平成10年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程   第四号   平成十年六月十七日(水曜日)
                午前十時開議
  第一 議案第八十二号から議案第百四号まで、及び報第一号から報第三号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第八十二号から議案第百四号まで、及び報第一号から報第三号まで(質疑)
   二 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
     1  番    大    沢    広太郎
     2  番    木    下    善    之
     3  番    小    川         武
     4  番    吉    井    和    視
     5  番    下    川    俊    樹
     6  番    井    出    益    弘
     7  番    藁    科    義    清
     8  番    門         三佐博
     9  番    永    井    佑    治
     10  番    新    島         雄
     11  番    向    井    嘉久藏
     12  番    佐    田    頴    一
     13  番    和    田    正    一
     14  番    阪    部    菊    雄
     15  番    西    本    長    弘
     16  番    馬    頭    哲    弥
     17  番    谷         洋    一
     18  番    山    下    直    也
     19  番    高    瀬    勝    助
     20  番    松    本    泰    造
     21  番    堀    本    隆    男
     22  番    宇治田    栄    蔵
     23  番    宗         正    彦
     24  番    橋    本         進
     25  番    神    出    政    巳
     26  番    玉    置    公    良
     27  番    上    野    哲    弘
     28  番    東    山    昭    久
     29  番    尾    崎    要    二
     30  番    野見山         海
     31  番    木    下    秀    男
     32  番    町    田         亘
     33  番    中    山         豊
     34  番    井    谷         勲
     35  番    鶴    田    至    弘
     36  番    森         正    樹
     37  番    村    岡    キミ子
     38  番    新    田    和    弘
     39  番    平    越    孝    哉
     40  番    森    本    明    雄
     41  番    長    坂    隆    司
     42  番    冨    安    民    浩
     43  番    飯    田    敬    文
     44  番    中    村    裕    一
     45  番    松    本    貞    次
     46  番    大    江    康    弘
     47  番    和    田    正    人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
     知 事     西    口         勇
     副知事     山    下         茂
     出納長     高    瀬    芳    彦
     知事公室長   中    山    次    郎
     総務部長    藤    谷    茂    樹
     企画部長    中    村    協    二
     生活文化部長  大    井         光
     福祉保健部長  小    西         悟
     商工労働部長  上    山    義    彦
     農林水産部長  尾    崎    武    久
     土木部長    長    沢    小太郎
     企業局長    西    浦    昭    人
     教育委員会委員長
             山    本         昭
     教育長     小    関    洋    治
     公安委員会委員 中    尾    公    彦
     警察本部長   米    田         壯
     人事委員会委員長
             若    林    弘    澄
     代表監査委員  宮    市    武    彦
     選挙管理委員会委員長
             谷    口    庄    一
     以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
     事務局長    新    谷    哲    朗
     次  長    前         晴    夫
     議事課長    佐    竹    欣    司
     議事課副課長  北垣内         敬
     議事班長    松    谷    秋    男
     議事課主査   川    崎    良    雄
     議事課主事   安    井    伸    彰
     総務課長    西    野    光    彦
     調査課長    湯    川         忠
 (速記担当者)
     議事課主任   吉    川    欽    二
     議事課主査   鎌    田         繁
     議事課主査   中    尾    祐    一
     議事課速記技師 保    田    良    春
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  午前十時一分開議
○副議長(阪部菊雄君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第八十二号から議案第百四号まで、及び報第一号から報第三号まで】
  【日程第二 一般質問】
○副議長(阪部菊雄君) 日程第一、議案第八十二号から議案第百四号まで、及び地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号から報第三号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 36番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 皆さん、おはようございます。
 ただいま議長からお許しをいただきましたので、通告に従って質問を行います。
 地方分権が議論されてもう久しくなりますが、その歩みは遅々として進まず、地方主権の確立を願う者にとっては切歯扼腕の日々でございます。ただ、まことに緩やかではありますけれども、確実にその方向に向かいつつあることもまた事実であり、この流れに一点の光明を見出しつつ、私たち関係者は二十一世紀のために、次の世代の人々のために地方主権の確立のための努力を惜しんではならないと思います。
 ところで、国会を初めとして、各方面において首都機能移転の問題が取り上げられております。現に国会等移転調査会の報告では、移転の時期の目標として「世紀を画する年までに建設を開始」とうたっているのであります。ここで言う「世紀を画する年」とは、まさか二一〇一年の、百年先のことではないと存じます。すなわち、ここ数年の間に、国会等の首都機能を移転し建設を開始できるよう、用地買収や条件整備を早急に進めなければならないところまで来ているのであります。
 我が国における巨大プロジェクトの場合、用地買収と移転補償、損害補償に莫大な費用と長い期間を要し、当初の計画が大幅におくれるのが常識のようになってしまっているのであります。国会等移転調査会がリストアップしている北東地域、東海地域、三重・畿央地域の三つの候補地も、広さという点では申し分のないところではございますが、仮に首都機能移転用地と決まってからが大変で、用地買収やさまざまな補償がすべて解決するのに果たして何年、いや何十年かかるのか、だれも予測すらできないというのが我が国の実情ではないでしょうか。
 ところで、戦後、我が国が急激な経済成長を遂げる中、政治、経済等、あらゆる機能が過度に東京に一極集中した結果、さまざまな弊害やひずみを生んでしまいました。この首都へのあらゆる機能の一極集中というのはアジアに極めて特徴的な傾向でございますが、それはさておき、このことへの反省から、今、我が国は首都機能の分散・移転が迫られているのであります。
 そんな折、西口知事も参加されて、先般、すばるサミットが開催されました。別名「関西サミット」とも称されていたようでありますが、関西二府七県三政令市のトップと関西経済五団体のトップが一堂に会して開かれたこのサミットの開催に至る経緯は、平成九年五月、新宮康男住友金属会長が関西経済連合会の会長に就任されたとき、関西の広域連携を呼びかけたことを受けて関経連内に関西広域連携委員会が設置されたことがきっかけとなったと聞いております。その後、同年六月、近畿二府七県三政令市で構成する近畿開発促進協議会が広域連携の検討に取り組むことに合意。同十月、広域連携をテーマにすばるフォーラムが開催されました。そして本年二月には、関西財界セミナーで近畿二府七県三政令市と関西広域連携組織を設立することについて合意がなされ、事務レベル等での準備や意見調整が進められ、五月七日のすばるサミットの開催に至ったのであります。
 ところで、このすばるサミットの席上で西口知事は、「オリンピックの誘致や紀淡連絡道路の建設など、二十一世紀に向けて夢のある計画の実現を目指すことが関西全体の浮上にもつながる。和歌山の役割は、物流などの都市機能とともに、歴史・文化・自然を生かした観光リゾート機能をさらに充実させることであると考えており、来年には南紀熊野体験博を開催する。これまでも三重県、奈良県との三県による半島サミットや、今年は大阪の南の地域と和歌山の北の地域による紀泉フォーラムを開催するが、こうした府県境を越えた取り組みが今後ますます重要になってくる」と発言されております。
 今後、仮称のとれた関西協議会が、「関西は一つ」を合い言葉に、それぞれの個性、特質を生かしつつ、関西復権のために共同歩調をとっていくことが確認されました。私は、関西九府県の官民が一体となって、府県や地域といった狭量なエゴや確執を捨て、「関西は一つ」という共通認識のもと一致団結して関西復権に共同で取り組むことはすばらしいことだと思います。そして、そうすることが、ひいては関西のそれぞれの府県や地域が発展していく近道でもあると言えるのではないでしょうか。
 そこで、以上幾つか申し上げた点を踏まえて、和歌山県勢の発展のために、そして関西の復権のために一つの提案を申し上げたい。それは、大阪空港を廃止して、その跡地に首都機能を移転させることであります。ただし、その条件として、一、関西国際空港の全体構想の実現を前倒しして促進し、アジアのハブ空港としての地位の確立を図る、二、大阪湾ベイエリア構想と紀淡海峡大橋構想等の実現による関西全体の交通網の整備促進を図る、三、テクノスーパーライナーの実現を見据え、関西全体の海の玄関として和歌山下津港をTSL基地と位置づけ、関連施設の整備や交通アクセスの整備を促進することを関西全体の取り組むべきテーマとして認知されるよう、明年開かれる関西協議会において西口知事の口から提言し、あわせて各方面にも働きかけていただきたいのであります。
 大阪空港は三百十七ヘクタール、周辺整備機構等が所有している空港周辺の移転跡地八十四ヘクタールを合わせると、計四百一ヘクタールであります。一方、私の試算によれば、東京永田町霞ケ関に分布する首都機能は、国会議事堂、衆参両院議員会館、首相官邸、国立国会図書館を初め、大蔵省、外務省、法務省など各省庁はもちろん、最高裁判所などまで含めて、ほぼ百ヘクタールの中におさまっているのであります。国会等移転調査会の報告の中でも、首都機能の移転で発生する跡地を、関連施設等を含めて最大二百十ヘクタールとしているのであります。
 ところで、同調査会は移転先候補地の選定基準として、一、東京からの距離が鉄道で一、二時間のおおむね六十キロメートルから三百キロメートル程度の範囲であること、二、広大な用地の迅速かつ円滑な取得が可能な地域で第一段階だけで約二千ヘクタールの土地、三、政令指定都市級の大都市からは十分な距離を保つなどの東京中心の発想や実現困難な選定基準を挙げておりますが、そのほかに、一、国内各地からのアクセスに極めて大きな不均衡が生じない場所、二、欧米主要各国の元首専用機等が発着可能な滑走路を有し、四十分程度以内で到達可能、三、災害により都市活動に著しい支障を生じないよう十分配慮、四、極端に標高の高い山岳部や急峻な地形の多い場所は避けるといった条件を挙げているのであります。
 大阪空港跡地はこれらの選定基準に照らしてみてもぴったりであり、我が国の場合、巨大プロジェクトを実施するとき必ずネックとなる用地買収や移転補償といった難問題を簡単にクリアできる最適地であると私は申し上げたいのであります。
 ところで、大阪空港はなぜ廃止すべきなのか。それは、来るべき二十一世紀の航空需要には到底対応できない欠陥空港であるからであります。すなわち、一、夜間の離着陸が不可能なこと、二、一日の発着枠にも厳しい制限があること、三、将来の需要増に対応すべき新滑走路やターミナルの拡張が無理であること、四、騒音問題等についての周辺地域及び住民の根強い抵抗があること等々の理由により、大都市圏、関西の空の表玄関とはなり得ないからであります。それであれば、他の用途への転換が得策ではないでしょうか。ひいては、大阪空港廃止を声高に叫びながらも、同空港による経済効果、恩恵を受け、騒音問題などをてこに国から補償費等を引きずり出すことに躍起となってきた十一市協や騒音公害訴訟団などをも満足させることができるのであります。
 ちなみに、平成元年から九年までの九年間に同空港周辺に投じられた補償費は、住宅防音工事、教育施設等防音工事、移転補償、緩衝緑地帯整備など、合わせて実に七千四十五億二千二百万円にも上っております。これは地方空港、例えば運輸大臣設置の第二種空港で平成五年供用開始の広島空港クラスであれば、同空港が総事業費七百五十億円ですから九つ以上つくれることになり、第三種空港の南紀白浜空港クラスであればほぼ十四カ所も建設できるほどの膨大な費用であります。いかに大阪空港が我が国の空港網整備をおくらせてきたかが、この事実一つをとっても明々白々であります。
