平成10年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(東山昭久議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

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  午後一時三分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 28番東山昭久君。
  〔東山昭久君、登壇〕(拍手)
○東山昭久君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従って一般質問を行います。
 まず、園部のカレー毒物事件に関して質問をいたします。
 この問題については、午前中に先輩議員の方から詳細にわたって質疑が行われました。重複するかもしれませんけれども、重大な事件にかんがみ、お許しをいただきたいと存じます。
 猛暑の夏が過ぎて、さわやかな秋風の季節となりました。ことしの夏もいろんな出来事がありました。特に七月二十五日、和歌山市園部第十四自治会の夏祭りでのカレー毒物混入事件は、平穏な住民生活を根底から突き壊す凶悪な事件であり、全国民を震撼させたのであります。
 この事件で犠牲になられた四名の方々並びに事件の早期解決のために連日の激務によって急死された村井警視のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、ご家族の皆様に心からお悔やみ申し上げます。一日も早くもとの生活に戻られることを願ってやみません。
 この事件は住民生活を根底から破壊する許しがたい凶悪事件であり、それに連動する形で毒物・異物混入事件が各地で続発しており、社会不安を大きくしているのであります。和歌山県警捜査本部におかれては、事件発生当時より、事件の早期解決に向け総力を結集して懸命なご努力をなされているわけでありますが、その努力にもかかわらず、今日なお犯人の逮捕、事件の全容解明がなされていないのは残念でなりません。事件の早期解決、再発防止こそが犠牲になられた方々に報いることであり、連鎖事件を断ち切ることになると思うのであります。まず、和歌山県警に事件の早期解決のためより一層ご努力されることを強く要望申し上げたいと存じます。
 今回の事件で、毒物検出の情報伝達のおくれ、行政や警察、病院などの関係機関の連携不足等が指摘されています。また、原因物質の特定に時間がかかるなどの各検査機関の鑑定能力などの問題点も明らかになりました。
 そこで、今後県として取り組む課題について、次の二点に絞ってお尋ねいたします。
 第一は、緊急時の毒物検査体制の確立についてであります。
 今回の事件では、初めは食中毒が疑われ、その後青酸化合物による中毒と断定し、その七日後になって砒素化合物が検出されるなど、二転三転しました。毒物・劇物の中からその物質を緊急に特定することが求められます。
 和歌山市では、来年度に市衛生研究所に青酸や砒素などの毒物を分析する検査装置を導入することを明らかにされています。県としての毒物等の分析・検査体制については、午前中の質疑で生活文化部長から、毒物の疑いがある場合には県衛生公害研究所において分析する、毒物検査検討会、衛生公害研究所の各部長から成る緊急対応会議を開催するという体制について明らかにされました。緊急の場合に一刻も早く毒物を特定しなければなりません。そのためには検査装置が優秀でなければなりません。話を聞くところによると、迅速に物質を特定できる高性能の装置があると伺います。財政的問題もあると考えますが、早急に導入すべきであると考えます。生活文化部長にご答弁を求めます。
 二点目は、健康危機管理体制の確立の問題についてであります。
 行政や警察、病院などの関係機関のより一層の連携の強化を含めて体制を確立する必要があります。知事は、本会議の知事議案説明の中で、「保健婦や精神保健福祉相談員の派遣等により被害者の方々への心のケアに対する支援を行うとともに、健康危機管理体制の整備により一層取り組んでまいる」ことを明らかにされたのであります。午前中の知事の答弁で、健康危機管理体制については十月中の策定をめどに取り組んでいくことを述べられました。迅速に判断をして機敏に次の対応をするためには、どうしても専門家をきちんと配置する必要があると私は考えます。知事はどのような体制に整備されていくのか、ご答弁を求めたいと存じます。
