平成10年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 議長のお許しをいただきましたので、早速、通告に従って質問を行ってまいります。
 まず初めに、廃棄物問題についてであります。
 このことについては、既に同僚議員のお二人の方がおやりになっていらっしゃいます。重複するところもあると思いますが、ご了承願いたいと思います。
 今、ダイオキシンへの不安は全国的に広がり、これまでダイオキシン対策を怠り、ドイツなどヨーロッパに比べて五倍も十倍も緩い規制しかしてこなかった政府への批判が強まっているところです。ダイオキシンは、自治体のごみ焼却場以外に電気炉や廃プラスチックなどを焼却する工場からも出ていることが明らかになり、事業所から出るダイオキシンについても各事業所に測定を指導するようになっているところです。測定が必要な事業所数や測定の実施状況、その結果について報告を求めたいと思います。
 自治体のごみ焼却場から出るダイオキシンが大問題になっておりまして、ことしに入ってからも、かつらぎ町のごみ焼却場から百ナノグラムが検出され、焼却が一時停止されているところです。これは、昨年までの測定では八十ナノグラムを超えなかったところでも、新たに基準をオーバーするところが出ることを示していると思います。県として、県内の自治体のごみ焼却場での測定結果について報告を受けていると思いますが、測定の状況やその結果の特徴について報告を求めます。
 橋本市野の産廃処理業・日本工業所の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 県警本部長、この産廃処理場にかかわる県職員、産廃業者の逮捕、起訴容疑事実、また再逮捕の容疑事実を詳しく報告してください。
 知事は、議会の冒頭、県職員が収賄容疑で逮捕されたことについて、「議員各位を初め県民の皆様に深くおわび申し上げます」と述べておられます。住民の健康と安全を守る責任を持つ知事として、菖蒲谷や柿ノ木坂、出塔地区など、橋本市の住民を苦しめた県の行政責任は大変重大だと指摘しなければなりません。私は、だれに対してよりも、まず悪臭などの公害に長期にわたってさらされ、健康を侵され、今も不安な暮らしを余儀なくされている住民の方々、ダイオキシン汚染の不安の中で暮らしている住民の皆さんに、まずおわびをする姿勢が知事に求められると思うのであります。ですから、日本工業所に焼却炉の設置を指導し、許可を与えた出発点をもう一度検討する必要があるのではないでしょうか。
 橋本市の産廃問題は、何度も論議をされてまいりました。今議会においても、県の姿勢が厳しく問われてまいりました。この問題は、悪臭、降灰、野焼きによる火災の発生、ハエの大量発生、カラスの大群、煙や廃棄物が原因と見られる薬物中毒の疑いで主婦が入院する事態も起こり、これまでに四十人が通院しなければならない大変な事態になっています。
 日本工業所は、最初は自社処分地としていましたが、毎日新聞の五月三十日付によりますと、許可を受ける二年前の九四年四月には、国道三百七十一号線沿いなど数カ所に「安定五品目受け入れ可」などと書いた看板を立て、県外ナンバーの車が朝から列をつくっていたなどの証言が報道されております。九五年に入って阪神大震災の廃棄物を大量に受け入れ、またそれも野焼きして火災を起こすなど、産廃業の許可を得ないまま違法な事業活動を行っていました。贈収賄事件の容疑事実の一つにこの違法行為を黙認していたことが挙げられているのは、ご承知のところです。
 九六年二月二十二日、日本工業所は県に焼却炉の設置を申請し、三月七日に異例の速さで許可がおりました。通常は地元自治体が意見書を出すことになっていますが、橋本市が同意できない旨の意見書を日本工業所に交付したのは、県が既に許可した後の三月二十九日であります。橋本市が意見書の交付を求められたのは、県が許可をした四日後の三月十一日です。県の許可を受けた後で橋本市長に意見を求めるのは、市の同意を得ているとのアリバイづくりをねらったものではなかったのかと疑問を持ちます。
 こうした一連の経過の中で、今回の贈収賄事件があります。実に、住民の苦痛を何とも思わないやり方、県の失政を自身の金もうけに利用した事件に非常に腹立たしく思うのです。県が日本工業所に焼却炉の許可を与えた理由は、違法状態のまま業務を継続されると行政指導と刑事告発の道しかない、その場合、事業者は罰を受けて廃棄物を現状のまま放棄してしまうおそれがある、それよりも許可を取得させ、法律に基づき厳しく指導する方が適当であると考えたということです。本議場でもそのように説明をされました。私は、県が地元住民はおろか、橋本市長の同意をとらないで違法行為を行っていた日本工業所に産廃処理業や焼却炉の設置を許可したことそのものが誤りだったと考えるのです。知事は、許可を与えた手続や方針は県の行政として正しかったと今も考えておられますか。
