平成10年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 議長にお許しをいただきましたので、通告に従い、順次一般質問をさせていただきます。
 まず一番目に、和歌山市内環状鉄道交通についてであります。
 来年春には新和歌山県立医科大学附属病院もオープンされ、その時点では出入り口が国道側と和歌川沿いの二カ所だけであります。ただでさえ渋滞ぎみの国道四十二号線、国体道路はもちろんのこと、周辺の道路に至るまで東西南北から交通量が増加して、最悪の事態にならないものかと憂慮されます。特に、紀三井寺交差点の渋滞たるや想像を絶するものになること確実であります。
 和歌山県においては、平成十年度に国体道路周辺の渋滞対策、機能分担の調査事業を行うと聞いておりますが、和歌山市においても、この予想される交通渋滞に備えて運輸省へも直接陳情に行くなど、自動車交通抑制調査に懸命の努力を払われておるとのことです。また、JR紀三井寺駅から医大病院まで歩いて十五分もかかる距離を考えると、高齢者、身体障害者など社会的弱者、患者の方々には随分酷な話です。JR紀三井寺駅から国体道路までを県の事業、国体道路から新医大の北側をつなぐ道路を市の事業という都市計画道路が予定されておりますが、用地買収にもまだ当分時間がかかる中、何か交通手段がないものでしょうか。さらに、観光客が減少している和歌浦、田野、雑賀崎地区の集客手段として、南海市駅から和歌山港駅を通って水軒まで続く線路を何とか観光地まで延ばしてお客様を呼んでくる手だてがないものでしょうか。
 と考えてくると、南海和歌山市駅とJR和歌山駅を結び、JR和歌山駅からJR紀三井寺駅までのJR線を利用、JR紀三井寺駅から用地買収をほとんど伴わない形で公の道路下を利用して、トンネルで新医大病院のところに新医大駅、国道四十二号線と芦辺通り、すなわち県道新和歌浦線の交わるあたりに和歌山東駅、そして新和歌浦駅、雑賀崎駅、最後に水軒駅へとつなぎ、水軒駅から南海市駅まで既設線路を使用する、左回り、右回りの二車線の環状鉄道が代替交通手段として非常に有効に機能するのではないかと提言いたします。
 和歌山駅から紀三井寺駅まで四・七キロ、和歌山駅から和歌山市駅まで三・一キロ、市駅から和歌山港駅まで二・八キロ、和歌山港駅から水軒駅まで二・六キロ、合計十三・二キロ、そして水軒駅から紀三井寺駅までの新線が約四キロメートルと概算されます。合わせて十七・二キロから多くて二十キロメートルでありまして、一周三十分からせいぜい四十五分の環状線であります。
 紀三井寺への参拝客もかなり見込まれておりまして、シーズンには駐車場探しも大変であります。また片男波海水浴場についても、実は近畿最大の海水浴場として県外の人にも大変人気のあるところでありますが、七百台の駐車場スペースしかありません。神奈川県の有数の海水浴場江ノ島海岸では、小田急の江ノ電が自動車の渋滞をある程度緩和させる役割を果たしてくれていることを考えれば、この環状鉄道も大きな役割を果たしてくれるに違いありません。
 JR線、南海線、和歌山臨港線という異なった経営主体に新線が加わるという複合路線になって、線路、電圧、運賃、若干の用地買収、何両編成にするかといった問題は生じてきますが、将来の、いやごく近い将来の深刻な交通問題の大きな補強策になるものと信じております。それに伴って、従来のバス路線についても市内環状バスの走行も有効になってくるのではないでしょうか。そして、この環状鉄道線が実現すれば、将来的に関空から直通で雑賀崎、新和歌浦へ観光客が訪れられるような線も考えていけます。また水軒駅は、将来、和歌山下津港の港湾機能が充実し、工業団地もにぎわいを見せてくれば、通勤客に大いに利用されることになるでしょう。大きなイベントが開催される和歌山ビッグホエールの有効な活用のためにもJR宮前駅がクローズアップされてきますし、この駅のリニューアル、和歌山ビッグホエールへの近道歩道整備も附帯的に進める必要がありましょう。
