平成10年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(吉井和視議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 4番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 おはようございます。項目に従い、五項目の質問をさせていただきます。
 まず、地方分権についてであります。私は、十五回登壇する中で五回、この問題について質問をさせていただくわけでありますが、時の流れというのは非常に速いものでありまして、この問題については緊急を要する課題になってまいってきておるということにかんがみて、再度質問をさせていただきます。
 平成五年六月、衆参両院で地方分権の推進に関する決議が行われ、その後、平成七年の地方分権推進法の成立から三年間で地方分権推進委員会の四次にわたる勧告を受け、本年五月二十九日に地方分権推進計画が閣議決定されたところであります。今後、地方自治法を初め各法律の整備を行い、その完成の期日は平成十二年三月三十一日となっているようであります。問題であった機関委任事務が廃止になり、これから具体的にどのように権限が移譲され、地方分権が進んでいくのかが注目すべきところであります。
 分権委員会はまだ解散せずに残された課題に取り組むようでありますが、テーマである「住民に身近な行政はできるだけ地方公共団体で」ということの中で、既得の権限を維持したい役人官僚とのやりとりが大変だったろうと思います。とにかく、この機関委任事務が自治事務と法定受託事務とに分類され、地方分権が推進されるに伴って地方公共団体の自己決定権と自己責任の拡大が図られることにより、地方公共団体の行政体制の整備・確立に早急に取り組まなければならないわけであります。
 地方分権計画に盛り込まれている中に、一、行政改革等の推進、二、市町村の合併等の推進、三、地方議会の活性化、四、住民参加の拡大・多様化、五、公正の確保と透明性の向上、六、首長の多選の見直しという六項目が盛り込まれております。今後地方分権がどんどん推進され、国庫補助金、国庫負担金制度が合理化され、地方が本当に求める地方分権制度として充実するためには、行政体制の整備が早急に取り組まなければならない緊急の課題であります。もちろん、機関委任事務が廃止され自治事務となるからには、地方議会の権限も及ぶことから議会の責任は重大であるため、国から言われなくても──余り国から信用がないわけでありますが──議会活性化に向けて議会改革に取り組まなければならないと思います。
 まず、地方公共団体の体制整備の中で、行政改革等の推進について県の考えをお聞きいたします。地方分権計画の中に、行政改革大綱を見直すとありますが、その検討は既にされているのかをお尋ねいたします。
 次に、行革に関連して振興局制度についてでありますが、本県では西口県政の行革において、来るべき地方分権への対応として、地域の身近な行政は地域で解決させようということで県より百三十余の権限を移譲し、ことしから振興局制度をスタートさせたわけでありますが、現時点でその成果と問題点をお聞かせください。
 先日、中山議員が西口県政であるところのこの振興局制度を大変高く評価されておりましたが、問題点があるかないかということについてもお尋ねいたします。
 また、これは提案でありますが、県庁と市町村の人事交流は以前からなされております。地域の総合的な行政の運営をしている振興局と市町村の人事交流について今後必要と考えますが、いかがですか。
 次に市町村の合併等の推進についてでありますが、分権計画の中で、「交通・情報通信手段の発達、日常社会生活圏の拡大や地域間の連携・協力の促進等により、行政の広域化の必要性が高まってきている。これについては、広域行政機構の活用等により一定の成果があげられてきたところであるが、総合的な行政主体として、人材を確保し、かつ、地域の課題を包括的に解決する観点からは、市町村合併により、意思決定、事業実施等を一つの市町村が行うことが効果的であり」と書かれており、合併の推進を強く要請し、さまざまな措置を講じております。
 ことしの二月議会でも、私はさまざまな角度から市町村合併についてお尋ねし、知事の答弁をいただいたところでありますが、分権委員会の勧告やそれに基づくところの分権計画の中では都道府県知事の役割が大きくなってきており、知事の推進力が大きく問われております。知事はこのことをどのように受けとめ、今後どのように対応されるのか、お尋ねいたします。
 また、自主的な市町村の合併に対する取り組みについて、先進的な府県においては相当な推進事業を実施いたしております。県の具体的な対応策をお尋ねいたします。
 次に、森林・林業関係についてお尋ねいたします。