 私が何度も何度も、大阪空港は欠陥空港であり廃止すべきだと叫んできたのも、ここに大きな理由があるのであります。しかしながら、このような地域も関西の中の一つでありますので、これらの地元を納得させ、関西復権のビッグプロジェクトに協力させるためにも、明年に開かれる関西協議会において、再度申し上げますが、私が申し上げた諸点について、ぜひとも知事の口から提言していただきたいと存じます。知事のお考えと決意のほどを聞かせていただきたいと思います。
 第二点、和歌山大学新駅設置問題についてお尋ねをいたします。
 この問題の発端は、昭和五十九年、和歌山大学が和歌山市高松と同吹上地区から栄谷地区へ統合移転されるに当たり、当時の仮谷知事、和歌山市長、和歌山大学長の三者の皆さんが南海電鉄株式会社に対して新駅設置を要望したのが始まりでありました。平成三年八月二十六日には、運輸省幹部を迎えて南海本線新駅設置促進大会が開催されました。平成四年九月、南海電鉄から和歌山市長に対し、請願駅方式を前提に新駅設置についての諸条件の整備等協議したい旨の意思表示があり、和大新駅設置についての方向性が定まったのであります。その後、請願駅方式との南海電鉄の意思に関しての公的担保を図るため、和歌山市から和大新駅設置促進協議会に対し、区画整理事業方式の提示が行われました。これを受けて和歌山大学周辺地区土地区画整理組合設立準備会が発足、平成八年二月、和歌山市和歌山大学前駅周辺地区土地区画整理組合設立準備組合が発足、翌九年四月、開発審査会において市街化調整区域での本区画整理事業の推進について許可が出されました。そして本年三月三十日、和歌山大学駅設置検討調整会議の第三回会議が開かれ、和歌山県、和歌山市、南海電鉄株式会社、土地区画整理組合設立認可申請予定者の四者による南海本線和歌山大学新駅整備に関する合意書の締結に至ったのであります。なお、先月二十二日には、県市間で和大新駅設置推進調査事業に関する協定書の締結も行われております。
 以上、極めて簡略に和大新駅をめぐる動きを申し上げてまいりましたが、同新駅周辺では日本航空の従業員宿舎が開設されて以来満杯の状態で、現在八百人の方々が生活をされていると聞き及んでおります。しかし、関西空港へのアクセスは国道二十六号線しかなく、バスでの通勤は、大阪府内での渋滞のため一時間半もかかるということでございます。本来、同宿舎は二期、三期の拡張計画が予定されておりましたが、今のところめどが立っていないというのが実情のようでございます。
 一方、和歌山大学も平成八年度にシステム工学部が開設され、総合大学化へのスタートが切られました。現在、学生や教職員を合わせると四千人規模の大学へと発展してきておりますが、近い将来、大学院も設置される方針と聞きます。しかし、同大学へのアクセスは和歌山バスのみであり、朝夕のラッシュ時には積み残しの出るのが常であるとのことでございます。このほか、ノーリツ鋼機など、同地区への通勤・通学の不便は想像するに余りあるのでございます。加えて同地区は、ニュータウンの形成や種々の要因による将来の需要増も見込まれ、和大新駅の実現がもたらすメリットははかり知れないものがあると思います。
 知事がかつて提唱された紀泉百万都市構想や太平洋新国土軸、紀淡海峡大橋、大阪湾ベイエリア構想、第二阪和国道とのリンクも考え合わせ、県としてこの問題にどう取り組もうとしておられるのか。また、新駅設置に関する費用負担はどうなるのか。区画整理事業に係る将来の見通しはどうか。また、県が取り交わした合意書、協定書の意図と中身は何であるのか。知事、企画部長のそれぞれのご答弁をお願いしたいと思います。
 次に第三点目、公的介護保険制度に質問を移します。
 昨年五月、介護保険法案が自民、社民、さきがけ三党の賛成によって衆院で可決され、同十二月には参院でも可決され成立し、二〇〇〇年からスタートすると聞いております。厚生省の説明によれば、保険者は市町村、財源は国二五%、都道府県と市町村各一二・五%、保険料五〇%、対象者は六十五歳以上の第一号被保険者と四十歳以上六十五歳未満の第二号被保険者で、前者の保険料は収入に応じて五段階に設定し、主に年金から徴収、後者の保険料は医療保険の保険料に加算して徴収、給付は、在宅ケアがホームヘルプ、訪問看護、訪問入浴、訪問・通所リハビリサービス、デイサービス、ショートステイ、居宅療養管理指導などで、一方の施設ケアは特別養護ホーム、介護療養型医療施設、介護老人保健施設の三施設ケア、手続は、まず要介護度を認定し、給付額を確定してもらい、ケアマネジャーと相談して自分に合ったケアプランを作成し、費用の一割を自己負担して必要なサービスを選択するなどとなっております。
 この介護保険制度について、昨年九月に日経産業消費研究所が日経リサーチの協力を得て、全国三千二百五十五市区町村の高齢者福祉担当課を対象にアンケート調査を実施いたしました。回収率は五六・二%、千八百二十九の市区町村が回答を寄せておりまして、十分に信頼するに足る調査と言えると思います。
 調査の第一点目、同法案が参議院で継続審査となっていることを尋ねる質問に対し、「早急に実現すべき」はわずかに八%、これに対し「福祉サービスの供給体制が整ってから実現すべき」が五〇・二%、「不明な点が多く法案を出し直すべき」が一三・八%、「保険でなく税金で賄うべき」が一六・一%となっており、合計すると実に八〇・一%の自治体が同法案に対して批判的、否定的な意思表示をしているのであります。これを回答市区町村の人口規模や高齢化率で細かく見ていくと、人口規模の小さい市区町村ほど慎重論が強く、また高齢化率の高い市区町村でも同制度の導入に否定的であることがはっきりと数値にあらわれているのであります。現に、二〇〇〇年度末までの福祉サービスの整備目標を掲げた老人保健福祉計画について、「ほぼ予定どおり達成」はわずかに一五・七%足らずであり、「ほとんど」、あるいは「一部達成できない」とするところが八二・八%にも達するのであります。
 三つ目に、「介護保険を所轄する組織を設置しているか」という設問に対し、「既に設置している」はわずかに一・九%、「今後設置する予定」は四二・九%であるのに対し、「今のところ設置の予定はない」と答えた市区町村は五四・三%に上っているのであります。
 四点目に、要介護者のケアプランを策定するケアマネジャーの確保の見通しを聞く質問では、「確保できる見通しがある」はわずかに一八・五%、これに対し「見通しが立たない」は二三・一%とこれを上回っており、残る過半数の自治体は、「確保の見通しが厳しいので各機関・団体に養成を依頼する」と回答しているのであります。
 以上、このアンケート調査の一部を見ただけでも、実際に窓口となって同制度の実施に当たる市区町村がいかに批判的、否定的であるか、しかも調査対象者が現場の高齢者福祉の担当者であることに着目をすべきだと思います。現場を預かるプロがノーと言っているのであります。これはまさに介護保険制度がいかに現場の実態を無視して作成されたものであるか、言いかえれば厚生省がいかに現場を知らないか、実態を把握していないかを図らずも証明したことになるのではないでしょうか。
 例えば、新ゴールドプランでは二〇〇〇年までに全国で十七万人のホームヘルパーの確保をうたっておりますが、九六年度末でのヘルパー数は十万人、しかもその八割がパートの非常勤ホームヘルパーであるという推計があります。厚生省は、パートだろうと何だろうと頭数さえそろえばいいと真剣に考えているようでありますが、介護保険制度がスタートしても、これでは適切なサービスを提供することは不可能であることが明白と言わざるを得ません。
 一方、特別養護老人ホームの場合、新ゴールドプランの目標値である二十九万人は達成可能な状態と言われておりますが、整備目標値がもともと低過ぎるという専門家の指摘があるとおり、例えば和歌山市の場合、目標値はほぼ達成していると言いながら、本年四月一日現在、特養入所者八百七十七名に対して待機者は五百六十名にも達し、中には数年も入居待ちしている人もいると聞いております。このような現状のまま介護保険がスタートしても、保険あって介護なし、負担あって適用なしの結果は目に見えていると言わざるを得ません。
 そこで、当局の見解をお伺いいたします。
 一、医療保険と異なり、保険料を払っても実際の適用者は六十五歳以上の人口の約一〇%であり、しかも介護の必要な加入者がすべて恩恵を受けられるかどうかわからないとされています。このような状態で、果たして保険制度としてなじむと言い切れるのか。
 二、要介護認定などの手続が煩雑な上に時間がかかると言われており、困ったときにすぐ必要なサービスが受けられません。ケースによっては申請からサービス開始まで四十日程度要するという試算もありますが、これでは介護保険の名が泣くのではないか。
 三、介護サービスの整備が十分な市区町村と未整備のところでは、同程度の要介護度であっても判定に極端なばらつきが出るおそれがあります。公平さを欠くことになれば、制度そのものの根底を揺るがすことにならないか。
 四、要介護認定に対する不服申し立て(審査請求)ができることになっていますが、制度の欠陥からして不服申し立てが続出するのは明らかであります。都道府県の介護保険審査会が審査を行うことになっていますが、裁決が出るまでに数カ月かかるなど現場は大混乱することも十分考えられますが、いかがでしょうか。
 五、現在、市区町村の国保収納率は全国平均九三%で、国保料の減免措置適用者は四百六十万世帯に達し、ますます増加の傾向にあります。これに介護保険料が上乗せされれば、国保も破綻のおそれが十分にあります。加えて、保険料を払っても介護が受けられないとわかった人たちが支払いを拒否するケースもかなりあるという指摘もあり、未納者、滞納者が急増することが専門家などから警告されており、介護保険制度の行き詰まりにつながるのではないか。
 六、要介護認定を行う人が特定されていないため、一応市区町村の保険者やホームヘルパー協会、ケアマネジャーなどが候補に挙がっていますが、要介護者の日常生活動作によって主にランクづけが行われてしまう危険性があり、その人の病歴や予後が無視されるのではという指摘がありますが、どうか。
 七、ホームヘルパーが一日に介護する人数は八人を予定されております。したがって、一カ所の介護時間はせいぜい十五分から三十分。これでは満足な介護ができないばかりか、重度の人を切り捨て、軽度の人だけを対象とするような現象が起こりかねないと言われていますが、いかがでしょうか。
 八、介護保険制度を確立させ、医療保険や年金と明確に区別することは新たに膨大な事務量を生むことになり、ひいては社会保障費をさらに増嵩させることにならないか。
 九、たとえ要介護度五と認定され、月三十万円分のサービスが利用可能となっても、本人が月一万円の利用者負担しかしなければ十万円分のサービスしか利用できないことにこの制度ではなっております。すなわち、低所得者を切り捨てることにほかならないと思いますが、これが公的介護制度と言えるのか。
 十、都道府県は介護保険事業支援計画を策定することとされていますが、本県の場合どうなっているか。
 ほかにもまだまだ問題点は多数ありますけれども、特に疑問のある点を列挙いたしました。この公的介護保険制度が希代の悪法、制度であることを申し添え、十点にわたる質問への答弁を福祉保健部長に求めます。
 最後に、筋萎縮性側索硬化症(ALS)についてお尋ねをいたします。
 去る四月十九日、「紀伊民報」紙上で、八〇年ごろに消滅したはずの神経難病、筋萎縮性側索硬化症(略称ALS)が再発生していることが判明したと報じられております。この神経難病は、我が国では和歌山県南部を中心とした紀伊半島南部に高い発症率が見られることから通称・牟婁病と呼ばれており、また太平洋を挟んで遠くミクロネシア諸島のグアム島及びニューギニア島でも同様の症状が報告されているということであります。この不治の病について、一九六〇年代から七〇年代にかけて我が国と米国の双方で大規模な調査が実施されましたが、結局原因究明には至らず、環境要因の影響が強いということが報告されるにとどまったとのことでありました。
 我が国での最初の記録は、足なえ病として一六〇〇年代に症例が報告されているそうであります。長年の研究にもかかわらず、いまだに有効な治療法と薬も見出されておらず、平均で発病から二年ないし四年で死亡に至るとのことであり、進行の早い患者の中には数カ月で亡くなった例もあるとお聞きしております。
 ところで、ここに「まぶたでつづるALSの日々」という本があります。私も最近この本を知りまして、和歌山県内の本屋では一冊も入手できなかったので、昨日大阪まで買いに行ってきました。この本を書かれたのは土居巍さん、土居喜久子さんというご夫婦ですが、奥さんの方がこの筋萎縮性側索硬化症で闘病されております。そのご主人との闘病記録をつづった本でございます。その最初にこういうふうに書かれております。「命を大切に生きたい 私は 呼吸器につながれて 生かされています 喋ること 食べることもできず 手も足も全く動かない 丸太ん棒人間ですが 神様は たった一つ 動く機能を 残して下さいました 目の動きの正常なことを 知られた 山本先生から──山本先生というのはこの人を最初に診た主治医で、大分協和病院の医長である山本真という先生であります──目で打つ ワープロがあるから挑戦してみませんか とのお話があり まばたきで あいうえお版の文字を拾い 漢字に変換しながら 意志の伝達手紙などを打ち 希望をもって 忙しく生きております たった一つ 残された機能が これほど逞しく働くのですから 私自身 驚きです 今を全力で生きることの 大切さ 命の尊さを 実感しながら 私を支えてくれるワープロに ウインク送り 同病の方へのお便りや ご声援下さいます皆々様に 心のメッセージなどを打ち 時間の許す限り 努力を重ね 精一杯頑張って生きる日々を 過ごしています」。これは、この人が機能の中でたった一つまぶたを動かすことだけができるのですが、実際にその人が打ったワープロの原稿でございます。
 そこで、お尋ねをいたします。
 この牟婁病のことについて、国指定特定疾患に指定されていると思うが、県はこの患者の実態を把握しておられるのか。また、この病の克服のために徹底的な原因究明と治療法や特効薬の開発が待たれるところでありますが、このことについて今後どう取り組んでいかれるのか。福祉保健部長の答弁を最後に求めまして、質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 森議員にお答えをいたします。
 関西サミットに関連してのご質問であります。
 国際化の進展あるいは地球規模の地域間の大競争時代に対応して関西全体の発展方策、諸問題の解決を図るために、関西の二府七県三政令市と経済界の協調・連携による新しい組織となる関西協議会を平成十一年春を目途に設立することが去る五月七日の関西サミットにおいて合意されたわけでございます。
 議員ご指摘のように、関西国際空港の全体構想につきましては、関西のみならず我が国の将来の発展にとって不可欠なプロジェクトであり、国際ハブ空港に育成していくために早急にその推進を図っていかなければならないと考えてございます。また、太平洋新国土軸や大阪湾環状交通体系のかなめとなる紀淡連絡道路の促進、TSLの活用を含めた港湾機能の充実などにつきましても、広域かつ官民一体となって取り組むことが関西の総合力を高める上で極めて重要であると考えてございます。関西圏における本県の役割も含め、先日の関西サミットにおいても私の意見を申し上げてまいりましたけれども、来春設立予定の関西協議会を初め、機会をとらえて主張してまいりたいと考えております。
