平成10年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(和田正人議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時四分開議
○副議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第八十二号から議案第百四号まで、及び報第一号から報第三号まで】
  【日程第二 一般質問】
○副議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第八十二号から議案第百四号まで、及び地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号から報第三号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 47番和田正人君。
  〔和田正人君、登壇〕(拍手)
○和田正人君 お許しをいただき、質問をさせていただきます。
 今、時々刻々、世界でいろんな事柄が起こっております。しかし、幾つか注目をされている点がございます。その一つは、出場される三十二カ国の皆さんを初め、予選リーグが進められているフランスでのワールドカップに注目をしている皆さん、また円安が一円進めば一兆円の不良債権が生じるとも言われている日本の円安傾向に対して、特にしばらく前から中国政府の人民元に与える影響など強い懸念が報道されている中で、けさのニュースでもございましたが、日米の協調介入が報じられておりました。貿易の立場で努力をされている民間の皆さん方からすれば、上下動の激しい為替レートは経営戦略を持つ場合でも非常に困るわけであります。今後これがどうなっていくのか。一方、アジアの経済状況が依然として厳しいだけに、日本の経済の立て直しが強く求められているのも現実であります。国会が本日閉会予定でありますが、景気回復が本当に進むのだろうか。
 また和歌山県においては、県民のすべてでないといたしましても、紀陽銀行への事業譲渡発表以来、県信の利用者の多くの皆さんが懸念し注目している問題について、今議会、一般質問初日の六月十五日、宇治田議員の質問がありました。答弁を含め一部重複する部分もありますが、トーンと趣の異なる質問もありますので、ご了承いただきたいと思います。
 平成十年三月二十七日に発表された和歌山県商工信用組合の事業譲渡について、関連する質問をさせていただきます。
 まず、知事の談話であります。「和歌山県商工信用組合の事業譲渡については、本日、譲り受け先である紀陽銀行との間で正式に基本合意が成立しました。平成六年度からスタートした再建計画が四年目で挫折し、地域の主要金融機関がなくなるということについては、経営環境の変化等各般の事情があるとはいえ、県としても支援と指導を継続中のことでもあり、大変残念だと考えております。しかし、今回の事業譲渡は、金融制度改革が進展する中で、預金や融資取引等の事業を円滑に継続し、県内経済への影響を最小限にとどめる最善の方法であり、県内のリーディングである紀陽銀行のご決断に敬意を表するものであります。県としては、今後も預金者保護、中小企業者等、取引先及び地域社会への対応を最優先に取り組んでまいりたいと考えております。また、組合の業務は紀陽銀行へ引き継がれるまでの間は従来どおり行われますので、預金者の皆さんはもとより、県民の皆さんはご安心していただけるようお願いします」、以上が西口知事のコメントであります。
 次に、四点にわたる近畿財務局のコメントを紹介いたしたいと思いますが、時間の関係上、一部省略をいたします。
 近畿財務局のコメントの中で、預金保険機構による資金援助の発動に当たっては、平成七年十二月の金融制度調査会答申で示されているとおり、一、和歌山県商工信用組合は解散する、二、厳格に経営責任を追及する、三、出資金は全額損失の処理に充当する、という基本的な考え方に基づき対応していく所存である。
 省略をいたしましたが、近畿財務局のコメントも一部ご紹介をさせていただきました。今ご紹介させていただいた内容は、以下申し上げる質問に関連をする部分であります。