 山村に住んでいる人は、よく「山が泣いている」という表現を使います。山の手入れが全然されず、放置されている状態であります。山村社会に定住する人々が著しく減少し、山村はその成立基盤さえ危うくしかねない状態であります。外材攻撃によって木材価格は低迷し、これが林業経営意欲の極端な低下と林業生産活動の停滞を来しているところであります。このような状態が続くならば、国土の保全、水資源の涵養、環境の保全等、多面的な公益的機能が低下し、国民生活を脅かすおそれがあります。何とかこの危機を救うべく、森林・林業・林産業活性化促進地方議員連盟が平成九年一月に結成されました。全国運動を展開しておるわけであり、馬頭哲弥議員が和歌山県を代表してこの林活議連の副会長に就任いたしております。それは、国民すべてが山林・森林に思いをはせ、山村と都市住民が一体となって国民世論を盛り上げる中から森林の整備を実現しようということからであります。
 そこで、地方でできる林業活性化対策についてお伺いいたします。
 まず第一点目は、木材需要の拡大についてであります。公共施設への木材利用の促進、また間伐材を含めた木材の公共事業などへの利用促進がぜひとも必要であると考えます。どのように取り組まれておるのか。例えば学校の校舎なんかは、できるだけ多く木を使っていただきたいと考えております。
 ここで、清水町の木材業者から私にいただいた一文を紹介させていただきます。これは最近の木材の現状ということでいただいたわけでありますが、「平成十年七月現在の杉丸太の相場は、昭和三十一、二年ごろの相場に落ち込んでいる。その当時の労働者の一日の賃金は五百円から六百円で、杉丸太一石の代金で労働者を五人か六人雇用することができた。しかし現在は、賃金がその当時の二十五倍で、一石の代金で日給の四分の一程度しか支払えない。一例として、五十年生前後の杉立き木を伐採して出材した場合、丸太の代金全部が経費に消えてしまって山林家の手取りはゼロである。それに加えて最近、労働基準局が、危険防止という見地からか、工事用に従来の足場丸太を使用しないよう指導しているとかで、平成九年度から足場丸太の需要がばったりとまってしまった。これは林業経営者にとって大きな問題である。足場丸太は、樹齢五十年までの山林にとっては間伐のメーンであり、それが金にならないと山林家の間伐意欲の喪失を招き、やがて山が荒廃して治山治水上大きな社会問題になる。業界挙げて木材の需要拡大を必死になって叫んでいるとき、従来から需要が定着していた足場丸太の需要を剥奪するという、まさに現実に逆行する措置に怒りを覚える」と、このような主張で、木材業者は今生き残れるかどうかの大変な瀬戸際に立っている現状であります。
 二点目は、木のよさについての普及啓発活動の強化についてどのように取り組んでいるか。和歌山県は木の国であり、当然でありますが、地球温暖化防止対策にも木造住宅、木材利用が有効であり、健康と住宅という方面からも普及啓発活動を十分に実施されたい。
 三点目は、水源林の整備に関する普及啓発活動を行うため水源林基金等が全国各地で設立され、水源地の森林整備に寄与しているので和歌山県も取り組む必要があると思うが、どのように考えているのか。
 各県の状況は、電力会社等に協力を得て基金をつくり、水源林の造成や林業関係事業を助成しているようであります。また、森林を有する山村と人口集中の都市部が、合併等により上流地区、下流地区ともに水源林の整備について努力する必要があります。例えば、水道使用料に応じて受益者負担ということで料金を上乗せし、森林を整備する方法もあるので、今後検討しなければならないと考えます。
 四点目は青少年に対する森林・林業教育について、国土の保全、水資源の涵養、環境保全等の多面的な公益性を学校教育の中で、林業体験を通じて学ばせる必要性について教育長にお尋ねいたします。
 五点目は、林業後継者の育成についてであります。一番重要なことでありますが、林業就業者の減少と高齢化は大変著しく、昭和三十五年に四十四万人あった数が平成七年には八万人になっております。高齢化についても、五十歳以上の人の数は六九%になっております。森林の働きは、公的、社会的機能を有する社会資本であります。この社会資本を守るため、公的資金を導入して間伐等の森林整備を実施し、山村を守り、地場産業の振興を図ることによって林業後継者の育成をするという方法しかないのではないかと考えますが、県はどのように対応するのかお聞かせください。
 また、先ほど来同僚議員からメモをいただいたわけでありますが、今、和歌山県の港湾のほとんどが、外材攻撃が盛んであるということで輸入材が港に随分散乱しており、環境を大変汚くしております。輸入業者は、廃業したときなど、港に木材をほうりっ放しにしているという状態もあります。特に津波などが起これば大変なことになりますので、そういう点も十分考慮していただきたいなと思います。後でまた、津波災害のことについてもお尋ねをします。
 次に、ミカン対策について質問をさせていただきます。