 また、首都機能の移転につきましては、国土の均衡ある発展あるいは地方分権の推進、さらには新しい経済社会システムへの転換を図るための契機として大きな役割を果たすものであると考えてございます。その移転先につきましては、本年一月の国会等移転審議会の移転調査対象地域の一つに選定された三重・畿央地域を含む国土の中央部への移転を促進していくことが関西サミットにおいても決議されたところでありますが、首都機能移転に伴う波及効果を最大限に享受できるよう、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 お話のございました大阪国際空港への首都機能の移転につきましては、長年にわたって空港問題に携わってこられた議員が、かつて関西国際空港立地に対し現大阪国際空港との関連が強く議論された経過を熟知された上でのご発言であろうと存じております。ご熱意のあるご提言として心に受けとめさせていただきたいと思います。
 次に、和歌山大学新駅についてであります。
 和歌山大学等へのアクセスとして大変重要な役割を担うとともに、紀泉南丘陵地域の振興のかぎを握る重要なプロジェクトの一つであると思っております。したがって、このプロジェクトの進展が、緑豊かな紀泉丘陵に産・学・住の機能を複合的に整備していく紀泉百万都市圏構想を初め、ひいては大阪湾ベイエリア構想、太平洋新国土軸構想の推進にもつながっていくものと考えてございまして、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 企画部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○企画部長(中村協二君) 森議員の和歌山大学新駅設置問題のご質問のうち、新駅設置に関する費用負担についてお答えをいたします。
 和大新駅の設置につきましては、これまで和歌山市を中心として南海電鉄等の関係機関に強く働きかけてまいった結果、県、市、開発事業者、それに南海電鉄の四者で新駅設置の進め方について合意したところでございます。この中で、和大新駅の設置は紀泉南丘陵地域の振興のための重要プロジェクトとの観点から、県と市は国の制度である住宅宅地供給総合支援事業に基づく補助金の導入に努め、開発事業者の負担の軽減を図ることといたしました。今後は、新駅の概略設計を実施し、事業費を把握した上で積極的に事業の推進を図ってまいりたいと存じます。
 次に、区画整理事業に係る見通しについてでございます。
 和大新駅の設置は土地区画整理事業の手法を用いることとしており、この区画整理事業は組合設立が前提となっております。設立認可申請書は認可権者である和歌山市に提出されておりますが、現在、解決すべきさまざまな課題について整理を進めているところであると聞いてございます。
 次に、合意書、協定書の意図と中身についてでございます。
 南海本線和歌山大学新駅整備に関する合意書につきましては、県、市、開発事業者、南海電鉄の四者が新駅整備を推進していくことを確認したものでございます。その内容につきましては、県、市は国の補助事業の導入に努めること、概略設計を実施し、概算費用の決定を行うこと、新駅設置は区画整理事業の手法を用いることを合意したものでございます。
 次に和大新駅設置推進調査事業に関する協定書についてでございますが、この協定書は、県、市が新駅の駅利用者の需要予測に関する調査を共同して実施することを定めたものでございます。その内容は、調査費用を県、市が同額ずつ負担し、市において調査を実施するというものでございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 森議員にお答えをいたします。
 公的介護保険制度についてでございますが、ご質問が多岐にわたっておりますので、まず制度の仕組みの一、八、九についてまとめてお答えをさせていただきます。
 本制度は、老後の最大の不安要因である介護を社会全体で支える仕組みとして創設されたものであり、給付と負担の関係を明確にし、かつ介護を医療保険から分離した新たな社会保障構造改革の第一歩であると認識しております。そうした中にあって低所得者につきましては、保険料は五段階の所得別に設定し、また利用料負担については高額介護サービス費の設定をするなど、低所得者に配慮した制度となっております。しかしながら、具体的な設定については今後の政省令にゆだねられており、さらに低所得者の負担が軽減されるよう国に要望してまいります。
 また、七のホームヘルプサービスの形態につきましては、あくまでも本人の意思に基づいて介護サービス計画が作成されますので、要介護度により適切なサービスが確保できるものと考えております。
 次に、二、三、六の要介護者認定等の一連の手続につきましては、公平・公正となるよう、全国一律で認定基準が提示されることとなっております。また、訪問調査員、要介護認定に係る委員等の研修を実施するとともに、本年度全市町村において実施する要介護認定モデル事業を通じて、均質な判定となるよう市町村とともに努力してまいります。いずれにいたしましても、全国一律の認定基準により訪問調査の結果をコンピューターで分析する一次判定を経て、かかりつけ医の意見書を踏まえて、保健、医療及び福祉の専門職で構成される介護認定審査会でさまざまな角度から判定されるものであります。
 なお、要介護者の状態によっては早急なサービスを必要とする場合があり、暫定介護サービス計画を作成するなど、必要な措置をとることとなっております。
 また、四の不服申し立てでございますが、県で設置する介護保険審査会の運営を効率的かつ機動的にすることにより対処してまいりたいと考えております。
 次に、五の滞納の問題でございますが、本制度導入の趣旨について県民にご理解を求めていくとともに、市町村に過重な負担とならないよう国に支援強化策を要望してまいります。
 最後に十の、県の介護保険事業支援計画につきましては、平成十一年度までに策定することとなっておりますが、現在、その基礎となる市町村の事業計画策定のため、高齢者の実態調査、在宅・施設の需要調査が間もなく開始されることとなっております。県といたしましても、市町村介護保険事業計画を踏まえ、支援計画を策定してまいりたいと考えております。
 次に、筋萎縮性側索硬化症についての三点でございます。
 議員ご指摘のいわゆる牟婁病とは、筋萎縮性側索硬化症と呼ばれる病気で、国の特定疾患治療研究事業に指定されている難病でございます。症状は、筋萎縮と筋力低下が特徴で、病気が進行すると言語障害、呼吸障害や舌の筋萎縮等により固形物や液体が飲み込めなくなる等、運動機能の著しい低下が見られる原因不明の病気でございます。
 この病気の状況につきましては、厚生省の平成八年度の資料によりますと、全国で四千百十九件、そのうち本県で六十一件となってございます。これを人口十万人に対する比率で見ると、全国的に高い数値にあります。県内の保健所別に見ますと、御坊保健所管内から以南がほかの管内に比較して多い傾向にございます。
 次に、この難病に対する原因の究明につきましては、現在、国において研究班を設置し、種々調査研究を重ねておりますが、議員ご指摘のとおり、これまでのところ原因究明の特定には至ってございません。また、治療法や特効薬の開発につきましても、国の方で特定疾患治療研究事業の中で鋭意取り組んでいるところでございます。しかし残念ながら、現在のところ効果的な治療方法が示されていないのが実情でございます。県といたしましては、現在、患者負担の軽減を図るため、治療費の公費負担をするとともに医療相談、患者訪問診療を実施しているところでございます。
 今後とも、地域の実情に応じた専門の医師、理学療法士、保健婦等をメンバーとするチームによる医療相談、患者訪問診療の充実に努めてまいるとともに、県立医大の神経病研究部等の意見も伺いながら、また国の特定疾患の調査研究の推移を見きわめながら対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 36番森 正樹君。
○森 正樹君 知事の、行間に深い決意とお考えがにじむ答弁でありました。私は、日ごろこういうお世辞めいたことは一切言わないのですが、本当にぜひともこの問題を進めていただきたい。なぜならば、我が国の場合、先ほども申し上げましたけれども、巨大プロジェクトが行われる場合に、必ず用地買収、移転補償、損害補償等で計画どおり進んだためしがないんです。もし巨大プロジェクトで計画どおり進んだというのがあれば、聞かせていただきたい。それほどこれは我が国の際立った特徴でございまして、この首都機能移転は国会等移転調査会が考えている三カ所ではそう簡単に進まないと思います。そういう意味で、この大阪空港を廃止した後に持ってくれば、広さ的にはもう全然問題がありませんから。用買も要りませんし、移転補償も何もないわけです。すぐ、あしたからでもできるわけです。しかも、これをやることによる、関西はもとより我が国にもたらす大きな波及効果というのははかり知れないものがあると言えます。そうした意味で、ぜひともこれを実施していただきたい。
 特に今、我が国は大変な不況の中にあります。一九二九年の世界大恐慌以来ではないか、「平成大不況」ということで、それに匹敵するのではないかというぐらい言われておりますが、これが実現すればそれに歯どめをかけて、一気に景気の好転にもつなげることができるのではないかと。そういう意味で知事、ぜひとも粘り強く働きかけをお願いしたいと思います。要望でございます。
 和大新駅でございますが、この問題はもう和田正人先生が地元議員として長年取り組んでこられたことで、関係者の努力によって今ここまで進んできたわけです。今後幾つかクリアしなければならない問題もございましょうが、河西地区十万人の新都心の核になり得ると僕は思います。第二阪和とか新太平洋国土軸などとリンクさせることによって新しい副都心になっていくのではないか。そういう意味で、ぜひとも今後前向きに取り組んでいただきたい。これも要望でございます。
 介護保険について。部長は、お立場上、大変答弁しにくい苦しい部分もあるというのはよくわかります。市町村と国のはざまに立って大変答弁がしにくいというのもわかりますが、部長の答弁の中で幾つか納得できないので再質問します。
 モデル事業のことをちょっと言われました。厚生省が一九九六年十二月から翌年の二月にかけて、全国約六十の地域で要介護認定のモデル事業をやった。最初の一次判定はコンピューターでするわけですが、二次判定は医者の診察とかいうものになるわけです。その間で、実に二七・六%の変更しなければいけない乖離があったわけです。そういうのがモデル事業で出ているわけです。それで厚生省は、やっぱりこういう数字が出たらまずいというので、次の年にまた第二回目のモデル事業をやりました。そのときには、記入のための詳しいマニュアルをつくった。調査員による結果のばらつきを抑えるために、事前にそういう大変な工夫をしたんです。そうしてやったにもかかわらず、ここで出た一次と二次の判定で一致したのは七五・三%にとどまったわけです。ということは、残りが食い違ったわけです。再調査とか認定の食い違いが二三・二%と一・六%と、合わせて二五%近い二四・八%、四人に一人という、やはり食い違いが出ているわけです。これは結局、制度そのものの欠陥がこういう問題を生んでいるわけですよ。いかに何と言おうとこの制度が──先ほども私が「希代の悪法だ」と申し上げましたが、医療保険が赤字である、財政的に大変厳しくなってきた、だから切り離して介護を保険でやれ、広く薄く庶民から金を集めれば何とかなるだろうと。机の上で考えた発想から出たんだと思いますが、そういうスタートの間違いがこういう結果を生んでおるわけです。このことについて、もう一遍ちょっと部長、こんな乖離をどうするのかお答えいただきたい。
 それから、国保に上乗せすることになるわけですが、例えば和歌山県の例を言いますと、県が出した資料によると「実質的な単年度収支では次の四十三保険者が赤字であり」ということで、和歌山市から始まって県内五十市町村のうち四十三市町村が単年度収支で赤字なんです。その内容はだんだん悪くなっております。決して好転はしておりません。例えば和歌山市なんかは、平成八年度の数字ですけれども、実に六十八億八千六百七万円の累積赤字があるんです。もうまあ財政破綻と言ってもいいんじゃないですか。毎年、和歌山市民の貴重な税金から、一般会計から繰り入れをして何とかつじつまを合わせていますけれども、この上にまた介護保険が上乗せされたらもう財政破綻も当然だし、この介護保険という制度そのものの破綻につながるんじゃないかと、僕はそういうふうに厳しい指摘をしておきます。これもちょっと答弁してください。
 それから三点目、ホームヘルパーの数ですけれども、絶対数が不足しているというのはさっき申し上げました。全国的に見ると、和歌山県の場合はまだましです。ホームヘルパーの数が八百八十人で、そのうち常勤が四百二名、非常勤いわゆるパートタイマーの方が四百七十八人という数字になっておりますが、ただ非常に特徴的なのは和歌山市でして、常勤が三十七名に対して実に三百六名が非常勤なんです。八九・二%、ほぼ十人に九人は非常勤の方で何とか賄っているという実態なんです。別に僕は、パートのホームヘルパーさんを否定するのではありません。そうじゃありませんが、この介護保険の一番の眼目は介護サービスですから、介護サービスをする、在宅の方を訪問して、ホームヘルパーの皆さんがやる仕事が非常にふえてくる。その負担度は大きいのですが、その皆さんをパートタイマーの方でほとんど賄わなければならないという実態。これでは、とてもじゃないが、先ほども申し上げました「保険あって介護なし」という実態になり得ると厳しく申し上げます。これについても、もう一度答弁をお願いしたいと思います。
 保険料を払い続けても四十歳から。いざ自分が六十五歳になって介護が必要になった、介護を受けたいというときにすぐにサービスが受けられないケースが出てくると言われております。それが一つ。非常に手続が煩雑で、申し込みからサービス開始まで三十日も四十日もかかる。これで本当に介護保険ですか。これが介護サービスですか。それが二点目。それから、同じ要介護度であるのに隣の市町村同士で、片一方はサービスの体制が整っているから、例えば要介護度三と認定される。ところが、もう片一方の隣の市町村では、同じ障害の程度であるのにサービス体制が整ってないから、あなたはだめだと拒否される。こんなケースが絶対出てきます。これが本当に介護サービスですか。介護保険ですか。同じ程度であるのに。この人がもし友達とか親戚だったらどうします。大変な問題になりますよ。それでなくても、もちろん問題ですけれども。そういうことが必ず起こってきます。
 ほかにもたくさんありますけれども、今、三つ申し上げました。そういうことからして、この介護保険というのは制度の根幹にかかわる問題をいっぱいはらんでいて、私ははっきり申し上げて、いずれ近い将来破綻するんじゃないかと、そのように厳しく申し上げたいと思います。
 厚生事務次官が依命通知ということで全国の都道府県知事に通達を出しておりますが、この中で、「国民の共同連帯の理念に基づき、社会全体で介護を必要とする者の介護を支える新たな仕組みとして介護保険制度を創設する」──うたい文句はいいですよね。だれもが必要な介護サービスを受けることができる新たな仕組みだと言っているんですが、中身はそうじゃありません。