 次に、野積みされている産廃や焼却灰の処理の問題についてお尋ねします。
 環境保全公社から、第一期搬出が昨年七月三十日から九月二十六日まで六千八百立方メートル、二期搬出が十二月二十二日からことしの四月二十五日まで一万三千二百立方メートル、合わせて二万立方メートルとのことでしたが、一昨日の答弁では総量が二万一千立方メートルとなっています。環境保全公社が合わせて一億五千万円を負担し、日本工業所も同額負担したとのことです。これが超法規的な処置であることは県も認めていると思うところです。しかし日本工業所は、県から改善命令や搬入禁止を命令されるなど無法の限りを尽くしてきた企業でもあります。まして搬入した産廃は排出者から料金を取って営業活動を行っていたものであり、搬入した責任は日本工業所にあります。違法な野焼きや無許可営業を知りながら黙認していたとの疑いが県にかけられているわけですが、そうした違法事実を知り、撤去させる必要があると判断したなら、なぜ法律に従って業者に撤去命令を出さなかったのか、住民の健康被害を心配したのであれば、それほど深刻になるまで手を打たなかったのか、ここが問われると思います。撤去命令を出さなかった理由、またそれに従わない場合は行政代執行も検討できると思います。そうした手段をとらなかった理由を明らかにしてください。
 また今回の県の対処は、県下で産廃問題で金がかかるとなったら、環境保全公社が超法規的な金を出すとの前例をつくったことになります。違法行為を行った産廃業者が違法に産廃を積み上げたら、公社が金を出し、産廃を持ち込んだ業者が運び出してもうける、こんなことを今後も続けるとしたら、無法な業者のやりたい放題を許すことになるのではないかと非常に心配をするところです。知事は、この超法規的な実態をどのように感じておられますか。
 今月二日付の読売新聞に、「産廃二万立方メートル行方不明」という記事が掲載されました。七日付には、その消えた産廃の一部が堺市の日本工業所の本社敷地内に野積みされているのを住民が確認したとの報道もあります。それによると、橋本を出たトラックが堺市の本社へ、現認できただけで七日間で三十一台の十トントラックで産廃を運び込むのを記録しています。堺市の行政では、一月ごろから搬入が始まり、四千立方メートルの産廃が野積みされているのを確認しているとのことであります。一昨日の答弁では、二千立方メートルが今も堺市に野積みされていることを県も認めました。県は、二度にわたって環境保全公社や県産廃処理協会に対し、日本工業所が運び込んだまま野積みしている産廃の処理を依頼してまいりました。「適正な処理」をとの依頼ですが、これが適正な処理に当たるとは到底考えられません。
 お聞きいたします。
 「適正な処理」とは、橋本市の日本工業所から搬出することのみを指すのではないと思います。中間処理を行い、最終処分場に投入されるまでを指すと考えますが、「適正な処理」の具体的な内容をお示しください。
 和歌山県は、奈良県庁からの問い合わせに、「大阪府内で処理している」と返答したと聞いております。本当に大阪府内で処理しているのなら、迷惑をかけるかもしれないのですから、大阪府には事前に連絡をしたのでしょうか、答弁を求めます。
 橋本からの搬出は、第一期が七月三十日から九月二十六日、お盆の休みの期間を含めてわずか二カ月足らずですから、土曜日に稼働しても実働日数は四十日余りです。六千八百立方メートルの産廃を四十日で処理するとなると一日で百七十立方メートル、処理能力としては一日百トン以上は必要だと思われます。県が正規の処理場に持ち込まれていると信じると言うのでしたら、マニフェストに記載されている中間処理業者が許可を受けている処理施設の処理能力を確認したのですか。また、中間処理した産廃を持ち込んだ最終処分場を把握しているのかどうか、そこの自治体に持ち込むをことを連絡したのかどうか、答弁を求めます。
 これは、県が他府県とも協力しながら産廃問題を解決していく姿勢に立つのなら、互いの信頼関係を維持する上で欠かせない条件だと思います。
 また、告発もされていますが、日本工業所が二度と住民の暮らしや環境を壊さないために、産廃業や施設の許可を取り消してもらいたいというのが切実な願いです。県が住民の苦労にこたえる決断をしてもらいたいと強く求めたいと思います。ご答弁をお願いします。
 この問題の最後に、住民の健康被害調査、母乳のダイオキシン検査の実施を求め、県の答弁を求めたいと思います。
 住民の委託を受けた民間の調査機関が約三万ピコのダイオキシンを測定し、大きな衝撃を受けましたが、ダイオキシンは体内に蓄積する性質を持つ非常に恐ろしい物質です。全国的に土壌のダイオキシン検査が行われ、大阪能勢町では千ピコ以上の土壌の入れかえを行うようになっています。心配なことは、住民の健康被害です。最初に述べましたように、入院した人や通院している人が数多くいるわけですから、被害を受けている住民の健康診断についても県が責任を持って行うことが大事ではないでしょうか。ご答弁ください。