 次に、防災対策に関して数点にわたり質問させていただきます。
 毎日うだるような暑さが続いていた八月二十八日の夜、いつもと変わりなく帰宅すると、河川の渦巻く濁流の中で家が流されていく、車が冠水した道路の中で取り残されている、堤防の土のう積みを必死で行い、応急対策に追われる住民の姿がテレビ中継で映し出されていました。
 当時、和歌山では晴天続きで、雨の降る気配はありませんでした。その一方で、豪雨による大きな被害。自分ではどうすることもできない、ただひたすらに雨がやむのを祈るだけでした。自然の恐ろしさ、人間の非力さを改めて思い知らされたのであります。
 東日本と北日本を中心に記録的な豪雨が各地を襲い、数日間で年間雨量の半分以上の降雨量を記録した地域もあり、数日間に千ミリを超える雨量を記録したのであります。堤防の決壊や川のはんらんによる洪水、土砂崩れ、土石流によって死者十九名、行方不明者三名という大きな犠牲を出し、物的損害も甚大な被害となったのです。
 自然災害と言えば、地震、洪水、津波などによる人的、物的被害のことを言いますが、それは自然条件の地質的、地形的、気象的に大きく左右されます。我が国の自然条件は特殊であることを忘れてはなりません。本県も例外ではないのであります。
 「脆弱国土」という言葉があります。一億二千万人を超える人々が、国土面積三十七万平方キロメートルの、四季折々に美しい豊かな恵みをもたらす国土に暮らしています。この国土にはさまざまな特性があることはよく知られています。南北に細長い島国、中央に山脈が走り、気候の変化が著しく、しかも降水量が多い。国土面積が世界の陸地面積の〇・二五%であるにもかかわらず、世界じゅうの地震の一〇%程度が日本とその周辺で発生するという世界有数の地震国であり、世界の活火山の一〇%以上が存在する有数の火山国であると言われています。
 本日、台風七号が紀伊半島に上陸したようであります。ことしはまだ八号と少ないわけでありますが、日本は台風の常襲地域に位置し、豪雨、豪雪にも見舞われやすく、気象的、地形的、地質的にも自然災害に対して脆弱な国土であると言われ、我が国の自然条件は特殊であることがわかります。
 現代日本、とりわけ大都市部では自然との共生が難しくなるのであります。そして美しく豊かな国土は、同時に災害列島でもあることを忘れてはならないのです。日本のどの都市や地域も、天災、人災、大火、台風や洪水、大地震や津波と無関係ではないのです。
 台風、地震等の自然災害によって毎年多くの人命や財産が失われてきました。戦後に限っても、一九四五年の枕崎台風、四八年の福井地震は、それぞれ死者・行方不明者が三千人以上を超す大災害で、五九年の伊勢湾台風は五千九十八名の死者・行方不明者を出し、各地に多大な損害をもたらしました。その後、人的災害は減少、被害額総計は毎年一兆円前後で推移してきましたが、ここ数年間は、一転して雲仙普賢岳噴火、北海道南西沖地震など重大災害が相次ぎ、九五年の阪神・淡路大震災には六千四百三十名の犠牲者を出すに至っています。
 自然災害には、天災と人災の側面があります。治山治水など国土保全事業の進展、防災関連諸制度の整備、気象観測体制と施設整備、災害情報伝達体制、防災意識の高まりなど、被害との間に関連があるからです。
 「わかやま二十一世紀計画」の第四節「安全・安心な生活の実現」の項では、県の防災体制の整備充実の基本方向として、「自然災害及び地域開発に伴う環境の変化や都市構造の複雑化などによる多種多様な災害に対処するため、防災拠点施設の整備、情報収集・伝達網の充実、災害時における緊急輸送路の確保を図るとともに、県・市町村・防災関係機関及び県民が一体となった総合防災体制を推進します。 また、『自分の身は自分で守る』という防災意識の高揚及び防災知識の普及啓発を図るとともに、地域ぐるみの自主防災組織の強化・育成に努めます」とあり、そして施策体系として、総合防災センターの設置、通信体制の整備充実、地域防災施設の整備充実、広域防災体制の整備、防災意識の高揚を図るための啓発事業の実施、防災ボランティア活動の推進とあります。
