平成10年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(新島 雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 私たちのチームのエースの質問が終わりました。怒りをかみ殺した、厳しい質問であったように思います。これを野球で言いますと、ピッチャーが怒っているのに、同じように女房役まで怒ってしまいますとゲームになりません。穏便にゲームをつくっていかねばならないのですが、私は、大変お世話になった先輩に「政治は怒りだ。怒りを持って行政に参画しろ」、そんなことを教えていただいたのを今もう一度思い出しているような次第であります。
 向井先生の質問が終わりますと、傍聴席ががらんとしてしまいました。それにもめげず、お許しをいただきましたので、元気よく質問を始めさせていただきます。
 「私が変わる。世界が変わる。地球の恵みを守るため 京都議定書と私たちの挑戦」と題して、昨年十二月の地球温暖化防止京都会議での採択を受け、五月に環境庁より内容と意味を解説したパンフレットが出されました。──これでございます。
 この中の小さな文字があるのですが、「地球の温暖化は、オゾン層の破壊、酸性雨、砂漠化などの地球規模の環境問題の中でも、最も深刻な問題です。それは、温暖化の問題には、一、石油や石炭の利用など人類の経済活動そのものが原因であること 二、温暖化がもたらす食糧生産の減少や海面上昇による土地の浸食、洪水や干ばつなどは、私たちの生活に重大な影響を与えること 三、影響は私たちの子孫の代になるとますます大きくなること などの特徴があるからです。地球の気温は人類がこれまでに経験したことがない速度で急上昇しています。」、そんなことが書かれております。
 六月は環境月間であります。産業型公害や都市生活型公害、さらには地球規模での環境問題を解決していくには、県民、行政、事業者など、それぞれの立場で積極的に環境保全に取り組んでいかねばなりません。
 そこで、事業所における取り組みの一つとして、私はかねてよりISO一四〇〇〇、すなわち環境管理及び監査にかかわる国際標準規格について関心を持っておりました。平成十年三月現在で全国で八百を超える認証取得がなされており、企業だけでなく、自治体としても千葉県の白井町、新潟県の上越市などが取得し、大阪府などでも取得に向けて準備を進めていると聞いております。県レベルでは、滋賀県の工業技術総合センターだけが取得しているということであり、ISO一四〇〇〇と、もう一つISO九〇〇〇シリーズというのがありますが、これにおいては三月末現在において県内で二十二社が取得していると聞いております。
 私は、このISO一四〇〇〇シリーズが県内でもどんどん普及していくことを願い、また和歌山県が環境に優しい県であるというアピールをする意味でも、次の質問をしたいと思います。
 まず、県内におけるISO一四〇〇〇の認証取得状況をお教えいただきたい。そして、自治体の取得という観点から、県みずから取り組んでいくお考えや姿勢があるのかどうかお教えをいただきたい、そのように思います。
 次に、公共性の高い交通機関の利便性という観点より質問をいたします。
 南海貴志川線、これは今、JRの和歌山駅というところでとまってしまいます。これを何とかして南海の和歌山市駅まで乗り入れることができないだろうかということであります。
 何年か前にも先輩議員が質問をなさっておりますが、私は、和歌山市の河西地区というところに住んでおります。仮に、今、私は運転免許が何らかの理由で停止になったといたします。そうなると、免許センターへ講習を受けに行かなくてはなりません。では、公共の交通機関を利用して免許センターへどうして行くかということを考えてみますと、まず南海加太線を利用して市駅へ出ます。ここから、和歌山バスに乗ってJRの和歌山駅へ行きます。そこでまた、南海の貴志川線に乗りかえます。そして、今度新しくできるであろう交通センター駅まで行くという経路を使うと思います。
 もう一つの方法は、この南海市駅とJR和歌山駅との間を走っている和歌山線というんですか、JRが一時間に一本程度走っておりますが、それを利用するという方法です。どうしても二度の乗りかえをしなくてはなりません。なぜゆえに同じ南海電鉄を利用するのに二度の乗りかえを必要とするか。どうしても不思議でたまりません。
 また、JRと南海市駅との間には線路があるのです。この線路を利用すれば走れないことないではないかと、素人考えをしてしまうわけであります。この乗り入れが可能となってきますと、加太線へ乗った時点で、乗りかえなしに交通センター駅まで行ける可能性がぐんと高まるわけであります。
