平成10年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(中山 豊議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番中山 豊君。
  〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 議長のお許しを得ましたので、質問を始めさせていただきます。
 五月十六日午後十一時四十分、県内に大雨洪水警報が発令されたことにかかわり、特に長峰山系に前線が停滞し、局地的集中豪雨がありました。日方川、亀の川上流に鉄砲水となって流出、護岸崩壊、土砂、木材、ごみが多量に下流に流されたのであります。もちろん、下津町、有田郡金屋町、吉備町にも及んだのではないかというふうにも把握しております。県は、職員に非常招集をかけ、警戒に当たってくれたと聞きます。
 それで、この被害状況についてどうだったのか。
 二番目に、局地的な被害であったとはいえ、災害対策に抜かりなく取り組まれることになっているのでしょうか。
 三つ目、昭和二十八年の七・一八水害にも見られなかったほどに流量があり、護岸を越えて水田を洗い流すという箇所が幾つもありました。今後に備えて護岸の高さに考慮を払う必要があるのではないかという意見が被害者の中からも強く出ておりますが、いかがでしょう。
 四つ目、日方川、亀の川及び下津町加茂川等の護岸の復旧及び堆積土砂の多いことが今回の特徴だとされております。これのしゅんせつ等、特別の取り組みが求められているけれども、どう対処されるのか、お答え願います。
 次に、振興局設置に伴う海南工事事務所設置の問題についてであります。
 四月一日よりの振興局設置に伴い、海南工事事務所、海草教育事務所等が地元に設置されました。知事は、かねてより身近な課題は身近なところでとの県行政の理念を述べられ、これの発露として具体化に踏み切られたものと伺っておりますが、知事は副知事を辞して、知事選挙とはいえ県内をくまなく歩いたけれども、そこでわかったとして、知事当選後初めて議会に出られて所信を述べられました。そのときの言葉は、県民の声が県庁に届いていないということでした。正直言って、知事、そんなことをはばかりなく言ってもよろしいのかと、気遣いさえしたくらいであります。翻って考えてみて、よくぞ言ったと思いました。小野、大橋、仮谷と、戦後五十年の県政を厳しく総括することにも通ずる言葉だと受けとめ、だからこそ、そのときの議会で私は一般質問に立ったときに、それを取り上げて、よくぞ申されたものだと申し上げました。あれこれをつけ加えて解釈を申し上げることはやめます。要は、勇気ある発言と受けとめ、評価を与えたことを明確に申し述べます。
 以降、つぶさに西口県政を大所高所でうかがってみるにつけ、いろいろと申し上げれば幾多あるけれども、所信を貫き、実践されているとお見受けするのであります。その具体例が、中でも県の出先機関を地元へ決定され実行されたことと受けとめられるのであります。
 出先機関を充実発展させるには、なお時間的経過も必要であろうことは十分理解します。さて、出先機関を機能させてみれば、やはり、こうもすればいい、ああもすればよいと思うことが多くあろうと思うのでありますけれども、そこで、せめて土木関係の道路整備課、道路管理課及び用地対策の充実強化を急いでもらいたいわけであります。やがて総合的に機能を移すことを見通されているのかもしれませんけれども、当面、早いところでさきに申し上げた部署を移してもらいたいことを強く要望しておきます。
 身近な問題は身近なところでとの行政姿勢はまことに当を得て、見違えるほどの対応と、地元関係自治体はもちろん、住民も色めき立つほどの対応と期待をもってこたえていることを申し上げておきます。それの充実強化に励まれることを重ねて求めておきたいと思います。
 次に、貴志川にかかわる幾つかの架橋のかけかえの問題についてであります。
 昭和二十八年、七・一八水害により、ことごとく架橋は流されました。その後、かけかえられて五十年になろうかと思います。耐用の度合いもさることながら、社会の進展に伴い、これらの架橋のかけかえを望む声が強くなってきています。加えて、貴志川にかかる幾つかの橋に比べても余りにも劣るとの観点からの声が加わり、山橋、昭和橋、北野上橋の三橋のかけかえが強く求められているところであります。