 また、ダイオキシンは体内に蓄積します。ただ一つ、体外に排出されるのが母乳に含まれているダイオキシンです。お母さんの体にとっては低いダイオキシン濃度であっても、母乳を飲む赤ちゃんには高い濃度となって蓄積されることになります。ですから、母乳検査はどうしても急いでやらなければならないと思うのでありますが、いかがでしょうか。
 次に、障害者、とりわけ視覚障害者の交通機関利用についてお尋ねをしていきたいと思います。
 去る五月十九日の「ニュース和歌山」コラムに掲載をされ、和歌山放送でも放送された内容であります。「親子で空の旅はいつ?」について、関係部長の所感と県行政としての対応を伺うものです。
 この記事は、五月十六日、和歌山放送ラジオでも放送されました。これは皆さんのところにお配りをいたしております。どうぞご一読いただいて、ぜひとも障害者の問題として考えていただきたいと思います。私は、この記事を読んだ後、菅野恵子さん親子にお会いをしてお話を伺ってまいりました。全盲という障害を理由に飛行機の搭乗を拒否されたという問題です。この菅野さんは、緑内障という病気に侵されて全盲になった方でもあります。これは単に菅野さん親子だけの問題ではないと思いますし、さまざまな障害を抱える全障害者の問題だと思います。今や、障害者があらゆる機会に社会参加を保障することが社会全体に求められているときでもあると考えまして、皆様方にもご一読いただき、改善策等を考えていただきたいと思い、議長のお許しを得まして配付させていただいております。どうかよろしくお願いを申し上げます。
 この記事でございますけれども、ここをちょっと紹介したいと思います。「今年三月二十四日、私は、四歳の息子と一歳の娘を連れて香川県の実家に帰省するため、午後五時五十五分発高松空港行きのエアーニッポンANK七二三便に乗ろうと、関西国際空港に行きました。ところが、搭乗手続き中に『お客様は、全く目がお見えにならないのですか』と係員に聞かれ、手続きが止まってしまいました。(中略)係員の説明では、『障害者の母親と、二人以上の幼児は一緒に搭乗できない規則になっている』とのこと。出発直前の思いがけない言葉に私は困惑しました。交通公社で切符を購入した時、私が障害者であり、子どもたちの年齢も分かっていたのに何も告げられませんでした」、こういうことを書いていらっしゃいます。
 既に菅野さんは、昨年九月十三日にも乗れて実家に帰れたというのが経験としてあるわけですから、到底納得できないという立場に立ったわけです。しかし、従業員の方が下の一歳の子供さんを見てくれる方があればということで一生懸命探していただきましたけれども、残念ながら三十分ほど待った時点で世話を引き受けてくれる人がいない、だから搭乗できませんので地上の交通手段を利用してくださいと言われて大変ショックを受けられたと聞きました。そして息子さんは、どうして乗れないのかということを母親に詰め寄ったと。ここにも書いてありますように、「『お母さんが見えないから三人一緒に乗れない』とは答えたくありません。私自身が納得できない規則で息子の楽しみを奪われ、親子の行動を制限された悔しさがこみあげてきました」。
 菅野さんは、母親が障害者であるがゆえに耐えなければならない困難は多々あると思う、それらをばねにして積極的に生きている菅野さん自身を見て、子供たちが親を恥じることなく心豊かに成長してくれることを信じているとおっしゃっていました。
 そういう点で見てみますと、旅行会社が切符を売るだけになっているのではないのだろうかと私は思ったわけです。各航空会社は、運送約款や細則によって障害者等に対する搭乗制限が行われているようであります。当然、こうした障害者、特に視覚障害者等に対しての制限は、切符販売を行う代理店等には周知されていなければなりません。しかし菅野さんの場合、切符販売した旅行社では身障手帳を提示し、しかも子供二人の年齢、名前まで告げ、その上で切符を発行されておりますから、まさか飛行場に行って搭乗できないということがあるわけないと思っていたし、もちろんこの旅行会社ではこのことの告知すら受けていなかったのです。幾ら規則と言われても、やはり納得できるものではなかったのではないでしょうか。何よりも、飛行機に乗ること、おもちゃやジュースをもらった喜びと楽しみを奪われた息子さんの泣いて残念がる姿や、障害者であるがゆえに困難に耐えて、それをばねにして、妻として、母親として、教師として社会生活や家庭生活を積極的に生きている菅野さん親子の悔しさ、むなしさを思うとき、私は胸の張り裂けるほどの怒りを感じました。