 「ノーマライゼーション」と、最近よく障害者の問題、福祉の問題等で言われます。「ノーマライゼーション」というのは、辞書を引けば正常化という意味でございますが、県が出されている紀の国障害者プランの実施計画の中にも、そのことをはっきりうたわれております。「障害者の社会への『完全参加と平等』の実現のため、ライフステージのすべての段階において全人間的復権を目指す『リハビリテーション』の理念と障害者が障害のない人と同等に生活し、活動する社会を目指す『ノーマライゼーション』の理念のもと」と、このようにうたわれております。そのとおりなんですよね。ところが実際、この介護保険というのはそうはならないという大変な欠陥を多くはらんでおりまして、私は素朴な疑問として、この介護保険は欠陥である、希代の悪法であると再度申し上げたいと思います。
 あと、二分あります。──最後にALSのことでございますが、先ほど紹介した本の中に、お医者さんの感想といいますか、寄稿が載っています。その中で、大分県立病院の院長である永松啓爾先生という方が言われております。アメリカではこの難病のことを別名ルー・ゲーリック病と言っているんです。それはなぜかと言うと、有名な野球の打撃の神様と言われたルー・ゲーリックがこの病で倒れたからそのように言われておりまして、アメリカ人はみんな知っております。それはさておき、この病の対処法について、この中で永松先生がはっきり言われております。先ほど部長の答弁の中にもありましたが、日本ALS協会の強い要望がもとで、平成八年にALS患者等の療養環境整備に関する研究班というのを発足しました。その中で今いろんな作業をされておるわけですが、この先生が具体的な対策として、「長期入院病床の確保(二床を有する個室)、人工呼吸器等高額医療機器・設備の整備、入院管理料の増設や長期入院時の入院管理料逓減性の見直し、看護婦等の人的補充面などでの公的支援、在宅医療に対しては支援医療機関の設備、バックアップ体制の充実、改築等療養環境整備に対する助成制度──これは土木部になるんじゃないですか──医療機器の貸与、看護・介護体制の充実、介護手当増額などがあげられる」と、このように言われております。これは、ALSの患者をずっと診てこられ、ご自身も研究なさっておっしゃっている先生の意見でございまして、参考にできると思います。ぜひとも県でそういう対策、支援をしていっていただきたい。和歌山は他県に比べて非常に発生率が高いわけでありますから、この方は大分ですが、ある意味で全国のモデルにならなければいけないんじゃないでしょうか。また、その使命があるんじゃないでしょうか。そういう努力をぜひともしていただきたいことを、これは要望として申し上げます。
 以上です。
○副議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 森議員の再質問にお答えを申し上げます。
 まず一点目の、介護認定に係るモデル事業での一次判定と二次判定の乖離でございますが、モデル事業を実施した中では、議員ご指摘のとおりの乖離が出たということで受けとめてございます。それを受けて本年、平成十年度に全市町村において改めてモデル事業を実施するということになってございますが、調査事項についても二回のモデル事業を踏まえて調査項目を七十三項目にふやすとか、また質問の仕方についても検討を加え、一次判定と二次判定に乖離が出ないようにということで今実施を進めているところでございます。
 平成十二年に本格的な実施となるわけでございますけれども、そういう乖離が出ないような形で、県としても国に対し、また市町村ともども努力してまいりたいと考えております。
 二点目の保険料の収納率等につきまして、国保財政状況についても非常に赤字財政ではないかというご質問でございますが、これにつきましては、介護保険における第二号被保険者である四十歳から六十四歳の被保険者に実質的に負担が生じてまいります。
 これに伴って国保保険料の収納率等が低下するのではないか、また介護保険料の上乗せによる収納率の低下があるのではないかということかと思いますけれども、これにつきましては、収納率等の低下が顕著である場合については、市町村国保に対して国費による助成を行うなどの所要の措置を講じることとなってございます。また介護保険料につきましては、県において財政安定化基金というものを設けた中で、保険者である市町村に対して保険料等の収納率の低下に起因するかどうかという点について、交付または貸し付けをするということになってございます。
 三点目のホームヘルパーの実態等についてでございますけれども、和歌山県の保健福祉計画の中で、平成十一年度末までにホームヘルパーについては約千五百人という目標数値を決めながら取り組んでいるところでございますが、平成九年度末においては約八百八十人ということで、議員ご指摘のとおり、人の問題、また常勤・非常勤の問題等々ございます。これについては、市町村ともども、介護保険制度が導入される平成十二年までに介護保険の趣旨によるサービスが受けられるよう鋭意努力してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、森正樹君の質問が終了いたしました。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、通告の順に従って一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、紀淡道路の問題についてでございます。
 紀淡道路の建設計画が五全総で取り入れられたことから、県当局初め経済界の一部より大変な手放しの歓迎の声が上がっております。私は、交通が便利になるということ自体を是としつつも、一方でまたさまざまな危惧する意見も出されていることでもありますので、幾つかの点について質問をしたいと思います。
 一番目、紀淡道路の建設が和歌山県にいかなるメリットをもたらすのか、その具体的なビジョンが見えないままに、当局の方からはただ歓迎の声だけが聞こえてくるようであります。大阪、兵庫、和歌山と環状道路で結ばれることが和歌山県の経済、文化、暮らしにどのようなプラス効果を発生するのか、ただ環状に道路ができるというだけで、それがいかなるものを県民にもたらすのか、ほとんど見えてこないわけです。おおよそ公共事業というものは、明確な目的が設定されてこそその施行の意味もあり、価値もあるというものです。ないよりはあった方がいいというだけでは、多額の税の投入の意味がありません。
 瀬戸大橋の功罪が今さまざまに総括されておりますが、プラスの側面よりマイナスの面が、バラ色の夢がむなしく破れて多額の財政負担の重荷が語られる昨今であります。
 瀬戸大橋の効果を期待して、岡山県は莫大な投資を行いました。吉備高原都市を初めとしたプロジェクトは大半が挫折し、多額の借金が残り、岡山県は公債費比率全国一という地位に落ち込みました。五年前、瀬戸大橋開通五周年記念事業が一億円の予算をかけて一万八千人の人々を動員し、にぎにぎしく催されましたが、最大の節目である十周年記念では、ささやかに記念植樹や特産品の販売程度のものでしか祝えなかったと聞きます。瀬戸大橋の現実を象徴的に物語る出来事だと言えるでしょう。瀬戸大橋の四国側の玄関口坂出市では、橋の開通前よりも人口が一割減少し、大型店舗の進出で在来の小規模小売店が三百店減少して、一部企業の進出はあったものの、橋がかかればよくなるとの夢は吹き飛んだと言われ、徳島経済研究所の常任理事が、橋がかかれば発展するという甘い考えを持った人は瀬戸大橋開通後を体験した四国にはもういないと、新聞紙上で語っているのも印象的でありました。
 知事にあっては、これらの現実に対し、いかなる所感を持っておられますか。また、紀淡道路にいかなる現実効果を描いておられるかをお示しいただきたいと思います。
 二番、紀淡道路の建設には、また莫大な財政が投入されます。恐らく一兆円をはるかに超えるものと推定され、架橋公団が現在七千二百億円の借金を抱えている現実から、瀬戸大橋などと比べ物にならない負担が当該県として和歌山県に強いられることは間違いないと思います。岡山、香川両県が公団へ、出資金だけでも既に二百六十億円を支払い、今年度からは年間二十九億円が恐らくエンドレスに求められそうであります。このことは両県とも予想していなかったことだそうでありまして、これが両県の財政を圧迫しているということは関係者の実際に語るところでもあります。さらに関連する国のプロジェクトへの負担も、当然のように求められてくるでしょう。県としてはこれらの財政負担をどのように予測しておりますか。
 次に、架橋によるデメリットも予測されます。紀南の観光業界からその懸念が既に提出されておりますが、大阪、兵庫からの人の流れが、和歌山の方ではなくて四国の方へ向いてしまうのではないかという懸念は当然のことであります。予想もされなかったマイナスがさらに生まれてくるかもわかりません。
 ストロー効果──先日も話がありましたが、四国側には今、「ストロー効果」という言葉がよく使われているようです。架橋による期待していた効果が四国側には発生しないで、既にあった四国側のメリットが逆に大阪、神戸の方にストローで吸い上げられていくように流出をする、そういう現象だそうですが、橋ができたので四国側に支店を置く必要がないとして撤退した幾つかの企業があったようです。予測しなかったことだそうですが、紀淡道路の本県の経済に及ぼす否定的な影響も、やはり考えなければならないと思います。それはどのように想定をされておりますか。
 道路が建設されることは、一般的に言って歓迎すべきことであります。しかし、いつ、どこで、どれだけの金を投じてということになると、無条件に了というわけにはまいりません。大型公共事業が国の財政や地方の財政をゆがめていることが明らかになってきつつあるとき、また本四架橋公団が七千二百億円という大赤字を抱えていることを考えるとき、殊にその懸念を抱きます。どのような所信をお持ちですか。
 以上、紀淡道路関係について質問をいたします。
 次に、和歌山近鉄百貨店の増床問題についてお尋ねをいたします。
 和歌山県がその一員として参画する和歌山ターミナルビルに、近鉄百貨店の増床計画が発表されました。第三セクターの構成員としてビルの経営の一端を担う県がこの増床に対して無関係ではないと思いますので、以下お尋ねをいたします。
 近鉄百貨店が店舗の増床を発表して四カ月になります。和歌山駅周辺の小売店舗は、これから自分たちの営業はどうなるのだろうかと、深刻な危機感を抱いています。大型店舗の近隣商店に与える影響は、かつての駅前商店街や美園商店街のにぎわいが近鉄百貨店の進出後どう変化したか、その前後を比べてみればよくわかります。
 美園商店街などは、文字どおり深刻な打撃を受けました。今回の近鉄の増床計画は一万九千平方メートルと現在の売り場面積に匹敵するもので、単に近辺の商店に影響を与えるだけでなく、鉄道の乗降客の多くを吸収し、和歌山市の中心市街地にまで多大の影響を与えることが予測されます。さらに、海南駅前を中心に新しい町づくりを検討していた海南市の関係商店街にも、極めて深刻な、否定的な影響が出るであろうと予測されるわけであります。
 大規模店舗の進出については、去る十二月議会の私の質問に答えて知事は、地元の中小小売業者との共存共栄と言われ、その困難さはよく承知しているけれども地域経済の活性化につながるものでなければならないと考えている、と答弁されております。大型店舗について言えば、時には周辺商店と共存し、互いに相乗効果を発揮することもあります。そうなれば地域活性化につながることになるでしょうが、果たして今回の増床にそれが期待できるでしょうか。
 ついては、今回の近鉄増床は、地元並びに海南市を含む近隣商店にいかなる影響を与えると考えておられますか。共存共栄、地域経済の活性化につながるものとお考えでしょうか。私は、まさにその逆ではないかと危惧をしているところですが、いかがお考えですか。
 二番、ところで、近鉄百貨店が増床を計画する和歌山ターミナルビルは、先ほども申し上げましたように和歌山県も参画する第三セクターであります。平たく言えば和歌山県は家主でありまして、近鉄がそこに進出することに和歌山県は最初に賛否の意思を表示する機会があります。和歌山県はそこでいかなる態度で臨まれたのか。
 近鉄増床の表明は、近鉄百貨店と和歌山ターミナルビルとの連名で行われております。察するところ、県もこの事業に参画されているものと推定されます。この点についてはいかがですか。もしそうだとしたら、県は近隣の商店街の意見も聞かずに計画の推進に当たってきたのではないかと思いますが、そういうことでしょうか。私は、県の姿勢として、この場合、在来の小売商店の発展を願う立場ならば増床を規制するのが本来の立場だと思いますが、いかがでしょうか。
 関係する商店街の増床に対する意思はどう反映されるでしょうか。私は、関係する商店の何十軒かを回って話を聞いてみました。増床というような話は聞いていないという店も相当ありましたが、そんなことになるとうちはもうだめだという店や、絶対反対という店、反対だけれども、反対してもそれが成功したためしもないので成り行きに任せなければ仕方がないという店、あるいは、町の整備で共存共栄できることならいいのではないかと、意見はさまざまでありましたが、基調には皆、増床反対という思いがあり、増床反対が圧倒的な意見でありました。海南市の商店連合会は、絶対反対を掲げて関係者にその意思を表明いたしております。
 このような現実を行政当局としてはどう掌握し、どのようにしかるべき機関に反映させていきますか。審議機関に対する意見表明や国に対する最終的な県の意見表明の機会もあることです。どのような意思を表明されますか。
 四番、大店法廃止関連法が制定され、資本力のある大型店舗が自由に出店できるようになってまいりました。実質的な規制のできる機関もなくなり、大店法の廃止は小規模小売店を守るガードの撤去を意味していました。近鉄増床問題をめぐって一部に、もう何を言っても仕方がないというあきらめムードをつくりつつあるのも、先般来の大店法の改悪が直接関係していると思われます。
 私は、十二月議会のこの場で、大店法廃止あるいは改悪に反対されるよう知事に求めたところでしたが、明確な答えはありませんでした。関連する三法が進出を規制するという意見もありましたが、都市計画で一たん線引きされた後は野放しです。全国小売商店連合会の代表者が大店法廃止反対を今なお強く訴えておるところでありますが、このような事態を当局はどのように考えておられますか。
 近鉄増床問題で県当局がもし共存共栄、地域振興の立場でこれを迎えようとしているのであれば、何か策を持っておられるのですか。持っておられれば、それをお示しいただきたいと思います。
 小さな小売店の中には痛みに耐えて頑張るところもあるでしょうし、小売店自身もみずからの努力が求められるところでもありましょうが、圧倒的大半がダメージの側面が多いと訴えています。死活の問題になるところもあろうかと思います。県としてはこの事態にどう対応されるおつもりなのか、考えがあれば示してください。
 何はともあれ、関係する商店の意見を聴取することが必要だと思いますが、その意思はありますか。
 以上、近鉄増床問題です。
 次に、企業誘致用の土地造成とその活用の展望についてお尋ねをいたします。
 県土地開発公社、企業局の手で、あるいは市町村によって、各地で企業用等に土地の造成が行われています。しかし、必ずしも需要と供給のバランスがとれておらず、多くの未利用地を残しているという問題があります。
