサンティアゴの道とは、長い歴史の中で栄え、今なお人々の心をいやす道として愛され、文化・観光資源としても地域振興の重要な財産であるという共通点があるわけでございます。こうしたことから両道が姉妹道提携をして交流を図っていくということは大変意義深いことでありまして、私もサンティアゴの道を少し歩きたいと思っておりますけれども、熊野古道を国内のみならず、さらに世界にアピールすることができる絶好のチャンスと思っております。そのことがまた南紀熊野体験博の成功に大きな弾みになるだろうと、そういうふうに思っている次第であります。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 上野議員ご質問の、南紀熊野体験博と一般廃棄物処理についてご答弁いたします。
 まず南紀熊野体験博でありますけれども、そのうちの第一点目の市町村イベントについてであります。
 議員ご指摘の市町村が実施するイベントは、地元の方がつくったその土地ならではの体験ができるリゾート体験イベントであり、土・日及び夏休み以外に実施が予定されているのは五件程度でございます。これは、リゾート体験イベントの内容が南紀熊野地域の特定の場所で短期間滞在型──一泊か二泊──のプログラムを用意し、それぞれの来訪者が自分に合った楽しみ方を見出せるようなメニューを提供するものであります。来訪者側の便宜を考慮すれば、土・日や夏休みに実施せざるを得ないものであると考えてございます。
 次にイベントの充実についてでございますが、南紀熊野体験博のイベントが期間的にも地域的にも、また連続的に実施されることも重要であると考えております。そこで、リゾート体験イベントのほかに、伝統的な祭りや行事に加え、この博覧会を契機として住民の方々が地域の特性を生かした新たなイベントを創出することにより次の世代への伝統をつくっていこうとする地域イベントが期間中、合計百五十三本実施される予定でございます。今後も、さらにイベントの充実を図るため努力をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、市町村イベント参加者募集についてであります。
 市町村イベントのうちリゾート体験イベントにつきましては、原則的には南紀熊野体験博実行委員会がインターネットや公式ガイドブック等で一括して募集し、参加申し込みの受付は実行委員会予約センターで一括して行います。一方、地域イベントにつきましては、基本的にはだれもが参加できる行事や祭りを中心として構成されておりますが、例えばアクアスロン大会のような募集型イベントにつきましては、インターネットや公式ガイドブック等で募集を行うと同時に、それぞれの地域実行委員会においても募集をしながら受付事務を行う予定でございます。
 続きまして、木材を活用したイベントについてであります。
 地域の特性を生かすための木材を活用したイベントとして現在実施を予定しておりますのは、リゾート体験イベント等のプログラムの一部としての木工体験、あるいは木工作品づくり、カヌーづくり等がございます。こうしたプログラムは、木材に触れることが少なくなった現代人、特に子供たちにとって非常に魅力的で貴重な体験になるものではないかと考えてございます。また、一般の人でも組み立てられる間伐材を利用したログハウスキットの開発を県で行っているところでございますが、それを取り込んだイベントも現在計画中でございます。さらに、熊野古道において設置される休憩所や各シンボルパークにおける施設等についてできるだけ木材を活用するなど、森林組合等と連携を図ってまいりたいと考えてございます。
 続きまして、全国組織への呼びかけについての質問でございます。
 熊野に関係する文化団体を初めとした全国組織に呼びかけを行い、あわせてそれに関連したイベントを誘致することは誘客手段としては非常に効果的であり、体験博の盛り上がりにつながるものでありますので、南紀熊野体験博実行委員会はもちろんのこと、県組織である南紀熊野体験博推進本部のイベント部会におきまして積極的に取り組んでいるところでございます。
 こうした取り組みの成果として、現在まで文化関係といたしまして、地域伝統芸能全国フェスティバル、あるいは世界押し花デザイン展、スポーツ関係では、プロサーフィン世界選手権大会、全国マリンスポーツフェスティバル、全日本マスターズ駅伝大会、そのほか南紀熊野の特徴を生かすものとして、緑の少年団全国大会あるいは全国木炭サミット等の誘致を行うことができました。さらに、代表的なテーマイベントである十万人の熊野詣に参加していただくべく、日本歩け歩け協会に対しても働きかけを行っているところであります。今後も誘客に効果的な全国組織への呼びかけ、並びにイベントの誘致につきましては積極的に実施してまいる所存でございます。
 続きまして、一般廃棄物のごみ処理問題についてのご質問であります。
 さきに今議会においてお答えしたとおりでございますが、厚生省から平成十年度末までに最低でも百トン規模以上のごみ処理の広域化計画を作成するよう指導がございます。また、補助事業の内容といたしましては、施設規模一日百トン以上でなければ国庫補助の対象にならないということ、また広域化計画に位置づけがなければ交付税の上乗せ措置がないこと等が示されてございます。
 また、ダイオキシン対策といたしましても、広域化は施設の規模や維持管理の面からも望ましい方向であると考えております。そのため、県におきましては市を含めた郡単位で広域化を指導しているところであります。
 新宮市の計画を具体的に申し上げますと、串本町を含めた東牟婁郡との広域化を検討してございまして、その処理方法の一つとして、ごみの固形化いわゆるRDF化及び発電の可能性について、現在、新宮市において調査費を予算化し、検討している状況と伺っております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 不況対策についてと商店街の振興についてのうちの一点について、お答えします。
 まず不況対策について、金融対策における申し込み状況についてでありますが、不況対策特別資金の利用状況は、さきに小川議員にもお答えしましたように、融資申し込みベースで八月末現在八百三十八件、百三十五億円に上り、その融資実績は百億円を超える状況であり、業種的には建設業、木材産業、繊維工業を中心に、幅広い業種にわたって多くの中小企業者の方々に利用していただいているところでございます。