 こうした問題を改善するため、この六月一日からは二歳児以下の乳幼児の同伴が認められるようになりました。なお、菅野さんの息子さんが六歳になるまでは、この同じ機種を使って実家へ帰るという利用の仕方はできないのであります。なぜならば、付き添いなしの五歳までの同伴者は一人と規定されているわけですから、六歳になるまで菅野さんは子供三人で帰ることはできないということになります。安心、安全をモットーとする航空会社です。親子が一緒に空の旅が楽しめるように一日も早い改善を願うものであります。
 特に和歌山は、関西国際空港に他府県よりも最も近い位置にあります。飛行機なら三十分で高松空港の目的地に着けたのに、JRをたびたび乗りかえながら、そして子供への気配りと安全を確かめながら、三時間半という長時間をかけて夜の十時過ぎにやっと自宅へ帰り着いたそうです。子供はもちろん、お母さんもくたくたになりながら帰ったそうであります。JRを使って大変危ないところを三時間半もかけて帰るよりも、短時間でしかも乗りかえなどのない飛行機は、子供にとってもお母さんにとっても安全で便利な交通機関ではないでしょうか。
 私はこの間、旅行会社等の幾つかの代理店等に、障害者、特に視覚障害者に対する細則などが職員に周知徹底されているかどうかを伺いました。大変事例が少ないこともあって、ほとんどおろそかになってしまっている。この機会、大変よい勉強になりましたという状態でもありました。また、切符を販売された旅行社、航空会社は菅野さんに、済みませんでしたとおわびに来られたようでありますが、障害者の子育てを支援し、交通機関を安心して利用し、社会参加を一層広げるため、制限規定を見直しすることが急がれなければなりません。
 知事、知事の公約でもありますこのパンフレットの中の二十七ページに書いてあります。これの三十八番と三十九番は非常に大事なことだと思いましたので、公約実現のためにも、障害者のためにも、ぜひこの問題をとらえていただきたいと思います。三十八番、三十九番に明記されているのは、関西国際空港は「和歌山にとって『庭先の空港』となるよう利便性を一層高めます」。そして、南紀白浜空港を「新規航空路線の開設など本県の空の玄関として」とも約束をされていますから、障害者にとってもこの実現を願いたいと思っています。しかし、南紀白浜空港においても、視覚障害者に付き添いなしの六歳未満の同伴は一人と、これまた制限されることになります。機種がもちろんそうであります。障害を持つ人々は、障害そのものについては仕方がないと、そのことを認めた上で、しかしそのことでさまざまな制限を加えることはやめてほしいと常々申されております。
 さて、種々申し上げてまいりました。福祉保健部長にお尋ねをいたしますが、まずこの記事を読まれての所感をお聞かせください。そして、県としてどのような改善策を考えておられますか。また、この間、旅行会社や航空会社にアクションをとってこられたのでしょうか、その内容をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、入札制度の改善について質問を申し上げたいと思います。
 公共工事をめぐる批判の中に、談合にかかわるものがあります。大手ゼネコンを巻き込んだ談合疑惑は後を絶ちません。国においては、九三年十二月二十一日の中央建設業審議会において、「公共工事に関する入札・契約制度の改革について」が取りまとめられ、また建設・自治省通達、「公共工事に係る入札・契約手続及びその運用の改善の推進について」が出されています。その後、本県においても一般競争入札の導入や公募型入札の導入など一定の改善に踏み出しておられますが、本来、公共工事の契約方式は一般競争入札を原則とし、例外的な場合として指名競争入札、随意契約を定めているところであります。ところが、実際は指名競争入札が圧倒的で、今問題となっている談合をめぐる疑惑は、多くはこの指名競争入札をめぐってであります。また、指名の登録を行っていても一向に指名されたことがないとか、市町村の中には指名されても知らない間に辞退届が出されていたという業者の方の話も聞くところです。国の改善策の目的は、こうした事態を改めて、透明性、客観性を高め、不正の起きない仕組みをつくることであると考えるところですが、同時に地元中小企業の育成にも貢献できるものに改善する必要があると思います。
 中央建設業審議会の取りまとめは、指名基準の策定や運用基準の策定、指名結果、入札経過及びその結果並びに発注標準の公表を求めています。現在、全国的には、この取りまとめを受けて、指名基準や入札経過はもちろん、予定価格の公表や年間の企業別の受注額、金額の大きい工事から五十番目までの企業名と金額を公表するなど、透明性を高める努力が進められているようであります。
 そこで、お聞きをいたします。
 本県では、入札経過については、入札調書として閲覧できることになっております。よりオープンにするための公開の方法を今後検討すべきではないのでしょうか。指名基準についても公開するようにと建設業審議会の取りまとめで求められていますが、本県でも直ちに公開すべきだと考えます。おくれている実態をどのように考えておられるのか、見解をお示しください。