 安全で安心な生活を実現するために、県の自然条件などを正しく認識し、総合防災体制を確立していかなければなりません。そのためにも、総合防災センター構想の早期実現を強く望むものであります。
 そこで、知事にお尋ねします。
 県の総合防災体制の基本方針について、総合防災センター構想はいつまでに、どこに、どんな設備のものを計画されているのか明らかにされたいのであります。知事にご答弁を求めたいと存じます。
 次に、災害弱者の防災対策についてお尋ねいたします。
 九月九日の読売新聞の朝刊でありますけれども、「検証・東日本の豪雨被害 人災の側面も浮上」という記事が目にとまりました。新聞記事によると、「東日本を中心とした先月末の大雨は(中略)想定を超える『異常な豪雨』が猛威を振るった結果だが、つめ跡生々しい現場を歩くと、連絡体制の不備、川の上流部の開発に伴う出水量の増加、堤防整備の遅れなど人災の側面も浮かび上がってくる。 先月二十七日早朝の土砂崩れで五名が死亡した福島県西郷村の障害者救護施設『からまつ荘』は、総合社会福祉施設『太陽の国』の中にある。からまつ荘を含む八つの施設には当時、約七百五十人が入所していた。しかし、村の災害対策本部から太陽の国には大雨に関する情報や警戒を促す連絡は全くなかった。 『県が避難などの指示を出しているだろう』(村幹部)と判断したためだ。村は同日午前三時、災害対策本部を設置し、消防車で村内の巡回を始めた。からまつ荘で土砂崩れが起きる二時間前だ。(中略)県の外郭団体が運営する太陽の国の入所者の大半は、村に住民登録をしていない。村にとって、管理や指導の及ばない『別世界』(村幹部)だったのだ。その認識が災いした。 村が対応を期待した県からの連絡・指示も太陽の国にはなかった。『土砂崩れは想像出来なかった。雨量は予想を超え、事故は突然起きた』。県保健福祉部の担当者は唇をかむ。(中略)県の地域防災計画には、社会福祉施設への連絡方法や施設側の対応は定められていない。同村の防災計画にも、太陽の国での災害発生を想定した取り決めはなかった。 太陽の国自体も、災害への備えが不十分だった」と、地域の地域防災計画の不備、連絡体制の不備による人災の側面があると指摘しているのであります。
 災害弱者、いわゆる自力で避難が困難なお年寄りや障害者は一般住民よりも配慮されなければなりません。その対策は万全なものでなければなりません。県、市町村との連携などを含めて、社会福祉施設、災害弱者の防災対策は確立されていますか。総点検、見直しなどを早急に確立されることを強く求め、総務部長並びに福祉保健部長に答弁を求めます。
 日本は世界有数の森林国だと言われています。和歌山県も、平成七年度では県土面積四十七万二千四百二十九ヘクタールの七七・一%が森林面積となっております。この森林を守り育てることが日本ひいては地球の環境保全、国土の保全に果たしている役割は、極めて重要であります。国際的にも森林の保全を求める世論が高まっております。しかし、日本の国有林を含む林業の実情は、長年にわたる林業経営の不振、労働力不足、不在地主の拡大などにより、「林業白書」が述べているように、二十一世紀に向けて山村と森林、林業を再生していけるかどうか岐路に立っていると言っても過言ではありません。
 上流域のリゾート開発、森林伐採、宅地造成など、開発の仕方が水害に大きな影響を与える。乱開発が進めば被害が起こる。この河川行政だけではなく、都市開発や農地事業なども含めた総合的な対策をとらなければなりません。
 さきの栃木県の那珂川の支流・余笹川のはんらんによる災害は、上流部の開発による保安林伐採も大きな要因と言われております。さきの九月九日の新聞によると、これまでに「住民が犠牲になるほどの水害はなかった。しかし、ここ十数年間、那須連山に源を発する上流部では開発による変化が進んでいた。 同町の別荘は八四年四月の約二千九百戸から昨年四月には六千戸と二倍以上に増加。九四年末には上流部に水源涵養保安林を伐採して造られたスキー場がオープン。県道整備を含めると、開発で失われた保安林は五十六・五ヘクタールに上る。今回の現場から約二十キロ上流だ」と、森林伐採、開発などが下流の河川はんらんに拍車をかけ、人災の側面もあると指摘しているのであります。
