平成10年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程   第五号   平成十年六月十八日(木曜日)
                午前十時開議
  第一 議案第八十二号から議案第百四号まで、及び報第一号から報第三号まで(質疑・委員会付託)
  第二 一般質問
  第三 請願付託
会議に付した事件
   一 議案第八十二号から議案第百四号まで、及び報第一号から報第三号まで(質疑・委員会付託)
   二 一般質問
   三 請願付託
   四 休会決定の件
出 席 議 員(四十六人)
     1  番    大    沢    広太郎
     2  番    木    下    善    之
     3  番    小    川         武
     4  番    吉    井    和    視
     5  番    下    川    俊    樹
     6  番    井    出    益    弘
     7  番    藁    科    義    清
     8  番    門         三佐博
     9  番    永    井    佑    治
     10  番    新    島         雄
     11  番    向    井    嘉久藏
     12  番    佐    田    頴    一
     14  番    阪    部    菊    雄
     15  番    西    本    長    弘
     16  番    馬    頭    哲    弥
     17  番    谷         洋    一
     18  番    山    下    直    也
     19  番    高    瀬    勝    助
     20  番    松    本    泰    造
     21  番    堀    本    隆    男
     22  番    宇治田    栄    蔵
     23  番    宗         正    彦
     24  番    橋    本         進
     25  番    神    出    政    巳
     26  番    玉    置    公    良
     27  番    上    野    哲    弘
     28  番    東    山    昭    久
     29  番    尾    崎    要    二
     30  番    野見山         海
     31  番    木    下    秀    男
     32  番    町    田         亘
     33  番    中    山         豊
     34  番    井    谷         勲
     35  番    鶴    田    至    弘
     36  番    森         正    樹
     37  番    村    岡    キミ子
     38  番    新    田    和    弘
     39  番    平    越    孝    哉
     40  番    森    本    明    雄
     41  番    長    坂    隆    司
     42  番    冨    安    民    浩
     43  番    飯    田    敬    文
     44  番    中    村    裕    一
     45  番    松    本    貞    次
     46  番    大    江    康    弘
     47  番    和    田    正    人
欠 席 議 員(一人)
     13  番    和    田    正    一
説明のため出席した者
     知 事     西    口         勇
     副知事     山    下         茂
     出納長     高    瀬    芳    彦
     知事公室長   中    山    次    郎
     総務部長    藤    谷    茂    樹
     企画部長    中    村    協    二
     生活文化部長  大    井         光
     福祉保健部長  小    西         悟
     商工労働部長  上    山    義    彦
     農林水産部長  尾    崎    武    久
     土木部長    長    沢    小太郎
     企業局長    西    浦    昭    人
     教育委員会委員長
             山    本         昭
     教育長     小    関    洋    治
     公安委員会委員長
             高    垣         宏
     警察本部長   米    田         壯
     人事委員会委員長
             若    林    弘    澄
     代表監査委員  宮    市    武    彦
     選挙管理委員会委員長
             谷    口    庄    一
     以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
     事務局長    新    谷    哲    朗
     次  長    前         晴    夫
     議事課長    佐    竹    欣    司
     議事課副課長  北垣内         敬
     議事班長    松    谷    秋    男
     議事課主査   川    崎    良    雄
     議事課主事   安    井    伸    彰
     総務課長    西    野    光    彦
     調査課長    湯    川         忠
 (速記担当者)
     議事課主任   吉    川    欽    二
     議事課主査   鎌    田         繁
     議事課主査   中    尾    祐    一
     議事課速記技師 保    田    良    春
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  午前十時四分開議
○副議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第八十二号から議案第百四号まで、及び報第一号から報第三号まで】
  【日程第二 一般質問】
○副議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第八十二号から議案第百四号まで、及び地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号から報第三号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 47番和田正人君。
  〔和田正人君、登壇〕(拍手)
○和田正人君 お許しをいただき、質問をさせていただきます。
 今、時々刻々、世界でいろんな事柄が起こっております。しかし、幾つか注目をされている点がございます。その一つは、出場される三十二カ国の皆さんを初め、予選リーグが進められているフランスでのワールドカップに注目をしている皆さん、また円安が一円進めば一兆円の不良債権が生じるとも言われている日本の円安傾向に対して、特にしばらく前から中国政府の人民元に与える影響など強い懸念が報道されている中で、けさのニュースでもございましたが、日米の協調介入が報じられておりました。貿易の立場で努力をされている民間の皆さん方からすれば、上下動の激しい為替レートは経営戦略を持つ場合でも非常に困るわけであります。今後これがどうなっていくのか。一方、アジアの経済状況が依然として厳しいだけに、日本の経済の立て直しが強く求められているのも現実であります。国会が本日閉会予定でありますが、景気回復が本当に進むのだろうか。
 また和歌山県においては、県民のすべてでないといたしましても、紀陽銀行への事業譲渡発表以来、県信の利用者の多くの皆さんが懸念し注目している問題について、今議会、一般質問初日の六月十五日、宇治田議員の質問がありました。答弁を含め一部重複する部分もありますが、トーンと趣の異なる質問もありますので、ご了承いただきたいと思います。
 平成十年三月二十七日に発表された和歌山県商工信用組合の事業譲渡について、関連する質問をさせていただきます。
 まず、知事の談話であります。「和歌山県商工信用組合の事業譲渡については、本日、譲り受け先である紀陽銀行との間で正式に基本合意が成立しました。平成六年度からスタートした再建計画が四年目で挫折し、地域の主要金融機関がなくなるということについては、経営環境の変化等各般の事情があるとはいえ、県としても支援と指導を継続中のことでもあり、大変残念だと考えております。しかし、今回の事業譲渡は、金融制度改革が進展する中で、預金や融資取引等の事業を円滑に継続し、県内経済への影響を最小限にとどめる最善の方法であり、県内のリーディングである紀陽銀行のご決断に敬意を表するものであります。県としては、今後も預金者保護、中小企業者等、取引先及び地域社会への対応を最優先に取り組んでまいりたいと考えております。また、組合の業務は紀陽銀行へ引き継がれるまでの間は従来どおり行われますので、預金者の皆さんはもとより、県民の皆さんはご安心していただけるようお願いします」、以上が西口知事のコメントであります。
 次に、四点にわたる近畿財務局のコメントを紹介いたしたいと思いますが、時間の関係上、一部省略をいたします。
 近畿財務局のコメントの中で、預金保険機構による資金援助の発動に当たっては、平成七年十二月の金融制度調査会答申で示されているとおり、一、和歌山県商工信用組合は解散する、二、厳格に経営責任を追及する、三、出資金は全額損失の処理に充当する、という基本的な考え方に基づき対応していく所存である。
 省略をいたしましたが、近畿財務局のコメントも一部ご紹介をさせていただきました。今ご紹介させていただいた内容は、以下申し上げる質問に関連をする部分であります。
 一方、先般、金融各行の一九九七年度決算が発表されましたが、都銀九行が未曾有の赤字決算の事態であることが明らかにされ、金融各行はこれで不良債権にめどがついたとのコメントもされています。しかしながら、国民は本当に信用しているでしょうか。不良債権基準をアメリカ並みに改定し、債権処理は従来よりふえたが処理めどがついたという銀行の姿勢を国民の多くは信用して受けとめているでしょうか。新たに開示したのはリスク債権で、不良債権ではないという都銀の発表もあります。
 現在の日本の実態経済は、政府、大蔵省の考えているよりも、はるかに悪いことは国民の大多数が実感しているのであります。しかも、処理したと言われる不良債権も、引当金を積んだだけで、不動産等の担保物件を売り、貸借対照表から取り消して初めて処理したと言えるわけでありますが、公表ベースの粉飾決算と見る声もあるのであります。政府が総合経済対策を打ち出しても、円安・株安・債券安のトリプル安になるなど、現状はさらなる景気後退、不動産の値下がり、不良債権の拡大、厳しい銀行の貸し渋りや貸し搾りが続くと見る向きが多いのであります。現状の日本経済を評し、デフレ経済等と政治家、学者、評論家、マスコミが論じても、国民は失業者の増大、低金利、進行する民間企業のリストラを実感する中で、あすの生活、また老後の将来を考え消費を引き締めるという生活防衛策をとらざるを得ない、経済に与える悪循環に陥っているとも言えます。
 県信問題も、監督官庁である和歌山県から紀陽銀行への事業譲渡という決定を、利用者を中心に問題なく安心して受けとめているでしょうか。
 県信の沿革は、昭和二十九年七月に西牟婁商工信用協同組合として設立され、組合事務所を西牟婁地方事務所に置いたのがスタートであります。その後、名称を和歌山県商工信用組合と改め、営業区域を東牟婁郡、日高郡に拡大、昭和三十三年二月に営業地区を和歌山県一円とし、平成元年三月、和歌山県富士信用組合と合併、平成六年四月から経営不安に対応するため平成十五年までの再建計画をスタートさせ、和歌山県、紀陽銀行、全国信用協同組合連合会の協調支援が開始され、県はその後、毎年五十億円の低利融資を続け、本年当初予算にも計上されているのであります。
 再建計画に基づき平成六年十一月から平成八年一月の間に県下の十支店、二出張所を閉店し、現在は三十一支店、二出張所の規模で事業努力を続けてきたわけでありますが、本年三月三十一日の現況は、預金約二千七百四十四億円、貸出金約二千五百六十三億円──いずれも丸数であります。出資金十八億円、役職員数五百五名、組合員数三万四千九百八十七名、預金口座数五十六万四千口、貸出先数約二万三千先、年金受給者数一万七千人という状況であります。
 以上の内容からも、取引先の多くは中小商工業者や小売業、飲食、サービス業などで、合わせて三八・七%と高く、建設業の二一%を上回っている状況であるだけに、紀陽銀行に事業譲渡をされるという取り扱いで今後の事業を安心して進められる事業者はどれだけあるのか、以下、これらの県信と取引のある皆さんが懸念している問題や疑念についてお伺いするものであります。
 一点目は、近畿財務局のコメントにあります「厳格に経営責任を追及する」という点について、どのような検査、調査が想定されるのか、伺うものであります。
 さまざまな風評があります。風評を前提にして問題を論ずるのは私の本意ではなく、疑念からの無責任な風評であればとむしろ願っていますが、融資案件の不透明、一部巨額融資の焦げつき、融資に対してのバックマージン、議員の紹介する融資案件には甘い融資審査があったのではないか、不的確な担保物件がある等々、信じられない話さえ風評として耳にするのであります。県信の紀陽銀行への事業譲渡発表以来ささやかれているそれらの風評と責任追及のあり方について、監督官庁の県として、知事の所見をお伺いするものであります。
 次に民間製造業では、よく従業員一人当たりの生産量が言われます。すべての事業において共通するのは、固定費を圧縮するということであります。そこで、県信預金量に対する職員約五百人の一人当たりの預金量と紀陽銀行行員一人当たりの預金量を示されるとともに、県信の規模において約五百人の職員数が健全経営にとって適切な職員数であったのかどうか。これは、厳しい経営環境の中で人員削減、リストラ等を進めなければという再建計画の中で、職員約五百人のうち、各級議員の就職依頼をされた職員が七〇%から八〇%であるだろうという風評と疑問の声があること。私は紀陽銀行と県信を同列には見ていませんし、金融機関としての性格の違いもありますから、一人当たりの預金量の比較のみで伺うものではありません。県信の職員として、山間僻地をいとわず、他の金融機関の存在しない場所でも小口の預金を積み重ねてきた職員の努力を思うゆえに、あえて商工労働部長にお伺いするものであります。