 売却できていない面積は、土地開発公社について言えば、那賀郡打田町北勢田に八万一千平方メートル、売却予定面積の八九%が残っておりますし、企業局関係では御坊第二に十二万二千平方メートル、これも売却予定面積の六七%が残っています。和歌山市雑賀崎に十万一千八百平方メートル、これも四三%が残されたままであります。この用地の造成費用は、北勢田で四十二億円、御坊第二で六十七億円、雑賀崎で百四十億円となっており、それぞれの未利用率から推定すると、事業費の百四十二億円がいまだに回収されないままになっていることになります。さらに、年々六億円近い利息が加わり、借財は雪だるま式であります。もちろん民間の造成業者と同一に論じることはできませんが、例えば民間ならば倒産の危機であります。
 これらの用地の需要の見込みをどのように持っておられますか。県下市町村の保有する企業用の未利用地の現状と展望も、あわせてお示しいただきたいと思います。
 このように大きな未利用地を残しながら、一方ではまた新しい土地造成事業が計画され、進行しようとしています。和歌山市西浜では三十七万三千平方メートル、日高港では十万七千平方メートル、計画段階で未着手の御坊第一の十二万六千平方メートル、打田町勢田の約十四万平方メートルが主なものですが、これらの土地にどれだけの需要があるとお考えになっていますか。
 勢田の新しい造成には進出企業が予定されていると聞きますが、その他のところでは全くないか、あいまいもことしています。県の事業と並行して、新宮市の開発公社も新たに新宮港に巨費を投じて企業用地を造成していますが、これらの市町村の公社などが造成している使途の定まらない造成地は三十一万平方メートルに及びます。しかし、土地さえつくっておけば企業は来てくれるだろうという時代ではないというのは、もう共通の認識であろうと思います。
 県としては、バブル全盛期や、あるいはそれ以前に計画された土地造成計画は基本的に見直すべきではないかと考えますが、いかがお考えでしょうか。
 最後に、景気対策についてお尋ねをいたします。
 先の見えない深刻な不況が続いておりまして、倒産、失業、自殺など、不況にかかわって県民生活の困苦を物語る数字が、「戦後最高」とか「統計史上最高」とか、冠がついて語られる昨今であります。さまざまな要因が複雑に絡み合って今次不況を招いているのでしょうが、昨年来の政府の失政によるところが大であることは大方の一致するところであります。中でも、消費税率のアップと医療制度の改定などによって国民負担を九兆円増加させたこと、それは一世帯に換算すると二十五万円と言われておりますが、それこそが決定的なものでありました。預金利息の市場最低という事態なども、国民の懐を冷やす上で追い打ちをかけています。景気対策として国は膨大な補正予算を組みましたが、国民生活に差し当たって影響を与えている消費税や医療制度には手をつけず、従来型の大型公共工事中心の景気対策に終始し、予算案の発表以来、その効果が疑問視されてきたところであります。もちろん、地方においてその有効な部分の適切な活用によって住民要求にこたえられるところもあるでしょうし、そうあることを期待するものでありますが、以下、関連して幾つか質問をいたします。
 まず、不況下における融資制度の一層の改善についてであります。
 緊急不況対策として新たな制度融資が設けられ、銀行の貸し渋りなどに悩む中小企業に大きな期待を抱かせました。そして、資金を求めていた企業の一定部分に活用され、喜ばれているところであります。関係当局の努力を評価するものであります。今回も一定の措置がとられたことを多とするところでありますが、しかしまだまだ資金の需要にこたえ切れていない現実があります。
 過日、商工金融課にお聞きしたところ、若干の時間差があって少しずれがあるかもわかりませんが、この四月に申し込まれた不況対策特別資金の申込件数が五十件、そのときの融資実績が十四件とのことでした。実際はもっとあるのでしょうが、いずれにしろ、申し込んでもなかなかかなえられないという現実があるようです。また、申し込む前の相談で無理だとあきらめる層が相当あるそうです。
 県の方では統計がありませんので、和歌山市の実情の一つに、金融課への融資相談件数が四月には百四十七件あったけれども、実際の融資にまでこぎつけたのは十五件しかなかったという現実もあります。県の方もよく似たものではなかろうかと推定するところでありますが、わずかの条件の違いで借りられなかったり、返済期間がもう少し長ければということで断念せざるを得ないというのが相当多くあるのが現実であります。とりわけ、特別小口を利用している人は他の制度融資が使えないという問題は、さらなる制度融資の利用を希望する者にとって大きな障害になっているようです。
 ついては、以下のような改善方を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 一番、県として既に一定の努力をされてきたところでありますが、現下の不況の中で借入金の返済にまで資金繰りができないという零細な企業があります。返したいけれども返せない、借りたいけれども返済期間が短くて返す自信がなくて借りられない、そんな方が相当おられます。そういう方のために返済期間の延長を考えてはいかがでしょうか。
 二番、さきに申しましたが、無担保・無保証貸し付けとその他の制度融資の併用を認めるような制度改正を多くの零細企業者が求めております。その他の制度融資の併用は認められているのに、特別小口だけがそれをかなえられません。考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 三番、既に実施されている分野もあるわけですが、保証料などの県負担によって実質金利が軽減する措置の対象を広げることを考えてはいかがでしょうか。
 四番目、制度融資についてまだまだ徹底されていない面もあります。広報を金融機関の窓口にでも備えて充実をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 以上の要求は、法との関係が出てくるものもありまして、しかしまた県の主体性で決められることもあります。それぞれありますが、県下の零細業者の切なる願いをぜひ取り入れていただきたいと思います。所感をお聞きいたします。
 次に、民間景気の冷え込みの中で、中小零細業者の官公需を求める声には切実なものがあります。官公需の契約においては、県内中小企業の受注比をどう高めるかについて当局は今までも腐心をされていることは承知しておりますが、なお一層の努力を求めたいと思います。
 当局の官公需契約実績額取りまとめ表によりますと、中小企業向け契約実績は、平成六年で六二・二%、七年で七一・四%、八年で七三・六%となっており、次第に上向きになってきておりますが、せめて安定して七五%を超えるものであってほしいと考えます。現在の七〇%を若干超える数字も安定したものとは考えられませんし、その中には県外中小企業に発注されるものもあるでしょう。今後どのような受注が発生するかによって左右されるところですが、官公需については県内中小企業者に七五%以上は安定的に保証されるということを原則とされたいと思いますが、いかがでしょうか。
 また、県外大手に発注する場合にあっては、その下請には県内業者最優先を求める指導を強めていただきたいと思います。この点についても当局は幾度もその努力を約束されておりますが、それは必ずしも満たされておりません。最近においても、ビッグホエール、医科大学、健康・福祉棟などでもその声が聞こえます。最終的に、地元企業がどの程度参画したか、企業の数で示されることはありますが、事業金額にしていかなるものであったのかということは全く不明であります。もちろん、民と民との契約についてすべて明らかにすることは不可能でしょうし、県内業者が下請した量を客観的に当局で掌握されることは、地元業者の育成や景気対策の上からも必要なことだろうと思います。下請単価が不当に切り下げられることを防止する上からも、また官公需の発注が景気対策という側面を非常に強く持っている現在、関係当局の努力を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、今回の景気対策、補正予算についてでありますが、今回の補正予算が県民の景気対策として経済生活にできるだけ幅広く効果的に波及することを願ってお尋ねをいたしたいと思います。
 本予算によって第一次的に発生する効果として、参画する業種、企業数、雇用者数、労働日数など、どのように考えておられますか。
 景気対策と言えば公共事業、和歌山県で言えば一定の金融対策と専ら土木というパターンが繰り返されてまいります。それはそれで意味のあることですが、私はどうも土木偏重のような気がします。今回の景気対策も、二百六十六億円の九〇%以上が土木関係です。土木を中心にした公共事業です。さまざまな業界が幅広く参画できるような事業に予算の配分を心がけるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
 公営住宅の建設や改修、各種公的建造物の地震対策、バリアフリー、こういう仕事はやらなければならない課題として現実的に非常にたくさん残っているわけでありますから、こういうところへの投資は参画する業種の幅を大きく広げるでしょうし、地域的にも広域的になります。波及効果も、土木一辺倒よりはるかに大きくなると思います。
 限られた財源ですから、広くして余り薄くなり過ぎることも当然避けなければなりませんが、工夫されなければならないところではないでしょうか。そういう点はどうお考えになっておりますか。
 次に、公共事業と社会福祉部門の経済波及効果についてお尋ねをしておきたいと思います。
 今回の補正予算を見てもわかるように、景気対策と言えば公共投資イコール土木事業、道をつくり海を埋め立て山を削りと、ほとんど相場が決まってまいります。今、公共事業はどれほどの景気対策になるのか、もっと有効な投資の方法はないものか、新しい議論が展開されております。
 本年一月、富士総合研究所が「公共投資の景気浮揚効果を巡る議論について」という研究レポートを発表いたしました。それによりますと、公共投資の景気下支え効果を評価しつつも、民間への波及効果は喧伝されるほど大きなものではなかったとして、景気対策イコール公共事業投資とすることに疑問を呈しました。
 景気対策の質問の際に、社会保障部門が公共工事と同様の、あるいはそれ以上の経済波及効果や雇用効果があるという問題を提起いたしますと、社会保障を景気対策の枠で考えるのかと誤解を招きそうですが、あえて社会保障部門、医療福祉部門のそのような側面について一言言及したいと思います。
 産業連関表に基づいて社会保障部門と公共事業部門の投資、雇用の波及効果について、和歌山県が行った一つの試算があります。それによりますと、例えば一千億円が公共事業部門に投じられた場合と社会保障部門に投じられた場合を比較すると、生産誘発効果においては両者はほぼ匹敵し、粗付加価値誘発額や雇用効果においては明らかに社会保障部門の方に大きな効果があらわれています。とりわけ雇用効果については、公共事業部門二万人に対して社会保障部門では二万四千人と前者に対して二〇%も大きくあらわれ、経済に対して大きくプラスに作用していることがわかります。
 社会保障、医療福祉と言えば、とかく財政を食っていくものだけという評価がなされがちですが、厳密に後追いすれば、今述べたような大きな景気への作用をもたらしています。これからの高齢社会に対応する町づくりにとっても明るい指標になろうかと思います。
 景気対策は国の方針にも大きく規制されますが、地方自治体独自ででも十分に研究をし、景気対策イコール公共事業という図式から脱皮することを考えてはいかがでしょうか。所見をお伺いいたしまして、第一問を終わります。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 紀淡連絡道路についてでございますが、ご質問の三点について一括してお答えをいたしたいと思います。
 紀淡連絡道路は、大阪湾環状道路として、また関西大環状道路として、さらにまた太平洋新国土軸の一環として、半島に位置する本県を環状軸、国土軸上に位置づけ、二十一世紀の交流・連携の時代に人、物の流れを本県に呼び込んでいく構想でございまして、交通利便性の向上あるいは地域開発、観光開発など、効果が期待できるものと考えております。
 このような国土構造を大きく変える交通基盤の整備効果につきましては、地域に及ぼすさまざまな影響について、瀬戸大橋あるいは明石海峡大橋などの事例、さらにただいま議員からお話しの危惧される点にも注意を払う必要があると思いますが、いずれにいたしましても、現時点での尺度だけで判断するのではなくて、将来を見通して長期的にさまざまな角度から検討を加えていく必要があろうかと考えております。
 また、紀淡連絡道路の事業費や事業手法が未定である現時点においては、県の負担等はまだ明らかではございませんけれども、本州四国連絡橋公団法により建設されている本四架橋については、関係府県市から応分の出資金を拠出していると聞いております。
 財政的な負担の問題は、突き詰めて考えると費用対効果の問題でもありますし、さらに建設費をできるだけ削減するように目下国に対しても求めておりますけれども、整備効果を最大限に地域に吸収できる受け皿づくりといいますか、和歌山は和歌山独自の地域づくりということが大変肝要であると考えてございます。今後とも、県といたしましても、整備効果や負担のあり方等の問題について検討を深めてまいりたいと思います。
 今回の全国総合開発計画並びに道路整備五カ年計画に明記されたのは、六プロジェクトでございます。こういったことから、その実現につきましては、関係地域あるいは県民の皆さんのご理解を得ながら国に強く働きかけていかなければならない、また実現についてはその必要が強いと考えてございます。
 次に、和歌山近鉄百貨店の増床問題であります。
 近鉄百貨店が立地しているJR和歌山駅周辺というのは県都の玄関口でもございまして、お客さんの吸引力のある地域であろうと思っております。このような地域は町づくりの中心地として位置づけられるものでございまして、地元市町村の町づくりの方向性ともかかわっておるわけでございます。
 近年大型店の郊外展開が進む中で今回の近鉄百貨店の市街地での増床計画というのは、近隣商店街への影響も考えられるわけでありますが、一方では市街地での地域商業の活性化や消費者の利便性の向上を期待することができる面などもあるわけであります。しかし、前にも申し上げましたように、大規模小売店舗と周辺の中小小売業が、現実には大変厳しい面もございますけれども、共存共栄されることが望ましいわけでございます。
 いずれにいたしましても、今後、国におきまして、大規模小売店舗法に基づいて中小小売業の事業活動の機会の適正な確保を図ると同時に、小売業の正常な発達及び消費者利益の保護の間の均衡を図るという立法の趣旨を踏まえて出店調整が行われることが必要であると、そのことに強く期待をしておるわけであります。
 以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 和歌山近鉄百貨店の増床についてのうち、四点についてお答えいたします。
 まず、ターミナルビルでの株主としての責任と増床に対する県の意見についてであります。