 また、入札調書には設計価格あるいは予定価格が記されていません。いずれ公表する方向だとは聞いております。いつから、どのような方法でその公開をなさるのでしょうか。また、企業別の受注金額についても公開するよう求めたいと思いますが、いかがですか。
 なお、関連して、市町村の入札のあり方について質問を申し上げます。
 私ども日本共産党県議団として、県内五十自治体に入札の指名基準の策定状況やその公表状況などでアンケートをとらせていただきました。中小の建設業者の皆さんが安心して経営できるようにするためには、地方自治体の長がかわったら指名をされないというようなことがあってはならないことです。そのためには、指名や入札が公平公正な客観的な基準に基づいて行われる必要があると思います。
 アンケートには、八割の市町村から回答をいただきましたが、その結果、回答のあった自治体では、入札指名基準を持っているのが約六割、四割は策定していないとのことでした。指名基準を公表しているのは二つの町だけで、指名基準の運用基準を策定しているのは四割にすぎません。入札経過及び結果については、一応公表しているのは約六割で、町の広報に掲載しているところもありますが、結果だけ公表しているところや問い合わせがあった場合だけとか、入札会場でだけというところもあります。大変おくれているのが県下の実態であることもわかりました。こうした実態について、県はどのように把握されているのでしょうか。
 これで、第一回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
 廃棄物問題についてであります。
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく産業廃棄物処理業の許可につきましては、全国的にも大変難しい問題が生じておるわけでございます。この件につきましても、従前の許可に至る手続につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に定められた審査を行い、条件を満たしていたため許可したものと考えてございます。
 業者に撤去命令をなぜ出さなかったのかその理由、並びに環境保全公社による支出についてのご質問であります。
 私は、かつて橋本市で開催されました動く県庁の席上で橋本市の住民の方から、煙や悪臭等、この廃棄物問題の実情をお聞きいたしまして、早速担当部局に指示をいたしまして、搬入停止や夜間の焼却停止など、問題解決に向けて可能な限りの対策を講じさせてまいったところであります。その後も、橋本市長を初め関係者とも協議を重ねてまいりました。法的には、撤去を命ずる条件に至っておりませんでした。すなわち、廃清法に基づく命令につきましては、環境保全上の支障がある場合、その支障の除去を命ずることができる。この支障の除去というのは、排出基準などの基準以下に下げる命令ということでありまして、必ずしも撤去を命ずることができるというものではないわけであります。しかし、問題を早期に解決するために、緊急避難的な措置として行政指導により保管廃棄物を撤去させたものでございます。
 その際に、財団法人和歌山環境保全公社に対し、特例として資金協力について依頼をしたところであります。環境保全公社は、その寄附行為に定める「廃棄物を安全かつ適正に処理すること」という目的に照らし、理事会において審議され、例外的な措置として支援をしていただいたものであります。
 他の問題については、部長から答弁をいたします。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 村岡議員の質問にお答え申し上げます。
 まず、ダイオキシン検査を必要とする焼却処理場──これは民間事業所の場合であります──の実情と検査の進捗状況についてでございますが、ダイオキシン類の測定につきましては、昨年十二月一日から一年に一回以上の測定義務が生じました。対象施設数につきましては三十施設でございまして、測定の必要性等について指導しているところでございます。また、事業者には測定結果の報告義務はございません。本年十一月三十日が測定の期限となっておりますので、念のため行政指導の一環として、その時点で報告を求めてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、自治体のごみ焼却場におけるダイオキシン検査についてでございますが、第一回目につきましては、平成八年度から九年度において厚生省が、今後ダイオキシン削減対策を検討し実施する上での基礎資料とするために実施したものでございます。この調査につきましては緊急対策基準を五施設が超えましたが、既に改善対策済みでございます。そして第二回目の調査につきましては、対象となる施設が三十施設ございまして、本年十一月三十日までに実施するようになっておりますので、適宜把握してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、「適正な処理」には最終処分を含んでいるのではないかとの質問でございます。