 この環状鉄道建設費用でありますが、大手建設会社の研究所の試算で、片側一車線の二車線道路トンネルのシールド工事が一メートル当たりおおむね二百万円から三百万円でありますから、鉄道トンネルではこれに架線、駅舎等が加算されますので、一メートル当たりおおむね二百五十万円から三百五十万円と考えられます。今回の環状線は全長が約四キロメートルでありますので、超概算で約百二十億円から百五十億円という建設費が試算されることになります。トンネル掘削工事によって、一メートル当たり百立方メートルとして、合わせて約四十万立方メートルの土砂が発生いたします。この土砂を至近距離にある和歌山下津港本港沖地区の埋立土砂の一部として充てれば、当鉄道事業の一つの財源の確保にもなります。約二十億円、いやそれ以上の財源が概算で生み出されるとのことであります。第三セクター方式によって、県、市、JR、南海それぞれのご負担もいただけるならば決して法外な夢物語ではないと思うのですが、いかがでしょうか。ぜひ検討いただきたいと思います。
 二番目に、和歌山市雑賀崎についてであります。
 去る五月二十日水曜日の午後、私は雑賀崎漁港から地元の漁船へ乗せていただきまして、雑賀崎沖に連なる大島、中ノ島、双子島の島々を海上から観賞する機会をちょうだいし、夕日に映える景観を眺めてまいりました。大島には船を着けていただき、途中まで小高い丘を登ったり、岩場を歩いてまいりました。
 聞くところによりますと、昭和三十年代には島への渡船観光もあって、茶店も開かれていたとのことでありました。船着き場から島に登りやすいように階段状に整備もされており、上に上がるための通路跡も見ることができました。しかし、雑草が繁茂し、とても頂上を制覇できるような状況ではありませんでした。岩場を歩きますと、食用に供する海藻類が付着し、潜ればアワビ、イセエビもとれるとお話をいただきました。
 大島を出て、今回の埋立計画の線引きがなされている大島の北百五十メートルから二百メートルのところへ船をとめていただいて島を眺めてみましたが、水軒一文字波止際から千五百メートルの沖出しの港湾関連用地がもしできるとなると、まさにインパクトは強烈であります。現実に、潮流はせきとめられた形になりますし、海から見ても、だれの目から見ても余りに島から近づき過ぎており、もし大島から逆にこのたびの計画用地を眺めたならば、人工建造物の威容に圧倒されるのではないかと感じました。
 そこから、双子島、中ノ島の方へ移動すると、いかにも潮の流れのよい好漁場のように感じましたし、魚群探知機にもよい反応が出ておりました。さすがに沖から見ると、島の向こうに見える青石の雑賀崎の海岸伝いは絶景でありました。また、ことし二月に地元住民によって確認された台場の鼻も、昨今の大雨等でがけ部分が随分崩れていたことをここで報告しておきます。
 お客様の人数次第で、今でも新和歌浦から雑賀崎沖を回る遊覧船も出るということですが、ぜひ和歌山市、地元の観光組合、旅館組合の方々ともご協議いただいて、片男波、新和歌浦、田の浦、そして雑賀崎を含めた陸からも海からも楽しめる周遊観光が実現できるよう、地元関係者の方々の熱意の高まりを期待するものであります。これこそ観光立県和歌山県の求めている心の豊かさを実感できる観光のあり方ではないでしょうか。
 さて、平成十年四月二十二日、県は、和歌山下津港本港沖地区景観検討委員会の委員を発表し、景観、環境工学を専門とする大学教授、助教授七人が委員に指名されました。去る五月九日には第一回の検討委員会が開催されました。この中で、概算事業費が数百億円、雑賀崎、和歌浦周辺が自然環境ゾーンとして位置づけられていないことへの疑義が示されました。また、案の段階で公表しなかったことが混乱の原因であり、行政手続の進め方が十年おくれているとの批判、眺望を基準にしてどこまで埋め立てが許されるか検討すべき、埋立地ができることで海側から雑賀崎を眺める新たな視点が生まれる、市民が万葉時代をしのぶことのできる方法を考えた方がいいとの意見も出ました。
 さらに五月十八日、計画に反対する八団体と推進派の一団体から検討委員会の意見聴取が行われました。広く各種団体から公に意見を聴取する機会が、遅過ぎる感は否めないにせよ持たれたことは、有意義であったと思います。その中で、雑賀崎地先金属機械工業団地の造成事業計画に約束された緑地がいまだ手つかずの状態になっているという指摘がありました。これも、今回の反対運動の大きな原因になっているとしか思えません。だから、このたびの港湾関連埋立用地につくられる緑地帯にしても、どうにも説得力に欠ける気がしてならないわけであります。
 反対意見の中にも、県として傾聴すべき点がかなり指摘されたと思います。埋立地の場所、線引き、そして視点場の設定、潮の流れ、現景観から受ける開放感等々。そして去る六月十三日の検討委員会では、番所の鼻から大島を結んだ線から北方に最大二十度の範囲の景観の眺望の確保、それによって埋立地と雑賀崎の間を五百から一千メートル引き離すという具体案が掲示され、それを受けて県港湾課の計画見直しと早期の地方港湾審議会での議論の必要性を認めるコメントが十四日の毎日新聞等各紙朝刊で掲載されておりました。このことは、昨年十一月二十八日の中港審における環境庁意見の趣旨にも合致するものとして、かなり尊重されるべき具体性を帯びた意見が出てきたと私は評価いたします。