 次に、店舗の統廃合と存続について、宇治田議員に答弁がございました。この店舗の存続については、紀陽銀行は原則的に引き継がないという姿勢であります。しかし、宇治田議員の質問なり、利用者の皆さんからすれば、他の金融機関のない場所、そして小口であるがゆえにサービスをしていただいてきた県信がなくなるということについて、可能な限り自分たちの利用しやすいいろんな方法を考えてほしいというのが利用者の皆さんの多くの声であります。宇治田議員の質問と重複をいたしますが、改めてこれについても答弁をいただきたい。
 次に、取引者の皆さんが一番懸念している、県信が取り扱ってきた各種制度融資の紀陽銀行への早期の移行についてであります。
 多くの県信利用者は、すべて紀陽銀行に移行されるとは考えていないと思います。譲渡先の紀陽銀行に債権債務がさらにふえることで、その経営にさらなる負担が生まれたり、トラブルが発生すれば、和歌山県の経済、金融の中心である紀陽銀行すら本当に危機に陥らないか、これを心配する声があります。さりとて、みずからの事業を考えるとき、事業資金、設備費、運転資金を県信に依存してきた小規模業者は、他の金融機関に当座開設もままならず、手形、小切手割引、運転資金の手当てに苦慮する事態にあり、小売業者の中には、この夏場の商品手当てさえ見込めない業者もあらわれ、その数も少なくないと聞いています。制度融資、運転資金等の案件は、緊急を有するときに来ているとも言えるのであります。
 そこで、今議会に補正予算として提案されている中小企業向け融資制度の不況対策特別資金の五十億円から百億円に拡大する対策、新規に手当てをされる県信対策特別資金五十億円の有効適切な利用方途について、具体的な計画を示していただきたい。
 多くの事業者は、紀陽銀行への譲渡に対し、その取り扱いのハードルが高いことを懸念し、県の動向に注目し、かたずをのんで見ている状況であるとも言えますが、このままならば来年の譲渡を待つまでもなく、小規模業者の廃業、倒産は避けられないだろうという声も出ている厳しい県信問題であります。
 具体的に、県信窓口での融資案件として十項があります。これらの案件が譲渡先の紀陽銀行に移行される予定であるとしても、現実には各種制度融資に関してそれぞれが保証比率の違いがあり、紀陽銀行の融資査定と県信融資査定にはかなりの差があることを県信利用者は懸念しているのであります。紀陽銀行にしても、あえてリスクを承知ですべての融資案件を引き継ぐことは、経営のメリットを考えるならばやらないのが常識であります。ゆえに県信利用者は、紀陽銀行に限らず、他の金融機関に対する新規取引にも行きづらく、譲渡後の紀陽銀行の対応に不安感を持っているのが現状であると言えます。参考までに、譲渡発表以来、中紀、紀南において、紀陽銀行に当座開設をされた事業者は一件もないと聞いています。
 以下、十項の融資案件についてお伺いいたします。
 一点目は、国民金融公庫関連。これは債務保証率、県信五〇%、公庫五〇%。
 二点目は、中小金融公庫関連。窓口金融機関が八〇%を保証するというものであります。
 三点目は、住宅金融公庫のステップ償還の関連であります。これは、楽々償還という形でマイホームの夢を与え、融資後五年間の返済と六年目からの返済額に大きな差がある国が進めた政策でありますが、現在、全国的にも厳しい環境の中で、当初の生活設計、返済計画が大きくそごを来していることから、ローンの返済ができずに自己破産の申し立てをする人たちが増加していると紹介されています。この背景には、日本の社会が直面している経済環境から企業の進めるリストラがあり、終身雇用、年功序列型賃金制度という日本の戦後の右肩上がりの成長を支えてきたシステムが大きく崩壊しつつあるということ、これを予測できなかった責任はどこにあるのか、そのため、せっかくの夢のマイホームも売却、買いかえ、借りかえもできずに自己破産の申し立てに至るという人たちが、ことしじゅうに全国で十万人に達するのではと、また潜在予備軍とも言える人たちが百五十万人にも上ると予想されているのであります。ちなみに、和歌山県での自己破産申立人はどの程度か、お伺いしておきます。
 四点目に、環境衛生金融公庫関連。
 五点目に、商工中金関連。債務保証一〇〇%金融機関。
 六点目に、農林中金関連。
 七点目に、商工貯蓄共済関連。これは、貯蓄型積立金に対しての融資で、制限枠にての無担保融資と有担窓口金融機関の県信が一〇〇%保証するものとがあります。紀陽銀行にはこれがないのであります。この商工貯蓄共済融資は、積立残高約三十三億円、貸付残高約十九億円と聞いていますが、無担保ゆえに引き継がれることはまず無理ではないかと利用者は見ていますが、いかがでありましょうか。
 八点目は県信用保証協会関連でありますが、本年三月末の保証債務残高は、紀陽銀行関連が件数一万四千二百六十九件、金額にして一千百二十一億五百三十八万一千円、率にして四七・八%を占めています。県信関係は、県保証協会関連、件数千三百五十二件、金額六十一億五千四百二十三万円、率にして二・七%と構成比率が極めて低いのであります。県都和歌山商圏から離れた紀南、中紀に集中する金融機関の性格が出ていること、小規模事業の構成が主であり、小規模ゆえに深刻であると言える数字であります。
 九点目は、年金福祉事業団関連。
 十点目は、県信審査案件融資。県信用保証協会の保証であります。
 以上の十項について、県信独自のプロパー向けの案件は紀陽銀行の基準と県信基準との差が問題であり、県信の職員さえ悲観的で、かなりの案件が移行されないのではないかと見ていることであります。預金の譲渡については、預金担保は原則相殺されること、純粋預金は預金者の意向になり大量移行はない場合も想定されることなどの状況を踏まえて、移行案件について十項にわたってお伺いいたしましたが、商工労働部長にお伺いするものであります。
 次に、県下三十一支店、二出張所の預金残高、貸出残高を見るとき、預貸率で見ますと、和歌山店で預金約二百四十六億六千万円、貸出先数二千二百四十二先、貸出金が五百三十五億一千五百万円、率にして約二一七%の貸出率であります。同じく和歌山市の太田支店では、四百七十三先に対して、預金約四十七億三千万円、貸し出し約五十八億四千万円、一二三%の貸出率であります。田辺市の本店では、預金約二百三十五億五千万円、貸し出し約二百六十二億六千万円、一千六百一先でありますが、約一一一%という支店単位の預金に対し、貸し出し超の三支店と、本部扱いとして八百五十五件、貸出金約八百十一億円の融資内容等、担保物件の適格性など今後の調査によるとしても、不透明な部分はないのか、既に譲渡先の紀陽銀行関係地域の各支店では、融資内容、担保物件等のチェックがなされているはずであります。その中で、みずからもリストラを進め、県民の期待にこたえられるリーディングバンク紀陽として努力を傾注しなければという紀陽銀行行員のつぶやきとして、調べるほど店舗も職員も要らないという現場の声のあることも知事の耳に伝わっているでしょうか。これが事実であるとすれば、何を意味するのか。他の金融機関もない地域を含め、県信が果たしてきた県民への利便提供と小規模事業者へのサービスの陰に隠された問題が多いということではないでしょうか。和歌山県の県信問題を、可能な限り問題の少ない形で利用者の不安を解消し、円満に譲渡されるまでの日程は少ないのであります。デメリットを克服し、みずからの体力を強められるよう、紀陽銀行のさらなる経営努力を期待するとともに、譲渡の合意に至るまで悩みながら交渉された西口知事、あなたは紀陽銀行のご決断に敬意を表すとコメントされました。県民の不安や懸念にこたえる知事としての所信を求めて、県信問題の質問を終わります。
 次に、コスモパーク加太の土地利用であります。
 過去、本議場におきまして、この土地利用については何回となく提言、質問をいたしてまいりました。直近では、私なりに大学誘致などの問題についても提言をいたしました。振り返ってみますと、平成二年十二月、平成四年二月、平成五年六月、平成七年二月、平成八年二月、平成九年二月と、それぞれの本会議において質問と提言をしてまいりました。当初は、ODA(政府開発援助)の組織と窓口、その施設の一部、さらに常設展示館の建設など関係省庁に働きかけ、誘致を実現すれば、関空と和歌山を結び、和歌山に大きなメリットを生むとともに地方分権の具体的な取り組みとなること、平成八年二月議会からは、さらに具体的な大学誘致とその内容を含め、提言してまいりました。
 そこで、平成十年度末を目途に進めている土地利用計画の策定作業の現況について、二点目に、大学誘致の方向について、特に県と和歌山市の研究会における和歌山市の姿勢についてお伺いをし、企画部長の答弁を求めるものであります。
 以上で、私の一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの和田正人君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 和田議員にお答えをいたします。
 県信問題についてのご質問でありますけれども、まず、近畿財務局コメントにありますように、預金保険制度に基づく金融機関の破綻処理につきましては、公的資金が導入されますことから、経営者の責任が厳しく問われなければならないと思っております。
 また、県信に対するさまざまな風評がささやかれているとのことでありますが、現経営陣は旧経営陣から多額の不良債権を引き継ぎ、県信再建のために懸命の経営努力を行い、一定の成果を上げてまいりましたが、景気低迷の長期化あるいは地価の下落等によりまして、結果的には自主再建ができなかったものでございまして、基本的には経営責任はないものと考えております。破綻の一義的責任は旧経営陣にあるものと考えてございまして、現在県信において調査が進められておりますが、違法性が認められれば、組合の顧問弁護士とも相談の上、経営責任について厳格に対処するよう組合の指導を行っているところでございます。
 次に、円満譲渡への私の所信についてであります。
 ご承知のように、県信は、早期是正措置を前にして、これ以上の経営存続は困難であると判断をいたしまして、県に対し紀陽銀行への事業譲渡あっせんの依頼がございました。それを受けて県が仲介を行い、去る三月二十七日、両者間において基本合意を得るに至ったところでございます。受け皿金融機関がない場合に業務停止命令という最悪の措置もあり得た状況の中で、事業譲渡方式により、幸い大きな混乱もなく解決の方向に導けましたことにつきましては、紀陽銀行を初め関係各位のご尽力に感謝を申し上げるものであります。
 事業譲渡につきましてはおおむね一年後を予定しておりますが、その間に取引中小零細企業対策、店舗対策、雇用対策など、解決すべき問題が山積しておるわけであります。県といたしましても、県経済の安定と県民の不安解消に向けまして、紀陽銀行初め関係機関へ積極的に働きかけますとともに、全体的な進行把握を行いまして、事業譲渡が円滑に進むよう努力をしてまいりたいと考えております。また県信におきましても、役職員や組合員の皆様が一致団結をして事業譲渡が円滑に進むよう格段の努力をお願いしているところでございます。
 以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 県商工信用組合の事業譲渡に関連しての四点についてお答えします。
 まず一人当たりの預金量対比についてですが、平成十年三月末現在の県信における職員一人当たりの預金量は約五億八千万円であるのに対し紀陽銀行は約十億二千万円となっており、業務形態の違いから大きな開きがございます。県信の職員約五百人が健全経営にとって適切な職員数であったかどうかは、議員ご指摘のとおり業務内容にもよりますので一概には申せませんが、県信は再建計画に基づき平成六年度から店舗統廃合や人員削減等のリストラを実施してきたため、全国の信用組合と比べると一人当たり預金量はやや高いという状況であります。さらに経費についても節減に努め、一人当たりの経費を低く抑えてきたことにより、業務利益の改善が図られたものと理解しております。最終的に、旧経営陣から引き継いだ多額の不良債権と長引く景気の低迷により自主再建を断念したところでございますが、同業態の信用組合と比べたとき、また県内全域をカバーしている地理的要因等を勘案すれば、決して効率の悪い経営がなされていたものとは考えてございません。
 次に県信対策特別資金の有効な利用についてですが、県信は、現在、預金保険機構からの資金援助を前提とした全国信用協同組合連合会からの借り入れにより運営を行っている現況にあり、当然、新規貸し出し等においては制約を受けてございます。こういう状況下で、県信と正常な取引関係にある中小零細企業者の資金需要にこたえるため、本議会において融資枠五十億円の県信対策特別資金の創設をお願いしているところでございます。
 また不況対策特別資金については、経済的環境の変化による一時的な売り上げ減少等で事業活動に支障を来している中小企業者の資金需要に対応するために設けたものであり、現在までの利用状況等を踏まえて融資枠を五十億円から百億円へ拡大することをあわせてお願いしているところでございます。
 県信との取引中小零細企業者は、これら二つの制度資金の有効活用、双方の併用も視野に入れ、資金面からの経営の安定化を図っていただきたいと考えております。
 県といたしましては、両制度の活用により、今後、県信の取引中小零細企業者が他の金融機関へスムーズに移行もできるよう、信用保証協会、県内金融機関に対し協力要請を行うとともに、利用者の利便性からも受付相談窓口を各振興局にも設置するなど、制度の周知も図ってまいりたいと考えてございます。
 次に十項の融資案件の譲渡についてでございますが、政府系金融機関関連貸し出しにつきましては、紀陽銀行での取り扱いの有無もあり、十分調整の上、譲渡に支障のある貸し出しについては、今後、政府系金融機関などと協議し、資金の切りかえ等により、極力、取引中小零細企業者等の負担とならないよう努力してまいりたいと考えてございます。
 次に商工貯蓄共済融資につきましては、現在、紀陽銀行でも引き受けについて検討していただいているところでありますが、利用者の利便性等を十分踏まえて、紀陽銀行以外の他の金融機関での取り扱いも含め、商工会連合会等と協議を行っているところでございます。
 また保証協会関連融資については、紀陽銀行及び整理回収銀行へ引き継がれることとなりますが、今後も保証協会に対して、県信と取引関係にある中小零細企業者に対する保証の弾力化についてもお願いしてまいりたいと考えてございます。