 県の管理河川にかかる市道の橋であるだけに、直ちに県に対処方を求めることはそぐわない点もあろうことは十分承知しながら、海南市が地元住民の要求実現のために県に協議の働きかけがあったならば積極的に対応をされるかとのお聞きを申し上げておきたいと思います。
 次に、小関教育長の所信にかかわってのお話で幾つかをご質問申し上げます。
 和歌山県の教育行政の体制が、小関教育長のもと、新たに出発をいたしました。さきの議会で今日の和歌山県の教育についてその基本的なところにかかわって幾つか指摘もし、尋ねもしました。繰り返してお尋ねするつもりはないけれども、人がかわればまた新たな取り組みが開始されるであろうとの期待もあるところから、幾つか申し上げなければなりません。
 議会で新任者のごあいさつがありました。小関教育長は、「人と人、心と心のつながりを大切に」と申されました。これについて、いましばらく説明をお願いします。
 二番目は、和歌山県の教育は、恵まれた風土と地域社会に包まれ、中でも人間を大切にする教育を基軸に取り組まれ、発展させてきました。幾多の山河を越えながら、その歴史と実績は高く評価されるものがあろうかと思うけれども、これについてのお考えをお願いします。
 三つ目、そのよさとすばらしいものをはぐくみながら、時には管理主義、能力主義に持ち込まれようとすることに厳しく対処し切れていない面もあり、さまざまな問題解決に苦慮されてきたことは否めないのではないかと思うけれども、どうでしょうか。
 四つ目、単に教育行政の側面から眺めて、そこだけに原因を求めるには余りにも厳し過ぎるかもしれない。子供たちにあらわれている新たな荒れ、エスケープ、私語、突然のパニックなど、授業が成り立たない状況、また、非行、いじめ、登校拒否、ナイフによる傷害事件、授業についていけない子の増加に加えて、教育を直接担う職員の間に、何をやってもうまくいかない、達成感の喪失、行き詰まり感等から精神疲労が急増していることは新たな教育問題だとさえ言われ出しているのであります。
 いわゆる、教師がキレてしまうというのでしょうか。文部省調べでも年々増加傾向にあるとの調査を見たけれども、これに対する県内の状況、それへの取り組みはいかがなものでしょう。いわゆる燃え尽き症候群の広がりの状況と、それに対する問題把握と対策についてはいかがなものでしょう。
 次に、核廃絶への取り組みの一つをご提言申し上げ、取り組みをお願いしたいところであります。
 今議会の冒頭で、「核実験の禁止及び核兵器の廃絶を求める決議」がされました。この決議を積極的に評価しながら、幾つかの提起を試みたいわけであります。
 インド、パキスタンの核実験により、世界の核不拡散体制は崩されたのではと思うのであります。アメリカなど核保有国の核寡占の不合理性と核拡散の抑え込みの説得力のなさが暴露されたのではないでしょうか。
 加えて、日本は、非核三原則を堅持し、核廃絶を主張できる国としてまさしく存在感を強くしていると思うのであります。核不拡散条約は核保有五大国に対して核廃絶を求めていないことなどを考えれば、核不拡散体制の堅持にとどまらず、核廃絶に向けた現実性のある道筋を設定させるための世界戦略を持つため、世界唯一の被爆国・日本こそが立ち働くことを国際的に求められているのではないでしょうか。
 六月十日の朝刊の報ずるところ、非核八カ国が核廃絶への共同宣言、拘束力ある規制の提唱とあったけれども、これに日本国は入っていないようであります。先頭に立って推進せねばならないところだと思うけれども、日本国政府は何を考えているのか、理解に苦しむところであります。国民の非核、核廃絶への願いに沿うた外交になっていないのではないかとさえ思うのであります。本議会の決議はその意味を十分加味されたものと受けとめながら、以下、具体的に話を進めてまいります。
 現在、九八年核兵器廃絶国民平和行進が広島、長崎に向けて取り組まれています。その道すがら、核保有国が存在する限り核戦争の危険はなくならない、すべての国が核を廃絶するしかないと訴え続けて歩いているのであります。
 ところで、県の非核医師の会のニュース──今年の五月三十日発行とされておりましたけれども──を見せていただく機会を得ました。このニュースに海南在住のある商店経営者の手記がありました。「ビキニ水爆実験の生き証人・第五福竜丸のエンジン発見」と題したものでありました。