 これは、将来的な夢の話として、また要望としてお聞きをいただいたらいいんですが、この路線が結ばれるということになりますと、今度は、南海加太線を大川峠を越えて南海の多奈川線と結ぶことが可能ではないのかと、ついつい思ってしまいます。そうなると、貴志川方面からJR和歌山駅を通り南海の和歌山市駅へ行く、そして加太まで行く、そこからまだ紀淡海峡の連絡道を望みながらみさき公園へ遊びに行く、そんなルートもできてくるわけであります。欲を言うならば、今、市駅から和歌山港駅まである電車が和歌浦まで延びておれば、難波から乗りかえなしに和歌浦の旅館街へ直行できる、そんなこともついつい思ってしまいます。
 この路線を何とかして──技術的にはいろんな問題があるのかもしれませんが、同じ南海電鉄ですので、どうにか結べないかという要望です。それに対する県当局のお考えなり、また今までどう対処してきたのか、お答えをいただければ幸いであります。これについては、南海電鉄の営業面ということも考えなくてはなりませんが、それ以上に、公共性の高い交通機関であるという使命感を考え合わせていただけたらと、そのように思います。
 最後の質問であります。教育に関する質問をいたします。
 教育長は、四月二十三日の記者会見の席上、次のようにおっしゃっておられます。「教育現場も転換を迫られている。私なりに、和歌山らしい教育を創造していきたい」と、抱負を述べておられます。
 では、その「和歌山らしい教育」とは何なのかということであります。私は、この「和歌山らしい」という言葉の持つ意味は大変重要であり、またすばらしい言葉であると考えます。行政の場においても、また私たちのふるさとを語る上でも、常に求められるのがこの「和歌山らしさ」ではないかと思います。
 では、この「和歌山らしさ」を教育現場において、また教育長自身どう表現し、具現化をしていくおつもりなのか、お教えをいただきたいと思います。
 人つくらずして、国滅びます。今こそ、人づくりの重要性を再認識し、できればこの質問には担当者の作文ではなく、教育長自身の言葉で、気持ちで答弁をいただけたらと、そのように思います。
 もう一点、質問をいたします。
 公立高校の推薦入試枠についてであります。
 この問題については議論を要するところでありますが、昨年の和歌山市中学校校長会及びPTA連合会からも要望が出されております。私も常々、推薦で入学してしまう生徒が多いため、三月の入学試験で合格を目指そうと頑張っている生徒の枠が非常に狭められているのではないかと考えております。校長会及びPTA連合会の要望は、推薦枠を各専門学科において五〇%程度に抑えてほしいとのことであります。現在、多いところでは八〇%にも達しているのが現状であります。
 全国的に、この専門学科における推薦を比較してみたいと思います。まず、全国平均は三二%程度であります。では、和歌山はどうなっているか。平均で、約二倍の六二%弱にも上っております。この数字は、宮城県の九八・八%──ほとんど一〇〇%なんですが──それに次いで堂々の二位であります。
 ここで、宮城県の、専門学科以外の内容を少し紹介をさせていただきます。普通科での推薦入試枠は九六%、総合学科においては一〇〇%であります。そうなってくると、宮城県の公立高校の入試そのものが限りなく一〇〇%に近い推薦入試であるということです。現時点においては特殊な県になるかと思います。それを除けば一位、そこを入れて二位ということであります。
 では、和歌山県においての普通科、総合学科はどうなっているかということでありますが、普通科の推薦枠はゼロであります。総合学科においては六五%。では、全入学者に対する推薦入学の比率を見てみますと、和歌山県の場合、二七%弱になります。全国平均を見てみますと一七%、ここでも一〇ポイント上回っております。では、全国的にどの程度の地位を占めるかと言いますと、上から六番目であります。ちなみに、普通科の推薦枠が一%未満の都道府県を調べてみました。和歌山県を含めて、九都道府県であります。
 そんな数字をずっと並べてみましたが、今後、この専門学科における極めて高い推薦入学者の比率や普通科における推薦枠の導入、こういうことをどう考えておられるのか、またどう方向性を示していかれるのか、そういうことをお答えいただきたい、そのように思います。
 以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの新島雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 新島議員にお答え申し上げます。
 ISO一四〇〇〇についてのうち、県内における認証取得状況についてでありますが、事業者が自主的に環境保全に関する取り組みを行うため、環境に対する方針をみずから設定し、事業所内の体制や手続を整え、客観的な立場から監査を行うシステムの国際規格がISO一四〇〇〇シリーズであります。平成十年三月現在で、県内三事業所でISO一四〇〇一が取得されていると聞いております。業種としては、鉄鋼業一社、電気製品製造業二社であります。