 県都の玄関口の地域振興を図るという観点から、県として和歌山ターミナルビルに出資しておりますが、今回ターミナルビルに出店予定の和歌山近鉄百貨店は三千平方メートル以上の店舗であるため、大規模小売店舗法に基づき、国において調整されることとなっております。したがいまして、今後、国の大規模小売店舗審議会において、主たる商圏である和歌山市及び泉南市の消費者、小売業者、学識経験者の意見、及び出店地である和歌山商工会議所の意見を聞くことになっており、さらにその他の者から申し出があればその意見もあわせて聞いた上で答申を取りまとめることになります。
 また、出店地の和歌山市から周辺中小小売業への影響や町づくりなどの観点から県に対して意見の申し出があれば、その意見を尊重し、国に対応してまいりたいと考えております。
 次に、大店法廃止についてでございます。
 平成十年六月に大規模小売店舗立地法が公布され、平成十二年六月までに施行されることになっております。この法律は、大型店の出店による交通渋滞や騒音など生活環境の保持に対して、地域住民や市町村等の意見が出店者との協議を通じて反映される仕組みとなっております。また、都市計画法の改正により、市町村長が地域の判断で一定規模以上の店舗の立地を制限したり、あるいは立地制限を緩和することができるようになります。したがいまして、出店周辺地域の環境保全や計画的な地域づくりに住民や市町村の意見を反映させることになり、大型店を都市機能の一部として町づくりをするのか、あるいは大型店が立地しない町づくりをするのか、市町村の町づくりを反映できるものであります。
 具体的な国の運用方針は現在示されておりませんが、必ずしも大型店が自由に出店できるものとは限らないと考えております。
 次に、事態への県の対応についてでございます。
 大型店の立地だけでなく、急速な車社会の進展、消費者ニーズの多様化、後継者問題などにより、商店街を取り巻く環境に厳しいものがあると認識しております。これまでも、近鉄百貨店が立地するJR和歌山駅周辺の商店街には、顧客吸引力を高めるためにアーケードやアーチなどの商業環境施設整備事業を実施し、県もその支援を行ってきたところでございます。
 今後、県といたしましては、地元市町村の町づくりの計画に基づき、道路、駐車場などの都市インフラとの一体整備による商店街の活性化に対する取り組みを支援してまいる考えであります。
 なお、小売業関係者の意見につきましては、先ほどお答えしましたように、国の大規模小売店舗審議会の意見聴取会議などで意見を申し出る機会がございます。
 次に、土地造成とその活用の展望についてのうち、造成の需要の見込みについてでございます。
 県下工業団地への企業誘致の状況につきましては、昭和五十七年度以降現在までに六十八社が進出しております。最近の実績は平成七年度に一社、八年度に一社、九年度に三社が進出してございます。また、現在交渉中の企業も数社ございますが、これらの企業の誘致実現に努めてまいりたいと考えております。
 県が窓口となって誘致活動を行っている市町村の工業団地については、一市四町の六工業団地で、現在約十三万五千平方メートルが未売却となってございます。
 いずれにいたしましても、現在の未利用地への企業誘致については、非常に厳しい経済情勢ではございますが、地元市町村とも連携を図りながら積極的に企業誘致を行ってまいりたいと考えております。
 次に、景気対策についてのうち、融資制度の改善についてであります。
 平成十年度当初予算におきまして、中小企業金融対策として新規融資枠の拡大、また売り上げ減少や取引先企業の倒産の影響を受ける中小企業の資金需要にこたえるため、県としては初めて一千五百万円の無担保保証枠を設けた不況対策特別資金を融資枠五十億円で創設し、現在取り組んでいるところでございます。
 この不況対策特別資金の利用状況を見ますと、五月末現在での申込件数が百八十一件で三十二億四千万円となっており、この六月議会にさらに融資枠五十億円の増額をお願いし、中小企業金融のより一層の円滑化を図ることとしてございます。
 議員ご質問の制度融資の返済期間の延長につきましては、通常、運転資金の融資期間は三年から五年で行われているところを、県制度の運転資金は従来から長目の五年に設定し、実施してきているところであります。特に今回の不況対策特別資金にあってはさらに二年間長く、七年で実施しているところであります。
 次に、無担保・無保証人貸し付けである特別小口資金と他の制度との併用につきましては、この融資資金は信用保険法の無担保・無保証人保険を適用した融資制度であり、信用保険法との関係で他制度との併用ができないことになってございます。そこで県としては、この制度に限り、利用者が負担する信用保証料一%を県が負担し、利用者の金利負担を大幅に軽減して実施してきているところでございます。
 次に、保証料などの県負担による実質金利の軽減につきましては、超低金利施策が続く中で融資制度利用者の信用保証料の負担軽減を図るため、ただいまの特別小口資金の保証料軽減に加え、平成八年度には通常一%の信用保証料を県が〇・三%負担して〇・七%に引き下げ、平成十年度も引き続き実施しているところであります。
 最後に制度融資の広報についてでございますが、機会あるごとに制度融資の広報を行うとともに、金融機関を初め関係機関の融資担当者を集めて説明会を実施し、あわせて広報についても依頼するとともに、融資制度のパンフレットや季節融資のポスターの配布時にも重ねて広報、利用促進をお願いしているところでございます。
 また、議員のご質問にありました変更期間の延長につきましては、各企業の返済能力に応じた期間設定ができないか、また現下の厳しい景気状況からより一層の企業の負担軽減を検討するなど、今後も中小企業者を初め関係機関などの意見も聞きながら融資制度の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、中小企業への発注率についてでございます。
 官公需についての中小企業者の受注機会の確保につきましては、毎年度、中小企業者に対する国等の契約方針が閣議決定され、中小企業者の受注機会の増大を図るための方針が公表されます。
 県で集計した平成九年度の官公需の中小企業者向け契約実績は七八・六%で年々増加しており、今後も庁内各部局と連携をとりながら中小企業者の受注機会の確保を図るとともに、市町村に対しても本方針の趣旨をさらに周知し、中小企業者の受注機会の確保を要請してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員の景気対策に関するご質問のうち、中小企業への発注率に関してお答え申し上げます。
 県内業者の育成については、最重点に取り組んでいるところでございます。そのため、事業量の確保に努めることはもとより、工事発注においては公共事業の効率的執行の範囲内で可能な限り分離・分割発注を行うことにより、中小建設業者及び専門工事業者の受注の機会拡大に努めているところでございます。
 県外大手企業の下請業者選定に対しましては、従来より大規模工事の施工の機会、施工技術の向上等のため、県内業者の育成への配慮を要請しているところでございます。
 議員ご指摘の大手企業からの県内業者下請量の把握につきましては、関係機関の状況を調査してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 総務部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 鶴田議員のご質問にお答え申し上げます。
 今回の景気対策関連の補正予算につきましては、国の総合経済対策を受けて社会資本整備の現状など本県の実情を踏まえた緊要の施策を盛り込んだものであり、経済効果の波及範囲も広範に及ぶものと考えております。
 また、ご指摘の社会保障分野の経済効果についてでございますが、福祉等の社会保障施策は雇用創出など経済効果の面においても積極的な役割を果たしているものと認識しておりまして、本年度も当初予算において福祉保健費を対前年度四・六%増とするなど、積極的に対応したところでございます。
 将来を見据え、今後とも計画的かつ安定的な施策の整備充実を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 企業局長西浦昭人君。
  〔西浦昭人君、登壇〕
○企業局長(西浦昭人君) 土地造成計画の見直しについてのご質問にお答えします。
 現在の経済情勢のもとでは、企業の立地についても非常に厳しい状況にあることはご指摘のとおりです。企業局といたしましては、県土の均衡のとれた発展、地域経済の活性化を図るために企業誘致の受け皿としての土地造成事業を実施しているところでございます。
 今後の計画につきましても、地域計画や都市計画等との整合性を図りつつ、経済情勢や企業の立地動向も勘案しながら取り組んでまいる所存でございます。
 以上です。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、幾つかの点で再質問をさせていただきます。
 まず紀淡道路関係ですが、知事にお尋ねをいたします。
 紀淡道路に大きな効果が期待されると述べておられましたけれども、まだほとんど具体性がないんですね。大きな道路ができても効果がなかったというような実情というのは、日本列島の中にはあちらこちらにある。だから、場合によっては通過点となってマイナス効果を増幅すると、そういうことだって可能性としてはあるわけです。
 現時点の尺度からだけで判断するのではなくて、将来を見通して長期的にさまざまな角度から検討を加えていく必要があると今おっしゃられましたが、確かにそのとおりだと思うんです。それだからこそ、まだそういう研究も十分行われない段階で早期実現ということばかりで突っ走っていくということはいかがなものかと、私は疑問に思うわけです。
 冒頭に一問でも言いましたように、大きな財政が投じられる事業になることが予想されるわけですから、まさに慎重にも慎重を期して対応するというのが必要ではないかと思います。
 私は、岡山や香川にかかっている負担が応分の負担なのかどうかということはわかりませんけれども、向こうの当局の皆さん方の言葉ででも、本当にしんどいんだという話を切実に聞かされました。そういう意味からも、財政的な問題からも慎重を期していくという立場こそ今必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。知事の見解を聞かせてください。
 次に近鉄の問題について、直接担当をしていかれることだろうと思いますので、商工労働部長にお尋ねをいたします。
 答弁の中にありましたように、近鉄増床がどういう影響を与えるのかという質問に、マイナスの影響があるかもわからないけれども活性化や利便性も考えられるということで、これはどっちつかずのことで、何のことかわからない。立法趣旨を踏まえて出店調整が行われるであろうというようなお話もありましたが、こういうところには県の主体性というのが全く見えない。出店地の和歌山から申し出があれば消費者保護や周辺小売店の影響、町づくりの観点から国に対しても対応していくということでもあるのですが、県としての、この出店がどういう影響をもたらすのかということについての明確な意見がない。認識がない。対応しようと思えば、当然調査が必要になってくると思うのですが、そういうこともされていない。
 私は、どうして県の議会で質問するかと言うと、一問で言いましたように、ターミナルビルというのは県が三セクの構成要員になっているんです。家主なんですよ。だから、近鉄へ貸せば、この周辺で商業が一体どうなるのかということは当然考えなければならないし、その考えに基づいて増床が是であるのか非であるのかという意見を述べなければならないという、既にその段階であると思うのです。それが全くされていない。三セクへどうして加わったかと言うと、地域振興の立場から正常にあの駅頭が整備されていくことを願ったからです。その目的が全く果たされていない。ターミナルビルの面積を倍加するという大事業ですから、ビルの経営の一端を担う県当局として、これに対して当然見解を持つべきだと思います。
 美園商店街あるいは和歌山の中心街、それから海南市、本当にいろいろと心配をされています。その心配に対して県として明確にこたえる必要があるんです。それができていない。和歌山市はまだこれから意見を言う機会がありますけれども、海南市は全くない。こういうような状態の中で海南の商店街の人たちが、何とかしてくれと県に陳情に来たと思います。来ましたね。そういうことに対して県の責任としてどうこたえるのか。そこらが全くできていないと思います。
 だから私は、まず関係する商店街などに対して県としての実態調査──商店街の人々が何を考えているか、ぜひ調査をしてほしいと思う。一問でもお願いをいたしました。一介の議員としての私でも聞きに回るのです。直接関係をする県当局がそのくらいの調査をしていくというのは当たり前のことだと思うのです。そこの点、どう考えておられるか、質問をいたします。
○副議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員の再質問にお答えいたします。
 紀淡連絡道路の経済効果などを明確にということであります。
 先ほどもご答弁いたしましたように、長期的なプロジェクトでありますので、今直ちにすべてを明確にというわけにはまいりません。しかし、平成九年度から建設省においても学識経験者などによる社会経済効果検討委員会などを組織して検討を始めております。さらに全国総合開発計画でも、費用対効果であるとか、技術的にもっとコストが低くならないのかとか、あるいは景観への配慮とか、さまざまなことを検討しながら構想を進めるということになっておりまして、それらの検討については国も県もこれからの段階でありますので、努力したいと思っております。
 以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 鶴田議員の再質問にお答えいたします。
 まず、先ほどお答えいたしましたように、JR和歌山駅周辺の地域振興を図るという観点から和歌山ターミナルビルに出資したものでありまして、ターミナルビル株式会社そのものが、大規模小売店舗法に照らし、地元小売商業者への影響や消費者の利便性向上等について議論する場であるとは考えておりません。今後、国の大規模小売店舗審議会の場で審議されていくものと考えております。
 以上でございます。
  〔「調査してくれるの、しないの。答弁漏れです」と呼ぶ者あり〕
○副議長(阪部菊雄君) 当局に答弁漏れがありますので、お答えいただきたいと思います。
 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 県として調査するかどうかでございます。
 これは三千平米以上で、あくまでも国の案件でありますので県として調査する権限はありませんけれども、地元の実情は十分今までも聞いておりますし、今後も聞いていきたいと思っております。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(阪部菊雄君) 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○副議長(阪部菊雄君) この際、暫時休憩いたします。
  午後零時六分休憩
      ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 議長にお許しをいただきましたので、通告に従い、順次一般質問をさせていただきます。
