平成10年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(木下善之君議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
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○議長(木下秀男君) この際、お諮りいたします。総務委員会に付託されております議請第三十九号「非核平和の県宣言を求めるについて」の請願に関して、請願者より件名を「非核兵器の県宣言を求めるについて」と訂正したい旨、願い出がありましたが、これを承認することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
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○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番木下善之君。
  〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 議長の許しをいただきましたので、ただいまから一般質問をいたします。
 まず最初に、産業廃棄物問題について。
 橋本市野地内の日本工業所の問題でございますが、西口知事の英断で、平成九年五月一日より産業廃棄物の持ち込み禁止、焼却中止となり、同年七月一日より焼却予定の産廃物約三分の一の持ち出し、残り三分の二は十二月より翌年四月末までの期間で一次、二次合わせて約二万立方メートル、トラックにして二千四百台相当の持ち出しをされました。
 一方、「産廃富士」と言われてございます奈良県西吉野村の産業廃棄物、あるいは岸和田市の人家に近いところの産廃などは全く手をつけられておらず、西口知事の熱意と法を超えた判断で解決の方向を示されたことに感謝いたしますが、職員が逮捕されたことは知事の努力もむなしいものとなります。今後まだまだ解決されなければならない問題が残っており、次の四点について生活文化部長にお尋ねいたします。
 まず、設置許可に至る経緯についてであります。
 日本工業所は、平成七年春ごろより現在地において野焼きが始まり、平成八年春まで野焼きが続き、この間、現場火災が発生するなど、消防車出動七回を数え、県は野焼きは違法であるとし、行政指導のもと、業者は平成八年二月二十二日処理施設設置申請、同年四月三日に産廃処理業と収集運搬業の許可を与え、同年四月十一日より本格的に焼却を開始されたのであります。この間の野焼きの焼却灰は持ち出さず、埋め立てされていることも現実であります。業者は、多量の本格的な産廃を持ち込む以前から長きにわたり野焼きの違法を繰り返されており、この初期にとめられなかったこと、火種の小さいときに消せなかった点も、今後の教訓と考えます。炉による焼却は平成九年四月までの一カ年余り続き、相当量焼却され、その間、周辺住民に多くの被害を与えたことは事実であり、通院者が続出、入院された者、煙の害のため転居された者が出るなど、周辺地域の関係者は困り果てたと言わざるを得ないのであります。この焼却炉は極めてお粗末で、野焼きと大差のない上昇温度、四百度から五百度の助燃剤を用いなければ焼却できない炉で、ここにも問題があったと思う。県の当時の担当職員が関与し、逮捕、起訴されたことはまことに遺憾であり、警察の捜査と司直の手によって判明されると思うが、設置許可に至る経緯と次の三点もあわせて答弁を願います。
 一、一カ年近い野焼きの焼却灰を全然持ち出していないことについて事実なのかどうか。
 二、許可に当たって違法はないのか。
 三、許可に当たり担当者が便宜を図ったことについてであるが、本来、法に基づいて指導監督あるいは告発すべき立場の者が黙認してきたのではないか。逮捕後で言えることは、違法行為に加担していたとすれば重大な問題であり、どうであったのか、お尋ねをいたします。
 次に、水質検査の相違結果と今後の定期水質検査の実施についてであります。
 本年三月二日、地元住民立ち会いのもと、県及び地元依頼の民間検査機関においての結果については、同一場所において同時に浸出水を採取した結果、県はすべての項目で排水基準、環境基準を下回り、有害物質は検出されなかったとし、一方、民間の検査機関の分析結果において、重金属類の二種類が環境基準を超えた結果となっております。同一場所の浸出水に相違が数値としてあらわれたことは、県としてどう判断をされるのか。見えない物体は数値を信頼するほかないわけであります。その見解について答弁を願います。
 また、本問題の完全解決に至る間、県は水質検査を実施する旨の答弁をいただいておりますが、今後定期的に検査を実施すべきであると考えます。次回はいつ実施されるのか、あわせて答弁を願います。