 一方、先般、金融各行の一九九七年度決算が発表されましたが、都銀九行が未曾有の赤字決算の事態であることが明らかにされ、金融各行はこれで不良債権にめどがついたとのコメントもされています。しかしながら、国民は本当に信用しているでしょうか。不良債権基準をアメリカ並みに改定し、債権処理は従来よりふえたが処理めどがついたという銀行の姿勢を国民の多くは信用して受けとめているでしょうか。新たに開示したのはリスク債権で、不良債権ではないという都銀の発表もあります。
 現在の日本の実態経済は、政府、大蔵省の考えているよりも、はるかに悪いことは国民の大多数が実感しているのであります。しかも、処理したと言われる不良債権も、引当金を積んだだけで、不動産等の担保物件を売り、貸借対照表から取り消して初めて処理したと言えるわけでありますが、公表ベースの粉飾決算と見る声もあるのであります。政府が総合経済対策を打ち出しても、円安・株安・債券安のトリプル安になるなど、現状はさらなる景気後退、不動産の値下がり、不良債権の拡大、厳しい銀行の貸し渋りや貸し搾りが続くと見る向きが多いのであります。現状の日本経済を評し、デフレ経済等と政治家、学者、評論家、マスコミが論じても、国民は失業者の増大、低金利、進行する民間企業のリストラを実感する中で、あすの生活、また老後の将来を考え消費を引き締めるという生活防衛策をとらざるを得ない、経済に与える悪循環に陥っているとも言えます。
 県信問題も、監督官庁である和歌山県から紀陽銀行への事業譲渡という決定を、利用者を中心に問題なく安心して受けとめているでしょうか。
 県信の沿革は、昭和二十九年七月に西牟婁商工信用協同組合として設立され、組合事務所を西牟婁地方事務所に置いたのがスタートであります。その後、名称を和歌山県商工信用組合と改め、営業区域を東牟婁郡、日高郡に拡大、昭和三十三年二月に営業地区を和歌山県一円とし、平成元年三月、和歌山県富士信用組合と合併、平成六年四月から経営不安に対応するため平成十五年までの再建計画をスタートさせ、和歌山県、紀陽銀行、全国信用協同組合連合会の協調支援が開始され、県はその後、毎年五十億円の低利融資を続け、本年当初予算にも計上されているのであります。
 再建計画に基づき平成六年十一月から平成八年一月の間に県下の十支店、二出張所を閉店し、現在は三十一支店、二出張所の規模で事業努力を続けてきたわけでありますが、本年三月三十一日の現況は、預金約二千七百四十四億円、貸出金約二千五百六十三億円──いずれも丸数であります。出資金十八億円、役職員数五百五名、組合員数三万四千九百八十七名、預金口座数五十六万四千口、貸出先数約二万三千先、年金受給者数一万七千人という状況であります。
 以上の内容からも、取引先の多くは中小商工業者や小売業、飲食、サービス業などで、合わせて三八・七%と高く、建設業の二一%を上回っている状況であるだけに、紀陽銀行に事業譲渡をされるという取り扱いで今後の事業を安心して進められる事業者はどれだけあるのか、以下、これらの県信と取引のある皆さんが懸念している問題や疑念についてお伺いするものであります。
 一点目は、近畿財務局のコメントにあります「厳格に経営責任を追及する」という点について、どのような検査、調査が想定されるのか、伺うものであります。
 さまざまな風評があります。風評を前提にして問題を論ずるのは私の本意ではなく、疑念からの無責任な風評であればとむしろ願っていますが、融資案件の不透明、一部巨額融資の焦げつき、融資に対してのバックマージン、議員の紹介する融資案件には甘い融資審査があったのではないか、不的確な担保物件がある等々、信じられない話さえ風評として耳にするのであります。県信の紀陽銀行への事業譲渡発表以来ささやかれているそれらの風評と責任追及のあり方について、監督官庁の県として、知事の所見をお伺いするものであります。