 議員ご質問の本県における自己破産の状況についてでございますが、破産申し立て件数から見ますと、平成七年で四百八十余件、これが平成九年で七百四十余件と増加の傾向にあります。こういう状況も十分踏まえ、個人向け融資等についてもスムーズに紀陽銀行へ移行できるよう調整していきたいと考えてございます。
 次に店舗の存続についてでありますが、先日、宇治田議員にもお答えしましたとおり、紀陽銀行は原則として店舗は引き継がない方針でございます。ご承知のとおり、紀陽銀行も現在リストラを実施中であり、店舗の引き継ぎについては、まず採算性を重視するものと思いますが、例えば町の指定金融機関となっている地域や紀陽銀行の店舗がない地域など、県信の店舗がなくなった場合に地元への影響が大きいと考えられる店舗につきましては、支店存続あるいは出張所やATMとしての存続など、さまざまな可能性を探る必要があると考えてございます。県といたしましても、今後これら地域事情が反映されるよう強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 企画部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○企画部長(中村協二君) 和田議員のコスモパーク加太に関連してのご質問のうち、まず土取り跡地の土地利用計画の策定作業についてお答えをいたします。
 コスモパーク加太の土地利用計画の策定につきましては、関空二期事業や紀淡連絡道路等の新たな要因も視野に入れながら、昨年来、県、市、県土地開発公社の三者による加太地域開発整備推進協議会におきまして、平成十年度末を目途に土地利用計画の策定作業に取り組んでございます。その中で、議員ご提言の大学等の立地に伴う高等教育機能につきましては、地域的、将来的にもニーズは高いものと考えておりまして、コスモパーク加太が担う主要な機能の一つとして検討しております。
 次に、大学誘致の方向は、県、市の研究会における和歌山市の姿勢はとのことでございますが、コスモパーク加太への特色ある私立大学の誘致につきましては、若者の進学機会の確保、専門的知識、能力を備えた人材の養成、地域の学術・文化や産業の振興など、地域活性化を図る上で極めて重要であると認識いたしております。和歌山市との連携につきましては、平成八年八月、県、市による事務レベルの大学誘致研究会を設置し、県、市で誘致するという共通認識のもと、誘致に向けた諸課題について検討を重ねているところでございますが、引き続き具体化に向け、関係機関と協議しながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 47番和田正人君。
○和田正人君 県信問題、事業譲渡に関連をいたしまして、知事並びに商工労働部長からご答弁をいただきました。
 風評ということもありまして、私なりに失礼な言い方のあった部分もあるやもしれませんけれども、今それらの疑念に答えていく、そして県信利用者の皆さんがまじめな取引をし、小口事業者として営々と努力をしてきたけれども、結果としてこのような事態に至った原因を究明し、責任を追及することはおろそかにされてはならないわけであります。そういう関係から、私の質問に対して知事の方から、現在の経営陣の問題については基本的に経営責任はないものと考えてございますと。自主再建ができるための努力をしてきたということを評価しながら、一方で、破綻の一義的責任は旧経営陣にあるものと考えてございますというご答弁がございました。
 改めて知事にお伺いをいたします。旧経営陣の責任はあったと、私も思います。これもまた風評で申しわけないですが、警察もいろいろ調べたやに聞いておりますけれども、大部分の案件については時効にかかっているのではないか、このような話すらあるようであります。警察本部長の答弁はあえて求めませんでしたし、恐らく答弁を求めても、調査中でありましてということが答弁の骨子になります。そういうことで、旧経営陣と断定されていいのかどうかということを心配するわけであります。今後の調査によるものとしても、やはり旧、現を含めてどのような事態でこうなったのかということを厳しくチェックをしながら県民の疑念に答えていただきたい、知事の再度のコメントを求めたいと思います。
 それから、私の手元に六月二十六日に予定されております紀陽銀行の株主総会の議案書のコピーがございます。この第三号議案に「和歌山県商工信用組合からの事業譲り受けの件」という議案がございまして、「議案の要領」として説明がございます。一点目に「事業譲り受けを必要とする理由」として、「本事業譲り受けは、和歌山県所在の和歌山県商工信用組合の自主再建が困難な状況になったため、監督官庁である和歌山県および和歌山県商工信用組合より当行に対して、預金保険法にもとづく救済金融機関としての事業譲り受けの要請があったものであります。 和歌山県商工信用組合からの事業譲り受けにあたっては、預金保険法に規定された、破綻信用組合の処理スキームに則り対応することとなります。まず和歌山県商工信用組合の資産は行政庁の検査により分類されます」──この分類などが今後大きな課題になると思います。「そのうち不良資産は預金保険法附則第七条にいう協定銀行(整理回収銀行)が買い取り、その回収等にあたります。和歌山県商工信用組合で発生する欠損は、預金保険機構から当行への資金援助でまかなわれることとなります。当行は正常と査定された貸出金等の資産および預金等を譲り受けるものであります。 以上の経緯」云々とございますけれども、最後に「株主各位には、何卒こうした趣旨にご賛同いただき、本事業譲り受けのご承認を賜りますようお願い申しあげます」というのが第三号議案の要領であります。
 過日、県と県信、そして紀陽銀行との間でいろいろ相談をされ、この件に関しての事業譲渡の契約書というのもこの株主総会の議案書の中についているわけであります。私は、この中で気にかかる点として、第九条に「乙から甲への事業譲渡に伴い、──乙というのが県信であり、甲は紀陽銀行でありますが──乙の事業に従事する職員(嘱託・パートタイマーを含む。以下同じ)の雇用関係については、甲は承継しない。 二 乙の職員に対する退職金その他事業譲渡日までに発生する労働債務は、全て乙が清算する」──これは原則引き継がないと言われている基本的な考え方が第九条に盛られているわけであります。
 宇治田議員のご質問等にもありましたが、新規採用として百人ぐらい考えられているのではないか。現在の五百人から百人、選別される人、能力のある人、いろいろあるでしょう。しかし、そういう採用に当たって、円満な雇用にかかわる譲渡がうまくいくのかどうかという心配もしているところであります。
 これらの契約書の関係の中で、さらに厳しい受けとめをして、本当に円満に努力をしなければならない条項として第十三条があります。「甲は、次の各号のいずれかの事由が発生したときは、この契約を解除できるものとする。 一 甲が、第七条に定める契約を締結できなくなったとき」──第七条というのは、預金保険機構との間で資金援助に関する契約が締結できた場合であります。できなかった場合には、この契約を解除できるものとすると。その前提は、資産、調査、いろんな経過の中から今後出てくるということであります。「二 乙が、第八条に定める契約の締結および売却ができなかったとき」──この第八条というのは「乙は、預金保険法附則第七条にいう協定銀行(以下『丙』という)と、甲が譲り受けしない財産の範囲において売却に関する契約を別途締結し、事業譲渡日までにこれを丙に売却するものとする」──紀陽銀行が譲り受けできない財産の範囲で売却をしなければならない県信のそういう作業と、協定銀行に売却できなかったときにもこの契約が破棄されるという条項が盛り込まれているわけであります。「三 その他この契約に基づく事業譲渡の実現に重大な支障が生じたとき」。これが十三条の内容であります。
 したがって、紀陽銀行が県信を引き受けてくれる、こういう気持ちだけでこの問題を受けとめるというのは少し安易だと。確かに、知事のコメントにありますように、経営が成り立たない、大変苦しい事態にあるということは随分以前からささやかれておりましたし県としての対応もしてきたわけであります。そういう中で利用者の不安にこたえていくという最善の方策をとられたということを私も大きく評価をいたしますが、今後の道筋は決して安易なものではない。こういう厳しさを十分わきまえ、そして問題を少なくして、リーディングバンクである紀陽銀行にいたずらに負担だけが残らないように。紀陽銀行も経営であります。メリットを追求するでしょう。良質な預金だけを引き受けますということでは県民のためにはなりません。あえてリスクを覚悟でも、さらに経営努力をして、紀陽銀行がリーディングバンクとしてのあり方を示していただくように、県、紀陽銀行そして県信がさらに協議を重ねながら県民のために努力をしていただきたいということをこの問題に関して要望し、先ほど知事に答弁を再度求めましたが、答弁は要りません。知事、県民は本当にそういうことを断定して言っていいのかなと、こういう心配をしているということを酌み取っていただきたいわけであります。
 次に、コスモパーク加太に関連して企画部長の答弁をいただきましたが、この土地利用については幅広い視野で、二十一世紀の県民の利益と財産となり県益につながる土地利用となるように、残された日程で検討を進めていただきたいのであります。同時に、官の立場で投資をするという政治的判断を知事としてされてよいのではないか、そういう時期に来ているということを強く要望して、私の再質問を終わります。
 以上です。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で和田正人君の質問が終了いたしました。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番野見山 海君。
  〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 おはようございます。三点にわたりまして、一般質問をさせていただきます。
 最初に、雇用対策についてお伺いいたします。
 今、口を開けば景気のことが話題になります。政治はだれがやっても一緒、景気の回復も当分望めないというさめた見方をされる方が多くあります。そういった状況の中で、先に行われる参議院選挙の投票率が非常に気になる一人であります。
 今日までの経済状況を思い起こせば、一九四五年から六〇年は戦後復興時代、六〇年から七五年は高度成長時代、七五年から九〇年は中成長時代、九〇年以降は低成長時代と今日まで推移してきたと言えます。あの大量生産、大量消費時代は終わり、今、私たちは生活スタイルを見直す時期に来ているのではないかと思う一人であります。そして、これからはマイナス成長を頭の中に置かなければならないと思います。事実、経済企画庁が十二日に発表したところによると、昨年度の国内総生産は二十三年ぶりのマイナス成長で、しかも戦後最悪の結果であるとしています。景気の低迷から脱出するために海外から内需拡大が求められているにもかかわらず、個人消費が伸び悩んでおります。これは、相次いだ金融破綻や将来の年金に対する不安、それに雇用情勢の悪化が重なり、将来に対する不安が消費者の財布を引き締めていることが原因です。このように消費の不振は、市場原理よりも心理的な要因が大きいのではないかと言われております。今こそ、雇用不安や老後不安を取り除く施策を示すべきだと思います。
 さて、五月の県内企業倒産件数は二十一件、負債額は約四十二億四百万円となっていて、その原因は不況倒産が過半数であると言われております。一月だけ見てもこの状況であります。また、阪和銀行の倒産、企業のリストラ倒産、そして和歌山県商工信用組合の紀陽銀行への経営譲渡による失業者も今後ふえてくることが予想されるだけに、今回の総合経済対策で県内の企業等の活性化や景気の回復を願うところであります。このような状態の中で、県としては今後特に雇用対策にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
 続きまして、道路整備についてお伺いいたします。
 今般政府は、景気の低迷が依然として続くと見られることから、総事業費十六兆円を超える総合経済対策を決定し、これを実施するために社会資本の整備や所得税の特別減税等を内容とする補正予算を編成されました。本県の経済情勢もまた一段と厳しいことから、平成十年度における公共事業の施行促進を図るために、上半期における契約目標率を過去最高の八三%超と示されております。このように着実な執行に努める取り組みをされる中、新たな総合経済対策として、総額二百七十二億円規模の補正予算を追加提案されました。そのほとんどが公共事業等であります。一方、平成九年度の一般会計予算の繰り越しが約三百七億円で、そのうち土木部関係では約二百十九億円を十年度へ繰り越すことになっております。この繰越金の原因の一つに、用地買収の難航が大きな要因になっていると聞いております。こうした状況の中で、本県の公共事業における予算執行は心配ないのか、お伺いいたします。
 また、公共事業を推進するために開発公社による用地の先行取得をより一層強化してはどうでしょうか、県のお考えをお聞きします。
 二十一世紀の県土づくりは道路整備が何よりも急務であり、最重要施策として知事が積極的に取り組んでおられることに高く評価する一人であります。
 本県の高速道路については、大阪府県境・海南間二十四キロメートルが昭和四十九年十月に供用を開始し、海南・吉備間十キロメートルが海南湯浅道路として昭和五十九年三月、さらに吉備・御坊間十九・四キロメートルが湯浅御坊道路として、吉備・広川間が平成六年七月、また広川・御坊間が平成八年三月に供用を開始しました。大阪府境から御坊間五十三・八キロメートルを、実に二十四年という年月を有したところであります。新宮までの高速道路の実現にはまだかなりの時間を要するでしょう。厳しい状況であるにせよ、県民挙げて取り組んでいかなければなりません。
 そこで、区間ごとの施工命令によって今、御坊・南部間二十一キロメートルが平成五年十一月に建設大臣から施工命令が出されました。これを受けて、県の働きかけにより関係市町村道路対策協議会が設置されました。予定路線近くに道路公団事務所も設けられ、用地買収が完了した箇所では工事が進められております。紀南の観光地域を初めとする住民は、一日も早い開通を待ち望んでおります。また、南部・田辺間の六キロメートルについては、平成九年十二月二十五日に建設大臣より施工命令が出されましたが、進捗状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 一方、海南・吉備間十キロメートルの四車線化が平成九年三月に整備計画に組み込まれました。この区間は、週末ともなれば必ず渋滞してしまいます。特に行楽シーズンが重なると大渋滞を引き起こしており、一日も早い四車線化が望まれているところであります。