 次に、埋立地のボーリング調査について。
 平成八年四月より本格的な焼却施設の稼働が開始され、その後、平成九年四月末までの一年余りの焼却期間中に相当量の産廃が埋められていると地元関係者が言っております。事実を地元は確認しているとしているが、当時の保健所の担当者は一部黙認していたのではないか。このことは、まだ悪臭を覚えるとの周辺住民の声であり、地元は埋め立ての完全撤去することの強い意見であります。この不安を払拭させるべきでないか。したがって、埋立地のボーリング調査なり、他の掘削方法で調査をぜひすべきと思うが、どう考えておられるのか。答弁を求めます。
 次に、ダイオキシン調査について。
 大阪府能勢町の農業高校のクリ園の土壌から数カ月前に多量のダイオキシンが検出された問題で、全国の注目の的となっており、さらに細部の検査の結果、表土の入れかえにまで発展しています。つまり、一グラム当たり千ピコグラム以上検出された周辺地域の三万平方メートルの土壌の入れかえを決定し、準備が進められています。また北海道においては、焼却施設から五キロメートル以内の牛の乳脂肪を調査した結果、一グラム当たり四・六ピコグラムの高いダイオキシンが検出されているなど、今や国民の関心事はダイオキシンにあると言って過言でないと思います。オランダでは、牛の乳脂肪一グラム当たり六ピコグラム以上検出された場合、廃棄処分と言われております。これらの点から、日本は諸外国に比べ、環境保全の面で相当おくれていると言ってよいのではないか。ダイオキシン発生のメカニズムや人体への影響などで十分わかっていない面もあって、健康不安の解消に向けて国も急がねばならないのではないか。県は、国の指導待ちであるとかでなく、能勢町のように積極姿勢を示し、ダイオキシン検査を早急に実施し、その分析結果において出なければよし、規定以上に悪い調査結果が出たならば対策を施していくなど対応をすべきであり、調査についてどう考えてまいるのか、知事より答弁を願いたいのであります。
 次に、許可の取り消しと施設の即時撤去について。
 地球環境を初めとする地域環境の保全に、国民がまた県民一人一人が関心を持って努めなければならないときに、日本工業所の行いについて全国津々浦々まで産廃騒動として知られたダメージは、本県にとって、また地域にとってはかり知れないものがあります。そこへ、設置許可をめぐり業者の代表は贈賄容疑で逮捕されているなど、本事業の許可取り消しと焼却施設の即時撤去に踏み切るべきでないかと考えます。このことについて、知事の答弁を求めます。
 次に、綱紀粛正について。
 日本工業所の焼却施設の運転開始以降、申し上げたように、地元住民がのどの痛みなど訴えて通院患者がふえ、入院事態にまで発展した問題で、市及び地元関係者は県担当者に再三現状を訴え続け、私も速やかな対応を願いたいと強い要請をいたしましたが、県の出先機関の保健所の担当者は法を盾に取り上げず、また常に業者寄りの立場で対応されていたことを当時何度か耳にしたことがあります。今、逮捕・起訴されたことは当時現実にあったこととしか言いようがなく、昨年二月の私の一般質問で述べましたが、人間に害を与えていることは速やかに善処すべきとし、保健所の所長はドクターでありますので、現状調査の上、即座に通院患者宅を訪問して家庭内療法の指導ぐらいすべきでないかと発言をしておりますが、結局せずじまい。緊急事態の場合は臨機応変に対処すべきでないか。私は、このときの答弁を聞いて大変悲しい思いをいたしました。おまけに部下が収賄容疑で逮捕されたことはまことに遺憾で、痛恨のきわみであります。本人は当然、職場の上司も監督不行き届きとして相当な責任を負わなければならないと思う。そして、厳正に処分すべきであります。今後、こうした不祥事が二度と生じないよう、職員一人一人が気を引き締めて職務規律を遵守、綱紀の粛正について徹底して取り組まなければならないと存じます。そして、県民の公僕としてその職責を果たされるように、特に申し上げておきます。このことについて、議会当初、西口知事より陳謝の発言がありましたが、再度、知事より答弁を求めるものであります。
 次に、越境に関する指導要綱が生かされているかの問題で、平成九年六月十六日から施行されている県の要綱についてでありますが、今なお大阪を中心とする他府県より相当量の産廃と疑われる車両が入っております。このことについて、市、町及び住民からも強い要請があり、その実態を調査されたことがあるのか。また、特に早朝六時ごろからの指導取り締まりを行い、せっかくの指導要綱を十分に生かすべきであると考えます。