 陸上交通網の整備と同時進行で、海上交通、交易の重要拠点として和歌山下津港を真の特定重要港湾として整備していくことが、二十年、三十年後の和歌山県の発展にとって、また近畿圏の災害に対するリスク分散にとってなくてはならないものであるからこそ、今までの行政主導で行われてきた議論の空白を埋めるくらい貴重なる各界の意見を最大限に真摯に受けとめ、検討委員会で幅広い意見を聴取検討した上で、九月までには一つの結論を出して、後顧の憂いなく、再び来るべき中港審に臨んでいただきたいと思います。
 私自身は、以前より親しんできた番所の鼻から加太、友ケ島、淡路島と万葉の歴史をしのばせる視界が確保できる範囲での本港沖地区での港湾建設はやむなしと思っております。また、大水深のある北港沖地区に外貿機能を拡充させることも、やはり必要だと思っております。
 そこで質問に入りますが、一、現時点で雑賀崎地先の金属機械工業団地の緑地はいつ着工、完成を予定されておりますか。
 二、去る十三日の検討委員会では具体性を帯びた意見も出てきました。西口知事も去る四月九日の記者会見で、景観の検討会を設置して、計画の見直しがあった場合には再度港湾審議会に諮るという基本方針を明らかにされました。今後、ことしじゅうに景観検討委員会をどういった内容で開催し、いかに本港沖地区埋立計画に反映させながら取りまとめていくおつもりですか。
 三番目に、浸水、洪水対策、和田川支流域、亀の川下流域について質問させていただきます。
 ことしも五月中旬より降雨量が多くなり、各地で浸水被害が見受けられました。去る五月十六日土曜日の雨で和歌山工業高校前の交差点にも夜間水があふれ、五十センチほどたまった中を自動車で移動したものです。翌日以降、和歌山市内各所から苦情を訴えるお話をいただいたわけでありますが、今回は、以前より特に要望の多かった和田川支流域と亀の川以南域に絞って質問いたしたいと思います。
 雨水による浸水防除のためには下水道の整備は最も緊急を要するものであります。和歌山市も、公共下水道の設置、管理に常日ごろご尽力をいただいているわけであります。近年、急速な市街化の進展に伴い、緑地、空き地が減少し、道路、宅地が増加したため、雨水の浸透が少なくなり、短時間に大量の雨水が流出するようになってきております。このような状況に対処するためには、単に下水管や側溝を通して下流河川へ雨水を排除するだけでなくて、雨水貯留施設や雨水地下浸透施設を設けることにより雨水流出量を低下させるような雨水流出抑制を考える必要も出てくるでしょう。
 和田川の支流になる山東地区を流れる平尾川、永山川、そして和田川上流域の平尾地区や口須佐地区においても、県道まで水がつくことが少なくありません。和歌山市においても、今年度より和田川と上記支流合流点から東へ六百三十メートル区間の河川改修事業に取り組んでおられます。その南の和田川上流域においても県で対応していただいておるわけであります。また、東池へ流れる境原、頭陀寺地区を通る境原用水の改修についても市の事業として進めていただいております。しかしながら、和田川は潮の干満に大きく左右される川でありまして、支流域の改修あるいは和田川自体の河川の拡幅や河床を掘り下げるような改修では到底抜本的解決にはならないのが現実であります。和田川は、国体道路の和田川橋、三葛橋付近、すなわちダイエー和歌山店南側で中津川とともに和歌川と合流するわけでありますが、この合流地点付近に大雨量に対応できる大ポンプ場を建設できないものでしょうか。これは、和歌山市にとどまらず、和歌山県の浸水防除対策として考えていただきたいわけであります。
 次に亀の川下流域でありますが、川の以南部は土地が低く、浸水の被害をよく耳にする地域であります。亀の川は川幅も狭く、川の容量も小さいので、大降雨時には洪水を引き起こす危険のある河川です。すなわち、大量の雨水が短時間に集中して流れる河川であり、外水災害をもたらすものであります。河口手前には国道四十二号線との交差部分もあり、本格的な河川改修が進んでいない状況です。住民の生活を脅かすような大災害を起こさないように、早期の亀の川の改修をお願いいたしたいと思います。土木部長の前向きな答弁をお願いいたします。