 そこで、この区間の施工命令の見通しについてはいつごろになるのか、お伺いします。
 海岸沿いの幹線道路である国道四十二号は、紀南工事事務所を初め県、さらに国道四十二号田辺新宮改良促進協議会の関係者の全面的なバックアップで大きく改良されました。例えば、日置・すさみ間の日置川道路が平成九年三月に開通し、大型車の対向が困難であった郵便橋が平成九年度に全面改良を終えました。さらに、死亡事故の多発箇所であった白浜町の高瀬川の橋梁改築により、串本地域から和歌山市方面への時間がかなり短縮されたと思います。これらの完成を見ても長い年月を有しています。白浜以南からは国道四十二号が幹線道路であるだけに、今後の改良促進をする上でも早期実現を図っていただきたいと思うのであります。
 また上富田町においても、この国道四十二号は南北幹線道路として町内の多くの方々が利用しています。しかし、田辺市との境界にある田鶴トンネルは狭隘で、大型車両の対向に支障を来しており、今では欠陥トンネルと言えます。このトンネルを自転車通学している生徒も多く、早急な対応が必要であります。聞くところによりますと、トンネルの田辺市内寄りは用地買収は十年前に終わっていて、残すのはトンネル付近の上富田町側の用地買収のみと伺っておりますが、今後の見通しについてお伺いいたします。
 県内各地域において、時間帯によっては大渋滞を引き起こしている箇所が多くあろうかと思います。私の住む田辺市内の稲成地域も大変な状況であります。国道四十二号新庄バイパス田鶴口・稲成間五キロメートルが平成七年三月二十四日に全線開通したことによって交通量が増加し、特に行楽シーズンや年末年始には大渋滞になり、地域の住民に大変な迷惑をかけているのが現状であります。このような状況の中で、来年四月から南紀熊野体験博が、紀南を中心に延べ二百万人の参加者を目標に繰り広げられます。よって、会場周辺はもとより、稲成地域の交通渋滞が今以上に予想されます。
 そこで、国道四十二号西田辺バイパス道路及び上富田南部線の稲成・南部間の進捗状況と、一日も早い供用を願う立場から今後の取り組みについてお伺いするものであります。
 本県の道路は、海岸線や山間部を縫うように走っているところが多いため、数多くのトンネルや土砂崩れの危険箇所が多く見受けられます。平成八年に起きた北海道のトンネル崩落事故は記憶に新しいところであります。
 私は、平成八年二月議会において、落石の危険箇所について総点検し、落石防止対策について鋭意努力するとの答弁をいただきました。その後、大きな落石事故がなく安心しておりましたが、去る四月十四日と四月二十六日の二度にわたり、県道田辺龍神線の奇絶峡付近で大きな落石がありました。両日とも人身事故に至らなかったのが幸いであります。
 この県道田辺龍神線は、田辺市秋津川地域の皆さんの生活道路であり、また龍神温泉、高野山を結ぶ重要な観光ルートであるだけに心配しておりましたが、全面通行どめも数日で済み、担当職員の迅速な対応に心から感謝をしております。
 ところで、この奇絶峡付近には大正六年三月に開業した最大百二十キロワットの川中口発電所があります。この発電所は、自然な川の水を水路に取り入れて発電し、水量に応じて発電機を運転するそうであります。関西電力によりますと、採算は合わないが歴史のある発電所として今後も維持していく考えであり、水路の巡視点検を毎日一回行っているそうであります。その水路を壊すおそれのある落石の箇所も見受けられ、また岩山が県道へ覆いかぶさっている箇所もあり、私も地元の方と五月二十二日に調査をいたしましたが、これから台風を迎えることになります。よって、再点検と危険箇所の除去をする必要があると思いますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 最後に、禁煙教育と分煙対策についてお伺いいたします。
 最近、若者や女性の喫煙が多くなってきております。町でよく見かけます。平成九年度版「厚生白書」によると、我が国の成人喫煙率は、男性五二・七%、女性一〇・六%、男女平均三一・七%となっており、男性の喫煙率は先進国の中で最も高い水準にあると言われております。また、女性は特に二十歳代の喫煙率の上昇が顕著であり、さらに中学、高校生を対象とした実態調査では、この一年間にたばこを吸ったことのある生徒は全体の二〇%となっています。未成年者の喫煙は、もとより法律で禁じているにもかかわらず、かなりの人が喫煙している実態が明らかになっており、このうち約七〇%の人が自動販売機でたばこを入手する人が多いと答えているのであります。
 本県におきましても、喫煙を初め薬物乱用など健康の関係について啓発運動を進められていることと思いますが、喫煙は薬物の第一歩という説もあります。子供の早い時期から教育や対策が必要であり、それを進める環境づくりをつくり出すことが行政に求められていると思います。さらに「厚生白書」によると、自分の意思とは無関係にたばこの煙にさらされ、それを吸わされる受動喫煙は、職場等において肺がんや肺機能障害等の危険性を増大させていると述べています。県庁内におきましても、それぞれ終日禁煙や禁煙タイムを設けている部署もございますが、それでもまだ男性職員の吸うたばこの煙で女性職員が大変不愉快な思いをしていることを耳にすることがあります。
 そこで、お伺いいたします。
 他人の健康にも悪影響を及ぼす禁煙問題について、学校教育の中でどのように取り組んでいかれるのか、また学校施設における分煙対策はどうしているのか。
 二つ目には、県庁内の分煙対策など非喫煙者の健康についてどのように取り組んでおられるのか、お伺いいたします。
 以上をもちまして、一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 野見山議員の雇用対策についてお答えします。
 本県の雇用失業情勢は、長引く景気低迷の影響を受け、三月の有効求人倍率は〇・五八倍と十年ぶりに〇・五倍台になり、四月にはさらに低下して〇・五二倍となるなど、非常に厳しい状況にあります。このため、六月十二日には和歌山県景気・雇用対策本部会議を開催し、国の総合経済対策の策定を踏まえ、県としての景気・雇用対策について取りまとめを行ったところでございます。
 具体的な雇用対策といたしましては、企業における雇用維持など雇用の場を確保するため、県及び公共職業安定所の職員が経済団体等を訪問し、雇用確保に関する協力要請を行うとともに、国の総合経済対策の一環である緊急雇用開発プログラムにおいて拡充される各種助成金制度の有効活用について周知し、雇用の安定と失業の防止に努めることとしております。
 また離職者等の雇用の確保につきましては、主要経済団体、行政機関等から成る産業雇用情報連絡協議会を六月四日に開催し、求人確保のための協力体制づくりを行うとともに、各公共職業安定所において求人開拓の実施や就職面接会等を定期的に開催するなど、離職者等の就職促進に取り組んでいるところでございます。
 今後におきましても、積極的に雇用対策を推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 野見山議員の道路整備に関するご質問にお答えいたします。
 まず第一点目の効率的な予算の執行についてでございますが、平成十年度の予算執行につきましては、国の総合経済対策の趣旨を踏まえ、上半期契約目標率を八三%超に設定し、事業の効果的な執行に取り組んでいるところでございます。また今回の補正予算につきましては、県経済の活性化を十分考慮し、波及効果の高い工事請負、設計委託を中心に予算計上いたしております。議員ご指摘の年度繰り越しには至らないよう懸命の努力をしてまいりたいと考えてございます。
 また用地の先行取得につきましては、事業の推進を図るため、平成二年度から公共用地代行取得事業として県土地開発公社に事業用地の先行取得を依頼しているところでございます。これに加えまして、通常の用地取得につきましても、県土地開発公社に委託することにいたしまして、本年度から一部実施できるよう準備中のところでございます。今後とも、県土地開発公社と連携して公共用地取得の促進を図ってまいります。
 二点目の、高速道路の進捗状況でございます。
 近畿自動車道紀勢線の御坊・南部間につきましては、全線にわたって設計協議及び用地交渉が進められております。このうち南部町の岩代地区においては、昨年から工事用道路等が施行されており、いよいよ本年度からは本線工事に着手されると聞いております。
 また南部・田辺間につきましては、昨年十二月二十五日の施工命令を受け、現在、関係する田辺市、南部町、南部川村において順次現地立ち入りのための事業説明会を日本道路公団、県、関係市町村で行っているところでございます。今後、地元了解が得られ次第、現地調査等に入っていくとのことでございます。両区間の早期供用に向け、県といたしましても国に強く働きかけてまいります。
 また海南・吉備間については、整備計画を受け、現在、日本道路公団において事業化に向けての調査を行っておりますけれども、この区間はトンネルが長く、また建設費についての検討等に時間を要していると聞いております。なお施工命令については、建設省では調査のまとまった区間から順次出すとのことでありまして、県といたしましても、日本道路公団の調査完了に向けて積極的に協力を行い、早期に施工命令が出されるよう努力してまいります。
 三点目の、国道四十二号田鶴トンネルの改修でございます。
 この問題につきましては、トンネル断面が狭小であり、大型車の対向が困難なため、田辺バイパスの一環として建設省において開削事業が進められているところでございます。用地取得につきましては、田辺市側は二筆を残してほぼ完了しておりますが、難航している上富田町側については全四十七筆のうちいまだ四筆の取得にとどまっているとのことでございます。残る四十三筆につきましては、公図が混乱しているなどのため、地元上富田町の協力を得ながら鋭意、公図訂正等の作業が進められておりますが、土地所有者の境界確定等になお時間を要するとのことでございます。今後とも、用地買収を促進し、早期完成を図るよう強く国に働きかけてまいります。
 四点目の、田辺市内の渋滞対策でございます。
 まず国道四十二号田辺西バイパスにつきましては、田辺市稲成町から芳養町の間の交通渋滞を解消するとともに、近畿自動車道紀勢線の田辺インターチェンジへのアクセス道路として平成九年度に建設省において事業着手し、路線測量が進められております。全区間三・八キロメートルのうち〇・七キロメートルの測量が完了しておりますけれども、一部測量立ち入りの了解が得られていないとのことでございます。今後、地元のご協力を得ながら、できるだけ早期に全線の路線測量を終え、測量が完了した区間から順次、設計協議、幅ぐい打設等を進め、用地買収を促進するよう国に強く働きかけてまいります。
 また県道上富田南部線の改良につきましては、まず県道秋津川田辺線との交差部から中芳養地内までの区間のルート検討を平成八年度から進めております。しかしながら、全般にわたって公図混乱地区となっており、本年度から実施しております公図訂正が完了したところより順次用地買収に着手してまいりたいと考えております。
 南部川村から南部町の区間につきましては、平成九年度から用地買収を進めております。両工区とも早期に完成できるよう努力してまいります。
 五点目の、落石箇所の安全対策と周辺調査についてでございます。
 落石箇所等の危険箇所につきましては、平成八年度、九年度の二カ年度にわたりまして道路防災総点検を実施し、この結果に基づいて緊急度の高い箇所から対策を講じているところでございます。
 四月に落石のあった奇絶峡付近については、まずその周辺について集中的に既に緊急調査を行い、その結果を対策工事に反映させたところでございます。また、この落石箇所を含む区間、高尾橋から川中橋までの一・八キロメートルについては、危険箇所の精査を七月より実施する手はずとしております。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 総務部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 野見山議員にお答え申し上げます。
 県庁内における分煙対策についてでございますが、受動喫煙による健康への影響等に社会的関心が高まる中、県におきましては、平成九年三月に庁内組織・喫煙対策委員会を設置し、喫煙に関するアンケート等を実施いたしました。その結果、終日禁煙実施が十八所属、禁煙タイム設定が三十二所属等となってございます。今後、同委員会において、各所属や職員等の意見を聞きながら、職員の健康の保持増進、快適な職場環境の形成の促進を図ってまいりたいと考えてございます。
 なお、五月三十一日の世界禁煙デーに合わせて、本県でも禁煙、分煙対策を講じられるよう、各所属長への文書通知、本庁でのチラシ配布、庁内放送等、積極的な取り組みを推進しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 野見山議員にお答えいたします。
 学校における禁煙教育についてでありますが、児童生徒は成長発達の時期にあり、また将来、父親、母親となって子供を生み育てることになります。したがいまして、教科指導、特別活動等を通じて、たばこに含まれているニコチンは薬物の一種であり、一たん始めるとやめるのが難しいことなど健康への影響を理解させ、喫煙をしないよう指導の充実に努めているところでございます。
 次に学校の分煙、禁煙状況でありますが、現在、県内の約七割の学校において喫煙場所の指定や職員室の禁煙等、何らかの対策が講じられております。
 今後とも、議員ご提言の趣旨を踏まえ、禁煙教育の推進を図り、学校の禁煙、分煙になお一層取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 30番野見山 海君。
○野見山 海君 答弁ありがとうございました。
 二点ほど要望いたしたいと思います。
 先ほど申し上げましたけれども、阪和銀行の倒産、あるいは今後ともリストラ、また県信の紀陽銀行への譲渡によって職を失う方々がふえてくるかと思います。こういった中には、マイホームなどの家庭計画を立てながら、今、不安な毎日を送っている方々が多いと思います。そういった意味で、何におきましても景気を回復させることが雇用の創出になると思いますが、県としても雇用対策を重点課題として今後取り組んでいただきたいことを強く要望しておきたいと思います。
 もう一つは渋滞対策でございます。
 来年四月二十九日から始まります南紀熊野体験博、こういったことで渋滞がかなりふえてこようかと思います。ぜひとも、その渋滞の解消のためにも迂回道路の標識等も設置するような方向で取り組んでいただきたいと思います。