 中間処分または最終処分を行うことができる許可を受けた処分場に搬入されることが「適正な処理」であると考えております。
 続きまして、搬入先の行政への連絡は行ったのかとのことでございますが、株式会社日本工業所に対し適正な処理を行うよう指導したものであり、搬出先の行政への特別の協力依頼等は行っておりません。
 続きまして、搬出先の廃棄物処理業者の処理能力につきましては、確認いたしてございます。また、中間処理後の廃棄物の搬出先につきましては、把握いたしておりますけれども自治体には連絡いたしておりません。
 最後に、産業廃棄物処理業や産業廃棄物処理施設設置許可の取り消しについてでございますが、公判の推移を踏まえまして厳正に対処してまいる所存でございます。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 村岡議員ご質問の廃棄物問題についてお答えをいたします。
 議員ご指摘のダイオキシンに関する健康被害調査、母乳検査につきましては、国において現段階では、血中濃度の測定等も含め、どのような内容の調査を行えばよいか、また調査結果から健康への影響をどう評価するかなどの判断基準が科学的に確立されていない状況でございます。このため厚生省では、ダイオキシンによる人体に及ぼす影響の把握と健康影響の評価に関する基礎的な調査研究を進める必要があるとの考えから、母乳、血液等の人体への影響に関する調査研究を引き続き実施しているところであると聞いてございます。
 県といたしましては、こうした国の調査研究の推移を見ながら、地元自治体とも十分協議調整の上、検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、障害者の交通機関利用についての三点にお答え申し上げます。
 これは、航空各社が緊急時の乗客の安全を確保するため、社内規定で歩行障害者、視覚障害者等につき搭乗の制限を設けているものでございます。今回の場合は、百二十六人乗りのボーイング七三七型機であり、社内規定で付添人を伴わない視覚障害者と一緒に搭乗できる子供は、六歳未満であれば一機当たり一名という制限がございます。
 まず今回の所感でございますが、ご本人が航空券を購入し、空港に到着をしているにもかかわらず搭乗できず、長時間をかけ、子供二人を連れて、JRを乗り継いで帰省したことのご苦労はもちろんのこと、四歳の子供心を傷つけた、本当に残念な出来事であったと思っております。
 県といたしましては、福祉のまちづくり条例を制定するなど、障害者の完全参加と平等を目標に掲げている観点から、障害者が自由に移動できる社会を実現することが必要であると考えてございます。
 次に、その改善策と旅行会社、航空会社への対応でございますが、六月十二日に、航空券を販売した旅行業者と航空会社からの事情聴取を行いました。旅行業者は、今回、本人に十分な説明ができなかった点の反省から、本人に謝罪し、再発防止に向け、既に社員に航空会社の社内規定の徹底を図った旨の回答がございました。航空会社に対しましては、事実確認と社内規定の説明を受けた後、口頭で社内規定の見直しを要望いたしました。
 県といたしましては、ノーマライゼーションの理念とバリアフリーを推進する観点から、障害者の搭乗制限の見直しについて今後とも関係先に要望してまいりたいと考えてございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 村岡議員の公共工事の入札問題に関するご質問にお答えいたします。
 まず中央建設業審議会の建議においては、できるだけ速やかに対応すべきものと今後の検討課題としていくべきものとが含まれております。本県といたしましては、平成五年に庁内に設置しております入札・契約制度検討委員会において、競争性、透明性の確保を図るため、入札・契約方法について協議検討を重ねているところであります。
 予定価格の事後公表につきましては、入札執行調書に記載する等により、できるだけ早期に実施してまいりたいと考えております。また企業別の年間受注額につきましては、平成十二年に稼働予定の土木管理システムを活用して情報提供が可能になります。また指名基準につきましては、公開の方向で現在検討しているところであります。なお、入札結果についてでございますけれども、今後も閲覧方式で公開してまいりたいと考えております。