 手記は、次のようなものでした。「戦争を知らない息子が、一度切りの人生だからとのことで、原水爆禁止核廃絶の平和行進の通し行進者として歩いた。一九九一年五月十二日、東京夢の島、第五福竜丸展示館前をスタート、九十四日間、千キロメートル余りの道のりを『子供たちの未来に平和を』と訴えて歩いた。そのときの通し行進者の女性と縁があって結ばれた。そのときの仲人は、静岡県の三・一ビキニデー実行委員会委員長で、氏が和歌山にあいさつに来られ、和歌浦を見るなり開口一番、『和歌山はよいところだ。第五福竜丸の建造の地だ』と申された。通し行進者としての息子の決意と結び合わせるとき、第五福竜丸のエンジン引き揚げを資材をなげうってでも実現し、夢の島の本体のもとに返そう、そのことが日本の平和を求める強い絆となるであろうと決心し、それに取り組み、実現された。その間、大きな県民運動として発展し、支えられました。今日、中学校の修学旅行先の見学の一つにも位置づけられていることを承知しています」、と記されています。
 そこで、第五福竜丸の建造地は和歌山の古座町にある古座造船所だとのことであることにかんがみ、アメリカの水爆実験で死の灰を浴び、一九五四年三月、静岡は焼津港に帰った後、船体とエンジンが離され、エンジンは別の船へ積まれ、三重県御浜町沖合で沈没して二十年余の後引き揚げられ、本年二月、夢の島公園の船体のもとに返されたと言われます。
 非核医師の会ニュースに基づきながら、かなり長く経過を申し上げたけれども、言いたいことは、一つには、冒頭に申し上げた核廃絶への県民の心をさらに高揚させるため、エンジンが夢の島の船体のもとに返されたことを記念して、建造地・古座町に記念碑建立の取り組みを進められてはどうでしょう。本来は、和歌山県下に非核のメッカとして置くべきではなかったかとさえ思いつつ申すわけでありますけれども、まさに熊野灘を見はるかす適地を選んで建立することを建造地の古座町に働きかけられ、実現されることを強く求めておきたいものです。
 二つ目。あわせて、熊野体験博の平和ゾーンとして、建造地・古座町をメーンにそれなりの取り組みを企画されてはいかがなものか。全国広しといえども和歌山県しかできない特色ある取り組みとして、積極的に私の提起を受けとめて実現方、取り組みをお願いしたいものであります。
 次に、農業振興と発展に関連して幾つかお尋ねいたします。
 今度の議会で、農家への新たな融資の実施を提案されているところからも、行政としても、昨年のミカンや柿など、農産物の価格の低迷が農家の家計を直撃したばかりか、農業の再生産を脅かしている実態を認識されていることと受けとめます。そこで、もう一歩の対策を求めるものであります。
 先日、農林水産省の情報統計事務所から和歌山県の農業五十年史とも言うべき立派な体裁の本が発行されました。和歌山県民が幾多の試練を乗り越えて果樹王国を築いてきた、その歴史を見ることができるわけであります。
 しかし、近年、農産物の外国からの輸入の増大はすさまじいものがあります。農産物の輸入額は、日本全体では一昨年で四兆円を超えております。果実で、二十八年前の生産量が五百四十六万トン、輸入が百十八万トンであったのが、一昨年には国内生産が四百二十三万トンと減少し、輸入量が四百五十二万トンと大幅に伸びて、国内生産量と逆転するまでになっているのであります。
 先日、有田地方の農家の皆さんからお話を聞く機会がありました。そこで話されていた農家の皆さんは、農業への展望を失いがちになる中でも何とか農業でやっていけるところまで頑張りたいと申されるのであります。
 ご承知のように、昨年産のミカンは大変な豊作でありましたが、消費不況などによって価格が低迷をいたしました。それぞれの市場の卸値は、十一月のキロ百三十円が例年なら上昇するはずの十二月に百十円前後に下がり、一月には八十円、七十円という記録的な安値をつけたのであります。和歌山中央市場でも、十一月が百四十五円、十二月が百三十一円、一月は七十四円、二月が七十七円というものでした。
 さきの和歌山県農業の五十年の本によりますと、一反当たり生産経費が二十万円かかるということであります。労賃が同じく四十万円以上、合わせて六十万円が生産に必要な原価であります。有田の農家によりますと一反で約三トン、十キロ段ボールで三百箱ができるとのことですから、十キロで二千円がなければ自分の労賃が出ないことになります。有田の農家は、再生産を維持するためには十キロで千六百円から千八百円が要ると話していましたが、その実感と農水省の統計はまさに符合している金額であります。