 四番目、和歌山県動物愛護センターについてであります。
 動物保護管理行政と動物愛護推進、並びに人と動物が共生する社会づくりのための中核機関として、平成八年度より五年計画で海草郡野上町国木原西野地内において、自治省のふるさとづくり事業の指定を受け、和歌山県動物愛護センターの建設事業が行われております。取りつけ道路、造成事業、建物その他で総額五十余億円の事業と聞いております。動物との触れ合いを通じた精神的な豊かさを追求するものとして我が県にも建設されることは、動物を愛する者の一人として喜ばしいことであります。
 建設に当たって、以下のことを要望かたがた質問申し上げます。
 一、公園を含めた用地面積が九万五千平方メートルと聞いております。また、進入道路が野上町のご協力により一キロメートル半に及ぶ七メートル幅の町道に拡幅していただけるとか。野上町という山あり川ありの大自然に恵まれた中、完成後は和歌山県内外の人々の観光、憩いの場所になるように、梅なら一千本ぐらい植えられるスペースがあるということですが、花の咲き乱れるような公園であってほしいと思います。その点、どのような計画を立てておられますか。
 二、手足の不自由な方々でも車いす等で自由に中を見られる施設であってほしいと思います。身体障害者への配慮はいかがなものですか。
 三、和歌山県獣医師会では、平成八年より学校動物委員会をつくって、学童と動物の触れ合い運動を展開されております。毎月、獣医さんが動物通信をつくってくださって、和歌山市教育委員会から市内七十四カ所の幼稚園、小学校に配布されていると聞いております。そして、学校からの要請があり次第、直接の指導に行ってくれております。ことし二月には、横山ノック大阪府知事がこの活動を聞きつけて、和歌山県へ大阪府教育委員会が学習に駆けつけたと聞いております。動物との触れ合いを通じて児童に及ぼす心の教育効果ははかり知れないものがあると思います。当センターにおける学童と動物のかかわり体験について、動物の飼い方の実習等、具体的な内容をお示しください。
 四、動物の焼却施設についてでありますが、従来はほとんど一般ごみと一緒に市町村の施設で焼却されておりました。このたびのセンターにおいては、全県下をカバーする動物の焼却処分が行われる施設もつくられると聞いております。平成四年にオープンした滋賀県の施設は二・五ヘクタールしかなくて、焼却炉が管理事務所のすぐ裏にあると聞いております。動物と触れ合うことを楽しみに来る子供たちの情操教育上の見地からも、焼却施設の場所選定には最大限の注意を払っていただきたいと思いますが、いかがですか。
 五、動物を焼却した後、何らかの供養は動物愛護の精神からも必要不可欠でありましょう。茨城県や栃木県における施設においても好評と聞いております。和歌山県動物愛護センターにおいては、動物たちの供養についてどのように対処なさるおつもりですか。
 六、阪神・淡路大震災時、被災動物の救護のボランティア活動が積極的に行われたと聞いております。本年二月一日には、神戸市で大震災時の犬、猫二千匹の供養がしめやかに行われました。その際に問題になったのは、昭和四十八年十月一日に公布された動物の保護及び管理に関する法律であります。第三条には九月二十日から二十六日までの動物愛護週間についてうたわれておりますが、第一項に「ひろく国民の間に動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深めるようにするため、動物愛護週間を設ける」とありますが、この中に子供と動物との触れ合いを盛り込むべきではないかということであります。今日、子供の道徳、情操教育が大きく問われる中、時代にふさわしいものにすべく、この法律を二十一世紀に向けて一部改正すべきときに来ているのではないでしょうか。総理府、厚生省、文部省においても賛成の声が上がり始めていると聞きます。和歌山県でも、毎年、動物愛護週間に行事が行われており、ことしは九月二十日に和歌山市内でとり行われるそうであります。県におかれても、当センターの完成に合わせた国への要望等働きかけていただきたいと思いますが、いかがですか。
 最後に、環境調和型町づくり計画(エコタウン事業)について質問させていただきます。
 和歌山県に限らず地方自治体においては、年々増加する廃棄物に対して、既存の処理施設及び処分場では対応し切れず、さまざまな社会的問題を引き起こしております。ところが、新たな施設の建設及び他の自治体からの廃棄物の受け入れは困難な状況となっておりまして、ごみの減量化とリサイクルへの対応が急務であります。また、環境保全に関するコストの最小化を図っていかなければなりません。