 二十一世紀も安全で安心して暮らせる社会に向け、良好な環境と豊かな森林を保全し、これを支える林業を初めとする第一次産業を維持発展させるため、思い切った公的資金を大幅に投入するなど、財政援助を強化すべきときだと私は考えます。
 「国破れて山河あり」の言葉のとおり、優しく人を包み込んで支えてきた日本の風土の根幹をなしているのは森林ではないでしょうか。その森林を守り再生することが防災対策の第一歩だと私は考えます。森林を守り再生させるため、県の施策等について農林水産部長に答弁を求めます。
 次に、耐震診断・改修についてお伺いいたします。
 あの阪神・淡路大震災から四度目の「防災の日」を挟んでのことしの防災週間は、台風の接近、豪雨、首都圏を初め全国各地で地震が相次ぎ、災害の恐ろしさを思い知らされました。しかし、年々防災意識は低下してきたのではないでしょうか。地震国日本──和歌山県も紀北地域に中央構造線が走り、南部においてもプレート境界での巨大地震の可能性、危険性が指摘されています。地震予知について研究が続けられていますが、予知することは極めて難しい問題であります。したがって、地震に強い建築構造物、地震に耐え得る建物にしていかなければなりません。
 三年前に、建築物の耐震改修の促進に関する法律いわゆる耐震改修促進法が施行されました。しかし、現行建築基準法の水準に満たない建物の改修は進んでいないと言われています。現行基準に満たない既存不適格の建物は、建設省の調査によると、全国で八一年以前の建物の約六割、一千四百二十万棟に上ると言われています。
 耐震改修促進法は、所有者が改修計画をつくり、所管自治体に認定されれば住宅金融公庫などから低利融資を受けられると定めていますが、認定件数は昨年度末全国で公共四百九十二件、民間九十件で合計五百八十二件、そのうち学校が四百五十九件を占めていると言われています。学校の場合は、文部省の地震防災緊急事業五カ年計画で補強工事費の半額を国庫負担とあります。耐震改修はほとんど進んでいないのが現状であることを示しています。
 法施行後、耐震診断・改修に対して独自に助成制度をつくる自治体も出てきており、本県でも県単独事業で、本年度から特定建築物と木造住宅の診断に補助を実施することになっています。
 県では、平成七年から耐震診断が実施されてきたのでありますが、その結果はどうか。その後の改修が進んでいるのでしょうか。
 そこで、次の五点についてお尋ねします。
 一つ目、本庁舎、警察、市町村役場、消防機関、病院など公的機関等の耐震診断の状況は。その結果は。今後の改修計画について。
 二つ目、県営住宅並びに市営住宅の耐震診断の状況は。その結果は。今後の改修計画について。
 三つ目、避難所である小中学校、高校、公民館などの診断状況は。その結果は。今後の改修計画は。
 四つ目、耐震診断の結果で避難所の見直しが行われたのか。今後の見直し計画はあるのか。
 五つ目、市町村や民間が実施する耐震診断・改修に対する支援策について。
 以上、総務部長並びに土木部長にご答弁を求めます。
 次に、一九九六年二月、北海道の豊浜トンネルでの岩盤崩落事故は、走行中のバス一台、乗用車一台を巻き込み、二十名の犠牲者を出しました。この事故は、一週間に及ぶ処理作業、崩落した岩盤を取り除く作業、それらの状況がテレビ中継されたので脳裏に深く焼きついています。また、一九九七年八月の第二白糸トンネルの岩盤崩落事故等もあり、自然の恐ろしさ、人間の無力さをまざまざと思い知らされた自然災害でもありました。
 建設省は、この崩落事故直後、全国で緊急危険箇所での点検を実施しました。その結果、対策を必要とする箇所は全国で、国、県、市町村管轄を合わせると二千二百四カ所であることを明らかにしてきました。これらについては随時対策が進められていると思いますが、県内では対策を必要とする箇所は何カ所であったのか、その対策はどうなっているのか、土木部長にご答弁を求めます。
 最後に、浸水対策としての和歌川水系の河川改修についてお尋ねいたします。特に、大門川の改修についてお尋ねしたいと存じます。
 日本の河川は短くて急流であると言われ、山間部での集中豪雨があるとあっという間に流れ、下流部では洪水の危険性をいつもはらんでいます。都市部は河川のはんらん区域に立地し、国土の一〇%に当たるはんらん区域に人口の五〇%、資産の七五%が集中していると言われています。