 豊作だから少々値段が安くても農家には平年並みの手取りが入るかのように認識しているとしたら、大きな間違いであります。大阪やそれぞれの市場に出荷された昨年の和歌山県産のミカンは約一万五千トン、それぞれの市場の五四%を占めていますが、そこでの売上額は約十八億円だと推計されます。十キロ段ボールの出荷経費が六百円だということですから、それだけで総売上額の半分、九億円になります。農家はここから肥料や農薬などの生産経費、農機具や軽四の経費、水利の負担金を出し、その上、生活費を出すことになるのですから、ことしも去年のように金にならなかったとしたらもうやっていけないという声が出てくるのも当然であります。
 農業は、国の柱であります。自給率の低下を放置することは、国を危うくするものであります。農業を守る姿勢を強くされることを求めればと思うわけであります。
 そこで、お聞きいたしますけれども、さきの二月議会でも、有田地方のJAが緊急融資を行ったことに対して、県としての利子補給を求める質問が行われました。有田地方でのJAへの融資申請の実情を把握されていると思いますけれども、その現状をお聞かせください。そして、県として、融資だけでなく利子補給を行う考えにはなっていないのかどうか、見解をお示しください。
 次に、農産物の価格保証の問題であります。
 今、一部の野菜においては価格安定基金制度が国と県の事業として行われているわけですけれども、ミカンの生果においてもその実施を求めたいのであります。
 宮崎県の温州ミカンの価格保証制度を学ぶ機会がありましたけれども、宮崎のミカンの生産量は和歌山のほぼ六分の一であります。三千億円を超える宮崎県での農業生産の中にあっては低い役割にすぎないということですけれども、既に一九七七年から価格安定事業を開始し、昨年度の安値に対しては七千六百トンの生果に約一億円を基金から交付したとのことであります。
 昨年のような低価格が二、三年も続くことになれば、一気に離農が進み、ミカン山が荒れることが心配されます。果樹王国を言う和歌山県でこそ、果樹の価格保証制度を充実させるのが真の果樹王国というものではないでしょうか。ミカン類だけでなく、柿も同様であります。県として果樹の価格保証制度を充実強化させるときだと考えるものですが、いかがなものでしょう。
 関連して、野菜の価格保証制度による現在の基金造成額と過去三カ年間の交付金額をお聞かせください。
 また、負担区分の問題ですけれども、県と生産者が同じ負担というのは納得しがたいことであります。野菜の種類や指定産地をさらに拡大することなど、検討していただきたいと考えます。ご見解をお示しくださることをお願い申し上げて、一回目の質問を終わりたいと思います。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 中山議員のご質問にお答えいたします。
 まず、五月十六日夜半の局地的集中豪雨に係る災害対策についての四点について、まとめてお答えさせていただきます。
 去る五月十六日夜半から十七日未明にかけまして、県北部とりわけ有田・海草地方を中心に、海南市で連続雨量百五十ミリメートル、有田市で最大時間雨量四十二ミリメートルといった集中豪雨に見舞われました。県におきましては、五月十六日二十三時四十分、水防配備態勢第一号を県下全域に発令いたしまして、職員を動員し、警戒態勢をとりました。
 被害状況についてでございますが、海南市を中心に、家屋の浸水五百八十一戸、がけ崩れ等の土砂災害二十一件、また、河川、道路、橋梁等の被害は県、市町村合わせて三百五十五件、被害額も約十八億円の報告を受けております。
 なお、公共土木施設の被災箇所につきましては、災害復旧事業等で対応いたしたく現在国に対して申請準備を進めておりまして、一日も早い復旧を目指し、積極的に取り組んでおります。
 亀の川の溢水した箇所につきましては、今後、状況を再調査し、現地に適した工法を検討し、適切な対応をしてまいりたいと考えてございます。
 また、日方川、亀の川及び加茂川の土砂の堆積につきましては、堆積土量が多く、治水上支障のある箇所のしゅんせつに取り組み、河川の適切な維持管理に努めてまいります。
 次に、貴志川にかかる橋のかけかえについてでございます。
 議員ご質問の、貴志川にかかる山橋、昭和橋、北野上橋の三橋につきましては、いずれも海南市道として昭和二十九年に架設されたものでございます。これにつきましては、地元からかけかえの要望があると聞いてございます。今後、海南市より要望があれば整備方法について協議してまいります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長尾崎武久君。
  〔尾崎武久君、登壇〕
○農林水産部長(尾崎武久君) 中山議員ご質問の、農業振興についてお答え申し上げます。