 次に民間製造業では、よく従業員一人当たりの生産量が言われます。すべての事業において共通するのは、固定費を圧縮するということであります。そこで、県信預金量に対する職員約五百人の一人当たりの預金量と紀陽銀行行員一人当たりの預金量を示されるとともに、県信の規模において約五百人の職員数が健全経営にとって適切な職員数であったのかどうか。これは、厳しい経営環境の中で人員削減、リストラ等を進めなければという再建計画の中で、職員約五百人のうち、各級議員の就職依頼をされた職員が七〇%から八〇%であるだろうという風評と疑問の声があること。私は紀陽銀行と県信を同列には見ていませんし、金融機関としての性格の違いもありますから、一人当たりの預金量の比較のみで伺うものではありません。県信の職員として、山間僻地をいとわず、他の金融機関の存在しない場所でも小口の預金を積み重ねてきた職員の努力を思うゆえに、あえて商工労働部長にお伺いするものであります。
 次に、店舗の統廃合と存続について、宇治田議員に答弁がございました。この店舗の存続については、紀陽銀行は原則的に引き継がないという姿勢であります。しかし、宇治田議員の質問なり、利用者の皆さんからすれば、他の金融機関のない場所、そして小口であるがゆえにサービスをしていただいてきた県信がなくなるということについて、可能な限り自分たちの利用しやすいいろんな方法を考えてほしいというのが利用者の皆さんの多くの声であります。宇治田議員の質問と重複をいたしますが、改めてこれについても答弁をいただきたい。
 次に、取引者の皆さんが一番懸念している、県信が取り扱ってきた各種制度融資の紀陽銀行への早期の移行についてであります。
 多くの県信利用者は、すべて紀陽銀行に移行されるとは考えていないと思います。譲渡先の紀陽銀行に債権債務がさらにふえることで、その経営にさらなる負担が生まれたり、トラブルが発生すれば、和歌山県の経済、金融の中心である紀陽銀行すら本当に危機に陥らないか、これを心配する声があります。さりとて、みずからの事業を考えるとき、事業資金、設備費、運転資金を県信に依存してきた小規模業者は、他の金融機関に当座開設もままならず、手形、小切手割引、運転資金の手当てに苦慮する事態にあり、小売業者の中には、この夏場の商品手当てさえ見込めない業者もあらわれ、その数も少なくないと聞いています。制度融資、運転資金等の案件は、緊急を有するときに来ているとも言えるのであります。
 そこで、今議会に補正予算として提案されている中小企業向け融資制度の不況対策特別資金の五十億円から百億円に拡大する対策、新規に手当てをされる県信対策特別資金五十億円の有効適切な利用方途について、具体的な計画を示していただきたい。
 多くの事業者は、紀陽銀行への譲渡に対し、その取り扱いのハードルが高いことを懸念し、県の動向に注目し、かたずをのんで見ている状況であるとも言えますが、このままならば来年の譲渡を待つまでもなく、小規模業者の廃業、倒産は避けられないだろうという声も出ている厳しい県信問題であります。
 具体的に、県信窓口での融資案件として十項があります。これらの案件が譲渡先の紀陽銀行に移行される予定であるとしても、現実には各種制度融資に関してそれぞれが保証比率の違いがあり、紀陽銀行の融資査定と県信融資査定にはかなりの差があることを県信利用者は懸念しているのであります。紀陽銀行にしても、あえてリスクを承知ですべての融資案件を引き継ぐことは、経営のメリットを考えるならばやらないのが常識であります。ゆえに県信利用者は、紀陽銀行に限らず、他の金融機関に対する新規取引にも行きづらく、譲渡後の紀陽銀行の対応に不安感を持っているのが現状であると言えます。参考までに、譲渡発表以来、中紀、紀南において、紀陽銀行に当座開設をされた事業者は一件もないと聞いています。
 以下、十項の融資案件についてお伺いいたします。
 一点目は、国民金融公庫関連。これは債務保証率、県信五〇%、公庫五〇%。
 二点目は、中小金融公庫関連。窓口金融機関が八〇%を保証するというものであります。