 昨年産のミカンはかつてない低価格であったため、ミカン農家は悲惨な状態で、相当数の農家が県の融資を受けたようであります。ことしこそはという願いから、品質のよいミカンをつくろうとして、異常な干ばつの中で努力いたしております。ミカンの救世主とも言うべき農水省果樹試験場の発表が五月に出されました。温州ミカンにベータクリプトキサンチンという発がん性物質を世界で初めて発見したという発表であります。疫学的には、ミカンはがん予防によいということがわかっていたようでありますが、どの成分が効くのか不明であったのが初めてその成分を突きとめたわけであります。毎日ミカン一個食べるだけでがん予防の効果が期待できるという、本当にありがたいニュースであります。
 そこで、ミカンの消費宣伝についてこのことを大々的にPRすることがぜひとも必要であると考えます。既に農協はチラシやポスターでPRの実施をしていると聞いておりますが、県の対応はどのように考えておられるのか。できる限りの手当て、方法を講じていただきたいと考えております。
次に、津波対策についてお尋ねいたします。
 「災害は忘れたことにやってくる」という有名な言葉がありますが、忘れなくても災害はやってくるわけであります。忘れないだけで天災は防げるものではありません。そのために、危険に対する防災体制を、意識でなく早急に整備することが言うまでもなく重要なことであります。
 和歌山県の沿岸は、過去多くの津波災害に見舞われております。中でも湯浅広湾はV字型地形を有しているため、湯浅町と広川町では幾たびか大きな被害をこうむっております。特に宝永(一七〇七年)、安政(一八五四年)、昭和南海道津波(一九四六年)では、壊滅的な被害を受けております。安政の津波における浜口梧陵の稲むらの火の話が世界的にも有名であります。
 広川町では毎年津波祭りを行い、海の神に津波からの安全を祈願することにより防災意識の高揚を図っておりますが、万全ではありません。平成四年からこの地域の津波対策の技術調査が開始され、近く防波堤及び港湾整備計画が実施されると聞いておりますが、その実施計画はどのようになっているのかお聞きいたします。
 幾たびかこの地域を襲った程度の津波はこの防波堤で防ぐことが可能でありますが、それ以上の大きな津波やこの港湾の整備が完了するまでに来る津波に対処するため、特に津波災害が予想される地域の防災整備が必要となります。
 具体的に申し上げますと、広川町に天皇区という地区があります。この地区は周辺の中でも一段と低位地区で、海と川に面しているところであります。この港の中で一番危険な地区であります。ところが、現地に行って視察したところ、緊急的に避難する道路、避難場所が見当たらないわけであります。また、水門がありますが、緊急時の開閉はその場所に行ってしか行えず、その管理が不十分であります。津波が来れば、一体だれがこの水門を閉めに行くのでありましょうか。
 本来、何年もかかるような整備計画の前に、小さな津波被害に対応するため、このような地区の防災整備を行うことが大変重要であると考えます。適当な事業実施を県と町の協議のもとに行っていただきたいと思いますが、どのように考えておられるかお尋ねいたします。
 最後に、北朝鮮のミサイル発射問題について要望させていただきます。
 弾道ミサイルか衛星ロケットか、いずれにしても、日本を飛び越えて日本付近の公海に落下したようであります。国連安全保障理事会も、日本が提起したことについて、九月十五日、ミサイル発射問題に関する協議を行い、ダルグレン安保理議長が懸念表明を発表いたしました。これは、事前通告なく発射されたことに対する遺憾の表明であります。これに対して北朝鮮スポークスマンは、日本は共和国への敵対行為に執着する限り日本とは絶対に国交を正常化しない、また日朝関係は危険千万な戦争の瀬戸際に立っていると対日警告をし、さらに今後とも商業衛星を発射する計画であると、朝鮮放送で明らかにしております。これはどういう神経の国なのか。そういう国が隣にあるわけであります。
 日本の安全保障上、極めて危険な状態であります。ミサイルの先が日本を向いており、核弾頭も保有している可能性もあるわけであります。日本及び日本人は、このような国防上の危機についてもっと緊張しなければならないと思います。
 その原因の第一は、いわゆる現行日本国憲法の存在にあると思います。まずもって、その制定過程に問題ありです。日本弱体化のため、マッカーサー率いるGHQが短期間のうちに英文で草案した憲法であります。講和条約締結後、この憲法の改正・見直しや自主憲法制定の動きについては各方面でありましたが、その議論すら平和憲法の名のもとに封殺されてきた歴史があります。このことが、安全危機に対する国民の意識があいまいになってきた原因の一つであります。もっとも、憲法は不磨の大典であるわけでなく、時代の流れに応じて憲法を見直す議論は当然のことであると思います。