 そこで通産省では、リサイクル政策でのパートナーである厚生省と連携してゼロ・エミッション構想、すなわちある産業から出るすべての廃棄物を他の分野の原材料として活用し、あらゆる廃棄物をゼロにして新しい資源循環型の産業社会の形成を目指す構想のもとに、平成九年度よりエコタウン事業を創設しました。その目的は、一、個々の地域におけるこれまでの産業蓄積を生かした環境産業の振興を通じた地域振興、二、地域における資源循環型社会の構築を目指した産業、公共部門、消費者を包含した総合的な環境調和型システムの構築であります。具体的には、それぞれの地域の特性に応じて都道府県または政令指定都市が作成したプランについて承認を受けた場合、当該プランに基づき実施される事業について、地方公共団体及び民間団体について補助率二分の一で総合的、多面的な支援が実施されるのであります。ハード面だけでなくソフト面においても、環境関連の調査事業、講習会の実施などにも補助がおりるわけであり、和歌山県としても迅速なる対応が必要なのではないでしょうか。
 例えば、新潟県上越市が一九九六年、国際標準化機構(ISO)により制定されたISO一四〇〇一という国際環境管理・監査規格を自治体で初めて申請し、のびやかJプランとして省エネ・リサイクル型都市(エコシティ)基本構想なるものを掲げて、環境に優しい町づくりに積極的に取り組んでおられます。ISO一四〇〇一という国際標準を地方公共団体の環境行政に導入して、さらに第三者機関のチェックを受けることで市民への情報開示の推進と行政の透明性を高めるねらいがあり、民間企業にも取得を促していくというところに大きな意義が見出されるものであります。
 和歌山県も、新エネルギービジョンが平成九年三月に策定されておりますが、新エネルギー導入を推し進めるに当たっても、ぜひ国際規格導入について検討いただいてもよい時期に来ているのではないでしょうか。
 また、本年一月二十四日から二十五日に、和歌山ビッグホエールで第十回農業情報ネットワーク全国大会が開催されておりまして、私も知人の誘いで見学に行ってまいりました。そこで目にとまったのが生ごみの高速発酵処理システムでありました。生ごみを機械に入れて、発酵という微生物のエネルギーを利用し、減容減量化をして飼料や有機肥料といった付加価値の高い商品を生み出すものであります。
 実用例として、千葉県庁や東京都港区区役所の残飯処理とその後住民への無料配布、パレスホテルの岩槻工場で鳥がらを飼料に変えたり、東京都北区の小中学校では給食の生ごみを給食用無農薬野菜肥料に変え、あるいはギョウザの王将の一部の店で生ごみを客の持ち帰り用有機肥料にしたり、枚挙にいとまがありません。この有機肥料を利用した有機農法によって、ひいては生ごみを減らすことができるのです。
 ごみ処理の基本は、まずその発生を抑制するとともに、発生したものは最大限再資源化することであります。設置に当たっては、生ごみ処理システムに限らず、リサイクル関連で農林水産省、厚生省、文部省等の補助率二分の一といった補助事業もあります。ぜひご一考をいただきたい。
 先月通産省は、平成十年度補正で環境・新エネルギー分野における社会資本の重点的整備を呼びかけております。地球温暖化問題、廃棄物、リサイクル問題等、時代のニーズは刻々と変化してきております。環境問題というものは、住民も企業も、そして行政も一体となって取り組むことが何よりも大切でありましょう。和歌山県としてのエコタウン事業への今後の取り組みについてお聞かせください。
 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴、まことにありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○企画部長(中村協二君) 長坂議員にお答えをいたします。
 和歌山市内の環状鉄道交通についてでございますが、議員ご指摘のとおり、国道四十二号国体道路周辺の渋滞あるいは海水浴シーズンにおける和歌浦周辺の渋滞は、県としましても深刻な問題と受けとめており、国、県、和歌山市などの道路交通行政と鉄道、バスなどの公共交通機関が一体となって、現在その解消に向けて取り組んでいるところでございます。