 三点目は、住宅金融公庫のステップ償還の関連であります。これは、楽々償還という形でマイホームの夢を与え、融資後五年間の返済と六年目からの返済額に大きな差がある国が進めた政策でありますが、現在、全国的にも厳しい環境の中で、当初の生活設計、返済計画が大きくそごを来していることから、ローンの返済ができずに自己破産の申し立てをする人たちが増加していると紹介されています。この背景には、日本の社会が直面している経済環境から企業の進めるリストラがあり、終身雇用、年功序列型賃金制度という日本の戦後の右肩上がりの成長を支えてきたシステムが大きく崩壊しつつあるということ、これを予測できなかった責任はどこにあるのか、そのため、せっかくの夢のマイホームも売却、買いかえ、借りかえもできずに自己破産の申し立てに至るという人たちが、ことしじゅうに全国で十万人に達するのではと、また潜在予備軍とも言える人たちが百五十万人にも上ると予想されているのであります。ちなみに、和歌山県での自己破産申立人はどの程度か、お伺いしておきます。
 四点目に、環境衛生金融公庫関連。
 五点目に、商工中金関連。債務保証一〇〇%金融機関。
 六点目に、農林中金関連。
 七点目に、商工貯蓄共済関連。これは、貯蓄型積立金に対しての融資で、制限枠にての無担保融資と有担窓口金融機関の県信が一〇〇%保証するものとがあります。紀陽銀行にはこれがないのであります。この商工貯蓄共済融資は、積立残高約三十三億円、貸付残高約十九億円と聞いていますが、無担保ゆえに引き継がれることはまず無理ではないかと利用者は見ていますが、いかがでありましょうか。
 八点目は県信用保証協会関連でありますが、本年三月末の保証債務残高は、紀陽銀行関連が件数一万四千二百六十九件、金額にして一千百二十一億五百三十八万一千円、率にして四七・八%を占めています。県信関係は、県保証協会関連、件数千三百五十二件、金額六十一億五千四百二十三万円、率にして二・七%と構成比率が極めて低いのであります。県都和歌山商圏から離れた紀南、中紀に集中する金融機関の性格が出ていること、小規模事業の構成が主であり、小規模ゆえに深刻であると言える数字であります。
 九点目は、年金福祉事業団関連。
 十点目は、県信審査案件融資。県信用保証協会の保証であります。
 以上の十項について、県信独自のプロパー向けの案件は紀陽銀行の基準と県信基準との差が問題であり、県信の職員さえ悲観的で、かなりの案件が移行されないのではないかと見ていることであります。預金の譲渡については、預金担保は原則相殺されること、純粋預金は預金者の意向になり大量移行はない場合も想定されることなどの状況を踏まえて、移行案件について十項にわたってお伺いいたしましたが、商工労働部長にお伺いするものであります。
 次に、県下三十一支店、二出張所の預金残高、貸出残高を見るとき、預貸率で見ますと、和歌山店で預金約二百四十六億六千万円、貸出先数二千二百四十二先、貸出金が五百三十五億一千五百万円、率にして約二一七%の貸出率であります。同じく和歌山市の太田支店では、四百七十三先に対して、預金約四十七億三千万円、貸し出し約五十八億四千万円、一二三%の貸出率であります。田辺市の本店では、預金約二百三十五億五千万円、貸し出し約二百六十二億六千万円、一千六百一先でありますが、約一一一%という支店単位の預金に対し、貸し出し超の三支店と、本部扱いとして八百五十五件、貸出金約八百十一億円の融資内容等、担保物件の適格性など今後の調査によるとしても、不透明な部分はないのか、既に譲渡先の紀陽銀行関係地域の各支店では、融資内容、担保物件等のチェックがなされているはずであります。その中で、みずからもリストラを進め、県民の期待にこたえられるリーディングバンク紀陽として努力を傾注しなければという紀陽銀行行員のつぶやきとして、調べるほど店舗も職員も要らないという現場の声のあることも知事の耳に伝わっているでしょうか。これが事実であるとすれば、何を意味するのか。他の金融機関もない地域を含め、県信が果たしてきた県民への利便提供と小規模事業者へのサービスの陰に隠された問題が多いということではないでしょうか。和歌山県の県信問題を、可能な限り問題の少ない形で利用者の不安を解消し、円満に譲渡されるまでの日程は少ないのであります。デメリットを克服し、みずからの体力を強められるよう、紀陽銀行のさらなる経営努力を期待するとともに、譲渡の合意に至るまで悩みながら交渉された西口知事、あなたは紀陽銀行のご決断に敬意を表すとコメントされました。県民の不安や懸念にこたえる知事としての所信を求めて、県信問題の質問を終わります。
 次に、コスモパーク加太の土地利用であります。