 私が地方議会でこのようなことについて主張するのは、国民の議論を喚起するためであり、国及び国会議員だけに任すことのできない、重要な問題であるからであります。
 そこで、自主憲法はともかく、地方から国の危機体制の構築を叫ぶ必要があります。知事におかれては、国に対し、今回のミサイル発射事件で、領土内において不測の事態が発生したときの対応、危機管理体制の確立を要望していただきたく、ここに要望をさせていただきました。
 以上、質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 吉井議員にお答えをいたします。
 地方分権に関連をいたしまして、行政改革大綱の見直しについてであります。
 県では、地方分権時代に対応した行政体制の整備確立を図ることを目標といたしまして、平成七年に策定をした行政改革大綱に基づき、平成八年には福祉・保健施策の連携を強化するために本庁組織の大幅な改編を行いました。さらに本年四月からは、住民に身近なところで総合行政を推進するために県内七カ所に振興局を設置するなどいたしまして、行財政運営全般の見直しを進めてきたところでございます。
 ただ、この大綱は、平成七年十一月からおおむね三カ年をかけて実施する行政改革の基本的な考え方を示したものでございますので、本年末で一応の計画期間が終了することになります。このために、二十一世紀に向けての行政体制を整備するための指針となる新しい行政改革大綱を本年末をめどに策定いたしたいと考えておりまして、民間有識者十四名で構成する行政改革推進委員会を設置して、委員の皆様から忌憚のないご意見を賜りながら作業を進めていきたいと考えております。
 次に、市町村合併の推進についてでございます。
 ご指摘のように、本年五月に示された地方分権推進計画では行政の広域化の必要性が指摘をされておりまして、特に市町村合併については、「市町村が合併を検討する際の参考や目安となる合併のパターン等を内容とする合併推進についての要綱の作成」──大変長い名前ですけれども、そういうふうなことであるとか、市町村合併を推進する上での都道府県の役割が明らかにされておるわけでございます。
 もとより合併につきましては、前にもお答え申し上げましたが、市町村の自主的な取り組みが基本でございます。本年実施した県民意識調査では、広域行政の推進を望むという回答は約七五%でありますが、市町村合併に賛成とする回答は約四〇%でございました。合併の機運の醸成がまだまだ必要であると考えられますので、県としては、引き続き情報の提供あるいは議論の場づくりに努めてまいりたいと考えてございます。
 ただ、合併を含めた行政の広域化が求められる大きな潮流がありますので、こうしたことを踏まえて議論を進めていく必要があろうかと思っております。
 また現在、国の市町村合併研究会におきましては、都道府県が合併のパターンを作成する際の参考となる指針について研究されていると聞いておりますので、その動向についても注目してまいりたいと思っております。
 なお、本年度は、県独自の取り組みといたしまして、本県の各地域の特性に応じた市町村の行政体制整備についても調査研究を実施しておるところでございまして、この結果についても、合併も含めた広域行政推進に生かしてまいりたいと考えてございます。
 ご要望でございましたが、北朝鮮ミサイル発射に関しては心して拝聴させていただきました。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 吉井議員にお答え申し上げます。
 振興局につきましては、各地域において県民の皆様や市町村の要望に総合的に対応するとともに、それぞれの地域の特性に応じた行政を迅速に行うことができる体制を確立することを目的に設置したものであります。
 振興局設置に合わせて、地域の課題は地域で対応できるように振興局ごとの調査研究や計画策定などを独自に行うふるさと未来づくり調整事業と、市町村や民間の地域づくり団体等が行う個性的で魅力ある地域づくり事業に対するふるさと未来づくり補助事業を創設したほか、議員のご質問にもありましたように、百三十項目程度の事務処理権限を本庁から移譲しております。
 振興局設置により、従来行政分野ごとに縦割りで行われがちであった事業間の調整や横断的連携がとりやすくなり、社会基盤の整備、生活環境の問題などの課題に対して、それぞれの振興局長のもとで総合的かつ計画的に取り組めるようになったと考えてございます。
 振興局はスタートしたばかりの制度ですので至らない部分もあろうかと思いますが、今後とも振興局設置の趣旨の徹底を図ってまいります。
 また、市町村との人事交流についてでございますが、現在も相互の職員の資質向上や職場の活性化を図るという観点から幾つかの市町村と人事交流を実施しておりますが、今後地方分権を進める中で、地域行政の円滑な運営を図るためにも県と市町村の相互協力の一層の強化が必要でありますので、引き続き人事交流の拡大に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長尾崎武久君。