 本指導要綱が実施され、今日まで県外産業廃棄物搬入協議書の提出のあった業者数は何件であったのか。そのうち承認通知書の発行は幾らであったのかも、あわせて生活文化部長から答弁を願います。
 なお、この際、担当課だけの対応は無理というものでありますので、警察本部も含め全庁挙げて、さらに市町村の協力も得て産廃越境をとめることが本県にとって大切と考えますので、このことについても強く申し添えておきます。
 次に、本県農業の振興策について。
 農業問題もさらに厳しい現状の中、新たな農業基本法の制定に向けてさまざまな意見が出されておりますが、二十一世紀に向けた国民の食糧の安定確保は当然ながらも、農業者は希望の持てる農業をと願っており、後継者の育成が大きな課題であり、認定農業者や農業生産法人の育成とか、農業における現場の実情に即した考え方が大切と思っております。主食米作偏重の農基法ではだめでなかろうか。本県は急傾斜地の樹園地が多いなど、中山間地対策も重要な課題の一つであろうと考えます。食糧、農業、農村の構築のため、ひいては本県農業がさらに飛躍発展されるための新農業基本法であることを希望するものであります。
 質問に入ります。
 農産物価格の安定対策について。
 本県の基幹産業の一つは農業であります。果樹王国と言われ、中でもミカン、柿、梅は代表される果実であるが、昨年は価格が暴落となり、ミカンについては三月議会で多くの先輩・同僚議員からその施策に向けた質問がありました。安い原因は、何といっても生産過剰であること、景気の低迷による買い控え、消費者の嗜好変化などの要因も重なったと言えると思います。
 この際、柿の現状についてであります。
 門先輩議員が三月議会で質問されておりますが、昨年は近年にない暴落となり、採算を大きく下回り、そのため現在、柿農家は経営維持資金の借り入れが実に多いわけであります。全国生産量二十六万六千トン、前年比一二〇%、本県は六万五千七百トンの生産量で前年比一五三%と刀根の増加が目立ち、紀の川筋の主産地では収穫されなかった園地も見受けられ、奈良の産地も同様の光景が見られたのであります。ことしは今日まで災害もなく、生育は極めて順調で自然増が多く、昨年より生産量は相当多くなるのではないかと考えます。一方、柿の植栽動向を見ますと、一昨年までは比較的価格も安定したことなど、わせ柿の植栽は目をみはるものがあります。とりわけ、今日まで続いている米の生産調整による減反が、裏日本方面にも渋柿の植栽が増加している現状と聞いております。
 お尋ねすることは次の二点であり、第一点は、ことしの柿の生産と出荷に関して消費期間の延長をどうするのか、輸出向けの拡大をどうするのか、加工の対策、長期貯蔵であるとか、各産地間の計画出荷調整であるとか、市場流通を円滑にするため最大の努力を払うべきと考えますが、県としてどう取り組まれるのか、また農業団体とも連携を図るよう努力願いたいと思います。
 刀根わせの全国生産量は四万八千百五十トンで、そのうち和歌山県が三万三千五百トン、奈良県が八千九百トン、全国生産量の九〇%が和歌山県、奈良県産であります。昨年は刀根が後半暴落させたのが柿全体に影響したもので、和歌山県、奈良県の十分な協議をされるよう希望するものであります。
 第二点目は、長期的な価格安定対策についてお尋ねいたします。
 柿の全国主産県の関係者会議を持たれておることと思いますが、現在の生産量推移から、長期生産の需給の見通しの的確な再検討をしてその見直しを迫られているのではないか。農林水産省において、各府県の積み上げとともに、その対策について早期に万全を期すよう願うところであり、県として特に柿日本一の主産県としてミカンの二の舞を踏まないために今後どう取り組まれようとされるのか、お尋ねするものであります。
 次に、生産基盤の確立についてであります。
 農産物価格の低迷の続く中で、近代化し、省力化を図ることは大変重要であり、生き残るとか、産地間競争に勝ち残るためには、生産の基盤がしっかりしていることであります。幸い、ガット・ウルグアイ・ラウンド関連の圃場整備事業も県下各所で実施されていることは大変結構であり、県としても関係地元の熱意を酌み取ってやってほしい。
 そこで質問いたしたいのは、畑作地域とりわけ急傾斜地の多い本県の樹園地で、可能なところはフラット化を行うことが重要であります。フラット化の造成不可能な地域も多いが、可能なところは既成園の再開発を進めるべきと考えます。この場合、事業採択の中で立木の補償制度も含めることの希望が大変多い点について、今後可能かどうか答弁をお願いいたします。