 過去、本議場におきまして、この土地利用については何回となく提言、質問をいたしてまいりました。直近では、私なりに大学誘致などの問題についても提言をいたしました。振り返ってみますと、平成二年十二月、平成四年二月、平成五年六月、平成七年二月、平成八年二月、平成九年二月と、それぞれの本会議において質問と提言をしてまいりました。当初は、ODA(政府開発援助)の組織と窓口、その施設の一部、さらに常設展示館の建設など関係省庁に働きかけ、誘致を実現すれば、関空と和歌山を結び、和歌山に大きなメリットを生むとともに地方分権の具体的な取り組みとなること、平成八年二月議会からは、さらに具体的な大学誘致とその内容を含め、提言してまいりました。
 そこで、平成十年度末を目途に進めている土地利用計画の策定作業の現況について、二点目に、大学誘致の方向について、特に県と和歌山市の研究会における和歌山市の姿勢についてお伺いをし、企画部長の答弁を求めるものであります。
 以上で、私の一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの和田正人君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 和田議員にお答えをいたします。
 県信問題についてのご質問でありますけれども、まず、近畿財務局コメントにありますように、預金保険制度に基づく金融機関の破綻処理につきましては、公的資金が導入されますことから、経営者の責任が厳しく問われなければならないと思っております。
 また、県信に対するさまざまな風評がささやかれているとのことでありますが、現経営陣は旧経営陣から多額の不良債権を引き継ぎ、県信再建のために懸命の経営努力を行い、一定の成果を上げてまいりましたが、景気低迷の長期化あるいは地価の下落等によりまして、結果的には自主再建ができなかったものでございまして、基本的には経営責任はないものと考えております。破綻の一義的責任は旧経営陣にあるものと考えてございまして、現在県信において調査が進められておりますが、違法性が認められれば、組合の顧問弁護士とも相談の上、経営責任について厳格に対処するよう組合の指導を行っているところでございます。
 次に、円満譲渡への私の所信についてであります。
 ご承知のように、県信は、早期是正措置を前にして、これ以上の経営存続は困難であると判断をいたしまして、県に対し紀陽銀行への事業譲渡あっせんの依頼がございました。それを受けて県が仲介を行い、去る三月二十七日、両者間において基本合意を得るに至ったところでございます。受け皿金融機関がない場合に業務停止命令という最悪の措置もあり得た状況の中で、事業譲渡方式により、幸い大きな混乱もなく解決の方向に導けましたことにつきましては、紀陽銀行を初め関係各位のご尽力に感謝を申し上げるものであります。
 事業譲渡につきましてはおおむね一年後を予定しておりますが、その間に取引中小零細企業対策、店舗対策、雇用対策など、解決すべき問題が山積しておるわけであります。県といたしましても、県経済の安定と県民の不安解消に向けまして、紀陽銀行初め関係機関へ積極的に働きかけますとともに、全体的な進行把握を行いまして、事業譲渡が円滑に進むよう努力をしてまいりたいと考えております。また県信におきましても、役職員や組合員の皆様が一致団結をして事業譲渡が円滑に進むよう格段の努力をお願いしているところでございます。
 以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 県商工信用組合の事業譲渡に関連しての四点についてお答えします。
 まず一人当たりの預金量対比についてですが、平成十年三月末現在の県信における職員一人当たりの預金量は約五億八千万円であるのに対し紀陽銀行は約十億二千万円となっており、業務形態の違いから大きな開きがございます。県信の職員約五百人が健全経営にとって適切な職員数であったかどうかは、議員ご指摘のとおり業務内容にもよりますので一概には申せませんが、県信は再建計画に基づき平成六年度から店舗統廃合や人員削減等のリストラを実施してきたため、全国の信用組合と比べると一人当たり預金量はやや高いという状況であります。さらに経費についても節減に努め、一人当たりの経費を低く抑えてきたことにより、業務利益の改善が図られたものと理解しております。最終的に、旧経営陣から引き継いだ多額の不良債権と長引く景気の低迷により自主再建を断念したところでございますが、同業態の信用組合と比べたとき、また県内全域をカバーしている地理的要因等を勘案すれば、決して効率の悪い経営がなされていたものとは考えてございません。