 融資申請の実情と利子補給についてでございますが、平成九年産ミカン価格の低迷に伴って有田地方のJAが実施した緊急融資は四月末で締め切ってございまして、その申請状況は、約一千件の十七億円となってございます。
 県といたしましては、厳しい生産農家の実情から、資金需要の調査を実施し、生産農家のなお一層の経営の安定を図るため、低利な融資を行うための利子補給に要する経費を今議会にお願いしているところでございます。
 農産物の価格保証についてのお尋ねでございますが、現在、果実については果実生産出荷安定基金があり、この制度に基づき、平成九年産の温州ミカンについて、本県では五億二千四百万円余りが農家に交付されることになっております。
 県といたしましては、今後とも既存制度の充実強化を国に対して強く働きかけるとともに、果樹産地の体質強化を図るため、園地のフラット化を初め、生産基盤の整備を重点に積極的な取り組みを行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、野菜価格安定対策についてでございますが、平成九年度末現在の資金造成額は十二億三千万円で、補給金交付額はここ三カ年で一億七千五百万円となってございます。なお、県と生産者の負担区分については、国の野菜供給安定基金の業務方法書等で同額となるように定められておるところでございます。また、野菜の種類や指定産地の拡大については、毎年見直しを行いながら、現在十六品目、二十八産地を指定しており、今後も野菜生産農家の経営安定に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 最初に、先般のごあいさつで申し上げました「人と人、心と心のつながりを大切にする教育」についてでありますが、不登校、いじめの問題を初めとして、最近の中学生による事件、さらには大人社会を含めたモラルの低下、家庭や地域の教育力の低下など、教育をめぐるさまざまな課題の背景の一つに、子供同士、親と子、教師と子供、そして地域社会等における相互の人間関係が希薄になっていることがあると指摘されております。
 社会を支えているのは人と人とのつながりであることをいま一度強く心にとどめ、人を思いやる豊かな心を育てるとともに、互いの信頼関係を高める教育を打ち立てていくことが極めて大切であると考えているところであります。
 次に、これまでの本県の教育についてでありますが、ご指摘のように、本県では恵まれた風土と温かい地域社会の中で、一貫してたくましく心豊かな人間の育成を目指す教育を推進し、多くの優秀な人材を輩出してまいりました。こうした伝統や成果を受け継ぎながら、特に近年は、特色と魅力のある学校づくりに取り組む中で、生徒の個性をより一層伸ばすとともに地域の振興にも寄与できるよう、学校間連携や総合学科を初めとする多様な学科の新設、改編を行ってきております。また、開かれた学校づくりの観点から、学校の持つ機能を地域に開放するとともに、地域の持つさまざまな教育力を活用して、勤労や奉仕等の体験を重視した学習を積極的に進めております。
 こうしたことに加え、本年度から本県教育の大きな柱の一つに「ふるさと教育の推進」を掲げております。ふるさと和歌山への理解を深め、誇りと愛情をはぐくむとともに、すばらしい自然や文化、歴史を生かした和歌山の教育を創造してまいりたいと考えております。
 次に、これまでの教育がともすれば知育に偏重した画一的なものになりがちであるという側面を持っていることへの反省に立って、子供の主体的な学習を促進し、一人一人のよさを伸ばす教育を推進するため、教育システムの多様化、弾力化や評価方法の工夫などを内容とする教育改革を実行しているところであります。
 しかしながら、まだ十分その趣旨が浸透していないのではないかとの指摘があるのも事実であります。教育委員会といたしましては、教育関係者の意識の改革を図りながら、趣旨を徹底し、改革の完成を目指して努力を傾けてまいる考えであります。
 最後に、今日の学校現場では、子供や保護者の価値観の多様化が進むとともに、複雑な社会環境の中でさまざまな教育課題に対応した実践が行われております。本県教職員のストレスによると思われる病気休暇及び病気休職者数は、ここ数年ほぼ横ばいの状況にあります。本県では、教職員のメンタルヘルスに関して、学校長等を対象とした研修会を初め、さまざまな機会を通じて理解を促すとともに、適切な対応について指導しているところであります。