 まず一番目に、和歌山市内環状鉄道交通についてであります。
 来年春には新和歌山県立医科大学附属病院もオープンされ、その時点では出入り口が国道側と和歌川沿いの二カ所だけであります。ただでさえ渋滞ぎみの国道四十二号線、国体道路はもちろんのこと、周辺の道路に至るまで東西南北から交通量が増加して、最悪の事態にならないものかと憂慮されます。特に、紀三井寺交差点の渋滞たるや想像を絶するものになること確実であります。
 和歌山県においては、平成十年度に国体道路周辺の渋滞対策、機能分担の調査事業を行うと聞いておりますが、和歌山市においても、この予想される交通渋滞に備えて運輸省へも直接陳情に行くなど、自動車交通抑制調査に懸命の努力を払われておるとのことです。また、JR紀三井寺駅から医大病院まで歩いて十五分もかかる距離を考えると、高齢者、身体障害者など社会的弱者、患者の方々には随分酷な話です。JR紀三井寺駅から国体道路までを県の事業、国体道路から新医大の北側をつなぐ道路を市の事業という都市計画道路が予定されておりますが、用地買収にもまだ当分時間がかかる中、何か交通手段がないものでしょうか。さらに、観光客が減少している和歌浦、田野、雑賀崎地区の集客手段として、南海市駅から和歌山港駅を通って水軒まで続く線路を何とか観光地まで延ばしてお客様を呼んでくる手だてがないものでしょうか。
 と考えてくると、南海和歌山市駅とJR和歌山駅を結び、JR和歌山駅からJR紀三井寺駅までのJR線を利用、JR紀三井寺駅から用地買収をほとんど伴わない形で公の道路下を利用して、トンネルで新医大病院のところに新医大駅、国道四十二号線と芦辺通り、すなわち県道新和歌浦線の交わるあたりに和歌山東駅、そして新和歌浦駅、雑賀崎駅、最後に水軒駅へとつなぎ、水軒駅から南海市駅まで既設線路を使用する、左回り、右回りの二車線の環状鉄道が代替交通手段として非常に有効に機能するのではないかと提言いたします。
 和歌山駅から紀三井寺駅まで四・七キロ、和歌山駅から和歌山市駅まで三・一キロ、市駅から和歌山港駅まで二・八キロ、和歌山港駅から水軒駅まで二・六キロ、合計十三・二キロ、そして水軒駅から紀三井寺駅までの新線が約四キロメートルと概算されます。合わせて十七・二キロから多くて二十キロメートルでありまして、一周三十分からせいぜい四十五分の環状線であります。
 紀三井寺への参拝客もかなり見込まれておりまして、シーズンには駐車場探しも大変であります。また片男波海水浴場についても、実は近畿最大の海水浴場として県外の人にも大変人気のあるところでありますが、七百台の駐車場スペースしかありません。神奈川県の有数の海水浴場江ノ島海岸では、小田急の江ノ電が自動車の渋滞をある程度緩和させる役割を果たしてくれていることを考えれば、この環状鉄道も大きな役割を果たしてくれるに違いありません。
 JR線、南海線、和歌山臨港線という異なった経営主体に新線が加わるという複合路線になって、線路、電圧、運賃、若干の用地買収、何両編成にするかといった問題は生じてきますが、将来の、いやごく近い将来の深刻な交通問題の大きな補強策になるものと信じております。それに伴って、従来のバス路線についても市内環状バスの走行も有効になってくるのではないでしょうか。そして、この環状鉄道線が実現すれば、将来的に関空から直通で雑賀崎、新和歌浦へ観光客が訪れられるような線も考えていけます。また水軒駅は、将来、和歌山下津港の港湾機能が充実し、工業団地もにぎわいを見せてくれば、通勤客に大いに利用されることになるでしょう。大きなイベントが開催される和歌山ビッグホエールの有効な活用のためにもJR宮前駅がクローズアップされてきますし、この駅のリニューアル、和歌山ビッグホエールへの近道歩道整備も附帯的に進める必要がありましょう。
 この環状鉄道建設費用でありますが、大手建設会社の研究所の試算で、片側一車線の二車線道路トンネルのシールド工事が一メートル当たりおおむね二百万円から三百万円でありますから、鉄道トンネルではこれに架線、駅舎等が加算されますので、一メートル当たりおおむね二百五十万円から三百五十万円と考えられます。今回の環状線は全長が約四キロメートルでありますので、超概算で約百二十億円から百五十億円という建設費が試算されることになります。トンネル掘削工事によって、一メートル当たり百立方メートルとして、合わせて約四十万立方メートルの土砂が発生いたします。この土砂を至近距離にある和歌山下津港本港沖地区の埋立土砂の一部として充てれば、当鉄道事業の一つの財源の確保にもなります。約二十億円、いやそれ以上の財源が概算で生み出されるとのことであります。第三セクター方式によって、県、市、JR、南海それぞれのご負担もいただけるならば決して法外な夢物語ではないと思うのですが、いかがでしょうか。ぜひ検討いただきたいと思います。
 二番目に、和歌山市雑賀崎についてであります。
 去る五月二十日水曜日の午後、私は雑賀崎漁港から地元の漁船へ乗せていただきまして、雑賀崎沖に連なる大島、中ノ島、双子島の島々を海上から観賞する機会をちょうだいし、夕日に映える景観を眺めてまいりました。大島には船を着けていただき、途中まで小高い丘を登ったり、岩場を歩いてまいりました。
 聞くところによりますと、昭和三十年代には島への渡船観光もあって、茶店も開かれていたとのことでありました。船着き場から島に登りやすいように階段状に整備もされており、上に上がるための通路跡も見ることができました。しかし、雑草が繁茂し、とても頂上を制覇できるような状況ではありませんでした。岩場を歩きますと、食用に供する海藻類が付着し、潜ればアワビ、イセエビもとれるとお話をいただきました。
 大島を出て、今回の埋立計画の線引きがなされている大島の北百五十メートルから二百メートルのところへ船をとめていただいて島を眺めてみましたが、水軒一文字波止際から千五百メートルの沖出しの港湾関連用地がもしできるとなると、まさにインパクトは強烈であります。現実に、潮流はせきとめられた形になりますし、海から見ても、だれの目から見ても余りに島から近づき過ぎており、もし大島から逆にこのたびの計画用地を眺めたならば、人工建造物の威容に圧倒されるのではないかと感じました。
 そこから、双子島、中ノ島の方へ移動すると、いかにも潮の流れのよい好漁場のように感じましたし、魚群探知機にもよい反応が出ておりました。さすがに沖から見ると、島の向こうに見える青石の雑賀崎の海岸伝いは絶景でありました。また、ことし二月に地元住民によって確認された台場の鼻も、昨今の大雨等でがけ部分が随分崩れていたことをここで報告しておきます。
 お客様の人数次第で、今でも新和歌浦から雑賀崎沖を回る遊覧船も出るということですが、ぜひ和歌山市、地元の観光組合、旅館組合の方々ともご協議いただいて、片男波、新和歌浦、田の浦、そして雑賀崎を含めた陸からも海からも楽しめる周遊観光が実現できるよう、地元関係者の方々の熱意の高まりを期待するものであります。これこそ観光立県和歌山県の求めている心の豊かさを実感できる観光のあり方ではないでしょうか。
 さて、平成十年四月二十二日、県は、和歌山下津港本港沖地区景観検討委員会の委員を発表し、景観、環境工学を専門とする大学教授、助教授七人が委員に指名されました。去る五月九日には第一回の検討委員会が開催されました。この中で、概算事業費が数百億円、雑賀崎、和歌浦周辺が自然環境ゾーンとして位置づけられていないことへの疑義が示されました。また、案の段階で公表しなかったことが混乱の原因であり、行政手続の進め方が十年おくれているとの批判、眺望を基準にしてどこまで埋め立てが許されるか検討すべき、埋立地ができることで海側から雑賀崎を眺める新たな視点が生まれる、市民が万葉時代をしのぶことのできる方法を考えた方がいいとの意見も出ました。
 さらに五月十八日、計画に反対する八団体と推進派の一団体から検討委員会の意見聴取が行われました。広く各種団体から公に意見を聴取する機会が、遅過ぎる感は否めないにせよ持たれたことは、有意義であったと思います。その中で、雑賀崎地先金属機械工業団地の造成事業計画に約束された緑地がいまだ手つかずの状態になっているという指摘がありました。これも、今回の反対運動の大きな原因になっているとしか思えません。だから、このたびの港湾関連埋立用地につくられる緑地帯にしても、どうにも説得力に欠ける気がしてならないわけであります。
 反対意見の中にも、県として傾聴すべき点がかなり指摘されたと思います。埋立地の場所、線引き、そして視点場の設定、潮の流れ、現景観から受ける開放感等々。そして去る六月十三日の検討委員会では、番所の鼻から大島を結んだ線から北方に最大二十度の範囲の景観の眺望の確保、それによって埋立地と雑賀崎の間を五百から一千メートル引き離すという具体案が掲示され、それを受けて県港湾課の計画見直しと早期の地方港湾審議会での議論の必要性を認めるコメントが十四日の毎日新聞等各紙朝刊で掲載されておりました。このことは、昨年十一月二十八日の中港審における環境庁意見の趣旨にも合致するものとして、かなり尊重されるべき具体性を帯びた意見が出てきたと私は評価いたします。
 陸上交通網の整備と同時進行で、海上交通、交易の重要拠点として和歌山下津港を真の特定重要港湾として整備していくことが、二十年、三十年後の和歌山県の発展にとって、また近畿圏の災害に対するリスク分散にとってなくてはならないものであるからこそ、今までの行政主導で行われてきた議論の空白を埋めるくらい貴重なる各界の意見を最大限に真摯に受けとめ、検討委員会で幅広い意見を聴取検討した上で、九月までには一つの結論を出して、後顧の憂いなく、再び来るべき中港審に臨んでいただきたいと思います。
 私自身は、以前より親しんできた番所の鼻から加太、友ケ島、淡路島と万葉の歴史をしのばせる視界が確保できる範囲での本港沖地区での港湾建設はやむなしと思っております。また、大水深のある北港沖地区に外貿機能を拡充させることも、やはり必要だと思っております。
 そこで質問に入りますが、一、現時点で雑賀崎地先の金属機械工業団地の緑地はいつ着工、完成を予定されておりますか。
 二、去る十三日の検討委員会では具体性を帯びた意見も出てきました。西口知事も去る四月九日の記者会見で、景観の検討会を設置して、計画の見直しがあった場合には再度港湾審議会に諮るという基本方針を明らかにされました。今後、ことしじゅうに景観検討委員会をどういった内容で開催し、いかに本港沖地区埋立計画に反映させながら取りまとめていくおつもりですか。
 三番目に、浸水、洪水対策、和田川支流域、亀の川下流域について質問させていただきます。
 ことしも五月中旬より降雨量が多くなり、各地で浸水被害が見受けられました。去る五月十六日土曜日の雨で和歌山工業高校前の交差点にも夜間水があふれ、五十センチほどたまった中を自動車で移動したものです。翌日以降、和歌山市内各所から苦情を訴えるお話をいただいたわけでありますが、今回は、以前より特に要望の多かった和田川支流域と亀の川以南域に絞って質問いたしたいと思います。
 雨水による浸水防除のためには下水道の整備は最も緊急を要するものであります。和歌山市も、公共下水道の設置、管理に常日ごろご尽力をいただいているわけであります。近年、急速な市街化の進展に伴い、緑地、空き地が減少し、道路、宅地が増加したため、雨水の浸透が少なくなり、短時間に大量の雨水が流出するようになってきております。このような状況に対処するためには、単に下水管や側溝を通して下流河川へ雨水を排除するだけでなくて、雨水貯留施設や雨水地下浸透施設を設けることにより雨水流出量を低下させるような雨水流出抑制を考える必要も出てくるでしょう。
 和田川の支流になる山東地区を流れる平尾川、永山川、そして和田川上流域の平尾地区や口須佐地区においても、県道まで水がつくことが少なくありません。和歌山市においても、今年度より和田川と上記支流合流点から東へ六百三十メートル区間の河川改修事業に取り組んでおられます。その南の和田川上流域においても県で対応していただいておるわけであります。また、東池へ流れる境原、頭陀寺地区を通る境原用水の改修についても市の事業として進めていただいております。しかしながら、和田川は潮の干満に大きく左右される川でありまして、支流域の改修あるいは和田川自体の河川の拡幅や河床を掘り下げるような改修では到底抜本的解決にはならないのが現実であります。和田川は、国体道路の和田川橋、三葛橋付近、すなわちダイエー和歌山店南側で中津川とともに和歌川と合流するわけでありますが、この合流地点付近に大雨量に対応できる大ポンプ場を建設できないものでしょうか。これは、和歌山市にとどまらず、和歌山県の浸水防除対策として考えていただきたいわけであります。
 次に亀の川下流域でありますが、川の以南部は土地が低く、浸水の被害をよく耳にする地域であります。亀の川は川幅も狭く、川の容量も小さいので、大降雨時には洪水を引き起こす危険のある河川です。すなわち、大量の雨水が短時間に集中して流れる河川であり、外水災害をもたらすものであります。河口手前には国道四十二号線との交差部分もあり、本格的な河川改修が進んでいない状況です。住民の生活を脅かすような大災害を起こさないように、早期の亀の川の改修をお願いいたしたいと思います。土木部長の前向きな答弁をお願いいたします。
 四番目、和歌山県動物愛護センターについてであります。
 動物保護管理行政と動物愛護推進、並びに人と動物が共生する社会づくりのための中核機関として、平成八年度より五年計画で海草郡野上町国木原西野地内において、自治省のふるさとづくり事業の指定を受け、和歌山県動物愛護センターの建設事業が行われております。取りつけ道路、造成事業、建物その他で総額五十余億円の事業と聞いております。動物との触れ合いを通じた精神的な豊かさを追求するものとして我が県にも建設されることは、動物を愛する者の一人として喜ばしいことであります。
 建設に当たって、以下のことを要望かたがた質問申し上げます。
 一、公園を含めた用地面積が九万五千平方メートルと聞いております。また、進入道路が野上町のご協力により一キロメートル半に及ぶ七メートル幅の町道に拡幅していただけるとか。野上町という山あり川ありの大自然に恵まれた中、完成後は和歌山県内外の人々の観光、憩いの場所になるように、梅なら一千本ぐらい植えられるスペースがあるということですが、花の咲き乱れるような公園であってほしいと思います。その点、どのような計画を立てておられますか。
 二、手足の不自由な方々でも車いす等で自由に中を見られる施設であってほしいと思います。身体障害者への配慮はいかがなものですか。
 三、和歌山県獣医師会では、平成八年より学校動物委員会をつくって、学童と動物の触れ合い運動を展開されております。毎月、獣医さんが動物通信をつくってくださって、和歌山市教育委員会から市内七十四カ所の幼稚園、小学校に配布されていると聞いております。そして、学校からの要請があり次第、直接の指導に行ってくれております。ことし二月には、横山ノック大阪府知事がこの活動を聞きつけて、和歌山県へ大阪府教育委員会が学習に駆けつけたと聞いております。動物との触れ合いを通じて児童に及ぼす心の教育効果ははかり知れないものがあると思います。当センターにおける学童と動物のかかわり体験について、動物の飼い方の実習等、具体的な内容をお示しください。
 四、動物の焼却施設についてでありますが、従来はほとんど一般ごみと一緒に市町村の施設で焼却されておりました。このたびのセンターにおいては、全県下をカバーする動物の焼却処分が行われる施設もつくられると聞いております。平成四年にオープンした滋賀県の施設は二・五ヘクタールしかなくて、焼却炉が管理事務所のすぐ裏にあると聞いております。動物と触れ合うことを楽しみに来る子供たちの情操教育上の見地からも、焼却施設の場所選定には最大限の注意を払っていただきたいと思いますが、いかがですか。