 次に、市町村の入札のあり方についてのご質問でございますが、平成九年六月に実施した平成八年度の地方公共団体の入札・契約手続に関する実態調査によりますと、指名基準を策定しているのは二十七市町村、運用基準を策定しているのは十六市町村となってございます。地方公共団体の公共工事に係る入札・契約手続及びその運用の改善の推進について、国からの要請を受けまして管下の市町村に文書及び説明会等で周知徹底を図ってきたところですが、いまだ改善されていない市町村もございますので、今後とも入札・契約手続の透明性及び公平性の確保のため、より一層改善方、周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 警察本部長米田 壯君。
  〔米田 壯君、登壇〕
○警察本部長(米田 壯君) 村岡議員の、橋本市野の産廃処理場をめぐります贈収賄事件に関するご質問についてお答えをいたします。
 この贈収賄事件の最初の逮捕事実でございますが、県職員である元高野口保健所の医療技師が、産業廃棄物処分会社の社長から橋本市野地区で産業廃棄物処分業を無許可で行っていたのを黙認したこと、及び産業廃棄物処分業等の許可申請に際し、有利便宜な取り計らいを受けたいという趣旨で、平成七年中、総額数十万円のわいろを収受したとして、県職員を収賄罪で、産業廃棄物処分会社社長を贈賄罪で、それぞれ本年五月十五日逮捕し、両名とも起訴されたところであります。
 また再逮捕の事実の概要でありますが、平成八年四月ごろ、当時高野口保健所に勤務していた県職員に対して、今後産業廃棄物処分の現場指導等に際し有利便宜な取り計らいを受けたいという趣旨で、時価数十万円相当の旅行クーポン券等の供与の申し込みをしたとして、両名を贈賄罪の申し込みで本年六月四日再逮捕したところでございます。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 先に障害者問題ですけれども、航空会社とかそういうところに事実確認をしていただいたということで、それぞれ対応していただいたんですが、肝心な本人に確認をしていただいていないので、今度改めてまた航空会社とか旅行会社に申し入れをするということをおっしゃっていましたので、全盲の方とか視力障害者の方々のご要望も聞いた上でぜひとも要望にまとめていただきたいと、これはお願いをしておきたいと思います。
 それから、今、警察本部長の方から橋本市野の逮捕のそもそものいきさつをお聞きいたしました。
 これは、無許可で処分業をやっていたということがあって、これを保健所の担当者が黙認をしてきたというのが逮捕の原因だということとあわせて、物をもらい、金をもらい、贈られたというようなことで双方が逮捕されて起訴されたということがあるわけです。知事は、書類が全部整っていた、法的にも問題はなかったんやという答弁ですね。許可時点で本当にそうであったかというのは、非常に問題があると思います。これは、やはり原点に戻るということ、今ここまで来た段階では、無許可でしかも不法な行為をやっていたということは確認されたわけですから、その当時は許可はされていないということですね。そこはどちらにしても、収集運搬業の許可を与えたのも平成八年四月三日ですね。そして、産廃処理施設設置許可を与えたのは三月七日と、ここで二つやっとそろうわけですね。それ以前は、この方は平成六年五月二十日、これは保健所に対して自社処分をやりますからということでの届けをやるということでありましたけれども、これは保健所も認めていませんね。文書上は、これは認めておりませんよ。そういう問題が一つあるわけですから、許可されていないのにかかわらず不法な行為がまかり通っていたという事実を、許可したことが本当にそれでよかったのかということをもう一度原点に戻っていただきたいのです。
 逮捕劇になったのは、そのことがあって、無許可でしかも不法な行為をやっていたことについて黙認をしているわけですから、許可することは当然あってはならなかったはずです。そして、周辺の住民の皆さんたちからは、ハエが飛んできて臭いという被害がどんどんその時点でもあったわけですよね、野焼きをしていますから。だから、ここでもう既に業務命令なり不法ということで撤去命令を出せたはずです、本来的には。そういうことが、知事や今までの生活文化部長の答弁では全く反省の色がないと思うのです。
 しかも、当時は橋本市長の意見というもの、あるいは排水同意の問題もあるでしょうから水利組合の皆さん方の同意、周辺住民の皆さん方がいっぱい苦情を言ってきているのに対して、ちゃんと対応していないという問題も経過的には、私がつかんでいるところではあるわけです。そういう点で見ても、全く不法行為に対して厳正な対処をとってこなかったということで、許可を与えるべきではなかったと私は判断をします。
 既に、市長の許可申請に当たっての同意書というのか意見書を求めてきたそのものの──これは向井議員も指摘されましたけれども、三月七日に既に許可してしまって、意見書を求めてきたのは三月十一日でしょう。返事をされたのは三月二十何日でしょう。全く逆ではないですか。こういった行為を平然とやってきた。これは、谷口さんだけが悪いんではないと思います。行政のあり方として成り立っていなかったと。そういう点で、法律に基づいてよかったんだというようなことはまかり通らないと思います。