 和歌山市も紀の川のはんらん区域及び三角州に立地しており、和歌川は和歌山市内の中心部を流れ、和田川、市堀川、大門川など十一の川とつながっています。和歌川水系は古くから数々の水害が起きており、和歌山市周辺の主な水害は、県の資料によりますと戦後一九五〇年以降三十一回を数え、多大な被害が出ているのであります。そのため、昭和七年から旭橋付近の河川改修、昭和二十四年から大門川の一部、昭和三十三年から和田川の改修、昭和六十一年からは一級水系として和歌川広域基幹河川改修事業に採択され、全体として改修工事が進められてきました。
 和田川、市堀川、和歌川の改修はほぼ完了し、内川美化推進会、内川をきれいにする会等の皆さんの運動の成果もあり、以前に比べて美しい河川によみがえりつつあります。河川や下水道のポンプ場の整備とともに、浸水対策も進んできました。しかし、大門川の改修は大幅におくれているのが現状ではないでしょうか。市の東部地区の四箇郷地区、中之島地区及び宮北地区の浸水対策としても、下水道の整備とともに、この大門川の早期改修を周辺住民は強く望んでいるのであります。
 話を聞くところによると、狭窄部である雑賀橋の改修がおくれているとのことでありますが、問題点を早急に解決されて工事に着手されることを強く求めるものであります。大門川の改修が進み、下水道の整備が進めば、和歌山市東部の浸水対策は大きく前進することと考えられます。
 そこで、次の四点についてお尋ねいたします。
 一、和歌川水系の浸水対策の基本方針について。
 二、雑賀橋の改修の見通しはどうか。
 三、大門川いわゆる雑賀橋上流の今後の改修計画について。
 四、真田堀川の今後の改修計画について。宇治ポンプ場との関連で将来計画はどのように考えておられるのか。
 以上について、土木部長のご答弁を求めます。
 以上で質問を終わりたいと存じますが、県民みんなが安全で安心して暮らせる和歌山県をつくるため前向きのご答弁を期待し、私自身の防災意識を高めることの決意を申し上げまして、質問を終わりたいと存じます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの東山昭久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 東山議員にお答えをいたします。
 まず、毒物混入事件に関連してのご質問であります。
 健康危機管理体制の確立についてということで、私どもは今回の事件を重く受けとめてそれぞれの課題を分析するとともに、行政、消防、警察、保健所、医療機関との連携を一層強化して、その総合体制など、健康危機発生時から心のケアに至るまでの一体的な管理体制マニュアルづくりについて本年十月中を目途に取り組んでいきたい。けさほどから答弁したとおりであります。
 次に防災対策に関連をして、総合防災体制の基本方針についてのご質問であります。
 本県は遠い昔から幾たびとなく地震、台風等に襲われてまいりまして、そのたびに大きな被害をこうむってきたところでございます。自然の猛威をなくすることはできませんけれども、私たちの努力によって被害を軽減することは可能でございます。
 県民の生命、身体、財産を災害から守ることは知事としての責務でもございまして、私は、治山治水事業あるいは防災総合訓練などを通じて、ハード及びソフトの両面にわたって安心できる県土づくりを目指して努力をしているところでございます。
 今後も、市町村その他の防災関係機関と力を合わせて、安全、安心な生活の実現に力を尽くしてまいりたいと考えてございます。
 次に、お尋ねの総合防災センターについてであります。
 平時から県民の防災意識を高め、災害時に応急対策を迅速に実施するためには、防災の中枢となる拠点が必要でございます。庁内で総合防災センターについての検討を進めてまいりました。
 非常時に災害対策本部としての機能を担うためには、あらゆる災害に対して堅牢な構造であると同時に、災害対策本部機能を支える情報通信部門の整備が不可欠であろうと考えております。