 五、動物を焼却した後、何らかの供養は動物愛護の精神からも必要不可欠でありましょう。茨城県や栃木県における施設においても好評と聞いております。和歌山県動物愛護センターにおいては、動物たちの供養についてどのように対処なさるおつもりですか。
 六、阪神・淡路大震災時、被災動物の救護のボランティア活動が積極的に行われたと聞いております。本年二月一日には、神戸市で大震災時の犬、猫二千匹の供養がしめやかに行われました。その際に問題になったのは、昭和四十八年十月一日に公布された動物の保護及び管理に関する法律であります。第三条には九月二十日から二十六日までの動物愛護週間についてうたわれておりますが、第一項に「ひろく国民の間に動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深めるようにするため、動物愛護週間を設ける」とありますが、この中に子供と動物との触れ合いを盛り込むべきではないかということであります。今日、子供の道徳、情操教育が大きく問われる中、時代にふさわしいものにすべく、この法律を二十一世紀に向けて一部改正すべきときに来ているのではないでしょうか。総理府、厚生省、文部省においても賛成の声が上がり始めていると聞きます。和歌山県でも、毎年、動物愛護週間に行事が行われており、ことしは九月二十日に和歌山市内でとり行われるそうであります。県におかれても、当センターの完成に合わせた国への要望等働きかけていただきたいと思いますが、いかがですか。
 最後に、環境調和型町づくり計画(エコタウン事業)について質問させていただきます。
 和歌山県に限らず地方自治体においては、年々増加する廃棄物に対して、既存の処理施設及び処分場では対応し切れず、さまざまな社会的問題を引き起こしております。ところが、新たな施設の建設及び他の自治体からの廃棄物の受け入れは困難な状況となっておりまして、ごみの減量化とリサイクルへの対応が急務であります。また、環境保全に関するコストの最小化を図っていかなければなりません。
 そこで通産省では、リサイクル政策でのパートナーである厚生省と連携してゼロ・エミッション構想、すなわちある産業から出るすべての廃棄物を他の分野の原材料として活用し、あらゆる廃棄物をゼロにして新しい資源循環型の産業社会の形成を目指す構想のもとに、平成九年度よりエコタウン事業を創設しました。その目的は、一、個々の地域におけるこれまでの産業蓄積を生かした環境産業の振興を通じた地域振興、二、地域における資源循環型社会の構築を目指した産業、公共部門、消費者を包含した総合的な環境調和型システムの構築であります。具体的には、それぞれの地域の特性に応じて都道府県または政令指定都市が作成したプランについて承認を受けた場合、当該プランに基づき実施される事業について、地方公共団体及び民間団体について補助率二分の一で総合的、多面的な支援が実施されるのであります。ハード面だけでなくソフト面においても、環境関連の調査事業、講習会の実施などにも補助がおりるわけであり、和歌山県としても迅速なる対応が必要なのではないでしょうか。
 例えば、新潟県上越市が一九九六年、国際標準化機構(ISO)により制定されたISO一四〇〇一という国際環境管理・監査規格を自治体で初めて申請し、のびやかJプランとして省エネ・リサイクル型都市(エコシティ)基本構想なるものを掲げて、環境に優しい町づくりに積極的に取り組んでおられます。ISO一四〇〇一という国際標準を地方公共団体の環境行政に導入して、さらに第三者機関のチェックを受けることで市民への情報開示の推進と行政の透明性を高めるねらいがあり、民間企業にも取得を促していくというところに大きな意義が見出されるものであります。
 和歌山県も、新エネルギービジョンが平成九年三月に策定されておりますが、新エネルギー導入を推し進めるに当たっても、ぜひ国際規格導入について検討いただいてもよい時期に来ているのではないでしょうか。
 また、本年一月二十四日から二十五日に、和歌山ビッグホエールで第十回農業情報ネットワーク全国大会が開催されておりまして、私も知人の誘いで見学に行ってまいりました。そこで目にとまったのが生ごみの高速発酵処理システムでありました。生ごみを機械に入れて、発酵という微生物のエネルギーを利用し、減容減量化をして飼料や有機肥料といった付加価値の高い商品を生み出すものであります。
 実用例として、千葉県庁や東京都港区区役所の残飯処理とその後住民への無料配布、パレスホテルの岩槻工場で鳥がらを飼料に変えたり、東京都北区の小中学校では給食の生ごみを給食用無農薬野菜肥料に変え、あるいはギョウザの王将の一部の店で生ごみを客の持ち帰り用有機肥料にしたり、枚挙にいとまがありません。この有機肥料を利用した有機農法によって、ひいては生ごみを減らすことができるのです。
 ごみ処理の基本は、まずその発生を抑制するとともに、発生したものは最大限再資源化することであります。設置に当たっては、生ごみ処理システムに限らず、リサイクル関連で農林水産省、厚生省、文部省等の補助率二分の一といった補助事業もあります。ぜひご一考をいただきたい。
 先月通産省は、平成十年度補正で環境・新エネルギー分野における社会資本の重点的整備を呼びかけております。地球温暖化問題、廃棄物、リサイクル問題等、時代のニーズは刻々と変化してきております。環境問題というものは、住民も企業も、そして行政も一体となって取り組むことが何よりも大切でありましょう。和歌山県としてのエコタウン事業への今後の取り組みについてお聞かせください。
 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴、まことにありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○企画部長(中村協二君) 長坂議員にお答えをいたします。
 和歌山市内の環状鉄道交通についてでございますが、議員ご指摘のとおり、国道四十二号国体道路周辺の渋滞あるいは海水浴シーズンにおける和歌浦周辺の渋滞は、県としましても深刻な問題と受けとめており、国、県、和歌山市などの道路交通行政と鉄道、バスなどの公共交通機関が一体となって、現在その解消に向けて取り組んでいるところでございます。
 議員ご提案の和歌山市内環状鉄道構想につきましては、和歌山市内の総合交通体系の将来的なビジョンの一つとして研究させていただきたいと存じます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 長坂議員のご質問にお答えいたします。
 まず、和歌山市雑賀崎についてのうち金属機械工業団地の緑地についてでございますけれども、この四ヘクタールの緑地につきましては、昨年の台風七号、九号によりその前面の護岸が越波を受けたため、その対策として消波ブロックを設置する必要があり、その結果として植栽等の着工がおくれておりました。今後できるだけ早期に着工し、おおむね三年間で緑地整備を完成させる予定としております。
 次に、景観検討委員会の今後についてのご質問でございますけれども、和歌山下津港本港沖地区の景観問題につきましては、昨年十一月、国の港湾審議会での意見を受けまして、現在、和歌山下津港本港沖地区景観検討委員会を設け、環境や景観に対し見識の深い専門家の方々にご検討いただいているところでございます。これまで二回の委員会を開催するとともに、地元の方々等の意見を委員会メンバーにお聞きいただく場を設けるなどして検討を進めてきたところでございます。また、六月十三日の委員会で伺った景観上配慮すべき事項についての意見を踏まえ、港湾機能面も含めた検討を鋭意行っているところでございます。
 今後、地方港湾審議会へ報告し、意見を聞くとともに、景観検討委員会では景観計画の検討、修景計画の検討等について段階的に検討を進め、地元の方々の意見も聞きながら、港湾計画の見直しについて柔軟に対応してまいりたいと考えております。
 次に、浸水、洪水対策に関するご質問についてお答えいたします。
 まず和田川の河川改修計画でございますけれども、流域の山地や平野に降った雨を安全に和田川を通じて海に流下させる、また高潮から農地や市街地を防御する、この二つの目的のために沿川の低平地では堤防を計画的に築くこととしております。また、洪水時に生じる低平地の内水につきましては、下水道事業や湛水防除事業によりポンプ施設を用いて強制的に和田川に排水することとしておりまして、毎秒二百六十立方メートル──二百六十トンですけれども──を和歌川を通じて和歌浦湾に流下させる計画としております。
 議員の、大規模なポンプ場を建設することにより沿川の低平地の内水排除を図るというご提案ですけれども、このようにするためには洪水時の和田川の水位を沿川の低平地の地盤高より低くしておく必要があります。しかし、このためには和田川の川底を現計画以上にかなり深く掘り下げなければなりませんが、これは極めて大規模な工事となります。また、このように掘り下げますと、平常時においては海水が和田川を今以上にさかのぼることになるため、農業用水や地下水など利水面の支障や生態系等、環境面での影響もはかり知れません。さらに、このように深く掘り下げられた場合、和田川を流れる水をスムーズに流下させるためには、あわせて和歌川合流点から和歌浦湾にかけての区間についても深く掘り下げなければならなくなりますが、これまた極めて大規模な工事になります。これらのことから、実施するには相当な困難が予想されます。
 以上のことから、事業の実施可能性、合理性から見て、現計画に基づき和田川の改修を進めていくことが最も妥当と考えられますので、今後とも和歌山市や関係部局と連携を図り、現計画により浸水対策を講じてまいりたいと考えてございます。
 次に亀の川改修についてでございますが、河口から県道岩出海南線の紺屋橋までの四千八百メートル間のうち、羽鳥橋までの延長千六百七十メートルの改修を図るため、川幅の拡大に伴う用地買収を進めておりまして、特に河口から国道四十二号御里橋間、延長四百メートルの用地取得を地元の協力を得て強力に推進しているところでございます。さらに、ネック部となっている国道四十二号御里橋の改築を行うため、現在、管理者である建設省と協議を行っているところです。
 今後も引き続き、用地買収等、地権者、地元の皆様のご協力を得ながら、亀の川改修の早期完成に向けてさらに努力してまいります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 長坂議員ご質問の、和歌山県動物愛護センターについての六項目に対しましてお答え申し上げます。
 まず一番目の、公園としてどうかということであります。
 動物愛護センターは、人間と動物が共生する潤いある社会づくりを目指していくための動物保護管理行政の中核機関でありますが、周辺の自然環境を生かし、幼児から高齢者までの幅広い県民が動物との触れ合い体験ができ、また休養やレクリエーション活動のできる花や木を植栽した緑地公園など、一日楽しく遊び、学べる県民の憩いの場として身近で自由に利用できる施設にしてまいりたいと考えてございます。
 二番目の、身体障害者への配慮というご質問であります。
 体に障害のある方々への配慮についてでございますが、県福祉のまちづくり条例に基づいた優しい施設計画を進めております。具体的には、階段等の段差をなくし、来館者の出入り口には自動ドアを採用し、駐車場、トイレ、受付カウンター並びに啓発機器等の構造につきましても、車いす等で利用できるように設計を進めており、だれでも気軽に訪れることのできるように考えております。
 三番目の、学童と動物のかかわり体験についてでございます。
 動物に興味を持ってもらうために、世界各地で人間とともに活躍している動物たちの様子や人間と動物たちの寿命の違いなど、グラフィックパネルや映像を通して関心を高め、より身近な問題として興味を持っていただき、しつけの重要性、動物との接し方を学んでもらえる展示を計画中であります。
 なお実習計画につきましても、一日飼育体験やしつけ方教室など、実際に動物と楽しく触れ合うことにより、コミュニケーションや生命のとうとさ、人間と動物との共生について関心を持ってもらえるような内容を考えてございます。
 四番目の、動物の焼却施設についてであります。
 焼却施設につきましては、子供の情操教育上、並びに景観上の見地から、一般利用者の立ち入りが少なく、動線計画の上からも敷地の奥の方に配置するなど、情操教育上の配慮に努めてまいりたいと考えております。
 五番目の、供養についてでございます。
 動物の供養につきましては必要と考えておりますので、全体計画の中で緑地公園等とマッチしたシンボル的なものを計画中でございます。
 最後に、動物保護管理に関する法律についてでございます。
 この法律を改正しようとする動きがあることは承知いたしております。その中には、青少年の健全育成の一環として動物を活用した情操教育の推進が含まれていると伺っております。県といたしましても、実現に向け、国に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 環境調和型町づくり計画(エコタウン事業)についてお答えいたします。
 我が国経済が持続的に成長するためには、大量生産、消費、廃棄という従来型の経済活動の仕組みから、環境と共生した新たな経済社会を構築していくことが重要な課題であると認識しております。
 このような中、平成九年度に通商産業省が創設したエコタウン事業につきましては、本年五月、新たに厚生省と通商産業省の連名で計画策定要領及び承認基準等が示されたところであります。商工労働部といたしましても、今年度において県内企業のリサイクル、省資源化推進のための調査を行っているところでございますが、今後、エコタウン事業への取り組みについて、市町村及び関係機関と協議しながら検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番長坂隆司君。
○長坂隆司君 交通対策なんですけれども、医大病院ができたら紀三井寺周辺の交通渋滞は大変なものになると思います。本当に真剣に取り組んでいただきたいと要望しておきます。
 それと、和歌山県動物愛護センターについて一つだけ申しておきます。
 例えば、茨城県の場合、茨城県動物指導センターが開設されておりまして、動物行政一元化に伴い、当県ではセンターに隣接した場所に約一ヘクタールの用地を確保されて、茨城県獣医師会がペット霊園というものを設置しております。業者に委託して、遺体の取り扱いから、火葬、納骨堂をそろえて、春秋の彼岸には合同慰霊祭をとり行って供養をいたしております。
 今後の課題として、せっかくの日本一の動物愛護センターなんですから、本県におかれても動物たちの供養について十分に考慮していただきたいと要望しておきます。
 終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
      ─────────────────────
○議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十一分散会

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