 続きましては、県みずから取り組まないのかというご質問でございますが、大規模な事業者、消費者である県庁みずからが地球温暖化防止に向けた取り組みを進める必要があることから、本年四月に和歌山県庁環境保全率先行動計画を策定し、出先機関を含め、全庁的に省エネルギー、ごみ減量化、職員の意識向上などの取り組みをスタートしております。
 この取り組みは、Plan(計画の制定)、Do(実行)、Check(点検)、Action(見直し)という、いわゆるPDCAサイクルを繰り返す内容となっており、ISO一四〇〇一の環境マネジメントシステムを踏まえたものとなっております。
 ISO一四〇〇一の認証取得については関心を持ってございまして、今後鋭意研究してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 企画部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○企画部長(中村協二君) 新島議員の公共交通機関の利便性について、南海貴志川線の和歌山市駅への乗り入れについてのご質問にお答えをいたします。
 JR和歌山駅と南海和歌山市駅間を結ぶ鉄道につきましては、JRのみ一時間に一往復程度運行されておりますが、運行頻度が少ないことや乗り継ぎの問題があると考えております。
 一方、南海貴志川線の和歌山市駅への乗り入れにつきましては使用電圧──JRは千五百ボルト、南海は六百ボルトでございますが──信号保安設備の違い、その他、運転に必要な設備改良など問題点が多く、これらを解決するためには多額の費用が必要と聞いてございます。しかしながら、議員ご指摘の乗り入れにつきましては、公共交通機関の利便性向上を図るための一つの方策であり、将来的な課題として検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題についてお答えいたします。
 最初に、和歌山らしい教育の創造ということについてでございます。
 ご承知のとおり、本県は全国に誇ることのできる恵まれた自然、歴史、文化を初め、輝かしい業績を残した先人や各分野で活躍する多くの人材を有しております。郷土の持つこのようなすばらしい教育資源を十分生かし、子供たちが和歌山で学ぶことに誇りと喜びを持つことのできる教育を推進することが本県の教育に携わる者に対して課せられた大きな使命であると考えております。
 そのためには、全国どこにでもある教育をそのまま画一的に和歌山に当てはめて行うのではなく、独自のさまざまな工夫が必要であると思います。本県では、特殊教育諸学校と高等学校との連携を初めとする広範な学校間連携、全校生徒が農業実習を行う総合学科での試み、さらに、天文台の協力を得て地元の小中学校で天体や情報に関する学習を行うなど、他府県では余り例を見ない取り組みも少なくありません。
 今後とも、こうした特色ある取り組みを一層幅広く進めるとともに、ふるさと和歌山に根差した教育を力強く推進することにより、郷土のそして社会の一員としての確かな自覚を持って、二十一世紀をたくましく生き抜いていく心豊かな子供たちを育ててまいりたいと考えております。
 次に、推薦入試についてであります。
 推薦入試は、生徒の多様な個性や能力、適性、意欲等を積極的に評価するという観点から、職業関係学科を中心に導入をしてまいりました。入学した生徒は、目的意識が高く、その後の学習活動においても積極的な面が見られ、そのことが結果として本県の専門学科及び総合学科の教育の充実に大きな役割を果たしてきたものと考えております。
 推薦入試の枠につきましては、学校、学科の特色に応じて弾力的に定めることができるようにしており、議員ご指摘のとおり、全国的に見ても高い割合になっておりますが、当該学科で学びたいという強い気持ちと適性のある生徒を数多く受け入れることにより、学科全体に活力が生まれ、生徒も生き生きと高校生活を送っております。
 高校入学者選抜につきましては、今後とも多方面からさまざまなご意見をいただきながら、より一層の改善を進めていく必要があり、推薦入試のあり方についても重要な研究課題の一つとして、議員ご指摘の趣旨を含め、幅広い観点に立って検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で新島雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
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○議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午前十一時十五分散会

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