 次に県信対策特別資金の有効な利用についてですが、県信は、現在、預金保険機構からの資金援助を前提とした全国信用協同組合連合会からの借り入れにより運営を行っている現況にあり、当然、新規貸し出し等においては制約を受けてございます。こういう状況下で、県信と正常な取引関係にある中小零細企業者の資金需要にこたえるため、本議会において融資枠五十億円の県信対策特別資金の創設をお願いしているところでございます。
 また不況対策特別資金については、経済的環境の変化による一時的な売り上げ減少等で事業活動に支障を来している中小企業者の資金需要に対応するために設けたものであり、現在までの利用状況等を踏まえて融資枠を五十億円から百億円へ拡大することをあわせてお願いしているところでございます。
 県信との取引中小零細企業者は、これら二つの制度資金の有効活用、双方の併用も視野に入れ、資金面からの経営の安定化を図っていただきたいと考えております。
 県といたしましては、両制度の活用により、今後、県信の取引中小零細企業者が他の金融機関へスムーズに移行もできるよう、信用保証協会、県内金融機関に対し協力要請を行うとともに、利用者の利便性からも受付相談窓口を各振興局にも設置するなど、制度の周知も図ってまいりたいと考えてございます。
 次に十項の融資案件の譲渡についてでございますが、政府系金融機関関連貸し出しにつきましては、紀陽銀行での取り扱いの有無もあり、十分調整の上、譲渡に支障のある貸し出しについては、今後、政府系金融機関などと協議し、資金の切りかえ等により、極力、取引中小零細企業者等の負担とならないよう努力してまいりたいと考えてございます。
 次に商工貯蓄共済融資につきましては、現在、紀陽銀行でも引き受けについて検討していただいているところでありますが、利用者の利便性等を十分踏まえて、紀陽銀行以外の他の金融機関での取り扱いも含め、商工会連合会等と協議を行っているところでございます。
 また保証協会関連融資については、紀陽銀行及び整理回収銀行へ引き継がれることとなりますが、今後も保証協会に対して、県信と取引関係にある中小零細企業者に対する保証の弾力化についてもお願いしてまいりたいと考えてございます。
 議員ご質問の本県における自己破産の状況についてでございますが、破産申し立て件数から見ますと、平成七年で四百八十余件、これが平成九年で七百四十余件と増加の傾向にあります。こういう状況も十分踏まえ、個人向け融資等についてもスムーズに紀陽銀行へ移行できるよう調整していきたいと考えてございます。
 次に店舗の存続についてでありますが、先日、宇治田議員にもお答えしましたとおり、紀陽銀行は原則として店舗は引き継がない方針でございます。ご承知のとおり、紀陽銀行も現在リストラを実施中であり、店舗の引き継ぎについては、まず採算性を重視するものと思いますが、例えば町の指定金融機関となっている地域や紀陽銀行の店舗がない地域など、県信の店舗がなくなった場合に地元への影響が大きいと考えられる店舗につきましては、支店存続あるいは出張所やATMとしての存続など、さまざまな可能性を探る必要があると考えてございます。県といたしましても、今後これら地域事情が反映されるよう強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 企画部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○企画部長(中村協二君) 和田議員のコスモパーク加太に関連してのご質問のうち、まず土取り跡地の土地利用計画の策定作業についてお答えをいたします。