 もう一点、禁煙教育と分煙対策ですが、私はたばこをのまないのでまことに申しわけないんですが、先ほど申し上げましたように、中学生、高校生のたばこを吸っている方が全体の二〇%あるという、このことは重く受けとめなければならないと思います。このことが、将来の薬物、シンナーや覚せい剤を乱用することにつながってくると私は思います。
 それだけに、学校における禁煙教育というものを今後徹底的にやっていただきたいし、また学校施設においても分煙対策──七〇%やられておりますけれども、一〇〇%に近い取り組みをぜひとも進めていただきますよう、また県庁内におきましても、まだまだふやしていくような状況をつくっていただきますことを強く要望して、終わります。
 ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○副議長(阪部菊雄君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十七分休憩
      ─────────────────────
  午後一時三分再開
○議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 議長のお許しをいただきましたので、早速、通告に従って質問を行ってまいります。
 まず初めに、廃棄物問題についてであります。
 このことについては、既に同僚議員のお二人の方がおやりになっていらっしゃいます。重複するところもあると思いますが、ご了承願いたいと思います。
 今、ダイオキシンへの不安は全国的に広がり、これまでダイオキシン対策を怠り、ドイツなどヨーロッパに比べて五倍も十倍も緩い規制しかしてこなかった政府への批判が強まっているところです。ダイオキシンは、自治体のごみ焼却場以外に電気炉や廃プラスチックなどを焼却する工場からも出ていることが明らかになり、事業所から出るダイオキシンについても各事業所に測定を指導するようになっているところです。測定が必要な事業所数や測定の実施状況、その結果について報告を求めたいと思います。
 自治体のごみ焼却場から出るダイオキシンが大問題になっておりまして、ことしに入ってからも、かつらぎ町のごみ焼却場から百ナノグラムが検出され、焼却が一時停止されているところです。これは、昨年までの測定では八十ナノグラムを超えなかったところでも、新たに基準をオーバーするところが出ることを示していると思います。県として、県内の自治体のごみ焼却場での測定結果について報告を受けていると思いますが、測定の状況やその結果の特徴について報告を求めます。
 橋本市野の産廃処理業・日本工業所の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 県警本部長、この産廃処理場にかかわる県職員、産廃業者の逮捕、起訴容疑事実、また再逮捕の容疑事実を詳しく報告してください。
 知事は、議会の冒頭、県職員が収賄容疑で逮捕されたことについて、「議員各位を初め県民の皆様に深くおわび申し上げます」と述べておられます。住民の健康と安全を守る責任を持つ知事として、菖蒲谷や柿ノ木坂、出塔地区など、橋本市の住民を苦しめた県の行政責任は大変重大だと指摘しなければなりません。私は、だれに対してよりも、まず悪臭などの公害に長期にわたってさらされ、健康を侵され、今も不安な暮らしを余儀なくされている住民の方々、ダイオキシン汚染の不安の中で暮らしている住民の皆さんに、まずおわびをする姿勢が知事に求められると思うのであります。ですから、日本工業所に焼却炉の設置を指導し、許可を与えた出発点をもう一度検討する必要があるのではないでしょうか。
 橋本市の産廃問題は、何度も論議をされてまいりました。今議会においても、県の姿勢が厳しく問われてまいりました。この問題は、悪臭、降灰、野焼きによる火災の発生、ハエの大量発生、カラスの大群、煙や廃棄物が原因と見られる薬物中毒の疑いで主婦が入院する事態も起こり、これまでに四十人が通院しなければならない大変な事態になっています。
 日本工業所は、最初は自社処分地としていましたが、毎日新聞の五月三十日付によりますと、許可を受ける二年前の九四年四月には、国道三百七十一号線沿いなど数カ所に「安定五品目受け入れ可」などと書いた看板を立て、県外ナンバーの車が朝から列をつくっていたなどの証言が報道されております。九五年に入って阪神大震災の廃棄物を大量に受け入れ、またそれも野焼きして火災を起こすなど、産廃業の許可を得ないまま違法な事業活動を行っていました。贈収賄事件の容疑事実の一つにこの違法行為を黙認していたことが挙げられているのは、ご承知のところです。
 九六年二月二十二日、日本工業所は県に焼却炉の設置を申請し、三月七日に異例の速さで許可がおりました。通常は地元自治体が意見書を出すことになっていますが、橋本市が同意できない旨の意見書を日本工業所に交付したのは、県が既に許可した後の三月二十九日であります。橋本市が意見書の交付を求められたのは、県が許可をした四日後の三月十一日です。県の許可を受けた後で橋本市長に意見を求めるのは、市の同意を得ているとのアリバイづくりをねらったものではなかったのかと疑問を持ちます。
 こうした一連の経過の中で、今回の贈収賄事件があります。実に、住民の苦痛を何とも思わないやり方、県の失政を自身の金もうけに利用した事件に非常に腹立たしく思うのです。県が日本工業所に焼却炉の許可を与えた理由は、違法状態のまま業務を継続されると行政指導と刑事告発の道しかない、その場合、事業者は罰を受けて廃棄物を現状のまま放棄してしまうおそれがある、それよりも許可を取得させ、法律に基づき厳しく指導する方が適当であると考えたということです。本議場でもそのように説明をされました。私は、県が地元住民はおろか、橋本市長の同意をとらないで違法行為を行っていた日本工業所に産廃処理業や焼却炉の設置を許可したことそのものが誤りだったと考えるのです。知事は、許可を与えた手続や方針は県の行政として正しかったと今も考えておられますか。
 次に、野積みされている産廃や焼却灰の処理の問題についてお尋ねします。
 環境保全公社から、第一期搬出が昨年七月三十日から九月二十六日まで六千八百立方メートル、二期搬出が十二月二十二日からことしの四月二十五日まで一万三千二百立方メートル、合わせて二万立方メートルとのことでしたが、一昨日の答弁では総量が二万一千立方メートルとなっています。環境保全公社が合わせて一億五千万円を負担し、日本工業所も同額負担したとのことです。これが超法規的な処置であることは県も認めていると思うところです。しかし日本工業所は、県から改善命令や搬入禁止を命令されるなど無法の限りを尽くしてきた企業でもあります。まして搬入した産廃は排出者から料金を取って営業活動を行っていたものであり、搬入した責任は日本工業所にあります。違法な野焼きや無許可営業を知りながら黙認していたとの疑いが県にかけられているわけですが、そうした違法事実を知り、撤去させる必要があると判断したなら、なぜ法律に従って業者に撤去命令を出さなかったのか、住民の健康被害を心配したのであれば、それほど深刻になるまで手を打たなかったのか、ここが問われると思います。撤去命令を出さなかった理由、またそれに従わない場合は行政代執行も検討できると思います。そうした手段をとらなかった理由を明らかにしてください。
 また今回の県の対処は、県下で産廃問題で金がかかるとなったら、環境保全公社が超法規的な金を出すとの前例をつくったことになります。違法行為を行った産廃業者が違法に産廃を積み上げたら、公社が金を出し、産廃を持ち込んだ業者が運び出してもうける、こんなことを今後も続けるとしたら、無法な業者のやりたい放題を許すことになるのではないかと非常に心配をするところです。知事は、この超法規的な実態をどのように感じておられますか。
 今月二日付の読売新聞に、「産廃二万立方メートル行方不明」という記事が掲載されました。七日付には、その消えた産廃の一部が堺市の日本工業所の本社敷地内に野積みされているのを住民が確認したとの報道もあります。それによると、橋本を出たトラックが堺市の本社へ、現認できただけで七日間で三十一台の十トントラックで産廃を運び込むのを記録しています。堺市の行政では、一月ごろから搬入が始まり、四千立方メートルの産廃が野積みされているのを確認しているとのことであります。一昨日の答弁では、二千立方メートルが今も堺市に野積みされていることを県も認めました。県は、二度にわたって環境保全公社や県産廃処理協会に対し、日本工業所が運び込んだまま野積みしている産廃の処理を依頼してまいりました。「適正な処理」をとの依頼ですが、これが適正な処理に当たるとは到底考えられません。
 お聞きいたします。
 「適正な処理」とは、橋本市の日本工業所から搬出することのみを指すのではないと思います。中間処理を行い、最終処分場に投入されるまでを指すと考えますが、「適正な処理」の具体的な内容をお示しください。
 和歌山県は、奈良県庁からの問い合わせに、「大阪府内で処理している」と返答したと聞いております。本当に大阪府内で処理しているのなら、迷惑をかけるかもしれないのですから、大阪府には事前に連絡をしたのでしょうか、答弁を求めます。
 橋本からの搬出は、第一期が七月三十日から九月二十六日、お盆の休みの期間を含めてわずか二カ月足らずですから、土曜日に稼働しても実働日数は四十日余りです。六千八百立方メートルの産廃を四十日で処理するとなると一日で百七十立方メートル、処理能力としては一日百トン以上は必要だと思われます。県が正規の処理場に持ち込まれていると信じると言うのでしたら、マニフェストに記載されている中間処理業者が許可を受けている処理施設の処理能力を確認したのですか。また、中間処理した産廃を持ち込んだ最終処分場を把握しているのかどうか、そこの自治体に持ち込むをことを連絡したのかどうか、答弁を求めます。
 これは、県が他府県とも協力しながら産廃問題を解決していく姿勢に立つのなら、互いの信頼関係を維持する上で欠かせない条件だと思います。
 また、告発もされていますが、日本工業所が二度と住民の暮らしや環境を壊さないために、産廃業や施設の許可を取り消してもらいたいというのが切実な願いです。県が住民の苦労にこたえる決断をしてもらいたいと強く求めたいと思います。ご答弁をお願いします。
 この問題の最後に、住民の健康被害調査、母乳のダイオキシン検査の実施を求め、県の答弁を求めたいと思います。
 住民の委託を受けた民間の調査機関が約三万ピコのダイオキシンを測定し、大きな衝撃を受けましたが、ダイオキシンは体内に蓄積する性質を持つ非常に恐ろしい物質です。全国的に土壌のダイオキシン検査が行われ、大阪能勢町では千ピコ以上の土壌の入れかえを行うようになっています。心配なことは、住民の健康被害です。最初に述べましたように、入院した人や通院している人が数多くいるわけですから、被害を受けている住民の健康診断についても県が責任を持って行うことが大事ではないでしょうか。ご答弁ください。
 また、ダイオキシンは体内に蓄積します。ただ一つ、体外に排出されるのが母乳に含まれているダイオキシンです。お母さんの体にとっては低いダイオキシン濃度であっても、母乳を飲む赤ちゃんには高い濃度となって蓄積されることになります。ですから、母乳検査はどうしても急いでやらなければならないと思うのでありますが、いかがでしょうか。
 次に、障害者、とりわけ視覚障害者の交通機関利用についてお尋ねをしていきたいと思います。
 去る五月十九日の「ニュース和歌山」コラムに掲載をされ、和歌山放送でも放送された内容であります。「親子で空の旅はいつ?」について、関係部長の所感と県行政としての対応を伺うものです。
 この記事は、五月十六日、和歌山放送ラジオでも放送されました。これは皆さんのところにお配りをいたしております。どうぞご一読いただいて、ぜひとも障害者の問題として考えていただきたいと思います。私は、この記事を読んだ後、菅野恵子さん親子にお会いをしてお話を伺ってまいりました。全盲という障害を理由に飛行機の搭乗を拒否されたという問題です。この菅野さんは、緑内障という病気に侵されて全盲になった方でもあります。これは単に菅野さん親子だけの問題ではないと思いますし、さまざまな障害を抱える全障害者の問題だと思います。今や、障害者があらゆる機会に社会参加を保障することが社会全体に求められているときでもあると考えまして、皆様方にもご一読いただき、改善策等を考えていただきたいと思い、議長のお許しを得まして配付させていただいております。どうかよろしくお願いを申し上げます。
 この記事でございますけれども、ここをちょっと紹介したいと思います。「今年三月二十四日、私は、四歳の息子と一歳の娘を連れて香川県の実家に帰省するため、午後五時五十五分発高松空港行きのエアーニッポンANK七二三便に乗ろうと、関西国際空港に行きました。ところが、搭乗手続き中に『お客様は、全く目がお見えにならないのですか』と係員に聞かれ、手続きが止まってしまいました。(中略)係員の説明では、『障害者の母親と、二人以上の幼児は一緒に搭乗できない規則になっている』とのこと。出発直前の思いがけない言葉に私は困惑しました。交通公社で切符を購入した時、私が障害者であり、子どもたちの年齢も分かっていたのに何も告げられませんでした」、こういうことを書いていらっしゃいます。
 既に菅野さんは、昨年九月十三日にも乗れて実家に帰れたというのが経験としてあるわけですから、到底納得できないという立場に立ったわけです。しかし、従業員の方が下の一歳の子供さんを見てくれる方があればということで一生懸命探していただきましたけれども、残念ながら三十分ほど待った時点で世話を引き受けてくれる人がいない、だから搭乗できませんので地上の交通手段を利用してくださいと言われて大変ショックを受けられたと聞きました。そして息子さんは、どうして乗れないのかということを母親に詰め寄ったと。ここにも書いてありますように、「『お母さんが見えないから三人一緒に乗れない』とは答えたくありません。私自身が納得できない規則で息子の楽しみを奪われ、親子の行動を制限された悔しさがこみあげてきました」。
 菅野さんは、母親が障害者であるがゆえに耐えなければならない困難は多々あると思う、それらをばねにして積極的に生きている菅野さん自身を見て、子供たちが親を恥じることなく心豊かに成長してくれることを信じているとおっしゃっていました。