 こうしたことから、総合防災センターの設置については私も十分認識して検討しているところでございますけれども、県庁本庁舎機能との関連もあり、一体的な整備を図るためには立地場所が限定されるなどの事情もございまして、そういった課題をどう克服するか、引き続き十分研究をしてまいりたいと考えております。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 東山議員のご質問にお答えいたします。
 毒物混入事件に関する質問のうち検査体制についてはさきの質問でお答えいたしたとおりでございますが、検査装置の配置計画につきましては、さきに申し上げました毒物検査検討会及び緊急対策会議の中で迅速かつ的確な検査方法とあわせ検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 東山議員にお答え申し上げます。
 災害弱者の防災対策についてであります。
 高齢者、障害者、乳幼児等のいわゆる災害弱者に対しましては、防災知識の普及、避難誘導その他の面で配慮が必要であり、災害時はもとより、平常時から支援体制の整備が求められております。
 本県では、県下各地域の災害弱者に対する災害時の対応体制を整備するため、平成九年度の地域防災計画の修正で、新たに住民の自立と相互の助け合いを基調とする福祉コミュニティーづくりや、それを支える保健・医療・福祉サービスの連携・供給拠点の体系的な整備を内容とする災害弱者対策計画を策定いたしました。
 また、災害時に地域の災害弱者を地域の住民自身が支援するシステムを構築するため、市町村の自主防災組織育成事業に対して本年度から新たに補助事業を開始いたしました。
 迅速かつ的確な情報の提供は防災の基本であり、市町村に対しては、それぞれの地域防災計画において社会福祉施設等への情報連絡体制を位置づけるようきめ細かく指導に努めるとともに、関係部局との連携を深めて災害弱者対策を幅広く推進してまいりたいと存じます。
 次に、公的機関等の耐震診断・改修の状況についてであります。
 県庁舎関係では、県庁東館、北館及び本館増築部、警察関係では本部建物及び交通センターの耐震診断を実施いたしましたが、いずれも耐震改修の必要性を指摘されております。しかしながら、耐震改修には多額の経費を要し、かつ工事費用が割高となることから、それぞれの関係部局において既存の施設の耐用年数を考慮しつつ、最も合理的な対応策を検討しているところであります。
 また県立学校では、五十二校のうち三十六校七十三棟について耐震診断を行い、耐震改修の必要があると判断された六十三棟のうち、既に十九棟の耐震改修を実施いたしました。また平成十年度には、耐震診断は二十校二十棟を、耐震改修は十八校二十五棟を予定しております。
 市町村役場、消防機関、病院等につきましては、主に経費面での制約が大きく、残念ながら耐震診断・耐震改修ともにいまだ少数にとどまっている現状でありますが、今後、関係部局とも連携して普及啓発に努めたいと存じます。
 次に、避難所の耐震診断等の状況についてであります。
 避難所である小中学校等につきましては、三町村の六施設が耐震診断を実施しておりますが、うち三施設については既に改修済み、残りの三施設は今後順次に改修される計画となっております。また、今年度新たに二町で、避難所である学校施設の耐震診断を実施する予定となっております。
 避難所である高校につきましては、耐震診断を実施した二十校のうち八校十二棟については既に耐震改修を実施しており、さらに平成十年度において九校十二棟の耐震改修を予定しております。
 災害時における避難所は、立地条件や構造設備等を考慮して市町村長が指定することとなっておりますが、本県では阪神・淡路大震災以降、市町村防災担当課長会議その他の機会を通じて各市町村に対し、防災体制見直しの重要項目の一つとして、安全性の面から避難施設及び避難ルートの再検討を指導してまいりました。
 避難施設の耐震診断及び耐震改修を実施する市町村はいまだ少数ですが、震災以降、学校、公民館以外のコミュニティーセンター等の指定施設が急増しており、見直しを進める中で、地域の状況に応じてより安全な施設の指定が進みつつあるものと理解してございます。