 コスモパーク加太の土地利用計画の策定につきましては、関空二期事業や紀淡連絡道路等の新たな要因も視野に入れながら、昨年来、県、市、県土地開発公社の三者による加太地域開発整備推進協議会におきまして、平成十年度末を目途に土地利用計画の策定作業に取り組んでございます。その中で、議員ご提言の大学等の立地に伴う高等教育機能につきましては、地域的、将来的にもニーズは高いものと考えておりまして、コスモパーク加太が担う主要な機能の一つとして検討しております。
 次に、大学誘致の方向は、県、市の研究会における和歌山市の姿勢はとのことでございますが、コスモパーク加太への特色ある私立大学の誘致につきましては、若者の進学機会の確保、専門的知識、能力を備えた人材の養成、地域の学術・文化や産業の振興など、地域活性化を図る上で極めて重要であると認識いたしております。和歌山市との連携につきましては、平成八年八月、県、市による事務レベルの大学誘致研究会を設置し、県、市で誘致するという共通認識のもと、誘致に向けた諸課題について検討を重ねているところでございますが、引き続き具体化に向け、関係機関と協議しながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 47番和田正人君。
○和田正人君 県信問題、事業譲渡に関連をいたしまして、知事並びに商工労働部長からご答弁をいただきました。
 風評ということもありまして、私なりに失礼な言い方のあった部分もあるやもしれませんけれども、今それらの疑念に答えていく、そして県信利用者の皆さんがまじめな取引をし、小口事業者として営々と努力をしてきたけれども、結果としてこのような事態に至った原因を究明し、責任を追及することはおろそかにされてはならないわけであります。そういう関係から、私の質問に対して知事の方から、現在の経営陣の問題については基本的に経営責任はないものと考えてございますと。自主再建ができるための努力をしてきたということを評価しながら、一方で、破綻の一義的責任は旧経営陣にあるものと考えてございますというご答弁がございました。
 改めて知事にお伺いをいたします。旧経営陣の責任はあったと、私も思います。これもまた風評で申しわけないですが、警察もいろいろ調べたやに聞いておりますけれども、大部分の案件については時効にかかっているのではないか、このような話すらあるようであります。警察本部長の答弁はあえて求めませんでしたし、恐らく答弁を求めても、調査中でありましてということが答弁の骨子になります。そういうことで、旧経営陣と断定されていいのかどうかということを心配するわけであります。今後の調査によるものとしても、やはり旧、現を含めてどのような事態でこうなったのかということを厳しくチェックをしながら県民の疑念に答えていただきたい、知事の再度のコメントを求めたいと思います。
 それから、私の手元に六月二十六日に予定されております紀陽銀行の株主総会の議案書のコピーがございます。この第三号議案に「和歌山県商工信用組合からの事業譲り受けの件」という議案がございまして、「議案の要領」として説明がございます。一点目に「事業譲り受けを必要とする理由」として、「本事業譲り受けは、和歌山県所在の和歌山県商工信用組合の自主再建が困難な状況になったため、監督官庁である和歌山県および和歌山県商工信用組合より当行に対して、預金保険法にもとづく救済金融機関としての事業譲り受けの要請があったものであります。 和歌山県商工信用組合からの事業譲り受けにあたっては、預金保険法に規定された、破綻信用組合の処理スキームに則り対応することとなります。まず和歌山県商工信用組合の資産は行政庁の検査により分類されます」──この分類などが今後大きな課題になると思います。「そのうち不良資産は預金保険法附則第七条にいう協定銀行(整理回収銀行)が買い取り、その回収等にあたります。和歌山県商工信用組合で発生する欠損は、預金保険機構から当行への資金援助でまかなわれることとなります。当行は正常と査定された貸出金等の資産および預金等を譲り受けるものであります。 以上の経緯」云々とございますけれども、最後に「株主各位には、何卒こうした趣旨にご賛同いただき、本事業譲り受けのご承認を賜りますようお願い申しあげます」というのが第三号議案の要領であります。