 そういう点で見てみますと、旅行会社が切符を売るだけになっているのではないのだろうかと私は思ったわけです。各航空会社は、運送約款や細則によって障害者等に対する搭乗制限が行われているようであります。当然、こうした障害者、特に視覚障害者等に対しての制限は、切符販売を行う代理店等には周知されていなければなりません。しかし菅野さんの場合、切符販売した旅行社では身障手帳を提示し、しかも子供二人の年齢、名前まで告げ、その上で切符を発行されておりますから、まさか飛行場に行って搭乗できないということがあるわけないと思っていたし、もちろんこの旅行会社ではこのことの告知すら受けていなかったのです。幾ら規則と言われても、やはり納得できるものではなかったのではないでしょうか。何よりも、飛行機に乗ること、おもちゃやジュースをもらった喜びと楽しみを奪われた息子さんの泣いて残念がる姿や、障害者であるがゆえに困難に耐えて、それをばねにして、妻として、母親として、教師として社会生活や家庭生活を積極的に生きている菅野さん親子の悔しさ、むなしさを思うとき、私は胸の張り裂けるほどの怒りを感じました。
 こうした問題を改善するため、この六月一日からは二歳児以下の乳幼児の同伴が認められるようになりました。なお、菅野さんの息子さんが六歳になるまでは、この同じ機種を使って実家へ帰るという利用の仕方はできないのであります。なぜならば、付き添いなしの五歳までの同伴者は一人と規定されているわけですから、六歳になるまで菅野さんは子供三人で帰ることはできないということになります。安心、安全をモットーとする航空会社です。親子が一緒に空の旅が楽しめるように一日も早い改善を願うものであります。
 特に和歌山は、関西国際空港に他府県よりも最も近い位置にあります。飛行機なら三十分で高松空港の目的地に着けたのに、JRをたびたび乗りかえながら、そして子供への気配りと安全を確かめながら、三時間半という長時間をかけて夜の十時過ぎにやっと自宅へ帰り着いたそうです。子供はもちろん、お母さんもくたくたになりながら帰ったそうであります。JRを使って大変危ないところを三時間半もかけて帰るよりも、短時間でしかも乗りかえなどのない飛行機は、子供にとってもお母さんにとっても安全で便利な交通機関ではないでしょうか。
 私はこの間、旅行会社等の幾つかの代理店等に、障害者、特に視覚障害者に対する細則などが職員に周知徹底されているかどうかを伺いました。大変事例が少ないこともあって、ほとんどおろそかになってしまっている。この機会、大変よい勉強になりましたという状態でもありました。また、切符を販売された旅行社、航空会社は菅野さんに、済みませんでしたとおわびに来られたようでありますが、障害者の子育てを支援し、交通機関を安心して利用し、社会参加を一層広げるため、制限規定を見直しすることが急がれなければなりません。
 知事、知事の公約でもありますこのパンフレットの中の二十七ページに書いてあります。これの三十八番と三十九番は非常に大事なことだと思いましたので、公約実現のためにも、障害者のためにも、ぜひこの問題をとらえていただきたいと思います。三十八番、三十九番に明記されているのは、関西国際空港は「和歌山にとって『庭先の空港』となるよう利便性を一層高めます」。そして、南紀白浜空港を「新規航空路線の開設など本県の空の玄関として」とも約束をされていますから、障害者にとってもこの実現を願いたいと思っています。しかし、南紀白浜空港においても、視覚障害者に付き添いなしの六歳未満の同伴は一人と、これまた制限されることになります。機種がもちろんそうであります。障害を持つ人々は、障害そのものについては仕方がないと、そのことを認めた上で、しかしそのことでさまざまな制限を加えることはやめてほしいと常々申されております。
 さて、種々申し上げてまいりました。福祉保健部長にお尋ねをいたしますが、まずこの記事を読まれての所感をお聞かせください。そして、県としてどのような改善策を考えておられますか。また、この間、旅行会社や航空会社にアクションをとってこられたのでしょうか、その内容をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、入札制度の改善について質問を申し上げたいと思います。
 公共工事をめぐる批判の中に、談合にかかわるものがあります。大手ゼネコンを巻き込んだ談合疑惑は後を絶ちません。国においては、九三年十二月二十一日の中央建設業審議会において、「公共工事に関する入札・契約制度の改革について」が取りまとめられ、また建設・自治省通達、「公共工事に係る入札・契約手続及びその運用の改善の推進について」が出されています。その後、本県においても一般競争入札の導入や公募型入札の導入など一定の改善に踏み出しておられますが、本来、公共工事の契約方式は一般競争入札を原則とし、例外的な場合として指名競争入札、随意契約を定めているところであります。ところが、実際は指名競争入札が圧倒的で、今問題となっている談合をめぐる疑惑は、多くはこの指名競争入札をめぐってであります。また、指名の登録を行っていても一向に指名されたことがないとか、市町村の中には指名されても知らない間に辞退届が出されていたという業者の方の話も聞くところです。国の改善策の目的は、こうした事態を改めて、透明性、客観性を高め、不正の起きない仕組みをつくることであると考えるところですが、同時に地元中小企業の育成にも貢献できるものに改善する必要があると思います。
 中央建設業審議会の取りまとめは、指名基準の策定や運用基準の策定、指名結果、入札経過及びその結果並びに発注標準の公表を求めています。現在、全国的には、この取りまとめを受けて、指名基準や入札経過はもちろん、予定価格の公表や年間の企業別の受注額、金額の大きい工事から五十番目までの企業名と金額を公表するなど、透明性を高める努力が進められているようであります。
 そこで、お聞きをいたします。
 本県では、入札経過については、入札調書として閲覧できることになっております。よりオープンにするための公開の方法を今後検討すべきではないのでしょうか。指名基準についても公開するようにと建設業審議会の取りまとめで求められていますが、本県でも直ちに公開すべきだと考えます。おくれている実態をどのように考えておられるのか、見解をお示しください。
 また、入札調書には設計価格あるいは予定価格が記されていません。いずれ公表する方向だとは聞いております。いつから、どのような方法でその公開をなさるのでしょうか。また、企業別の受注金額についても公開するよう求めたいと思いますが、いかがですか。
 なお、関連して、市町村の入札のあり方について質問を申し上げます。
 私ども日本共産党県議団として、県内五十自治体に入札の指名基準の策定状況やその公表状況などでアンケートをとらせていただきました。中小の建設業者の皆さんが安心して経営できるようにするためには、地方自治体の長がかわったら指名をされないというようなことがあってはならないことです。そのためには、指名や入札が公平公正な客観的な基準に基づいて行われる必要があると思います。
 アンケートには、八割の市町村から回答をいただきましたが、その結果、回答のあった自治体では、入札指名基準を持っているのが約六割、四割は策定していないとのことでした。指名基準を公表しているのは二つの町だけで、指名基準の運用基準を策定しているのは四割にすぎません。入札経過及び結果については、一応公表しているのは約六割で、町の広報に掲載しているところもありますが、結果だけ公表しているところや問い合わせがあった場合だけとか、入札会場でだけというところもあります。大変おくれているのが県下の実態であることもわかりました。こうした実態について、県はどのように把握されているのでしょうか。
 これで、第一回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
 廃棄物問題についてであります。
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく産業廃棄物処理業の許可につきましては、全国的にも大変難しい問題が生じておるわけでございます。この件につきましても、従前の許可に至る手続につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に定められた審査を行い、条件を満たしていたため許可したものと考えてございます。
 業者に撤去命令をなぜ出さなかったのかその理由、並びに環境保全公社による支出についてのご質問であります。
 私は、かつて橋本市で開催されました動く県庁の席上で橋本市の住民の方から、煙や悪臭等、この廃棄物問題の実情をお聞きいたしまして、早速担当部局に指示をいたしまして、搬入停止や夜間の焼却停止など、問題解決に向けて可能な限りの対策を講じさせてまいったところであります。その後も、橋本市長を初め関係者とも協議を重ねてまいりました。法的には、撤去を命ずる条件に至っておりませんでした。すなわち、廃清法に基づく命令につきましては、環境保全上の支障がある場合、その支障の除去を命ずることができる。この支障の除去というのは、排出基準などの基準以下に下げる命令ということでありまして、必ずしも撤去を命ずることができるというものではないわけであります。しかし、問題を早期に解決するために、緊急避難的な措置として行政指導により保管廃棄物を撤去させたものでございます。
 その際に、財団法人和歌山環境保全公社に対し、特例として資金協力について依頼をしたところであります。環境保全公社は、その寄附行為に定める「廃棄物を安全かつ適正に処理すること」という目的に照らし、理事会において審議され、例外的な措置として支援をしていただいたものであります。
 他の問題については、部長から答弁をいたします。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 村岡議員の質問にお答え申し上げます。
 まず、ダイオキシン検査を必要とする焼却処理場──これは民間事業所の場合であります──の実情と検査の進捗状況についてでございますが、ダイオキシン類の測定につきましては、昨年十二月一日から一年に一回以上の測定義務が生じました。対象施設数につきましては三十施設でございまして、測定の必要性等について指導しているところでございます。また、事業者には測定結果の報告義務はございません。本年十一月三十日が測定の期限となっておりますので、念のため行政指導の一環として、その時点で報告を求めてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、自治体のごみ焼却場におけるダイオキシン検査についてでございますが、第一回目につきましては、平成八年度から九年度において厚生省が、今後ダイオキシン削減対策を検討し実施する上での基礎資料とするために実施したものでございます。この調査につきましては緊急対策基準を五施設が超えましたが、既に改善対策済みでございます。そして第二回目の調査につきましては、対象となる施設が三十施設ございまして、本年十一月三十日までに実施するようになっておりますので、適宜把握してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、「適正な処理」には最終処分を含んでいるのではないかとの質問でございます。
 中間処分または最終処分を行うことができる許可を受けた処分場に搬入されることが「適正な処理」であると考えております。
 続きまして、搬入先の行政への連絡は行ったのかとのことでございますが、株式会社日本工業所に対し適正な処理を行うよう指導したものであり、搬出先の行政への特別の協力依頼等は行っておりません。
 続きまして、搬出先の廃棄物処理業者の処理能力につきましては、確認いたしてございます。また、中間処理後の廃棄物の搬出先につきましては、把握いたしておりますけれども自治体には連絡いたしておりません。
 最後に、産業廃棄物処理業や産業廃棄物処理施設設置許可の取り消しについてでございますが、公判の推移を踏まえまして厳正に対処してまいる所存でございます。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 村岡議員ご質問の廃棄物問題についてお答えをいたします。
 議員ご指摘のダイオキシンに関する健康被害調査、母乳検査につきましては、国において現段階では、血中濃度の測定等も含め、どのような内容の調査を行えばよいか、また調査結果から健康への影響をどう評価するかなどの判断基準が科学的に確立されていない状況でございます。このため厚生省では、ダイオキシンによる人体に及ぼす影響の把握と健康影響の評価に関する基礎的な調査研究を進める必要があるとの考えから、母乳、血液等の人体への影響に関する調査研究を引き続き実施しているところであると聞いてございます。
 県といたしましては、こうした国の調査研究の推移を見ながら、地元自治体とも十分協議調整の上、検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、障害者の交通機関利用についての三点にお答え申し上げます。
 これは、航空各社が緊急時の乗客の安全を確保するため、社内規定で歩行障害者、視覚障害者等につき搭乗の制限を設けているものでございます。今回の場合は、百二十六人乗りのボーイング七三七型機であり、社内規定で付添人を伴わない視覚障害者と一緒に搭乗できる子供は、六歳未満であれば一機当たり一名という制限がございます。
 まず今回の所感でございますが、ご本人が航空券を購入し、空港に到着をしているにもかかわらず搭乗できず、長時間をかけ、子供二人を連れて、JRを乗り継いで帰省したことのご苦労はもちろんのこと、四歳の子供心を傷つけた、本当に残念な出来事であったと思っております。
 県といたしましては、福祉のまちづくり条例を制定するなど、障害者の完全参加と平等を目標に掲げている観点から、障害者が自由に移動できる社会を実現することが必要であると考えてございます。
 次に、その改善策と旅行会社、航空会社への対応でございますが、六月十二日に、航空券を販売した旅行業者と航空会社からの事情聴取を行いました。旅行業者は、今回、本人に十分な説明ができなかった点の反省から、本人に謝罪し、再発防止に向け、既に社員に航空会社の社内規定の徹底を図った旨の回答がございました。航空会社に対しましては、事実確認と社内規定の説明を受けた後、口頭で社内規定の見直しを要望いたしました。
 県といたしましては、ノーマライゼーションの理念とバリアフリーを推進する観点から、障害者の搭乗制限の見直しについて今後とも関係先に要望してまいりたいと考えてございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 村岡議員の公共工事の入札問題に関するご質問にお答えいたします。
 まず中央建設業審議会の建議においては、できるだけ速やかに対応すべきものと今後の検討課題としていくべきものとが含まれております。本県といたしましては、平成五年に庁内に設置しております入札・契約制度検討委員会において、競争性、透明性の確保を図るため、入札・契約方法について協議検討を重ねているところであります。