  〔尾崎武久君、登壇〕
○農林水産部長(尾崎武久君) 吉井議員ご質問の、森林・林業関係四点とミカン対策についてお答え申し上げます。
 まず木材の需要拡大についてでありますが、近年の林業・木材産業を取り巻く状況は、全国的な住宅着工戸数の減少、木材価格の低迷等によって一層厳しさを増してございます。このような状況の中、全国的にも木材の需要拡大の取り組みが展開されてございますが、本県では、従来の施策に加え、特に庁内の横断的組織である木の国プロジェクトにより県が行う公共施設等への木材利用推進を図り、さらに関係業界との連携のもと、市町村事業等へも積極的な働きかけを行っているところであります。
 具体的な事例といたしましては、県民文化会館小ホールの舞台張りかえ工事や県緑花センターの木橋工事等、また市町村関係では福祉施設や学校施設等で成果が出てきているところでございます。
 間伐材を含めた木材は、治山・林道事業を初め農林水産省所管の工事に加え、関係各省庁の工事においても利用されてきたところでございます。
 さらに、昨年河川法が改正され、木材利用による護岸工や保護さく工等の環境保全に配慮した工法が採択されており、今後とも関係部局と連携を図り、より一層木材の利用を推進してまいる所存でございます。
 次に木のよさの普及啓発につきましては、紀州材需要高度化促進事業や木材利用推進活動事業等、関係業界と一体となって対応しているところでありますが、特に平成八年度から、新たに全県下を対象としたキャラバン活動を実施しているところでございます。また、木材を健康や住環境の面から効果的に普及啓発するため、耐震性木造住宅のパンフレットに加え、新たに作成した「木の住まいと健康」のパンフレットを活用し、十月八日の木の日を中心としたキャンペーンを県下的に実施することとしてございます。さらに、多くの人に木に触れてもらい、木のよさを感じてもらうため、教育・福祉施設等の内装木質化、木造化に対し、その建設費を補助する木のぬくもり施設支援事業を実施しているところでございます。
 今後は、来年度開催予定の南紀熊野体験博を紀州材のよさをPRする絶好の機会として積極的にPR活動を展開するとともに、あらゆる機会をとらえ、木材のよさを普及啓発してまいる所存でございます。
 次に水源林の整備についてでございますが、水資源など森林の有する公益的機能につきましては、これまで緑と水の森林基金や緑の募金運動への支援等、都市住民に対し、さまざまな機会をとらえて積極的に啓発活動をしているところであります。
 ご質問の、水源地域における森林整備につきましては、これまで治山事業による水源地森林整備事業に鋭意取り組んでおりますが、近年では、水源林基金や森林ボランティアによる漁民の森の動きもありますように、上流域のみならず下流域までの幅広い関係者の協力も重要かと考えてございます。このため、今後は、流域ごとに林業関係者で組織されている流域林業活性化センター等を活用して、水利用関係者、企業、都市住民を含めた合意形成を進め、水源林を育てる自主的な取り組みを促進してまいりたいと考えてございます。
 次に林業後継者の育成についてでございますが、本県におきましても、林業後継者の減少とその高齢化は、森林の管理、林業生産活動に深刻な影響を与えているところであります。特に近年、木材価格の低迷により林業労働力の確保はさらに厳しい状況となってございます。しかしながら近年、自然志向等から若者のUターン、Iターンによる林業への新規参入が見られ、貴重な林業後継者となってございます。こうしたことから、新規参入者を含め、社会保障制度への加入の促進、定住住宅の整備、高性能林業機械導入による労働の軽減等、林業後継者の育成確保に努めているところでございます。また、本年度は林業労働力確保支援センターを発足させ、技術・技能の向上、就労機会の拡大などの施策に取り組むこととしてございます。
 いずれにいたしましても、林業後継者の育成には、林業・木材産業の振興を図り、就労機会の増大等に努めることが重要なことと認識してございますので、なお一層積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次にミカン対策についてのお尋ねでございますが、議員お話しの、ミカンに発がん抑制物質という農林水産省の発表につきましては、健康や安全に対する関心が高まる中、ミカンの消費拡大に期待が持てる明るい材料であり、この活用について生産者団体とともに検討を重ねてまいったところであります。
 このような中、生産者団体において、県の助成事業を活用してPR用のリーフレットやポスターを作成したところでありまして、出荷時期に合わせて主要市場や量販店等に配布をするとともに、本日、県も一体となってJR和歌山駅と南海和歌山市駅において街頭キャンペーンも行ったところでございます。