 議員ご提案の和歌山市内環状鉄道構想につきましては、和歌山市内の総合交通体系の将来的なビジョンの一つとして研究させていただきたいと存じます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 長坂議員のご質問にお答えいたします。
 まず、和歌山市雑賀崎についてのうち金属機械工業団地の緑地についてでございますけれども、この四ヘクタールの緑地につきましては、昨年の台風七号、九号によりその前面の護岸が越波を受けたため、その対策として消波ブロックを設置する必要があり、その結果として植栽等の着工がおくれておりました。今後できるだけ早期に着工し、おおむね三年間で緑地整備を完成させる予定としております。
 次に、景観検討委員会の今後についてのご質問でございますけれども、和歌山下津港本港沖地区の景観問題につきましては、昨年十一月、国の港湾審議会での意見を受けまして、現在、和歌山下津港本港沖地区景観検討委員会を設け、環境や景観に対し見識の深い専門家の方々にご検討いただいているところでございます。これまで二回の委員会を開催するとともに、地元の方々等の意見を委員会メンバーにお聞きいただく場を設けるなどして検討を進めてきたところでございます。また、六月十三日の委員会で伺った景観上配慮すべき事項についての意見を踏まえ、港湾機能面も含めた検討を鋭意行っているところでございます。
 今後、地方港湾審議会へ報告し、意見を聞くとともに、景観検討委員会では景観計画の検討、修景計画の検討等について段階的に検討を進め、地元の方々の意見も聞きながら、港湾計画の見直しについて柔軟に対応してまいりたいと考えております。
 次に、浸水、洪水対策に関するご質問についてお答えいたします。
 まず和田川の河川改修計画でございますけれども、流域の山地や平野に降った雨を安全に和田川を通じて海に流下させる、また高潮から農地や市街地を防御する、この二つの目的のために沿川の低平地では堤防を計画的に築くこととしております。また、洪水時に生じる低平地の内水につきましては、下水道事業や湛水防除事業によりポンプ施設を用いて強制的に和田川に排水することとしておりまして、毎秒二百六十立方メートル──二百六十トンですけれども──を和歌川を通じて和歌浦湾に流下させる計画としております。
 議員の、大規模なポンプ場を建設することにより沿川の低平地の内水排除を図るというご提案ですけれども、このようにするためには洪水時の和田川の水位を沿川の低平地の地盤高より低くしておく必要があります。しかし、このためには和田川の川底を現計画以上にかなり深く掘り下げなければなりませんが、これは極めて大規模な工事となります。また、このように掘り下げますと、平常時においては海水が和田川を今以上にさかのぼることになるため、農業用水や地下水など利水面の支障や生態系等、環境面での影響もはかり知れません。さらに、このように深く掘り下げられた場合、和田川を流れる水をスムーズに流下させるためには、あわせて和歌川合流点から和歌浦湾にかけての区間についても深く掘り下げなければならなくなりますが、これまた極めて大規模な工事になります。これらのことから、実施するには相当な困難が予想されます。
 以上のことから、事業の実施可能性、合理性から見て、現計画に基づき和田川の改修を進めていくことが最も妥当と考えられますので、今後とも和歌山市や関係部局と連携を図り、現計画により浸水対策を講じてまいりたいと考えてございます。
 次に亀の川改修についてでございますが、河口から県道岩出海南線の紺屋橋までの四千八百メートル間のうち、羽鳥橋までの延長千六百七十メートルの改修を図るため、川幅の拡大に伴う用地買収を進めておりまして、特に河口から国道四十二号御里橋間、延長四百メートルの用地取得を地元の協力を得て強力に推進しているところでございます。さらに、ネック部となっている国道四十二号御里橋の改築を行うため、現在、管理者である建設省と協議を行っているところです。
 今後も引き続き、用地買収等、地権者、地元の皆様のご協力を得ながら、亀の川改修の早期完成に向けてさらに努力してまいります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 長坂議員ご質問の、和歌山県動物愛護センターについての六項目に対しましてお答え申し上げます。
 まず一番目の、公園としてどうかということであります。