 過日見させていただきましたが、粉河町の土地改良総合整備事業によって、既設園約四十ヘクタール、受益農家百十四戸の樹園地の整備が関係者の努力と熱意によってほぼ完成されており、大変立派なものであります。傾斜角度二十から二十五度が四度から五度にフラット化され、これから植栽とともに共同の大型機械を導入され、今後の厳しい産地間競争に打ち勝つものと思っております。大規模にフラット化されたすばらしいモデル圃場を県下広く知っていただき、PRする必要があるのではと考えます。そして、フラット化による楽々農業の推進を積極的に行うことについて答弁を求めるものであります。
 次に、紀の川左岸広域農道の今後の取り組みについて。
 本件は、平成三年度より着手されて工事も着々と進んでおり、紀の川左岸部の樹園地を東西に敷設することが農業振興の上で大きく寄与することは確かであり、望むところであります。本年も四億八千万円の事業費で進められ、おくれていた地籍調査も、一部を除き工区間はほぼ完了されたようであります。
 お尋ねしたいことは交通アクセスの問題であって、左岸中腹に立派な道路が設置されるが、農産物はすべて下へおろすという点から、下の公道と上の広域農道をつなぐ道路が極めて重要であり、県として橋本地域の上下をつなぐアクセス道路をどう考えているのか、お伺いするものであります。
 次に、紀の川用水の余剰水の利活用について。
 紀の川用水の当初計画は、二市七町の水田二千三百九十一ヘクタール、果樹園二千五十一ヘクタール、合わせて四千四百四十二ヘクタールを賄うとして計画されたが、一方、社会の変動と米の生産調整などの影響で、現在、水田、果樹園合わせて千七百ヘクタールの需要であり、計画に対し相当量水は余っていることとなっています。こうした点で、農水省が水の適正な利活用を図ることを目的として平成三年に制度化して推進されている国営農業用水再編対策事業において、利根川に続いて全国二番目として本事業における調査が平成八年、九年の二カ年で実施されております。農業用水の安定確保とともに、余剰水が有効に利活用されることは受益者の負担金の軽減にもつながるわけですが、この調査は完了されているのか。また、農水省はどう取り組まれているのか。適切な結果を早く出すべきと思いますが、どうか。
 以上、四件について答弁を農林水産部長にお願いいたします。
 次に道路交通網の整備促進についてでありますが、紀淡連絡道路が新道路五カ年計画において位置づけされましたことは大変意義深く、京奈和に続いて早期に事業化を望むところであります。
 まずお尋ねしたいのは、市脇・清水間の架橋と国道三百七十一号橋本バイパスの促進について。
 市脇・清水間架橋は、国道三百七十一号橋本バイパスの延伸部として、また高野山バイパスの玄関口としての架橋でありますが、長い間の念願でありました本事業については、西口知事の熱意と英断によるもので、今年度において事業化の運びとなり、公共事業として二億円の予算づけをいただき、国の採択をいただいたことは、関係地域の議員として感謝申し上げる次第であります。長きにわたっての誘致運動だけに、地元関係者は感無量であります。今後におきましては、国道三百七十一号橋本バイパスの延伸部として早期に開通をいただけるよう、今後なお一層の進展に向けて取り組んでいただけることを希望いたします。
 そこでお尋ねしたいことは、市脇・清水間架橋の今後の取り組みと、国道三百七十一号橋本バイパスも用地買収が相当進んでいると聞かされ、これが早期に本工事に向け着手されるよう切望し、それぞれ答弁をお願いいたします。
 次に、京奈和自動車道の本体工事着手について。
 京奈和自動車道橋本道路は、平成元年に事業化され、この間、調査測量と用地買収を中心に百五十四億六千万円を投じ、橋本区間においては用地買収も平成九年度末約五六%の進捗と聞き及んでおります。今日までの国及び県、関係市町のご努力と用地関係者の理解によるものであります。現在、工事用進入道路の設置、鉄塔の移設等に取り組まれております。
 そこでお尋ねしたいことは、本線工事の着手をぜひとも平成十年度内に実施されるよう国へ特段の要請をお願いしたいのであります。工事着手のつち音は地域活性化に向けての起爆剤であり、本体工事の着手についての以上二点、土木部長にお尋ねをいたします。
 次に、JR和歌山線の高速化と南海電鉄との相互乗り入れについてであります。平成十一年度政府要望に県として組み込まれておりますけれども、紀の川筋も電車が走っていることの認識を持っていただき、質問をいたします。
 平成十年度事業着手を目標に、県はJR和歌山線のスピードアップや快適性の向上を図るための具体的整備について検討を行うための調査が平成八年度において実施されているが、今年度より整備されようとしているのか、お伺いをいたします。