 予定価格の事後公表につきましては、入札執行調書に記載する等により、できるだけ早期に実施してまいりたいと考えております。また企業別の年間受注額につきましては、平成十二年に稼働予定の土木管理システムを活用して情報提供が可能になります。また指名基準につきましては、公開の方向で現在検討しているところであります。なお、入札結果についてでございますけれども、今後も閲覧方式で公開してまいりたいと考えております。
 次に、市町村の入札のあり方についてのご質問でございますが、平成九年六月に実施した平成八年度の地方公共団体の入札・契約手続に関する実態調査によりますと、指名基準を策定しているのは二十七市町村、運用基準を策定しているのは十六市町村となってございます。地方公共団体の公共工事に係る入札・契約手続及びその運用の改善の推進について、国からの要請を受けまして管下の市町村に文書及び説明会等で周知徹底を図ってきたところですが、いまだ改善されていない市町村もございますので、今後とも入札・契約手続の透明性及び公平性の確保のため、より一層改善方、周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 警察本部長米田 壯君。
  〔米田 壯君、登壇〕
○警察本部長(米田 壯君) 村岡議員の、橋本市野の産廃処理場をめぐります贈収賄事件に関するご質問についてお答えをいたします。
 この贈収賄事件の最初の逮捕事実でございますが、県職員である元高野口保健所の医療技師が、産業廃棄物処分会社の社長から橋本市野地区で産業廃棄物処分業を無許可で行っていたのを黙認したこと、及び産業廃棄物処分業等の許可申請に際し、有利便宜な取り計らいを受けたいという趣旨で、平成七年中、総額数十万円のわいろを収受したとして、県職員を収賄罪で、産業廃棄物処分会社社長を贈賄罪で、それぞれ本年五月十五日逮捕し、両名とも起訴されたところであります。
 また再逮捕の事実の概要でありますが、平成八年四月ごろ、当時高野口保健所に勤務していた県職員に対して、今後産業廃棄物処分の現場指導等に際し有利便宜な取り計らいを受けたいという趣旨で、時価数十万円相当の旅行クーポン券等の供与の申し込みをしたとして、両名を贈賄罪の申し込みで本年六月四日再逮捕したところでございます。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 先に障害者問題ですけれども、航空会社とかそういうところに事実確認をしていただいたということで、それぞれ対応していただいたんですが、肝心な本人に確認をしていただいていないので、今度改めてまた航空会社とか旅行会社に申し入れをするということをおっしゃっていましたので、全盲の方とか視力障害者の方々のご要望も聞いた上でぜひとも要望にまとめていただきたいと、これはお願いをしておきたいと思います。
 それから、今、警察本部長の方から橋本市野の逮捕のそもそものいきさつをお聞きいたしました。
 これは、無許可で処分業をやっていたということがあって、これを保健所の担当者が黙認をしてきたというのが逮捕の原因だということとあわせて、物をもらい、金をもらい、贈られたというようなことで双方が逮捕されて起訴されたということがあるわけです。知事は、書類が全部整っていた、法的にも問題はなかったんやという答弁ですね。許可時点で本当にそうであったかというのは、非常に問題があると思います。これは、やはり原点に戻るということ、今ここまで来た段階では、無許可でしかも不法な行為をやっていたということは確認されたわけですから、その当時は許可はされていないということですね。そこはどちらにしても、収集運搬業の許可を与えたのも平成八年四月三日ですね。そして、産廃処理施設設置許可を与えたのは三月七日と、ここで二つやっとそろうわけですね。それ以前は、この方は平成六年五月二十日、これは保健所に対して自社処分をやりますからということでの届けをやるということでありましたけれども、これは保健所も認めていませんね。文書上は、これは認めておりませんよ。そういう問題が一つあるわけですから、許可されていないのにかかわらず不法な行為がまかり通っていたという事実を、許可したことが本当にそれでよかったのかということをもう一度原点に戻っていただきたいのです。
 逮捕劇になったのは、そのことがあって、無許可でしかも不法な行為をやっていたことについて黙認をしているわけですから、許可することは当然あってはならなかったはずです。そして、周辺の住民の皆さんたちからは、ハエが飛んできて臭いという被害がどんどんその時点でもあったわけですよね、野焼きをしていますから。だから、ここでもう既に業務命令なり不法ということで撤去命令を出せたはずです、本来的には。そういうことが、知事や今までの生活文化部長の答弁では全く反省の色がないと思うのです。
 しかも、当時は橋本市長の意見というもの、あるいは排水同意の問題もあるでしょうから水利組合の皆さん方の同意、周辺住民の皆さん方がいっぱい苦情を言ってきているのに対して、ちゃんと対応していないという問題も経過的には、私がつかんでいるところではあるわけです。そういう点で見ても、全く不法行為に対して厳正な対処をとってこなかったということで、許可を与えるべきではなかったと私は判断をします。
 既に、市長の許可申請に当たっての同意書というのか意見書を求めてきたそのものの──これは向井議員も指摘されましたけれども、三月七日に既に許可してしまって、意見書を求めてきたのは三月十一日でしょう。返事をされたのは三月二十何日でしょう。全く逆ではないですか。こういった行為を平然とやってきた。これは、谷口さんだけが悪いんではないと思います。行政のあり方として成り立っていなかったと。そういう点で、法律に基づいてよかったんだというようなことはまかり通らないと思います。
 許可してしまったら業者の勝ちですよ。だから、今のような状態を招いてしまったわけでしょう。そういう点で見れば、原点に戻って今の事態をどうするのかということを考えてもらわなあかん。そういう点で、無許可営業を黙認していた立場に立って、当然撤去を命ずることはできたと思いますが、知事は今となっては仕方ないんだとお思いになりますか、お答えください。
 二つ目に、搬出先の処理能力は確認していると生活文化部長は答えられました。その能力ですが、これはマニフェストに記されている量を処理できたと考えていらっしゃるわけですね。それは、すべて確認をした上でちゃんとできてましたということになりますか、もう一回お答えください。
 それから「適正な処理」というのは、先ほども最終処分まで含めるとおっしゃっているわけですけれども、二万一千立米のうち中間処理場へ運ばれた量と最終処分場に運ばれた量の実態はどのようになっていますか、教えてください。
 それから、マニフェストを明らかにすることは差し控えると一貫して言っておられますが、その理由は何ですか、お答えください。
○議長(木下秀男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員の再質問にお答えをいたします。
 職員の容疑の全容については、まだ私はよくわかりませんので、その点は差し控えさせていただきます。
 いずれにしても、冒頭に申し上げましたように、産業廃棄物をめぐる問題というのは大変複雑なものがありますので、その間のさまざまな事情があったかもしれません。しかし、そのことのお答えにならないかもしれませんけれども、私がこの問題に関して絶えず申し上げてまいりましたときに、私も政治家の一人でありますから、そういう立場から言いますと、法を超えてでも対応したいという気持ちはあります。しかし一方、行政の責任者としては、一応は法に照らしてそのことを進めていくという立場もとらざるを得ませんので、その両面のあることもひとつご理解をいただきたいと思っております。
 以上です。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 村岡議員の再質問にお答えいたします。三点あったと思います。
 まず中間処理場の処理能力の件でありますが、これは運び込むトラックに積んだすべての量ではなく、その中間処理施設として処理しなければならないものを処理する能力ということで、例えば木くずとかアスファルトの塊を破砕する等の能力でありまして、県で把握している処理能力で十分可能であったと考えております。
 それから、運び出した二万一千立米の内訳でありますけれども、昨日、向井議員の質問にもお答えしましたとおり、マニフェストの公表ができないというその範囲内に入ると思っております。
 それと、マニフェストの公開できない理由でありますけれども、搬出した地元、また搬出を引き受けてくれた業者に対しまして迷惑をかける等のいろんな事情がございまして公表できない、そういう措置をとっているところであります。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 時間もありませんので、残りは委員会でやりたいと思っていますけれども。
 しかし、やはり一つは「適正な処理」というもの、あなたたちが言っている能力の問題と適正処理というのは一体のものだと私たちは思っているわけです。だから、中間処理場へ行ったのは何ぼで最終処分場へ行ったのは何ぼでというぐらいは量的にわかるでしょう。そんなものもわからんような伝票なんてあり得ないと思いますよ。それ答えられないというのは、何ですか。
 それからマニフェストについても、やはりあなたたちは何かありますね。よその自治体に迷惑をかけるというのがあなたたちの言いぐさでしょう。よそから問われて、どこへやりましたと言われて、あなたのところへ行っているそうだよ、自治体から自治体へ回っていっちゃってねと。一体どこですかと問われてごらんなさい。答えないわけにいかないでしょう。私たちは、奈良にも行っていると聞いております。だけれども、伝票はとって業者を信頼してやっていますというだけでは、私たち自身も撤去してくださいというのが目的であったとしても、よそに迷惑をかけながら運び出されるというのは、あなたたち心痛みませんか。住民としてはそうだと思いますよ。
 そういう点を、もっときちんと整理すべきだと思うのです。住民の不安にこたえるということにはなってないんですよ、あなたたちの答弁は。そういう点で、委員会に譲ります。
 終わります。
○議長(木下秀男君) 以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番永井佑治君。
  〔永井佑治君、登壇〕(拍手)
○永井佑治君 お許しをいただきましたので、質問をさせていただきます。今議会、私が最後の質問者であります。いましばらく、おつき合いをお願いいたします。
 それでは、二十一世紀の人づくりについてお尋ねをいたします。
 今、私たち日本人、日本という国家に対して警鐘を鳴らす、あるいは警世の言が世の中にあふれています。その中で共通して訴えられているのは、国家の尊厳と誇りの必要性であります。また、日本人であるとの認識を持っている人が極めて少ないように言われていますし、実際、日本人であるという認識を持っていないとはっきり言う人がいる今日、オリンピックやサッカーのワールドカップのときだけこぞって日本を応援する現象が私は不思議でなりません。
 誇りがなければ国が成り立たない、誇りがなければ国家は滅亡すると、多くの識者が指摘をしています。私もそう思いますが、では、その日本人としての誇りというものはどうして培われるのかと申しますと、それは子供のときからのしつけや教育によってではないでしょうか。
 今、私たちの周辺では、昨年の神戸の中学生の殺人事件以降、ことしに入ってからでも、シンナー常習者である十九歳の少年が幼稚園児らを殺傷した堺の通り魔事件、十三歳の中学生による栃木県の女性教諭刺殺事件、十五歳の公立中学三年生が公園をパトロール中の警官を襲い、けん銃を奪おうとした東京都江東区の事件など、青少年の犯罪が後を絶ちません。広い意味での教育の荒廃を思わずにはいられないのであります。
 さて、その教育について、あの福沢諭吉は「政治上の失策は、影響は大きいが、それに気づいて改めれば鏡面の曇りをぬぐうのと同じで痕跡は残らない。しかし、教育の場合は、アヘンのように全身に毒が回って、表面にあらわれるまで歳月を要し、回復には幾多の歳月を要する」、このように言っております。
 慶応大学助教授で批評家の福田和也さんが、その著書「なぜ日本人はかくも幼稚になったのか」の中で、私たち日本人の大人を「誇りと恥を忘れ、善意や親切、思いやりで事に当たればすべてが解決すると錯覚している幼稚な日本人である」と厳しく指摘をし、その精神の弛緩と堕落を非難しています。多くの方がそんなことはないと異を唱えられるかもしれませんが、私は全くそのとおりであると思います。
 また、教育についても、もともと人間は人格や個性を持って生まれてこないからこそ教育やしつけが必要であること、古来、文明・文化といった人知のあった場所には若者を人たらしめる教育の制度や方法が確立されており、そのやり方がどのようなものであれ、すべてに共通するのは、教育がある高みからなされてきたこと、若者たちは高い価値の押しつけに抵抗をし、鍛えられた精神のコアがそれぞれの個性となり、人格というものをなしたことなどを述べた後に、「ところが、今日の教育には高い価値はありません。高い価値を否定した上で、個性を伸ばそう、人格を尊重しようなどと言っている。子供たちに対して何も押しつけようとせず、鍛えようともせずに、自発性に任せ、多少の刺激を与えて放任しておけば個性といったものが生まれると思っている。個性なり人格なりといったものは、自分より圧倒的に強いものと対面し、時には従い、あるいは抵抗するといった経緯を経てしか生まれないものです。少し考えればこんなことは当たり前だとわかるはずなのですが、それがわからない、わかろうとしないのがここ五十年間の日本人でした」と、今の教育を痛烈に批判しています。
 今、世界はグローバルスタンダードで自由な競争の時代に突入をしております。ゴルフではありませんが、いつまでも我が国だけがハンディをくださいとおねだりのできない時代に来ています。そんなとき、今までの教育のあり方では厳しい自由競争の世界で通用する人材を育てるのは困難だと思います。
 西口知事は「二十一世紀の故郷(くに)づくり」をスローガンにしておられますが、先ほどから申し上げているとおり、二十一世紀の人づくりについても大変重要なことだと思います。我が県の将来を担う人材の育成についてどう考えておられるのか、お聞かせを願いたいと思います。
 また、平成九年度の県政に関する世論調査の中で、学校教育について要望が最も多かったのが「しつけや道徳教育に力を入れる」、五三%、二番目は「自主性や創造性を育てる教育に力を入れる」、四五%であったとあります。私の地元和歌山市役所宮連絡所の壁に、だれの言葉かわかりませんが「しつけは親が子にしてやれる最高の遺産」と大書をしてありますし、またアメリカでは、子供のしつけに対しては殊のほか厳しく、親と学校の意見が違ったら親の意見に従いなさいとはっきり教えています。学校が悪い、教育委員会が悪い、社会が悪い、国が悪いと、責任を先送りしないためであります。