 動物愛護センターは、人間と動物が共生する潤いある社会づくりを目指していくための動物保護管理行政の中核機関でありますが、周辺の自然環境を生かし、幼児から高齢者までの幅広い県民が動物との触れ合い体験ができ、また休養やレクリエーション活動のできる花や木を植栽した緑地公園など、一日楽しく遊び、学べる県民の憩いの場として身近で自由に利用できる施設にしてまいりたいと考えてございます。
 二番目の、身体障害者への配慮というご質問であります。
 体に障害のある方々への配慮についてでございますが、県福祉のまちづくり条例に基づいた優しい施設計画を進めております。具体的には、階段等の段差をなくし、来館者の出入り口には自動ドアを採用し、駐車場、トイレ、受付カウンター並びに啓発機器等の構造につきましても、車いす等で利用できるように設計を進めており、だれでも気軽に訪れることのできるように考えております。
 三番目の、学童と動物のかかわり体験についてでございます。
 動物に興味を持ってもらうために、世界各地で人間とともに活躍している動物たちの様子や人間と動物たちの寿命の違いなど、グラフィックパネルや映像を通して関心を高め、より身近な問題として興味を持っていただき、しつけの重要性、動物との接し方を学んでもらえる展示を計画中であります。
 なお実習計画につきましても、一日飼育体験やしつけ方教室など、実際に動物と楽しく触れ合うことにより、コミュニケーションや生命のとうとさ、人間と動物との共生について関心を持ってもらえるような内容を考えてございます。
 四番目の、動物の焼却施設についてであります。
 焼却施設につきましては、子供の情操教育上、並びに景観上の見地から、一般利用者の立ち入りが少なく、動線計画の上からも敷地の奥の方に配置するなど、情操教育上の配慮に努めてまいりたいと考えております。
 五番目の、供養についてでございます。
 動物の供養につきましては必要と考えておりますので、全体計画の中で緑地公園等とマッチしたシンボル的なものを計画中でございます。
 最後に、動物保護管理に関する法律についてでございます。
 この法律を改正しようとする動きがあることは承知いたしております。その中には、青少年の健全育成の一環として動物を活用した情操教育の推進が含まれていると伺っております。県といたしましても、実現に向け、国に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 環境調和型町づくり計画(エコタウン事業)についてお答えいたします。
 我が国経済が持続的に成長するためには、大量生産、消費、廃棄という従来型の経済活動の仕組みから、環境と共生した新たな経済社会を構築していくことが重要な課題であると認識しております。
 このような中、平成九年度に通商産業省が創設したエコタウン事業につきましては、本年五月、新たに厚生省と通商産業省の連名で計画策定要領及び承認基準等が示されたところであります。商工労働部といたしましても、今年度において県内企業のリサイクル、省資源化推進のための調査を行っているところでございますが、今後、エコタウン事業への取り組みについて、市町村及び関係機関と協議しながら検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番長坂隆司君。
○長坂隆司君 交通対策なんですけれども、医大病院ができたら紀三井寺周辺の交通渋滞は大変なものになると思います。本当に真剣に取り組んでいただきたいと要望しておきます。
 それと、和歌山県動物愛護センターについて一つだけ申しておきます。
 例えば、茨城県の場合、茨城県動物指導センターが開設されておりまして、動物行政一元化に伴い、当県ではセンターに隣接した場所に約一ヘクタールの用地を確保されて、茨城県獣医師会がペット霊園というものを設置しております。業者に委託して、遺体の取り扱いから、火葬、納骨堂をそろえて、春秋の彼岸には合同慰霊祭をとり行って供養をいたしております。
 今後の課題として、せっかくの日本一の動物愛護センターなんですから、本県におかれても動物たちの供養について十分に考慮していただきたいと要望しておきます。
 終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
      ─────────────────────
○議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十一分散会

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