 現状は確かに乗降客が少ない点はあるが、西口知事が提唱されている紀泉百万都市構想の根幹をなすものはやはり交通網の整備であり、充実した都市基盤が必要であります。また、JRと南海高野線との相互乗り入れは可能であるとの見解を持っております。全国で幾つかの事例はあるが、紀北地域は大阪の通勤圏であり、人口の流出に歯どめがかかり、若者の定住も進み、産業、観光面の発展にもつながり、地域の活性化をもたらすこととなります。過去の運行のように、京都発の白浜・勝浦行き急行を、奈良も視野に入れて再現することが複線化の促進に拍車がかかるものと考え、JR和歌山線の高速化と南海電鉄高野線との相互乗り入れについて企画部長にお尋ねをいたします。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 木下議員にお答えをいたします。
 まず、産業廃棄物問題に係るダイオキシン調査についてでございます。
 株式会社日本工業所敷地内の土壌中のダイオキシン類の検査につきましては、現在まで国から基準が示されていないため実施をしておりませんでした。しかし、国際的な関心の高まり、あるいは国の取り組みの進展を勘案いたしまして、実施に踏み切りたいと考えております。
 次に、許可の取り消し等についてのご質問であります。
 議会の冒頭にもご説明を申し上げましたが、日本工業所に対しましては、公判の推移を踏まえまして強い決意で臨むつもりであります。
 次に綱紀の粛正についてでございますが、今般、県職員が逮捕・起訴されましたことは、私といたしましても大変残念なことであり、極めて遺憾に存じております。このことを厳粛に受けとめまして、全職員に対し綱紀の厳正保持と服務規律の遵守を指示するとともに、各所属する研修の場でなお一層の徹底を図っていきたいと考えております。
 なお、処分につきましては、公判等の推移を踏まえまして厳正に対処いたしますとともに、さらに綱紀の粛正に努めてまいる所存であります。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 木下善之議員にお答え申し上げます。
 産業廃棄物問題についてのうち、まず株式会社日本工業所に対する許可に至る経過についてでございますが、平成七年八月ごろから焼却炉に対する苦情がありました。そのため、改善の指導を行っていたところ、改善の約束とともに廃プラスチック類を焼却するための施設の設置許可、並びに産業廃棄物処理業の許可取得について相談がありました。施設の許可につきましては、改めて必要な指導を行い、許可したものであります。また産業廃棄物処理業の許可につきましては、処理施設の使用前検査を行った後、許可したものでございます。
 次に焼却灰の件についてでございますが、許可後のものにつきましては把握いたしておりますが、許可前のものにつきましては把握できておりません。
 なお、許可に当たっての違法はないか、また許可に当たり担当者が便宜を図ったのかというご質問についてでございますが、許可に当たりましては、法に定められた審査を行い、条件を満たしていたため許可したものであります。いずれも今回の事件の逮捕・起訴の理由にかかわる問題であり、当事者に接見できない状況にありますので、現時点ではこれ以上お答えはできませんが、今後の公判の推移等を注意深く見守ってまいりたいと考えてございます。
 次に、水質検査の相違の見解と今後の定期水質検査の実施についてであります。
 水質検査につきましては、民間の分析機関四業者に委託して行ったものであり、その四業者の分析結果が同様のものでありましたので、その結果を信用いたしております。また、今後とも水質の検査は継続して行っていく考えでございます。
 なお、次回のサンプリングにつきましては六月中に実施したいと考えております。
 続きまして、埋立地のボーリング調査についての質問でございますが、許可後に埋め立てたものにつきましては焼却対象物をふるい分けた後の土砂及び建設残土であると認識してございますが、現場の環境に対する影響を確認するため下流の水質検査を実施しております。排水基準に基づき、その結果が問題となる水質になった場合にはボーリング調査等を実施し、業者に必要な対策を講じさせる考えでございます。
 最後に、越境に関する指導要綱が生かされているかというご質問でございますが、昨年六月十六日に施行いたしました和歌山県産業廃棄物の越境移動に関する指導要綱につきましては、許可申請時や実績報告時など種々の機会をとらえまして周知を図っているところであります。要綱の趣旨は生かされているものと考えております。
 なお、県外産業廃棄物搬入協議書の提出のあったものにつきましては、本年五月末現在の提出件数は三百二十六件で、例外として認めたものは要綱施行時点で契約済みのもの三百十四件、リサイクル目的のもの十一件、合計承認件数は三百二十五件でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長尾崎武久君。