 一方、主産県の生産者団体等から成る全国柑橘宣伝協議会において、この十月からテレビCM等が流されることとなってございまして、こうした動きとも連携しながら、今後、東京での物産展や市場関係者との懇談会などにおいて、販売促進に向けた一層の取り組みを展開してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 吉井議員にお答えいたします。
 湯浅広港の津波対策につきましては、平成四年度から八年度にかけて津波対策検討委員会を設け、湯浅広港の前面に延長九百二十メートルの防波堤を設置することにより背後地を防護する計画を策定したところです。
 この防波堤につきましては、本年度、調査設計費が国の補助事業として認められ、地方港湾としては全国で初めてとなる津波対策事業に着手することができるようになりました。今後、関係両町並びに関係機関とさらに調整を図りながら事業推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 また、この防波堤の整備によって生ずる静穏海域を利用して、湯浅町、広川町及び周辺地域の物流・生産機能の向上と地域の活性化に資することを目的とした港湾施設の整備を計画しているところであり、その具体化に向けて両町と調整しているところであります。
 一方、ご指摘の広川町天皇地区を初めとして、各地区において高潮対策事業として前面の防潮堤等の整備を行ってきたところであり、これらは津波発生時にも一定の防護機能を発揮するものと考えております。
 また、避難体制につきましては、現在、町において避難施設等の見直しを含めて再検討中であり、議員ご指摘の天皇地区についても、緊急時における河口水門の開閉のあり方を含め、関係部局と連携して、地域防災計画に関する協議の場等を通じ、必要に応じて指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 青少年に対する森林・林業教育についてお答えいたします。
 森林は、水資源の確保、木材の生産、国土の保全等、人々に多くの恩恵をもたらすばかりでなく、今日地球的な課題となっている地球の温暖化についても、それを抑制する役割を果たしております。また、緑豊かな景観は人々の心に潤いをもたらしてくれます。
 学校教育の場において、子供たちに森林を守り育てようとする態度を育成するとともに、森林と人間との関係について理解を深めさせることは極めて大切であります。
 本県の学校におきましては、地域の人々の協力を得て学校林の育成活動を行ったり、間伐材を利用したいす、プランターボックスなど木工品の製作、さらに森林林業教室への参加など、森林資源を生かした体験活動に取り組んでおり、これらは林業の振興にもつながるものと考えております。
 今後とも関係部局と連携を図りながら、森林を初めとした本県の豊かな自然環境を教育に活用してまいる所存であります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 4番吉井和視君。
○吉井和視君 少し要望させていただきます。
 地方分権は、今後具体的にはまだまだ大変難しい点があると思います。それで、まず我々がやらなければいけないことは市町村の合併であろうと思います。市町村の合併が自主的に行われないのであれば知事がやりなさいというふうに国が言っているように思います。副知事、そうでしょう。そうだと思います。和歌山県は相当おくれているように思います。そういうことで、今後先進県を目指していろんな事業を展開していっていただきたい。このことをお願いします。
 次に防波堤ですけれども、この防波堤は四十数億円のお金がかかるわけでありますが、私が申し上げた天皇区の問題についてはたかだか──たかだかと言っては申しわけないですけれども、二千万か三千万あれば避難道路、避難場所というのは確保できると思います。まず、この天皇区の数十戸の命と、そしてまた財産を守るために、町と協議して県が主導権をとってこの整備をやっていただきたい。このように要望いたします。
 最後に林業の問題でありますが、私は特に質問の中で、学校等については木を使っていただきたいと申し上げたのは、学校の「校」という字は、木の交わりと書くわけであります。今の学校の状況を見れば、石の交わりになっているんではないかと思います。私の家業は生コン業者でありますが、やっぱり木を十分に使った学校をつくっていただきたい。
 以上要望申し上げて、終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十分休憩
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