 こんなことを考え合わせると、しつけや道徳教育をすべて学校に望むのはいかがなものかと私は思いますが、これら県民の要望を満たすため、また県の将来を担う人材の育成について、何か教育長として具体策を考えておられるのか、お聞かせをください。
 さらに、小学校などの運動会について思うことでありますが、いわゆる徒競走で、私の子供のころは一等にはそれなりの栄誉をたたえる賞品がありました。中身はほんのささいな賞品ですが、二等、三等とは違う賞品でした。私たちは、一等になれなかったときは悔しい思いをして、次には必ず頑張って一等になってやるんだという気持ちがありました。今、一等や四等も同じであります。徒競走はまさに、文字どおり走ることで競争するもの、マスゲームは融和や協調をするものであります。競争するもので一番になった子供の栄誉をたたえるのは、当然のことであります。さらに、最近聞いた話ですが、運動会のリレーチームをつくるときに、本番前にあらかじめ走らせてタイムをはかり、足の速い子と遅い子を組み合わせてどのチームも差のないようにするということを聞いて、あきれてしまいました。私は、こんなことでは個性や創造性を育てる教育ができないと思います。
 さらに、これも私の子供のころの話でありますが、けんかの強い子と勉強のできる子には、ある種の友情というか、心の交流があったように思います。けんかのときは強い子が弱い子をかばい、勉強するときは勉強のできる子ができない子を教えるといったぐあいであります。これは極端な例かしれませんが、絵の上手な子、体操が得意な子、それぞれの才能をお互いに認め合っていたと思います。
 今の子供たちは、均質化、画一化されていて、本当にかわいそうだと思います。このことについて教育長はどう思われますか、またこのようなことを変えてみようとするお気持ちはありませんか、お伺いをしたいと思います。
 次に、雑賀崎沖合の埋立問題についてであります。
 先にお断りを申し上げますが、私は一昨年の九月議会で、和歌山下津港和歌山港区の沖合の埋め立ての問題について質問をいたしました。今議会においてもこの問題について質問をさせていただく予定でありましたが、昨日、長坂議員から同趣旨の質問がありました。大同小異でありますので、ここでは私が今考えていることを述べさせていただき、この計画を推進する立場から県当局に要望したいと考えております。
 さて、開発と保護は永遠のテーマであります。この全く相反する二つのことを止揚することは、あるいは不可能に近いことかもしれません。しかし、それを可能にするのが私たち人間の知恵ではないでしょうか。
 私たちは、古代の人々のように、住んでいるところを汚してしまったらほかの新しいきれいな場所に自由に移り住むことはできません。私たちは、現実に生活をすると同時に、子孫にできる限り住みよい環境を残さなければなりません。英知を集め、創意と工夫を凝らし、自然と調和を図る努力をしなければならないのであります。何百年という長いスパンで眺めての話でありますが、新しく自然をつくらなければならないと言った方がよいかもしれません。
 水面を土地として利用するための埋め立ては、最近では廃棄物の最終処分場として利用されることも多いようで、平地に乏しい我が国では古くから湿地帯、河川、湖沼で埋め立てが行われ、陸地として利用されてきたところであります。
 海面の埋め立ては、最初、船瀬つまり港をつくるときの方法の一つとして用いられたようで、例えば大阪府堺市にあります家原寺には、奈良の大仏で有名な渡来僧行基の大輪田泊──現在の神戸市でありますが──の図が残っているとのことで、それによりますと、人々が海岸を築き、埋め立てを行っている様子がうかがえるそうであります。また、平清盛によって着工された兵庫の経ケ島の築港も、埋め立てをして島をつくり、その島陰を小さい船の錨泊あるいは荷役の場とし、島は上屋、倉庫その他の交易の場として利用されたそうで、江戸時代の長崎県の出島のような例もありますが、本格的に海を埋め立てるようになったのは明治以降であると言われています。
 一般的に申しますと、埋立地は空港やエネルギー備蓄基地は別として、港湾以外にも産業、商業、観光レクリエーション、住宅、公園や緑地、下水あるいは廃棄物の処理場、さらには住宅地にある工場の移転用地など、都市再開発あるいは都市を整備するための代替用地として将来に向かって強い需要が見込まれ、土地の狭い我が国では今後とも埋立事業がどうしても必要であると私は思います。
 さて、一昨年の九月議会、ちょうど衆議院の解散があった九月二十八日、私は和歌山下津港の港湾計画の見直しについてお尋ねをし、紀淡海峡大橋に関連して、産業、商業、居住、レクリエーション、いずれの用途に利用するにしても、和歌山市を単なる通過点にしないためにはベイエリアに広大な利用できる土地を用意する必要があるのではないか、また、私たちが現実に生活を営む限り言えることでありますが、都市や産業の発展にとっては廃棄物の処分は避けて通れない問題で、我が県独自で廃棄物の処分場を確保することは極めて重要な課題であり、それを内陸部に求めることができないのであれば海を埋め立てる以外に方法がないことなどの理由から、和歌山下津港和歌山港区の沖合、できれば水深二十五メートルぐらいまで埋め立ててはどうかと申し上げたところであります。
 また、そのとき、私は質問するに先立って、作家曽野綾子さんの「あとは野となれ」という著書の一部を引用して、西口知事に勇気を持って事に当たっていただきたいとお願いを申し上げました。知事のお答えは、「『修羅場では鬼になる』ということを私の気概として頑張っていきたい」と、こう申されたのであります。
 当時、あるマスコミの方から、私の港湾計画と埋め立ての質問について、衆議院解散の陰に隠れて話題にならなかったが、本当はもっと話題になる問題ですよと言われたことを今、思い起こしています。ある程度反対意見があるのは予想されたことでありますが、港湾計画の見直しによる和歌山下津港和歌山港区の沖合の埋立計画が発表されて以来、反対運動が起こり、雑賀崎沖埋め立て反対運動の記事が新聞紙上をにぎわせております。数日前の新聞報道でありますが、雑賀崎沖埋め立てに関して反対署名十万人を超す、十万人の内訳は、和歌山市内が六万八百人余り、残りは全国各地から集まったそうで、反対する人々は埋め立ての白紙撤回を県に要望したそうであります。地元の雑賀崎地区連合自治会のほかに、名草地区・和歌浦地区両連合自治会も全面的に支援するとのことでありました。
 このように反対の声はよく耳にいたしますが、一方、賛成の声は、わずかに和歌山県商工会議所連合会のほか経済団体九団体により、和歌山県や市に対する要望活動と運輸省、環境庁への要望活動があっただけで、マスコミの論調にもよりますが、どうも反対の声の方が元気がいいように聞こえます。
 実は、私の高校の同級生、しかも友人でもある医者がおりまして、彼もまたこの問題について反対をしており、二、三度、私とこの問題について議論をいたしました。先日も、一緒に食事をしたときに議論をしたばかりであります。結論は出ていませんが、私は話し合いによって一番よい方法や妥協点が見つけられると思っております。また、私の支持者の一人は、私に埋め立てに反対してほしいとのメッセージを私の家内に託したそうであります。ほかにも、私を支持してくださっている方々の中でも反対の意見の方たちがいると思いますので、私が埋め立ての推進を主張することはその方たちの期待を裏切ることになりますが、私は和歌山県の発展と将来のため、私の良心に従って自分の政治信念を貫きたいと思っております。世間では、「永井、少ない票がもっと減るぞ」などという忠告の声もありますし、今、世の中には、一部の人々を除いて、はっきり物を言わない方が得だ、また立場をはっきりさせない方がよいといった風潮が漂っているのではないかと思われるご時世でありますが、私はあえて埋め立てを積極的に推進していただくようお願いをしたいと思います。
 賛成の理由については既に私も申し上げましたし、またいろんな形で今まで出ておりますので、ここでは改めて申し上げる必要はないと思います。しかしながら、和歌山市内では今、建設残土や建築廃材の処分に大変困っていること、それに関連して消防法に違反すると思われる野焼きがふえているといった状況をつけ加えておかなければなりません。
 この埋立計画を推進するには、地元の住民の方々のご意見を十分に反映させること、補償問題、環境問題に配慮するといったことはもちろん申し上げるまでもないことであります。私は、埋め立ての位置や用途の多少の見直しをする、例えば和歌山県に不足していると思われる、若者たちが健康的に遊べる場所をその埋立地につくるといったことも考えてみてはどうかと思いますが、反対運動をしている人たちの一部が主張している計画の白紙撤回についてはするべきでないと考えております。
 私は、この計画の推進については、二十一世紀へ向かって和歌山県を活性化させ、さらに発展させるために不可欠なものであると考えております。県当局におかれては、ぜひこの計画を推進していただくよう強く要望いたします。
 これで、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの永井佑治君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 永井議員にお答えをいたします。
 二十一世紀の人づくりについてのご質問であります。
 議員お話しのように、自分の住む町に、県に誇りを持つことこそが国づくりの第一歩であるということ、私も同感でございまして、知事就任以来、ふるさとに自信と誇りをということを、いろんな機会をとらえ、強く申し上げてきたことであります。
 二十一世紀は、感性や創造性が重視をされ、歴史や文化、自然といった地域固有の資源を見直し、地域と地域が個性を生かし、従来のさまざまな枠を越えて競争する時代であります。本県では「二十一世紀の故郷(くに)づくり」を掲げまして、独自性を生かした競争に打ちかつたくましい地域づくりを進めてございまして、二十一世紀の故郷(くに)づくりの主役はまさに人、県民の皆さんご自身であろうと思っております。
 そのため、人づくりを県政の重要課題として位置づけまして、先般策定をいたしました和歌山県長期総合計画におきましても、四本柱の第一に「心豊かで個性輝くひとづくり」を掲げたところでございます。次代を担うすぐれた人材が育つように、県民一人一人のアイデンティティーの確立を目指して、学校教育も含め、豊かな生涯学習社会の実現に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 永井議員にお答えいたします。
 将来を担う豊かな人間性を身につけた人材の育成のためには、学校、家庭、地域社会が一体となって取り組むことが極めて重要であります。各学校においては、道徳の時間や特別活動などを通して集団生活のルールを習得させるとともに、生命を大切にする心や正義感などの育成に努めているところでございます。
 また、教育委員会では、副読本「ふるさとわかやまの心」を刊行するとともに、清掃活動やあいさつ運動など、地域の人々との触れ合いを深める取り組みを支援してまいりましたが、さらに今年度から、子供たち同士で人間としての生き方を語り合ったり、高齢者との交流、ボランティア活動などを通して他人を思いやる心や奉仕の精神を育成する子どもフォーラムを開催するなど、道徳教育を一層積極的に進めていくことといたしております。
 次に、教育の均質化、画一化の問題についてでありますが、スポーツや芸術など、いろいろな分野で子供の多様な個性を生かし、自己実現を図ることが大切であり、また、この過程において友達と競い合ったり励まし合ったりすることで、向上心や信頼関係がはぐくまれるものと考えております。
 これまでの教育が平等性を重視する余り画一的になってきているとの指摘を重く受けとめ、今後一層、個性を尊重し、創造性を育てる教育を推進する必要があると考えております。こうしたことから、小中学校に現在、チームティーチングや問題解決的な学習を導入するとともに、高等学校で多様な学習内容を選択できる学校間連携を実施するなど、個に応じた教育の充実に努めているところであります。
 今後、将来の厳しい社会に対応できるよう、一人一人の個性をはかり、自己の言動に責任を持つとともに、みずからの力で状況を切り開き、国際社会にたくましく生きていくことのできる人間の育成に向けて努力をしてまいる所存であります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 9番永井佑治君。
○永井佑治君 答弁をいただきました。
 小関教育長の答弁は、まあ、お役所の答弁といいますか、期待外れで残念でありますが、せめて運動会のあり方ぐらいははっきり変えるというようなお答えをいただきたかったと思っております。
 難しいこととは思いますが、これからもどうか、バランスのとれた個性と創造性を伸ばす教育に力を入れていただきますよう強く要望して、私の質問を終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で永井佑治君の質問が終了いたしました。
      ─────────────────────
○議長(木下秀男君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
      ─────────────────────
○議長(木下秀男君) 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
      ─────────────────────
  【日程第三 請願付託】
○議長(木下秀男君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会において受理した請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
      ─────────────────────
○議長(木下秀男君) 次に、お諮りいたします。六月十九日及び六月二十二日は、各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、六月十九日及び六月二十二日は休会とすることに決定いたしました。
 なお、各常任委員会の会場はお手元に配付いたしておりますので、ご了承願います。
 次会は、六月二十三日に再開いたします。
      ─────────────────────
○議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十八分散会

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