 今後、引き続き避難施設について耐震性の検討を指導するとともに、あわせて水害、地震等の災害の種別に応じて避難施設を指定するよう指導してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 防災対策に関しての災害弱者の防災についてでございますが、社会福祉施設につきましては、高齢者や児童、心身障害者等の災害時に特に配慮を要する方々が入所・利用していることから、各種の災害に備えた十分な防災対策を期す必要があります。
 このため福祉保健部では、施設指導監査等を通じて、一つには災害が発生した場合における通報連絡、避難誘導等に係る消防計画の策定、二つには年二回以上の避難訓練等の実施、三つには消防用設備の点検などについて指導を行っているところでございます。
 今後とも、総務部や関係市町村等と密接な連携を図りながら防災対策に万全を期してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長尾崎武久君。
  〔尾崎武久君、登壇〕
○農林水産部長(尾崎武久君) 東山議員にお答え申し上げます。
 防災対策に関してのうち、森林を守り再生することが防災の第一歩とのご質問でございますが、森林は、木材生産のほか、水資源の涵養、土砂流出防止、保健休養など、県民生活に重要な公益的機能を有してございます。また最近、地球温暖化対策から二酸化炭素吸収源として森林整備の重要性が認識されつつあります。
 こうしたことから、本県におきましては、健全な森林造成のため、間伐などの森林の手入れや林道の整備、新規雇用等、担い手対策事業など林務関係予算百九十億円を措置して適切な森林管理を実施し、循環型資源としての森林の整備を積極的に進めているところでございます。
 また、森林の開発を行う場合には、必要最小限の開発であることはもちろんのこと、防災施設の設置を義務づけるなど、開発に起因する災害の未然防止に努めているところでございます。
 さらに、保安林の適正配備や治山事業等の実施により保安林機能の維持強化を図るなど、災害から県民の生命と財産を守るため、今後ともより一層豊かな森林の保全に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 東山議員の防災対策に関するご質問にお答えいたします。
 まず、耐震診断・改修についてのご質問でございます。
 まず県営住宅ですけれども、このうち昭和五十六年度以降のものは新耐震基準に基づき建設されておりますし、また昭和五十六年度以前に建設したものの大半も鉄筋コンクリート造で、耐震性能にすぐれた壁式構造としておりまして、予備診断をした結果、これらすべての住宅で耐震診断の必要がないとの判定が出ております。
 一部の木造やブロック造等の県営住宅は、現在、建てかえ事業により順次耐震性の向上に努めております。また、市営住宅においてもほぼ同様の状況でありますが、一部耐震診断の必要な形状の市営住宅については検討するよう通知しております。
 次に、耐震診断・改修に対する支援策についてでございます。
 議員ご案内のとおり、県では本年度から木造住宅や多数の者が利用する特定の建築物を対象に耐震診断に対する助成を行うことといたしており、現在、鋭意制度のPRに努めているところでございます。
 また、市町村が行う市街地の耐震化に関する計画作成及び耐震診断に対する助成制度や民間が行う耐震改修に対する住宅金融公庫の低利融資制度も実施されております。
 今後とも、これらの制度の活用等により、耐震診断・耐震改修の促進を図ってまいりたいと考えております。
 次に、道路の岩盤崩落等の対策についてでございます。
 北海道の大規模な岩盤斜面崩落事故を踏まえ、県内でも緊急的にトンネル坑口部や岩盤斜面等の点検を実施いたしました結果、対策の必要な箇所は国、県合わせて二十九カ所ございました。
 これらの対策工事につきましては、平成八年度から緊急度の高いところより順次整備に着手しておりまして、平成十年度末までには十七カ所実施し、そのうち十一カ所が完了する予定としてございます。残る十二カ所についても、できるだけ早く対策工事を実施して安全な道づくりに努めてまいります。
 次に、浸水対策としての和歌川水系の河川改修についてのご質問でございます。
 まず、和歌川水系の河川改修の基本方針ですが、和歌川流域は紀の川下流の低地帯に位置しているため、これまでたびたび浸水被害をこうむっており、また近年、特に紀の川左岸の和歌山市東部の水田地帯等の市街化が進み、遊水機能が減少し、浸水被害及び内水被害も増加してきております。