 許可してしまったら業者の勝ちですよ。だから、今のような状態を招いてしまったわけでしょう。そういう点で見れば、原点に戻って今の事態をどうするのかということを考えてもらわなあかん。そういう点で、無許可営業を黙認していた立場に立って、当然撤去を命ずることはできたと思いますが、知事は今となっては仕方ないんだとお思いになりますか、お答えください。
 二つ目に、搬出先の処理能力は確認していると生活文化部長は答えられました。その能力ですが、これはマニフェストに記されている量を処理できたと考えていらっしゃるわけですね。それは、すべて確認をした上でちゃんとできてましたということになりますか、もう一回お答えください。
 それから「適正な処理」というのは、先ほども最終処分まで含めるとおっしゃっているわけですけれども、二万一千立米のうち中間処理場へ運ばれた量と最終処分場に運ばれた量の実態はどのようになっていますか、教えてください。
 それから、マニフェストを明らかにすることは差し控えると一貫して言っておられますが、その理由は何ですか、お答えください。
○議長(木下秀男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員の再質問にお答えをいたします。
 職員の容疑の全容については、まだ私はよくわかりませんので、その点は差し控えさせていただきます。
 いずれにしても、冒頭に申し上げましたように、産業廃棄物をめぐる問題というのは大変複雑なものがありますので、その間のさまざまな事情があったかもしれません。しかし、そのことのお答えにならないかもしれませんけれども、私がこの問題に関して絶えず申し上げてまいりましたときに、私も政治家の一人でありますから、そういう立場から言いますと、法を超えてでも対応したいという気持ちはあります。しかし一方、行政の責任者としては、一応は法に照らしてそのことを進めていくという立場もとらざるを得ませんので、その両面のあることもひとつご理解をいただきたいと思っております。
 以上です。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 村岡議員の再質問にお答えいたします。三点あったと思います。
 まず中間処理場の処理能力の件でありますが、これは運び込むトラックに積んだすべての量ではなく、その中間処理施設として処理しなければならないものを処理する能力ということで、例えば木くずとかアスファルトの塊を破砕する等の能力でありまして、県で把握している処理能力で十分可能であったと考えております。
 それから、運び出した二万一千立米の内訳でありますけれども、昨日、向井議員の質問にもお答えしましたとおり、マニフェストの公表ができないというその範囲内に入ると思っております。
 それと、マニフェストの公開できない理由でありますけれども、搬出した地元、また搬出を引き受けてくれた業者に対しまして迷惑をかける等のいろんな事情がございまして公表できない、そういう措置をとっているところであります。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 時間もありませんので、残りは委員会でやりたいと思っていますけれども。
 しかし、やはり一つは「適正な処理」というもの、あなたたちが言っている能力の問題と適正処理というのは一体のものだと私たちは思っているわけです。だから、中間処理場へ行ったのは何ぼで最終処分場へ行ったのは何ぼでというぐらいは量的にわかるでしょう。そんなものもわからんような伝票なんてあり得ないと思いますよ。それ答えられないというのは、何ですか。
 それからマニフェストについても、やはりあなたたちは何かありますね。よその自治体に迷惑をかけるというのがあなたたちの言いぐさでしょう。よそから問われて、どこへやりましたと言われて、あなたのところへ行っているそうだよ、自治体から自治体へ回っていっちゃってねと。一体どこですかと問われてごらんなさい。答えないわけにいかないでしょう。私たちは、奈良にも行っていると聞いております。だけれども、伝票はとって業者を信頼してやっていますというだけでは、私たち自身も撤去してくださいというのが目的であったとしても、よそに迷惑をかけながら運び出されるというのは、あなたたち心痛みませんか。住民としてはそうだと思いますよ。
 そういう点を、もっときちんと整理すべきだと思うのです。住民の不安にこたえるということにはなってないんですよ、あなたたちの答弁は。そういう点で、委員会に譲ります。
 終わります。
○議長(木下秀男君) 以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

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