  〔尾崎武久君、登壇〕
○農林水産部長(尾崎武久君) 木下議員ご質問の、本県農業の振興策四点についてお答え申し上げます。
 まず農産物価格の安定対策についてでございますが、柿を含む農産物価格につきましては厳しい環境にあると認識してございます。こうした中、現在、生産者団体において販売促進のための市場関係者との協議会等を開催するとともに、出荷期間の延長を図る観点から、冷蔵柿や加工柿などへの取り組みのほか、マスメディアを活用した消費宣伝等も展開してございます。今後、さらにこうした取り組みを一層推進するとともに、海外におけるアンテナショップを活用した新しい販路の開拓にも取り組んでまいりたいと考えてございます。
 なお、議員お話しの産地間での計画的な出荷調整につきましては、非常に重要な課題であると考えてございまして、本年から紀の川流域の農協間で話し合いが行われるなど新しい動きも芽生えてきておるところでございます。今後、さらに他産地を含めた全国的な調整の場を設けるよう、関係団体に対し働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に果実生産の見通しについてでございますが、わせ渋柿の新規植栽が近年予想を上回っていることから、県といたしましては、農家の労働力配分なども考え合わせ、わせ渋柿よりも優良甘柿の導入を重視した営農指導に努めているところでございます。柿は果樹の基幹品目の一つであり、今後農家が安心して柿づくりに取り組める的確な需給見通しを国に対して強く求めてまいる所存でございます。
 次に生産基盤の確立についてでございますが、農産物の輸入自由化や農村の高齢化が進行する中、効率的で働きやすい農地の整備は重要であり、議員お話しの急傾斜園地のフラット化につきましても、地形上の制約もございますが、地元の要望を踏まえ、鋭意取り組んでいるところでございます。
 既存園地の再整備を進める上で立木補償についての要望が多いことは認識しておりますが、現行の事業制度では国の補助の対象として認められてございません。これまでも、国に対して制度要望をしてきたところでありますが、今後とも機会あるごとに国に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 また、粉河町のようなモデル事例をPRすることは、本県農業を振興する上で大変重要と考えてございます。今後とも、市町村、農協等と連携を図り、事業の啓発推進に努めてまいります。
 次に、紀の川左岸広域農道の取り組みと交通アクセスについてでございますが、紀の川左岸広域農道は平成三年度、二期地区は平成五年度から着手しており、全体延長は一万七千九百三メートルで、その進捗率は平成九年度末事業費で四九%となり、平成十年度は事業費四億八千万円で工事を進めているところでございます。今後の取り組みにつきましては、橋本市は平成十年度、かつらぎ町は平成十二年度で広域農道に関係する部分の地籍調査が完了すると聞いており、今後、関係者の協力を得ながら用地買収を進め、事業の早期完成に努めてまいります。
 次に下の公道と広域農道との連絡についてでございますが、国道で二カ所、県道で三カ所、市町道で十二カ所が平面交差または取りつけ道路で広域農道との乗り入れが可能となっております。そのうち橋本市の東の起点となる市道清水西畑線は、幅員も狭く、急勾配、急カーブであるため、今後橋本市とも十分協議してまいります。
 次に紀の川用水の余剰水の利活用についてでございますが、紀の川用水を含め十津川紀の川土地改良事業で計画された紀伊平野及び大和平野の農業用水については、農業情勢の変化や都市化の進展による農地面積の減少などにより水利用計画の見直しが必要となっております。このため、農業用水必要量の見直しと余剰水の都市用水への転用による水資源の有効活用を目的として、平成八年度より農林水産省において国営農業用水再編対策事業の全体実施設計が実施されてきたところでございます。その中で農業用水の必要量の検討と関係改良区との調整を鋭意進めてまいりましたが、今後、都市用水の需要量や転用可能量の検討並びに河川協議等の協議調整が必要であり、引き続き平成十一年度まで全体実施設計を継続する予定となっております。県といたしましては、農業用水の安定確保と紀の川用水等の余剰水の有効利用を図るため、今後とも事業の早期実施に向けて積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 木下議員の道路交通網の整備促進に関するご質問にお答えいたします。
 まず、第一点目でございます。国道三百七十一号の市脇・清水間の架橋につきましては、おかげをもちまして平成十年度に新規に公共事業採択されたところでありまして、本年度は現地の測量調査及び詳細設計と実施に向けたボーリング調査に着手いたします。今後とも事業促進に鋭意努力してまいります。