 現在、和歌川水系の市街地に係る各河川は、百年に一度起こる確率の規模の洪水を将来的に安全に流下させ得るように計画的に改修を進めてきておりますが、浸水被害を解消するためには、これとともに、下水道事業や湛水防除事業などによるポンプ施設や排水路を用いて改修された各河川に計画的に排水することが重要でございますので、今後とも関係部局と連携を密に図りながら和歌川水系の浸水対策を講じてまいる所存でございます。
 続きまして雑賀橋の改修の見通しについてでございますが、和歌山市内の雑賀橋付近は大門川の狭窄部となっており、洪水を安全に流下させるため、雑賀橋のかけかえ及びこの付近の川幅を広げる必要がございます。
 当該地域は和歌山市内の中心的な商店街の一部として商店、住宅が密集しておりますが、昭和六十三年度に地元に対し事業説明を行って以来、二十四名の地権者の方々との補償交渉を鋭意進め、これまでに二十三名の方々の同意を得て家屋等の物件の補償を完了したところでございます。また、残る一名の方についても現在鋭意交渉中であり、早期に同意が得られるよう努力してまいる所存でございます。
 なお、この雑賀橋のかけかえ及び川の拡幅工事は、今年度着手し、平成十三年度の完成を目途として進めてまいる予定でございます。
 次に雑賀橋から上流の大門川の今後の改修についてですが、鳴神橋までの約四千メートルについて川底を掘削し、洪水を安全に流下させ得る断面を確保していくこととしております。この計画に基づき、昭和六十一年度に事業着手し、当面、大門川橋までの千二百三十メートルについて掘削するため、これに先行して当該区間の護岸を概成させたところでございます。
 今後は、雑賀橋のかけかえ及び川の拡幅が終わり次第、引き続き当該区間の川底の掘削を行うことで上流域の浸水被害を早期に解消してまいる所存でございます。
 続きまして、真田堀川の今後の改修計画についてお答えいたします。真田堀川は、洪水を流下させる機能と内川の浄化用水の導水路としての機能を有しておりますので、この二つの点からお答えいたします。
 まず、洪水を流下させる機能についてでございます。真田堀川は、現在は洪水時に有本川及び真田堀川の流域の雨水を集め、大門川の方に流入しておりますが、将来的にはこれらの洪水を宇治ポンプ場地点にある嘉家作樋門を改築して、ここから紀の川へ直接排水する計画としております。
 次に、浄化用水の導水路としての機能についてでございます。現在、昭和三十九年に建設省が設置した宇治ポンプ場を通じて紀の川から取水した浄化用水を真田堀川に導水し、内川の水質改善が図られているところでございますが、将来的には、老朽化が進んでいる宇治ポンプ場を撤去し、平成九年度に建設省が設置した有本揚排水機場を通じて浄化用水を取水し、有本川を経て真田堀川に導水する計画となっております。
 なお、宇治ポンプ場については、有本揚排水機場の試験通水等を通じて導水による内川の浄化効果が十分得られることなどが確認された後に撤去することとなっております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 28番東山昭久君。
○東山昭久君 ご答弁をいただいたので、要望を二点だけ簡潔に申し上げます。
 一つは、総合防災センターの設置構想であります。先ほど知事の方からご答弁がありまして、恐らく県庁舎の改築等も含めて将来的に考えていく課題だと思うんですけれども、できるだけ早く危機管理の一環として実現できるようにご努力をしていただきたいなというのが一点であります。
 それから、大門川の改修について。雑賀橋のかけかえについて、あと一名の方が残っていると。これも、今年度中にけりをつけて工事に着手するという土木部長の答弁をいただきました。ぜひ一日も早く工事が着手されて和歌山市内の東部地区の浸水対策が少しでも改善されることを心からお願い申し上げまして、要望にかえさせていただきます。
 以上です。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で東山昭久君の質問が終了いたしました。

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