 次に、申し込みにおける審査についてでございますが、現在、十五種類の融資制度を実施しており、このうち、不況対策特別資金制度のように一定の資格要件を必要とする制度は十制度でございます。これらの制度の利用に当たっては、当該融資制度の融資対象者であるかどうかなどの審査を行う必要があり、その審査を県及び各振興局において行ってございます。
 この審査要件に該当した申込者に対し、県から融資あっせん書を発行し、それをもって金融機関が貸し付け審査を行います。融資実行に当たって、最終的には保証協会が企業の経営内容、返済計画などを審査し、保証決定がされているところであります。保証決定に当たり、現在の金融情勢に対応するため、より弾力的かつ迅速に対応していただいているところであり、その結果が不況対策特別資金の利用状況にもあらわれてきているものと考えてございます。
 次に、現在国において検討されている中小企業貸し渋り対策としては、特別保証制度の創設や保証限度額の引き上げなど、保証総額の拡大と政府系金融機関の融資制度の拡充等といった中小企業金融対策であり、県としてもその動向を十分見きわめつつ情報収集に努めるとともに、信用保証協会を初め関係機関と連携を密にし、県内中小企業の金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、商店街の振興のうち具体的振興策についてでありますが、議員ご指摘のとおり、現在、商店街を取り巻く環境に厳しいものがございます。このため、今年度から市町村が中心市街地活性化基本構想を策定するための本県独自の支援措置や、町づくりに必要な人材養成に対しても支援を行っているところでございます。
 和歌山市、橋本市、有田市の三市につきましては、既に中心市街地活性化基本構想の策定を進めており、また来年度以降、基本構想を策定する予定の市もございます。今後、商店街がその活性化を図っていくためには、商店街の環境整備や街路、駐車場、公益施設等のインフラ整備など、広範な対策を一体的、有機的連携を持って進めることが重要であります。そのため、県といたしましては、これらの事業を担当している関係部局が相互に連携協力していくべく庁内組織として街づくり推進協議会を設置し、情報交換や市町村等への指導・助言を行っているところでございます。
 また、従来から商店街の要望にこたえて、ハード、ソフト両面からのさまざまな施策を実施してきたところでありますが、今後とも各商店街の実情を十分に把握し、商店街の振興施策に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○企画部長(中村協二君) 上野議員の商店街振興のご質問のうち、県立医科大学跡地の利用方策についてお答えをいたします。
 医大跡地の利用方策につきましては、現在、本年二月に設置いたしました県立医大跡地利用懇話会におきまして、種々ご議論をいただいているところでございます。これまで、三回の懇話会を開催いたしておりますが、年内には懇話会の最終報告書を取りまとめていただけるものと考えてございます。県といたしましては、当該報告書をいただいた後、基本構想の策定作業に入りたいと考えております。
 これまでの懇話会における検討では、和歌山市中心市街地の集客力を高めるために魅力ある施設整備が必要であるとのご意見を多くいただいております。具体的には、導入すべき機能として、宿泊機能や商業機能、国際会議開催や文化活動を支援する交流機能、それらに対応した駐車場などをあわせ持つ複合型施設を整備する方向で意見が集約されつつあると受けとめております。また、事業の実施時期につきましては、事業実施のために必要な準備作業はできるだけ早期に整えておきたいと考えておりますが、県立医大の現施設の撤去に要する期間や県の財政状況、景気・経済状況に伴う投資環境等を勘案し、検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) フリースクールについてお答えします。
 近年増加傾向が見られる不登校の児童生徒につきましては、その原因や背景にさまざまな要因が複雑に絡み合っている場合が多く、画一的な方法によって解決を図ることは困難であるため、一人一人に応じた指導を行っていくことが大切であります。
 現在、こうした子供たちの学校以外の居場所の一つに適応指導教室があります。現在、県内では市町村教育委員会により十二の施設が設置されており、このうち六施設が文部省の調査研究委託を受けております。さらに、これまで教育委員会に限られていた委託先を一定の条件を満たす民間施設にも広げる予定であるとの国の動向を見きわめ、今後、委託について検討してまいる所存であります。
 また、不登校の児童生徒が自然体験、社会体験等を通じて生きる力をはぐくむ活動を経験する上において、議員ご提言の休校や廃校になった校舎をこうした施設として利用することにつきましては、地域の実情を踏まえた選択肢の一つであると考えられます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番上野哲弘君。
○上野哲弘君 一点だけ、企画部長に。
 きのうの新聞で、大阪の通天閣のわきにフェスティバルゲートというものが去年つくられて、一年三カ月ほどで一千万人を超えたという見出しがありました。和歌山の場合、新世界のところとは参考にはならんと思いますが、大阪でもそういう施設をつくっておるわけです。しかしながら、一千万人も来る中で、三百億円かけて現在八億円の赤字が出たという見出しなんですね。だから、いろんなことをやってもなかなか厳しい状況なのかと思います。
 しかしながら、それでは何もしなくていいかということにもならないと思います。ぜひとも全国に通用するような市街地の活性化に向けて、ぜひ和歌山市が名乗りを上げて整備していただくことを願いまして、終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で上野哲弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は九月二十八日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
      ─────────────────────
○議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時四十六分散会

このページの先頭へ