 また、府県間道路であります国道三百七十一号橋本バイパスにつきましては、京奈和自動車道橋本インターの関連道路でもありますので、用地買収の促進に努めているところでございます。本年度は、引き続き用地買収の促進とあわせ、一部本線工事に着手すべく検討してまいります。
 二点目でございますが、京奈和自動車道につきましては、各区間において事業促進が図られているところであります。このうちご質問の橋本道路についてでございますが、本年度におきまして、一連の用地買収が完了した橋本市隅田町真土地内における鉄塔の移設及び工事用道路を早期に完成させ、できるだけ早い時期に本線工事に着手すると聞いているところでございます。今後とも県といたしましては、橋本道路の早期供用に向け、関係市町とともに用地取得等事業の促進に努め、予算確保等についても国に強く要望をしてまいります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 企画部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○企画部長(中村協二君) 木下善之議員のご質問にお答えをいたします。
 JR和歌山線の高速化と南海電鉄との相互乗り入れについてでございますが、まずJR和歌山線の高速化につきましては、平成八年度の調査を受けて昨年度からJR西日本と協議を行っておりますが、事業費が二十億円程度を要することや地元負担の問題等さまざまな課題があり、現在、事業着手に向けて検討を行っているところでございます。さらに、本事業実現のためには沿線市町村の機運の高まりや採算性の問題等も重要な課題であり、今後これらさまざまな課題を整理し、沿線市町村の皆様とともにJR西日本に対し事業化を働きかけてまいりたいと考えております。
 また、JR和歌山線と南海高野線の相互乗り入れにつきましても、JRと南海の車体幅の違い、信号保安設備の違いなど施設面での問題、相互乗り入れ後の採算性の問題等、実現に向けて厳しい課題が数多くございますが、高速化事業の推進等による和歌山線の利用増進に努めるとともに、引き続き鉄道事業者に対し要望してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 2番木下善之君。
○木下善之君 それぞれ答弁をいただいたところでございますが、まず京奈和自動車道橋本道路の本線工事につきまして、今年度に着工をしてまいりたいという国の意向のようでございますし、その答弁をいただいたわけでございます。感謝申し上げておきます。
 問題は、日本工業所の産業廃棄物についてでございます。地元では、多量の産廃がまだ残っておると言われているわけでございます。埋立地のボーリング調査については、前回も今回も答弁の内容は全く同じであります。水質検査の結果を見ながらボーリングをしてまいりたいということでありますが、一度、調査方法についてそれぞれご検討いただいて、ぜひボーリング調査に踏み切るよう前向きな検討をお願い申し上げておきます。
 そしてまた産廃の越境の指導でございますが、答弁では指導要綱を十分生かしておるということであります。しかし、産廃と思われるダンプカーが非常に行き来しておるのが事実であります。果たしてこのダンプカーが協議済みのものばかりであるのか──私は、そうでないと思っております。ぜひ一度再調査をされるように強く申し入れておきます。
 次に紀の川左岸農道の交通アクセスの問題でありますけれども、この問題は過去三年有余、地元、市、県と工事用の進入道路で随分論議をしてきたんです。それは、私もすべて知り尽くしております。そういうことの上に立って質問をいたしておるわけであります。
 答弁をいただいたわけでございますけれども、急勾配の市道の問題等いろいろ難点もあろうと思いますが、今後、南海電車を高架で何とか越えるという工事用道路、そういう基本に立って市と県との協議に入っていただきたい、そういうことを強く申し上げておきます。
 以上三点、要望として申し上げておきます。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下善之君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
      ─────────────────────
○議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十四分散会

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