 過日、県と県信、そして紀陽銀行との間でいろいろ相談をされ、この件に関しての事業譲渡の契約書というのもこの株主総会の議案書の中についているわけであります。私は、この中で気にかかる点として、第九条に「乙から甲への事業譲渡に伴い、──乙というのが県信であり、甲は紀陽銀行でありますが──乙の事業に従事する職員(嘱託・パートタイマーを含む。以下同じ)の雇用関係については、甲は承継しない。 二 乙の職員に対する退職金その他事業譲渡日までに発生する労働債務は、全て乙が清算する」──これは原則引き継がないと言われている基本的な考え方が第九条に盛られているわけであります。
 宇治田議員のご質問等にもありましたが、新規採用として百人ぐらい考えられているのではないか。現在の五百人から百人、選別される人、能力のある人、いろいろあるでしょう。しかし、そういう採用に当たって、円満な雇用にかかわる譲渡がうまくいくのかどうかという心配もしているところであります。
 これらの契約書の関係の中で、さらに厳しい受けとめをして、本当に円満に努力をしなければならない条項として第十三条があります。「甲は、次の各号のいずれかの事由が発生したときは、この契約を解除できるものとする。 一 甲が、第七条に定める契約を締結できなくなったとき」──第七条というのは、預金保険機構との間で資金援助に関する契約が締結できた場合であります。できなかった場合には、この契約を解除できるものとすると。その前提は、資産、調査、いろんな経過の中から今後出てくるということであります。「二 乙が、第八条に定める契約の締結および売却ができなかったとき」──この第八条というのは「乙は、預金保険法附則第七条にいう協定銀行(以下『丙』という)と、甲が譲り受けしない財産の範囲において売却に関する契約を別途締結し、事業譲渡日までにこれを丙に売却するものとする」──紀陽銀行が譲り受けできない財産の範囲で売却をしなければならない県信のそういう作業と、協定銀行に売却できなかったときにもこの契約が破棄されるという条項が盛り込まれているわけであります。「三 その他この契約に基づく事業譲渡の実現に重大な支障が生じたとき」。これが十三条の内容であります。
 したがって、紀陽銀行が県信を引き受けてくれる、こういう気持ちだけでこの問題を受けとめるというのは少し安易だと。確かに、知事のコメントにありますように、経営が成り立たない、大変苦しい事態にあるということは随分以前からささやかれておりましたし県としての対応もしてきたわけであります。そういう中で利用者の不安にこたえていくという最善の方策をとられたということを私も大きく評価をいたしますが、今後の道筋は決して安易なものではない。こういう厳しさを十分わきまえ、そして問題を少なくして、リーディングバンクである紀陽銀行にいたずらに負担だけが残らないように。紀陽銀行も経営であります。メリットを追求するでしょう。良質な預金だけを引き受けますということでは県民のためにはなりません。あえてリスクを覚悟でも、さらに経営努力をして、紀陽銀行がリーディングバンクとしてのあり方を示していただくように、県、紀陽銀行そして県信がさらに協議を重ねながら県民のために努力をしていただきたいということをこの問題に関して要望し、先ほど知事に答弁を再度求めましたが、答弁は要りません。知事、県民は本当にそういうことを断定して言っていいのかなと、こういう心配をしているということを酌み取っていただきたいわけであります。
 次に、コスモパーク加太に関連して企画部長の答弁をいただきましたが、この土地利用については幅広い視野で、二十一世紀の県民の利益と財産となり県益につながる土地利用となるように、残された日程で検討を進めていただきたいのであります。同時に、官の立場で投資をするという政治的判断を知事としてされてよいのではないか、そういう時期に来ているということを強く要望して、私の再質問を終わります。
 以上です。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で和田正人君の質問が終了いたしました。

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