 議員ご指摘の、いわゆる燃え尽き症候群と言われることにつきましては、注意深く状況を把握しながら、今後一層、教職員のメンタルヘルスの問題に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番中山 豊君。
○中山 豊君 二つの質問に対して、答弁を求めず、要望という形式をたどった意味合いについて少し申し上げなければ、答弁を求めなかったことは軟弱だなどというふうに思われても片腹痛い話だから、そうでないんだということをまず申し上げておきたいと思います。
 申し上げた二つの課題については、議会開会が招集されて、質問の段取りがあって、その限られた期間の中で当局の皆さんとすり合わせながら答弁を用意されるというようなたぐいの問題よりも、もっと時間をかけて豊かな内容をつくり上げていく、創造していくという行政側のゆとりあるものが必要であろうと、こういうふうな立場から問題を投げかけて、即座に議会の場を通じて答弁をいただくという道を選ばなかった。そういう意味合いからも、当局の皆さんは、深く広く豊かな内容をつくり上げて具体化していただけるよう引き続き求めてまいりたいという心持ちで要望申し上げたことをご理解いただきたいわけであります。
 次に、災害の問題について、河川がはんらんをして護岸が決壊するとかどうだとかという事態に立ち至ると、直ちに災害復旧というふうな形で取り組みはされるということになっているんですが、護岸はしっかりしているけれども、その護岸の高さを乗り越えて、その護岸の裏側にある水田の耕作される黒土がすべて押し流されるというふうな事態に対して何ら被害者は、行政に向かってあれやのこれやのという施策を求めるということになりにくい状況にあります。だからこそ、せめてお願いしたいのは、このような越水する水害というのは将来にわたって起こらない保証は何もない。だから、あとしばらく、ブロックの一段ないし二段ぐらいは積み上げてほしいという要求も道理のある話だと思います。今、部長の答弁は明確に具体的にどうというふうなことはなかったけれども、河川の状況やいろんなことをご検討されるというお話のようですから、その検討の内容と具体化をお待ちすると、こういうような形でこれを受けとめておきたいと思います。極めて深刻な事態です。田んぼそれ自身が流されて、ことしの田植えにならないという田んぼは幾らもあるんですから。そのように申し上げておきたいと思います。
 次は、貴志川にかかる橋の問題ですけれども、市道にかかる橋だから県が直接あれこれということにならないのは十分承知の上で、もし市から県の方に要請があった場合には積極的に対応してあげてくれるかというふうな質問だったと思うんですが、ただ単に、申された地元の自治体から言うてきたらあれこれということじゃなくて、地域住民とのかかわり合いや地域の人たちから積極的にその問題が議員に投げかけられて、議員がかかわる地方自治体へも申し上げながらも、議会を通じてそのことを提起しているんですから、自治体から要請があればというふうな立場ではなくて、議会を通じてそのような反映をされているけれども地元の自治体としてはどうかというような形で、ある姿を引き出すというふうな県当局の積極的な姿勢を求めておきたいと思います。
 次に、教育の問題です。
 子供の問題もさることながら、直接教育に具体的責任を持たなくちゃならない教師がすべてダウンしかかっているということは、何事かならん話だと私は受けとめるんです。だから、教師がそのようにならないような手だてというのは、即子供を守る話、子供を正しく教育する環境をつくる根本的な課題だと思うわけです。
 今日の子供たちの起こしているさまざまな問題も、言うなれば教師が子供の心を、教育長が言うように「心を心として」「人と人として」という関係がやや脆弱な状態に陥れられていることの反映として子供の問題が起こっているとするならば、教師がダウンして子供の問題が正しく受けとめられないという状況ができたとするならば、まさに教育は致命的な打撃を受けるということになりかねません。そういうふうなことは釈迦に説法だと思いますけれども、注意深く対応していくという言葉の中に深い意味があるんでしょう。
 そういうことと受けとめながら、教師の精神疲労の問題については殊のほか気を使いながらお取り組みいただくようお願い申し上げて、僕の質問を終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十二分休憩
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